支持部材を有する保護スリーブ組立品およびその構成方法
細長い部材を保護するための細長いスリーブ組立品およびその構成方法は、細長い部材を受け入れるためにスリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティを設ける内表面を有する壁部を有する繊維スリーブを有する。弾性を有する支持部材は壁部と連係して配置される。支持部材は横方向断面において弓形であり、壁部の内表面と当接する軸から外方に向く凸状の外側表面と、軸に向かって内方に向く凹状の内側表面とを有する。支持部材は、内表面の全周よりも短い長さで延在する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2006年12月7日に出願された米国仮出願番号60/868,961の利益を要求し、ここに全てが参照により引用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、概して細長い物品を受入れて保護する繊維スリーブおよびその構成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.発明の背景
保護スリーブは、たとえば配線のまとめ取付けや光ファイバケーブルのような細長い物品を結合して保護するために、工業、自動車産業、海洋産業、航空宇宙産業の至るところで使用されている。スリーブは、細長い物品を取り囲み、切断、磨耗、放熱、振動による擦り切れ、他の厳しい周囲からの脅威に対しそれらを保護する。保護スリーブ内に配置されると、配線やケーブルは、形の整った束内で共に保持され、サブアセンブリとして取り扱われる異種物品としての多様性を許容し、それらの最終的な環境への物品の一体化の際の時間と労力を減じる。
【0004】
幾つかの適用例において、使用中であって保護される細長い物品は、たとえば電気的に駆動される摺動扉への適用や、車輌のトランクの蓋もしくはカバー、またはプリンターへの適用のように、それらが取付けられる物品に沿って移動する必要がある。したがって、保護スリーブは、細長い物品を保護する必要があるというのみならず、細長い物品が捩れたり、弛んだり、伸びたり、それ以外に損傷するということがないように、望ましくは自由に動くことができるようにされる必要がある。制限された範囲の動作を与えながら細長い部材を保護する既知の保護スリーブは、波形の管と連結された管部分とを含み、時にはキャタピラー型の管と呼ばれる。これらの物品は有用であるが、これらは概して複雑な製造プロセスやこれらを構成するために要求される材料のために高コストとなり、また大きく、比較的重く、細長い物品の動作の自由度を過度に制限し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
細長い部材を保護するための細長いスリーブは、細長い部材を受入れるためにスリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティを設ける内表面を有する壁部を備えた繊維スリーブを有する。弾性を有する支持部材が、壁部と連係して配置される。支持部材は、横断面においてアーチ形の形状を有し、壁部の内表面と係合するため上記軸から外方に向く外側凸状表面と、軸に向かって内方に向く内側凹状表面とを有する。支持部材は、内表面の全周よりも短い長さで延在する。
【0006】
本発明の他の局面は、細長い部材を保護するための細長いスリーブ組立品を構成するための方法を提供する。その方法は、細長い部材を受入れるためにスリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティを設ける内表面を備える壁部を有するスリーブを形成することを含む。この方法は、さらに壁部と連係して弾性を有する支持部材を配置することを含み、支持部材はキャビティ内に直接配置されるか、スリーブの壁部内に織り合わされる。支持部材は、横断面においてアーチ形の形状を有し、上記軸から外方に向くように配置された
外側凸状表面と、軸に向かって内方に向くように配置された内側凹状表面とを有し、支持部材は、スリーブの内表面の全周よりも短い長さで延在する。
【0007】
本発明のさらに他の局面は、連続した管状の閉じた壁部を有するか、あるいはスリーブの長さに沿って延び、対向する自由端を備え、開いた壁部を有するスリーブを形成することを含む。開いた壁部を有するスリーブを形成した場合、スリーブは熱処理され湾曲形状となるか、覆われ固定されて湾曲形状となるか、スリーブを形成する糸により自ずと湾曲形状となるようにバイアスをかけられ得る。スリーブの壁部が管状の閉じた壁部として構成されるか、開いた壁部として構成されるかにかかわらず、支持部材は、結合されたサブアセンブリを提供するように壁部内に織り合わされ得る。
【0008】
支持部材は、内部の細長い部材へのダメージを防止するように、バイアスをかけられた位置でスリーブを維持しながら、きちんと整理された筐体におけるスリーブ内で細長い部材を維持するのを促進する。支持部材の弾性は、スリーブが弛むのを防止し、また使用中にスリーブの形状が変化しても、細長い部材が、捩れたり、伸びたり、それ以外に損傷することを防止する。
【0009】
本発明のこれらおよび他の局面、特徴、効果は、後述する現状の好ましい実施の形態およびベストモード、添付のクレームおよび図面の記載と関連付けて考慮することでより明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの現状の好ましい実施の形態による保護スリーブ組立品の側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿うスリーブ組立品の断面模式図である。
【図3】U形状位置で示される図1の保護スリーブ組立品の部分斜視図である。
【図4】被覆されていない状態で示される現状の他の好ましい実施の形態により構成された保護スリーブ組立品の平面模式図である。
【図5A】図4のスリーブ組立品の編みパターンの一部を示す編み図である。
【図5B】図4のスリーブ組立品の編みパターンの残りの部分を示す編み図である。
【図6】部分的に被覆された状態で示される図4の保護スリーブ組立品を示す概略斜視図である。
【図7】現状のさらに他の好ましい実施の形態により構成された保護スリーブ組立品の概略斜視図である。
【図8】現状のさらに他の好ましい実施の形態により構成されたスリーブ組立品の部分斜視図である。
【図9】図8の9−9線に沿うスリーブ組立品の断面模式図である。
【図10】部分的な構成状態のスリーブ組立品を示す図8のスリーブの断面模式図である。
【図11】異なる部分的な構成状態のスリーブ組立品を示す図10に類似の断面模式図である。
【図12】本発明により構成された保護スリーブ組立品を収容し分配するための収納容器を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
現状の好ましい実施の形態の詳細な説明
より詳細に図面を参照すると、図1〜3は、現状の好ましい1つの実施の形態により構成された保護スリーブ組立品10を示す。保護スリーブ組立品10は、スリーブ12と、板状あるいは弾性を有する支持部材14とを有する。スリーブ12は、織物で構成され、ここでは例示の目的で、閉じており周方向に連続した管状の壁部16として表される。壁
部16は、たとえば個々の配線や組配線のような細長い部材20を受入れるのに適した大きさの内部キャビティ18を少なくとも一部に設ける。支持部材14は、壁部16と近接し、一部にキャビティ18を設け、ここでは長手方向の中心軸19から径方向外方に離れてキャビティ18内に概ね受入れられ、壁部16とほぼ接触するものとして示されている。支持部材14は、特に使用中にスリーブ12を曲げたり他の操作をする間に、スリーブ12を支持し、スリーブ12および細長い部材20の動作を容易にする。スリーブ組立品10が使用中に曲げられたりそれ以外に移動されたり操作される場合でも、支持部材14は、細長い部材20が弛んだり、捩れたり、伸びたり、それ以外に損傷するのを阻止する。したがって、保護スリーブ組立品10は、例示の目的であって限定するものではないが摺動扉や車輌のトランクの蓋や車輌のボンネット等に適用した際に、保護スリーブ組立品10や細長い部材20の少なくとも一部が曲げられたり撓んだりした場合に、特に有用である。
【0012】
スリーブ12は、例示の目的であって限定するものではないが、様々な織り合わせ形状となるように、機織法、編組、編成、釣針編のように考えられ得る織物を構成可能な全ての適切な方法で形成される。図1〜3に示されるスリーブは、選択された繊維糸を互いに編組することで構成され、糸は用途によって適切な材料あるいは材料の組合せから選択される。したがって、スリーブ12は、要求される動作特性によって選択された、モノフィラメントおよび/またはモノフィラメント糸で構成可能である。たとえば、糸は、熱設定可能なもの、高温耐性のあるもの、難燃性のもの、騒音緩和性のもの、化学的耐性のあるもの、導電性のあるもの、その他のものであり得る。
【0013】
図2に最も良く示されるように、支持部材14は、両端部22,24間で延在する端部23,25を有する壁本体21を有する。スリーブ12を構成する際に、支持部材14は、好ましくはキャビティ18を通して、端部23,25がスリーブ12の中心軸19と実質的に平行となり、長手方向の両端部22,24がスリーブ12の両端部から露出するようにスリーブ12に挿入される。壁本体21は、横断面においてアーチ形状を有しており、凸状の外側表面26と、凹状の内側表面28とを有する。支持部材14の壁本体21は、スリーブ12の壁部16の全内周の長さよりも短い長さだけ延在するように構成され、より好ましくは、たとえば壁部16の内周の約10度〜135度の角度範囲にわたって延在する。スリーブ12内に受入れられる際に、凸状の外側表面26は、この外側表面26と壁部16の間に実質的にスペースが存在せず、実質的に全表面にわたって壁部16がスリーブ12と面接触しているかのように壁部16に沿う。他方、凹状の内側表面28は、少なくとも一部において、キャビティ18を設けるようにスリーブ12の中心軸19から径方向外方に離れたままであり、したがって、支持部材14は、キャビティ18を通して配線あるいは組配線20を通過させる際の障害とならない。支持部材14は、例示の目的であって限定するものではないが、強化ポリマーや熱設定可能な材料を含む、金属および/またはポリマー並びにそれらの複合物のような、適切な弾性材料で構成可能である。ここで示される具体例は、ケブラー/ガラス繊維(glass/Kevlar(登録商標))強化プラスチックである。
【0014】
図3に示すように、使用時に、保護スリーブ10は、概ねU形状に配置される。スリーブ12および/または支持部材14の一方の端部は、固定部材のような部材に取付られ、スリーブ12および/または支持部材14の他方の端部は、電気的に駆動される摺動ドアのような可動部材等の別部材に取付られ、たとえばそれらの間に弓形で概ねU形状の中央部29が形成される。摺動ドアが動いて形を変えるにつれて、保護スリーブ組立品10の対応する端部はドアと共に移動し、それにより保護スリーブ組立品10は変形する。ここで、概ね弧状の中央部分は、弾性を有する支持部材14のために、それが変形した際においても弧状半径を維持する。弾性を有する支持部材14は、スリーブ12、つまりスリーブ12内の長手部材20を、それらが移動する際に整った配置のままで維持し、またワイ
ヤ20に対する妨害や衝突を回避するように、スリーブ壁16の内表面と近接した状態とする。さらに、支持部材14の弾力性および横方向の湾曲形状のため、スリーブ12および長手の支持部材14は、前後に移動しながら所定の概ね一定の反復可能な経路に従うこととなる。このようにして保護スリーブ組立品10は、それが使用時に損傷しないような最良の向きに方向付けられる。
【0015】
図4および図6に、本発明の他の実施の形態による保護スリーブ組立品110が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために100を付加した参照番号が使用されている。保護スリーブ組立品は、スリーブ112と、支持部材114を有する。スリーブ112は、両縁部を有し、これ以降、自由端40、42として参照され、長手方向の軸41(いわゆる”巻きたばこ”の包装)に平行に延びる。自由端40、42には、該自由端が巻かれず互いに間隔をあけて開いた位置となるように、スリーブ112の付勢力に打ち勝つのに十分な力を与えることで開かれる、解放された継ぎ目を設ける。自由端40、42が巻かれない位置にある時に、長手の部品がキャビティ118内に配置され、あるいはそこから除去される。長手の部品を挿入あるいは取り外す際には自由端40、42を互いに引き離す力が解放され、自由端は、キャビティ118を取り囲むように、自ら湾曲した付勢位置に戻る。
【0016】
実施の形態1のように、スリーブ112は、ここで示されるように、縦横方向のいずれかに適切なモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント糸を用いた横糸挿入縦糸編み(weft−insertion warp knitting)プロセスによって構成された、網状、織物、クローシェ編物、編物のいずれであってもよい。支持部材114は、上述の場合と同様にして構成され、同様の機能を発揮する。したがって、これ以降個別に詳細には説明しない。
【0017】
横糸挿入縦糸編みされたスリーブ112は、支持部材114がスリーブの壁によって支持されるように構成される。支持部材114は、その両側126,128において、両端40、42間の概ね中央で横糸挿入糸によって捕捉されるものとしてここでは示されている。横糸挿入糸は、ここでは実施例であって限定されないものであり、両端40、42間を延在する1つのマルチフィラメント糸43(図4および図5A)を含むものとして示されている。横糸挿入モノフィラメント糸45,47,49の3つの追加のセット(図5B)が、両端40、42間の3つの分離した領域1,2,3上にそれぞれ挿入される。領域1は端部40と支持部材114間で延在し、領域2は領域1から支持部材114を横切って延在し、領域3は領域2から他の端部42に延在する。たとえば図5Aと図5Bの編み図に最も良く示されるように、30個の縫い針が表され(3つの分離したグループ1−10における数字)、支持部材114は領域1,3の横に配置されている。領域1,3は、たとえば閉じたタイプの鎖編みやピラースティッチ(pillar stitch)編みを用いて横糸挿入糸43,45,47と縫い合わせられた縦糸編みマルチフィラメント糸51を含む。なお、開いたタイプの鎖編み、開いたタイプのトリコット編み、閉じたタイプのトリコット編みのような他の縦糸編みも意図されており、モノフィラメント糸を組合せてあるいはマルチフィラメント糸51の代わりに使用することができる。領域2は支持部材114と横糸挿入糸43,47を含む。横糸挿入マルチフィラメント糸43は、スリーブ組立品110の外側に面する側としてここでは示される支持部材114の一方側上を通過し、横糸挿入モノフィラメント糸47は、スリーブ組立品110のキャビティ118に面する支持部材114の反対側上を通過する。
【0018】
横糸挿入糸45,47,49によって部分的に形成された3つの領域は、スリーブ組立品110の長さ方向に沿って支持部材114の側面に位置する一体ヒンジ(LH、図5B)を設ける役割を果たす。それにより、スリーブ組立品110が管状に容易に巻かれることを許容する。図5Bに示すように、端部縫い針上での応力を減じるために、横糸挿入糸
45,49は、横糸挿入マルチフィラメント糸43と同様に10個の縫い針を横切るように挿入され、各端部40,42を超える1つの縫い針が横糸挿入糸43と縦糸編み糸51との双方を有する最後の縫い針に対応する。このようにして横糸挿入糸45,49は、端部40,42から外方に延在する。
【0019】
図6に示すように、支持部材114は、自由端40,42間の概ね中央に配置されて保持され、巻かれたスリーブ112の上包部44と概ね対向する。作製中に、スリーブ112は、内部に支持部材114を保持して、概ね平坦な基板として構成され、その後湾曲形状に成形される。湾曲形状を得るためにスリーブ112を熱処理すると、すぐに自由端40,42が付勢されて互いに重なるような位置関係となることが好ましい。また、適用対象の要請によって、自由端40,42は、それらの間に若干の空隙を有してもよい。スリーブ112が熱処理されると、支持部材114も熱処理され、予め成形されていなければ弓形となる。熱処理に加え、スリーブ112は、自由端近傍において留め具を使用して湾曲して巻かれた形状に成形してもよい。たとえば自由端40,42の重なり部分の間に面状ファスナ(hook−and−loop type fastener)を使用することができる。フック部53は、自由端40近傍のスリーブ112の外表面上に取り付けられ、ループ部55は、自由端42近傍のスリーブ112の内表面上に取り付けられる。
【0020】
湾曲形状を達成するために、スリーブ112を熱処理したり固定することに加え、自己湾曲形状となるように織物や編み糸の少なくとも幾つかによって自己付勢されるようにすることもできる。このタイプの構成では、スリーブ112の完成時に現行の織機や編み機(図示せず)上でスリーブ112が湾曲するように、横糸および/または縦糸は、残りの糸に付勢力を与えるように配置される。横糸43,45,47,49は、自己で巻き形状となる付勢力を与え、縦糸は、張力下で織られあるいは編まれる。それにより、スリーブ112の外周付近に巻き張力を与える。縦糸51が自己で巻き形状となる自己巻き付勢力を与える場合、縦糸は横糸に対して剛性の高いモノフィラメントとして設けられる。それにより、スリーブ112の軸41に関して横糸に自己巻き力を与える。
【0021】
図7に、他の現状の好ましい実施の形態による保護スリーブ組立品210が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために200を付加した参照番号が使用されている。保護スリーブ組立品210は、実施の形態2における保護スリーブ組立品110と類似しているが、支持部材214が、他の自由端242の直下に巻かれる自由端240の近傍に配置されている。したがって、支持部材214は、スリーブ組立品210の重なり部244によって少なくとも部分的に覆われる。それ以外は、スリーブ組立品は、実施の形態2に記載されたものと同様である。
【0022】
図8に、本発明の他の実施の形態による保護スリーブ組立品310の一部が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために300を付加した参照番号が使用されている。スリーブ組立品310は、上述の保護スリーブ組立品110と類似しているが、編みプロセスで構成されるより寧ろ、織りプロセスで構成される。スリーブ組立品310は、シングルフィル(fill)アームあるいはダブルフィル(fill)アームを有するもののように、時に”2重ピック挿入(dual pick insertion)”と呼ばれるもの等いかなる適切な編み機を用いても構成可能である。
【0023】
スリーブ組立品310は、支持部材314が壁部316に対して周方向に動くことができないようにその内部に支持部材314を保持する壁部316を有する。壁部316は、スリーブ組立品10に関連して、あるいは開いた壁部として述べたように、周方向に連続的な壁として構成される。スリーブ組立品310は、スリーブ組立品110,210に関連して述べたように、取り囲まれるキャビティに沿って延びる長手方向軸に平行に延び対
向する自由端(図示せず)を有する。支持部材314は、たとえば壁部316の両端間あるいは一方の端部近傍に位置する中間位置が開放された構成となるように、壁部内の半径方向のいかなる所望の位置にも配置可能である。その最終形状に拘わらず、壁部316は、上述の材質のような適切ないかなる材質のモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント糸を用いた織物である。
【0024】
スリーブ組立品310の実施の形態は、長手の縦糸方向に沿って延びるマルチフィラメント糸57と、幅方向である横糸あるいはフィル方向に沿って延びるマルチフィラメント糸59とモノフィラメント糸61の双方とを有する。2重ピック挿入を用いる場合、ダブルフィルアームがスリーブ312の幅を一方向(図10において矢印1で示される)に横切り、その後反対方向(図11において矢印2で示される)にスリーブ312の幅を横切るように逆方向を向く。結果的にこの実施の形態のスリーブ312は、スリーブ312の外側にあるものとして(図9)具体例によってここに示された支持部材314の共通の側の上を通過するように編まれたマルチフィラメント糸59と、スリーブ312の内側にあるものとして具体例によってここに示された支持部材314の共通の側の上を通過するように編まれたモノフィラメント糸61とを有して形成される。したがって、支持部材314は、一方側では幅方向の横糸マルチフィラメント糸59、他方側では幅方向の横糸モノフィラメント糸61によってのみ保持される。既に述べたように、スリーブ組立品310は、たとえば横糸の方向が逆方向とされ、支持部材314の外側にモノフィラメント糸61、支持部材314の内側にマルチフィラメント糸59を有するように、図示されたものとは異なる構成を有してもよい。また、スリーブは、所望であれば、モノフィラメント糸あるいはマルチフィラメント糸によって全体が構成することができる。本発明のスリーブ組立品を構成するには、いかなる所望の糸の置換も行えることが理解される。
【0025】
図12に示すように、上述の保護スリーブ組立品10,110,210,310は、全てコイル状に巻かれた状態および使用の際の要求に応じで選択的にコイル状に巻かれずに格納される。容易に格納するために、コイル状に巻かれたスリーブ組立品を保持するために、いかなる適切な巻き枠47も使用可能である。巻き枠47は、必要に応じてスリーブ組立品10,110,210を自動的に巻き取るために、ばねで付勢することができる。スリーブ組立品を巻き取りおよび開放するために、モータ駆動の巻き枠のような他の自動化された機構を採用することができることも認識されるべきである。また、巻き枠47は、チャンバ49内に収容され、スリーブ組立品の巻き取られた部分を保護する。
【0026】
上述の教示に鑑み、本願発明の多くの改良や変形が可能であることは明らかである。たとえば支持部材は、縫い合わせや接着あるいはその他の別な方法でスリーブに取り付けることができる。したがって、添付されたクレームの範囲内で、本願発明は具体的に記述されたものとは別の方法で実施されるかもしれないということが理解される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2006年12月7日に出願された米国仮出願番号60/868,961の利益を要求し、ここに全てが参照により引用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、概して細長い物品を受入れて保護する繊維スリーブおよびその構成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.発明の背景
保護スリーブは、たとえば配線のまとめ取付けや光ファイバケーブルのような細長い物品を結合して保護するために、工業、自動車産業、海洋産業、航空宇宙産業の至るところで使用されている。スリーブは、細長い物品を取り囲み、切断、磨耗、放熱、振動による擦り切れ、他の厳しい周囲からの脅威に対しそれらを保護する。保護スリーブ内に配置されると、配線やケーブルは、形の整った束内で共に保持され、サブアセンブリとして取り扱われる異種物品としての多様性を許容し、それらの最終的な環境への物品の一体化の際の時間と労力を減じる。
【0004】
幾つかの適用例において、使用中であって保護される細長い物品は、たとえば電気的に駆動される摺動扉への適用や、車輌のトランクの蓋もしくはカバー、またはプリンターへの適用のように、それらが取付けられる物品に沿って移動する必要がある。したがって、保護スリーブは、細長い物品を保護する必要があるというのみならず、細長い物品が捩れたり、弛んだり、伸びたり、それ以外に損傷するということがないように、望ましくは自由に動くことができるようにされる必要がある。制限された範囲の動作を与えながら細長い部材を保護する既知の保護スリーブは、波形の管と連結された管部分とを含み、時にはキャタピラー型の管と呼ばれる。これらの物品は有用であるが、これらは概して複雑な製造プロセスやこれらを構成するために要求される材料のために高コストとなり、また大きく、比較的重く、細長い物品の動作の自由度を過度に制限し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
細長い部材を保護するための細長いスリーブは、細長い部材を受入れるためにスリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティを設ける内表面を有する壁部を備えた繊維スリーブを有する。弾性を有する支持部材が、壁部と連係して配置される。支持部材は、横断面においてアーチ形の形状を有し、壁部の内表面と係合するため上記軸から外方に向く外側凸状表面と、軸に向かって内方に向く内側凹状表面とを有する。支持部材は、内表面の全周よりも短い長さで延在する。
【0006】
本発明の他の局面は、細長い部材を保護するための細長いスリーブ組立品を構成するための方法を提供する。その方法は、細長い部材を受入れるためにスリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティを設ける内表面を備える壁部を有するスリーブを形成することを含む。この方法は、さらに壁部と連係して弾性を有する支持部材を配置することを含み、支持部材はキャビティ内に直接配置されるか、スリーブの壁部内に織り合わされる。支持部材は、横断面においてアーチ形の形状を有し、上記軸から外方に向くように配置された
外側凸状表面と、軸に向かって内方に向くように配置された内側凹状表面とを有し、支持部材は、スリーブの内表面の全周よりも短い長さで延在する。
【0007】
本発明のさらに他の局面は、連続した管状の閉じた壁部を有するか、あるいはスリーブの長さに沿って延び、対向する自由端を備え、開いた壁部を有するスリーブを形成することを含む。開いた壁部を有するスリーブを形成した場合、スリーブは熱処理され湾曲形状となるか、覆われ固定されて湾曲形状となるか、スリーブを形成する糸により自ずと湾曲形状となるようにバイアスをかけられ得る。スリーブの壁部が管状の閉じた壁部として構成されるか、開いた壁部として構成されるかにかかわらず、支持部材は、結合されたサブアセンブリを提供するように壁部内に織り合わされ得る。
【0008】
支持部材は、内部の細長い部材へのダメージを防止するように、バイアスをかけられた位置でスリーブを維持しながら、きちんと整理された筐体におけるスリーブ内で細長い部材を維持するのを促進する。支持部材の弾性は、スリーブが弛むのを防止し、また使用中にスリーブの形状が変化しても、細長い部材が、捩れたり、伸びたり、それ以外に損傷することを防止する。
【0009】
本発明のこれらおよび他の局面、特徴、効果は、後述する現状の好ましい実施の形態およびベストモード、添付のクレームおよび図面の記載と関連付けて考慮することでより明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの現状の好ましい実施の形態による保護スリーブ組立品の側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿うスリーブ組立品の断面模式図である。
【図3】U形状位置で示される図1の保護スリーブ組立品の部分斜視図である。
【図4】被覆されていない状態で示される現状の他の好ましい実施の形態により構成された保護スリーブ組立品の平面模式図である。
【図5A】図4のスリーブ組立品の編みパターンの一部を示す編み図である。
【図5B】図4のスリーブ組立品の編みパターンの残りの部分を示す編み図である。
【図6】部分的に被覆された状態で示される図4の保護スリーブ組立品を示す概略斜視図である。
【図7】現状のさらに他の好ましい実施の形態により構成された保護スリーブ組立品の概略斜視図である。
【図8】現状のさらに他の好ましい実施の形態により構成されたスリーブ組立品の部分斜視図である。
【図9】図8の9−9線に沿うスリーブ組立品の断面模式図である。
【図10】部分的な構成状態のスリーブ組立品を示す図8のスリーブの断面模式図である。
【図11】異なる部分的な構成状態のスリーブ組立品を示す図10に類似の断面模式図である。
【図12】本発明により構成された保護スリーブ組立品を収容し分配するための収納容器を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
現状の好ましい実施の形態の詳細な説明
より詳細に図面を参照すると、図1〜3は、現状の好ましい1つの実施の形態により構成された保護スリーブ組立品10を示す。保護スリーブ組立品10は、スリーブ12と、板状あるいは弾性を有する支持部材14とを有する。スリーブ12は、織物で構成され、ここでは例示の目的で、閉じており周方向に連続した管状の壁部16として表される。壁
部16は、たとえば個々の配線や組配線のような細長い部材20を受入れるのに適した大きさの内部キャビティ18を少なくとも一部に設ける。支持部材14は、壁部16と近接し、一部にキャビティ18を設け、ここでは長手方向の中心軸19から径方向外方に離れてキャビティ18内に概ね受入れられ、壁部16とほぼ接触するものとして示されている。支持部材14は、特に使用中にスリーブ12を曲げたり他の操作をする間に、スリーブ12を支持し、スリーブ12および細長い部材20の動作を容易にする。スリーブ組立品10が使用中に曲げられたりそれ以外に移動されたり操作される場合でも、支持部材14は、細長い部材20が弛んだり、捩れたり、伸びたり、それ以外に損傷するのを阻止する。したがって、保護スリーブ組立品10は、例示の目的であって限定するものではないが摺動扉や車輌のトランクの蓋や車輌のボンネット等に適用した際に、保護スリーブ組立品10や細長い部材20の少なくとも一部が曲げられたり撓んだりした場合に、特に有用である。
【0012】
スリーブ12は、例示の目的であって限定するものではないが、様々な織り合わせ形状となるように、機織法、編組、編成、釣針編のように考えられ得る織物を構成可能な全ての適切な方法で形成される。図1〜3に示されるスリーブは、選択された繊維糸を互いに編組することで構成され、糸は用途によって適切な材料あるいは材料の組合せから選択される。したがって、スリーブ12は、要求される動作特性によって選択された、モノフィラメントおよび/またはモノフィラメント糸で構成可能である。たとえば、糸は、熱設定可能なもの、高温耐性のあるもの、難燃性のもの、騒音緩和性のもの、化学的耐性のあるもの、導電性のあるもの、その他のものであり得る。
【0013】
図2に最も良く示されるように、支持部材14は、両端部22,24間で延在する端部23,25を有する壁本体21を有する。スリーブ12を構成する際に、支持部材14は、好ましくはキャビティ18を通して、端部23,25がスリーブ12の中心軸19と実質的に平行となり、長手方向の両端部22,24がスリーブ12の両端部から露出するようにスリーブ12に挿入される。壁本体21は、横断面においてアーチ形状を有しており、凸状の外側表面26と、凹状の内側表面28とを有する。支持部材14の壁本体21は、スリーブ12の壁部16の全内周の長さよりも短い長さだけ延在するように構成され、より好ましくは、たとえば壁部16の内周の約10度〜135度の角度範囲にわたって延在する。スリーブ12内に受入れられる際に、凸状の外側表面26は、この外側表面26と壁部16の間に実質的にスペースが存在せず、実質的に全表面にわたって壁部16がスリーブ12と面接触しているかのように壁部16に沿う。他方、凹状の内側表面28は、少なくとも一部において、キャビティ18を設けるようにスリーブ12の中心軸19から径方向外方に離れたままであり、したがって、支持部材14は、キャビティ18を通して配線あるいは組配線20を通過させる際の障害とならない。支持部材14は、例示の目的であって限定するものではないが、強化ポリマーや熱設定可能な材料を含む、金属および/またはポリマー並びにそれらの複合物のような、適切な弾性材料で構成可能である。ここで示される具体例は、ケブラー/ガラス繊維(glass/Kevlar(登録商標))強化プラスチックである。
【0014】
図3に示すように、使用時に、保護スリーブ10は、概ねU形状に配置される。スリーブ12および/または支持部材14の一方の端部は、固定部材のような部材に取付られ、スリーブ12および/または支持部材14の他方の端部は、電気的に駆動される摺動ドアのような可動部材等の別部材に取付られ、たとえばそれらの間に弓形で概ねU形状の中央部29が形成される。摺動ドアが動いて形を変えるにつれて、保護スリーブ組立品10の対応する端部はドアと共に移動し、それにより保護スリーブ組立品10は変形する。ここで、概ね弧状の中央部分は、弾性を有する支持部材14のために、それが変形した際においても弧状半径を維持する。弾性を有する支持部材14は、スリーブ12、つまりスリーブ12内の長手部材20を、それらが移動する際に整った配置のままで維持し、またワイ
ヤ20に対する妨害や衝突を回避するように、スリーブ壁16の内表面と近接した状態とする。さらに、支持部材14の弾力性および横方向の湾曲形状のため、スリーブ12および長手の支持部材14は、前後に移動しながら所定の概ね一定の反復可能な経路に従うこととなる。このようにして保護スリーブ組立品10は、それが使用時に損傷しないような最良の向きに方向付けられる。
【0015】
図4および図6に、本発明の他の実施の形態による保護スリーブ組立品110が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために100を付加した参照番号が使用されている。保護スリーブ組立品は、スリーブ112と、支持部材114を有する。スリーブ112は、両縁部を有し、これ以降、自由端40、42として参照され、長手方向の軸41(いわゆる”巻きたばこ”の包装)に平行に延びる。自由端40、42には、該自由端が巻かれず互いに間隔をあけて開いた位置となるように、スリーブ112の付勢力に打ち勝つのに十分な力を与えることで開かれる、解放された継ぎ目を設ける。自由端40、42が巻かれない位置にある時に、長手の部品がキャビティ118内に配置され、あるいはそこから除去される。長手の部品を挿入あるいは取り外す際には自由端40、42を互いに引き離す力が解放され、自由端は、キャビティ118を取り囲むように、自ら湾曲した付勢位置に戻る。
【0016】
実施の形態1のように、スリーブ112は、ここで示されるように、縦横方向のいずれかに適切なモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント糸を用いた横糸挿入縦糸編み(weft−insertion warp knitting)プロセスによって構成された、網状、織物、クローシェ編物、編物のいずれであってもよい。支持部材114は、上述の場合と同様にして構成され、同様の機能を発揮する。したがって、これ以降個別に詳細には説明しない。
【0017】
横糸挿入縦糸編みされたスリーブ112は、支持部材114がスリーブの壁によって支持されるように構成される。支持部材114は、その両側126,128において、両端40、42間の概ね中央で横糸挿入糸によって捕捉されるものとしてここでは示されている。横糸挿入糸は、ここでは実施例であって限定されないものであり、両端40、42間を延在する1つのマルチフィラメント糸43(図4および図5A)を含むものとして示されている。横糸挿入モノフィラメント糸45,47,49の3つの追加のセット(図5B)が、両端40、42間の3つの分離した領域1,2,3上にそれぞれ挿入される。領域1は端部40と支持部材114間で延在し、領域2は領域1から支持部材114を横切って延在し、領域3は領域2から他の端部42に延在する。たとえば図5Aと図5Bの編み図に最も良く示されるように、30個の縫い針が表され(3つの分離したグループ1−10における数字)、支持部材114は領域1,3の横に配置されている。領域1,3は、たとえば閉じたタイプの鎖編みやピラースティッチ(pillar stitch)編みを用いて横糸挿入糸43,45,47と縫い合わせられた縦糸編みマルチフィラメント糸51を含む。なお、開いたタイプの鎖編み、開いたタイプのトリコット編み、閉じたタイプのトリコット編みのような他の縦糸編みも意図されており、モノフィラメント糸を組合せてあるいはマルチフィラメント糸51の代わりに使用することができる。領域2は支持部材114と横糸挿入糸43,47を含む。横糸挿入マルチフィラメント糸43は、スリーブ組立品110の外側に面する側としてここでは示される支持部材114の一方側上を通過し、横糸挿入モノフィラメント糸47は、スリーブ組立品110のキャビティ118に面する支持部材114の反対側上を通過する。
【0018】
横糸挿入糸45,47,49によって部分的に形成された3つの領域は、スリーブ組立品110の長さ方向に沿って支持部材114の側面に位置する一体ヒンジ(LH、図5B)を設ける役割を果たす。それにより、スリーブ組立品110が管状に容易に巻かれることを許容する。図5Bに示すように、端部縫い針上での応力を減じるために、横糸挿入糸
45,49は、横糸挿入マルチフィラメント糸43と同様に10個の縫い針を横切るように挿入され、各端部40,42を超える1つの縫い針が横糸挿入糸43と縦糸編み糸51との双方を有する最後の縫い針に対応する。このようにして横糸挿入糸45,49は、端部40,42から外方に延在する。
【0019】
図6に示すように、支持部材114は、自由端40,42間の概ね中央に配置されて保持され、巻かれたスリーブ112の上包部44と概ね対向する。作製中に、スリーブ112は、内部に支持部材114を保持して、概ね平坦な基板として構成され、その後湾曲形状に成形される。湾曲形状を得るためにスリーブ112を熱処理すると、すぐに自由端40,42が付勢されて互いに重なるような位置関係となることが好ましい。また、適用対象の要請によって、自由端40,42は、それらの間に若干の空隙を有してもよい。スリーブ112が熱処理されると、支持部材114も熱処理され、予め成形されていなければ弓形となる。熱処理に加え、スリーブ112は、自由端近傍において留め具を使用して湾曲して巻かれた形状に成形してもよい。たとえば自由端40,42の重なり部分の間に面状ファスナ(hook−and−loop type fastener)を使用することができる。フック部53は、自由端40近傍のスリーブ112の外表面上に取り付けられ、ループ部55は、自由端42近傍のスリーブ112の内表面上に取り付けられる。
【0020】
湾曲形状を達成するために、スリーブ112を熱処理したり固定することに加え、自己湾曲形状となるように織物や編み糸の少なくとも幾つかによって自己付勢されるようにすることもできる。このタイプの構成では、スリーブ112の完成時に現行の織機や編み機(図示せず)上でスリーブ112が湾曲するように、横糸および/または縦糸は、残りの糸に付勢力を与えるように配置される。横糸43,45,47,49は、自己で巻き形状となる付勢力を与え、縦糸は、張力下で織られあるいは編まれる。それにより、スリーブ112の外周付近に巻き張力を与える。縦糸51が自己で巻き形状となる自己巻き付勢力を与える場合、縦糸は横糸に対して剛性の高いモノフィラメントとして設けられる。それにより、スリーブ112の軸41に関して横糸に自己巻き力を与える。
【0021】
図7に、他の現状の好ましい実施の形態による保護スリーブ組立品210が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために200を付加した参照番号が使用されている。保護スリーブ組立品210は、実施の形態2における保護スリーブ組立品110と類似しているが、支持部材214が、他の自由端242の直下に巻かれる自由端240の近傍に配置されている。したがって、支持部材214は、スリーブ組立品210の重なり部244によって少なくとも部分的に覆われる。それ以外は、スリーブ組立品は、実施の形態2に記載されたものと同様である。
【0022】
図8に、本発明の他の実施の形態による保護スリーブ組立品310の一部が示される。ここでは、上述の実施の形態1における類似の構成を認識できるようにするために300を付加した参照番号が使用されている。スリーブ組立品310は、上述の保護スリーブ組立品110と類似しているが、編みプロセスで構成されるより寧ろ、織りプロセスで構成される。スリーブ組立品310は、シングルフィル(fill)アームあるいはダブルフィル(fill)アームを有するもののように、時に”2重ピック挿入(dual pick insertion)”と呼ばれるもの等いかなる適切な編み機を用いても構成可能である。
【0023】
スリーブ組立品310は、支持部材314が壁部316に対して周方向に動くことができないようにその内部に支持部材314を保持する壁部316を有する。壁部316は、スリーブ組立品10に関連して、あるいは開いた壁部として述べたように、周方向に連続的な壁として構成される。スリーブ組立品310は、スリーブ組立品110,210に関連して述べたように、取り囲まれるキャビティに沿って延びる長手方向軸に平行に延び対
向する自由端(図示せず)を有する。支持部材314は、たとえば壁部316の両端間あるいは一方の端部近傍に位置する中間位置が開放された構成となるように、壁部内の半径方向のいかなる所望の位置にも配置可能である。その最終形状に拘わらず、壁部316は、上述の材質のような適切ないかなる材質のモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント糸を用いた織物である。
【0024】
スリーブ組立品310の実施の形態は、長手の縦糸方向に沿って延びるマルチフィラメント糸57と、幅方向である横糸あるいはフィル方向に沿って延びるマルチフィラメント糸59とモノフィラメント糸61の双方とを有する。2重ピック挿入を用いる場合、ダブルフィルアームがスリーブ312の幅を一方向(図10において矢印1で示される)に横切り、その後反対方向(図11において矢印2で示される)にスリーブ312の幅を横切るように逆方向を向く。結果的にこの実施の形態のスリーブ312は、スリーブ312の外側にあるものとして(図9)具体例によってここに示された支持部材314の共通の側の上を通過するように編まれたマルチフィラメント糸59と、スリーブ312の内側にあるものとして具体例によってここに示された支持部材314の共通の側の上を通過するように編まれたモノフィラメント糸61とを有して形成される。したがって、支持部材314は、一方側では幅方向の横糸マルチフィラメント糸59、他方側では幅方向の横糸モノフィラメント糸61によってのみ保持される。既に述べたように、スリーブ組立品310は、たとえば横糸の方向が逆方向とされ、支持部材314の外側にモノフィラメント糸61、支持部材314の内側にマルチフィラメント糸59を有するように、図示されたものとは異なる構成を有してもよい。また、スリーブは、所望であれば、モノフィラメント糸あるいはマルチフィラメント糸によって全体が構成することができる。本発明のスリーブ組立品を構成するには、いかなる所望の糸の置換も行えることが理解される。
【0025】
図12に示すように、上述の保護スリーブ組立品10,110,210,310は、全てコイル状に巻かれた状態および使用の際の要求に応じで選択的にコイル状に巻かれずに格納される。容易に格納するために、コイル状に巻かれたスリーブ組立品を保持するために、いかなる適切な巻き枠47も使用可能である。巻き枠47は、必要に応じてスリーブ組立品10,110,210を自動的に巻き取るために、ばねで付勢することができる。スリーブ組立品を巻き取りおよび開放するために、モータ駆動の巻き枠のような他の自動化された機構を採用することができることも認識されるべきである。また、巻き枠47は、チャンバ49内に収容され、スリーブ組立品の巻き取られた部分を保護する。
【0026】
上述の教示に鑑み、本願発明の多くの改良や変形が可能であることは明らかである。たとえば支持部材は、縫い合わせや接着あるいはその他の別な方法でスリーブに取り付けることができる。したがって、添付されたクレームの範囲内で、本願発明は具体的に記述されたものとは別の方法で実施されるかもしれないということが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い部材を保護するための細長いスリーブ組立品であって、前記スリーブ組立品は、
前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブ組立品の長手方向軸に沿って延びる1つのキャビティを少なくとも一部に設ける内表面を有する筒状の壁部を有する繊維スリーブと、
前記筒状の壁部と連係して配置され、前記壁部の全周よりも短い長さで延在し、弾性を有する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記長手方向軸から半径方向外方に間隔をあけた内表面を有し、前記支持部材の内表面は、少なくとも一部に1つのキャビティを設ける、細長いスリーブ組立品。
【請求項2】
前記支持部材は、前記スリーブの内表面に隣接する凸状の外表面を有する、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項3】
前記支持部材の内表面は凹状である、請求項2に記載のスリーブ組立品。
【請求項4】
前記壁部は、周方向に連続的である、請求項3に記載のスリーブ組立品。
【請求項5】
前記壁部は、周方向に不連続であり、
前記長手方向軸に沿って延びる対向する自由端を有する、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項6】
前記対向する自由端は、重なり部を設けるように互いに重なり合い、前記支持部材は、前記重なり部において前記壁部内で組み合わされる、請求項5に記載のスリーブ組立品。
【請求項7】
前記対向する自由端は、重なり部を設けるように互いに重なり合い、前記支持部材は、前記重なり部と直径方向に対向して前記壁部内で組み合わされる、請求項5に記載のスリーブ組立品。
【請求項8】
前記支持部材は、前記長手方向軸から外方に向く外表面を有し、前記支持部材の内表面上を延びる糸と、前記支持部材の外表面上を延びる糸とによって、前記スリーブの壁部内に保持される、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項9】
前記糸は、前記長手方向軸と直交する方向に沿って延びる、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項10】
前記スリーブの前記壁部は編物である、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項11】
前記スリーブの前記壁部は、横糸挿入縦糸編みのものであり、前記糸は、横糸が挿入される前記長手方向軸と直交する方向に延びる、請求項10に記載のスリーブ組立品。
【請求項12】
前記スリーブの前記壁部は織物である、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項13】
前記スリーブの前記壁部は、自己で巻き形状となるように付勢される糸を有する、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項14】
前記スリーブの前記壁部は網状である、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項15】
細長い部材を保護するための細長い繊維スリーブ組立品であって、前記スリーブ組立品は、
前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブ組立品の長手方向軸に沿って延びる1つのキャビティを少なくとも一部に設ける織りあわされた糸の管状の壁部を有するスリーブと、
前記壁部の全周よりも短い長さで延在し、凹状の内側表面と凸状の外側表面とを有し、弾性を有する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記支持部材の前記内側および外側表面上を延びる前記糸の少なくとも幾つかによって前記壁部の近くで支持される、細長いスリーブ組立品。
【請求項16】
前記支持部材は、前記長手方向軸に概ね平行に延びる両端を有し、前記壁部は、前記支持部材の前記端部の少なくとも1つから横方向に延在する編物部を有する、請求項15に記載のスリーブ組立品。
【請求項17】
前記内側および外側表面上を延びる前記糸は、前記編物部内に挿入された横糸であり、前記挿入された横糸は、前記長手方向軸と直交する方向に延在する、請求項16に記載のスリーブ組立品。
【請求項18】
前記壁部は、前記端部の双方から横方向に延在する編物部を有する、請求項17に記載のスリーブ組立品。
【請求項19】
前記支持部材は、前記長手方向軸に概ね平行に延びる両端を有し、前記壁部は、前記端部の少なくとも1つから横方向に延在する織物部を有する、請求項15に記載のスリーブ組立品。
【請求項20】
前記内側および外側表面上を延びる前記糸は、前記織物部の一部を形成する横糸である、請求項19に記載のスリーブ組立品。
【請求項21】
細長い部材を保護するための細長い繊維スリーブ組立品を構成する方法であって、
凹状の内側表面と、該内側表面と反対側に凸状の外側表面とを有する壁本体を有する支持部材を設ける工程と、
複数の糸を有する繊維スリーブを形成する工程とを備え、前記スリーブは、前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティの少なくとも一部を規定する内表面を有する壁部を有し、
前記支持部材の両側上で前記形成する工程において前記糸の少なくとも幾つかを組み合わせて、前記壁部内に前記支持部材を保持する工程をさらに備える、スリーブ組立品を構成する方法。
【請求項22】
前記形成する工程において前記糸を編む工程をさらに含む、請求項21に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項23】
横糸挿入縦糸編みプロセスを用いる工程と、前記壁部内に前記支持部材を保持するように前記支持部材の両側上で挿入された横糸を組み合わせる工程とをさらに含む、請求項22に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項24】
前記形成する工程において前記糸を織る工程をさらに含む、請求項21に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項25】
前記壁部内に前記支持部材を保持するように横糸方向に延びる糸を用いる工程をさらに含む、請求項24に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項1】
細長い部材を保護するための細長いスリーブ組立品であって、前記スリーブ組立品は、
前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブ組立品の長手方向軸に沿って延びる1つのキャビティを少なくとも一部に設ける内表面を有する筒状の壁部を有する繊維スリーブと、
前記筒状の壁部と連係して配置され、前記壁部の全周よりも短い長さで延在し、弾性を有する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記長手方向軸から半径方向外方に間隔をあけた内表面を有し、前記支持部材の内表面は、少なくとも一部に1つのキャビティを設ける、細長いスリーブ組立品。
【請求項2】
前記支持部材は、前記スリーブの内表面に隣接する凸状の外表面を有する、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項3】
前記支持部材の内表面は凹状である、請求項2に記載のスリーブ組立品。
【請求項4】
前記壁部は、周方向に連続的である、請求項3に記載のスリーブ組立品。
【請求項5】
前記壁部は、周方向に不連続であり、
前記長手方向軸に沿って延びる対向する自由端を有する、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項6】
前記対向する自由端は、重なり部を設けるように互いに重なり合い、前記支持部材は、前記重なり部において前記壁部内で組み合わされる、請求項5に記載のスリーブ組立品。
【請求項7】
前記対向する自由端は、重なり部を設けるように互いに重なり合い、前記支持部材は、前記重なり部と直径方向に対向して前記壁部内で組み合わされる、請求項5に記載のスリーブ組立品。
【請求項8】
前記支持部材は、前記長手方向軸から外方に向く外表面を有し、前記支持部材の内表面上を延びる糸と、前記支持部材の外表面上を延びる糸とによって、前記スリーブの壁部内に保持される、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項9】
前記糸は、前記長手方向軸と直交する方向に沿って延びる、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項10】
前記スリーブの前記壁部は編物である、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項11】
前記スリーブの前記壁部は、横糸挿入縦糸編みのものであり、前記糸は、横糸が挿入される前記長手方向軸と直交する方向に延びる、請求項10に記載のスリーブ組立品。
【請求項12】
前記スリーブの前記壁部は織物である、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項13】
前記スリーブの前記壁部は、自己で巻き形状となるように付勢される糸を有する、請求項8に記載のスリーブ組立品。
【請求項14】
前記スリーブの前記壁部は網状である、請求項1に記載のスリーブ組立品。
【請求項15】
細長い部材を保護するための細長い繊維スリーブ組立品であって、前記スリーブ組立品は、
前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブ組立品の長手方向軸に沿って延びる1つのキャビティを少なくとも一部に設ける織りあわされた糸の管状の壁部を有するスリーブと、
前記壁部の全周よりも短い長さで延在し、凹状の内側表面と凸状の外側表面とを有し、弾性を有する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記支持部材の前記内側および外側表面上を延びる前記糸の少なくとも幾つかによって前記壁部の近くで支持される、細長いスリーブ組立品。
【請求項16】
前記支持部材は、前記長手方向軸に概ね平行に延びる両端を有し、前記壁部は、前記支持部材の前記端部の少なくとも1つから横方向に延在する編物部を有する、請求項15に記載のスリーブ組立品。
【請求項17】
前記内側および外側表面上を延びる前記糸は、前記編物部内に挿入された横糸であり、前記挿入された横糸は、前記長手方向軸と直交する方向に延在する、請求項16に記載のスリーブ組立品。
【請求項18】
前記壁部は、前記端部の双方から横方向に延在する編物部を有する、請求項17に記載のスリーブ組立品。
【請求項19】
前記支持部材は、前記長手方向軸に概ね平行に延びる両端を有し、前記壁部は、前記端部の少なくとも1つから横方向に延在する織物部を有する、請求項15に記載のスリーブ組立品。
【請求項20】
前記内側および外側表面上を延びる前記糸は、前記織物部の一部を形成する横糸である、請求項19に記載のスリーブ組立品。
【請求項21】
細長い部材を保護するための細長い繊維スリーブ組立品を構成する方法であって、
凹状の内側表面と、該内側表面と反対側に凸状の外側表面とを有する壁本体を有する支持部材を設ける工程と、
複数の糸を有する繊維スリーブを形成する工程とを備え、前記スリーブは、前記細長い部材を受け入れるために前記スリーブの長手方向軸に沿って延びるキャビティの少なくとも一部を規定する内表面を有する壁部を有し、
前記支持部材の両側上で前記形成する工程において前記糸の少なくとも幾つかを組み合わせて、前記壁部内に前記支持部材を保持する工程をさらに備える、スリーブ組立品を構成する方法。
【請求項22】
前記形成する工程において前記糸を編む工程をさらに含む、請求項21に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項23】
横糸挿入縦糸編みプロセスを用いる工程と、前記壁部内に前記支持部材を保持するように前記支持部材の両側上で挿入された横糸を組み合わせる工程とをさらに含む、請求項22に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項24】
前記形成する工程において前記糸を織る工程をさらに含む、請求項21に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【請求項25】
前記壁部内に前記支持部材を保持するように横糸方向に延びる糸を用いる工程をさらに含む、請求項24に記載のスリーブ組立品を構成する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−512466(P2010−512466A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540491(P2009−540491)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/086724
【国際公開番号】WO2008/070819
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/086724
【国際公開番号】WO2008/070819
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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