説明

改良された接合構造を有するマイクロ加工されたカテーテル

医療器具、医療器具の製造方法及び使用方法。医療器具の一例は、管状部材と、管状部材の内側に配置されたライナーとを備えることができる。管状部材には複数のスロットを形成することができる。管状部材とライナーの間には空間を形成することができる。空間には1つ以上の接合部材を配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具及び医療器具の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、管状部材と管状部材の内側に配置されたライナーとを具備する医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用、例えば脈管内用に、多種多様な体内用医療器具が開発されている。そのような器具としてはガイドワイヤやカテーテルなどがある。これらの器具は、様々な製造方法のうち任意の方法を用いて製造されており、様々な方法のうち任意の方法に従って使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の医療器具及び方法は、それぞれ特定の利点及び欠点を有する。従来のものに代わる代替の医療器具ならびに医療器具の代替の製造方法及び使用方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来のものに代わる医療器具及びその構成要素の代替の設計、材料、製造方法及び使用方法を提供する。一例の医療器具は、管状部材と管状部材の内側に配置されたライナーとを具備することができる。管状部材には複数のスロットを形成することができる。管状部材の内面とライナーの外面との間には空間を形成することができる。この空間には、管状部材をライナーに接合する1つ以上の接合部材を配置することができる。
【0005】
いくつかの実施形態の上記概要は、開示する本発明の各実施形態又はすべての実施について説明するものではない。以下の図面及び詳細な説明により、これらの実施形態をより詳細に例証する。
【0006】
本発明は、添付の図面に関連する以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することにより、さらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】医療器具の一例の部分断面図。
【図2】図1に示す医療器具の一例の一部の縦断面図。
【図3A】図2のA−A線における横断面図。
【図3B】代替実施形態の断面図。
【図3C】代替実施形態の断面図。
【図3D】代替実施形態の断面図。
【図4】別の実施例の医療器具の一部の縦断面図。
【図5】別の実施例の医療器具の一部の縦断面図。
【図6】別の実施例の医療器具の一部の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は様々な変更形態及び代替形態にて実施することができるが、その詳細は図面に例として示されており、さらに、以下において詳細に説明する。しかし、本発明は、記載されている特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変更形態、均等形態及び代替形態をも包含するものである。
【0009】
以下の用語に関しては、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所で異なる定義がなされない限り、以下の定義が適用されるものとする。
本明細書において、すべての数値は、明示の有無に拘わらず、「約」という語が付されているものとみなす。「約」という語は、概して、記述された値と同等である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と当業者が考えるであろう範囲の数値を指す。多くの場合、「約」という語は、有効数字に四捨五入された数を含み得る。
【0010】
上下限値による数値範囲の記述は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形の対象物を含む。本明細書及び添付特許請求の範囲において、「又は」という語が用いられる場合、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、概して、「及び/又は」を含む意味にて用いられる。
【0011】
以下の詳細な説明は図面を参照して読むべきであり、異なる図面中の類似要素には同じ符号が付されている。図面の寸法比率は必ずしも等しいものではなく、図面は、例示的な実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、ガイドカテーテルの形態をとる医療器具10の一例を示す。医療器具10はカテーテルとして示されてはいるが、これは例示のために過ぎないことに留意されたい。器具10は、別の医療器具、例えば、カテーテル、バルーンカテーテル、アテローム切除用カテーテル、薬剤送達カテーテル、ステント送達カテーテル、マイクロカテーテル、内視鏡、イントロデューサシース、給液装置、他の注入又は吸引装置、デバイス送達(すなわち、移植用)器具などの形態をとり得る。さらに、器具10は、多様な異なる処置において、また、血管(冠血管、末梢血管、神経血管など)、消化管、脳脊髄腔など、又は任意の他の適当な位置を含めた多様な異なる標的位置で用いることができる。
【0013】
カテーテル10は、長手方向軸X、基端部14、及び先端部16を有する全体として長尺状のシャフト12を具備することができる。基端部14には基端マニホールド18を配置することができる。マニホールド18は、ハブ20と張力緩和部22を具備することができる。先端部16にはチップ部材24を配置することができる。チップ部材24は、放射線不透過性マーカー部材26を具備することができる。カテーテル10の他の部分、例えば、シャフト12の先端部16に沿って、1つ以上の追加マーカー部材26を配置してもよい。シャフト12は、複数のスロット30が形成された管状部材28を有することができる。管状部材28は、シャフト12の全長又はシャフト12の長さの任意の好適な部分に沿って延在することができる。同様に、スロット30を管状部材28の一部又は全体に沿って配置し得る。管状部材28及びスロット30に関するさらなる詳細については後述する。
【0014】
図2を見ると、管状部材28の内側に管状ライナー32を配置し得ることが分かる。ライナー32は、長さと、外面34と、内面36とを有することができる。内面36は、例えば、ガイドワイヤ内腔又はカテーテル10のための他の内腔であり得る内腔38を画定することができる。ライナー32は、管状部材28の全長又はその長さの一部に沿って延在し得る。いくつかの実施形態において、ライナー32は、管状部材28から先端側に延びて、チップ24を形成することができる。別の実施形態では、チップ24とライナー32は、別個の構造とすることができる。
【0015】
ライナー32は、通常、ポリマー材料で構成することができる。好適なポリマー材料の例をいくつか以下に列挙する。ポリマー材料は、内腔38内で器具(例えば、ガイドワイヤなど)の操作を可能にするために内面36に所望量の潤滑性を付与するように選択することができる。いくつかの実施形態において、ライナー32は単層材料であり得る。別の実施形態では、ライナー32は複数の層を含み得る。例えば、ライナー32は、内層と、内層の周りに配置された中間層と、中間層の周りに配置された強化層と、強化層及び中間層の周りに配置された外層とを有することができる。ライナー32に所望される特性に応じて、使用する層数を増減させることができ、一層以上の強化層を用いてもよく、用いなくてもよいことについては理解されたい。さらに、別の実施形態では、所望される特性を達成するために層配置を変えることも可能である。
【0016】
一般に、外面34は、ライナー32の長さの少なくとも一部に沿って、管状部材28の内面40から離間して配置される。いくつかの実施形態において、ライナー32は、その全長に沿って管状部材28から離間して配置される。この離間は、ライナー32の外面34と管状部材28の内面40との間の空隙又は空間42を形成することができる。空間42は、略円筒形、環状形、又は任意の他の好適な形状とすることができ、それ自体、容積を有するか、容積を画定することができる。
【0017】
空間42には、1つ以上の接合部材44を配置することができる。いくつかの実施形態において、接合部材44は、空間42に配置された(例えば、ライナー32や管状部材28とは異なる)別個の構造要素である。例えば、接合部材44は、接着剤、はんだ、エポキシ、結合物質など、又は任意の他の好適な物質を含むことができる。あるいは、接合部材44は、接合方法の結果としてライナー32及び/又は管状部材28の一部が空間42内に延びる接合パターン又は接合領域を示し得る。例えば、溶接、ろう付け、圧着、熱処理などの接合方法、又は任意の他の好適な方法の結果、ライナー32(及び/又は管状部材28)の一部が、接合部材44を形成するように空間42内に延びることができる(例えば、ライナー32が部分的に溶融して空間42内に延び、管状部材28と接触することができる)。この後に「接合部材」44というときには、接合部材を称することに加えて、接合パターン、接合形態、接合構成などをも表現することがある。接合部材44が別個の構造要素であるか否かに拘わらず、本開示において、用語「接合部材」44は、適用可能な範囲で、上述の全体的形態のいずれか(すなわち、別個の構造要素又は接合パターン)を意味するものとする。さらに、接合部材44が、図面では別個の構造要素として示されていたとしても、実際にどちらか一方の形態に限定するものではない。したがって、本願における接合部材の説明図はいずれも、構造的に別個の接合部材、又は接合パターン、接合形態、接合構成などを表す接合部材となり得ることが理解されよう。
【0018】
接合部材44は、ライナー32の外面34を管状部材28の内面40に接触させて取り付けることができる。接合部材44は、ライナー32を管状部材28に取り付けることに加えて、他の望ましい特性を有し得る。例えば、接合部材44は、管状部材28とライナー32との間で力(例えば、捩り力)を伝達し得るように、管状部材28とライナー32との間の接点を構成することができる。それによって、管状部材28とライナー32は互いに協働してそれぞれの機能をより良く果たすことができる。
【0019】
一般に、接合部材44は、空間42が形成する容積の一定量又は一部を占めるように配置される。いくつかの実施形態において、接合部材44は、合わせて、容積の50%以上を占めることができる。別の実施形態では、接合部材44は、合わせて、容積の50%以下を占めることができる。さらに別の実施形態において、接合部材44は、合わせて、容積の40%以下を占めることができる。さらに別の実施形態では、接合部材44は、合わせて、容積の30%以下を占めることができる。さらに別の実施形態では、接合部材44は、合わせて、容積の20%以下を占めることができる。さらに別の実施形態では、接合部材44は、合わせて、容積の10%以下を占めることができる。いくつかの実施形態において、接合部材44は、管状部材28とライナー32を望ましく機能させて、目的とする機能を十分に果たすようにしながらも、全体で空間42の容積のできるだけ少ない部分を占めるようにすることが望ましい場合もある。
【0020】
ライナー32に対する接合部材44の配置及び形態も変更することができる。例えば、いくつかの実施形態において、接合部材44は、図3Aに示すように、ライナー32の周りで円周方向に(例えば、完全360度)延在することができる。別の実施形態では、接合部材44は、ライナー32の一部の周りで円周方向に部分的にのみ(例えば、360度未満)延在することができる。例えば、図3Bは、本明細書に開示する他のシャフトと形態や機能が類似し得る別のシャフト12’の一部を示しており、接合部材44は、ライナー32の円周の約半分に延在している。接合部材44がライナー32の円周全体又は円周の任意の好適な部分(例えば、最大360度までのいずれかの範囲)にわたって延びる実施形態が企図されることが分かるであろう。いくつかの実施形態においては、すべての接合部材44が、ライナー32の円周の同一部分の周り又は円周全体に延在する。別の実施形態では、いくつかの接合部材44は、ライナー32の円周の異なる部分の周りに延在する。本明細書に開示する配置及び/又は本明細書に開示する様々な配置の組み合わせを含めた多様な配置の接合部材44を具備する様々なカテーテル10が企図される。
【0021】
図3C及び3Dを見ると、複数の接合部材44がライナー32に沿って同じ長手方向位置に配置されている別の例のシャフト12’’/12’’’が示されている。例えば、図3Cには、一対の接合部材44がライナー32に沿って同位置に対向して(すなわち、互いの中心が180度離れて)配置されているシャフト12’’が示されている。図3Dに示すシャフト12’’’は、ライナー32に沿って同位置に対向配置された別の対の接合部材44を示している。しかし、図3Dの一対の接合部材44は、図3Cの一対の接合部材44に対して回転されている。
【0022】
いくつかの実施形態において、対の接合部材44はすべて、各対の接合部材44の一方が軸方向に整列するように同様に配置されている。別の実施形態では、対の接合部材44の少なくともいくつかは他の対に対して回転されている。例えば、カテーテル10のいくつかの実施形態は、図3Cに示すように配置された第1対の接合部材44と、第1対に対して回転された(例えば、図3Dに示すように配置された)第1対から長手方向に離間した次の隣接対とを有する。次の長手方向隣接対は、前の2つのいずれかのように回転させるか、又はまったく異なる配置を有し得る。ライナー32に沿って同じ長手方向位置に配置された3、4、5、6以上の接合部材44を有する接合部材44群のための類似変形形態も企図されることが分かるであろう。
【0023】
さらに、接合部材44を2つ一組で(又は同一軸方向位置に配置された群として)配置する場合、接合部材44は、図3C及び3Dに示すように、それぞれ同じ「長さ」を有することができる(すなわち、それぞれ、ライナー32の周りに同じ半径方向距離延在する)。しかし、これは必ずしも必要な構成ではなく、対の接合部材44又は接合部材44群が異なる長さを有することについても企図される。また、一群中の接合部材44の相対的長さは、他の群の接合部材44と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0024】
さらに、いくつかの実施形態において、接合部材44群はすべて同数の接合部材44を有する。別の実施形態では、いくつかの接合部材44群は、異なる個数の接合部材44を有する。
【0025】
本発明の趣旨の範囲内における接合部材44の配置には無数の可能性が存在することが理解されよう。
いくつかの実施形態において、長手方向に隣接する接合部材44間の間隔又は距離は、ライナー32の長さに沿って決められる。例えば、いくつかの実施形態において、長手方向に隣接する接合部材44同士の間隔は、約15センチメートル以下、約14センチメートル以下、約13センチメートル以下、約12センチメートル以下、約11センチメートル以下、約10センチメートル以下、約9センチメートル以下、約8センチメートル以下、約7センチメートル以下、約6センチメートル以下、約5センチメートル以下、約4センチメートル以下、約3センチメートル以下、約2センチメートル以下、約1センチメートル以下の範囲、又は任意の他の好適な間隔である。この間隔は、ライナー32の長さに沿って一定であってもよいし、変化していてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、管状部材28の少なくとも一部は、ライナー34と重なり合って、重なり部分を形成する。重なり部分に沿って、少なくとも1つの接合部材44を、約15センチメートル以下、約14センチメートル以下、約13センチメートル以下、約12センチメートル以下、約11センチメートル以下、約10センチメートル以下、約9センチメートル以下、約8センチメートル以下、約7センチメートル以下、約6センチメートル以下、約5センチメートル以下、約4センチメートル以下、約3センチメートル以下、約2センチメートル以下、約1センチメートル以下の間隔で、又は重なり部分の長さの少なくとも一部又は全長に沿って任意の他の好適な間隔で配置することができる。
【0026】
別の実施形態では、この間隔は、ライナー32の長さの一部又は全長に沿って変えることができる。例えば、図4及び5は、接合部材の個数がライナー32の少なくとも一部に沿ってライナー32の単位長さごとに変わる接合部材の代替配置を示している。例えば、図4は、別のシャフト112を示しており、このシャフト112は、本明細書に開示される他のシャフトと形態や機能が類似し得るが、ライナー32の長さに沿って単位長さごとの接合部材144a/144b/144c/144d/144eの個数が増加する。この増加は、規則的な増加、不規則な増加、段階的な増加、又は任意の他の方式での増加であり得る。同様に、図5には別のシャフト212が示されており、このシャフト212は、本明細書に開示される他のシャフトと形態や機能が類似し得るが、ライナー32の長さに沿って単位長さごとの接合部材244a/244b/244c/244d/244eの個数が減少する。ライナー32の長さに沿って単位長さあたりの接合部材の個数に複数の変化が存在する他の実施形態も企図されることが理解されよう。
【0027】
図6を見ると、本明細書に開示される他のシャフトと形態や機能が類似し得る別のシャフト312が示されている。この実施形態では、接合部材344は、ライナー32の外面34に沿って螺旋パターン又は渦巻きパターンをたどる。本明細書に開示される任意の接合部材の場合と同様に、接合部材344は、別個の構造要素(例えば、螺旋リボン又は渦巻きリボン)の形態をとってもよく、あるいは、螺旋状の接合パターン、形状、又は配置であってもよい。
【0028】
接合部材344の方向又は配向は変更することができる。例えば、いくつかの実施形態において、接合部材344は、同一の一致した方向に角度をなすように配置することができる。方向は、シャフト312の基端又は先端に向かって傾斜させ得る。別の実施形態では、接合部材344の配向を変更することができる。例えば、いくつかの部分はシャフト312の基端に向かって角度をなす(すなわち、ピッチが角度をなす)が、他の部分は先端に向かって角度をなす。さらに、いくつかの実施形態は、同じ方向に傾斜するが、異なる角度をなすいくつかの部分を含み得る。接合部材344の配置には多くの変形形態が企図されることが分かるであろう。
【0029】
接合部材344は、約0.1〜10ミリメートルの範囲であり得る幅を有することができる。例えば、接合部材344は、約5ミリメートル以下の幅であり得る。さらに、接合部材344のピッチは、約0.1〜10センチメートル又は約0.5〜5センチメートルであり得る。これらの寸法は、例示であって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0030】
図6に示されるように、接合部材344は連続的であってもよい。例えば、接合部材はライナー34の周りで、切れ目のない、すなわち連続したパターンをたどり得る。このパターンは、螺旋又は渦巻きの形態をとっていてもよい。いくつかの実施形態において、螺旋は一定のピッチを有することができる。別の実施形態では、このピッチは、接合部材344の長さに沿って変化し得る。例えば、接合部材344は、第1ピッチを有する第1領域と、第1ピッチとは異なる第2ピッチを有する第2領域とを含むことができる。接合部材344の他の変形態様も企図される。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の螺旋を含み得る。これらの実施形態は、一方向に延び、次いで反対方向に巻回されて元に戻って2つ以上の螺旋を形成する単一の連続的な接合部材344を有することができる。あるいは、これらの実施形態は、複数の螺旋を形成する複数の接合部材344を有することができる。複数の螺旋(すなわち、複数の螺旋を形成する複数の接合部材344)は、同一方向もしくは類似方向、反対方向、又は任意の好適な方向の組み合わせに配向することができる。さらに別の実施形態では、複数の接合部材344は、1つの螺旋(例えば、共同して1つの螺旋を形成する複数の接合部材344の不連続的な一連の配置)又は複数の螺旋を形成するように配置することができる。
【0031】
別の実施形態において、接合部材344は、共同して、ライナー34の周りで螺旋又は渦巻きパターンをたどるいくつかの別個の接合部材を含むことができる。例えば、第1の長手方向位置に1つ以上の接合部材344を配置し、隣接する長手方向位置に1つ以上の接合部材344の第2の組を配置するなどし得る。接合部材344の第2の組又は後続の組は、接合部材344が螺旋パターンをたどるようにライナー34の周りで回転させることができる。いくつかの実施形態において、接合部材344の隣接する組同士は、互いに対してある角度で回転させることができる。例えば、接合部材344の隣接する組同士は、約90度超、約90度以下、約85度以下、約80度以下、約75度以下、約70度以下、約65度以下、約60度以下、約55度以下、約50度以下、約45度以下、又は任意の他の好適な角度で回転させることができる。基本的に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意の他の好適な角度又は配置を利用することができる。
【0032】
接合部材344の配置はスロット30の配置に関連し得る。例えば、スロット30の配置及び形態の様々な実施形態が企図される。いくつかの実施形態において、全部ではないが少なくともいくつかのスロット30は、管状部材28の長手方向軸に対して同一の又は類似の角度で配置される。スロット30は、管状部材28の長手方向軸に直交するもしくは実質的に直交する角度で配置することができ、かつ/又は、管状部材28の長手方向軸に直交する平面上に配置することを特徴とし得る。しかし、別の実施形態では、スロット30は、管状部材28の長手方向軸に直交しない角度で配置することができ、かつ/又は、管状部材28の長手方向軸に直交しない平面上に配置することを特徴とし得る。さらに、1つ以上のスロット30からなるスロット群を1つ以上のスロット30からなる別のスロット群に対して異なる角度で配置することができる。スロット30の分布及び/又は形態は、適用可能な範囲で、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書に開示されているものを含むことがあり、同明細書は、参照によりその全開示内容が本明細書の一部を構成する。
【0033】
スロット30を設けることにより、管状部材28の可撓性を高めると同時に、好適なトルク伝達性をも得ることができる。スロット30は、管状部材28に、1つ以上のセグメント及び/又はビームで相互連結された1つ以上のリング及び/又は巻回部ができるように形成することが可能であり、そのようなリング及びビームは、管状部材28の本体にスロット30が形成された後に残る管状部材28部分を含み得る。そのような相互連結リング構造は、比較的高度のねじり剛性を維持しながら、所望の横方向可撓性レベルをも維持するように作用することができる。いくつかの実施形態において、いくつかの隣接スロット30は、管状部材28の周面で互いに重なり合う部分を有するように形成することができる。別の実施形態では、いくつかの隣接スロット30は、必ずしも互いに重なり合うように配置しなくてもよいが、所望の横方向可撓性をもたらすパターンで配置される。
【0034】
また、スロット30は、所望の特性を達成するために、管状部材28の長さに沿って、又は管状部材28の周囲に配置することができる。例えば、隣接するスロット30同士又はスロット30群は、管状部材28の周囲に両側にほぼ等しく配置されるような対称パターンで配置してもよく、あるいは、管状部材28の軸の周りにおいて互いに対してある角度だけ回転させて配置されてもよい。さらに、隣接するスロット30同士、又はスロット30群は、管状部材28の長さに沿って等間隔で配置してもよく、密集度が増減するように配置してもよく、非対称又は不規則パターンで配置してもよい。可撓性又は他の特性を変化させるために、他の特徴、例えば、スロット寸法、スロット形状及び/又は管状部材28の長手方向軸に対するスロット角度などを管状部材28の長さに沿って変化させることも可能である。また、別の実施形態では、さらに、管状部材の一部、例えば、基端セクション、先端セクション、又は管状部材28全体に、そのようなスロット30を設けないことも企図される。
【0035】
上記で示唆したように、スロット30は、2、3、4、5以上のスロット30からなる群として形成可能であり、スロット30群は、管状部材28の軸に沿ってほぼ同じ位置に配置することができる。スロット30群の中には、寸法が等しい(すなわち、管状部材28の周囲で同じ円周方向距離にわたって延びる)複数のスロット30が存在してもよい。これらの実施形態及び他の実施形態において、少なくともいくつかのスロット30群は寸法が異なる(すなわち、管状部材28の周囲で異なる円周方向距離にわたって延びる)。長手方向に隣接するスロット30群は、同一の又は異なる形態を有し得る。例えば、管状部材28のいくつかの実施形態は、第1群では寸法が等しく、隣接群では寸法が異なるスロット30を有する。寸法が等しい2つのスロット30を有する群では、ビーム(すなわち、スロット30が形成された後に残っている管状部材28部分)は、管状部材28の中心と整列していることが分かるであろう。反対に、寸法が異なる2つのスロット30を有する群では、ビームは、管状部材28の中心からずれている。管状部材28のいくつかの実施形態は、管状部材28の中心と整列しているスロット30のみ、あるいは管状部材28の中心からずれているスロット30のみ、あるいは、第1群では管状部材28の中心と整列し、別の群では管状部材28の中心からずれているスロット30を有する。ずれの量は、スロット30の深さ(又は長さ)に応じて異なり、ほぼ任意の好適な距離を有し得る。
【0036】
スロット30は、マイクロ加工、ソー切断(例えば、ダイヤモンド砥粒が埋め込まれた半導体ダイシングブレードを使用)、レーザ切断、電子放電加工、研削、粉砕、鋳造、成形、化学エッチング又は化学処理などの方法、又は他の既知の方法などによって形成することができる。いくつかのそのような実施形態において、管状部材28の構造は、管の複数の部分を切断かつ/又は除去してスロット30を作製することにより形成される。適切なマイクロ加工法及び他の切断法、ならびにスロットを有する管状部材及び管状部材を含めた医療器具の構造のいくつかの実施形態が、米国特許出願公開第2003/0069522号明細書及び同第2004/0181174号明細書;ならびに米国特許第6,766,720号明細書及び同第6,579,246号明細書に開示されており、これらの明細書の全開示内容は、援用により本明細書の一部を構成する。エッチング法のいくつかの実施形態は、米国特許第5,106,455号明細書に記載されており、同明細書の全開示内容は、援用により本明細書の一部を構成する。注目すべきことは、カテーテル10の製造方法が、上記又は他の製造工程を用いて管状部材28にスロット30を形成することを含み得ることである。
【0037】
上述した様々な配置及び/又は形態を活用する多数の他の配置も企図される。
スロット30の配置に関する接合部材344の配置の件に戻ると、管状部材28に形成されたスロット30及び/又はビームは、管状部材28の周りであるパターンをたどり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ビームは、管状部材28の周りで渦巻き又は螺旋パターンをたどることができる。別の実施形態では、ビームは、長手方向に整列するか、任意の他の好適なパターンをたどるか、又は任意の好適な配列で配置することができる。
【0038】
図6に戻ると、いくつかの実施形態において、接合部材344は、ビームがたどる螺旋パターンに従うか、螺旋パターンと平行になるか、螺旋パターンを模倣するか、又は螺旋パターンに類似のものとすることができる。例えば、ビーム群と接合部材344は、ライナー32の外面34に沿って螺旋状にほぼ同一方向に延在することができる。別の実施形態では、ビームと接合部材344は、異なる方向に配向することができる。本明細書に開示される他の医療器具の接合部材もビームのパターンに関連し得る。
【0039】
様々な接合部材の上記配置などを考慮に入れると、注目すべきことに、上記に開示したいずれの配置も、様々なカテーテルの実施形態で互いに組み合わせることができる。
好適な材料を含む本明細書に開示の様々な構造体の他の変形形態も企図される。カテーテル10や、その様々な構成要素及び変形形態は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は下記に開示)、金属−ポリマー複合材、それらの組み合わせなど、又は任意の他の好適な材料を含めた多くの異なる材料を含み得る。好適な金属及び金属合金の例には、ステンレス鋼、例えば、304V、304L、及び316LVステンレス鋼;軟鋼;ニッケル−チタン合金、例えば、線形弾性及び/又は超弾性ニチノール;他のニッケル合金、例えば、ニッケル−クロム−モリブデン合金〔例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、他のHASTELLOY(登録商標)合金などのUNS:N10276〕、ニッケル−銅合金〔例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400〕、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金〔例えば、MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035〕、ニッケル−モリブデン合金〔例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665〕、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステン又はタングステン合金など;コバルト−クロム合金;コバルト−クロム−モリブデン合金〔例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003〕;白金富化ステンレス鋼;それらの組み合わせ;及び同類のもの;又は任意の他の好適な材料などがある。
【0040】
上記で触れたように、市販のニッケル−チタン又はニチノール合金ファミリーには、「線形弾性」又は「非超弾性」と称される種類のものがあり、これは、化学的には従来の形状記憶の変種及び超弾性の変種に類似しているが、独特の有用な機械的特性を示すことができる。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、その応力・歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さないという点において、超弾性ニチノールと区別し得る。むしろ、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールの場合は、回復可能な歪みが増大するにつれて、応力は、塑性変形が始まるまでは、ほぼ線形で、もしくはいくぶん線形であるが必ずしも完全に線形ではない関係にて、又は、少なくとも、超弾性ニチノールの場合に見られる超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形な関係で増大し続ける。したがって、本開示上、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールとも称し得る。
【0041】
いくつかの事例において、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、さらに、実質的に弾性状態である間(例えば、塑性変形する前)は約2〜5%の歪みまで受容可能であるのに対し、超弾性ニチノールは塑性変形前には約8%の歪みを受容し得るという点でも超弾性ニチノールと区別し得る。これらの材料はどちらも、塑性変形前に約0.2〜0.44%の歪みしか受容しないステンレス鋼などの他の線形弾性材料と区別し得る(その組成に基づいて区別することもできる)。
【0042】
いくつかの実施形態において、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたってDSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相転移を全く示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金では、約−60℃〜約120℃の範囲でDSC及びDMTA分析により検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相転移が全く見られない。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、概して、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響を受けない可能性がある。いくつかの実施形態において、周囲温度又は室温における線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さないという点で、体温における機械的特性とほぼ同じである。換言すれば、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたって、その線形弾性及び/又は非超弾性的性質及び/又は特性を維持し、基本的に降伏点を有さない。
【0043】
いくつかの実施形態において、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金は、約50〜約60重量パーセントのニッケルを含み、残りはほぼチタンで構成することができる。いくつかの実施形態において、その組成は、ニッケルが約54〜約57重量パーセントの範囲である。好適なニッケル−チタン合金の一例は、神奈川県の(株)古河テクノマテリアルから市販されているFHP−NT合金である。ニッケル−チタン合金のいくつかの例が米国特許第5,238,004号明細書及び同第6,508,803号明細書に開示されており、両明細書の内容は、援用により本明細書の一部を構成する。他の好適な材料としては、ULTANIUM(商標)〔ネオメトリクス(Neo−Metrics)社から入手可能〕及びGUM METAL(商標)〔トヨタ(Toyota)社から入手可能〕などがある。いくつかの他の実施形態においては、所望される特性を達成するために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを用いることができる。
【0044】
少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル10の一部又は全体、例えば、マーカ26は、さらに、放射線不透過性材料でドープするか、そのような材料で形成するか、その他の方法でそのような材料を含むことができる。放射線不透過性材料とは、医療処置時に、蛍光透視スクリーン又は別の画像法で相対的に明るい像を生成し得る材料として理解されている。この相対的に明るい像は、カテーテル10の使用者がカテーテルの位置を見極めるのに役立つ。放射線不透過性材料の例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
いくつかの実施形態においては、カテーテル10に一定のMRI適合性が付与される。例えば、磁気共鳴画像化装置(MRI)との適合性を高めるために、カテーテル10の全体又は一部を、一定のMRI適合性を与えるように製作することが望ましい場合がある。例えば、管状部材28もしくはその一部、又はカテーテル10の任意の他の部分を、像を実質的に歪めたり、実質的なアーチファクト(アーチファクトとは、実際とは異なる像である)を生成したりしない材料で作製することができる。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生成し得るという理由で適当ではない場合がある。管状部材28もしくはその一部、又はカテーテル10の任意の他の部分も、MRI装置が撮像することができる材料から作製することができる。これらの特性を示す材料としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金〔例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003〕、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金〔例えば、MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035〕、ニチノール及び同類のものや、他の材料などがある。
【0046】
カテーテル10の一部又は全体上に、カテーテル10の略平滑外面を形成することができるシース又はカバー(図示しない)を配置することができる。しかし、別の実施形態では、カテーテル10の一部又は全体に、そのようなシース又はカバーを設けなくてもよい。シースは、ポリマー又は任意の他の好適な材料から作製することができる。好適なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン〔POM、例えば、デュポン(DuPont)社から入手可能なDELRIN(登録商標)〕、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル〔例えば、DSMエンジニアリング・プラスチックス(DSM Engineering Plastics)社から入手可能なARNITEL(登録商標)〕、エーテル系又はエステル系コポリマー〔例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えば、デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)など〕、ポリアミド〔例えば、バイエル(Bayer)社から入手可能なDURETHAN(登録商標)又はエルフ・アトケム(Elf Atochem)社から入手可能なCRISTAMID(登録商標)〕、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド〔PEBA、例えば、商標名PEBAX(登録商標)にて入手可能〕、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン〔例えば、REXELL(登録商標)〕、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド〔例えば、KEVLAR(登録商標)〕、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12〔例えば、EMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)社から入手可能なGRILAMID(登録商標)〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが含まれ得る。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドしてもよい。
【0047】
シース(設けられている場合)及び/又はライナー32は、潤滑性、親水性、もしくは保護性を有する材料又は他のタイプの材料から作製することができる。あるいは、ライナーは、本明細書に開示する任意の材料を含めた任意の他の好適な材料又は材料の組み合わせを含み得る。例えばフルオロポリマーなどの疎水性材料は、器具の操作性や器具の交換性を改良する乾式潤滑を提供する。潤滑性コーティングは、操縦性及び病変部通過能力を高める。好適な潤滑性ポリマーは当該技術において周知であり、そのようなポリマーの例としては、シリコーンなどや、親水性ポリマー、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、サッカリド、カプロラクトンなど、及びそれらの混合物や組み合わせが挙げられる。親水性ポリマーは、親水性ポリマー同士でブレンドしたり、調合量の水不溶性化合物(一部のポリマーを含む)とブレンドしたりして、好適な潤滑性、接着性及び溶解性を有するコーティングを生成することができる。そのようなコーティングや、コーティングの生成に用いる材料及び方法の他の例は、米国特許第6,139,510号明細書及び同第5,772,609号明細書にも見られ、これらの特許明細書は、援用により本明細書の一部を構成する。
【0048】
コーティング及び/又はシースは、例えば、コーティング、押出成形、共押出成形、断続層共押出成形(ILC)、又は複数セグメントの端同士の融着によって形成することができる。層は、剛性が均一であってもよく、あるいは基端から先端にかけて剛性が徐々に低下していてもよい。剛性の漸減は、ILCによる場合のように連続的なものであってもよく、又は別個の押出成形された管状セグメントを融着させる場合のように段階的なものであってもよい。外層は、放射線不透過性充填材を含浸させて、X線造影を容易にしてもよい。当業者であれば、これらの材料は、本発明の範囲を逸脱することなく変更し得ることが理解されよう。
【0049】
本開示は多くの点で例示に過ぎないものと理解されたい。詳細事項、特に、形状、寸法、及び工程の順序は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更を加えることができる。当然のことながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の文言によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さと、内腔を画定する内面と、基端と、先端とを有し、長さを有する一体型本体を含み、本体に複数のスロットが形成されている長尺状管状部材と、
長尺状管状部材の内側に配置された、長さと、外面と、内腔を画定する内面とを有する管状ライナーであって、外面と管状部材の内面との間に空間が形成されるように、外面が管状部材の内面から離間して配置される、管状ライナーと、
空間内に配置された、長尺状管状部材を管状ライナーに取り付ける複数の別個の接合部材であって、それぞれが、管状部材の長さに沿って隣接する接合部材から、15センチメートル以内、10センチメートル以内、又は5センチメートル以内の範囲内にある、複数の別個の接合部材と
を備える医療器具。
【請求項2】
内腔を画定する内面と、基端と、先端とを有し、長さを有する一体型本体を含み、本体に複数のスロットが形成されている長尺状管状部材と、
長尺状管状部材の少なくとも一部の内側に配置された管状ライナーであって、長さを有する重なり部分に沿って管状部材と重なり合い、外面と、内腔を画定する内面とを有し、外面と内面との間で空間を形成するように、重なり部分に沿って、外面が内面から離間して配置されている、管状ライナーと、
空間内に配置された、長尺状管状部材を管状ライナーに取り付ける複数の別個の接合部材であって、重なり部分の全長に沿って、15センチメートル、10センチメートル、5センチメートル、又はそれ以下の間隔で少なくとも1つの接合部材が存在する、複数の別個の接合部材と
を備える医療器具。
【請求項3】
空間が容積を有し、接合部材が、容積の50%、40%、30%、20%、10%又はそれ以下を占める、請求項1又は2に記載の医療器具。
【請求項4】
空間の少なくとも一部が接合部材によって充填されずに残る、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項5】
少なくともいくつかの接合部材はライナーの少なくとも一部の周りで円周方向に延在する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項6】
少なくともいくつかの接合部材はライナーの少なくとも一部の周りに部分的にのみ円周方向に延在する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
ライナーの周りに部分的にのみ円周方向に延在し、ライナーに沿って同一軸方向位置に配置された2つ以上の接合部材を含む接合部材の第1群が形成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項8】
接合部材の第1群は、ライナーに沿って同一軸方向位置に対向配置された一対の部分的に円周を延在する接合部材により形成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項9】
接合部材の第1群に隣接して接合部材の第2群が形成され、接合部材の第2群は、ライナーに沿って同一軸方向位置に対向配置された一対の部分的に円周に延在する接合部材によって形成され、接合部材の第2群は接合部材の第1群に対して回転されている、請求項7又は8に記載の医療器具。
【請求項10】
接合部材の第2群が、ライナーの周りで部分的にのみ円周方向に延在する、ライナーの長さに沿って同一軸方向位置に配置された2つ以上の接合部材を含む第1群に隣接して形成され、第2群は第1群に対して回転されている、請求項7又は8に記載の医療器具。
【請求項11】
接合部材の第1群がライナーの第1部分に沿って配置され、接合部材の第2群がライナーの第2部分に沿って配置され、第1群と第2群が異なる個数の接合部材を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載に医療器具。
【請求項12】
接合部材がライナーの長さに沿って増加する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項13】
接合部材がライナーの長さに沿って減少する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項14】
少なくとも1つの接合部材がライナーの外面に沿って螺旋状に延在する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項15】
同一軸方向位置にてスロット間において管状部材にビーム群が形成され、ビーム群は、管状部材の周りで螺旋パターンをたどり、ビーム群とライナーの外面に沿って螺旋状に延在する接合部材との両方がほぼ同じ方向に配向されている、請求項14に記載の医療器具。
【請求項16】
同一軸方向位置にてスロット間において管状部材にビーム群が形成され、ビーム群は、管状部材の周りで螺旋パターンをたどり、ビーム群とライナーの外面に沿って螺旋状に延在する接合部材とが異なる方向に配向されている、請求項14に記載の医療器具。
【請求項17】
螺旋状接合部材が連続的に延在する、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項18】
螺旋状接合部材が非連続的に延在する、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項19】
1つ以上の追加の螺旋状接合部材をさらに備えた、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項20】
すべての螺旋状接合部材が同じ方向に配向されている、請求項19に記載の医療器具。
【請求項21】
少なくともいくつかの螺旋状接合部材が異なる方向に配向されている、請求項19に記載の医療器具。
【請求項22】
螺旋状接合部材が、第1ピッチを有する第1領域と、第1ピッチとは異なる第2ピッチを有する第2領域とを有する、請求項14乃至21のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項23】
医療器具の製造方法であって、
長さと、内腔を画定する内面と、基端と、先端とを有し、長さを有する一体型本体を含み、本体に複数のスロットが形成されている長尺状管状部材を提供する工程と、
長さと、外面と、内腔を画定する内面とを有する管状ライナーを提供する工程と、
長尺状管状部材内にライナーを配置する工程であって、ライナーの外面と管状部材の内面との間で空間を形成するように、ライナーの外面を管状部材の内面から離間して配置する、工程と、
複数の別個の接合部材を用いて長尺状管状部材を管状ライナーに取り付ける工程であって、複数の接合部材はそれぞれ、管状部材の長さに沿って隣接する接合部材から、15センチメートル以内、又は10センチメートル以内の範囲内にある、工程と
を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−535588(P2010−535588A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520258(P2010−520258)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/072209
【国際公開番号】WO2009/020962
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】