放射エネルギーでアブレーションするための同軸カテーテル器具
不整脈などを治療するために特に心組織などの組織に外傷を形成するためのアブレーション法及び器具を開示する。同軸カテーテル本体の形態の経皮アブレーション器具は、内部に少なくとも1つの中心内腔を備え、その先端部分に1または複数のバルーン構造を含む。この器具は、その内腔内に自由に配置可能なエネルギー放出要素を含む。このエネルギー放出要素は、放出バルーンの透過領域を介して標的組織部位に放射エネルギーを放出できるように適合されている。また、器具が配置された時に放射エネルギーが十分に透過するように器具の外部にアブレーション用流体を導入することができる。本発明の別の態様では、器具が心臓内に適切に配置されたか否かを決定するための機構を提供する。この接触検出機構は、器具内に配置された照明源及び反射された光のレベルを監視する光検出器によって実現することができる。反射された光の測定値を用いて、接触が十分であるか、またはこのような接触が所望のアブレーション経路に対して連続的であるかを決定することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本願は、1994年9月9日出願の放棄した米国特許出願第08/303,605号の継続出願である1997年4月10日出願の米国特許出願第08/827,631号(現在は米国特許第5,908,415号(1999年6月1日発行))の一部継続出願である1997年12月16日出願の米国特許出願第08/991,130号(現在は米国特許第5,947,595号(1999年9月9日発行))の一部継続出願である1999年9月7日出願の米国特許出願第09/390,964号(現在は米国特許第6,270,492号(2001年8月7日発行))の一部継続出願である2001年8月7日出願の米国特許出願第09/924,394号の一部継続出願である。
【0002】
本願はまた、1999年7月14日出願の米国特許出願第09/357,355号(現在は米国特許第6,423,055号(2002年7月22日発行))の一部継続出願である2000年6月23日出願の米国特許出願第09/602,420号の一部継続出願である2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,275号の一部継続出願である。これらの関連出願の開示内容の全てを言及することを以って本明細書の一部とする。
【0003】
発明の背景
本発明は、疾患の治療に用いる組織をアブレーションするためのアブレーション器具に関し、詳細には放射エネルギーを用いる経皮器具に関する。このような器具は、例えば、心不整脈などの心疾患の治療に用いることができる。
【0004】
細動などの心不整脈は、心臓の正常な鼓動パターンの異常であり、心房または心室に由来する。例えば、心房細動は、心房心筋のランダムな速い収縮という特徴を持つ不整脈の一種であり、不規則で速い心拍を引き起こす場合が多い。心房の正常な拍出機能が、心臓の上側の部屋を通る電気信号の無秩序な伝導により不規則で無効な振動に変わってしまう。心房細動は、うっ血心不全、リュウマチ性心疾患、冠状動脈疾患、左心室肥大、心筋症、または高血圧を含む他の種類の心血管疾患に関連する場合が多い。
【0005】
不整脈の治療に様々な方法が提案されてきた。このような方法はメスを用いて行われるが、外傷を形成するために様々な他の方法も開発されてきた。このような処置は、総称して「アブレーション」と呼ばれる。非外科的アブレーションでは、通常は加熱または低温で組織を処置して、組織を凝固及び/または壊死(すなわち、細胞破壊)させる。これらの各方法では、心筋細胞が、心臓内の正常な電気的活動を伝導できない外傷組織に変えられる。
【0006】
例えば、肺静脈が、心房細動を引き起こす誤った電気信号の起源の1つであることが確認された。ある既知の方法では、肺静脈内の組織または肺静脈口の周囲アブレーションが心房細動の治療に用いられてきた。同様に、集団としての肺静脈を取り囲む領域のアブレーションも提案された。選択された部位の心組織のアブレーション(通常は直線状または曲線状の外傷の形態)により、ある部分から別の部分への電気伝導をブロックすることができ、残った部分は小さ過ぎてそれ自体では細動を維持することができない。
【0007】
近年、電流(例えば、無線周波数(RF))による加熱または低温冷却を用いた装置を含む様々な種類のアブレーション装置が、心房細動を治療するための外傷の形成に提案された。このようなアブレーション装置は、電気伝導をブロックするのに十分な厚みの心筋に亘る細長い外傷を形成するために提案された。近年に提案されたアブレーション装置の多くは、心臓内からこのような外傷を形成するようにデザインされた経皮装置である。このような装置は、例えば、大腿静脈などの血管から心臓内にアブレーション器具を送るカテーテル法によって心臓内に配置される。
【0008】
抵抗熱伝導または導電熱伝導を用いる装置は、術後に重度の合併症を引き起こす傾向にある。このような「接触」装置で迅速にアブレーションするには、相当量のエネルギーを標的組織部位に直接加えなければならない。経壁浸透を達成するには、接触される表面をかなり加熱する(または凍結させる)必要がある。例えば、心壁のRF加熱では、経壁外傷のために組織の温度を心壁の厚み全体に亘って約50℃まで上昇させる必要がある。これを達成するために、接触面の温度が、通常は100℃以上に上げられる。このような温度では、組織が破壊されるリスクがかなり高い(例えば、水蒸気の微小爆発または炭化による)。特に、心組織の表面の炭化は、表面の血餅の生成や、発作を含む術後の合併症を引き起こすことがある。たとえ構造的な損傷が回避できたとしても、接触された表面の外傷(すなわち、アブレーション領域の幅)の範囲が、通常は必要以上の大きさである。
【0009】
直接的な接触を必要としない音響エネルギーや放射エネルギーを利用したアブレーション装置も提案された。音響エネルギー(例えば、超音波)は、結合液が間に導入されないと組織にあまり浸透できない。レーザーエネルギーも提案されたが、メスのように1点に光を集中させる装置または同様の強度の高いスポットパターンを利用する装置だけであった。光エネルギーが集束されたスポットの形態で供給される場合、連続した直線状または曲線状の外傷を形成するために多くのスポットを照射する必要があるため、本質的にこの方法には時間がかかる。
【0010】
加えて、既存の心臓アブレーション器具には、様々なデザインの制限の問題がある。心筋の形状が、心臓の後側の肺静脈などの心臓の構造へのアクセスを一層困難にしている。一般に、経皮装置は、初めに心臓に導入されるガイドワイヤを利用して配置される。例えば2000年1月11日に発行されたレッシュ(Lesh)による米国特許第6,102,457号及びアトリオニックス社(Atrionix, Inc.)に譲渡された国際特許出願第00/67656号に開示されている一般的な方法では、ガイドワイヤまたは類似のガイド装置が心臓の左心房から肺静脈内に送られる。次いで、膨張可能な要素を備えたカテーテル器具をガイドワイヤ上を前進させて肺静脈内に送り、そこで膨張可能な要素(例えば、バルーン)を膨張させる。バルーン構造は、アブレーション処置を行うバルーンの外面に設けられるRF電極などの周囲アブレーション要素を含むことができる。バルーンは、処置の間、肺静脈の内面に接触した状態で電極を保持するために十分な大きさ及び強度を有さなければならない。更に、外傷がバルーン要素の表面のアブレーション電極で形成されるため、バルーンの形状が外傷を形成する位置を本質的に制限する。すなわち、外傷は、少なくとも部分的に肺静脈内で形成されなければならない。
【0011】
2001年5月22日発行のスワーツ(Swarts)らによる米国特許第6,235,025号に開示されている別の方法では、ガイドワイヤを用いて肺静脈に経皮的にアクセスし、カテーテルをガイドワイヤ上をスライドさせて肺静脈内に配置する。カテーテル装置は、肺静脈内(または肺静脈内と肺静脈口)で膨張される2つの離間したバルーンを含む。次いで、2つのバルーンの間の空間を導電流体で満たし、肺静脈にRFエネルギー(または、代替の超音波)を供給して組織アブレーションで血管に伝導ブロックを形成することができる。レッシュ(Lesh)による装置と同様にスワーツ(Swarts)らによる装置では、組織をアブレーションできる部分がデザインによって限定されている。後にアブレーション用の流体で満たされる空間を2つのバルーンがシールしなければならないため、外傷は肺静脈内に形成しなければならない。
【0012】
肺静脈内でのアブレーションは合併症を引き起こすことがある。静脈内での過度に深い治療により、即座に開胸外科手術を行わなければならない狭窄(静脈自体の閉塞)、壊死、または他の構造的な損傷が起こり得る。
【0013】
従来技術の経皮デザインでは、主に部位の選択が制限される。具体的には、従来技術の経皮器具は、1つの部位で1つのアブレーション外傷しか形成できないという本質的なデザインの制限がある。例えば、RF加熱表面を有する膨張可能なバルーンが静脈口に配置される場合、この装置の形状によって画定される位置でのみ外傷を形成することができる。加熱要素が標的組織に接触しなければならないため、別の部位で外傷を形成することができない。同様に、上記した並列バルーン装置は、アブレーション用流体で満たされたバルーンとバルーンとの間の空間によって画定された位置でしか外傷を形成することができない。
【0014】
従来技術の経皮デザインの別の主な制限は、実際の心臓の様々な形状に対応できないことである。心房の内面は均一ではない。具体的には、肺静脈口は規則的ではなく、円錐または漏斗形の開口に殆ど類似していない場合が多い。不規則な形状の肺静脈口の場合、従来技術の膨張可能な接触加熱装置では、不完全な外傷(非周囲状)が形成されることがある。
【0015】
従って、医師がアブレーション部位の位置を選択できる経皮アブレーション装置が強く要望されている。特に肺静脈の周りに連続的な伝導ブロックを形成する際に医師が多数の異なった部位から外傷部位を選択できる器具が長年に亘る当分野の要望を満たすであろう。
【0016】
更に、従来技術の装置は通常、加熱を始める前に連続的な周囲状の接触が得られたか否かを決定することができない。このような装置は、大抵はアブレーション後の電位分布図で周囲状の外傷が形成されたか否かを決定する。伝導性が残っている場合は、周囲状の外傷が不完全であり、処置を繰り返すか或いは諦めなければならない。
【0017】
従って、心臓の正常な組織に与える傷害が少なく成功の確率が高い、外傷を形成するための良好な外科アブレーション器具が要望されている。接触が十分であるか(つまり血液が標的部位から除去されたか)を決定でき、この決定に基づいて成功の可能性を予測できる経皮装置は、既存のデザインに比べて著しい進歩である。
【0018】
発明の要約
不整脈などを治療するために特に心組織などの組織に外傷を形成するためのアブレーション法及び器具を開示する。本発明の一実施形態では、同軸カテーテル本体の形態の経皮アブレーション器具は、内部に少なくとも1つの中心内腔を備え、その先端部分に1または複数のバルーン構造を含む。このバルーン構造及びカテーテル本体は、アブレーションエネルギーを少なくとも部分的に透過する。この器具は、その内腔内に自由に配置可能なエネルギー放出要素を含むことができる。このエネルギー放出要素は、放出バルーンの透過領域を介して標的組織部位に放射エネルギーを放出できるように適合されている。本発明の方法及び装置が伝導または抵抗加熱に依存しないため、この放射エネルギーをエネルギーエミッターと標的組織とを接触させずに送ることができる。放射エネルギーエミッターの位置を変更できるため、医師が外傷を形成するに望ましい位置を選択することができる。
【0019】
本発明の別の態様では、様々な心臓アブレーション器具に概ね適用することができ、心臓内に器具が適切に配置されたか、例えば装置が肺静脈及び/または心房の表面に接触し、加熱、冷却、または放出エネルギーによって外傷を形成できるか否かを決定するための機構が開示されている。この接触検出機構は、器具内に配置された照明源及び反射された光のレベルを監視する光検出器によって実現することができる。反射された光(または反射された光の波長)の測定値を用いて、接触が十分であるか、またこのような接触が所望のアブレーション経路に対して連続的であるか否かを決定することができる。
【0020】
本器具は、伝導ブロックとして機能する曲線状の外傷を迅速かつ効率的に形成できるため、経皮アクセス心臓外科手術に特に有用である。本器具は、経皮アクセス及び引き戻しの際に小さくなり、外傷の両側の組織部分を電気的に分離するために心房組織に外傷を形成するようにデザインされている。本発明の器具は、肺静脈などの器官に接触しないで、連続的な外傷をそのような器官を取り囲むように心臓の心房壁組織に連続的な外傷を形成することができる。
【0021】
一実施形態では、心臓アブレーション器具は、心臓内に配置できるように適合されたカテーテル本体を有する。このカテーテル本体は、内部に少なくとも1つの内腔を含み、膨張可能なエネルギー透過要素を有する。このエネルギー透過要素は、固定要素を用いるまたは用いずに所望の位置に配置して心臓の構造に接触させて透過経路を確立することができる。例えば、膨張可能な要素は、膨張してエネルギー透過流体でエネルギーエミッターと標的組織との間の空間を満たし、放出される放射エネルギーの透過経路を形成する放出バルーンとすることができる。この器具は更に、所望の位置に配置して放射エネルギーを器具の透過部分を介して標的組織部位に供給できるようにカテーテル本体の内腔内を移動可能な放射エネルギー供給要素を含む。この器具は更に、エネルギーエミッターから標的組織までの血液が存在しない透過経路を形成するために流体供給ポートなどの更なる構造を含むことができる。
【0022】
別の実施形態では、心臓アブレーション器具は、心臓内に配置できるように適合されたカテーテル本体及び少なくとも1つの固定要素を含む。この固定要素は、心臓の構造に接触して所定の位置に装置を固定するために所望の位置に配置することができる。この器具も同様に、所望の位置に配置して放射エネルギーを器具の透過部分を介して標的組織部位に供給できるようにカテーテル本体の内腔内を移動可能な放射エネルギー供給要素を含む。放出バルーンはまた、単独または流体放出機構と共に用いてエネルギーエミッターから標的組織までの血液の存在しない透過経路を提供することができる。
【0023】
本発明のアブレーション器具が外傷を形成するのに適切に心臓内に配置されたか否かを決定するための機構を開示する。例えば、放出バルーンを用いて放射エネルギーエミッターから標的組織までの透明な透過経路を形成する場合、本発明の機構は、そのバルーンとその標的組織との接触が十分であるか否か(及び/または放射エネルギーの放出のための経路の障害物が除去されているか否か)を検出することができる。一実施形態では、接触検出機構は、器具内に配置された照明ファイバー及び反射された光のレベルを監視する光検出ファイバー(またはファイバー組立体)によって実現することができる。反射された光(またはその波長)の測定値を用いて、放出バルーンと標的組織との接触が十分であるか、全ての隙間から血液が除去されたか、そして所望のアブレーション経路に亘って透明な連続的な透過経路が確立されたか否かを決定することができる。
【0024】
本発明の更なる形態では、組織浸透放射エネルギーを用いて迅速で効率的な光アブレーションを達成できる経皮器具が開示されている。例えば電磁放射線または超音波などの放射エネルギーは、従来の方法に関連した表面組織破壊とは逆のタイプのリスクが低く、かつ短時間で外傷を形成できることが分かった。熱伝導または抵抗加熱に依存する器具とは異なり、たとえ心臓が血液で満たされている場合であっても、制御された浸透放射エネルギーを用いて心臓壁などの標的組織の厚み全体に同時にエネルギーを照射することができる。放射エネルギーはまた、より良好に画定された、より均一な外傷を形成することができる。
【0025】
放射エネルギーを、治療用の波長のこのような放射線に実質的に透明なカテーテル構造と共に使用することにより、外傷を形成する位置の選択が例えば肺静脈に限定されず、より自由になるという利点が得られる。エネルギーを組織に照射できるため、リング状の外傷を静脈から離間した心房組織に形成して、狭窄のリスク及び/または静脈自体への他の外傷を軽減することができる。
【0026】
赤外線が光アブレーション外傷を形成するのに特に有用であることも分かった。ある好適な実施形態では、本器具は、約800nm〜約1000nm、好ましくは約915nm〜約980nmの範囲の波長の放射線を放出する。ある適用例では、一般に915nmまたは980nmの波長の放射線が好ましい。なぜなら、心臓組織によって吸収される最適な赤外線がこれらの波長である。
【0027】
別の実施形態では、集束する超音波エネルギーを用いて心組織をアブレーションすることができる。ある好適な実施形態では、超音波トランスデューサを用いて、約5MHz〜約20MHz、好ましくは約7MHz〜約10MHzの範囲の波長を放出することができる。加えて超音波エミッターは、放出されたエネルギーを環状ビームに整形する集束要素を含むことができる。
【0028】
しかしながら、ある適用例では、限定するものではないが、他の波長の光、他の周波数の超音波、X線、γ線、マイクロ波などの放射線及び超音波(hypersound)を含む他の形態の放射エネルギーも有用であろう。
【0029】
放射光の場合、エネルギー供給要素は、放射源からのアブレーション放射線を受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、その光ファイバーの先端部に放射線を放出する光放出先端を備えることができる。光供給要素は、カテーテル本体の内腔内にスライド可能に配置することができ、器具は更に、カテーテル内の1または複数の位置に光供給要素の先端を配置するための移動機構を含むことができる。更に、カテーテル内でエネルギー放出先端組立体を移動させて放出されるエネルギーのリングの直径を容易に変更することができるため、医師が外傷を形成する位置(及び大きさ)を制御することができる。
【0030】
場合によっては、放射エネルギー供給要素と標的部位との間に流体を配置することができる。好適な一実施形態では、「放出バルーン」を放射線透過流体で満たして、エネルギーエミッターからの放射エネルギーを器具を介して標的部位に効率的に供給することができる。この流体は用いてエネルギーエミッターを冷却することもできる。ある適用例では、赤外線に対する吸収損失の特性から、バルーン充填流体の媒質として酸化ジュウテリウム(いわゆる重水)を用いるのが望ましいであろう。別の適用例では、膨張用流体を水または生理食塩水とすることができる。
【0031】
器具の外側(例えばバルーンと標的領域との間)にアブレーション用流体を導入して、器具が配置された時に放射エネルギーを確実かつ効率的に伝達するのが望ましいであろう。この文脈における「アブレーション用流体」は、放射エネルギーの導体として機能し得るあらゆる流体である。この流体は、生理食塩水などの生理学的に適合した流体、または放射線に対して実質的に透明な任意の他の無毒水溶性流体とすることができる。好適な一実施形態では、このような流体は、ハウジングの1または複数の出口ポートを介して放出され、放出バルーンと周囲組織との間を流れ、これによりバルーンが標的組織と接触していない全ての隙間が満たされる。この流体は、血液が放射光エネルギーに対して高い吸収性を有するため、放射エネルギーの経路内の全ての血液を排除するイリゲーション機能を果たすこともできる。
【0032】
同様に、放射エネルギーが音響である場合、水性結合流体を用いて、放射エネルギーを高い効率で組織に供給することができる(そして同様に、放射音響エネルギーの伝達を妨げ得る血液を排除する)。
【0033】
本発明のアブレーション用流体は、例えば、光感作物質、薬剤、及び/または鎮痛剤を含む様々な他のアジュバントを含むこともできる。
【0034】
上記したように、接触検出機構はまた、医師が外傷の位置の選択する際、及び選択した位置で連続的な外傷(例えば、静脈を取り囲む外傷)が形成されるかを確認する際に役立つ。一実施形態では、透明な透過経路が確立されたか否か(例えば、放出バルーンが適切に配置され、接触の全ての隙間がアブレーション用流体で満たされているか否か)を示す複数の反射センサを利用する。
【0035】
ここに開示する同軸カテーテル器具は特に、アブレーション用の光または超音波を放出する組立体を備えたバルーンカテーテルを患者の心臓内に配置する経皮適用例に用いられる。本発明の別の態様では、二重同軸バルーン構造が、器具を適切に配置するのを助けるアンカーバルーン及び放出バルーンの両方を有する。
【0036】
二重同軸カテーテルの実施形態では、カテーテル器具は、ガイドワイヤ上をスライドするようにデザインされた内側カテーテル本体の周りまたは内部に配置される少なくとも1つの膨張可能なアンカーバルーンを含むことができる。このアンカーバルーンは、全体的に実質的にシールされ、肺静脈などの内腔内に装置を配置する役割を果たす。流体で満たされたアンカーバルーン構造は、膨張して肺静脈の内面などの組織に接触して係合する。
【0037】
次いで、放出バルーンを有する第2のカテーテルを第1の(アンカーバルーン)カテーテル本体上をスライドさせて、アンカーバルーンが既に配置された肺静脈近傍の左心房などの心臓内で膨張させることができる。従って、膨張した放出バルーンが、本発明に従った放射エネルギーを放出するステージを画定する。次いで、内側内腔を介してエネルギー放出要素を導入し、例えば赤外光または超音波などの放射エネルギーを同軸カテーテル本体及び放出バルーンを介して放出し、標的治療部位に外傷を形成することができる。この器具はまた、治療部位にアブレーション用流体を供給するためのイリゲーション機構を含むこともできる。一実施形態では、放出バルーンの周りに部分的に配置されたシースによって治療部位のイリゲーションが行われる(これにより、例えばアブレーション部位から血液が除去される)。
【0038】
アンカーバルーン構造及び排出バルーン構造の両方は、真空をかけてバルーンから流体を除去し収縮させることができる。完全に収縮したら、同軸器具を、集合体としてまたは別々の要素として本体内腔から除去することができる(最も内側の要素から開始する)。別法では、エネルギー供給要素を除去し(内側内腔バルーン構造を介して)、次いで放出バルーンカテーテル、そしてアンカーバルーンカテーテルを除去することができる。
【0039】
本発明は、1または複数のマッピングカテーテルと共に用いることもできる。外傷が形成される前及び/または後に、例えば、ガイドワイヤ要素(及び/またはアンカーバルーンカテーテル)を除去してマッピングカテーテルに代えて、誤った電気信号が心房壁に伝導されるのをアブレーションがブロックしたか否かを決定することができる。
【0040】
本発明はまた、組織をアブレーションする方法を提供する。組織をアブレーションするある方法では、組織の標的部位から一定距離に放射エネルギー放出要素を配置し、そのエミッターと標的部位との間に血液の存在しない透過経路を形成し、放射エネルギーを放出して標的部位を照射し、外傷を形成する。ある態様では、外傷は、1または複数の肺静脈に近接して形成される。
【0041】
本発明に従ったある方法では、まずガイドワイヤを心組織の標的部位の近傍に挿入する。例えば、大腿静脈から挿入して下大静脈を前進させて右心房内に送る、または必要に応じて心房中隔を突刺して左心房に案内する。何れの場合も、ガイドワイヤが肺静脈内に進入するまでガイドワイヤを前進させる。次いで、第1のカテーテル本体をガイドワイヤに結合して、例えばアンカーバルーンなどのその固定要素が肺静脈内に送られるまでガイドワイヤ上をスライドさせる。次いで、アンカーバルーンを膨張用流体で膨張させて第1のカテーテル本体を固定する。次いで、第2のカテーテル本体を、放出バルーンを有する第1のカテーテル本体上を同軸的に治療部位まで送る。放出バルーンが標的組織アブレーション部位に近接したら、放出バルーンを同様に膨張させることができる。放出バルーンの膨張により、エネルギーエミッターと標的組織部位と間の透過経路から血液が排除される。加えて、器具を介して溶液を注入し、治療部位から血液及び/または体液を押し出すことができる。
【0042】
次いで、ガイドワイヤを除去し、放出バルーンを介して放射エネルギーを供給して組織をアブレーションする自由に配置可能な放射エネルギーエミッターを代わりに配置する。配置したら、放射エネルギーエミッターを作動させて、第1のカテーテルの先端部分の透過領域を介して放射エネルギーを標的組織部位に伝送し、伝導ブロックを形成する。ある態様では、光放出要素を作動させて、標的部位内の心房組織を光凝固させる。別の態様では、光放出要素を作動させて、心房組織に連続的な外傷を形成する。光放出要素は、標的部位に光エネルギーの環状ビームを照射して組織に円周上の外傷を形成するためのビーム整形光導波路を有することができる。一実施形態では、放射エネルギーエミッターは、超音波放出要素を含むことができる。別の実施形態では、放射エネルギーは、マイクロ波、X線、γ線、または電離放射線の形態をとることができる。
【0043】
本発明の方法は更に、医師による外傷の位置の選択及び連続的な(例えば、静脈を取り囲む)外傷が形成される選択された位置の確認を助ける位置検出ステップを含む。一実施形態では、1または複数の反射センサを作動させて、反射率の測定値に基づいて透明な透過経路を確立できるか否か(例えば、放出バルーンが適切に配置されアブレーション流体によって接触の隙間が全て満たされているか否か)を決定することができる。これは、反射センサによって収集される反射光の少なくとも2つの異なった波長を測定して達成することができる。
【0044】
アブレーション処置の後、放射エネルギーエミッターを第1のカテーテル本体の中心内腔から除去する。次いで、アンカーバルーンに真空をかけて、膨張用流体をバルーンから除去して収縮させる。流体の除去にはシリンジまたは他の既知の方法を用いることもできる。一実施形態では、まずアンカーバルーンを収縮させて、第1の(内側)カテーテル本体と共に除去することができる。次いで、第1のカテーテル本体の代わりに、マッピングカテーテルを配置することができる。マッピング電極を肺静脈内まで前進させたら、放出バルーンを同様に収縮させて第2のカテーテル本体を除去し、マッピングカテーテルだけをその位置に残すことができる。次いで、マッピングカテーテルを作動させて、伝導ブロックが達成されたか否かを決定することができる。このアブレーションが成功している場合は、マッピングカテーテルを除去することができる。伝導性が残っている場合は、例えば、第2のカテーテル本体を再び導入し、次いでマッピングカテーテルを除去し、アンカーバルーン及び放射エネルギーエミッターを再配置してこの処置を繰り返すことができる
【0045】
詳細な説明
図1に、1または複数のポート18を介して膨張させることができるアンカーバルーン16及び細長い本体14を有する第1の内側カテーテル12を含む本発明に従った同軸カテーテルアブレーション器具10の模式的な断面図が示されている。アンカーバルーンを膨張させるために用いる流体は、詳細を後述するように装置の1または複数の内腔を介して或いは細長い本体内の通路(不図示)を介して供給することができる。この装置は更に、細長い本体24及び1または複数のポート22を介して膨張させることができる放出バルーン26を有する第2の同軸外側カテーテル20を含む。この器具は、心臓内(例えば、肺静脈内)にアンカーバルーン16を固定した時に、放出バルーン26を膨張させてその肩部分50が心組織の標的部位52(例えば、肺静脈口を取り囲む心房の環状領域)に近接させることができるようにデザインするのが好ましい。
【0046】
この器具はまた、アブレーション用流体を標的部位に供給するために1または複数のポート36(第1のカテーテル12または第2のカテーテル20、或いはこれらの両方に連通している)を含むことができる。好ましくは、アブレーション用流体は、放射エネルギー源から光エネルギー、放射エネルギー、または音響エネルギーを標的組織部位への伝送を助けるエネルギー透過媒体である。アブレーション用流体はまた、器具の近傍から血液を排除し、器具の適切な配置を妨げる心臓の不規則な形状を補償するのに役立つ。従って、アブレーション用流体は、バルーンの外部に透明な透過経路を提供する。
【0047】
放射エネルギーエミッター40を、標的組織から離間して放出バルーン26内に配置することができる(例えば、同軸カテーテル12または20の中心内腔内)。一実施形態では、放射エネルギー源は、先端光放出光学素子44に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子44と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。カテーテル本体、放出バルーン、及び膨張/アブレーション用流体は全て、選択された波長の放射エネルギーに対して実質的に透明であって、放出素子44から標的部位への損失の低い透過経路を提供するのが好ましい。
【0048】
図2に、ガイドワイヤ6が心臓2を介して肺静脈4に導入された本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション処置の最初のステップが模式的に例示されている。図3に、アンカーバルーン構造16を有する第1のカテーテル12がガイドワイヤ6上をスライドする本発明に従ったアブレーション処置の次のステップが例示されている。第1のカテーテル12は更に、バルーン16を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含むことができる。この内部流路は、図4に示されているようにバルーン16内へ膨張用流体を導入してそのバルーンを膨張させることができるように、先端シール15及び基端シール17によってカテーテル本体14にシールされている。アンカーバルーン構造の更なる詳細については、言及することを以って本明細書の一部とする2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,303号(名称「イリゲーションを備えたカテーテルアンカーバルーン構造(Catheter Anchoring Balloon Structure with Irrigation)」)を参照されたい。
【0049】
図5に、同様に細長い本体24及び放出バルーン要素26を有する第2のカテーテル20が第1のカテーテル本体14上をスライドする本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。第2のカテーテル20はまた、バルーン26を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含む。この内部流路は、図6に示されているようにバルーン26内へ膨張用流体を導入してそのバルーンを膨張させることができるように、先端シール21及び基端シール22によってカテーテル20の本体24に対してシールされている。
【0050】
従って、図6は、心組織の放射エネルギーアブレーションの放出経路を画定するために、第2のカテーテル20の放出バルーン26をどのように配置して膨張させるかが例示されている。第2のカテーテル本体24は、内側カテーテル本体14上を通過できる大きさの内腔27を有する。心臓内に配置したら、第2のカテーテルの放出バルーンを膨張させる。膨張した放出バルーンは、本発明に従って放射エネルギーを放出できるステージを画定する。好適な一実施形態では、放出バルーンを放射線透過流体で満たして、放射エネルギーがエネルギーエミッターから効果的に器具を通過して心組織の標的部位に到達するようにする。
【0051】
上記した放出バルーンは、放物線のような形状に予備成形することができる。このために、例えば、予備成形された型にTEFLON(登録商標)フィルムを成形及び溶融して所望の形状にすることができる。本発明の放出バルーン及びシースは、例えば、膜の厚みが約5μm〜50μmの薄壁ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成することができる。
【0052】
放射エネルギーが伝達するために放出バルーン26を必ずしも標的組織に接触させなくてもよい(場合によっては望ましくない)ことを理解されたい。放出バルーンの1つの目的は、エネルギーエミッターの経路から単に血液を排除することである。ここで、図1を再び参照されたい。器具が配置された時に放射エネルギーが効率的に伝達されるように、アブレーション用流体29を器具の外側(例えば、バルーン26と標的部位52との間)に導入することができる。この文脈におけるアブレーション用流体は、放射エネルギーの伝導体として機能できる任意の流体である。このアブレーション用流体は、生理食塩水などの生理学的に適合した流体、または放射線に対して実質的に透明な他の任意の無毒の水溶液とすることができる。図1に示されているように、流体29を、第1のカテーテル本体14(及び/または第2のカテーテル本体24)の1または複数の出口ポート36から放出して放出バルーン26と周囲組織との間に流し、これによりバルーン26が組織と接触していない全ての隙間を満たすことができる。流体29はまた、標的部位52への放射光エネルギーの伝達を妨げ得る放射エネルギーの経路内の血液を全て排除するイリゲーション機能を果たすこともできる。
【0053】
アブレーション用及び/またイリゲーション用流体を供給するための代替デザインについては、言及することを以って本明細書の一部とする2000年9月13日出願の自己の米国特許出願第09/660,601号(名称「イリゲーションシースを備えたバルーンカテーテル(Balloon Catheter with Irrigation Sheath)」)を参照されたい。例えば、米国特許出願第09/660,601号に開示されている一実施形態では、標的アブレーション部位またはその近傍に流体を放出するための孔を備えたシースによって放出バルーンを部分的に取り囲むことができる。当業者であれば、このような孔の大きさ及び/または形状を様々にできることを理解できよう。当業者であればまた、様々なデザインの流体ポートの大きさ、量、及び配置を様々に変更して治療部位に所望の量の流体を供給できることを理解できよう。
【0054】
図7に、ガイドワイヤが除去され、代わりにエネルギーエミッター40が、所望の外傷部位52から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射できる位置に配置された、本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。エネルギーエミッターは、内側カテーテルの内腔13を介して器具内に導入することができる。例示されている実施形態では、エネルギーエミッター40は、放射エネルギーエミッターであって、先端光放出光学素子43に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子43と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。好適な一実施形態では、光学素子は、言及することを以って本明細書の一部とする2002年7月22日発行の自己の米国特許第6,423,055号に詳細に開示されているような環状(リング状)の放射線ビームを放出できるレンズ要素である。
【0055】
図8及び図9に、本発明の有利な特徴、すなわち器具のデザインに関係なく外傷の位置を選択できる機能が例示されている。放射エネルギーエミッターは、標的組織部位と接触する必要がなく、実際に器具の他の部分に結合されていないため、本発明により、医師が単にエミッター(例えば、第1のカテーテル12の内腔14内)を移動させて所望の標的部位を選択することができる。図8に示されているように、標的組織から離間した放出バルーンの後部に放射エネルギーエミッターを配置して広い周囲状外傷を形成することができる(肺静脈口の形状からこのような外傷が可能な場合)。別法では、図9に示されているように放出バルーンの前部に放射エネルギーエミッターを近づけて直径の小さい外傷を形成することができる。このような外傷は、図示されているように静脈口の形状が、直径が徐々に変化する場合に望ましいであろう。必要な到達距離によって放出される放射線の強度を変更するのが望ましいことを理解されたい。従って、図8の方が図9よりも強度が高い放射エネルギービームが必要であろう。エネルギーエミッター40及びカテーテル本体24のそれぞれは、要素の移動を追跡するためまたは位置を決定するために1または複数のマーカー(模式的に要素33及び35として示されている)を含むことができる。マーカー33及び35は、例えば、蛍光透視により視覚化できる放射線不透過性ラインとすることができる。他の様々なマーカー機構、例えば磁気マーカー、容量マーカー、または光学マーカーを用いることもできる。
【0056】
図10に、放射エネルギーエミッター40(図7‐図9に示されている)が除去され、第1のカテーテル12のアンカーバルーン要素16が収縮して第1のカテーテル本体14を除去できる、本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。
【0057】
図11では、第1のカテーテルの代わりに、例えば第2のカテーテル20の中心内腔を介してマッピング電極カテーテル88が配置されている。しかしながら、これらの器具に別々の通路を提供するために2つ以上の内腔を利用できることを理解されたい。マッピング電極が肺静脈内に配置されたら、電気パルスを加えて、放射エネルギーエミッター(上記した)によって形成された外傷が伝導ブロックとして十分に機能するか否かを決定することができる。
【0058】
図12に、放出バルーンが収縮して除去され、マッピング電極が伝導ブロックの形成を評価するために所定の位置に配置された最終ステップが模式的に例示されている。当業者には、このような検査を行う様々な方法が周知である。ある単純な方法では、冠状静脈洞カテーテルによって電圧パルスを加える。マッピングカテーテルの電極を肺静脈の内壁に接触させる。信号が検出されない場合は(または実質的に減衰した信号の場合は)、これにより伝導ブロックを確認することができる。場合によっては、放出及び/またはアンカーバルーンの除去の前にもマッピング電極を使用できることを理解されたい。
【0059】
図13に、アンカーバルーンを用いずに本発明に従って放射エネルギーを用いてアブレーション処置を行う代替の方法が模式的に例示されている。図13に示されているように、同様にガイドワイヤ6を心臓を介して肺静脈4に導入することができる。放出バルーン構造26を有するカテーテル20をガイドワイヤ6上をスライドさせる。このカテーテル20は更に、バルーン26を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含むことができる。この内部流路は、膨張用流体をバルーン26内に導入してそのバルーンを膨張させることができるように先端シール21及び基端シール22によってカテーテル22の本体にシールされている。
【0060】
図14に、心組織の放射エネルギーアブレーションの放出経路を画定するために、放出バルーン26をどのように膨張させるかが例示されている。膨張した放出バルーンは、本発明に従って放射エネルギーを放出できるステージを画定する。好適な一実施形態では、放出バルーンを放射線透過流体で満たして、放射エネルギーがエネルギーエミッターから効果的に器具を通過して心組織の標的部位に到達するようにする。
【0061】
上記した放出バルーンは、様々な形状にするために予備成形することができる。上記したように、このために、例えば、予備成形された型にTEFLON(登録商標)フィルムを成形及び溶融して所望の形状にすることができる。ここでも同様に、本発明の放出バルーン及びシースは、例えば、膜の厚みが約5μm〜50μmの薄壁ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成することができる。
【0062】
放出バルーンの1つの目的は、エネルギーエミッターの経路から血液を排除することである。このために、器具は、標的アブレーション部位またはその近傍の1または複数の流体ポート(または流体を放出するための孔を含むシース)の形態の流体放出機構を含むことができる。ここでも同様に、放出された流体は放射エネルギーの透過経路の障害物を除去するアブレーション用流体として機能することができる。
【0063】
図15に、ガイドワイヤが除去され、代わりに放射エネルギーエミッター40が、所望の外傷部位52から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーできる位置に配置された、図13及び図14の装置を用いたアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。例示されている実施形態では、放射エネルギーエミッター40は、先端光放出光学素子43に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子43と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。
好適な一実施形態では、ここでも同様に、光学素子は、言及することを以って本明細書の一部とする2002年7月22日発行の自己の米国特許第6,423,055号に詳細に開示されているような環状(リング状)の放射線ビームを放出できるレンズ要素である。別法では、放射エネルギーエミッターは、図19及び図20を用いて詳細を後述する超音波またはマイクロ波のエネルギー源とすることができる。
【0064】
図16に、比較的一般的である複雑な形状の心臓の治療における本発明の複数の位置に配置可能な放射エネルギーアブレーション装置のユニークな利用方法が例示されている。図示されているように、肺静脈口は通常、単純なロート型または規則的な円錐表面を有していない。むしろ、肺静脈口の一側4Bは比較的緩やかな傾斜面を有し、他側4Aは急に曲がっている。従来技術の接触加熱アブレーション装置では、このような形状では、加熱要素(通常は膨張可能な要素の表面上の抵抗加熱バンド)が静脈または静脈口の組織に完全に係合できずに不完全な外傷が形成される。従来の装置では、加熱バンドの位置が固定されているため、加熱バンドが標的部位に完全に接触しないと、弧状すなわち不完全なリング型の外傷が形成され、通常は伝導をブロックするのに不十分である。
【0065】
図16に、本発明のスライド式に配置可能なエネルギーエミッターを用いてこの問題を如何に回避するかが例示されている。エミッター40の3つの潜在的な位置がA、B、及びCとして図示されている。図示されているように、位置A及びCでは、バルーンと標的組織との隙間により最適な外傷を形成することができない。一方、位置Bでは、周囲状の接触が得られるため好ましい。従って、エネルギー源をバルーンに対して自由に配置できるため、医師はリングの大きさを適切に調節して実際の形状に一致させることができる。(図16に3つの位置が示されているが、エミッターは他の様々な位置に配置することができ、所望に応じて位置を連続的または不連続的に変えることができることを理解されたい。)
【0066】
更に、場合によっては肺静脈の形状(または肺静脈口に対する放出バルーンの向き)により、1つの環状外傷では連続的な伝導ブロックを形成できないことがある。本発明は、エネルギーエミッターの位置を調節して2つ以上の部分的な周囲状外傷を形成してこの問題に対処する機構を提供する。図16Aに示されているように、本発明の装置は、それぞれが弧状または部分的なリング状の第1の外傷94及び第2の外傷96を形成することができる。それぞれの外傷が厚み(組織内に照射されるエネルギーの量に大きく依存する)を有するため、図示されているように、2つの外傷が軸方向に合わさって、伝導をブロックする連続的な円形すなわち周囲状の外傷を形成することができる。
【0067】
図17に、本発明に従った放射エネルギーエミッター40の一実施形態が模式的に例示されている。好適な一実施形態では、放射エネルギーは、コヒーレント光またはレーザー光などの電磁放射線であり、エネルギーエミッター40は、標的面に衝当する時に環状の照射パターンを形成する中空の円錐状の放射線を放出する。例えば、図1に示されている放射エネルギーエミッター40は、凹状内面または境界45を備えた光を環状に整形する導波管44に連通した光ファイバー42を含むことができる。導波管44は、環状の光ビームを屈折率分布(GRIN)レンズ46に伝送する。このレンズ46は、そのビームをコリメートし、放出距離に亘ってそのビームを同じ幅に維持する。エネルギーエミッター40の先端窓43から出射するビームは、進むにつれて直径が拡張されるが、エネルギーは細い環状バンド内にほぼ維持される。一般に、光ファイバー42または導波管44の中心軸からの放出角度は、約20度〜45度の範囲である。
【0068】
環状の光ビームの直径は、放出点から、例えば組織部位、間質腔、または内腔などの表面によって吸収される点までの距離に依存する。一般に、放射エネルギーの放出の目的が肺静脈の周りなどの経壁心臓外傷を形成することである場合、環状ビームの直径は、約10nm〜約33nm、好ましくは10nm超、15nm超、20nm超、最も好ましくは23nm以上である。一般に、放出される環状ビームの角度は、約20度〜約45度、好ましくは約17度〜約30度、最も好ましくは約16度〜約25度の範囲である。
【0069】
本発明の経皮アブレーション器具に使用するのに好適なエネルギー源は、約200nm〜2.5μmの範囲のレーザー光を含む。具体的には、吸水ピークまたはその近傍に一致した波長が望ましい場合が多い。このような波長の例として、約805nm〜約1060nm、好ましくは約900nm〜約1000nm、最も好ましくは約915nm〜980nmの範囲の波長を挙げることができる。好適な実施形態では、約915nmまたは約980nmの波長が心内膜処置に用いられる。好適なレーザーの例として、エキシマーレーザー、ガスレーザー、固体レーザー、及びレーザーダイオードを挙げることができる。アリゾナ州タックソン(Tucson)のスペクトラ・フィジックス(Spectra Physics)が製造する好適なAlGaAsダイオードアレイは980nmの波長を生成する。
【0070】
上記したような光導波管は、水晶、石英ガラス、またはアクリルなどのポリマーなどの当分野で周知の材料から形成することができる。アクリルの好適な例として、アクリラート、ポリアクリル酸(PAA)、メタクリレート、及びポリメタクリル酸(PMA)を挙げることができる。ポリアクリル酸エステルの代表的な例として、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリエチルアクリレート、及びポリプロピルアクリレートを挙げることができる。ポリメタクリル酸エステルの代表的な例として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、及びポリプロピルメタクリレートを挙げることができる。好適な一実施形態では、導波管44は、水晶から形成され、光ファイバー42の端部に融合される。
【0071】
導波管は、例えば円柱またはロッドなどの単一体から一部の材料を除去して内側を成形することができる。例えば研削、フライス削り、及び削磨などの当分野で周知の方法を用いて導波管の内壁をテーパ状に形成することができる。ある方法では、例えばチューブなどの中空のポリマーシリンダーを加熱して、基端部がつぶれて互いに融合させて、導波管の先端部に向かって先細になった一体基端部分を形成することができる。別の方法では、円錐面45は、テーパボアを用いて穿孔して固体水晶シリンダーまたはロッドに形成することができる。
【0072】
導波管44は、当分野で周知の様々な方法で光ファイバー42に光学的に結合することができる。このような方法には、接着、またはトーチや炭酸ガスレーザーでの融合が含まれる。図17に示されている実施形態では、導波管44、光ファイバー42、及びオプションの屈折率分布レンズ(GRIN)46が光学的に結合されており、光学装置40の周りのポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマージャケット材料68を熱収縮させて所定の位置に保持されている。
【0073】
図18に、本発明に従った放射エネルギーエミッター40Aの別の実施形態が模式的に例示されている。この実施形態では、光ファイバー42が光散乱粒子47を有する光ディフューザー41に結合され、側方にアブレーション放射線の円柱放出パターンを生成する。この実施形態は、例えば、肺静脈内に外傷を形成するのに有用であろう。ここで図1を再び参照されたい。図18に示されているデザインの放射エネルギーエミッターを放出バルーンの前方に前進させ、その部位に外傷を形成するのが望ましい場合は、肺静脈口を拡散照射できることを理解されたい。光拡散要素の構造の更なる詳細については、言及することを以って本明細書の一部とする1999年6月1日に発行されたシノフスキー(Sinofsky)による米国特許第5,908,415号を参照されたい。
【0074】
図19に、放射エネルギーエミッター40Cの代替の実施形態が例示されている。この実施形態では、超音波トランスデューサ60は、超音波エネルギーを、同様に標的面に衝当する時に環状の照射パターンを形成する円錐状のエネルギーにする成形トランスデューサ要素またはレンズ62を含む。エミッター40Cは、導線を封入するシース66または類似の細長い本体によって支持されているため、医師がエミッターを器具の内腔を介して所望の位置に前進させて超音波を放出させることができる。
【0075】
図20に、マイクロ波エネルギーが同様に環状の照射ビームに集束される放射エネルギーエミッター40Dの別の実施形態が例示されている。図20に示されているように、放射エネルギーエミッターは、同軸伝送ライン74(または類似の電気信号線)及び螺旋コイルアンテナ73を含むことができる。放射線リフレクター72A及び72Bが協働して放射線を遮蔽し円錐状に成形する。別の実施形態では、マイクロ波アンテナ73の代わりに、ラジオアイソトープまたは他の電離放射線供給源を好適な放射線保護要素72A及び72Bと共に用いて電離放射線のビームを放出することができる。
【0076】
図21及び図22に、放射線エミッター組立体に含められる本発明に従った接触センサの一実施形態が例示されている。この組立体は、放射エネルギーに対して透明な外側本体70に受容されている。この透明な本体70により、この組立体がカテーテル本体14の内腔内を容易にスライドすることができる。この組立体は更に、検出ファイバーとしても機能し得るエネルギーエミッター40(例えば、図17‐図20を用いて説明したようなエネルギーエミッターなど)を含む。例示されている実施形態では、4つの照明ファイバー76A‐76Bが示されている。本発明のアブレーション装置が心臓内に適切に配置されている場合、このようなファイバーを介して伝送された光が標的部位に衝当して反射され、エネルギーエミッター(または他の検出要素)によって検出される。4つの照明ファイバーを使用することにより、4つの四分円における接触を同時または連続的に検出することができる。(接触検出モジュールにおける要素としてエネルギーエミッターを用いる或いは用いずに、様々な照明及び/または検出要素を用いて本発明を実施できることを理解できよう。更に、超音波エミッター及び検出器を光反射機構の代わりに同様の方法で用いて接触を検出することができる。何れにしても、センサの出力信号を電気的に処理してディスプレイに表示することができる。)
【0077】
図21及び図22のセンサにより、本エネルギーエミッターが標的組織に対して適切に配置される(及び放出バルーンと組織との十分な接触が得られる)ように発明の経皮アブレーション器具を治療部位に配置することができる。これは、血液、体液、及び組織によって分散または吸収される光の反射測定値に基づいている。例えば、検出ファイバー76から組織に向かって放出される白色光は赤色光及び緑色光を含む様々な成分を含む。赤色光は、約600nm〜約700nmの範囲の波長を有し、緑色光は、約500nm〜約600nmの範囲の波長を有する。放出された光が血液または体液に接触すると、前部ではないにしても殆どの緑色光が吸収され、ごく僅かな緑色光または青色光が反射光収集器を含む光学系に向かって反射される。膨張したバルーン部材によって治療部位から血液及び体液が除去されるように装置が配置され、生体組織が緑色光をより反射する傾向にあるため、緑色/青色光の反射が増大される。従って、反射された緑色/青色光の量を用いて、装置と組織との間に血液が存在するか否かを決定することができる。
【0078】
例えば、器具が心室内に配置されていると、放出バルーンが膨張して心組織の表面の近傍に配置されるまで、緑色/青色反射信号が略0に維持されるはずである。膨張したバルーン部材が心組織に接触すると(または器具によって放出されたアブレーション用流体とそのバルーンが十分に近接して透明な透過経路を形成されると)、緑色光が光学系及び収集器に向かって反射される。一実施形態では、緑色光だけが組織表面に向かって放出される。別の実施形態では、赤色光及び緑色光の両方が組織表面に向かって放出される。赤色光及び緑色光は同時または別々に放出することができる。赤色光及び緑色光の両方を使用することにより、反射信号が確実に戻るようにするために、どの程度の量の光を組織表面に向かってバルーン内に放射すべきかを使用者が知らなくても良いという利点が得られる。2つの異なった波長の比率を測定することができる。例えば、器具が緑色光及び赤色光の両方の反射を測定することができる。光の強度が十分な場合、反射された赤色光が位置合わせの間ずっと検出される。器具すなわち膨張したバルーンが組織に接触する前は、緑色光に対する赤色光の比率が高い。透過経路が確立されると緑色光を吸収する血液が存在しなくなるため、緑色光が組織から反射されてこの比率が低下する。
【0079】
反射された光は、光ファイバーなどの収集器を通って分光高度計に伝送される。分光光度計(フロリダ州のダナディン(Dunedin)に所在のオーシャン・オプティックス・スペクトロメータ(Ocean Optics Spectrometer)のモデル番号:S‐200)が、反射光の各反射パルスの成分を生成する。市販のソフトウエア(テキサス州オースティン(Austin)に所在のラブ・ビュー・ソフトウエア(Lab View Software))により、特定の色の値を分離して比率分析を行うことができる。
【0080】
何れの場合も、カテーテルの内腔の周りに配置された複数の光ファイバーの照明ファイバーを使用することにより、カテーテルとバルーンを調節して光学系と治療部位との間の血液を最小にする平面を操作者が決定することができる。
【0081】
好適な光ファイバー/収集器の例が、言及することを以って本明細書の一部とする2000年6月6日発行のエドワード・シノフスキー(Edward Sinofsky)による米国特許第6,071,302号に開示されている。
【0082】
操作者が器具の配置に満足したら、放射エネルギーを標的組織部位に照射することができる。放射エネルギーが、例えばレーザー放射線などの電磁放射線の場合、別の光ファイバーを介して標的組織部位に照射することができ、別法では、白色光、緑色光、または赤色光を伝送するのに用いられるのと同じ光ファイバーを用いて照射することができる。レーザー光を、配置用の反射光を用いて処置の間、透過経路に障害物がないことを確認して、同期方式で間欠式にパルスで放射することができる。
【0083】
本発明の接触検出の態様は放射エネルギーアブレーション装置に限定されるものではなく、接触加熱または接触冷却アブレーション器具にも有用であることを理解されたい。例えば、図23では、膨張可能な要素56及び接触加熱要素58を有する接触加熱装置54が肺静脈内に配置されている。接触加熱要素は、膨張可能な要素の表面にプリントされた導電材料からなるラインまたはグリッドとすることができる。一実施形態では、膨張可能な要素は、接触加熱要素が配置される透明バンド59を除いて、一定の波長(例えば、可視光)が実質的に透過できないようにすることができる。反射信号の収集が妨げられないように加熱ワイヤも十分に透過性とすべきである(またはバンドのごく僅かな部分のみを覆うようにする)。装置54は更に、照明ファイバー及び複数の収集ファイバーを有する装置の中心内腔内に配置されるセンサを含むことができる。
【0084】
接触センサは、上記した方式と実質的に同じ方式で作動することができる。例えば、図23のアブレーション装置54が肺静脈内に配置され、内部から光で証明すると、膨張可能な要素56が膨張して心組織の表面に近接して配置されるまで、緑色/青色反射信号は殆ど0に維持されるはずである。膨張した膨張可能な要素56のアブレーションバンド58を有する部分が心組織に接触すると、緑色光が光学計及び収集器に反射される。一実施形態では、緑色光のみが組織表面に向かって放出される。別の実施形態では、赤色光及び緑色光の両方が組織表面に向かって放出される。赤色光及び緑色光は同時または別々に放出することができる。ここでも同様に、赤色光及び緑色光の両方を使用することにより、反射信号が確実に戻るようにするために、どの程度の量の光を組織表面に向かってバルーン内に放射すべきかを使用者が知らなくても良いという利点が得られる。2つの異なった波長の比率を測定することができる。例えば、器具が緑色光及び赤色光の両方の反射を測定することができる。光の強度が十分な場合、反射された赤色光が位置合わせの間ずっと検出される。器具すなわち接触加熱アブレーションバンドが組織に接触する前は、緑色光に対する赤色光の比率が高い。接触が確立されると緑色光を吸収する血液が存在しなくなるため、緑色光が組織から反射されてこの比率が低下する。
【0085】
図23Aでは、接触検出カテーテルの別の実施形態が、低温流体源115から低温流体を循環させるための内部導管114及びカテーテル本体112を有する低温アブレーションカテーテル110の形態で示されている。カテーテル本体は、低温を組織にさらすことができる導電領域116を含む。本発明のセンサ76を用いて、図示されているように導電領域に近接して配置して組織との接触を確認することができる。
【0086】
図23Bに、超音波接触加熱バルーンカテーテル120に用いられた接触センサの別の適用例が示されている。この超音波接触加熱バルーンカテーテル120は、肺静脈に接触するバルーン122(図23を用いて説明したバルーンに類似)及び組織を加熱するためのバンド123を有する。超音波アブレーション器具120は更に、アクチュエータ125によって作動されてアブレーションバンド123を加熱するトランスデューサ124を含む。ここでも、本発明のセンサ76を用いて、図示されているようにアブレーションバンド123に近接して配置して組織との接触を確認することができる。
【0087】
図24に、本発明の器具内の放射エネルギーエミッターの移動を制御するための移動機構80が示されている。例示的なポジショナー80が、器具の基端部分のハンドル84内に設けられており、放射エネルギーエミッター40の前進及び引き戻しを制御するためにこのエミッターの細長い本体82がサムホイール86に係合している。例示したサムホイール86の代わりに様々な代替の手動または自動の機構を用いて、標的組織部分に対して所望の位置にエミッターを配置できることを理解されたい。
【0088】
加えて、図24に示されているように、放射エネルギーエミッター40を支持する細長い本体82(例えば、図21及び図22に示されている光ファイバー組立体または図19及び図20を用いて示された導線用のシース)が、医師がエミッターを放出バルーン内に配置し易いようにその表面に位置表示92を備えることができる。ハンドルは更に、窓90を有することができ、これにより使用者が目盛り(例えば、等級マーカー)を見てエミッターが器具内をどの程度前進したかを確認することができる。
【0089】
心臓アブレーション処置に関連して既に説明したが、本発明の器具を、放射エネルギーでの治療が望ましい腹腔鏡下手術、腔内手術、内臓周囲手術、内視鏡下手術、胸腔鏡下手術、関節内手術、及び複合手術を含む様々な他の処置に用いることができることを理解されたい。
【0090】
ここで用いる語「放射エネルギー」は、主に伝導または対流による熱伝達に依存しないエネルギー源を含むことを意図する。このようなエネルギー源には、限定するものではないが、音響源及び電磁放射線源、より具体的には、マイクロ波、X線、γ線、及び放射光の供給源を挙げることができる。ここで用いる語「光」は、限定するものではないが、可視光、赤外線、及び紫外線を含む電磁放射線を含むものとする。
【0091】
外傷の文脈における語「連続的」は、外傷を挟んだ両側の組織部分間の伝導を実質的にブロックする外傷を意味する。ここで用いる語「周囲状」及び/または「曲線状」及びこれらの派生語は、組織のある部分を部分的または完全に取り囲む或いは組織のある部分を別の部分から分離する外側の境界即ち周囲を形成する通路またはラインを指すものとする。更に、「周囲状の経路」または「周囲状の要素」は、1または複数の様々な形状を含むことができ、例えば、円形、環状、矩形、卵型、楕円形、またはドーナッツ型とすることができる。
【0092】
生体構造の文脈で用いられる語「内腔」及びその派生語は、少なくとも部分的に組織壁によって画定された体内のあらゆる内腔または腔を意味するものとする。例えば、心室、子宮、胃腸管の一部、尿管、及び動脈または静脈は全て、意図する意味に含まれる体腔の代表的な例である。
【0093】
ここで用いる語「カテーテル」は、体内の組織または組織間腔に挿入することができ、かつ溶液や流体を選択的に注入するための導管を提供するあらゆる中空の器具を含み、限定するものではないが、例えば、様々な大きさ及び形状の気管支鏡、内視鏡、膀胱鏡、生殖器鏡(culpascopes)、結腸鏡(colonscopes)、トロカール、及び腹腔鏡などの静脈用導管及び動脈用導管が含まれる。本発明のカテーテルは、例えば、Silastic(登録商標)、ポリエチレン、Teflon(登録商標)、及びポリウレタンなどの上記したような当業者に周知の生体適合性材料から形成することができる。カテーテルの文脈における語「内腔」及びその派生語は、他の器具や流体または治療薬の送達、及び器具から離れた部位の状態の検出またはサンプリングに用いられるカテーテル器具内のあらゆる通路(及び/または通路として機能し得るこのような器具に連結されたトラック)を含むものとする。
【0094】
ここで用いる語「バルーン」は、体腔の条件によってバルーン、円形、涙型などを含む様々な構造に膨張できる変形可能な中空形状を含むことを理解されたい。このようなバルーン要素は、弾力性を有することができ、拡張した状態に単純に展開または開くことができる。
【0095】
ここで用いる語「透明な」は、当分野で認知されており、例えば第1のバルーン部材をエネルギーが透過可能にする材料が含まれる。好適な透明な材料は、エネルギーエミッターから組織または細胞部位に送られるエネルギーを有意に妨げない(例えば、透過したエネルギーの損失が20%)。ある好適な透明な材料には、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びエチレン‐テトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素重合体が含まれる。
【0096】
当業者であれば、上記した実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、具体的には、図示及び説明したものに限定されるものではない。ここで言及した全ての刊行物及び参照文献は言及することを以ってその内容を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に従った同軸カテーテルアブレーション器具の模式的な断面図である。
【図2】ガイドワイヤが心臓内に導入されて肺静脈内を通る、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の最初のステップの模式図である。
【図3】固定バルーン構造を有する第1のカテーテルがガイドワイヤ上をスライドする、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図4】アンカーバルーン構造が膨張した、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図5】放出バルーン要素を有する第2のカテーテルが第1のカテーテル本体上をスライドする、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図6】第2のカテーテルの放出バルーン要素が膨張して心組織の放射エネルギーアブレーションのための透過経路が画定された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図7】ガイドワイヤが除去され、外傷部位から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射することができる位置にある放射エネルギーエミッターが代わりに配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図8】所定の位置に外傷を形成するべく放射エネルギーエミッターが配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置のステップの模式図である。
【図9】放射エネルギーエミッターが別の画定された位置に外傷を形成するべく配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置の代替のステップの模式図である。
【図10】放射エネルギーエミッターが除去され、第1のカテーテル本体を除去できるように第1のカテーテルのアンカーバルーン要素が収縮された、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図11】第1のカテーテルがマッピング電極に置き換えられた、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図12】放出バルーンが収縮されて除去され、伝導ブロックの形成を評価するためにマッピング電極が所定の位置に残された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図13】初めにアンカーバルーンカテーテルを導入せずに、放出バルーン構造を有するカテーテルがガイドワイヤ上をスライドした、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の代替の方法の模式図である。
【図14】放出バルーン要素が膨張されて心組織の放射エネルギーアブレーションのための透過経路が画定された、図13に例示された実施形態のアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図15】ガイドワイヤが除去され、外傷部位から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射することができる位置にある放射エネルギーエミッターが代わりに配置された、図13に例示された実施形態のアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図16】非対称の静脈口において、接触を検出するため及び位置を選択するためにどのように放射エネルギーエミッターの配置を調節できるかを示す本発明に従ったシステムの模式図である。
【図16A】2つの部分的に環状の外傷によりどのようにして連続的な静脈を取り囲む外傷を形成できるかを示す模式図である。
【図17】本発明に従った放射光エネルギーエミッターの一実施形態の模式図である。
【図18】本発明に従った放射光エネルギーエミッターの別の実施形態の模式図である。
【図19】超音波エネルギーを用いる本発明に従った放射エネルギーエミッターの代替の実施形態の模式図である。
【図20】マイクロ波または電離放射線を用いる本発明に従った放射光エネルギーエミッターの代替の実施形態の模式図である。
【図21】本発明に従った接触センサの一実施形態の模式的な断面図である。
【図22】図21に示されている接触センサ要素の模式的な端面図である。
【図23】本発明の接触検出装置を用いる接触加熱アブレーション装置の模式図である。
【図23A】本発明の接触検出装置を用いる低音アブレーション装置の模式図である。
【図23B】本発明の接触検出装置を用いる超音波加熱アブレーション装置の模式図である。
【図24】標的組織部位に対して選択された位置に放射エネルギーエミッターを配置するための機構の模式図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本願は、1994年9月9日出願の放棄した米国特許出願第08/303,605号の継続出願である1997年4月10日出願の米国特許出願第08/827,631号(現在は米国特許第5,908,415号(1999年6月1日発行))の一部継続出願である1997年12月16日出願の米国特許出願第08/991,130号(現在は米国特許第5,947,595号(1999年9月9日発行))の一部継続出願である1999年9月7日出願の米国特許出願第09/390,964号(現在は米国特許第6,270,492号(2001年8月7日発行))の一部継続出願である2001年8月7日出願の米国特許出願第09/924,394号の一部継続出願である。
【0002】
本願はまた、1999年7月14日出願の米国特許出願第09/357,355号(現在は米国特許第6,423,055号(2002年7月22日発行))の一部継続出願である2000年6月23日出願の米国特許出願第09/602,420号の一部継続出願である2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,275号の一部継続出願である。これらの関連出願の開示内容の全てを言及することを以って本明細書の一部とする。
【0003】
発明の背景
本発明は、疾患の治療に用いる組織をアブレーションするためのアブレーション器具に関し、詳細には放射エネルギーを用いる経皮器具に関する。このような器具は、例えば、心不整脈などの心疾患の治療に用いることができる。
【0004】
細動などの心不整脈は、心臓の正常な鼓動パターンの異常であり、心房または心室に由来する。例えば、心房細動は、心房心筋のランダムな速い収縮という特徴を持つ不整脈の一種であり、不規則で速い心拍を引き起こす場合が多い。心房の正常な拍出機能が、心臓の上側の部屋を通る電気信号の無秩序な伝導により不規則で無効な振動に変わってしまう。心房細動は、うっ血心不全、リュウマチ性心疾患、冠状動脈疾患、左心室肥大、心筋症、または高血圧を含む他の種類の心血管疾患に関連する場合が多い。
【0005】
不整脈の治療に様々な方法が提案されてきた。このような方法はメスを用いて行われるが、外傷を形成するために様々な他の方法も開発されてきた。このような処置は、総称して「アブレーション」と呼ばれる。非外科的アブレーションでは、通常は加熱または低温で組織を処置して、組織を凝固及び/または壊死(すなわち、細胞破壊)させる。これらの各方法では、心筋細胞が、心臓内の正常な電気的活動を伝導できない外傷組織に変えられる。
【0006】
例えば、肺静脈が、心房細動を引き起こす誤った電気信号の起源の1つであることが確認された。ある既知の方法では、肺静脈内の組織または肺静脈口の周囲アブレーションが心房細動の治療に用いられてきた。同様に、集団としての肺静脈を取り囲む領域のアブレーションも提案された。選択された部位の心組織のアブレーション(通常は直線状または曲線状の外傷の形態)により、ある部分から別の部分への電気伝導をブロックすることができ、残った部分は小さ過ぎてそれ自体では細動を維持することができない。
【0007】
近年、電流(例えば、無線周波数(RF))による加熱または低温冷却を用いた装置を含む様々な種類のアブレーション装置が、心房細動を治療するための外傷の形成に提案された。このようなアブレーション装置は、電気伝導をブロックするのに十分な厚みの心筋に亘る細長い外傷を形成するために提案された。近年に提案されたアブレーション装置の多くは、心臓内からこのような外傷を形成するようにデザインされた経皮装置である。このような装置は、例えば、大腿静脈などの血管から心臓内にアブレーション器具を送るカテーテル法によって心臓内に配置される。
【0008】
抵抗熱伝導または導電熱伝導を用いる装置は、術後に重度の合併症を引き起こす傾向にある。このような「接触」装置で迅速にアブレーションするには、相当量のエネルギーを標的組織部位に直接加えなければならない。経壁浸透を達成するには、接触される表面をかなり加熱する(または凍結させる)必要がある。例えば、心壁のRF加熱では、経壁外傷のために組織の温度を心壁の厚み全体に亘って約50℃まで上昇させる必要がある。これを達成するために、接触面の温度が、通常は100℃以上に上げられる。このような温度では、組織が破壊されるリスクがかなり高い(例えば、水蒸気の微小爆発または炭化による)。特に、心組織の表面の炭化は、表面の血餅の生成や、発作を含む術後の合併症を引き起こすことがある。たとえ構造的な損傷が回避できたとしても、接触された表面の外傷(すなわち、アブレーション領域の幅)の範囲が、通常は必要以上の大きさである。
【0009】
直接的な接触を必要としない音響エネルギーや放射エネルギーを利用したアブレーション装置も提案された。音響エネルギー(例えば、超音波)は、結合液が間に導入されないと組織にあまり浸透できない。レーザーエネルギーも提案されたが、メスのように1点に光を集中させる装置または同様の強度の高いスポットパターンを利用する装置だけであった。光エネルギーが集束されたスポットの形態で供給される場合、連続した直線状または曲線状の外傷を形成するために多くのスポットを照射する必要があるため、本質的にこの方法には時間がかかる。
【0010】
加えて、既存の心臓アブレーション器具には、様々なデザインの制限の問題がある。心筋の形状が、心臓の後側の肺静脈などの心臓の構造へのアクセスを一層困難にしている。一般に、経皮装置は、初めに心臓に導入されるガイドワイヤを利用して配置される。例えば2000年1月11日に発行されたレッシュ(Lesh)による米国特許第6,102,457号及びアトリオニックス社(Atrionix, Inc.)に譲渡された国際特許出願第00/67656号に開示されている一般的な方法では、ガイドワイヤまたは類似のガイド装置が心臓の左心房から肺静脈内に送られる。次いで、膨張可能な要素を備えたカテーテル器具をガイドワイヤ上を前進させて肺静脈内に送り、そこで膨張可能な要素(例えば、バルーン)を膨張させる。バルーン構造は、アブレーション処置を行うバルーンの外面に設けられるRF電極などの周囲アブレーション要素を含むことができる。バルーンは、処置の間、肺静脈の内面に接触した状態で電極を保持するために十分な大きさ及び強度を有さなければならない。更に、外傷がバルーン要素の表面のアブレーション電極で形成されるため、バルーンの形状が外傷を形成する位置を本質的に制限する。すなわち、外傷は、少なくとも部分的に肺静脈内で形成されなければならない。
【0011】
2001年5月22日発行のスワーツ(Swarts)らによる米国特許第6,235,025号に開示されている別の方法では、ガイドワイヤを用いて肺静脈に経皮的にアクセスし、カテーテルをガイドワイヤ上をスライドさせて肺静脈内に配置する。カテーテル装置は、肺静脈内(または肺静脈内と肺静脈口)で膨張される2つの離間したバルーンを含む。次いで、2つのバルーンの間の空間を導電流体で満たし、肺静脈にRFエネルギー(または、代替の超音波)を供給して組織アブレーションで血管に伝導ブロックを形成することができる。レッシュ(Lesh)による装置と同様にスワーツ(Swarts)らによる装置では、組織をアブレーションできる部分がデザインによって限定されている。後にアブレーション用の流体で満たされる空間を2つのバルーンがシールしなければならないため、外傷は肺静脈内に形成しなければならない。
【0012】
肺静脈内でのアブレーションは合併症を引き起こすことがある。静脈内での過度に深い治療により、即座に開胸外科手術を行わなければならない狭窄(静脈自体の閉塞)、壊死、または他の構造的な損傷が起こり得る。
【0013】
従来技術の経皮デザインでは、主に部位の選択が制限される。具体的には、従来技術の経皮器具は、1つの部位で1つのアブレーション外傷しか形成できないという本質的なデザインの制限がある。例えば、RF加熱表面を有する膨張可能なバルーンが静脈口に配置される場合、この装置の形状によって画定される位置でのみ外傷を形成することができる。加熱要素が標的組織に接触しなければならないため、別の部位で外傷を形成することができない。同様に、上記した並列バルーン装置は、アブレーション用流体で満たされたバルーンとバルーンとの間の空間によって画定された位置でしか外傷を形成することができない。
【0014】
従来技術の経皮デザインの別の主な制限は、実際の心臓の様々な形状に対応できないことである。心房の内面は均一ではない。具体的には、肺静脈口は規則的ではなく、円錐または漏斗形の開口に殆ど類似していない場合が多い。不規則な形状の肺静脈口の場合、従来技術の膨張可能な接触加熱装置では、不完全な外傷(非周囲状)が形成されることがある。
【0015】
従って、医師がアブレーション部位の位置を選択できる経皮アブレーション装置が強く要望されている。特に肺静脈の周りに連続的な伝導ブロックを形成する際に医師が多数の異なった部位から外傷部位を選択できる器具が長年に亘る当分野の要望を満たすであろう。
【0016】
更に、従来技術の装置は通常、加熱を始める前に連続的な周囲状の接触が得られたか否かを決定することができない。このような装置は、大抵はアブレーション後の電位分布図で周囲状の外傷が形成されたか否かを決定する。伝導性が残っている場合は、周囲状の外傷が不完全であり、処置を繰り返すか或いは諦めなければならない。
【0017】
従って、心臓の正常な組織に与える傷害が少なく成功の確率が高い、外傷を形成するための良好な外科アブレーション器具が要望されている。接触が十分であるか(つまり血液が標的部位から除去されたか)を決定でき、この決定に基づいて成功の可能性を予測できる経皮装置は、既存のデザインに比べて著しい進歩である。
【0018】
発明の要約
不整脈などを治療するために特に心組織などの組織に外傷を形成するためのアブレーション法及び器具を開示する。本発明の一実施形態では、同軸カテーテル本体の形態の経皮アブレーション器具は、内部に少なくとも1つの中心内腔を備え、その先端部分に1または複数のバルーン構造を含む。このバルーン構造及びカテーテル本体は、アブレーションエネルギーを少なくとも部分的に透過する。この器具は、その内腔内に自由に配置可能なエネルギー放出要素を含むことができる。このエネルギー放出要素は、放出バルーンの透過領域を介して標的組織部位に放射エネルギーを放出できるように適合されている。本発明の方法及び装置が伝導または抵抗加熱に依存しないため、この放射エネルギーをエネルギーエミッターと標的組織とを接触させずに送ることができる。放射エネルギーエミッターの位置を変更できるため、医師が外傷を形成するに望ましい位置を選択することができる。
【0019】
本発明の別の態様では、様々な心臓アブレーション器具に概ね適用することができ、心臓内に器具が適切に配置されたか、例えば装置が肺静脈及び/または心房の表面に接触し、加熱、冷却、または放出エネルギーによって外傷を形成できるか否かを決定するための機構が開示されている。この接触検出機構は、器具内に配置された照明源及び反射された光のレベルを監視する光検出器によって実現することができる。反射された光(または反射された光の波長)の測定値を用いて、接触が十分であるか、またこのような接触が所望のアブレーション経路に対して連続的であるか否かを決定することができる。
【0020】
本器具は、伝導ブロックとして機能する曲線状の外傷を迅速かつ効率的に形成できるため、経皮アクセス心臓外科手術に特に有用である。本器具は、経皮アクセス及び引き戻しの際に小さくなり、外傷の両側の組織部分を電気的に分離するために心房組織に外傷を形成するようにデザインされている。本発明の器具は、肺静脈などの器官に接触しないで、連続的な外傷をそのような器官を取り囲むように心臓の心房壁組織に連続的な外傷を形成することができる。
【0021】
一実施形態では、心臓アブレーション器具は、心臓内に配置できるように適合されたカテーテル本体を有する。このカテーテル本体は、内部に少なくとも1つの内腔を含み、膨張可能なエネルギー透過要素を有する。このエネルギー透過要素は、固定要素を用いるまたは用いずに所望の位置に配置して心臓の構造に接触させて透過経路を確立することができる。例えば、膨張可能な要素は、膨張してエネルギー透過流体でエネルギーエミッターと標的組織との間の空間を満たし、放出される放射エネルギーの透過経路を形成する放出バルーンとすることができる。この器具は更に、所望の位置に配置して放射エネルギーを器具の透過部分を介して標的組織部位に供給できるようにカテーテル本体の内腔内を移動可能な放射エネルギー供給要素を含む。この器具は更に、エネルギーエミッターから標的組織までの血液が存在しない透過経路を形成するために流体供給ポートなどの更なる構造を含むことができる。
【0022】
別の実施形態では、心臓アブレーション器具は、心臓内に配置できるように適合されたカテーテル本体及び少なくとも1つの固定要素を含む。この固定要素は、心臓の構造に接触して所定の位置に装置を固定するために所望の位置に配置することができる。この器具も同様に、所望の位置に配置して放射エネルギーを器具の透過部分を介して標的組織部位に供給できるようにカテーテル本体の内腔内を移動可能な放射エネルギー供給要素を含む。放出バルーンはまた、単独または流体放出機構と共に用いてエネルギーエミッターから標的組織までの血液の存在しない透過経路を提供することができる。
【0023】
本発明のアブレーション器具が外傷を形成するのに適切に心臓内に配置されたか否かを決定するための機構を開示する。例えば、放出バルーンを用いて放射エネルギーエミッターから標的組織までの透明な透過経路を形成する場合、本発明の機構は、そのバルーンとその標的組織との接触が十分であるか否か(及び/または放射エネルギーの放出のための経路の障害物が除去されているか否か)を検出することができる。一実施形態では、接触検出機構は、器具内に配置された照明ファイバー及び反射された光のレベルを監視する光検出ファイバー(またはファイバー組立体)によって実現することができる。反射された光(またはその波長)の測定値を用いて、放出バルーンと標的組織との接触が十分であるか、全ての隙間から血液が除去されたか、そして所望のアブレーション経路に亘って透明な連続的な透過経路が確立されたか否かを決定することができる。
【0024】
本発明の更なる形態では、組織浸透放射エネルギーを用いて迅速で効率的な光アブレーションを達成できる経皮器具が開示されている。例えば電磁放射線または超音波などの放射エネルギーは、従来の方法に関連した表面組織破壊とは逆のタイプのリスクが低く、かつ短時間で外傷を形成できることが分かった。熱伝導または抵抗加熱に依存する器具とは異なり、たとえ心臓が血液で満たされている場合であっても、制御された浸透放射エネルギーを用いて心臓壁などの標的組織の厚み全体に同時にエネルギーを照射することができる。放射エネルギーはまた、より良好に画定された、より均一な外傷を形成することができる。
【0025】
放射エネルギーを、治療用の波長のこのような放射線に実質的に透明なカテーテル構造と共に使用することにより、外傷を形成する位置の選択が例えば肺静脈に限定されず、より自由になるという利点が得られる。エネルギーを組織に照射できるため、リング状の外傷を静脈から離間した心房組織に形成して、狭窄のリスク及び/または静脈自体への他の外傷を軽減することができる。
【0026】
赤外線が光アブレーション外傷を形成するのに特に有用であることも分かった。ある好適な実施形態では、本器具は、約800nm〜約1000nm、好ましくは約915nm〜約980nmの範囲の波長の放射線を放出する。ある適用例では、一般に915nmまたは980nmの波長の放射線が好ましい。なぜなら、心臓組織によって吸収される最適な赤外線がこれらの波長である。
【0027】
別の実施形態では、集束する超音波エネルギーを用いて心組織をアブレーションすることができる。ある好適な実施形態では、超音波トランスデューサを用いて、約5MHz〜約20MHz、好ましくは約7MHz〜約10MHzの範囲の波長を放出することができる。加えて超音波エミッターは、放出されたエネルギーを環状ビームに整形する集束要素を含むことができる。
【0028】
しかしながら、ある適用例では、限定するものではないが、他の波長の光、他の周波数の超音波、X線、γ線、マイクロ波などの放射線及び超音波(hypersound)を含む他の形態の放射エネルギーも有用であろう。
【0029】
放射光の場合、エネルギー供給要素は、放射源からのアブレーション放射線を受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、その光ファイバーの先端部に放射線を放出する光放出先端を備えることができる。光供給要素は、カテーテル本体の内腔内にスライド可能に配置することができ、器具は更に、カテーテル内の1または複数の位置に光供給要素の先端を配置するための移動機構を含むことができる。更に、カテーテル内でエネルギー放出先端組立体を移動させて放出されるエネルギーのリングの直径を容易に変更することができるため、医師が外傷を形成する位置(及び大きさ)を制御することができる。
【0030】
場合によっては、放射エネルギー供給要素と標的部位との間に流体を配置することができる。好適な一実施形態では、「放出バルーン」を放射線透過流体で満たして、エネルギーエミッターからの放射エネルギーを器具を介して標的部位に効率的に供給することができる。この流体は用いてエネルギーエミッターを冷却することもできる。ある適用例では、赤外線に対する吸収損失の特性から、バルーン充填流体の媒質として酸化ジュウテリウム(いわゆる重水)を用いるのが望ましいであろう。別の適用例では、膨張用流体を水または生理食塩水とすることができる。
【0031】
器具の外側(例えばバルーンと標的領域との間)にアブレーション用流体を導入して、器具が配置された時に放射エネルギーを確実かつ効率的に伝達するのが望ましいであろう。この文脈における「アブレーション用流体」は、放射エネルギーの導体として機能し得るあらゆる流体である。この流体は、生理食塩水などの生理学的に適合した流体、または放射線に対して実質的に透明な任意の他の無毒水溶性流体とすることができる。好適な一実施形態では、このような流体は、ハウジングの1または複数の出口ポートを介して放出され、放出バルーンと周囲組織との間を流れ、これによりバルーンが標的組織と接触していない全ての隙間が満たされる。この流体は、血液が放射光エネルギーに対して高い吸収性を有するため、放射エネルギーの経路内の全ての血液を排除するイリゲーション機能を果たすこともできる。
【0032】
同様に、放射エネルギーが音響である場合、水性結合流体を用いて、放射エネルギーを高い効率で組織に供給することができる(そして同様に、放射音響エネルギーの伝達を妨げ得る血液を排除する)。
【0033】
本発明のアブレーション用流体は、例えば、光感作物質、薬剤、及び/または鎮痛剤を含む様々な他のアジュバントを含むこともできる。
【0034】
上記したように、接触検出機構はまた、医師が外傷の位置の選択する際、及び選択した位置で連続的な外傷(例えば、静脈を取り囲む外傷)が形成されるかを確認する際に役立つ。一実施形態では、透明な透過経路が確立されたか否か(例えば、放出バルーンが適切に配置され、接触の全ての隙間がアブレーション用流体で満たされているか否か)を示す複数の反射センサを利用する。
【0035】
ここに開示する同軸カテーテル器具は特に、アブレーション用の光または超音波を放出する組立体を備えたバルーンカテーテルを患者の心臓内に配置する経皮適用例に用いられる。本発明の別の態様では、二重同軸バルーン構造が、器具を適切に配置するのを助けるアンカーバルーン及び放出バルーンの両方を有する。
【0036】
二重同軸カテーテルの実施形態では、カテーテル器具は、ガイドワイヤ上をスライドするようにデザインされた内側カテーテル本体の周りまたは内部に配置される少なくとも1つの膨張可能なアンカーバルーンを含むことができる。このアンカーバルーンは、全体的に実質的にシールされ、肺静脈などの内腔内に装置を配置する役割を果たす。流体で満たされたアンカーバルーン構造は、膨張して肺静脈の内面などの組織に接触して係合する。
【0037】
次いで、放出バルーンを有する第2のカテーテルを第1の(アンカーバルーン)カテーテル本体上をスライドさせて、アンカーバルーンが既に配置された肺静脈近傍の左心房などの心臓内で膨張させることができる。従って、膨張した放出バルーンが、本発明に従った放射エネルギーを放出するステージを画定する。次いで、内側内腔を介してエネルギー放出要素を導入し、例えば赤外光または超音波などの放射エネルギーを同軸カテーテル本体及び放出バルーンを介して放出し、標的治療部位に外傷を形成することができる。この器具はまた、治療部位にアブレーション用流体を供給するためのイリゲーション機構を含むこともできる。一実施形態では、放出バルーンの周りに部分的に配置されたシースによって治療部位のイリゲーションが行われる(これにより、例えばアブレーション部位から血液が除去される)。
【0038】
アンカーバルーン構造及び排出バルーン構造の両方は、真空をかけてバルーンから流体を除去し収縮させることができる。完全に収縮したら、同軸器具を、集合体としてまたは別々の要素として本体内腔から除去することができる(最も内側の要素から開始する)。別法では、エネルギー供給要素を除去し(内側内腔バルーン構造を介して)、次いで放出バルーンカテーテル、そしてアンカーバルーンカテーテルを除去することができる。
【0039】
本発明は、1または複数のマッピングカテーテルと共に用いることもできる。外傷が形成される前及び/または後に、例えば、ガイドワイヤ要素(及び/またはアンカーバルーンカテーテル)を除去してマッピングカテーテルに代えて、誤った電気信号が心房壁に伝導されるのをアブレーションがブロックしたか否かを決定することができる。
【0040】
本発明はまた、組織をアブレーションする方法を提供する。組織をアブレーションするある方法では、組織の標的部位から一定距離に放射エネルギー放出要素を配置し、そのエミッターと標的部位との間に血液の存在しない透過経路を形成し、放射エネルギーを放出して標的部位を照射し、外傷を形成する。ある態様では、外傷は、1または複数の肺静脈に近接して形成される。
【0041】
本発明に従ったある方法では、まずガイドワイヤを心組織の標的部位の近傍に挿入する。例えば、大腿静脈から挿入して下大静脈を前進させて右心房内に送る、または必要に応じて心房中隔を突刺して左心房に案内する。何れの場合も、ガイドワイヤが肺静脈内に進入するまでガイドワイヤを前進させる。次いで、第1のカテーテル本体をガイドワイヤに結合して、例えばアンカーバルーンなどのその固定要素が肺静脈内に送られるまでガイドワイヤ上をスライドさせる。次いで、アンカーバルーンを膨張用流体で膨張させて第1のカテーテル本体を固定する。次いで、第2のカテーテル本体を、放出バルーンを有する第1のカテーテル本体上を同軸的に治療部位まで送る。放出バルーンが標的組織アブレーション部位に近接したら、放出バルーンを同様に膨張させることができる。放出バルーンの膨張により、エネルギーエミッターと標的組織部位と間の透過経路から血液が排除される。加えて、器具を介して溶液を注入し、治療部位から血液及び/または体液を押し出すことができる。
【0042】
次いで、ガイドワイヤを除去し、放出バルーンを介して放射エネルギーを供給して組織をアブレーションする自由に配置可能な放射エネルギーエミッターを代わりに配置する。配置したら、放射エネルギーエミッターを作動させて、第1のカテーテルの先端部分の透過領域を介して放射エネルギーを標的組織部位に伝送し、伝導ブロックを形成する。ある態様では、光放出要素を作動させて、標的部位内の心房組織を光凝固させる。別の態様では、光放出要素を作動させて、心房組織に連続的な外傷を形成する。光放出要素は、標的部位に光エネルギーの環状ビームを照射して組織に円周上の外傷を形成するためのビーム整形光導波路を有することができる。一実施形態では、放射エネルギーエミッターは、超音波放出要素を含むことができる。別の実施形態では、放射エネルギーは、マイクロ波、X線、γ線、または電離放射線の形態をとることができる。
【0043】
本発明の方法は更に、医師による外傷の位置の選択及び連続的な(例えば、静脈を取り囲む)外傷が形成される選択された位置の確認を助ける位置検出ステップを含む。一実施形態では、1または複数の反射センサを作動させて、反射率の測定値に基づいて透明な透過経路を確立できるか否か(例えば、放出バルーンが適切に配置されアブレーション流体によって接触の隙間が全て満たされているか否か)を決定することができる。これは、反射センサによって収集される反射光の少なくとも2つの異なった波長を測定して達成することができる。
【0044】
アブレーション処置の後、放射エネルギーエミッターを第1のカテーテル本体の中心内腔から除去する。次いで、アンカーバルーンに真空をかけて、膨張用流体をバルーンから除去して収縮させる。流体の除去にはシリンジまたは他の既知の方法を用いることもできる。一実施形態では、まずアンカーバルーンを収縮させて、第1の(内側)カテーテル本体と共に除去することができる。次いで、第1のカテーテル本体の代わりに、マッピングカテーテルを配置することができる。マッピング電極を肺静脈内まで前進させたら、放出バルーンを同様に収縮させて第2のカテーテル本体を除去し、マッピングカテーテルだけをその位置に残すことができる。次いで、マッピングカテーテルを作動させて、伝導ブロックが達成されたか否かを決定することができる。このアブレーションが成功している場合は、マッピングカテーテルを除去することができる。伝導性が残っている場合は、例えば、第2のカテーテル本体を再び導入し、次いでマッピングカテーテルを除去し、アンカーバルーン及び放射エネルギーエミッターを再配置してこの処置を繰り返すことができる
【0045】
詳細な説明
図1に、1または複数のポート18を介して膨張させることができるアンカーバルーン16及び細長い本体14を有する第1の内側カテーテル12を含む本発明に従った同軸カテーテルアブレーション器具10の模式的な断面図が示されている。アンカーバルーンを膨張させるために用いる流体は、詳細を後述するように装置の1または複数の内腔を介して或いは細長い本体内の通路(不図示)を介して供給することができる。この装置は更に、細長い本体24及び1または複数のポート22を介して膨張させることができる放出バルーン26を有する第2の同軸外側カテーテル20を含む。この器具は、心臓内(例えば、肺静脈内)にアンカーバルーン16を固定した時に、放出バルーン26を膨張させてその肩部分50が心組織の標的部位52(例えば、肺静脈口を取り囲む心房の環状領域)に近接させることができるようにデザインするのが好ましい。
【0046】
この器具はまた、アブレーション用流体を標的部位に供給するために1または複数のポート36(第1のカテーテル12または第2のカテーテル20、或いはこれらの両方に連通している)を含むことができる。好ましくは、アブレーション用流体は、放射エネルギー源から光エネルギー、放射エネルギー、または音響エネルギーを標的組織部位への伝送を助けるエネルギー透過媒体である。アブレーション用流体はまた、器具の近傍から血液を排除し、器具の適切な配置を妨げる心臓の不規則な形状を補償するのに役立つ。従って、アブレーション用流体は、バルーンの外部に透明な透過経路を提供する。
【0047】
放射エネルギーエミッター40を、標的組織から離間して放出バルーン26内に配置することができる(例えば、同軸カテーテル12または20の中心内腔内)。一実施形態では、放射エネルギー源は、先端光放出光学素子44に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子44と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。カテーテル本体、放出バルーン、及び膨張/アブレーション用流体は全て、選択された波長の放射エネルギーに対して実質的に透明であって、放出素子44から標的部位への損失の低い透過経路を提供するのが好ましい。
【0048】
図2に、ガイドワイヤ6が心臓2を介して肺静脈4に導入された本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション処置の最初のステップが模式的に例示されている。図3に、アンカーバルーン構造16を有する第1のカテーテル12がガイドワイヤ6上をスライドする本発明に従ったアブレーション処置の次のステップが例示されている。第1のカテーテル12は更に、バルーン16を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含むことができる。この内部流路は、図4に示されているようにバルーン16内へ膨張用流体を導入してそのバルーンを膨張させることができるように、先端シール15及び基端シール17によってカテーテル本体14にシールされている。アンカーバルーン構造の更なる詳細については、言及することを以って本明細書の一部とする2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,303号(名称「イリゲーションを備えたカテーテルアンカーバルーン構造(Catheter Anchoring Balloon Structure with Irrigation)」)を参照されたい。
【0049】
図5に、同様に細長い本体24及び放出バルーン要素26を有する第2のカテーテル20が第1のカテーテル本体14上をスライドする本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。第2のカテーテル20はまた、バルーン26を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含む。この内部流路は、図6に示されているようにバルーン26内へ膨張用流体を導入してそのバルーンを膨張させることができるように、先端シール21及び基端シール22によってカテーテル20の本体24に対してシールされている。
【0050】
従って、図6は、心組織の放射エネルギーアブレーションの放出経路を画定するために、第2のカテーテル20の放出バルーン26をどのように配置して膨張させるかが例示されている。第2のカテーテル本体24は、内側カテーテル本体14上を通過できる大きさの内腔27を有する。心臓内に配置したら、第2のカテーテルの放出バルーンを膨張させる。膨張した放出バルーンは、本発明に従って放射エネルギーを放出できるステージを画定する。好適な一実施形態では、放出バルーンを放射線透過流体で満たして、放射エネルギーがエネルギーエミッターから効果的に器具を通過して心組織の標的部位に到達するようにする。
【0051】
上記した放出バルーンは、放物線のような形状に予備成形することができる。このために、例えば、予備成形された型にTEFLON(登録商標)フィルムを成形及び溶融して所望の形状にすることができる。本発明の放出バルーン及びシースは、例えば、膜の厚みが約5μm〜50μmの薄壁ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成することができる。
【0052】
放射エネルギーが伝達するために放出バルーン26を必ずしも標的組織に接触させなくてもよい(場合によっては望ましくない)ことを理解されたい。放出バルーンの1つの目的は、エネルギーエミッターの経路から単に血液を排除することである。ここで、図1を再び参照されたい。器具が配置された時に放射エネルギーが効率的に伝達されるように、アブレーション用流体29を器具の外側(例えば、バルーン26と標的部位52との間)に導入することができる。この文脈におけるアブレーション用流体は、放射エネルギーの伝導体として機能できる任意の流体である。このアブレーション用流体は、生理食塩水などの生理学的に適合した流体、または放射線に対して実質的に透明な他の任意の無毒の水溶液とすることができる。図1に示されているように、流体29を、第1のカテーテル本体14(及び/または第2のカテーテル本体24)の1または複数の出口ポート36から放出して放出バルーン26と周囲組織との間に流し、これによりバルーン26が組織と接触していない全ての隙間を満たすことができる。流体29はまた、標的部位52への放射光エネルギーの伝達を妨げ得る放射エネルギーの経路内の血液を全て排除するイリゲーション機能を果たすこともできる。
【0053】
アブレーション用及び/またイリゲーション用流体を供給するための代替デザインについては、言及することを以って本明細書の一部とする2000年9月13日出願の自己の米国特許出願第09/660,601号(名称「イリゲーションシースを備えたバルーンカテーテル(Balloon Catheter with Irrigation Sheath)」)を参照されたい。例えば、米国特許出願第09/660,601号に開示されている一実施形態では、標的アブレーション部位またはその近傍に流体を放出するための孔を備えたシースによって放出バルーンを部分的に取り囲むことができる。当業者であれば、このような孔の大きさ及び/または形状を様々にできることを理解できよう。当業者であればまた、様々なデザインの流体ポートの大きさ、量、及び配置を様々に変更して治療部位に所望の量の流体を供給できることを理解できよう。
【0054】
図7に、ガイドワイヤが除去され、代わりにエネルギーエミッター40が、所望の外傷部位52から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射できる位置に配置された、本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。エネルギーエミッターは、内側カテーテルの内腔13を介して器具内に導入することができる。例示されている実施形態では、エネルギーエミッター40は、放射エネルギーエミッターであって、先端光放出光学素子43に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子43と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。好適な一実施形態では、光学素子は、言及することを以って本明細書の一部とする2002年7月22日発行の自己の米国特許第6,423,055号に詳細に開示されているような環状(リング状)の放射線ビームを放出できるレンズ要素である。
【0055】
図8及び図9に、本発明の有利な特徴、すなわち器具のデザインに関係なく外傷の位置を選択できる機能が例示されている。放射エネルギーエミッターは、標的組織部位と接触する必要がなく、実際に器具の他の部分に結合されていないため、本発明により、医師が単にエミッター(例えば、第1のカテーテル12の内腔14内)を移動させて所望の標的部位を選択することができる。図8に示されているように、標的組織から離間した放出バルーンの後部に放射エネルギーエミッターを配置して広い周囲状外傷を形成することができる(肺静脈口の形状からこのような外傷が可能な場合)。別法では、図9に示されているように放出バルーンの前部に放射エネルギーエミッターを近づけて直径の小さい外傷を形成することができる。このような外傷は、図示されているように静脈口の形状が、直径が徐々に変化する場合に望ましいであろう。必要な到達距離によって放出される放射線の強度を変更するのが望ましいことを理解されたい。従って、図8の方が図9よりも強度が高い放射エネルギービームが必要であろう。エネルギーエミッター40及びカテーテル本体24のそれぞれは、要素の移動を追跡するためまたは位置を決定するために1または複数のマーカー(模式的に要素33及び35として示されている)を含むことができる。マーカー33及び35は、例えば、蛍光透視により視覚化できる放射線不透過性ラインとすることができる。他の様々なマーカー機構、例えば磁気マーカー、容量マーカー、または光学マーカーを用いることもできる。
【0056】
図10に、放射エネルギーエミッター40(図7‐図9に示されている)が除去され、第1のカテーテル12のアンカーバルーン要素16が収縮して第1のカテーテル本体14を除去できる、本発明に従ったアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。
【0057】
図11では、第1のカテーテルの代わりに、例えば第2のカテーテル20の中心内腔を介してマッピング電極カテーテル88が配置されている。しかしながら、これらの器具に別々の通路を提供するために2つ以上の内腔を利用できることを理解されたい。マッピング電極が肺静脈内に配置されたら、電気パルスを加えて、放射エネルギーエミッター(上記した)によって形成された外傷が伝導ブロックとして十分に機能するか否かを決定することができる。
【0058】
図12に、放出バルーンが収縮して除去され、マッピング電極が伝導ブロックの形成を評価するために所定の位置に配置された最終ステップが模式的に例示されている。当業者には、このような検査を行う様々な方法が周知である。ある単純な方法では、冠状静脈洞カテーテルによって電圧パルスを加える。マッピングカテーテルの電極を肺静脈の内壁に接触させる。信号が検出されない場合は(または実質的に減衰した信号の場合は)、これにより伝導ブロックを確認することができる。場合によっては、放出及び/またはアンカーバルーンの除去の前にもマッピング電極を使用できることを理解されたい。
【0059】
図13に、アンカーバルーンを用いずに本発明に従って放射エネルギーを用いてアブレーション処置を行う代替の方法が模式的に例示されている。図13に示されているように、同様にガイドワイヤ6を心臓を介して肺静脈4に導入することができる。放出バルーン構造26を有するカテーテル20をガイドワイヤ6上をスライドさせる。このカテーテル20は更に、バルーン26を膨張させるための少なくとも1つの内部流路(不図示)を含むことができる。この内部流路は、膨張用流体をバルーン26内に導入してそのバルーンを膨張させることができるように先端シール21及び基端シール22によってカテーテル22の本体にシールされている。
【0060】
図14に、心組織の放射エネルギーアブレーションの放出経路を画定するために、放出バルーン26をどのように膨張させるかが例示されている。膨張した放出バルーンは、本発明に従って放射エネルギーを放出できるステージを画定する。好適な一実施形態では、放出バルーンを放射線透過流体で満たして、放射エネルギーがエネルギーエミッターから効果的に器具を通過して心組織の標的部位に到達するようにする。
【0061】
上記した放出バルーンは、様々な形状にするために予備成形することができる。上記したように、このために、例えば、予備成形された型にTEFLON(登録商標)フィルムを成形及び溶融して所望の形状にすることができる。ここでも同様に、本発明の放出バルーン及びシースは、例えば、膜の厚みが約5μm〜50μmの薄壁ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成することができる。
【0062】
放出バルーンの1つの目的は、エネルギーエミッターの経路から血液を排除することである。このために、器具は、標的アブレーション部位またはその近傍の1または複数の流体ポート(または流体を放出するための孔を含むシース)の形態の流体放出機構を含むことができる。ここでも同様に、放出された流体は放射エネルギーの透過経路の障害物を除去するアブレーション用流体として機能することができる。
【0063】
図15に、ガイドワイヤが除去され、代わりに放射エネルギーエミッター40が、所望の外傷部位52から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーできる位置に配置された、図13及び図14の装置を用いたアブレーション処置の更なるステップが模式的に例示されている。例示されている実施形態では、放射エネルギーエミッター40は、先端光放出光学素子43に結合された少なくとも1つの光ファイバー42を含む。この光ファイバー42は、先端光放出光学素子43と協働してアブレーション光エネルギーを器具を介して標的部位に照射する。
好適な一実施形態では、ここでも同様に、光学素子は、言及することを以って本明細書の一部とする2002年7月22日発行の自己の米国特許第6,423,055号に詳細に開示されているような環状(リング状)の放射線ビームを放出できるレンズ要素である。別法では、放射エネルギーエミッターは、図19及び図20を用いて詳細を後述する超音波またはマイクロ波のエネルギー源とすることができる。
【0064】
図16に、比較的一般的である複雑な形状の心臓の治療における本発明の複数の位置に配置可能な放射エネルギーアブレーション装置のユニークな利用方法が例示されている。図示されているように、肺静脈口は通常、単純なロート型または規則的な円錐表面を有していない。むしろ、肺静脈口の一側4Bは比較的緩やかな傾斜面を有し、他側4Aは急に曲がっている。従来技術の接触加熱アブレーション装置では、このような形状では、加熱要素(通常は膨張可能な要素の表面上の抵抗加熱バンド)が静脈または静脈口の組織に完全に係合できずに不完全な外傷が形成される。従来の装置では、加熱バンドの位置が固定されているため、加熱バンドが標的部位に完全に接触しないと、弧状すなわち不完全なリング型の外傷が形成され、通常は伝導をブロックするのに不十分である。
【0065】
図16に、本発明のスライド式に配置可能なエネルギーエミッターを用いてこの問題を如何に回避するかが例示されている。エミッター40の3つの潜在的な位置がA、B、及びCとして図示されている。図示されているように、位置A及びCでは、バルーンと標的組織との隙間により最適な外傷を形成することができない。一方、位置Bでは、周囲状の接触が得られるため好ましい。従って、エネルギー源をバルーンに対して自由に配置できるため、医師はリングの大きさを適切に調節して実際の形状に一致させることができる。(図16に3つの位置が示されているが、エミッターは他の様々な位置に配置することができ、所望に応じて位置を連続的または不連続的に変えることができることを理解されたい。)
【0066】
更に、場合によっては肺静脈の形状(または肺静脈口に対する放出バルーンの向き)により、1つの環状外傷では連続的な伝導ブロックを形成できないことがある。本発明は、エネルギーエミッターの位置を調節して2つ以上の部分的な周囲状外傷を形成してこの問題に対処する機構を提供する。図16Aに示されているように、本発明の装置は、それぞれが弧状または部分的なリング状の第1の外傷94及び第2の外傷96を形成することができる。それぞれの外傷が厚み(組織内に照射されるエネルギーの量に大きく依存する)を有するため、図示されているように、2つの外傷が軸方向に合わさって、伝導をブロックする連続的な円形すなわち周囲状の外傷を形成することができる。
【0067】
図17に、本発明に従った放射エネルギーエミッター40の一実施形態が模式的に例示されている。好適な一実施形態では、放射エネルギーは、コヒーレント光またはレーザー光などの電磁放射線であり、エネルギーエミッター40は、標的面に衝当する時に環状の照射パターンを形成する中空の円錐状の放射線を放出する。例えば、図1に示されている放射エネルギーエミッター40は、凹状内面または境界45を備えた光を環状に整形する導波管44に連通した光ファイバー42を含むことができる。導波管44は、環状の光ビームを屈折率分布(GRIN)レンズ46に伝送する。このレンズ46は、そのビームをコリメートし、放出距離に亘ってそのビームを同じ幅に維持する。エネルギーエミッター40の先端窓43から出射するビームは、進むにつれて直径が拡張されるが、エネルギーは細い環状バンド内にほぼ維持される。一般に、光ファイバー42または導波管44の中心軸からの放出角度は、約20度〜45度の範囲である。
【0068】
環状の光ビームの直径は、放出点から、例えば組織部位、間質腔、または内腔などの表面によって吸収される点までの距離に依存する。一般に、放射エネルギーの放出の目的が肺静脈の周りなどの経壁心臓外傷を形成することである場合、環状ビームの直径は、約10nm〜約33nm、好ましくは10nm超、15nm超、20nm超、最も好ましくは23nm以上である。一般に、放出される環状ビームの角度は、約20度〜約45度、好ましくは約17度〜約30度、最も好ましくは約16度〜約25度の範囲である。
【0069】
本発明の経皮アブレーション器具に使用するのに好適なエネルギー源は、約200nm〜2.5μmの範囲のレーザー光を含む。具体的には、吸水ピークまたはその近傍に一致した波長が望ましい場合が多い。このような波長の例として、約805nm〜約1060nm、好ましくは約900nm〜約1000nm、最も好ましくは約915nm〜980nmの範囲の波長を挙げることができる。好適な実施形態では、約915nmまたは約980nmの波長が心内膜処置に用いられる。好適なレーザーの例として、エキシマーレーザー、ガスレーザー、固体レーザー、及びレーザーダイオードを挙げることができる。アリゾナ州タックソン(Tucson)のスペクトラ・フィジックス(Spectra Physics)が製造する好適なAlGaAsダイオードアレイは980nmの波長を生成する。
【0070】
上記したような光導波管は、水晶、石英ガラス、またはアクリルなどのポリマーなどの当分野で周知の材料から形成することができる。アクリルの好適な例として、アクリラート、ポリアクリル酸(PAA)、メタクリレート、及びポリメタクリル酸(PMA)を挙げることができる。ポリアクリル酸エステルの代表的な例として、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリエチルアクリレート、及びポリプロピルアクリレートを挙げることができる。ポリメタクリル酸エステルの代表的な例として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、及びポリプロピルメタクリレートを挙げることができる。好適な一実施形態では、導波管44は、水晶から形成され、光ファイバー42の端部に融合される。
【0071】
導波管は、例えば円柱またはロッドなどの単一体から一部の材料を除去して内側を成形することができる。例えば研削、フライス削り、及び削磨などの当分野で周知の方法を用いて導波管の内壁をテーパ状に形成することができる。ある方法では、例えばチューブなどの中空のポリマーシリンダーを加熱して、基端部がつぶれて互いに融合させて、導波管の先端部に向かって先細になった一体基端部分を形成することができる。別の方法では、円錐面45は、テーパボアを用いて穿孔して固体水晶シリンダーまたはロッドに形成することができる。
【0072】
導波管44は、当分野で周知の様々な方法で光ファイバー42に光学的に結合することができる。このような方法には、接着、またはトーチや炭酸ガスレーザーでの融合が含まれる。図17に示されている実施形態では、導波管44、光ファイバー42、及びオプションの屈折率分布レンズ(GRIN)46が光学的に結合されており、光学装置40の周りのポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマージャケット材料68を熱収縮させて所定の位置に保持されている。
【0073】
図18に、本発明に従った放射エネルギーエミッター40Aの別の実施形態が模式的に例示されている。この実施形態では、光ファイバー42が光散乱粒子47を有する光ディフューザー41に結合され、側方にアブレーション放射線の円柱放出パターンを生成する。この実施形態は、例えば、肺静脈内に外傷を形成するのに有用であろう。ここで図1を再び参照されたい。図18に示されているデザインの放射エネルギーエミッターを放出バルーンの前方に前進させ、その部位に外傷を形成するのが望ましい場合は、肺静脈口を拡散照射できることを理解されたい。光拡散要素の構造の更なる詳細については、言及することを以って本明細書の一部とする1999年6月1日に発行されたシノフスキー(Sinofsky)による米国特許第5,908,415号を参照されたい。
【0074】
図19に、放射エネルギーエミッター40Cの代替の実施形態が例示されている。この実施形態では、超音波トランスデューサ60は、超音波エネルギーを、同様に標的面に衝当する時に環状の照射パターンを形成する円錐状のエネルギーにする成形トランスデューサ要素またはレンズ62を含む。エミッター40Cは、導線を封入するシース66または類似の細長い本体によって支持されているため、医師がエミッターを器具の内腔を介して所望の位置に前進させて超音波を放出させることができる。
【0075】
図20に、マイクロ波エネルギーが同様に環状の照射ビームに集束される放射エネルギーエミッター40Dの別の実施形態が例示されている。図20に示されているように、放射エネルギーエミッターは、同軸伝送ライン74(または類似の電気信号線)及び螺旋コイルアンテナ73を含むことができる。放射線リフレクター72A及び72Bが協働して放射線を遮蔽し円錐状に成形する。別の実施形態では、マイクロ波アンテナ73の代わりに、ラジオアイソトープまたは他の電離放射線供給源を好適な放射線保護要素72A及び72Bと共に用いて電離放射線のビームを放出することができる。
【0076】
図21及び図22に、放射線エミッター組立体に含められる本発明に従った接触センサの一実施形態が例示されている。この組立体は、放射エネルギーに対して透明な外側本体70に受容されている。この透明な本体70により、この組立体がカテーテル本体14の内腔内を容易にスライドすることができる。この組立体は更に、検出ファイバーとしても機能し得るエネルギーエミッター40(例えば、図17‐図20を用いて説明したようなエネルギーエミッターなど)を含む。例示されている実施形態では、4つの照明ファイバー76A‐76Bが示されている。本発明のアブレーション装置が心臓内に適切に配置されている場合、このようなファイバーを介して伝送された光が標的部位に衝当して反射され、エネルギーエミッター(または他の検出要素)によって検出される。4つの照明ファイバーを使用することにより、4つの四分円における接触を同時または連続的に検出することができる。(接触検出モジュールにおける要素としてエネルギーエミッターを用いる或いは用いずに、様々な照明及び/または検出要素を用いて本発明を実施できることを理解できよう。更に、超音波エミッター及び検出器を光反射機構の代わりに同様の方法で用いて接触を検出することができる。何れにしても、センサの出力信号を電気的に処理してディスプレイに表示することができる。)
【0077】
図21及び図22のセンサにより、本エネルギーエミッターが標的組織に対して適切に配置される(及び放出バルーンと組織との十分な接触が得られる)ように発明の経皮アブレーション器具を治療部位に配置することができる。これは、血液、体液、及び組織によって分散または吸収される光の反射測定値に基づいている。例えば、検出ファイバー76から組織に向かって放出される白色光は赤色光及び緑色光を含む様々な成分を含む。赤色光は、約600nm〜約700nmの範囲の波長を有し、緑色光は、約500nm〜約600nmの範囲の波長を有する。放出された光が血液または体液に接触すると、前部ではないにしても殆どの緑色光が吸収され、ごく僅かな緑色光または青色光が反射光収集器を含む光学系に向かって反射される。膨張したバルーン部材によって治療部位から血液及び体液が除去されるように装置が配置され、生体組織が緑色光をより反射する傾向にあるため、緑色/青色光の反射が増大される。従って、反射された緑色/青色光の量を用いて、装置と組織との間に血液が存在するか否かを決定することができる。
【0078】
例えば、器具が心室内に配置されていると、放出バルーンが膨張して心組織の表面の近傍に配置されるまで、緑色/青色反射信号が略0に維持されるはずである。膨張したバルーン部材が心組織に接触すると(または器具によって放出されたアブレーション用流体とそのバルーンが十分に近接して透明な透過経路を形成されると)、緑色光が光学系及び収集器に向かって反射される。一実施形態では、緑色光だけが組織表面に向かって放出される。別の実施形態では、赤色光及び緑色光の両方が組織表面に向かって放出される。赤色光及び緑色光は同時または別々に放出することができる。赤色光及び緑色光の両方を使用することにより、反射信号が確実に戻るようにするために、どの程度の量の光を組織表面に向かってバルーン内に放射すべきかを使用者が知らなくても良いという利点が得られる。2つの異なった波長の比率を測定することができる。例えば、器具が緑色光及び赤色光の両方の反射を測定することができる。光の強度が十分な場合、反射された赤色光が位置合わせの間ずっと検出される。器具すなわち膨張したバルーンが組織に接触する前は、緑色光に対する赤色光の比率が高い。透過経路が確立されると緑色光を吸収する血液が存在しなくなるため、緑色光が組織から反射されてこの比率が低下する。
【0079】
反射された光は、光ファイバーなどの収集器を通って分光高度計に伝送される。分光光度計(フロリダ州のダナディン(Dunedin)に所在のオーシャン・オプティックス・スペクトロメータ(Ocean Optics Spectrometer)のモデル番号:S‐200)が、反射光の各反射パルスの成分を生成する。市販のソフトウエア(テキサス州オースティン(Austin)に所在のラブ・ビュー・ソフトウエア(Lab View Software))により、特定の色の値を分離して比率分析を行うことができる。
【0080】
何れの場合も、カテーテルの内腔の周りに配置された複数の光ファイバーの照明ファイバーを使用することにより、カテーテルとバルーンを調節して光学系と治療部位との間の血液を最小にする平面を操作者が決定することができる。
【0081】
好適な光ファイバー/収集器の例が、言及することを以って本明細書の一部とする2000年6月6日発行のエドワード・シノフスキー(Edward Sinofsky)による米国特許第6,071,302号に開示されている。
【0082】
操作者が器具の配置に満足したら、放射エネルギーを標的組織部位に照射することができる。放射エネルギーが、例えばレーザー放射線などの電磁放射線の場合、別の光ファイバーを介して標的組織部位に照射することができ、別法では、白色光、緑色光、または赤色光を伝送するのに用いられるのと同じ光ファイバーを用いて照射することができる。レーザー光を、配置用の反射光を用いて処置の間、透過経路に障害物がないことを確認して、同期方式で間欠式にパルスで放射することができる。
【0083】
本発明の接触検出の態様は放射エネルギーアブレーション装置に限定されるものではなく、接触加熱または接触冷却アブレーション器具にも有用であることを理解されたい。例えば、図23では、膨張可能な要素56及び接触加熱要素58を有する接触加熱装置54が肺静脈内に配置されている。接触加熱要素は、膨張可能な要素の表面にプリントされた導電材料からなるラインまたはグリッドとすることができる。一実施形態では、膨張可能な要素は、接触加熱要素が配置される透明バンド59を除いて、一定の波長(例えば、可視光)が実質的に透過できないようにすることができる。反射信号の収集が妨げられないように加熱ワイヤも十分に透過性とすべきである(またはバンドのごく僅かな部分のみを覆うようにする)。装置54は更に、照明ファイバー及び複数の収集ファイバーを有する装置の中心内腔内に配置されるセンサを含むことができる。
【0084】
接触センサは、上記した方式と実質的に同じ方式で作動することができる。例えば、図23のアブレーション装置54が肺静脈内に配置され、内部から光で証明すると、膨張可能な要素56が膨張して心組織の表面に近接して配置されるまで、緑色/青色反射信号は殆ど0に維持されるはずである。膨張した膨張可能な要素56のアブレーションバンド58を有する部分が心組織に接触すると、緑色光が光学計及び収集器に反射される。一実施形態では、緑色光のみが組織表面に向かって放出される。別の実施形態では、赤色光及び緑色光の両方が組織表面に向かって放出される。赤色光及び緑色光は同時または別々に放出することができる。ここでも同様に、赤色光及び緑色光の両方を使用することにより、反射信号が確実に戻るようにするために、どの程度の量の光を組織表面に向かってバルーン内に放射すべきかを使用者が知らなくても良いという利点が得られる。2つの異なった波長の比率を測定することができる。例えば、器具が緑色光及び赤色光の両方の反射を測定することができる。光の強度が十分な場合、反射された赤色光が位置合わせの間ずっと検出される。器具すなわち接触加熱アブレーションバンドが組織に接触する前は、緑色光に対する赤色光の比率が高い。接触が確立されると緑色光を吸収する血液が存在しなくなるため、緑色光が組織から反射されてこの比率が低下する。
【0085】
図23Aでは、接触検出カテーテルの別の実施形態が、低温流体源115から低温流体を循環させるための内部導管114及びカテーテル本体112を有する低温アブレーションカテーテル110の形態で示されている。カテーテル本体は、低温を組織にさらすことができる導電領域116を含む。本発明のセンサ76を用いて、図示されているように導電領域に近接して配置して組織との接触を確認することができる。
【0086】
図23Bに、超音波接触加熱バルーンカテーテル120に用いられた接触センサの別の適用例が示されている。この超音波接触加熱バルーンカテーテル120は、肺静脈に接触するバルーン122(図23を用いて説明したバルーンに類似)及び組織を加熱するためのバンド123を有する。超音波アブレーション器具120は更に、アクチュエータ125によって作動されてアブレーションバンド123を加熱するトランスデューサ124を含む。ここでも、本発明のセンサ76を用いて、図示されているようにアブレーションバンド123に近接して配置して組織との接触を確認することができる。
【0087】
図24に、本発明の器具内の放射エネルギーエミッターの移動を制御するための移動機構80が示されている。例示的なポジショナー80が、器具の基端部分のハンドル84内に設けられており、放射エネルギーエミッター40の前進及び引き戻しを制御するためにこのエミッターの細長い本体82がサムホイール86に係合している。例示したサムホイール86の代わりに様々な代替の手動または自動の機構を用いて、標的組織部分に対して所望の位置にエミッターを配置できることを理解されたい。
【0088】
加えて、図24に示されているように、放射エネルギーエミッター40を支持する細長い本体82(例えば、図21及び図22に示されている光ファイバー組立体または図19及び図20を用いて示された導線用のシース)が、医師がエミッターを放出バルーン内に配置し易いようにその表面に位置表示92を備えることができる。ハンドルは更に、窓90を有することができ、これにより使用者が目盛り(例えば、等級マーカー)を見てエミッターが器具内をどの程度前進したかを確認することができる。
【0089】
心臓アブレーション処置に関連して既に説明したが、本発明の器具を、放射エネルギーでの治療が望ましい腹腔鏡下手術、腔内手術、内臓周囲手術、内視鏡下手術、胸腔鏡下手術、関節内手術、及び複合手術を含む様々な他の処置に用いることができることを理解されたい。
【0090】
ここで用いる語「放射エネルギー」は、主に伝導または対流による熱伝達に依存しないエネルギー源を含むことを意図する。このようなエネルギー源には、限定するものではないが、音響源及び電磁放射線源、より具体的には、マイクロ波、X線、γ線、及び放射光の供給源を挙げることができる。ここで用いる語「光」は、限定するものではないが、可視光、赤外線、及び紫外線を含む電磁放射線を含むものとする。
【0091】
外傷の文脈における語「連続的」は、外傷を挟んだ両側の組織部分間の伝導を実質的にブロックする外傷を意味する。ここで用いる語「周囲状」及び/または「曲線状」及びこれらの派生語は、組織のある部分を部分的または完全に取り囲む或いは組織のある部分を別の部分から分離する外側の境界即ち周囲を形成する通路またはラインを指すものとする。更に、「周囲状の経路」または「周囲状の要素」は、1または複数の様々な形状を含むことができ、例えば、円形、環状、矩形、卵型、楕円形、またはドーナッツ型とすることができる。
【0092】
生体構造の文脈で用いられる語「内腔」及びその派生語は、少なくとも部分的に組織壁によって画定された体内のあらゆる内腔または腔を意味するものとする。例えば、心室、子宮、胃腸管の一部、尿管、及び動脈または静脈は全て、意図する意味に含まれる体腔の代表的な例である。
【0093】
ここで用いる語「カテーテル」は、体内の組織または組織間腔に挿入することができ、かつ溶液や流体を選択的に注入するための導管を提供するあらゆる中空の器具を含み、限定するものではないが、例えば、様々な大きさ及び形状の気管支鏡、内視鏡、膀胱鏡、生殖器鏡(culpascopes)、結腸鏡(colonscopes)、トロカール、及び腹腔鏡などの静脈用導管及び動脈用導管が含まれる。本発明のカテーテルは、例えば、Silastic(登録商標)、ポリエチレン、Teflon(登録商標)、及びポリウレタンなどの上記したような当業者に周知の生体適合性材料から形成することができる。カテーテルの文脈における語「内腔」及びその派生語は、他の器具や流体または治療薬の送達、及び器具から離れた部位の状態の検出またはサンプリングに用いられるカテーテル器具内のあらゆる通路(及び/または通路として機能し得るこのような器具に連結されたトラック)を含むものとする。
【0094】
ここで用いる語「バルーン」は、体腔の条件によってバルーン、円形、涙型などを含む様々な構造に膨張できる変形可能な中空形状を含むことを理解されたい。このようなバルーン要素は、弾力性を有することができ、拡張した状態に単純に展開または開くことができる。
【0095】
ここで用いる語「透明な」は、当分野で認知されており、例えば第1のバルーン部材をエネルギーが透過可能にする材料が含まれる。好適な透明な材料は、エネルギーエミッターから組織または細胞部位に送られるエネルギーを有意に妨げない(例えば、透過したエネルギーの損失が20%)。ある好適な透明な材料には、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びエチレン‐テトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素重合体が含まれる。
【0096】
当業者であれば、上記した実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、具体的には、図示及び説明したものに限定されるものではない。ここで言及した全ての刊行物及び参照文献は言及することを以ってその内容を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に従った同軸カテーテルアブレーション器具の模式的な断面図である。
【図2】ガイドワイヤが心臓内に導入されて肺静脈内を通る、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の最初のステップの模式図である。
【図3】固定バルーン構造を有する第1のカテーテルがガイドワイヤ上をスライドする、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図4】アンカーバルーン構造が膨張した、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図5】放出バルーン要素を有する第2のカテーテルが第1のカテーテル本体上をスライドする、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図6】第2のカテーテルの放出バルーン要素が膨張して心組織の放射エネルギーアブレーションのための透過経路が画定された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図7】ガイドワイヤが除去され、外傷部位から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射することができる位置にある放射エネルギーエミッターが代わりに配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図8】所定の位置に外傷を形成するべく放射エネルギーエミッターが配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置のステップの模式図である。
【図9】放射エネルギーエミッターが別の画定された位置に外傷を形成するべく配置された、本発明に従ったアブレーション外科処置の代替のステップの模式図である。
【図10】放射エネルギーエミッターが除去され、第1のカテーテル本体を除去できるように第1のカテーテルのアンカーバルーン要素が収縮された、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図11】第1のカテーテルがマッピング電極に置き換えられた、本発明に従ったアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図12】放出バルーンが収縮されて除去され、伝導ブロックの形成を評価するためにマッピング電極が所定の位置に残された、本発明に従ったアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図13】初めにアンカーバルーンカテーテルを導入せずに、放出バルーン構造を有するカテーテルがガイドワイヤ上をスライドした、本発明に従った放射エネルギーを用いたアブレーション外科処置の代替の方法の模式図である。
【図14】放出バルーン要素が膨張されて心組織の放射エネルギーアブレーションのための透過経路が画定された、図13に例示された実施形態のアブレーション外科処置の別のステップの模式図である。
【図15】ガイドワイヤが除去され、外傷部位から離れているが心臓の標的部位に放射エネルギーを照射することができる位置にある放射エネルギーエミッターが代わりに配置された、図13に例示された実施形態のアブレーション外科処置の更なるステップの模式図である。
【図16】非対称の静脈口において、接触を検出するため及び位置を選択するためにどのように放射エネルギーエミッターの配置を調節できるかを示す本発明に従ったシステムの模式図である。
【図16A】2つの部分的に環状の外傷によりどのようにして連続的な静脈を取り囲む外傷を形成できるかを示す模式図である。
【図17】本発明に従った放射光エネルギーエミッターの一実施形態の模式図である。
【図18】本発明に従った放射光エネルギーエミッターの別の実施形態の模式図である。
【図19】超音波エネルギーを用いる本発明に従った放射エネルギーエミッターの代替の実施形態の模式図である。
【図20】マイクロ波または電離放射線を用いる本発明に従った放射光エネルギーエミッターの代替の実施形態の模式図である。
【図21】本発明に従った接触センサの一実施形態の模式的な断面図である。
【図22】図21に示されている接触センサ要素の模式的な端面図である。
【図23】本発明の接触検出装置を用いる接触加熱アブレーション装置の模式図である。
【図23A】本発明の接触検出装置を用いる低音アブレーション装置の模式図である。
【図23B】本発明の接触検出装置を用いる超音波加熱アブレーション装置の模式図である。
【図24】標的組織部位に対して選択された位置に放射エネルギーエミッターを配置するための機構の模式図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体、放出バルーン、及びエネルギーエミッターを含む心臓アブレーション器具であって、
前記カテーテル本体が、内部に少なくとも1つの内腔を含み、ガイドワイヤ上をスライドして心臓内の所望の位置に配置できるように適合されており、
前記放出バルーンが、前記心臓内で膨張して、標的組織部位に送られるアブレーションエネルギーの透過経路を提供するように適合されており、
前記エネルギーエミッターが、前記アブレーションエネルギーを前記標的組織部位に向かって照射するために前記カテーテル本体に結合されていることを特徴とする心臓アブレーション器具。
【請求項2】
前記エネルギーエミッターが、前記バルーンによって形成される前記透過経路を介して前記アブレーションエネルギーを前記標的組織部位に照射するために、前記カテーテル本体の前記内腔内または前記カテーテル本体の別の内腔内にスライド可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記器具が更に、前記エネルギーエミッターを前記カテーテル本体内の選択された位置に配置するための移動機構を含むことを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記エネルギーエミッターが放射エネルギーエミッターであることを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項5】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状の放射アブレーションエネルギーを放出することを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項6】
前記放射エネルギーエミッターが更に、光源からの放射エネルギーを受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、この光ファイバーが、光を放出するためにその先端部に光放射先端を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項7】
更に前記光放出先端が、前記放射エネルギーエミッターが前記カテーテル本体内のその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状のアブレーションエネルギーを放出できるように、環状の光ビームを放出するためのビーム整形光導波路を含むことを特徴とする請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記光放出先端が更に光拡散素子を含むことを特徴とする請求項6に記載の器具。
【請求項9】
前記エネルギーエミッターが超音波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記超音波発生器が、約5MHz〜約20MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生することを特徴とする請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記超音波発生器が、約7MHz〜約10MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生することを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記エネルギーエミッターがマイクロ波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体の先端部に配置された接触加熱要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記器具が更に膨張可能な要素を含み、前記エネルギーエミッターがその膨張可能な要素の少なくとも一部に結合されていることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記エネルギーエミッターが、電流源に結合するように適合された少なくとも1つの電極を含むことを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項16】
前記電極が無線周波電流源に結合されていることを特徴とする請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記エネルギーエミッターが低温アブレーション要素であることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項18】
前記エネルギーエミッターが、心室から肺静脈が延びた位置に配置できるように適合されていることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項19】
前記器具が更に、前記放出バルーンと前記標的組織との接触を検出するための接触センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項20】
前記接触センサが、反射光を受け取るために前記器具内に少なくとも1つの光学センサを含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項21】
前記器具が更に、その器具を取り囲む領域を照明して前記光学センサで収集できる反射光を誘発させるための照明源を含むことを特徴とする請求項20に記載の器具。
【請求項22】
前記器具が更に、反射光の少なくとも2つの波長を区別できる検出器を含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項23】
前記光学センサが、異なった方向を照明するために複数の光ファイバーを含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項24】
前記器具が更に、約800nm〜約1000nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を生成するための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項25】
前記器具が更に、約915nm〜約980nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を生成するための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項26】
前記接触センサが、反射された放射エネルギーを検出するために様々な位置に配置することができ、かつその反射されたエネルギーに基づいて外傷の形成に適した位置を選択できるように、前記カテーテル本体の内腔内を移動可能な接触検出要素を含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項27】
更に前記接触検出要素が、反射された光エネルギーを検出するための光検出器を含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【請求項28】
更に前記接触検出要素が、反射された超音波エネルギーを検出するための超音波検出器を含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【請求項29】
前記器具が更に、内部通路を備えた第2のカテーテル本体を含み、この第2のカテーテル本体が、前記第1のカテーテル本体上を前進して心臓内の所定の位置に移動できるように、前記内部通路を介して前記第1のカテーテル本体に結合するように構成されており、
前記第2のカテーテル本体が更に、前記心臓内の周囲部分から血液を排除するために配置することができる膨張可能な放出バルーンを含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓アブレーション外科器具であって、
心臓内に配置するように適合されたカテーテル本体と、
前記カテーテル本体に結合され、前記心臓内で膨張して標的組織部位にアブレーションエネルギーを供給するための透過経路を形成するように適合された放出バルーンと、
アブレーションエネルギーを前記バルーンを介して1または複数の標的組織部位に照射するために前記バルーン内の複数の位置に配置可能なエネルギーエミッターと、
前記標的組織に対して前記エネルギーエミッターが正確に配置されたかを確認するために反射されたエネルギーを測定する前記バルーン内に配置されたセンサとを含むことを特徴とする心臓アブレーション器具。
【請求項2】
前記器具が更に、前記バルーン内の複数の位置に前記エネルギーエミッターを配置するための移動機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の外科器具。
【請求項3】
前記エネルギーエミッターが放射エネルギーエミッターであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状の放射アブレーションエネルギーを放出することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
更に前記放射エネルギーエミッターが、光源から放射エネルギーを受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、この光ファイバーがその先端部に、光を放出するための光放出先端を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記光放出先端が更に、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状のアブレーションエネルギーを前記放射エネルギーエミッターが放出できるように環状の光ビームを放出するためのビーム整形光導波路を含むことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項7】
更に前記光放出先端が光拡散要素を含むことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項8】
前記エネルギーエミッターが超音波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記超音波発生器が、約5MHz〜約20MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生させることを特徴とする請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記超音波発生器が、約7MHz〜約10MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生させることを特徴とする請求項8に記載の器具。
【請求項11】
前記エネルギーエミッターがマイクロ波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体の先端部に配置された接触加熱要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記器具が更に膨張可能な要素を含み、前記エネルギーエミッターが前記膨張可能な要素の少なくとも一部分に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記エネルギーエミッターが、電流源に結合するように適合された少なくとも1つの電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記電極が、無線周波電流源に結合されていることを特徴とする請求項14に記載の器具。
【請求項16】
前記エネルギーエミッターが低音アブレーション要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記エネルギーエミッターが、心房から肺静脈が延びた位置に配置されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項18】
更に前記センサが、反射された光を受け取るために前記器具内に少なくとも1つの光学センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項19】
前記器具が更に、その器具を取り囲む領域を照明して前記光学センサで収集できる反射される光を誘発させるための照明源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項20】
前記器具が更に、反射された光の少なくとも2つの波長を識別できる検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項21】
前記センサが、異なった方向を照明するために複数の光ファイバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項22】
前記器具が更に、約800nm〜約1000nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を発生させるための光源を含むことを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項23】
前記器具が更に、約915nm〜約980nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を発生させるための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項24】
前記センサが、反射された放射エネルギーを検出するために様々な位置に配置することができ、かつその反射されたエネルギーに基づいて外傷の形成に適した位置を選択できるように、前記カテーテル本体の内腔内を移動可能な接触検出要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項25】
更に前記センサが、反射された光エネルギーを検出するための光検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項26】
更に前記センサが、反射された超音波エネルギーを検出するための超音波検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項27】
前記器具が更に、内部通路を備えた第2のカテーテル本体を含み、この第2のカテーテル本体が、前記第1のカテーテル本体上を前進して心臓内の所定の位置に移動できるように、前記内部通路を介して前記第1のカテーテル本体に結合するように構成されており、
前記第2のカテーテル本体が更に、前記心臓内の周囲部分から血液を排除するために配置することができる膨張可能な放出バルーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項28】
前記カテーテル本体がガイドワイヤ上に配置されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項29】
前記カテーテルを前記ガイドワイヤ上に配置できるように、前記カテーテル本体の内部に少なくとも1つの内腔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項30】
前記センサが、放射エネルギー組立体内に設けられた接触センサであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項1】
カテーテル本体、放出バルーン、及びエネルギーエミッターを含む心臓アブレーション器具であって、
前記カテーテル本体が、内部に少なくとも1つの内腔を含み、ガイドワイヤ上をスライドして心臓内の所望の位置に配置できるように適合されており、
前記放出バルーンが、前記心臓内で膨張して、標的組織部位に送られるアブレーションエネルギーの透過経路を提供するように適合されており、
前記エネルギーエミッターが、前記アブレーションエネルギーを前記標的組織部位に向かって照射するために前記カテーテル本体に結合されていることを特徴とする心臓アブレーション器具。
【請求項2】
前記エネルギーエミッターが、前記バルーンによって形成される前記透過経路を介して前記アブレーションエネルギーを前記標的組織部位に照射するために、前記カテーテル本体の前記内腔内または前記カテーテル本体の別の内腔内にスライド可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記器具が更に、前記エネルギーエミッターを前記カテーテル本体内の選択された位置に配置するための移動機構を含むことを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記エネルギーエミッターが放射エネルギーエミッターであることを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項5】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状の放射アブレーションエネルギーを放出することを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項6】
前記放射エネルギーエミッターが更に、光源からの放射エネルギーを受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、この光ファイバーが、光を放出するためにその先端部に光放射先端を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項7】
更に前記光放出先端が、前記放射エネルギーエミッターが前記カテーテル本体内のその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状のアブレーションエネルギーを放出できるように、環状の光ビームを放出するためのビーム整形光導波路を含むことを特徴とする請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記光放出先端が更に光拡散素子を含むことを特徴とする請求項6に記載の器具。
【請求項9】
前記エネルギーエミッターが超音波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記超音波発生器が、約5MHz〜約20MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生することを特徴とする請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記超音波発生器が、約7MHz〜約10MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生することを特徴とする請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記エネルギーエミッターがマイクロ波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体の先端部に配置された接触加熱要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記器具が更に膨張可能な要素を含み、前記エネルギーエミッターがその膨張可能な要素の少なくとも一部に結合されていることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記エネルギーエミッターが、電流源に結合するように適合された少なくとも1つの電極を含むことを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項16】
前記電極が無線周波電流源に結合されていることを特徴とする請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記エネルギーエミッターが低温アブレーション要素であることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項18】
前記エネルギーエミッターが、心室から肺静脈が延びた位置に配置できるように適合されていることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項19】
前記器具が更に、前記放出バルーンと前記標的組織との接触を検出するための接触センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項20】
前記接触センサが、反射光を受け取るために前記器具内に少なくとも1つの光学センサを含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項21】
前記器具が更に、その器具を取り囲む領域を照明して前記光学センサで収集できる反射光を誘発させるための照明源を含むことを特徴とする請求項20に記載の器具。
【請求項22】
前記器具が更に、反射光の少なくとも2つの波長を区別できる検出器を含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項23】
前記光学センサが、異なった方向を照明するために複数の光ファイバーを含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項24】
前記器具が更に、約800nm〜約1000nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を生成するための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項25】
前記器具が更に、約915nm〜約980nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を生成するための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項26】
前記接触センサが、反射された放射エネルギーを検出するために様々な位置に配置することができ、かつその反射されたエネルギーに基づいて外傷の形成に適した位置を選択できるように、前記カテーテル本体の内腔内を移動可能な接触検出要素を含むことを特徴とする請求項19に記載の器具。
【請求項27】
更に前記接触検出要素が、反射された光エネルギーを検出するための光検出器を含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【請求項28】
更に前記接触検出要素が、反射された超音波エネルギーを検出するための超音波検出器を含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【請求項29】
前記器具が更に、内部通路を備えた第2のカテーテル本体を含み、この第2のカテーテル本体が、前記第1のカテーテル本体上を前進して心臓内の所定の位置に移動できるように、前記内部通路を介して前記第1のカテーテル本体に結合するように構成されており、
前記第2のカテーテル本体が更に、前記心臓内の周囲部分から血液を排除するために配置することができる膨張可能な放出バルーンを含むことを特徴とする請求項26に記載の器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓アブレーション外科器具であって、
心臓内に配置するように適合されたカテーテル本体と、
前記カテーテル本体に結合され、前記心臓内で膨張して標的組織部位にアブレーションエネルギーを供給するための透過経路を形成するように適合された放出バルーンと、
アブレーションエネルギーを前記バルーンを介して1または複数の標的組織部位に照射するために前記バルーン内の複数の位置に配置可能なエネルギーエミッターと、
前記標的組織に対して前記エネルギーエミッターが正確に配置されたかを確認するために反射されたエネルギーを測定する前記バルーン内に配置されたセンサとを含むことを特徴とする心臓アブレーション器具。
【請求項2】
前記器具が更に、前記バルーン内の複数の位置に前記エネルギーエミッターを配置するための移動機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の外科器具。
【請求項3】
前記エネルギーエミッターが放射エネルギーエミッターであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状の放射アブレーションエネルギーを放出することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
更に前記放射エネルギーエミッターが、光源から放射エネルギーを受け取るように適合された光伝送光ファイバーを含み、この光ファイバーがその先端部に、光を放出するための光放出先端を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記光放出先端が更に、前記カテーテル本体内におけるその軸方向の位置に基づいて様々な直径のリング状のアブレーションエネルギーを前記放射エネルギーエミッターが放出できるように環状の光ビームを放出するためのビーム整形光導波路を含むことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項7】
更に前記光放出先端が光拡散要素を含むことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項8】
前記エネルギーエミッターが超音波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記超音波発生器が、約5MHz〜約20MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生させることを特徴とする請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記超音波発生器が、約7MHz〜約10MHzの範囲の少なくとも1つの波長の超音波エネルギーを発生させることを特徴とする請求項8に記載の器具。
【請求項11】
前記エネルギーエミッターがマイクロ波発生器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記エネルギーエミッターが、前記カテーテル本体の先端部に配置された接触加熱要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記器具が更に膨張可能な要素を含み、前記エネルギーエミッターが前記膨張可能な要素の少なくとも一部分に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記エネルギーエミッターが、電流源に結合するように適合された少なくとも1つの電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記電極が、無線周波電流源に結合されていることを特徴とする請求項14に記載の器具。
【請求項16】
前記エネルギーエミッターが低音アブレーション要素であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記エネルギーエミッターが、心房から肺静脈が延びた位置に配置されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項18】
更に前記センサが、反射された光を受け取るために前記器具内に少なくとも1つの光学センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項19】
前記器具が更に、その器具を取り囲む領域を照明して前記光学センサで収集できる反射される光を誘発させるための照明源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項20】
前記器具が更に、反射された光の少なくとも2つの波長を識別できる検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項21】
前記センサが、異なった方向を照明するために複数の光ファイバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項22】
前記器具が更に、約800nm〜約1000nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を発生させるための光源を含むことを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項23】
前記器具が更に、約915nm〜約980nmの範囲の所望の波長の光アブレーション放射線を発生させるための光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項24】
前記センサが、反射された放射エネルギーを検出するために様々な位置に配置することができ、かつその反射されたエネルギーに基づいて外傷の形成に適した位置を選択できるように、前記カテーテル本体の内腔内を移動可能な接触検出要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項25】
更に前記センサが、反射された光エネルギーを検出するための光検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項26】
更に前記センサが、反射された超音波エネルギーを検出するための超音波検出器を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項27】
前記器具が更に、内部通路を備えた第2のカテーテル本体を含み、この第2のカテーテル本体が、前記第1のカテーテル本体上を前進して心臓内の所定の位置に移動できるように、前記内部通路を介して前記第1のカテーテル本体に結合するように構成されており、
前記第2のカテーテル本体が更に、前記心臓内の周囲部分から血液を排除するために配置することができる膨張可能な放出バルーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項28】
前記カテーテル本体がガイドワイヤ上に配置されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項29】
前記カテーテルを前記ガイドワイヤ上に配置できるように、前記カテーテル本体の内部に少なくとも1つの内腔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項30】
前記センサが、放射エネルギー組立体内に設けられた接触センサであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【公表番号】特表2006−516465(P2006−516465A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503305(P2006−503305)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/003141
【国際公開番号】WO2004/069072
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(300059980)カーディオフォーカス・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CardioFocus,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/003141
【国際公開番号】WO2004/069072
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(300059980)カーディオフォーカス・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CardioFocus,Inc.
【Fターム(参考)】
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