説明

改善された遮断性を有する高密度ポリエチレンフィルム

【課題】HDPEポリマーから製造された包装用途のための改善されたフィルムを提供する。
【解決手段】
3〜25重量%の樹脂及び97〜75重量%のポリエチレンを含む、延伸ポリエチレンフィルム(架橋されたフィルムを除く)であって、樹脂が10000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有し、ポリエチレンが0.95〜0.965g/ccの範囲の密度を有し、そしてASTM E−96法によって測定したフィルムの水蒸気透過率(MVTR)が、樹脂で変性しないフィルムと比較して10%〜50%減少している、前記のポリエチレンフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善された遮断性を有する高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムに関する。さらに詳細には、本発明は改善された湿分遮断性を有する、炭化水素樹脂を含むHDPEフィルム、及び該フィルムを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、その剛性、延性、遮断性、温度抵抗、光学的性質、入手可能性及び低いコストの組み合わせによって、広い種類の価値のある製品をつくるために有用なプラスティック材料である。
【0003】
テルペン及び水素化炭化水素樹脂の、延伸フィルムへ加工されるポリプロピレン(PP)のための変性剤としての使用は周知である。低分子量樹脂製品のポリプロピレンフィルムにおける用途に割り当てられるのいくつかの属性は、良好な光学的性質、延伸フィルム作成の際の改善された加工、より良好なシール特性、並びに望ましい機械的性質及び加工特性を含む。
【0004】
炭化水素樹脂(HCR)を延伸ポリプロピレンの湿分遮断性を改善するために使用することも周知である。遮断性を改善するための樹脂の有効性はPP自体の特性に高度に依存することが予期される。これらの特性は、そのPPの結晶度、樹脂とポリプロピレン非晶質領域との相溶性及び非晶質領域のガラス転移温度を含む。
【0005】
さらに、ポリプロピレンフィルムの遮断性における実質的な改善を生じるために、典型的には5〜25重量%の範囲の、高レベルの炭化水素樹脂が要求されることは一般に知られている。しかし、これらのレベルで樹脂を添加することは典型的には非延伸PPを過度に脆化させる。延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム中で、ポリマーに付与された延伸は延性への樹脂の悪影響を相殺し、遮断性における改善を付与するために必要な炭化水素樹脂の高い添加において良好な機械的性質を有するフィルムが製造できる。
【0006】
エチレンポリマーとポリプロピレンとの結晶度レベルにおける相違のために、ガラス転移温度、及び非晶質特性(線状対分岐脂肪族構造)、ポリエチレンフィルム内の炭化水素樹脂の影響は、延伸ポリプロピレンフィルムとの類似に基づいて厳格に予測できない。さらに、ほとんどのポリエチレンフィルムは、OPPフィルムと比較して比較的低い分子配向度を有するので.機械的性質を損ずることなく有効レベルで炭化水素樹脂をポリエチレンフィルム内へ組み込むための能力は問題の領域である。
【0007】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、公称上、ポリマー鎖内にほとんど分岐点を含まないエチレンの線状ホモポリマーである。その規則的な構造の結果として、HDPEは高度に結晶性の、典型的に135℃付近のピーク結晶融点を有する物質である。種々のタイプのHDPEがこの物質の密度によって特徴づけられ、それは典型的には0.940〜0.965(g/cc)の範囲である。密度はHDPE材料によって発現された結晶度の尺度であり、ここでより高い密度はポリマーによって発現されたより高い結晶度に関連する。機械的性質及び遮断性はHDPEポリマー内で発現された結晶度によって強く影響される。
【0008】
典型的な用途は、牛乳ビン、成型製品、軽量の消費者用バッグ及びゴミ袋のような吹き込み成形された容器、並びに種々のタイプのフィルム製品の製造におけるものである。
HDPEフィルム製品の1例は穀物製品を包装するために使用される内部ライナーである。この包装用途及び類似の包装用途において、非延伸PPまたは低密度PEフィルムに対して優れたHDPEの遮断性はHDPEフィルムへの非常に肯定的な属性である。1つのタイプの遮断特性は、包装された食物製品への、またはそれからの湿分の透過の防止に関する。
【0009】
種々の炭化水素樹脂を高密度ポリエチレンポリマー(HDPE)内に組み込むための方法への必要性が存在する。優秀な遮断性を有し、かつ望ましい機械的性質を保持するフィルムへの必要性も存在し、それによってフィルムがそれらのフィルムの改善された遮断性が価値を有する包装フィルム用途のために使用できる。さらに、炭化水素樹脂で変性されたHDPEのフィルムを製造するための高度に有効な方法についての必要性が存在する。種々のタイプの炭化水素樹脂をHDPEポリマーに加えてブレンドを形成し、そして該ブレンドからフィルムを形成することによって、HDPEフィルムそれだけから製造されたフィルムよりも改善された湿分遮断性を有する優秀な包装フィルムが製造できることが見いだされた。これらの改善された遮断フィルムは、湿分の損失(または獲得)の減少された速度が包装された物質の保存寿命を増すところの包装用途において価値を有する。反対の意味で、HDPEフィルムの遮断性を改善することによって、物質を包装するために使用されるフィルムの厚さを減じることができ、必要な包装材料の量を減じ、そして結果として包装フィルムに由来する塵芥の量を減じる。
【0010】
本発明の概要
約3〜約25重量%の樹脂及び約97〜約75重量%のポリエチレンを含むポリエチレンフィルム。この樹脂は標準としてポリスチレンを使用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定された、約10,000ダルトン未満の重量平均分子量Mwを有する。5,000ダルトン未満のMwの樹脂が好ましく、例えば少なくとも約500ダルトン〜約2,000ダルトンのMwを有する樹脂が最も好ましい。ポリエチレンは、ASTM D1505によって23℃で測定した約0.940〜0.970g/ccの範囲の密度を有する。遮断性は、好ましくは約0.940〜0.965g/ccの密度または結晶度として改善する。好ましくは、本フィルムは約3〜約15重量%の炭化水素樹脂を含む。
【0011】
この樹脂は、ジシクロペンタジエン(DCPD)に富んだオレフィン供給原料を熱重合することによって誘導される炭化水素樹脂をさらに含む。代わりに、樹脂はC9炭化水素供給原料流れの重合から誘導される炭化水素樹脂であり得る。上記炭化水素樹脂のいずれかが部分的または完全に水素化されていてもよい。
【0012】
代わりに、炭化水素樹脂は純粋なモノマーの重合から誘導されたものであることができ、この場合純粋なモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン及びビニルトルエンのような物質より成る群から選択される。
【0013】
代わりに、樹脂はテルペンオレフィンから製造され得る。
ポリエチレンフィルムはキャストフィルムまたは延伸フィルムを含むことができる。もし、ポリエチレンフィルムが延伸フィルムを含むのであれば、それは一軸または二軸に延伸されたフィルムを含む。二軸に延伸されたフィルムは、吹き込みフィルム法を通じて、またはテンターフレーム延伸法を通じて製造し得る。
【0014】
本発明はさらに、ポリエチレンフィルムの製造のためのマスターバッチ、その製造及びマスターバッチの使用に関し、この場合マスターバッチは樹脂及びエチレンポリマーを含み、ここで樹脂は標準としてポリスチレンを使用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定された、約10,000ダルトン未満の重量平均分子量Mwを有する。5,000未満のMwの樹脂が好ましく、例えば少なくとも約500ダルトン〜約2,000ダルトンのMwを有する樹脂が最も好ましい。エチレンポリマーは、ASTM D1505によって23℃において測定された、約0.87〜約0.965の範囲の密度を有する。マスターバッチはさらに、約2〜約25重量%のエチレンポリマー及び約98〜約75重量%の樹脂を含む。好ましくは、マスターバッチは約70〜約80重量%の樹脂を含む。
【0015】
本発明はまた、
a)ポリエチレンを樹脂とブレンドしてブレンドを形成する工程、及び
b)ブレンドを押し出してフィルムを形成する工程を含むポリエチレンフィルムの製造方法に関する。フィルムは約3〜25重量%の樹脂及び約97〜約75重量%のポリエチレンを含み、この場合樹脂は標準としてポリスチレンを使用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定された、約10,000ダルトン未満の重量平均分子量を有し、好ましくは樹脂のMwは5,000ダルトン未満であり、さらに好ましくは樹脂のMwは少なくとも500ダルトン〜約2,000ダルトンである。ポリエチレンは、ASTM D1505によって23℃において測定された、約0.95〜約0.965g/ccの範囲の密度を有する。
【0016】
好ましくは、ポリエチレン樹脂を製造する方法において、樹脂は炭化水素樹脂であり、そしてそれはフィルムにマスターバッチの形態で加えられ、この場合マスターバッチは炭化水素樹脂とエチレンポリマーとを含み、炭化水素樹脂は約5000ダルトン未満のMwを有し、そしてエチレンポリマーは約0.87〜約0.965g/ccの範囲の密度を有する。好ましくは、マスターバッチはさらに、約2〜約25重量%のエチレンポリマー及び約98〜約75重量%の炭化水素樹脂を含む。
【0017】
発明の詳細な説明
HDPEポリマーから製造されたほとんどの包装フィルムは、吹き込みフィルムまたはキャストフィルム法によって製造される。ポリプロピレンからOPP包装フィルムを製造するために使用される延伸法によって製造されるものは、より少ない。本発明はさらに、HDPEフィルムの遮断性を、樹脂をポリマー配合物に加えることによって改善するための方法に関する。さらに、本発明は、樹脂をHDPEフィルムに組み込む方法に関する。適用できる樹脂の(HDPEポリマーに対して)低いメルト粘度のために、フィルム形成工程中の樹脂のHDPEへの配合は困難であり、そして特別の添加技術が必要である。
【0018】
種々のタイプの樹脂(炭化水素樹脂を含む)がPPポリマー配合物に添加し得、これは続いて延伸フィルム(OPP)へと加工されて変性フィルムの遮断性を改善する。この用途のために好ましい樹脂は、種々のオレフィン炭化水素供給原料の重合から誘導される十分に水素化された生成物である。有用な樹脂の例は、C9炭化水素供給原料から誘導された重合生成物を水素化することによってつくられたRegalite(R)R−125樹脂(オランダ、Middelburgのハーキュリーズインコーポレーテッド)、主としてリモネンから成るテルペン供給原料を重合することによって製造されたPiccolyte(R)C125樹脂(デラウエア州ウイルミントンのハーキュリーズインコーポレーテッド)、またはPlastolyn(R)140樹脂(デラウエア州ウイルミントンのハーキュリーズインコーポレーテッド)若しくはEscorez(R)(Exxonケミカルコーポレーション)のような、ジシクロペンタジエン(DCPD)に富んだ供給原料の熱重合から誘導される水素化樹脂である。これらの例において、樹脂はPPポリマーの非晶質部分(これに樹脂が結合する)と特別の相互作用を有し、これはポリマーを透過するための湿分の能力を減じる。
【0019】
また、遮断性を改善するためにOPP中に炭化水素樹脂を使用することは周知であり、詳細に取り組まれてきており、ここでフィルム製造中に付与された延伸は遮断性に劇的に影響する。一例として、延伸PPフィルムは典型的に、非延伸フィルムに加工された同じPPフィルムよりも2.0〜2.5倍良好な遮断性を示す。さらに、PPフィルムを延伸することによって、伸張方向のその強度及び延性は劇的に改善され、その結果実質的な量の低分子量炭化水素樹脂の添加による脆化効果が克服され得る。
【0020】
延伸フィルムへと加工されたポリプロピレンの遮断性を改善するための炭化水素樹脂の使用は既知である。しかし、非延伸フィルム製造における、この方法によって改善された遮断性を達成する能力は乏しいと定義され、なぜなら実質的な量の樹脂の非延伸フィルムへの組み込みは典型的にフィルム製品が使用に非実際的となるレベルにまで延性を減じるからである。炭化水素樹脂を使用して、HDPEまたはポリプロピレン以外のポリマーから製造した包装フィルムの遮断性を改善する能力も乏しいと定義される。本発明は、優秀な遮断性を有する有用なHDPE包装フィルムを、炭化水素樹脂を組み込むことによっていかにして製造するかを説明し、そしてこれらの改善されたフィルムを製造するための、有効でコスト効率のよい方法を教示する。
【0021】
改善された遮断性を有するHDPE包装フィルムは、炭化水素樹脂をHDPEポリマー内に溶融ブレンドしてブレンドを形成すること、及びブレンドをフィルムへと押し出すことの方法によって製造できる。本発明において有用なHDPEポリマーは約0.940〜0.970の範囲の密度を有し、ここで約0.955〜約0.965の範囲に入る生成物が好ましい。同様に、本発明に有用なHDPEは約0.1〜約100dg/分の範囲のメルトインデックス(190℃、2.3kg荷重、ASTM D−1238によって決定)を有し得るが、約0.5〜約10.0dg/分の間のメルトインデックスを有するポリマーが、本発明の包装フィルムを製造するために使用される押出法のために最も好ましい。HDPEフィルムは、HDPE包装フィルムを加工するために一般に使用されるキャストフィルム法または吹き込みフィルム法によって製造できる。HDPE包装フィルムの製造のために適した他のフィルム加工技術も、本発明のフィルムを製造するために使用できる(例えばテンターフレーム)。
【0022】
本発明において利用できる炭化水素樹脂(HCR)は、オレフィン供給原料を重合することによって誘導される低分子量物質である。これらの樹脂は標準としてポリスチレンを使用したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定された、約10,000ダルトン未満の重量平均分子量Mwを有する。5,000ダルトン未満のMwの樹脂が好ましく、例えば少なくとも約500ダルトン〜約2,000ダルトンのMwを有する樹脂が最も好ましい。この樹脂は、C5オレフィン流れ、C9オレフィン流れまたはDCPDに富むオレフィン流れのような石油クラッキングから誘導される粗オレフィン供給材料から誘導し得る。この樹脂は柑橘類製品から誘導されるリモネンのようなテルペンオレフィンからも製造し得る。この樹脂はスチレンまたはメチルスチレンモノマーのような純粋なモノマー流れからも誘導し得る。脂肪族タイプの樹脂が好ましい。残存芳香族特性のほとんどない水素化樹脂も好ましい。
【0023】
本発明の利点の中には、改善された湿分遮断性を有する包装フィルムの製造がある。湿分遮断性はASTM E−96法によって測定でき、そこではフィルムの水蒸気透過率(MVTR)を100°F、90%相対湿度で試験する。HDPEフィルムを炭化水素樹脂で変性することによって、未変性フィルムを超える、10%〜50%のMVTRの減少が達成できる。
【0024】
樹脂は典型的に砕けやすい、低いMw及び低いメルト粘度のダスト状物質であるので、それらをフィルムの製造において押し出し工程中にHDPEに添加することは困難である。樹脂をHDPEに組み込むための有効な方法は、最初に、ポリマー担体と組み合わせた高濃度の樹脂を有するマスターバッチを形成することである。このマスターバッチは次にHDPEポリマーへ添加できる。マスターバッチ中の樹脂は続いてフィルム押し出し中にHDPEポリマーとブレンドされる。好ましいマスターバッチ配合物は、できるだけ高い樹脂含量を有し、良好な取り扱い特性を有し、フィルム形成工程中にHDPEポリマーに加えたときに十分に加工でき十分にブレンドされるべきである。
【0025】
本発明はHDPEポリマーから製造された包装用途のための改善されたフィルムに関し、該フィルムはHDPEのみから製造された慣用のフィルムよりも改善された遮断性を示す。この改善はフィルムを通る湿分透過性を約10%より多く減じるために、さらに典型的には約20〜約40%湿分透過を減じるために、HDPEポリマー内に有効量の炭化水素樹脂を組み込むことから成る。これらのフィルムは乾燥条件での湿分の過剰な損失、または湿った条件での湿分の吸収のいずれかによって悪影響され得る食物製品を包装するために特に有用である。本発明は、フィルム形成工程中に炭化水素樹脂をポリマーに直接加えるために使用できる樹脂マスターバッチ配合物の使用によってこれらのフィルムを製造するための方法にも関する。
【0026】
本発明のフィルムを製造するために使用されるHDPEポリマーは約0.940〜約0.970の範囲の密度を有し得、ここでは約0.955〜約0.965の範囲内の密度を有するHDPEポリマーが好ましい。HDPEポリマーの密度はASTM D1505によって23℃で測定されたものである。遮断性はHDPEポリマーの密度または結晶度が増加するにつれて改善され、そしてこの理由から実際的に最も高い密度の物質が好ましい。HDPEポリマーは約0.1〜約100dg/分の範囲のメルトインデックス(190℃、2.3kg荷重)を有し得るが、約0.5〜約10.0dg/分のメルトインデックスを有するポリマーが最も好ましい。
【0027】
HDPEポリマーからフィルムを製造するために適したどのような方法でも本発明において使用し得る。本発明のフィルムは押出キャスティング法によって製造でき、この場合ポリマーはスリットダイを通ってキャスティングロール上押し出され、そしてポリマーは溶融状態にある間に最終フィルム厚に引き延ばされる。本フィルムは吹き込みイルム法によっても製造でき、この場合ポリマーは円筒チューブ構造へと押し出され、これが溶融ポリマー内の内部空気圧を使用して最終フィルム厚に膨らまされ、その寸法に膨張させる。これらはHDPE包装フィルムを製造するための最も通常の加工方法であるが、テンター延伸法のような他の修正フィルム加工技術が本発明のフィルムを製造するために使用できる。
【0028】
本発明において有用な樹脂生成物は、オレフィン供給原料を重合することによって誘導されるいかなる低分子量ポリマーでもあり得、この物質の重量平均分子量(Mw)は約20,000ダルトン未満である。適切な樹脂は約10,000未満のMwを有し、5,000未満のMwの樹脂、例えば約500〜約2,000の樹脂が好ましい。樹脂のMwは標準としてスチレンを使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定される。この樹脂は石油クラッキング法において生じる粗オレフィン供給原料から誘導できる。これらの粗オレフィン供給原料の例は、オレフィン分子あたりの平均炭素原子数5を有する軽質オレフィン画分(C5供給原料)またはオレフィン分子あたり平均9の炭素原子を有する環式オレフィン(C9供給原料)を含む。エチレンのクラッキングから誘導されるDCPDに富むオレフィン流れから製造された樹脂も本発明において有効に使用できる。有用な樹脂はまた、柑橘類製品から誘導されるリモネンのようなテルペンオレフィンから製造できる。最後に、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン及びビニルトルエンより成る純粋なモノマー流れの重合から誘導される樹脂が本発明において利用できる。HDPEに相溶性であるために、樹脂は特性において本質的に脂肪族であるべきであり、そしてこの理由から残存芳香族特性がほとんどない水素化樹脂が好ましい。淡い色及び熱安定性から、十分に水素化された樹脂生成物が好ましい。
【0029】
本発明において有用な樹脂の一例は、粗C9供給原料流れの重合、続いての接触水素化から誘導される樹脂である。C9供給原料は、石油分解中に製造される、1分子あたり約9炭素原子を有する炭化水素オレフィン成分からなるオレフィン流れと定義される。C9供給原料中に見いだされるオレフィンの例は、スチレン、α−メチルスチレン、インデン、種々のメチル置換インデン、4−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、その他のオレフィンを含むがこれらに限定されない。得られた樹脂生成物は特性において芳香族であるが、接触水素化によって脂肪族タイプの樹脂に転化できる。水素化とは、樹脂内の残存オレフィン基及び樹脂内の芳香族単位が水素によって還元されることによって飽和種に転化されることを意味する。水素化反応は、種々の条件下、例えば約150℃〜約320℃の範囲の温度、約50〜約2000psiの水素圧を使用して実施できる。さらに典型的には、水素化は、約200℃〜約300℃の温度で実施されて望まれる樹脂を生成する。これらの樹脂を水素化するための典型的な触媒はカーボンブラックのような担体上に担持されたNi金属である。この場合、好ましいタイプの生成物は、約90%より多い芳香族単位、好ましくは95%より多い芳香族単位が水素化された樹脂である。このタイプの樹脂の例は、オランダ、Middelburgのハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるRegalite(R)R−25樹脂、または荒川ケミカル社から入手できるArkon(R)P−125樹脂である。
【0030】
本用途において有用な樹脂の他の例は、スチレン、αメチルスチレン、4−メチルスチレン、ビニルトルエンのような純粋モノマー、またはこれら若しくは類似の純粋モノマー供給原料の組み合わせの重合から誘導される樹脂である。この重合によって製造される生成物は特性において芳香族であるが、接触水素化によって脂肪族タイプの樹脂に転化できる。これらの樹脂を水素化するために使用される方法は、上述したC9供給原料から誘導される樹脂を水素化するために適した方法に類似する。純粋なモノマーのオリゴマーの水素化から誘導されるこれらの樹脂は種々の程度に水素化でき、この場合樹脂中の約20〜約100%の芳香族基が飽和単位に減じられる。好ましくは約90%より多い水素化単位が水素化されるべきであり、さらに好ましくは約95%より大きい水素化度である。これらの樹脂の例はハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるRegalrez(R)1139樹脂またはRegalrez(R)1126樹脂である。
【0031】
本発明において有用な樹脂は、テルペンオレフィンの重合から誘導でき、例はα−ピネン、β−ピネン、またはd−リモネンのようなモノマーのカチオン重合である。これらの樹脂は脂肪族タイプの物質であり、そして水素化は脂肪族性を達成するために必要ではない。しかし、樹脂中の残存オレフィン基を飽和するための水素化は、本発明の一部として使用できやすい、より大きな熱安定性の樹脂を製造するために実施し得る。このタイプの樹脂の例は、ハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるPiccolyte(R)A−135及びPiccolyte(R)C−125樹脂を含む。
【0032】
本発明のために最も好ましい樹脂は、ジシクロペンタジエン(DCPD)に富むオレフィン供給原料を熱重合することによって誘導される。このタイプの樹脂は、約50〜100%のDCPDを含むオレフィン流れを約200〜325℃の範囲の温度で熱的に反応させて樹脂生成物を生成させることによって製造でき、この樹脂は水素化できて、約5000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)値を有する完全に飽和された物質を形成する。これらの樹脂の水素化は必要ではないが、しかし良好な熱安定性を備えた低い着色のDCPD樹脂生成物を達成するためにそれは非常に好ましい。一例として、表示85%のDCPDを含むDCPD供給原料は、DCPDを約260〜約300℃の範囲の温度へ、適切な時間、典型的には温度に依存して約10〜約200分、DCPDを加熱して樹脂を製造することによって樹脂生成物へと転化させて樹脂を形成でき、これは水素化及び揮発成分除去のためのストリッピング後に約100℃〜約170℃の範囲の、ASTM D28−67によって決定された環球(R&B)軟化点、脂肪族特性及び約5000未満のMwを示す。このタイプの樹脂の例はハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるPlastolyn(R)140樹脂またはExxonケミカルコーポレーションから入手できるEscorez(R)5340である。
【0033】
HDPE及び炭化水素樹脂のブレンドを含む本発明のフィルムは、有利な遮断性を示す。本発明のフィルムを製造するための1つの方法は、炭化水素樹脂のフレークまたは小球を直接HDPE形成ペレットに加えて、そして、2成分を溶融ブレンドするための混合装置としてのフィルムキャスティング押出機を使用してこのブレンドを直接フィルムに加工することである。しかし、炭化水素樹脂生成物の砕けやすく、ダスト状の性質、及びこれらの物質の通常のプラスティック加工温度における低い粘度によって、この技術は商業的用途で実施することが困難である。HDPEフィルムの製造に典型的に使用されるシングルスクリュー押出機を使用した、5%より多い炭化水素樹脂を含むブレンドを加工することに関するダストの問題及び押し出しの問題がこの工程を困難にする。
【0034】
炭化水素樹脂とHDPEとのブレンドを製造するための他の方法は、成分を最終フィルム内で望まれる比率で組み合わせ、そして樹脂とHDPEとの間の大きな粘度の不釣り合いにもかかわらず、成分の配合が可能な押出機またはバッチ混合装置を使用してブレンドを溶融配合することである。典型的にはこの配合はダストを取り扱える施設において行われる。材料をブレンドした後、溶融ブレンドは多孔ダイを通して押し出し、そして押出物をストランドペレット製造または水中ペレット製造のような典型的な技術を使用して冷却及び切断することによって固体のペレット形に加工される。これらの配合されたブレンドは典型的な商業的条件下で押し出されそしてフィルムへと加工できる。この技術の欠点はフィルムへ加工される全ての材料がその関連コストと共に配合工程を通過させなければならないことである。この工程は最終フィルム内の樹脂の量を生える柔軟性をフィルム製造者に提供しない。
【0035】
炭化水素樹脂をHDPE内に組み込む他の有効な方法は、高い濃度の樹脂をポリマー担体中に含むマスターバッチの製造によるものである。樹脂をポリマーと共にその中に配合することによって樹脂のダスト化は最小化される。さらに、樹脂とブレンドされたポリマーは溶融粘度が増加し、その結果マスターバッチは、樹脂単独よりも、フィルム加工温度において、はるかに高い溶融粘度を有する。この方法において粘度を修正することによって、マスターバッチはさらに慣用のポリマーのように加工でき、そしてそれはフィルム押出の間に、炭化水素樹脂単独でできるよりもHDPEポリマー内にさらに容易に配合できる。本発明の重要な面は、このタイプの用途のための経済的に有効な方法で製造できる新規なマスターバッチ配合物の開発である。
【0036】
本発明の炭化水素樹脂マスターバッチは、約60〜約80%の樹脂を含み、、そして高い配合効率で製造し得る。好ましくは、70〜80%の炭化水素樹脂を含む高い配合効率で製造したマスターバッチ。これらの改善されたマスターバッチは、エチレンポリマーをマスターバッチ中の炭化水素樹脂と組み合わせて使用することによって製造できる。
【0037】
本発明のマスターバッチ中で、炭化水素樹脂は、約60〜約80%、好ましくは約70〜約80%のレベルで、ポリオレフィンと配合され得る。これらの条件下で、両方の成分の相対的な流動学的性質は、良好な配合効率を達成するための重要な条件である。一例として、ポリプロピレンが担体のとき、成分の混合は、ブレンドが、加工できるポリマーが十分に可塑性になるポリエチレンの融点を示す約165℃まで達成できない。しかし、この温度において、炭化水素樹脂は、ポリプロピレンに対して非常に低い粘度を有する。材料を配合する物理的操作は、流動学的不均衡、過剰の混合時間及び材料をブレンドするための強度によって困難である。
【0038】
低いMwの炭化水素樹脂は非常に厳格な粘度/温度依存を示すので、配合が起こる温度の小さな変化が樹脂の粘度を大きく増し、そして樹脂がポリマー中に配合できる効率を増す。ポリオレフィンを変性するために有用なほとんどの樹脂は約100〜約140℃の範囲に入る軟化点を有する。60%より多い炭化水素を含むマスターバッチを製造するときに高い配合効率を達成するために、マスターバッチ中に使用される結晶ポリオレフィンポリマーは、樹脂の環球(R&B)軟化点(ASTM D28−67の使用により得られた)よりも約10℃より大きくない結晶融点を有しなければならない。この制約内で、担体としてエチレンポリマーを使用することが望ましく、ここでエチレンポリマーは典型的に約120〜約140℃の範囲の結晶融点、及びマスターバッチ中に使用されるポリマーまたはポリマーブレンドの、0.87〜0.965g/ccの範囲に入る密度によって例示される結晶度を有する。1−ブテンから誘導されるポリマーも約100〜約140℃の範囲内に入る融点を持つ他の1−オレフィンポリマーまたはコポリマーのようにそれらの低い融点によって適切である。
【0039】
固体形態に迅速に結晶化する樹脂/ポリマーブレンドの能力も、高い配合効率のために重要な基準である。ポリプロピレン及びポリブテンのようなポリマーは、約60%よりも大きいレベルで炭化水素樹脂内に配合されたときは非常にゆっくり結晶化し、そして結果として高速でこれらのブレンドからペレットを形成することが困難である。対照的に、ポリエチレンタイプの結晶性は、たとえポリマー濃度が最終ブレンド中で約20%程度に低くても、これらのブレンド中で非常に迅速に発現する。この速い固化は、高い配合効率を促進する。結果として、いくらかの量のポリエチレンタイプの結晶性がこれらの改善されたマスターバッチ中に存在することが好ましい。
【0040】
これらの樹脂マスターバッチ中でポリオレフィンによって発現される結晶度の望ましいレベルはポリマーを基準として10〜70%であることができ、これはマスターバッチのための最終用途及びマスターバッチをペレット化するために使用される方法の両方に依存する。水中ペレット製造が使用されたときは、早くそして完全なコンパウンドの硬いペレットへの固化が受容でき、かつ望まれる、高い結晶度のポリマーが使用できる。ストランドペレット製造において、ストランドは非常に迅速に伸張に対する抵抗を発現するがストランドは破壊を防ぐためのかなり延性が必要であり、中程度の結晶度レベルのポリマーまたはポリマーブレンドが望まれる。最適の遮断性を達成するようなある用途においては、最終ブレンドにおける結晶度を最大化することが望ましく、そして結果としてマスターバッチ中に使用されるポリマー内の高い結晶度が望まれる。
【0041】
これらのマスターバッチ配合物中に使用されるポリマーは、0.1〜10dg/分のメルトインデックス(MI)(190℃、2.16kg荷重)を有することができる。より高いMIを有する物質は低いMwの樹脂とより容易に混合される。しかし、より低いMIポリマー(より高いMw)を使用するブレンドはより高いメルト強度及びより高いメルト粘度を有し、結果としてストランドまたはペレットに成形するのがより容易であり、そしてマスターバッチがフィルム加工中にポリマーにブレンドされるときのより良好な加工特性をも有する。これらの相反する制約のために、マスターバッチ中に使用されるポリマーは好ましくは0.5〜5.0dg/分のMIを有する。
【0042】
本発明の変性されたHDPEフィルムは、上述の技術のいずれかを使用して樹脂をHDPE内に組み込むことによって製造できる。好ましい方法は、マスターバッチ法であり、この場合50〜80%、好ましくは60〜80%の樹脂を含むコンパウンドがHDPEポリマーに加えられて、ブレンドが形成され、これからフィルムが直接製造される。マスターバッチ中に使用されるポリマーがフィルムの遮断性を損なわないことが望ましく、結果として好ましい樹脂は約0.91g/ccより大きい密度を有する結晶ポリエチレンポリマーである。
【0043】
本発明のHDPEは、同じフィルム形成条件下で同じHDPEポリマーから製造された、樹脂を含まない対照フィルムより10〜50%良好な湿分遮断性を示す。いくつかの樹脂は他のものよりもさらに有効であるので、必要樹脂添加レベルは望まれる遮断性改善及び使用される樹脂のタイプに依存する。
【0044】
HDPEフィルム中に有効な結果を伴って使用される炭化水素樹脂の例は、オランダ、Middelburgのハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるMBG273TM水素化C9樹脂、Regalrez(R)1139水素化スチレン−ビニルトルエンコポリマー樹脂、及びDCPDモノマーの熱重合によって製造される、Plastolyn(R)140(両方ともデラエウア州ウイルミントンのハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できる)を含む。好ましい樹脂はDCPD供給原料を熱重合することによって形成される樹脂生成物から誘導される水素化生成物である。この好ましい樹脂のタイプの例は、ハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるPlastolyn(R)140樹脂及びExxon Chemical Co.から入手できるEscorez(R)5300及びEscorez(R)5320樹脂を含む。
【0045】
炭化水素樹脂葉3〜25%のレベルでHDPEフィルム内に組み込まれることができるが、変性の好ましいレベルは、3〜15%の炭化水素樹脂をフィルム内に組み込むことによる。樹脂含量を増加することは、HDPEフィルムの機械的性質のいくつかを犠牲にするが、典型的にフィルムの遮断性におけるさらなる改善を生じる。最適な樹脂添加レベルは典型的にはこれらの2つの効果のトレードオフである。
【0046】
以下の実施例は本発明を例示するために役立ち、そして他に示さない限り重量による。
【実施例】
【0047】
実施例1〜3
これらの実施例において、炭化水素樹脂は0.965の密度及び9.0dg/分のメルトインデックスを特徴とするHDPEポリマー(Alathon(R)M6580HDPE、Lyondell
Petrochemical
Companyから入手できる)に配合される。実施例1においては、[ハーキュリーズインコーポレーテッドから入手できるPlastolyn(R)140DCPD樹脂20%、及び80%のHDPE]のブレンドが予備混合され、そしてブラベンダー反対回転ツインスクリュー押出機に供給された。押出機温度は140〜200℃に調節され、そしてポリマーブレンドが供給口の欠乏供給状態を維持する速度で添加された。配合されたブレンドは2ホールダイを通して押し出されて2つのストランドを形成し、これらは水浴中で冷却されそしてペレット化された。
【0048】
実施例2aにおいて、HDPE内にブレンドする炭化水素樹脂がハーキュリーズインコーポレーテッドからのRegarez1139樹脂であったことを除き、同様の20%の樹脂を含有するコンパウンドを製造した。同様に、実施例3においては、オランダのハーキュリーズインコーポレーテッドによって製造されたMBG2737TM樹脂(140℃の軟化点の水素化C9樹脂)をHDPE中に20%レベルで配合した。
【0049】
炭化水素樹脂のHDPEポリマーとの溶融及び混合は、この樹脂レベルで容易に達成され、ブレンドのペレット化について問題は観察されなかった。これらのブレンドにおける低い樹脂含量のために、それらは非常に有用な樹脂マスターバッチではない。"比較実施例1(
比較実施例1において、キャストフィルム試料を、24/1
L/D比を有するブラベンダーシングルスクリュー押出機を使用して、HDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6580)をフィルムに押し出すことによって製造した。押出機は、5”直径キャスティングロールのフィルムキャスティング装置と連結された6”幅調整可能リップフィルムダイに連結されていた。押出機のフィルムダイ及びダイ端部を250℃に加熱し、そして押出機速度を、約1.75ミルの表示厚さのフィルムにHDPEを引き延ばすために、キャスティングロールの速度に沿って調節した。主キャスティングロールの温度は、ロールを通る80℃の循環水によって制御した。より高いキャストロール温度が、良好な外観及び適切な平面度のキャストHDPEフィルムを製造するために必要とされる。これらの条件下でHDPEを加工することによって製造されるキャストフィルムの例を試験のために収集した。
【0050】
実施例4〜12
一連のHDPEキャストフィルムを製造し、ここでは実施例1〜3の炭化水素樹脂コンパウンドをHDPE(Alathon(R)M6580HDPE、Lyondell Petrochemical Companyから入手できる)と組み合わせ、樹脂変性ブレンドを形成し、これを試験のためにフィルムへと直接キャストした。実施例4において、実施例1のPlastolyn(R)140樹脂コンパウンドの1部をHDPEの3部と組み合わせ、そしてブレンド(5%樹脂を含む)を、比較実施例1において記述したものと同じ条件を使用して表示厚さ約1.75ミルのフィルムへとキャストした。実施例5において、同様のフィルムを製造し、ここではブレンドの組成は、1部のHDPE(10%樹脂含量)と組み合わせた実施例1の炭化水素樹脂コンパウンドの1部であった。実施例6において、より高い15%樹脂含量のフィルムを、実施例1のPlastolyn(R)140コンパウンドの3部をHDPEの1部と組み合わせることによって製造した。
【0051】
実施例7〜9において、変性されたHDPEフィルムを、実施例2のRegalrez(R)1139コンパウンドを変性剤として炭化水素樹脂をHDPEフィルム内に組み込んだことを除き、実施例4〜6のフィルムと同じ方法で製造した。実施例10〜12におけるのと同様に、変性HDPEフィルムを、実施例3のMBG273TM樹脂マスターバッチをHDPEフィルムを変性するために使用したことを除き、実施例4〜6におけるのと同様に製造した。
【0052】
実施例4〜12のHDPE配合物を押し出すときに、HDPEのみからフィルムをキャスティングすることに比較して、問題は観察されなかった。ブレンドをフィルム内に押し出すときに、樹脂を十分にHDEP内にブレンドした。そして押出生産量についての悪影響は何ら示されなかった。Plastolyn(R)140水素化DCPD樹脂及びMBG273TM水素化C9樹脂で変性されたキャストフィルムは、比較実施例1のフィルムと同様またはそれより良好な表面外観及び平滑性を有していた。Regalrez(R)1139樹脂によって変性された実施例7〜9のフィルムは非常に粗い表面のきめを示すが、薄い、ピンホールのないフィルムに加工できた。全てのフィルムは典型的なHDPEの不透明度を示し、そして未変性HDPEフィルムに類似の剛性及び延性を示した。これらの変性フィルムの湿分遮断性を下の表1に示した。遮断性を1.5〜2.0ミルの範囲の厚さを有するフィルムについて測定した。湿分遮断性はフィルム厚さを増すにつれて改善され、そして全ての比較は同じフィルム厚さでなされたことに注意すべきである。
【0053】
【表1】

【0054】
Regalrez(R)1139樹脂は、低い樹脂添加レベルで湿分遮断性を改善するために非常に有効であった。追加の遮断性改善は、5%より高い樹脂添加レベルについて示されなかった。Plastolyn(R)140水素化DCPD樹脂で変性されたフィルムは非常に平滑な表面外観を有し、そしてMVTRにおける有意な改善を示した。湿分遮断性における改善は樹脂含量が5%より多く増されるにつれて増加する。MBG273TM水素化C9樹脂は、HDPEフィルムの遮断性を改善するために有効であったが、Plastolyn(R)140水素化DCPD樹脂よりも低度であった。"実施例13〜15(
実施例13において、[50%のPlastolyn(R)140水素化DCPD樹脂、及び50%のHDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6580HDPE)]の物理的ブレンドを、ブラベンダー D−6ツインスクリュー押出機を使用して実施例1〜3と同じ方法で配合した。成分は均質な溶融ブレンドに効率的に配合された。押出機温度は溶融温度を最小化するように調節され、その結果配合された押出物は、その後にペレット化される(2)のストランドに形成されるために十分なメルト強度を有した。押し出されたストレンドは水浴に入った後、ほとんどただちに固い形態に固化したが、まだ温かい−熱い状態であったことに注意すべきである。速い固化は、迅速なポリエチレン結晶度による。ストランドの破壊を生じるストランドの脆性を防止するために、冷却時間を最小化し、そしてストレンドを熱く維持することが必要である。
【0055】
実施例14において、実施例13のマスターバッチをHDPEと14%のレベルで組み合わせ、7%のPlastolyn(R)140樹脂を物理的ブレンドに組み込んだ。このブレンドを比較実施例1に記述した方法で表示1.75ルの厚さのフィルムへとキャストした。実施例15において、実施例13のマスターバッチをHDPEと28%のレベルで組み合わせ、14%のPlastolyn(R)140樹脂をブレンド内に組み込み、そしてキャストフィルムをこのブレンドから実施例14におけるものと同じ方法で製造した。
【0056】
実施例14及び15のフィルムは外観において平滑であり、そして良好な物理的性質を示した。これらのフィルムの湿分遮断性を、比較実施例1及び実施例4〜6のフィルムと一緒に測定した。これらの性質を下の表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例13の高い樹脂濃度のマスターバッチを使用して製造した実施例14及び15のフィルムは、炭化水素樹脂が低い濃度でHDPE内にブレンドされた変性フィルムにと同等の良好な外観、良好な機械的性質及び湿分遮断性の改善を示した。Plastolyn(R)140樹脂の実施例14または15のHDPEフィルム内への不十分な混合の証拠は示されなかった。炭化水素樹脂の高い添加量のマスターバッチをの使用は、樹脂をHDPEフィルム内に組み込む有効な方法である。
【0059】
実施例16〜17
実施例16及び17において、配合産業において使用される典型的なタイプの装置であり、かつ樹脂マスターバッチコンパウンドを製造するために適切な32mmの同時回転ツインスクリュー押出機を使用して製造した、高い添加量の炭化水素樹脂を含むマスターバッチを製造した。
【0060】
実施例16においては、[55%のPlastolyn(R)140樹脂、及び45%のHDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6580HDPE)]から成るブレンドをデイビススタンダード D−Tex32mmツインスクリュー押出機の供給口に供給した。連続重力計量配合はMaguire Productsによって供給される重量スケールブレンダーを使用して達成された。この押出機は適切なスクリュー設計及びスクリュー速度を使用して欠乏供給原料モードで操作され、材料を1つのパスに効率的に配合した。押出機温度及びスクリュー速度は、170℃付近のメルト温度を維持するために調節された。配合効率は優秀であり、そして樹脂及びHDPEは約100ポンド/時の速度で均質な押出物へと配合できた。配合されたブレンドを(4)のストランドへ押し出し、これを続いてペレット化した。成分の均質メルトへの物理的混合が優秀な速度で達成でき、そして押しだしたストランドが温水浴内の最小の接触によって効率的にペレット化できる状態へ固化されたことに注意すべきである。全体の配合速度は結局ペレット化機の約70〜80ポンド/時への最大速度によって制限された。60%のPlastolyn(R)140樹脂濃度でマスターバッチを製造する試みは、成分の物理的配合は非常に効率的であることを示し、そして押しだされたストランドは迅速に固化し、そして容易にペレット化された。より高い樹脂レベルにおいてストランドが脆く砕けやすい傾向であったことを除き、60%のレベルでの配合は55%のレベルでのものと同様に効率的であった。55%のレベルにおいては、最小のストランドの破損が起こった。
【0061】
実施例16において、効率的に配合できる最大樹脂レベルは、コンパウンドをペレット化するために使用される方法によって制限された。もし、水中ペレット製造または水リングペレット製造が使用されると、ストランド破損からの複雑化が除去され、そして60%以上の樹脂添加量での樹脂マスターバッチが、高い製造効率で製造できた。配合された混合物の非常に迅速な固化速度と結合した、炭化水素樹脂が物理的にエチレンタイプのポリマーへと配合できる容易さは、高い配合速度及び効率を達成するために重要な基準である。
【0062】
実施例17においては、[27.5%のRegalrez(R)1139樹脂、27.5%のPlastolyn(R)140樹脂、及び45%のHDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6580HDPE)]から成るブレンドを実施例16のマスターバッチと同じ様式で配合し、同様の結果を得た。
【0063】
比較実施例2及び3
比較実施例2において、キャストフィルムを、0.960密度及び2.0メルトインデックスを有するキャストフィルムグレードのHDPEポリマー(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6020HDPE)から製造した。表示2.0ミル厚さを有するフィルムをこの材料から、比較実施例1に記述されるのと同じ手順によって製造した。比較実施例3において、0.960の密度及び1.0メルトインデックスを有する吹き込みフィルムグレードのHDPE樹脂(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6210HDPE)を、比較実施例1及び2におけるのと同じ方法で表示2.0ミルのフィルムへとキャストした。
【0064】
実施例18〜21
これらの実施例において、0.960密度及び2.0メルトインデックスを有するキャストフィルムグレードのHDPEポリマー(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6020HDPE)を、実施例16及び17において記述した55%炭化水素樹脂マスターバッチの8%または15%のいずれかとブレンドすることによって変性し、た。これらは4.4%または8.2%の樹脂添加量レベルのいずれかとなる。表示2.0ミルの厚さのフィルムをこれらのブレンドから比較実施例1〜3において記述したものと同様の方法でキャストした。実施例18において、実施例16のPlastolyn(R)140樹脂マスターバッチを、8%レベルでキャストフィルムグレードHDPEポリマーに添加し、実施例19においてはレベルを15%に増した。
【0065】
実施例20において、Regalrez(R)1139樹脂及びPlastolyn(R)140樹脂両方の等量から成る実施例17のマスターバッチを、キャストフィルムグレードHDPEポリマーに8%レベルで添加した。実施例21においては、ブレンド中の実施例17のマスターバッチのレベルを15%に増した。
【0066】
実施例18〜21のフィルムをキャスティングするのに、困難さはなかった。製造したフィルムは良好な外観及び機械的性質を示した。これらのフィルムの湿分遮断性を引張性と共に測定し、比較結果を下の表3に列挙した。
【0067】
【表3】

【0068】
これらの結果は、炭化水素樹脂が、50%より多い炭化水素樹脂を含む樹脂マスターバッチをHDPE内へブレンドすること、及びフィルム押し出し工程中に樹脂マスターバッチをHDPE内に混合させることによって、HDPEフィルムへと直接組み込むことができたことを示す。
【0069】
Regalrez(R)1139樹脂及びPlastolyn(R)140樹脂の両方を含むマスターバッチが加えられた実施例20及び21のフィルムは、非常に良好な外観及び表面性を示す。比較によって、Regalrez(R)1139樹脂のみを含むマスターバッチで変性されたHDPEフィルムは不規則な表面特性を示した。より高い15%のマスターバッチレベルで変性された実施例21のフィルムもまた、Plastolyn(R)140樹脂を含む実施例16のマスターバッチ15%で変性された比較実施例19のフィルムよりも、少し良好な遮断性を示した。
【0070】
実施例22〜25
これらの実施例においては、0.960密度及び1.0メルトインデックスを有する吹き込みフィルムグレードのHDPE(Lyondell
Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6210HDPE)を配合物中に使用したことを除き、実施例18〜21におけるものと同様の方法に製造した。実施例16及び17のマスターバッチをHDPEに添加することによってフィルムを変性し、そして表示2.0ミルの厚さを有するキャストフィルムを、実施例18〜21のフィルムと同じ方法で製造した。湿分遮断性及び引張性を下の表4に列挙し、そして比較実施例3の未変性HDPEフィルムの性質と比較した。
【0071】
【表4】

【0072】
Plastolyn(R)140DCPD樹脂に加えてRegalrez(R)113を含む実施例24及び25のフィルムは良好な表面外観を示す。15%のマスターバッチ添加レベルを有する実施例25のフィルムは、実施例16のPlastolyn(R)140マスターバッチの15%レベルで変性された実施例23のフィルムよりも少し良好な遮断性を示した。
【0073】
実施例26〜29及び比較実施例4
これらの実施例は、非常に高い樹脂レベルを含む炭化水素樹脂マスターバッチの効率的な製造及び変性HDPEフィルムを製造するためのこれらのマスターバッチの有効な使用を示す。
【0074】
比較実施例4において、[50%のPlastolyn(R)140DCPD樹脂及び50%ポリプロピレン(PDC(R)1208ポリプロピレン、Montell
USA
Inc.から入手できる)]から成る混合物を、ブラベンダー
D−6モデル同時回転ツインスクリュー押出機を使用して配合した。この樹脂レベルにおいて、メルトの均質性はボーダーラインであり、そして配合されたストランドはペレット化されるのにかろうじて十分な均一性及び一様さを有した。コンパウンドの均質性を改善するために、ペレット化したコンパウンドを2回目に押出機を通すとき、ストランドの均一性は有意に増した。しかし、第2回目の通過の後でさえ、コンパウンドのペレット化は困難であった。ストランドは、ペレット製造機がストランドをきれいに切断できないのに十分に軟らかいままであり、むしろ切断はストランドの大きな程度の伸張を伴う、ぼろぼろの裂けを生じ、ペレットを不透明白色に変えた。55%の樹脂レベルの同様のマスターバッチを製造する試みは、不適切な混合によって及び押しだされたブレンドが非常にゆっくりと固化したので失敗した。
【0075】
実施例26において、ブラベンダー D−6ツインスクリュー押出機を使用して、[75%のPlastolyn(R)140樹脂、10%のHDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6580HDPE)及び15%のポリエチレン(Engage(R)8440メタロセンPE、Dow Chemical Companyから入手できる)]を比較実施例4と同様の条件下で同じ速度で配合した。実施例26の混合物は該押出機中で非常に効率的に溶融ブレンドされ、そして最初の配合パスの後のメルト均質性は良好でった。押しだされたストランドは、比較実施例4におけるよりもはるかに迅速に固化し、そしてマスターバッチのペレット化には問題はなかった。高い樹脂含量によって、押し出したストランドは、約60℃以下未満に過剰に冷却させると、過度に脆化する傾向があった。実施例26のマスターバッチは非常に迅速に固化したが、あまり冷却すると脆化する傾向があったので、このタイプの生成物は、ストランドペレット製造によるよりもダイフェースペレット化装置を使用してはるかに効率的にペレット化できた。
【0076】
実施例27においては、[78%のPlastolyn(R)140DCPD樹脂+22%の線状低密度ポリエチレン(オランダDSMから入手できるStamylex1016LF LLDPE)から成るブレンドを実施例26及び比較実施例4と同じ方法で、ブラベンダーツインスクリュー押出機を使用して配合した。Stamylex1016LF LLDPEは、0.919の密度及び1.1のメルトインデックスのオクテンに基づくLLDPEポリマーである。この高い樹脂レベルにおいてさえ、混合効率及び押し出した均質性は非常に良好であり、そしてブレンドされたマスターバッチはストランド化及びペレット化できた。78%の樹脂レベルにおいてさえ、押出物は驚くべきことにストランドペレット化されるのに十分なメルト強度を有し、そしてストランドはペレット化が問題でないように迅速に固化した。最終のマスターバッチコンパウンドは結晶のように透明なペレットのブレンドであって、ペレットは非常に脆いが、最小のダスト化または亀裂特性を示した。78%の水素化樹脂を含む実施例27のマスターバッチを比較実施例4のマスターバッチと同じ速度で製造したが、比較実施例よりも少ない配合の困難性を有した。約50%より多い樹脂を含む炭化水素樹脂マスターバッチを製造するためには、マスターバッチが実際的な速度で配合され得るように、前に記述した基準に従って、担体ポリマーを選択することが必要である。
【0077】
表示2.0ミル厚のHDPEフィルムをHDPE(Lyondell Petrochemical Companyから入手できるAlathon(R)M6020HDPE)から、比較実施例2に記述したものと同じ方法でキャストした。実施例28において、変性されたHDPEフィルムを、実施例26において記述したPlastolyn(R)140樹脂マスターバッチ13%を87%のHDPEと組み合わせ、そして比較実施例2に記述したのと同じ方法でブレンドから直接、表示2.0ミルの厚さのフィルムをキャスティングすることによって製造した。実施例28のフィルムをつくるために実施例26の樹脂マスターバッチ75%を加えたことは、HDPEポリマーの押し出しに悪影響を有しなかったことが注目される。実施例28において製造したフィルムの品質及びこれらのフィルムを製造するときの加工性は、未変性の比較実施例2のフィルムを製造するときに観察された結果と同等かまたはそれより優れていた。
【0078】
実施例29は、実施例27の78%Plastolyn(R)140樹脂マスターバッチ13%を、実施例28におけるのと同じ方法でHDPEとブレンドすることによって製造した。加工特性及びフィルム品質は、実施例29のフィルムを製造するために、HDPEポリマーに実施例27の78%樹脂マスターバッチを加えることによって影響されなかった。炭化水素樹脂は実施例27の炭化水素樹脂マスターバッチをHDPEに加え、そしてキャストフィルムを直接ブレンドから押し出すことによってHDPE内に効率的に分散された。
【0079】
実施例28及び29双方において、10%レベルのPlastolyn(R)140樹脂を、実施例26及び27の濃縮マスターバッチの使用によってHDPEフィルム内に効率的に組み込んだ。そのように高い樹脂添加の樹脂マスターバッチの使用によるフィルム加工への悪影響は示されなかった。
【0080】
ここに提示された実施例は、本発明を構成することが意図されるのではなく、むしろそれは本発明の特定の態様のいくつかを例示するために提出されている。本発明の種々の修正及び変形が請求の範囲の範囲から逸脱することなくなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜25重量%の樹脂及び97〜75重量%のポリエチレンを含む、延伸ポリエチレンフィルム(架橋されたフィルムを除く)であって、樹脂が10000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有し、ポリエチレンが0.95〜0.965g/ccの範囲の密度を有し、そしてASTM E−96法によって測定したフィルムの水蒸気透過率(MVTR)が、樹脂で変性しないフィルムと比較して10%〜50%減少している、前記のポリエチレンフィルム。
【請求項2】
樹脂が5000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項3】
フィルムが3%〜15%の樹脂を含む、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項4】
樹脂が、さらにジシクロペンタジエン(DCPD)に富むオレフィン供給原料を熱重合することによって誘導された樹脂を含む、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項5】
樹脂が、さらにC9炭化水素供給原料流れの重合から誘導される樹脂を含む、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項6】
樹脂が、さらに水素化樹脂を含む、請求項4または5のポリエチレンフィルム。
【請求項7】
樹脂が、さらに純粋なモノマーの重合から誘導される樹脂を含む、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項8】
純粋なモノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン及びビニルトルエンより成る群から選択される、請求項7のポリエチレンフィルム。
【請求項9】
樹脂がテルペンオレフィンから製造される、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項10】
テルペンオレフィンがリモネンを含む、請求項9のポリエチレンフィルム。
【請求項11】
ポリエチレンフィルムがキャストフィルムから成る、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項12】
ポリエチレンフィルムが延伸フィルムから成る、請求項1のポリエチレンフィルム。
【請求項13】
延伸フィルムが二軸延伸フィルムから成る、請求項12のポリエチレンフィルム。
【請求項14】
二軸延伸フィルムが吹き込みフィルム法によって製造される、請求項13のポリエチレンフィルム。
【請求項15】
二軸延伸されたフィルムがテンターフィルム延伸法によって製造される、請求項14のポリエチレンフィルム。
【請求項16】
樹脂及びエチレンポリマーを含むポリエチレンフィルムの製造のためのマスターバッチであって、樹脂が10000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有し、エチレンポリマーが0.87〜0.965g/ccの範囲の密度を有し、エチレンポリマーが、ASTM D28−67によって決定された樹脂の環球(R&B)軟化点よりも10℃より大きくない結晶融点を有し、そしてASTM E−96法によって測定したフィルムの水蒸気透過率(MVTR)が、樹脂で変性しないフィルムと比較して10%〜50%減少している、前記のマスターバッチ。
【請求項17】
樹脂が5000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項16のマスターバッチ。
【請求項18】
エチレンポリマーが0.90〜0.965g/ccの範囲の密度を有する、請求項16のマスターバッチ。
【請求項19】
マスターバッチが2〜40重量%のエチレンポリマー及び98〜60重量%の樹脂を含む、請求項16のマスターバッチ。
【請求項20】
樹脂がマスターバッチの70〜80重量%を構成する、請求項19のマスターバッチ。
【請求項21】
樹脂が、さらにジシクロペンタジエン(DCPD)に富むオレフィン供給原料を熱重合することによって誘導された樹脂を含む、請求項16のマスターバッチ。
【請求項22】
樹脂が、さらにC9炭化水素供給原料流れの重合から誘導される樹脂を含む、請求項16のマスターバッチ。
【請求項23】
樹脂が、さらに水素化樹脂を含む、請求項21または22のマスターバッチ。
【請求項24】
樹脂が、さらに純粋なモノマーの重合から誘導される樹脂を含む、請求項16のマスターバッチ。
【請求項25】
純粋なモノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン及びビニルトルエンより成る群から選択される、請求項24のマスターバッチ。
【請求項26】
樹脂がテルペンオレフィンから製造される、請求項16のマスターバッチ。
【請求項27】
テルペンオレフィンがリモネンを含んで成る、請求項26のマスターバッチ。
【請求項28】
a)ポリエチレンを樹脂とブレンドしてブレンドを形成する工程
b)ブレンドを押し出してフィルムを形成する工程
を含む、延伸ポリエチレンフィルム(架橋されたフィルムを除く)の製造方法であって、フィルムが3〜25重量%の樹脂及び97〜75重量%のポリエチレンを含み、樹脂が10000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有し、ポリエチレンが0.95〜0.965g/ccの範囲の密度を有し、そしてASTM E−96法によって測定したフィルムの水蒸気透過率(MVTR)が、樹脂で変性しないフィルムと比較して10%〜50%減少している、前記の方法。
【請求項29】
樹脂が5000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項28の方法。
【請求項30】
炭化水素樹脂がマスターバッチの形態である、請求項28の方法。
【請求項31】
マスターバッチがさらに請求項16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26のマスターバッチから成る、請求項30の方法。
【請求項32】
ブレンドはスリットダイを通してキャスティングロール上に押し出され、そしてブレンドを溶融状態である間に最終フィルム厚さに延伸する工程をさらに含む、請求項28の方法。
【請求項33】
ブレンドがチューブに押し出され、そして該チューブを内部空気圧を使用して最終フィルム厚さに膨らませる工程をさらに含む、請求項28の方法。
【請求項34】
ブレンドをテンターフレーム上で最終フィルム厚さに膨らませる工程をさらに含む、請求項28の方法。

【公開番号】特開2009−102651(P2009−102651A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18509(P2009−18509)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【分割の表示】特願平11−503342の分割
【原出願日】平成10年6月5日(1998.6.5)
【出願人】(301050474)イーストマン ケミカル レジンズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】