説明

支台歯築造用コンポジットレジン

【課題】 支台歯築造用コンポジットレジンの化学重合による硬化性を向上させることによって、光を照射しない条件下における硬化体の機械的強度を向上させ、さらに臨床上の硬化時間を早めることが可能なデュアルキュア型の支台歯築造用コンポジットレジンを提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリレート系重合性樹脂及び有機過酸化物を含む第一成分と、(メタ)アクリレート系重合性樹脂及び還元剤を含む第二成分から構成され、第一成分中及び/または第二成分中に光重合開始剤及び充填剤が含まれる重合性組成物であって、第一成分中及び/または第二成分中に平均粒子径が1μm以下である第二属元素の酸化物粉末が配合されることを特徴とする支台築造用コンポジットレジンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデュアルキュア型の支台歯築造用コンポジットレジンに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用補綴物を残存歯に固定するに際し、その残存歯が略完全な形状として残っている場合には、その残存歯を截頭円錐形状に近似した形状にタービンで切削して支台歯として用いる。しかしながら、残存歯の実質欠損がいちじるしく、歯根部のみしか残存していない場合には、根管内にポストを挿入して植立し、歯質に代わる物質によって支台歯形態を築造して保持力を補強する作業を行った後に、截頭円錐形状に近似した形状にタービンで切削して支台歯として用いる。
【0003】
この支台歯形態の築造には、根管細部への浸透性が高く築造が行い易い専用の支台歯築造用コンポジットレジンを用いることが一般的となってきている。この支台歯築造用コンポジットレジン(以下、単に組成物と呼ぶことがある。)は光重合性の材料であり、術者が望むときに適当な時間だけ光照射して組成物の粘度を調整すること可能であり、また組成物の重合を完了させたい場合には十分に光照射を行うことで直ぐに硬化させることができるので取り扱いをコントロールすることが容易である。
【0004】
一方、ポスト植立時においては、根管内や窩底部の光の届き難い部位に流れ込んだ組成物を十分に硬化させるために、光重合に加えて化学重合による硬化を併用した所謂デュアルキュア型の組成物が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、従来のデュアルキュア型の組成物では光が届き難い部位の重合は化学重合のみに依存するので光重合の効果が期待できず、硬化体の機械的強度が設計された値よりも低くなってしまうことがあった。また、築盛後に支台歯の形状とするためにタービンで切削できるようになるまでの時間は根管内に流れ込んだ組成物の化学重合の速度に依存するため、組成物の保存性に影響を与えない範囲で化学重合の速度が速いことは術者にとっても患者にとっても望ましい。
【0005】
【特許文献1】特開平9-157126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、デュアルキュア型の支台歯築造用コンポジットレジンにおいて、化学重合による硬化性を向上させることによって根管内や窩底部の光の届き難い部位の硬化体の機械的強度を向上させ、さらに硬化時間を早めることが可能な支台歯築造用コンポジットレジンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来のデュアルキュア型の支台歯築造用コンポジットレジンにおいて、平均粒子径が1μm以下の第二族元素の酸化物粉末を配合し、有機過酸化物と還元剤を用いるレドックス系の反応を促進させることで前記課題を解決可能であることを見出して本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、(メタ)アクリレート系重合性樹脂及び有機過酸化物を含む第一成分と、(メタ)アクリレート系重合性樹脂及び還元剤を含む第二成分から構成され、第一成分中及び/または第二成分中に光重合開始剤,充填材が含まれる重合性組成物であって、第一成分中及び/または第二成分中に平均粒子径が1μm以下の第二族元素の酸化物粉末が配合されることを特徴とする支台歯築造用コンポジットレジンである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る支台歯築造用コンポジットレジンは、従来の化学重合型の組成物と比較して光を照射しない条件下における硬化体の機械的強度を向上させ、さらに臨床上の硬化時間を早めたデュアルキュア型の支台歯築造用コンポジットレジンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に使用する(メタ)アクリレート系重合性樹脂は、従来から歯科において用いられている(メタ)アクリレート系重合性樹脂が使用可能であり、重合可能な基の種類や数,分子量は適宜選択して使用可能である。
【0011】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ) アクリロキシプロパン、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{(メタ)アクリロキシフェニル}プロパン、2,2−ビス[4−{2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロポキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル}プロパンを、2,2−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンまた分子中にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートとしてジ−2−(メタ) アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート等が例示できる。これらのメタクリレートとアクリレートを混合して使用することもできる。また、前記の他にもオリゴマーや、リン酸基を有する(メタ)アクリレート系重合性樹脂やカルボン酸基を有する(メタ)アクリレート系重合性樹脂を用いても良いのは勿論である。
【0012】
(メタ)アクリレート系重合性樹脂の配合量は、第一成分及び第二成分の各成分中にそれぞれ10〜60重量%であることが好ましく、10重量%未満では他の成分である重合触媒の配合量が相対的に低下してしまい組成物の硬化性が低下してしまう虞があり、60重量%を超えて配合すると支台歯築造用コンポジットレジンとしての強度が不足する傾向にある。
【0013】
本発明で使用する有機過酸化物,還元剤,光重合開始剤及び充填材も従来と同様のものが使用可能である。有機過酸化物としては、芳香族を有するジアシルパーオキサイド類や過安息香酸のエステルと見なされるようなパーオキシエステル類が好ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が効果的である。これらは後述の還元剤とは別成分として使用する必要がある。
【0014】
還元剤としてのアミン化合物としては芳香族第3級アミン,脂肪族第3級アミン等が有効である。具体的には、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、p−トリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、トリエチルアミン、N−エチルジエタノールアミン等が挙げられる。これらのアミン化合物も単独或いは2種以上を混合して用いても良い。
【0015】
過酸化物とアミン化合物の組み合せは重合開始剤として一般に使用されているが、さらに−SO2−基を少なくとも1個含有する有機芳香族化合物が加えられることにより、酸性下における(メタ)アクリレート系重合性樹脂の重合性を向上させることもできる。−SO2−基を少なくとも1個含有する有機芳香族化合物は、芳香族スルフィン酸またはその金属塩、または芳香族スルホニル化合物である。例えば、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム,p-トルエンスルフィン酸リチウム,ベンゼンスルフィン酸,ベンゼンスルフィン酸ナトリウム,p-トルエンスルホニルクロライド,p-トルエンスルホニルフルオライド,o-トルエンスルホニルイソシアネート,p-トルエンスルホニルヒドラジド,p-トルエンスルホンアミド,p-トルエンスルホニルイミダゾール,p-トルエンスルホニルシアニド,2-(p-トルエンスルホニル)アセトフェノン,p-トルエンスルホニル-N-ジエチルアミド,α-N,α-トルエンスルホニル-N-アルギニン,α-N,p-トルエンスルホニル-L-アルギニンメチルエステル,p-トルエンスルホニルメチルイソシアネート,p-トルエンスルホニル-N-メチル-N-ニトロサミド,N-(p-トルエンスルホニル)-L-フェニルアラニン,N-p-トルエンスルホニルーLーフェニルアラニルクロライド,p-トルエンスルホニルアセトニトリル,2ー(p-トルエンスルホニル)アセトフェノン,トルエン−3,4−ジスルホニルクロライド,ベンゼンスルホンアミド,ベンゼンスルホヒドロキサンミン酸,ベンゼンスルホニルクロリド,ベンゼンスルホニルイソシアネート,ベンゼンスルホンアニリド,ベンゼンスルホンクロラミドナトリウム,ベンゼンスルホンジクロラミド,ベンゼンスルホニルヒドラジド,ベンゼンスルホニル-N-メチルアミド,2-フェニルスルホニルアセトフェノン,ジアミノジフェニルスルホン,4,4'-スルホニルジフェノール,スルファピリジン,スルファエアゾール,スルファメチゾール,エチルベンゼンスルホニルクロライド,ニトロベンゼンスルホニルクロライド,ニトロベンゼンスルホニルフルオライド等が挙げられる。なお、「−SO2−基を少なくとも1個含有する有機芳香族化合物」が含水塩であっても良い。
【0016】
光重合開始剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4′−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイドの誘導体、アジド基を含む化合物等が例示でき、これらは、単独は勿論、混合しても使用できる。本発明において光重合開始剤は第一成分に配合しても良いし第二成分に配合しても良い。
【0017】
有機過酸化物,還元剤及び光重合開始剤のそれぞれの配合量は配合される各成分中の(メタ)アクリレート系重合性樹脂の総量100重量部に対して0.01〜5重量部で配合されることが好ましく、0.01重量部未満では重合触媒としての能力が不十分となる虞があり、5重量部を超えて配合すると成分の保存安定性が低下してしまう。
【0018】
充填材としては、例えば、α−石英,シリカ,無水ケイ酸,バリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラス,ヒドロキシアパタイト,フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス類、合成ゼオライト,硫酸バリウム,酸化チタン,リン酸カルシウム,長石,ヒュームドシリカ,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸カルシウム,バリウムボロシリケートガラス,バリウムボロアルミナシリケート,炭酸マグネシウム,含水ケイ酸,含水ケイ酸カルシウム,含水ケイ酸アルミニウム等の粉末、有機成分と無機成分を含有する有機複合充填材がある。
【0019】
これらの充填材は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロポキシメチル]オキセタン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等で表面処理されていても良い。また、前記のフィラーを予め(メタ)アクリレート系重合性樹脂と混合して硬化させた後、粉砕して作製した有機無機複合フィラーを使用することができる。これらのフィラーは単独または2種以上を混合して使用することができる。本発明において充填材は第一成分に配合しても良いし第二成分に配合しても良い。
【0020】
また、充填材として(メタ)アクリレート系重合性樹脂のポリマーを配合することも可能である。このポリマーとしては、具体的には前記した(メタ)アクリレート系重合性樹脂のホモポリマー、あるいは2つ以上の(メタ)アクリレート系重合性樹脂のコポリマーや、さらにこれら各種(メタ)アクリレート系重合性樹脂とスチレンとのコポリマーを例示することができる。これらの重合体は1種類でも使用可能であるし2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0021】
充填材の配合量は配合される成分中に40〜90重量%であることが好ましく、40重量%未満では支台歯築造用コンポジットレジンとしての強度が不足する傾向にあり、90重量%を超えて配合すると使用時の組成物の流動性が低くなりすぎて根管の細部まで流れ込み難しくなってしまう。
【0022】
第一成分中及び/または第二成分中に配合される平均粒子径が1μm以下の第二族元素の酸化物粉末は、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物とアミン等の還元剤によるレドックス系の化学重合において、充填材表面の酸性として働くシラノール基などの影響を抑制(中和)し、重合を促進させる効果がある。元素の酸化物粉末としては、ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムの酸化物粉末がある。
【0023】
本発明で用いる第二元素の酸化物粉末はその粒子径が重要であり、平均粒子径が1μm以下であることが必要である。好ましく0.01〜0.2μmである。第二元素の酸化物は光不透過性なので平均粒子径が1μmを超えると光硬化深度が低下してしまうため好ましくない。二族元素の酸化物粉末は前記フィラーの一部として分類されるが表面のシラン処理は行われないことが好ましい。
【0024】
第二元素の酸化物粉末の配合量は、第一成分中及び/または第二成分中に0.01〜5重量%で配合されることが好ましい。0.01重量%未満では硬化体の機械的強度の向上が不十分となる傾向があり、5重量%を超えて配合すると硬化体の機械的強度の低下が見られ、さらに光硬化深度が低下してしまうので好ましくない。
【0025】
本発明に係る支台歯築造用コンポジットレジンには、その特徴を阻害しない範囲で一般の歯科用樹脂材料に使用されてきた重合禁止剤,酸化防止剤,変色防止剤,紫外線吸収剤,界面活性剤,顔料,香料,抗菌剤等を添加しても良い。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明に係る歯科用組成物を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
<実施例1〜6,比較例1及び2>
表1に示す配合割合で第一成分及び第二成分を調製した。(メタ)アクリレート系重合性樹脂に対し還元剤,有機過酸化物,光重合開始剤を混合した。次に、充填材を乳鉢に入れ、十分に混練して均一なペーストとし、第一成分,第二成分を調製した。本実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りである。
【0028】
<(メタ)アクリレート系重合性樹脂>
Bis-GMA: 2,2−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
UDMA: ジ−2−メタクリロイルオキシエチル2,2,4−トリエチルヘキサメチレンジカルバメート
TEGDMA: トリエチレングリコールジメタクリレート
HDMP: 2−ヒドロキシ1,3−ジメタクリロキシプロパン
NPGDMA: ネオペンチルグリコールジメタクリレート
【0029】
<充填材>
「第二族元素の酸化物粉末以外の充填材」
b1: フルオロアルミノシリケートガラス(平均粒径;3μm)100重量部に対し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3重量部で表面処理したもの。
b2: フルオロアルミノシリケートガラス(平均粒径;8μm)100重量部に対し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1重量部で表面処理したもの。
b3: 微粉末シリカ(平均粒径;0.005〜0.05μm)
「第二族元素の酸化物粉末」
c1: 酸化マグネシウム、平均粒径:0.05μm
c2: 酸化マグネシウム、平均粒径:0.1μm
c3: 酸化マグネシウム、平均粒径:1.27μm
【0030】
実施例1〜6及び比較例1,2において、第一成分には(メタ)アクリレート系重合性樹脂100重量部に対して重合触媒としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)1重量部、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.2重量部を配合し、
第二成分には(メタ)アクリレート系重合性樹脂100重量部に対して重合触媒としてカンファーキノン(CQ)0.3重量部、還元剤としてp−トリルジエタノールアミン(P-アミン)2.0重量部、及びp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(EPA)2.0重量部、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.2重量部を配合した。
【0031】
<3点曲げ強度試験>
第一成分と第二成分を等量練和し、2×2×25mmの角柱状の穴を有するモールドに充填し上部をポリプロピレンフィルムにて気泡が入らぬように注意しながら圧接し、化学重合させ試験片を作製した。試験片を万能試験機(商品名 オートグラフAG-IS:島津製作所製)に装着し、スパン20mm,クロスヘッドスピード1.0mm/minで3点曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
<硬化時間の測定>
第一成分と第二成分を等量練和し、硬化時間測定用のプラスチックチューブに充填した。そして、熱電対を用いて練和ペーストの発熱値を計測し、発熱が最高値を示したときの練和開始からの経過時間を硬化時間として測定した。なお、測定は23℃の恒温暗室で行った。結果を表1に示す。
【0033】
<光硬化深度の測定>
第一成分と第二成分を等量練和し、金型(内径4mm、高さ8mm)の中に気泡を混入させないように充填し、透明フィルムを介してガラス板を用いて圧接した。そして、歯科用可視光線照射器(製品名:ジーシーニューライトVLII,ジーシー社製)にて20秒間片面光照射して硬化させ、直ぐに金型から硬化体を取り出した。硬化体の未重合部をアルコールを染み込ませたガーゼにて除去した後、残りの硬化体長をマイクロメーターにて測定して光硬化深度とした。結果を表1に示す。
【0034】
<表1>
単位:重量%

比較例1は、第二族元素の酸化物粉末を配合しなかった場合の例である。この場合には実施例に比べ曲げ強度が低く、また硬化時間も明らかに遅い。
【0035】
比較例2は、第二族元素の酸化物粉末の平均粒径が1.27μmの場合の例である。この場合には実施例と比較して硬化時間にやや遅れが見られ、光硬化深度も劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレート系重合性樹脂及び有機過酸化物を含む第一成分と、(メタ)アクリレート系重合性樹脂及び還元剤を含む第二成分から構成され、第一成分中及び/または第二成分中に光重合開始剤,充填剤が含まれる重合性組成物であって、第一成分中及び/または第二成分中に平均粒子径が1μm以下の第二属元素の酸化物粉末が配合されることを特徴とする支台築造用コンポジットレジン。

【公開番号】特開2008−247801(P2008−247801A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90767(P2007−90767)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】