説明

改良された濾過媒体とラグーンから汚染を除去するための前記濾過媒体の使用

3つの重ね合わされた層、それぞれ、中間層と2つ外層、を含み、中間層は乾量で80〜95%の活性炭からなり100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなり、第一の外層は乾量で45〜95%の有機および/または無機の化学繊維を含み100%にするための残余が活性炭および/または0.9未満の密度を有する材料からなり、第二の外層は乾量で5〜25%の活性炭を含み100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなること、かつ、中間層の重量が40〜200g/mであり、そして外層の重量が10〜100g/mであること、を特徴とする、活性炭を基材とした濾過媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はまず第一には、液体特に水の表面で長期間浮いていることが可能である、セルロース繊維を基材とした支持体に関する。その対象は前記支持体を組み込んである改良された濾過媒体(filtering medium)でもある。それはまた、特にラグーン(lagoon)から汚染を除去するための前記濾過媒体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在提起されている廃水の生物学的処理の一つがラグーン法(lagooning)である。このプロセスは、それが外部エネルギーの供給を必要とせずそしてコンベンショナル・プロセスよりも少ない量の安定化汚泥(stabilized sludge)(たとえば、活性汚泥(activated sludge)、細菌床、などのような)を発生させるという点において、有益である。加えて、廃水の再使用にとって重要なパラメーターを成す病原性微生物の除去がより有効である。
【0003】
ラグーン法浄化システムは一般に数個の溜池(basin)を直列に含んでおり、それの最も普通のものは嫌気性(anaerobic)ラグーン、酸素に関係ない(facultative)ラグーンおよび熟成(maturation)ラグーンと呼ばれている。これらラグーンは特異な機能を有しており、そして非常に異なる浄化エコシステムを特徴としている。それらの稼動はそれらの特性から、主として、幾何学的性質(本質的には深さ)、受け取る有機負荷および廃水の滞留時間から、起こる。
【0004】
実際には、この処理は直列の3つの溜池、それぞれは、酸素に関係ない1次ラグーンと、2つの熟成ラグーン、を必要としており、しばしば、そのネットワークの始まりにおいて嫌気性ラグーンによって先導される。天然ラグーン法と呼ばれるこの処理ネットワークはいわゆる「曝気式(aerated)」ラグーン法処理とは対照的にエネルギーを必要としない;後者は数個の溜池からなりその最初の溜池には酸素要求の大部分を付与する人工曝気装置が装備されている。嫌気性ラグーンの廃水は次いで、この時点では好気性(aerobic)である溜池の中に注入・混入されることができ、有機汚染の更なる除去をもたらす。この廃水は特に動物プランクトン、植物プランクトンおよび原生動物に富んでおり、魚や甲殻網動物のための食物を提供する。
【0005】
嫌気性ラグーンは好気性ラグーン同様、或る欠点を有している。
嫌気性ラグーンは細菌による嫌気性消化が汚泥の蓄積を回避することを可能にするので浄化性能(有機物の70%除去)の観点から非常に満足である。実際、汚泥はCH、窒素、COおよびHSを含めて多数のガスを生産する細菌によって消化される。これらラグーンは浄化性能の観点からは実に満足であるけれども、他方において、それらは硫酸塩を還元する細菌によって生成される特にHSの発生のせいでかなりの嗅覚的不快の原因になる。不快な臭いのする化合物の発生を低減させるための幾つかの解決法が提案されている。
【0006】
第一の方法は硫化物を不溶性の硫化鉄(FeSまたはFeS)の形態で沈殿させるようにラグーン水にFeClを添加することからなる。しかしながら、毒性の危険性が高い。「石灰消毒(liming)」と呼ばれる第二の手法はHSの割合を低下させるためにラグーンのpHを高めることからなる。この手法は依然比較的効率的であるが、pHが8.5を超えると有毒である。硫化物を硫酸塩に酸化するために表面で酸化層(oxidizing layer)を形成することによってラグーンの表面を曝気することも提案されている。この解決法は比較的非効率的であり、そして非常に強力でもない。もう一つのアプローチは光合成の手段によって酸化させる媒体をつくることができる藻類バイオマスばかりでなく高pHを有する二次流出物を再循環させることにあり、その流出物流量は水を更新させ硫化物を希釈させるためには更に高い。この手法は効率的でありしかも非常に高価というわけではないが、浄化性能に対する長期効果に関しては未だに殆ど文書では証明されていない状態である。もう一つの特に高価な解決法は臭気ガスの放出を隔離するように且つ生成バイオガスを収集してから処理するように不透過性カバー(impermeable cover)でラグーンを覆うことにある。
【0007】
本発明者が知っている処理の最後の原理は、ピート(peat)を据え付けられた床(bed)からなりラグーンの表面で浮いている生物学的通気性カバー(biological permeable cover)でラグーンの表面を覆うことにある。この装置は特に効率的なやり方でHSの放出の低減に導くが、他方において、その大規模適用は特に浮上という課題につながるので目論むことが難しい。
【0008】
好気性ラグーンに関しては、それらが藻類の発現を許さず光合成を阻止するならば、嫌気性ラグーンで処理された廃水の中に残留している有機汚染を除去するのに効率的であるとも考えられる。この課題を解決するための解決法は明らかに未だ提案されていない。
【0009】
本発明者は新規な紙の開発すなわちより広くはセルロース繊維を基材とした新規な支持体の開発を専門にしている。
【0010】
たとえば、文書FR−A−2 812 825の中に、本発明者は、分野に関係なく一般に気体状または液状流出物の浄化に使用される光触媒的薬剤(photocatalitic agent)と活性木炭(activated charcoal)を基材とした濾過媒体を記載している。より正確には、この媒体は3つの構成要素、それぞれ、特に天然および/またはセルロース繊維を基材とした通気性支持体、活性木炭を基材とした第一層、および光触媒的薬剤を基材とした第二の別個の層、の組合せから生じる。
【0011】
本発明者のアイディアはこのタイプの媒体を、嫌気性ラグーンから汚染を除去するのに使用することであったのだ。不都合なことに、この媒体は水の表面で単独で長時間浮いていることが不可能である。その上、活性木炭を基材とした層は多くて75重量%の活性炭素繊維(繊維状活性炭ともいう)(activated carbon fiber)を含む混合物からなり、100%にするための残余が有機化学繊維および/または天然繊維を基材とした混合物からなる。この文書が連想させている通り、活性炭素繊維または粒子は、その製法が特に文書US−A−4 069 297およびUS−A−4 285 831の中に記載されているが、互いに結合する能力を示さず(特に、それらの大きさのせいで、実際には2〜7mmの大きさのせいで)、そのために、それらを化学有機繊維および/または天然繊維によって結合させることが必要である、ということも知られている。
【0012】
しかしながら、嫌気性ラグーンの処理のためには、嫌気性細菌によって発生される高含有率のガス故に活性炭(activated carbon)の最大限可能な量を利用可能にする必要があろう。この問題を解決するために、文書FR−A−2 812 825の中に本発明者によって記載されている中間層の中の活性炭素繊維の割合を増大させることをもくろむことは可能であろう。しかしながら、非常に低い機械的強度(mechanical resistance)を支持体に与えるであろう活性炭素繊維の凝集力の問題に容赦なく直面するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
すなわち、本発明が解決することを提起している第一の課題は、液体特に水の表面で長期間浮いていることが可能である、天然および/またはセルロース繊維を基材とした支持体を開発することである。
【0014】
本発明が解決することを提起している第二の課題は高含有率の活性炭素繊維または活性炭粉末を含有していながら増大した機械的強度を賦与されている特に嫌気性ラグーン処理に適する濾過媒体を開発することである。
【0015】
本発明が解決することを提起しておりそして特に好気性ラグーンの処理に関係している第三の課題は藻類の増殖を防ぐ媒体を開発することである。
【0016】
本発明者は実に驚くべきことには、たとえば文書WO99/08784の教示に従う脂肪酸ハロゲン化物タイプのグラフト剤(grafting reagent)RXによって処理されたセルロースおよび/または天然繊維を基材とした支持体は長持ちするフロータビリティ(floatability)特性を示すということを発見した。特に、本発明者は、かかる支持体は数週間にわたって浮いていることが可能でありその間その重量の少なくとも6倍を支持することが可能であるということを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明はまず第一に、そのOH官能基の全てまたは一部がグラフト剤RX(ここで、Rは、大気圧で少なくとも200℃の温度において液体状態であることができるために且つ少なくとも或る反応条件下でOH官能基上で反応することができその間にその反応条件下で揮発性化合物HXの生成と共にOH官能基上に疎水基Rの共有結合グラフトを生じることができるために適する疎水基である)と反応したセルロースおよび/または天然繊維を基材とした支持体を、浮き支持体(floating support)として使用することに関する。
【0018】
以下の記述の中および特許請求の範囲の中では、表現「疎水基R」は、6個より多い炭素原子(有利には8〜50個の炭素原子)を含む有機基を表わす。
【0019】
一つの有利な態様においては、RXは脂肪酸ハロゲン化物である。
【0020】
このタイプの処理は上記文書WO99/08784の中に特によく記載されている。本質的には、それは、グラフト剤RXを含有する液状組成物を支持体の片側または両側に適用し、そしてこうして処理された支持体の上にグラフト剤の沸点未満の温度で気体蒸気(gaseous steam)を通過させることからなる。
【0021】
一つの有利な態様においては、脂肪酸ハロゲン化物は少なくとも16個の炭素原子を含む飽和または不飽和脂肪酸(有利にはベヘン酸)のハロゲン化物である。
【0022】
先に言及した通り、そのフロータビリティ特性によって、この支持体はラグーンから汚染を除去するのに使用することが可能である更に複雑な媒体の基本構成要素として役立つことができる。
【0023】
特に、本発明者はより詳しくは好気性ラグーンの処理に適する支持体を開発した。
【0024】
従って、本発明の対象はまた、そのOH官能基の全てまたは一部が上記のグラフト剤RXと反応したセルロースおよび/または天然繊維を基材とした支持体の形態で提供された特に好気性ラグーンの処理向けの媒体であり、その媒体はそれが更にカーボンブラックを含有していることを特徴としている。
【0025】
好ましい態様においては、支持体はさらにエピクロロヒドリン樹脂を含有している。
【0026】
好ましくは、支持体は、乾部数(dry parts)として、
90〜98%の、有利には95%の、ノース樹脂状繊維(north resinous fibers)、
1〜4%の、有利には3%の、カーボンブラック、
1〜3%の、有利には2%の、エピクロロヒドリン樹脂
を含有している。
【0027】
実際には、カーボンブラックと樹脂はシート製造時に素材の中に組み込まれる。その後にのみ、グラフト剤、特に、不飽和または飽和脂肪酸ハロゲン化物、有利には少なくとも16個の炭素原子を含有するもの、による処理が行われる。有利な態様においては、対応する脂肪酸はステアリン酸および/またはベヘン酸である。
【0028】
フロータビリティの問題が解決されたので、本発明者は次いで上記の第二課題、すなわち、嫌気性ラグーンからの汚染除去の関係において、増大した機械的強度を賦与された、活性炭素繊維を基材とした媒体の開発、を解決することを探索した。
【0029】
これを行うために、本発明は、3つの重ね合わされた層、それぞれ、中間層および上部と下部の2つの外層、を含み、
中間層は乾量(dry weight)で80〜95%の活性炭からなり100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなり、
下部層は乾量で45〜100%の、OH官能基を有する有機化学繊維と場合によっては無機繊維を含み、100%にするための可能な残余が妥当な場合には活性炭および/または0.9未満の密度を有する材料からなり、有機化学繊維のOH官能基の全部または一部は上記グラフト剤RXと反応していて化合物HXを放出した後に共有結合を形成しており、
上部層は乾量で5〜25%の活性炭を含み100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなる、
ことを特徴とする、活性炭を基材とした濾過媒体を提起する。
【0030】
上記同様に、RXは脂肪酸ハロゲン化物、特に、少なくとも16個の炭素原子を含む飽和または不飽和脂肪酸有利にはベヘン酸のハロゲン化物、である。
【0031】
別の特徴によれば、中間層の重量は40〜200g/mであり、そして外層の重量は10〜100g/mである。
【0032】
以下の記述の中および特許請求の範囲の中では、表現「活性炭」は、単独での又は混合物としての、繊維の形態または2〜300μmの粒径を有する粉末の形態の活性炭を表わす。
【0033】
以下の記述の中および特許請求の範囲の中では、表現「有機および/または無機の繊維」は、有機繊維の中でも、活性炭素繊維以外の、特に、セルロース繊維、合成繊維たとえばポリエステルまたはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アクリルまたはナイロンタイプのもの;人造繊維(たとえば、ビスコース、酢酸セルロース);天然繊維(たとえば、綿、毛、木材パルプ)、および無機繊維の中でも、特に、鉱物繊維(たとえば、ガラス、セラミック)、を表わす。本発明の下部層の中に存在するOH官能基を有する有機繊維はより詳しくはセルロース繊維および/または天然繊維である。勿論、下部層の中に含有された有機繊維の全てが必ずしもOH官能基を有する必要はない。
【0034】
言い換えれば、本発明は活性炭を2層の間に挟みこむことによって活性炭の凝集をもたらすことからなり、それら2層のうちの少なくとも一方が繊維または粉末の形態の活性炭を基材としており、それは、そうして、媒体に増大した機械的強度を与えながら活性炭の量および従って気体吸着能力をかなり増大させることを可能にさせる。加えて、上に記載した通りの脂肪酸ハロゲン化物による下部層の処理は媒体にフロータビリティ特性を与えることを可能にさせる。
【0035】
実際には、下部層はOH官能基を有する有機繊維を少なくとも30重量%含有している。この値未満では、媒体はより短い期間しか浮いていない。
【0036】
有利には、上部層の中および妥当な場合には下部層の中に含有された活性炭は繊維の形態にある。
【0037】
特別の態様においては、下層は0.9未満の密度を有する材料を含有し、そうして、付随的な浮上の性質を濾過媒体に与える。本発明によれば、材料の密度は、乾燥媒体または液状媒体の中で、状態にかかわりなく、0.9未満であるべきである。従って、このタイプの材料としては、コルク、発泡ポリスチレン、空気を封入された又はいずれか均等物の材料が使用されてもよい。実際には、かかる材料は層中に5〜20重量%の割合で活性炭と共に又は活性炭の不在で使用されている。勿論、後者の存在は大量のガスを固定するための媒体の能力を増強させる。
【0038】
既に言及した通り、活性炭素繊維はより詳しくは文書US−A−4 069 297およびUS−A−4 285 831に記載されている。加えて、炭素繊維はそれらの用途に依存して様々な比表面積を得るために処理されてもよいということが知られている。特に、ガスを吸着するときには、ガスに応じて、繊維の比表面積は様々であろう。
【0039】
結果として、そして第一の態様によれば、濾過媒体は活性炭を、CHとHSを吸着することを意図した繊維の形態で含有しており、その特性は次のようなものである:
フィラメントの番手(yarn count):1〜1・5dtex、
比表面積:1400m/g、
ミクロポロシティー(microporosity)の量:95%。
【0040】
第二の態様においては、濾過媒体は活性炭を、NHおよび/またはその他の汚染物質を吸着することを意図された繊維の形態で含有している。実際には、これら繊維(HS/NH)は20/80から80/20までの割合で、実例では50/50で、使用されている。
【0041】
炭素の活性サイトの連続脱飽和(continuous desaturation)を、従って前記活性炭の無限再生(infinite regeneration)を、可能にするために、活性炭を体系的に含有する媒体の上層は光触媒的薬剤を基材とした層によって被覆されている。光触媒的薬剤としては、二酸化チタンTiOアナターゼが使用されてもよいが、他の薬剤、たとえば、特に、金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アクチニド酸化物および希土類酸化物の群の一部を形成するもの、が使用されてもよい。
【0042】
文書WO99/51345の中に本発明者によって記載されている通りの態様においては、光触媒的薬剤を基材とした層は、二酸化ケイ素(SiO)の水性コロイド分散物10〜70部(有利には50部)を含み100部にするための残余がTiOアナターゼからなる、混合物の形態で存在している。
【0043】
さらには、TiO粒子を、相互に有効に結合させるためだけでなく、活性炭を基材とした外層にも有効に結合させるためには、SiOの粒子はコロイドの水性分散物の1〜50重量%に相当しており、かつ10〜40nmの直径を有している。
【0044】
同様に、光触媒反応が有効であるためには、そして外層の中および中心層の中に含有された活性木炭の脱着が均一に起こるためには、光触媒的薬剤を基材とした層は光触媒的薬剤を5〜40g/m、有利には20g/m、含んでいる。5g/m未満の値では、過度に薄い厚さの層を与え、光触媒反応が低下する。対照的に、40g/mより大きい値では、光触媒的薬剤の量が高すぎて、紫外線が層の基部に存在する光触媒的薬剤の粒子にまで到達するのを妨げる。
【0045】
本発明はまた、活性炭を基材とした濾過媒体を製造する方法に関する。
【0046】
この方法によれば、上部層が製造され、それから、この上部層に中間層が適用され、それからこの中間層に下部層が適用される。
【0047】
この3つの層は、繊維質懸濁物の調製を意図した3つのヘッドボックス、すなわち、上部層用の第一ヘッドボックス、中間層用の第二ヘッドボックス、下部層用の第三ヘッドボックス、を用意することによって、抄紙機で湿式径路によって連続的に製造され、これら3つの層は脱水(drain)し次いで乾燥することによって一体的に接合される。この媒体にフロータビリティ特性を与えるために、媒体の下部層の自由表面をグラフト剤RXと反応させることを、揮発性化合物HXの放出後に有機繊維のOH官能基と脂肪酸との間に結合を生じさせることを可能にする条件下で、行う。
【0048】
下部層が0.9未満の密度を有する材料を含有している態様においては、第一のヘッドボックスは前記材料すなわち発泡体と有機および/または無機の繊維との混合物を含有している。
【0049】
支持体が光触媒組成物によって被覆される場合には、この層はサイズプレスによって又はパーフォレーテッド適用ローラー(DucheneauまたはStorck)によってスプレーまたはコートすることによって適用される。
【0050】
本発明の対象はまた、3つの重ね合わされた層、それぞれ、中間層と2つ外層、を含み、中間層は乾量で80〜95%の活性炭からなりそして100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなり、第一の外層は乾量で45〜95%の有機および/または無機の化学繊維を含み100%にするための残余が活性炭および/または0.9未満の密度を有する材料からなり、第二の外層は乾量で5〜25%の活性炭を含み100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなること、かつ、中間層の重量が40〜200g/mであり、そして外層の重量が10〜100g/mであること、を特徴とする、活性炭を基材とした濾過媒体である。
【0051】
第一の態様においては、第二外層は乾量で5〜25%の活性炭を、有利には繊維の形態で、含有しており、100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなる。
【0052】
有利には、外層は同じ組成を有する。
【0053】
たとえば、中間層は乾量で90%の活性炭、有利には繊維の形態の、と、乾量で10%の有機および/または無機の化学繊維とを含有し、そして70g/mの重量を有しているが、外層は乾量で10%の活性炭、有利には繊維の形態の、を含有し、そして30g/mに等しい重量を有している。
【0054】
既に言及した通り、記載通りの支持体は有利には嫌気性または好気性のラグーンから汚染を除去するのに使用されてもよい。
【0055】
結果として、本発明はまた、上記の通りの濾過媒体を水の表面でそっと置くことからなる、ラグーンから汚染物を除去する方法に関する。
【0056】
本発明およびそれから誘導される利点は下記の例示的態様から更に明白に現われるであろう。
【0057】
3つのヘッドボックス有する抄紙機で、湿式径路によって、1500m/gに等しい比表面積を有しそしてCHとHSの吸着について選択性でありその長さが2〜7mmでありそしてその直径が15〜100μmであるブリュッヒャー(BLUCHER)によって販売された活性炭素繊維10%と、デュポンS.A.によって販売されたダクロン(Dacron)(登録商標)有機化学繊維45重量%すなわち18g/mと、クラレ(KURARAY)によって販売されたN720ポリビニルアルコール繊維45重量%すなわち乾基準で18g/mとからなる、40g/mに等しい重さを有する繊維質シートが製造される。
【0058】
この第一支持体に、第二ヘッドボックスによって、上記のものと同じタイプの活性炭素繊維90重量%と有機化学繊維10重量%とからなる70g/mに等しい重さを有する繊維質シートが適用される。
【0059】
この第二層に、第三ヘッドボックスによって、ダクロン(登録商標)繊維をセルロース繊維に置き換えたこと以外はその組成および重さが第一層のものと同じである繊維質シートが適用される。
【0060】
それから、TiO(ミレニアム(MILLENIUM)によって販売された)と二酸化ケイ素の水性分散物(セピック(SEPPIC)によって販売されたスノーテックス(SNOWTEX))との混合物からなりTiOと二酸化ケイ素の割合が50/50である光触媒組成物を30g/mの量でスプレーコーティングによって適用する。
【0061】
最後に、下部層をステアリン酸塩化物の気体状ストリーム(gaseous stream)中のミクロ分散物によって処理する。
【0062】
汚染除去試験は、直径150mm、高さ1.20mの円筒状カラムで、次のものを含有して、行われる:
A/ 新鮮汚泥(有機物に富みそして限定された細菌活性をもつ)50%とラグーン起源からの消化汚泥(高い代謝活性をもつ)50%との混合物からなる汚泥50cm
B/ システム廃水と浄化1次ラグーン水との等部数の廃水75cm
C/ 一方のカラムには上記の通りの濾過媒体が使用され、そして他方のカラムは濾過媒体なしの対照カラムをなす。
【0063】
試験の期間は3ヶ月であり、そして水量は週に3回調節される。
【0064】
ガス発生の測定量は対照カラム上では次の通りである:
1日(day)当り49L/mであり、そしてCH(83%)、N(14%)、CO(<4%)およびHS(<1%)すなわち約60mgS/m・d(0.6ppmのHS 雰囲気(atm))からなる。
【0065】
濾過媒体を含有する試験カラム上では、次の通り測定された:
CO:96%
:4%
【0066】
臭気パネル(odour panel)はHS(ヒトの鼻によって検出されるHSについての嗅覚閾値は3ppbである)によって伝統的に検出される吐き気をおこさせるような臭気を同定しなかった。
【0067】
本発明およびそれから生じる利点は以上の記述から明白になる。特に、それは非常に高い割合での活性炭の存在による本発明の媒体の、汚染物を吸着し次いで消滅させる高い能力を特筆されるであろうし、それが媒体の最適凝集を維持しながらであるということが特筆されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの重ね合わされた層、それぞれ、中間層と上部および下部の2つ外層、を含み、
中間層は乾量で80〜95%の活性炭からなり100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなり、
下部層は乾量で45〜100%の、OH官能基を有する有機化学繊維と場合によっては無機繊維を含み、100%にするための可能な残余が妥当な場合には活性炭からおよび/または0.9未満の密度を有する材料からなり、OH官能基の全てまたは一部はグラフト剤RX(ここで、Rは、大気圧で少なくとも200℃の温度において液体状態であることができるために且つ少なくとも或る反応条件下でOH官能基上で反応することができその間にその反応条件下で揮発性化合物HXの生成と共にOH官能基上に疎水基Rの共有結合グラフトを生じることができるために適する疎水基である)と反応しており、
上部層は乾量で5〜25%の活性炭を含み100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなる、
ことを特徴とする、活性炭を基材とした濾過媒体。
【請求項2】
RXが脂肪酸ハロゲン化物、特に、少なくとも16個の炭素原子を含む飽和または不飽和脂肪酸特にベヘン酸のハロゲン化物、であることを特徴とする、請求項1の濾過媒体。
【請求項3】
下部層がOH官能基を有する有機繊維を少なくとも30重量%含有していることを特徴とする、請求項1の媒体。
【請求項4】
上部層の中と場合によっては下部層の中に存在する活性炭が繊維の形態にあることを特徴とする、請求項1の媒体。
【請求項5】
CHとHSを吸着することを意図した繊維の形態で活性炭を含有しており、その特性が
フィラメントの番手:1〜1.5dtex、
比表面積:1400m/g、
ミクロポロシティーの量:95%
である、ことを特徴とする、請求項1の濾過媒体。
【請求項6】
上部層が光触媒的薬剤を基材とした層によって被覆されていることを特徴とする、請求項1の濾過媒体。
【請求項7】
光触媒的薬剤を基材とした層は、二酸化ケイ素(SiO)の水性コロイド分散物10〜70部、有利には50部、を含んでいて100部にするための残余がTiOアナターゼからなる、混合物の形態で存在していることを特徴とする、請求項6の濾過媒体。
【請求項8】
SiOの粒子はコロイドの水性分散物の1〜50重量%に相当しそして10〜40nmの直径を有することを特徴とする、請求項7の濾過媒体。
【請求項9】
光触媒的薬剤を基材とした層が光触媒的薬剤を5〜40g/m、有利には20g/m、含むことを特徴とする、請求項7の濾過媒体。
【請求項10】
3つの重ね合わされた層、それぞれ、中間層と2つ外層、を含み、中間層は乾量で80〜95%の活性炭からなりそして100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなり、第一の外層は乾量で45〜95%の有機および/または無機の化学物質を含み100%にするための残余が活性炭および/または0.9未満の密度を有する材料からなり、第二の外層は乾量で5〜25%の活性炭を含み100%にするための残余が有機および/または無機の化学繊維からなること、かつ、中間層の重量が40〜200g/mであり、そして外層の重量が10〜100g/mであること、を特徴とする、活性炭を基材とした濾過媒体。
【請求項11】
浮き支持体としての、請求項1〜10のいずれか一項の濾過媒体の使用。

【公表番号】特表2006−501992(P2006−501992A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542533(P2004−542533)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000748
【国際公開番号】WO2004/033069
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504029569)アールストロム リサーチ アンド サービシズ (4)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【出願人】(500440717)
【Fターム(参考)】