説明

改善された曇り点と改善された貯蔵性とを有する燃料組成物

本発明は、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される反復単位とアルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される反復単位とを含む少なくとも1個のエステル基を有する0.05〜5質量%のポリマーを含有する少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物に関する。エステル基を含むポリマーは、5000〜100000g/molの範囲の分子量の質量平均を有する。更に、本発明は、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物中における流動促進剤としてのエステル基を含むポリマーの使用に関する。特に曇り点及び低温貯蔵性の改善に関して、驚くべき利点が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な原料を含む燃料組成物と、低温のバイオディーゼル系燃料の曇り点及び貯蔵性を改善するために燃料組成物中にエステル基を含むポリマーの使用とに関する。
【0002】
グローバルな鉱油の埋蔵量の減少と化石燃料の使用から生じるCO2のアンバランスに関する考察とによって、再生可能な原料に基づく代替物への関心が増加している。
【0003】
例えば、バイオエタノールは、市販の石油に添加されることがますます多くなってきている。ディーゼル燃料の場合、いわゆるバイオディーゼルが使用される。これは、異なる含有率で化石由来のディーゼルに添加することもできれば、又は純粋形態で使用することもできる。バイオディーゼルの利点は、地球上のCO2のバランスへの影響が少ないことである。例えば、これらの燃料を燃焼しても、二酸化炭素が生成されたバイオマスが貯蔵していたのと同じ量の二酸化炭素しか放出されない。これらの生物燃料の生成から得られる温室効果ガスを無視する場合、それらは、CO2のバランスに影響しない。
【0004】
バイオディーゼルは、多数の原料から得られるという利点を有する。典型的な原料は、植物油(即ち、トリグリセリド)、例えば、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油、コリアンダー油、綿実油、ヒマシ油、オリーブ油、落花生油、ジャトロファ油、ポンガミア・ピンナタ(Pongamia Pinnata)(クロヨナ)油、ナハール(nahar)油(セイロンテツボク)、トウモロコシ油、扁桃油、からし油、藻類油及び使用済み植物油である。更なる例としては、小麦、黄麻、ゴマ、シアバターノキの実に由来する油、落花生油及び亜麻仁油が挙げられる。動物由来の油脂を使用することも可能である。それらの例としては、牛脂、豚脂、鶏脂、骨油及び魚油、並びに野生動物及び家畜の屠殺において得られる更なる油脂などである。
【0005】
多くの場合、「バイオディーゼル」という用語は、脂肪酸エステル、通常、脂肪酸メチルエステル(FAME)と、0〜3個の二重結合を有する14個〜24個の炭素原子の脂肪酸成分の鎖長との混合物を意味すると理解される。炭素原子の数が多くなり且つ二重結合の数が少なくなるほど、FAMEの融点は高くなる。典型的な原料は、植物油(即ち、グリセリド)、例えば、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油であり、更にまれな例としては、使用済み植物油もある。これらは、通常、メタノールとのエステル交換によって塩基性触媒作用下で対応するFAMEに転化される。
【0006】
欧州において広く使用され且つ典型的には約5%、場合により更に6%超のC16:0+C18:0−FAMEを含む菜種油メチルエステル(RME)とは対照的に、パーム油メチルエステル(PME)は、約50%のC16:0+C18:0−FAMEを含有する。更に、同様に高いC16:0+C18:0−FAME含有率を、獣脂(例えば、牛脂)の類似誘導体が有する。このように高いロウ含有率は、典型的には最高2%の添加率で添加されるポリマー流動改善剤による影響をほとんど受けない。菜種油と比較して、パーム油は、1ヘクタール当たり3倍超の収穫量で生産される。このことにより、莫大な経済的利点が生じる。しかし、不利な点は、PMEの流動点が高く、約+12℃である。
【0007】
ポリアルキル(メタ)アクリレート(PA(M)A)が、M(M)Aを用いない(例えば、Shell Oil CompanyのUS3869396)若しくはM(M)Aを用いた(例えば、Rohm & Haas CompanyのUS5312884)鉱油に対する流動点改善剤として、又はエステル系潤滑剤に対する流動点改善剤として(Rohm & Haas CompanyのUS5696066)確立され、非常に長い間記載されてきた。しかし、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物におけるこれらのポリマーの使用は記載されていない。
【0008】
更に、刊行物WO01/40334(RohMax Additives GmbH)は、バイオディーゼル燃料に使用されるポリアルキル(メタ)アクリレートについて記載している。この刊行物は、これらのポリマーに例外的な特性を付与する特定の調製物を提供するものである。しかし、その中にはバイオディーゼル燃料に関する実施例がない。更に、エステル基を含む高い割合の特定の繰り返し単位を有するポリマーの利点は記載されていない。
【0009】
化石ディーゼル及びバイオディーゼルの混合物に対する油溶性ポリマー系流動改善剤も公知である(WO94/10267、Exxon Chemical Patents Inc.)。しかし、実施例において、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)並びにC12/C14−フマル酸アルキル及び酢酸ビニル単位を有するコポリマーのみが記載されている。WO94/10267においてエステル基を含む特定のポリマーの包括的且つ明白な記載はない。
【0010】
更に、ディーゼル/バイオディーゼル混合物に最適な一連のEVAコポリマーも公知になってきた(EP1541662〜664;WO2008/113735及びDE10357877)。例えば、EP1541663は、75体積%の鉱物由来ディーゼル燃料と25体積%のバイオディーゼルとを含む混合物について記載しており、これは、150ppmのポリ(ドデシルメタクリレート)及び100〜200ppmのエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)を含む。しかし、ここでは、必要に応じてEVAの使用が記載されている。しかし、EVAは、かなり高価な添加剤である。従って、EVAの使用を省くことができる代替物が望ましい。EP1541663において、エステル基を含む特定のポリマーの利点に対する参照はない。
【0011】
更に、WO2007/113035において、鉱物ディーゼル及びバイオディーゼルを含む燃料混合物のための添加剤が記載されている。更に、添加剤の添加を通してディーゼル/バイオディーゼル混合物において達成可能な低温特性は、必ずしも純粋なバイオディーゼル燃料に適用可能であるというわけではないが、それは、それらの沸騰挙動、それらの粘度、及び故にそれらの炭化水素組成が異なるためである。
【0012】
従って、先行技術に鑑みて、鉱物ディーゼル燃料のものと本質的に対応する特性プロファイルを仮定する場合に最大割合の再生可能原料を含む燃料組成物を提供することは、本発明の目的である。同時に、本燃料は、より具体的には非常に良好な低温特性を有するものとする。酸化に対する高安定性を有する燃料を提供することは、本発明の更なる目的であった。更に、本燃料は、最大セタン価を有するものとする。同時に、新規な燃料は、簡単に且つ安価に生成されるものとする。
【0013】
バイオディーゼルの曇り点を低下させ得る添加剤を提供することは、本発明の更なる目的であった。曇り点未満で貯蔵する場合に微量な沈殿物のみを示す燃料を提供することは、本発明の更なる目的であった。同時に、沈殿物のこの形成は、可能な限り長く遅延させるものとする。
【0014】
明確に示されていないが、導入として本明細書において考察されたつながりから直ちに推論されるか又は識別されるこれらの目的及び更なる目的は、請求項1の全ての特徴を有する燃料組成物によって達成される。本発明の燃料組成物の適切な変更は、請求項1に戻って参照する従属請求項において保護される。曇り点及び低温貯蔵性を改善するための流動改善剤としてのエステル基を含むポリマーの使用に関して、請求項17、18及び20は、問題の解決を構成する。
【0015】
従って、本発明は、燃料組成物が、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む、少なくとも1種のエステル基を含むポリマー0.05〜5質量%を含み、エステル基を含むポリマーが、5000〜100000g/molの範囲の質量平均分子量を有することを特徴とする、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物を提供するものである。
【0016】
これにより、予見できない方法において、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含み、優れた特性プロファイルを含む燃料組成物を提供することが可能になる。例えば、本燃料組成物は、とりわけ、驚くほど低い曇り点、非常に良好な低温貯蔵性、及び低温での優れた流動性を有する。
【0017】
更に、非常に高い割合のパーム油アルキルエステルを燃料に使用することができる。生態学的及び経済的理由のために、パーム油は、典型的に使用される菜種油よりも好ましい。例えば、パーム油の生産収穫量は、菜種油のものより著しく高い。更に、菜種の生産は、生態学的に有害な非常に大量の化学物質、とりわけ肥料及び作物保護組成物を使用する。同時に、菜種は、生産において自家不和合であり、輪作システムにおいて栽培されなければならず、同一の耕地における菜種の栽培は、3〜5年毎のみで可能である。この理由のため、菜種生産の更なる増加は困難である。
【0018】
しかし、パーム油アルキルエステルは、菜種油アルキルエステルと比較して、著しく高い曇り点(メチルエステルの場合、約+13℃)を示し;菜種油アルキルエステルの曇り点は、著しく低い(メチルエステルの場合、約−7℃)。特定の態様において、本発明は、低温特性が許容不可能値をとることなく燃料組成物を生成するために特に高い割合のパーム油アルキルエステルを使用することを可能にする。
【0019】
高い割合の飽和脂肪酸を有する他のバイオディーゼル燃料に関しても、同様の利点が確認される。とりわけ、非常に安価に入手可能な動物由来の脂肪を燃料源として使用することも可能である。
【0020】
本発明の燃料組成物は、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料成分を含む。バイオディーゼル燃料は、概ね鉱物ディーゼル燃料の代替物として使用することができる、野菜若しくは動物材料又は両方或いはその誘導体から得られる物質、とりわけ油である。
【0021】
好ましい実施形態において、しばしば「バイオディーゼル」又は「生物燃料」とも呼ばれるバイオディーゼル燃料は、好ましくは6個〜30個、より好ましくは12個〜24個の炭素原子を有する脂肪酸及び1個〜4個の炭素原子を有する一価アルコールの脂肪酸アルキルエステルを含む。多くの場合、脂肪酸の内の幾つかは、1個、2個又は3個の二重結合を含有することができる。一価アルコールとしては、とりわけ、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールが挙げられ、メタノールが好ましい。
【0022】
動物又は植物材料に由来し、本発明において使用される油の例としては、パーム油、菜種油、コリアンダー油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、落花生油、トウモロコシ油、扁桃油、パーム核油、ココナッツ油、からし油、獣脂、とりわけ牛脂に由来する油、骨油、魚油及び使用済み料理油がある。更なる例としては、穀物、小麦、黄麻、ゴマ、イネのもみ殻、ジャトロファに由来する油、落花生油及び亜麻仁油が挙げられる。驚くべき利点は、とりわけ、バイオディーゼルを製造するための反応物として、パーム油、大豆油、ジャトロファ油又は獣脂、とりわけ肉牛脂肪、鶏脂若しくは豚脂を使用する場合に達成される。好ましく使用するための脂肪酸アルキルエステルは、先行技術において公知の方法によって、これらの油から得られる。
【0023】
本発明において、高C16:0/C18:0−グリセリド含有率の油、例えば、パーム油及び獣脂に由来する油並びにその誘導体、とりわけ、一価アルコールから誘導されるパーム油アルキルエステルが好ましい。パーム油(更にパーム脂肪)は、パームの果肉から得られる。果実を滅菌し、圧縮する。果実及び油はカロチン含有率が高いため、橙赤色を有し、これは精製ステップにおいて除去される。該油は、最高80%のC18:0−グリセリドを含有することができる。
【0024】
特に適切なバイオディーゼル燃料は、低級アルキルエステルの脂肪酸である。本明細書の例としては、エチル、プロピル、ブチル、及びとりわけ、6個〜30個、好ましくは12個〜24個、より好ましくは14個〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、エラエオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸又はエルカ酸のメチルエステルの市販の混合物が挙げられる。
【0025】
本発明の特定の態様において、脂肪酸基中に少なくとも16個の炭素原子を有する飽和脂肪酸エステルを好ましくは少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも35質量%及び最も好ましくは少なくとも40質量%含むバイオディーゼル燃料を使用する。これは、とりわけ、パルミチン酸及びステアリン酸のエステルを含む。当業者に予見できなかった利点は、とりわけ、少なくとも6質量%、より好ましくは少なくとも10質量%及び最も好ましくは少なくとも40質量%のパルミチン酸メチルエステル及び/又はステアリン酸メチルエステルを含む燃料により達成される。
【0026】
費用の関係上、一般に、これらの脂肪酸エステルは、混合物として使用される。本発明において使用可能なバイオディーゼル燃料は、多くとも150、とりわけ多くとも125、より好ましくは多くとも70及び最も好ましくは多くとも60のヨウ素価を有することが好ましい。ヨウ素価は、不飽和化合物の脂肪又は油の含有率についての測度自体公知であり、これは、DIN53241−1により決定される。その結果、本発明の燃料組成物は、ディーゼルエンジン中において特に低レベルの沈積物を形成する。更に、これらの燃料組成物は、特に高いセタン価を示す。
【0027】
一般に、本発明の燃料組成物は、少なくとも40質量%、とりわけ少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%及びより好ましくは少なくとも95質量%のバイオディーゼル燃料を含むことができる。
【0028】
本発明の燃料組成物は、更に、少なくとも1種のエステル基を含むポリマーを0.05〜5質量%、好ましくは0.08〜3質量%及びより好ましくは0.1〜1.0質量%含む。
【0029】
本発明において、エステル基を含むポリマーは、以下でエステルモノマーと呼ばれる少なくとも1個のエステル基を有するエチレン性不飽和化合物を含むモノマー組成物を重合させることによって得ることができるポリマーを意味すると理解される。従って、これらのポリマーは、側鎖の一部としてエステル基を含有する。これらのポリマーとしては、とりわけ、ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)、ポリアルキルフマレート及び/又はポリアルキルマレエートが挙げられる。
【0030】
エステルモノマーは、それ自体公知である。それらとしては、とりわけ、(メタ)アクリレート、マレエート及びフマレートが挙げられ、これらは、異なるアルコール基を有することができる。「(メタ)アクリレート」という表現は、メタクリレート及びアクリレート、並びにこれらの2種の混合物を包含する。これらのモノマーは、広く知られている。本発明において、アルキル基は、直鎖状、環状又は分枝状であってよい。また、アルキル基は、公知の置換基を有することもできる。
【0031】
エステル基を含むポリマーは、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位及びアルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位を含有する。
【0032】
「繰り返し単位」という用語は、当該技術分野において広く知られている。エステル基を含む本発明のポリマーは、好ましくは、モノマーのフリーラジカル重合、ATRP、RAFT及びNMP方法によって得られ得、これらの方法は、後で説明されるが、本発明においてフリーラジカル方法の中に含まれ、これはいかなる制約も課さないものとする。これらの方法において、二重結合を開環し、共有結合を形成する。従って、繰り返し単位は、使用されるモノマーから得られる。
【0033】
エステル基を含むポリマーは、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位5〜99.9質量%、とりわけ20〜98質量%及びより好ましくは30〜60質量%を含有することができる。
【0034】
特定の態様において、エステル基を含むポリマーは、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位0.1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%及びより好ましくは40〜70質量%を含有することができる。
【0035】
更に、エステル基を含むポリマーは、アルコール基中に1個〜6個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%を含有することができる。
【0036】
エステル基を含むポリマーは、エステルモノマーから誘導される繰り返し単位を好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、とりわけ好ましくは少なくとも80質量%及び非常に特に少なくとも95質量%含む。
【0037】
エステル基を含む本発明のポリマーを得ることができる混合物は、式(I)
【化1】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R1は、1個〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R2及びR3は、各々独立して水素又は式−COOR’の基であり、式中、R’は、水素又は1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基である]
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物0〜40質量%、とりわけ0.1〜30質量%及びより好ましくは0.5〜20質量%を含有することができる。
【0038】
成分(I)の例としては、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート及びビニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
重合する組成物は、式(II)
【化2】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R4は、7個〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R5及びR6は、各々独立して水素又は式−COOR’’の基であり、式中、R’’は、水素又は7個〜15個の炭素原子を有するアルキル基である]
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物5〜98質量%、とりわけ20〜90質量%及びより好ましくは30〜60質量%を含有することが好ましい。
【0040】
成分(II)の例としては:
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、オレイル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート;並びに対応するフマレート及びマレエートが挙げられる。
【0041】
更に、好ましいモノマー組成物は、式(III)
【化3】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R7は、16個〜40個、好ましくは16個〜30個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R8及びR9は、各々独立して水素又は式−COOR’’’の基であり、式中、R’’’は、水素又は16個〜40個、好ましくは16個〜30個の炭素原子を有するアルキル基である]の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物0.1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%及びより好ましくは40〜70質量%を含む。
【0042】
成分(III)の例としては、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、
並びに対応するフマレート及びマレエートが挙げられる。
【0043】
長鎖アルコール基を有するエステル化合物、とりわけ成分(II)及び(III)は、例えば、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又は対応する酸と長鎖脂肪アルコールとを反応させることによって得ることができ、これは、一般に、エステルの混合物、例えば、異なる長鎖アルコール基を有する(メタ)アクリレートを生じる。これらの脂肪アルコールとしては、Oxo Alcohol(登録商標)7911、Oxo Alcohol(登録商標)7900、Oxo Alcohol(登録商標)1100;Alfol(登録商標)610、Alfol(登録商標)810、Lial(登録商標)125及びNafol(登録商標)型(Sasol);Alphanol(登録商標)79(ICI);Epal(登録商標)610及びEpal(登録商標)810(Afton);Linevol(登録商標)79、Linevol(登録商標)911及びNeodol(登録商標)25E(Shell);Dehydad(登録商標)、Hydrenol(登録商標)及びLorol(登録商標)型(Cognis);Acropol(登録商標)35及びExxal(登録商標)10(Exxon Chemicals);Kalcol(登録商標)2465(Kao Chemicals)が挙げられる。
【0044】
エチレン性不飽和エステル化合物の中で、マレエート及びフマレートよりも(メタ)アクリレートが特に好ましく、即ち、特に好ましい実施形態において、式(I)、(II)及び(III)のR2、R3、R5、R6、R8及びR9は、それぞれ水素である。
【0045】
好ましくは式(II)の7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される単位と、好ましくは式(III)の16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される単位との質量比は、広範囲内であってよい。アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位と、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位との質量比は、好ましくは5:1〜1:30の範囲内、より好ましくは1:1〜1:3の範囲内、とりわけ好ましくは1.1:1〜1:2である。
【0046】
成分(IV)は、とりわけ、式(I)、(II)及び/又は(III)のエチレン性不飽和エステル化合物と共重合することができるエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0047】
しかし、本発明における重合に特に適切なコモノマーは、式:
【化4】

[式中、
1*及びR2*は、各々独立して水素、ハロゲン、CN、1個〜(2n+1)個のハロゲン原子により置換される炭素原子1個〜20個、好ましくは1個〜6個及びより好ましくは1個〜4個を有する直鎖状又は分枝状アルキル基から成る群から選択され、この場合、nはアルキル基(例えば、CF3)の炭素原子数であり、1個〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素により置換される炭素原子2個〜10個、好ましくは2個〜6個及びより好ましくは2個〜4個を有するα,β−不飽和直鎖状又は分枝状アルケニル又はアルキニル基、この場合、nはアルキル基の炭素原子数であり、例えば、CH2=CCl−、1個〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素により置換される3個〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、この場合、nはシクロアルキル基の炭素原子数であり;C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y*)R5*2、NR8*2、これは、追加のR8*、アリール又はヘテロシクリル基で四級化することができ、この場合、Y*は、NR8*、S又はO、好ましくはOであってよく;R5*は、1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルチオ、OR15(R15は、水素又はアルカリ金属である)、1個〜20個の炭素原子のアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり;R6*及びR7*は、各々独立して水素若しくは1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、又はR6*及びR7*は一緒に、炭素原子2個〜7個、好ましくは2個〜5個を有するアルキレン基を形成することができ、この場合、これらは、3〜8員環、好ましくは3〜6員環を形成し、R8*は、水素、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル又はアリール基であり;
3*及びR4*は、独立して水素、ハロゲン(好ましくは、フッ素又は塩素)、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基及びCOOR9*から成る群から選択され、この場合、R9*は、水素、アルカリ金属若しくは1個〜40個の炭素原子を有するアルキル基であり、或いはR1*及びR3*は一緒に、式(CH2n'の基を形成することができ、これは、1個〜2n’個のハロゲン原子若しくはC1〜C4アルキル基により置換することができ、又は式C(=O)−Y*−C(=O)を形成することができ、[式中、n’は2〜6、好ましくは3又は4であり、Y*は上記に定義される通りであり;R1*、R2*、R3*及びR4*基の内の少なくとも2つは水素又はハロゲンである]に対応するものである。
【0048】
好ましいコモノマー(IV)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、
1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート;
アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
3−ジエチルアミノペンチルメタクリレート、
3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリル及び他の窒素含有メタクリレート、例えば、
N−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、
N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、
メタクリロイルアミドアセトニトリル、
2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、
シアノメチルメタクリレート;
アリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジルメタクリレート又は
フェニルメタクリレート、この場合、アリール基は、それぞれ非置換又は最大四置換することができ;
カルボニル含有メタクリレート、例えば、
2−カルボキシエチルメタクリレート、カルボキシメチルメタクリレート、オキサゾリジニルエチルメタクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニルメタクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン;グリコールジメタクリレート、例えば、1,4−ブタンジオールメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート;エーテルアルコールのメタクリレート、例えば、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、メトキシメトキシエチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、メトキシメチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート;
ハロゲン化アルコールのメタクリレート、例えば、2,3−ジブロモプロピルメタクリレート、4−ブロモフェニルメタクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、2−ヨードエチルメタクリレート、クロロメチルメタクリレート;オキシラニルメタクリレート、例えば、
2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレート、10,11−エポキシヘキサデシルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート;グリシジルメタクリレート;
リン、ホウ素及び/又はケイ素含有メタクリレート、例えば、2−(ジメチルホスファト)プロピルメタクリレート、2−(エチレンホスフィト)プロピルメタクリレート、ジメチルホスフィノメチルメタクリレート、ジメチルホスホノエチルメタクリレート、ジエチルメタクリロイルホスホネート、ジプロピルメタクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチルメタクリレート、2,3−ブチレンメタクリロイルエチルボレート、メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチルメタクリレート;
ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
複素環式(メタ)アクリレート、例えば、2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル;
スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、ビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
複素環式ビニル化合物、例えば、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニル及びイソプレニルエーテル;
(I)、(II)及び(III)の下で記載されるものと異なるマレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えば、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド;
(I)、(II)及び(III)の下で記載されるものと異なるフマル酸及びフマル酸誘導体が挙げられる。
【0049】
コモノマー(IV)の割合を、ポリマーの使用及び特性プロファイルに応じて変化させることができる。一般に、この割合は、0〜60質量%、好ましくは0.01〜20質量%及びより好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であってよい。燃焼性のため、及び生態学的な理由のため、芳香族基、複素芳香族基、窒素含有基、リン含有基及び硫黄含有基を含むモノマーの割合を最小にすることができる。故に、これらのモノマーの割合を、1質量%、特に0.5質量%及び好ましくは0.01質量%に制約することができる。
【0050】
コモノマー(IV)及び式(I)、(II)及び(III)のエステルモノマーは、各々個別に又は混合物として使用される。
【0051】
驚くべき利点は、とりわけ、あるとしてもヒドロキシル含有モノマーから誘導される単位を小さい割合だけ含むエステル基を含むポリマーによって達成される。このことは、とりわけ、酸基中に少なくとも16個の炭素原子を有する高い割合の飽和脂肪酸を有するバイオディーゼル燃料について当てはまる。従って、本発明の燃料混合物において好ましく使用するためのエステル基を含むポリマーは、ヒドロキシル含有モノマーから誘導される単位を多くとも5質量%、好ましくは多くとも3質量%、より好ましくは多くとも1質量%及び最も好ましくは多くとも0.1質量%含有することが好ましい。これらとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びビニルアルコールが挙げられる。これらのモノマーは、上記で詳述されている。
【0052】
同様に、あるとしても、式(IV’)
【化5】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R10は、OH基によって置換され、2個〜20個の炭素原子を有するアルキル基、又は式(V)
【化6】

[式中、
13及びR14は、各々独立して水素又はメチルであり、R15は、水素又は1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは、1〜30の整数である]のアルコキシル化基であり、
11及びR12は、各々独立して水素又は式−COOR’’’’[式中、R’’’’は、水素又はOH基によって置換され、2個〜20個の炭素原子を有するアルキル基である]の基、又は式(VI)
【化7】

[式中、
13及びR14は、各々独立して水素又はメチルであり、R15は、水素又は1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは、1〜30の整数である]のアルコキシル化基である]の酸素含有アルコール基を有するモノマーから誘導される小さい割合の繰り返し単位だけを含む、エステル基を含むポリマーによって、驚くべきことに良好な効率が示される。
【0053】
本発明における使用のためのエステル基を含むポリマーは、5000〜100000g/molの範囲内、好ましくは10000〜70000g/molの範囲内及びより好ましくは20000〜50000g/molの範囲内の分子量を有する。これらの値は、組成物中における多分散ポリマーの質量平均分子量Mwに基づく。このパラメータは、GPCによって決定される。
【0054】
不飽和エステル化合物を重合させることによって得られる好ましいコポリマーは、1〜10、より好ましくは1.05〜6.0及び最も好ましくは1.2〜5.0の範囲内の多分散度Mw/Mnを有することが好ましい。このパラメータは、GPCによって決定される。
【0055】
エステル基を含むポリマーの構築は、多くの適用及び特性において重要ではない。従って、エステル基を含むポリマーは、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーであってよい。
【0056】
ブロックコポリマー及びグラジエントコポリマーは、例えば、連鎖成長の間に非連続的にモノマー組成物を改変することによって得られる。式(I)、(II)及び/又は(III)のエステル化合物に誘導されるブロックは、少なくとも10、より好ましくは少なくとも30モノマー単位を有することが好ましい。
【0057】
上記の組成物からのポリアルキルエステルの製造は、それ自体公知である。従って、これらのポリマーは、特に、フリーラジカル重合及び関連方法、例えば、ATRP(=原子移動ラジカル重合)又はRAFT(=可逆的付加開裂連鎖移動)によって得られる。
【0058】
通例のフリーラジカル重合は、とりわけ、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Editionに記載されている。一般に、この目的のために重合開始剤及び連鎖移動剤が使用される。使用可能な開始剤としては、当該技術分野において広く知られているアゾ開始剤、例えば、AIBN及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、並びに更にペルオキシ化合物、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、tert−ブチル−ペルオクトエート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート、互いに2種以上の上記の化合物の混合物、並びに上記の化合物と記載されていないが同様にフリーラジカルを形成することができる化合物との混合物が挙げられる。適切な連鎖移動剤は、特に、油溶性メルカプタン、例えば、n−ドデシルメルカプタン又は2−メルカプトエタノール或いはテルペンのクラス由来の連鎖移動剤、例えば、テルピノレンである。
【0059】
ATRP方法は、それ自体公知である。それは「リビング」フリーラジカル重合であることを仮定するが、いかなるメカニズムの記載が制約を課すものではない。これらの方法において、遷移金属化合物を、移動性原子団を有する化合物と反応させる。これは、移動性原子団を遷移金属化合物に移動させ、これにより金属が酸化する。この反応は、エチレン基上に付加する基を形成する。しかし、原子団の遷移金属化合物への移動は可逆性であり、そのため、原子団を、成長するポリマー鎖に戻し、これは制御された重合系を形成する。ポリマーの構造、分子量及び分子量分布を対応して制御することができる。
【0060】
この反応は、例えば、J−S.Wang,et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.117,p.5614−5615(1995),by Matyjaszewski,Macromolecules,vol.28,p.7901−7910(1995)により記載されている。更に、特許出願WO96/30421、WO97/47661、WO97/18247、WO98/40415及びWO99/10387は、上記で説明したATRPの変形例を開示している。
【0061】
更に、本発明のポリマーは、例えば、RAFT法を介して得ることもできる。この方法は、例えば、WO98/01478及びWO2004/083169に詳細に示されており、それらに対する参照は、開示の目的のために明確に為される。
【0062】
更に、本発明のポリマーは、NMP方法(ニトロキシド媒介重合)により得ることが可能であり、これは、とりわけ、US4581429に記載されている。
【0063】
これらの方法は、特に更なる参考文献、とりわけ、K.Matyjaszewski,T.P.Davis,Handbook of Radical Polymerization,Wiley Interscience,Hoboken 2002に包括的に記載されており、それに対する参照は、開示の目的のために明確に為される。
【0064】
重合は、標準圧、減圧又は高圧で実施することができる。重合温度も重要ではない。しかし、一般に、−20℃〜200℃、好ましくは0℃〜130℃及びより好ましくは60℃〜120℃の範囲内である。
【0065】
重合は、溶媒の有無に関わらず実施される。溶媒という用語は、本明細書において広義で理解されるものとする。
【0066】
重合は、無極性溶媒中において実施することが好ましい。これらとしては、炭化水素溶媒、例えば、芳香族溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン、飽和炭化水素、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンが挙げられ、これらはまた、分枝状形態で存在することもできる。これらの溶媒としては、個別に及び混合物として使用される。特に好ましい溶媒は、鉱油、鉱物由来ディーゼル燃料、天然植物及び動物油、バイオディーゼル燃料及び合成油(例えば、アジピン酸ジノニル等のエステル油)並びに更にそれらの混合物がある。これらの中で、鉱油及び鉱物ディーゼル燃料が非常に特に好ましい。
【0067】
本発明の燃料組成物は、問題の具体的な解決を達成するために更なる添加剤を含むことができる。これらの添加剤としては、分散剤、例えば、ロウ分散剤及び極性物質用分散剤、解乳化剤、消泡剤、潤滑性添加剤、酸化防止剤、セタン価改善剤、界面活性剤、染料、腐食防止剤及び/又は付臭剤が挙げられる。
【0068】
例えば、本発明の燃料組成物は、例えば、EP−A−1541663に記載されているエチレンコポリマーを含むことができる。これらのエチレンコポリマーは、1種以上のビニル及び/又は(メタ)アクリル酸エステル8〜21mol%並びに79〜92質量%のエチレンを含有することができる。少なくとも1種のビニルエステル10〜18mol%、とりわけ12〜16mol%を含有するエチレンコポリマーが特に好ましい。適切なビニルエステルは、1個〜30個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基を有する脂肪酸から誘導される。例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル、並びに更に分枝状脂肪酸系ビニルアルコールのエステル、例えば、イソ酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノエート、イソノナン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル及びネオウンデカン酸ビニルが挙げられる。同様に適切なコモノマーとしては、アルキル基中に1個〜20個の炭素原子を有するアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−及びイソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート及び更にこれらのコモノマーの内の2種、3種若しくは4種又はそれ以上の混合物がある。
【0069】
ビニル2−エチルヘキサノエート、ネオノナン酸ビニル及びネオデカン酸ビニルの特に好ましいターポリマーは、エチレンとは別に、好ましくは3.5〜20mol%、特に8〜15mol%の酢酸ビニル及び0.1〜12mol%、特に0.2〜5mol%の特定の長鎖ビニルエステルを含有し、コモノマーの総含有率は、8〜21mol%の間、好ましくは12〜18mol%の間である。更に好ましいコポリマーは、エチレン及び8〜18mol%のビニルエステルに加えて、更に0.5〜10mol%のオレフィン、例えば、プロペン、ブテン、イソブチレン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及び/又はノルボルネンを含有する。
【0070】
エチレンコポリマーは、140℃、20〜10000mPas、特に30〜5000mPas、とりわけ50〜1000mPasの融解粘度に対応する分子量を有することが好ましい。1H NMR分光法により決定される分枝度は、好ましくは1〜9CH3/100CH2基、特に2〜6CH3/100CH2基、例えば2.5〜5CH3/100CH2基であり、これはコモノマーから生じない。
【0071】
かかるエチレンコポリマーは、とりわけ、DE−A−3443475、EP−B−0203554、EP−B−0254284、EP−B−0405270、EP−B−0463518、EP−B−0493769、EP−0778875、DE−A−19620118、DE−A−19620119及びEP−A−0926168に詳細に記載されている。
【0072】
エチレン酢酸ビニルコポリマー及びターポリマーに関して、エチレン及び酢酸ビニル繰り返し単位に加えて、更に(メタ)アクリル酸エステル繰り返し単位を有することが好ましい。これらのポリマーは、例えば、ランダムコポリマーとして、ブロックコポリマーとして、又はグラフトコポリマーとして構築される。
【0073】
好ましい実施形態において、本発明の燃料組成物は、0.0005〜2質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%のエチレンコポリマーを含むことができる。
【0074】
しかし、費用の関係上、上記のエチレンコポリマーの割合を更なる実施形態において省くことができ、この場合、著しい割合のエチレンコポリマーを含まないこれらの燃料組成物は、顕著な特性を有する。この特定の実施形態において、エチレンコポリマーの割合は、好ましくは多くとも0.05質量%、より好ましくは多くとも0.001質量%及び最も好ましくは多くとも0.0001質量%であってよい。
【0075】
上記の成分に加えて、燃料組成物は、更なる成分を含むことができる。これらとしては、とりわけ鉱物由来ディーゼル燃料が挙げられる。環境保護のため、鉱物由来ディーゼル燃料の割合は、多くとも60質量%、より好ましくは多くとも40質量%及び最も好ましくは多くとも15質量%に限定されることが好ましい。
【0076】
本発明の燃料組成物は、顕著な低温特性を有する。従って、エステル基を含むポリマーであって、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とを含む前記ポリマーを、0.05〜5質量%の濃度で、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物中における流動改善剤として用いる使用は、本発明の更なる態様を構成する。
【0077】
一層詳しくは、ASTM D97による流動点(PP)は、12℃以下、好ましくは10℃以下及びより好ましくは0℃以下の値を有することが好ましい。本発明における使用のためのポリマーを添加することのないバイオディーゼル燃料に基づいて、1℃、好ましくは3℃及び最も好ましくは5℃の流動点の改善を達成することは、予想外に可能である。
【0078】
DIN EN116により測定されるコールドフィルタ目詰まり点(CFPP)の限界は、好ましくは多くとも12℃、より好ましくは多くとも10℃及びより好ましくは多くとも0℃である。更に、ASTM D2500による好ましい燃料組成物の曇り点(CP)は、12℃以下、好ましくは10℃以下及びより好ましくは0℃以下の値を取ることができる。
【0079】
驚くべきことに、とりわけ、本発明における使用のためのエステル基を含むポリマーにより曇り点を低下させることが可能である。この低下は、特に高い割合の長鎖飽和脂肪酸単位を有するバイオディーゼル燃料の場合でさえ可能である。この知見は驚くべきことであるが、それは、とりわけ、通例の流動改善剤、とりわけCFPPに影響するように開発された例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)単位を有するポリマーが、化石ディーゼルの場合にパラフィンと、又は添加された燃料を冷却する場合に脂肪酸アルキルエステルと共結晶化することができるからである。これは、個々の結晶の更なる凝集を防止し、相対的に低い温度における燃料の濾過性を確保する。しかし、初晶の形成及びそれらが形成する温度は、かかる添加剤によって影響されない。曇り点は、定義上結晶化が始まる点であるので、曇り点がかかる添加剤によって影響されることはほとんどないことは明白である。故に、本発明は、エステル基を含むポリマーであって、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とを含む前記ポリマーを、0.05〜5質量%の濃度で、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物の曇り点を改善するために用いる使用をも提供する。
【0080】
この場合、曇り点は、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも2℃又は少なくとも3℃、最も好ましくは少なくとも5℃低下し得る。これらの数字は、本発明における使用のためのエステル基を含むポリマーの添加のないバイオディーゼル燃料の曇り点に基づく。
【0081】
エステル基を含む最高0.6質量%のポリマーの使用が驚くほど低い場合、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも3℃の曇り点の改善を達成することが、多くの場合可能である。
【0082】
本燃料組成物の更に驚くべき態様は、その顕著な低温貯蔵性である。従って、本発明の燃料組成物は、燃料の著しい分離や沈殿物の著しい形成を伴うことなく曇り点未満の温度でも貯蔵することができる。この態様は、とりわけ予想外に低い温度が短く生じる場合に本質的である。
【0083】
本発明の燃料組成物のDIN51773によるセタン価は、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも53、とりわけ少なくとも55及び最も好ましくは少なくとも58である。
【0084】
本発明の燃料組成物の粘度は広範囲内にあってよく、これは用途に調製される。この調製は、例えばバイオディーゼル燃料の選択を通して行うことができる。更に、粘度は、使用されるエステル基を含むポリマーの量及び分子量によって変化し得る。ASTM D445による40℃で測定された本発明の好ましい燃料組成物の動粘度は、1〜10mm2/s、より好ましくは2〜5mm2/s及びとりわけ好ましくは2.5〜4mm2/sの範囲内である。
【0085】
以下で実施例及び比較例を参照して本発明を示すが、これはいかなる制約も課さないものとする。
【0086】
実施例及び比較例
ポリマーを製造するための一般的方法
第1表における各場合において詳述される組成物における600gのモノマー組成物とn−ドデシルメルカプタン(所望の分子量に応じて20g〜2g)とを混合する。このモノマー/調節剤の混合物44.4gを、400gのキャリアオイル(例えば、100N鉱油、合成アジピン酸ジノニル又は植物油)と共に、サーベル撹拌機、凝縮器、温度計、供給ポンプ及びN2供給ラインを備えた装置の2L反応フラスコ中に入れる。装置を不活性化し、油浴を用いて100℃に加熱する。モノマー/調節剤の混合物の残りの量555.6gを1.4gのtert−ブチルペルオクトエートと混合する。反応フラスコ中の混合物が100℃の温度に達した際、0.25gのtert−ブチルペルオクトエートを添加し、ポンプによるモノマー/調節剤/開始剤の混合物の供給を同時に開始する。100℃にて、210分間に亘って均一に添加を行う。供給終了2時間後に、更に1.2gのtert−ブチルペルオクトエートを添加し、混合物を更に2時間100℃で撹拌する。60%透明濃縮物を得る。
【0087】
ポリマーの質量平均分子量Mw及び多分散指数PDIをGPCにより決定した。一組の≧25の標準物質(Polymer Standards Service又はPolymer Laboratories)から構成されるポリメチルメタクリレート較正曲線に対して35℃のテトラヒドロフランにおいて測定を行い、対数的に均一な様式において、このMpeakは、5×106〜2×102g/molに亘って分布した。6つのカラム(Polymer Standards Service SDV100Å/2x SDV LXL/2x SDV100Å/Shodex KF−800D)の組み合わせを使用した。信号を記録するため、RI検出器(Agilent1100シリーズ)を使用した。
【0088】
第1表:使用されるポリマーの特性
【表1】

SMA:アルキル基中に16個〜18個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート
LMA:アルキル基中に約10個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート、アルキル基は主に直鎖状
BhMA:アルキル基中に約22個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート
IDMA:アルキル基中に約10個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート、アルキル基は主に分枝状
DPMA: アルキル基中に12個〜15個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0089】
続いて、このように得られたポリマーを様々なバイオディーゼル組成物において検討した。このために、より具体的には、
15.0質量%の割合のパルミチン酸メチルエステルと6.8質量%の割合のステアリン酸メチルエステルとを有するインド由来のジャトロファ油から形成した脂肪酸メチルエステル(JME)、10.7質量%の割合のパルミチン酸メチルエステルと4.1質量%の割合のステアリン酸メチルエステルとを有する北米由来の大豆油から形成した脂肪酸メチルエステル(SME)、及び43.7質量%の割合のパルミチン酸メチルエステルと4.4質量%の割合のステアリン酸メチルエステルとを有するマレーシア由来のパーム油から形成した脂肪酸メチルエステル(PME)を使用した。使用したポリマーの量は、各場合において600ppmであった。
【0090】
低温特性を検討するため、ASTM D2500による燃料組成物の曇り点(CP)又は低温貯蔵性を決定した。
【0091】
FAMEの貯蔵に対する添加剤の影響を評価するため、添加剤を有する及び有さない試料を曇り点未満の温度で72時間貯蔵した(低温貯蔵試験、CST)。これは、Julaboクライオスタットにおいて行った。24及び72時間後、試料を視覚的に評価した。試料を1〜10のスケールで等級分けした。北米由来の大豆油からのメチルエステル(SME)及びマレーシア由来のパーム油からのメチルエステル(PME)を使用した。
【0092】
第2表:貯蔵後のバイオディーゼル試料の評価
【表2】

【0093】
得られた結果を第3、4表又は第4表に示す。
【0094】
第3表:燃料組成物の曇り点(CP)
【表3】

【0095】
第4表:−5℃でのSMEの貯蔵
【表4】

【0096】
第5表:10℃でのPMEの貯蔵
【表5】

【0097】
上記のデータは、バイオディーゼル成分を有する燃料組成物の低温貯蔵性が、エステル基を含むポリマーの添加によって驚くほど増加し得ることを明らかに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物であって、前記燃料組成物が、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む、少なくとも1種のエステル基を含むポリマー0.05〜5質量%を含み、前記エステル基を含むポリマーが、5000〜100000g/molの範囲の質量平均分子量を有することを特徴とする燃料組成物。
【請求項2】
少なくとも80質量%のバイオディーゼル燃料を含む、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項3】
前記エステル基を含むポリマーが、ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)、ポリアルキルフマレート及び/又はポリアルキルマレエートから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の燃料組成物。
【請求項4】
前記エステル基を含むポリマーが、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される単位40〜70質量%を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項5】
前記エステル基を含むポリマーが、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される単位30〜60質量%を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項6】
前記エステル基を含むポリマーが、式(I)
【化1】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R1は、1個〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R2及びR3は、各々独立して水素又は式−COOR’の基であり、式中、R’は、水素又は1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基である]
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物0〜40質量%、式(II)
【化2】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R4は、7個〜15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R5及びR6は、各々独立して水素又は式−COOR’’の基であり、式中、R’’は、水素又は7個〜15個の炭素原子を有するアルキル基である]
の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物10〜98質量%、及び式(III)
【化3】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、R7は、16個〜40個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、R8及びR9は、各々独立して水素又は式−COOR’’’の基であり、式中、R’’’は、水素又は16個〜40個の炭素原子を有するアルキル基である]の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物0.1〜80質量%を含むモノマー混合物を重合させることによって得られることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項7】
アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位と、アルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有するエステルモノマーから誘導される繰り返し単位との質量比が、1:1〜1:3の範囲内であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項8】
前記バイオディーゼル燃料が、1個〜4個の炭素原子を有する一価アルコールから誘導される脂肪酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項9】
前記モノエステルがメチルエステルであることを特徴とする、請求項8に記載の燃料組成物。
【請求項10】
前記燃料が、少なくとも6質量%のパルミチン酸メチルエステル及び/又はステアリン酸メチルエステルを含むことを特徴とする、請求項9に記載の燃料組成物。
【請求項11】
前記バイオディーゼル燃料が、脂肪酸基中に少なくとも16個の炭素原子を有する少なくとも35質量%の飽和脂肪酸エステルを含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項12】
前記バイオディーゼル燃料が、パーム油、大豆油、ジャトロファ油又は獣脂、とりわけ肉牛脂肪、鶏脂若しくは豚脂に由来することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項13】
前記燃料組成物が、少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の添加剤が、分散剤、解乳化剤、消泡剤、潤滑性添加剤、酸化防止剤、セタン価改善剤、界面活性剤、染料、腐食防止剤及び/又は付臭剤の群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の燃料組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のエステル基を含むポリマー0.1〜1質量%を含有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項16】
多くとも0.05質量%のエチレンコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の燃料組成物。
【請求項17】
エステル基を含むポリマーであって、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とを含む前記ポリマーを、0.05〜5質量%の濃度で、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物中における流動改善剤として用いる使用。
【請求項18】
エステル基を含むポリマーであって、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とを含む前記ポリマーを、0.05〜5質量%の濃度で、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物の曇り点を改善するために用いる使用。
【請求項19】
前記曇り点を少なくとも3℃低下させることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
エステル基を含むポリマーであって、アルコール基中に7個〜15個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とアルコール基中に16個〜40個の炭素原子を有する不飽和エステルから誘導される繰り返し単位とを含む前記ポリマーを、0.05〜5質量%の濃度で、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料を含む燃料組成物の低温貯蔵性を改善するために用いる使用。

【公表番号】特表2012−515236(P2012−515236A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545664(P2011−545664)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067983
【国際公開番号】WO2010/081634
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】