説明

改装ドア

【課題】 内開きの既設ドアを外開きの防音断熱ドアを備えた外開きのドアに改装する。
【解決手段】 内開きの既設ドア本体を撤去した既設ドア枠1をそのまま用いて、その室外側開口12に新設ドア本体2をヒンジ3によって配置し且つ新設ドア本体2の室外側3辺の気密材4を既設ドア枠1の各室外側見付面17に、室内側1辺の気密材4を戸当見付面15に対接して、既設ドア枠1と新設ドア本体2の気密性を確保する。戸先側の縦枠1dには、新設ドア本体2のプッシュプル錠5の錠受金具51を配置して施錠を行う一方、既設ドア枠1の上枠1a及び吊元側の縦枠1cの室内側見込面13に化粧部材7を配置して段部を埋めて外観を良好にし、また、吊元側の縦枠1cの化粧部材7は、新設ドア本体2のドアガード6の受金具61を設置するベースとして用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改装ドアに関し、特に、内開きを外開きに改装した改装ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の改装ドアとして、室外側見込面により区画形成した室外側開口を広開口面積とし、戸当見付面を介して室内側に配置した室外側見込面により区画形成した室内側開口を狭開口面積とした既設ドア枠を残存使用して、該既設ドア枠の上記広開口面積の室外側開口に外開き開閉自在に配置した、鋼製プレスドアの如き既設ドア本体を撤去し、該既設ドア本体に代えて既設ドア枠の上記室外側開口に、防音断熱ドアの如き新設ドア本体を外開き開閉自在に配置した改装ドアが知られており、このとき新設ドア本体の室内側見付面に上記既設ドア枠の戸当見付面にそれぞれ対接自在の気密材を囲繞状に配置したものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、既設ドア枠を撤去する斫り工法のように、工事に伴う塵埃や騒音がなく、居住者が居住したまま極く短時間で、防音断熱性能を有する新設ドア本体を用いたドア改装を行うことができるし、既設ドア枠の内側に新設ドア枠を配置するカバー工法のように開口の狭小化を伴うこともなく、既設ドア枠の開口面積をそのまま維持して上記ドア改装を行うことができるというメリットがある。
【0005】
しかし乍ら、一部に、ドアを内開きとして設置した集合住宅があり、この場合、該内開きのままでドア改装を行うとき、上記特許文献1に準じた形態の改装ドアとすれば足りるが、該内開きのドアを外開きのドアに改装することが想定されるところ、この改装ドアにあっては、上記特許文献1に準じたものとすることはできない。
【0006】
即ち、内開きのドアは、室外側からのドア本体のこじ開け、室外側からの侵入犯に対するドア本体の押圧閉成等、防犯上の有利さがあるが、その開閉を室内側に向けて行うために靴脱ぎの玄関スペースを広く必要とする点で不利となる。従って、集合住宅では、玄関前の共用スペースに向けて開閉を行う外開きのドアとするのが一般であるが、既存ドアが内開きの場合、既設ドア枠は、外開きのドアと逆に、室内側開口を広開口面積とし、戸当見付面を介した室外側開口を狭開口面積として設置されることが多く、このため室内側開口に新設ドア本体を配置すると開閉不能となるから、室外側開口に新設ドア本体を配置する必要がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、内開きのドアを外開きのドアに改装した改装ドアを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に沿って本発明は、上記既設ドア枠をそのまま用いてその狭開口面積の室外側開口に新設ドア本体を外開き開閉自在に配置することによってドア改装を行うようにするとともに該新設ドア本体に、その上下及び戸先において、既設ドア枠の室外側見付面に回動対接し、吊元において室内外開口間の室内側に向いた戸当見付面に回動対接するように気密材を配置して、改装ドアの気密性を確保するようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、室内側見込面により区画形成した室内側開口を広開口面積とし、戸当見付面を介して室外側に配置した室外側見込面により区画形成した室外側開口を狭開口面積とした既設ドア枠を残存使用して、該既設ドア枠の上記広開口面積の室内側開口に内開き開閉自在に配置した既設ドア本体を撤去し、該既設ドア本体に代えて既設ドア枠の上記狭開口面積の室外側開口に新設ドア本体を外開き開閉自在に配置した改装ドアであって、該新設ドア本体の上下及び戸先における既設ドア枠の室外側見付面に、該新設ドア本体の吊元において上記既設ドア枠の戸当見付面にそれぞれ回動対接自在の気密材を配置してなることを特徴とする改装ドアとしたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、気密材を受枠を用いて配置することによって可及的に良好な外観を確保し且つ気密材の保持を確実になしうるものとするように、これを、上記気密材を、新設ドア本体の見付面から面外方向に張出状に配置した受枠の背面に上記既設ドア枠の室外側見付面又は戸当見付面に向けて突出配置してなることを特徴とする請求項1に記載の改装ドアとしたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記受枠を用いるに際して、該受枠の固定をネジによって可及的簡易且つ確実に行うとともに該ネジの新設ドア本体見付面への露出を防止し可及的良好な外観を確保したものとするように、これを、上記受枠の一部又は全部を、新設ドア本体の見込面にネジ固定して、新設ドア本体の見付面から面外方向に張出状に配置してなることを特徴とする請求項2に記載の改装ドアとしたものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドア本体の戸先側の室外側見込面に新設ドア本体に設置した錠の錠受金具用の透孔を現場加工して、該新設ドア本体を既設ドア枠との間で施錠自在とするように、これを、既設ドア枠の新設ドア本体戸先側に位置する室外側見込面に現場加工の透孔を透設し、該透孔に新設ドア本体設置の錠の錠受金具を設置してなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の改装ドアとしたものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元における気密材を、既設ドア枠の上記戸当見付面に設置して新設ドア本体の見込面に定位置対接するようにして、上記上下及び戸先の回動対接する気密材とともに改装ドアの気密性を確保したものとするように、これを、上記新設ドア本体の吊元に配置して既設ドア枠の戸当見付面に対接自在の気密材に代えて、戸当見付面に配置して新設ドア本体の見込面に対接自在の気密材を用いてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の改装ドアとしたものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、既設ドア枠の室外側開口に新設ドア本体を配置することにより、該新設ドア本体の室内側に既設ドア枠の室外側見込面と室内側見込面による段差が露出して改装ドアの室内外観を損なうに至るのを可及的に防止し改善したものとするように、これを、上記既設ドア枠の一部又は全部の室内側見込面に、戸当見付面の幅に応じた化粧部材を配置し、室内側見込面と室外側見込面の段差を解消又は縮小してなることを特徴とする請求項5に記載の改装ドアとしたものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、該化粧部材をドアガード又はドアチェーンの受金具設置ベースとして使用することによって新設ドア本体の防犯性を向上して使い勝手を良好とするように、これを、上記化粧部材を、新設ドア本体の戸先においてドアガード又はドアチェーンの受金具設置ベースとしてなることを特徴とする請求項6に記載の改装ドアとしたものである。
【0015】
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、上記既設ドア枠をそのまま用いてその狭開口面積の室外側開口に新設ドア本体を外開き開閉自在に配置することによってドア改装を行うようにするとともに該新設ドア本体に、その上下及び戸先において、既設ドア枠の室外側見付面に回動対接し、吊元において室内外開口間の室内側に向いた戸当見付面に回動対接するように気密材を配置して、改装ドアの気密性を確保するようにすることによって、内開きのドアを外開きのドアに改装した改装ドアを提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、気密材を受枠を用いて配置することによって可及的に良好な外観を確保し且つ気密材の保持を確実になしうるものとすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記受枠を用いるに際して、該受枠の固定をネジによって可及的簡易且つ確実に行うとともに該ネジの新設ドア本体見付面への露出を防止し可及的良好な外観を確保したものとすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドア本体の戸先側の室外側見込面に新設ドア本体に設置した錠の錠受金具用の透孔を現場加工して、該新設ドア本体を既設ドア枠との間で施錠自在とすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元における気密材を、既設ドア枠の上記戸当見付面に設置して新設ドア本体の見込面に定位置対接するようにして、上記上下及び戸先の回動対接する気密材とともに改装ドアの気密性を確保したものとすることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、既設ドア枠の室外側開口に新設ドア本体を配置することにより、該新設ドア本体の室内側に既設ドア枠の室外側見込面と室内側見込面による段差が露出して改装ドアの室内外観を損なうに至るのを可及的に防止し改善したものとすることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、該化粧部材をドアガード又はドアチェーンの受金具設置ベースとして使用することによって新設ドア本体の防犯性を向上して使い勝手を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】改装ドアの縦断面図である。
【図2】改装ドアの横断面図である。
【図3】改装ドアの錠位置の横断面図である。
【図4】既設ドア枠の断面図である。
【図5】他の例にかかる改装ドアの縦断面図である。
【図6】図5の改装ドアの横断面図である。
【図7】他の例にかかる改装ドアの縦断面図である。
【図8】図7の改装ドアの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図4においてAは改装ドアであり、該改装ドアAは、室内側見込面14により区画形成した室内側開口11を広開口面積とし、戸当見付面15を介して室外側に配置した室外側見込面13により区画形成した室外側開口12を狭開口面積とした既設ドア枠1を残存使用して、該既設ドア枠1の上記広開口面積の室内側開口11に内開き開閉自在に配置した既設ドア本体(図示省略)を撤去し、該既設ドア本体に代えて既設ドア枠1の上記狭開口面積の室外側開口12に新設ドア本体2を外開き開閉自在に配置したものとしてあり、このとき、該新設ドア本体2の上下及び戸先における既設ドア枠1の室外側見付面12に、該新設ドア本体2の吊元において上記既設ドア枠1の戸当見付面15にそれぞれ回動対接自在の気密材4を配置したものとしてある。
【0025】
既設ドア枠1は、鋼製の上枠1a、下枠1b、吊元及び戸先の縦枠1c、1dを、長手方向両端を溶着によって枠組みして矩形の開口を形成したものとしてあり、このとき、該既設ドア枠1の上枠1a、下枠1b、縦枠1c、1dは、同一断面形状にして、それぞれ室内側見込面13、室外側見込面14、これらの間の戸当見付面15を断面S字状に備えるとともにその室内外にそれぞれ室内外に向けた室内側見付面16、室外側見付面17を、その面外方向端部を対向方向に折曲したアンカー固定片を所定間隔に配置したアンカー(図示省略)によってコンクリート躯体、特にその鉄筋(いずれも図示省略)に固定してあり、このとき室内側見込面13と室外側見込面14は、戸当見付面15を室内側に面するように該室内側に向けて配置することによって、室内側見込面13を面外側に、室外側見込面14を面内側に配置してあり、これにより該室内側見込面13によって区画形成した室内側開口11を広面積開口とし、室外側見込面14によって区画形成した室外側開口12を狭開口面積としてあり、本例にあって上記室内側開口11と室外側開口12は、それぞれ、上記戸当見付面15の幅の1.5cmの2倍、即ち3cm程度の縦横長さによる比較的小さな広狭面積差としてある。
【0026】
このように構成された既設ドア枠1には、その上記広開口面積の室内側開口11に収容するように既設ドア本体を配置し、吊元側のヒンジ(図示省略)によって吊支持することによって、該既設ドア本体を室内側に向けて開閉自在とした内開きのものとしてある。
【0027】
改装ドアAは、既設ドア本体を撤去した該既設ドア枠1を、例えば必要に応じて塗装等の補修を施すことがあるも、可及的にそのまま用いて、上記既設ドア本体に代えて、新設ドア本体2を、上記狭開口面積の室外側開口12に収容するように、該既設ドア枠1に配置し、新設用のヒンジ3、例えば耐震丁番を用いて吊支持することによって、該新設ドア本体2を室外側、即ち集合住宅における玄関前共用スペースに向けて開閉自在とした外開きのものとしてある。
【0028】
新設ドア本体2は、骨材21の両面に表裏のドア表面板22を配置するとともに表面板22間に防音断熱材23、例えばハニカム材を介装設置したものとした鋼製の防音断熱ドアとしてあり、このとき該新設ドア本体2は、室外側において上下及び戸先の外周3辺に、室内側において吊元の外周1辺にそれぞれ気密材4を配置し、該新設ドア本体2の閉成回動によって各気密材4を既設ドア枠1の3辺の各室外側見付面17と1辺の戸当見付面15に対して対接することによって、改装ドアAとしての気密性を確保するものとしてある。
【0029】
本例にあって上記気密材4は、これを、新設ドア本体2の見付面から面外方向に張出状に配置した受枠41の背面に上記既設ドア枠1の室外側見付面17又は戸当見付面15に向けて突出配置してあり、また、既設ドア枠1の新設ドア本体2戸先側に位置する室外側見込面14に現場加工の透孔を透設し、該透孔に新設ドア本体2設置の錠5の錠受金具51を設置したものとしてある。
【0030】
即ち、本例の受枠41は、固定片と、該固定片から垂直に起立した起立片と、該起立片から面外方向に突出した気密材受片を備えて断面S字状に形成し、固定片を新設ドア本体の上記室外側外周3辺及び室内側外周1辺に、ネジ止め、接着等、本例にあっては、新設ドア本体の骨材に対してネジ8止めし、起立片を介して気密材受片を室外側に持ち出し状にして上記既設ドア枠の室外側見付面又は戸当見付面に対面し、その背面に長手方向全長に配置した気密材4を上記回動対接自在としてある。受枠41は、アルミ、合成樹脂等の気密材の受溝を有する押出成形材によって形成することができるが、図示したものは、例えば鋼板を加工した構成のものとしたことによって、気密材4の受溝を有する押出成形の支持材42を、該受枠41の気密材受片の背面に、例えば正面からネジ止め、接着、本例にあってはネジ8止めし、該支持材42を介して気密材4を受枠41に設置したものとしてある。
【0031】
従って、新設ドア本体2は、これに設置した気密材4が、その外開きの開閉を阻害することなく、新設ドア本体2の閉成によって、既設ドア枠1との間で有効且つ確実に気密性を確保したものとすることができる。
【0032】
このとき、既設ドア枠1の上枠1aにあって、該上枠1aの室外側見付面17に対接する気密材4は、受材41、本例にあっては上記押出成形の支持材42の端部に該室外側見付面17側に上向き傾斜の傾斜突条43を配置して、気密材3配置による受材41と該室外側見付面17間の空隙を被覆することによって雨水の浸入を防止してある。図中44は、該室外側見付面17の気密材4の上位に、固定片をネジ、接着、本例にあってはネジ8で固定して配置し、該気密材4から連結片を介して室外側に突出した垂下片によって、上記気密材4をその長手方向上位でカバーすることによって、上記傾斜突条43とともに気密材4に雨水が掛ったり、該雨水が浸入するのを防止した水切部材であり、該水切部材44を配置することによって室外に直接面するように新設ドア本体2を配置した改装ドアAにあって、その雨仕舞措置を施したものとしてある。
【0033】
一方、本例の改装ドアAにあってその既設ドア枠1は、その新設ドア本体2戸先側に位置する室外側見込面14の透孔に上記錠受金具51を設置してあり、これによって新設ドア本体2は該錠受金具51を用いて施錠する錠5を設置してあり、本例にあって該新設ドア本体2における錠5は、これをプッシュプル錠としてある。
【0034】
既設ドア枠1の上記室外側見込面14は、室内側見込面13と比して戸当見付面15の幅分面内方向に変位して配置してあるから、該室外側見込面14の背面側には、モルタルの充填がなされていたとしても、コンクリートの躯体までの距離、即ち呑込み深さを大きく確保することができるから、例えば、ラッチ受といった比較的奥行の小さい金具はもとより、室外側見込面から係止用の鎌を突出して施錠を行う鎌錠におけるボックス状のストライクを受入配置することができ、従って、該ストライクを用いるレバーハンドル錠や上記プッシュプル錠等を含めて各種の錠を設置することが可能となる。
【0035】
また、本例の改装ドアAにあって、同じくその既設ドア枠1の一部又は全部の室内側見込面13、本例にあっては上記新設ドア本体2の吊元と下枠を除く2辺の室内側見込面13に、戸当見付面15の幅に応じた化粧部材7を配置し、室内側見込面13と室外側見込面14の段差を解消又は縮小したものとしてあり、また、このとき本例の化粧部材7は、これを、新設ドア本体2の戸先においてドアガード又はドアチェーン、本例にあってはドアガード6の防犯金具設置ベースとしてある。
【0036】
本例にあって化粧部材7は、断面C字状にして既設ドア枠1の上枠1a及び吊元の縦枠1cと同長の鋼製のものとし、既設ドア枠1における該上枠1a及び吊元の縦枠1cの室外側見込面14を室内側に向けて延長、特に面一に延長するように、室内側見込面13に向けたネジ8によって固定して上記室内側見込面13と室外側見込面14の段差を解消したものとして、改装ドアAとしての室内外観を良好なものとする一方、新設ドア本体2における吊元の気密性を確保し、また下枠1bにあって新設ドア本体2の室内側に床面との段差を形成することによる通過の危険を防止するようにしてある。
【0037】
新設ドア本体2の戸先における上記化粧部材7の防犯金具設置ベースは、本例にあって、新設ドア本体2室内側見付面13の戸先に設置したドアガード6の受金具61の設置ベースとしてあり、該ドアガード6の受金具61は、化粧部材7の見込面においてその取付片を戸先の縦枠1dの室内側見込面に向けたネジ8によって固定し、ドアガード6の本体との係合を可能としてある。
【0038】
図5及び図6は他の例を示したもので、本例にあって、上記受枠41の一部又は全部を、新設ドア本体2の見込面にネジ8固定して、新設ドア本体2の見付面から面外方向に張出状に配置した例を示したもので、本例における上記気密材4を背面に配置した受枠41は、新設ドア本体2の上下及び吊元において、その上記固定片を断面L字状に形成し、該固定片を各新設ドア本体2の端部に宛がって、その室内側に向けた突片を新設ドア本体2の各見込面に対接して、該固定片をネジ、接着、本例にあっては骨材21に向けてネジ8止めして、新設ドア本体2に対する受枠41の固定を行ったものとしてある。
【0039】
本例にあっては該受枠41を、新設ドア本体2の見込面から室外側に突出するように配置することによって、該受枠41の新設ドア本体2への固定部位の露出を防止して、その外観を良好としてあり、上記固定片をネジ8止めした本例にあっては、該固定に用いたネジ8、特にそのネジ頭の見付面への露出を防止したものとしてある。
【0040】
図7及び図8は、更に他の例を示したもので、本例にあって、上記新設ドア本体2の吊元に配置して既設ドア枠1の戸当見付面に対接自在の気密材に代えて、戸当見付面15に配置して新設ドア本体2の見込面に対接自在の気密材4を用いた例を示したもので、本例にあっては新設ドア本体2の吊元に上記気密材4を配置することなく、該吊元の気密性を確保することができる。
【0041】
本例にあって該気密材は断面U字状の受材41に気密材4を配置して、既設ドア枠1の戸当見付面15と室内側見込面13の段部に、受材41の2辺を面接して、該気密材4を定位置で新設ドア本体2、例えば、その見込面室内側端部又はこれと見付面端部に対接自在としてある。このとき、該受材41は、その底壁をネジ、接着、本例にあっては、既設ドア枠1の室内側見込面14に対してネジ8固定することによって、その固定を行ってある。
【0042】
図5及び図6、図7及び図8のその余は前記例と変わらないので、それぞれ同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0043】
改装ドアAは、いずれも既設ドア枠1の室外側開口12に新設ドア本体2を配置し、その外開きの開閉と、既設ドアにおいて欠けていた気密性の確保とを行うことができるが、新設ドア本体2は、その開閉を上記吊元の縦枠1cと新設ドア本体2の吊元端部との間で行うところ、新設ドア本体2の開閉に伴うその戸先室外端と戸先室内端の回動軌跡の差は、該室外側開口12において1〜2mm程度、即ち、新設ドア本体2の厚さを図1乃至図5の改装ドアAのように36mmとしたとき1mm程度、図6及び図7のように40mmとしたとき2mm程度とすることができるから、新設ドア本体2の幅は、余裕を見て既設ドア枠1の室外側開口12の幅に対して数mm程度、例えば4〜5mm程度小さくした可及的に幅広のものとすることができる。該新設ドア本体2の高さは、該新設ドア本体2の開閉に際して既設ドア枠1の上枠1a及び下枠1bにその上下端が接触しないように設定すればよい。
【0044】
図示した例は以上のとおりとしたが、本発明の実施に当って、既設ドア枠、新設ドア本体、気密材、必要に応じて用いる受枠、錠受金具、化粧部材、防犯金具設置ベース等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0045】
A 改装ドア
1 既設ドア枠
1a 上枠
1b 下枠
1c 吊元縦枠
1d 戸先縦枠
11 室内側開口
12 室外側開口
13 室内側見込面
14 室外側見込面
15 戸当見付面
16 室内側見付面
17 室外側見付面
2 新設ドア本体
21 骨材
22 ドア表面板
23 防音断熱材
3 ヒンジ
4 気密材
41 受枠
42 支持材
43 傾斜突条
44 水切部材
5 錠
51 錠受金具
6 ドアガード
61 受金具
7 化粧部材
8 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内側見込面により区画形成した室内側開口を広開口面積とし、戸当見付面を介して室外側に配置した室外側見込面により区画形成した室外側開口を狭開口面積とした既設ドア枠を残存使用して、該既設ドア枠の上記広開口面積の室内側開口に内開き開閉自在に配置した既設ドア本体を撤去し、該既設ドア本体に代えて既設ドア枠の上記狭開口面積の室外側開口に新設ドア本体を外開き開閉自在に配置した改装ドアであって、該新設ドア本体の上下及び戸先における既設ドア枠の室外側見付面に、該新設ドア本体の吊元において上記既設ドア枠の戸当見付面にそれぞれ回動対接自在の気密材を配置してなることを特徴とする改装ドア。
【請求項2】
上記気密材を、新設ドア本体の見付面から面外方向に張出状に配置した受枠の背面に上記既設ドア枠の室外側見付面又は戸当見付面に向けて突出配置してなることを特徴とする請求項1に記載の改装ドア。
【請求項3】
上記受枠の一部又は全部を、新設ドア本体の見込面にネジ固定して、新設ドア本体の見付面から面外方向に張出状に配置してなることを特徴とする請求項2に記載の改装ドア。
【請求項4】
既設ドア枠の新設ドア本体戸先側に位置する室外側見込面に現場加工の透孔を透設し、該透孔に新設ドア本体設置の錠の錠受金具を設置してなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の改装ドア。
【請求項5】
上記新設ドア本体の吊元に配置して既設ドア枠の戸当見付面に対接自在の気密材に代えて、戸当見付面に配置して新設ドア本体の見込面に対接自在の気密材を用いてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の改装ドア。
【請求項6】
上記既設ドア枠の一部又は全部の室内側見込面に、戸当見付面の幅に応じた化粧部材を配置し、室内側見込面と室外側見込面の段差を解消又は縮小してなることを特徴とする請求項5に記載の改装ドア。
【請求項7】
上記化粧部材を、新設ドア本体の戸先においてドアガード又はドアチェーンの受金具設置ベースとしてなることを特徴とする請求項6に記載の改装ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−31673(P2012−31673A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173417(P2010−173417)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(598081045)フジメタル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】