説明

支柱構造

【課題】テーブルを立脚して使用する際には天板又は底板に支柱を極めて簡単に強固に取付け、その用済み後には支柱を天板からカジリ等を生じることなく取外すようにした支柱構造を提供する。
【解決手段】固定部610に回動部620を嵌設する支柱構造において、天板1又は/および底板に固着される前記固定部は、上方に凹状で下部が嵌合突起63となる第一基盤61と下方に凹状の第二基盤62とからなりその間に空洞が形成される。この嵌合突起の底面に緩やかに傾斜する螺旋面S1,S2及び開口穴64形成される。一方、前記回動部は支柱2の先端部に形成され、前記先端部のほぼ中央にT字状のロック棒67を立設し、前記第一基盤の前記嵌合突起を、前記回動部側の前記先端部に挿嵌させるとともに、前記T字状のロック棒の係止棒671を前記底面の前記開口穴に挿通させ、かつ、前記支柱を軸周りに回動させることによって、前記係止棒を前記螺旋面に締め付る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテーブル、家具又は陳列棚等の支柱構造であって、天板又は/及び底板に支柱を立設するに際し、ワンタッチで支柱を着脱可能にするためにロック機構を設けた支柱構造に関する。詳しくは、天板又は/及び底板に支柱を瞬時に立設してテーブル又は陳列棚等を組み立て、例えばテーブルを並べて特売場の開店、或いは展示会の設営をし、しかる後、期間が過ぎたら支柱を瞬時に取り外して分解し、速やかに次の会場の準備をすることを可能にする支柱構造であって、支柱をロックする機構が衝撃等によって外れ難く、かつ支柱を瞬時に分解可能にした支柱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、着脱自在の脚、或いは支柱を備えたテーブルが知られており、脚の上端に取着した座板を、ボルト、ナットを使ってテーブルの底板裏面に着脱自在に固定させる方法を採っていた。また、座卓等であれば、底板と脚を蝶番で連結し、脚を折畳み自在にする方法も行われて来た。一方、日本は土地が狭いこともあり、土地の広さや形状に合せて店舗が作られていく。そして、限られた広さの店舗にできだけ多くの商品を並べる。そのために、テーブル、陳列棚等を配置して立体的に商品を並べて単位面積当たりの商品陳列の効率を上げることになる。また、陳列も年中固定したものではなく、例えば季節ごと、月ごと、或いは週間ごとに特売場を開店する等店舗内のレイアウトが変わる。そのために、テーブル、陳列棚の数が異なり、取り扱う商品アイテムも、陳列位置も必然的に変わらざるをえない。そこで、テーブル、陳列棚をリースで揃えレイアウトを検討することになる。つまり、テーブル、陳列棚は固定したものではなく、用が済んだら返却することになる。そのため、テーブル又は陳列棚には、支柱を短時間で組み立て或いは分解をすることが求められる。そこで、従来は、テーブル、陳列棚を立設するための一方の底板にナットを溶接し、かつ、他方の支柱の先端にボルトを溶接して、底板に支柱を螺着する連結構造とする。そして、支柱の間に棚板を段積みして陳列棚を構成することが行われる。用済み後は、螺子を緩めて底板と支柱に分解する。
【0003】
このような陳列棚には数々の工夫がなされ、その中で次のような支柱構造に関する発明が提案されている。また、他に着脱自在の支柱を備えたテーブルが知られている。このものは、脚の上端に取着した座板を、ボルト、ナットを使ってテーブルの底板裏面に着脱自在に固定させる方法を採っていた。また、座卓等であれば、底板と脚を蝶番で連結し、脚を折畳み自在にする方法も行われて来た。本件出願人は、先に、家具の脚取付け構造について、不使用時には、家具本体からその脚部を簡単に取外せて、家具の保管、移動に便であり、使用時には、極めて簡単かつ強固に脚部を取付けられるようにした、テーブル等の家具の脚取付け構造に関する発明を提案している(特許文献1)。この特許文献は、テーブル等の家具の脚部を、底板等の家具本体に着脱自在に取付ける為の構造であって、家具本体に固定させる基盤に、有底短筒状の嵌合突起を下向きに突設した固定部と、脚部の上端に設けられて、前記嵌合突起を緊密に挿嵌させる嵌合孔を備える被固定部とから成り、前記嵌合突起の底面には、筒の径方向に伸びるスリットを設けると共に、底面の上面は、前記スリットの両側端から夫々筒周方向に上向きに緩やかに傾斜する斜面に形成し、前記嵌合孔の底部には、前記スリットに挿嵌させ得る形状を備えて、その上端に前記斜面に当接させる掛止部を設けた掛止部材を突設し、前記掛止部を前記スリットに挿通させたうえ、前記脚部をその軸周りに回動させると、前記掛止部が前記斜面を次第に締め付けて、前固定部と被固定部とが強固に係合される構成とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3474265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の通りであって、従来のテーブルや陳列棚の支柱構造には、まとめると次のような問題点がある。
【0006】
即ち、従来の支柱構造の問題点の第一は、構造が複雑なので天板に支柱を短時間で取付け或いは取り外すことができない。そのために、テーブル又は陳列棚がリース物件の場合、天板と支柱を短時間で分解して持ち運びたいたいという顧客のニーズに対応できない。また、各支柱に1個以上のナットを締め付けるので、螺脱する作業は甚だ繁雑であり、テーブル、陳列棚の台数が多い場合は、多くの時間と人手を要する。そのため、支柱の分解に時間が掛かるので、展示場、特売場等で次のセールのための会場の準備をできない。
【0007】
特に、特許文献1は、支柱を天板又は底板に楔の原理を応用した固着治具を備えた支柱構造に関する提案である。詳細について図9を参照しながら説明する。図9(a)に示すように、固定部610に回動部620を固定する状態を示し、連結機構である。回動部620を構成するロック棒67は、細長い金属製の係止棒671の中央に短い金属製の垂直棒672をT字形に結合した形態を備えており、この垂直棒672の根元が渡し板65の中央に溶接、固着されている。即ち、渡し板65の中央部において、固定部610と回動部620とを掛止させるためのロック棒67がT字状に立設されている。ここで、垂直棒672の直径は12〜20mmであり、係止棒671の直径は6〜12mmであり、長さは支柱2の径に応じて15〜100mmである。T字型の水平方向の係止棒671は楔状に傾斜した螺旋面S1に侵入、食い込むことによってロックされ、固定部610に回動部620が固着される。そのために、係止棒671を開口穴64に挿通させた状態で、係止棒671の下側面が辛うじて螺旋面S1と干渉することなく螺旋面S1の上に突き出る程度に、垂直棒672の高さ寸法を設定する。夫々の詳細を同図(b)、(c)に示し、下方の回動部620は支柱2の先端部に構成される。同図(b)に示すように、固定部610は基盤61、この中央における本図の裏側方向に凹んだ短筒状の嵌合突起63、その底面62、この中央部に穿孔された開口穴64から構成される。ここで、基盤61の厚さは、3.2mm、4.5mm、6.0mm等である。一方、同図(c)の回動部620は、支柱2の上端に構成され、支柱2の内周部を共通にする嵌合部66、内周直径方向に渡し板65、この中央部にロック棒67立設される。渡し板65の厚さは、4.5mm、6.0mm、9.0mm等である。この支柱構造は、支柱を天板又は底板に瞬時に固着でき、一旦取付けるとその取付け強度も高いので非常に使い勝手がよいしかしながら製造上の微妙な寸法誤差が生じる結果、金属同士の噛合いなので、取り付けて締り過ぎると金属同士のカジリが生じて、今度は支柱を天板又は底板から取り外して分離することができない。テーブルとして用済みになりながら、分解して収納或いはリース物件の返却をすることができない。このため、リース物件のテーブル又は陳列棚には組み立て或いは分解の容易性が求められる。
【0008】
そこで、本発明の支柱構造は、このような従来の抱える問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、テーブルを立脚して使用する際には天板又は底板に支柱を極めて簡単に強固に取付け、その用済み後には支柱を天板からカジリ等を生じることなく取外し、保管又は移動・運搬の便を図るようにしたものである。そのため、支柱の取付け及び取外しを、ワンタッチで極力簡単、迅速、かつ確実に行うためにロック機構を工夫し、かつ、思いがけない衝撃等によってロックが外れる恐れの無いようにした支柱構造を提供することを目的とする。即ち、本発明のテーブル又は陳列棚の支柱構造は、立脚して使用する際には天板又は底板に支柱を極めて簡単に強固に取付け、用済み後にはカジリ等を生じることなく支柱を天板から取外し、保管又は移動・運搬の便を図るようにした支柱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者等は、支柱を底板に瞬時に着脱自在に固定する手段として螺子締めの原理を応用することを着想し、この着想に基づき試作したところ、非常に使い勝手が良いという知見を得た。本発明の陳列棚はかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、固定部に回動部を嵌設する支柱構造において、前記固定部は、凹状の第一基盤と凹状の第二基盤とからなり、これらの夫々の凹み同士が向き合ってその間に空洞が形成され、前記固定部は天板又は/及び底板に固着され、前記第一基盤に嵌合突起が突設され、この嵌合突起の底面に開口穴が穿設されるとともに、この開口穴の両側に、夫々緩やかに傾斜する螺旋面が形成され、一方、前記回動部は円筒管からなる支柱の先端部に形成され、前記先端部の直径方向に渡し板を橋絡し、この渡し板のほぼ中央にT字状のロック棒を立設し、前記固定部側の前記第一基盤の前記嵌合突起を、前記回動部側の前記先端部に挿嵌させるとともに、前記T字状のロック棒の係止棒を前記底面の前記開口穴に挿通させ、かつ、前記支柱を軸周りに回動させることによって、前記係止棒が前記螺旋面に締め付けられながら、前記固定部に前記回動部が係止される支柱構造であって、前記空洞に、前記第二基盤側から順に巻きバネ、座金及びT字状のロック棒が重装されることを特徴とする。また、請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記螺旋面に肉盛り部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による支柱構造によれば、以下に列挙するような実用上の優れた効果を奏する。第一に、天板又は/及び底板に支柱を取り付け、或いは、取外すには、天板又は/及び底板に固着された固定部の嵌合突起を、支柱の上端における回動部の嵌合部に嵌め込んだ後、支柱を正、逆回転方向に回動させるだけで足りる。 そのために、ボルト、ナットを使って支柱を連結する従来技術に比べて、支柱の着脱操作を遥かに簡単、迅速に殆どワンタッチ操作で行える。 また、外したナットを保管する煩わしさも無くなる。 そのうえ、スパナ等の着脱用工具は一切使わなくても済む。そして、 固定部と回動部とは、嵌合突起に形成した斜面の楔作用によってロック棒が螺旋面に食い込むので、十分な連結強度を確保でき、支柱のぐら付きを防ぐことができる。特に、支柱を天板又は/及び底板に固着した後、締め過ぎがあっても装着した巻きバネの弾性力によって金属同士の接触を緩和するので、金属同士によるカジリを生じることなく、支柱を天板又は底板から容易に分離することができることが、本発明の最大の作用効果である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るテーブルの斜視図である。
【図2】同上、図1における固定金具のX−X矢視断面図である。
【図3】同上、固定金具部品の分解図である。
【図4】同上、固定金具の基盤及び回動部の部品図である。
【図5】同上、固定金具基盤の他の実施態様を示す図である。
【図6】本発明の実施例2に係るテーブルの斜視図である。
【図7】同上、天板及び底板の部品図である。
【図8】本発明の実施例3に係るテーブルの斜視図である。
【図9】従来例に係る固定金具の組立て図及び部品図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
先ず、本発明の実施例1について、図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例1に係るテーブルの斜視図である。図2は、図1における固定金具のX−X矢視断面図である。図3は、固定金具部品の分解図である。図4は、固定金具の基盤或いは回動部毎の部品図である。図5は、固定金具における基盤の他の実施態様を示す図である。
【0014】
以下に、各種のイベント会場等で使われるテーブルに固定金具を適用した実施例について、図面を参照しながら説明する。図1に示したテーブル100の4本の支柱2は、固定金具6を使用して天板1の裏面の4隅に夫々固着され、しかも、支柱2は着脱自在に立設される。支柱2の下端には高さ調整用のアジャスタ9が設けられる。
【0015】
主要部となる固定金具の断面を図2に示すように、固定金具6は以下のように構成される。即ち、上方へ凹む第二基盤62に、下方へ凹む第一基盤61の夫々の凹み同士を向き合せることによって、まるで貝が蓋を閉じるように固定金具6が構成される。上方の第二基盤62は、天板1の窪みに収まり、これに下方から第一基盤61が下から向き合いように天板1に螺着され、これらの中に空洞が形成される。そして、支柱2の先端部の内周に、第一基盤61側の嵌合突起63が嵌合し挿着される。上記空洞の第二基盤62側の天井部に接するように、上方に向けて巻きバネ68の大径側が収まり、この巻きバネ68の小径側には円盤状の座金69が巻きバネ68を挟むように位置し、この下面をT字状のロック棒67が押し上げる。即ち、凹状の第二基盤62に凹状の第一基盤61が貝の蓋を閉じるように向き合って形成される空洞に、第二基盤62側から順に巻きバネ68、座金69及びロック棒67が重装される。このT字状のロック棒67は、水平のロック棒671とこの中央部に直角に交わる垂直棒672からなり、垂直棒672の下端部は渡し板65に固着されている。この渡し板65は、支柱2の内周面に直角に溶着され、垂直棒672は下方から第一基盤61の開口穴64を貫通する。下方の回動部610は支柱2の先端部に構成される。以上のとおり、固定金具6は、第二基盤62と第一基盤61からなる上方の固定部620と支柱2にロック棒67を溶着した下方の回動部620から構成される。
【0016】
次に、図3に固定金具6を分解した部品図を示す。同図(a)は第二基盤を示し、同図(b)は巻きバネを示し、同図(c)は座金を示し、同図(d)は第一基盤を示し、これらが固定部を構成する。同図(e)は回動部を示す。同図(a)の第二基盤62は、一枚の金属板をプレス成形したもので、上方へ凹状の円盤状である。同図(b)は巻きバネ68で、下方の小径部から上方に向けて径が拡大する円錐台状のバネである。同図(c)は、円盤状の金属板からなる座金69である。同図(d)の第一基盤61は、一枚の金属板をプレス成形したもので、下方へ凹状の円盤状であり、中央部に異形状の開口穴64を備える(後述の図4参照)。第二基盤62と第一基盤61とが上下から貝が蓋を閉じたような空洞内において、巻きバネ68は、上方の第二基盤62の底面621と下方の座金69とで挟着される。同図(e)は回動部620を示し、円筒管からなる支柱2の内周上端近傍に構成される。支柱2の上端近傍の下方に、支柱2の内周面に直角に渡し板65を溶着し、この渡し板65の中央部に垂直棒672が直立固着され、この先端部に水平に係止棒671を構成する。ロック棒67は、垂直棒672と係止棒671とからT字状に構成される。
【0017】
固定部610側の第一基盤61を図4(a)に示し、第一基盤61は、方形の上面611と中央部において紙面の裏側方向へ凹む傾斜面613を有し、上面611の周縁部に四箇所の螺用穴を設けている。紙面の裏側方向へ凹む傾斜面613が短筒状に突設され、この傾斜面613の凹んだ底面において、ほぼ中央を径方向に長穴が横切る開口穴64が穿設されている。開口穴64は図示のように、中央部の丸穴641とこれに交差する径方向の長穴642から構成される。そして、この開口穴64の上下には、螺旋面S1、S1が夫々緩やかに傾斜するように形成されている。即ち、上半分の部位では、螺旋面S1は高い面の左端部から方向Y1の向きに緩やかに傾斜しながら下降し、一方、下半分の部位では螺旋面S1は高い面の右端部から方向Y2の向きに緩やかに傾斜しながら下降する。このように、螺旋面S1、S1は方向Y1或いはY2の向きに夫々捩れるように傾斜する。
【0018】
一方、図4(b)に示す回動部620は支柱2の内周の先端部近傍に構成される。つまり、支柱2における先端部の嵌合部66に、固定部620における第一基盤61の底面611から下方へ凹んだ部位の外郭部である嵌合突起63が嵌合する(図2参照)。この嵌合部66の先端から所定寸法だけ中に入った位置において、渡し板65が支柱2の内周面に直角に橋絡状に溶接されており、この渡し板65はこの嵌合部66の行き止まりとなる。
【0019】
固定部610に回動部620を固着する状態について、改めて図2を参照しながら、その連結機構の詳細を説明する。回動部610を構成するロック棒67は、水平の細長い金属製係止棒671の中央に短い金属製の垂直棒672をT字状に固着した形態を備えており、この垂直棒672の根元が渡し板65の中央に溶着されている。即ち、渡し板65の中央部において、固定部610と回動部620とを掛止させるためのロック棒67がT字状に立設されている。ここで、ロック棒67の寸法は、例えば垂直棒672の直径は12〜20mmであり、係止棒671の直径は6〜12mmであり、長さは支柱2の径に応じて15〜100mmである。T字型の水平方向の係止棒671は楔状に傾斜した螺旋面S1に侵入、食い込むことによってロックされ、固定部610に回動部620が固着される。そのために、水平の係止棒671を開口穴64の長穴642に挿通させた状態で、係止棒671の下側面が螺旋面S1と干渉することなく辛うじて螺旋面S1の上に突き出る程度に、垂直棒672の長さ寸法を設定する。
【0020】
ここで、テーブル100の製品仕様の例を示す。天板1は木製であり、一枚板、合板、或いは廃棄材を使用したパーティクルボードを芯材とした合板等を使用し、他にステンレス材、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂等を使用することもある。支柱2は外径60.5mm、肉厚1.6mmで、支柱2の高さは670〜970mmの円筒管である。支柱2の外径として、他に76.3、101.6mmを使用することもある。その他、テーブルの固定金具の部品素材として、ステンレス材を使用する。
【0021】
以上のように固定金具は構成され、次に作用について説明する。
【0022】
図4(a)に示すように、第一基盤61において、開口穴64の両側には、夫々緩やかに傾斜する螺旋面S1、S1が形成されている。即ち、上半円の部位では、開口穴64の螺旋面の高い位置の左端部から方向Y1の向きに緩やかに捩れて傾斜しながら下降し、一方、下半円面の部位では開口穴64の螺旋面の高い位置の右端部から方向Y2の向きに緩やかに捩れて傾斜しながら下降する。ここで、螺旋面S1の傾斜角度の範囲は1〜8度が好ましかった。この傾斜角度の範囲では、係止棒671が螺旋面S1に食い込み易く、かつ、係止棒671が螺旋面S1から外れ難いことが分かった。即ち、固定部610に支柱2を取付け易く、かつ、支柱2は固定部610から外れ難かった。まとめると、この傾斜角度の範囲では、天板1或いは底板4に支柱2を確実に固着すること可能となり、支柱2をテーブル100に固着することができ、テーブルとして使用中は問題ないが、天板1から支柱2を分離させる場合に問題が生じた。そこで、天板1側の第二基盤62と係止棒671との間に巻きバネ68を挟着することによって、支柱2の係止棒671が第一基盤61から離れ易くすることを試みた。図2を参照しながら説明すると、通常、テーブルとして支柱2を立脚して使用している時は、巻きバネ68の反発力によって下の座金69を介して水平の係止棒671が下方に押し付けられるので、係止棒671の下面が螺旋面S1にロックされた状態で固着される。即ち、固定部610の第一基盤61の螺旋面S1に係止棒671が螺旋面S1に食い込んだ状態になる。支柱2を外す時は、先ず天板1を逆さにし、次に、支柱2の径方向に貫通する小穴21(図1参照)に梃子となるドライバー又は細い棒を入れて左側に30〜45度回転する。この回転の途中で係止棒671が第一基盤61における開口穴64の径方向の長穴642の位置にかかると、係止棒671が巻きバネ68によって外に押しだされる途中で、係止棒671が長穴642の内周面643に噛合うようになる(図4参照)。係止棒671が内周面643に噛合ったこの状態を保ちつつ、更に支柱2の小穴21に棒を入れたまま回転すると、係止棒671が内周面643に噛合ったまま梃子の原理で緩みながら、遂には巻きバネ68の復元力によって係止棒671が長穴642から外に押し出されて支柱2が固定部610から外れる。即ち、第一基盤61に係止棒671が螺旋面S1に食い込んだロック状態が解除されて、支柱2が固定部610から外れる。このようにして、テーブル100の天板1から、支柱2を取り外すことができた。
【0023】
次に、取り外した支柱を改めて天板に取付ける方法について図2を参照しながら説明する。テーブル100を逆さまにして天板1に支柱2を固着するために、天板1に固着した固定部610の第一基盤61に向けて、支柱2の上端内周部の嵌合孔66を挿嵌する。同時にロック棒67の係止棒671を開口穴64の長穴642に合わせて挿通し、係止棒671を中の座金69に当接させる。次いで、回動部620側の支柱2を軸周り回動させると、係止棒671は巻きバネ68に押し戻されながらこの下側面は螺旋面S1に擦過しながら喰い込む。支柱2を僅かに回すだけで、上方の天板1の固定部610に支柱2側の回動部620に堅固に係合され、支柱2は殆どワンタッチに近い操作によって天板1に固着される。このように、雌螺子に雄螺子を締め付ける原理によって天板1に支柱2を固着できる。具体的には支柱2に螺子の1/4回転以下の軸周りの回動を加えるだけで瞬時に締め付け、或いは、必要に応じて緩めることができる。この場合、ロック棒67の係止棒671は雄螺子の作用をし、傾斜面Sが雌螺子の作用をするので、螺子締めの原理で係止棒671が傾斜面Sに締まる。ロック棒67及び傾斜面Sは金属製なので、雄螺子、雌螺子同士が損傷することなく堅固に係合して支柱がぐらつくようなことがない。しかも、この状態で中に巻きバネ68が挟着されているので、巻きバネ68が金属同士の接触の緩衝体となりカジリが生じるようなことは無い。
【0024】
本発明による固定金具についてまとめると、特売期間が過ぎて用済みになったテーブルを天板と支柱を分解してコンパクトにして保管する場合は、支柱を取り付ける時とは逆向きに廻せば、支柱を極めて簡単、迅速に天板又は底板から外すことが出来る。また、支柱の回動操作を軽い力で行うためには、支柱の下端近くに小孔を設けて置き、この小孔に挿し込んだ梃となるドライバーや棒等を廻すとよい。このように、本発明による固定金具を備えたテーブルによれば、特売場等を開店し、しかる後、期間が過ぎたら支柱を瞬時に天板から取り外して分解し、速やかに次の会場の準備へ移る準備をすることができる。
【0025】
第一基盤61については他の実施態様が考えられ、図5を参照しながら以下に説明する。図に示すように、底面62中央部の開口穴64の上下に螺旋面S2、S2が形成されている。即ち、螺旋面S2、S2は、上半円の部位では、開口穴64の上側の螺旋面の高い左端部から方向W1の向きに緩やかに捩れて傾斜しながら下降し、一方、下半円面の部位では開口穴64の螺旋面の高い右端部から方向W2の向きに緩やかに捩れて傾斜しながら下降する。このように、底面62は開口穴64の両側の螺旋面S2、S2から構成される。ここで、上半分の螺旋面S2は左端部から方向W1の向きに一定の角度で傾斜するが、中心線CLから斜線部扇型の角度Jの範囲で肉盛部Mを設け、それ以降はまた一定の角度で傾斜する。同様に、下半分の螺旋面S2は右端部から方向W2の向きに一定の角度で傾斜するが、中心線CLから斜線扇形の角度Gの範囲で肉盛部Mを設け、それ以降はまた一定の角度で傾斜する。ここで、肉盛部Mの斜線扇形の角度J、Gは夫々30度〜60度である。また、肉盛部Mは図示のように扇形状であり、外周側の幅は7mm〜10mm、内周側は3mm〜5mmで、山状になだらかに肉盛りしたその最大高さは0.1mm〜0.5mm程度である。このように螺旋面の一部に肉盛りを施すことによって、ロック状態が非常に良好になることを確認できた。即ち、支柱2を回転して固定金具を締め付ける際に、ロック棒67の係止棒671が肉盛部Mの山を越えるときに、肉盛部Mとロック棒671との間でロックが掛かり、締め付けがより堅固になる。一旦肉盛部Mの位置で締め付けが止まり、この山を越えるときに、締め付け力は増加する。このように上下の螺旋面S2に夫々肉盛部Mを設けることによって、支柱を天板に瞬時にロック・固着することができ、しかも、思いがけない衝撃等によってロック状態が解除されて、ついには、支柱が天板から外れて突然テーブルが崩れることがない。
【実施例2】
【0026】
本発明の実施例2について、図6、図7を参照しながら説明する。図6は、テーブルの斜視図である。図7は、天板及び底板の部品図である。
【0027】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、固定金具を支柱の上下両方に採用したところにある。一本の支柱の下方端部に固定金具を使用して底板に固着する一方、支柱の上方端部を固定金具を使用して天板に固着する。かつ、底板及び天板の双方から支柱を容易に取り外すことができる。
【0028】
図6(a)に示すテーブル200において、実施例1と同様の固定金具を使用することによって、上方は天板1に支柱2の先端部を固着し、一方、下方は底板4に支柱2の下端部を固着する。そして、使用後は天板、底板及び支柱の3体へと瞬時に分解して切り離すことができるので、運搬或いは保管の都合がよい。ここで、支柱2の直径は、76.3mm、100.6mm、139mm、210mm或いは280mmの薄肉円筒管を使用する。同図(b)では、テーブル200を逆さまにして固定金具の取付け状態を理解できるように示したものである。本図の上方の底板3の中央部に裏側から円状の固定金具6の第二基盤62を螺着し、この固定金具6の第一基盤61に図示しない表側から支柱2を固着する。底板3の裏側において、中心から放射状に5本のフラットバー31を貼設し、底板3の剛性強度を補強する。フラットバー31の先端の底板3の外周近傍には、アジャスタ9を設け底板の水平を微調整する。アジャスタ9を五個設けた場合、最も底板の水平を保つことが可能であり、特に天板の外径寸法が大きい場合にテーブルが倒れるのを防止する効果がある。また、底板3の中央部に裏側から固定金具6を螺着するにあたっては、小螺子をロックするために接着剤を流し込んで螺子の緩みを防ぎ、かつ、特殊の工具を使用しなければ螺子を緩めることができないように、螺子頭に特殊形状の溝を刻んだものを使用するとよい。なお、底板3の強度が高い場合は放射状のフラットバーを設けない。そして、先端の底板3の外周近傍に、直接アジャスタナットを複数箇所溶接し、これに夫々ボルトを螺着して底板3の水平を微調整する。一方同図下方の天板1側にも中心部に矩形状の固定金具6の第一基盤を螺着し、これに支柱2を固着する。この天板1の裏側においても、中心から放射状に4本のフラットバー11を貼設し、底板3の剛性強度を補強する。これらのフラットバー11は天板の下面を彫りこんで設けられており、外見的な出っ張りをなくしている。
【0029】
次に、天板及び底板側から支柱を取り外した状態の固定金具について、図7を参照しながら説明する。図7(a)は天板1から支柱2を外した状態を示し、同図(b)は底板3から支柱2を外した状態を示す。同図(a)では、天板1の裏面の中央部に固定金具6の固定部の第一基盤61を示し、この中央部に開口穴64が見える。同図(b)では、底板3の中央部に固定金具6の固定部の第一基盤61を示し、この中央部に開口穴64が見える。
【実施例3】
【0030】
実施例1では、固定金具を使用して支柱を天板に固着することを説明したが、本実施例は他の実施の態様であり、図8を参照しながら説明する。
【0031】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、固定金具を使用して底板に支柱を固着し、かつ、支柱を底板から容易に取り外すことができるようにしたところにある。以下、実施例1と相違する箇所について主に説明する。
【0032】
図8では陳列棚の例を示し、実施例1と同様の固定金具を使用して底板に支柱を固着したところにある。陳列棚300において、下方の底板3に固定金具6を使用することにより、左右の支柱2は左右の底板3に夫々着脱自在に連結される。底板3の表面には、固定金具6の第一基盤61を示す。付随的には、支柱2の軸方向に穿設した多数のスリット22を利用して、棚5を多段に設けることができる。
【0033】
ここで、陳列棚300の製品仕様の例を示す。支柱2は、外径50.8mm、肉厚1.9mm、高さは1,350〜1,600mm、或いは1800〜2,100mmである。底板3は厚さ4.5mmのスチール製板で、400〜500mmの大きさである。底板3は表面が鏡面にならないように、ショットブラストを施して梨地模様とし、或いはヘアーライン模様とする。その他、陳列棚200の支柱2として、他に一辺50mmの角パイプを使用することもある。支柱2はスチール、ステンレス又はアルミ製の円筒管であり、スチール製の場合はクロムメッキによる鏡面仕上げ、或いは、ショットブラスト処理を施した後クロムメッキをする。その他、黒色粉体塗装を施し、或いは、シルバー色を施すこと等により防錆効果を狙うこともある。また、テーブル及び陳列棚の固定金具の素材として、ステンレス材を使用する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
なお、本発明の固定金具の使途は、テーブル等家具、陳列棚等に限るものではなく、天板に支柱を着脱自在に固着する用途に適用させてもよい。例えば、天板の上で作業するために使用する作業台、机等に固定金具を使用することでも勿論よい。
【符号の説明】
【0035】
100、200 テーブル
300 陳列棚
1 天板
2 支柱
21 小穴、22 スリット
3 底板
5 棚
6 固定金具
610 固定部
620 回動部
61 第一基盤
611 底面
612 傾斜面
613 傾斜面
62 第二基盤、621 底面
63 嵌合突起
64 開口穴、641 丸穴、642 長穴、643 内周面
65 渡し板
66 嵌合部
67 ロック棒、671 係止棒、672 垂直棒
671a、671b、671c、671a‘、671b’、671c‘ 平坦面
68 巻きバネ
69 座金
71 第一基盤
74 開口穴
9 アジャスタ
K、L 角度
M 肉盛部
S1、S2 螺旋面
X 矢視
Y1、Y2、W1、W2 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に回動部を嵌設する支柱構造において、
前記固定部は、凹状の第一基盤と凹状の第二基盤とからなり、
これらの夫々の凹み同士が向き合ってその間に空洞が形成され、
前記固定部は天板又は/及び底板に固着され、
前記第一基盤に嵌合突起が突設され、
この嵌合突起の底面に開口穴が穿設されるとともに、
この開口穴の両側に、夫々緩やかに傾斜する螺旋面が形成され、
一方、前記回動部は円筒管からなる支柱の先端部に形成され、
前記先端部の直径方向に渡し板を橋絡し、
この渡し板のほぼ中央にT字状のロック棒を立設し、
前記固定部側の前記第一基盤の前記嵌合突起を、前記回動部側の前記先端部に挿嵌させるとともに、
前記T字状のロック棒の係止棒を前記底面の前記開口穴に挿通させ、
かつ、前記支柱を軸周りに回動させることによって、
前記係止棒が前記螺旋面に締め付けられながら、
前記固定部に前記回動部が係止される支柱構造であって、
前記空洞に、
前記第二基盤側から順に巻きバネ、座金及びT字状のロック棒が重装されることを特徴とする支柱構造。
【請求項2】
前記螺旋面に肉盛り部を設けることを特徴とする請求項1記載の支柱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−165854(P2012−165854A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28325(P2011−28325)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(594119427)共進産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】