説明

改質顔料を含むインクジェット用インクの組成

【課題】インクジェット用の新しいインク組成のための改質顔料、及び該改質顔料の調整方法を提供する。
【手段】顔料と、化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬(YはH、C1−C12アルキル基、方向族基、ポリマー基、又はa−c(0)-A-NH官能基であり、AはO、HN、又はS)との反応生成物を改質顔料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット用のインク組成に関連し、この組成は顔料と特定の試薬例えばヒドラジン試薬等との反応生成物である改質顔料を含み、また本発明は改質顔料それ自体と顔料の調製方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット用インクの組成は一般に担体として機能するベヒクル、および染料又は顔料等の色素から構成される。インクジェット用インクが所望する全体的な性能特性に達するのを調整する目的で、添加物および/または共溶媒を含めることもできる。
【0003】
一般に、顔料はそれ単独では液体ベヒクルに簡単に溶解しない。インクジェット印刷に使用可能な安定した顔料の拡散を提供できるような各種技術が開発されて来た。例えば、分散剤を顔料に添加して特定ベヒクルにおける分散性を改善することができる。分散剤の例としては、水溶性ポリマーや界面活性剤が挙げられる。代表的には、これらのポリマー分散剤は分子量が20,000以下として溶解性を維持し、これによって顔料の安定を維持するようにする。
【0004】
顔料の表面は各種の異なる官能基を含み、存在する官能基の種類は顔料の特定のクラスによって変化する。材料を移植する、又特に詳しくはポリマーをこれらの顔料の表面に移植するための幾つかの方法が開発されて来た。例えば、ポリマーはフェノール基やカルボニル基といった表面官能基を含むカーボンブラックに付着することが示されている。しかし、顔料の表面にある固有の官能性に依存する方法は一般に応用できず、これは顔料全部が同一の特定の官能基を有していないためである。
【0005】
外部分散剤を必要とせず分散性等の特性が改善されたインク組成を提供する顔料の改質もまた開発されて来た。代表的にはこれらの改質顔料の調整方法はベヒクル中に顔料の分散を調製しこの顔料の表面と各種の試薬とを反応させることによる。こうして得られた反応物は少なくとも一つの有機基、例えば少なくとも一つのイオン基、イオン化可能基、又はこれらの混合物等から構成される有機基に付着した顔料を含む改質顔料である。例えば、改質顔料は米国特許第5,554,739号、5,707,432号、5,837,045号、5,851,280号、5,885,335号、5,895,522号、5,900,029号、5,922,118号、6,042,643号、PCT公開WO99/23174号に記載された方法を使用して調製することができる。これらの方法は例えばポリマーおよび/または界面活性剤を使用する分散剤方式と比較して顔料に官能基の一層安定した付着を提供する。
【0006】
改質顔料を調製するための他の方法としては、利用可能な官能基を有する顔料と有機基例えば米国特許第6,723,783号、6,911,073号、7,173,078号等に記載されている有機官能基を含む試薬との反応を起させることが挙げられる。このような官能性顔料は上記参照に記載されている方法を使用して調製される。このようにすると、顔料は表面に固有ではないが標的とする有機基を有する試薬と更に反応することが可能な官能基を含むように改質される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
炭素性材料例えばカーボンブラックは、これも特定の種類の条件下でヒドラジン試薬と反応することが示されている。例えば、米国特許第6,723,783号、7,173,078号、ならびに米国特許出願公開2004/0171725号はそれぞれが、付着した官能基を有する顔料を含む各種の改質顔料と、ヒドラジン試薬を含む特定の試薬との反応に関連する。しかし、これらの方法では前駆体としての改質顔料の初期生成が必要で、この前駆体を、ヒドラジン試薬を使用して更に改質する。さらに、ヒドラジンは、酸化カーボンブラックや酸化グラファイトに対して還元剤として使用することができることが知られており、酸化カーボンブラックや酸化グラファイトは酸化剤で前処理して高レベルの酸素を含有する官能基を導入した炭素性材料である。また、この方法はあらかじめ改質したカーボンブラックを使用する必要がある。また、米国特許第4,835,074号では酸素反応性を付与する又は付与しないアセチレンブラックの化学的改質について記述している。これらの改質アセチレンブラックは電気化学的セルで使用される。
【0008】
各種の改質顔料が調製され、そのうちの幾つかはインクジェット用インク組成に使用可能であるが、特にそれ自体があらかじめ改質されている顔料ではない顔料の反応により、これらに代わる顔料の改質を提供する必要性が存在している。
【0009】
本発明は液体ベヒクルと少なくとも1種類の改質顔料を含み、顔料はa)改質顔料ではない顔料と、b)化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬との反応生成物を含み、ここでYは水素、C1−C12アルキル基、芳香族基、ポリマー基、又は−C(O)A−NH基を含む基であり、Aは酸素、NH、又は硫黄とする。本発明は更に改質顔料それ自体、ならびに改質顔料を調製する方法に関連し、当該方法は顔料と試薬を組み合わせ、反応させるステップを含む。オプションで、第2の試薬を添加して生成された改質顔料と更に反応させることもできる。
【0010】
前述の一般的説明と後述の詳細な説明はどちらも単なる例示と説明を目的としたものであって、請求される本発明の更なる説明を提供することを意図したものであることが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は液体ベヒクルと少なくとも1種類の改質顔料を含むインクジェット用インク組成、改質顔料、および改質顔料を調製する方法に関連する。
【0012】
本発明のインクジェット用インク組成は液体ベヒクルと少なくとも1種類の改質顔料を含む。液体ベヒクルは非水性ベヒクル、つまり50%未満の水を含むか又は水と混和されないベヒクル、又は水性ベヒクル、つまり重量比50%以上の水を含み例えば水、又は水と水に混和可能な溶媒例えばアルコールの混合物であり得るベヒクルである。望ましくは、ベヒクルは水性ベヒクル例えば水であり、インクジェット用インク組成は水溶性インクジェット用インク組成である。
【0013】
本発明のインクジェット用インク組成の改質顔料は、顔料と、詳細には後述する特定の試薬との反応生成物を含む。従来技術で既知の何らかの顔料、これには例えば酸化炭素性顔料(これは炭素性顔料例えばカーボンブラックであり、酸化剤により処理されてイオン化又はイオン化可能な官能基を表面に導入されたもので、一般に7.0未満のpH値を有する)、非酸化炭素性顔料(一般に7.0以上のpHを有するカーボンブラックを含む)、また非改質顔料(付着した有機官能基を有するような処理をしていない顔料である)を含めて使用することができる。例えば、顔料はカーボンブラックを酸素ガスやオゾン等の酸化剤、過酸化水素などの過酸化物、過硫酸ナトリウムや過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン酸、酸化性酸たとえば硝酸など、また過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、又は硝酸アンモニウムセリウムなどの酸化物を含む遷移金属で処理することにより調製した酸化カーボンブラックであり得る。酸化物の混合物も使用可能で、これには特にガス性酸化物たとえば酸素やオゾンの混合物が含まれる。その他の表面改質方法たとえば塩素化やスルホニル化も酸化剤との組み合わせにおいて更なる種類のイオン基又はイオン化可能基の導入のために使用できる。更には、非酸化カーボンブラックも、酸化カーボンブラックを調製するために使用されるカーボンブラックを含め、使用することが出来る。
【0014】
更に顔料は有機色素顔料とすることも出来、これには青、黒、茶、シアン、緑、白、バイオレット、マゼンタ、赤、オレンジ、又は黄色の有機色素が含まれる。異なる顔料の混合も使用できる。有機色素顔料は有機色素を含み、これは発色剤で、色素の基本色を提供し、これらの顔料は有機色素系に分類することが出来る。本発明に係るインクジェット用インク組成に有用な有機色素系顔料の好適な有機色素クラスは、たとえば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノジアゾ、ピラントロン、ペリレン、ヘテロサイクリックイエロー、キノロノキノロン、イソインドリン、イソインドリノン、ビスアセトアセタリライド、インダントロン、キナクリドン、(チオ)インジゴイドを含む。これらの顔料は粉体又はプレスケーキの形状で多数の供給源から商業的に入手可能で、供給源にはたとえばBASF社、エンゲルハード社、サンケミカル社を含む。その他の好適な有色色素の例としては、カラーインデックス第3版(The Society of Dyers and Colourists, 1982)に記載されている。
【0015】
特定の例として、色素は有機色素系顔料とすることが出来、これには少なくとも1種類のカルボニル基を有する少なくとも1種類の有機色素を含む。本明細書で用いているように、「カルボニル基」はC=O官能基を有する基である。カルボニル基の好適な例としては、ケトン基(一般式−C(O)Rを有するもの)、アルデヒド基(一般式−C(O)Hを有するもの)、エステル基(一般式−C(O)ORを有するもの)、アミド基(一般式−C(O)NRを有するもの)、イミド基(一般式−C(O)NRC(O)−を有するもの)、ユリア基(一般式−NR−C(O)NRを有するもの)、無水基(一般式−O−C(O)ORを有するもの)、又はカルボキシル基またはこれらの塩(一般式−C(O)OHを有するもの)が挙げられる。Rは独立してアルキル基又は芳香族基とすることができる。好適な有機色素系顔料でこれらの有機色素を含むものは黄色顔料で、これは、例えば、イソインドリン色素、イソインドリノン色素、又はビスアセトアセタリライド色素を含む顔料である。特定の例としては黄色色素155号、黄色色素213号、黄色色素185号、黄色色素139号がある。これらの各々は少なくとも1種類のカルボニル基を有する有機色素を含む。例えば、黄色色素155号と黄色色素213号はエステル基を有する黄色色素を含み、一方で黄色色素185号と黄色色素139号はイミド基特にバルビツール酸基を有する黄色色素を含む。
【0016】
好適実施例において、本発明に係るインクジェット用インク組成の改質顔料は、それ自体が改質されていないか又は処理されていない顔料である顔料を含む。詳しく説明すると、好適には顔料は少なくとも1種類の有機基が付着していないことと、顔料表面へ有機基を付着させる既知の方法を用いて調製されていない。また、望ましくは、本発明に係るインクジェット用インク組成の改質顔料は前述したような酸化カーボンブラックではない。つまり、改質顔料は最初に改質又は処理されて反応性官能基の特定の種類を付着させた後、詳細には後述するような試薬の少なくとも1種類を用いて更に改質される顔料ではない。驚くべきことに、このような改質されていない顔料を使用してインクジェット用インク組成に使用可能な改質顔料を形成することが出来ることが発見された。
【0017】
前述したように、本発明に係るインクジェット用インク組成の改質顔料は、顔料と、化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬との反応生成物を含む。この式において、Aはヘテロ原子又は少なくとも1個の利用可能な電子の孤立電子対を有する基、例えばO、NH、又はSである。またYはH、C1−C12アルキル基、芳香族基、又はポリマー基である。Yはまた−C(O)A−NH基を含むことが出来る。望ましくは、AはNHである。例えば、AがNHでYが芳香族基、試薬がアリルヒドラジンである。また、AがNHでYがC1−C12アルキル基、試薬がアルキルヒドラジンである。更に、AがNHで、YがHとすることができ、よって試薬はヒドラジンである。さらに、AはNH、Yは−C(O)NH−NH基(すなわちジヒドラジド)とすることができる。特定の例としては、HNNH−C(O)−NH−NH(カルボヒドラジド)、HNNH−C(O)−C(O)−NH−NH(オキサリルジヒドラジド)、HNNH−C(O)−C−C(O)−NH−NH(テレフタル酸ジヒドラジド)が挙げられる。
【0018】
望ましくは、試薬のY基は少なくとも1種類のイオン基、少なくとも1種類のイオン化基、又は少なくとも1種類のイオン基と少なくとも1種類のイオン化基の混合物を含む。イオン基はアニオン性又はカチオン性で対向する荷電の対イオンに関連するもので、対イオンは例えばNa、K、Li、NH、NR、アセテート、NO、SO−2、RSO、ROSO、OH、Clなどを含む。ここでこれらの対イオンのRは水素又は置換又は非置換アリルおよび/またはアルキル基を表わす。イオン化基はイオン基を使用するベヒクル中に形成することが出来る官能基である。アニオン化基はアニオンを形成しカチオン化基はカチオンを形成する。イオン基は米国特許第5,698,016号に記載されているイオン基を含み、これの説明は全体が本明細書で参照に含まれる。
【0019】
アニオン基はマイナスに荷電したイオン基でアニオンを形成可能な(アニオン化基)イオン化置換基を有する基例えば酸化置換基から生成される。これはまたイオン化置換基の塩におけるアニオンでもある。アニオン基の代表例としては、−COO、−SO、−OSO、−HPO、−OPO−2、−PO−2が挙げられる。望ましくは、アニオン基は一価金属塩例えばNa塩、K塩、Li塩等の対イオンを含む。対イオンはアンモニウム塩例えばNH塩等としても良い。アニオン化基の代表例としては−COOH、−SOH、−PO、−R’SH、−R’OH、−SONHCOR’等があり、ここで基のR’は水素、あるいは置換又は非置換アリルおよび/またはアルキル基を表わす。特定の例として、Yは少なくとも1種類のスルホン酸基、カルボキシル酸基、又はこれらの塩を含む。
【0020】
カチオン基はプラスに帯電したイオン基で、プロトン化アミンなどカチオンを形成可能な(カチオン化基)イオン化置換基から生成することが出来る。例えば、アルキル又はアリルアミンは酸性ベヒクル中でプロトン化されアンモニウム基−NR’を形成し、ここでこの基のR’は有機基例えば置換又は非置換アリル基および/またはアルキル基を表わす。カチオン基はまたプラスに帯電した有機イオン基でもある。例としては四級アンモニウム基(−NR’)と四級ホスホニウム基(−PR’)がある。ここでR’は水素、又は置換又は非置換アリル基および/またはアルキル基等の有機基を表わす。特定の例として、Yは少なくとも1種類のアミン基又は少なくとも1種類のアンモニウム基を含む。
【0021】
特定の例として、試薬の基Yは少なくとも1種類のビスホスホン酸基対、これの部分エステル、又はこれの塩を含む。つまり有機基は少なくとも2種類のホスホン酸基、これの部分エステル、又はこれの塩で同じ炭素原子に直接結合しているものを含む。このようなビスホスホン酸基対はまた1,1−次ホスホン酸基、これの部分エステル、又はこれの塩と呼ぶことも出来る。「これの部分エステル」というのは、ホスホン酸基が化学式−PORHを有する部分ホスホン酸エステル基またはその塩であるということで、ここでRはアリル、アルカリル、アラルキル、又はアルキル基である。基Yのホスホン酸基の一方又は両方が部分ホスホン酸エステル基でありうる。また、ホスホン酸基の1つが式−POを有するホスホン酸エステルで、他方のホスホン酸基が部分ホスホン酸エステル基、ホスホン酸基、又はこれらの塩である。しかし、ホスホン酸基の少なくとも一方がホスホン酸、これの部分エステル、又はこれの塩のいずれかであるのが好適である。「塩」というのはホスホン酸基が部分的に又は完全にイオン化した態様でカチオン対イオンを有する状態にあることを表わす。Yのホスホン酸基のいずれか一方又は両方が、部分的又は完全にイオン化した態様である。つまり、Yは少なくとも一つのビスホスホン酸基対を含み、ホスホン酸基の一方又は両方が式−PO、−PO(一塩基塩)、又は−PO2M+2(二塩基塩)を有し、ここでMはNa、K、Li又はNRなどのカチオンであり、ここでこれらのカチオンのRは同一又は異質であり得るが水素又は置換又は非置換アリルおよび/またはアルキル基等の有機基を表わす。望ましくは、ホスホン酸基の少なくとも一つ、又更に望ましくはビスホスホン酸基対のホスホン酸基の両方がホスホン酸基あるいはその塩である。
【0022】
例えば、試薬のY基は式−CQ(POを有する少なくとも一つの基、その部分エステル、又はその塩を含む。Qは対位置に結合し、H,R,OR,SR又はNRで、これらの基のRは同一又は異質なものでH、飽和又は不飽和C1−C18分岐鎖又は非分岐鎖アルキル基、飽和又は不飽和C1−C18分岐又は非分岐アシル基、アラルキル基、アルカリル基、又はアリル基である。例えば、QはH、R、OR、SR又はNRで、Rは同一又は異質とすることが出来、H、C1−C6アルキル基、又はアリル基である。望ましくはQがH、OH、又はNHとする。追加例として、試薬のY基は式−(CH−CQ(POを有する基、その部分エステル、又はその塩を含み、Qは前述したようなものでnは0から9、例えば1から9である。望ましくはnが0から3例えば1から3がよい。
【0023】
さらに詳しく説明すると、試薬のY基は式−CQ(POを有する基、その部分エステル、又はその塩を含む。ここでQはH又はC1−C6アルキル基、例えばメチル基又はエチル基であるが、Hが望ましい。例えば、有機基は式−CO−Z−CH(PO又は−SO−Z−CH(POを有する基、その部分エステル、又はその塩を含み、ここでZはO、S、またはNR’、またR’はH、C1−C18アルキル基、C1−C18アシル基、アラルキル基、アルカリル基、又はアリル基である。望ましくは、ZがNHで、またそれゆえ、置換基は少なくとも1個のアルキルアミド基を含み、ここでアルキル基はビスホスホン酸基対、その部分エステル、又はその塩である。
【0024】
Yは又更に1つまたはそれ以上の追加の官能基で置換でき、特にYが芳香族基の場合がそれにあてはまる。官能基の例としては、R’、OR’、COR’、COOR’、OCOR’、カルボキシル酸、ハロゲン、CN、NR’、SOH、スルホン酸、硫酸、NR’(COR’)、CONR’、イミド類、NO、リン酸、ホスホネート、N=NR’、SOR’、NR’SOR’、SONRなどが含まれ、これに限定されない。ここでこれらの官能基のR’は、同一又は異質なものとすることが出来、独立して水素、分岐又は非分岐飽和又は不飽和C1−C20、飽和又は不飽和炭化水素例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換又は非置換アリル、置換又は非置換ヘテロアリル、置換又は非置換アルカリル、あるいは置換又は非置換アラルキルとすることができる。
【0025】
改質顔料は顔料と少なくとも1種類の前述した試薬の反応生成物を含むもので、従来技術で既知の何らかの方法を使用して調製することが出来る。さらに詳しく説明すると、改質顔料は少なくとも1種類の顔料と少なくとも1種類の前述した式HN−A−Yを有する試薬とを混合するステップと、顔料と試薬を反応させて改質顔料を形成するステップとを含む方法によって調製することが可能である。望ましくは、これらのステップは同時に同一の反応容器内で行なわれるようにする。これらの構成要素を反応させるのに適した何らかの条件を使用することができ、条件は顔料と試薬の本質的特性によって異なる。一般に、これらの構成要素は試薬と顔料の反応を促進するのに望ましい温度例えば100℃より高い温度で反応が行なわれ、この温度は特に脱水反応の促進に特に有用であるが、特定の試薬の分解温度より低い温度であるものとする。例えば、温度は約100℃から約200℃の間とすることが出来、約120℃と約150℃の間を含む。更に、構成要素は一般に例えば所望の反応範囲と使用された試薬の種類に依存して、約30分から約24時間の間の時間にわたって混合される。更に、各々の構成要素の量も、例えば改質顔料の最終的に所望される特性に合わせて、変化する。例えば、使用される試薬の総量は、窒素吸収法で測定された(BET法)顔料表面積に対し約0.01から約10.0マイクロモル/m2顔料表面積とし、約0.5から約5.0マイクロモル/m2、約1から約3マイクロモル/m2、又は約2から約2.5マイクロモル/m2を含む。
【0026】
さらに、特定の例として、試薬はヒドラジン(ここでAはNHでありYはHである)又はカルボヒドラジド(ここでAはNHでYはC(O)NH−NH基である)のどちらかである。これらの特定の実施例では、反応の結果得られたか異質顔料は、顔料と試薬を組み合わせ反応させることにより形成されたものでオプションとして第2の試薬と更に反応させることが出来、第2の試薬は少なくとも1個のカルボニル基を含み、カルボニル基は前述したもののうちのいずれかとすることが出来る。このようにすると、本発明のインクジェット用インク組成で使用される改質顔料は顔料と式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬との反応生成物を含むことが出来、ここでAはO、NH、又はSでありYはH又は−C(O)A−NH基を含むものである。また反応生成物は更に少なくとも1種類の第2の試薬と組み合わせ、試薬には少なくとも1種類のカルボニル官能基を含むことが出来る。第2の試薬は更に少なくとも1種類のイオン基、少なくとも1種類のイオン化基、又は少なくとも1種類のイオン基と少なくとも1種類のイオン化基の混合物を含むことが出来、これらの官能基は前述したもののうちのいずれかである。又、第2の試薬はポリマーであっても良い。
【0027】
本発明に係るインクジェット用インク組成は最小限の追加コンポーネント(添加物および/または共溶媒)を用いて、最小限の処理ステップで形成可能である。しかし、好適な添加物は又インクジェット用インク組成に含めて多数の所望の特性を付与する一方で組成物の安定性を維持する。例えば、表面活性剤を添加して組成物のコロイダル安定性を更に拡張することが出来る。他の添加物は当該技術において周知であり、保湿剤、殺生物剤、防カビ剤、ポリマー・バインダー等のバインダー、pH調製剤、乾燥促進剤、浸透剤、その他同様なものを含む。特定の添加物の量は各種の要因にしたがって変化するが、一般にインクジェット用インク組成の重量に基づいて0%から40%の間の範囲の量で存在する。更に、本発明に係るインクジェット用インク組成はさらに染料を含有して色バランスを変化させ光学的密度を調節することが出来る。このような染料には食品用染料、FD&C染料、酸性染料、直接染料、反応性染料、銅フタロシアニン誘導体を含むスルホン酸フタロシアニン誘導体、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、リチウム塩、およびその他同様なものが挙げられる。前述した特定の構造条件に適合しない有色顔料を使用することも、特定のアゾ黄色顔料と協力剤の組み合わせにより例えば異なる黄色のシェードを作成する(例えば赤みがかった又は緑がかったシェード)とか、黄色の強度を改善するためであっても本発明の範囲内にある。
【0028】
インクジェット用インク組成は純化および/または分類することにより、従来技術において既知の何らかの方法を使用した製造プロセスの結果として共存し得る、例えば膜を用いる限外濾過や透析、逆浸透圧、およびイオン交換を含め、不純物やその他の望ましくない自由核種を除去することができる。またインクジェット用インク組成は分類ステップの対象とすることが出来る、例えば瀘過、遠心分離、又は二つの方法の組み合わせにより実質的に例えば約1.0ミクロンより大きな寸法を有する粒子を実質的に除去することが出来る。このようにすると、望ましくない不純物又は望ましくない大型粒子を除去して全体として良好な特性を有するインクジェット用インク組成を作成することが出来る。
【0029】
前述したように、本発明に係るインクジェット用インク組成は特定の種類の顔料(少なくとも1種類のカルボニル基を有する)と特定の種類の試薬(式HN−A−Y構造を有する)との間の反応生成物である改質顔料を含む。理論によって化合するようには希望しないものの、試薬のアミン基が顔料と反応する、これは主として顔料表面上にある特定の官能基によると信じられる。このアミン基は典型的なアミンと比較して大幅に強い反応性を有しており、これは隣接するヘテロ原子群、つまりAが存在しており、少なくとも1個の共有されない電子対(時としてα効果と呼ばれることがある)を有するためである。例えば、顔料が有機色素顔料であって少なくとも1種類のエステル基を有する有機色素を含む場合、試薬のアミンがエステル基と反応し、アミドを形成する。このようにして、得られた反応生成物は改質顔料であり、これは少なくとも1種類の付着した化学式−NH−A−Yを有する官能基を有する顔料を含む発色剤である。例えば、試薬組成のAがNHでYがHでは内場合、改質顔料は少なくとも1種類の付着した有機基を有する顔料を含むと考えられ、ここで有機基は少なくとも1種類のヒドラジド基または少なくとも1種類のヒドラゾン基を含む。
【0030】
また、顔料の表面官能基がポリマー等の試薬と反応し得ることは従来技術で公知となっているが驚くべきことに後述する組成式を有する試薬が顔料と反応し得ること、特に改質していない顔料と(すなわち有機官能基が付着していない顔料と)反応し得ることが判明した。これにより特に分散安定性といった機能特性が向上した改質顔料の形成が可能になり、更にはこのような改質顔料は、インクジェット用インク組成として使用した場合、印刷性能特性が向上した印刷画像を作成することが分かった。更に、少なくとも1種類の有機官能基が付着した顔料を含む改質顔料は少なくとも1種類の官能基を付着させた顔料と有機基を含むヒドラジン試薬と反応させることにより調製し得ることも公知となっているが、(有機基は例えば米国特許第6,723,783号、6,911,073号、並びに7,173,078号に記載されているもの等)、驚くべきことに有機基の付着を含まない顔料(すなわち非改質顔料)もまたこのような試薬と反応することが出来、特にインクジェット用インク組成として全体に良好な特性を有する改質顔料を生成しうることが判明した。つまり、本発明に係るインクジェット用インク組成は改質顔料ではない顔料と、前述した化学式を有する試薬との反応生成物を含む。改質されていない顔料(すなわちカルボニル基の付着を有していない顔料)を、インクジェット用インクに要求される条件を満たすために使用し得る程安定した顔料分散性を形成するのに充分な範囲で反応させるのが困難であろうことが想定されて来たと思われる。
【0031】
本発明のインクジェット用インク組成において使用される改質顔料は各種の異なる形態を取ることが出来る。例えば、改質顔料は乾燥した形状例えば粉体、ペレット、顆粒、又はケーキとすることが出来る。本明細書で用いているように、術語「乾燥」は改質顔料の形態に関連した場合実質的に揮発性材料を含まないことを意味するものではない。むしろ、本術語は物質の物理的状態を表わすものである。つまり、乾燥形態には高レベルの、例えば約50%又はそれ以上の揮発性溶媒を含む態様を含む。乾燥形態は例えば固体状又は半固体状の形状にあるペースト又はパテとしての一貫性を有する材料であったり、又は例えば自由に流動する又は粘着性の粉体であっても良い。
【0032】
改質顔料はまた液性担体中の分散の形態を取ることも出来る。担体は本発明のインクジェット用インク組成に関連して前述した担体のうちのいずれかとすることが出来る。つまり、担体は水性又は非水性の液体ベヒクルのいずれかとすることが出来るが、望ましくは水を含む担体である。分散形態で使用される改質顔料の量は可変であるが、代表的には分散の重量に基づくと約0.1%から約20%の範囲の量である。更に、分散は望ましい特性を分散に付与するような従来技術で知られている適当な添加物を含むことも出来る。
【0033】
改質顔料の分散は従来技術で公知の方法のいずれかを使用して調製できる。例えば、乾燥形態にある改質顔料を液性ベヒクルと組み合わせて撹拌振盪により安定した分散を作成する。従来技術で公知の何らかの機器例えばベヒクル又はボールミル、又はその他の高剪断性混和装置を使用することが出来、各種の従来技術のミルベヒクルも使用できる。これ以外では、分散は顔料と試薬の反応から直接得ることも出来る。分散を形成するためのその他の方法は当業者に公知であろう。
【0034】
前述したように、本発明に係る改質顔料はインクジェット用インク組成に使用可能だが、改質顔料はまた各種の他の用途例えばプラスチック組成、水性又は非水性インク(インクジェット用インク以外)、水性又は非水性コーティング、ゴム組成、紙組成、テキスタイル組成等を含む用とにも使用可能である。特に、これらの改質顔料は各種水性組成例えば自動車や工業用コーティング、ペイント、トナー、接着剤、ラテックス、インク等を含む組成に使用できる安定した水性分散を形成することが出来ることが分かった。
【0035】
本発明は本質的に単なる例示であることを意図した以下の例により更に明確になるであろう。
実施例
実施例1
【0036】
本発明に係る改質顔料を調製するために使用される試薬は以下のスキーム1に図示したように調製した。
スキーム1
【0037】
つまり、2−(4−(アミノフェニル)−1−ハイドロキシエタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸1ナトリウム塩(200g、0.627モル、1当量)、これを米国特許出願公開2007・0100024号に記載されている方法と同様の手順を用いて調製し、当該出願は本明細書において全体が参照に含まれ、DI水1リットルに懸濁した。得られた懸濁液のpHは炭酸ナトリウム飽和溶液(135ml)を添加することで8.5に調節した。この混合物に50%水性水酸化ナトリウム溶液10〜15mlを添加して透明な溶液(pH10.0)を作成した。これを8℃まで氷水水槽へ入れて冷却しハイドロキシアミン−O−スルホン酸(100g、0.885モル、1.41当量)をイオン交換水(100ml)に融かした冷却溶液約25mlを急速に添加してpHを8.5まで戻した。冷却溶液の残りには30分間に亙って滴下添加し、一方で炭酸ナトリウム飽和水溶液(250ml)の同時添加により反応混合物のpHを8.1から8.2の間に維持した。反応は5〜10℃、pH8.1でさらに1.5時間継続させた。
【0038】
次に、反応混合物を瀘過して沈澱性不純物を除去し、5N塩酸溶液(600ml)を添加することで濾液のpHを2.4に調節し、一方で温度は15℃以下に維持した。この溶液を1時間の間5℃に冷却し、得られた沈澱反応生成物を瀘過により除去し、2:1水/メタノール混合物(250ml)、メタノール(200ml)、最後にアセトン(200ml)で水洗し、次に減圧下環境温度で乾燥し、140〜160g(67〜76%収量)の2−(4−(ヒドラジノフェニル)−1−ハイドロキシエタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸を薄黄色の固体として得た。この化合物の1H−NMR(400MHz、D2O+NaOH)データは以下の通りである:δ7.32(2H、d、7.6Hz)、6.83(2H、d、7.6Hz)、3.2(2.9H、m)、更に他のピークは7.22(0.9H、d、7.6Hz)、6.69(0.8H、d、7.6Hz)で、試料は見反応の開始材料を含んでおり約75%の純度だった。この化合物についての13C−NMR(100MHz、D20+NaOH)データは以下の通りである:147.8,143.4,132.4,132.2,115.4,113.1,75.8(t)、38.9,38.8。この化合物についてのLC−MSデータは以下の通りである:311(M−23)+。本発明の改質顔料を調製する試薬として更に純化することなく使用した。
実施例2〜30
【0039】
以下の実施例は本発明に係るインクジェット用インク組成を形成するために使用可能な本発明の改質顔料の調節を説明するものである。
実施例2〜16
【0040】
改質した黄色顔料を以下の一般的手順を用いて調製した。各々の物質の特定の量と反応条件は以下の表1に図示してある。
【表1】
















【0041】
上記実施例1で調製した試薬(75%純度だった)を水に溶解し、NaOH水溶液によりpHを8から10までの間に調節した。20gの黄色顔料185号(パリオトールイエローD1155、BASFから入手可能)をこの溶液に添加し、混合物をオーバーヘッドミキサーにより室温で30分間混和した。こうして得られた混合物をパイレックス(登録商標)皿に移し、皿をオーブンに入れ水の全部が蒸発するまで100℃を超える温度まで加熱した(約2〜5時間)。所望ならこれらのステップを反復できる(すなわち第2のサイクルを使用できる)それには第1のサイクルで得られた乾燥固形物の改質顔料を開始時点の黄色顔料185の代わりに使用する。これらのステップを完了した後、得られた乾燥固形物改質顔料をステンレススチール製のビーカーに移し、200mlの水を使用しつつNaOH水溶液でpHを8〜9に調節した上で、シルバーストーン・ミキサーを用いて6000rpmで再分散させた。分散はミソニクス・超音波プローブ(出力9.5で)により1時間超音波処理し、透過水の導電性が200S未満になるまでDI水とスペクトラム・メンブレンを使用して透析瀘過し、約15%の固形物になるまで濃縮し、これにより改質黄色顔料の水性分散を作成した。
【0042】
各々の分散のナトリウム含量をオリオン・イオン選択電極で測定したが、固体ベースで表現される結果も上記表1に図示してある。これらの値は付着したビスホスホン酸塩基の存在を示している。皿に、各々の分散の平均容積粒状寸法(mV)もナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定し110〜130nmの間であることが分かった。これは、これらの分散が安定したインクジェット用インク組成を形成するために使用可能であることを示している。
実施例17〜27
【0043】
改質黄色顔料を、以下の一般手順を使用して調製した。各々の材料の特定の量と反応条件は以下の表2に図示してある。
【表2】












【0044】
黄色顔料155号(インクジェット・イエロー4G、クラリアント社から入手可能)100gをブラベンダー・ミキサー(C.W.ブラベンダーの少量バッチミキサー)に入れ、約30rpmで混合しながら、所望の%固形物を達成するのに必要な量の水を含みpHが8の4ーハイドラジノベンゼンスルホン酸(TCIアメリカ社から入手可能)水溶液もブラベンダーに追加した。乾燥粉体が得られるまで材料の組み合わせを設定温度で混和した。所望であればこのステップを反復できる(すなわち第2のサイクルを使用できる)これにはヒドラジン試薬の水溶液を皿に追加する。これらのステップが完了した後、得られた乾燥固形改質顔料をステンレススチール製ビーカーに移し換え、シルバーソン・ミキサーを6000rpmで使用し、NaOH水溶液でpHを8〜9に調節した水200mlを使用して再分散させた。分散はミソニックス超音波プローブ(出力9.5で)1時間に亙り超音波処理し、DI水とスペクトラム・メンブランを使用して濾液の導電性が200S未満になるまで透析瀘過し、約15%固体量になるまで濃縮し、これにより改質黄色顔料の水性分散を作成した。
【0045】
各々の分散のナトリウム顔料を、オリオン・イオン選択電極を使用して測定し、結果は固体ベースで表現されておりこれも上記表2に図示してある。これらの値は付着スルホン酸塩基の存在を表わしている。更に、各々の分散の平均容積粒状寸法(mV)もナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定し、170〜180nmの間であることが分かった。これは、この分散が暗転したインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。
実施例28
【0046】
改質黄色顔料を以下のように調製した。黄色顔料74号(20g、サンケミカルから入手可能)をステンレススチール製ビーカーで200gの酢酸と混合してスラリを形成した。この混合物に3.8グラムの4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸(1ミリモル/gの顔料処理レベル)を追加し、これにより得られた混合物を90〜100℃まで加温し同時にオーバーヘッド・メカニカル・スターラを使い3時間に亙って混和した。この時間の後、反応混合物を室温まで冷却し、得られた改質顔料を瀘過により除去し、200mlのDI水で水洗した。改質黄色顔料のプレスケーキを200mlのDI水に再分散させpHは10NのNaOH水溶液で9.0になるように調節した。シルバーソン・ミキサーに入れて6000rpmで30分の混和をし、ミソニクス超音波プローブ(出力9.5で)超音波処理1時間を行なった後、分散はDI水とスペクトラム・メンブレンを使い濾液の導電性が200S未満になるまで透析瀘過し、約15%固体量にまで濃縮し、これにより改質黄色顔料の水性分散を作成した。こうして得られた改質黄色顔料の水性分散はオリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量が約1000ppmであることが分かった。これは付着スルホン酸塩基の存在を表わしており、ナノトラック(登録商標)・パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)が約190nmであり、この分散が安定したインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。
実施例29
【0047】
赤色顔料122号(148.4g、PR122、サンケミカル社から小粒状径プレスケーキ、34%固体量として入手可能)を、1リットルのDI水に、上記実施例1で調製した試薬の溶液と混合した(17.51g、1ミリモル/gの顔料処理レベル、75%純度)。また混合物のpHは水酸化アンモニウムで8.5に調節した。こうして得られた混合物をパイレックス(登録商標)皿に移し換え、皿をオーブンに入れて120℃オーバーナイトで加熱し、その間に水を蒸発させ改質赤色顔料を形成した。こうして得られた乾燥固形改質顔料を400mlのDI水に再分散させ、分散のpHをNaOH水溶液で8.5になるように調節した。分散はシルバーソン・ミキサーを用い6000rpmで30分間混和した後、ミソニックス超音波プローブを用いて(出力9.5で)1時間超音波処理した。分散はDI水とスペクトラム・メンブレンを用いて透過液の導電性が200S未満になるまで透析瀘過して改質赤色顔料の水性分散を作成した。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)はおよそ110nmであると分かった。これはこの分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用可能であることを示している。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は1971ppmであると分かった。また元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で0.29%であると分かり、付着ビスホスホン酸塩基の存在を示している。
実施例30
【0048】
青色顔料15:4(162.7g、PB15:4、サンファスト/ブルー、プレスケーキ30.8%固形分、サンケミカル社から入手可能)を1リットルのDI水に投入し、上記実施例1で調製した試薬の溶液と混合した(17.51g、1ミリモル/gの顔料処理レベル、75%純度)、また混合物のpHは水酸化アンモニウムにより8.5になるように調節した。こうして得られた混合物をパイレックス(登録商標)皿に移し、皿をオーブンに入れてオーバーナイト120℃の温度で加熱、その間に水分が蒸発し、改質青色顔料を形成する。こうして得られた乾燥固形改質顔料を400mlのDI水に再分散させ、分散のpHはNaOH水溶液で8.5になるように調節した。分散はシルバーソン・ミキサーを用いて6000rpmで30分間混和したのち、ミソニックス超音波プローブを用いて(出力9.5で)1時間超音波処理した。分散はDI水とスペクトラム・メンブレンを用いて導電率が200S未満になるまで透析瀘過して改質青色顔料の水性分散を作成した。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)が約140nmであると判明しており、これはこの分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用可能であることを表わしている。オリオン・イオン選択電極を使用して測定し固体量として表現されるナトリウム含有量は3155ppmであると分かり、元素分析測定によるリン含有量は乾燥顔料の重量比で0.54%であると分かり、付着ビスホスホン酸塩基の存在を示している。
実施例31〜38
【0049】
以下の実施例は本発明に係る改質カーボンブラックの調製を説明したもので、本発明のインクジェット用インク組成を形成するために使用できるものである。
実施例31
【0050】
カーボンブラック(49.91g、ブラックパール(登録商標)700カーボンブラック(BP700)、キャボット社から入手可能)を500gのDI水中で実施例1において調製した試薬と混合した(15.5g、0.7ミリモル/gのカーボンブラック処理レベル)、分散のpHは水酸化アンモニウムにより9.1になるように調節した。混合物はパイレックス(登録商標)皿に入れてオーブンに入れ、120℃オーバーナイトで加熱した。こうして得られた乾燥固形改質カーボンブラックをDI水に再分散させ、実施例29と実施例30で説明した手順を用いて更に処理し、これにより改質カーボンブラックの水性分散を形成した。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約135〜140nmであることが判明し、これは安定なインクジェット組成を形成するためにこの分散を使用可能であることを表わしている。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は6446ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で0.82%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
実施例32
【0051】
カーボンブラック(49.91g、ブラックパール(登録商標)700カーボンブラック(BP700)、キャボット社から入手可能)と、500gのDI水中で実施例1において調製した試薬(11.11g、0.5ミリモル/gのカーボンブラック処理レベル、純度75%)を使用して実施例31で説明した手順を用いて乾燥固形改質カーボンブラックを調製した。乾燥改質顔料は第2の量の試薬(11.11グラム、0.5ミリモル/gのカーボンブラック処理レベル)と500gのDI水中で混合し、分散のpHは水酸化アンモニウムにより8.5になるように調節した。混合物は2度目に、パイレックス(登録商標)皿に入れてオーブンにより120℃オーバーナイトで加熱した。こうして得られた最終乾燥固形改質カーボンブラックをDI水に再分散させ、実施例29と実施例30で説明した手順を用いて更に処理し、これにより改質カーボンブラックの水性分散を形成した。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約135〜140nmであることが判明し、これは安定なインクジェット組成を形成するためにこの分散を使用可能であることを表わしている。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は8434ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で1.36%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
実施例33
【0052】
改質カーボンブラックの水性分散を実施例31で説明した手順を用いて調製したが、ここではカーボンブラックとしてリーガルTM250カーボンブラック(R250,キャボット社から入手可能)をカーボンブラックに使用し使用した試薬は1.0ミリモル/gのカーボンブラック処理レベルの量だった。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約153nmであることが判明し、この分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は4207ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で0.75%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
実施例34
【0053】
実施例31で説明した手順を用いて改質カーボンブラックの水性分散を調節したが、ここでは使用した試薬が1.0ミリモル/gのカーボンブラック処理レベルの量である点が異なる。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約135〜140nmであることが判明し、この分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は6276ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で1.05%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
実施例35
【0054】
カーボンブラック(20g、ブラックパール(登録商標)700カーボンブラック(BP700)、キャボット社から入手可能)をステンレススチール製ビーカー内で200gの酢酸と混合した。この混合物に実施例1で調節した試薬(9.6g、1.0ミリモル/gのカーボンブラック処理レベル、純度75%)を追加した。こうして得られた反応混合物を90〜100℃に加熱しつつ3時間の間オーバーヘッド機械式スターラを使い撹拌した。これを室温まで冷却し、こうして得られた改質カーボンブラックを瀘過により除去し200mlのDI水で水洗した。改質顔料プレスケーキを200mlのDI水に分散させ、pHは10NのNaOH水溶液で9.0になるように調節した。分散はシルバーソン・ミキサーを使い6000rpmで30分間混和した後ミソニックス超音波プローブを使い(出力9.5で)1時間超音波処理した。分散はDI水とスペクトラム・メンブレンを用いて導電率が200S未満になるまで透析瀘過して改質カーボンブラックの水性分散を作成した。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約135〜140nmであることが判明し、この分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は11908ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で1.22%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
実施例36
【0055】
改質カーボンブラックの水性分散を、実施例35に記載した手順を用いて調製し、ただしジエチレングリコールを酢酸の代わりに使用した点で異なる。ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定した平均容積粒状寸法(mV)は約135〜140nmであることが判明し、この分散が安定なインクジェット用インク組成を形成するために使用できることを示している。オリオン・イオン選択電極を用いて測定し固体ベースで表現されるナトリウム含有量は6039ppmであると判明し、元素分析で測定したリン含有量は乾燥顔料の重量比で0.78%であると判明し、付着ビスホスホン酸塩基の存在を表わしている。
比較実施例1
【0056】
実施例31に記載した手順を用いて、カーボンブラック(20g、ブラックパール(登録商標)700カーボンブラック(BP700)、キャボット社から入手可能)を2−(4−(アミノフェニル)−l−ハイドロキシエタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸1ナトリウム塩(カーボンブラックに対して1.0ミリモル/g)と混和し、これを開始材料として実施例1の試薬を調製するために使用した。これは化学式HN−A−Yを含む官能基を含まず、ここでAはO、NH、又はSだがアミノ基は含んでいる。以下実施例31の手順を用いると改質カーボンブラックの分散は形成されなかった。
比較実施例2
【0057】
実施例31に記載した手順を用いて、グラファイト(20g、粒状径20ミクロン以下の粉体、アルドリッチ社から入手可能)を2−(4−(アミノフェニル)−l−ハイドロキシエタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸1ナトリウム塩(6.9g)と混合し、これを開始材料として実施例1の試薬を調製するために使用した。これは化学式HN−A−Yを含む官能基を含まず、ここでAはO、NH、又はSだがアミノ基は含んでいる。以下実施例31の手順を用いると改質カーボンブラックの分散は形成されなかった。
比較実施例3
【0058】
カーボンブラック(20g、ブラックパール(登録商標)700カーボンブラック(BP700)、キャボット社から入手可能)をアレンドロン酸一ナトリウム塩(6.4g、カーボンブラック処理レベルに対して1.0ミリモル/g)を100gのDI水で混合し、分散のpHは水酸化アンモニウムを用いて10に調節した。アレンドロン酸一ナトリウム塩はアミノ基を含み、化学式HN−A−Yを含む官能基を含む試薬ではなく、ここでAはO、NH、又はSとする。混合物をパイレックス(登録商標)皿に入れてオーブンで120℃に加温した。2時間後、液体全部が蒸発し、得られた乾燥固形カーボンブラックに200mlのDI水を加えてから希釈NaOH水溶液でpHが9になるように調節した。シルバーソン・ミキサーで6000rpm30分間混和しミソニックス超音波プローブで超音波処理した後でも分散は形成されなかった。
実施例37〜47
【0059】
以下の実施例では、本発明のインクジェット用インク組成の調製と印刷性能特性を説明する。
実施例37〜41
【0060】
これらの実施例の各々において、改質顔料を調製するのに以下の一般的手順を用いた。各々の材料の特定の種類については以下の表3に図示してある。表3において、EBPHは実施例1で調製した試薬(純度75%)であり、pABAHは4−ヒドラジン安息香酸(アルファ・エーサー社から入手可能)である。
【表3】






【0061】
所望の黄色顔料(黄色顔料155号(PY155)はクラリアント社から入手可能なインクジェット・イエロー4G、黄色顔料213号(PY213)はクラリアント社から入手可能なインクジェット・イエローH5G、または黄色顔料185号(PY185)はBASF社から入手可能なパリオトールイエローD1155のいずれかを50g)を所望の試薬(実施例1で調製した試薬22.4g、純度75%、又は11.4gのpABAH)と混和し500mlの水に溶解した。混合物はシルバーソン・ミキサー(5000rpm)で混和しpHを10%NaOH水溶液で8.2に調節した。こうして得られた混合物をパイレックス(登録商標)皿に移し換え、皿をオーブンに入れて温度120℃に加温した。6時間後、水が完全に蒸発した。こうして得られた乾燥固形改質顔料をオーブンから取出し室温まで冷却した後、これを500mlのDI水と混合し10%NaOH水溶液でpHを9になるように調節した。シルバーソン・ミキサーで6000rpm30分混和した後、分散はミソニックス超音波プローブ(出力9.5)を使って1時間超音波処理し、DI水とスペクトラム・メンブランを用いて透過液の導電率が200S未満になるまで透析瀘過し、固形物約15%となるように濃縮して、これにより改質黄色顔料の水性分散を作成した。
【0062】
各々の分散のナトリウム顔料を、オリオン・イオン選択電極見より測定し、固形分として表現される結果も上記表3に記載した。これらの値は付着ビスホスホン酸塩官能基の存在を示している。更に、各々の分散の平均容積粒状寸法(mV)についても、ナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを用いて測定し、これについても上記表3に図示してある。これらの値は、これらの分散が安定したインクジェット用インク組成を形成するために使用可能であることを示している。
【0063】
表3に図示してある改質顔料を含むインク組成は表4に図示した処方にしたがって調製した(%は重量%を意味する)。
【表4】






【0064】
ゼロックス4200用紙にエプソンC88プリンターで画像を印刷した。ImageXpertTMを使用して各々の画像のaとb値を測定し、同様に画像の暗さパラメータ(L)も測定した。色の色度cは、パラメータc=((a*2+b*2)0.5)として定義した。色飽和度は色度ならびに暗さとと密接に相関するものでc/Lとして定義される。色飽和度の値が各々の実施例で決定され、得られた結果を図1に示した。これらの結果が示しているように、本発明に係るインクジェット用インク組成は非常に良好な色値を有する印刷画像を作成している。
実施例42〜46
【0065】
実施例42〜25について、実施例29〜32の改質顔料を各々使用して本発明に係るインクジェット用インク組成を調製した。実施例46では、改質カーボンブラックは実施例31に記載した手順を使用して調製し、ただしここではヴァルカン(登録商標)7Hカーボンブラックを使用した点で異なっている。各々の材料の特定の種類について以下の表5に図示してある。更に、各々の分散のナトリウム含有量は、オリオン・イオン選択電極を使用して測定し、これは固体量ベースで表現されており、同様に各々の分散の平均容積粒状寸法(mV)はナノトラック(登録商標)パーティクル・サイズ・アナライザーを使用して測定し、これらも表5に図示してある。
【表5】






【0066】
表5に図示した改質顔料を含むインク組成は表6に図示した処方にしたがって調製した(%は重量%を表わす)。
【表6】







【0067】
各種用紙上にキャノンi4000プリンターを使用して画像を印刷し、得られた画像の光学密度(OD)を、スペクトロアイ・スペクトルデンシトメータを使用して測定した。結果は以下の表7に図示してある。これらの図示した結果に見られるように、本発明に係るインクジェット用インク組成は非常に良好な印刷特性を有する印刷画像を作成している。
【表7】







【0068】
本発明の好適実施例についての前述の説明は図示および説明の目的のために提示したものである。これは開示された正確な態様が本発明を網羅しているか又は制限することを意図していない。上記教示に鑑みて変更および改変が可能であり、又は本発明の実施から取得することが出来る。実施例の選択および記述は本発明の原理を説明することを目的としておりこれの実際的な応用により当業者は各種実施例において本発明を使用することが可能になり企図される特定の使用に適合するような各種変更を成すことが出来る。本発明の範囲が本明細書に添付の請求項ならびにその等価物によって定義されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は本発明のインクジェット用インク組成の幾つかについて各種密度ブロックでの色飽和値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ベヒクルと少なくとも1種類の改質顔料を含むインクジェット用インク組成であって、前記改質顔料は以下の反応生成物を含む:
a)顔料と、
b)化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬、ここでYはH、C1−C12アルキル基、芳香族基、ポリマー基、又はa−C(O)A−NH官能基であり、AはO、NH、又はSとする
ことを特徴とするインクジェット用インク組成。
【請求項2】
前記顔料が非改質顔料である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項3】
前記顔料が有機発色顔料である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項4】
前記有機発色顔料は青顔料、黒顔料、茶顔料、シアン顔料、緑顔料、白顔料、バイオレット顔料、マゼンタ顔料、赤顔料、オレンジ顔料、黄色顔料、またはこれらの混合物である
ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項5】
前記有機発色顔料は少なくとも1種類の有機発色剤を含むことと、前記有機発色剤は少なくとも1種類のカルボニル官能基を含む
ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項6】
前記カルボニル官能基はケトン基、アルデヒド基、エステル基、アミド基、イミド基、無水基、又はカルボキシル酸基、又はこれらの塩である
ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項7】
前記イミド基はバルビツール酸基である
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項8】
前記顔料がカーボンブラックである
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項9】
前記カーボンブラックは7.0より大きいpH値を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項10】
前記顔料は酸化カーボンブラックである
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項11】
Yは少なくとも1種類のイオン基、少なくとも1種類のイオン化基、又は少なくとも1種類のイオン基と少なくとも1種類のイオン化基との混合物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項12】
Yは少なくとも1種類のスルホン酸基又はその塩、少なくとも1種類のカルボキシル酸基又はその塩、少なくとも1種類のアミノ基、又は少なくとも1種類のアンモニウム基を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項13】
Yは少なくとも1種類の対ビスホスホン酸基、その部分エステル、又はその塩を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項14】
Yは化学式−CQ(POを有する少なくとも一つの基、その部分エステル、又はその塩を含み、QはH,R,OR,SR,又はNRであることと、Rは同一又は異種とすることが出来、H、C1−C18アルキル基、C1−C18アシル基、アラルキル基、アルカリル基、又はアリル基である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項15】
Yは化学式−(CH)n−CQ(POを有する少なくとも1種類の基、その部分エステル、又はその塩を含み、nは1から3である
ことを特徴とする請求項14に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項16】
QはH又はC1−C6アルキル基である
ことを特徴とする請求項14に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項17】
Yは化学式−CO−Z−CH(PO又は−SO−Z−CH(POを有する少なくとも1種類の基、又はその塩を含み、ZはO、S、又はNR’でR’はH、C1−C18アルキル基、C1−C18アシル基、アラルキル基、アルカリル基、又はアリル基である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項18】
ZはNHである
ことを特徴とする請求項17に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項19】
前記試薬はアリルヒドラジンである
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項20】
前記試薬はアルキルヒドラジンである
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項21】
前記試薬はヒドラジンである
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項22】
前記改質顔料は化学式−HN−A−Yを有する少なくとも1種類の基を付着した前記顔料を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項23】
前記改質顔料は少なくとも1種類の有機基が付着した顔料を含み、前記有機基は少なくとも1種類のヒドラジド基、又は少なくとも1種類のヒドラゾン基を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項24】
前記液体ベヒクルは水性担体である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成。
【請求項25】
改質有機発色顔料であって以下の反応生成物を含む:
a)有機発色顔料と、
b)化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬とを含み、YはH、C1−C12アルキル基、芳香族基、ポリマー基、又は−C(O)A−NH基を含む基、またAは0、NH、又はSである
ことを特徴とする改質有機発色顔料。
【請求項26】
前記改質顔料は分散した態様にある
ことを特徴とする請求項25に記載の改質顔料。
【請求項27】
前記改質顔料は固体の態様にある
ことを特徴とする請求項25に記載の改質顔料。
【請求項28】
改質カーボンブラックであって以下の反応生成物を含む:
a)カーボンブラックと、
b)化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬であって、YはC1−C12アルキル基、芳香族基、ポリマー基、又は−C(O)A−NH基を含む基、ここでAはO、NH、又はSであり、Yは少なくとも1種類のイオン基、少なくとも1種類のイオン化基、又は少なくとも1種類のイオン基と少なくとも1種類のイオン化基との混合物を含む
ことを特徴とする改質カーボンブラック。
【請求項29】
前記改質顔料は分散した態様にある
ことを特徴とする請求項28に記載の改質顔料。
【請求項30】
前記改質顔料は固体の態様にある
ことを特徴とする請求項28に記載の改質顔料。
【請求項31】
改質カーボンブラックであって以下の反応生成物を含む:
a)カーボンブラックと、
b)化学式HN−A−Yを有する少なくとも1種類の試薬であって、Yはポリマー基である
ことを特徴とする改質カーボンブラック。
【請求項32】
前記改質顔料は分散した態様にある
ことを特徴とする請求項31に記載の改質顔料。
【請求項33】
前記改質顔料は固体の態様にある
ことを特徴とする請求項31に記載の改質顔料。

【図1】
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【公表番号】特表2012−528917(P2012−528917A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513929(P2012−513929)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/001593
【国際公開番号】WO2010/141071
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】