改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具
【課題】土と固化材との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具を提供すること。
【解決手段】まず、改良地盤17が形成される予定区域60から土11が除去される。品質確認用器具10は、器具本体20の軸方向が略鉛直となり且つ開口21が予定区域60の中心側へ向くように予定区域60に配置される。この状態で、土11及び固化材12が混合攪拌されてなる混合土13が予定区域60へ埋め戻されると共に器具本体20の内空へ収容される。これにより、予定区域60が改良地盤17が形成される。品質確認用器具10は、土留め部材30が設けられているので混合土13が零れることなく予定区域60から引き抜かれ、混合土13の混ざり具合が確認される。
【解決手段】まず、改良地盤17が形成される予定区域60から土11が除去される。品質確認用器具10は、器具本体20の軸方向が略鉛直となり且つ開口21が予定区域60の中心側へ向くように予定区域60に配置される。この状態で、土11及び固化材12が混合攪拌されてなる混合土13が予定区域60へ埋め戻されると共に器具本体20の内空へ収容される。これにより、予定区域60が改良地盤17が形成される。品質確認用器具10は、土留め部材30が設けられているので混合土13が零れることなく予定区域60から引き抜かれ、混合土13の混ざり具合が確認される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層地盤改良によって形成される改良地盤の品質確認方法、及び改良地盤の品質を確認するために使用される品質確認用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地盤の耐力を増強させて建築物の不同沈下を防止する工法として、表層地盤改良が知られている。表層地盤改良は、改良すべき地盤の土とセメント系の固化材とを混合攪拌し、得られた混合土を転圧して固化させることにより硬質な安定層(改良地盤)を形成する工法である(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の表層地盤改良工法では、セメント系の固化材として、ホワイトセメント、或いは、土と識別可能な顔料を混合したものが用いられる。これにより、土と固化材との混合状態を外部から視認により簡単に把握することができる。
【0004】
特許文献2に記載の表層地盤改良工法では、土、セメント等の固化材、及び石炭灰を混合攪拌して混合土が使用される。なお、特許文献2には、土、固化材、及び石炭灰の混ざり具合を数値で評価するために、混合土の一軸圧縮強さを測定することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−184072号公報
【特許文献2】特開2003−3460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の工法では、攪拌中の土及び固化材の表面的な混ざり具合は簡単に確認することができるものの、混合土の内部の混ざり具合を確認することはできず、改良地盤の品質を確認する方法として充分ではなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の工法では、混合土の一軸圧縮強さを測定することにより混合土の強度を数値で評価することができるものの、専用の試験機が必要であるために土と固化材との混ざり具合を施工現場で簡単に確認することができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、土と固化材との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る改良地盤の品質確認方法は、改良地盤が形成される予定区域から土を除去する第1工程と、軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体、及び上記器具本体に収容された土の抜け落ちを防止する土留め部材を具備してなる品質確認用器具を、上記器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ上記開口が上記予定区域の中心側へ向くように当該予定区域に配置する第2工程と、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土を、上記予定区域へ埋め戻すとともに上記器具本体の内空へ収容する第3工程と、上記品質確認用器具を引き抜いて上記混合土の混ざり具合を確認する第4工程と、を含んでなる。
【0010】
改良地盤は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化することによって形成される。この改良地盤の品質を確認するために、品質確認用器具が使用される。品質確認用器具の器具本体は、略管状のものであって側面に軸方向へ延びる開口が形成されている。この開口は、土を器具本体の内空へ収容するためのものである。上記混合土は、開口から器具本体の内空へ進入して器具本体に収容される。
【0011】
第1工程では、予定区域から土が除去される。ここで、予定区域は、改良地盤が形成される予定の範囲を意味する。第1工程においていわゆる余掘りが行われる場合には、余掘りされる区域もこの予定区域に含まれる。この第1工程は、例えばバックホーを用いて行われる。第2工程では、上記品質確認用器具が予定区域に配置される。品質確認用器具は、器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ開口が予定区域の中心側へ向くように配置される。配置される品質確認用器具の数は特に限定されるものではなく、予定区域の広さや形状に応じて適宜設定される。第3工程では、混合土が予定区域へ埋め戻されるとともに器具本体の内空へ収容される。その際、器具本体の開口が予定区域の中心側へ向けられているので、開口から器具本体の内空へ混合土が容易に進入する。なお、混合土を得るための混合攪拌は、予定区域で行われてもよいし、或いは予定区域外で行われてもよい。第4工程では、品質確認用器具が予定区域から引き抜かれる。その際、器具本体からの混合土の抜け落ちが土留め部材により防止される。このため、品質確認用器具は、器具本体の内空に収容された混合土が器具本体から抜け落ちることなく引き抜かれる。器具本体に収容された混合土が開口から露出しているので、混合土の混ざり具合が容易に確認される。この確認は、例えば作業者が混合土に触れたり、或いは、固化材を変色させる指示薬を混合土に付着させて目視により行われる。
【0012】
(2) 上記第2工程において、上記品質確認用器具を余掘り区域に配置することが好ましい。
【0013】
これにより、第3工程において混合土を転圧する場合に、予定区域に配置された品質確認用器具が混合土を転圧するランマ等の障害となって混合土の転圧不足が生じることが防止される。
【0014】
(3) 上記品質確認用器具が上記器具本体の下方へ向けて突出する突片を有し、上記第2工程において、上記突片を地盤に貫入させて上記品質確認用器具を配置してもよい。
【0015】
これにより、他の道具を用いて器具本体を支持することなく品質確認用器具を簡単に配置することが可能となり、また、品質確認用器具の引き抜きも容易である。
【0016】
(4) 上記第3工程において、少なくとも土及び固化材を上記予定区域で混合攪拌することにより上記混合土を埋め戻してもよい。
【0017】
これにより、第3工程の作業が効率良く行われる。
【0018】
(5) 上記第3工程において、上記埋め戻された混合土を転圧することが好ましい。
【0019】
これにより、空隙のない平坦な改良地盤が形成される。
【0020】
(6) 上記第4工程において、上記混合土を固化させた後に上記品質確認用器具を引き抜くことが好ましい。
【0021】
これにより、開口から進入した混合土が器具本体の内側で固まって器具本体に拘束される。このため、第4工程において品質確認用器具を引き抜く際に開口から混合土が零れることが抑制される。
【0022】
(7) 上記器具本体には、側面に孔が形成されており、上記第4工程において、上記孔に挿通された棒状部材を上方へ引き上げることにより上記品質確認用器具を引き抜いてもよい。
【0023】
これにより、紐やフックを棒状部材に引っ掛けて品質確認用器具を簡単に引き抜くことが可能となる。
【0024】
(8) 上記第4工程において、上記固化材を着色する指示薬を上記器具本体に収容された混合土に付着させて当該混合土の混ざり具合を目視により確認してもよい。
【0025】
これにより、混合土の混ざり具合をより簡単且つ正確に把握することが可能となる。
【0026】
(9) また、本発明に係る品質確認用器具は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化して形成される改良地盤の品質確認用器具であって、上記混合土が内部へ進入するように軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体と、上記器具本体に収容された混合土の抜け落ちを防止する土留め部材と、を具備してなる。
【0027】
改良地盤は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化することによって形成される。この改良地盤の品質を確認するために、本発明の品質確認用器具が使用される。品質確認用器具の器具本体は、略管状のものであって側面に軸方向へ延びる開口が形成されている。この開口は、混合土を器具本体の内空へ収容するためのものである。
【0028】
品質確認用器具は、上述のように、器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ開口が上記予定区域の中心側へ向くように予定区域に配置される。予定区域では混合土が埋め戻されるとともに開口から器具本体の内空へ混合土が収容される。品質確認用器具は、器具本体に混合土が収容された状態で予定区域から引き抜かれる。品質確認用器具が土留め部材を具備しているので、混合土が器具本体から抜け落ちることなく品質確認用器具が引き抜かれる。器具本体に収容された混合土が開口から露出しているので、混合土の混ざり具合が容易に確認される。この確認は、例えば作業者が混合土に触れたり、或いは、固化材を変色させる指示薬を混合土に付着させて目視により行われる。
【0029】
(10) 地盤へ貫入可能な突片が設けられていてもよい。
【0030】
上記構成により、品質確認用器具を起立姿勢で簡単に配置することが可能となり、また、品質確認用器具の引き抜きも容易である。
【0031】
(11) 上記器具本体は、軸方向と直交する方向の断面が略C字形状のものであることが好ましい。
【0032】
上記構成により、開口を構成する器具本体の縁部により混合土が支持されるので、器具本体に収容された混合土が開口から零れることが効果的に防止される。
【0033】
(12) 上記土留め部材から上記器具本体の上端までの軸方向の長さが上記改良地盤が形成される予定区域の深さよりも長いことが好ましい。
【0034】
上記構成により、品質確認用器具が予定区域に配置された際に、器具本体の一部が地表から露出する。このため、品質確認用器具の引き抜きが容易になる。
【0035】
(13) 上記器具本体の側面に孔が形成されていてもよい。
【0036】
上記構成により、例えば、孔に紐を挿通させて器具本体に紐を繋いだり、或いは、上述のように棒状部材を孔に挿通させて紐等を引っ掛けることにより、品質確認用器具の引き抜きが一層容易になる。
【0037】
(14) 上記器具本体の内面に当該器具本体の内側へ突出する突部が設けられていてもよい。
【0038】
上記構成により、突部を有しない場合に比べて、器具本体の内空に収容された混合土が開口から零れにくくなる。
【0039】
(15) 複数の上記突部が軸方向に所定の間隔で列設されていることが好ましい。
【0040】
上記構成により、例えば混合土を複数の層に分けて埋め戻す場合に、突部を目盛り代わりとしても利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具によれば、混合土が収容された品質確認用器具を引き抜くことにより、土と固化材との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる。これにより、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを簡単に確認することができる。また、品質確認用器具が簡易な構成のものであるため、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを低コストで確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。まず、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の構成について説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の斜視図である。図2は、図1における矢視IIから見た品質確認用器具10の正面図である。図3は、図1における矢視IIIから見た品質確認用器具10の平面図である。
【0044】
品質確認用器具10は、表層地盤改良によって形成される改良地盤17(図12参照)の品質を確認するために使用される器具である。ここで改良地盤17は、土11(図10参照)及びセメント系の固化材12(図10参照)が混合攪拌されてなる混合土13(図11参照)が固化して形成されるものである。つまり、品質確認用器具10は、土11及び固化材12の混ざり具合を確認するために使用される。
【0045】
図1〜図3に示されるように、品質確認用器具10は、器具本体20及び土留め部材30を具備する。器具本体20は、例えば鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属が略管状に形成されてなる。本実施形態においては、器具本体20はC形の鋼管である。土留め部材30から器具本体20の上端までの軸方向(軸線19の方向)の長さが予定区域60の深さよりも長くなるように、器具本体20の長さ及び土留め部材30の固定位置が設定されている。本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度掘削されるので、軸線19方向の長さが120cm程度で且つ土留め部材30が下端付近に固定された器具本体20が使用される。なお、器具本体20の軸線19方向の長さは、掘削される予定区域60の地盤の深さに応じて適宜変更される。また、器具本体20の材質は金属に限定されるものではなく、器具本体20は例えば木製であってもよい。この器具本体20は、改良地盤17が形成される地盤に配置されるものであるため、防食のために表面がメッキされることが好ましい。器具本体20の表面に施されるメッキとしては、いわゆるユニクロメッキが好適に挙げられる。
【0046】
図1及び図3に示されるように、器具本体20の側面22は、背面部47、側面部48、及び前面部49から構成されている。背面部47は、器具本体10の背面を構成するものである。側面部48は、図3に示されるように、背面部47に連続して設けられており、背面部47から器具本体20の前面側(図3における右側)へ延びるように形成されている。前面部49は、側面部48に連続して設けられており、側面部48から器具本体20の中央側へ延びるように形成されている。このように、器具本体20は、軸方向(軸線19の方向)と直交する方向の断面(以下、「水平断面」とも称される。)が略C字形状に構成されている(図3参照)。
【0047】
器具本体20は、水平断面が略C字形状に構成されていることにより、軸方向(軸線19の方向)へ延びる開口21が側面22に形成されている。この開口21から器具本体20の内部へ混合土13が進入する(図13〜図15参照)。なお、本発明の土には、混合土13のほか土11も含まれる。また、開口21は、本実施形態においては器具本体20の上端から下端へ連続するように形成されているが、器具本体20の内部へ混合土13が容易に進入できれば軸方向に区画されていてもよい。換言すれば、器具本体20の軸方向へ複数の開口が並ぶように形成されていてもよい。なお、開口21の幅W(図3参照)は、特に限定されるものではないが、混合土13が開口21から器具本体20の内空へ容易に進入し、且つ器具本体10に収容された混合土13が開口21から容易に零れ出ることがない寸法に設定されることが好ましい。
【0048】
図1及び図2に示されるように、器具本体20の側面部48には、孔23,24が形成されている。孔23,24は、器具本体20の内空を挟んで対向するように設けられている。これらの孔23,24には棒40(本発明の棒状部材に相当する)が挿通されるので(図15参照)、孔23,24は、棒40を挿通可能な径を有している。なお、孔23,24の位置は特に限定されるものではないが、孔23,24は、品質確認用器具10を吊り上げるために利用されるものであるため、図1及び図2に示されるように、器具本体20の上端付近に形成されることが好ましい。なお、本発明の孔は、孔23,24に限定されるものではない。すなわち、器具本体20の側面22に形成される孔の数は2つに限定されるものではなく、1つの孔或いは3つ以上の孔が側面22に形成されてもよい。また、本発明の孔が背面部47や前面部49に形成されていてもよい。
【0049】
図1〜図3に示されるように、器具本体20の内面27には、鉄筋28,29が設けられている。なお、鉄筋28は、鉄筋29の下方に配置されているので図3には表れていない。鉄筋28,29は、本実施形態においては、背面部47の内面27に、その長手方向が器具本体20の軸方向と略平行となるように軸方向に所定の間隔で列設されている(図2参照)。鉄筋28,29は、本実施形態においては溶接により内面27に固定されているが、他の方法で固定されてもよい。これらの鉄筋28,29が、器具本体20の内側へ突出する本発明の突部に相当する。
【0050】
土留め部材30(図1〜図3参照)は、器具本体20に収容された混合土13(土11を含む)の抜け落ちを防止するものである。土留め部材30の形状は特に限定されるものではないが、土留め部材30は、本実施形態においては平面視が略四角形である平板状のものである(図3参照)。土留め部材30は、平面視で器具本体20の内空と略同じ大きさを有しており、器具本体20の内面27と溶接により固定されている。なお、この土留め部材30は、器具本体20に収容された混合土13の抜け落ちを防止するものであるため、図1及び図2に示されるように、器具本体20の下端付近に設けられている。図3に示されるように、本実施形態では器具本体20の内空が土留め部材30によりほぼ完全に封止されているが、器具本体20の内空は土留め部材30により完全に封止されなくてもよい。すなわち、土留め部材30は、器具本体20に収容された混合土13の抜け落ちを防止できれば、例えばパンチングメタルやラスなどであってもよい。また、混合土13が抜け落ちなければ、土留め部材30と内面27との間に若干の隙間が形成されていてもよい。
【0051】
品質確認用器具10には、地盤へ貫入可能なボルト25(本発明の突片の一例)が設けられている。ボルト25は、本実施形態においては、器具本体20の下方(図2における下方向)へ向けて突出するように土留め部材30に設けられている。図には示されていないが、土留め部材30には、図3に示されるボルト25に対応する位置に厚み方向(図3における紙面に垂直方向)へ貫通するボルト挿通孔が形成されている。ボルト25は、頭部を上側にネジ部を下側にして、土留め部材30の上面側からボルト挿通孔に挿通され、土留め部材30の下面側においてナット26と螺合されることにより土留め部材30に固定されている(図2参照)。このボルト25の長さは特に限定されるものではないが、ボルト25は、地盤に貫入されることにより器具本体20を自立姿勢で支持可能な程度の長さを有していることが好ましい。なお、ボルト25の固定はナット26との螺合に限定されるものではなく、例えば溶接により土留め部材30に固定されてもよい。また、ボルト25は、地盤に貫入されるものであるため、先端が尖ったものであってもよい。また、ボルト25の固定位置は土留め部材30に限定されるものではなく、例えば器具本体20の下端に溶接により固定されてもよい。ただし、ボルト25が器具本体20の外周部分に固定されると品質確認用器具10を予定区域60(図12参照)から引き抜きにくくなるので、ボルト25は土留め部材30に固定されていることが好ましい。また、ボルト25の数は1つに限定されるものではなく、2以上のボルト25が設けられてもよい。
【0052】
以下、本発明の実施形態に係る改良地盤17の品質確認方法について説明する。この品質確認方法は、表層地盤改良を施工して改良地盤17(図12参照)を形成するとともに、形成された改良地盤17の品質、換言すれば土11及び固化材12の混ざり具合を確認するものである。
【0053】
図4は、予定区域60,70,80を模式的に示す平面図である。
【0054】
図4に示されるように、本実施形態においては、表層地盤改良される地盤が予定区域60,70,80の3つに区画されている。ここで、予定区域60,70,80は、いずれも改良地盤17が形成される予定の工区であり、予定区域毎に表層地盤改良が施工される。なお、予定区域60,70,80における表層地盤改良は同様に施工されるため、本実施形態においては予定区域60で施工される表層地盤改良について主に説明する。
【0055】
改良地盤17の品質確認方法は、第1工程〜第4工程までの4つの工程を含んでなる。第1工程は、改良地盤17が形成される予定区域60から土11を除去する工程である。第2工程は、品質確認用器具10を器具本体20の軸方向が略鉛直となり且つ開口21が予定区域60の中心側へ向くように予定区域60に配置する工程である。第3工程は、土11及び固化材12が混合攪拌されてなる混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する工程である。第4工程は、品質確認用器具10を引き抜いて混合土13の混ざり具合を確認する工程である。
【0056】
まず、予定区域60からの土11の除去に先だって、品質確認用器具10が配置すべき配置場所を設定する。図4に示されるように、本実施形態においては、予定区域60に対して4つの配置場所61〜64が設定される。これらの配置場所61〜64は、以下の要領で設定される。すなわち、予定区域60の外周部分(辺91〜94)のうち、予定区域70及び予定区域80と接しない辺91,92には配置場所を必ず設定することが好ましい。配置場所61,62は、この点を考慮して辺91及び辺92にそれぞれ設定されている。なお、予定区域60の辺91及び辺92には、余掘り区域33が設定されている。余掘り区域33は、作業性などを考慮して規定寸法以上に地盤が掘削される領域である。品質確認用器具10が予定区域60の中央寄りに配置されると、後述の混合土13(図11参照)の転圧不足が生じるおそれがある。このため、配置場所61,62は、余掘り区域33内に設定されている。
【0057】
また、図4に示されるように、予定区域60から除去された土11が仮置きされる仮置き場35(図7参照)の近くを避ける等、作業性を考慮して、予定区域60の外周部分の他の辺93,94にも配置場所63,64がそれぞれ設定される。ただし、配置場所63及び配置場所64は、予定区域70及び予定区域80と隣接しているため、予定区域70と予定区域80を施工する際に設定されてもよい。すなわち、本実施形態においては予定区域60に対して4つの配置場所61〜64が設定されているが、配置場所61,62のみが設定されてもよい。なお、本実施形態においては、配置場所61〜64が各辺91〜94の中央部分にそれぞれ設定されているが、配置場所61〜64の位置はこれに限定されるものではない。すなわち、予定区域60の隅部付近でなければ、配置場所61〜64の位置が各辺91〜94に沿って変更されてもよい。また、配置場所61〜64に加えて別の配置場所がさらに設定されてもよい。
【0058】
図5は、品質確認用器具10が配置された配置場所61を示す平面図である。
【0059】
図5(A)に示されるように、器具本体20の奥行き(図5における左右方向の長さ)を超える幅を有する余掘り区域33が設定されている場合、配置場所61は、当該余掘り区域33内に設定される。この場合、品質確認用器具10は、図5(A)中の2点鎖線で示される改良範囲ラインの外側に配置されることとなる(図4参照)。図5(B)に示されるように、器具本体20の奥行き未満の幅を有する余掘り区域33が設定されている場合、余掘り区域33の外側の地盤を掘削し、余掘り区域33を拡張して配置場所61を設定する(図5(B)参照)。これにより、混合土13の転圧時に品質確認用器具10が障害となり、混合土13の転圧不足が生じることを防止できる。なお、配置場所62についても同様に設定されている。
【0060】
図6は、予定区域60から土11が除去される様子を示す模式図である。
【0061】
配置場所61〜64を設定した後に、図6に示されるように、予定区域60から土11を除去する。具体的には、バックホー45を使用して予定区域60の地盤を掘削し、土11を予定区域60から仮置き場35へ搬出する。ここで掘削される予定区域60の地盤の深さは、予定区域60に形成される改良地盤17の厚さと略同じに設定されている。本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度の深さまで掘削される。なお、バックホー45は、バケットが手前向きに取り付けられた油圧ショベルである。仮置き場35は、予定区域60から搬出された土11を仮置きしておく場所である。このように、改良地盤17が形成される予定区域60から土11が除去される。この工程が本発明の第1工程に相当する。
【0062】
この第1工程は、地表面より低い場所から土11を除去する作業であるためバックホー45を使用して行われるが、例えばスコップを用いた手作業により行われてもよい。なお、土11は後の作業で予定区域60へ埋め戻されるので、予定区域60の全ての土11が除去されなくてもよい。ただし、配置場所61〜64には品質確認用器具10が配置されるので、少なくとも配置場所61〜64における土11は除去する必要がある。
【0063】
次に、品質確認用器具10を予定区域60に配置する。すなわち、品質確認用器具10を配置場所61〜64にそれぞれ配置する。図7は、品質確認用器具10が配置された予定区域60を模式的に示す斜視図である。図7に示されるように、器具本体20の軸方向が略鉛直となるように、品質確認用器具10を予め設定された配置場所61〜64に配置する。なお、上述のように、配置場所61,62は余掘り区域33内に設定されている(図4参照)。したがって、ここでは2つの品質確認用器具10が余掘り区域33に配置される。品質確認用器具10を配置する際には、開口21が予定区域60の中心側へ向くように品質確認用器具10を配置する。この工程が本発明の第2工程に相当する。なお、品質確認用器具10は、以下の要領で配置される。
【0064】
図8は、角材15を用いて品質確認用器具10が配置される様子を示す斜視図である。図9は、予定区域60の掘削断面68が傾斜している場合の品質確認用器具10の配置について説明するための模式図である。
【0065】
図1に示されるように、品質確認用器具10は、器具本体20の下方へ向けて突出するボルト25を有している。品質確認用器具10は、このボルト25のネジ部を地盤に貫入させることにより予定区域60に配置される。具体的には、図8に示されるように、器具本体20が略鉛直となるように品質確認用器具10を支持し、角材15でボルト25を地盤に打ち付ける。ボルト25が土留め部材30から突出するように設けられているので、ボルト25が地盤に貫入するとともに土留め部材30の下面により予定区域60の地盤が突き固められる。その結果、品質確認用器具10は、器具本体20が自立した姿勢に支持される。図8に示されるように、予定区域60の掘削断面68が略垂直に形成されている場合、器具本体20の背面部47を掘削断面68に当接させることで、品質確認用器具10が略鉛直に自立した姿勢で安定的に支持される。なお、予定区域60の地盤の掘削にはバックホー45が使用されるので、図6に示されるように、予定区域60の掘削断面68が傾斜することがある。このような箇所に品質確認用器具10を配置する場合、図9に示されるように、器具本体20の背面部47と掘削断面68との間に土11又は混合土13を詰め、器具本体20が略鉛直となるように品質確認用器具10を予定区域60に配置する。
【0066】
図10は、混合土13が予定区域60に埋め戻される様子を示す模式図である。図11は、改良層51が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【0067】
第2工程に続いて、混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する。混合土13は、土11及び固化材12が混合攪拌されてなるものである。固化材12としては、例えばセメントが使用される。図10に示されるように、仮置き場35に仮置きされた土11、及び固化材12をバックホー45を用いて予定区域60へ搬入する。なお、本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度の深さまで掘削されている。このように掘削された予定区域60に固化材12及び仮置き場35の土11が一度に搬入されると、土11及び固化材12の混合攪拌が不十分になったり、後の工程で混合土13の転圧不足が起こるおそれがある。このため、混合土13を予定区域60へ埋め戻す作業は、本実施形態においては4回にわけて行われる。したがって、ここでは
予定区域60の容積に対して1/4程度の土11が仮置き場35から予定区域60へ搬入される。そして、土11及び固化材12を予定区域60で混合攪拌する。この一連の作業により、混合土13を予定区域60へ埋め戻す。そして、埋め戻された混合土13を振動ローラやランマにより転圧する。図11に示されるように、予定区域60の全域に混合土13がゆきわたり、混合土13が平らになる。予定区域60の外周部分(本実施形態においては配置場所61〜64)に配置された品質確認用器具10は、器具本体20の開口21が予定区域60の中心側へ向けられている。このため、開口21から器具本体20の内空へ混合土13が容易に進入する。なお、器具本体20の内部が混合土13で満たされるように、予定区域60の混合土13を器具本体20の内空へ積極的に入れるようにしてもよい。この工程が、本発明の第3工程に相当する。
【0068】
図12は、改良地盤17が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。図13は、混合土13が収容された品質確認用器具10を示す縦断面図である。図14は、器具本体20に混合土13が収容された品質確認用器具10の平面図である。
【0069】
本実施形態における第3工程では、混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する作業が4回繰り返される。これにより、図12及び図13に示されるように、予定区域60において改良層51,53,55,57からなる空隙のない平坦な改良地盤17が形成される。混合土13を収容する器具本体20には、鉄筋28,29が設けられている。鉄筋28,29が器具本体20の軸方向に所定の間隔で列設されているので、本実施形態のように混合土13を複数の層に分けて埋め戻す場合に、鉄筋28,29を目盛り代わりとして利用することができる。そのため、改良層51,53,55,57の層厚を均一にすることが容易になる。また、図14に示されるように、器具本体20の内空へ進入した混合土13は、鉄筋28,29の周縁を巻き込むようにして固化する。このため、鉄筋28,29を有しない場合に比べて、器具本体20の内空に収容された混合土13が開口21から零れにくくなる。
【0070】
第3工程が完了した後、地中の水が浸入して混合土13が固化するように混合土13を養生させる。その後、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く。図15は、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く様子を示す斜視図である。土留め部材30から器具本体20の上端までの軸方向の長さが予定区域60の深さよりも長いので、図15に示されるように、孔23,24が地表から露出する。品質確認用器具10の孔23,24に棒40を挿通させ、棒40の両端に紐42を引っ掛ける。紐42は、バックホー45のバケットに引っ掛けられており、バックホー45により吊り上げられる。このように、棒40を上方へ引き上げることにより品質確認用器具10を予定区域60から引き抜く。品質確認用器具10には土留め部材30が設けられているので、器具本体20の内空から混合土13が抜け落ちることなく品質確認用器具10が引き抜かれる。
【0071】
図16は、混合土13が収容された品質確認用器具10の正面図である。
【0072】
図16に示されるように、予定区域60から引き抜かれた品質確認用器具10を用いて混合土13の混ざり具合を確認する。具体的には、予定区域60から引き抜かれた品質確認用器具10を開口21が上向きとなるように略水平な場所に配置する。そして、スタッフ37の下端と土留め部材30の上面とが横方向に並ぶようにスタッフ37を品質確認用器具10の横に並べる。器具本体20に収容された混合土13の高さをスタッフ37で測定することにより、予定区域に形成された改良地盤17の厚さを容易に確認することができる。なお、本実施形態においては、4本の品質確認用器具10が使用されている。このため、4本の品質確認用器具10を並べることにより、改良地盤17の厚さが均等であるか否かを簡単に確認することができる。
【0073】
また、この確認作業には、スタッフ37に加えてフェノールフタレイン溶液38(本発明の指示薬の一例)が使用される。フェノールフタレイン溶液38は、フェノールフタレインをエタノールに溶かして水で希釈したものである。フェノールフタレインは、酸と塩基を区別するPH指示薬である。フェノールフタレイン溶液38は、酸性では無色であり、アルカリ性で赤紫色を呈する。このフェノールフタレイン溶液38を器具本体20に収容された混合土13に付着させて混合土13の混ざり具合を目視により確認する。具体的には、霧吹き43を使用してフェノールフタレイン溶液38を器具本体20に収容された混合土13に噴霧する。本実施形態においては固化材12にセメントが使用されているので、フェノールフタレイン溶液38は、固化材12に付着することで赤紫色を呈する。このように、フェノールフタレイン溶液38は、固化材12を着色する。土11及び固化材12の混合が十分である場合、器具本体20に収容され開口21から露出している混合土13が全体的に均一な赤紫色を呈する。逆に、土11及び固化材12の混合が不十分である場合、混合土13に赤紫色を呈する部分と土色を呈する部分とが混在する。器具本体20に収容された混合土13にフェノールフタレイン溶液38を付着させることにより、混合土13の混ざり具合を簡単且つ正確に把握することができる。このように、スタッフ27及びフェノールフタレイン溶液38を用いて混合土13の混ざり具合を確認する作業が本発明の第4工程に相当する。
【0074】
以上説明したように、混合土13が収容された品質確認用器具10を引き抜くことにより、土11と固化材12との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる。これにより、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを簡単に確認することができる。また、品質確認用器具10が簡易な構成のものであるため、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを低コストで確認することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の形態であってもよい。
【0076】
本実施形態においては、品質確認用器具10が余掘り区域33に配置される形態について説明したが、品質確認用器具10の配置場所はこれに限定されるものではない。すなわち、品質確認用器具10は、余掘り区域33の内側に配置されたり、或いは余掘り区域33が設定されることなく予定区域60に配置されてもよい。ただし、これらの場合、品質確認用器具10が障害となって改良地盤17の転圧不足を引き起こすおそれがあるので、品質確認用器具10は、余掘り区域33に配置されることが好ましい。
【0077】
また、本実施形態においては、品質確認用器具10がボルト25を有している場合について説明したが、品質確認用器具10を倒れることなく配置することができれば、品質確認用器具10は必ずしもボルト25を有していなくてもよい。図17は、他の実施形態に係る品質確認用器具90を示す斜視図である。図17に示されるように、品質確認用器具90は、ボルト25及びナット26を有していない点、及び土留め部材30が器具本体20の下端付近よりも上方寄りに固定されている点を除いて品質確認用器具10(図8参照)と同様のものである。品質確認用器具90を配置する場合、器具本体20における土留め部材30よりも下方へ突出した部分41を本発明の突片として地盤に貫入させる。これにより、品質確認用器具90を自立姿勢で安定的に配置することができる。品質確認用器具90では、品質確認用器具10のように土留め部材30にボルト挿通孔を形成してボルト25を固定する必要がないので、品質確認用器具10に比べて構成を簡略化することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、土11及び固化材12を予定区域60で混合攪拌することにより混合土13を予定区域60へ埋め戻す形態について説明したが混合土13の埋め戻しはこれに限定されるものではない。すなわち、予定区域60の外で土11及び固化材12を混合攪拌し、これにより得られた混合土13を予定区域60へ埋め戻すようにしてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、第3工程において予定区域60へ埋め戻された混合土13が転圧される形態について説明したが、混合土13は必ずしも転圧される必要はない。ただし、混合土13を転圧した場合、厚さが均一で且つ強固な改良地盤17が形成されるため、混合土13を転圧することが好ましい。
【0080】
また、本実施形態では、第4工程において混合土13を固化させた後に品質確認用器具10を引き抜く形態について説明したが、混合土13の固化前に品質確認用器具10を引き抜いてもよい。ただし、この場合には品質確認用器具10を引き抜く際に混合土13が崩れて器具本体20から混合土13が簡単に零れてしまうおそれがある。このため、混合土13が固化した後に品質確認用器具10が引き抜かれることが好ましい。
【0081】
また、本実施形態においては、器具本体20の水平断面が略C字形状である形態について説明したが、器具本体20の水平断面の形状はこれに限定されるものではない。すなわち、器具本体20は、略円管形状のものや水平断面が略コ字形のものであってもよい。ただし、水平断面が略C字形となるように器具本体20を構成することにより、混合土13が包み込まれるように器具本体20に保持されて混合土13が零れにくいという利点がある。このため、器具本体20は、水平断面が略C字形のものであることが好ましい。
【0082】
また、本実施形態においては、器具本体20の側面22に孔23,24が形成されている形態について説明したが、孔23,24を形成する代わりに、例えば器具本体20に紐やフック等を取り付けるための部材が器具本体20に固定されていてもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、内面27に鉄筋28,29が所定の間隔で列設されている形態について説明したが、鉄筋28,29は、目印として利用されるものでなければ必ずしも所定の間隔で列設される必要はなく、1又は3つ以上の鉄筋が配置されてもよい。また、本発明の突部は、鉄筋28,29に限定されるものではなく、例えばボルトであってもよい。このボルトを器具本体20に固定する場合、例えば背面部47(図1参照)の厚み方向(図2の紙面に垂直方向)にボルト挿通孔を形成し、器具本体20の外側から内側へボルトを挿通させて器具本体20の内側においてナットと螺合させる。このボルトは、鉄筋28,29に比べて器具本体20の内側へより突出するので、器具本体20から混合土13が零れることが効果的に防止される。なお、ボルト挿通孔の位置を調整することで、ボルトを目印としても使用できる。このボルト挿通孔は、側面部48や前面部49に形成されてもよい。また、混合土13が器具本体20から容易に零れることがなければ本発明の突部を設けなくてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、本発明の混合土が固化材12及び予定区域60の土11からなる混合土13である形態について説明したが、本発明の混合土はこれに限定されるものではない。本発明の混合土は、例えば以下のようなものであってもよい。すなわち、本発明の混合土は、土11、固化材12、及び混和材料が混合攪拌されてなるものでもよい。また、本発明の混合土を構成する土には、予定区域60から除去された土11以外の土が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の斜視図である。
【図2】図2は、図1における矢視IIから見た品質確認用器具10の正面図である。
【図3】図3は、図1における矢視IIIから見た品質確認用器具10の平面図である。
【図4】図4は、予定区域60,70,80を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、品質確認用器具10が配置された配置場所61を示す平面図である。
【図6】図6は、予定区域60から土11が除去される様子を示す模式図である。
【図7】図7は、品質確認用器具10が配置された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図8】図8は、角材15を用いて品質確認用器具10が配置される様子を示す斜視図である。
【図9】図9は、予定区域60の掘削断面68が傾斜している場合の品質確認用器具10の配置について説明するための模式図である。
【図10】図10は、混合土13が予定区域60に埋め戻される様子を示す模式図である。
【図11】図11は、改良層51が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12は、改良地盤17が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図13】図13は、混合土13が収容された品質確認用器具10を示す縦断面図である。
【図14】図14は、器具本体20に混合土13が収容された品質確認用器具10の平面図である。
【図15】図15は、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く様子を示す斜視図である。
【図16】図16は、混合土13が収容された品質確認用器具10の正面図である。
【図17】図17は、他の実施形態に係る品質確認用器具10を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10,90・・・品質確認用器具
11・・・土
12・・・固化材
13・・・混合土
17・・・改良地盤
20・・・器具本体
21・・・開口
22・・・側面
23,24・・・孔
25・・・ボルト(本発明の突片の一例)
27・・・内面
28,29・・・鉄筋(本発明の突部の一例)
30・・・土留め部材
33・・・余掘り区域
38・・・フェノールフタレイン溶液(本発明の指示薬の一例)
40・・・棒(本発明の棒状部材に相当)
60,70,80・・・予定区域
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層地盤改良によって形成される改良地盤の品質確認方法、及び改良地盤の品質を確認するために使用される品質確認用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地盤の耐力を増強させて建築物の不同沈下を防止する工法として、表層地盤改良が知られている。表層地盤改良は、改良すべき地盤の土とセメント系の固化材とを混合攪拌し、得られた混合土を転圧して固化させることにより硬質な安定層(改良地盤)を形成する工法である(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の表層地盤改良工法では、セメント系の固化材として、ホワイトセメント、或いは、土と識別可能な顔料を混合したものが用いられる。これにより、土と固化材との混合状態を外部から視認により簡単に把握することができる。
【0004】
特許文献2に記載の表層地盤改良工法では、土、セメント等の固化材、及び石炭灰を混合攪拌して混合土が使用される。なお、特許文献2には、土、固化材、及び石炭灰の混ざり具合を数値で評価するために、混合土の一軸圧縮強さを測定することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−184072号公報
【特許文献2】特開2003−3460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の工法では、攪拌中の土及び固化材の表面的な混ざり具合は簡単に確認することができるものの、混合土の内部の混ざり具合を確認することはできず、改良地盤の品質を確認する方法として充分ではなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の工法では、混合土の一軸圧縮強さを測定することにより混合土の強度を数値で評価することができるものの、専用の試験機が必要であるために土と固化材との混ざり具合を施工現場で簡単に確認することができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、土と固化材との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る改良地盤の品質確認方法は、改良地盤が形成される予定区域から土を除去する第1工程と、軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体、及び上記器具本体に収容された土の抜け落ちを防止する土留め部材を具備してなる品質確認用器具を、上記器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ上記開口が上記予定区域の中心側へ向くように当該予定区域に配置する第2工程と、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土を、上記予定区域へ埋め戻すとともに上記器具本体の内空へ収容する第3工程と、上記品質確認用器具を引き抜いて上記混合土の混ざり具合を確認する第4工程と、を含んでなる。
【0010】
改良地盤は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化することによって形成される。この改良地盤の品質を確認するために、品質確認用器具が使用される。品質確認用器具の器具本体は、略管状のものであって側面に軸方向へ延びる開口が形成されている。この開口は、土を器具本体の内空へ収容するためのものである。上記混合土は、開口から器具本体の内空へ進入して器具本体に収容される。
【0011】
第1工程では、予定区域から土が除去される。ここで、予定区域は、改良地盤が形成される予定の範囲を意味する。第1工程においていわゆる余掘りが行われる場合には、余掘りされる区域もこの予定区域に含まれる。この第1工程は、例えばバックホーを用いて行われる。第2工程では、上記品質確認用器具が予定区域に配置される。品質確認用器具は、器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ開口が予定区域の中心側へ向くように配置される。配置される品質確認用器具の数は特に限定されるものではなく、予定区域の広さや形状に応じて適宜設定される。第3工程では、混合土が予定区域へ埋め戻されるとともに器具本体の内空へ収容される。その際、器具本体の開口が予定区域の中心側へ向けられているので、開口から器具本体の内空へ混合土が容易に進入する。なお、混合土を得るための混合攪拌は、予定区域で行われてもよいし、或いは予定区域外で行われてもよい。第4工程では、品質確認用器具が予定区域から引き抜かれる。その際、器具本体からの混合土の抜け落ちが土留め部材により防止される。このため、品質確認用器具は、器具本体の内空に収容された混合土が器具本体から抜け落ちることなく引き抜かれる。器具本体に収容された混合土が開口から露出しているので、混合土の混ざり具合が容易に確認される。この確認は、例えば作業者が混合土に触れたり、或いは、固化材を変色させる指示薬を混合土に付着させて目視により行われる。
【0012】
(2) 上記第2工程において、上記品質確認用器具を余掘り区域に配置することが好ましい。
【0013】
これにより、第3工程において混合土を転圧する場合に、予定区域に配置された品質確認用器具が混合土を転圧するランマ等の障害となって混合土の転圧不足が生じることが防止される。
【0014】
(3) 上記品質確認用器具が上記器具本体の下方へ向けて突出する突片を有し、上記第2工程において、上記突片を地盤に貫入させて上記品質確認用器具を配置してもよい。
【0015】
これにより、他の道具を用いて器具本体を支持することなく品質確認用器具を簡単に配置することが可能となり、また、品質確認用器具の引き抜きも容易である。
【0016】
(4) 上記第3工程において、少なくとも土及び固化材を上記予定区域で混合攪拌することにより上記混合土を埋め戻してもよい。
【0017】
これにより、第3工程の作業が効率良く行われる。
【0018】
(5) 上記第3工程において、上記埋め戻された混合土を転圧することが好ましい。
【0019】
これにより、空隙のない平坦な改良地盤が形成される。
【0020】
(6) 上記第4工程において、上記混合土を固化させた後に上記品質確認用器具を引き抜くことが好ましい。
【0021】
これにより、開口から進入した混合土が器具本体の内側で固まって器具本体に拘束される。このため、第4工程において品質確認用器具を引き抜く際に開口から混合土が零れることが抑制される。
【0022】
(7) 上記器具本体には、側面に孔が形成されており、上記第4工程において、上記孔に挿通された棒状部材を上方へ引き上げることにより上記品質確認用器具を引き抜いてもよい。
【0023】
これにより、紐やフックを棒状部材に引っ掛けて品質確認用器具を簡単に引き抜くことが可能となる。
【0024】
(8) 上記第4工程において、上記固化材を着色する指示薬を上記器具本体に収容された混合土に付着させて当該混合土の混ざり具合を目視により確認してもよい。
【0025】
これにより、混合土の混ざり具合をより簡単且つ正確に把握することが可能となる。
【0026】
(9) また、本発明に係る品質確認用器具は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化して形成される改良地盤の品質確認用器具であって、上記混合土が内部へ進入するように軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体と、上記器具本体に収容された混合土の抜け落ちを防止する土留め部材と、を具備してなる。
【0027】
改良地盤は、少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化することによって形成される。この改良地盤の品質を確認するために、本発明の品質確認用器具が使用される。品質確認用器具の器具本体は、略管状のものであって側面に軸方向へ延びる開口が形成されている。この開口は、混合土を器具本体の内空へ収容するためのものである。
【0028】
品質確認用器具は、上述のように、器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ開口が上記予定区域の中心側へ向くように予定区域に配置される。予定区域では混合土が埋め戻されるとともに開口から器具本体の内空へ混合土が収容される。品質確認用器具は、器具本体に混合土が収容された状態で予定区域から引き抜かれる。品質確認用器具が土留め部材を具備しているので、混合土が器具本体から抜け落ちることなく品質確認用器具が引き抜かれる。器具本体に収容された混合土が開口から露出しているので、混合土の混ざり具合が容易に確認される。この確認は、例えば作業者が混合土に触れたり、或いは、固化材を変色させる指示薬を混合土に付着させて目視により行われる。
【0029】
(10) 地盤へ貫入可能な突片が設けられていてもよい。
【0030】
上記構成により、品質確認用器具を起立姿勢で簡単に配置することが可能となり、また、品質確認用器具の引き抜きも容易である。
【0031】
(11) 上記器具本体は、軸方向と直交する方向の断面が略C字形状のものであることが好ましい。
【0032】
上記構成により、開口を構成する器具本体の縁部により混合土が支持されるので、器具本体に収容された混合土が開口から零れることが効果的に防止される。
【0033】
(12) 上記土留め部材から上記器具本体の上端までの軸方向の長さが上記改良地盤が形成される予定区域の深さよりも長いことが好ましい。
【0034】
上記構成により、品質確認用器具が予定区域に配置された際に、器具本体の一部が地表から露出する。このため、品質確認用器具の引き抜きが容易になる。
【0035】
(13) 上記器具本体の側面に孔が形成されていてもよい。
【0036】
上記構成により、例えば、孔に紐を挿通させて器具本体に紐を繋いだり、或いは、上述のように棒状部材を孔に挿通させて紐等を引っ掛けることにより、品質確認用器具の引き抜きが一層容易になる。
【0037】
(14) 上記器具本体の内面に当該器具本体の内側へ突出する突部が設けられていてもよい。
【0038】
上記構成により、突部を有しない場合に比べて、器具本体の内空に収容された混合土が開口から零れにくくなる。
【0039】
(15) 複数の上記突部が軸方向に所定の間隔で列設されていることが好ましい。
【0040】
上記構成により、例えば混合土を複数の層に分けて埋め戻す場合に、突部を目盛り代わりとしても利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る改良地盤の品質確認方法、及び品質確認用器具によれば、混合土が収容された品質確認用器具を引き抜くことにより、土と固化材との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる。これにより、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを簡単に確認することができる。また、品質確認用器具が簡易な構成のものであるため、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを低コストで確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。まず、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の構成について説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の斜視図である。図2は、図1における矢視IIから見た品質確認用器具10の正面図である。図3は、図1における矢視IIIから見た品質確認用器具10の平面図である。
【0044】
品質確認用器具10は、表層地盤改良によって形成される改良地盤17(図12参照)の品質を確認するために使用される器具である。ここで改良地盤17は、土11(図10参照)及びセメント系の固化材12(図10参照)が混合攪拌されてなる混合土13(図11参照)が固化して形成されるものである。つまり、品質確認用器具10は、土11及び固化材12の混ざり具合を確認するために使用される。
【0045】
図1〜図3に示されるように、品質確認用器具10は、器具本体20及び土留め部材30を具備する。器具本体20は、例えば鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属が略管状に形成されてなる。本実施形態においては、器具本体20はC形の鋼管である。土留め部材30から器具本体20の上端までの軸方向(軸線19の方向)の長さが予定区域60の深さよりも長くなるように、器具本体20の長さ及び土留め部材30の固定位置が設定されている。本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度掘削されるので、軸線19方向の長さが120cm程度で且つ土留め部材30が下端付近に固定された器具本体20が使用される。なお、器具本体20の軸線19方向の長さは、掘削される予定区域60の地盤の深さに応じて適宜変更される。また、器具本体20の材質は金属に限定されるものではなく、器具本体20は例えば木製であってもよい。この器具本体20は、改良地盤17が形成される地盤に配置されるものであるため、防食のために表面がメッキされることが好ましい。器具本体20の表面に施されるメッキとしては、いわゆるユニクロメッキが好適に挙げられる。
【0046】
図1及び図3に示されるように、器具本体20の側面22は、背面部47、側面部48、及び前面部49から構成されている。背面部47は、器具本体10の背面を構成するものである。側面部48は、図3に示されるように、背面部47に連続して設けられており、背面部47から器具本体20の前面側(図3における右側)へ延びるように形成されている。前面部49は、側面部48に連続して設けられており、側面部48から器具本体20の中央側へ延びるように形成されている。このように、器具本体20は、軸方向(軸線19の方向)と直交する方向の断面(以下、「水平断面」とも称される。)が略C字形状に構成されている(図3参照)。
【0047】
器具本体20は、水平断面が略C字形状に構成されていることにより、軸方向(軸線19の方向)へ延びる開口21が側面22に形成されている。この開口21から器具本体20の内部へ混合土13が進入する(図13〜図15参照)。なお、本発明の土には、混合土13のほか土11も含まれる。また、開口21は、本実施形態においては器具本体20の上端から下端へ連続するように形成されているが、器具本体20の内部へ混合土13が容易に進入できれば軸方向に区画されていてもよい。換言すれば、器具本体20の軸方向へ複数の開口が並ぶように形成されていてもよい。なお、開口21の幅W(図3参照)は、特に限定されるものではないが、混合土13が開口21から器具本体20の内空へ容易に進入し、且つ器具本体10に収容された混合土13が開口21から容易に零れ出ることがない寸法に設定されることが好ましい。
【0048】
図1及び図2に示されるように、器具本体20の側面部48には、孔23,24が形成されている。孔23,24は、器具本体20の内空を挟んで対向するように設けられている。これらの孔23,24には棒40(本発明の棒状部材に相当する)が挿通されるので(図15参照)、孔23,24は、棒40を挿通可能な径を有している。なお、孔23,24の位置は特に限定されるものではないが、孔23,24は、品質確認用器具10を吊り上げるために利用されるものであるため、図1及び図2に示されるように、器具本体20の上端付近に形成されることが好ましい。なお、本発明の孔は、孔23,24に限定されるものではない。すなわち、器具本体20の側面22に形成される孔の数は2つに限定されるものではなく、1つの孔或いは3つ以上の孔が側面22に形成されてもよい。また、本発明の孔が背面部47や前面部49に形成されていてもよい。
【0049】
図1〜図3に示されるように、器具本体20の内面27には、鉄筋28,29が設けられている。なお、鉄筋28は、鉄筋29の下方に配置されているので図3には表れていない。鉄筋28,29は、本実施形態においては、背面部47の内面27に、その長手方向が器具本体20の軸方向と略平行となるように軸方向に所定の間隔で列設されている(図2参照)。鉄筋28,29は、本実施形態においては溶接により内面27に固定されているが、他の方法で固定されてもよい。これらの鉄筋28,29が、器具本体20の内側へ突出する本発明の突部に相当する。
【0050】
土留め部材30(図1〜図3参照)は、器具本体20に収容された混合土13(土11を含む)の抜け落ちを防止するものである。土留め部材30の形状は特に限定されるものではないが、土留め部材30は、本実施形態においては平面視が略四角形である平板状のものである(図3参照)。土留め部材30は、平面視で器具本体20の内空と略同じ大きさを有しており、器具本体20の内面27と溶接により固定されている。なお、この土留め部材30は、器具本体20に収容された混合土13の抜け落ちを防止するものであるため、図1及び図2に示されるように、器具本体20の下端付近に設けられている。図3に示されるように、本実施形態では器具本体20の内空が土留め部材30によりほぼ完全に封止されているが、器具本体20の内空は土留め部材30により完全に封止されなくてもよい。すなわち、土留め部材30は、器具本体20に収容された混合土13の抜け落ちを防止できれば、例えばパンチングメタルやラスなどであってもよい。また、混合土13が抜け落ちなければ、土留め部材30と内面27との間に若干の隙間が形成されていてもよい。
【0051】
品質確認用器具10には、地盤へ貫入可能なボルト25(本発明の突片の一例)が設けられている。ボルト25は、本実施形態においては、器具本体20の下方(図2における下方向)へ向けて突出するように土留め部材30に設けられている。図には示されていないが、土留め部材30には、図3に示されるボルト25に対応する位置に厚み方向(図3における紙面に垂直方向)へ貫通するボルト挿通孔が形成されている。ボルト25は、頭部を上側にネジ部を下側にして、土留め部材30の上面側からボルト挿通孔に挿通され、土留め部材30の下面側においてナット26と螺合されることにより土留め部材30に固定されている(図2参照)。このボルト25の長さは特に限定されるものではないが、ボルト25は、地盤に貫入されることにより器具本体20を自立姿勢で支持可能な程度の長さを有していることが好ましい。なお、ボルト25の固定はナット26との螺合に限定されるものではなく、例えば溶接により土留め部材30に固定されてもよい。また、ボルト25は、地盤に貫入されるものであるため、先端が尖ったものであってもよい。また、ボルト25の固定位置は土留め部材30に限定されるものではなく、例えば器具本体20の下端に溶接により固定されてもよい。ただし、ボルト25が器具本体20の外周部分に固定されると品質確認用器具10を予定区域60(図12参照)から引き抜きにくくなるので、ボルト25は土留め部材30に固定されていることが好ましい。また、ボルト25の数は1つに限定されるものではなく、2以上のボルト25が設けられてもよい。
【0052】
以下、本発明の実施形態に係る改良地盤17の品質確認方法について説明する。この品質確認方法は、表層地盤改良を施工して改良地盤17(図12参照)を形成するとともに、形成された改良地盤17の品質、換言すれば土11及び固化材12の混ざり具合を確認するものである。
【0053】
図4は、予定区域60,70,80を模式的に示す平面図である。
【0054】
図4に示されるように、本実施形態においては、表層地盤改良される地盤が予定区域60,70,80の3つに区画されている。ここで、予定区域60,70,80は、いずれも改良地盤17が形成される予定の工区であり、予定区域毎に表層地盤改良が施工される。なお、予定区域60,70,80における表層地盤改良は同様に施工されるため、本実施形態においては予定区域60で施工される表層地盤改良について主に説明する。
【0055】
改良地盤17の品質確認方法は、第1工程〜第4工程までの4つの工程を含んでなる。第1工程は、改良地盤17が形成される予定区域60から土11を除去する工程である。第2工程は、品質確認用器具10を器具本体20の軸方向が略鉛直となり且つ開口21が予定区域60の中心側へ向くように予定区域60に配置する工程である。第3工程は、土11及び固化材12が混合攪拌されてなる混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する工程である。第4工程は、品質確認用器具10を引き抜いて混合土13の混ざり具合を確認する工程である。
【0056】
まず、予定区域60からの土11の除去に先だって、品質確認用器具10が配置すべき配置場所を設定する。図4に示されるように、本実施形態においては、予定区域60に対して4つの配置場所61〜64が設定される。これらの配置場所61〜64は、以下の要領で設定される。すなわち、予定区域60の外周部分(辺91〜94)のうち、予定区域70及び予定区域80と接しない辺91,92には配置場所を必ず設定することが好ましい。配置場所61,62は、この点を考慮して辺91及び辺92にそれぞれ設定されている。なお、予定区域60の辺91及び辺92には、余掘り区域33が設定されている。余掘り区域33は、作業性などを考慮して規定寸法以上に地盤が掘削される領域である。品質確認用器具10が予定区域60の中央寄りに配置されると、後述の混合土13(図11参照)の転圧不足が生じるおそれがある。このため、配置場所61,62は、余掘り区域33内に設定されている。
【0057】
また、図4に示されるように、予定区域60から除去された土11が仮置きされる仮置き場35(図7参照)の近くを避ける等、作業性を考慮して、予定区域60の外周部分の他の辺93,94にも配置場所63,64がそれぞれ設定される。ただし、配置場所63及び配置場所64は、予定区域70及び予定区域80と隣接しているため、予定区域70と予定区域80を施工する際に設定されてもよい。すなわち、本実施形態においては予定区域60に対して4つの配置場所61〜64が設定されているが、配置場所61,62のみが設定されてもよい。なお、本実施形態においては、配置場所61〜64が各辺91〜94の中央部分にそれぞれ設定されているが、配置場所61〜64の位置はこれに限定されるものではない。すなわち、予定区域60の隅部付近でなければ、配置場所61〜64の位置が各辺91〜94に沿って変更されてもよい。また、配置場所61〜64に加えて別の配置場所がさらに設定されてもよい。
【0058】
図5は、品質確認用器具10が配置された配置場所61を示す平面図である。
【0059】
図5(A)に示されるように、器具本体20の奥行き(図5における左右方向の長さ)を超える幅を有する余掘り区域33が設定されている場合、配置場所61は、当該余掘り区域33内に設定される。この場合、品質確認用器具10は、図5(A)中の2点鎖線で示される改良範囲ラインの外側に配置されることとなる(図4参照)。図5(B)に示されるように、器具本体20の奥行き未満の幅を有する余掘り区域33が設定されている場合、余掘り区域33の外側の地盤を掘削し、余掘り区域33を拡張して配置場所61を設定する(図5(B)参照)。これにより、混合土13の転圧時に品質確認用器具10が障害となり、混合土13の転圧不足が生じることを防止できる。なお、配置場所62についても同様に設定されている。
【0060】
図6は、予定区域60から土11が除去される様子を示す模式図である。
【0061】
配置場所61〜64を設定した後に、図6に示されるように、予定区域60から土11を除去する。具体的には、バックホー45を使用して予定区域60の地盤を掘削し、土11を予定区域60から仮置き場35へ搬出する。ここで掘削される予定区域60の地盤の深さは、予定区域60に形成される改良地盤17の厚さと略同じに設定されている。本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度の深さまで掘削される。なお、バックホー45は、バケットが手前向きに取り付けられた油圧ショベルである。仮置き場35は、予定区域60から搬出された土11を仮置きしておく場所である。このように、改良地盤17が形成される予定区域60から土11が除去される。この工程が本発明の第1工程に相当する。
【0062】
この第1工程は、地表面より低い場所から土11を除去する作業であるためバックホー45を使用して行われるが、例えばスコップを用いた手作業により行われてもよい。なお、土11は後の作業で予定区域60へ埋め戻されるので、予定区域60の全ての土11が除去されなくてもよい。ただし、配置場所61〜64には品質確認用器具10が配置されるので、少なくとも配置場所61〜64における土11は除去する必要がある。
【0063】
次に、品質確認用器具10を予定区域60に配置する。すなわち、品質確認用器具10を配置場所61〜64にそれぞれ配置する。図7は、品質確認用器具10が配置された予定区域60を模式的に示す斜視図である。図7に示されるように、器具本体20の軸方向が略鉛直となるように、品質確認用器具10を予め設定された配置場所61〜64に配置する。なお、上述のように、配置場所61,62は余掘り区域33内に設定されている(図4参照)。したがって、ここでは2つの品質確認用器具10が余掘り区域33に配置される。品質確認用器具10を配置する際には、開口21が予定区域60の中心側へ向くように品質確認用器具10を配置する。この工程が本発明の第2工程に相当する。なお、品質確認用器具10は、以下の要領で配置される。
【0064】
図8は、角材15を用いて品質確認用器具10が配置される様子を示す斜視図である。図9は、予定区域60の掘削断面68が傾斜している場合の品質確認用器具10の配置について説明するための模式図である。
【0065】
図1に示されるように、品質確認用器具10は、器具本体20の下方へ向けて突出するボルト25を有している。品質確認用器具10は、このボルト25のネジ部を地盤に貫入させることにより予定区域60に配置される。具体的には、図8に示されるように、器具本体20が略鉛直となるように品質確認用器具10を支持し、角材15でボルト25を地盤に打ち付ける。ボルト25が土留め部材30から突出するように設けられているので、ボルト25が地盤に貫入するとともに土留め部材30の下面により予定区域60の地盤が突き固められる。その結果、品質確認用器具10は、器具本体20が自立した姿勢に支持される。図8に示されるように、予定区域60の掘削断面68が略垂直に形成されている場合、器具本体20の背面部47を掘削断面68に当接させることで、品質確認用器具10が略鉛直に自立した姿勢で安定的に支持される。なお、予定区域60の地盤の掘削にはバックホー45が使用されるので、図6に示されるように、予定区域60の掘削断面68が傾斜することがある。このような箇所に品質確認用器具10を配置する場合、図9に示されるように、器具本体20の背面部47と掘削断面68との間に土11又は混合土13を詰め、器具本体20が略鉛直となるように品質確認用器具10を予定区域60に配置する。
【0066】
図10は、混合土13が予定区域60に埋め戻される様子を示す模式図である。図11は、改良層51が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【0067】
第2工程に続いて、混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する。混合土13は、土11及び固化材12が混合攪拌されてなるものである。固化材12としては、例えばセメントが使用される。図10に示されるように、仮置き場35に仮置きされた土11、及び固化材12をバックホー45を用いて予定区域60へ搬入する。なお、本実施形態においては、予定区域60の地盤が100cm程度の深さまで掘削されている。このように掘削された予定区域60に固化材12及び仮置き場35の土11が一度に搬入されると、土11及び固化材12の混合攪拌が不十分になったり、後の工程で混合土13の転圧不足が起こるおそれがある。このため、混合土13を予定区域60へ埋め戻す作業は、本実施形態においては4回にわけて行われる。したがって、ここでは
予定区域60の容積に対して1/4程度の土11が仮置き場35から予定区域60へ搬入される。そして、土11及び固化材12を予定区域60で混合攪拌する。この一連の作業により、混合土13を予定区域60へ埋め戻す。そして、埋め戻された混合土13を振動ローラやランマにより転圧する。図11に示されるように、予定区域60の全域に混合土13がゆきわたり、混合土13が平らになる。予定区域60の外周部分(本実施形態においては配置場所61〜64)に配置された品質確認用器具10は、器具本体20の開口21が予定区域60の中心側へ向けられている。このため、開口21から器具本体20の内空へ混合土13が容易に進入する。なお、器具本体20の内部が混合土13で満たされるように、予定区域60の混合土13を器具本体20の内空へ積極的に入れるようにしてもよい。この工程が、本発明の第3工程に相当する。
【0068】
図12は、改良地盤17が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。図13は、混合土13が収容された品質確認用器具10を示す縦断面図である。図14は、器具本体20に混合土13が収容された品質確認用器具10の平面図である。
【0069】
本実施形態における第3工程では、混合土13を予定区域60へ埋め戻すとともに器具本体20の内空へ収容する作業が4回繰り返される。これにより、図12及び図13に示されるように、予定区域60において改良層51,53,55,57からなる空隙のない平坦な改良地盤17が形成される。混合土13を収容する器具本体20には、鉄筋28,29が設けられている。鉄筋28,29が器具本体20の軸方向に所定の間隔で列設されているので、本実施形態のように混合土13を複数の層に分けて埋め戻す場合に、鉄筋28,29を目盛り代わりとして利用することができる。そのため、改良層51,53,55,57の層厚を均一にすることが容易になる。また、図14に示されるように、器具本体20の内空へ進入した混合土13は、鉄筋28,29の周縁を巻き込むようにして固化する。このため、鉄筋28,29を有しない場合に比べて、器具本体20の内空に収容された混合土13が開口21から零れにくくなる。
【0070】
第3工程が完了した後、地中の水が浸入して混合土13が固化するように混合土13を養生させる。その後、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く。図15は、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く様子を示す斜視図である。土留め部材30から器具本体20の上端までの軸方向の長さが予定区域60の深さよりも長いので、図15に示されるように、孔23,24が地表から露出する。品質確認用器具10の孔23,24に棒40を挿通させ、棒40の両端に紐42を引っ掛ける。紐42は、バックホー45のバケットに引っ掛けられており、バックホー45により吊り上げられる。このように、棒40を上方へ引き上げることにより品質確認用器具10を予定区域60から引き抜く。品質確認用器具10には土留め部材30が設けられているので、器具本体20の内空から混合土13が抜け落ちることなく品質確認用器具10が引き抜かれる。
【0071】
図16は、混合土13が収容された品質確認用器具10の正面図である。
【0072】
図16に示されるように、予定区域60から引き抜かれた品質確認用器具10を用いて混合土13の混ざり具合を確認する。具体的には、予定区域60から引き抜かれた品質確認用器具10を開口21が上向きとなるように略水平な場所に配置する。そして、スタッフ37の下端と土留め部材30の上面とが横方向に並ぶようにスタッフ37を品質確認用器具10の横に並べる。器具本体20に収容された混合土13の高さをスタッフ37で測定することにより、予定区域に形成された改良地盤17の厚さを容易に確認することができる。なお、本実施形態においては、4本の品質確認用器具10が使用されている。このため、4本の品質確認用器具10を並べることにより、改良地盤17の厚さが均等であるか否かを簡単に確認することができる。
【0073】
また、この確認作業には、スタッフ37に加えてフェノールフタレイン溶液38(本発明の指示薬の一例)が使用される。フェノールフタレイン溶液38は、フェノールフタレインをエタノールに溶かして水で希釈したものである。フェノールフタレインは、酸と塩基を区別するPH指示薬である。フェノールフタレイン溶液38は、酸性では無色であり、アルカリ性で赤紫色を呈する。このフェノールフタレイン溶液38を器具本体20に収容された混合土13に付着させて混合土13の混ざり具合を目視により確認する。具体的には、霧吹き43を使用してフェノールフタレイン溶液38を器具本体20に収容された混合土13に噴霧する。本実施形態においては固化材12にセメントが使用されているので、フェノールフタレイン溶液38は、固化材12に付着することで赤紫色を呈する。このように、フェノールフタレイン溶液38は、固化材12を着色する。土11及び固化材12の混合が十分である場合、器具本体20に収容され開口21から露出している混合土13が全体的に均一な赤紫色を呈する。逆に、土11及び固化材12の混合が不十分である場合、混合土13に赤紫色を呈する部分と土色を呈する部分とが混在する。器具本体20に収容された混合土13にフェノールフタレイン溶液38を付着させることにより、混合土13の混ざり具合を簡単且つ正確に把握することができる。このように、スタッフ27及びフェノールフタレイン溶液38を用いて混合土13の混ざり具合を確認する作業が本発明の第4工程に相当する。
【0074】
以上説明したように、混合土13が収容された品質確認用器具10を引き抜くことにより、土11と固化材12との混ざり具合を表層地盤改良の施工現場において正確且つ簡単に確認することができる。これにより、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを簡単に確認することができる。また、品質確認用器具10が簡易な構成のものであるため、表層地盤改良による混合攪拌の不良箇所があるか否かを低コストで確認することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の形態であってもよい。
【0076】
本実施形態においては、品質確認用器具10が余掘り区域33に配置される形態について説明したが、品質確認用器具10の配置場所はこれに限定されるものではない。すなわち、品質確認用器具10は、余掘り区域33の内側に配置されたり、或いは余掘り区域33が設定されることなく予定区域60に配置されてもよい。ただし、これらの場合、品質確認用器具10が障害となって改良地盤17の転圧不足を引き起こすおそれがあるので、品質確認用器具10は、余掘り区域33に配置されることが好ましい。
【0077】
また、本実施形態においては、品質確認用器具10がボルト25を有している場合について説明したが、品質確認用器具10を倒れることなく配置することができれば、品質確認用器具10は必ずしもボルト25を有していなくてもよい。図17は、他の実施形態に係る品質確認用器具90を示す斜視図である。図17に示されるように、品質確認用器具90は、ボルト25及びナット26を有していない点、及び土留め部材30が器具本体20の下端付近よりも上方寄りに固定されている点を除いて品質確認用器具10(図8参照)と同様のものである。品質確認用器具90を配置する場合、器具本体20における土留め部材30よりも下方へ突出した部分41を本発明の突片として地盤に貫入させる。これにより、品質確認用器具90を自立姿勢で安定的に配置することができる。品質確認用器具90では、品質確認用器具10のように土留め部材30にボルト挿通孔を形成してボルト25を固定する必要がないので、品質確認用器具10に比べて構成を簡略化することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、土11及び固化材12を予定区域60で混合攪拌することにより混合土13を予定区域60へ埋め戻す形態について説明したが混合土13の埋め戻しはこれに限定されるものではない。すなわち、予定区域60の外で土11及び固化材12を混合攪拌し、これにより得られた混合土13を予定区域60へ埋め戻すようにしてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、第3工程において予定区域60へ埋め戻された混合土13が転圧される形態について説明したが、混合土13は必ずしも転圧される必要はない。ただし、混合土13を転圧した場合、厚さが均一で且つ強固な改良地盤17が形成されるため、混合土13を転圧することが好ましい。
【0080】
また、本実施形態では、第4工程において混合土13を固化させた後に品質確認用器具10を引き抜く形態について説明したが、混合土13の固化前に品質確認用器具10を引き抜いてもよい。ただし、この場合には品質確認用器具10を引き抜く際に混合土13が崩れて器具本体20から混合土13が簡単に零れてしまうおそれがある。このため、混合土13が固化した後に品質確認用器具10が引き抜かれることが好ましい。
【0081】
また、本実施形態においては、器具本体20の水平断面が略C字形状である形態について説明したが、器具本体20の水平断面の形状はこれに限定されるものではない。すなわち、器具本体20は、略円管形状のものや水平断面が略コ字形のものであってもよい。ただし、水平断面が略C字形となるように器具本体20を構成することにより、混合土13が包み込まれるように器具本体20に保持されて混合土13が零れにくいという利点がある。このため、器具本体20は、水平断面が略C字形のものであることが好ましい。
【0082】
また、本実施形態においては、器具本体20の側面22に孔23,24が形成されている形態について説明したが、孔23,24を形成する代わりに、例えば器具本体20に紐やフック等を取り付けるための部材が器具本体20に固定されていてもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、内面27に鉄筋28,29が所定の間隔で列設されている形態について説明したが、鉄筋28,29は、目印として利用されるものでなければ必ずしも所定の間隔で列設される必要はなく、1又は3つ以上の鉄筋が配置されてもよい。また、本発明の突部は、鉄筋28,29に限定されるものではなく、例えばボルトであってもよい。このボルトを器具本体20に固定する場合、例えば背面部47(図1参照)の厚み方向(図2の紙面に垂直方向)にボルト挿通孔を形成し、器具本体20の外側から内側へボルトを挿通させて器具本体20の内側においてナットと螺合させる。このボルトは、鉄筋28,29に比べて器具本体20の内側へより突出するので、器具本体20から混合土13が零れることが効果的に防止される。なお、ボルト挿通孔の位置を調整することで、ボルトを目印としても使用できる。このボルト挿通孔は、側面部48や前面部49に形成されてもよい。また、混合土13が器具本体20から容易に零れることがなければ本発明の突部を設けなくてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、本発明の混合土が固化材12及び予定区域60の土11からなる混合土13である形態について説明したが、本発明の混合土はこれに限定されるものではない。本発明の混合土は、例えば以下のようなものであってもよい。すなわち、本発明の混合土は、土11、固化材12、及び混和材料が混合攪拌されてなるものでもよい。また、本発明の混合土を構成する土には、予定区域60から除去された土11以外の土が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る品質確認用器具10の斜視図である。
【図2】図2は、図1における矢視IIから見た品質確認用器具10の正面図である。
【図3】図3は、図1における矢視IIIから見た品質確認用器具10の平面図である。
【図4】図4は、予定区域60,70,80を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、品質確認用器具10が配置された配置場所61を示す平面図である。
【図6】図6は、予定区域60から土11が除去される様子を示す模式図である。
【図7】図7は、品質確認用器具10が配置された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図8】図8は、角材15を用いて品質確認用器具10が配置される様子を示す斜視図である。
【図9】図9は、予定区域60の掘削断面68が傾斜している場合の品質確認用器具10の配置について説明するための模式図である。
【図10】図10は、混合土13が予定区域60に埋め戻される様子を示す模式図である。
【図11】図11は、改良層51が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12は、改良地盤17が形成された予定区域60を模式的に示す斜視図である。
【図13】図13は、混合土13が収容された品質確認用器具10を示す縦断面図である。
【図14】図14は、器具本体20に混合土13が収容された品質確認用器具10の平面図である。
【図15】図15は、予定区域60から品質確認用器具10を引き抜く様子を示す斜視図である。
【図16】図16は、混合土13が収容された品質確認用器具10の正面図である。
【図17】図17は、他の実施形態に係る品質確認用器具10を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10,90・・・品質確認用器具
11・・・土
12・・・固化材
13・・・混合土
17・・・改良地盤
20・・・器具本体
21・・・開口
22・・・側面
23,24・・・孔
25・・・ボルト(本発明の突片の一例)
27・・・内面
28,29・・・鉄筋(本発明の突部の一例)
30・・・土留め部材
33・・・余掘り区域
38・・・フェノールフタレイン溶液(本発明の指示薬の一例)
40・・・棒(本発明の棒状部材に相当)
60,70,80・・・予定区域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良地盤が形成される予定区域から土を除去する第1工程と、
軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体、及び上記器具本体に収容された土の抜け落ちを防止する土留め部材を具備してなる品質確認用器具を、上記器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ上記開口が上記予定区域の中心側へ向くように当該予定区域に配置する第2工程と、
少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土を、上記予定区域へ埋め戻すとともに上記器具本体の内空へ収容する第3工程と、
上記品質確認用器具を引き抜いて上記混合土の混ざり具合を確認する第4工程と、を含んでなる改良地盤の品質確認方法。
【請求項2】
上記第2工程において、上記品質確認用器具を余掘り区域に配置する請求項1に記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項3】
上記品質確認用器具が上記器具本体の下方へ向けて突出する突片を有し、
上記第2工程において、上記突片を地盤に貫入させて上記品質確認用器具を配置する請求項1又は2に記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項4】
上記第3工程において、少なくとも土及び固化材を上記予定区域で混合攪拌することにより上記混合土を埋め戻す請求項1から3のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項5】
上記第3工程において、上記埋め戻された混合土を転圧する請求項1から4のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項6】
上記第4工程において、上記混合土を固化させた後に上記品質確認用器具を引き抜く請求項1から5のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項7】
上記器具本体には、側面に孔が形成されており、
上記第4工程において、上記孔に挿通された棒状部材を上方へ引き上げることにより上記品質確認用器具を引き抜く請求項1から6のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項8】
上記第4工程において、上記固化材を着色する指示薬を上記器具本体に収容された混合土に付着させて当該混合土の混ざり具合を目視により確認する請求項1から7のいずれかに記載の品質確認方法。
【請求項9】
少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化して形成される改良地盤の品質確認用器具であって、
上記混合土が内部へ進入するように軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体と、
上記器具本体に収容された混合土の抜け落ちを防止する土留め部材と、を具備してなる品質確認用器具。
【請求項10】
地盤へ貫入可能な突片が設けられている請求項9に記載の品質確認用器具。
【請求項11】
上記器具本体は、軸方向と直交する方向の断面が略C字形状のものである請求項9又は10に記載の品質確認用器具。
【請求項12】
上記土留め部材から上記器具本体の上端までの軸方向の長さが上記改良地盤が形成される予定区域の深さよりも長い請求項9から11のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項13】
上記器具本体の側面に孔が形成されている請求項9から12のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項14】
上記器具本体の内面に当該器具本体の内側へ突出する突部が設けられている請求項9から13のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項15】
複数の上記突部が軸方向に所定の間隔で列設されている請求項14に記載の品質確認用器具。
【請求項1】
改良地盤が形成される予定区域から土を除去する第1工程と、
軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体、及び上記器具本体に収容された土の抜け落ちを防止する土留め部材を具備してなる品質確認用器具を、上記器具本体の軸方向が略鉛直となり且つ上記開口が上記予定区域の中心側へ向くように当該予定区域に配置する第2工程と、
少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土を、上記予定区域へ埋め戻すとともに上記器具本体の内空へ収容する第3工程と、
上記品質確認用器具を引き抜いて上記混合土の混ざり具合を確認する第4工程と、を含んでなる改良地盤の品質確認方法。
【請求項2】
上記第2工程において、上記品質確認用器具を余掘り区域に配置する請求項1に記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項3】
上記品質確認用器具が上記器具本体の下方へ向けて突出する突片を有し、
上記第2工程において、上記突片を地盤に貫入させて上記品質確認用器具を配置する請求項1又は2に記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項4】
上記第3工程において、少なくとも土及び固化材を上記予定区域で混合攪拌することにより上記混合土を埋め戻す請求項1から3のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項5】
上記第3工程において、上記埋め戻された混合土を転圧する請求項1から4のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項6】
上記第4工程において、上記混合土を固化させた後に上記品質確認用器具を引き抜く請求項1から5のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項7】
上記器具本体には、側面に孔が形成されており、
上記第4工程において、上記孔に挿通された棒状部材を上方へ引き上げることにより上記品質確認用器具を引き抜く請求項1から6のいずれかに記載の改良地盤の品質確認方法。
【請求項8】
上記第4工程において、上記固化材を着色する指示薬を上記器具本体に収容された混合土に付着させて当該混合土の混ざり具合を目視により確認する請求項1から7のいずれかに記載の品質確認方法。
【請求項9】
少なくとも土及び固化材が混合攪拌されてなる混合土が固化して形成される改良地盤の品質確認用器具であって、
上記混合土が内部へ進入するように軸方向へ延びる開口が側面に形成された略管状の器具本体と、
上記器具本体に収容された混合土の抜け落ちを防止する土留め部材と、を具備してなる品質確認用器具。
【請求項10】
地盤へ貫入可能な突片が設けられている請求項9に記載の品質確認用器具。
【請求項11】
上記器具本体は、軸方向と直交する方向の断面が略C字形状のものである請求項9又は10に記載の品質確認用器具。
【請求項12】
上記土留め部材から上記器具本体の上端までの軸方向の長さが上記改良地盤が形成される予定区域の深さよりも長い請求項9から11のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項13】
上記器具本体の側面に孔が形成されている請求項9から12のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項14】
上記器具本体の内面に当該器具本体の内側へ突出する突部が設けられている請求項9から13のいずれかに記載の品質確認用器具。
【請求項15】
複数の上記突部が軸方向に所定の間隔で列設されている請求項14に記載の品質確認用器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−115617(P2008−115617A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300418(P2006−300418)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(305044235)株式会社WASC基礎地盤研究所 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(305044235)株式会社WASC基礎地盤研究所 (9)
【Fターム(参考)】
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