放出調節および即放性メマンチンビーズ製剤
本発明は、即放性および放出調節経口剤形を提供する。具体的には、本発明は、メマンチンを含有する放出調節および即放性医薬剤形であって、強化された放出プロファイルを示し、確実な吸収をもたらす剤形を提供する。これらの剤形は、軽度、中等度または重度のアルツハイマー病または神経因性疼痛を処置するために使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出調節および/または即放性プロファイルを示す医薬経口剤形に関する。本発明は、活性成分がメマンチンであって、標的期間の全体にわたって治療有効量のメマンチンを放出する、1日1回型の経口医薬剤形に、とりわけ適している。
【背景技術】
【0002】
固形経口薬物組成物または調製物は、例えば放出調節プロファイル(modified release profile)(USP XXV、FDA CDER、メリーランド州ロックビル)、FDAガイドライン(「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、17頁)に記載の持続放出プロファイル(extended release profile)、またはFDAガイドライン(「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms」(1997年8月発行)のSection IV−A)に記載の即放性プロファイル(immediated release profile)など、さまざまな放出プロファイルを示すように構成させることができる。
【0003】
放出調節プロファイルに関する溶出試験ガイドラインでは、材料がある期間にわたって溶出し、その溶出がこの期間中に所定の間隔で測定される。最低3時点が勧告されており、一般にそれらは溶出プロファイルの初期、中期および後期をカバーする。最後の測定は、薬物の少なくとも80%が溶出した時点以降でなければならない(Guidance for Industry、「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、17頁)。十分な試料採取が重要である:例えば、1、2および4時間時点と、その後、薬物の80%が放出されるまで2時間ごとの採取(Guidance for Industry、「SUPAC−MR: Modified Release Solid Oral Dosage Forms」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、6頁)。好ましい溶出装置は、USP装置I(バスケット)またはII(パドル)を、一般に認められている回転速度で使用したもの(例えば、バスケットの場合は100rpm、パドルの場合は50〜75rpm)である(Guidance for Industry、「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、4頁)。放出調節剤形は、長期間にわたる活性成分の放出を可能にすることにより、治療的に有効な血漿中レベルを同じく長期間にわたって維持し、服薬コンプライアンスを改善し、そして/または活性成分の他の薬物動態特性を調節すること(例えば放出の開始を遅らせること、または放出が起こる条件を変化させること)を目指す。
【0004】
溶出試験ガイドラインでは、最初の30〜60分で少なくとも80%が溶出して溶解した状態になる材料は、即放性プロファイルと認定される(「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms」1997年9月発行、Section IV−A)。したがって即放性固形経口剤形は、活性成分の大半または全てを、短期間(例えば60分以下)で放出させ、薬物の迅速な吸収を可能にする。
【0005】
例えば薬物の一部を即時に放出させてから、残りを持続放出させるなど、より具体的な治療目標を達成するために、多相放出プロファイル(すなわち、即放性構成要素と少なくとも一つの放出調節構成要素とを含有する組成物)を使って、一つまたはそれ以上の放出率の組み合わせを達成することができる。しかし活性成分の放出率の調節は、長時間持続する有効血中レベル濃度が一貫して達成されること、または薬理学的作用が薬物の放出のみに基づくこと、または薬理学的有害事象が予測可能であることを、必ずしも保証するわけではない。
【0006】
可溶性薬物の徐放性製剤を提供するために、さまざまな製剤技法が用いられてきた。そのような製剤の多くでは、薬物含有粒子または薬物担持粒子が、一つまたはそれ以上の放出遅延剤層または放出遅延剤フィルムでコーティングされるか、ポリマーマトリックスなどの連続マトリックス内に分散される。コーティング層またはマトリックスは、比較的不溶性の材料または材料群を含み、薬物の放出は、コーティング層またはマトリックスがそこを通る薬物の拡散に対して示す抵抗性または透過性によって制御される。そのような製剤からの薬物の放出は、製剤内への拡散によって、例えば胃液の浸透がもたらす薬物濃度の勾配によって、駆動される。
【0007】
一つまたはそれ以上のフィルム形成ポリマーを使って、フィルム障壁を横切る活性物質の拡散速度を制御することにより、活性物質の徐放をもたらすことができる。しかし、錠剤の場合、そのようなアプローチは、経口剤形の摂取中に、例えば咀嚼、分裂または摩耗などによってフィルムが時期尚早に破損し、その結果、過剰量の活性成分が放出されると、それが、過剰な単発薬物放出による望ましくない作用をもたらすと共に、剤形は必要な持続時間にわたって有効であり続けることができなくなるということが起こりうるので、十分に機能しない可能性がある。これは、例えば、その小さな形状ゆえに同様の機械的破壊を受けにくいであろうビーズ製剤を使用することによって、回避することができる。
【0008】
マトリックス型の放出制御アプローチでは、親油性物質、例えば高級アルコール、ロウ、または不溶性熱可塑性材料などが使用される。放出は、活性成分が周囲の媒質中に拡散する速度によって制御され、マトリックス自体が分解性である場合には、その分解速度によって制御される。欠点の一つは、マトリックス錠剤からの薬物の完全な放出が、しばしば実際には達成されないことである。もう一つの短所は、剤形の用量比例性が容易には達成されず、異なる強度には異なる組成が必要になることである。例えば、5mg徐放性錠剤剤形を製剤するためのマトリックス組成は、60mg徐放性錠剤剤形を製剤するためのマトリックス組成とは異なりうる。
【0009】
特許文献1は、メマンチンを含有する固形医薬剤形であって、薬物の一部が即時に放出された後、残りが徐放されるという持続二相放出プロファイルを示す剤形を提供するものである。この製剤のマトリックスは、カゼインの水溶性塩と水不溶性塩(好ましくはカゼインナトリウムとカゼインカルシウム)をどちらも含有する。しかし、カゼインは不快な味を持ち、特許文献2に開示されているようにいくつかの副作用の悪化と関連し、さまざまなpHで不安定性を示す。カゼインは動物由来の乳タンパク質であるため、カゼインに関するもう一つの懸念は、牛海綿状脳症(BSE)汚染の可能性である。
【0010】
N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストの放出調節剤を製造する一般方法が、特許文献3に記述されている。この方法では、最終製剤に到達するために、即放性構成要素と放出調節構成要素とを製造する。この特許には、コーティングされたコア(このコーティングは有機溶媒に基づく系を用いる任意の適切なコーティングである)からなるペレットが開示されている。この特許は、放出率がTmax(最高血漿中濃度到達時間)にどのような影響を及ぼすかを開示していないし、この手法がどのように用量比例的な製剤をもたらすかも教示していない。特許文献1および特許文献3には、即放性構成要素を組み込んだ持続二相放出プロファイルが記述されている。
【0011】
現在、メマンチンは、即放性錠剤を使って、1日2回の投与レジメンが使用されている。薬物を服用する頻度が増えるにつれて患者のコンプライアンスが低下するので、このようなレジメンは最適ではない。さらにまた、経口投与後に、メマンチンは完全に吸収される(ほぼ100%の絶対バイオアベイラビリティ)。したがって、即放性錠剤の投与により、速い吸収速度に起因する有害な薬理学的事象の頻度が高まりうる。アルツハイマー病の処置におけるメマンチンの使用に関する現在のガイドラインでは、メマンチンを5mg/日の開始用量として投与し、用量を毎週5mgずつ増やして20mg/日の用量まで上昇させることが勧告されている。放出調節製剤により、メマンチンの使用に関連する懸念の一部に対処することができる。
【特許文献1】米国特許第5,382,601号明細書
【特許文献2】米国特許第6,413,556号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,000号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
メマンチンまたはメマンチンの薬学的に許容できる塩を含有する1日1回型の放出調節および/または即放性製剤であって、標的期間の全体にわたって確実な吸収をもたらすものは、現に必要とされ続けている。したがって本発明は、メマンチンを含有する放出調節および/または即放性医薬剤形であって、強化された放出プロファイルを示し、確実な吸収をもたらすものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、メマンチンおよびその塩(塩酸塩および他の薬学的に許容できる塩を含む)は、確実な吸収とそれゆえに改善された認容性とを持つ放出調節型、および用量比例的なバイオアベイラビリティを持つ即放型に製剤化しうることが、ここに見出された。
【0014】
本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、約5時間以上の平均Tmax、約100ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。一部の実施形態において、本経口剤形は、約75ng/ml未満(好ましくは約50ng/ml未満)のCmaxを与える。別の実施形態において、本経口剤形は、約500ng・h/mlを上回る(好ましくは約1000ng・h/mlを上回る、より好ましくは約2500ng・h/mlを上回る)平均AUC0−∞を与える。
【0015】
別の実施形態によれば、本発明は、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、それを必要とする患者に投与された場合、約24時間にわたって治療効果を与え、有害事象の発生の減少をもたらす剤形を提供する。
【0016】
一部の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコアと、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分とを含み、その剤形が、約2.5%未満の付加物を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形を提供する。さらなる代表的実施形態において、各ビーズは、不活性コア;コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含むと、特徴づけることもできる。
【0017】
代表的実施形態において、そのような即放性経口ビーズ剤形は、複数のビーズを含み、各ビーズは、約1μm〜約1000μmの範囲の直径を持つ不活性コア;および前記不活性コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含み、その剤形は前記剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンを含有し、前記剤形は約2.5%未満を示し、かつ前記剤形は、使用環境への前記剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る溶出率を持つことができる。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコア、および剤形1g当たり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分、ならびに放出調節ポリマー層を含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満であるような剤形を提供する。さらなる代表的実施形態において、各ビーズは、不活性コア;コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含むと、特徴づけることもできる。
【0019】
代表的実施形態において、そのような放出調節ビーズ剤形は、複数のビーズを含み、各ビーズは、約1μm〜約1000μmの範囲の直径を持つ不活性コア;前記不活性コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含み、その剤形は、前記剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチン;メマンチン−結合剤コーティング上に適用された中間シールコーティング;およびシールコーティング上にコーティングされた放出調節ポリマー層を含有し、前記剤形は、約6時間〜約12時間以内に約70%〜約80%という溶出率を持ち、Cmaxは約60ng/ml未満であることができる。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、即放性構成要素が第1の複数ビーズを含み、各ビーズが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%が、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ、放出調節構成要素が第2の複数ビーズを含み、各ビーズが、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%が、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形を提供する。
【0021】
<発明の詳細な説明>
本発明によれば、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つ(好ましくはそのHCl塩)をヒトに投与するための経口剤形が提供され、その組成物は固形経口剤形中にメマンチンを含む。特に、本発明の薬学的組成物は、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つの即放性および/または放出調節組成物に関する。
【0022】
メマンチンの即放性および放出調節製剤は、米国特許出願第11/155,319号(US2006/0002999として公開)および米国特許出願第11/155,330号(US2006/0051416として公開)に開示されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0023】
本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、約8時間以上の平均Tmax、約100ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。
【0024】
一部の実施形態によれば、本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜50mgのメマンチンまたはその塩を含み、約5時間以上の平均Tmax、約50ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、経口剤形が、約75ng/ml未満(好ましくは約50ng/ml未満)のCmaxを与える。別の実施形態では、経口剤形が、約500ng・h/mlを上回る(好ましくは約1000ng・h/mlを上回る)平均AUC0−∞を与える。
【0026】
別の実施形態によれば、本発明は、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、有害事象の発生の減少をもたらす剤形を提供する。
【0027】
1−アミノ−シクロヘキサンの類似体(例えば米国特許第4,122,193号;同第4,273,774号;同第5,061,703号に開示されている)であるメマンチン(1−アミノ−3,5−ジメチルアダマンタン)は、受容体に対する低〜中等度のアフィニティおよび強い電位依存性および迅速な遮断/遮断解除速度を持つ、全身活性不競合的NMDA受容体アンタゴニストである。これらの薬理学的特徴により、メマンチンは、病的状態における受容体の持続的活性化を遮断すると共に、チャネルの正常な生理学的活性化時には、NMDAチャネルを迅速に離れることができる。メマンチンおよび薬学的に許容できるその塩(例えばHCl塩、MW 215.77)は、米国では、アルツハイマー病の処置に承認されている。現在、神経因性疼痛の適応(インビトロモデルでメマンチンは活性であることが実証されている)について、メマンチンの承認が求められており、米国以外では、アルツハイマー病にもパーキンソン病にも、経口製剤として、現在承認されている。
【0028】
本発明によれば、メマンチンを、好ましくは、薬学的に許容できる塩の形で使用することができる。この化合物の適切な塩として、酸付加塩、例えば塩酸、メチルスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、および2−アセトキシ安息香酸などによって形成されるものが挙げられるが、これらに限るわけではない。好ましい一実施形態において、塩は、メマンチン塩酸塩(C12H21N・HCl、MW 215.77)である。「塩」という用語は、遊離酸または遊離塩基の付加塩も包含することができる。これらの塩(または他の類似の塩)は全て、通常の手段によって製造することができる。そのような塩は全て、それらが無毒であり、望ましい薬理活性を実質的に妨害しない限り、許容することができる。
【0029】
また、メマンチンの任意の塩型および遊離塩基型(メマンチンの多形体、水和物および溶媒和物、ならびに無定形型を含む)を使用することが可能である。本明細書における以下の説明および本願請求項で使用する用語「メマンチン」は、その遊離塩基および薬学的に許容できる塩の両方を包含するとみなされる。本発明の好ましい実施形態では、活性成分がメマンチン塩酸塩である。
【0030】
一部の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を持つコアを含み、そのコアが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含み、その剤形が、約2.5%未満の付加物を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形を提供する。好ましい実施形態では、溶出率が30分以内に約80%を上回る。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、経口剤形が複数のビーズを含み、各ビーズはコアとメマンチンを含む活性成分とを含む。適切なIRビーズ型メマンチンは、単に、可溶性構成要素、例えば糖類(例:スクロース、マンニトールなど)、ポリマー(例:ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、クレモフォア(chremophor)、ツイーン(tween)、スパン(span)、プルロニック(pluronic)など)、不溶性流動促進剤構成要素(微結晶セルロース、リン酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカなど)、コーティング材(適切なコーティング材の例はポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ロウ、脂肪酸などである)、適切な材料(ロウ、ポリマー、薬学的に許容できる油、可溶性薬剤などが、その例である)中の分散系、または上記の組み合わせと混合されたメマンチンの粒子であることができる。
【0032】
一部の実施形態によれば、本発明において考えられるコアとして、糖スフェア(sugar sphere)(ノンパレイユシード(nonpareil seed))、微結晶セルロース、またはマンニトールなどが挙げられるが、これらに限るわけではない。好ましくは、コアは、糖スフェア USP(Paulaur、ニュージャージー州クランバリー)である。コアの粒径は、約1μm〜約1000μm、好ましくは約300μm〜約900μm、より好ましくは約450μm〜約825μmの範囲にある。代表的な実施形態では、コアと活性成分の間の相互作用を避けるために、コアをコーティングしてもよい。例えば、適切なコーティング材料として、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ロウ、脂肪酸などが挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0033】
ある実施形態では、スフェアが、約100mg/g〜約950mg/g、好ましくは約550mg/g〜約850mg/gの範囲で、剤形の一部を構成する。もう一つの実施形態では、スフェアが、620mg/g〜約930mg/g、好ましくは約700mg/g〜約850mg/gの範囲で、剤形の一部を構成する。剤形中に追加構成物質を使用する場合、ビーズの割合は、その量に依存することになる。
【0034】
コアは、メマンチン、好ましくはメマンチン塩酸塩でコーティングされる。ある実施形態では、メマンチンHClが、IRビーズ全体の重量に対して、約15mg/g〜約350mg/g、好ましくは約50〜300mg/gの量で存在する。別の実施形態では、メマンチンが、約15〜300mg/g、好ましくは約25〜約250mg/gの量で存在する。
【0035】
好ましい一実施形態では、コアをメマンチンでコーティングする前に、結合剤と流動性促進剤との混合物にメマンチン塩酸塩を加える。流動性促進剤は、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカから選択することができるが、これらに限るわけではない。流動性促進剤は、1.5mg/g〜約35mg/g、好ましくは約1.5mg/g〜約30mg/g、より好ましくは約2.5mg/g〜約25mg/gの範囲の量で使用することができる。もう一つの実施形態では、流動性促進剤の好ましい範囲が約5mg/g〜約30mg/gである。
【0036】
結合剤は、ポビドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Opadry)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはそれらの組み合わせから選択することができるが、これらに限るわけではない。結合剤がHPMCである実施形態では、結合剤が約15mg/g〜約30mg/g、好ましくは約15mg/g〜約25mg/gの範囲の量で存在する。結合剤がポビドンであるもう一つの実施形態では、結合剤が約1.5mg/g〜約35mg/g、好ましくは約5mg/g〜約30mg/gの量で存在する。
【0037】
以下の表に本発明の代表的実施形態の一つを記載する。
【0038】
【表1】
活性成分と結合剤/水/流動性促進剤の混合物は、例えば撹拌機を使って、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも1時間混合することによって、製造することができる。構成要素は、調合、混合、溶解および蒸発を含む方法によって、または懸濁液を使って、混和することもできる。
【0039】
活性成分/結合剤/不活性物質混合物を、コア上に沈着させ、湿塊化し、押し出すか、造粒するか、噴霧乾燥することができる。ある実施形態では、混合物の適用に先だって、糖スフェアを約40℃〜約55℃の範囲の温度に予熱する。場合により、活性薬物層を適用する前に、約2%w/w〜約10%w/wのシールコーティングでコアをコーティングしてもよい。シールコーティングは、活性成分をコアから分離することができる適用可能な任意のコーティング、例えば、Eudragit(登録商標)、HPMC、HPC、またはそれらの組み合わせなどのポリマーコーティングであることができる。このことからも、本発明の組成物にとっては、溶出安定性(すなわち高温への曝露後の溶出プロファイルの維持)が重要である。
【0040】
ある実施形態では、当技術分野で公知の流動層コーター、例えばGlatt Powder Coater and Granulator、GPCG3(Ramsey、ニューヨーク州)などを使って、糖スフェアをコーティングする。気流速度、噴霧速度、および噴霧圧などのコーティング条件は、通例、当業者に知られ、認識されているとおりに制御される。製品の温度範囲は約43℃〜約51℃の範囲をとりうる。気流速度は約5〜約9m/sの範囲をとりうる。噴霧速度は約9〜約42g/分の範囲をとりうる。噴霧圧は好ましくは約1.5〜約2.0バールの範囲である。次に、ビーズを、コーティング装置の流動層中、約45℃〜約50℃の温度で、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも15分間、より好ましくは少なくとも30分間、乾燥する。多くの代替稼働条件およびさまざまなタイプの設備を同様に使用できることは、当業者にはわかるだろう。
【0041】
コーティングされた薬物を含有するコアとしてIRビーズが形成されたら、場合により、そのビーズをシールコーティングでコーティングしてもよい。シールコーティングは、pH依存性またはpH非依存性になるように設計することができるポリマーまたはポリマーの組み合わせであることができる。好ましい一実施形態では、シールコーティング用のポリマーが、HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE(例えばNE 30DまたはNE 40D)、および上記の二つ以上の組み合わせから選択されるが、これらに限るわけではない。これらのポリマーは水性媒質に不溶であるが、水性の液体と接触するとpH非依存的な膨潤を示す。もう一つの実施形態では、好ましくは5を上回るpHで可溶なpH依存性ポリマーで、IRビーズをコーティングする。IRビーズ製剤中に、シールコーティングポリマーは、約0%w/w〜約40%w/w、好ましく約0%w/w〜約10%w/w、より好ましくは約0%w/w〜約3%w/wの範囲の量で存在する。
【0042】
あるいは、美感、取扱い、または安定性のために、IRコアを速崩壊性または速溶解性コーティングでコーティングしてもよい。適切な材料は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、遊離アミノ基を含有するポリメタクリレートであり、それぞれに、可塑剤を含んでも含まなくてもよく、粘着防止剤または増量剤を含んでも含まなくてもよい。一般に、このサイズ範囲の場合、コアの重量の約3%をコーティング材料として添加すれば、連続的な被膜が得られると考えられる。
【0043】
以下の表(表2)に、被覆ビーズ製剤に使用される構成要素と共に、本発明の代表的な実施形態を示す。
【0044】
【表2】
別の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を持つコア(このコアは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含む)と、放出調節ポリマー層とを含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満であるような剤形を提供する。
【0045】
本発明の放出調節(MR)ビーズは、まず最初に、コア、活性成分層、およびシールコーティングを持つ上述のIRビーズとして製造することができる。次に、そのIRビーズを、放出調節ポリマー分散液の形をしたMR構成要素で、そして好ましくは、美感、取扱い、または安定性のために、ポリマーの追加トップコートで、コーティングすることができる。カプセル剤などの最終剤形は、その組成物の望ましい用量に応じて、異なる量のビーズを含有することができる。
【0046】
ポリマー分散液は、水を、エチルセルロース(Surelease(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)、メタクリレート(Eudragit(登録商標)、Rohm Pharma、ニュージャージー州)、およびメタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl−eze(登録商標)、インディアナ州インディアナポリス)から選択されるポリマー(ただしこれらに限るわけではない)と混合することによって製造される。ある実施形態では、分散液を、少なくとも15分、好ましくは少なくとも30分、混合する。
【0047】
結合剤およびマトリックスポリマーは異なる溶出安定性を持つので、結合剤およびポリマー組成物は、溶出不安定性が低減または排除されるように、特定の組み合わせで選択される。どのポリマー分散液が好ましいかは、どの結合剤を使用するかに依存する。結合剤がポビドンである一実施形態では、ポリマーコーティングがエチルセルロースである。結合剤がHPMCであるもう一つの実施形態では、ポリマーがメタクリレートまたはメタクリル酸である。メタクリレートをポリマーとして使用する場合は、ポリマーにクエン酸トリエチルを加える。フルイダイザーの使用後は、ビーズを再び乾燥させる。さまざまな構成要素の具体的な量を表3〜7に開示する。
【0048】
最終オーバーコーティング(またはトップコート)を、好ましくは、ビーズまたはペレットに重層する。オーバーコーティングは、HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニ州)、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E 12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NEおよびそれらの混合物から選択されるポリマーであることができるが、これらに限るわけではない。表3〜7は、本発明の代表的な実施形態を示すものである。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
MRビーズからの薬物溶出は、ポリマー層を横切るバルク媒質の浸透と薬物の拡散によって起こり、そしてそれらは、ポリマーの浸透性および膨潤性によって制御される。放出調節ビーズは、即放性錠剤剤形と比較して、本質的に、生物学的に同等なAUCと、即放性錠剤(表8)に対して少なくとも25%の低下したCmaxとを持つ。放出調節ビーズは、良好な認容性を示し、広い投薬量範囲にわたって投与することができる。Cmax(最高血漿中濃度)は、単回投与として投与した場合、即放性錠剤の約85%未満である。AUC(曲線下面積、バイオアベイラビリティの尺度)は、単回投与として投与した即放性錠剤の75%〜130%の範囲にある。この範囲は生物学的に同等であるとみなされる。
【0059】
放出調節製剤のビーズはその全てが直ちに放出するわけではない。これは、ドーズダンピング(dose dumping)を防止し、有害事象を減少させるために重要である。調節型ビーズ製剤では、平均Tmax(最高血漿中濃度到達時間)が、約5〜約48時間、好ましくは約5〜約36時間の範囲である。これらのビーズは、約6〜約12時間で約70%〜約80%を上回るインビトロ放出率を持つ。好ましくは、これらの製剤は、約2〜約6時間で約30%〜約60%の放出率を持つ。より好ましくは、これらの製剤は、使用環境への移行後、最初の1時間以内に約10〜約50%という放出率を持ち、その後に持続放出が起こる。さらに好ましくは、これらの製剤は、最初の1時間以内に約10〜約35%という放出率を持つ。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、即放性構成要素が第1の複数ビーズを含み、各ビーズが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%が、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ、放出調節構成要素が第2の複数ビーズを含み、各ビーズが、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%が、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形を提供する。
【0061】
複合剤形を組み合わせて単相または多相プロファイルを持つ単一の剤形にすることができる。組成物中の活性成分(例えばメマンチン塩酸塩)は、1回量あたりのmg数として示すと、1回量あたり約2.5mg〜約100mgの範囲の量で存在しうる。好ましくは、各用量は2.5mg〜80mgの活性成分を含有する。別の実施形態では、用量が3、6、7、14、20、21、28、または60mgである。
【0062】
IR構成要素およびMR構成要素を含む組成物は、本発明の組成物の約5〜90%、好ましくは10〜60%の量のメマンチンを、即放性型として含みうる。約15%〜50%の即放性メマンチン含量は特に好ましい。放出制御型のメマンチンは、活性成分の残りの部分を構成しうる。結果として、最終組成物は、投与後直ちに放出するためのメマンチン量と、徐放/放出調節用の追加量とを与える。本発明の組成物は、使用する活性成分、IR構成要素とMR構成要素の相対量、およびMR構成要素の溶出特性に依存して、どの1回の投薬期間中にも、二つ以上のピークを、血漿中濃度/時間曲線中に示しうる。このようにして、特有の放出プロファイルを持つ組成物を達成することができる。
【0063】
IR構成要素およびMR構成要素を含む組成物には、当技術分野で公知の任意の固形経口剤形が含まれる。本発明で使用される好ましい固形剤形にはビーズが含まれる。ビーズは用量比例的である。すなわち、同じ比率の異なるタイプのビーズを、ある期間に放出される薬物の百分率を有意に変化させずに、異なる用量に使用することができる。例えば40mg用量は、同じバイオアベイラビリティで、薬物を20mg用量の2倍送達することになる。異なるビーズ量を使用することによって異なる用量が得られる。またビーズは、異なる溶出特性を持つ1タイプまたはそれ以上のビーズを混合することによって、または当業者にはよく知られているように、ポリマー層への追加薬物レイヤリングおよびその後のコーティングによる単位ビーズ(unitary beads)の製造など、多層コーティングを使用することによって、さまざまな溶出プロファイルを可能にする。またビーズは、広範囲にわたる薬物担持量を可能にする。例えば、メマンチンビーズは、剤形1gあたり500mgまで、ビーズに担持させることができる。薬物担持量が多いほどカプセルサイズを小さくできることは、当業者にはわかるだろう。
【0064】
即放性製剤と比較して最高血漿中濃度到達時間(Tmax)を延ばすことは、使用環境における薬物の放出率に関連づけられる。薬物の放出率は、固形剤形の組成および溶出特性を含む多くの因子に依存する。単位ビーズまたは複数のビーズタイプの組み合わせを含有する異なる組成物を使用することにより、それらの個々の放出率を組み合わせて、所望の血漿放出プロファイルを得ることができる。異なる放出特徴を持つビーズは、得られるビーズに異なる放出特徴が付与されるように、放出調節ポリマーならびに放出調節ポリマーと結合剤との組み合わせを選択することによって達成することができる。腸溶性コーティングなどのオーバーコートも、所望であれば使用することができる。
【0065】
ビーズまたはビーズ混合物は、例えば懸濁液として、またはカプセルに充填して、または錠剤に圧縮して、または分包に充填して使用することができる。1タイプまたはそれ以上の放出調節ビーズを一つに混合して、カプセルに封入するか、対象の食物へのふりかけ(sprinkle)として使用することができる。本発明によれば、経口剤形はこれらの形態のいずれであってもよい。好ましくは、剤形はカプセル剤である。
【0066】
本発明の一実施形態では、カプセル化装置を使って、ビーズをカプセル剤に製剤する。標的製剤の強度および充填重量に対応するために、さまざまなカプセルサイズが必要になりうる。カプセルサイズは、約15mg〜約630mgの範囲の充填重量の場合、00〜5の範囲になる。
【0067】
剤形中のIRビーズ構成要素およびMRビーズ構成要素の粒径は、それらを製造するために使用する技術に依存する。粒径は、粉末技術(混合物、噴霧乾燥、分散系など)の場合のサブミクロン〜500μmから、コーティング技術(Wurster(登録商標)、トップスプレー、ボトムスプレー、噴霧乾燥、押出、レイヤリングなど)の場合の5〜1700μm、錠剤化技術の場合の1〜40mmに及ぶ。
【0068】
本発明によれば、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つ(好ましくはそのHCl塩)をヒトに投与するための経口剤形が提供される。本発明の経口剤形はCNS障害の処置、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、AIDS痴呆(米国特許第5,506,231号、同第5,061,703号、および同第5,614,560号;Parsonsら, Neuropharmacology 1999 Jun; 38(6):735−67も参照されたい)、神経因性疼痛(米国特許第5,334,618号)、脳虚血(米国特許第5,061,703号)、てんかん、緑内障、肝性脳症、多発性硬化症、脳卒中、うつ病(米国特許第6,479,553号)、遅発性ジスキネジー、マラリア、ボルナウイルス、C型肝炎(米国特許第6,034,134号および同第6,071,966号)などの処置(ただしこれらに限るわけではない)に適している。その処置にメマンチンが適している他の病態は、米国特許第5,614,560号および同第6,444,702号に開示されている。特に興味深いのは、不断の疼痛緩和をもたらす能力である。したがって本発明はさらに、ヒトまたは動物対象におけるCNS障害を治療的または予防的に処置するための方法であって、そのような処置を必要とする対象に、本発明の組成物を、CNS障害を処置するのに有効な量で投与することを含む方法も提供する。
【0069】
<定義>
本発明に関し、「徐放(sustained release)」または「放出調節(modified release)」とは、治療活性剤の放出が長期間にわたって起こり、その結果、ピーク血漿中濃度が低下することを意味し、かつ/または「即放性(immediate release)」と比較して長いTmaxを示す。例えば、放出調節組成物は約5時間以上の平均Tmaxを持ちうる。
【0070】
「溶出要件」という用語は、USP XXVに指定されている設備および手法を使って試験し、個々の治療活性剤に関してUSP XXVの個別のOfficial Monographに従って行った場合に得られる、ビーズの溶出率を意味する。
【0071】
本明細書にいう「付加物形成」とは、ある組成の特定の製剤における、固相反応による化合物の形成を指す。化合物に関して、一般用語「付加物」は、付加化合物とも呼ばれ、二つまたはそれ以上の異なる化合物の直接結合によって生じる。例えば本発明において、ラクトース付加物形成(または他の還元糖)は、ラクトース(または他の還元糖)を含有する製剤で起こりうる。そのような付加物形成は、製品の効力を損ない、他の副作用のリスクを増加させる。
【0072】
「治療有効量」とは、ある状況、障害または状態を処置するために哺乳動物に投与した場合に、処置(以下に定義する)を達成するのに十分であるような、化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに処置を受ける哺乳動物の年齢、体重、身体状態および応答性に依存して変動するだろう。本発明によれば、ある実施形態では、メマンチンの治療有効量が、アルツハイマー病またはパーキンソン病を含むCNS障害の処置に有効な量である。もう一つの実施形態では、治療有効量が、神経因性疼痛、または他の有痛性状態、例えば内臓過敏などの処置に有効な量である。他の用途には、例えば痴呆、うつ病、および神経因性疼痛の処置などがあるが、これらに限るわけではない。薬理作用に関する薬物の有効量、それゆえにカプセル強度は、疾患そのものに依存し、例えばアルツハイマー病では、患者にまず5mg用量を与え、投薬量を10mg、1日2回まで、徐々に増加させる。臨床試験で評価された追加用量には40mg/日が含まれる。本発明では、例えば、調節型固形剤形によるアルツハイマー病処置において、患者は、まず最初に2.5mgが与えられて、80mgまで増量され、より好ましくは、まず最初に1日1回、7mg〜33mgが与えられる。また、IR剤形では約4〜5段階に増量して与えられる。放出調節剤は、認容性に優れているので、3〜4段階に増量して与えることができる。
【0073】
「薬学的に許容できる」という用語は、動物またはヒトにおけるインビボ使用に生物学的または薬学的に適合することを意味し、好ましくは、動物(より具体的にはヒト)における使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の広く認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0074】
本明細書で使用する「処置する」という用語は、その全ての動詞形において、本明細書では、対象における障害の少なくとも一つの症状を緩和または軽減することを意味するために使用され、その障害には、例えば疼痛、アルツハイマー病、血管性痴呆、またはパーキンソン病などが含まれる。「処置する」という用語は、与えられた刺激(例えば圧力、組織傷害、低温など)に応答して対象が経験する障害の症状発現の強さおよび/または持続時間を緩和または軽減することを意味しうる。例えば痴呆に関して、「処置する」という用語は、認知障害(例えば記憶および/または見当識の障害)または全体的機能(日常生活動作、ADL)の障害を緩和または軽減すること、および/またはADLまたは認知の漸進的劣化を減速または逆転させることを意味しうる。本発明において、「処置する」という用語は、ある疾患を停止させ、ある疾患の発症(すなわち、ある疾患の臨床的症状発現までの期間)を遅延させ、そして/またはある疾患の発生または悪化のリスクを減少させることも意味する。「保護する」という用語は、本明細書では、対象における疾患の発生または継続または憎悪を適宜、予防、遅延もしくは処置すること、またはその全てを意味するために使用される。本発明に関して、痴呆はCNS障害に関連し、例えばアルツハイマー病(AD)、ダウン症候群および脳血管性痴呆(VaD)などの神経変性疾患を含むが、これらに限るわけではない。「処置」という用語は、上に定義した「処置する」行為を意味する。
【0075】
本明細書で使用する「用量比例的」という用語は、薬物の用量とそのバイオアベイラビリティの間の関係を指す。例えば、2倍量の同じ組成物が、2倍量の薬物を送達し、その剤形の1回量と同じバイオアベイラビリティ(例えばAUC)を与えるのであれば、用量比例性が存在する。本発明の用量比例性は、本明細書で詳しく議論するように、広い用量範囲に当てはまる。
【0076】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に関して許容することができる誤差範囲内を意味し、それは一つにはその値が測定または決定される方法(すなわち測定システムの制約)に依存する。例えば「約」は、当技術分野の慣例によれば、1(またはそれ以上の)標準偏差以内を意味しうる。あるいは、組成物に関して「約」は、±20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたは生物学的過程に関して、この用語は、ある値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値を本願および請求項に記載する場合、別段の表示がない限り、「約」という用語は、その特定の値に関して許容することができる誤差範囲内を意味する。例えば、期間(例えば時間)に言及する場合には、これらの値(±20%)は、より一層、妥当である。したがって6時間は、通常の6時間だけでなく、例えば4.8時間、5.5時間、6.5時間、7.2時間であることができる。
【0077】
「使用環境への移行」という用語は、本発明の製剤が、それを投与された患者の胃液もしくは腸液、または胃液の模倣を意図した液と接触することを意味する。本明細書にいう「使用環境」とは、その薬物の主要吸収部位と目される胃または消化管の他の部分を指す。
【0078】
本明細書で使用する「類似性因子(similarity factor)」またはf2因子という用語は、二つの異なる製品の溶出プロファイルを比較する方法の一つを指す(「Multisource Pharmaceutical Products: Guidelines on Registration Requirements to establish Interchangeability, Quality Assurance and Safety: Medicines, Essential Drugs and Medicines Policy」世界保健機関、1211 Geneva 27、スイス)。このモデル非依存的な数学的アプローチは、二つの製品、すなわち試験品および基準品(または二つの強度、または同じ製造者による承認前製品および承認後製品)の溶出プロファイルを比較する。試験は同じ試験条件下で行うように勧告されている。両プロファイルに関する溶出時点は、例えば即放性製品の場合であれば10、15、30、45、60分など、持続放出製品の場合であれば1、2、3、5および8時間などと、同じにすべきである。基準製品の85%溶出後は、1時点だけを考慮すべきである。50以上(50〜100)のf2値は、二つの曲線(したがって二つの製品の性能)の同一性または同等性を保証する。類似性因子f2は、式:
f2=50 log{[1+(1/n)t=1n(Rt−Tt)2]−0.5 100}
を使って算出すべきである(式中、RtおよびTtは、それぞれ比較(基準)および(試験)製品の、選択したn時点のそれぞれにおける、溶出した薬物の累積百分率である)。非常に迅速に溶出する製品(すなわち15分以下で85%を上回る溶出)の場合、プロファイル比較は必要ない。強度の相違が活性部分を含有するビーズの数だけにある持続放出ビーズカプセルについては、一つの勧告試験条件下での溶出プロファイル比較(f2≧50)があれば、BE試験免除(biowaiver)に十分である。一方、持続放出錠剤については、薬物製品が強度の異なる同じ剤形であり、その活性および不活性成分の比率が類似していて、同じ薬物放出機構を持っている場合に、勧告された試験方法により三つの多様なpH緩衝液(pH1.2〜7.5)で類似する溶出プロファイル(f2≧50)を示すのであれば、低い方の強度について、BE試験免除の認可を受けることができる。
【0079】
本明細書において使用する「溶出安定性」という用語は、さまざまな温度および湿度条件において異なる貯蔵期間で得られる溶出プロファイルの類似性(初期と比較して50を上回る類似性因子)を指す。
【0080】
「実質的に同じ溶出安定性」という用語は、基準溶出プロファイルと比較して50を上回る類似性因子f2を意味する。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本発明の単なる例示であって、決して本発明の範囲を限定するとみなしてはならない。というのも、本明細書を読めば、本発明に包含される多くの変形および等価形態が、当業者には明らかになるだろうからである。
【0082】
<実施例1>メマンチンHCl担持ビーズ型(非MR)の製造
本実施例では、結合剤としてポビドンを使って即放性メマンチン塩酸塩担持ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン)
撹拌機を使って、ポビドン USPを、完全に溶解するまで、水と混合する。ポビドン溶液を含む容器にメマンチンHClを加え、少なくとも15分間混合する。タルク USPを加え、少なくとも半時間は混合を続ける。
2.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
GPCG3(Glatt Fluid Air、ニュージャージー州ラムゼイ)などの流動層コーターを使って、予熱した糖スフェア USPをメマンチンHCl懸濁液の層でコーティングする。コーティングは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜42g/分
噴霧圧=1.5〜2.0バール。
【0083】
コーティングされたビーズを流動層中で5分間乾燥する。次にビーズを排出し、適当な容器に貯蔵する。ビーズは薬物レイヤリング懸濁液でコーティングされる。固形物の量、すなわちコアの重量増加は、処方中の固形物に依存する。
【0084】
<実施例2>メマンチンHCl担持ビーズ型の製造
本実施例では、結合剤としてHPMCを使って即放性メマンチン塩酸塩担持ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)
撹拌機を使って、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を、完全に溶解するまで水と混合することにより、Opadry(登録商標)溶液を生成させる。Opadry(登録商標)溶液を含む容器にメマンチンHClを加え、少なくとも15分間混合する。タルク USPを加え、少なくとも半時間は混合を続ける。
2.シールコーティング溶液およびオーバーコーティング溶液の製造
撹拌機を使って、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を、完全に溶解するまで水と混合することにより、7%w/w溶液を得る。
3.Opadryを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
GPCG3(Glatt Fluid Air、ニュージャージー州ラムゼイ)などの流動層コーターを使って、糖スフェア USPをメマンチンHCl懸濁液の層でコーティングする。コーティングは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合)。
【0085】
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜42g/分
噴霧圧=1.5〜2.0バール。
【0086】
コーティングされたビーズを流動層中、45〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。ビーズは薬物レイヤリング懸濁液でコーティングされる。固形物の量、すなわちコアの重量増加は、処方中の固形物に依存する。
【0087】
<実施例3>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、水性エチルセルロース分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.エチルセルロース分散液の製造(Surelease(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)
撹拌機を使ってSurelease(登録商標)を水と少なくとも15分間混合することにより、15%w/w分散液を得る。
3.Surelease(登録商標)ポリマーによるコーティング
Glatt fluid Air(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズをエチルセルロース分散液(Surelease(登録商標))でコーティングする。これは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=38〜45℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=3%w/w。
【0088】
コーティングされたビーズを流動層中、45℃〜50℃の入口温度で5分間乾燥する。
【0089】
<実施例4>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、Eudragit(登録商標)(Rhom Pharma、ニュージャージー州)分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液の製造
30%w/w水性分散液であるEudragit(登録商標)RS 30DおよびRL 30Dを計量し、適切な混合タンク中、95対5の比率で合わせ、メカニカルスターラーを使って15分間撹拌する。そのEudragit(登録商標)混合物にクエン酸トリエチル(TEC)を加えて、15分間混合することにより、均一な分散液を得る。タルク USPを計量し、もう一つの適切な混合タンクに入っている精製水にゆっくりと移し、少なくとも30分間は撹拌することにより、均一な分散液を得る。そのタルク分散液をEudragit(登録商標)/TEC混合物に加えて、少なくとも30分間撹拌することにより、均一な分散液を得る。次に、その分散液を、#60(250μm)のふるいに通すことによって、篩分する。
3.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液を用いるポリマーコーティング:
Glatt Air Techniques(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズを、Eudragit(登録商標)RS/RL分散液でコーティングする。コーティングは以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=22〜27℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=6%w/w。
【0090】
ポリマーコーティングされたビーズを、流動層中、22〜30℃の入口温度で、30分間乾燥する。
【0091】
<実施例5>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、メタクリル酸コポリマー分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))の製造
撹拌機を使って、Acryl−Eze(登録商標)を水と少なくとも30分間混合した。
3.メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))を用いるポリマーコーティング
Glatt Fluid Air(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズを、メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))でコーティングする。コーティングは以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=26〜34℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=30%w/w。
【0092】
コーティングされたビーズを、流動層中、45℃〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。溶出率を図13に示す。
【0093】
<実施例6>メマンチンHCl調節放出ビーズ剤形のシールコーティングおよびオーバーコーティング
本実施例では、メマンチン塩酸塩放出調節ビーズをシールコーティングおよびオーバーコーティングする工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1〜6の一つ以上に従って製造した。
2.シールコーティングおよびオーバーコーティング
以下の工程パラメータを使って、薬物担持ビーズを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの層で、さらにシールコーティングすることができる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜16g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール。
【0094】
同様に、ポリマーコーティングされたビーズを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))でさらにオーバーコートすることにより、2%w/wの重量増加を得ることができる。コーティングされたビーズを、流動層中、45〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。
【0095】
<実施例7>メマンチンHCl IRビーズの製剤−ポビドン USPを使用
この実施例では、結合剤としてポビドン USPを用いるメマンチンHCl即放性ビーズ100mg/gおよび171mg/gの製剤を示す。
【0096】
【表13】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン)
2.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング。
【0097】
これらのビーズに関する溶出データを図1に示す。図4において、IRビーズとリリース(Release)1ビーズとの溶出の比較は、約26の類似性因子F2しか示さない。これは、放出プロファイルが実質的に異なることを意味し、放出調節が3%のコーティングレベルで達成されることを示している。
【0098】
<実施例8>メマンチンHCl IRビーズの製剤−Opadry Clearを使用
この実施例では、結合剤としてOpadry(登録商標) Clearを用いるメマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す(157mg/g)。
【0099】
【表14】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造−結合剤−HPMC(Opadry(登録商標));
2.シールコーティング溶液の製造;および
3.Opadryを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティングおよびシールコーティング。
【0100】
これらのビーズに関する溶出データを図1に示す。図1において、初期溶出と貯蔵した試料の溶出との比較に関して高いF2値(>50)は、良好な溶出安定性を示している。
【0101】
<実施例9>メマンチンHClリリースビーズ(リリース1および3)の製剤
この実施例では、Surelease(登録商標)3%とPVP、およびSurelease(登録商標)6%とPVPを使った、メマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す。これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン);
2.エチルセルロース分散液(Surelease(登録商標))の製造;
3.オーバーコーティング溶液の製造;
4.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング;
5.Surelease(登録商標)ポリマーによるコーティング;および
6.オーバーコーティング。
【0102】
【表15】
必要な調節型放出率が達成され、それはビーズを50℃で加熱した後も実質的に変化しない(図2参照)。IRビーズとリリース1ビーズとの溶出の比較を図4に示す。溶出安定性データを図5に示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較で得られる高いF2値(>50)は、優れた溶出安定性を示している。
【0103】
【表16】
これらのビーズに関する溶出データを図5に示す。これらのビーズに対するオーブン加熱の影響も図5に示す。このデータは、ビーズを40℃および50℃で短期間加熱した後に、溶解率に実質的変化がないことを示している。溶出率安定性を図3に示す。同様に、Sureleaseのレベル、重量増加が異なる放出調節ビーズを、IRビーズ171mg/gまたは100mg/gを使って製造することができる。
【0104】
<実施例10>メマンチンHCl放出調節ビーズ(リリース4、5および6)の製剤
この実施例では、Eudragit/HPMCを使った、6%w/w、10%w/w、および20%w/w Eudgragit(登録商標)の、メマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す。Eudragit/HPMCビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標));
2.シールコーティング溶液の製造;
3.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液の製造;
4.オーバーコーティング溶液の製造;
5.Opadry(登録商標)を含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング;
6.シールコーティング
7.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液によるポリマーコーティング
8.オーバーコーティング。
【0105】
【表17】
【0106】
【表18】
これらのビーズに関する溶出安定性データを図3および図9に示す。
【0107】
【表19】
この実施例では、HPMCを結合剤として使用し、Eudragit(登録商標)を放出調節ポリマーとして使用した。どちらも、50℃で短期間加熱した後に、溶出率の実質的な相違を示さない。溶出安定性データを図6および図7に示す。
【0108】
<実施例11>メマンチンHCl放出調節ビーズの製剤
この実施例では、Acryl−Eze(登録商標)ポリマーを使ったメマンチンHCl放出調節ビーズの製剤を示す。
【0109】
【表20】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標))
2.シールコーティング溶液の製造
3.Acryl−Eze(登録商標)分散液の製造
4.Opadry(登録商標)を含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
5.シールコーティング
6.Acryl−Eze(登録商標)分散液によるポリマーコーティング。
【0110】
溶出率を図13に示す。
【0111】
<実施例12>単位放出調節カプセルの製造
この実施例では、実施例9で製造されるビーズ、具体的にはリリース3に基づく、用量比例的な単位カプセル剤の製造を例示する。以下に提示するカプセル剤には、2.5mg、7mg、14mg、21mg、28mg、40mg、80mgおよび100mg製剤が含まれる。
【0112】
【表21】
適当なサイズカプセルに合わせてカプセル化装置(MG−2 Futura、ニュージャージー州)を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズリリース3を充填する。全ての強度について充填重量およびカプセルサイズを表9に示す。重量検査装置(Weigh Inspection Equipment)を使って個々のカプセルの重量を全数検査するする。また、異なるIRビーズおよびコーティングレベルを使って製造されるMRビーズも、製造することができる。25、40および60mg強度に関する溶出データを図8に示す。
【0113】
<実施例13> 複数の放出調節ビーズを使ったカプセルの製造(40mg)
この実施例では、リリース1およびリリース3ビーズをさまざまな比で使ったカプセル剤の製造を例示する。
【0114】
サイズカプセルに合わせてカプセル化装置を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズ、例えばリリース1およびリリース3を充填する。さまざまな用量比について、充填重量を以下に示す。重量検査装置を使って個々のカプセルの重量を全数検査する。
【0115】
【表22】
これらのカプセル剤に関する溶出データを図10に示す。図10に示すように、初期溶出率と貯蔵試料の溶出率とを比較して得られる高いF2値(>50)が、優れた溶出安定性を示している。メマンチンの血漿中濃度値を図11に示す。
【0116】
表19〜21に、メマンチンSurelease(登録商標)被覆ビーズの個々のカプセル製剤と、使用することができるビーズ重量の適用可能範囲を示す。
【0117】
【表23】
【0118】
【表24】
【0119】
【表25】
<実施例14> 複数のビーズを含むカプセル剤の製造(40mg)
この実施例では、リリース4、リリース5およびリリース6ビーズをさまざまな比率で含むカプセル剤の製造を例示する。
【0120】
サイズカプセルに合わせてカプセル化装置を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズ、例えばリリース4、リリース5およびリリース6を充填する。さまざまな用量比について、充填重量を以下に示す。重量検査装置を使って個々のカプセル剤の重量を全数検査する。
【0121】
【表26】
これらのカプセル剤に関する溶出データを図10に示す。メマンチンの血漿中濃度値を図11に示す。
【0122】
表22〜24に、メマンチンEudragit被覆ビーズの個々のカプセル製剤と、使用することができるビーズ重量の適用可能範囲を示す。
【0123】
【表27】
【0124】
【表28】
【0125】
【表29】
<実施例15> メマンチン製剤の薬物動態試験
本実施例では、三つの放出調節ビーズメマンチン剤形のバイオアベイラビリティを、即放性メマンチン錠剤と比較する。現在、市販品としてのメマンチンおよび臨床試験におけるメマンチンの臨床使用には、即放性錠剤の1日2回という投与レジメンが利用されている。放出調節ビーズ製剤では、Cmaxを低下させると同時に認容性を改善するために、1日1回の投与を目指した。放出調節製剤では、1日1回の投与で十分になるような曝露をもたらすことをもくろんだ。望ましいプロファイルを、IR錠剤と比較して、20%を上回るようなAUCの低下を伴うことのない、少なくとも25%というCmaxの低下に設定した。
【0126】
被験者および方法
メマンチンの投薬を受けたことがない、年齢18〜45歳(18歳および45歳を含む)の若い男性および女性健常被験者24人で、単一施設オープンラベル無作為化4元クロスオーバー試験を行った。登録患者は24人だったが、試験を完了した患者は22人だった。試験開始の14日以内に患者を選別し、病歴評価、全身の理学的検査(血圧、脈拍、体温、身長、体重および呼吸数を含む)、臨床検査評価(血液検査(分類検査を含む)、化学検査および尿検査からなる)、依存性薬物スクリーン(アルコールおよびコチニンを含む)、HBsAg、抗HCVスクリーン、RPR/VDRL、抗HIV1および2検査、ならびに12誘導ECGを含めた。女性被験者は選別時に行われるβ−HCG血清妊娠検査を受けることになる。これらの試験のいずれかにおける異常(または陽性)値を、除外の根拠とした。臨床検査試験には以下の検査を含めた:
血液検査:ヘモグロビン、ヘマトクリット、RBC数、WBC数、WBC分類検査(百分率および絶対値)ならびに血小板数。
【0127】
化学検査:アルカリホスファターゼ、ALT、AST、総ビリルビン、コレステロール、トリグリセリド、LDH、総タンパク質、グルコース、尿酸、BUN、クレアチニン、ナトリウム、カルシウム、無機リンおよびカリウム。
【0128】
尿検査:比重、pH、ケトン体、タンパク質、血液、グルコース、ビリルビンおよび検鏡(RBC/HPF、WBC/HPF、円柱/LPF)。
【0129】
依存性薬物スクリーンには、ベンゾイルエクゴニン(コカイン)、メタドン、バルビツレート類、アンフェタミン類、ベンゾジアゼピン、コチニン、アルコール、カンナビノイド類、オピエート類およびフェンシクリジンを含めた。三環系抗うつ薬の使用についても被験者を調べた。メマンチンまたは他のN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストに対する過敏症、高血圧、低血圧、心臓異常もしくは心臓疾患、または物質乱用歴を持つことがわかっている被験者は除外した。薬物の併用も、カフェインまたは他のキサンチン化合物の使用も、許可しなかった。被験者は、試験期間中はどの時点においても、激しい運動には従事しなかった。
【0130】
被験者には、それぞれに21日間の休薬期間を置いて、無作為な順序で、以下の処置を与えた:
処置A:メマンチン40mgの単回投与(20mgの即放性錠剤2個、0800に投与);
処置B:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤I(Surelease(登録商標)R1:R3 25:75)の単回投与、0800時に投与;
処置C:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤II(Surelease(登録商標)R1:R3 5:95)の単回投与、0800時に投与;および
処置D:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤III(Eudragit(登録商標)徐放剤)の単回投与、0800時に投与。
【0131】
試験継続期間は79日間とした(1日目から78日目の最後のPK試料まで)。22人の被験者が試験を完了した。
【0132】
血液試料は、フレボトミストが、紫蓋Vacutainer(登録商標)チューブ(抗凝固剤としてEDTA三カリウムを含有)を使って、どちらかの腕から肘正中静脈の静脈穿刺によって集めた。5mLチューブを使って、メマンチン濃度を決定するための試料を集めた。被験者1人あたり96の血液試料(各5mL)を集めた。この試験中に被験者1人あたり約510mLの血液を集めた(480mLと、さらに試験前および試験後臨床分析用の30mL)。主な薬物動態パラメータを決定するために、メマンチンの血漿中濃度を、以下の時間間隔で測定した:
1〜5、7、9、11、13、15、22〜26、28、30、32、34、36、43〜47、49、51、53、55、57、64〜68、70、72、74、76および78日目。1、22、43、64日目は、投与前ならびに投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、24、36、48、72、96、144、192、240、288および336時間後に、採血を行った。被験者は、1、22、43および64日目の薬物投与後、最初の4時間は、移動可能であるか、起きあがって着座し、覚せいした状態を保った。
【0133】
予冷した5mL Vacutainer(登録商標)チューブ(抗凝固剤としてEDTA三カリウムを含有)を使って、メマンチン濃度決定用の血液試料を集めた。血液試料は、4℃で10分間、2,500gを下回らない速度で、採血時から30分以内に遠心分離し、血漿を収集した。遠心分離後に、血漿試料を、予冷したコード付ポリエチレンチューブに移した。次に試料をイソプロピルアルコール/ドライアイス中で急速冷凍し、約−70℃で保存した。
【0134】
メマンチンのバイオアベイラビリティの速度および程度に関して、薬物動態学的基準を評価した。安全性基準も評価して、臨床検査試験、有害事象、理学的検査、ECG、およびバイタルサインを監視した。バイタルサインは以下に挙げる日にチェックした:1、2、22、23、43、44、64、65、および78日目。血圧および脈拍数は、試験中は常に同じ腕で、対応する血液試料を集める前に、座位(被験者は少なくとも5分間は座っていなければならない)で測定した。試験前測定および試験後測定に加えて、以下の時点でバイタルサインを計測した:1、22、43および64日目:0800時の投与前、投与の2、4、6、8および24時間後。
【0135】
統計方法
UNIXオペレーティングシステムでSAS(登録商標)バージョン6.12以降を使って、薬物動態パラメータを分散分析(ANOVA)によって比較した。順序、順序内の被験者、処置、および期間を因子とする一般線形モデルを、解析の基礎として使用した。統計的推測は、CmaxおよびAUCパラメータに関する対数変換値ならびにT1/2に関する観測値に基づいて行った。
【0136】
各試験製剤(MRカプセル)と基準製剤(IR錠剤)との平均AUCの比に関する両側90%信頼区間を構築した。
【0137】
試験製剤および基準製剤に関するTmaxは、未変換データに基づき、ウィルコクソン符号順位検定を使って比較した。
【0138】
安全性パラメータ(有害経験、バイタルサイン、臨床検査評価、およびECGパラメータ)を、全ての被験者について要約した。有害事象およびバイタルサインは、処置によっても要約した。重篤度および試験薬との関係によって分類した有害経験について発生表を作成した。他の安全性パラメータについては記述統計値を算出した。バイタルサイン、検査パラメータ、およびECGパラメータについて潜在的に臨床上有意なベースライン後値を持つ被験者を記録する。
【0139】
試験薬物の最初の投与後に起こるAEはいずれも、ベースライン時に存在しなかったか、ベースライン時に存在したが処置期間中に重篤度が増加したのであれば、試験薬との関係にかかわらず、試験処置下で発現したAE(TEAE)として数えた。有害事象または有害経験(AE)は、医薬品を投与された被験者または臨床調査対象における任意の不都合な医学的出来事と定義した。AEが医薬品による処置に対して因果関係を持つことは必要でなかった。
【0140】
したがってAEは、試験薬物に関係があろうとなかろうと、試験薬物の使用と時間的に関連する好ましくなく意図しない徴候(例えば臨床上有意な異常検査所見)症状、または疾患とした。AEには、被験者の全身状態の変化;被験者が申し出た、または被験者から聞き出した、自覚症状;研究者または研究員が観察した客観的徴候;または試験の開始後に起こる全ての併発症(既存の疾患の重症度または頻度の変化を含む);試験中に起こる、臨床的に関連する全ての検査異常または理学的所見を含めた。
【0141】
各AEの因果関係を以下の基準に従って分類した:
関連あり(related):試験薬物投与に対する合理的な時間的関係、かつ他の因子(例えば患者の臨床状態、並行治療、および/または他の介入)によって合理的に説明することができない、または適用/注射部位反応。
【0142】
関連があるかもしれない(possibly related):試験薬物との関係を排除することができない。
【0143】
関連なし(not related):その反応について明解な別の原因を特定するためのデータ(例えば薬剤誘発性肝炎が疑われる場合のウイルス抗原に関する陽性試験、機械的損傷による出血など)を入手することができる。
【0144】
重症度は以下の尺度に従って評価した。
【0145】
軽度:そのAEは、被験者にとって煩わしいものではあったが、ベースライン機能をそれ以上妨害することはなかった;そのAEは断続的であっても連続的であってもよい。
【0146】
中等度:そのAEは、被験者に多少の不快を覚えさせるか、正常な活動を多少妨害したが、健康を害することはなかった;そのAEの処置には処方薬治療を使用しうる。
【0147】
重度:そのAEは、被験者に深刻な不快を覚えさせるか、正常な活動を著しく制限または妨害し、健康にとって明確な害に相当した;そのAEの処置には、処方薬治療および/または入院を使用しうる。
【0148】
薬物動態パラメータ
以下に述べる薬物動態パラメータには、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0−tおよびAUC0−∞)、最高血漿中濃度(Cmax)、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)および終末相消失半減期(T1/2)を含めた。メマンチンの最高血漿中濃度は、各被験者について、ピーク濃度として実測的に決定した。最高濃度到達時間Tmaxは、Cmaxに対応する時間として決定した。最後の測定可能濃度に対応する時刻までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0−t)は、以下の線形台形公式を使った数値積分法によって算出した:
【0149】
【数1】
式1
[式中、Ciは、対応する試料採取時点tiにおける血漿中メマンチン濃度であり、nは、最後の定量可能濃度まで(最後の定量可能濃度を含む)の時点の数である]。
【0150】
終末相半減期(T1/2)の推定値は、以下の等式を使って算出した:
【0151】
【数2】
式2
[式中、λzは終末相消失速度定数である]。
【0152】
時刻0から無限大までの血漿中濃度−時間曲線下面積は、以下の等式に従って算出した:
【0153】
【数3】
式3
[式中、Clastは最後の測定可能濃度である]。
【0154】
結果
メマンチン濃度を分析するため、投薬後に一連の血漿試料を集めた。処置A、B、C、およびD後の平均血漿中濃度−時間プロファイルを図11Aに示す。切り出した濃度−時間プロファイルを図11Bに示す。図12には、複数のビーズを含有する40mgカプセルについて、異なるpH値を持つ異なる生体関連溶出媒質における溶出プロファイルを示す。
【0155】
薬物動態パラメータを表26に示す。
【0156】
【表30】
【0157】
【表31】
処置B、C、およびDは、放出調節製剤の1回量投与後の最高血漿中濃度到達時間(Tmax)に増加を示した。放出調節製剤の血漿中濃度下面積(AUC)を即放製剤と比較することにより、全ての製剤が本質的に生物学的に同等であることが示された。処置B、CおよびDの場合、最高血漿中濃度(Cmax)は、即放性剤形と比較して有意に減少した。AUC値はIR錠剤の20%以内であることから、これらの製剤はバイオアベイラビリティに関して同等だったことが示唆される。Cmaxの低下はどの製剤についても15%を上回り、処置BおよびCでは25%を上回った。驚いたことに、これらの値は、最新のインビトロ/インビボ相関(IVIVC)モデルが予測した値よりも、有意に改善されている。これらのモデルが、FDAガイドライン(「Guidance for Industry on Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月)に基づくIVIVCモデルに記述されていることは、当業者にはわかるだろう。終末相半減期はどの製剤でも本質的に同じだった。これは消失速度が影響を受けなかったことを示している。調節製剤のAUC値はIR錠剤の20%以内であったことから、これらの製剤はバイオアベイラビリティに関して同等であったことが示唆される。表27に示すように、Cmaxの低下はどの製剤についても15%を上回り、特に処置BおよびCの場合は、低下が25%を上回った。驚いたことに、これらの値は、使用したIVIVCモデルの予測よりも、有意に改善されていた(表28参照)。
【0158】
【表32】
【0159】
【表33】
有害作用の発生を表30に示す。驚いたことに、本発明の放出調節製剤は、IR錠剤(処置A)よりも、認容性が高かった。総AE数は、三つの処置のいずれについても、40%以上減少した。
【0160】
【表34】
有害事象に関して、試験処置下で発現した有害事象(TEAE)の総数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ30、16、14、および17であることが、予備データによって示された。これは、IR錠剤による処置と比較してMR製剤による処置中に観察されるTEAEの減少を示している。TEAEを起こした被験者の数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ18、11、7、および10だった。めまいの発生数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ14、7、4および6だった。
【0161】
1回量投与後の望ましい血漿中濃度−時間プロファイルに、処置BおよびCは合致したが、処置Dは合致しない。
【0162】
プロトタイプMR製剤の単回40mg用量は、40mg IR錠剤よりも、認容性が高かった。
【0163】
本剤形は、3.0%未満(好ましくは2.5%未満)の付加物形成をもたらす賦形剤を含有する。付加物形成は、HPLC法と蒸発光散乱検出器とを使って検出される。
【0164】
【表35】
本発明は、本明細書に記述した具体的実施形態によって、その範囲を限定されない。実際、上記の説明および添付の図面から、本明細書に記載した実施形態の他にも、本発明のさまざまな変更形態が、当業者には自明になるだろう。そのような変更形態も本願請求項の範囲に包含されるものとする。
【0165】
また、全ての値は概数であり、説明のために記載したものである。
【0166】
本願では、特許、特許出願、刊行物、製品に関する文書、およびプロトコールを引用するが、それらの開示は、あらゆる面で、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】セルロース結合剤ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)およびポリビニルピロリドン(ポビドン)を使って製造したメマンチンHCl IRビーズの溶出率を示す図。具体的には、図1は、結合剤としてポビドンを使って製造したメマンチンHCl IRビーズ171mg/gの溶出率安定性を示す。試料は、40℃、相対湿度75%で3ヶ月間、インダクションシーリングを行った容器中に乾燥剤と共に維持して、測定した。HPMC(Opadry(登録商標))結合剤を使って製造したメマンチンHCl IRビーズ157mg/gの溶出率安定性も示されている。溶出を、ある期間(分)に放出された薬物の百分率として示す。IRビーズは安定であり、異なる結合剤を使って製造することができる。
【図2】ビーズを50℃で加熱した後のメマンチンHCl MRビーズ142mg/gの溶出率安定性を示す図。結合剤としてHPMCを使用し、放出調節ポリマーコーティングSurelease(登録商標)(Colorcon、ペンシルバニア州)を使って、ビーズを製造した。溶出を、ある期間(時間)に放出された薬物の百分率として示す。
【図3】メマンチンHCl MRビーズ159mg/g(リリース3)およびメマンチンHCl MRビーズ163mg/g(リリース1)の溶出率安定性を示す図。ビーズはPVP結合剤を使って製造し、放出調節ポリマーコーティングはSurelease(登録商標)(Colorcon、ペンシルバニア州)とした。リリース3ビーズはコーティングによって重量が6%w/w増加し、リリース1ビーズはコーティングによって重量が3%w/w増加した。どちらのバッチも、次に、Opadry(登録商標)トップコーティングでコーティングした。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図4】メマンチンHClのIRビーズとMRビーズの溶出率を比較した図。MRビーズ163mg/g(R1)はPVPを使って製造し、放出調節ポリマーは約3重量%のSurelease(登録商標)とした。溶出を、溶出百分率として、時間(時間)に対してプロットする。
【図5】メマンチンHCl MRビーズ163mg/g(R1)の溶出率安定性を示す図。この場合は、まずPVPを使って即放性ビーズを製造し、IRビーズの重量に基づいて約3重量%の放出調節ポリマーSurelease(登録商標)をコーティングした。メマンチンHCl放出調節ビーズ159mg/g(R3)も示されており。この場合は、まずPVPを使って即放性ビーズを製造し、IRビーズの重量に基づいて約6%の放出調節ポリマーSurelease(登録商標)をコーティングした。溶出を、溶出百分率として、時間(時間)に対してプロットする。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/相対湿度75%で、1ヶ月間および3ヶ月間、貯蔵した。3ヶ月のデータを示す。
【図6】メマンチンHCl MRビーズ144mg/g(R4)の溶出率安定性を示す図。この場合は、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使用してビーズを製造し、放出調節ポリマーは、比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。Eudragit(登録商標)による総重量増加は6%w/wだった。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/70%RHで貯蔵した。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較に関する高いF2値(>50)により、優れた溶出安定性が示された。この製剤は、薬物動態試験に使用した製剤と同一である。3ヶ月に関するデータを示す。
【図7】メマンチンHClビーズ136mg/g(R5)およびメマンチンHClビーズ123mg/g(R6)の溶出率安定性を示す図。この場合は、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って即放性ビーズを製造し、放出調節ポリマーを、比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。Eudragit(登録商標)による総重量増加は、R5ビーズおよびR6ビーズについて、それぞれ10%w/wおよび20%w/wだった。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/75%RHで貯蔵した。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較に関する高いF2値(>50)により、優れた溶出安定性が示された。3ヶ月に関するデータを示す。
【図8】用量比例性が達成されるかどうかを調べるために25、40および60mgの用量強度で製剤した放出調節ビーズR3(Bio formula)の溶出率を示す図。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。メマンチンHClビーズ159mg/g(R3)は、薬物担持用の結合剤としてポビドンを使って製造し、放出調節ポリマーをエチルセルロース(Surelease(登録商標))とした。
【図9】複数のビーズ(R1およびR3)をさまざまな比率で含む製剤の溶出プロファイルを示す図。メマンチンHClリリース1ビーズ163mg/gおよびメマンチンHClリリース3ビーズ159mg/gを、薬物担持用の結合剤としてポビドンを使って製造し、放出調節ポリマーをエチルセルロース(Surelease(登録商標))とした。複数のビーズ(R4、R5およびR6)をさまざまな比率で含む製剤の溶出プロファイルも示されている。このデータは、異なる放出特徴を持つビーズを異なる比率で組み合わせても、類似する溶出プロファイルを達成できるということを示している。メマンチンHClリリース4ビーズ144mg/g、メマンチンHClリリース5ビーズ136mg/gおよびメマンチンHClリリース6ビーズ123mg/gを、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って製造し、放出調節ポリマーを比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図10】2タイプのビーズ(R1:R3比、2:38)を含むメマンチンHCl MRビーズ40mg用のカプセル剤形、および2タイプのビーズ(R1およびR3)を含むメマンチンHCl MRビーズから構成されるカプセル剤形(40mg)の、溶出率安定性を示す図。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、25℃/相対湿度60%でビーズを貯蔵した後の溶出試験によって行った。ビーズR4、R5およびR6の組み合わせを含むメマンチンHCl MRビーズから構成されるカプセル剤形の溶出率安定性も示されている。リリース4:リリース5:リリース6ビーズの比率を8:35:57とし、合わせた用量強度を40mgとした。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、25℃/相対湿度60%でビーズを貯蔵した後の溶出によって行った。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図11】図11Aは処置A、B、CおよびDがもたらすメマンチンの血漿中濃度値を示す。メマンチン血漿中濃度プロファイルを、ng/mlの単位で、期間(時間)に対してプロットする。図11Bは、期間(時間)を切り出し、図11Bよりも横座標を拡大してプロットした、図11Aのメマンチン血漿中濃度プロファイルの一部を示す。
【図12】異なるpH値を表す異なる生体関連溶出媒質[満腹時(FeSSIF)および空腹時(FaSSIF)状態模倣腸液]における、複数のビーズ(R1:R3、比10:30)または(R1:R3比、2:38)を含む40mgカプセル剤の溶出プロファイルを示す図。これらのプロットは、溶出プロファイルがpH非依存性であることを示している。溶出(溶出した薬物の百分率)を、時間(時間)に対してプロットする。
【図13】二つの異なるpH条件、すなわち1.2および5.6における、メマンチンHCl MRビーズ92mg/gの溶出率を示す。即放性ビーズは、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って製造し、放出調節ポリマーをメタクリル酸コポリマー・タイプC NF(Acryl−Eze(登録商標))とした。Acryl−Eze(登録商標)による総重量増加は30%w/wだった。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、40℃/相対湿度75%でビーズを貯蔵した後に行った。溶出(溶出した薬物の百分率)を時間(時間)に対してプロットする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出調節および/または即放性プロファイルを示す医薬経口剤形に関する。本発明は、活性成分がメマンチンであって、標的期間の全体にわたって治療有効量のメマンチンを放出する、1日1回型の経口医薬剤形に、とりわけ適している。
【背景技術】
【0002】
固形経口薬物組成物または調製物は、例えば放出調節プロファイル(modified release profile)(USP XXV、FDA CDER、メリーランド州ロックビル)、FDAガイドライン(「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、17頁)に記載の持続放出プロファイル(extended release profile)、またはFDAガイドライン(「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms」(1997年8月発行)のSection IV−A)に記載の即放性プロファイル(immediated release profile)など、さまざまな放出プロファイルを示すように構成させることができる。
【0003】
放出調節プロファイルに関する溶出試験ガイドラインでは、材料がある期間にわたって溶出し、その溶出がこの期間中に所定の間隔で測定される。最低3時点が勧告されており、一般にそれらは溶出プロファイルの初期、中期および後期をカバーする。最後の測定は、薬物の少なくとも80%が溶出した時点以降でなければならない(Guidance for Industry、「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、17頁)。十分な試料採取が重要である:例えば、1、2および4時間時点と、その後、薬物の80%が放出されるまで2時間ごとの採取(Guidance for Industry、「SUPAC−MR: Modified Release Solid Oral Dosage Forms」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、6頁)。好ましい溶出装置は、USP装置I(バスケット)またはII(パドル)を、一般に認められている回転速度で使用したもの(例えば、バスケットの場合は100rpm、パドルの場合は50〜75rpm)である(Guidance for Industry、「Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月、4頁)。放出調節剤形は、長期間にわたる活性成分の放出を可能にすることにより、治療的に有効な血漿中レベルを同じく長期間にわたって維持し、服薬コンプライアンスを改善し、そして/または活性成分の他の薬物動態特性を調節すること(例えば放出の開始を遅らせること、または放出が起こる条件を変化させること)を目指す。
【0004】
溶出試験ガイドラインでは、最初の30〜60分で少なくとも80%が溶出して溶解した状態になる材料は、即放性プロファイルと認定される(「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms」1997年9月発行、Section IV−A)。したがって即放性固形経口剤形は、活性成分の大半または全てを、短期間(例えば60分以下)で放出させ、薬物の迅速な吸収を可能にする。
【0005】
例えば薬物の一部を即時に放出させてから、残りを持続放出させるなど、より具体的な治療目標を達成するために、多相放出プロファイル(すなわち、即放性構成要素と少なくとも一つの放出調節構成要素とを含有する組成物)を使って、一つまたはそれ以上の放出率の組み合わせを達成することができる。しかし活性成分の放出率の調節は、長時間持続する有効血中レベル濃度が一貫して達成されること、または薬理学的作用が薬物の放出のみに基づくこと、または薬理学的有害事象が予測可能であることを、必ずしも保証するわけではない。
【0006】
可溶性薬物の徐放性製剤を提供するために、さまざまな製剤技法が用いられてきた。そのような製剤の多くでは、薬物含有粒子または薬物担持粒子が、一つまたはそれ以上の放出遅延剤層または放出遅延剤フィルムでコーティングされるか、ポリマーマトリックスなどの連続マトリックス内に分散される。コーティング層またはマトリックスは、比較的不溶性の材料または材料群を含み、薬物の放出は、コーティング層またはマトリックスがそこを通る薬物の拡散に対して示す抵抗性または透過性によって制御される。そのような製剤からの薬物の放出は、製剤内への拡散によって、例えば胃液の浸透がもたらす薬物濃度の勾配によって、駆動される。
【0007】
一つまたはそれ以上のフィルム形成ポリマーを使って、フィルム障壁を横切る活性物質の拡散速度を制御することにより、活性物質の徐放をもたらすことができる。しかし、錠剤の場合、そのようなアプローチは、経口剤形の摂取中に、例えば咀嚼、分裂または摩耗などによってフィルムが時期尚早に破損し、その結果、過剰量の活性成分が放出されると、それが、過剰な単発薬物放出による望ましくない作用をもたらすと共に、剤形は必要な持続時間にわたって有効であり続けることができなくなるということが起こりうるので、十分に機能しない可能性がある。これは、例えば、その小さな形状ゆえに同様の機械的破壊を受けにくいであろうビーズ製剤を使用することによって、回避することができる。
【0008】
マトリックス型の放出制御アプローチでは、親油性物質、例えば高級アルコール、ロウ、または不溶性熱可塑性材料などが使用される。放出は、活性成分が周囲の媒質中に拡散する速度によって制御され、マトリックス自体が分解性である場合には、その分解速度によって制御される。欠点の一つは、マトリックス錠剤からの薬物の完全な放出が、しばしば実際には達成されないことである。もう一つの短所は、剤形の用量比例性が容易には達成されず、異なる強度には異なる組成が必要になることである。例えば、5mg徐放性錠剤剤形を製剤するためのマトリックス組成は、60mg徐放性錠剤剤形を製剤するためのマトリックス組成とは異なりうる。
【0009】
特許文献1は、メマンチンを含有する固形医薬剤形であって、薬物の一部が即時に放出された後、残りが徐放されるという持続二相放出プロファイルを示す剤形を提供するものである。この製剤のマトリックスは、カゼインの水溶性塩と水不溶性塩(好ましくはカゼインナトリウムとカゼインカルシウム)をどちらも含有する。しかし、カゼインは不快な味を持ち、特許文献2に開示されているようにいくつかの副作用の悪化と関連し、さまざまなpHで不安定性を示す。カゼインは動物由来の乳タンパク質であるため、カゼインに関するもう一つの懸念は、牛海綿状脳症(BSE)汚染の可能性である。
【0010】
N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストの放出調節剤を製造する一般方法が、特許文献3に記述されている。この方法では、最終製剤に到達するために、即放性構成要素と放出調節構成要素とを製造する。この特許には、コーティングされたコア(このコーティングは有機溶媒に基づく系を用いる任意の適切なコーティングである)からなるペレットが開示されている。この特許は、放出率がTmax(最高血漿中濃度到達時間)にどのような影響を及ぼすかを開示していないし、この手法がどのように用量比例的な製剤をもたらすかも教示していない。特許文献1および特許文献3には、即放性構成要素を組み込んだ持続二相放出プロファイルが記述されている。
【0011】
現在、メマンチンは、即放性錠剤を使って、1日2回の投与レジメンが使用されている。薬物を服用する頻度が増えるにつれて患者のコンプライアンスが低下するので、このようなレジメンは最適ではない。さらにまた、経口投与後に、メマンチンは完全に吸収される(ほぼ100%の絶対バイオアベイラビリティ)。したがって、即放性錠剤の投与により、速い吸収速度に起因する有害な薬理学的事象の頻度が高まりうる。アルツハイマー病の処置におけるメマンチンの使用に関する現在のガイドラインでは、メマンチンを5mg/日の開始用量として投与し、用量を毎週5mgずつ増やして20mg/日の用量まで上昇させることが勧告されている。放出調節製剤により、メマンチンの使用に関連する懸念の一部に対処することができる。
【特許文献1】米国特許第5,382,601号明細書
【特許文献2】米国特許第6,413,556号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,000号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
メマンチンまたはメマンチンの薬学的に許容できる塩を含有する1日1回型の放出調節および/または即放性製剤であって、標的期間の全体にわたって確実な吸収をもたらすものは、現に必要とされ続けている。したがって本発明は、メマンチンを含有する放出調節および/または即放性医薬剤形であって、強化された放出プロファイルを示し、確実な吸収をもたらすものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、メマンチンおよびその塩(塩酸塩および他の薬学的に許容できる塩を含む)は、確実な吸収とそれゆえに改善された認容性とを持つ放出調節型、および用量比例的なバイオアベイラビリティを持つ即放型に製剤化しうることが、ここに見出された。
【0014】
本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、約5時間以上の平均Tmax、約100ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。一部の実施形態において、本経口剤形は、約75ng/ml未満(好ましくは約50ng/ml未満)のCmaxを与える。別の実施形態において、本経口剤形は、約500ng・h/mlを上回る(好ましくは約1000ng・h/mlを上回る、より好ましくは約2500ng・h/mlを上回る)平均AUC0−∞を与える。
【0015】
別の実施形態によれば、本発明は、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、それを必要とする患者に投与された場合、約24時間にわたって治療効果を与え、有害事象の発生の減少をもたらす剤形を提供する。
【0016】
一部の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコアと、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分とを含み、その剤形が、約2.5%未満の付加物を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形を提供する。さらなる代表的実施形態において、各ビーズは、不活性コア;コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含むと、特徴づけることもできる。
【0017】
代表的実施形態において、そのような即放性経口ビーズ剤形は、複数のビーズを含み、各ビーズは、約1μm〜約1000μmの範囲の直径を持つ不活性コア;および前記不活性コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含み、その剤形は前記剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンを含有し、前記剤形は約2.5%未満を示し、かつ前記剤形は、使用環境への前記剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る溶出率を持つことができる。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコア、および剤形1g当たり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分、ならびに放出調節ポリマー層を含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満であるような剤形を提供する。さらなる代表的実施形態において、各ビーズは、不活性コア;コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含むと、特徴づけることもできる。
【0019】
代表的実施形態において、そのような放出調節ビーズ剤形は、複数のビーズを含み、各ビーズは、約1μm〜約1000μmの範囲の直径を持つ不活性コア;前記不活性コア上にコーティングされた活性成分としてのメマンチンとポリマー結合剤との混合物を含み、その剤形は、前記剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチン;メマンチン−結合剤コーティング上に適用された中間シールコーティング;およびシールコーティング上にコーティングされた放出調節ポリマー層を含有し、前記剤形は、約6時間〜約12時間以内に約70%〜約80%という溶出率を持ち、Cmaxは約60ng/ml未満であることができる。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、即放性構成要素が第1の複数ビーズを含み、各ビーズが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%が、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ、放出調節構成要素が第2の複数ビーズを含み、各ビーズが、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%が、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形を提供する。
【0021】
<発明の詳細な説明>
本発明によれば、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つ(好ましくはそのHCl塩)をヒトに投与するための経口剤形が提供され、その組成物は固形経口剤形中にメマンチンを含む。特に、本発明の薬学的組成物は、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つの即放性および/または放出調節組成物に関する。
【0022】
メマンチンの即放性および放出調節製剤は、米国特許出願第11/155,319号(US2006/0002999として公開)および米国特許出願第11/155,330号(US2006/0051416として公開)に開示されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0023】
本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、約8時間以上の平均Tmax、約100ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。
【0024】
一部の実施形態によれば、本発明は、メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜50mgのメマンチンまたはその塩を含み、約5時間以上の平均Tmax、約50ng/ml未満の平均Cmaxおよび約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞を持つインビボ血漿プロファイルを与える剤形を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、経口剤形が、約75ng/ml未満(好ましくは約50ng/ml未満)のCmaxを与える。別の実施形態では、経口剤形が、約500ng・h/mlを上回る(好ましくは約1000ng・h/mlを上回る)平均AUC0−∞を与える。
【0026】
別の実施形態によれば、本発明は、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、有害事象の発生の減少をもたらす剤形を提供する。
【0027】
1−アミノ−シクロヘキサンの類似体(例えば米国特許第4,122,193号;同第4,273,774号;同第5,061,703号に開示されている)であるメマンチン(1−アミノ−3,5−ジメチルアダマンタン)は、受容体に対する低〜中等度のアフィニティおよび強い電位依存性および迅速な遮断/遮断解除速度を持つ、全身活性不競合的NMDA受容体アンタゴニストである。これらの薬理学的特徴により、メマンチンは、病的状態における受容体の持続的活性化を遮断すると共に、チャネルの正常な生理学的活性化時には、NMDAチャネルを迅速に離れることができる。メマンチンおよび薬学的に許容できるその塩(例えばHCl塩、MW 215.77)は、米国では、アルツハイマー病の処置に承認されている。現在、神経因性疼痛の適応(インビトロモデルでメマンチンは活性であることが実証されている)について、メマンチンの承認が求められており、米国以外では、アルツハイマー病にもパーキンソン病にも、経口製剤として、現在承認されている。
【0028】
本発明によれば、メマンチンを、好ましくは、薬学的に許容できる塩の形で使用することができる。この化合物の適切な塩として、酸付加塩、例えば塩酸、メチルスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、および2−アセトキシ安息香酸などによって形成されるものが挙げられるが、これらに限るわけではない。好ましい一実施形態において、塩は、メマンチン塩酸塩(C12H21N・HCl、MW 215.77)である。「塩」という用語は、遊離酸または遊離塩基の付加塩も包含することができる。これらの塩(または他の類似の塩)は全て、通常の手段によって製造することができる。そのような塩は全て、それらが無毒であり、望ましい薬理活性を実質的に妨害しない限り、許容することができる。
【0029】
また、メマンチンの任意の塩型および遊離塩基型(メマンチンの多形体、水和物および溶媒和物、ならびに無定形型を含む)を使用することが可能である。本明細書における以下の説明および本願請求項で使用する用語「メマンチン」は、その遊離塩基および薬学的に許容できる塩の両方を包含するとみなされる。本発明の好ましい実施形態では、活性成分がメマンチン塩酸塩である。
【0030】
一部の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を持つコアを含み、そのコアが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含み、その剤形が、約2.5%未満の付加物を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形を提供する。好ましい実施形態では、溶出率が30分以内に約80%を上回る。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、経口剤形が複数のビーズを含み、各ビーズはコアとメマンチンを含む活性成分とを含む。適切なIRビーズ型メマンチンは、単に、可溶性構成要素、例えば糖類(例:スクロース、マンニトールなど)、ポリマー(例:ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、クレモフォア(chremophor)、ツイーン(tween)、スパン(span)、プルロニック(pluronic)など)、不溶性流動促進剤構成要素(微結晶セルロース、リン酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカなど)、コーティング材(適切なコーティング材の例はポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ロウ、脂肪酸などである)、適切な材料(ロウ、ポリマー、薬学的に許容できる油、可溶性薬剤などが、その例である)中の分散系、または上記の組み合わせと混合されたメマンチンの粒子であることができる。
【0032】
一部の実施形態によれば、本発明において考えられるコアとして、糖スフェア(sugar sphere)(ノンパレイユシード(nonpareil seed))、微結晶セルロース、またはマンニトールなどが挙げられるが、これらに限るわけではない。好ましくは、コアは、糖スフェア USP(Paulaur、ニュージャージー州クランバリー)である。コアの粒径は、約1μm〜約1000μm、好ましくは約300μm〜約900μm、より好ましくは約450μm〜約825μmの範囲にある。代表的な実施形態では、コアと活性成分の間の相互作用を避けるために、コアをコーティングしてもよい。例えば、適切なコーティング材料として、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ロウ、脂肪酸などが挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0033】
ある実施形態では、スフェアが、約100mg/g〜約950mg/g、好ましくは約550mg/g〜約850mg/gの範囲で、剤形の一部を構成する。もう一つの実施形態では、スフェアが、620mg/g〜約930mg/g、好ましくは約700mg/g〜約850mg/gの範囲で、剤形の一部を構成する。剤形中に追加構成物質を使用する場合、ビーズの割合は、その量に依存することになる。
【0034】
コアは、メマンチン、好ましくはメマンチン塩酸塩でコーティングされる。ある実施形態では、メマンチンHClが、IRビーズ全体の重量に対して、約15mg/g〜約350mg/g、好ましくは約50〜300mg/gの量で存在する。別の実施形態では、メマンチンが、約15〜300mg/g、好ましくは約25〜約250mg/gの量で存在する。
【0035】
好ましい一実施形態では、コアをメマンチンでコーティングする前に、結合剤と流動性促進剤との混合物にメマンチン塩酸塩を加える。流動性促進剤は、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカから選択することができるが、これらに限るわけではない。流動性促進剤は、1.5mg/g〜約35mg/g、好ましくは約1.5mg/g〜約30mg/g、より好ましくは約2.5mg/g〜約25mg/gの範囲の量で使用することができる。もう一つの実施形態では、流動性促進剤の好ましい範囲が約5mg/g〜約30mg/gである。
【0036】
結合剤は、ポビドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Opadry)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはそれらの組み合わせから選択することができるが、これらに限るわけではない。結合剤がHPMCである実施形態では、結合剤が約15mg/g〜約30mg/g、好ましくは約15mg/g〜約25mg/gの範囲の量で存在する。結合剤がポビドンであるもう一つの実施形態では、結合剤が約1.5mg/g〜約35mg/g、好ましくは約5mg/g〜約30mg/gの量で存在する。
【0037】
以下の表に本発明の代表的実施形態の一つを記載する。
【0038】
【表1】
活性成分と結合剤/水/流動性促進剤の混合物は、例えば撹拌機を使って、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも1時間混合することによって、製造することができる。構成要素は、調合、混合、溶解および蒸発を含む方法によって、または懸濁液を使って、混和することもできる。
【0039】
活性成分/結合剤/不活性物質混合物を、コア上に沈着させ、湿塊化し、押し出すか、造粒するか、噴霧乾燥することができる。ある実施形態では、混合物の適用に先だって、糖スフェアを約40℃〜約55℃の範囲の温度に予熱する。場合により、活性薬物層を適用する前に、約2%w/w〜約10%w/wのシールコーティングでコアをコーティングしてもよい。シールコーティングは、活性成分をコアから分離することができる適用可能な任意のコーティング、例えば、Eudragit(登録商標)、HPMC、HPC、またはそれらの組み合わせなどのポリマーコーティングであることができる。このことからも、本発明の組成物にとっては、溶出安定性(すなわち高温への曝露後の溶出プロファイルの維持)が重要である。
【0040】
ある実施形態では、当技術分野で公知の流動層コーター、例えばGlatt Powder Coater and Granulator、GPCG3(Ramsey、ニューヨーク州)などを使って、糖スフェアをコーティングする。気流速度、噴霧速度、および噴霧圧などのコーティング条件は、通例、当業者に知られ、認識されているとおりに制御される。製品の温度範囲は約43℃〜約51℃の範囲をとりうる。気流速度は約5〜約9m/sの範囲をとりうる。噴霧速度は約9〜約42g/分の範囲をとりうる。噴霧圧は好ましくは約1.5〜約2.0バールの範囲である。次に、ビーズを、コーティング装置の流動層中、約45℃〜約50℃の温度で、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも15分間、より好ましくは少なくとも30分間、乾燥する。多くの代替稼働条件およびさまざまなタイプの設備を同様に使用できることは、当業者にはわかるだろう。
【0041】
コーティングされた薬物を含有するコアとしてIRビーズが形成されたら、場合により、そのビーズをシールコーティングでコーティングしてもよい。シールコーティングは、pH依存性またはpH非依存性になるように設計することができるポリマーまたはポリマーの組み合わせであることができる。好ましい一実施形態では、シールコーティング用のポリマーが、HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE(例えばNE 30DまたはNE 40D)、および上記の二つ以上の組み合わせから選択されるが、これらに限るわけではない。これらのポリマーは水性媒質に不溶であるが、水性の液体と接触するとpH非依存的な膨潤を示す。もう一つの実施形態では、好ましくは5を上回るpHで可溶なpH依存性ポリマーで、IRビーズをコーティングする。IRビーズ製剤中に、シールコーティングポリマーは、約0%w/w〜約40%w/w、好ましく約0%w/w〜約10%w/w、より好ましくは約0%w/w〜約3%w/wの範囲の量で存在する。
【0042】
あるいは、美感、取扱い、または安定性のために、IRコアを速崩壊性または速溶解性コーティングでコーティングしてもよい。適切な材料は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、遊離アミノ基を含有するポリメタクリレートであり、それぞれに、可塑剤を含んでも含まなくてもよく、粘着防止剤または増量剤を含んでも含まなくてもよい。一般に、このサイズ範囲の場合、コアの重量の約3%をコーティング材料として添加すれば、連続的な被膜が得られると考えられる。
【0043】
以下の表(表2)に、被覆ビーズ製剤に使用される構成要素と共に、本発明の代表的な実施形態を示す。
【0044】
【表2】
別の実施形態において、本発明は、複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を持つコア(このコアは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含む)と、放出調節ポリマー層とを含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満であるような剤形を提供する。
【0045】
本発明の放出調節(MR)ビーズは、まず最初に、コア、活性成分層、およびシールコーティングを持つ上述のIRビーズとして製造することができる。次に、そのIRビーズを、放出調節ポリマー分散液の形をしたMR構成要素で、そして好ましくは、美感、取扱い、または安定性のために、ポリマーの追加トップコートで、コーティングすることができる。カプセル剤などの最終剤形は、その組成物の望ましい用量に応じて、異なる量のビーズを含有することができる。
【0046】
ポリマー分散液は、水を、エチルセルロース(Surelease(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)、メタクリレート(Eudragit(登録商標)、Rohm Pharma、ニュージャージー州)、およびメタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl−eze(登録商標)、インディアナ州インディアナポリス)から選択されるポリマー(ただしこれらに限るわけではない)と混合することによって製造される。ある実施形態では、分散液を、少なくとも15分、好ましくは少なくとも30分、混合する。
【0047】
結合剤およびマトリックスポリマーは異なる溶出安定性を持つので、結合剤およびポリマー組成物は、溶出不安定性が低減または排除されるように、特定の組み合わせで選択される。どのポリマー分散液が好ましいかは、どの結合剤を使用するかに依存する。結合剤がポビドンである一実施形態では、ポリマーコーティングがエチルセルロースである。結合剤がHPMCであるもう一つの実施形態では、ポリマーがメタクリレートまたはメタクリル酸である。メタクリレートをポリマーとして使用する場合は、ポリマーにクエン酸トリエチルを加える。フルイダイザーの使用後は、ビーズを再び乾燥させる。さまざまな構成要素の具体的な量を表3〜7に開示する。
【0048】
最終オーバーコーティング(またはトップコート)を、好ましくは、ビーズまたはペレットに重層する。オーバーコーティングは、HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニ州)、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E 12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NEおよびそれらの混合物から選択されるポリマーであることができるが、これらに限るわけではない。表3〜7は、本発明の代表的な実施形態を示すものである。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
MRビーズからの薬物溶出は、ポリマー層を横切るバルク媒質の浸透と薬物の拡散によって起こり、そしてそれらは、ポリマーの浸透性および膨潤性によって制御される。放出調節ビーズは、即放性錠剤剤形と比較して、本質的に、生物学的に同等なAUCと、即放性錠剤(表8)に対して少なくとも25%の低下したCmaxとを持つ。放出調節ビーズは、良好な認容性を示し、広い投薬量範囲にわたって投与することができる。Cmax(最高血漿中濃度)は、単回投与として投与した場合、即放性錠剤の約85%未満である。AUC(曲線下面積、バイオアベイラビリティの尺度)は、単回投与として投与した即放性錠剤の75%〜130%の範囲にある。この範囲は生物学的に同等であるとみなされる。
【0059】
放出調節製剤のビーズはその全てが直ちに放出するわけではない。これは、ドーズダンピング(dose dumping)を防止し、有害事象を減少させるために重要である。調節型ビーズ製剤では、平均Tmax(最高血漿中濃度到達時間)が、約5〜約48時間、好ましくは約5〜約36時間の範囲である。これらのビーズは、約6〜約12時間で約70%〜約80%を上回るインビトロ放出率を持つ。好ましくは、これらの製剤は、約2〜約6時間で約30%〜約60%の放出率を持つ。より好ましくは、これらの製剤は、使用環境への移行後、最初の1時間以内に約10〜約50%という放出率を持ち、その後に持続放出が起こる。さらに好ましくは、これらの製剤は、最初の1時間以内に約10〜約35%という放出率を持つ。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、即放性構成要素が第1の複数ビーズを含み、各ビーズが剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%が、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ、放出調節構成要素が第2の複数ビーズを含み、各ビーズが、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%が、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形を提供する。
【0061】
複合剤形を組み合わせて単相または多相プロファイルを持つ単一の剤形にすることができる。組成物中の活性成分(例えばメマンチン塩酸塩)は、1回量あたりのmg数として示すと、1回量あたり約2.5mg〜約100mgの範囲の量で存在しうる。好ましくは、各用量は2.5mg〜80mgの活性成分を含有する。別の実施形態では、用量が3、6、7、14、20、21、28、または60mgである。
【0062】
IR構成要素およびMR構成要素を含む組成物は、本発明の組成物の約5〜90%、好ましくは10〜60%の量のメマンチンを、即放性型として含みうる。約15%〜50%の即放性メマンチン含量は特に好ましい。放出制御型のメマンチンは、活性成分の残りの部分を構成しうる。結果として、最終組成物は、投与後直ちに放出するためのメマンチン量と、徐放/放出調節用の追加量とを与える。本発明の組成物は、使用する活性成分、IR構成要素とMR構成要素の相対量、およびMR構成要素の溶出特性に依存して、どの1回の投薬期間中にも、二つ以上のピークを、血漿中濃度/時間曲線中に示しうる。このようにして、特有の放出プロファイルを持つ組成物を達成することができる。
【0063】
IR構成要素およびMR構成要素を含む組成物には、当技術分野で公知の任意の固形経口剤形が含まれる。本発明で使用される好ましい固形剤形にはビーズが含まれる。ビーズは用量比例的である。すなわち、同じ比率の異なるタイプのビーズを、ある期間に放出される薬物の百分率を有意に変化させずに、異なる用量に使用することができる。例えば40mg用量は、同じバイオアベイラビリティで、薬物を20mg用量の2倍送達することになる。異なるビーズ量を使用することによって異なる用量が得られる。またビーズは、異なる溶出特性を持つ1タイプまたはそれ以上のビーズを混合することによって、または当業者にはよく知られているように、ポリマー層への追加薬物レイヤリングおよびその後のコーティングによる単位ビーズ(unitary beads)の製造など、多層コーティングを使用することによって、さまざまな溶出プロファイルを可能にする。またビーズは、広範囲にわたる薬物担持量を可能にする。例えば、メマンチンビーズは、剤形1gあたり500mgまで、ビーズに担持させることができる。薬物担持量が多いほどカプセルサイズを小さくできることは、当業者にはわかるだろう。
【0064】
即放性製剤と比較して最高血漿中濃度到達時間(Tmax)を延ばすことは、使用環境における薬物の放出率に関連づけられる。薬物の放出率は、固形剤形の組成および溶出特性を含む多くの因子に依存する。単位ビーズまたは複数のビーズタイプの組み合わせを含有する異なる組成物を使用することにより、それらの個々の放出率を組み合わせて、所望の血漿放出プロファイルを得ることができる。異なる放出特徴を持つビーズは、得られるビーズに異なる放出特徴が付与されるように、放出調節ポリマーならびに放出調節ポリマーと結合剤との組み合わせを選択することによって達成することができる。腸溶性コーティングなどのオーバーコートも、所望であれば使用することができる。
【0065】
ビーズまたはビーズ混合物は、例えば懸濁液として、またはカプセルに充填して、または錠剤に圧縮して、または分包に充填して使用することができる。1タイプまたはそれ以上の放出調節ビーズを一つに混合して、カプセルに封入するか、対象の食物へのふりかけ(sprinkle)として使用することができる。本発明によれば、経口剤形はこれらの形態のいずれであってもよい。好ましくは、剤形はカプセル剤である。
【0066】
本発明の一実施形態では、カプセル化装置を使って、ビーズをカプセル剤に製剤する。標的製剤の強度および充填重量に対応するために、さまざまなカプセルサイズが必要になりうる。カプセルサイズは、約15mg〜約630mgの範囲の充填重量の場合、00〜5の範囲になる。
【0067】
剤形中のIRビーズ構成要素およびMRビーズ構成要素の粒径は、それらを製造するために使用する技術に依存する。粒径は、粉末技術(混合物、噴霧乾燥、分散系など)の場合のサブミクロン〜500μmから、コーティング技術(Wurster(登録商標)、トップスプレー、ボトムスプレー、噴霧乾燥、押出、レイヤリングなど)の場合の5〜1700μm、錠剤化技術の場合の1〜40mmに及ぶ。
【0068】
本発明によれば、メマンチンまたは薬学的に許容できるその塩の一つ(好ましくはそのHCl塩)をヒトに投与するための経口剤形が提供される。本発明の経口剤形はCNS障害の処置、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、AIDS痴呆(米国特許第5,506,231号、同第5,061,703号、および同第5,614,560号;Parsonsら, Neuropharmacology 1999 Jun; 38(6):735−67も参照されたい)、神経因性疼痛(米国特許第5,334,618号)、脳虚血(米国特許第5,061,703号)、てんかん、緑内障、肝性脳症、多発性硬化症、脳卒中、うつ病(米国特許第6,479,553号)、遅発性ジスキネジー、マラリア、ボルナウイルス、C型肝炎(米国特許第6,034,134号および同第6,071,966号)などの処置(ただしこれらに限るわけではない)に適している。その処置にメマンチンが適している他の病態は、米国特許第5,614,560号および同第6,444,702号に開示されている。特に興味深いのは、不断の疼痛緩和をもたらす能力である。したがって本発明はさらに、ヒトまたは動物対象におけるCNS障害を治療的または予防的に処置するための方法であって、そのような処置を必要とする対象に、本発明の組成物を、CNS障害を処置するのに有効な量で投与することを含む方法も提供する。
【0069】
<定義>
本発明に関し、「徐放(sustained release)」または「放出調節(modified release)」とは、治療活性剤の放出が長期間にわたって起こり、その結果、ピーク血漿中濃度が低下することを意味し、かつ/または「即放性(immediate release)」と比較して長いTmaxを示す。例えば、放出調節組成物は約5時間以上の平均Tmaxを持ちうる。
【0070】
「溶出要件」という用語は、USP XXVに指定されている設備および手法を使って試験し、個々の治療活性剤に関してUSP XXVの個別のOfficial Monographに従って行った場合に得られる、ビーズの溶出率を意味する。
【0071】
本明細書にいう「付加物形成」とは、ある組成の特定の製剤における、固相反応による化合物の形成を指す。化合物に関して、一般用語「付加物」は、付加化合物とも呼ばれ、二つまたはそれ以上の異なる化合物の直接結合によって生じる。例えば本発明において、ラクトース付加物形成(または他の還元糖)は、ラクトース(または他の還元糖)を含有する製剤で起こりうる。そのような付加物形成は、製品の効力を損ない、他の副作用のリスクを増加させる。
【0072】
「治療有効量」とは、ある状況、障害または状態を処置するために哺乳動物に投与した場合に、処置(以下に定義する)を達成するのに十分であるような、化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに処置を受ける哺乳動物の年齢、体重、身体状態および応答性に依存して変動するだろう。本発明によれば、ある実施形態では、メマンチンの治療有効量が、アルツハイマー病またはパーキンソン病を含むCNS障害の処置に有効な量である。もう一つの実施形態では、治療有効量が、神経因性疼痛、または他の有痛性状態、例えば内臓過敏などの処置に有効な量である。他の用途には、例えば痴呆、うつ病、および神経因性疼痛の処置などがあるが、これらに限るわけではない。薬理作用に関する薬物の有効量、それゆえにカプセル強度は、疾患そのものに依存し、例えばアルツハイマー病では、患者にまず5mg用量を与え、投薬量を10mg、1日2回まで、徐々に増加させる。臨床試験で評価された追加用量には40mg/日が含まれる。本発明では、例えば、調節型固形剤形によるアルツハイマー病処置において、患者は、まず最初に2.5mgが与えられて、80mgまで増量され、より好ましくは、まず最初に1日1回、7mg〜33mgが与えられる。また、IR剤形では約4〜5段階に増量して与えられる。放出調節剤は、認容性に優れているので、3〜4段階に増量して与えることができる。
【0073】
「薬学的に許容できる」という用語は、動物またはヒトにおけるインビボ使用に生物学的または薬学的に適合することを意味し、好ましくは、動物(より具体的にはヒト)における使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の広く認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0074】
本明細書で使用する「処置する」という用語は、その全ての動詞形において、本明細書では、対象における障害の少なくとも一つの症状を緩和または軽減することを意味するために使用され、その障害には、例えば疼痛、アルツハイマー病、血管性痴呆、またはパーキンソン病などが含まれる。「処置する」という用語は、与えられた刺激(例えば圧力、組織傷害、低温など)に応答して対象が経験する障害の症状発現の強さおよび/または持続時間を緩和または軽減することを意味しうる。例えば痴呆に関して、「処置する」という用語は、認知障害(例えば記憶および/または見当識の障害)または全体的機能(日常生活動作、ADL)の障害を緩和または軽減すること、および/またはADLまたは認知の漸進的劣化を減速または逆転させることを意味しうる。本発明において、「処置する」という用語は、ある疾患を停止させ、ある疾患の発症(すなわち、ある疾患の臨床的症状発現までの期間)を遅延させ、そして/またはある疾患の発生または悪化のリスクを減少させることも意味する。「保護する」という用語は、本明細書では、対象における疾患の発生または継続または憎悪を適宜、予防、遅延もしくは処置すること、またはその全てを意味するために使用される。本発明に関して、痴呆はCNS障害に関連し、例えばアルツハイマー病(AD)、ダウン症候群および脳血管性痴呆(VaD)などの神経変性疾患を含むが、これらに限るわけではない。「処置」という用語は、上に定義した「処置する」行為を意味する。
【0075】
本明細書で使用する「用量比例的」という用語は、薬物の用量とそのバイオアベイラビリティの間の関係を指す。例えば、2倍量の同じ組成物が、2倍量の薬物を送達し、その剤形の1回量と同じバイオアベイラビリティ(例えばAUC)を与えるのであれば、用量比例性が存在する。本発明の用量比例性は、本明細書で詳しく議論するように、広い用量範囲に当てはまる。
【0076】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に関して許容することができる誤差範囲内を意味し、それは一つにはその値が測定または決定される方法(すなわち測定システムの制約)に依存する。例えば「約」は、当技術分野の慣例によれば、1(またはそれ以上の)標準偏差以内を意味しうる。あるいは、組成物に関して「約」は、±20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システムまたは生物学的過程に関して、この用語は、ある値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値を本願および請求項に記載する場合、別段の表示がない限り、「約」という用語は、その特定の値に関して許容することができる誤差範囲内を意味する。例えば、期間(例えば時間)に言及する場合には、これらの値(±20%)は、より一層、妥当である。したがって6時間は、通常の6時間だけでなく、例えば4.8時間、5.5時間、6.5時間、7.2時間であることができる。
【0077】
「使用環境への移行」という用語は、本発明の製剤が、それを投与された患者の胃液もしくは腸液、または胃液の模倣を意図した液と接触することを意味する。本明細書にいう「使用環境」とは、その薬物の主要吸収部位と目される胃または消化管の他の部分を指す。
【0078】
本明細書で使用する「類似性因子(similarity factor)」またはf2因子という用語は、二つの異なる製品の溶出プロファイルを比較する方法の一つを指す(「Multisource Pharmaceutical Products: Guidelines on Registration Requirements to establish Interchangeability, Quality Assurance and Safety: Medicines, Essential Drugs and Medicines Policy」世界保健機関、1211 Geneva 27、スイス)。このモデル非依存的な数学的アプローチは、二つの製品、すなわち試験品および基準品(または二つの強度、または同じ製造者による承認前製品および承認後製品)の溶出プロファイルを比較する。試験は同じ試験条件下で行うように勧告されている。両プロファイルに関する溶出時点は、例えば即放性製品の場合であれば10、15、30、45、60分など、持続放出製品の場合であれば1、2、3、5および8時間などと、同じにすべきである。基準製品の85%溶出後は、1時点だけを考慮すべきである。50以上(50〜100)のf2値は、二つの曲線(したがって二つの製品の性能)の同一性または同等性を保証する。類似性因子f2は、式:
f2=50 log{[1+(1/n)t=1n(Rt−Tt)2]−0.5 100}
を使って算出すべきである(式中、RtおよびTtは、それぞれ比較(基準)および(試験)製品の、選択したn時点のそれぞれにおける、溶出した薬物の累積百分率である)。非常に迅速に溶出する製品(すなわち15分以下で85%を上回る溶出)の場合、プロファイル比較は必要ない。強度の相違が活性部分を含有するビーズの数だけにある持続放出ビーズカプセルについては、一つの勧告試験条件下での溶出プロファイル比較(f2≧50)があれば、BE試験免除(biowaiver)に十分である。一方、持続放出錠剤については、薬物製品が強度の異なる同じ剤形であり、その活性および不活性成分の比率が類似していて、同じ薬物放出機構を持っている場合に、勧告された試験方法により三つの多様なpH緩衝液(pH1.2〜7.5)で類似する溶出プロファイル(f2≧50)を示すのであれば、低い方の強度について、BE試験免除の認可を受けることができる。
【0079】
本明細書において使用する「溶出安定性」という用語は、さまざまな温度および湿度条件において異なる貯蔵期間で得られる溶出プロファイルの類似性(初期と比較して50を上回る類似性因子)を指す。
【0080】
「実質的に同じ溶出安定性」という用語は、基準溶出プロファイルと比較して50を上回る類似性因子f2を意味する。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本発明の単なる例示であって、決して本発明の範囲を限定するとみなしてはならない。というのも、本明細書を読めば、本発明に包含される多くの変形および等価形態が、当業者には明らかになるだろうからである。
【0082】
<実施例1>メマンチンHCl担持ビーズ型(非MR)の製造
本実施例では、結合剤としてポビドンを使って即放性メマンチン塩酸塩担持ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン)
撹拌機を使って、ポビドン USPを、完全に溶解するまで、水と混合する。ポビドン溶液を含む容器にメマンチンHClを加え、少なくとも15分間混合する。タルク USPを加え、少なくとも半時間は混合を続ける。
2.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
GPCG3(Glatt Fluid Air、ニュージャージー州ラムゼイ)などの流動層コーターを使って、予熱した糖スフェア USPをメマンチンHCl懸濁液の層でコーティングする。コーティングは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜42g/分
噴霧圧=1.5〜2.0バール。
【0083】
コーティングされたビーズを流動層中で5分間乾燥する。次にビーズを排出し、適当な容器に貯蔵する。ビーズは薬物レイヤリング懸濁液でコーティングされる。固形物の量、すなわちコアの重量増加は、処方中の固形物に依存する。
【0084】
<実施例2>メマンチンHCl担持ビーズ型の製造
本実施例では、結合剤としてHPMCを使って即放性メマンチン塩酸塩担持ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)
撹拌機を使って、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を、完全に溶解するまで水と混合することにより、Opadry(登録商標)溶液を生成させる。Opadry(登録商標)溶液を含む容器にメマンチンHClを加え、少なくとも15分間混合する。タルク USPを加え、少なくとも半時間は混合を続ける。
2.シールコーティング溶液およびオーバーコーティング溶液の製造
撹拌機を使って、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を、完全に溶解するまで水と混合することにより、7%w/w溶液を得る。
3.Opadryを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
GPCG3(Glatt Fluid Air、ニュージャージー州ラムゼイ)などの流動層コーターを使って、糖スフェア USPをメマンチンHCl懸濁液の層でコーティングする。コーティングは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合)。
【0085】
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜42g/分
噴霧圧=1.5〜2.0バール。
【0086】
コーティングされたビーズを流動層中、45〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。ビーズは薬物レイヤリング懸濁液でコーティングされる。固形物の量、すなわちコアの重量増加は、処方中の固形物に依存する。
【0087】
<実施例3>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、水性エチルセルロース分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する一般工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.エチルセルロース分散液の製造(Surelease(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)
撹拌機を使ってSurelease(登録商標)を水と少なくとも15分間混合することにより、15%w/w分散液を得る。
3.Surelease(登録商標)ポリマーによるコーティング
Glatt fluid Air(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズをエチルセルロース分散液(Surelease(登録商標))でコーティングする。これは、以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=38〜45℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=3%w/w。
【0088】
コーティングされたビーズを流動層中、45℃〜50℃の入口温度で5分間乾燥する。
【0089】
<実施例4>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、Eudragit(登録商標)(Rhom Pharma、ニュージャージー州)分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液の製造
30%w/w水性分散液であるEudragit(登録商標)RS 30DおよびRL 30Dを計量し、適切な混合タンク中、95対5の比率で合わせ、メカニカルスターラーを使って15分間撹拌する。そのEudragit(登録商標)混合物にクエン酸トリエチル(TEC)を加えて、15分間混合することにより、均一な分散液を得る。タルク USPを計量し、もう一つの適切な混合タンクに入っている精製水にゆっくりと移し、少なくとも30分間は撹拌することにより、均一な分散液を得る。そのタルク分散液をEudragit(登録商標)/TEC混合物に加えて、少なくとも30分間撹拌することにより、均一な分散液を得る。次に、その分散液を、#60(250μm)のふるいに通すことによって、篩分する。
3.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液を用いるポリマーコーティング:
Glatt Air Techniques(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズを、Eudragit(登録商標)RS/RL分散液でコーティングする。コーティングは以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=22〜27℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=6%w/w。
【0090】
ポリマーコーティングされたビーズを、流動層中、22〜30℃の入口温度で、30分間乾燥する。
【0091】
<実施例5>メマンチンHCl放出調節ビーズ剤形の製造
本実施例では、メタクリル酸コポリマー分散液を使ってメマンチン塩酸塩放出調節ビーズを開発する工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1または2に従って製造する。
2.メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))の製造
撹拌機を使って、Acryl−Eze(登録商標)を水と少なくとも30分間混合した。
3.メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))を用いるポリマーコーティング
Glatt Fluid Air(ニュージャージー州ラムゼイ)が製造するGPCG3などの流動層コーターを使って、薬物担持ビーズを、メタクリル酸コポリマー・タイプC分散液(Acryl−Eze(登録商標))でコーティングする。コーティングは以下の工程パラメータで行われる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=26〜34℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=15〜22g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール
標的重量増加=30%w/w。
【0092】
コーティングされたビーズを、流動層中、45℃〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。溶出率を図13に示す。
【0093】
<実施例6>メマンチンHCl調節放出ビーズ剤形のシールコーティングおよびオーバーコーティング
本実施例では、メマンチン塩酸塩放出調節ビーズをシールコーティングおよびオーバーコーティングする工程を説明する。
1.薬物担持ビーズを実施例1〜6の一つ以上に従って製造した。
2.シールコーティングおよびオーバーコーティング
以下の工程パラメータを使って、薬物担持ビーズを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの層で、さらにシールコーティングすることができる(バッチサイズ=1.0〜3.0Kgの場合):
製品温度=43〜51℃
気流速度=5〜9m/秒
噴霧速度=9〜16g/分
噴霧圧=1.0〜2.0バール。
【0094】
同様に、ポリマーコーティングされたビーズを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))でさらにオーバーコートすることにより、2%w/wの重量増加を得ることができる。コーティングされたビーズを、流動層中、45〜50℃の入口温度で、5〜30分間乾燥する。
【0095】
<実施例7>メマンチンHCl IRビーズの製剤−ポビドン USPを使用
この実施例では、結合剤としてポビドン USPを用いるメマンチンHCl即放性ビーズ100mg/gおよび171mg/gの製剤を示す。
【0096】
【表13】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン)
2.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング。
【0097】
これらのビーズに関する溶出データを図1に示す。図4において、IRビーズとリリース(Release)1ビーズとの溶出の比較は、約26の類似性因子F2しか示さない。これは、放出プロファイルが実質的に異なることを意味し、放出調節が3%のコーティングレベルで達成されることを示している。
【0098】
<実施例8>メマンチンHCl IRビーズの製剤−Opadry Clearを使用
この実施例では、結合剤としてOpadry(登録商標) Clearを用いるメマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す(157mg/g)。
【0099】
【表14】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造−結合剤−HPMC(Opadry(登録商標));
2.シールコーティング溶液の製造;および
3.Opadryを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティングおよびシールコーティング。
【0100】
これらのビーズに関する溶出データを図1に示す。図1において、初期溶出と貯蔵した試料の溶出との比較に関して高いF2値(>50)は、良好な溶出安定性を示している。
【0101】
<実施例9>メマンチンHClリリースビーズ(リリース1および3)の製剤
この実施例では、Surelease(登録商標)3%とPVP、およびSurelease(登録商標)6%とPVPを使った、メマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す。これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−ポビドン);
2.エチルセルロース分散液(Surelease(登録商標))の製造;
3.オーバーコーティング溶液の製造;
4.ポビドンを含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング;
5.Surelease(登録商標)ポリマーによるコーティング;および
6.オーバーコーティング。
【0102】
【表15】
必要な調節型放出率が達成され、それはビーズを50℃で加熱した後も実質的に変化しない(図2参照)。IRビーズとリリース1ビーズとの溶出の比較を図4に示す。溶出安定性データを図5に示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較で得られる高いF2値(>50)は、優れた溶出安定性を示している。
【0103】
【表16】
これらのビーズに関する溶出データを図5に示す。これらのビーズに対するオーブン加熱の影響も図5に示す。このデータは、ビーズを40℃および50℃で短期間加熱した後に、溶解率に実質的変化がないことを示している。溶出率安定性を図3に示す。同様に、Sureleaseのレベル、重量増加が異なる放出調節ビーズを、IRビーズ171mg/gまたは100mg/gを使って製造することができる。
【0104】
<実施例10>メマンチンHCl放出調節ビーズ(リリース4、5および6)の製剤
この実施例では、Eudragit/HPMCを使った、6%w/w、10%w/w、および20%w/w Eudgragit(登録商標)の、メマンチンHCl即放性ビーズの製剤を示す。Eudragit/HPMCビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標));
2.シールコーティング溶液の製造;
3.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液の製造;
4.オーバーコーティング溶液の製造;
5.Opadry(登録商標)を含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング;
6.シールコーティング
7.Eudragit(登録商標)RS/RL分散液によるポリマーコーティング
8.オーバーコーティング。
【0105】
【表17】
【0106】
【表18】
これらのビーズに関する溶出安定性データを図3および図9に示す。
【0107】
【表19】
この実施例では、HPMCを結合剤として使用し、Eudragit(登録商標)を放出調節ポリマーとして使用した。どちらも、50℃で短期間加熱した後に、溶出率の実質的な相違を示さない。溶出安定性データを図6および図7に示す。
【0108】
<実施例11>メマンチンHCl放出調節ビーズの製剤
この実施例では、Acryl−Eze(登録商標)ポリマーを使ったメマンチンHCl放出調節ビーズの製剤を示す。
【0109】
【表20】
これらのビーズの製造工程には以下のステップが含まれる:
1.メマンチンHCl懸濁液の製造(結合剤−HPMC(Opadry(登録商標))
2.シールコーティング溶液の製造
3.Acryl−Eze(登録商標)分散液の製造
4.Opadry(登録商標)を含有するメマンチンHCl懸濁液のコーティング
5.シールコーティング
6.Acryl−Eze(登録商標)分散液によるポリマーコーティング。
【0110】
溶出率を図13に示す。
【0111】
<実施例12>単位放出調節カプセルの製造
この実施例では、実施例9で製造されるビーズ、具体的にはリリース3に基づく、用量比例的な単位カプセル剤の製造を例示する。以下に提示するカプセル剤には、2.5mg、7mg、14mg、21mg、28mg、40mg、80mgおよび100mg製剤が含まれる。
【0112】
【表21】
適当なサイズカプセルに合わせてカプセル化装置(MG−2 Futura、ニュージャージー州)を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズリリース3を充填する。全ての強度について充填重量およびカプセルサイズを表9に示す。重量検査装置(Weigh Inspection Equipment)を使って個々のカプセルの重量を全数検査するする。また、異なるIRビーズおよびコーティングレベルを使って製造されるMRビーズも、製造することができる。25、40および60mg強度に関する溶出データを図8に示す。
【0113】
<実施例13> 複数の放出調節ビーズを使ったカプセルの製造(40mg)
この実施例では、リリース1およびリリース3ビーズをさまざまな比で使ったカプセル剤の製造を例示する。
【0114】
サイズカプセルに合わせてカプセル化装置を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズ、例えばリリース1およびリリース3を充填する。さまざまな用量比について、充填重量を以下に示す。重量検査装置を使って個々のカプセルの重量を全数検査する。
【0115】
【表22】
これらのカプセル剤に関する溶出データを図10に示す。図10に示すように、初期溶出率と貯蔵試料の溶出率とを比較して得られる高いF2値(>50)が、優れた溶出安定性を示している。メマンチンの血漿中濃度値を図11に示す。
【0116】
表19〜21に、メマンチンSurelease(登録商標)被覆ビーズの個々のカプセル製剤と、使用することができるビーズ重量の適用可能範囲を示す。
【0117】
【表23】
【0118】
【表24】
【0119】
【表25】
<実施例14> 複数のビーズを含むカプセル剤の製造(40mg)
この実施例では、リリース4、リリース5およびリリース6ビーズをさまざまな比率で含むカプセル剤の製造を例示する。
【0120】
サイズカプセルに合わせてカプセル化装置を準備する。カプセルにメマンチンHCl MRビーズ、例えばリリース4、リリース5およびリリース6を充填する。さまざまな用量比について、充填重量を以下に示す。重量検査装置を使って個々のカプセル剤の重量を全数検査する。
【0121】
【表26】
これらのカプセル剤に関する溶出データを図10に示す。メマンチンの血漿中濃度値を図11に示す。
【0122】
表22〜24に、メマンチンEudragit被覆ビーズの個々のカプセル製剤と、使用することができるビーズ重量の適用可能範囲を示す。
【0123】
【表27】
【0124】
【表28】
【0125】
【表29】
<実施例15> メマンチン製剤の薬物動態試験
本実施例では、三つの放出調節ビーズメマンチン剤形のバイオアベイラビリティを、即放性メマンチン錠剤と比較する。現在、市販品としてのメマンチンおよび臨床試験におけるメマンチンの臨床使用には、即放性錠剤の1日2回という投与レジメンが利用されている。放出調節ビーズ製剤では、Cmaxを低下させると同時に認容性を改善するために、1日1回の投与を目指した。放出調節製剤では、1日1回の投与で十分になるような曝露をもたらすことをもくろんだ。望ましいプロファイルを、IR錠剤と比較して、20%を上回るようなAUCの低下を伴うことのない、少なくとも25%というCmaxの低下に設定した。
【0126】
被験者および方法
メマンチンの投薬を受けたことがない、年齢18〜45歳(18歳および45歳を含む)の若い男性および女性健常被験者24人で、単一施設オープンラベル無作為化4元クロスオーバー試験を行った。登録患者は24人だったが、試験を完了した患者は22人だった。試験開始の14日以内に患者を選別し、病歴評価、全身の理学的検査(血圧、脈拍、体温、身長、体重および呼吸数を含む)、臨床検査評価(血液検査(分類検査を含む)、化学検査および尿検査からなる)、依存性薬物スクリーン(アルコールおよびコチニンを含む)、HBsAg、抗HCVスクリーン、RPR/VDRL、抗HIV1および2検査、ならびに12誘導ECGを含めた。女性被験者は選別時に行われるβ−HCG血清妊娠検査を受けることになる。これらの試験のいずれかにおける異常(または陽性)値を、除外の根拠とした。臨床検査試験には以下の検査を含めた:
血液検査:ヘモグロビン、ヘマトクリット、RBC数、WBC数、WBC分類検査(百分率および絶対値)ならびに血小板数。
【0127】
化学検査:アルカリホスファターゼ、ALT、AST、総ビリルビン、コレステロール、トリグリセリド、LDH、総タンパク質、グルコース、尿酸、BUN、クレアチニン、ナトリウム、カルシウム、無機リンおよびカリウム。
【0128】
尿検査:比重、pH、ケトン体、タンパク質、血液、グルコース、ビリルビンおよび検鏡(RBC/HPF、WBC/HPF、円柱/LPF)。
【0129】
依存性薬物スクリーンには、ベンゾイルエクゴニン(コカイン)、メタドン、バルビツレート類、アンフェタミン類、ベンゾジアゼピン、コチニン、アルコール、カンナビノイド類、オピエート類およびフェンシクリジンを含めた。三環系抗うつ薬の使用についても被験者を調べた。メマンチンまたは他のN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストに対する過敏症、高血圧、低血圧、心臓異常もしくは心臓疾患、または物質乱用歴を持つことがわかっている被験者は除外した。薬物の併用も、カフェインまたは他のキサンチン化合物の使用も、許可しなかった。被験者は、試験期間中はどの時点においても、激しい運動には従事しなかった。
【0130】
被験者には、それぞれに21日間の休薬期間を置いて、無作為な順序で、以下の処置を与えた:
処置A:メマンチン40mgの単回投与(20mgの即放性錠剤2個、0800に投与);
処置B:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤I(Surelease(登録商標)R1:R3 25:75)の単回投与、0800時に投与;
処置C:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤II(Surelease(登録商標)R1:R3 5:95)の単回投与、0800時に投与;および
処置D:メマンチン40mgカプセル(MR)製剤III(Eudragit(登録商標)徐放剤)の単回投与、0800時に投与。
【0131】
試験継続期間は79日間とした(1日目から78日目の最後のPK試料まで)。22人の被験者が試験を完了した。
【0132】
血液試料は、フレボトミストが、紫蓋Vacutainer(登録商標)チューブ(抗凝固剤としてEDTA三カリウムを含有)を使って、どちらかの腕から肘正中静脈の静脈穿刺によって集めた。5mLチューブを使って、メマンチン濃度を決定するための試料を集めた。被験者1人あたり96の血液試料(各5mL)を集めた。この試験中に被験者1人あたり約510mLの血液を集めた(480mLと、さらに試験前および試験後臨床分析用の30mL)。主な薬物動態パラメータを決定するために、メマンチンの血漿中濃度を、以下の時間間隔で測定した:
1〜5、7、9、11、13、15、22〜26、28、30、32、34、36、43〜47、49、51、53、55、57、64〜68、70、72、74、76および78日目。1、22、43、64日目は、投与前ならびに投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、24、36、48、72、96、144、192、240、288および336時間後に、採血を行った。被験者は、1、22、43および64日目の薬物投与後、最初の4時間は、移動可能であるか、起きあがって着座し、覚せいした状態を保った。
【0133】
予冷した5mL Vacutainer(登録商標)チューブ(抗凝固剤としてEDTA三カリウムを含有)を使って、メマンチン濃度決定用の血液試料を集めた。血液試料は、4℃で10分間、2,500gを下回らない速度で、採血時から30分以内に遠心分離し、血漿を収集した。遠心分離後に、血漿試料を、予冷したコード付ポリエチレンチューブに移した。次に試料をイソプロピルアルコール/ドライアイス中で急速冷凍し、約−70℃で保存した。
【0134】
メマンチンのバイオアベイラビリティの速度および程度に関して、薬物動態学的基準を評価した。安全性基準も評価して、臨床検査試験、有害事象、理学的検査、ECG、およびバイタルサインを監視した。バイタルサインは以下に挙げる日にチェックした:1、2、22、23、43、44、64、65、および78日目。血圧および脈拍数は、試験中は常に同じ腕で、対応する血液試料を集める前に、座位(被験者は少なくとも5分間は座っていなければならない)で測定した。試験前測定および試験後測定に加えて、以下の時点でバイタルサインを計測した:1、22、43および64日目:0800時の投与前、投与の2、4、6、8および24時間後。
【0135】
統計方法
UNIXオペレーティングシステムでSAS(登録商標)バージョン6.12以降を使って、薬物動態パラメータを分散分析(ANOVA)によって比較した。順序、順序内の被験者、処置、および期間を因子とする一般線形モデルを、解析の基礎として使用した。統計的推測は、CmaxおよびAUCパラメータに関する対数変換値ならびにT1/2に関する観測値に基づいて行った。
【0136】
各試験製剤(MRカプセル)と基準製剤(IR錠剤)との平均AUCの比に関する両側90%信頼区間を構築した。
【0137】
試験製剤および基準製剤に関するTmaxは、未変換データに基づき、ウィルコクソン符号順位検定を使って比較した。
【0138】
安全性パラメータ(有害経験、バイタルサイン、臨床検査評価、およびECGパラメータ)を、全ての被験者について要約した。有害事象およびバイタルサインは、処置によっても要約した。重篤度および試験薬との関係によって分類した有害経験について発生表を作成した。他の安全性パラメータについては記述統計値を算出した。バイタルサイン、検査パラメータ、およびECGパラメータについて潜在的に臨床上有意なベースライン後値を持つ被験者を記録する。
【0139】
試験薬物の最初の投与後に起こるAEはいずれも、ベースライン時に存在しなかったか、ベースライン時に存在したが処置期間中に重篤度が増加したのであれば、試験薬との関係にかかわらず、試験処置下で発現したAE(TEAE)として数えた。有害事象または有害経験(AE)は、医薬品を投与された被験者または臨床調査対象における任意の不都合な医学的出来事と定義した。AEが医薬品による処置に対して因果関係を持つことは必要でなかった。
【0140】
したがってAEは、試験薬物に関係があろうとなかろうと、試験薬物の使用と時間的に関連する好ましくなく意図しない徴候(例えば臨床上有意な異常検査所見)症状、または疾患とした。AEには、被験者の全身状態の変化;被験者が申し出た、または被験者から聞き出した、自覚症状;研究者または研究員が観察した客観的徴候;または試験の開始後に起こる全ての併発症(既存の疾患の重症度または頻度の変化を含む);試験中に起こる、臨床的に関連する全ての検査異常または理学的所見を含めた。
【0141】
各AEの因果関係を以下の基準に従って分類した:
関連あり(related):試験薬物投与に対する合理的な時間的関係、かつ他の因子(例えば患者の臨床状態、並行治療、および/または他の介入)によって合理的に説明することができない、または適用/注射部位反応。
【0142】
関連があるかもしれない(possibly related):試験薬物との関係を排除することができない。
【0143】
関連なし(not related):その反応について明解な別の原因を特定するためのデータ(例えば薬剤誘発性肝炎が疑われる場合のウイルス抗原に関する陽性試験、機械的損傷による出血など)を入手することができる。
【0144】
重症度は以下の尺度に従って評価した。
【0145】
軽度:そのAEは、被験者にとって煩わしいものではあったが、ベースライン機能をそれ以上妨害することはなかった;そのAEは断続的であっても連続的であってもよい。
【0146】
中等度:そのAEは、被験者に多少の不快を覚えさせるか、正常な活動を多少妨害したが、健康を害することはなかった;そのAEの処置には処方薬治療を使用しうる。
【0147】
重度:そのAEは、被験者に深刻な不快を覚えさせるか、正常な活動を著しく制限または妨害し、健康にとって明確な害に相当した;そのAEの処置には、処方薬治療および/または入院を使用しうる。
【0148】
薬物動態パラメータ
以下に述べる薬物動態パラメータには、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0−tおよびAUC0−∞)、最高血漿中濃度(Cmax)、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)および終末相消失半減期(T1/2)を含めた。メマンチンの最高血漿中濃度は、各被験者について、ピーク濃度として実測的に決定した。最高濃度到達時間Tmaxは、Cmaxに対応する時間として決定した。最後の測定可能濃度に対応する時刻までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0−t)は、以下の線形台形公式を使った数値積分法によって算出した:
【0149】
【数1】
式1
[式中、Ciは、対応する試料採取時点tiにおける血漿中メマンチン濃度であり、nは、最後の定量可能濃度まで(最後の定量可能濃度を含む)の時点の数である]。
【0150】
終末相半減期(T1/2)の推定値は、以下の等式を使って算出した:
【0151】
【数2】
式2
[式中、λzは終末相消失速度定数である]。
【0152】
時刻0から無限大までの血漿中濃度−時間曲線下面積は、以下の等式に従って算出した:
【0153】
【数3】
式3
[式中、Clastは最後の測定可能濃度である]。
【0154】
結果
メマンチン濃度を分析するため、投薬後に一連の血漿試料を集めた。処置A、B、C、およびD後の平均血漿中濃度−時間プロファイルを図11Aに示す。切り出した濃度−時間プロファイルを図11Bに示す。図12には、複数のビーズを含有する40mgカプセルについて、異なるpH値を持つ異なる生体関連溶出媒質における溶出プロファイルを示す。
【0155】
薬物動態パラメータを表26に示す。
【0156】
【表30】
【0157】
【表31】
処置B、C、およびDは、放出調節製剤の1回量投与後の最高血漿中濃度到達時間(Tmax)に増加を示した。放出調節製剤の血漿中濃度下面積(AUC)を即放製剤と比較することにより、全ての製剤が本質的に生物学的に同等であることが示された。処置B、CおよびDの場合、最高血漿中濃度(Cmax)は、即放性剤形と比較して有意に減少した。AUC値はIR錠剤の20%以内であることから、これらの製剤はバイオアベイラビリティに関して同等だったことが示唆される。Cmaxの低下はどの製剤についても15%を上回り、処置BおよびCでは25%を上回った。驚いたことに、これらの値は、最新のインビトロ/インビボ相関(IVIVC)モデルが予測した値よりも、有意に改善されている。これらのモデルが、FDAガイドライン(「Guidance for Industry on Extended Release Oral Dosage Forms: Development, Evaluation, and Application of In Vitro/In Vivo Correlations」Food and Drug Administration、CDER、1997年9月)に基づくIVIVCモデルに記述されていることは、当業者にはわかるだろう。終末相半減期はどの製剤でも本質的に同じだった。これは消失速度が影響を受けなかったことを示している。調節製剤のAUC値はIR錠剤の20%以内であったことから、これらの製剤はバイオアベイラビリティに関して同等であったことが示唆される。表27に示すように、Cmaxの低下はどの製剤についても15%を上回り、特に処置BおよびCの場合は、低下が25%を上回った。驚いたことに、これらの値は、使用したIVIVCモデルの予測よりも、有意に改善されていた(表28参照)。
【0158】
【表32】
【0159】
【表33】
有害作用の発生を表30に示す。驚いたことに、本発明の放出調節製剤は、IR錠剤(処置A)よりも、認容性が高かった。総AE数は、三つの処置のいずれについても、40%以上減少した。
【0160】
【表34】
有害事象に関して、試験処置下で発現した有害事象(TEAE)の総数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ30、16、14、および17であることが、予備データによって示された。これは、IR錠剤による処置と比較してMR製剤による処置中に観察されるTEAEの減少を示している。TEAEを起こした被験者の数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ18、11、7、および10だった。めまいの発生数は、処置A、B、C、およびDについて、それぞれ14、7、4および6だった。
【0161】
1回量投与後の望ましい血漿中濃度−時間プロファイルに、処置BおよびCは合致したが、処置Dは合致しない。
【0162】
プロトタイプMR製剤の単回40mg用量は、40mg IR錠剤よりも、認容性が高かった。
【0163】
本剤形は、3.0%未満(好ましくは2.5%未満)の付加物形成をもたらす賦形剤を含有する。付加物形成は、HPLC法と蒸発光散乱検出器とを使って検出される。
【0164】
【表35】
本発明は、本明細書に記述した具体的実施形態によって、その範囲を限定されない。実際、上記の説明および添付の図面から、本明細書に記載した実施形態の他にも、本発明のさまざまな変更形態が、当業者には自明になるだろう。そのような変更形態も本願請求項の範囲に包含されるものとする。
【0165】
また、全ての値は概数であり、説明のために記載したものである。
【0166】
本願では、特許、特許出願、刊行物、製品に関する文書、およびプロトコールを引用するが、それらの開示は、あらゆる面で、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】セルロース結合剤ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標)、Colorcon、ペンシルバニア州)およびポリビニルピロリドン(ポビドン)を使って製造したメマンチンHCl IRビーズの溶出率を示す図。具体的には、図1は、結合剤としてポビドンを使って製造したメマンチンHCl IRビーズ171mg/gの溶出率安定性を示す。試料は、40℃、相対湿度75%で3ヶ月間、インダクションシーリングを行った容器中に乾燥剤と共に維持して、測定した。HPMC(Opadry(登録商標))結合剤を使って製造したメマンチンHCl IRビーズ157mg/gの溶出率安定性も示されている。溶出を、ある期間(分)に放出された薬物の百分率として示す。IRビーズは安定であり、異なる結合剤を使って製造することができる。
【図2】ビーズを50℃で加熱した後のメマンチンHCl MRビーズ142mg/gの溶出率安定性を示す図。結合剤としてHPMCを使用し、放出調節ポリマーコーティングSurelease(登録商標)(Colorcon、ペンシルバニア州)を使って、ビーズを製造した。溶出を、ある期間(時間)に放出された薬物の百分率として示す。
【図3】メマンチンHCl MRビーズ159mg/g(リリース3)およびメマンチンHCl MRビーズ163mg/g(リリース1)の溶出率安定性を示す図。ビーズはPVP結合剤を使って製造し、放出調節ポリマーコーティングはSurelease(登録商標)(Colorcon、ペンシルバニア州)とした。リリース3ビーズはコーティングによって重量が6%w/w増加し、リリース1ビーズはコーティングによって重量が3%w/w増加した。どちらのバッチも、次に、Opadry(登録商標)トップコーティングでコーティングした。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図4】メマンチンHClのIRビーズとMRビーズの溶出率を比較した図。MRビーズ163mg/g(R1)はPVPを使って製造し、放出調節ポリマーは約3重量%のSurelease(登録商標)とした。溶出を、溶出百分率として、時間(時間)に対してプロットする。
【図5】メマンチンHCl MRビーズ163mg/g(R1)の溶出率安定性を示す図。この場合は、まずPVPを使って即放性ビーズを製造し、IRビーズの重量に基づいて約3重量%の放出調節ポリマーSurelease(登録商標)をコーティングした。メマンチンHCl放出調節ビーズ159mg/g(R3)も示されており。この場合は、まずPVPを使って即放性ビーズを製造し、IRビーズの重量に基づいて約6%の放出調節ポリマーSurelease(登録商標)をコーティングした。溶出を、溶出百分率として、時間(時間)に対してプロットする。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/相対湿度75%で、1ヶ月間および3ヶ月間、貯蔵した。3ヶ月のデータを示す。
【図6】メマンチンHCl MRビーズ144mg/g(R4)の溶出率安定性を示す図。この場合は、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使用してビーズを製造し、放出調節ポリマーは、比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。Eudragit(登録商標)による総重量増加は6%w/wだった。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/70%RHで貯蔵した。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較に関する高いF2値(>50)により、優れた溶出安定性が示された。この製剤は、薬物動態試験に使用した製剤と同一である。3ヶ月に関するデータを示す。
【図7】メマンチンHClビーズ136mg/g(R5)およびメマンチンHClビーズ123mg/g(R6)の溶出率安定性を示す図。この場合は、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って即放性ビーズを製造し、放出調節ポリマーを、比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。Eudragit(登録商標)による総重量増加は、R5ビーズおよびR6ビーズについて、それぞれ10%w/wおよび20%w/wだった。ビーズを、白色HDPE製ボトル中、40℃/75%RHで貯蔵した。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。初期溶出率と貯蔵した試料の溶出率との比較に関する高いF2値(>50)により、優れた溶出安定性が示された。3ヶ月に関するデータを示す。
【図8】用量比例性が達成されるかどうかを調べるために25、40および60mgの用量強度で製剤した放出調節ビーズR3(Bio formula)の溶出率を示す図。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。メマンチンHClビーズ159mg/g(R3)は、薬物担持用の結合剤としてポビドンを使って製造し、放出調節ポリマーをエチルセルロース(Surelease(登録商標))とした。
【図9】複数のビーズ(R1およびR3)をさまざまな比率で含む製剤の溶出プロファイルを示す図。メマンチンHClリリース1ビーズ163mg/gおよびメマンチンHClリリース3ビーズ159mg/gを、薬物担持用の結合剤としてポビドンを使って製造し、放出調節ポリマーをエチルセルロース(Surelease(登録商標))とした。複数のビーズ(R4、R5およびR6)をさまざまな比率で含む製剤の溶出プロファイルも示されている。このデータは、異なる放出特徴を持つビーズを異なる比率で組み合わせても、類似する溶出プロファイルを達成できるということを示している。メマンチンHClリリース4ビーズ144mg/g、メマンチンHClリリース5ビーズ136mg/gおよびメマンチンHClリリース6ビーズ123mg/gを、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って製造し、放出調節ポリマーを比率95:5のアンモニオメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)RSおよびRLとした。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図10】2タイプのビーズ(R1:R3比、2:38)を含むメマンチンHCl MRビーズ40mg用のカプセル剤形、および2タイプのビーズ(R1およびR3)を含むメマンチンHCl MRビーズから構成されるカプセル剤形(40mg)の、溶出率安定性を示す図。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、25℃/相対湿度60%でビーズを貯蔵した後の溶出試験によって行った。ビーズR4、R5およびR6の組み合わせを含むメマンチンHCl MRビーズから構成されるカプセル剤形の溶出率安定性も示されている。リリース4:リリース5:リリース6ビーズの比率を8:35:57とし、合わせた用量強度を40mgとした。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、25℃/相対湿度60%でビーズを貯蔵した後の溶出によって行った。溶出を、ある期間(時間)に溶出した薬物の百分率として示す。
【図11】図11Aは処置A、B、CおよびDがもたらすメマンチンの血漿中濃度値を示す。メマンチン血漿中濃度プロファイルを、ng/mlの単位で、期間(時間)に対してプロットする。図11Bは、期間(時間)を切り出し、図11Bよりも横座標を拡大してプロットした、図11Aのメマンチン血漿中濃度プロファイルの一部を示す。
【図12】異なるpH値を表す異なる生体関連溶出媒質[満腹時(FeSSIF)および空腹時(FaSSIF)状態模倣腸液]における、複数のビーズ(R1:R3、比10:30)または(R1:R3比、2:38)を含む40mgカプセル剤の溶出プロファイルを示す図。これらのプロットは、溶出プロファイルがpH非依存性であることを示している。溶出(溶出した薬物の百分率)を、時間(時間)に対してプロットする。
【図13】二つの異なるpH条件、すなわち1.2および5.6における、メマンチンHCl MRビーズ92mg/gの溶出率を示す。即放性ビーズは、薬物担持用の結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry(登録商標))を使って製造し、放出調節ポリマーをメタクリル酸コポリマー・タイプC NF(Acryl−Eze(登録商標))とした。Acryl−Eze(登録商標)による総重量増加は30%w/wだった。安定性試験は、白色HDPE製ボトル中、40℃/相対湿度75%でビーズを貯蔵した後に行った。溶出(溶出した薬物の百分率)を時間(時間)に対してプロットする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、
約8時間以上の平均Tmax;
約100ng/ml未満の平均Cmax;および
約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞
を含むインビボ血漿プロファイルを与える剤形。
【請求項2】
Cmaxが約75ng/ml未満である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項3】
Cmaxが約50ng/ml未満である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項4】
平均AUC0−∞が約500ng・h/mlを上回る、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項5】
平均AUC0−∞が約1000ng・h/mlを上回る、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項6】
メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜50mgのメマンチンまたはその塩を含み、
約5時間以上の平均Tmax;
約50ng/ml未満の平均Cmax;および
約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞
を含むインビボ血漿プロファイルを与える剤形。
【請求項7】
平均AUC0−∞が約500ng・h/mlを上回る、請求項6に記載の経口剤形。
【請求項8】
平均AUC0−∞が約1000ng・h/mlを上回る、請求項6に記載の経口剤形。
【請求項9】
2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、有害事象の発生の減少をもたらす剤形。
【請求項10】
複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコアおよび剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形。
【請求項11】
活性成分の溶出率が、使用環境への剤形の移行後、最初の約30分以内に約80%を上回る、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項12】
活性成分の溶出率が、使用環境への剤形の移行後、最初の約15分以内に約80%を上回る、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項13】
活性成分がメマンチン塩酸塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項14】
用量比例性を示す、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項15】
約2.5%未満の付加物を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項16】
活性成分が剤形1gあたり約15〜約300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項17】
活性成分が剤形1gあたり約25〜約250mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項18】
コアが前記剤形1gあたり約100〜約950mgの糖粒子USPを含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項19】
前記剤形1gあたり約1.5〜約35mgの量の流動性促進剤をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項20】
流動性促進剤が約5mg/g〜約30mg/gの量で存在する、請求項19に記載の経口剤形。
【請求項21】
ビーズ剤形が錠剤形に圧縮される、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項22】
コア上にコーティングされたポリマー結合剤をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項23】
ポリマー結合剤がポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項24】
ポリマー結合剤が剤形1gあたり約15〜約30mgの量のヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項25】
ポリマー結合剤が剤形1gあたり約1.5〜約35mgの量のポビドンである、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項26】
ポリマー結合剤上に適用されたシールコーティングをさらに含む、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項27】
シールコーティングが、HPMC(Opadry(登録商標))、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項26に記載の経口剤形。
【請求項28】
シールコーティングが約2%w/w〜約40%w/wの範囲の量で存在する、請求項26に記載の経口剤形。
【請求項29】
コアが剤形1gあたり620〜930mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、各ビーズが以下の成分:
【表1】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項30】
コアが剤形1gあたり700〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約50〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表2】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項31】
コアが剤形1gあたり500〜950mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表3】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項32】
コアが剤形1gあたり550〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約25〜250mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表4】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項33】
複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズは、
約1μm〜約1000μmの直径を持つコア;
剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分;および
放出調節ポリマー層
を含み、経口剤形は、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満である剤形。
【請求項34】
使用環境への剤形の移行後、約6時間〜約48時間の期間にわたって活性成分を放出する、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項35】
約2時間〜約6時間以内に約30%〜約60%という活性成分の溶出率を持つ、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項36】
約1時間以内に約10%〜約50%という活性成分の溶出率を持つ、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項37】
活性成分がメマンチン塩酸塩を含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項38】
ビーズ剤形が錠剤形に圧縮される、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項39】
放出調節ポリマーがエチルセルロース(Surelease(登録商標))、メタクリレート(Eudragit(登録商標))、メタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl−eze(登録商標))、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項40】
活性成分上の中間シールコーティングをさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項41】
放出調節ポリマー層上にコーティングされたオーバーコーティングをさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項42】
オーバーコーティングがHPMC(Opadry(登録商標))、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項41に記載の経口剤形。
【請求項43】
約2.5%未満の付加物を含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項44】
コアが剤形1gあたり500〜900mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表5】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項45】
コアが剤形1gあたり625〜800mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約50〜285mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表6】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項46】
コアが剤形1gあたり580〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜325mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表7】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項47】
コアが剤形1gあたり625〜780mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約30〜280mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表8】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項48】
コアが剤形1gあたり625〜780mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約30〜280mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表9】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項49】
コアが剤形1gあたり400〜750mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表10】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項50】
コアが剤形1gあたり400〜750mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表11】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項51】
即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、
即放性構成要素は第1の複数ビーズを含み、各ビーズは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%は、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ
放出調節構成要素は第2の複数ビーズを含み、各ビーズは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%は、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形。
【請求項52】
錠剤形に圧縮される、請求項51の複合剤形。
【請求項53】
約2.5mg〜約100mgのメマンチンを含む、請求項51の複合剤形。
【請求項54】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項1の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項55】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項6の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項56】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項9の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項57】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項10の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項58】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項33の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項59】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項51の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項1】
メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含み、
約8時間以上の平均Tmax;
約100ng/ml未満の平均Cmax;および
約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞
を含むインビボ血漿プロファイルを与える剤形。
【請求項2】
Cmaxが約75ng/ml未満である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項3】
Cmaxが約50ng/ml未満である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項4】
平均AUC0−∞が約500ng・h/mlを上回る、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項5】
平均AUC0−∞が約1000ng・h/mlを上回る、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項6】
メマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、2.5〜50mgのメマンチンまたはその塩を含み、
約5時間以上の平均Tmax;
約50ng/ml未満の平均Cmax;および
約250ng・h/mlを上回る平均AUC0−∞
を含むインビボ血漿プロファイルを与える剤形。
【請求項7】
平均AUC0−∞が約500ng・h/mlを上回る、請求項6に記載の経口剤形。
【請求項8】
平均AUC0−∞が約1000ng・h/mlを上回る、請求項6に記載の経口剤形。
【請求項9】
2.5〜100mgのメマンチンまたはその塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率と、約100ng/ml未満のCmaxとを持ち、有害事象の発生の減少をもたらす剤形。
【請求項10】
複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、約1μm〜約1000μmの直径を持つコアおよび剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分を含み、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に約80%を上回る活性成分の溶出率を持つ剤形。
【請求項11】
活性成分の溶出率が、使用環境への剤形の移行後、最初の約30分以内に約80%を上回る、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項12】
活性成分の溶出率が、使用環境への剤形の移行後、最初の約15分以内に約80%を上回る、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項13】
活性成分がメマンチン塩酸塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項14】
用量比例性を示す、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項15】
約2.5%未満の付加物を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項16】
活性成分が剤形1gあたり約15〜約300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項17】
活性成分が剤形1gあたり約25〜約250mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項18】
コアが前記剤形1gあたり約100〜約950mgの糖粒子USPを含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項19】
前記剤形1gあたり約1.5〜約35mgの量の流動性促進剤をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項20】
流動性促進剤が約5mg/g〜約30mg/gの量で存在する、請求項19に記載の経口剤形。
【請求項21】
ビーズ剤形が錠剤形に圧縮される、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項22】
コア上にコーティングされたポリマー結合剤をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項23】
ポリマー結合剤がポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項24】
ポリマー結合剤が剤形1gあたり約15〜約30mgの量のヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項25】
ポリマー結合剤が剤形1gあたり約1.5〜約35mgの量のポビドンである、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項26】
ポリマー結合剤上に適用されたシールコーティングをさらに含む、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項27】
シールコーティングが、HPMC(Opadry(登録商標))、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項26に記載の経口剤形。
【請求項28】
シールコーティングが約2%w/w〜約40%w/wの範囲の量で存在する、請求項26に記載の経口剤形。
【請求項29】
コアが剤形1gあたり620〜930mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、各ビーズが以下の成分:
【表1】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項30】
コアが剤形1gあたり700〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約50〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表2】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項31】
コアが剤形1gあたり500〜950mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表3】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項32】
コアが剤形1gあたり550〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約25〜250mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表4】
をさらに含む、請求項10に記載の経口剤形。
【請求項33】
複数のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズは、
約1μm〜約1000μmの直径を持つコア;
剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む活性成分;および
放出調節ポリマー層
を含み、経口剤形は、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%という活性成分の溶出率を持ち、Cmaxが約100ng/ml未満である剤形。
【請求項34】
使用環境への剤形の移行後、約6時間〜約48時間の期間にわたって活性成分を放出する、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項35】
約2時間〜約6時間以内に約30%〜約60%という活性成分の溶出率を持つ、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項36】
約1時間以内に約10%〜約50%という活性成分の溶出率を持つ、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項37】
活性成分がメマンチン塩酸塩を含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項38】
ビーズ剤形が錠剤形に圧縮される、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項39】
放出調節ポリマーがエチルセルロース(Surelease(登録商標))、メタクリレート(Eudragit(登録商標))、メタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl−eze(登録商標))、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項40】
活性成分上の中間シールコーティングをさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項41】
放出調節ポリマー層上にコーティングされたオーバーコーティングをさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項42】
オーバーコーティングがHPMC(Opadry(登録商標))、HPC、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)E12.5、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)NE、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項41に記載の経口剤形。
【請求項43】
約2.5%未満の付加物を含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項44】
コアが剤形1gあたり500〜900mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表5】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項45】
コアが剤形1gあたり625〜800mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約50〜285mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表6】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項46】
コアが剤形1gあたり580〜850mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜325mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表7】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項47】
コアが剤形1gあたり625〜780mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約30〜280mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表8】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項48】
コアが剤形1gあたり625〜780mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約30〜280mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表9】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項49】
コアが剤形1gあたり400〜750mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表10】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項50】
コアが剤形1gあたり400〜750mgの範囲の糖スフェアまたは微結晶セルローススフェアを含み、活性成分が剤形1gあたり約15〜300mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含み、各ビーズが以下の成分:
【表11】
をさらに含む、請求項33に記載の経口剤形。
【請求項51】
即放性構成要素と放出調節構成要素とを含む複合剤形であって、
即放性構成要素は第1の複数ビーズを含み、各ビーズは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第1活性成分を含み、第1活性成分の約80%は、使用環境への剤形の移行後、最初の約60分以内に溶出し;かつ
放出調節構成要素は第2の複数ビーズを含み、各ビーズは、剤形1gあたり約15〜約350mgの範囲のメマンチンまたはその塩を含む第2活性成分を含み、第2活性成分の約70%〜約80%は、使用環境への剤形の移行後、約4時間〜約24時間以内に溶出するような剤形。
【請求項52】
錠剤形に圧縮される、請求項51の複合剤形。
【請求項53】
約2.5mg〜約100mgのメマンチンを含む、請求項51の複合剤形。
【請求項54】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項1の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項55】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項6の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項56】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項9の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項57】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項10の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項58】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項33の経口剤形を投与することを含む方法。
【請求項59】
アルツハイマー病、自閉症および神経因性疼痛からなる群より選択される状態を処置するための方法であって、その必要がある患者に、請求項51の経口剤形を投与することを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−543845(P2008−543845A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516983(P2008−516983)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022841
【国際公開番号】WO2006/138227
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(503450128)フォーレスト ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Forest Laboratories, Inc.
【住所又は居所原語表記】909 Third Avenue, New York, New York 10022, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022841
【国際公開番号】WO2006/138227
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(503450128)フォーレスト ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Forest Laboratories, Inc.
【住所又は居所原語表記】909 Third Avenue, New York, New York 10022, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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