説明

改良人工毛髪又は人形の毛髪及びその製造方法

【課題】合成材料からなる人工毛髪は非常に光沢があり、不自然に見え、本物の髪とは異なって感じられ、かつらを着けていると人の目を引くことが多い。
【解決手段】少なくとも合成材料支持体2から成る改良人工毛髪又は人形の毛髪であって、人工毛髪1が、いわゆるエーロゲル4を1〜5容量%含むポリエステル、ポリアミド、及びファンシー・アクリルであり、又はエーロゲルを含むポリウレタン、ビニール、アクリラート又は珪酸で被覆されたモノフィラメントから成ることを特徴とする改良人工毛髪又は人形の毛髪である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良人工毛髪又は人形の毛髪に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、人工毛髪は主に、好ましくはモノフィラメント(a monofilament)の形状の合成材料支持体(a synthetic support)から成り、該合成材料支持体の周りにあるいは被覆を備えることができる。
【0003】
そのような周知の人工毛髪では、モノフィラメント又は合成材料支持体は通常、例えばポリエチレンテレフタレート(PETP)といったポリエステル製であり、又は、ポリアミド又はいわゆるファンシー・アクリル(fancy acryl)製である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの周知の合成材料支持体の欠点は、前記合成材料支持体は非常に光沢があり、その結果、人工毛髪は不自然に見え、本物の髪とは異なって感じられ、人がそのような人工毛髪製のかつらを着けていると人の目を引くことが多いことである。
【0005】
周知の合成材料支持体の光沢を抑える為に、前記合成材料支持体をアルカリ処理することが知られている。
【0006】
そのようなアルカリ処理は、合成材料支持体の表面上に悪影響を与える結果となり、その結果、その強い光沢が失われる。
【0007】
しかしながら、このアルカリ処理の欠点は、合成材料支持体がよりしなやかでは無くなり、そして、さらに相対的に磨耗しやすくなり、その結果、人工毛髪の寿命が制限される。
【0008】
本発明の目的は、上記およびその他の欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的のために、本発明は、主に合成材料支持体から成る改良人工毛髪であって、前記人工毛髪が、いわゆるエーロゲル(an aerogel)を含んでいることを特徴とする改良人工毛髪に関する。
【0010】
ここで、エーロゲルは非常に低い体積密度を有する固体物質として定義され、その固体部分が、主に、又は完全に酸化珪素から成り、好ましくはナノ粒子の形状で人工毛髪内に分布している。
【0011】
本発明は、アルカリ処理をする必要無しに、人工毛髪の表面が本物の髪のように見える点で有利である。
【0012】
本発明のもう1つの利点は、前記人工毛髪は相対的に耐磨耗性があり、結果的に、相対的に長い寿命を有する。
【0013】
好ましい実施態様によると、エーロゲルは合成材料支持体内に分布している。
【0014】
もう1つの好ましい実施態様によると、合成材料支持体はエーロゲルを含む被覆を備えている。
【0015】
また、本発明は、主に、合成材料支持体の基材と、いわゆるエーロゲルとの混合;及び合成材料支持体を形成する為に得られた混合物を押し出すこと、から成ることを特徴とする改良人工毛髪又は人形の毛髪を製造する方法にも関する。
【0016】
最後に、本発明は、人工毛髪又は人形の毛髪を製造する為のエーロゲルの使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の特徴をさらに十分に説明するために、本発明による改良人工毛髪又は人形の毛髪の好ましい実施形態について、同様にその好ましい製造方法について、何ら本発明を限定するものではなく、単なる例として、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、少なくとも合成材料支持体2から成る、本発明による改良人工毛髪1又は人形の毛髪を示しており、前記合成材料支持体の周りには被覆3が備えられていてもいなくてもいい。
【0019】
前記合成材料支持体2は、好ましくは、下記の物質の1つ又は複数の組み合わせから作られる:ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド11、又はポリアミド12;ファンシー・アクリル;ポリアセテート(POM);フッ化ビニリデン樹脂(PVDP);例えばポリエチレンテレフタレート(PETP)といったポリエステル。
【0020】
前記被覆3は、好ましくは、主にポリエステル、ポリウレタン、ビニール、アクリラート、又は珪素を基材として作られている。
【0021】
本発明の第1の実施態様によると、合成材料支持体は一定量のいわゆるエーロゲル4を含み、前記エーロゲルの量は、好ましくは合成材料支持体2の1〜5容量%に定められている。
【0022】
使用に適したエーロゲルの例は、ナノゲルという商品名の下で市販されているものである。
【0023】
図2に示されているように、この場合、人工毛髪1又は人形の毛髪は円形の断面を有するが、もちろん他の形状が除外されるものではない。
【0024】
上述の人工毛髪1又は人形の毛髪を製造する方法は、主に、人工毛髪1又は人形の毛髪の為の一定量の基材、例えば、顆粒又は粉状のポリエステル、ポリアミド又はファンシー・アクリル、と、一定量のエーロゲル/ナノゲルと、の混合から成り、その後、得られた混合物は押し出され、望ましい断面を有する縦方向のフィラメントが形成される。
【0025】
エーロゲル/ナノゲル4と基材を混合する為に、エーロゲル/ナノゲル粒子が、好ましくは微細な粉体の形状で使用されることは明らかである。
【0026】
その結果、これらのフィラメントは、前記フィラメントの外表面上に液体状の前記被覆3を施すことにより、前記フィラメントの外表面上に被覆を備えていてもいなくてもいい。
【0027】
被覆が施された後、好ましくは乾燥時間が与えられ、前記乾燥時間は前記被覆3の構成、及び温度、大気の湿度、空気循環等のような周囲パラメータの複合により決められる。
【0028】
人工毛髪1又は人形の毛髪の被覆は、同じ被覆3又は異なる被覆により、乾燥時間後に複数回繰り返して施されることもできる。
【0029】
第2の実施態様によると、エーロゲル/ナノゲル4は被覆3内に含まれている。
【0030】
前記実施態様の両方において、着色料、希釈剤、又は他の添加物のような、1つ又は複数の添加物が、合成材料支持体2及び/又は被覆3に加えられることもできることに留意されたい。
【0031】
もちろん、一定量のエーロゲル/ナノゲル4を合成材料支持体2内と同時に被覆3内にも含ませることもできる。
【0032】
本発明は、決して添付の図面に示された上述の実施形態及び方法に限定されるものではなく、逆に、本発明によるそのような改良人工毛髪又は人形の毛髪及びそのような改良人工毛髪又は人形の毛髪を製造する方法は、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変形によって作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による改良人工毛髪又は人形の毛髪の断面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 改良人工毛髪
2 合成材料支持体
3 被覆
4 エーロゲル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも合成材料支持体(2)から成る改良人工毛髪又は人形の毛髪であって、前記人工毛髪(1)が、いわゆるエーロゲル(4)を含んでいることを特徴とする改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項2】
当該エーロゲル(4)が、粒子の形態で当該人工毛髪(1)又は人形の毛髪内に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項3】
当該合成材料支持体(2)がエーロゲル(4)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項4】
当該合成材料支持体(2)が、1〜5容量%のエーロゲル(4)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項5】
当該合成材料支持体(2)が、下記の材料、ポリエステル、ポリアミド、及びファンシー・アクリル、の1つ又は複数から主に作られることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1つに記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項6】
当該合成材料支持体(2)が、エーロゲル(4)を含む被覆(3)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項7】
当該被覆(3)が、主にポリウレタン、ビニール、アクリラート又は珪素を基材として作られることを特徴とする請求項6に記載の改良人工毛髪又は人形の毛髪。
【請求項8】
少なくともモノフィラメントの形状の合成材料支持体(2)を含んでいる改良人工毛髪又は人形の毛髪を製造する方法であって、該方法が、主に、合成材料支持体(2)の基材と、いわゆるエーロゲル(4)との混合、及び合成材料支持体(2)を形成する為に得られた混合物を押し出すこと、から成ることを特徴とする方法。
【請求項9】
当該エーロゲル(4)が、微細な粉体として、基材と混合されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
混合物中のエーロゲル(4)の量が、1〜5容量%であることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
当該基材が、ポリエステル、ポリアミド、又はファンシー・アクリルであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
人工毛髪(1)を製造する為のエーロゲルの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−265814(P2006−265814A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48997(P2006−48997)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(505237662)タワーフィールド エンタープライゼズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】