説明

改良されたワクチン接種のための大気圧噴霧凍結乾燥によって作製される組換えブドウ球菌エンテロトキシンB(<SB>R</SB>SEB)の粉末処方物

1)霧状化処方物を生成するために治療剤の液体処方物を霧状化するステップ;2)上記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ;および3)上記固体粒子を乾燥させて粉末を生成するステップを含む、医薬組成物を調製する方法が開示されている。上記の方法によって作製された組成物、および上記の組成物を使用する方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、特定の粒子(例えば、粉末)の形態である乾燥させた医薬組成物に関する。このような組成物は、再構成して非経口投与(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、および皮内の送達)する、または粘膜組織へ粉末を直接的投与(例えば、鼻内投与)するのに適切である。本発明の方法によって調製される組成物、および患者に組成物を投与する方法もまた記載される。例示的な本発明の組成物には、組換えブドウ球菌エンテロトキシンBワクチン(rSEB)が含まれる。
【背景技術】
【0002】
乾燥させた医薬組成物を処方するための方法が報告されてきた。これらの方法には、例えば、乾燥させた物質の沈殿、噴霧乾燥、および/または機械的粉砕のステップが含まれる。報告された方法のいくつかは、水分を迅速に蒸発させるため、および処理時間を短縮するために非水性溶媒を利用する。このような溶媒は、乾燥されている薬剤(例えば、タンパク質)に損傷を与え得る。報告された方法によって製造された粒子は、しばしば、凝集する傾向を示し、かつ/または、最適な薬学的使用のための適切なサイズ、密度(例えば、タップ密度)、形態の欠如、および/もしくは安定性を欠いている。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0052475号明細書
【特許文献2】米国特許第6,455,292号明細書
【特許文献3】米国特許第4,608,764号明細書
【特許文献4】米国特許第6,284,282号明細書
【非特許文献1】W. H. Finley, "The mechanics of inhaled pharmaceutical aerosols, an introduction", Academic Press, London, UK (2001)
【非特許文献2】Sambrook, J. et al., (1989) Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY
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【非特許文献5】Roitt I., (1994) Essential Immunology, Blackwell Scientific Publications, London
【非特許文献6】Currents Protocols in Immunology; edited by John E. Coliganet al., John Wiley & Sons, Inc.
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【非特許文献9】Ranz (1952) Chem. Eng. Prog. 48, 247
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【非特許文献13】J. F. Carpenter, S. J. Prestrelski, and A. C. Dong. Application of infrared spectroscopy to development of stable lyophilized protein formulations. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 45 (3): 231-238, 1998
【非特許文献14】A. C. Dong, S. J. Prestrelski, S. D. Allison, and J. F. Carpenter. Infrared Spectroscopic Studies of Lyophilization-Induced and Temparature-Induced Protein Aggregation. Journal of Pharmaceutical Sciences 84 (4): 415-424, 1995
【非特許文献15】S. J. Prestrelski, N. Tedeschi, T. Arakawa, and J. F. Carpenter. The Structure of Proteins in Lyophilized Formulations Using Fourier-Transform Infrared-Spectroscopy. Abstracts of Papers of the American Chemical Society 205: 145-BIOT, 1993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に言及した欠点の1つまたは複数または他の欠点のない乾燥させた医薬組成物を生成するための方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、例えば、活性な医薬を含む液体処方物を乾燥させることによって生成される、粉末の形態である医薬組成物に関する。別の実施形態において、本発明は、例えば、粒子形態(例えば、粉末の形態)である医薬組成物を調製すること、再構成して溶液を形成すること、および防御的免疫応答を達成するための非経口的な溶液の送達に関する。このような医薬組成物、医薬組成物を作製するための方法、および組成物を使用する方法が記載される。
【0006】
本発明の種々の特徴および付随する利点は、添付の図面と供に考慮された場合に、より良好に理解されるように、より十分に評価されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、例えば、粒子(例えば、粉末)の形態である乾燥させた医薬組成物の調製方法;これらの方法によって調製される組成物、および患者に組成物を使用する方法に関する。
【0008】
本発明の1つの態様は、医薬組成物を調製する方法であり、この方法は以下の1つまたは複数のステップを含む:治療剤または予防剤の液体処方物を霧状にして霧状化処方物を生成するステップ;前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および前記固体粒子を乾燥させて乾燥粒子(例えば、粉末)を生成するステップ。好ましくは、前記霧状化処方物は、約35μmと約300μmの間、より好ましくは約50μmと約300μmの間の体積平均直径(非特許文献1によって定義される)を有する液滴を含み、かつ/または前記粉末は約35μmと約300μmの間、より好ましくは約50μmと約300μmの間の体積平均直径を有する乾燥粒子を含む。最も好ましくは、これらの液滴または粒子は約50μmと約100μmの間の体積平均直径を有する。好ましい実施形態において、乾燥粒子の少なくとも約50%は平均の約80%以内の体積直径を有し;より好ましくは、乾燥粒子の少なくとも約50%は平均の約60%以内の体積直径を有する。好ましい実施形態において、この粉末は、約8μmと約140μmの間、より好ましくは約8μmと約80μmの間、さらにより好ましくは約20μmと約70μmの間の平均空力直径(非特許文献1、前出において定義される)を有する乾燥粒子を含む。この方法、およびこの方法によって作製される組成物は、一般的には本明細書中で「噴霧凍結乾燥」法または組成物と呼ぶこともある。
【0009】
上記の医薬組成物の粒子は、乾燥形態で、再構成して、非経口投与するまたは鼻内投与するのを容易にするために適切なサイズ、密度、および/または形態である。いかなる特定の理論にも束縛することを望まないが、鼻内投与の後、上記の組成物は粘膜(例えば、鼻の内層または洞の粘膜)に送達され、ここでこれらは、洞を通って進むのではなく肺系統に付着すること、およびこのような粘膜への付着により、治療用組成物および予防用組成物の他の処方物を用いるよりも速い吸収の速度が可能になることが提案される。本発明の組成物がワクチンである場合は、増強された抗体応答が得られ、したがって改善された防御が提供される。
【0010】
本発明の別の態様は、医薬組成物を調製する方法であり、この方法は以下の1つまたは複数のステップを含む:治療剤または予防剤の液体処方物を霧状にして霧状化処方物を生成するステップ;前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ;および前記固体粒子をほぼ大気圧で、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で乾燥させて乾燥粒子を生成する(例えば、粉末を生成する)ステップを含む。「ほぼ大気圧」とは、本明細書中では、約0.5気圧から約5気圧までの範囲の圧力を意味する。「乾燥させる」とは、本明細書中では、固体の凍結粒子から処方物の揮発性成分を除去することを意味する。好ましくは、粉末は、約35μmと約300μmの間、より好ましくは約50μmと約300μmの間、もしくは最も好ましくは約50μmと約100μmの間の体積平均直径を有する乾燥粒子;および/または、約8μmと約140μmの間、好ましくは約8μmと約80μmの間、最も好ましくは約20μmと約70μmの間の平均空力直径を有する乾燥粒子である。好ましい実施形態において、乾燥粒子の少なくとも約50%は平均値の約80%以内の体積直径を有し;より好ましくは、乾燥粒子の少なくとも約50%は平均値の約60%以内の体積直径を有する。好ましくは、凍結させた固体粒子は、これらが乾燥されているときに流動化状態にある。この方法、およびこの方法によって作製される組成物は、ときおり、本明細書中で「噴霧凍結大気乾燥」法または組成物といわれる。この方法によって製造される組成物の利点は、これらは塊にならないことである。
【0011】
本発明の組成物の他の利点は、この組成物が良好な安定性および無菌性を提供し、かつ液体中で容易に再構成されることである。この粒子は、粒子の再構成を容易にする、低いタップ密度および高い表面領域を示すことができる。この粒子は低レベルの微粉を示し、それにより取り扱いが容易になる。本発明の方法により、十分に制御された粒子サイズの分布を可能になる。それゆえに、本発明の組成物は十分に制御された粒子サイズの分布を含む。この組成物は、冷蔵の非存在下で安定であり、例えば、液体処方物よりも、より便利でかつより高価でない貯蔵および輸送を可能にする。本発明の組成物は、特に、集団予防接種に十分に適している。本発明の1つの実施形態において、本発明の組成物は、液体中で再構成され、かつ筋肉内注射によって投与される。代替的な方法において、本発明の組成物は、鼻内投与されてもよい。なぜなら、十分に制御された粒子サイズ分布により鼻粘膜の正確な標的化が可能になるからである。
【0012】
タップ密度の特性は当業者に周知である。固体材料の各粒子は、粉砕、製粉、または処理の後で同じ真の密度を有するが、この材料はより幾何学的な空間を占める。換言すると、幾何学的密度は、粒子が球状である場合、真の密度よりも低く、約50%低くなる。
【0013】
粉末化された材料の処理または振動により、より小さな粒子は、より大きな粒子間の空間に入り込む。粉末によって占められた幾何学的空間は減少し、その密度が増加する。圧力を加えなければ、最終的には、さらに自然な粒子充填と判定することはできない。最大限の粒子充填が達成される。
【0014】
タップ速度、タップ力(低下)、およびシリンダー直径の制御された条件下で、最大充填効率の条件は高度に再現可能である。このタップ密度測定は、見かけの体積のためのBritish Pharmacopoeia法、ISO787/11ならびにタップ密度のためのASTM標準試験法B527、D1464、およびD4781において定式化される。
【0015】
本発明の別の態様は、上記のような医薬組成物を作製する方法であり、凍結させるステップは、液体処方物の凝固点より低い温度を有する冷却流体または媒体に、前記霧状にされた処方物を導入することによって行われ(用語「流体」は、本明細書中で使用される場合、圧縮ガスなどの気体と、液体の両方を含む);前記流体または媒体は、前記霧状化処方物の沸点または昇華点よりも低い沸点または昇華点を有し;乾燥させるステップはほぼ大気圧において(好ましくは、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で)、凍結乾燥またはそれらの組合せによって行われ、好ましくは凍結させるステップと乾燥させるステップの両方が冷却ガス中でほぼ大気圧で(好ましくは、振動、内部部材、機械的攪拌、またはそれらの組合せの存在下で)行われ;治療剤もしくは予防剤はタンパク質(例えば、インスリン)、核酸、またはウイルス粒子であるか、または治療剤は、インフルエンザワクチン、例えば、不活化インフルエンザ粒子、サブユニットインフルエンザワクチン、またはインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質をコードする核酸を含むワクチンなどの免疫原性薬剤であり、この赤血球凝集素タンパク質は、構成的プロモーター、特にCMVプロモーターなどの強力な構成的プロモーターの制御下にあり;この液体処方物は、粘膜付着剤、例えば、キトサン、デルマタン硫酸、コンドロイチン、もしくはペクチンなどの薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含み、またはこの液体処方物は、治療剤および水から本質的になる。
【0016】
本発明の別の態様は、上記のような方法によって調製される医薬組成物;もしくは約35μmと約300μmの間、好ましくは約50μmと約300μmの間、より好ましくは約50μmと約100μmの間の体積平均直径を有する乾燥粒子を含む医薬組成物であり、かつ/または乾燥粒子は約8μmと約140μmの間、より好ましくは約8μmと約80μmの間、なおより好ましくは約20μmと約70μmの間の平均空力直径を有する。好ましくは、組成物中の乾燥粒子の約50%は平均値の約80%以内の体積直径を有し;より好ましくは、乾燥粒子の約50%は平均値の約60%以内の体積直径を有する。
【0017】
本発明の別の態様は、その必要がある患者を治療する方法であり、この方法は、本発明の方法によって製造された医薬組成物、および/または先の段落において記述された特性を有する有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含み;この組成物は、非経口的、呼吸器、鼻内、直腸内、膣内、または舌下の経路によって投与される。別の態様は、その必要がある患者への鼻内投与の後で有効な結果を生じるために必要とされる治療剤または予防剤の量を減少させる方法であり、この方法は、本発明の医薬組成物を有効量で患者に鼻内投与するステップを含む。別の態様は、患者における免疫応答を誘発させる方法であり、この方法は、本発明の免疫原性組成物を有効量で患者に投与するステップを含み、例えば、この組成物は、粉末として粘膜表面に直接的に投与されるか、または再構成後に非経口的に投与される。
【0018】
別の態様は、医薬組成物を調製する方法であり、この方法は、治療剤または予防剤の液体処方物の霧状化処方物を凍結させるステップによって形成された固体状の粒子を、ほぼ大気圧で、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で乾燥させるステップを含む。
【0019】
別の態様は、医薬組成物を調製する方法であり、この方法は、前記治療剤または予防剤の液体処方物を噴霧化して霧状化処方物を生成し、続く前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および前記固体粒子を乾燥させて粉末を生成するステップ含み、乾燥された粉末は、約35μmと約300μmの間、好ましくは約50μmと約300μmの間、およびより好ましくは約50μmと約100μmの間の平均サイズ直径を有する乾燥粒子を含み、前記乾燥粒子の少なくとも約50%は平均値の約80%以内の体積直径を有し、および前記乾燥粒子は約8μmと約140μmの間の平均空力直径を有する。
【0020】
多種類の治療剤または予防剤のいずれを本発明の方法および組成物に使用してもよい。「治療剤」(ときおり本明細書中では「活性医薬的薬剤」またはAPIとされる)は、本明細書中で使用される場合、それが投与される細胞、組織、器官、または患者における治療的効果を誘発し得る薬剤を意味する。1種または複数の治療剤を含む組成物は、患者に投与されたときに「臨床的に有効な結果」を生じさせることができる。本明細書中で使用される場合、用語「臨床的に有効な結果」は、有用な生物学的応答を意味し、診断的用途と治療的用途の両方に適用される。例えば、本発明の組成物は、診断試験の方法において、ならびに/または患者の疾患もしくは病気の症状を治療、予防、および/もしくは緩和するために使用されることができる。
【0021】
治療剤は、多種類のタイプのいずれか(例えば、ポリペプチド(タンパク質)、ポリヌクレオチド(核酸)、ステロイドおよびウイルス粒子などの低分子を含む)であることができる。用語ポリペプチドおよびタンパク質は、本明細書中で交換可能に使用され、用語ポリヌクレオチドおよび核酸についても同様である。
【0022】
適切なポリペプチドまたはペプチドには以下が含まれるがこれらに限定されない:増殖因子、サイトカイン、抗原、抗体、インターロイキン、リンホカイン、インターフェロン、酵素など。これらには限定されないが、以下が含まれる:抗IgE抗体、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、カルシトニン、エリスロポエチン(EPO)、第IX因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、成長ホルモン(特にヒト成長ホルモン)、ヘパリン(低分子量ヘパリンを含む)、インスリン、インスリン様増殖因子I(IGF−I)およびII(IGF−II)、インターロイキン、インターフェロンα、β、およびγ、黄体形成ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチンおよびアナログ、バソプレッシンおよびアナログ、濾胞刺激ホルモン、アミリン、毛様体神経栄養因子、増殖ホルモン放出因子、インスリノトロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経増殖因子、副甲状腺ホルモン、α−1アンチトリプシン、抗RSV抗体、DNase、Her2、CFTR(嚢胞性線維症を治療するために有用である、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子産物)、インスリンなど。好ましい実施形態において、このポリペプチドはインスリンである。マーカータンパク質などのポリペプチドもまた使用されることができる。
【0023】
好ましい態様において、ポリペプチドは、細菌、ウイルス、原生動物、もしくは他の寄生生物(マラリアを含む)などの感染性因子の中またはその表面で、または細菌によって産生される毒素の生物学的活性を模倣する、組換え的に産生されたタンパク質もしくはポリペプチドとして見出される。このようなポリペプチドは、例えば、ワクチンにおける使用のための免疫原性薬剤として働くことができる。
【0024】
このポリペプチドは、天然に存在するものでもよく、またはこれは組換え的に産生されてもよい。これは、特許文献1において議論されている改変体ポリペプチドにおけるような、当該分野で認識されている種々の修飾のいずれかによって修飾されていてもよい。本発明において使用されるポリペプチドは、全長タンパク質のフラグメントでもよい。任意の望ましいサイズ(長さ)のポリペプチドが使用することができる。例えば、1つまたは複数のエピトープおよび/または抗原性配列を含むペプチドが免疫応答を誘発する薬剤として働くことができる。
【0025】
適切なポリヌクレオチドには、例えば、関心対象の治療用ポリペプチドをコードする組換え配列を含むベクターが含まれる。これらのポリヌクレオチドは、上記に記述した治療用ポリペプチドまたは他のポリペプチドのいずれかをコードすることができる。このような配列をクローニングするため、および関心対象の配列が適切な発現制御配列に作動可能に連結されている組換えベクターを産生するための方法は、日常的でありかつ慣用的である。代表的な方法は、他の情報源の間でも、非特許文献2および3において記載されるものを含む。語句「発現制御配列」は、それが機能的に(「作動可能に」)連結されているポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの発現を調節するポリヌクレオチド配列を意味する。発現は、mRNAまたはポリペプチドのレベルで調節されることができる。したがって、発現制御配列は、mRNA関連エレメントおよびタンパク質関連エレメントを含む。このようなエレメントには、プロモーター、エンハンサー(ウイルス性または細胞性)、リボソーム結合配列、転写ターミネーターなどが含まれる。発現制御配列は、その発現制御配列がコード配列の発現をもたらすかまたは達成するような様式で配置される場合に、ヌクレオチドコード配列に作動可能に連結される。例えば、プロモーターがコード配列に対して5’で作動可能に連結される場合、コード配列の発現はプロモーターによって駆動される。強力な構成的プロモーターまたは調節可能なプロモーターなどの適切な発現制御配列は、当業者には明白である。
【0026】
ポリヌクレオチドは天然に存在するものであってもよく、またはこれは組換えで生成させてもよい。本発明において使用されるポリヌクレオチドは、全長核酸のフラグメント、例えば、全長タンパク質のフラグメントをコードするフラグメントでもよい。任意の望ましいサイズのポリヌクレオチドが臨床的に有効な結果を提供するならば、これが使用されることができる。
【0027】
組成物中で使用されることができるポリヌクレオチドおよび本発明の方法は、当業者にとって明白である種々の形態のいずれか(例えば、DNA、RNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチド、一本鎖または二本鎖の分子など)を取ることができる。核酸は、例えば、それらを安定化させるかまたは細胞への取り込みを増強する際に補助することができる、多数の公知の修飾のいずれかを含むことができる。このような修飾には、例えば、特許文献2において議論されているものが含まれる。
【0028】
好ましい実施形態において、このポリヌクレオチドは、ワクチン、例えば、DNAワクチンとして働く。インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質をコードし、かつインフルエンザ感染の少なくともいくつかの徴候に対して防御を提供する、1つのこのようなDNAワクチンの構築および使用は、本明細書中の別の箇所でより詳細に議論される。例えば、実施例5〜8を参照のこと。このような核酸は、これらの全長タンパク質またはそのフラグメント、例えば、免疫応答を誘発することができる抗原性ペプチドをコードしてもよい。
【0029】
この核酸は、コード配列または非コード(例えば、調節)配列を含むことができる。ポリペプチドをコードすることに加えて、核酸は、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムでもよい。アンチセンス分子またはリボザイムのある種の周知形態についての議論については、例えば、非特許文献2を参照のこと。
【0030】
適切なウイルス粒子には、例えば、ワクチンのための抗原として働くことができる部分的または完全に不活化されたウイルス粒子(例えば、インフルエンザ。RSV、およびポリオウイルスなど)が含まれる。好ましい実施形態において、ウイルスは不活化インフルエンザウイルスである。インフルエンザの代表的な株には、例えば、A/PR/8/34およびポートチャーマーズ(Port Chalmers)株が含まれる。従来的な方法によって調製されるサブユニットワクチンもまた含まれる。別の実施形態において、鼻内投与のために適切な従来的なウイルスベクター(治療用タンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を含む、アデノウイルスに基づくベクターまたはAAVに基づくベクターを含むがこれらに限定されない)が含まれる。任意の適切な治療遺伝子が使用されることができ、これには、例えば、嚢胞性線維症の治療のために適切な遺伝子が含まれる。
【0031】
適切なステロイドには、例えば、喘息、気管支痙攣、または他の状態を治療するための従来的なステロイドが含まれ、これらは当業者に周知である。
【0032】
関心対象の治療剤は、種々の従来的な液体のいずれかを使用して、液体処方物として最初に処方されることができる。好ましくは、この液体は、例えば、水(例えば、注射可能なグレードの水)または塩を含んでもよいし、もしくは塩を含まなくてもよい、種々の従来的な緩衝液のいずれかのような水溶性のものである。緩衝液のpHは、タンパク質または選択した他の型の治療剤を安定化するために一般的に選択され、当業者によって確認可能である。一般的に、これは、生理学的pHの範囲内にあるが、あるタンパク質は、より広い範囲のpHで、例えば、酸性pHで安定であってもよい。したがって、最初の液体処方物の好ましいpH範囲は、約1から約10まで、特に好ましくは約3から約8まで、およびとりわけ好ましくは約5から約7までである。当業者に理解されるように、使用されてもよい膨大な数の適切な緩衝液が存在する。適切な緩衝液には以下が含まれるがこれらに限定されない:酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、および炭酸塩。一般的に、緩衝液は、約1mMから約2M、好ましくは約2mMから約1M、およびとりわけ好ましくは約10mMから約0.5M、および特に好ましくは50mMから200mMのモル濃度で使用される。一般的に、塩は、液体溶液中に存在する場合、約1mMから約2M、好ましくは約2mMから約1M、およびとりわけ好ましくは約10mMから約0.5M、および特に好ましくは50mMから200mMのモル濃度で使用される。適切な塩にはNaClが含まれるがこれに限定されない。
【0033】
液体処方物は、種々の形態のいずれか、例えば、溶液、懸濁液、スラリー、またはコロイドであることができる。
【0034】
任意選択的に、液体処方物は、一または複数の従来的な薬学的に受容可能な賦形剤を含むことができる。「賦形剤」は、一般的に、APIの処方の有効性を増強するために加えられる化合物または物質をいう。具体例としては、凍結保護剤および溶解保護剤が含まれ、これらは、噴霧凍結乾燥プロセスまたは噴霧凍結大気乾燥プロセスの安定性を保証または上げるために、その後の粉末生成物の長期的な安定性および流動性のために加えられる。一般的に、適切な保護剤は、比較的自由に流動する粒子状の固体であり、水との接触の際に濃密化され、または重合せず、患者に吸入されるかまたはそうではなく患者に導入されるときに本質的に無害であり、かつその生物学的な活性を変化させる様式で治療剤と有意に相互作用しない。適切な賦形剤には以下のものが含まれるがこれらに限定されない:ヒトおよびウシの血清アルブミンなどのタンパク質、ゼラチン、免疫グロブリン、単糖類(ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖類(ラクトース、トレハロース、スクロースなど)、シクロデキストリン、および多糖類(ラフィノース、マルトデキストリン、デキストランなど)を含む炭水化物;グルタミン酸1ナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニン、またはヒスチジン、ならびに疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど)などのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;硫酸マグネシウムなどの賦形剤塩;三価アルコールまたは高級糖アルコール(例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール)などのポリオール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック剤;界面活性剤;およびこれらの組合せ。好ましい賦形剤には、例えば、トレハロース、スクロース、およびマンニトールが含まれる。別のクラスの賦形剤、粘膜付着剤は、粘膜表面とのAPIの接触を増大させるためにしばしば使用される。粘膜付着剤の具体例には、例えば、キトサン、デルマタン硫酸、コンドロイチン、およびペクチンが含まれる。さらに、APIの溶解性を改善する従来的な共溶媒が、本明細書中に開示されるSFDプロセスのために適切な液体処方物に加えられることができる。
【0035】
一般的に、粘膜付着剤が使用される場合、これらは、約1から95重量%、好ましくは約1から50重量%、とりわけ好ましくは5から50重量%、および特に好ましくは約5から20%の範囲の量で使用される。一般的に、凍結保護剤は、約5重量%と約95重量%の間の濃度で使用される。
【0036】
1つの実施形態において、本発明の乾燥された粉末は、後に、患者に送達される粉末中の治療剤の濃度を低下させるために使用される充填剤または担体と混合される。すなわち、単位用量あたりに、より多くの量の物質が所望されることもある。また、充填剤は分散装置中での粉末の分散性を改善するため、および/または粉末の取扱い特性を改善するために使用されてもよい。これは、噴霧ドライプロセス中の充填剤または担体の使用から区別することができる。一般的に、適切な充填剤は結晶性であり(水吸収を避けるために)、ラクトースおよびマンニトールを含むがこれらに限定されない。したがって、ラクトースなどの充填剤は、もし加える場合は、種々の比率で、好ましくは関心対象の治療剤対充填剤の約99:1から約1:99の比率で、およびより好ましくは、約1:5から約5:1の比率で、およびとりわけ好ましくは約1:10から約1:20の比率で加えることができる。
【0037】
本発明の液体処方物は、種々の従来的な手順のいずれかによって霧状にすることができる。例えば、液体は、2流体ノズル、圧力ノズル、もしくは回転ディスクを通して噴霧することができ、または超音波噴霧器もしくは振動オリフィスエアロゾル発生装置(VOAG)を用いて霧状にすることができる。1つの実施形態において、液体処方物は、BD AccuSpray(商標)ノズルなどの圧力ノズルを用いて霧状にする。
【0038】
好ましい実施形態において、霧状にする条件は、霧状にされる液滴(例えば、噴霧される液滴)の平均かさ直径は少なくとも約20μ、好ましくは約35μmと約300μmの間、より好ましくは約50μmと約300μmと間、なおより好ましくは約50μmと約100μmの間であるように最適化される。所望のサイズの液滴の生成を最適化するための方法は従来からのものである。変化させることができる条件には、霧状化気体流、霧状化気体圧、液体流速度などがある。また、ノズルの型およびサイズは変化させることができる。液体滴サイズは、レーザー散乱などの従来的な技術を使用して容易に測定することができる。乾燥粒子のサイズは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)またはレーザー散乱などの従来的な技術によって測定することができる。図4および18は、例えば、実施例1において図示された方法によって製造された試料についてレーザー散乱によって測定されるような、液体試料および乾燥粉末試料の代表的な粒子サイズ分布をそれぞれ示す。
【0039】
本明細書中の別の箇所で議論されるように、凍結させた、霧状にされた粒子をほぼ大気圧で乾燥させる1つの実施形態において、霧状にされた液滴のサイズは、例えば、少なくとも約20μm、好ましくは約20μmと約300μmの間、より好ましくは約35μmと約100μmの間、または約50μmと約100μmの間であることができる。
【0040】
液体処方物の霧状化の後、液滴は、急速に凍結されて固体状の粒子を形成する。好ましくは、この液滴は、霧状化ステップの直後、または実質的に直後に凍結される。
【0041】
1つの実施形態において、液滴は、そこから霧状にされた液滴が形成された液体処方物の凝固点よりも低い冷却液体中に液滴を浸漬することによって凍結させる。好ましい実施形態において、冷却液体の温度は約−200℃から−80℃、より好ましくは約−200℃から−100℃の間、最も好ましくは約−200℃である(液体窒素は約−196℃)。任意の適切な冷却液体を使用することができ、これには、当該分野において周知であるような、液体窒素、アルゴン、およびヒドロフルオロエーテル、または圧縮流体のCO、ヘリウム、プロパン、もしくはエタンなどの圧縮液体、または同等の不活性液体が含まれる。例えば、1つの実施形態において、治療剤の液体処方物は、例えば、液体窒素などの適切な冷却液体を含む容器上に配置される噴霧ノズルを通して霧状にされる。液滴は、冷却液体との接触により瞬間的に凍結させる。実施例2は、このような凍結手順を利用する不活化fluウイルス粒子の組成物の調製を示す。
【0042】
別の実施形態において、液滴は、冷却チャンバ中の気体(例えば、冷気、窒素、ヘリウム、またはアルゴン)中を通過させることによって凍結され、この気体は液滴の凝固点より下である。好ましい実施形態において、冷却気体は、約−5℃から−60℃、より好ましくは、約−20℃から−40℃の間である。この気体は、従来からの方法によって、例えば、冷却コイル、熱交換器、または冷却コンデンサーによって冷却することができる。気体の温度は、従来的な手順を用いて、例えば、液体窒素、固体状の二酸化炭素、または同等の冷却剤を用いて低下させることができ、凝固点以下の温度を生じさせる。実施例1aおよび1bは、本発明の組成物を製造するために使用できる代表的な装置および方法を図示し、ここでは、噴霧された液滴は、適切な冷却チャンバを通しての通過によって気体中で冷却される。
【0043】
固体状の凍結粒子が処方された後、粒子は、粉末を作るために乾燥される。「乾燥」は、例えば、粒子が容易に(例えば、吸入装置中で)エアロゾルを形成するために分散可能であるような一定の水分含量を有するような、無視できる量の液体を有することを意味する。この水分含量は、一般的に約15重量%以下の水、好ましくは約10%未満、および特に好ましくは約1%から約5%未満である。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、凍結させた液滴は、従来的な凍結乾燥装置を使用して、凍結乾燥(真空下での凍結−乾燥)によって乾燥される。この方法は、一般的に、「噴霧凍結乾燥」またはSFD法と呼ばれ、この方法によって作製された組成物は、「噴霧凍結乾燥」またはSFD組成物と呼ばれる。例えば、1つの態様において、粒子が、液体窒素を含む容器(例えば、Virtis凍結乾燥フラスコ)にそれらを噴霧することによって凍結させたとき、その後、この容器は従来的な凍結乾燥機に装着することができ、過剰の液体窒素が蒸発させられる。凍結させたエアロゾルは、典型的には約48時間以内に乾燥されて、約1重量%より低い水分レベルに達する。代りに、ほぼ大気圧で、冷気中で凍結させ、および、任意選択的に、ほぼ大気圧で部分的に乾燥させた(以下で議論する)液滴を、次に、凍結乾燥フラスコ中に配置するか、または凍結乾燥に供せられることができる。
【0045】
別の実施形態において、凍結させた液滴は、冷却され、乾燥させた気体(例えば、空気、窒素、またはヘリウム)流で、ほぼ大気圧で、昇華によって乾燥させる。「ほぼ大気圧」は、本明細書中では、約0.5気圧から約5気圧の範囲の圧力を意味する。気体の温度は、種々の従来的な手順のいずれかによって、例えば、液体窒素、固体状の二酸化炭素、または同等の凍結剤を用いて、低下させることができる。このような様式において乾燥される本発明の粒子は、本明細書中でときおり「噴霧凍結大気乾燥」粒子といわれる。好ましい実施形態において、霧状にされた液滴は凍結され、同じ「噴霧凍結大気乾燥」チャンバ中で乾燥され、一つのステップで実施される凍結および乾燥手段が可能になる。
【0046】
ほぼ大気圧の冷気中で固体状の凍結させた粒子を乾燥させるための1つの装置および方法は、Leuenbergerの特許文献3に開示されている。本明細書中の実施例1aおよび1bもまた参照のこと。また、他の型の従来的な装置も使用することができる。
【0047】
好ましい実施形態において、例えば、実施例1bおよび11に示されるように、凍結され霧状にされた粒子は、冷却気体中で、ほぼ大気圧で、粒子の流動化を増強させる条件の存在下で乾燥される。最も好ましい実施形態において、凍結させた、霧状にされた粒子は、乾燥プロセス中、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で乾燥される。用語「内部部材」は、本明細書中で使用される場合、チャンバ(例えば、SFDチャンバ)内部の任意の物理的障壁または例えば、ブレード、プレート、もしくは他の障壁などの流動床をいう。このような処理により、粒子が流動化状態を達成することが可能になる。このような流動化を達成するための方法および装置は、実施例1bおよび11において議論されている。
【0048】
実施例1bおよび11に記載される方法および装置は、チャネリングの防止にも役立つ。チャネリングは、微細な粒子の最も望ましくない流動化の特徴の1つであり、低いまたは高い流動化速度で起こりうる。これは、分配器から床表面に伸びる間隙を通して気体が通過するときに起こる。これらの垂直方向のチャネルは、時間とともに床を横切って移動してもよく、その結果、床の脱流動化を生じさせる。床には小さな割れ目も存在し、これは、これらの垂直方向のチャネルに流れる。気体速度の増加とともに、小さなチャネルだけでなく大きなチャネル(ラットホールとも呼ばれる)もまた、ある極度に粘着性の粒子に対して形成される。この困難さは、粒子間の力が、流体が粒子上に及ぼす力よりも顕著に大きいために生じる。
【0049】
例えば、2流体ノズル、圧力ノズルあるいは超音波ノズルを使用することによって噴霧凍結させた、噴霧凍結させた粉末は、流動化することが非常に困難であり得る。流動床中で乾燥された場合、このような粒子は、容易にチャネル形成または凝集し、これらにより、迅速かつ完全に乾燥させることを困難になり、または不可能になる。本発明者らは、乾燥プロセス中の振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せを導入することが、このような粒子を流動化することを可能にする際に有効である可能性があることを認識した。
【0050】
別の実施形態において、凍結させた液滴は、上記のような、冷却され、乾燥させた気体(例えば、空気)流中での、ほぼ大気圧での昇華および凍結乾燥の組合せによって乾燥させる。例えば、ほぼ大気圧で部分的に乾燥された(例えば、望ましくない量の液体をなお含むケーキまたは粉末を形成するための)組成物は、凍結乾燥機に移され、ここで組成物がさらに乾燥される。
【0051】
従来的な方法が、乾燥された組成物を収集するために使用することができる。1つの実施形態において、乾燥粒子は、フィルタ上で収集され、そこからこれらは、例えば、医学的適用における使用のために取り出すことができる。これを実施するために利用できるこのような方法および装置の例示については、実施例1aおよび1bならびに図1Aおよび1Bを参照のこと。別の実施形態において、噴霧凍結大気乾燥粒子は、生成物容器中で収集される。部分的に乾燥された粒子は、密でないケーキを形成してもよく、そこから残存している水分が、冷却され、乾燥された空気流中で、さらに大気昇華によって除去することができ、または凍結乾燥機もしくは他の適切な装置に場合により移され、さらに減圧下(大気圧より下)で乾燥することができる。
【0052】
上記の方法のいずれかによって乾燥粒子は、実質的に同じ特性(例えば、粒子サイズ、多孔性など)を示す。
【0053】
特に、振動および/または内部部材を有する本発明の大気噴霧凍結乾燥プロセスは、乾燥粒子を製造し、かつ収率を上げる経済的に実施可能な方法を提供する。この方法によって調製される組成物は、例えば、呼吸器投与を容易にする特性を有することができる。例えば、Maaの特許文献4に開示されている噴霧凍結乾燥プロセスとは異なり、本発明のこの実施形態は、乾燥粒子を一つの装置を用いて製造する。本発明の霧状化、凍結、および乾燥は好ましくは一つの容器中で行われ、したがって、試料の汚染および収率の減少を生じるかもしれない試料を移動させる必要をなくす。全体の操作はまた、連続した操作として達成されることができ、したがって、効率の改善を提供する。「連続した操作」は、ステップの間の一次的中断が存在しないこと、および/または物理的な分離が存在しない(例えば、凍結させた霧状化粒子が乾燥のための別の容器に移されない)ことを意味する。医薬組成物を調製するために利用される他の噴霧凍結乾燥プロセスは、しばしば、凍結乾燥のための第2のステップを含み、これは、噴霧凍結チャンバから凍結させた粒子を取り出すこと、および凍結乾燥機へ粒子を移動させることを含む。このような追加的なステップは、噴霧凍結乾燥プロセスの商業的な利用可能性を減少させ、かつ粒子に取り込まれた水分の部分的解凍に起因する粒子の凝集が生じる可能性がある。
【0054】
乾燥手順後、本発明の組成物は、自由に流動する粉末の形態を得ることができる。乾燥させた、多孔性の粒子の組成物は、乾燥前に凍結させた液滴と、およそ同じサイズ(幾何学的直径)および形状である。
【0055】
本発明の乾燥粒子は、所望の空力学的特性を示す。乾燥粒子の慣性衝突および重力沈降は、動物の気道におけるこれらの沈着プロフィールを決定する。このような沈着プロフィールを決定する方法は、当該分野において日常的かつ慣用的である。例えば、空力直径は、水の密度に対する粒子密度の比率の平方根を掛けた、実際の粒子直径の結果として定義される(dae=(sg)1/2、sg=ρ粒子/ρ、daeは粒子空力直径、dは粒子直径である)。
【0056】
また、本発明の乾燥された粉末は他の望ましい特性を示す。実施例9および10は、本発明の方法によって作製したインスリンの組成物のある特性を示す。この粒子は、望ましい形態(SEMによって示されるように)および望ましい密度を示す。さらに、この粒子では、その使用後に送達デバイス中に残存する残渣粉末がより少量であり、例えば、液体インスリン処方物よりも高い安定性を示し、かつ容易に液体で再構成される。
【0057】
本発明の組成物は、種々の医学的状態を治療するために使用することができる。治療することができる多くの状態の中には、糖尿病、感染性疾患、または本明細書中の別の箇所で議論された治療剤もしくは他の治療剤によって治療されることができる任意の状態がある。好ましい実施形態において、本明細書の組成物はワクチンである。
【0058】
本発明の1つの態様は、その必要がある患者を治療する方法であり、この方法は、本発明の方法によって製造された医薬組成物の有効量を前記患者に投与するステップを含む。「有効量」とは、本明細書中では、望ましい応答を誘発するために有効である量を意味する。例えば、免疫原性組成物の有効量は、検出可能な免疫応答を誘発するために有効である量である。有効用量は、従来的な手順に従って、患者の年齢、体重、および/または臨床的状態、投与の方法およびスケジュールなどの周知の要因を考慮して経験的に決定することができる。患者は任意の動物、好ましくは哺乳動物、例えば、農業用家畜もしくは他の家畜、またはラット、マウス、ハムスター、モルモット、ウサギなど、好ましくはヒトであることができる。
【0059】
本発明の組成物は、当業者によって公知である種々の経路のいずれかによって投与されることができ、これには、非経口、呼吸器、鼻内、直腸内、膣内、舌下、または経口の投与が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、本発明の組成物は、呼吸系を介してその必要がある患者に投与される。「呼吸系を通しての投与」または「呼吸器投与」は、本明細書中では、薬剤が鼻を通して(鼻内)投与され、その後でその薬剤が鼻腔および洞を通過し、ある場合には肺に到達することを意味する。
【0060】
従来的な投与の方法を使用してもよい。適切な適用装置(例えば、吸入器)は当該分野において公知である。代表的な送達デバイスには、米国特許仮出願第09/879,517号明細書(6/12/01出願)および米国特許仮出願第09/758,776号明細書(1/12/01出願)が含まれるが、これらに限定されない。投与される投薬量は当業者に公知の従来的な手順によって決定することができる。例えば、非特許文献4を参照されたい。考慮されるべき要因には、含有される特異的薬剤の活性、その薬剤の代謝的安定性および作用の長さ、投与の様式および時間、薬物の組合せ、排出の速度、治療される種、ならびに治療を受ける宿主の年齢、体重、一般的健康、性別、食事、および特定の疾患状態の状態が含まれる。有効な免疫応答を誘発するための投薬量(例えば、有効なワクチン接種のための投薬量)は当業者に周知である。
【0061】
本発明の別の態様は、その必要がある患者への治療用組成物の送達によって障害(例えば、状態または疾患)を治療する方法であり、この方法は、患者の鼻の粘膜および/または洞道に本発明の医薬組成物を投与するステップを含む。別の実施形態は、その必要がある患者に治療用組成物を投与する方法であり、この方法は、患者の鼻の粘膜および/または洞道に本発明の医薬組成物を投与するステップを含む。別の態様は、本発明の医薬組成物の有効量を含む単位用量容器または乾燥粉末吸入器である、
本発明の組成物は、液体処方物、または例えば、噴霧乾燥処方物などの他の型の乾燥処方物よりも、鼻内投与後により高い治療的効果を達成することができる。例えば、実施例2および3を参照されたい。それゆえに、本発明は、その必要がある患者への鼻内投与後に有効な結果を生じるために必要とされる治療用薬剤の量を減少させる方法に関し、この方法は、本発明の医薬組成物の有効量を前記患者に投与するステップを含む。
【0062】
1つの態様において、本発明は、患者における免疫応答を誘発するための方法に関し、この方法は、本発明の免疫原性組成物の有効量を患者に投与するステップを含む。用語「免疫応答」とは、本明細書中で使用される場合、例えば、多細胞生物が、生物の細胞または生物の細胞外液に侵入する抗原性物質に対して抗体を産生するメカニズムを含む。このように産生された抗体は、免疫グロブリンA、D、E、G、またはMなどの免疫学的クラスのいずれかに属することができる。他の型の応答、例えば、細胞性免疫および体液性免疫もまた含まれる。抗原に対する免疫応答は、十分に研究され、広範に報告されている、免疫学の概説は、例えば、非特許文献5において与えられる。免疫学における方法は日常的かつ従来的である(例えば、非特許文献6を参照されたい。)。
【0063】
1つの態様において、本発明はワクチン(将来の損害に対する防御が提供されるように、生きている生物の免疫系を刺激するために使用される薬剤)に関する。例えば、インフルエンザワクチンは、インフルエンザによる感染に対して、少なくとも限定された程度まで、患者を防御することができる。すなわち、ワクチンは、fluウイルスの感染によって発生する少なくともいくつかの徴候を緩和させることができる。本発明のワクチン組成物は、例えば、タンパク質(例えば、サブユニットワクチン中)、ウイルス粒子、または関心対象の抗原をコードするDNAの形態を取ることができる。
【0064】
実施例2は、不活化インフルエンザウイルス粒子を含む本発明の噴霧凍結乾燥(SFD)組成物の調製を示す。この実施例は、特定の株のインフルエンザウイルスの使用を示す。当業者は、他のインフルエンザの株もまた使用することができることを認識する。
【0065】
多くの感染性因子は身体に侵入し、粘膜を通してそれらの病態生理学的効果を発揮する。感染に対する防御は、局所的に産生される粘膜IgAを用いて感染性因子を中和することによって侵入の最初の部位で提供されることができる。全身性免疫応答は従来の免疫経路(例えば、IM、IDなど)によって容易に誘発されるが、粘膜応答は一般的に達成することがより困難である。乾燥粉末ワクチンの鼻内(IN)送達の利点は、全身性と粘膜の両方の免疫応答を誘発するその能力である。さらに、IN粉末ワクチン送達は、粘膜の粉末薬物の取り込みの有効性のために、必要とされる用量を減少させることができる。
【0066】
実施例2は、噴霧凍結乾燥されたfluワクチン(賦形剤を含む)の鼻内送達が、より大量のワクチンの用量の筋肉内送達と同等の抗体産生を生じることを示す。
【0067】
実施例3は、SFD不活化インフルエンザ粒子がIgGおよびIgAの応答を誘発することができ、これはキトサンが賦形剤として存在するときに増強されることを示す。
【0068】
実施例4はインフルエンザ安定性の研究を示す。凍結乾燥方法は粒子の安定性を有害に変化させなかったのに対して、凍結乾燥粒子の粉砕は劇的な減少をもたらす。
【0069】
実施例5〜7はDNAインフルエンザワクチンの調製および使用を実証する。本発明の方法は、DNA分子を含むワクチン組成物を調製および/または送達するために使用することができる。DNAワクチン、例えば、インフルエンザワクチンを操作するための方法は当該分野において周知であり、本明細書中の他の箇所で議論される。実施例5はモデル系を例示し、ここでは、マーカー遺伝子、ホタルルシフェラーゼをコードするDNAプラスミドが、本発明の方法に従って調製された液体処方物、または乾燥(FD)処方物のいずれかにおいて、ラットに鼻内で導入される。ルシフェラーゼ遺伝子発現は肺ではなく鼻において観察される。粉末処方物のIN投与により、液体処方物と同様のレベルで遺伝子発現が生じる。実施例6および7は、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)コード配列を含むDNAワクチンをどのようにして生成するか、およびこのようなワクチンをラットに接種したときに有意な応答を誘発することを例証する。本発明に従って調製され、かつ鼻内に投与された賦形剤トレハロースを含むSFD処方物は、鼻内に投与された液体処方物、または筋肉内に導入された処方物に相当する量よりも、強力な抗体応答を誘発する。
【0070】
実施例8は、例えば、プライミング(一次免疫)がインフルエンザ赤血球凝集素をコードするDNAを用いて実施され、インフルエンザウイルス粒子を用いる増強が続く、免疫レジメンを例示する。このレジメンは、予想外に高い抗体応答を提供する。
【0071】
別の態様において、本発明は、インスリンを含む、呼吸器投与のための本発明の医薬組成物、ならびにこの組成物を作製する方法および患者を治療するためにそれを使用する方法に関する。インスリンの呼吸器送達は、例えば、皮内注射または皮下注射による投与と比較して、患者のコンプライアンスの増加および糖尿病患者が頻繁に自己注射をする必要性がないことを含むいくつかの利点を提供する。本発明のインスリン処方物のいくつかの特性は実施例9および10に示される。本明細書中に提供される実施例2〜10において、組成物は噴霧凍結乾燥(凍結乾燥)法(ときおり、「SFD」といわれる)によって調製される。これらの実施例の組成物において、粒子は、少なくとも約20μmの平均直径を有する。これらの組成物は、噴霧凍結大気乾燥法(実施例1、11、12)によって調製される組成物に似ており、したがって、これらの知見はまた、後者の方法によって調製される組成物にもまた適用される。前述および以下の実施例において、すべての温度は摂氏温度で修正されることなく使用され、他に示されない限り、すべての部およびパーセンテージは重量による。
【0072】
(実施例)
(実施例1)
1a)本発明の噴霧凍結大気乾燥医薬組成物を調製するための方法および装置
種々の装置のいずれかを使用して本発明の医薬組成物を製造することができる。図1を参照すると、本発明に従って使用することができる噴霧凍結大気中乾燥装置を10に一般的に示す。活性を持つ薬学的成分(API)を製造するための方法の具体的な例(例えば、呼吸系への投与のために適切なもの)は以下の通りである。液体供給ライン12は、霧状化噴霧ノズル14に流体によって接続される。APIおよび適切な液体の混合物は、以下でさらに説明するように、液体供給ライン内に配置される。噴霧ノズル14は、噴霧凍結大気乾燥チャンバ16内に配置される。好ましい実施形態において、噴霧ライン18(例えば、圧縮ガスを使用する)は、混合物を霧状化するために噴霧ノズル14と接続される。霧状化気体は、例えば、窒素、酸素、または空気を含むことができる。他の従来型のノズルもまた、適切に霧状化された粒子サイズを生成する際に有効であり、これには、2流体噴霧器、圧力噴霧器、超音波噴霧器、またはさらにより好ましくは、振動オリフィスエアロゾル生成装置(VOAG)を含み、各々がより均一な粒子サイズ分布を生成することが知られている。冷却液体(例えば、窒素)または固体(例えば、ドライアイス)が乾燥チャンバ内に配置することができ、霧状化液滴が急速に凍結することを助ける。
【0073】
冷却システム20は冷却気体を乾燥チャンバ16に供給し、チャンバ16内の温度を、一次乾燥段階において一般的に約−20℃と約−40℃の間に維持する。乾燥チャンバ16内の温度は、好ましくは、混合物の凝固点よりも十分に下に維持される。冷却気体は、液体窒素、固体CO、または同等の冷却剤を利用する重複冷却チャンバ22によって生成され、凍結下の温度を生じる。重複冷却チャンバ22は、チャンバ22の一方が停止される必要がある場合でさえ、システムの操作を維持するための柔軟性を有する。冷却気体入口ライン24は、大気凍結空気を、冷却システム20から乾燥チャンバ16に供給する。冷気リターンライン26は乾燥チャンバ16から冷却気体を受け取り、その冷却気体を冷却システム20に戻して、乾燥チャンバ16と冷却チャンバ22の間の循環を維持する。フィルタ28はチャンバ16の内部に、好ましくはノズル14と冷却気体リターンライン26の間に配置される。フィルタ28により、APIの噴霧凍結大気乾燥粒子を収集し、そこからAPIが将来の医学的使用のために回収することができる。
【0074】
温度コントローラ30は、冷却システム20と乾燥チャンバ16の間、冷却気体入口ライン24中に配置され、乾燥チャンバ16に注入される冷却気体の温度を望ましい範囲内に維持する。補助空気フィルタ32は、冷却気体出口ライン26中に、チャンバ16と冷却システム20の間に配置され、チャンバ16から逃れることができるいかなる残渣の原料をも収集し、それによって、原料が冷却システム20により汚染されることを防ぐ。バルブ34は、冷気入口ラインおよび冷気出口ライン24、26中に、温度コントローラ30と補助フィルタ32の間に、それぞれ、メインテナンスおよび他の操作的手順のために乾燥チャンバ16を密封するために配置される。
【0075】
ポンプまたは送風機36は、補助空気フィルタ32と冷却システム20の間、冷却気体出口ライン26中に配置され、冷却気体を冷却システム20およびチャンバ16を通して循環させる。入口および出口バルブ38は、各冷却チャンバ22の入口40および出口42に配置され、各冷却チャンバ22が、メインテナンスおよび他の操作的手順のために、冷気循環ライン24、26から別々に密封されることを可能にする。さらに、バイパスバルブ44は、チャンバ16が冷却システム20から密封されたときに、冷却システム20を通して冷却気体の循環を可能にするために、冷却気体入口ライン24と冷却気体出口ライン26の間で流体によって連結されたバイパスバルブライン46中に配置される。
【0076】
噴霧ノズル14はチャンバ16内に配置されるので、ノズル14の操作温度は、噴霧ノズル14に提供される混合物の凝固点よりも下である。それゆえに、噴霧バルブ14は凍結する傾向があり、混合物が適切な様式でチャンバ16の内部で霧状化されることを妨げる。したがって、加熱テープ48は、バルブ14に操作可能に接続され、バルブを、混合物の凝固点より上の温度に維持する。混合物の凝固点よりも上の温度に噴霧ノズル14を維持する他の従来的な方法は、当業者に公知であるように使用することができる。
【0077】
操作の間、霧状化APTが噴霧ノズルを通してチャンバ16に導入され、冷却システム20からチャンバ16にまた導入される冷却気体によって急速に凍結される。チャンバ16内で循環する空気は、粒子を流動化状態に好ましくは維持する。粒子は流動化状態に維持され、さらに、フィルタ28に収集されるのに対して、循環している冷却気体は、チャンバ16において凍結させたここでの固体粒子に取り込まれるかもしれない液体を除去することによって粒子を乾燥させる。冷却気体の連続循環は、各粒子中の水分を無視できる量まで減少させる。一次乾燥が完了するにつれて、循環している気体は、任意選択的に、徐々に室温まで上昇させて、二次乾燥および試料の取り出しの間の凝縮を容易にさせる。
【0078】
好ましくは、噴霧ノズル14は、霧状化混合物をチャンバ16の内部の入口冷却ライン24に向けて方向付ける。しかし、噴霧ノズル14が出口冷却ライン26、または噴霧凍結大気乾燥プロセスを最適化するために必要な、乾燥チャンバ16の任意の他の側に向けて方向付けられることが理解されるべきである。さらに、噴霧ノズル14は、任意の所定のAPIおよび送達方法のために望ましいように、種々の霧状化粒子サイズを製造するように選択してもよい。
【0079】
代替的には、凍結され乾燥された粒子は、任意選択的に、フィルタ28から取り出され、減少させた大気圧で操作する凍結乾燥機または他の適切な装置に導入される。ここで、残渣の水分は除去され、粒子は完全に乾燥される。凍結乾燥機は粒子を脱水するのに対して、粒子は凍結状態に維持される。当該分野において公知であるように、水は固相から直接的に気相に移るからである。
【0080】
噴霧凍結大気乾燥プロセスに噴霧ステップを含めることにより、ほぼ大気圧で、溶液を乾燥粒子物に処理することが可能になる。ほぼ大気圧における噴霧凍結物質の処理は、容易にエアロゾル化され、かつ患者への投与に適切なAPIを提供する。さらに、本発明によって教示されるような方法は、適切なAPIを製造するためで商業化のための経済的な手段を提供する。
【0081】
1b)振動する流動床を使用し、内部部材を用いる、本発明の噴霧凍結大気乾燥医薬組成物を調製するための方法および装置
図1Aに示される装置の改良型が図1Bに示される。この改良型は、振動のための手段(49)ならびに特別な内部部材(50)を備える。振動および内部部材により、固体状の凍結させた粒子が、それらがほぼ大気圧において冷却され乾燥させた気流での昇華によって乾燥されるときに、流動化状態をなる。これは、凍結させた粒子が粘性または粘着性であるときにとりわけ有用であり、そして粘性の凍結させた粉末が流動化されかつ洗い分けされるときに、粉末ケーキ構築プロセスにおいて価値がある。
【0082】
生成物収率を増加させるために、凍結させた粉末が漏れないように完全に密封した系を設計してしてもよい。フィルタディスクまたは紙フィルタディスクまたは紙フィルタを使用して、流動床から下にせ洗浄分離された粉末を取り込むことができる。振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せは、粘性の凍結させた粉末が流動化され、そして洗浄分離されるときに有用である。昇華が進行するにつれて、凍結させた粒子は多孔性に(より軽く)なり、空力学的挙動が変化する。部分的に乾燥された粒子は、密でないケーキをディスクフィルタの出口に形成することができ、そこから、例えば、ほぼ大気圧で、冷却され乾燥された気体流を使用して、昇華によって残りの水分を除去することができる。
【0083】
実施例1aにおける方法と同様に、霧状化されたAPIは噴霧ノズルを通してチャンバ16に導入され、冷却システム24からチャンバ16に導入される冷却気体によって急速に凍結される(図1Bを参照のこと)。操作の間、最適な周波数(0〜100Hz)および振幅で、バイブレーター49のスイッチを入れる。冷却ライン24からの、チャンバ16の底から入っている冷却され乾燥された流動化気体は凍結させた粒子を流動化する。大きな粒子の凝集物は、振動ならびにチャンバ16の内部に配置された特別な内部部材(固定されたブレード)の補助により破壊される。粘着性粉末で通常発生するチャネリングは、このような操作条件により減少するか、または完全に除去される。大部分の場合において、小さな凍結させた粒子は容易に洗浄分離され、そしてフィルタ28に対する流動化気体によって行われる。フィルタ28上の粉末ケーキは、流動化および洗浄分離プロセスにおいて徐々に蓄積される。
【0084】
高流速が、記載されるような粒子密封系を使用しているために利用可能であり、かつ乾燥速度を増加させるために粉末ケーキ構築プロセスにおいて推奨される。凍結させた粉末の乾燥速度は、遅い流動床状態よりも高流速の固定床状態でははるかに速いので、また、高流速は乾燥プロセスにおいても使用される。振動および/または内部部材を用いる本発明の大気噴霧凍結乾燥は、乾燥粒子を生成させ、かつ収率を増加させる経済的に実施可能な方法を提供する。
【0085】
代替的には、より高い乾燥速度が予測される場合に、速くまたは循環する流動床は、このような乾燥プロセスで使用することができる。速くまたは循環する流動床は、通常、下端の密な流動床および上端の希薄な流動床、ならびに粉末戻しシステムからなる。このようなプロセスにおいて、凍結させた粒子は、冷却流動気体によって流動化されかつ運ばれ、上端のサイクロンによって収集され、次いで特別に設計された粉末バルブを通して密な流動床に戻される。より容易な冷却のために、内部サイクロンが好ましく、特定の抵抗を伴って特別に設計されている戻し粉末バルブにより、粉末は、流動化空気バイパスではなく下降するだけにすることが可能になる。粒子凝集物を破壊するため、および粒子循環を改善するために、同様の内部部材もまた、好ましく使用される。
【0086】
代替的には、凍結され乾燥された粒子は、任意選択的に、フィルタから取り出され、かつ凍結乾燥機または他の適切な装置(これは減少させた大気圧で操作する)に導入され、ここで、残渣の水分は除去されかつ粒子は完全に乾燥される。凍結乾燥機は粒子を脱水するのに対して、粒子は凍結状態に維持される。当該分野において公知であるように、水分は固相から直接的に気相に移るからである。
【0087】
振動および/または内部部材を有する本発明の大気噴霧凍結乾燥は、乾燥粒子を産生し、かつ収率を上げる経済的に実施可能な方法を提供する。
【0088】
(実施例2)
(不活化インフルエンザウイルス粒子の鼻送達)
全体の、不活化されたインフルエンザウイルスA/PR/9/34 H1N1粒子の乾燥粉末処方物を、噴霧凍結乾燥バッチプロセスにおいて調製した。fluウイルス調製物を水溶液中で混合し、その後、BD AccuSpray(商標)ノズルを用いて霧状化した。液体粒子サイズデータを、Sympatech回折計を用いて、ノズルの先端から約2インチ(5.08cm)で測定して得た。これらの濃縮物で産生された粒子のメジアン直径は約50ミクロンであった。BD AccuSpray(商標)ノズルによって産生された代表的な粒子サイズ分布を図4に示す。液体窒素をVirtis凍結乾燥フラスコ中に配置し、このフラスコを噴霧ノズルの下に配置した。ノズルと液体窒素の間の距離は約3インチ(7.62cm)であった。噴霧した液滴は、液体窒素との接触の際に瞬間的に凍結した。このフラスコを、凍結乾燥機に装着し、すぐに過剰の液体窒素を蒸発させた。凍結させたエアロゾルは、代表的には48時間以内に乾燥させ、約1wt%より下の水分レベルに達した。
【0089】
1つの実験において、インフルエンザワクチンの種々の処方物の鼻内(IN)送達または筋肉内(IM)送達の後、免疫応答の強度を決定するために、試験を実施した。この研究は、ラットに対して行い、以下の群を評価した。
【0090】
群1−IN。50μl容量の液体中、100μgのインフルエンザAg
群2−IM注射。50μl容量の液体中、100μgのインフルエンザAg
群3−IN送達。10mgトレハロース、凍結乾燥粉末中、100μgのインフルエンザAg
群4−IN送達。10mgトレハロース+キトサン、凍結乾燥粉末中、100μgのインフルエンザAg
群5−IN送達。10mgトレハロース+キトサン、噴霧凍結乾燥(SFD)粉末中、100μgのインフルエンザAg
群6−IN送達。10mg凍結乾燥トレハロースのみ
不活化全インフルエンザウイルスA/PR/8/34 H1N1
【0091】
ラットを3回、0週目、3週目、および6週目に免疫した。血清試料を3週目、5週目、および8週目に収集し、鼻洗浄液を8週目に収集した。
【0092】
fluワクチンの各送達に続いて、血液試料を取って、ワクチンに対する抗体(Ab)応答によって測定されるようなfluワクチンに対する免疫応答の大きさを決定した。各ワクチン接種の間に送達された粉末の量もまた決定した。従来的な方法を使用して、免疫応答の強度および送達された粉末の量などの因子を決定した。図2は、各免疫後の血清Ab力価を示す。要約すると、IM送達後の血清Ab力価が、鼻内送達によって送達されたものよりも累積的に高かったとしても、噴霧乾燥fluワクチンのIN送達は、低いワクチン用量送達(2回目の免疫において0〜10%まで低かった)にもかかわらず、同様のレベルの血清Ab応答に達することが可能であった。要約すると、この実験は、十分なワクチン用量を用いると、噴霧凍結乾燥fluワクチンのIN送達は、IM群のそれと同様のレベルの血清Ab応答、およびIN液体群のそれよりも良好な応答を誘発することが可能であることを示唆する。
【0093】
表1において示すように、すべてのIN fluワクチン接種群は、IM注射とIN陰性対照の後の陰性の鼻IgA力価と対照的に、陽性の鼻IgA応答を誘発させることができる。この研究は、SFD fluワクチンのIN送達が、鼻粘膜の応答と全身性の免疫応答の両方を誘発することが可能であることを実証する。
【0094】
【表1】

【0095】
(実施例3)
(キトサンの有無でのSFD FluワクチンのIN送達後の血清および鼻粘膜の免疫応答の比較)
この用量範囲の実施例は、キトサンを有するものおよびキトサンを有さないもので、SFD flu全ウイルスのIN送達後のBrown Norwayラットの免疫応答を比較する。各々4ラットを含む以下の群を評価した:
1−IN。1μgのfluAg、5mgトレハロース中、SFD
2−IN。1μgのfluAg、5mgトレハロース+キトサン中、SFD
3−IN。10μgのfluAg、5mgトレハロース中、SFD
4−IN。10μgのfluAg、5mgトレハロース+キトサン中、SFD
【0096】
不活化全インフルエンザウイルス株A/PR/8/34 H1N1を本実施例において使用した。ラットを3回、IN免疫した。結果は、図13Aおよび13Bに示すように、10μg用量のfluワクチンは、1μgの用量よりも、より強力な血清Igおよび鼻IgAの応答を誘発すること、ならびに、キトサンを有する処方物は、キトサンなしの処方物よりも、より強力な血清Ab応答を誘発することを示す。
【0097】
(実施例4)
(インフルエンザ活性研究)
一連の実験および粉砕プロセスがインフルエンザ(flu)ワクチン活性に影響を与える。研究において、赤血球凝集素アッセイ(HA)をインフルエンザ活性の指標として採用した。このアッセイは、インフルエンザワクチンの効力の指標として、ニワトリ赤血球を凝集させるインフルエンザウイルスの能力に基づくインフルエンザワクチンのHA力価を試験する。簡単に述べると、不活化インフルエンザウイルスの2種の粉末試料を調製した。1つ目は凍結乾燥させ、2つ目は凍結乾燥させ、次いで粉砕した。この試料はWig−L−Bugボールマイクロミルを使用して粉砕した。このミルは、内蓋を備えた1インチ(2.54cm)ステンレススチールバイアルを使用する。試料を単一のステンレススチールボールベアリングとともにバイアル中に配置し、キャップし、そしてミル上の位置に固定した。バイアルを端から端まで、所定の時間の間、可変性の速度で振動させる。粉砕後、試料を、小さなスパチュラを使用して取り出す。凍結乾燥させ、かつ粉砕したインフルエンザ粉末を、再構成して総タンパク質濃度に基づいて元の液体インフルエンザワクチン濃度に戻した。再構成したインフルエンザワクチンの活性を、元のインフルエンザワクチンの活性に対して、それらのHA力価を比較することによって決定した。結果を以下に示す。
【0098】
元の液体fluワクチン HA力価>600億
凍結乾燥させたfluワクチン HA力価>600億
凍結乾燥させかつ粉砕したfluワクチン HA力価=4352
元の液体fluワクチン HA力価>600億
噴霧凍結乾燥させたfluワクチン HA力価>600億
【0099】
これらのデータは、凍結乾燥プロセスがHA力価によるワクチン活性に実質的に影響を与えないことを示す。しかし、粉砕プロセスは、HA力価を劇的に減少させた。同じHA力価研究を使用して、SFD法がインフルエンザワクチンの活性に影響を与えるか否かを評価した。SFD法によって作製されたインフルエンザ粉末を、再構成して総タンパク質濃度に基づいて元の液体インフルエンザワクチン濃度に戻した。再構成したインフルエンザワクチンの活性を、元のインフルエンザワクチンの活性に対して、それらのHA力価を比較することによって決定した。
【0100】
結果は、SFD法がインフルエンザワクチン活性に有害な影響を与えなかったこと、およびワクチン活性が十分保存され、さらなる粉砕操作を行わずにすぐに投与できる、自由に流動するインフルエンザワクチン粉末を調製することができることを実証する。
【0101】
(実施例5)
(ルシフェラーゼをコードするプラスミドDNA(「裸のDNA」)のIN送達)
効果的な遺伝子治療およびDNAに基づく免疫法は、送達された遺伝子からのタンパク質発現を必要とする。このようなものとして、レポーター遺伝子系が、このような治療の実施可能性を決定するための準備モデルとして一般的に使用される。本研究では、種々のDNA用量および処方物のIN送達後のルシフェラーゼ活性を評価した。
【0102】
A.液体処方物
ホタルルシフェラーゼをコードする配列がCMVプロモーターの制御下に配置されているプラスミド(pCAMV−LUC)を使用した。pCMV−LUCを、3233 15thSt.South,Fargo、ND、58104所在のAldevron LLCから入手した。液体処方物を調製し、PBS中50μlの容量で、50μgまたは100μgをBrown NorwayラットにIN送達した。鼻および肺組織をDNA送達の24時間後に収集し、ホモジナイズし、発光アッセイを使用してルシフェラーゼ活性について試験した。
【0103】
図5は、ルシフェラーゼ活性が鼻組織において検出されたが、肺組織において検出されなかったことを示す。100μg DNAのIN送達により、50μgのDNAよりもより高いルシフェラーゼ活性が生じた。
【0104】
B.液体処方物および乾燥粉末処方物の比較
pCMV−LUCの液体処方物を上記のように調製した。乾燥粉末(FD)処方物を、実施例4に記載されるように凍結乾燥および粉砕によって、賦形剤としてトレハロースを使用して調製した。ある調製物には、賦形剤キトサンもまた存在した。液体処方物の50μgのPBS中に100μgの用量、または粉末処方物については5mgの全体の粉末中に100μgの用量をラットに投与し、試料を上記のように分析した。
【0105】
図6は、乾燥粉末と液体処方物の両方が、鼻組織において高いルシフェラーゼ活性を生じさせるが、肺組織においては生じさせないことを示す。乾燥粉末のIN送達は、液体処方物を用いて得られたものと同様のレベルのルシフェラーゼ活性を生じさせる。この結果は、SFD粉末の形態でDNAを送達する実施可能性を示す。
【0106】
(実施例6)
(DNAインフルエンザワクチン)
従来的な組換え技術を使用して、インフルエンザウイルス表面抗原赤血球凝集素をコードするDNA配列がCMV初期プロモーターのCMVPro配列の制御下に配置されたプラスミドを調製した(非特許文献7)。プラスミド(pFLU−HA)を従来的な技術によって精製し、いくつかの方法:筋肉内(IM)、鼻内、液体処方物(IN−液体)、および賦形剤トレハロースを含む鼻内−SFD(IN−SFD−トレハロース)によってラットに接種した。血清Ab応答を測定した。図3に示されるように、SFD fluワクチンのIN送達は、IM注射のそれと少なくとも同等の血清Ab応答を、およびIN液体送達のそれよりも高い応答を誘発する。IN SFD fluワクチン接種は、本研究において、従来的なIM注射よりもその利点を示した。
【0107】
(実施例7)
(DNAインフルエンザワクチンを用いる免疫)
上記に示されるようなIN DNA粉末送達から生じる準備的な結果に基づいて、より大きなスケールの研究を、種々のDNAワクチンの処方後の免疫応答を比較するために実施した。pFLU−HAプラスミドを、液体処方物(PBS中)中、またはトレハロース/キトサンを任意選択で含む乾燥粉末処方物中で調製した。2つの型の乾燥処方物:FD(標準凍結乾燥処方物)およびSFD(噴霧凍結乾燥(凍結乾燥された)処方物)を使用した。各乾燥処方物のプラスミドDNAの50μgの用量を鼻内(IN)に、そして同様の用量の液体処方物を筋肉内(IM)またはINで、Brown Norwayラットに、0日目、21日目、および42日目に投与した。血清試料を、21日目、35日目、および56日目に取り、鼻洗浄液を56日目に取った。
【0108】
図7は、粉末処方物のIN投与後の血清抗体力価がIM注射と同等であって、かつ液体処方物のIN投与よりも強力であったことを示す。IN SFD/キトサン処方物は、免疫の初期の段階で最も強力なAb応答を誘発する。このことは、SFD/キトサン投与により、ワクチン接種用量および/または投与の頻度の減少が可能になることを示唆する。
【0109】
表2は、IN SFD DNA送達を有する群からの数匹の動物以外のすべての実験群において、鼻IgA応答がないことを示す。
【0110】
【表2】

【0111】
本研究からの全体の結果は、動物モデルにおいてより良好な血清および鼻粘膜の免疫応答を誘発する際のSFD/キトサンDNAの潜在的な利点を示す。
【0112】
(実施例8)
(flu DNAのプライマリーおよびウイルス増強レジメン)
HIVを含む多数の疾患のために最近開発されたワクチン接種アプローチは、いわゆる「プライム−増強」アプローチであり、ここでは、初回の「プライミング」免疫および2回目の「ブースター」が異なるワクチンクラスを利用する(非特許文献8)。例えば、プラスミドDNAバージョンのワクチンを予め与え、その後、続いて、サブユニットタンパク質、不活化ウイルス、またはベクター化DNA調製物で増強させることができる。このストラテジーは、種々の処方物が異なる免疫経路および異なる免疫経路の組合せを介して送達されるときに、免疫応答の効力を調べるために本研究において採用した。
【0113】
pFLU−HAプラスミドを、実施例5に記載されたように、液体処方物または乾燥処方物(FD、トレハロース/キトサンあり又はなしで、及びSFD、トレハロース/キトサンあり又はなしで)中で調製した。これらの処方物は、免疫番号1および2のために使用した(一次免疫)。
【0114】
免疫番号3(免疫増強)のために、不活化インフルエンザをPBS(液体処方物)でまたはトレハロース/キトサン(乾燥粉末処方物)中で調製した。各群を2つの亜群に分けた:1つはIM液体インフルエンザウイルス免疫を受容し、他方は種々の処方のINインフルエンザウイルス免疫を受容した。
【0115】
Brown Norwayラットを、0日目、21日目、および42日目に、選択した処方で免疫した。血清試料を、21日目、35日目、および56日目に取り、鼻洗浄液、膣洗浄液、およびBALを56日目に取った。
【0116】
ワクチン接種レジメンおよび観察されたAb応答の要約を、表3Aから3Gに示す。これらのデータは以下を示す:
・ DNA一次免疫+インフルエンザウイルス増強は、DNAまたはウイルス単独よりもはるかにより強力な血清抗インフルエンザAb力価を誘発する。
・ IN SFD/キトサン DNA一次免疫+IMウイルス増強は、DNAまたはIMウイルス単独よりもはるかにより強力な鼻IgA応答を誘発する。
・ IN SFD/キトサン DNA一次免疫+IMウイルス増強は、IN FD/キトサン DNA一次免疫+IMウイルス増強よりもはるかにより強力な鼻IgA応答を誘発する。
・ IN SFD/キトサン DNA一次免疫+IMウイルス増強は、キトサンなしでの同じストラテジーよりもはるかにより強力な鼻IgA応答を誘発する。
・ IN SFD/キトサン DNA一次免疫+IMウイルス増強は、IN液体DNA一次免疫+IMウイルス増強よりもはるかにより強力な鼻IgA応答を誘発する。
・ 陽性IgAおよび総Ig力価を、すべての群のBAL液体において検出した。
【0117】
表3(以下)は、flu DNA一次免疫、それに続くウイルス増強を用いた試験を示す。表3Aは、flu DNA一次免疫および増強試験:1回目の採血血清総Ig力価を示す(21日目)。表3Bは、flu DNA一次免疫および増強試験:2回目の採血血清Ig力価を示す(35日目)。表3Cは、flu DNA一次免疫および増強試験:3回目の血清総Ig力価を示す(56日目)。表3Dは、flu一次免疫および増強試験:鼻IgA力価を示す(56日目)。表3Eは、flu一次免疫および増強試験:膣IgA力価を示す(56日目)。表3Fは、flu一次免疫および増強試験:BAl IgA力価を示す(56日目)。表3Gは、flu一次免疫および増強試験:BAL総Ig力価を示す(56日目)。
【0118】
表3A〜3Cに示されるように、本研究における粉末群は、液体群よりも強力な血清Ab力価を誘発する。さらに、IN SFD/キトサン一次免疫およびIM増強の後の強力な鼻IgA応答(表3D、群5a)は、DNA免疫単独またはIMウイルス免疫単独のいずれもがポジティブなIgA応答を誘発しないならば、期待されない。IN SFD DNA/キトサン一次免疫およびIM増強は、IN DNAまたはIMウイルス単独よりも良好な免疫応答を誘発する。
【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
(実施例9)
(SDおよびSFDによる、インスリンおよび賦形剤を伴うインスリン)
表4に要約したのは、ラクトース賦形剤と組合せた、噴霧乾燥インスリン組成物および噴霧凍結乾燥インスリン組成物の実験的に決定された物理的特性である。これらの組成物の形成の間、噴霧器から噴霧された溶液の出口温度もまた、収率および粒子のタップ密度(g/cm)とともにモニターした。試料および集計したデータを以下に示す:
【0125】
【表8】

【0126】
表に示されるように、噴霧凍結乾燥させた本質的に純粋なインスリンおよびインスリン/ラクトースの40/60溶液のタップ密度は、噴霧乾燥させたインスリン粒子およびインスリン/ラクトースの粒子よりも有意に低かった。SFD粉末組成物は、噴霧乾燥させた組成物よりもタンパク質安定性および生物活性をより良好に保持した。対照的に、噴霧乾燥させた純粋なインスリン粉末およびインスリン/ラクトース(40/60)粉末は、有意に密であり、0.29g/cmおよび0.49g/cmのタップ密度を有した。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、出願人らは、これらの利点が、噴霧凍結乾燥が、従来的な噴霧乾燥よりもはるかにより低い温度(約100℃低い)で起こるためと考える。
【0127】
水中のインスリンの2%重量溶液およびインスリン/ラクトース(40/60)の5%重量を、本発明の噴霧凍結乾燥(凍結乾燥)手順によって処理した。得られる多孔性粒子は、動物の呼吸系への送達に適したエアロゾル特性を示した。
【0128】
出願人らの試験は、賦形剤を含まないインスリン、すなわち、本質的に純粋なインスリンからなる最小の空力粒子サイズが、噴霧凍結乾燥法を用いて得られたことを示した。しかし、インスリンおよび賦形剤からなる処方物が呼吸系への投与の目的に適していることは、本発明の範囲内にあると理解されるべきである。さらに、SFDインスリン粒子(図19)は、噴霧乾燥されたインスリン/ラクトース粒子と比較して、周囲条件(20℃、53%RH)に15分間曝露されたとき、および保存の間に、検出可能な水和を実質的に示さなかった。対照的に、図20は、同じ周囲条件に対する15分間の曝露の後で、SFDインスリン/ラクトース粒子の保持された形態を示す。代表的には、SFDインスリン/ラクトース粒子は、相対湿度>50%への曝露に際して、少なくとも2から5重量%の水分を取り込む。これらの結果は、本発明の方法によって製造されたSFD多孔性インスリンは、SFD多孔性インスリン/ラクトースと比較して、周囲の水分に対して比較的高い抵抗性を有することを示す。
【0129】
本発明において教示される方法によって提供される別の望ましい特性は、使用後の送達デバイスに残存する残渣の粉末の実質的な減少である。特定の送達デバイスから認められる用量のパーセントは重量測定法で計算される。例として、本発明の方法に従って調製されるAPIは、2001年6月12日に出願された米国特許仮出願第09/879,517号明細書および2001年1月12日に出願された米国特許仮出願第09/758,776号明細書において開示されるような送達デバイスと組合せて使用されるときに、送達デバイスに残っている5%未満の残渣の粉末が生じた。比較すると、約20重量%の噴霧乾燥させた粉末が同じ送達デバイス中に残った。さらに、SFD粉末のエアロゾル化は、目視で有効であることが観察され、呼吸器送達デバイス中には本質的に残渣粉末を残さなかった。カプセルメンブレンを破裂させた後のSD(左下のカプセル)粉末およびSFD(右上のカプセル)粉末を有する、このデバイスからの薬物担体カプセルの写真を図21に示し、これは、SFD粉末の優秀なエアロゾル特性を明確に実証する。
【0130】
(実施例10)
(液体インスリンに対するSFDインスリン粉末の安定性)
SFDインスリンの安定性を、今日広範に投与されている標準的な液体インスリンであるU500 Liquid Lilly Humulin−R(m−クレゾールを伴う)と比較して評価した。SFD純粋インスリンおよびインスリン/トレハロースを、8週間、40℃で、および75%相対湿度で試験した。また、純粋なインスリンは、アルミニウムで覆って密閉して試験した。液体インスリンは、25℃(室温)および60%相対湿度で試験した。試料に対するデスアミド形成のパーセンテージを測定して、各試料の安定性を決定した。デスアミドの形成のパーセントを最初、1週間目、2週間目、4週間目、6週間目、および8週間目に決定した。
【0131】
デスアミドは、患者においてインスリンに対する免疫を産生することによって、糖尿病患者に有害な影響を与えることが知られている。FDAは、インスリン中のデスアミド内容物の量を10%未満に制限することを公表した。
【0132】
SFD純粋インスリンは、8週間の評価を通して非常に安定であることが判明した。SFD純粋インスリンについての結果は以下の通りであった。
【0133】
【表9】

【0134】
アルミニウムで覆ったSFD純粋インスリン試料は、8週間の試験期間を通して化学的安定性を示した。6週目の評価まで、検出されるデスアミドの量は統計学的誤差より下であり、無視できると見なされた。検出されたデスアミドの量は6週目の評価、0.75%でピークとなった。アルミニウムの覆いを用いるSFD純粋インスリンについての結果は以下の通りであった。
【0135】
【表10】

【0136】
SFDインスリンを、トレハロース賦形剤を用いて評価した。この場合において、6週目までデスアミドは検出されなかった。全体として、トレハロースの添加は、SFDインスリンの半減期を有意に改善した、結果を以下に示す:
【0137】
【表11】

【0138】
また、ベースライン液体インスリンを8週間にわたって評価してデスアミドの増加量を決定した。液体インスリンは、8週間の評価期間にわたって、SFDインスリンと比較して、はるかにより不安定であることが判明した。試験を毎週行うことに加えて、液体インスリンを、24時間および72時間で評価した。これらの初期の評価においては、デスアミドの増加は検出されなかった。この研究に対する重要な変更は、液体インスリンをSFDインスリンよりもはるかに過酷ではない保存条件で評価したことである。さらに、液体インスリンは、デスアミドの増加を遅らせるために化学保存剤m−クレゾールを含んでいた。
【0139】
【表12】

【0140】
各SFDインスリン試料は、液体インスリンよりも有意により安定であることが判明した。液体インスリンは、SFD粉末処方物よりも有意に速く分解した。アルミニウム覆いを用いるSFDインスリンは、8週間の試験を通して、40℃で、75%相対湿度で、最も安定な試料であることが判明した。この結果は、SFD粉末インスリンが、現在市販されている液体インスリン処方物よりもはるかにより安定であることを示す。
【0141】
図10は、液体インスリンに対して、試験されたSFD純粋インスリンのデスアミドの増加速度を示す。
【0142】
(実施例11)
(振動流動床噴霧凍結乾燥)
噴霧凍結乾燥された、多孔性粒子を、ほぼ大気圧で(真空なし)、内部部材および振動の存在下で、本明細書中の別の箇所に記載されたように首尾よく製造した。内部部材および振動で補助された流動化は、凍結エアロゾルの昇華を高めることが示された。20重量%マンニトール溶液(図11)(すなわち、80重量%水分)は40分間未満で、−20℃で乾燥させられ、0.3重量%になった。これは、例えば、Leuenbergerの特許文献3によって得られた結果よりも優れている。
【0143】
20重量%マンニトールの水分含量および乾燥時間(乾燥気体速度の関数として)を図11に示す。この表において最も低い乾燥曲線はBDTによって生じ、ここで、残りのデータは、文献から抽出された(Leuenberger、特許文献3)。TGAからの結果に基づいて、残渣の水分は、2m/s気体速度での40分間の乾燥後に約0.3%であった。粒子の形態は、図12において示されるように、SEMによって示されるように多孔性であることが示される。20μmより下の噴霧凍結させたエアロゾルは、粒子間の強い粘着力を示し、流動化気体は、床を通して上方にチャネル形成することができた。噴霧凍結させた粉末が0.39m/s、−20℃、内部部材および振動なしで乾燥された場合、粉末の95重量%が、3時間の乾燥後にチャネル形成に起因して床の底に残ることが分った。流動床におけるチャネル形成は、不十分な乾燥効率を生じた。およそ5重量%の粉末が床の上端で洗浄分離され(3時間の乾燥後)、床の下端で収集された粉末よりもはるかに速く乾燥させた。洗浄分離は、気体表面速度が粒子/凝集の終端速度よりも速いときに流動床からの流動化気体によって微粒子が運ばれるプロセスである。乾燥気体速度および流動床における洗浄分離の効果は、物質移動の分析から、実施例13において説明される。種々の時点で上端および下端から収集された試料の水分レベルを図14に示す。噴霧凍結させた粉末の5%のみが乾燥床の上端に洗浄分離された。凍結させた粉末の95%は下端に残った;不十分な乾燥効率はチャネル形成に起因した。床の上端に洗浄分離された粉末(フィルタディスクによって収集される)は、30分および60分でサンプリングされ、図15および図16においてSEMによって示される。60分で収集された粉末は、30分で収集された粉末よりも乾燥されたようではなかった。新たに洗浄分離され、部分的に乾燥された粉末は、乾燥された粉末とともに混合されると、試料を取り出した後で粒子の凝集を起こした。内部部材および振動の補助を伴って、すべての粉末を流動床の上端に洗浄分離して、均一なケーキを形成させ、したがって、チャネル形成を除去させ、かつ効率的な乾燥を提供した。図17において示されるように、より高い乾燥気体速度、2m/sでは、20重量%マンニトールは、より低い乾燥気体速度、0.39m/sよりも、はるかに高い速度で多孔性粉末に乾燥された(0.3重量%残渣水分)。この図は、振動流動床SFDプロセスにおける昇華時間に対する流動速度の影響を示す。振動および内部部材を伴うと、すべての粉末が乾燥床の上端に洗浄分離される。高い流速により、より速い乾燥時間、したがってより高い効率を生じた。
【0144】
(実施例12)
(流動床および固定床乾燥機における乾燥プロセスの物質移動の分析)
20μm粒子の終端設定速度は約0.012m/sであり
【0145】
【数1】

【0146】
これは、洗浄分離が単一の凍結粒子について起こるときに対応する。このような低い気体流速度(低Raynolds数)では、物質移動係数は非常に低い。RichardsonおよびSzekely(1961)は、気体−固体流動床について、物質移動係数、kをReynolds数と相関させるための経験式を確立した。
Sh=0.37Re1.8 0.1<Re<15
ここでShはSherwood数(=kd/D)であり、kは物質移動係数であり、Dは拡散係数であり、dは粒子サイズであり、ReはReynolds数である(=ρud/μ)。
【0147】
粒子凝集サイズd=200μmならば、窒素密度1.29kg/m、窒素流体の粘度1.81×10−5kg/m/s(Pas)、流体速度0.012m/s(20μmでの単一粒子の終端速度である。単一粒子の終端速度よりも高い流動化気体速度では、流動床における凝集の衝突および摩擦に由来する単一粒子は運び去られ、または洗浄分離され)、(Re=0.171)、次いでShは1.54×10−2である。
【0148】
0.012m/sよりも大きな乾燥気体速度では、粒子(20μmまたはそれ以下)が流動床から洗浄分離され、フィルタもしくはサイクロンによって収集される必要がある。Leuenbergerによる操作およびBDTは、粒子の終端速度をはるかに超え、そして冷却乾燥気体流が連続して凍結させた粉末を乾燥させるにつれて、フィルタディスクが粉末を収集する。実質的に、水分を含む凍結粉末は洗浄分離され、流動床の上端の出口に均一なケーキを形成する。乾燥気体が高速で流れるにつれて、乾燥プロセスは、固定された床乾燥機のそれと類似する。固定された床における物質移動はまた、非特許文献9によって提案された別の経験式:
【0149】
【数2】

【0150】
から計算することができる。
【0151】
ここでScはSchmidt数である(=μ/ρD)。高Reでは、例えば、粒子サイズが20μm、窒素密度1.29kg/m、窒素流の粘度1.81×10−5kg/m/s、流体速度2.0m/s(本発明者らの実験においては60リッター/分、供給源窒素の圧力40psi)ならば、Shは4.7と計算される。低Reでの流動床および高Reでの固定された床における気体と固体の間の物質移動を比較することによって、2つの状況における物質移動の比率は約1:300である。
【0152】
1つの一連の実験において、5重量%PEG溶液(95%水分)を乾燥させるための乾燥窒素速度は0.03m/sであった。この流速では、ある程度の洗浄分離された(およびフィルタ紙によって収集された)粉末が存在した。しかし、「粉末」はフィルタ紙上には観察されなかった。なぜなら、これらの凍結させた粒子はまだ十分には乾燥されておらず、かつそれらがフィルタ紙に沈着するにつれて解けたからである。4時間後に床の下端で収集された流動化凍結試料は、なお93%の水分を含んでいた。この観察により、遅い流動化が不十分な物質移動(乾燥)速度が生じさせるという、本発明者らのSherwood数分析が支持される。
【0153】
(実施例13)
(乾燥粉末型の組換えブドウ球菌エンテロトキシンBワクチン)
組換え的に産生された、変異型のブドウ球菌エンテロトキシンB(rSEB)の新規な空力学的に軽い粉末(ALP)処方物を、ブドウ球菌(Staphylococcus sp.)などの病原体への曝露に対して起こる毒素性ショック症候群に対してワクチン接種するために使用することができる。これらのALPワクチンは、標準的な液体rSEB処方物と比較して、マウスを防御する際により強力である証拠を示す。
【0154】
(試料調製)
rSEBワクチンの空力学的に軽い粉末(ALP)処方物を、実施例2において上記に記載されたような方法によって調製した。手短に述べると、PBSスクロース混合物中のタンパク質の溶液を、Accuspray(商標)ノズルを使用して、液体窒素浴に噴霧した。このように形成した凍結させた粒子をVertis凍結乾燥機で凍結乾燥させ、水分を除去した。この方法によって調製した試料を、噴霧凍結乾燥(SFD)と呼ぶ。
【0155】
効力アッセイおよび他の分析的作業のためのSFD rSEBの調製を以下に記載する。
【0156】
(SFD手順)
1.2mLのDI水に200mgのスクロースを溶解する。
2.2バイアルのSEB(総量約2mL)を溶かす。
3.5mL Accuspray(商標)注射器中で、SEBをスクロース溶液と混合する。
4.本明細書中に記載される方法の1つに従って、混合した溶液を液体Nに噴霧する。
5.すべての必要な材料(スパチュラ、シンチレーションバイアル、凍結乾燥容器など)をドライアイス中で冷却し、粒子を収集するときの熱移動を最小化する。
6.凍結させたSFD粒子を収集し、シンチレーションバイアル中に配置する。
7.シンチレーションバイアルを凍結乾燥チャンバ中に配置し、チャンバをマニホールド凍結乾燥機に接続する。SFD粒子が一次乾燥の間中、凍結させたままであることを保証するために、ドライアイスが、凍結乾燥容器周辺に配置されるべきである。
【0157】
さらに、粉末試料もまた、標準的な凍結乾燥方法によって調製した。凍結乾燥後、試料を、以下の手順に従って粉砕した。粉末試料のアリコートを、粉砕用ボールを備えた1mlステンレススチールバイアル中に、バイアルが体積で2/3満たされるまで配置する。このバイアルを、往復運動するWig−L−Bugミルモデル3110−37A中に配置し、アリコートあたり30分間、すべての試料が適切な粒子サイズに粉砕されるまで粉砕する。粉砕後、各アリコートをスパチュラで取り出し、将来の使用のためにバイアル中に配置する。
【0158】
(効力アッセイ)
標準的なrSEB溶液または再構成したSFD rSEBのいずれかを用いて、5および20μg/マウスでの非経口ワクチン接種後に、野生型SEBを用いてチャレンジしたマウスの試験群について、USAMRIID(United States Army Medical Research Institute for Infectious Disease、Fort Detrick、MD)効力アッセイを使用して生存率を決定した。チャレンジ用量は2および15μg/マウスであった。SFD rSEBを再構成し、マウスに筋肉内注射した。再構成を以下のように実施した。60mg量のSFD rSEB粉末(5mg rSEBを含む)をバイアルに秤量した。2.5mlの10mmol/Lリン酸緩衝液をバイアルに加え、透明な溶液を生じた。組換えブドウ球菌エンテロトキシンB(rSEB)ワクチンについてのUSAMRIID抗力アッセイについての詳細なプロトコールは以下に概説される。
【0159】
以下の材料および装置を効力バイオアッセイにおいて利用した。マウス、雌、250動物、8週齢(最低限)、BALB/c、Charles Rivers Laboratories、または等価物;rSEBワクチン、1mg/mL、(参考文献:非特許文献10)。本研究のための対照試料は、この参考文献において記載されている標準的な液体ワクチンであった。1mg/mLの濃度のSEB(毒素)を、United States Army Medical Research Institute for Infectious Disease、Ft.Detrick、MD(USAMRIID)から入手した。他の材料には、2%水酸化アルミニウムアジュバントでのAlhydrogel、Superfos Biosector a/s、または等価物;リポポリサッカリド(LPS)、Difco Laboratories、BE.coli 055:B5、リピドA 13.7%、または等価物;Milli−Q水;50mM グリシン緩衝液、グリシン、BioRad、カタログ番号161−0718、または等価物;塩化ナトリウム;水酸化ナトリウム;10mM リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、pH 7.4、Sigma、カタログ番号1000−3、または等価物;0.5インチ(1.27cm)、27ゲージ針注射器、0.1mL用量を送達可能、Becton Dickinson、カタログ番号309623、または等価物;ピペットチップR100、R200、およびR1000、Pipet−Plusピペッター、Rainin、または等価物;25ml使い捨て血清学用ピペット;滅菌15mlコニカルチューブ;滅菌ガラスボトル、100mLを保持可能;層流フード、Sterilgard、または等価物;Pipet−Plusピペッター、R100およびR1000、Rainin、または等価物;Pipet−Aidピペッター、Drummond、または等価物;Millipore水精製システム、MILLI−Q、または等価物およびpHメーター、Corning、モデル240、または等価物。統計学的分析のために、SASバージョン8.0統計学プログラムを使用した。
【0160】
A.設定
マウス群および、免疫化及びチャレンジ用量、および日の詳細は、以下の表5の通りである。
【0161】
【表13】

【0162】
注記:各群/ケージ(上記の表の1〜25)は10マウスを含む。0日目はアッセイの最初の日を表す。マウスを、研究室に到着後、3日以上現在の環境に順応させ、任意の注射が予定されている前に獣医により開放される。
【0163】
B.血清収集
1.血清を、最初のワクチン接種(t=0)およびチャレンジの日(t=21日)の1〜3日前に、各マウスから収集する。
2.血清を、ELISAを使用して試験して、SEBに対する防御に対する相関についてマウス抗体/力価を定量する。
【0164】
C.ワクチン溶液調製
1.すべての溶液を層流フード中で、滅菌技術を使用して調製する。すべてのチューブに、独特な識別子、日付、およびrSFBでラベルする。ワクチン溶液調製を、0日目(アッセイの最初の日)および21日目に実施する。
2.ワクチン溶液を、以下に示すように、1mg/mL rSEB、2%Alhydrogel(登録商標)アジュバント、および50mM グリシン緩衝液を使用して調製する。
【0165】
【表14】

【0166】
a.15ml滅菌コニカルチューブ中に、7.29mLグリシン緩衝液、0.71mLアジュバント、および2.00mL rSEBを一緒に加える。独特な識別子でラベルする。
b.15ml滅菌コニカルチューブ中に、9.32mLグリシン緩衝液、0.18mLアジュバント、および0.50mL rSEBを一緒に加える。独特な識別子でラベルする。
c.両方のワクチン溶液を室温(RT)に保ち、3時間以内に使用する。
【0167】
D.ワクチン接種手順
1.各注射器に充填する前にチューブを5回ゆっくりと転倒させることによってワクチン溶液を混合する。
2.滅菌注射器に1.0mLの200μg/mLワクチン溶液を充填する。空気の泡をすべて除去する。
3.群1から8の各マウスに、大腿部で0.1mLを筋肉内注射する。
4.1.0mLの50μg/mLワクチン溶液を滅菌注射器に充填する。
5.空気の泡をすべて除去する。
6.群9から16の各マウスに、大腿部で0.1mLを筋肉内注射する。
7.適当な鋭利物廃棄物容器中の使用した注射器を、および未使用のワクチン溶液をその日の終わりまでに廃棄する。
8.アッセイの21日目に、上記に述べたように、新鮮なワクチンを調製することおよび動物に注射することによってワクチン接種手順を反復する。
【0168】
E.チャレンジ溶液調製
1.このステップはアッセイの31日目に実施する。
2.層流フード中で、滅菌技術を使用して溶液を調製する。すべてのチューブに、独特な識別子、日付、およびSEBについてラベルする。
3.SEB(1mg/mL)およびPBSを有するチャレンジ溶液を、以下の表6において示される段階希釈スケジュールに従って調製する。
【0169】
【表15】

【0170】
a.滅菌した、15mlコニカルチューブ中に、2.13mL SEBを8.50mL PBSに加える。このチューブについての独特な識別子は「1」である。
b.新たな滅菌した15mlコニカルチューブを使用して、8.12mLチャレンジ溶液(チューブ1から取り出した)および2.71mL PBSを加える。このチューブについての独特な識別子は「2」である。
c.14すべてのチューブが完了するまで、チャレンジSEBの段階希釈スケジュールに従って続ける。
d.すべてのチャレンジ溶液を3時間以内に使用し、保存は必要でない。未使用のチャレンジ溶液はその日の終わりまでに廃棄する。
【0171】
F.チャレンジ手順
1.各群についてのチャレンジの時間は、LPS増強作用の目的のための結果の型に対して記録しなければならない(チャレンジ後4時間)。チャレンジの時間は、各群についての最後の動物の接種の時間として定義される。
【0172】
2.各注射器に充填する前にチューブを5回ゆっくりと転倒させることによってチャレンジ溶液を混合する。
【0173】
3.200〜μg/mLでワクチン接種されたマウス群に対して(群1〜8、20〜μg/マウス):
a.チャレンジ溶液200、150、100、75、50、25、12.5、および0.25μg/mlを使用する。
b.1.0mLの200μg/mLチャレンジ溶液を滅菌注射器に充填する。空気の泡をすべて除去する。
c.群あたり10マウスの各々に、0.2mLを腹腔内注射する。2つの滅菌注射器が8群の各々に必要である。
d.8つすべてのチャレンジ溶液のすべてが投与されるまで、ステップ3bおよび3cを反復する。
【0174】
4.50μg/mLでワクチン接種されたマウス群に対して(群9〜16、5μg/マウス):
a.チャレンジ溶液75、50、25、12.5、6.25、5、2.5、および1.25μg/mLを使用する。
b.1.0mLの75μg/mLチャレンジ溶液を滅菌注射器に充填する。空気の泡をすべて除去する。
c.群あたり10マウスの各々に、0.2mLを腹腔内注射する。2つの滅菌注射器が8群の各々に必要である。
d.8つすべてのチャレンジ溶液のすべてが投与されるまで、ステップ4bおよび4cを反復する。
【0175】
5.標準曲線マウス群(17〜25)について:
a.チャレンジ溶液25、12.5、6.25、5、2.5、1.25、0.6、0.3および0μg/mLを使用する。
b.1.0mLの25μg/mLチャレンジ溶液を滅菌注射器に充填する。空気の泡をすべて除去する。
c.群あたり10マウスの各々に、0.2mLを腹腔内注射する。2つの滅菌注射器が8群の各々に必要である。
d.9つすべてのチャレンジ溶液のすべてが投与されるまで、ステップ5bおよび5cを反復する。
【0176】
6.適当な鋭利物廃棄物容器中の使用した注射器を、および未使用のチャレンジ溶液をその日の終わりまでに廃棄する。
【0177】
G.LPS増強溶液調製
1.LPS増強溶液を、使用の日に調製し、4±2℃で保存する。
2.LPS増強溶液は、層流フード中で、滅菌技術を使用して調製しなければならない。
3.LPS溶液を以下に示すように;5mg/mL LPSおよびPBSを使用して調製する。
LPS溶液 LPS用量/マウス LPS(mL) PBS(mL)
200μg/mL 40 2.2 52.8
a.滅菌ガラス100mLボトルに、2.2mL LPSおよび52.8mL PBSを加える。日付、イニシャル、またはテクニシャンをラベルする。および「LPS」とラベルする。
【0178】
H.LPS増強手順
1.このステップは、チャレンジ手順の開始後4時間(±15分間)で開始しなければならない。
2.各注射器に充填する前にチューブを5回ゆっくりと転倒させることによってLPS溶液を混合する。
3.1.0mLのLPS溶液を滅菌注射器に充填する。空気の泡をすべて除去する。
4.群あたり10マウスの各々に、0.2mLを腹腔内注射する。2つの滅菌注射器がマウスの各群に必要である。
5.250すべてのマウスが0.2mLのLPS溶液を受容するまで、ステップH2〜H3を反復する。
6.適当な鋭利物廃棄物容器中の使用した注射器を、および未使用のLPS溶液をその日の終わりまでに廃棄する。
7.24時間毎にケージをモニターし、死亡したマウスを取り出す。LPS注射の72時間後(±1時間)、各ケージにおける生存しているマウスの数を記録する。
【0179】
(判定基準)
両方の試験群(チャレンジ用量2および15μg SEB/マウス)についての生存率は、SASバージョン8.0を使用して、フィッシャーの直接確率検定によって標準に対して比較する。任意の群とその標準との間に差が存在する場合、95%の信頼レベルにあるこれを反映するp値が0.05未満である。アッセイのこの部分は、試験群と標準を比較するp値が0.05より上であるか否かを標準に対して確認する。
【0180】
対照(0μg rSEB/マウス)を、SASバージョン8.0を使用してプロビット分析によって分析する。95%信頼限界を有する見積もられたLD50(チャレンジ用量)および生存の確率が計算される。見積もられたLD50において、マウスの50%が生存することが予測される。アッセイのこの部分は、このアッセイにおいて使用されたすべてのチャレンジ用量が、それらの予測された生存の確率(±20%)に入るか否かを、標準に対して確認する。
【0181】
(光散乱)
Wyatt Dawn EOS光散乱装置(Wyatt Technology Corp.、Santa Barbara CA)を使用して未処理の液体、および再構成されたSFD、および凍結乾燥された試料について、分子量、回転半径、および流体力学的半径を得た。
【0182】
(FTIR)
FTIR測定を、John Carpenterらによって開発された方法(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)を使用して粉末の保存安定性を見積もるために行った。
【0183】
粉末を、透過赤外スペクトル測定のための標準ペレット中でKBrとともに混合した。アミドピークの二次導関数が、試料中の物理的凝集量の見積もりを与える。
【0184】
実験を以下のように行った。
材料:
液体「受領したもの(as received)」rSEBワクチン(非粉末処理)を、USAMRIIDから、リン酸緩衝化生理食塩水中10mg/mlで入手した(上記の増強プロトコールを参照のこと)。凍結乾燥されたrSEBワクチンは、「受領したもの」ワクチンを、医薬品グレードのスクロース粉末と、1部のrSEBに対して10部のスクロース(w/w)の比率で混合することによって調製し、スクロースを伴うrSEBの10mg/ml溶液を得た。この溶液を、ベンチドライヤーで3日間凍結乾燥させ、上記のように粉砕した。ALP rSEPワクチンを、上記のようにスクロースを伴うrSEBの溶液を調製すること、次いで、Accuspray(商標)システムを使用して溶液を噴霧凍結乾燥させることによって製造した。
【0185】
FTIRプロトコール:
処理後のrSEBタンパク質抗原の安定性を決定するために、液体試料の二次導関数FTIRスペクトルを、特別の短い光路長のセルを使用して得た。このスペクトルを、固体凍結乾燥飼料および固体ALP試料の標準KBrペレットを使用して得られたスペクトルと比較するために使用した。すべてのピークは面積によって標準化され、それゆえに、異なるバンドの相対的面積が、試料中の詳細な特徴の相対的割合を反映する。
【0186】
(ELISA)
抗体パネルを使用して、タンパク質を構造的変化についてモニターすることができる。本研究において、SFD rSEBを、凍結乾燥させたrSEBおよびUSAMRIIDからの未処理のrSEB(「受領したもの」)と比較した。
【0187】
(抗体選択)
SEBに対して特異的な7種の市販のモノクローナル抗体を、構造的変化に対して情報を与えるそれらの能力について、ウェスタンおよびELISAによってプレスクリーニングした。
【0188】
ウェスタンプレスクリーニングにおいては、rSEBを複数レーンにロードし、還元条件で電気泳動した。タンパク質を0.2ミクロンのニトロセルロース膜に転写した。各レーンを引き続き1種の市販の抗体候補でプローブした。次いで、この転写物を、二次ヤギ抗マウスIgアルカリホスファターゼ複合体に曝露し、NBT/BCIP基質を使用して発色させた。
【0189】
ELISAプレスクリーニングに対して2つの部分が存在した。第1のELISAスクリーニングにおいて、各抗体を、未処理のrSEBでコートされた96ウェルNunc Maxisorbプレート中で力価測定し、少なくとも1.0のODシグナルおよび10:1のS:Nを生じる希釈を同定した。このプロセスにより、濃度に起因して2種の抗体調製物を除去した。残りの5種の抗体は、十分な濃度であり、ウェスタンで陽性であった。第2のELISAスクリーニングにおいて、残りの5種の抗体を未処理のrSEBとともに、構造変化を引き起こすことが知られている3通りの処理に曝露するためにインキュベートした。未処理のrSEBの1つのストックを95℃に3分間曝露させ、疎水結合を破壊した。別のrSEBのストックを0.1%SDSに曝露させ、イオン結合を破壊した。第3のrSEBのストックを界面活性剤と熱の両方に曝露させた。少なくとも3種の異なるシグナルプロフィールが観察された。1種の抗体(2B)からのシグナルは、3通りの処理のいずれによっても影響されなかった。2種の抗体(3B、18B)によって産生されたシグナルは、界面活性剤処理によって変化した。最後の2種の抗体(3M、S5)によって産生されたシグナルは、熱および界面活性剤の組合せによって有意に低下した。2B抗体を用いて得られた結果は、処理したrSEBが同様の効率でプレート表面に付着していたことを確認するための手段を提供する抗体として、ハーフサンドイッチ形式における抗体に基づく分析を実施するために必須であった。注記:還元剤を他の処理と組合せることは、第4のシグナルプロフィールを生じなかった。甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する抗体を、全体を通しての陰性対照として使用した。
【0190】
(アッセイ)
構造的変化を検出することが可能な4種の抗体試薬、およびコートの効率を確認するために使用することができる1種の抗体を有するので、ELISAプレートは、rSEB(「受領したもの」)、凍結乾燥されたrSEB、および噴霧凍結乾燥rSEBでコートされた。プレートを、10mM リン酸緩衝化生理食塩水+0.2%カゼインでブロックし、次に、対照およびプローブ抗体と反応させた。このアッセイは、各rSEB−抗体の組合せに対して少なくとも20通りの複製物を含み、そしてこのアッセイは4日間隔で反復した。
【0191】
(結果)
(効力アッセイ)
効力アッセイの結果を以下の表7に示す。手短に述べると、SFD rSEBを受けているマウスは、標準、非ALP処理rSEBを受けているマウスに対して、常に高い生存率を示した。さらに、血清力価は、SFD rSEB群で常に高かった。これらの結果は、優れた効力がSFD処理を通して達成されたことを実証する。
【0192】
【表16】

【0193】
プレート1および2についてのブランク平均o.d.'s=0.0(通過)であり、プレート1および2についての陰性対照平均o.d.'s=0.0および0.0である(通過;試料は0.075より下のo.d.を有しなければならない)。
【0194】
(rSEBワクチン効力の分析)
15μg SEB/マウスでチャレンジした群についての生存率を、SASバージョン8.2を使用するフィッシャー検定によって比較した。この検定においては4つの群が存在し、そのうちの2つが標準である。任意の群と標準の間に差が存在する場合、95%信頼レベルであるこれを反映するp値は、0.05未満になる。しかし、これらの4つの群を比較したp値は、p=.6218である。したがって、15μg SEB/マウスでチャレンジした任意の群の間での生存率には統計学的な差異はなかった。
【0195】
2μg SEB/マウスでチャレンジした4群(2つの標準を含む)についての同様の分析もまた、95%信頼レベルでの生存率には統計学的な差異を示さない(p=.3118)。したがって、本発明者らは、検定の内容は、生存に関しては標準から統計学的に差異はないと結論することができる。
【0196】
対照を、SASバージョン8.2を使用するプロビット分析によって分析した。95%信頼限界を有する見積もられたLD50は、以下の表8において、プロビットモデルによって見積もられたモル濃度分布曲線の他の百分率と一緒に与えられる。単位は、チャレンジ用量に対しては「μg SEB/マウス」であり、百分率は生存の確率である。したがって、例えば、2.93216μg SEB/マウスのチャレンジ用量は、このモデルによって、0.10(10%)の生存率を有すると予測され、0.30293μg SEB/マウスの用量は50%(LD50)の生存率を有する、などとなる。
【0197】
【表17】

【0198】
(光散乱)
光散乱実験の結果を表9に示す。
【0199】
【表18】

【0200】
計算された分子量は理論的な分子量30,000と一致した。分子量は、未処理試料と比較して、凍結乾燥とSFD処理の両方によって増加した。回転半径(Rg)はすべての試料についてほぼ同じであるのに対して、見かけの流体力学的半径(Rh)はSFD SEBについて増加した。表1において「凝集1」と表示された凝集画分については、凝集物の濃度は、3つの試料の各々で0.8%〜1.6%(w/w)の範囲内にあった。表において「凝集2」と表示された凝集画分については、未処理試料の凝集が約2%(w/w)、および2つの粉末処理試料では0.5%(w/w)の濃度であった。
【0201】
(rSEBワクチンのFTIR)
液体の、非粉末処理の二次導関数スペクトルを図22に示す。優勢な「対となる」バンドが約1640cm−1に存在する。これは、タンパク質中に存在するαヘリックスおよびβシート構造に対応する。他のピークは液体スペクトルにおいては優勢ではない。
【0202】
図23における凍結乾燥試料のスペクトルもまた、メインの1640cm−1バンドを示す。より重要なことには、これは、1690cm−1にもまた大きなバンドを有する。これは、分子間βシート構造に対応する。1640と1690の間の他のバンドは、タンパク質中のあるβターン構造に対応する。1つのキーとなる観察は、タンパク質凝集物を表すバンドが、生来のタンパク質コンホメーションを表すバンドのそれよりも大きいということである。このことは、凍結乾燥プロセスにより、タンパク質の高次構造が改変させたことを実証する。
【0203】
ALP分子のスペクトルは図24に示される。再度、優勢な1640バンドが明らかである。また、1690cm−1における凝集ピークが存在するが、これは1640cm−1におけるピークよりも有意に小さい。ALPもまた、タンパク質の高次構造を改変しているが、しかし、2つのピークの相対的サイズから判断して、この試料中では、凍結乾燥によって調製した試料よりも少ない凝集が形成したようである。
【0204】
(ELISA)
ELISAからのデータを標準化し、そしてSFD rSEBを凍結乾燥されたrSEBと比較することを可能にし、SED rSEBを未処理rSEBと比較することを可能にし、かつ凍結乾燥されたrSEBを未処理rSEBと比較することを可能にする様式で、平均を棒グラフに要約した(図25)。詳細には、応答変数OD450を最初に「標準化」した。標準化は、各OD450測定値を、ネイティブウェルに対して、プレートに対して、および抗体に対しての平均値で除算することによって行った。次いで、これらの測定値を、これらに100を掛けることによってパーセントに変換した。この標準化されたパーセントは、分析において使用される応答変数である。比較を5回行い、1回は各抗体プローブに対するものであった。
【0205】
実験のために使用される統計学的設計は、スプリット−スプリットプロットであり、分析はSASバージョン8.2統計学設計ソフトウェア(SAS Institute、Cary、NC)を使用して実施した。その日の測定に対する全体のプロット処理が得られ、全体のプロットの単位はプレートに対するものであった(各日について、5プレート、全体で20プレートを与える)。スプリットプロット処理は、rSEB:Native、Lyoph、およびSFDに対するものであった。スプリットプロットの単位は、プレート四分円に対するものである(4×20=80単位)。スプリット−スプリットプロット処理は、抗体のタイプに対するものであった(C86203M、Mab 18B、抗SEB、Mab 2B 抗SEB、Mab3B 抗SEB、RDI−TRK2S3−S5)。スプリット−スプリットプロットの単位は、ウェルに対するものである(四分円あたり24ウェル、またはプレートあたり96)。測定日変数を、分析ではランダムな作用ではなく、一定の作用として処理したことに注意されたい。
【0206】
各抗体に対する3通りの処理の各対になる平均パーセンテージの差の最小二乗推定を、棒グラフ上にプロットした。バーの高さは、推定した平均差を示す。バーを通る垂直線は、真の平均差についての信頼区間を表す。これらは、真の平均差の信頼可能な値の範囲を与える。したがって、信頼区間が0を含む場合は、真の平均差が0であることはもっともである(すなわち、2つの平均が同じである)。信頼区間が0を含まない場合は、このデータは、真の平均差は0ではないという有力な統計学的証拠になる。例えば、抗体C86203Mについては、LyophおよびNativeに対する平均パーセンテージの推定の差は約4.2%である(Lyophに対する平均標準化パーセント値マイナスNativeに対する平均標準化パーセント値)。
【0207】
MAB 3Bを用いて生成したデータは、構造的な違いが凍結乾燥rSEBと未処理rSEBの間に存在するかもしれないことを示唆する。同様に、RDI−TRK2S3−S5は、未処理rSEBとSFD rSEBの間に、違いが存在するかもしれないことを示唆する。MAB 18Bを用いて生成したデータは、凍結乾燥と未処理の間、ならびに凍結乾燥とSFD rSEBの間に、違いが存在するかもしれないことを示唆する。
【0208】
結論として、パネルのために利用可能な抗体が限定されており、且つ推定される差が小さいので、組合せたデータにより、生来のrSEB中の少なくとも僅かな変化は両方の乾燥形態(凍結乾燥またはSFD)によって誘導されるかもしれないことが示唆される。
【0209】
本明細書中で記載されたSFDプロセスによって産生されたrSEBは、マウス研究において実証されたように、非粉末処理rSEBと比較して、より強力な効力のワクチンをもたらし、したがって、用量の節約および防御の改善のための潜在能力を提供する。
【0210】
FTIR、ELISA、および光散乱アプローチによるrSEB SFDワクチン粉末処方物の最初の特徴付けは、非粉末処理抗原と比較して、抗原構造の変化を示す。さらに、準備的な動物研究は、これらの処方物が、従来的な液体処方物よりも高い免疫効力を示すことを示す。
【0211】
上記の記載から、当業者は、本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、かつ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の用途および条件に本発明を適合させるために本発明の変更および改変を行うことができる。
【0212】
さらなる労力を伴うことなく、当業者は、前述の記載を使用して、本発明をその最大限の範囲まで利用することができる。それゆえに、前述の好ましい特定の実施形態は、単に例示として解釈され、いかなる場合においてもこの開示の残りの部分について限定するものではない。
【0213】
上記および図面において引用されるすべての特許出願、特許、および公開特許の全体の開示は、参照として本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1A】本発明の噴霧凍結大気圧乾燥装置の概略図を示す。
【図1B】振動および内部部材を備える噴霧凍結乾燥設定の概略図を示す。
【図2】種々のfluワクチン処方物のIN送達後の血清抗体(Ab)応答を示す。
【表19】

【図3】pFLU−HAを用いる免疫後の血清Ab応答ラットを示す。
【表20】

【図4】レーザー散乱によって測定されるようなAccuspray(商標)ノズルによって製造された液体ウイルス粒子の粒子サイズ分布を示す。
【図5】IN液体pCMV−LUC送達の後でのルシフェラーゼ遺伝子発現を示す。
【図6】IN pCMV−LUC送達の後でのラットにおけるルシフェラーゼ遺伝子発現を示す。
【図7】pFLU−HA免疫後の血清Ab力価を示す。
【表21】

【図8】Accuspray(商標)ノズルによって噴霧され、かつ凍結乾燥によって乾燥されたSFDインスリンの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図9】図8に示されるがより高倍率である、SFDインスリンの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図10】安定性の尺度としてのSFDおよび液体インスリンについて検出されたデスアミド(化学分解)を示す。
【表22】

【図11】凍結乾燥大気法によって製造された組成物の水分および乾燥時間を示す。
【表23】

【図12】噴霧凍結大気圧乾燥プロセスによって製造されるマンニトール粉末のSEM画像を示す。
【図13A】キトサンのあるなしでのSFD fluワクチンのIN送達後の血清免疫応答の比較を示す。
【図13B】56日目におけるキトサンのあるなしでのSFD fluワクチンのIN送達後の鼻粘膜免疫応答の比較を示す。
【図14】振動および内部部材なしで組み込まれたSFDプロセスからの流動床の上端および下端から収集された試料の水分レベルを示す(低乾燥気体速度(.39m/s))。
【図15】流動床の上端から30分のときサンプリングされた粒子のSEMを示す。
【図16】流動床の上端から60分のときサンプリングされた粒子のSEMを示す。
【図17】2つの異なる気体速度で乾燥された粉末の多孔性を示す。昇華時間に対する流速の効果が示される(V−FB−SFD)。
【図18】Accuspray(商標)ノズルを通しての噴霧凍結および凍結乾燥による乾燥によって得られたマンニトール粒子についての粒子サイズ分布を示す。粒子サイズ分布はレーザー散乱によって測定された。
【図19】SFDニートなインスリン粉末(これはインスリン/ラクトースよりも水分に対してより耐性である)の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図20】周囲湿度への曝露後のSFDインスリン/ラクトース複合物粉末のSEMを示す。
【図21】カプセルメンブレンを破裂した後のSD(噴霧ドライ)粉末およびSFD(噴霧凍結乾燥)粉末を用いたカプセルを示す。SFD粉末を用いるカプセルにおいて残存する目に見えるラクトースは存在しない。
【図22】PBS中での液体rSEBワクチン10mg/mlに対するフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す。
【図23】スクロース中で凍結乾燥させたrSEBワクチンに対するFTIRスペクトルを示す。
【図24】スクロース中で凍結乾燥させたALP rSEBワクチンのFTIRスペクトルを示す。
【図25】SFD rSEB、凍結乾燥rSEB、および未処理rSEBの間の推定される標準化処理の差異のプロットとして表されたイムノアッセイ試験の結果を示す。
【符号の説明】
【0215】
2. 噴霧ノズル
12.溶液(液体)
16.SFDチャンバ
18.噴霧空気
20.冷却システム
28.フィルタ
32.空気フィルタ
36.ポンプ
38.バルブ
44.バイパスバルブ
46.バイパスライン
48.加熱テープ
49.振動源
50.内部部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療剤または予防剤の液体処方物を霧状にして霧状化処方物を生成するステップ、
前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および
前記固体粒子をほぼ大気圧で乾燥させて乾燥粒子を生成するステップ
を含み、前記乾燥ステップを振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で実施する方法によって調製されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記凍結させた固体粒子は、これらが乾燥されているときに流動化状態にあることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記乾燥粒子は約35μmと約300μmの間の体積平均直径を有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記乾燥粒子は約50μmと約100μmの間の体積平均直径を有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記乾燥粒子の少なくとも約50%は、平均の約80%以内の体積直径を有することを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記乾燥粒子は約8μmと約140μmの間の平均空力直径を有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記乾燥粒子は約20μmと約70μmの間の平均空力直径を有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記凍結させるステップは、前記液体処方物の凝固点より低い温度を有する流体または媒体に、前記霧状化された処方物を導入することによって実施されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記流体または媒体は前記霧状化処方物よりも低い沸点または昇華点を有することを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記流体は気体であることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記流体は液体であることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記乾燥粒子は凍結乾燥によってさらに乾燥されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記粒子は気体の流れの存在下で乾燥されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記霧状化するステップ、凍結させるステップ、および乾燥させるステップは連続的プロセスにおいて実施されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記霧状化するステップ、凍結させるステップ、および乾燥させるステップは単一容器中で実施されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記治療剤はタンパク質、核酸、またはウイルス粒子であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記治療剤は免疫原性薬剤であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記免疫原性薬剤はインフルエンザワクチンであることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記インフルエンザワクチンは、不活化インフルエンザ粒子、またはCMVプロモーターに作動可能に連結されたインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質をコードする核酸を含むことを特徴とする請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記治療剤はインスリンであることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記液体処方物は粘膜付着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記粘膜付着剤はキトサン、デルマタン硫酸、コンドロイチン、またはペクチンであることを特徴とする請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記治療剤の前記液体処方物は前記治療剤および水から本質的になることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
治療剤または予防剤の液体処方物の霧状化処方物を凍結させることによって形成された固体粒子を、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下、ほぼ大気圧で、乾燥させることによって調製されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項25】
治療剤の液体処方物を霧状化して霧状化処方物を生成するステップ、
前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および
前記固体粒子をほぼ大気圧で乾燥させて乾燥粒子を生成するステップ
を含み、前記乾燥を振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下で実施することを特徴とする医薬組成物を調製する方法。
【請求項26】
前記凍結させた固体粒子は、これらが乾燥されているときに流動化状態にあることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記乾燥粒子は約35μmと約300μmの間の体積平均直径を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記乾燥粒子は約50μmと約100μmの間の体積平均直径を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記乾燥粒子の少なくとも約50%は、平均の約80%以内の体積直径を有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記乾燥粒子は約8μmと約140μmの間の平均空力直径を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥粒子は約20μmと約70μmの間の平均空力直径を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記凍結させるステップは、前記液体処方物の凝固点より低い温度を有する流体または媒体に、前記霧状化された処方物を導入することによって実施されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記流体または媒体は前記霧状化処方物よりも低い沸点または昇華点を有することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記流体は気体であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記流体は液体であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記乾燥粒子を凍結乾燥によって乾燥させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子は気体の流れの存在下で乾燥されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項38】
前記霧状化するステップ、凍結させるステップ、および乾燥させるステップは連続的プロセスにおいて実施されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記霧状化するステップ、凍結させるステップ、および乾燥させるステップは単一の容器中で実施されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記治療剤はタンパク質、核酸、またはウイルス粒子であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項41】
前記治療剤は免疫原性薬剤であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫原性薬剤はインフルエンザワクチンであることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記インフルエンザワクチンは、不活化インフルエンザ粒子、またはCMVプロモーターに作動可能に連結されたインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質をコードする核酸を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記治療剤はインスリンであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項45】
前記液体処方物は粘膜付着剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項46】
前記粘膜付着剤はキトサン、デルマタン硫酸、コンドロイチン、またはペクチンであることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記治療剤の前記液体処方物は、前記治療剤および水から本質的になることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項48】
治療剤の液体処方物の霧状化処方物を凍結させることによって形成された固体粒子を、振動、内部部材、機械的攪拌、またはこれらの組合せの存在下、ほぼ大気圧で、乾燥させるステップを含むことを特徴とする医薬組成物を調製する方法。
【請求項49】
請求項1に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項50】
前記組成物は、呼吸器、鼻内、直腸内、膣内、舌下、または非経口の経路によって投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物は鼻内投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物は粘膜に投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項53】
請求項8に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項54】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項55】
請求項17に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項56】
請求項18に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項57】
請求項19に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項58】
請求項20に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項59】
請求項21に記載の医薬組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項60】
請求項1に記載の医薬組成物を有効量でその必要がある患者に鼻内投与するステップを含むことを特徴とする前記患者への鼻内投与後に、有効な結果を生じるために必要とされる治療剤または予防剤の量を減少させる方法。
【請求項61】
請求項17に記載の免疫原性組成物の有効量を患者に投与するステップを含むことを特徴とする前記患者における免疫応答を誘発する方法。
【請求項62】
前記組成物は鼻内投与されることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫原性組成物はインフルエンザワクチンであることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記インフルエンザワクチンは、CMVプロモーターに作動可能に連結されたインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質をコードする核酸を含むことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記インフルエンザワクチンは不活化インフルエンザウイルス粒子またはfluウイルスのサブユニットを含むことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記免疫原性組成物は一次免疫−増強レジメンの一部として投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項67】
一次免疫は前記免疫原性組成物として投与され、そして増強免疫はウイルス調製物であることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
一次免疫は鼻内投与され、そして増強免疫は筋肉内投与されることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
治療剤または予防剤の液体処方物を霧状にして霧状化処方物を生成するステップ、
前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および
前記固体粒子を乾燥させて乾燥粒子を生成するステップ
を含む方法によって作製されることを特徴とするワクチン組成物。
【請求項70】
再構成された請求項69に記載のワクチン組成物を有効量でその必要がある患者に非経口的に投与するステップを含むことを特徴とする前記患者への非経口投与後に、有効な結果を生じるために必要とされる治療剤または予防剤の量を減少させる方法。
【請求項71】
前記ワクチンは組換えブドウ球菌エンテロトキシンBワクチンであることを特徴とする請求項69に記載のワクチン組成物。
【請求項72】
治療剤または予防剤の液体処方物を霧状にして霧状化処方物を生成するステップ、
前記霧状化処方物を凍結させて固体粒子を形成するステップ、および
前記固体粒子を乾燥させて乾燥粒子を生成するステップ
を含むことを特徴とするワクチン組成物を調製する方法。
【請求項73】
前記ワクチンは組換えブドウ球菌エンテロトキシンBワクチンであることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
請求項69に記載のワクチン組成物の有効量をその必要がある患者に投与するステップを含むことを特徴とする治療の方法。
【請求項75】
前記ワクチン組成物は組換えブドウ球菌エンテロトキシンBワクチンであることを特徴とする請求項74に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2006−518748(P2006−518748A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503761(P2006−503761)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005135
【国際公開番号】WO2004/073652
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】