説明

支持基材付きICカード

【課題】バリによる装着性の影響を低減することができる支持基材付きICカード、および、支持基材から取り出されたカードを提供する。
【解決手段】支持基材付きICカード10は、カード状の支持基材12と、支持基材内に支持基材の一部によって形成された第1カード14と、第1カード内に設けられ、第1カードの表面に露出する外部端子C1〜C8を有するICモジュール16と、第1カードの外周に沿って支持基材に貫通形成されたスリット32と、スリット内に設けられ、支持基材と第1カードとを連結したブリッジ部34と、を備えている。ブリッジ部34は、外部端子に接触する接触端子の移動経路上に設けられ、スリット32は、移動経路から外れて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、カード状の支持基材と、この支持基材内に、支持基材から取外し可能に支持された小型のカードと、を備えた支持基材付きICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、接触式あるいは無線式の種々のICカードが広く利用されている。例えば、接触式ICカードとして、ISOまたはJISで規定するID−1型の札入れサイズのICカードと、これより一回り小さく携帯端末やその他の機器に差し込んで使用するUIM(Universal/User Identity Module)カードまたはSIM(Subscriber Identity Module)カードと呼ばれるID−000型のカードが提供されている。ICカードは、その外形寸法の公称値として長さ85.60mm、幅53.98mm、厚さ0.76mmにて構成される。UIMカードは、その外形寸法の公称値として幅25mm、高さ15mm、厚さ0.76mmに構成される。
【0003】
また、欧州通信規格協会発行のETSI TS 102 221 V9.1.0によるとMini−UICCカードが記載され、Mini−UICCカードは、その外形寸法の公称値として長さ15mm、幅12mm、厚さ0.76mmに構成される。
【0004】
ICカードは、上記外径寸法を有するカード基材と、このカード基材に埋め込まれたICモジュールと、を有している。ICモジュールは、基板と、基板上に形成された複数の外部端子と、基板の裏面側に実装されているとともに外部端子に電気的に接続されたICと、を有している。そして、このICモジュールは、複数の外部端子がカード基材の表面と同一面に位置した状態で、カード基材に埋め込み固定されている。
【0005】
通常、UIMカードは、ICカード内に構成され、使用時には、ICカード内から取り出すように構成されている。同様に、Mini−UICCカードは、ICカード内、あるいは、UIMカード内に構成され、使用時には、ICカード内から、あるいは、UIMカード内から取り出すように構成されている。
【0006】
UIMカードまたはMini−UICCカードは、ID−1型のICカードのカード基材内に、UIMまたはMini−UICCカード外形に対応する周縁スリット(溝)等を設け、折り取り可能なブリッジ部あるいは接続部を残すか、両面ハーフカット方式により、カード基材に取り外し可能に支持された状態で、形成される。そして、UIMまたはMini−UICCカードは、使用前に、ブリッジ部あるいは接続部から切り離して、カーぢ基材から取り外される。
【0007】
このような形態とすることにより、UIMまたはMini−UICCカードは、ID−1型のICカードの製造工程を流用して製造され、また、機器に挿入して使用する前に行う発行処理も、ICカード用の発行処理機を使用することができ、製造コスト、機器コストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−326381号公報
【特許文献2】特開2005−267144号公報
【特許文献3】特開2001−35375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように構成されたUIMカードあるいはMini−UICCカードは、電子機器の専用のコネクタあるいはカードリーダのカードスロットに挿入され、コネクタあるいはカードスロットに設けられた導電性の接触端子をICモジュールの外部端子に接触させることにより、電子機器と通信される。
【0010】
ICカードにUIMカードあるいはMini−UICCカードを構成した場合、これらをカード基材から取り外すことなく、ICカードの状態のままコネクタあるいはカードスロットに挿抜するような使用も行われている。しかしながら、この場合、ICカードの挿抜の際、コネクタに設けられた接触端子が、ICカードにおいてUIMカードあるいはMini−UICCカードカードの周囲に形成されたスリットに引っ掛かり、接触端子を損傷してしまうことがある。
【0011】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、支持基材内に小型のカードを構成した場合でも、読み取り側の接触端子を破損してしまうことない支持基材付きICカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、支持基材付きICカードは、カード状の支持基材12と、支持基材内に支持基材の一部によって形成された第1カード14と、第1カード内に設けられ、第1カードの表面に露出する外部端子C1〜C8を有するICモジュール16と、第1カードの外周に沿って支持基材に貫通形成されたスリット32と、スリット内に設けられ、支持基材と第1カードとを連結したブリッジ部34と、を備えている。ブリッジ部34は、外部端子に接触する接触端子の移動経路上に設けられ、スリット32は、移動経路から外れて設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る支持基材付きICカードを示す平面図。
【図2】図2は、前記支持基材付きICカードのUIMカード部分を拡大して示す平面図。
【図3】図3は、図2の線A−Aに沿ったカードの断面図。
【図4】図4は、前記支持基材付きICカードに対するコネクタの接触端子の移動経路を概略的に示す平面図。
【図5】図5は、前記支持基材付きICカードの外部端子に前記コネクタの接触端子が接触した状態を示すカードおよびコネクタの断面図。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る支持基材付きICカードを示す平面図。
【図7】図7は、前記支持基材付きICカードのUIMカードおよびMini−UICCカード部分を拡大して示す平面図。
【図8】図8は、図7の線E−Eに沿ったカードの断面図。
【図9】図9は、第3の実施形態に係る支持基材付きICカードのUIMカードおよびMini−UICCカード部分を拡大して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、種々の実施形態に係る支持基材付きICカードについて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2に示すように、第1の実施形態に係る支持基材付きICカード10は、カード状の支持基材12と、支持基材12内に支持基材の一部によって形成された第1カード14と、を備えている。支持基材12は、一対の長辺および一対の短辺を有する矩形板状に形成され、例えば、ISO/IEC7810−1で規定されるID−1の大きさ(長さL1:53.98mm、幅W1:85.60mm、厚さT:0.76mm)のICカードとして形成されている。支持基材12は、例えば、PVC、PET−G、ABS等により形成されている。
【0015】
第1カード14は、一対の長辺および一対の短辺を有するほぼ矩形状を有し、ISO/IEC7810−1で規定されるID−000の大きさ(長さL2:25.0mm、幅W2:15.0mm、厚さT0.76mm)のカードとして形成され、例えば、UIMカード(USIMカード、SIMカードとも呼ばれている)として形成されている。第1カード14の所定位置には、ICモジュール16が埋め込まれている。
【0016】
図2および図3に示すように、ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板20と、この基板20の上面上に形成されISO/IEC7816にて規定される接触通信用の8つの外部端子C1〜C8と、基板20の裏面に実装されたカード制御用のIC22と、を備えている。IC22は、接触通信インターフェースを有し、金線等の結線24により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。IC22および結線24を外圧から保護するように、これらIC22および結線24の周囲は樹脂等の封止材26により封止されている。
【0017】
第1カード14内において、支持基材12には、ICモジュール16が装着される段付きの凹所30が形成され、支持基材12の上面に開口している。凹所30は、矩形状の大径凹所30aと、大径凹所の中心部に、この大径凹所30aよりも深く形成された矩形状の小径凹所30bとを有し、矩形状の2段凹所に形成されている。
【0018】
ICモジュール16は、支持基材12の凹所30に埋め込まれ、接着材等により支持基材12に加熱圧着される。大径凹所30aは、ICモジュール16の基板20に対応した大きさおよび形状に形成され、ICモジュール16の基板20および外部端子が、大径凹所30a内に収容されている。基板20は、裏面の周縁部が接着材により大径凹所30aの底に接着される。小径凹所30bは、ICモジュール16の封止部分に対応した大きさおよび深さに形成され、この小径凹所30bに封止部分が収容されている。
【0019】
ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、支持基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。外部端子C1〜C8は、例えば、第1カード14の幅方向に2列に並んで配置され、その内、外部端子C5は、2列の列間に延出している。
【0020】
図1および図2に示すように、支持基材12には、第1カード14の外周に沿って延びるスリット(抜き孔)32が支持基材を貫通して形成されている。スリット32は、一定の幅に形成されている。第1カード14は、それぞれスリット32を横切って延びた複数箇所のブリッジ部(接続部)34により支持基材12に連結されている。ブリッジ部34は、例えば、第1カード14の2つの短辺と支持基材12とを接続している。ブリッジ部34については後で詳細に説明する。
【0021】
図1ないし図3に示すように、第1カード14を支持基材12から切取り易くするために、各ブリッジ部34と第1カード14周縁との境界に、ハーフカット40が施されている。ハーフカット40は、例えば、支持基材12の表面側および裏面側の両方から形成されている。なお、ハーフカット40は、支持基材12の片面側からのみ切込みを入れることにより形成してもよい。本実施形態において、後述する第1カード14の挿入方向側端に位置する短辺においては、ハーフカット40は、支持基材12の裏面側のみ、すなわち、外部端子C1〜C8が露出している表面と反対側の表面に形成されている。このような切取り容易化加工部は、ハーフカットに限らず、ミシン目、浅い溝等によって構成してもよい。
【0022】
支持基材付きICカード10は、例えば、打ち抜き型によって支持基材12にスリット32を打ち抜くことにより、第1カード14およびブリッジ部34が一体に形成され、また、同一の打ち抜き型あるいは他の型により切込みが入れられ、ハーフカット40が形成されている。
【0023】
上記のように構成された支持基材付きICカード10から第1カード14を取り外して使用する場合、支持基材12に対して第1カード14を押し込み、ハーフカット40に沿って第1カード14をブリッジ部34から切り離す。これにより、第1カード14が支持基材12から切り離され、第1カード14単体として使用可能となる。
【0024】
一方、上記のように構成された支持基材付きICカード10は、第1カード14を取り外す前の形状、すなわち、UIM搭載ICカード10の状態で、電子機器のカードスロット、コネクタ等に挿入される場合がある。図4は、JIS X6303:2000に提示されるICカードに対するコネクタ42の接触端子44の位置および移動経路を示している。JIS X6303:2000に示される位置で作られたICカード10は、同じくJIS X6303:2000に示される位置で作られたコネクタ42に対応可能となる。
【0025】
UIM搭載ICカード10をコネクタ42に挿入する場合、通常、図4に示す矢印Bの方向、つまり、ICカード10の長手方向に沿って、ICモジュール16が設けられている端部側から挿入および引き出しされる。稀に、ICカード10の挿入方向は、図4に示すように、ICカード10の幅方向であるD方向、E方向、あるいは、B方向と逆のC方向となるが、いずれの場合も水平、垂直方向からとなる。
【0026】
矢印B方向に挿入、取り出しする場合、UIM搭載ICカード10に対して、接触端子44は、ICカードの長辺と平行な移動経路46a、46b、46c、46dをたどることになる。図5に示すように、コネクタ42の接触端子44は、移動経路46a、46b、46c、46dに沿って、支持基材12の表面上を摺動し、ICモジュール16の外部端子C1〜C8に接触する。これにより、第1カード14と電子機器との間で通信が可能となる。
【0027】
上記のような接触端子44の移動経路上に、第1カード14を規定するスリット32が存在していると、接触端子44の移動中に、特に、ICカード10を引き出す際に、接触端子44がスリット32に引っ掛かり、損傷する可能性がある。そこで、本実施形態によれば、図1および図2に示すように、第1カード14の挿入方向B側に位置する短辺部において、第1カード14と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部34が、それぞれ接触端子44の移動経路46a〜46d上に設けられている。スリット(抜き孔)32は、移動経路46a〜46dから外れて、各ブリッジ部34の両側に形成されている。これにより、支持基材12の表面において、接触端子44の移動経路46a〜46dとなる部分は、スリットがなく平坦な連続表面となっている。なお、第1カード14の挿入方向B側に位置する短辺部において、ハーフカット40は、支持基材12の裏面側から形成され、接触端子44が摺動する支持基材12上面には露出していないため、接触端子44の移動の妨げとなることはない。
【0028】
以上のように構成された支持基材付きICカード10によれば、第1カード14を取り外す前の形状、すなわち、UIM搭載ICカード10の状態で、電子機器等に装填する場合でも、読み取り側の接触端子44の移動経路上にスリットが存在せず、接触端子が円滑に移動することができるとともに、接触端子の損傷を確実に防止することができる。これにより、読み取り側の接触端子を破損してしまうことない信頼性の向上した支持基材付きICカードが得られる。
【0029】
次に、他の実施形態に係る支持基材付きICカードについて説明する。後述する他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
(第2の実施形態)
図6、図7、図8は、第2の実施形態に係る支持基板付きICカード10をそれぞれ示している。第2の実施形態では、支持基材付きICカード10は、カード状の支持基材12と、支持基材12内に支持基材の一部によって形成された第1カード14と、第1カード14内に形成された第2カード50と、を備えている。支持基材12は、矩形板状に形成され、例えば、ISO/IEC7810−1で規定されるID−1の大きさ(長さL1:53.98mm、幅W1:85.60mm、厚さT:0.76mm)のICカードとして形成されている。支持基材12は、例えば、PVC、PET−G、ABS等により形成されている。
【0031】
第1カード14は、一対の長辺および一対の短辺を有するほぼ矩形状を有し、ISO/IEC7810−1で規定されるID−000の大きさ(長さL2:25.0mm、幅W2:15.0mm、厚さT0.76mm)のカードとして形成され、例えば、UIMカード(USIMカード、SIMカードとも呼ばれている)として形成されている。
【0032】
第2カード50は、一対の長辺および一対の短辺を有するほぼ矩形状を有し、欧州通信規格協会発行のETSI TS 102 221 V9.1.0により規定される大きさ(長さL3:15mm、幅W3:12mm、厚さT0.76mm)のカード、例えば、Mini−UICCカードとして形成されている。第1カード14および第2カード50の所定位置には、ICモジュール16が埋め込まれている。このICモジュール16は前述した第1の実施形態のICモジュールと同様の構成を有している。
【0033】
図1および図2に示すように、支持基材12には、ICモジュール16の周囲で、第2カード50の外周に沿って延びるスリット(抜き孔)(第2スリット)52が支持基材12を貫通して形成されている。スリット52は、一定の幅に形成されている。第2カード50は、それぞれスリット52を横切って延びた複数箇所のブリッジ部(接続部)54により支持基材12に連結されている。ブリッジ部54は、例えば、第2カード50の2つの短辺と支持基材12とを接続している。
【0034】
図6ないし図8に示すように、第2カード50の挿入方向B側に位置する短辺部において、第2カード50の短辺と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部54は、それぞれ読取り側のコネクタの接触端子44(図4参照)の移動経路46a〜46d上に設けられている。この短辺側において、スリット(抜き孔)52は、移動経路46a〜46dから外れて、各ブリッジ部54の両側に形成されている。これにより、支持基材12の表面において、接触端子44の移動経路46a〜46dとなる部分は、スリットがなく平坦な連続表面となっている。
【0035】
第1カード50を支持基材12から切取り易くするために、各ブリッジ部54と第2カード50周縁との境界に、ハーフカット40が施されている。ハーフカット40は、例えば、支持基材12の表面側および裏面側の両方から形成されている。なお、ハーフカット40は、支持基材12の片面側からのみ切込みを入れることにより形成してもよい。本実施形態において、第2カード50の挿入方向側端に位置する短辺においては、ハーフカット40は、支持基材12の裏面側のみに形成されている。このような切取り容易化加工部は、ハーフカットに限らず、ミシン目、浅い溝等によって構成してもよい。
【0036】
支持基材付きICカード10は、例えば、打ち抜き型によって支持基材12にスリット32、52を打ち抜くことにより、第1カード14およびブリッジ部34が一体に形成され、また、同一の打ち抜き型あるいは他の型により切込みが入れられ、ハーフカット40が形成されている。
【0037】
上記のように構成された支持基材付きICカード10から第1カード14を取り外して使用する場合、支持基材12に対して第1カード14を押し込み、ハーフカット40に沿って第1カード14をブリッジ部34から切り離す。これにより、第1カード14が支持基材12から切り離され、第1カード14単体として使用可能となる。あるいは、第2カード50を取り外して使用する場合、支持基材12あるいは第1カード14に対して第2カード50を押し込み、ハーフカット40に沿って第2カード50をブリッジ部54から切り離す。これにより、第2カード50が支持基材12から切り離され、第2カード50単体として使用可能となる。
【0038】
以上のように構成された支持基材付きICカード10によれば、第1カード14および第2カード50を取り外す前の形状、すなわち、UIMおよびMini−UICC搭載ICカード10の状態で、あるいは、第1カード14を取り外し、第2カード50を取り外す前の状態、すなわち、Mini−UICC搭載UIMカード14の状態で、電子機器等に装填する場合でも、読み取り側の接触端子44の移動経路上にスリットが存在せず、接触端子が円滑に移動することができるとともに、接触端子の損傷を確実に防止することができる。これにより、読み取り側の接触端子を破損してしまうことない信頼性の向上した支持基材付きICカードが得られる。
【0039】
なお、第2の実施形態において、支持基材12に第1カード14および第2カード50の両方を形成する構成としたが、第1カード14を省略し、第2カード50のみを形成する構成としてもよい。
【0040】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る支持基板付きICカード10を示している。第3の実施形態では、支持基材付きICカード10は、第2の実施例と同様に、第1カード14および第2カード50を有し、また、図4に示したB、C、D、Eの4方向への挿入、引き出しに対応して構成されている。
【0041】
第1カード14の挿入方向C側に位置する短辺部において、第1カード14の短辺と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部34は、それぞれ読取り側のコネクタの接触端子44(図4参照)の移動経路上に設けられている。この短辺側において、スリット(抜き孔)32は、移動経路から外れて、各ブリッジ部34の両側に形成されている。
【0042】
第1カード14の挿入方向DおよびE側に位置する両長辺部において、第1カード14の長辺と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部34が設けられ、これらのブリッジ部34は、それぞれ読取り側のコネクタの接触端子44(図4参照)の移動経路上に設けられている。この長辺側において、スリット(抜き孔)32は、移動経路から外れて、各ブリッジ部34の両側に形成されている。
【0043】
同様に、第2カード50の挿入方向C側に位置する短辺部において、第2カード50の短辺と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部54が設けられ、これらのブリッジ部54は、それぞれ読取り側のコネクタの接触端子44(図4参照)の移動経路上に設けられている。この短辺側において、スリット(抜き孔)(第2スリット)52は、移動経路から外れて、各ブリッジ部54の両側に形成されている。
【0044】
第2カード50の挿入方向DおよびE側に位置する両長辺部において、第2カード50の長辺と支持基材12とを接続する複数のブリッジ部54が設けられ、これらのブリッジ部54は、それぞれ読取り側のコネクタの接触端子44(図4参照)の移動経路上に設けられている。この長辺側において、スリット(抜き孔)52は、接触端子44の移動経路から外れて、各ブリッジ部54の両側に形成されている。
第3の実施形態において、他の構成は、前述した第2の実施形態と同一である。
【0045】
以上のように構成された支持基材付きICカード10によれば、第1カード14および第2カード50を取り外す前の形状、すなわち、UIMおよびMini−UICC搭載ICカード10の状態で、あるいは、第1カード14を取り外し、第2カード50を取り外す前の状態、すなわち、Mini−UICC搭載UIMカード14の状態で、電子機器等に装填する場合、4方向のいずれにおいても、読み取り側の接触端子44の移動経路上にスリットが存在せず、接触端子が円滑に移動することができるとともに、接触端子の損傷を確実に防止することができる。これにより、読み取り側の接触端子を破損してしまうことない信頼性の向上した支持基材付きICカードが得られる。
【0046】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0047】
支持基材およびカードのサイズは、それぞれID−1、ID−000の大きさいに限定されるものではなく、カードよりも支持基材の方が大きなサイズに形成されていればよい。例えば、支持基材をUIMカードのサイズとして、この支持基材にMini−UICCカードのサイズの第1カードを形成する構成としてもよい。支持基材とカードとを接続するブリッジ部は、4つに限らず、1つ、2つ、3つ、あるいは4つ以上としてもよい。いずれも場合もブリッジ部は、接触端子の移動経路上に設けられる。
【符号の説明】
【0048】
10…支持基材付きICカード、12…支持基材、14…第1カード、
16…ICモジュール、C1〜C8…外部端子、22…IC、32…スリット、
34、54…ブリッジ部、40…ハーフカット、50…第2カード、
52…スリット(第2スリット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状の支持基材と、
前記支持基材内に前記支持基材の一部によって形成された第1カードと、
前記第1カード内に設けられ、前記第1カードの表面に露出する外部端子を有するICモジュールと、
前記第1カードの外周に沿って前記支持基材に貫通形成されたスリットと、
前記スリット内に設けられ、前記支持基材と第1カードとを連結したブリッジ部と、を備え、前記ブリッジ部は、前記外部端子に接触する接触端子の移動経路上に設けられ、前記スリットは、前記移動経路から外れて設けられている支持基材付きICカード。
【請求項2】
前記第1カードは、一対の長辺および一対の短辺を有し、
前記ICモジュールは、前記第1カードの表面上で前記短辺に沿って並んだ複数の外部端子を有し、
前記支持基材は、前記第1カードの短辺と前記支持基材とを連結するとともに、それぞれ前記複数の外部端子に対応する接触端子の移動経路上に設けられた複数のブリッジ部を有している請求項1に記載の支持基材付きICカード。
【請求項3】
前記第1カード内に前記支持基材により形成された第2カードと、前記第2カードの外周に沿って前記支持基材に貫通形成された第2スリットと、前記第2スリット内に設けられ、前記支持基材と第2カードとを連結したブリッジ部と、を備え、
前記ICモジュールは、前記第2カード内に設けられ、前記ブリッジ部は、前記外部端子に接触する接触端子の移動経路上に設けられ、前記第2スリットは、前記移動経路から外れて設けられている請求項1又は2に記載の支持基材付きICカード。
【請求項4】
前記第2カードは、一対の長辺および一対の短辺を有し、
前記ICモジュールは、前記第2カードの表面上で前記短辺に沿って並んだ複数の外部端子を有し、
前記支持基材は、前記第2カードの短辺と前記支持基材とを連結するとともに、それぞれ前記複数の外部端子に対応する接触端子の移動経路上に設けられた複数のブリッジ部を有している請求項3に記載の支持基材付きICカード。
【請求項5】
前記支持基材は、前記移動経路上に位置する前記ブリッジ部と前記第1カードの短辺との境界に形成された切欠きを有し、この切欠きは、前記支持基材の前記外部端子が露出している表面と反対側の表面に設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の支持基材付きICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−198677(P2012−198677A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61555(P2011−61555)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】