説明

改良された制御バルブを備えた輸注装置

【課題】急速な収縮動作と、操作の容易性及ぴ低製作コストの組合せを達成する制御バルブを提供する。
【解決手段】生理的物体を収容したバッグを加圧する装置及び方法は、バッグを押圧する圧力変形体6の収縮動作を行う制御バルブ12を含む。制御バルブ12のトグル部材は圧力変形体6の膨張及び収縮のために第1及び第2位置の間で移動可能である。トグル部材が第1位置にあるとき、制御バルブ12は加圧空気供給源を圧力変形体6に接続する。トグル部材が第2位置にあるとき、制御バルブ12は圧力変形体6がバルブ12内の出口側ポートを介して空気を大気に直接放出することを許容する。出口側ポートの寸法は大きくなっており、放出される空気に対して、極めてわずかな抵抗のみを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輸注ポンプに係り、特に、加圧流体により膨張、収縮の動作を果たすブラダ(bladder)と称される輸注用の弾性隔膜をなす圧力変形体の急速な収縮動作を可能とした装置に係り、特に膨張可能な圧力変形体と、生理的流体を収容した可携性バッグを前記圧力変形体に接触させる状態に支持する手段と、加圧流体供給源とを有し、生理的流体を収容した可携性バッグを加圧する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に対して静脈内流体を供給するために、輸注装置が用いられることは、よく知られている。同様に、これら静脈内流体を加圧してその流速を上げることも知られている。圧力の付与は種々の方法により行なわれ、その1つは該流体を収容した可携性バッグを膨張可能なブラダないし圧力変形体に係合させることである。圧力変形体は、制御バルブを介して接続されたコンプレヅサ又は他の圧力ガス供給源からの空気によって膨らむ、すなわち膨張状態となる。
【0003】
又、知られていることは、圧力変形体からの空気抜き、すなわち収縮動作は制御バルブによって可能とされることであり、該制御バルブは圧力変形体を大気圧に開放する位置に切換えられる。これは例えば・米国特許第3,640,276号及び第4,430,078号に開示されている。更に知られていることは、ベンチュリ管によって圧力変形体の急速な収縮動作が与えられることであり、該ベンチュリ管は圧力変形体から空気をポンプ作用で送り出す低圧を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御バルブの解決すべき課題は、急速な収縮動作と、操作の容易性及ぴ低製作コストの組合せを達成することであった。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明における加圧輸注装置は、生理的流体を収容した可携性バッグと係合する膨張可能な、ブラダと称される圧力変形体と、空気を圧力状態で供給するポンプと、該圧力変形体への加圧空気の供給及び該圧力変形体からの空気の急速な放出の制御を行なうバルブとを備える。
特に、本発明は、膨張可能な圧力変形体と、生理的流体を収容した可携性バッグを前記圧力変形体に接触させる状態に支持する手段と、加圧流体供給源とを有し、前記生理的流体を収容した可携性バッグを加圧する装置において、第1の横断面積を有する入口部を介して前記加圧流体供給源に接続されるとともに第2の横断面積を有する出口部を介して前記圧力変形体に接続された制御バルブと、前記圧力変形体を膨張させるために前記入口部を出口部に接続するとともに前記圧力変形体を収縮させるために前記出口部を大気圧に開放する手段とを備え、前記第2の横断面積が圧力変形体の収縮動作の間に無視し得る以外の圧力降下を発生させないことを特徴とする装置を提案する。
又、本発明においては、上記構成において、前記制御バルブが前記出口部を有する本体と、前記入口部を有するトグル部材とを有し、前記トグル部材は前記入口部が前記出口部と流体の流通を行なう第1位置と前記出口部が大気圧に開放される第2位置との間で移動可能に前記本体に設けられてなる構成の装置も提案される。
更に、本発明においては、上記構成において、前記制御バルブが前記本体に枢動可能に連結されてなる構成の装置も提案される。
【0006】
本発明の特徴の1つは、制御バルブの出口部を圧力変形体に接続する大口径の供給チューブを用いることである。このチューブの径は圧力変形体に空気を供給するに必要なものよりも大であり、制御バルブが該チユーブを介して圧力変形体の収縮動作をも可能とするので大きく作られる。拡大した口径のチューブにより圧力変形体の収縮動作を別途の助力なしに極めて急速に行なうことが可能である。このために、本発明の制御バルブは、加圧ポンプからの空気を受入れる入口部と、空気を圧力状態で圧力変形体に送り込む出口部と、圧力変形体からの空気の急速な放出、すなわちデイスチャージを許容するデイスチャージポートとを備える。好ましい本発明の具体的構成において、制御バルブはドッキングポートと出口側ポートとを有する本体を備える。該本体はこれら2つのポート間で枢動運動をなすように設けられたトグル部材を受入れている。トグル部材は入口側ポートと、該トグル部材が圧力変形体を膨張させる膨張位置又は収縮させる収縮位置の、その位置状態に応じてドッキングポート又は出口側ポートと連通するチャンネルとを有する。
【0007】
トグル部材が膨張位置にあるとき、チャンネルは出口側ポートに連通しており、加圧空気は大口径の出口側ポートを介して圧力変形体に供給される。他方、トグル部材が収縮位置にあるとき、チャンネルはドッキングポートに連通し、出口側ポートは大気に開放される。従って、収縮位置において、圧力変形体内の空気は大気側ヘデイスチャージされ、これにより、流体収容バッグには容易に流体が満たされる。
【0008】
本発明に係る方法において、当該方法は、生理的流体を収容した可携性バッグを加圧することに関連して膨張可能な圧力変形体を膨張、収縮させる方法であり、まず第1の横断面積を有する入口側チャンネルを介し、次いで、膨張可能な圧力変形体と連通する供給チューブを介して膨張可能な圧力変形体に加圧流体を導入することにより膨張可能な圧力変形体を膨張させる。そして、該圧力変形体は、まず供給チューブを介して加圧流体を解放させるために入口側チャンネルをバイパスし、次いで、該入口側チャンネルの第1の横断面積よりも大きい第2の横断面積を有するとともに該入口側チャンネルのバイパスによって解放された出口部を介して加圧流体を解放させることにより収縮させられる。
【0009】
本発明の制御バルブは、入口側ポートが出口側ポートに比して相当に小さく設定してある点で独特の構成となっている。同様に、入口部に空気ポンプを接続するチューブは制御バルブを圧力変形体に接続する供給チューブよりもはるかに小さい構成である。
【0010】
本発明の装置においては、トグル部材にオペレータが容易にアクセスできるように制御バルブが装置のべ一ス上に設けられる構成が望ましい。この設けられる位置は、オペレータがドアを開閉して流体収容バッグを交換する一一方で、膨張位置と収縮位置との間でトグル部材を容易に移動操作できるような位置に設定される。
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1において、本発明に係る装置はハウジング2を有し、これに対してドア4が枢動可能に設けられている。ハウジング2は取付部品7により取付固定されている。ブラダ(bladder)と称される弾性隔膜をなす圧力変形体6はハウジング2の前壁8に形成された凹所に取付けられており、この圧力変形体6とドア4との間に保持された生理的流体を収容する可携性バヅグ(図示せず)と係合するようになっている。生理的流体は、輸注技術において知られた態様で患者に接続されている。圧力変形体6が膨張すると、後壁と可擁性バッグの間の容積が減少するので、圧力がバッグ内の生理的流体に付与され、加圧状態で流体の輸注が行なわれる。
【0013】
圧力変形体6は、入口側チューブ10を介してポンプ(図示せず)から供給される空気によって膨らむ、すなわち膨張状態となる。入口側チューブ10は以下に詳述する制御バルブ12の入口部に接続されている。制御バルブ12の出口部は大口径の供給チューブ14に接続され、この供給チューブ14は圧力変形体6に接続されている。圧力モニターゲージ16も圧力変形体6に接続され、これによりオペレータが圧力変形体6内の圧力をモニターすることができる。制御バルブ12は取付アセンブリ部品13によって取付固定されている。
【0014】
図2において、制御バルブ12は、バルブ本体18とカバー20とを有し、該カバー20は、トグル部材22を収容する空洞部を形成している。図3a〜3dにも示すように、トグル部材22には、入口部32と接続チャンネル34之が設けられ、ハウジング2の外方に延出した操作レバ・一の部分を一体に有する。本体18にはドッキングポート24が設けられ、これは盲穴状のデヅドエンド凹所で構成されるのが望ましく・該凹所は該トグル部材22がドッキングポート24に対応した第2位置をなす格納位置ないしドッキング位置にあるとき、本体18の床面に対して該トグル部材22をシールするオーリング26を収納している。本体18は出口側ポート28と第2のオーリング30とを有し、第2のオーリング30はトグル部材22が出口側ポート28に対応した第1位置にあるとき、出口側ポート28に対してトグル部材22をシールする。
【0015】
図3a〜3dに示すように、トグル部材22は入口部32を有し、該入口部32はチャンネル34の一部を構成する。入口側チューブ10は、ポンプ又は他の加圧空気供給源から延出して図1に示すように入口部32に取付けられている。チャンネル34は、トグル部材22が第2位置にあるとき、加圧流体をデッドエンド・ドッキングポート24に対応させてバイパスさせるとともに、該トグル部材22が第1位置にあるとき、出口側ポート28に加圧流体を連通させる。トグル部材22は図2に示すピン29のまわりで枢動回転する。このピン29に係合する支持孔31は図3bに示されている。
【0016】
図2において、カバー20は出口側ポート28と整合した開口36を有する。トグル部材22が第2位置にバイパスされた状態にあって、出口側ポート28をカバーしないとき、本体18の床面とカバー20との間において出口側ポート28上方に殆ど開いたスペースが存在する。
【0017】
上記本発明の装置は、以下のように動作する。すなわち、圧力変形体6を膨張させるべきとき、オペレータがトグル部材22を出口側ポート28をカバーする第1位置に移動させる。これにより、加圧空気の供給源からの空気がチャンネル34、供給チューブ14を通して流れ、圧力変形体6へと流入する。オペレータが流体収容バッグを交換したい場合に、トグル部材22がドッキングポート24をカバーする第2位置にまで動かされる。これにより、2つのことが遂行される。
【0018】
まず、第1の、第2位置であるドッキング位置へのトグル部材22の移動により、空気がポンプから閉塞されたデッドエンドにバイパスされて向けられるので、圧力が上昇し、これに伴ってポンプを自動的に停止させる。第2に、特に重要なことは、供給チューブ14が大気に開放される。これによって、圧力変形体6からは空気が急速に放出、すなわちデイスチャージされる。
【0019】
好ましい実施形態において、供給チューブ14の寸法は、デイスチャージ状態にあるときに圧力変形体6と大気圧との間の圧力降下は殆ど無視できるように設定される。換言すれぱ、圧力変形体6は大気圧と均衡する圧力を殆ど瞬間的に得ることができる。従って、空気の放出、すなわちデイスチャージ動作において他の助力を何等要しない。又、好ましい実施形態において、供給チューブ14の横断面積を規定する内径は、流体収容バッグとしての血液収容バッグに用いられる通常の圧力変形体からの空気の適切な放出を得るために、少なくとも0.375インチ(9.525皿皿)に設定される。外径は10.5インチ(12.70皿皿)又はそれより大とすることができる。入口側チューブ10の内径は、約0.125インチ(3.175皿皿)で、外径は0.250インチ(6.35皿m)とするのが望ましい。
【0020】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変形例をも含み得ることは当業者において自明のことである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る輸注装置の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る制御バルブの分解斜視図である。
【図3a】図2に示す制御バルブのトグル部材の正面図である。
【図3b】図2に示す制御バルブのトグル部材の側面図である。
【図3c】図2に示す制御バルブのトグル部材の背面図である。
【図3d】図3aに示すトグル部材の3d−3d線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 ハウジング
6 圧力変形体
10 入口側チューブ
12 制御バルブ
14 供給バルブ
18 バルブ本体
22 トグル部材
28 出口側ポート
32 入口部
34 チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な圧力変形体と、生理的流体を収容した可携性バッグを前記圧力変形体に接触させる状態に支持する手段と、加圧流体供給源とを有し、前記生理的流体を収容した可携性バッグを加圧する装置において、第1の横断面積を有する入口部を介して前記加圧流体供給源に接続されるとともに第2の横断面積を有する出口部を介して前記圧力変形体に接続された制御バルブと、前記圧力変形体を膨張させるために前記入口部を出口部に接続するとともに前記圧力変形体を収縮させるために前記出口部を大気圧に開放する手段とを備え、前記第2の横断面積が圧力変形体の収縮動作の間に無視し得る以外の圧力降下を発生させないことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御バルブは、前記出口部を有する本体と、前記入口部を有するトグル部材とを有し、前記トグル部材は前記入口部が前記出口部と流体の流通を行なう第1位置と前記出口部が大気圧に開放される第2位置との間で移動可能に前記本体に設けられてなる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御バルブは前記本体に枢動可能に連結されてなる請求項2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公開番号】特開2008−68111(P2008−68111A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269185(P2007−269185)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【分割の表示】特願2000−518716(P2000−518716)の分割
【原出願日】平成10年11月2日(1998.11.2)
【出願人】(595034651)レベル 1 インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】