説明

支承装置

【課題】支承装置において、小さな面積で高荷重を支持可能とする。或いは、支承装置において、耐環境性を向上させる。
【解決手段】貫通孔2aが穿設された第一剛性体2と、第一剛性体2と対向配置される第二剛性体3と、第一剛性体2と第二剛性体3との間に狭持される弾性体4と、第二剛性体2に固定されると共に弾性体4を貫通して先端部が貫通孔2a内部に位置される芯材8とを備える支承装置1であって、芯材8の先端部に接触して貫通孔2a内部に充填配置される充填弾性体9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物や橋梁等の各種構造物を支承する支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
元来、建築物や橋梁等の構造物の支承装置には、大別して、水平方向の荷重を支承する水平荷重支承機能、鉛直方向の荷重を支承する鉛直荷重支承機能、鉛直面内における回転荷重を支承する鉛直回転支承機能等が求められる。特に、橋梁用支承装置にあっては、平成7年の大震災以来、ゴムを主たる構成要素としたゴム支承装置が求められるようになった。中でも鉛直荷重支持性能があって、水平力分散性能の高い積層ゴム支承装置は、広範に使用されるようになった。
【0003】
この積層ゴム支承装置は、例えば特許文献1に記載されているように、ゴム板と鉄板を交互に積層し、これらが加硫接着によって相互に接着されて構成され、その上部が橋梁の橋桁等の上部構造物に固定され、その下部が橋脚等の下部構造物に固定されて設置されて使用されている。
【0004】
しかしながら積層ゴム支承装置にあっては、構造上、積層構造を採るため、必然的に所要厚さが大きくなって嵩張る上、高荷重を支持させるには広面積化する必要があり、特に長大橋向けには大型化する欠点がある。従って、性能要求上、支承装置が大型化してしまった場合には、下部構造物である橋脚や橋台の上面の面積がより大きく要求されることになり、橋梁全体として高コスト化してしまうという欠点がある。
【0005】
また、大型の支承装置が求められる場合であって、新設でない場合には、既存の支承装置が設置されていることから設置スペースが限定されるために支承装置の大きさが特に問題となり、高さが低く面積が狭い小型の支承装置でなければ交換設置出来ないという不具合があった。
【0006】
まして近年、建築物や橋梁等の構造物の大型化や予想される地震規模の大型化に伴い、支承装置に求められる機能や性能も高度化してきており、積層ゴム支承で対応しようとした場合、大型化してしまうことは避けられない。
【0007】
この様な背景から先述のような鉛直高荷重支持性能の向上に伴う大型化という積層ゴム支承装置の問題の改善を図ったものとして、例えば特許文献2に記載された機能分離型の固定支承としての弾性支承装置が提案されている。
【0008】
この弾性支承装置は、積層ゴム支承装置の持つ水平力分散機能は持たず、この機能を別の支承装置に持たせ、鉛直荷重支持機能を高度化するものであって、下面に環状溝が形成された上板と、上面に環状溝が形成された下板とが互いの環状溝に隙間無く固着されて介在する弾性層を介して対向配置され、上板と下板の中央に設けられた貫通孔に剪断変形を拘束する芯状の突起が配設されて構成される。
【0009】
このように構成される上述の如くの弾性支承装置は、弾性層が厚くなく、弾性層と交互に積層されるような鋼板層が存在せず、支承装置としても積層ゴム支承装置に比して高さが低く、全体としてコンパクトに設定され、支承装置の大型化問題に対する解決策として提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−181129号公報
【特許文献2】特許第4377429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、積層ゴム支承装置を含め、ゴム等の弾性体を用いた弾性支承装置の場合、特に橋梁用支承装置の場合には、鋼製支承装置と異なり、鉛直可撓性能があることから橋軸直角方向における鉛直面内での回転は、回転性能によってなされるのではなく、鉛直可撓性によって達せられ、橋軸方向における鉛直面内における回転は鉛直方向の圧縮撓みによってなされることになる。
【0012】
しかしながら、圧縮撓み性能、即ち鉛直可撓性能を向上させるには鉛直弾性を改善する必要が生じるが、この改善を図ろうとすると鉛直荷重支持性能が低下するという二律背反が生じる。さらに道路橋示方書によれば、ゴム支承においては剪断変形は許容されるが構成ゴムに引張力が作用することは許容されていないことから積層ゴム支承装置において鉛直面内における回転性能を持たせることは困難であった。況してや特許文献2の弾性支承装置にあっては、弾性層の厚みが薄く、鉛直可撓性が低く、圧縮撓みが殆どとれないことから橋軸直角方向に対する鉛直回転性能と、橋軸方向に対する鉛直回転性能のいずれも良好な回転性能を得ることが出来なかった。
【0013】
また、特許文献2の弾性支承装置では、水平方向の剪断変形を防止する芯状の突起が設けられ、水平荷重を弾性的に支持することが出来ない上、この芯状の突起が占有する平面における面積分だけ鉛直荷重を支持することが出来ず、これを補うために、支承装置全体における平面の面積を大面積化することが必要であった。更に、特許文献2の弾性支承装置にあっては、上板と芯状の突起とが繰り返し衝接したり摺接するために、各々の形状が変形したり、摩耗したりする上、突起上部が位置する上板に形成された断付穴に雨水等が溜まりやすく、上板や突起が錆びるなどの劣化を起こしやすくなるという欠点があった。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、小さな面積で高荷重を支持することを可能とすると共に、耐環境性に優れた支承装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の支承装置は、貫通孔が穿設された第一剛性体と、当該第一剛性体と対向配置される第二剛性体と、上記第一剛性体と上記第二剛性体との間に配設される弾性体と、上記第二剛性体に固定されると共に上記弾性体を貫通して先端部が上記貫通孔内部に位置される芯材とを備える支承装置であって、上記芯材の先端部に接触して上記貫通孔内部に充填配置される充填材を備えることを特徴とする。
【0016】
前記充填材は、一種類以上の、弾性乃至可撓性を有する固体、又は弾性乃至可撓性を有する固体によって封止された、気体、液体、ゲル状体、粉体、粒体から選択される一つ以上を含んで構成される流体であることを特徴とする。
【0017】
前記充填材は、前記貫通孔内部において前記芯材の先端部の全体を被覆していることを特徴とする。
【0018】
前記充填材は、前記貫通孔の開口端であって前記芯材が通過しない側の開口端を閉塞していることを特徴とする。
【0019】
前記充填材は、前記貫通孔の開口端であって前記芯材が通過しない側の開口端にて、前記第一剛性体の表面と面一となる平坦領域を有することを特徴とする。
【0020】
前記充填材は、前記貫通孔内部に隙間無く充満されていることを特徴とする。
【0021】
前記芯材の先端から前記芯材が通過しない側の開口端までの離間距離が前記弾性体の厚みと一致されていることを特徴とする。
【0022】
前記充填材は、前記弾性体と一体化されていることを特徴とする。
【0023】
前記充填材と前記弾性体とが同一材料から成ることを特徴とする。
【0024】
前記充填材と前記弾性体とが異種材料から成ることを特徴とする。
【0025】
前記芯材が通過する側の開口端が、前記芯材が通過しない側の前記貫通孔の開口端よりも窄み、前記芯材の先端部が前記貫通孔の前記芯材が通過する側の開口端よりも大径の大径部を有することを特徴とする。
【0026】
前記芯材は、前記大径部となる頭部を有するボルト部材から成ることを特徴とする。
【0027】
前記芯材は、先端部に雄ねじ部を有する軸体と、当該軸体に螺合するための雌ねじ部を有して前記大径部となるナット体とを備えることを特徴とする。
【0028】
前記芯材と前記第二剛性体とが螺合されていることを特徴とする。
【0029】
第一剛性体の第二剛性体と対向する面は、平面、曲面、傾斜面、凹凸面、粗面のいずれか、或いはこれらの組合せによって構成されることを特徴とする。
【0030】
第二剛性体の第一剛性体と対向する面は、平面、曲面、傾斜面、凹凸面、粗面のいずれか、或いはこれらの組合せによって構成されることを特徴とする。
【0031】
第一剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に増厚している部分を有することを特徴とする。
【0032】
第二剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に増厚している部分を有することを特徴とする。
【0033】
第一剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に減厚している部分を有することを特徴とする。
【0034】
第二剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に減厚している部分を有することを特徴とする。
【0035】
前記第一剛性体、前記第二剛性体及び前記芯材のいずれか或いは全てが金属、セラミックス、強化プラスチックを含む樹脂、或いはこれらの複合材料から成ることを特徴とする。
【0036】
前記第一剛性体又は前記第二剛性体の上面或いは下面に摺滑手段を設けることを特徴とする。
【0037】
前記第一剛性体が上部構造物に固定される上沓であり、前記第二剛性体が下部構造物に固定される下沓であることを特徴とする。
【0038】
前記第二剛性体が上部構造物に固定される上沓であり、前記第一剛性体が下部構造物に固定される下沓であることを特徴とする。
【0039】
前記上部構造物が橋桁であり、前記下部構造物が橋脚あるいは橋台であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の支承装置においては、第一剛性体に貫通孔が穿設され、第二剛性体に固定された芯材の先端部が、第一剛性体の貫通孔内部に配置されており、当該貫通孔内部に充填材が配置されると共に当該充填材が芯材の先端部に接触されている。このため、芯材の先端部の少なくとも一部を充填材で覆うことが出来、外部より浸入する水分等によって芯材が劣化することを抑制することが出来る。特に芯材が金属材から成る場合には、本発明によれば、芯材が錆びることを抑制することが出来る。
【0041】
また、充填材が貫通孔の内部において芯材の先端部の全体を被覆している場合には、芯材の先端部全体が充填材によって囲撓されるため、芯材の先端部全体の劣化を抑制することが出来る。
【0042】
また、貫通孔の開口端であって芯材が通過しない側(即ち、第一剛性体の構造体に取り付けられる側)の開口端が、充填材によって閉塞されている場合には、当該開口端から貫通孔の内部に水分等の芯材の劣化の原因となる物質が侵入することをより確実に防止することができ、芯材の劣化をより効率的に抑制することが可能となる。逆に、充填材の外表面と第一剛性体の表面とを面一に設定しない場合には、適宜の空隙を設定することが出来、これによって支承方向の撓み量を適宜設定することが可能となる。
【0043】
また、充填材が貫通孔の開口端であって芯材が通過しない側(即ち、第一剛体の構造体に取り付けられる側)の開口端にて、第一剛性体の表面と面一となる平坦領域を有する場合には、充填材が第一剛性体と共に構造体と接触することになり、荷重の受圧面積を増大させることが出来る。このため、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
【0044】
また、充填材が、貫通孔内部に隙間無く充填されている場合には、水分等の芯材の劣化の原因となる物質が侵入することをより確実に防止することができ、更には万が一貫通孔内部に上記物質が進入した場合であっても、その進行速度を低減し、芯材に到達することを遅らせることが可能となる。
【0045】
また、充填材が弾性体であって貫通孔内部に隙間無く充填され、更に、芯材の先端から上記芯材が通過しない側の開口端までの離間距離が第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体の厚みとほぼ一致されている場合には、充填材を含めると、支承方向における弾性体の厚みがほぼ均一化される。このため、本発明の支承装置は、優れた鉛直荷重支持特性を発現する。
【0046】
また、充填材が、第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体と一体化されている場合には、第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体と充填材とを同時に形成することが可能となり、量産性が高くなる。
【0047】
また、充填材が、第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体と同一材料から成る場合には、一種の材料にて充填材と弾性体とを形成することが可能となり、量産性が高くなる。
【0048】
また、充填材が、第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体と異種材料から成る場合には、充填材に対して、第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体と異なる性質を与えることが出来、荷重支持特性を任意に変更することが可能となる。
【0049】
また、芯材が通過する側の開口端が、芯材が通過しない側の貫通孔の開口端よりも窄み、上記芯材の先端部が上記貫通孔の上記芯材が通過する側の開口端よりも大径の大径部を有する場合には、第一剛性体と第二剛性体とが離間する方向に移動した際に、芯材の先端部が貫通孔の開口端を通過することを抑制することができ、第一剛性体と第二剛性体とが乖離することを抑制することが出来る。
【0050】
また、芯材が、大径部となる頭部を有するボルト部材によって構成される場合には、製作が容易であり、当該支承装置の使途によっては、大径部を有する芯材を汎用のボルト部材を用いて構成することが可能であり、低コストで量産性を向上させることが出来る。
【0051】
また、芯材が、先端部に雄ねじ部を有する軸体と、当該軸体に螺合するための雌ねじ部を有して前記大径部となるナット体とを備える場合には、製作が容易であり、当該支承装置の使途によっては、汎用のナット体を用いて大径部を容易に構成することが可能であり、低コストで量産性を向上させることが出来る。
【0052】
また、芯材が第二剛性体と螺合されている場合には、芯材と第二剛性体とを容易に強固に固定すること出来、大きな荷重が作用した際にも芯材と第二剛性体との接合部分が破損することを抑制し、第一剛性体と第二剛性体とが乖離することをより確実に抑制することが可能となる。
【0053】
また、第一剛性体の第二剛性体と対向する面及び第二剛性体の第一剛性体と対向する面の少なくとも一方を、平面、曲面、傾斜面、凹凸面、粗面のいずれか、或いはこれらの組合せによって構成することが出来、第一剛性体の第二剛性体と対向する面或いは第二剛性体の第一剛性体と対向する面を変化させることにより、これに伴って弾性体の厚みが変化したり、第一剛性体及び第二剛性体と弾性体との接触面が変化するため、適切に第一剛性体の第二剛性体と対向する面或いは第二剛性体の第一剛性体と対向する面の形状設定を行うことにより、例えば荷重支持特性を適宜に設定したり、剛性体と弾性体との接合強度を改善したりすることが出来る。
【0054】
また、第一剛性体及び第二剛性体の少なくとも一方を、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に増厚している部分を有する構成や、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に減厚している部分を有する構成を採用することも出来る。これによっても、弾性体の厚みが変化したり、第一剛性体及び第二剛性体と弾性体との接触面が変化するため、適宜に第一剛性体及び第二剛性体の厚みを設定することによって、例えば荷重支持特性を適宜に設定することが出来る。
【0055】
また、第一剛性体又は前記第二剛性体の上面或いは下面に摺滑手段を固設する構成を採用することも出来る。これによれば、第一剛性体又は第二剛性体を摺滑させることが出来、元々固定支承であった本発明の支承装置を可動支承として利用することが可能となる。
【0056】
また、上記第一剛性体を上部構造物に固定される上沓に、上記第二剛性体を下部構造物に固定される下沓に設定することが可能であり、その反対に、上記第二剛性体を上部構造物に固定される上沓に、上記第一剛性体を下部構造物に固定される下沓に設定することも可能であり、何れの場合であっても、少なくとも芯材が腐食することを抑制したり、より狭い支承面積のより小さな支承装置を得ることが出来、環境特性に優れ、荷重支持特性を改善すると共によりコンパクトな支承装置を得ることが出来る。
【0057】
上記上部構造物が橋桁であり、上記下部構造物が橋脚あるいは橋台であるとすることが出来、この場合には、優れた環境特性により、橋桁及び橋脚あるいは橋台を支承することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態における支承装置の概略構成図である。
【図2】底部が湾曲した貫通孔を有する本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図3】芯材が軸体とナット体とによって構成される本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図4】充填弾性体が芯材の上部のみに配設された本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図5】充填弾性体が芯材の周囲のみに配設された本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図6】上沓の下面がその略中心から外方に向かって上沓の厚みが薄くなる傾斜面としされ、下沓の上面がその略中心から外方に向かって下沓の厚みが薄くなる傾斜面とされた本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図7】上沓の下面がその略中心から外方に向かって上沓の厚みが厚くなる傾斜面としされ、下沓の上面がその略中心から外方に向かって下沓の厚みが厚くなる傾斜面とされた本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図8】貫通孔の内部に充填弾性体を配置しない空間を有する本発明の一実施形態における支承装置の変形例の断面図である。
【図9】上沓の上面にすべり板を有する本発明の一実施例における支承装置の変形例の断面図である。
【図10】下沓の下面にすべり板を有する本発明の一実施例における支承装置の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下に本発明の実施形態の支承装置の構成を詳細に説明する。本発明の支承装置は、建築物や橋梁等の構造物を支承するための支承装置であって、互いに間隙を存して位置する二つ構造体のうち、一方の構造体側に配設される第一剛性体と、この第一剛性体に対向して他方の構造体側に配設される第二剛性体と、これらの第一剛性体と第二剛性体との間に介挿される弾性体とを備えて構成される。ここで例えば、上述の一方の構造体を上部構造体、他方の構造体を下部構造体とする。より具体的な例としては、本発明の支承装置は、上部構造体としての橋桁と下部構造体としての橋脚或いは橋台との間、即ち橋桁と橋脚或いは橋台との間に配設して使用するものであり、この場合には水平荷重や鉛直荷重、回転荷重等の各種の荷重を支えると共に、荷重伝達を果たしながら地震や風、或いは動的或いは静的な交通荷重等による揺動や振動、応力を吸収分散しつつ、支承するものである。以下、上部構造体と下部構造体との間に配設して使用する例を以て本発明の支承装置の実施形態の説明をする。
【0060】
支承装置は、少なくとも、上部構造体に直接或いは間接的に固定される第一剛性体である上沓と、下部構造体に直接的或いは間接的に固定される第二剛性体である下沓と、これら上沓と下沓との間に配設される弾性体とを備えて構成される。更に、上沓には貫通孔が穿設され、支承装置は、下沓に固定されると共に弾性体を貫通して先端部が貫通孔内部に位置される芯材と、芯材の先端部に接触して貫通孔内部に充填配置される充填材とを備えている。勿論、上沓と下沓とが入れ替わった構成とすることも可能である。
【0061】
上部構造体に対する上沓の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて上沓を上部構造体に対して直接的に固定してもよく、或いは上沓よりも広面積の板状をなす上部プレートの如くの上部固定手段を介して上沓を上部構造体に対して間接的に固定したり、適宜の方法で固定することが出来る。また、上沓の上部に摺滑手段を配設して、上部構造体と支承装置とを相対変位可能に固定しても好い。この摺滑手段としては、例えば、PTFEの如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、上沓の上面に固定したり、或いは上部構造体や上部構造体に固定される取付手段側の下面に固定することによって構成することが可能である。
【0062】
上沓は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の鋼製素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組合せによって構成される材料によって構成することが出来る。各種素材から構成される上沓は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、或いは施工上、交換上有利である。尚、上沓は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防性効果を得るように構成することが出来る。
【0063】
また、上沓には、芯材の先端部を収容する貫通孔が穿設されている。この貫通孔には、上沓の下面側から芯材が挿入され、当該芯材の先端部が上沓の上面から突出することなく収容されている。つまり、貫通孔が有する両開口端のうち、上沓の下面に位置する開口端には芯材が通過しており、上沓の上面に位置する開口端には芯材が通過していない。この貫通孔の形状は、円柱形状とすることも出来るが、芯材の先端部が芯材の他の部位よりも大径の大径部とされている場合には、当該大径部が貫通孔から抜け出ることを抑止するべく、芯材が通過する開口端(つまり上沓の下面に位置する開口端)を窄ませた形状を採用することが好ましい。このように上沓の下面に位置する開口端を窄ませる場合には、見かけ上、貫通孔は、小径の貫通孔を有する有底の凹形状となる。そして、当該凹状の底部の上面は、平面であっても良いが、貫通孔の側面と滑らかに接続する湾曲面とすることも出来る。尚、このように上沓の下面側に位置する開口端を窄ませる場合には、当該貫通孔は、後述する、上沓と下沓との離間を抑制する上揚抑制手段の一部を構成することになる。
【0064】
更に、上沓の下面は、勿論平面とすることも出来る他、下面側から凹設される凹部及び/又は対向する下沓に向かって凸設される凸部を設けたり、粗面としたり、曲面としたり、テーパー面としたり、或いはこれらの複合した面とすることが可能であり、或いは、上沓の下面の略中心から外方に向かって上沓の厚みが薄くなるように設定される傾斜面としたり、或いは、略中心から外方に向かって上沓の厚みが厚くなるように設定される傾斜面とすることが出来る。例えば、上沓の下面を、その略中心から外方に向かって上沓の厚みが薄くなる傾斜面としつつ、下沓の上面を、その略中心から外方に向かって下沓の厚みが薄くなる傾斜面とした下沓と組み合わせて支承装置を構成した場合には、上沓と下沓との間は、中心から半径方向外方に向かって離反する拡開した空間が作出される。従って、この空間を満たすように弾性体を配設した場合には、中心から外方に向かって弾性層が厚くなる支承装置を得ることが出来る。逆に、上沓の下面を、その略中心から外方に向かって上沓の厚みが厚くなる傾斜面としつつ、下沓の上面を、その略中心から外方に向かって下沓の厚みが厚くなる傾斜面とした下沓と組み合わせて支承装置を構成した場合には、上沓と下沓との間は、中心から半径方向外方に向かって接近する縮閉した空間が作出される。従って、この空間を満たすように弾性体を配設した場合には、中心から外方に向かって弾性層が薄くなる支承装置を得ることが出来る。
【0065】
下部構造体に対する下沓の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて下沓を下部構造体に対して直接的に固定してもよく、或いは下沓よりも広面積の板状をなす下部プレートの如くの下部固定手段を介して下沓を下部構造体に対して間接的に固定することも出来る。また、下沓の下部に摺滑手段を配設して、下部構造体と支承装置とを相対変位可能に固定しても好い。この摺滑手段としては、例えば、PTFEの如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、下沓の下面に固定したり、或いは下部構造体や下部構造体に固定される取付手段側の上面に固定することによって構成することが可能である。尚、上沓や下沓の直接的乃至間接的な固定は、着脱可能な方法とするのが好ましく、ボルト、ナット等による締結はその一例である。
【0066】
下沓は、上沓同様、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の鋼製素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組合せによって構成される材料によって構成することが出来る。各種素材から構成される下沓は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、或いは施工上、交換上有利である。勿論、下沓の平面形状等は、必ずしも上沓と一致させる必要はないが、各部のサイズと、凸部や凹部の形状や位置等は下沓の設定と上沓の設定を互いに整合させる必要がある。尚、下沓は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することが出来る。
【0067】
下沓の上面は、勿論平面とすることも出来る他、上面側から凹設される凹部及び/又は対向する基盤に向かって凸設される凸部を設けたり、粗面としたり、曲面としたり、テーパー面としたり、或いはこれらの複合した面とすることが可能である。特に、下沓の上面の略中心から外方に向かって下沓の厚みが薄くなるように設定される傾斜面としたり、或いは、略中心から外方に向かって下沓の厚みが厚くなるように設定される傾斜面とすることが出来る。
【0068】
弾性体は、上沓と下沓の間の所望の部位に、所望量配設される。この配設部位と配設量によって、鉛直荷重支持性能や水平荷重支持性能、並びに鉛直回転性能を調節することが出来る。勿論、弾性体として採用する材料によっても荷重支持性能や回転追従性などの設定を行うことが出来る。また、上沓と下沓の間に配設される弾性体は、接着していてもいなくてもどちらでもよいが、好ましくは加硫接着乃至接着剤による接着等によって上沓と下沓とのそれぞれに対して接合し、応力集中や経年変化等によっても弾性体が乖離したり剥離して機能不全を生じさせないようにすることが必要である。勿論、上沓や下沓に対する弾性体の接着方法は特に限定されるものではない。
【0069】
弾性体の主たる構成素材となるエラストマとしては、天然ゴムや合成ゴム、熱可塑性エラストマや熱硬化性エラストマを用いることができ、これらの中でも天然ゴムを主成分として使用することが好ましい。具体的なエラストマ成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化、塩素化等)、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、エポキシ化天然ゴム、trans−ポリイソプレン、ノルボルネン開環重合体(ポリノルボルネン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレン樹脂、イソプレンゴム等のゴムを1種単独、或いは2種以上を併用することが出来る。
【0070】
芯材は、下端側が下沓に固定されると共に先端部が貫通孔内部に配置される棒状の部材である。芯材は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の鋼製素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組合せによって構成される材料によって構成することが出来る。
【0071】
適宜の素材から構成される芯材の横断面形状は特に限定されるものではないが、略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来る。また、設定される全ての芯材の最小径部の総断面積が、支承装置の片面側の支承面積の50%以上に設定することも可能である。また芯材の縦断面形状に関しても特に限定されるものではないが、略矩形、略台形、或いは上部と下部の少なくとも一方が大きく中間が細い形状等に設定することが可能である。尚、芯材は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することが出来る。
【0072】
芯材は、先端部を大径に設定される大径部とすることが好ましい。尚、芯材として、ボルト部材を用いることにより、当該ボルトの頭部を上記大径部として用いることが出来る。ただし、これに限られるものではなく、例えば、芯材を、先端部に雄ねじ部を有する軸体と、当該軸体に螺合するための雌ねじ部を有すると共に上記大径部となるナット体とから構成することも出来る。また、芯材は、簡易な作業で高い接合強度が得られることから、下端が下沓に対して螺合することにより固定されることが好ましいが、これに限られるものではなく、圧入や溶接等を用いて下沓に対して固定するようにしてもよい。或いは、下沓と一体に形成してもよい。
【0073】
つまり、本実施態様の芯材は、上沓と下沓の間に配設される弾性体の剪断変形を抑制する機能、上揚力による上沓と下沓との乖離を抑制する機能に加え、上部構造物からの鉛直荷重を弾性的に支承する機能を有する。
【0074】
充填材は、芯材の先端部に接触して貫通孔内部に充填配置されるものである。受圧面積の向上及び耐環境性の向上を実現するためには、充填材は、貫通孔内部において芯材の先端部の全体を被覆し、上沓の上面に位置する貫通孔の開口端を閉鎖し、当該開口端にて上沓の上面と面一となる平坦領域を有し、貫通孔内部に隙間無く充満されていることが好ましい。ただし、これに限られるものではなく、例えば、貫通孔内部に隙間が設けられていても良く、また、上沓の上面に位置する貫通孔の開口端の全体に平坦領域を有する必要も必ずしもない。
【0075】
この充填材としては、上沓と下沓との間に介挿される弾性体と同様に、配設部位と配設量によって、鉛直荷重支持性能や水平荷重支持性能、並びに鉛直回転性能を調節することが出来る。また、充填材として採用する材料によっても荷重支持性能や回転追従性などの設定を行うことが出来る。また、充填材は、上沓や芯材に対して接着していてもいなくてもどちらでもよいが、好ましくは加硫接着乃至接着剤による接着等によって下沓や芯材とのそれぞれに対して接合し、応力集中や経年変化等によっても充填材が乖離したり剥離して機能不全を生じさせないようにすることが好ましい。勿論、充填材の接着方法は特に限定されるものではない。
【0076】
充填材の主たる構成素材とし得るエラストマとしては、天然ゴムや合成ゴム、熱可塑性エラストマや熱硬化性エラストマを用いることができ、これらの中でも天然ゴムを主成分として使用することが好ましい。具体的なエラストマ成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化、塩素化等)、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、エポキシ化天然ゴム、trans−ポリイソプレン、ノルボルネン開環重合体(ポリノルボルネン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレン樹脂、イソプレンゴム等のゴムを1種単独、或いは2種以上を併用することが出来る。
【0077】
充填材としては、上述の弾性乃至可撓性を有する固体に限られるものではなく、例えば、弾性乃至可撓性を有する固体によって封止された気体、液体、ゲル状体、粉体、粒体から選択される一つ以上を含んで構成される流体を用いることも出来る。
【0078】
充填材は、貫通孔内部に隙間無く充填され、芯材の先端から芯材が通過しない側の開口端までの離間距離が上沓と下沓との間に介挿される弾性体の厚みと一致されていることが好ましい。これによって、充填材を含め、芯材も鉛直荷重を効果的に支承することが可能となり、優れた鉛直荷重支持特性を発揮出来る。
【0079】
充填材は、上沓と下沓との間に介挿される弾性体と一体化されていることが好ましい。これによって、上沓と下沓との間に介挿される弾性体と充填材とを同時に形成することが可能となり、量産性が高くなる。
【0080】
充填材は、上沓と下沓との間に介挿される弾性体と同一材料で構成可能であり、これによれば、一種の材料にて充填材と弾性体とを形成することが可能となり、量産性が高くなる。
【0081】
上沓と、下沓とには、上沓と下沓を相対回転移動可能に係合する上揚抑制手段を設けることが出来る。この上揚抑制手段は、上沓と下沓とが乖離することを抑制する乖離抑制手段として機能するものであり、上沓及び下沓の一方側に設けられる係合部と、他方側に設けられる係合受部とで構成され、これら係合部と係合受部は凸部乃至凹部の延在方向に対して相対的に移動可能で且つ鉛直面内における回転を可能とするように構成されることが好ましい。そして、本実施形態の支承装置では、大径部を有する芯材と、上沓の下面側の開口端が当該大径部よりも小径に窄められた上述の貫通孔とによって、上揚抑制手段が構成されている。
【0082】
尚、上揚防止手段を設定する場合には、支承装置の鉛直面内における回転追従に伴う上沓と下沓との相対変位を阻害しないように、例えば係合部と係合受部との間と、上沓と下沓との間等の各部間が、相対回転中心を中心として1/150ラジアン相対回転しても互いが当接しない程度に所謂遊びを設定する構成とすることが好ましい。
【0083】
尚、本実施形態の支承装置においては、上沓に設けられた貫通孔の内部に上記充填材が存在しない空間を設定することが出来、この場合、この空間を空気や窒素ガスの如くの気体を封入して空隙とすることも可能である。又はこの空間に第二充填材として、上沓と下沓との間に介挿される弾性体及び充填材とは異種又は同種の弾性体を配設したり、或いは他の第二充填材を充填することも可能である。この空間に異種又は同種の弾性体を配設する場合には、それらの弾性体が互いに接着していなくても良い。
【0084】
尚、上沓と下沓の間に設定する上記空間は、一つだけであっても複数設定してもよく、
また一定の狭い範囲に設定したり、広範な領域に断続的に設定してもよいが、各空間を連
通路を以て一連とすることにより、第二充填材等の充填の容易性を向上させることが可能となる。
【0085】
第二充填材は、上述の空間、即ち充填空間の内部に適宜量充填されるものであり、その充填量は充填空間の容積よりも少量であっても、等量であっても、或いは多量であってもよく、少量の場合には、残存空隙分だけ圧縮或いは変形し得る余地が出来、支承装置の厚みを薄く設定出来、等量とした場合には、残存容積が無く元々の設計通りの支承装置の厚みを実現出来、また多量とした場合には、充填空間の容積が元々の設計値よりも増量して支承装置の厚みを厚く設定することが可能となり、第二充填材の充填量によって支承装置の厚み若しくは高さを調整し得るようにすることが出来る。
【0086】
第二充填材は、少なくとも充填時には流体であることが好ましい。勿論、充填後も流体であってもよい。充填時に流体である第二充填材のうち、例えば、充填時には流体であるが適宜時間が経過した後に固化するものを採用することも可能である。また、一つの空間内に充填される第二充填材の種類は、一種類であっても或いは複数種類であってもよい。例えば、二液硬化性の流体をそれぞれ適宜量充填して硬化させて適宜の弾性係数を発現するものとして一固体化させてもよく、勿論、予め二液を混合して置いてから充填することも出来る。また、第二充填材としては、流体の内部に固体や粒体を混入させて支承装置に対する外部入力の減衰性能を改善したり、気体を混入させてバネ定数や弾性を改質或いは調整するようにしてもよい。
【0087】
第二充填材は、気体、液体、ゲル状体から選択される一つ以上の流体から構成することが可能である。第二充填材の主成分として気体を採用する場合には、気体は圧縮率が大きいことから高荷重支持には不向きとなるが、比較的低荷重を支持する場合には例えば空気バネのような作用をさせることが可能であり、また加圧状態で充填してもよい。また、不連続気泡のように気泡を内包する流体を充填して置きながら硬化させて、発泡体の如くの第二充填材とすることも可能である。また例えば、第二充填材の主成分として液体やスラリー状乃至ゲル状の非硬化性の流体を採用した場合には、充填空間の変形に自在に対応しつつ、荷重を支持することが可能であり、また寒冷地等の低温下においても凍結しない不凍流体を選択することが可能である。
【0088】
第二充填材には、非圧縮性の流体を採用することが可能であり、第二充填材として非圧縮性の流体を採用した場合には、充填空間の変形に自在に対応しつつも高荷重を支持することが可能となる。
【0089】
また第二充填材には、高粘性の流体を採用することも可能であり、液体やスラリー状乃至ゲル状の非硬化性で高粘性の第二充填材を充填した場合、充填空間を囲繞する弾性体が変形した際には、当該空間内の高粘性の第二充填材が粘性抵抗によって変形エネルギーを減衰させる効果を期待出来る。勿論、非圧縮性を有し高粘性の流体を採用した場合には、非圧縮性流体を第二充填材として採用した場合に得られる効果と、高粘性流体を第二充填材として採用した場合に得られる効果と、両者の効果を得ることが可能となる。
【0090】
或いは、第二充填材には、上沓と下沓との間に介在させる弾性体と異種又は同種の弾性体を採用することが可能である。勿論、第二充填材が弾性体となるためには、充填時には流動性を示すものである必要がある。例えば、弾性体が熱可塑性を示すものであれば、これを第二充填材として使用する場合には、当該弾性体を適宜温度に加熱して流動可能な状態にしておきながら充填する。また例えば弾性体が、熱硬化性を示すものであれば、硬化前の流動可能な状態の時点で充填し、適宜の条件で硬化させる。
【0091】
第二充填材の充填は、予めの充填であってもよく、或いは製造後に充填してもよい。予め第二充填材を充填する場合には、第二充填材の充填は予めの設計通り、また手順通りに製造段階や出荷前に充填することになり、これによれば、製造上高効率化することが出来る。また、後から第二充填材を充填する場合には、第二充填材の充填は、出荷後、例えば施工現場において、施工空間の高さ等の大きさに合わせて調整しながら充填することも可能となり、これによれば、従来施工上における微調整が困難であった問題を解消することが出来る。
【実施例】
【0092】
本発明の支承装置の実施例について添付図面を参照しながら以下に説明する。先ず、本発明の支承装置の第一の実施例を図1を参照しながら説明する。
【0093】
図1に示す支承装置1は、例えば橋梁において、橋桁(図示省略)と橋脚(図示省略)或いは橋台(図示省略)との間に装着して水平荷重や鉛直荷重、回転荷重等の各種の荷重を支えると共に、地震や風、動的或いは静的交通荷重等による揺動や振動、応力を吸収、分散しつつ、支承する橋梁用支承装置である。尚、図1(a)は支承装置1の平面図である。また、図1(b)は、図1(a)のA−A’断面図である。
【0094】
支承装置1は、上沓2と下沓3を、弾性体、具体的にはゴム等から構成されるゴム層4を介して鉛直方向の相対変位を可能とするように嵌合させて構成されている。上沓2は、上部構造物として例えば橋桁を、二点鎖線で示す上部プレート6を介して上面に固定している。下沓3は、下部構造物として例えば橋脚を、二点鎖線で示す下部プレート7を介して下面に固定している。勿論、ここでいう上部プレートや下部プレートは、必須ではなく、上沓と上部プレートを一体的に構成したり、下沓と下部プレートを一体的に構成したりして、上沓や下沓にそれぞれに対応する構成を持たせてもよい。
【0095】
上沓2は、平面視において略長方形の板状部材から成り、上面に上部プレート6が固定されている。この上沓2には、特に図1(b)に示すように、表裏面に貫通する貫通孔2aが穿設されている。この貫通孔2aには、上沓2の下面側から芯材8が挿入され、当該芯材8の先端部が上沓の上面から突出することなく収容されている。つまり、貫通孔2aが有する両開口端のうち、上沓2の下面に位置する開口端2bには芯材が通過しており、上沓2の上面に位置する開口端2cには芯材8が通過していない。尚、芯材8については、後に詳説する。
【0096】
貫通孔2aの形状は、円柱形状とすることも出来るが、支承装置1において芯材8の先端部が芯材8の他の部位よりも大径の大径部8aとされているため、当該大径部8aが貫通孔2aから抜け出ることを抑止するべく、芯材8が通過する開口端2b(つまり上沓2の下面に位置する開口端2b)を窄ませた形状を採用している。このように上沓2の下面に位置する開口端2bを窄ませる形状を採用することにより、貫通孔2aは、見かけ上、小径の貫通孔を有する有底の溝形状となる。そして、当該溝の底部2dの上面は、平面とされている。尚、図2に示すように、当該溝の底部2dの上面を貫通孔2aの側面と滑らかに接続する湾曲面とすることも出来る。
【0097】
また、下沓3も略長方形の板部材であり、下面に下部プレート7が固定されている。この下沓3には、図1に示すように、平面視における中央部に芯材8が固定されている。尚、芯材8は、下端が下沓3に対して螺合されており、これによって、簡易な作業にて下沓3に対して強固に固定することが可能とされている。
【0098】
ゴム層4は、上沓2と下沓3との間に介挿されており、上沓2の貫通孔2aと同径であると共に芯材8が通過する貫通孔を有しており、当該貫通孔が上沓2の貫通孔2aと同軸になるように配設されている。
【0099】
尚、上沓2及び下沓3の材質は、適宜の公知の材質を採用することが出来、例えば公知の鋼板等の金属板、セラミックス、強化プラスチックを含むプラスチック等で形成することが出来る。同様に、ゴム層4も天然ゴム等の公知の素材を採用することが出来る。
【0100】
芯材8は、大径部8aとなる頭部を有する金属性のボルト部材から成り、先端部である大径部8aが上沓2の貫通孔2aの内部に収容可能な大きさに設定されている。この芯材8が、上沓2の開口端2bを通過して貫通孔2a内に至る構成にすることにより、上沓2と下沓3とが水平方向に相対移動しようとした際に、下沓3に固定された芯材8によって上沓2の移動が規制されるため、過剰に上沓2と下沓3とが水平方向において相対変位することを防止することが出来る。
【0101】
また、貫通孔2aが有する開口端であって上沓2の下面に位置する開口端2b(芯材8が通過する開口端2b)が窄んでいる形状を有している。このような構成を採用することにより、上沓2と下沓3とが離間しようとする際(即ち上沓2が下沓3に対して相対的に上揚しようとする際)に芯材8の大径部8aが、段付き形状となった貫通孔2aの底部2dに係止され、上沓2と下沓3とが離間することを抑制する。つまり、本実施例においては、芯材8及び貫通孔2aが上揚抑制機構10として機能する。
【0102】
尚、支承装置1においては、図1(b)に示すように、芯材8の長さL1と支承方向から見て当該芯材8が設置される領域における下沓3の厚みL2とを合計した距離が、支承方向から見て芯材8が設置される領域以外の領域における上沓2の厚みL3と下沓の厚みL4とを合計した距離と一致されている。これによって、支承装置1において相対的に剛性が高い部位の厚み(即ち剛性体の厚み)が均一化され、優れた鉛直荷重支持特性を発揮することが出来る。
【0103】
また、芯材8をボルト部材によって構成するのではなく、図3に示すように、芯材8を、先端部に雄ねじ部を有する軸体8bと、当該軸体8bに螺合するための雌ねじ部を有すると共に大径部となるナット体8cとによって構成することも可能である。
【0104】
そして、支承装置1は、芯材8の大径部8aが収容されている貫通孔2a内に充填配置される充填弾性体9を備えている。支承装置1において充填弾性体9は、貫通孔2a内部に隙間無く配置されており、これによって芯材8の先端部全体を被覆し、貫通孔2aの開口端であって芯材8が通過しない側の開口端2cを閉塞している。このように充填弾性体9が貫通孔2aの内部において芯材8の先端部の全体を被覆することによって、芯材8の先端部全体が充填弾性体9によって囲撓されるため、芯材8の先端部全体の発錆を抑制することが出来る。更に、充填弾性体9が貫通孔2aの開口端2cを閉塞している場合には、当該開口端2cから貫通孔2aの内部に水分等の芯材の劣化の原因となる物質が侵入することをより確実に防止することができ、芯材の発錆をより効率的に抑制することが可能となる。また、充填弾性体9が、貫通孔2a内部に隙間無く充填されているため、万が一貫通孔2a内部に上記物質が進入した場合であっても、その進行速度を低減し、芯材8に到達することを遅らせることが可能となる。
【0105】
また、充填弾性体9は、貫通孔2aから露出する領域が、上沓2の表面とほぼ面一となる平坦領域とされている。これによって、充填弾性体9が上沓2の表面と共に上部プレート6と接触することになり、荷重の受圧面積を増大させることが出来、更に、貫通孔2a内に充満された充填弾性体9はほぼ密閉状態となるため、密閉ゴム支承状態となり、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
【0106】
また、支承装置1では、図1(b)に示すように、芯材8の先端から芯材が通過しない側の開口端2cまでの離間距離L5がゴム層4の厚みL6と一致されている。これによって、充填弾性体9を含めると、支承方向における弾性体の厚みが均一化され、優れた鉛直荷重支持特性を発揮出来る。
【0107】
また、支承装置1では、充填弾性体9が、芯材8と貫通孔2aの内壁面との間の隙間を介してゴム層4と一体化され、当該ゴム層4と同一の材料によって形成されている。これによって、充填弾性体9とゴム層4とを同時に形成することが可能となり、且つ、一種の材料にて充填弾性体9とゴム層4とを形成することが可能となるため、支承装置1は、量産性に優れたものとなる。
【0108】
尚、本発明による支承装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。以下の変形例について図面を参照して
説明する。
【0109】
上記実施例においては、貫通孔2aに隙間無く充填弾性体9を配設する構成であったが、例えば、貫通孔2aの一部にのみ充填弾性体9を配設することも出来る。例えば、図4に示すように、芯材8の上部にのみ充填弾性体9を配設することも出来る。この場合には、充填弾性体9の使用量を削減しつつ、受圧面積を向上させることが可能となる。また、図5に示すように、芯材8の周囲にのみ充填弾性体9を配設することも出来る。この場合には、充填弾性体9の使用量を削減しつつ、芯材8の発錆を抑制することが出来る。
【0110】
また、図6に示すように、上沓2の下面を、その略中心から外方に向かって上沓2の厚みが薄くなる傾斜面としつつ、下沓3の上面を、その略中心から外方に向かって下沓3の厚みが薄くなる傾斜面とすることも出来る。上沓2と下沓3との間には、中心から半径方向外方に向かって離反する拡開した空間が作出されるため、中心から外方に向かってゴム層4を厚くすることが出来、ゴム層4は、外側程その撓み量が大きくなり、鉛直面内における回転性能を向上させることが可能となる。
【0111】
また、図7に示すように、上沓2の下面を、その略中心から外方に向かって上沓2の厚みが厚くなる傾斜面としつつ、下沓3の上面を、その略中心から外方に向かって下沓3の厚みが厚くなる傾斜面とすることも出来る。上沓2と下沓3との間には、中心から半径方向外方に向かって接近する縮閉した空間が作出されるため、中心から外方に向かってゴム層4を薄くすることが出来、ゴム層4の密閉性を高めることが可能となる。
【0112】
また、図8に示すように、積極的に貫通孔2aの内部に充填弾性体9を配置しない空間11を形成する構成を採用することも出来る。そして、この空間11を充填空間として、充填材を充填する構成を採用することも出来る。例えば、充填材として、加圧空気を充填する場合には、加圧空気の充填量によって充填弾性体9やゴム層4のバネ定数を調整出来る。
【0113】
尚、上述のように充填材としては、加圧空気に限られるものではなく、気体、液体、ゲル状体から選択される一つ以上の流体、非圧縮性の流体、高粘性の流体、ゴム層4と異種又は同種の弾性体を用いることができる他、エチレングリコール等の不凍性を有する流体を用いることも可能である。
【0114】
また、空間11内に空気等の気体や充填材等の流体を充填させる場合、空間11の両端を密閉状態に封止しておくことが好ましい。
【0115】
また、充填材は、支承装置1の組立前に充填しておいてもよく、組立後に充填してもよい。
【0116】
更に、図9に示すように、第一の実施例の支承装置1において、上沓2の上面にすべり板12を摺滑手段として固設することが可能であり、この場合、元々固定支承であった支承装置1を可動支承として利用することが可能となる。すべり板12は、例えばPTFE製とされる。
【0117】
また、図10に示すように、第一の実施例の支承装置1において、下沓3の下面にすべり板12を備える構成を採用することもできる。勿論、すべり板12の設定は第一の実施例の支承装置1に限らず、本発明の主旨を逸脱しない構成の支承装置に対して設定することが可能である。
【0118】
尚、上述の説明では、本発明の支承装置として橋梁用支承装置について説明したが、本発明は橋梁用支承装置に限定されることはなく、各種の構造物の制震、免震用の支承装置として採用することが出来る。
【0119】
また、支承装置を上下反転し、上沓2を下沓として、下沓3を上沓として用いることも可能である。
【0120】
また、ゴム層4の厚さは、必ずしも一定である必要はなく、例えば、上沓の下面、或いは下沓の上面に環状の凹部を形成して、弾性体を当該環状の凹部に充満させた設定とする
ことも出来る。
【符号の説明】
【0121】
1 支承装置、2 上沓、2a 貫通孔、2b,2c 開口端、2d 底部、3 下沓、4 ゴム層、8 芯材、8a 大径部、8b 軸体、8c ナット体、9 充填弾性体、10 上揚抑制機構、11 空間、12 すべり板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が穿設された第一剛性体と、当該第一剛性体と対向配置される第二剛性体と、前記第一剛性体と前記第二剛性体との間に配設される弾性体と、前記第二剛性体に固定されると共に前記弾性体を貫通して先端部が前記貫通孔内部に位置される芯材とを備える支承装置であって、
前記芯材の先端部に接触して前記貫通孔内部に充填配置される充填材を備えることを特徴とする支承装置。
【請求項2】
前記充填材は、一種類以上の、弾性乃至可撓性を有する固体、又は弾性乃至可撓性を有する固体によって封止された、気体、液体、ゲル状体、粉体、粒体から選択される一つ以上を含んで構成される流体であることを特徴とする請求項1記載の支承装置。
【請求項3】
前記充填材は、前記貫通孔内部において前記芯材の先端部の全体を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の支承装置。
【請求項4】
前記充填材は、前記貫通孔の開口端であって前記芯材が通過しない側の開口端を閉塞していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支承装置。
【請求項5】
前記充填材は、前記貫通孔の開口端であって前記芯材が通過しない側の開口端にて、前記第一剛性体の表面と面一となる平坦領域を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の支承装置。
【請求項6】
前記充填材は、前記貫通孔内部に隙間無く充満されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の支承装置。
【請求項7】
前記芯材の先端から前記芯材が通過しない側の開口端までの離間距離が前記弾性体の厚みと一致されていることを特徴とする請求項6に記載の支承装置。
【請求項8】
前記充填材は、前記弾性体と一体化されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の支承装置。
【請求項9】
前記充填材と前記弾性体とが同一材料から成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の支承装置。
【請求項10】
前記充填材と前記弾性体とが異種材料から成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の支承装置。
【請求項11】
前記芯材が通過する側の開口端が、前記芯材が通過しない側の前記貫通孔の開口端よりも窄み、前記芯材の先端部が前記貫通孔の前記芯材が通過する側の開口端よりも大径の大径部を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の支承装置。
【請求項12】
前記芯材は、前記大径部となる頭部を有するボルト部材から成ることを特徴とする請求項11に記載の支承装置。
【請求項13】
前記芯材は、先端部に雄ねじ部を有する軸体と、当該軸体に螺合するための雌ねじ部を有して前記大径部となるナット体とを備えることを特徴とする請求項11に記載の支承装置。
【請求項14】
前記芯材と前記第二剛性体とが螺合されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の支承装置。
【請求項15】
第一剛性体の第二剛性体と対向する面は、平面、曲面、傾斜面、凹凸面、粗面のいずれ
か、或いはこれらの組合せによって構成されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の支承装置。
【請求項16】
第二剛性体の第一剛性体と対向する面は、平面、曲面、傾斜面、凹凸面、粗面のいずれか、或いはこれらの組合せによって構成されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の支承装置。
【請求項17】
第一剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に増厚している部分を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の支承装置。
【請求項18】
第二剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に増厚している部分を有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の支承装置。
【請求項19】
第一剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に減厚している部分を有することを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の支承装置。
【請求項20】
第二剛性体は、中心から外方に向かって断続的乃至連続的に減厚している部分を有することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の支承装置。
【請求項21】
前記第一剛性体、前記第二剛性体及び前記芯材のいずれか或いは全てが金属、セラミックス、強化プラスチックを含む樹脂、或いはこれらの複合材料から成ることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の支承装置。
【請求項22】
前記第一剛性体又は前記第二剛性体の上面或いは下面に摺滑手段を設けることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の支承装置。
【請求項23】
前記第一剛性体が上部構造物に固定される上沓であり、前記第二剛性体が下部構造物に固定される下沓であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の支承装置。
【請求項24】
前記第二剛性体が上部構造物に固定される上沓であり、前記第一剛性体が下部構造物に固定される下沓であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の支承装置。
【請求項25】
前記上部構造物が橋桁であり、前記下部構造物が橋脚あるいは橋台であることを特徴とする請求項23又は24に記載の支承装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−77599(P2012−77599A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72125(P2011−72125)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【分割の表示】特願2010−221481(P2010−221481)の分割
【原出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(510202167)Next Innovation合同会社 (30)
【Fターム(参考)】