説明

改変放出ロキソプロフェン組成物

【課題】本発明は、疼痛及び/又は炎症の治療のために、パルス又は持続態様で薬剤を有効に送達するロキソプロフェン若しくはその塩又はその誘導体を含む、改変放出組成物に関する。
【解決手段】前記組成物は、第1のロキソプロフェン要素及び1の後続のロキソプロフェン要素を含むことができ、第1のロキソプロフェン要素は即時放出要素を含み、後続のロキソプロフェン要素は改変放出要素を含むような組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2005年5月9日に出願された米国仮出願第60/679517号出願、2006年3月10日に出願された米国出願第11/372857号出願の利益を請求し、1998年11月2日に出願された米国仮出願第60/106726号出願の利益を請求する1999年11月1日に出願された同様にPCT出願第PCT/US99/25632号出願の継続出願である、現在の米国特許第6228398号で同様に2000年5月8日に出願された米国出願第09/566636号出願での継続出願である、現在の米国特許第6730325号で同様に2001年5月7日に出願された米国出願第09/850425号出願の継続出願であり、米国特許第6902742号で同様に2002年12月30日に出願された米国出願第10/331754号出願の継続出願である、現在の米国特許第6793936号で2003年1月30日に出願された米国出願第10/354483号出願の継続出願である、2004年4月19日に出願された米国出願第10/827689号出願の一部継続出願である、2006年3月10日に出願された米国出願第11/372857号出願の一部継続出願である。
発明の分野
本発明は、疼痛及び炎症の治療のための新規な組成物及び剤型に関する。特に、本発明は、ロキソプロフェン若しくはその塩又はその誘導体の送達のための新規な組成物及び剤型、並びにそれらを用いる治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、フェニルプロピオン酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のプロドラッグである。経口投与の場合、体内(主として肝臓及び腎臓)でトランスOH体に代謝され、潜在的な抗炎症活性を呈する。ロキソプロフェンは、炎症領域に局在する消化管に迅速に吸収され、骨格筋障害及び関節傷害に関連するか、又は手術に起因する疼痛及び炎症に適用する抗炎症鎮痛剤として機能している。ロキソプロフェンは、特に、慢性関節炎、リウマチ、腰痛及び外傷的傷害に起因する疼痛及び炎症に効用がある。
【0003】
ロキソプロフェンは、白色か又はわずかに黄味がかった白色結晶粉末を呈する。ロキソプロフェンナトリウムとして表されることもあるロキソプロフェンの化学名は、2−[4−(2−オキソシクロペンチルメチル)フェニル]プロピオン酸1ナトリウム二水和物である。ロキソプロフェンの実験式はC1517NaO・2HOで、分子量は304.31である。ロキソプロフェンの構造式を以下に示す:
【0004】
【化1】

【0005】
ロキソプロフェンは、例えば、ロキソプロフェンを含有する抗炎症鎮静パッチを記載すし、全体が本明細書で援用される米国特許第6248350号「ロキソプロフェンを含有する外用剤」で報告されている。LOXONIN(登録商標)(三共株式会社、日本)等の従来のロキソプロフェン錠剤は、疼痛及び炎症の治療に1日3回経口投与される。
【0006】
ロキソプロフェンは、骨格筋障害、関節障害に関連するか又は手術に起因する疼痛及び炎症の治療への治療的価値が高い。ロキソプロフェンを1日3回経口投与しなければならない場合、患者への厳しいコンプライアンスがロキソプロフェンの効能における重要な要素である。さらに、そのような頻繁な投与はしばしば医療従事者の注意を必要とし、ロキソプロフェンの治療に関するコストの高騰につながる。すなわち、当業界では、疼痛及び炎症の治療にロキソプロフェンの従来剤型を用いることに関連する上記及びその他の課題を克服するロキソプロフェン組成物が必要とされている。
【0007】
多くの改変放出製剤の目的は薬剤化合物を実質的に持続放出させることである。実際、これらの製剤の具体的な目的は、しばしば、従来の頻繁な投薬計画に関連する血漿濃度レベルの変動を最小限にすることである。改変放出製剤の他の目的は、薬剤を投与してから治療的に有効な血漿濃度に到達するまでの時間を最小限にすることにより、作用の発現を早めることである。改変放出製剤の他の目的は、投与の合間でも治療的に有効な血漿濃度を維持することである。しかしながら、従来の製剤の上記目的のうち2つ又は3つ全てを達成することは困難である。そこで、少なくとも2つの異なる放出プロフィールを組み合わせて、その結果、血漿濃度レベルの変動を最小限にし、及び/又は、作用の発現を迅速にし、及び/又は投与の合間でも治療的に有効な血漿濃度を維持する血漿プロフィールを達成する、改変放出組成物又は製剤が望ましい。
【0008】
即時放出(IR)剤型を定期に投与する従来の頻繁な投薬計画では、典型的なパルス血漿プロフィールが生じてしまう。そのような場合、血漿薬剤濃度のピークは各IR投与量の投与後に見られ、連続投与時点の合間には薬剤が低濃度である期間が観察される。そのような投薬計画及びそれに伴うその結果得られたパルス血漿プロフィールは、ある種の薬剤療法に有効である、特定の薬理学的及び治療的効果を有しうる。例えば、ピークとピークの合間に活性成分の血漿濃度が低下することによる薬剤消失期間は、様々な薬剤に対する患者の耐性を低下させ、防止すると考えられている。
【0009】
ある種の薬剤では、パルスシステムに固有の治療的及び薬理学的効果は、ゼロ次放出薬剤送達システムにより達成される一定の、又はほとんど一定の血漿濃度レベルの結果として失われるか減少する。すなわち、頻繁な投与の必要性を低減することが望まれるとはいえ、改変放出組成物又は製剤は、実質的には頻繁なIR投薬計画の放出を模倣するものである。
【0010】
患者に耐性を生じさせうる薬剤の典型例は、メチルフェニダートである。メチルフェニダート、すなわち、α−フェニル−2−ピペリジン酢酸メチルエステルは、中枢神経及び呼吸系統に作用する興奮剤であり、主として、注意欠陥他動性障害(ADHD)の治療に用いられる。胃腸管(GIT)から吸収後、薬剤の効果は、従来のIR錠剤では経口投与後3〜6時間、又は、徐放性製剤では経口投与後約8時間持続する。総用量は、典型的には1日あたり5〜30mgで、例外として60mg/日である。従来の投薬計画では、メチルフェニダートは、典型的には、1回は朝食前、2回目は昼食前の1日2回投与される。最後の投与は就寝数時間前に投与されるのが好ましい。メチルフェニダート治療に関連する副作用としては、不眠症と患者の耐性の進行があげられる。
【0011】
WO98/14168(Alza Corp.)は、持続した、一定の漸増速度でメチルフェニダートを投与する剤型及び方法を教示する。開示された剤型は、放出速度制御材料の量を変動させてコーティングされた、活性成分を増加させるハイドロゲル基質を含む複数のビーズを含む。活性成分用量並びにコーティング層の数と厚さの適当な組み合わせは、活性成分の血漿濃度が所望の期間にわたり継続的に増加する漸増放出プロフィールをもたらすように選択することができる。WO98/14168の目的は、即時放出薬剤を用いた従来治療に関連して、血液レベル(ピークと最低値で特定される)が一定でなくなることを特異的に回避するために、一定の漸増速度で剤型を放出することである。その結果、本製剤は、活性成分をパルス態様でも二峰性態様でも送達しない。
【0012】
WO97/03672(Chiroscience Ltd.)は、メチルフェニダートをラセミ混合体の形又は単一アイソマーの形(RRd−スレオエナンチオマー等)で投与した場合に治療的効果を呈することを開示する。さらに、WO97/03673(Chiroscience Ltd.)は、d−スレオメチルフェニダート(dtmp)を含有する持続放出製剤を開示する。本開示は、dtmpが、持続放出を達成し、少なくとも8時間の期間にわたり、少なくとも50% cmaxの(活性成分の)血清レベルを達成するように通過するコーティングを含む組成物の使用を教示する。上記のように、本製剤は、活性成分をパルス態様でも二峰性態様でも送達しない。
【0013】
Shahら、J. Cont. Rel. (1989) 9: 169-175は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルのあるものは治療薬と共に固形剤型に圧縮すると二峰性放出プロフィールを生じうることを示す。しかしながら、1の供給物由来のポリマーが二峰性プロフィールを生じたが、異なる供給源から得られた、それとほとんど同一の産物特性である同一ポリマーが非二峰性プロフィールを生じたことに注目している。
【0014】
Giunchediら、Int. J. Pharm (1991) 77: 177-181は、ケトプロフェンのパルス放出のための親水性基質の複合単位製剤(multiple-unit formulation)の使用を開示する。Giunchediらは、ケトファンは投与後迅速に血液から消失し(血漿半減期1〜3時間)、薬剤の持続パルスは、治療によっては、一定放出よりも有用である場合もあることを教示する。開示された複合単位製剤は、ゼラチンカプセル中に配置された4つの同一親水性基質錠剤を含む。インビボ試験では、血漿プロフィールに2つのピークが見られるが、消失期間は十分に特定できず、ピークと最低値との間の変動も小さい。
【0015】
Conteら、Drug Dev. Ind. Pharm, (1989) 15:2583-2596及び欧州出願第0274734号(Pharmidea Srl)は、持続パルスでイブプロフェンを送達するための3層錠剤の使用を教示する。3層錠剤は活性成分を含有する第1層、さらに活性成分量を含有する第3層と第1層にはさまれた半透性材料の保護層(第2層)から構成される。保護層と第3層は不浸透外被に覆われている。第1層は溶解液に接触すると溶解するが、第3層は保護層が崩壊又は破裂した後ではじめて有効となる。上記錠剤では、活性成分の第1部分が迅速に放出されなければならない。このアプローチではまた、活性成分の2つの部分の送達の相対速度を制御するために、第1層と第3層の間に半透過性層が提供されなければならない。さらに、半透過性層が破裂すると、望ましくない、第2部分の活性成分の制御不能な放出がおこる。
【0016】
米国特許出願第5158777号(E. R. Squibb & Sons Inc.)は、腸溶性コーティング又は遅延放出コーティングされたpH安定性コア内のカプトプリルと、投与後の即時放出に適用できる他のカプトプリルとを組み合わせて含む製剤を開示する。pH安定性コアを形成するために、エデト酸2ナトリウム等のキレート剤又はポリソルベート80等の界面活性剤を、各々単独で又は緩衝薬剤と併用する。この組成物には、経口投与後の即時放出に利用されるカプトプリル量があり、その他、結腸で放出されるように他にpH安定化されたカプトプリル量もある。
【0017】
米国特許第4728512号、第4794001号及び第4904476号(American Home Products Corp.)は3つの異なる放出をもたらす調製物に関する。調製物は活性医薬物質を含有する3群のスフェロイド:第1群スフェロイドはコーティングされておらず、摂取と同時に初期用量の医薬物質を放出するように即時崩壊する;第2群スフェロイドはpH感受性被膜でコーティングされて第2用量をもたらし;第3スフェロイド群はpH非依存性被膜でコーティングされて第3用量をもたらす;を含有する。この調製物は、広範囲に前系統的(presystemically)に代謝されるか、又は消失半減期が迅速におこる医薬物質が持続放出するように設計される。
【0018】
米国特許第5837284号(Mehtaら)は、即時放出及び遅延放出粒子を有するメチルフェニダート剤型を開示する。この遅延放出粒子は、いくつかの充填剤と組み合わせたアンモニオメタクリレートpH非依存性ポリマーの使用によりもたらされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ロキソプロフェン含有粒子の集団を含む組成物であって、当該組成物が、患者に前記組成物を経口送達した後に、ロキソプロフェン若しくはその塩又はその誘導体を前記患者にパルス態様又は持続態様で送達するために、改変放出コーティング、改変放出基質材料又はそれらを共に含む組成物に関する。本明細書で用いられる「ロキソプロフェン」としては、上記の特定の化合物とそれらの全ての医薬的に許容可能な塩及びそれらの誘導体があげられる。本発明はまた、上記組成物を含む剤型並びに上記剤型を提供する工程を含む疼痛及び/又は炎症の治療方法に関する。
【0020】
本発明の他の目的及び利点は、当業者であれば、発明の好ましい態様が示され、記載されており、単に本発明を実施するための最良の形態を示すに過ぎない、以下の「発明の詳細な説明」から容易に明らかになるであろう。当然のこととして、本発明は、他の異なる態様であってもよく、これらを包含し、本発明から逸脱しない限り、細部の幾つかは、種々の自明な観点で改変することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
病態の予防及び治療における医薬化合物の効能は、剤型から患者に送達される化合物の速度及び持続期間を含む様々な因子に依存する。患者の体内で任意の剤型により示される送達速度及び持続期間の組合わせは、生体内放出プロフィールとして記載することができるし、投与する医薬化合物にもよるが、血漿プロフィールといわれる、血漿中の医薬化合物の濃度及び持続期間に関連するであろう。医薬化合物は、生体適合性、吸収及び消失の速度等の薬物動態特性が様々であるため、放出プロフィール及びそれにより生じる血漿プロフィールは、有効な薬物治療の設計を検討するにあたって、重要な要素となる。
【0022】
剤型の放出プロフィールは、放出の速度と持続時間が異なって示されてもよく、持続的又はパルス的であってもよい。持続放出プロフィールとしては、1又はそれ以上の医薬化合物の量が投与の合間でも一定速度か様々な速度で持続して放出されるような放出プロフィールがあげられる。パルス放出プロフィールとしては、1又はそれ以上の医薬化合物の少なくとも2つの別個の量が、異なる速度及び/又は異なる期間にわたって放出されるような放出プロフィールがあげられる。任意の所定の医薬化合物又は当該化合物の組み合わせについて、任意の剤型の放出プロフィールにより、それに伴う血漿プロフィールが患者にもたらされる。2又はそれ以上の剤型の要素が異なる放出プロフィールを有する場合、当該剤型の放出プロフィールは全体として個々の放出プロフィールの組合せであり、一般的に「多峰性」と記載することができる。2つの要素の剤型の放出プロフィールであって、各要素が異なる放出プロフィールであるものを「二峰性」と記載することができ、3つの要素の剤型の放出プロフィールであって、各要素が異なる放出プロフィールであるものを「三峰性」と記載することができる。
【0023】
放出プロフィールに適用できる変数に類似して、それに伴う患者の血漿プロフィールは、作用持続時間中に医薬化合物の一定の又は様々な血液の血漿濃度レベルを呈してもよく、かつ、持続しても、又はパルスでもよい。持続血漿プロフィールとしては、最大単一血漿濃度を呈する、全ての速度及び持続時間の血漿プロフィールがあげられる。パルス血漿プロフィールとしては、医薬化合物の、少なくとも2つの高い血液血漿濃度レベルが、低い血液血漿濃度レベルで分離されているような血漿プロフィールがあげられ、かつ、一般的に「多峰性」と記載することができる。2つのピークを示すパルス血漿プロフィールは「二峰性」と記載してもよく、3つ以上のピークを示す血漿プロフィールは「三峰性」と記載してもよい。少なくとも部分的にでも、剤型の個々の要素の放出プロフィール同様、剤型に含まれる医薬化合物の薬物動態に依存して、多峰性放出プロフィールは、患者へ投与すると持続又はパルスの血漿プロフィールをもたらす。
【0024】
1の態様では、本発明は、パルス態様でロキソプロフェンを送達する、多微粒子(multiparticulate)改変放出組成物をもたらす。
他の態様では、本発明は、連続して与えられる3つのIR剤型の投与により生じる血漿プロフィールに実質的に類似する血漿プロフィールを産生するロキソプロフェンを含有する、多微粒子改変放出組成物をもたらす。
【0025】
さらに他の態様では、本発明は、連続して与えられるロキソプロフェンの3つのIR剤型の投与により生じる薬理学的及び治療的な効果を実質的に模倣する多微粒子改変放出組成物をもたらす。
【0026】
さらに他の態様では、本発明は、持続態様でロキソプロフェンを送達する多微粒子改変放出組成物をもたらす。
さらに他の態様では、本発明は、第1のロキソプロフェン部分が投与されると即時放出され、かつ、1又はそれ以上のロキソプロフェンの後続の部分が初期時間遅延後に放出されるような、多微粒子改変放出組成物をもたらす。
【0027】
さらに他の態様では、本発明は、迅速に作用が発現し、かつ、ロキソプロフェンの医薬的に有効な血漿濃度レベルが約12時間〜約24時間である、多微粒子改変放出組成物をもたらす。
【0028】
他の態様では、本発明は、1日1回か又は1日2回投与のための、本発明の多微粒子改変放出組成物を含む固形経口剤型をもたらす。
他の態様ではさらに、本発明は、本発明の固形経口剤型を提供する工程を含む、疼痛及び/又は炎症の治療方法をもたらす。
【0029】
本発明の1の側面では、活性成分含有粒子を含む第1の要素、及び、活性成分含有粒子を含む少なくとも1の後続の要素を有する医薬組成物がもたらされ、後続の要素は各々放出の速度及び/又は持続時間が第1の要素とは異なり、当該要素の少なくとも1つは、ロキソプロフェン含有粒子を含む。ロキソプロフェン含有粒子は、改変放出コーティングでコーティングされてもよい。あるいは又は加えて、ロキソプロフェン含有粒子は、改変放出基質材料を含んでもよい。経口送達後、当該組成物はロキソプロフェンをパルス態様で送達する。1の態様では、第1の要素は、ロキソプロフェンの即時放出をもたらし、かつ、1又はそれ以上の後続の要素は、ロキソプロフェンの改変放出をもたらす。そのような態様では、即時放出要素は、投与してから医薬的に有効な血漿濃度レベルに到達するまでの時間を最小限にすることにより、作用の発現を早めるように機能し、かつ、1又はそれ以上の後続の要素は、血漿濃度レベルの変動を最小限にし、及び/又は、投与の合間でも医薬的に有効な血漿濃度を維持するように機能する。
【0030】
改変放出コーティング及び/又は改変放出基質材料により、活性成分含有粒子の第1の集団からの活性成分の放出及び活性成分含有粒子の後続の集団からの活性成分の放出との間に遅延時間が生じる。活性成分含有粒子の1以上の集団が改変放出をもたらす場合、改変放出コーティング及び/又は改変放出基質材料により、活性成分含有粒子の異なる集団からの活性成分の放出の間に遅延時間が生じる。これらの遅延時間の持続時間は、組成物及び/又は、改変放出コーティングの組成物及び/若しくは量を変えることにより、並びに/又は、用いる改変放出基質材料の組成物及び/若しくは量を変化させることにより、変動させることができる。すなわち、遅延時間の持続時間は、所望の血漿プロフィールを模倣するように設計することができる。
【0031】
投与すると改変放出組成物により生じる血漿プロフィールは、連続投与される2又はそれ以上のIR剤型の投与により生じる血漿プロフィールに実質的に類似するため、本発明の改変放出組成物は、特に、通常1日3回投与されるロキソプロフェンの投与に有用である。本発明の1の態様では、組成物は三峰性態様でロキソプロフェンを送達する。投与すると、当該組成物は、標準的な治療計画によりロキソプロフェンのIR投薬を3回連続して投与することにより得られる血漿プロフィールを実質的に模倣する血漿プロフィールを生じさせる。
【0032】
本発明の他の側面では、組成物は、連続投与される2又はそれ以上のIR剤型の投与に伴う血漿濃度レベル変動を最小限にするか又は解消する、血漿プロフィールを生じさせるように設計される。当該態様では、組成物は、投与から医薬的に有効な血漿濃度レベルに至る時間を最小限にすることにより作用の発現を早める即時放出要素及び投与の合間でも医薬的に有効な血漿濃度レベルを維持するための少なくとも1の改変放出要素をもたらすことができる。
【0033】
本明細書で用いられる「微粒子」との用語は、その大きさ、形状又は形態にかかわりなく、個々の粒子、ペレット、ビーズ、又は顆粒の存在により特定される物質の状態をいう。本明細書で用いられる「多微粒子」との用語は、その大きさ、形状又は形態にかかわりなく、複数の、個々の又は凝集した粒子、ペレット、ビーズ、顆粒又はその混合物をいう。
【0034】
本明細書で用いられる「改変放出」との用語は、即時でない放出を含み、そして、制御放出、徐放性放出、持続放出及び遅延放出を含む。
本明細書で用いられる「時間遅延」との用語は、本発明の組成物を含む剤型を投与してから、その特定要素から活性成分を放出するまでの期間をいう。
【0035】
本明細書で用いられる「遅延時間」との用語は、組成物の1の要素から活性成分が放出してから、当該組成物の後続の要素から活性成分が放出するまでの間の時間をいう。
本明細書で用いられる「浸食可能な」との用語は、体内での物質の作用により摩滅したり、減弱したり、低下するような製剤をいう。
【0036】
本明細書で用いられる「拡散制御」との用語は、例えば、濃度が高い方から低い方へと移動するような自発的な移動の結果、広がることができる製剤をいう。
本明細書で用いられる「浸透圧制御」との用語は、膜の両側で、製剤の濃度が等しくなる傾向がある半透膜を介して高濃度溶液中に移動する結果、広がることができる製剤をいう。
【0037】
各要素中の活性成分は同一又は異なってもよい。例えば、当該組成物は、ロキソプロフェンのみを活性成分として含む要素を含んでもよい。あるいは、当該組成物は、ロキソプロフェンを含む第1の要素及びロキソプロフェンと共投与するのに適するロキソプロフェン以外の活性成分を含む少なくとも1の後続の要素、又は、ロキソプロフェン以外の活性成分を含有する第1の要素及びロキソプロフェンを含む少なくとも1の後続の要素を含んでもよい。実際、活性成分が互いに適合する場合は、2又はそれ以上の活性成分は同一要素中に組み込まれてもよい。当該組成物の1の要素に存在する活性成分は、生体適合性又はその治療効果を改変するために、例えば、当該組成物の後続の要素中のエンハンサー化合物又は感作性化合物を併用してもよい。
【0038】
本明細書で用いられる用語「エンハンサー」は、ヒト等の動物中のGITの総輸送量を促進することにより活性成分の吸収及び/又は生体適合性を高めることができる化合物をいう。エンハンサーとしては、中鎖脂肪酸;グリセリド及びトリグリセリドを含む、塩、エステル、エーテル及びそれらの誘導体;エチレンオキシドを、脂肪酸、高級アルコール、アルキルフェノール又はソルビタン若しくはグリセロール脂肪酸エステルと反応させることにより調製することができるような非イオン性界面活性剤;チトクロームP450阻害剤、P糖タンパク質阻害剤等;並びに、2又はそれ以上のこれらの試薬の混合物があげられるが、これらに限定されない。
【0039】
1以上のロキソプロフェン含有成分が存在する上記態様では、各要素に含まれるロキソプロフェンの比率は所望の投与計画に応じて同一又は異なってもよい。第1の要素及び後続の要素中に存在するロキソプロフェンは、医薬的に有効な血漿濃度レベルを生じるのに十分であればいかなる量であってもよい。ロキソプロフェンは、適用する場合、1の実質的に光学的に純粋な立体異性体又はラセミ混合物としての製剤、さもなければ、2又はそれ以上の立体異性体の製剤中に存在してもよい。ロキソプロフェンは、好ましくは、約0.1〜約500mg量で、好ましくは約1〜約100mgの量で組成物中に存在する。ロキソプロフェンは、好ましくは、約0.5〜約60mgの量で第1の要素中に存在し;さらに好ましくは、ロキソプロフェンは、約2.5〜約30mgの量で第1の要素中に存在する。ロキソプロフェンは、第1の要素で記載したのと同様の範囲内の量で後続の要素中に存在する。
【0040】
各要素からのロキソプロフェンの送達のための時間放出特性は、存在してもよい、いかなる賦形剤及び/又はコーティングを改変することを含む、各要素中の組成物を改変することにより変動させることもできる。特に、そのようなコーティングが存在する場合は、ロキソプロフェンの放出は、組成物及び/又は粒子上の改変放出コーティング量を変化させることにより制御することもできる。1以上の改変放出要素が存在する場合、これらの各要素の改変放出コーティングは、同一又は異なってもよい。同様に、改変放出が、改変放出基質材料を含有することにより促進される場合は、活性成分の放出を、用いられる改変放出基質材料の選択とその量により制御することができる。改変放出コーティングは、各特定要素に所望の遅延時間をもたらすのに十分な量で、各要素中に存在することもできる。改変放出コーティングは、要素間で所望の時間差をもたらすのに十分な量で、各要素中に、存在してもよい。
【0041】
各要素からのロキソプロフェンの放出のための遅延時間及び/又は時間遅延もまた、存在してもよい、いかなる賦形剤及びコーティングを改変することを含む、各要素の組成物を改変することにより変動させることができる。例えば、第1の要素はロキソプロフェンが投与後即時放出されるような即時放出要素でもよい。あるいは、第1の要素は、例えば、ロキソプロフェンが実質的に全体として時間遅延後すぐに放出される時間遅延型の即時放出要素でもよい。第2及び後続の要素は、例えば、上記の時間遅延型の即時放出要素、又は、あるいは、ロキソプロフェンが長期にわたり制御された態様で放出される、時間遅延型の持続放出又は徐放性放出の要素であってもよい。
【0042】
当業者であれば、血漿濃度カーブの実際の性質が上記した全ての因子を組み合わせることにより影響を受けるであろうことを理解するであろう。特に、各要素中のロキソプロフェンの送達(及び、すなわち、作用の発現)と送達の間の遅延時間は、各要素の組成物及び(存在する場合は)コーティングを変動させることにより制御することができる。すなわち、(1以上の活性成分の量及び性質を含む)各要素の組成物を変動させることにより、及び、遅延時間を変動させることにより、数多くの放出及び血漿プロフィールを獲得することができる。各要素からのロキソプロフェンの放出と放出との間の遅延時間の持続時間及び各要素からのロキソプロフェンの放出の性質(すなわち、即時放出、持続放出等)に応じて、血漿プロフィールは、持続(すなわち、最大値が単一である)又は、血漿プロフィールのピークが十分分離するか、明確でもよいパルス(例えば、遅延時間が長い場合)若しくはある程度重複したパルス(例えば、遅延時間が短い場合)であってもよい。
【0043】
本発明の組成物を含む単一用量単位を投与すると生じる血漿プロフィールは、2又はそれ以上の用量単位の投与が必要ない活性成分の2又はそれ以上のパルスを送達するのに好ましい場合は有利である。さらに、疼痛及び/又は炎症を治療する場合、そのような多峰性血漿プロフィールであることは特に有用である。例えば、標準的なロキソプロフェン治療投薬計画は、4時間毎の即時放出剤型を2又は3回投与することからなる。このタイプの投薬計画は、医薬的に有効であることが見出されており、広く用いられている。
【0044】
所望の態様でロキソプロフェンの放出を改変するいかなるコーティング材料も用いられうる。特に、本発明の実施の使用に適するコーティング材料としては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリマレテート(trimaletate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、商標Eudragit(登録商標)RS及びRLとして販売されているアンモニオメタクリレートコポリマー、ポリアクリル酸及びポリアクリレート並びに商標Eudragit(登録商標)S及びLとして販売されているメタクリレートコポリマー、ポリビニルアセトアルジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラック等のポリマーコーティング材料;カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルナトリウムスターチ、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、スターチ及び水分の吸収及びポリマー基質の拡張を促進する架橋度が低いセルロースベースの架橋ポリマー等のハイドロゲル及びゲル成形材料、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、架橋スターチ、微結晶セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS−PM、Rohm & Haas)、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(膨張性親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量〜5k−5、000k)、ポリビニルピロリドン(分子量〜10k−360k)、アニオン性及びカチオン性ハイドロゲル、アセテートの残存が低いポリビニルアルコール、寒天及びカルボキシメチルセルロースの膨張性混合物、スチレン、エチレン、プロピレン又はイソブチレンとマレイン酸無水物とのコポリマー、ペクチン(分子量〜30k−300k);寒天、アカシア、カラヤ、トラガカンス、アルギン及びグアー等のポリサッカライド、ポリアクリルアミド、Polyox(登録商標)ポリエチレンオキシド(分子量〜100k−5、000k)、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコール及びポリN−ビニル−2−ピロリドン、ナトリウムスターチグルコレート(例えば、Explotab(登録商標);Edward Mandell C. Ltd.);ポリサッカライド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、エーテルセルロース、ポリエチレンオキシド(例えば、Polyox(登録商標)、Union Carbide)、エチルセルロースメチル、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、ブチレートセルロース、プロピオネートセルロース、ゼラチン、コラーゲン、スターチ、モルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸又はメタクリル酸のコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)、Rohm and Haas)、他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ガム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アンモニアアルギネート、ナトリウム、カルシウム、カリウムアルギネート、プロピレングリコールアルギネート、寒天、及び アラビア、カラヤ、イナゴマメ(locust bean)、トラガカンス、カラギーン、グアー、キサンタン、スクレオグルカン並びにそれらの混合物及びブレンド等のガム等の親水性ポリマーがあげられるが、これらに限定されない。当業者であれば、可塑剤、潤滑剤、溶媒等の賦形剤をコーティングに加えてもよいことを理解するであろう。適当な可塑剤としては、例えば、アセチル化モノグリセリド;ブチルフタリルブチルグリコレート;ジブチル酒石酸塩;ジエチルフタレート;ジメチルフタレート;エチルフタリルエチルグリコレート;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸塩;トリプロピオニン(tripropioin);ジアセチン;ジブチルフタレート;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ひまし油;トリエチルクエン酸塩;多価アルコール、グリセロール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、アセチルトリエチルクエン酸塩、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タラート(tallate)、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシル フタレート、ジ−n−アンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケートがあげられる。
【0045】
改変放出成分が改変放出基質材料を含む場合は、いかなる適当な改変放出基質材料又は改変放出基質材料の適当な組み合わせをも用いることができる。当該材料は、当業者には公知である。本明細書で用いられる「改変放出基質材料」との用語は、インビトロ又はインビボで分散するロキソプロフェンの放出を改変することができる、親水性ポリマー、疎水性ポリマー及びそれらの混合物を含む。本発明の実施に適する改変放出基質材料としては、微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ポリエチレンオキシド;メチルセルロース及びエチルセルロース等のアルキルセルロース;ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、セルロースアセテート(acteate)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート(acteate)フタレート、セルロースアセテート(acteate)トリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルアセテート及びそれらの混合物があげられるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の改変放出組成物は、パルス態様で活性成分の放出を促進するいかなる適当な剤型に組み込まれてもよい。1の態様では、当該剤型は、即時放出及び改変放出要素を構成する活性成分含有粒子の異なる集団のブレンドを含み、当該ブレンドは、硬又は軟ゼラチンカプセル等の適当なカプセルに充填されている。あるいは、活性成分含有粒子の異なる個々の集団は、適当な比率でその後にカプセルに充填されてもよい小錠剤に(場合によっては、他の賦形剤と共に)圧縮されてもよい。他の適当な剤型は多重層錠剤である。この場合、改変放出組成物の第1の要素は、多重層錠剤の第2層としてその後に加えられる第2成分と共に、1の層に圧縮されてもよい。本発明の組成物を構成するロキソプロフェン含有粒子の集団は、さらに、発泡性剤型又は即時溶解剤型として迅速に溶解する剤型に含まれてもよい。
【0047】
1の態様では、組成物は少なくとも2のロキソプロフェン要素:第1のロキソプロフェン成分及び1又はそれ以上の他のロキソプロフェン成分を含む。当該態様では、組成物の第1のロキソプロフェン要素は様々な放出プロフィールを示してもよいが、それには、第1の要素に含まれる、実質的に全てのロキソプロフェンが、剤型を投与すると迅速に放出されるか、時間遅延後に迅速に放出されるか(遅延放出)、又は、長期にわたり緩慢に放出される放出プロフィールがあげられる。1の当該態様では、第1の要素に含まれるロキソプロフェンは患者へ投与されると迅速に放出される。本明細書で用いられる「迅速な放出」としては、少なくとも要素の活性成分の約80%が、投与後1時間以内に放出されるような放出プロフィールがあげられ、用語「遅延放出」としては、要素の活性成分が時間遅延後に(迅速に又は緩慢に)放出されるような放出プロフィールをいい、そして、用語「制御放出」及び「徐放性放出」としては、要素に含まれる活性成分の少なくとも80%が緩慢に放出されるような放出プロフィールをいう。
【0048】
当該態様の第2のロキソプロフェン要素もまた、即時放出プロフィール、遅延放出プロフィール又は制御放出プロフィールを含む、様々な放出プロフィールを示してもよい。1の当該態様では、第2のロキソプロフェン要素は、要素のロキソプロフェンが時間遅延後に放出されるような遅延放出プロフィールを示す。他の当該態様では、第2のロキソプロフェン要素は、要素のロキソプロフェンが投与後約12〜24時間の期間にわたり放出されるような制御放出プロフィールを示す。
【0049】
第1のロキソプロフェン要素が即時放出プロフィールを示し、そして、第2のロキソプロフェン要素が改変放出プロフィールを示すような態様では、第1及び第2の要素中のロキソプロフェンは、異なる期間にわたり放出される。1の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から約12時間以内に放出される。他の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から約24時間以内に放出される。さらに他の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から約12時間にわたり放出される。さらに、他の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から約24時間にわたり放出される。さらに、他の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から少なくとも約12時間にわたり放出される。さらに、他の当該態様では、第1の要素中のロキソプロフェンは迅速に放出され、第2の要素中のロキソプロフェンは、投与から少なくとも約24時間にわたり放出される。
【0050】
即時放出ロキソプロフェン要素及び少なくとも1の改変放出ロキソプロフェン要素を含む本発明の剤型の投与により生じる血漿プロフィールは、連続投与される2又はそれ以上のIR剤型の投与により生じる血漿プロフィール又はIR及び改変放出剤型を別個に投与することにより生じる血漿プロフィールに実質的に類似させることができる。すなわち、本発明の剤型は、薬物動態パラメーターを維持することが望まれるものの、それに問題があるような場合のロキソプロフェンの投与に、特に有用でありうる。
【0051】
1の態様では、組成物及び当該組成物を含有する固体経口剤型は、第1の要素に含まれる実質的に全てのロキソプロフェンが少なくとも1の第2の成分由来のロキソプロフェンの放出に先立って放出されるようなロキソプロフェンを放出する。第1の要素がIR要素を含む場合、例えば、IR要素中の実質的に全てのロキソプロフェンが放出されるまで、少なくとも1の第2の要素由来のロキソプロフェンの放出が遅延されるのが好ましい。少なくとも1の第2の成分由来のロキソプロフェンの放出は、改変放出コーティング及び/又は改変放出基質材料を用いて上記に詳細に記載したように遅延させることができる。
【0052】
患者組織からロキソプロフェンの第1の用量を消失させることを促進する投薬計画をもたらすことにより、患者の耐性を最小限にすることが望まれる場合、後続の要素からのロキソプロフェンの放出は、第1の要素に含まれる実質的に全てのロキソプロフェンが放出されるまで遅延されてもよく、さらに、患者の組織から第1の要素由来の少なくとも部分的なロキソプロフェンの放出が消失するまで遅延されてもよい。1の態様では、組成物の後続の要素由来のロキソプロフェンの放出は、実質的に、完全でなくとも、組成物の投与後少なくとも約2時間遅延する。他の態様では、組成物の後続の要素由来のロキソプロフェンの放出は、実質的に、完全でなくとも、組成物の投与後少なくとも約4時間遅延するが、好ましくは約4時間である。
【0053】
本明細書中で記載するように、本発明はまた、ロキソプロフェンがパルス又は持続態様で送達されてもよい、様々なタイプの改変放出システムを含む。当該システムは、ポリマー基質(モノリシック装置)中のロキソプロフェンを含むフィルム;ポリマー(貯蔵装置)に含まれるロキソプロフェン;貯蔵及び基質の装置の形のポリマーコロイダル粒子又はマイクロカプセル(微粒子、ミクロスフェア又はナノ粒子);親水性及び/又は浸出可能な添加剤を含むポリマーに含まれるロキソプロフェンであって、例えば、多孔性装置、ロキソプロフェン放出が浸透圧で(貯蔵及び基質の装置ともに)制御された装置を付与するための第2のポリマー、界面活性剤又は可塑剤等;(適当なpHでイオン化及び溶解される)腸溶性コーティング;懸垂薬剤分子が(共有)結合している(溶解性)ポリマー;及び、例えば浸透圧ポンプ等の放出速度が動的に制御された装置があげられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の送達メカニズムは、ロキソプロフェンの放出速度を制御することができる。あるメカニズムが一定速度でロキソプロフェンを放出すれば、他のメカニズムは、濃度勾配又は多孔性をもたらす他の(additive)浸出を変化させる等の因子に応じた時間の相関関係として変動する。
【0055】
持続放出コーティングに用いられるポリマーは、必然的に生体適合性であり、生分解性であることが理想的である。Aquacoat(登録商標)(FMC Corporation、Food & Pharmaceutical Products Division、Philadelphia、USA)(サブミクロンサイズ以下に設定された、水性ベースで偽ラテックス分散に機械的に球形化されたエチルセルロース)等の天然ポリマー、及び、ポリ(アクリレート、メタクリレート)コポリマーの範囲のEudragit(登録商標)(Rohm Pharma、Weiterstadt.)等の合成ポリマーは共に当業界で公知である。
【0056】
貯蔵装置
改変放出の標準的なアプローチとしては、ポリマーフィルム又はコーティング(すなわち、マイクロカプセル又はコアでコーティングされたスプレー/パン)内に、(例えばコアとして)薬剤を完全にカプセルかするか又は包含することである。
【0057】
分散工程に影響を及ぼしうる様々な因子は、貯蔵装置(例えば、添加剤、ポリマー機能(すなわち、シンク(sink)溶液pH)、多孔性、フィルム成型条件等の影響)に容易に適用でき、それゆえ、ポリマーの選択は貯蔵装置の開発において重要に考慮されなければならない。薬剤の輸送が溶液−拡散メカニズムによる貯蔵装置の放出特性のモデリング(及びモノリシック装置)は、すなわち、関連する限界条件のためのフィックスの(Fick's)第2法則(非定常流条件;濃度依存流量)に対する溶液を標準的に含む。装置が溶解した活性薬剤を含有する場合、放出速度が薬剤の濃度(活性)(すなわち、放出のための駆動力)として装置内で減弱するにつれて、時間を追って指数関数的に減少する(すなわち、第1次放出)。しかしながら、活性薬剤が飽和懸濁されている場合は、その場合の放出の駆動力は、装置が飽和するまで一定に保たれる。あるいは、放出速度動態は調節された脱離であり、時間の平方根の関数である。
【0058】
コーティングされた錠剤の輸送特性は、錠剤の外に浸透させるために作用するであろう浸透圧を内部増加させることができる、錠剤コア(浸透性)の被覆化された性質のため、ポリマーなしのフィルムと比較して、促進されることもできる。
【0059】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)含有シリコンエラストマーでコーティングされた塩含有錠剤上の脱イオン水の効果、及び、フィルムなしの状態での水の効果を調査した。錠剤からの塩の放出は、コーティングの水和により形成された、孔に充填された水分を介した拡散及び浸透圧ポンプ機能が混合したものであることが見出された。PEGを10%だけ含有するフィルムを介した塩化カリウムの輸送は、類似のフィルムなしのものでは膨張が広がっていたことが観察されたものの、わずかであり、トランス孔拡散で生じる塩化カリウムの放出には多孔性が必要であることを示した。ディスク型に成型され、コーティングされた塩錠剤は、脱イオン水中で膨張することが見出されており、内部液圧プレスを強化した結果として扁球の形態に変化した:形態の変化により、生成した力を測定する手段がもたらされた。予想したように、浸透力は、PEG含有量レベルが上昇すると減少した。PEGレベルが低量であれば水和ポリマーを介して水分が吸収されるが、PEG含有量(20〜40%)が高レベルであれば、溶解するコーティングに起因する多孔性により、塩化カリウムの流量による圧力が低下した。
【0060】
方法及び方程式(equations)が発展して、2つの異なる塩(例えば、塩化カリウム及び塩化ナトリウム)の放出を(別個独立に)モニターすることにより、錠剤から塩を放出させる一因となる浸透ポンプ及びトランス孔拡散の相対振幅(relative magnitude)を算出できるようになった。PEGレベルが低い場合、つまり20%程度の充填では、両メカニズムの放出はほとんど同等で、孔数密度が低いものしか生成されず、浸透流はトランス孔拡散よりも高い程度まで高まった。しかしながら、液圧プレスを高めると浸透圧流入及び浸透ポンプは低下した。PEGの充填を高めると、水和フィルムは多孔性が高まり、塩の流出への耐性が低下した。すなわち、浸透圧ポンプが(充填が低い場合と比較して)増加しても、トランス孔拡散の放出メカニズムは優勢であった。浸透圧放出メカニズムはまた、水溶性コア含有マイクロカプセルとして報告されてきた。
【0061】
モノリシック装置(基質装置)
モノリシック(基質)装置は、一般に、薬剤放出を制御するために用いられる。これは、おそらく、貯蔵装置と比較して比較的容易に調製することができ、貯蔵装置の膜の破裂に起因しうる、不測にも投薬量が多量になってしまうという危険がないからである。そのような装置では、活性薬剤は、ポリマー基質内に分散物として存在し、それらは、ポリマー/薬剤混合物の圧縮により、又は、溶解若しくは溶融により標準的に作製される。モノリシック装置の用量放出特性は、ポリマー基質中の薬剤の溶解性に依存してもよく、又は多孔性基質の場合は、粒子の孔ネットワーク内のシンク溶液中の溶解性及び(フィルムの透過性よりも高い)ネットワークの屈曲は、薬剤がポリマー中に拡散されるか又はポリマー中に溶解するかに依存する。薬剤の充填量が少ない場合(0〜5%W/V)、薬剤は溶液拡散メカニズム(孔がない場合)により放出されるであろう。薬剤の充填量が多い場合(5〜10%W/V)、放出メカニズムは、装置の表面付近に形成される空洞の存在により、薬剤が失われるために複雑となるであろう。すなわち、そのような空洞は、薬剤の放出速度を高める環境由来の溶液で膨張するのである。
【0062】
透過性を高める手段として、可塑剤(例えば、ポリ(エチレングリコール))、界面活性剤又はアジュバント(すなわち、効果を高める成分)を、基質装置(及び貯蔵装置)に添加する(対照的に、可塑剤は変化しやすく、フィルム成型を容易に補助するように機能し、すなわち、透過性を抑制するように機能するような、通常はポリマー塗装コーティングに、より望ましい特性であるにもかかわらず)ことは一般的である。多孔性を高めることにより、PEGの浸出は、PEG充填の機能として、(エチルセルロース)フィルムの透過性を直線的に高めるが、当該フィルムは被覆特性を保持し、電解質の輸送が起こらなかったことが注目に値した。その透過性の促進はPEG浸出に起因する厚みが効果的に減少するために起こると推定された。これは、均一な膜内の(Fickian)溶液拡散系輸送メカニズムを予測したとおり、プロットが透過速度と相互フィルム厚で線形関係を示し、時間関数としての単位面積あたりの累積的な透過流量のプロット及び50% W/WでPEG充填した場合のフィルム相互厚から証明された。時間軸へのグラフの線形領域の外挿は、フィルム厚を低下させてゼロまで減少させると時間軸に陽性の切片をもたらした。これらの遅延時間が変化すると、実験の早期に2つの拡散流量(薬剤の流量及びPEGの流量)が生じ、また、フィルム中の透過濃度が強化されている間はより通常の遅延時間がもたらされた。カフェインを透過物として用いた場合、負の遅延時間が生じた。この現象の説明はつかないが、カフェインはシステム中で分配係数が低いことが示され、これはまた、同様の負の時間差を示すポリエチレンフィルムを介したアニリン透過の性質でもあったことは注目に値した。
【0063】
(疎水性)基質装置上に添加した界面活性剤の効果を研究した。界面活性剤は、3つの考えられるメカニズム:(i)可溶化の亢進:(ii)溶解媒体に対する「湿潤性」の改良及び(iii)界面活性剤の浸出の結果である孔の形成:で放出速度を高めうることが考えられた。試験したシステム(ソルビトールで可塑化されたEudragit(登録商標)RL100及びRS100、薬剤としてフルビプロフェン(flurbiprofen)及び界面活性剤の範囲)について、溶解媒体物が基質内に接近することができるように基質内が崩壊するために、放出に及ぼす最も多大な影響はより水溶性である界面活性剤に依存するが、その効果はEudragit(登録商標)RSがEudragit(登録商標)RLよりも優れていたにもかかわらず、錠剤の湿潤を改良しても薬剤放出を部分的に改良しただけであった(放出は溶解よりも拡散で制御されたと示唆される)と結論づけられた。これは、医薬的コーティングに適するポリマーラテックスは界面活性剤がない場合とは対照的に、界面活性剤があると容易に調製されうることから、ラテックスフィルムの研究と明らかに関連する。2つのポリマーでは、Eudragit(登録商標)RSのみがアニオン性/カチオン性界面活性剤と薬剤との相互作用を示すという点で相違がみられた。これは、ポリマー上の第4級アンモニウムイオンのレベルの相違とみなされた。
【0064】
薬剤を含有しないポリマー中にコーティングされたポリマー/薬剤基質からなる複合装置もまた存在する。当該装置は、水性Eudragit(登録商標)の格子から構築され、殻を介したコアからの薬剤の拡散により持続放出をもたらすことが見出された。同様に、薬剤を含有するポリマーコアを作製し、胃液で浸食される殻でコーティングした。薬剤の放出速度は、コアからの放出のみが経時的に低下することが見出されたものの、相対的に線形(殻を介した拡散プロセスを限定する速度の関数)で、殻の厚さに反比例することが見出された。
【0065】
微粒子
中空微粒子の作製方法が報告されてきた。中空微粒子は、薬剤及びポリマーを含有するエタノール/ジクロロメタン溶液を調製することにより形成された。水に注ぐと、エタノールが液滴の表面で沈降ポリマーを迅速に拡散して、ジクロロメタン中に溶解する薬剤を封じ込めるハードシェル粒子をもたらすような液滴形成系プロセスにより、拡散したポリマー/薬剤/溶媒粒子を含有するようにエマルジョンが形成された。ジクロロメタンのガス層は、殻を介した拡散の後、水層の表面に発泡するのが観察された粒子内で形成された。中空球は、減圧すると乾燥時に取り除かれうる水分で充填される。水分中には薬剤は見られなかった。高度に多孔性の基質系微粒子もまた報告されている。基質系微粒子はエタノール中の薬剤及びポリマーを溶解して調製した。水に加えると、エタノールはエマルジョン液滴から拡散して、高度に多孔性の粒子を放出する。当該微粒子は、胃で用いるための浮遊薬剤送達装置として用いることが示唆される。
【0066】
懸垂装置
水性エマルジョン重合により調製されるポリ(アクリレート)エステルラテックス粒子と結合するエステルを用いて、鎮痛薬及び抗鬱剤等の薬剤範囲に付着させる手段が開発されてきた。これらの格子は、ポリマー端官能基がその強酸型に変換されるように、イオン交換樹脂を介して通過する場合にエステル結合の加水分解により薬剤放出を自己触媒しうる。
【0067】
薬剤がポリマーに接着され、モノマーもまた懸垂付着薬剤で合成された。剤型は、当該薬剤が不安定な化学結合で生体適合性ポリマーに結合するように調製されるが、これは例えば、胃液中の加水分解で薬剤が放出されるような第2のポリマー(Eudragit(登録商標)RL)で基質を形成するのに用いた置換無水物(それ自体は塩酸ナトリウムと、塩化メタクリロリル及びメトキシベンゼン酸のナトリウム塩の薬剤で反応させることにより調製される)から調製されるポリ無水物である。医薬アミンの担体としての使用に適するポリマー性シッフ塩基の使用もまた報告されてきた。
【0068】
腸溶性フィルム
腸溶性コーティングはpH感受性ポリマーからなる。標準的には、ポリマーはカルボキシ化されており、pHが高いとポリマーはイオン化して、ポリマーを膨張又は溶解させるものの、pHが低いと水と少しも相互作用しない。コーティングはすなわち、酸性環境から薬剤を保護するか又は胃を薬剤から保護するため、酸性環境の胃で不活性のままであるが、アルカリ性がより高い環境の腸管では溶解するように設計することができる。
【0069】
浸透圧調節装置
浸透圧ポンプは貯蔵装置と類似するが、半透膜を介した周辺媒体から水分を吸収するように作用する浸透圧薬剤(例えば、塩の形態での活性薬剤)を含有する。当該装置は、基本浸透圧ポンプといわれて報告された。圧力は装置内で生成し、浸透圧を低下させ、装置の容積を変化させる効果がありうる液圧プレス水頭の増強を妨げるものの、当該装置は、溶質の拡散を最小限にするように設計された大きさの開口部を介して活性薬剤を装置の外に押し出す。装置の内部用量は一定であるが、装置には過度の固体又は飽和溶液が存在し、放出速度は、溶剤の摂取量と同等量を一定に送達し続ける。
【0070】
電気的刺激放出装置
モノリシック装置は、例えば、外部電気刺激が加わるとpHが変化するような、膨張する高分子電解質ゲルを用いて調製されてきた。放出は、加えられた電流の変化により調節され、一定又はパルスの放出プロフィールを生じさせることもできる。
【0071】
ハイドロゲル
薬剤基質中での使用に加えて、ハイドロゲルは、例えば、ソフトコンタクトレンズ及び様々な軟インプラント等の多くの生物医学的用途で用いることが見出されている。
【0072】
改変放出ロキソプロフェン組成物を用いる方法
他の本発明の側面では、固形経口剤型の医薬的に有効量の本発明のロキソプロフェン組成物を投与する工程を含む、疼痛及び/又は炎症に罹患している患者を治療する方法がもたらされる。本発明の方法の有利な点としては、パルス血漿プロフィール由来の利益を維持するか、又は、血漿濃度レベル中の変動を消失又は最小限にしつつ、慣用の複数IR投与計画で要求される投与頻度を減らすことがあげられる。投薬頻度を減らすことは患者のコンプライアンスには有利であり、本発明の方法により、患者の投与頻度を減らすことにより、薬剤投与に関わる医療従事者が費やす時間が減らすことができ、医療従事費用を調節することになるであろう。
【0073】
以下の実施例において、全ての比率は、特に断らない限り、重量に対する重量である。実施例を通じて用いられる用語「精製水」は、水の濾過装置を通過することにより精製された水をいう。当該実施例は、例示的な目的でしかなく、以下の特許請求の範囲で特定される精神及び範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0074】
ロキソプロフェン含有多微粒子改変放出組成物
ロキソプロフェンを含有する即時放出要素及び改変放出成分を含む、本発明の多微粒子改変放出組成物を以下のように調製した。
【0075】
(a)即時放出要素
ロキソプロフェン溶液を表1に示す製剤に調製した。ロキソプロフェン溶液は、その後、例えば、流動床コーティング器具のGlattGPCG3(Glatt, Protech Ltd., Leicester, UK)などを用いて、ノンパレイユシード上に、約16.9%固体重量増レベルでコーティングして即時放出要素のIR粒子を形成する。
【0076】
【表1】

【0077】
(b)改変放出成分
ロキソプロフェン含有遅延放出粒子は、上記実施例1(a)で調製された即時放出粒子を、表2に詳細に記載する改変放出コーティング溶液でコーティングすることにより調製する。即時放出粒子を、例えば、流動床を用いて約30%重量増までレベルを変動させてコーティングする。
【0078】
【表2】

【0079】
(c)即時及び遅延放出粒子のカプセル化
上記実施例1(a)及び(b)で調製した即時及び遅延放出粒子を、例えば、BoschGKF4000Sカプセル化装置を用いて、サイズ2の硬ゼラチンカプセルに、総20mg用量強度にカプセル化した。この総用量強度20mgのロキソプロフェンは、即時放出要素10mg及び改変放出成分10mgで構成された。
【実施例2】
【0080】
ロキソプロフェン含有多微粒子改変放出組成物
即時放出要素及び改変放出基質材料を有する改変放出成分を有する本発明の多微粒子改変放出ロキソプロフェン組成物を、表5(a)及び(b)に示す製剤に調製した。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【実施例3】
【0083】
シミュレーションでは、パルス放出アプローチを用いた改変放出(CR)製剤は、患者の利便性を改良し、効能を促進し、安全性を改良することができることを示す。図1は、様々な比率の改変放出(CR)及び即時放出(IR)ロキソプロフェンを以下の用量にして得られた血漿濃度のシミュレーションをグラフ表示したものである。100%CR製剤では、徐々に増加した後、血漿濃度約0.75μg/mlで安定するが、正反対に、50%CR/50%IR製剤では、0及び12時間でピークが2.5μg/ml以上である。
【0084】
パルスシステムは、即時放出剤型の投与により示される血漿濃度レベルの変動を最小限とすることができ、血液レベルは一定し、効能が改良される。パルス放出製剤はまた、NSAIDの濃度が局所的に高くならないようにすることにより、GI刺激を最小限にする。ロキソプロフェンは、今のところ、毎日3回投与されている。改変放出製剤は、1日2回投与することができるため、患者のコンプライアンスを改良する。
【0085】
当業者には、様々な改良及び変更が、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び組成物においてなされうることが明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物に含まれる本発明の改良及び変更を網羅することを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、CR(改変放出)及びIR(即時放出)のロキソプロフェンを様々な比率で投与した後に得られた血漿濃度のシミュレーションを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分含有粒子の第1の要素及び活性成分含有粒子の少なくとも1の後続の要素を含む医薬組成物であって、少なくとも1の前記要素がロキソプロフェンを含み、少なくとも1の前記要素が、さらに改変放出コーティング、改変放出基質材料又はそれらを共に含み、患者に前記組成物を投与する場合、前記組成物が活性成分含有粒子を前記患者にパルス態様で送達するような、前記組成物。
【請求項2】
活性成分含有粒子の第1の要素及び活性成分含有粒子の少なくとも1の後続の要素を含む医薬組成物であって、少なくとも1の前記要素がロキソプロフェンを含み、少なくとも1の前記要素が、さらに改変放出コーティング、改変放出基質材料又はそれらを共に含み、患者に前記組成物を投与する場合、前記組成物が活性成分含有粒子を前記患者に持続態様で送達するような、前記組成物。
【請求項3】
各要素がロキソプロフェン含有粒子を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、ロキソプロフェン含有粒子の第1の要素及び1のロキソプロフェン含有粒子の第2の要素を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
第1の要素が即時放出要素を含み、第2の要素が改変放出要素を含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
活性成分含有粒子が浸食可能である、請求項1〜5記載の組成物。
【請求項7】
活性成分含有粒子が改変放出コーティングを有する、請求項1〜5記載の組成物。
【請求項8】
活性成分含有粒子が改変放出基質材料を含む、請求項1〜5記載の組成物。
【請求項9】
改変放出材料が、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、天然ポリマー、合成ポリマー及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜5、7又は8記載の組成物。
【請求項10】
ロキソプロフェンが浸食により周囲環境に放出される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
組成物がさらにエンハンサーを含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
組成物中に含まれるロキソプロフェン量が約0.1mgから約1gである、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜12の組成物を含む、剤型。
【請求項14】
硬カプセル又は軟ゼラチン内に含まれる活性成分含有粒子のブレンドを含む、請求項13記載の剤型。
【請求項15】
活性成分含有粒子がミニ錠剤の形であり、カプセルが前記ミニ錠剤の混合物を含有する、請求項14記載の剤型。
【請求項16】
錠剤の形である、請求項15記載の剤型。
【請求項17】
ロキソプロフェン含有粒子が迅速に溶解する剤型でもたらされる、請求項16記載の剤型。
【請求項18】
錠剤が急速溶解錠剤である、請求項16記載の剤型。
【請求項19】
治療的有効量の請求項1の組成物を投与する工程を含む、炎症の治療方法。
【請求項20】
炎症が、筋障害、骨障害、関節障害、手術、慢性関節炎、リウマチ、腰痛及び外傷性傷害からなる群から選ばれる症状に関連する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
改変放出コーティングが、患者への前記組成物の投与後約6〜12時間の時間遅延の後に前記患者に活性成分のパルスを放出するための、pH依存性ポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
ポリマーコーティングがメタクリル酸ポリマーである、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
ポリマーコーティングが、少なくとも約6時間の時間遅延の後に活性成分のパルスを達成するのに十分な比率で、メタクリル酸コポリマー及びアンモニオメタクリル酸のコポリマーの混合物を含む、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
メタクリル酸コポリマーに対するアンモニオメタクリル酸コポリマーの比率が約1:1である、請求項23記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−514989(P2009−514989A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551241(P2008−551241)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/017938
【国際公開番号】WO2008/079102
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(507222516)エラン コーポレーション ピーエルシー (4)
【Fターム(参考)】