放射性医薬品生成システム
【課題】 本発明は、放射性医薬品を生成する際に使用される放射性医薬品生成システム、特に、医薬品生成プロセスに利用可能な情報量の向上に関する。
【解決手段】 本発明の第1の態様に係る放射性医薬品生成システムは、放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントとを備える。プロセスの実行中にシステム要素の予想動作状態が監視されるので、リアルタイム監視が可能である。そのため、障害発見及び問題解決が現行のシステムよりも容易である。
【解決手段】 本発明の第1の態様に係る放射性医薬品生成システムは、放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントとを備える。プロセスの実行中にシステム要素の予想動作状態が監視されるので、リアルタイム監視が可能である。そのため、障害発見及び問題解決が現行のシステムよりも容易である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射性医薬品生成システムに関し、特に限定されないが詳細には放射性医薬品生成システムの制御面に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学は、体内での放射性同位元素(ラジオアイソトープ)の使用を含む。ラジオアイソトープは特定の器官、骨又は組織に引き寄せられ、このラジオアイソトープによって生み出される放出を使用して特定のタイプの疾病についての情報を得る。核医学で一般的に使用されるラジオアイソトープの例には炭素11、酸素15、フッ素18、臭素75などが含まれる。
【0003】
陽電子断層撮影法(PET)は、既知の生物学的特性を有する分子に結合したラジオアイソトープの崩壊を画像化することによって器官の生理機能の画像を得る核医学診断技法の一例である。適当なラジオアイソトープを、検査中の器官にラジオアイソトープを送達することを可能にする担体(トレーサとも呼ばれる)に合成する。このような担体は一般に放射性医薬品と呼ばれる。
【0004】
一般的に使用されている1つのラジオアイソトープは、天然窒素の重陽子衝撃による14N(d,n)15O核反応によって生み出される酸素15(15O)であり、このプロセスは、サイクロトロンと一般に呼ばれている装置によって実行される。本発明は、ラジオアイソトープが生成される方法に関するものではなく、サイクロトロンについてこれ以上説明することはしない。
【0005】
酸素15ラジオアイソトープに関連した1つの放射性医薬品が15Oで標識された水である。15O標識水は一般に、酸素15と水素を化学量論的比率で混合し、この混合物を150℃の炉の中のパラジウム触媒に通すことによって、放射性医薬品生成装置の中で酸素15からオンラインで作り出される。その結果生じた放射性水蒸気は半透膜(酢酸セルロース)を横切って拡散し、15O標識水を含む溶液を生成するために医用注入ポンプを用いてシステムの中で連続的にポンピングされる無菌食塩水(0.9%NaCl)の中に入る。
【0006】
15O標識水の生成に適した1つの放射性医薬品生成装置が、H Touchon−Danguy他によって著され、the Journal of Label.Cmpds.Radiopharm.、37巻、662〜664ページ、1995年に発表された「Technical performance and operating procedure of a bedside[15O]water infuser」というタイトルの論文に記載されている。
【0007】
この放射性医薬品生成装置は幾つかかの構成要素を含み、そのうちの幾つかかは他の構成要素から独立しており、他の幾つかかは他の構成要素と相互に関係づけられている。このことは、放射性医薬品生成装置の動作に問題があるときに、放射性医薬品生成装置のどこに問題があるのかを把握することが極めて難しいことを意味する。一般に、技術者は全ての構成要素を各々検査しなければならず、このことは甚だしい時間の浪費であり、PET設備全体の運用に重大な影響を及ぼす。そのうえ放射能漏れの危険がある場合にはPET設備全体が停止される。問題解決に関連したダウン時間には出費が伴い、不都合でもあるので、設備全体を停止させる必要があるかどうかを識別できることはますます重要になる。
【0008】
流体生成プロセスの進捗に注目する行為は米国特許第4625118号から知られており、この特許では、光電障壁を使用して注射器からの流体の流出を検出する。この米国特許第4625118号のシステムでは、流体の存在が検出されると、流体送達経路を調整するためにある種の弁の構成が変更される。流体送達経路の変更をトリガーする(この場合は注射器の中の流体がフラッシングステーションを満たすことを可能にする)手段を提供しているが、これは、生成装置の動作状態に関する詳細な情報を一切提供せず、したがってその中の構成装置の問題の分離を直ちには容易にしない。
【0009】
したがって、放射性医薬品生成装置に関連した障害の識別を向上させる手段を提供することが望ましいであろう。
【0010】
第2の問題は、放射性医薬品生成装置の内部でしか放射能が測定されないことに起因する。ロジスティクス上の制約(レイアウト、遮蔽、安全要件など)のために、放射性医薬品生成装置と検査中の被験者との間の距離がかなり大きいことがある。したがって放射性医薬品が被験者に送達されるまでに、実際の放射能レベルが、放射性医薬品生成装置内で測定されたレベルから大きく異なってしまう可能性がある。半減期が2分である酸素15に基づく放射性医薬品にとって、この距離したがって放射能の崩壊はかなり大きい。
【特許文献1】米国特許第4625118号
【非特許文献1】H Touchon−Danguy他、「Technical performance and operating procedure of a bedside[15O]water infuser」、the Journal of Label.Cmpds.Radiopharm.、37巻、662〜664ページ、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって被験者に送達される放射能のレベルを定量化する手段を提供することは望ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システムが提供される。
【0013】
この流体処理システムは放射性医薬品生成装置とすることができ、一実施形態ではこれが水生成装置であり、1以上のプロセスが例えば放射性医薬品生成イベントを構成する。
【0014】
放射性医薬品生成イベント中にシステム要素の予想動作状態が監視されるので、生成装置のリアルタイム監視が可能である。このことは、障害発見及び問題解決が現行のシステムよりも容易であることを意味する。
【0015】
便利には、このシステム要素又は各システム要素が、コントローラによって発行された1以上の制御信号を受信するように構成され、1以上のプロセス(すなわち放射性医薬品生成イベント)が制御信号に基づいて実行される。さらにこのコントローラは、少なくとも1つのシステム要素に制御信号を発行するときに、監視ソフトウェアコンポーネントにデータを出力するように構成されている。一構成では、このコントローラが少なくとも1つのソフトウェアコンポーネントを含む。
【0016】
好ましくは、このコントローラが、放射性医薬品生成システムの状態を示す出力信号を受信するように構成され、それに基づいて放射性医薬品生成システムの状態を追跡する。このコントローラは、放射性医薬品生成システムの状態の変化に応答して、監視ソフトウェアコンポーネントにデータを出力するように構成されている。
【0017】
有利には監視ソフトウェアコンポーネントが、例えば表示手段又は警告手段の形態の出力ソフトウェアコンポーネントを含む。この出力コンポーネントは、リアルタイム状態情報を放射性医薬品生成システムのオペレータに伝達する手段を提供する。
【0018】
一構成では、放射性医薬品生成システム要素が、加熱装置と、被験者(例えば患者)への出力を含む放射性医薬品送達システムと、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプと、放射性医薬品送達経路の経路上に構成された少なくとも1つの放射能検出器とを含む。これらのシステム要素はそれぞれ、加熱装置の温度と、弁の付勢状態と、ポンプの流量及び印加圧力と、放射能検出器によって測定された放射能と、プロセスが始まってから経過した時間、のうちの少なくとも幾つかかを示す信号を出力するように動作可能である。このような構成では監視ソフトウェアコンポーネントが、どのプロセスがその時点で実行されているのかを、弁の付勢状態を識別するデータに基づいて識別するように構成されており、表示手段が、識別されたプロセスに対応する自然言語記述子を表示するように構成されている。或いは監視ソフトウェアコンポーネントは、どのプロセスがその時点で実行されていのるかを、放射能検出器によって測定された放射能データに基づいて識別するように構成されている。これは放射能検出器が放射性医薬品の送達経路の特定の部分に位置するためである。
【0019】
以下の記述では、放射性医薬品生成装置を放射能化学モジュールとも呼ぶ。 本発明の他の態様によれば、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、複数の動作位置をとることができる少なくとも1つのアクチュエータ要素を有し、このアクチュエータ要素のその時点の動作位置を決定し、決定された動作位置を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムの状態を識別するために、1以上のプロセスの実行中に出力信号から抽出データを処理するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システムが提供される。
【0020】
本発明のこの態様では、実際の装置の動作位置又は状態が決定され、それによって障害の正確な特定及び部品交換の事前計画手段が可能になる。アクチュエータ要素の例にはフロー弁、ポンピング機構などが含まれる。
【0021】
本発明の他の態様によれば、放射性医薬品に関して使用される放射能検出システムであって、
ラジオアイソトープを受け取り、これから放射性医薬品を生成するように構成された流体処理モジュールと、
生成した放射性医薬品を被験者に送達するように構成され、流体処理モジュールと被験者の間で使用可能な送達経路を含む放射性医薬品送達システムと、
送達経路内の放射能を測定し、それを示す信号を出力するように構成された放射能検出器と
を含む放射能検出システムが提供される。
【0022】
この流体処理モジュールは放射性医薬品生成装置とすることができ、一実施形態ではこれが水生成装置であり、鉛遮蔽物の中に閉じ込められている。好ましい一構成では、放射能検出器が被験者のできるだけ近くに位置し、それによって初期放射能レベルをできるだけ正確に定量化する。具体的には、便利には放射能検出器が、送達経路に沿って、送達経路の長さの被験者から5%〜50%の距離、より好ましくは送達経路の長さの被験者から7%〜12%の距離に構成される。一構成では、放射能検出器が被験者から100〜150mmのところに構成され、送達経路の全長が約1.2メートルであり、第2の構成では、放射能検出器が被験者から300〜350mmのところに構成され、送達経路の全長が約3.5メートルである。
【0023】
この測定されたデータは次いで、被験者の走査画像の後処理で使用され、それによって被験者の生物活性の定量的測定の正確さを増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態の動作環境の概要
図1は、この実施形態では従来の水生成装置100である放射性医薬品生成装置の概略図であり、この図には、放射性水蒸気(H215O)を作り出すための触媒炉(炉)101と、食塩水源103と、放射性水蒸気を食塩水と一緒にするための透析装置(半透膜)105と、この食塩水を透析装置105中にポンピングし、さらに被験者115に向けてポンピングするためのポンプ107と、この食塩水放射性医薬品中の放射能を測定するためのガイガー−ミュラー(Geiger Muller:GM)管109が示されている。さらに図12を参照すると、放射性医薬品生成装置100は鉛遮蔽体1201の中に閉じ込められており、この鉛遮蔽体を出る前に放射性の水を崩壊させる(図1に廃棄111として概略的に示された)廃棄物崩壊コイル1203を含む。
【0025】
放射性医薬品生成装置100はさらに、放射性医薬品生成装置100内の流体の運動を制御する2つの作動弁V1及びV2を含む。図2a〜dを参照すると、弁V1、V2は、放射性医薬品生成装置100が複数のモードで動作できるように構成されている(この図では弁内の経路が開いた四分円によって指示されている)。図2aに示された第1のモード(蓄積:モード1)では、V1が付勢され、V2が非付勢されている。したがって方向D1では、食塩水が透析装置105の領域113の中に保持され、それによって放射性医薬品が生み出され、方向D2では、食塩水が廃棄111へと出ていく。図2bに示された第2のモード(注入:モード2)ではV1が非付勢、V2が付勢され、このことは、領域113に存在する放射性医薬品が、GM管109を通る送達経路116を通して被験者115に送達されることを意味する。図2cに示された第3のモード(フラッシング:モード3)ではV1とV2の両方が付勢され、(食塩源107からの)純粋な食塩水が、放射性医薬品生成装置、送達管116及び被験者自体115の中に存在する放射性医薬品を流し去る。図2dに示された第4のモード(廃棄:モード4)では、V1とV2の両方が非付勢され、その結果、残った物質が廃棄出口111を通して外に出ていく。
【0026】
好ましくはこれらの弁が、弁が付勢されているか否かを感知するセンサ(図示せず)を含む。
本発明の実施形態の概要
従来技術では、図1に示した放射性医薬品生成装置100の制御が、弁V1、V2を手動で開閉する手動制御であり、又は特注の制御ユニットによる自動制御である。放射性医薬品生成装置を自動制御する利点は、前述の諸モードの(連続したモード間の間隔が異なる)さまざまな組合せを予めプログラムしておくことができ、それらのタイミングを正確に制御できることである。その結果、弁を遠隔制御でき、このことは、流体が放射性物質を含むときに健康及び安全の観点から重要である。
【0027】
しかし知られている自動制御構成では、放射性医薬品の生成及び被験者への注入の進捗に関する情報がオペレータにほとんど又は全くフィードバックされない。その結果、放射性医薬品生成装置100の動作に問題があるときに、その問題の原因を識別することが極めて難しい。一般に、技術者は全ての構成要素をそれぞれ検査しなければならず、このことは甚だしい時間の浪費であり、診断設備全体の運用に重大な影響を及ぼす。そのうえ患者に対する危険がある場合には診断設備全体が停止される。問題解決に関連したダウン時間には出費が伴い、不都合でもあるので、その問題が患者に影響を及ぼすか否かを識別できること、したがって設備全体を停止させる必要があるかどうかを識別できることはますます重要になる。
【0028】
したがって本発明の実施形態は、問題の原因が識別される速度及び正確さを向上させることに関する。一実施形態ではコントローラが、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素にデータを送り、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素にデータを要求し、そのデータを例えばディスプレイによって出力するソフトウェアコンポーネントを含む。これらの構成要素のふるまいを明確に定義することができるため、これらの構成要素から受信データを特定動作基準と比較し、及び/又は熟練オペレータによる検査のため単純に表示することができる。
【0029】
次に、図3を参照して、この放射性医薬品生成装置が水生成装置である本発明の一実施形態を詳細に説明する。放射性医薬品生成装置100のコントローラは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)301と、従来のPCコンピュータ320から受信信号に応答してPLC301上でローカルにランする複数のオペレーショナルソフトウェアコンポーネント311とを含む。PC320から受信する信号は、コンフィギュレーションソフトウェアコンポーネント321の制御下で生成される。オペレーショナルソフトウェアコンポーネント311は、放射性医薬品生成装置に関するデータを制御し取得するためのソフトウェアを含み、コンフィギュレーションソフトウェア321は、オペレータが選択及び/又は特定したデータを受信し、このようなデータをオペレーショナルソフトウェア311に送り、オペレーショナルソフトウェア311によって取り出されたデータを処理するように構成されたソフトウェアコンポーネントを含む。一構成では、コンフィギュレーションソフトウェア321が、Labview(登録商標)プログラム言語を使用して書かれるが、適当な任意のコンピュータプログラム言語又はコンピュータプログラム言語の組合せを使用することができることを当業者は理解するであろう。オペレーショナルソフトウェア311は、PLC301に関連した特許プログラム言語を使用して書かれる。
【0030】
図3に示すように、コンピュータ320は、処理ユニット(CPU)323、メモリ324、ハードディスクドライブ325、及びコンピュータ320とPLC301の相互接続を容易にするI/O装置326を含む。オペレーティングシステムプログラム327は、ハードディスクドライブ325上に記憶され、コンピュータ320の低レベルオペレーションを周知の方法で制御する。コンピュータ320はさらに、オペレータから入力を受信し、その入力を、周知の技法に従ってI/O装置326を介してO/Sプログラム327に渡すディスプレイ及びキーボード(図示せず)を含む。
【0031】
図3に示すように、PLC301は、さまざまなオペレーティングモジュールをプラグ接続することができるバス314と、それらのオペレーティングモジュールに関連したデータの処理を調整するバスコントローラ315と、コンピュータ320などの外部装置から入力を受信し、オペレーティングモジュールのオペレーションに従って信号を出力するように構成されたI/O装置313とを含む。一構成では、I/O装置313の入力部分が、コンピュータ320から(シリアルリンクL1を介して)入力信号を受信するように構成されたRS232インタフェースを含み、I/O装置313の出力部分が複数の出力端子を有し、これらの複数の出力端子がそれぞれ、バス314にプラグ接続され対応する放射性医薬品生成装置100の構成要素に接続された異なる1つのモジュールに関連づけられている。バスコントローラ315は、RS232インタフェースからデータを受信し、受信データをオペレーショナルソフトウェア311に従って処理し、バス314上の適当なモジュールにデータを配布するように構成される。適当なPLC301の一例はBeckhoff(商標)PLC(モデルBC8100)である。他のタイプ(特にSiemens(商標)によって製造されたPLC又は特注のPLC)を使用できることを当業者は理解しよう。図3にはバス314にプラグ接続したオペレーティングモジュールが示されていないが、これには、触媒炉101の温度を制御するためのモジュール、弁V1、V2を制御するためのモジュール、ポンプ107を制御・監視しポンプ107からデータを受信するためのモジュール、及びGM管109からデータを受信するためのモジュールが含まれる。弁V1、V2がそれらの付勢状態を示すセンサを含むとき、バス314はさらに、弁V1、V2から状態データを受信するためのモジュールを含む。
【0032】
弁V1及びV2の付勢及び非付勢に関連した機能は従来からの機能である。しかし、オペレーショナルソフトウェア311の他の態様は新しいものであり、オペレータが選択及び/又は特定したデータを処理するコンフィギュレーションソフトウェア321の態様も同様である。具体的にはコンフィギュレーションソフトウェア321はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、これを使用して、モード変更とモード変更(すなわち弁の付勢と非付勢、図2a〜2d)の間の時間間隔、放射性医薬品生成装置イベントの詳細、放射性医薬品生成装置100から取得するデータの詳細、認証基準などのオペレーティングパラメータを指定することができる。GUIを介して入力された後、これらのデータは、放射性医薬品イベントを実行するために対応する制御信号を放射性医薬品生成装置100に送るように構成されたオペレーショナルソフトウェア311に送られる(後に詳述する)。
【0033】
オペレーショナルソフトウェア311はさらに、このような制御信号を送信したことを確認信号によってコンフィギュレーションソフトウェア321に知らせ、及び/又はその放射性医薬品イベントの実行中の放射性医薬品生成装置の構成要素のデータの要求を開始するように構成される。オペレーショナルソフトウェア311が放射性医薬品生成装置の構成要素にデータを要求したとき、それに応答して受け取られたデータは、オペレーショナルソフトウェア321から受け取られる確認信号と一緒に又はこれとは別に、後処理のためコンフィギュレーションソフトウェア311に転送される。このような後処理は、放射性医薬品生成装置のリアルタイム性能の監視及び放射性医薬品生成装置イベントの妥当性の確認を容易にする。これについては以下で詳細に説明する。
【0034】
しかし最初に、放射性医薬品生成装置イベントを構成する際に含まれる本発明の一実施形態に基づく諸ステップを図4及び5を参照して説明する。図4はこれらのステップを示す流れ図であり、図5は、コンフィギュレーションソフトウェアコンポーネント321の一部を構成するグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す概略図である。図4を参照すると、ステップ401で、オペレータは、被験者115に関するデータと放射性医薬品生成装置イベントに関するデータの両方を入力する。この情報には、被験者115の名前、その放射性医薬品生成装置イベントを担当する臨床医の名前、及び認証データが含まれる。好ましくはこの情報は、図5に示すGUIのテキスト入力ボックス501、502、503、504、505を介して入力される。さらに、オペレータは、タブ511によってアクセス可能な別個のスクリーン上にある、放射性医薬品生成装置の構成要素に関する較正値を調べる。これらの較正値には背景放射能レベルが含まれ、これらの較正値は一般に、許可されたユーザしかアクセスできないデータベースDBから読み込まれる。その較正値がその時点の状態を表していない場合、オペレータは、許可されたユーザに、データベース内の較正値の変更を要求することができる。
【0035】
オペレータは次いで、複数のオペレーティングプロトコルのうちの1つを、例えばGUIの特定の領域506の上にカーソルを置いたときに表示されるドロップダウンメニューから選択する403。各プロトコルは一般に、前述の弁モード(モード1〜モード4)の構成及びそれに関係した一時データを表し、放射性医薬品生成装置イベントのタイプに対応する。このGUIは、放射性医薬品生成装置イベントの開始を要求するためにオペレータが押す「operate」ボタン507を含む。コンフィギュレーションソフトウェア321は、GUIの特定のボックスにデータが入力されたことを確認するように構成された確認ソフトウェアコンポーネント(図示せず)を含み、この確認ソフトウェアコンポーネントによりスタートボタン507は、ある条件が満たされるまで(例えばあるボックス501...505にデータが入力されるまで)使用禁止になる。
【0036】
「operate」ボタン507の付勢に応答して、コンフィギュレーションソフトウェア321は、入力された認証データの妥当性を、例えば入力された認証データを予想される入力と比較することによって確認する405。この予想される入力は例えば妥当性確認データベースDBに記憶しておくことができる。認証データの確認が成功裏に終了する仮定すると、コンフィギュレーションソフトウェア321は、ステップ401で入力されたデータをローカルに記憶し407、次いで、PLC301に入力するための制御列S1を構築する409。この実施形態ではデータがコンピュータ320のシリアルポートを通して送信されるので、制御列S1はコンマで区切られた16進列の形態をとる。制御列S1は、ステップ403で選択されたプロトコルを識別するデータを含み、さらに、放射性医薬品生成装置イベントが開始されてからの時間、オペレーショナルソフトウェア311によって設定された弁状態、一方又は両方の弁V1、V2の実際の状態(弁に関連づけられたセンサによって検出可能である)、オペレーショナルソフトウェア311によって適用されたプロトコル、炉101の温度、及びGM管109によって測定された放射能、のうちの少なくとも1つに関連したデータの要求を含む。この要求データは、GUIを介して、或いはデータベースDBに記憶され又はコンフィギュレーションソフトウェア321の中にハードコードされたデータによって、指定することができる。ステップ411で、コンフィギュレーションソフトウェア321はI/O装置326を介して制御列S1を非同期で出力する。次いでコンフィギュレーションソフトウェア321は、例えばPLC301からデータを受信するまで事実上休止される。
【0037】
次に、放射性医薬品生成装置イベントを処理する際に含まれる諸ステップを示す流れ図である図6を参照して、オペレーショナルソフトウェア311の諸態様を説明する。ステップ411で送られた制御列S1は、オペレーショナルソフトウェア311に受信され、その中の情報を抽出するために処理される(ステップ601)。この抽出ステップ601は、制御列S1を構成部分に分解すること、及び必要に応じてこれらをブールデータ又は数値データに変換することを含む。例示の目的上、ステップ403で選択されたプロトコルがシーケンス:蓄積(モード1)120秒、注入(モード2)20秒、フラッシング(モード3)120に対応し、要求部分が、このシーケンス中に監視することができる全てのデータの要求を含むとする。制御列S1を分解すると、オペレーショナルソフトウェア311は最初に初期設定プロセスを実行する603。このプロセスは、炉101の温度をチェックすること(炉温が十分でないと放射性医薬品生成装置イベントが処理できないため)、弁V1、V2を非付勢すること、及び弁センサに対応するオペレーティングモジュールに、各弁が付勢/非付勢された期間をその内部クロックによって記録するように要求することを含む。
【0038】
炉の温度がある指定された動作限界内にあると仮定すると、ステップ605でオペレーショナルソフトウェア311は、モード1に関連したプロセスを開始する。このプロセスは、タイマーt1をセットすること、弁V1、V2に関連したオペレーティングモジュールに信号を送ること、V1を付勢させること、及びこの弁が付勢された時刻を記録することを含む。120秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、V1を非付勢させV2を付勢させる(モード2をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、モードを変更する(ステップ609、610、611、605)。20秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、V1を付勢させる(モード3をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、再びモードを変更し(ステップ609、610、611、605)、さらに120秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、両方の弁を非付勢させる(モード4をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、再びモードを変更する(ステップ609、610、611、613(このサイクルではステップ611の条件が満たされているため))。
【0039】
これらの時間間隔の間に、オペレーショナルソフトウェア311は、(PLC301のバス314にプラグ接続された)さまざまなオペレーティングモジュールに、それらのオペレーションに関するデータ項目を要求する信号を送る。各データ項目は、ステップ601で制御列S1から抽出された部分に対応し、すなわちタイマーt1の値(放射性医薬品生成装置イベントの開始からの経過時間)、弁センサから取り出された弁の実際の状態(付勢又は非付勢)、炉101の温度、及びGM管109によって記録されたカウント数に対応する。これらの信号に応答して受け取られたデータ項目は、ある条件下で、コンフィギュレーションソフトウェア321に送られる。一構成では、オペレーショナルソフトウェア321が、要求されたデータ項目の値を監視し(ステップ607)、要求された状態データ項目の値が変化するたびに、そのデータ項目又は各データ項目を含むコンマで区切られた16進リターン列S2を生み出し、このリターン列S2をRS232 I/Oポート313に送り、コンフィギュレーションソフトウェア321に受信されるようにする(ステップ608)。さらにオペレーショナルソフトウェア311は、放射性医薬品生成装置の構成要素、例えば一方の弁に制御信号を送信するたびにリターン列S2を生成し、そのため、少なくとも、オペレーショナルソフトウェア311がモード変更をしようとするたびにリターン列S2が送られる。
【0040】
PLC301から最後にデータが送られてからあるデータ項目の値が変更されていない場合、そのデータ項目に対応するリターン列S2の部分はその前の値をとる。したがって、GM管109の中を通過する食塩水が放射性でない第1のモード(図2a)の間、GM管109が放射能レベルの変化を記録する可能性は低い。したがってこの期間中に(例えば炉101の温度の変化によって、又は弁の実際の状態が変化した場合に)1以上のリターン列S2がコンフィギュレーションソフトウェア321に送られる場合、連続して送信されたリターン列S2のGM管109に関する値は互いに全く同じか、又は少なくとも非常に似ている可能性が高い。しかし、領域113の放射性医薬品が被験者へ輸送される第2のモード(図2b)中は、測定される放射能のレベル(したがってそれに対応するリターン列S2の部分)が変動することが予想される。リターン列S2は放射性医薬品生成装置イベント中に送信されるため、この実施形態は、放射性医薬品生成装置のリアルタイム監視を可能にする。
【0041】
或いは又はこれに加えて、コンフィギュレーションソフトウェア321は、(図3に示した要求列S3によって)明示のデータ要求をオペレーショナルソフトウェア311に送ることができ、それによってオペレーショナルソフトウェア311は、現在使用可能なデータ項目を使用してリターン列S2を生み出し、又はさまざまなオペレーティングモジュールにデータ項目の要求を送り、それに応答して送り返されたデータを使用してリターン列S2を生み出す。
【0042】
或いはオペレーショナルソフトウェア311はリターン列S2を定期的に生み出し、コンフィギュレーションソフトウェア321に送ることができる。この構成ではコンフィギュレーションソフトウェア321が、このようなリターン列S2に対して対応する周期でポーリングするように構成される。コンフィギュレーションソフトウェア321は、予想される時刻にリターン列S2を識別できない場合に警告を生成するように構成され、警告は例えばGUIを介して出力することができる。
【0043】
次に、それぞれリターン列S2を後処理する際に含まれる諸ステップを示す流れ図、コンフィギュレーションソフトウェア321によって表示される出力を示す概略図である図7及び8を参照して、リターン列S2の後処理を説明する。リターン列S2がコンピュータ320のI/Oポート326で受け取られると、コンフィギュレーションソフトウェア321は最初にエラーチェックを実行し701、このエラーチェックが成功裏に終了した場合にはこのリターン列S2を構成部分に分解し703、これらの構成部分を、指定された一組の変換規則に従ってブール値又は整数/非整数値に変換する705。エラーチェックは例えば、リターン列S2の長さを指定された長さに対してチェックすることを含む。先に述べたとおり、各構成部分は1つのデータ項目、すなわち弁V1、V2の状態、炉101の温度及び/又はGM管109で測定された放射能などに対応し、これはその後、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素の動作状態を評価するためコンフィギュレーションソフトウェア321によって処理される。一構成では、この一組の規則が、リターン列S2の中の各データ項目、すなわち弁(実際の状態及び適用されたプロトコル)、GM管測定値、炉温などに対応する1以上の規則を含む。明快にするために以下の節では個々のデータ項目の後処理を説明する。
【0044】
最初に弁V1、V2に関するデータの後処理を考える。ステップ706は、リターン列S2が、弁センサによって感知された実際の弁データとオペレーショナルソフトウェア311によって送られた制御信号の確認のうちの一方か又は両方を含むかどうかを識別することを含む。実際のデータと確認データの両方が使用可能である場合、各データタイプに対応する動作モード及びその「自然言語」記述が、記憶されたモードと記述の間のマッピング(蓄積:モード1、注入:モード2、フラッシング:モード3、廃棄:モード4)(図示せず)から識別される(ステップ707)。弁センサデータから識別されたモードと制御信号データの確認から識別されたモードとの間に対応関係が存在する場合には、ステップ707で識別された自然言語記述を、コンフィギュレーションソフトウェア311のGUI上(ボックス531)に表示する709ことができ、これはオペレータによって検査される。したがって弁V1、V2の実際の状態又はリアルタイム状態を監視することによって、オペレータは、放射性医薬品生成装置イベントの進捗を追跡することができる。これらのモードが一致しない場合、警告が生成される。
【0045】
使用可能な場合にはさらに、弁センサが弁状態の変化を確認した実際の時刻を表示することができ(図示せず)、及び/又は、この時刻を使用して、PLC301での待ち時間及び/又は弁の動作を定量化することができる(オペレータは、ステップ403で選択されたプロトコルの中に指定された予想持続時間を、実際の持続時間と比較する(ステップ611、613)ことができ、実際の持続時間がある条件を満たさない(例えば故障した弁を示す)場合、警告を生成することができる)。リターン列S2が、オペレーショナルソフトウェア311によって送られた制御信号の確認だけを含む場合、一時データの後処理はなく、動作モードの自然言語記述は、確認データだけから識別された記述に一致する。
【0046】
次に、やはり図7を参照して触媒炉101に関するデータの後処理を考える。リターン列S2から温度データを抽出した後、コンフィギュレーションソフトウェア321は規則を適用して、この温度が指定された動作範囲内にあるかどうかを識別し721、GUI上(ボックス801)にこの温度を表示し723、この温度が指定された動作範囲から外れている場合には、コンフィギュレーションソフトウェア321は、警告を作成し表示する(ステップ725、727)。ステップ723はさらに、この温度データ項目の値を記憶することを含むことができ、このことは履歴温度値を追跡する手段を提供する。
【0047】
次にGM管109からのデータの後処理を考える。ステップ731は、測定誤差及び背景放射能レベルを補償するため、測定された放射能データ項目値に補正を加えることを含む。したがってこのステップは、ステップ401で選択された較正値及び背景値を取得すること、及び補正後の放射能レベルを識別するために、これらの値を、ステップ705で抽出された放射能値に適用することを含む。この補正後レベルは次いで、図5に示したグラフ領域521に、経過時間t1(経過時間自体は図5に示されたボックス533に表示される)の関数としてリアルタイムで表示され733、したがって連続して受け取られるリターン列S2は、放射性医薬品生成装置に関連した放射能の変化をリアルタイムで追跡し(放射能値はグラフ領域521上にプロットされる)、被験者115に注入される放射能の大きさを監視する手段を提供する。
【0048】
したがって以上に説明した実施形態は、オペレータが、放射性医薬品生成装置100の構成要素の動作と、放射性医薬品生成装置イベントの進捗の両方を監視することを可能にする。これは問題の迅速な識別を可能にし、問題の迅速な識別は、この問題の被験者に対する影響の評価、この問題の原因となっている構成要素の分離、及びこのような構成要素コだけの分離を容易にする。これによって、潜在的に危険なイベントが実際の危険になる可能性が低下し、問題の原因の調査に費やされる時間が短縮し、したがってPET設備のダウン時間が短縮する。
【0049】
導入部で述べたとおり、現行の放射性医薬品生成装置の他の問題は、放射性医薬品生成装置のところでしか放射能レベルが測定されないことである。周知のとおり、ラジオアイソトープの崩壊はその半減期によって決まり、それは指数関数的に崩壊する。被験者の体内でのラジオアイソトープの崩壊(これはPET設備によって測定されるものであり、本発明の関心事項ではない)は、その半減期からの寄与、及び被験者の分子と結合したラジオアイソトープに起因する生物学的効果からの寄与を含む。生物学的効果を確認するためには、ラジオアイソトープの半減期に起因する崩壊を測定値から除かなければならず、したがって最初に定量化が必要となる。図9を参照すると、放射性医薬品生成装置100と被験者115はある合理的な距離だけ離され、そのため、放射性医薬品が放射性医薬品生成装置100から被験者115に移動するのにある一定の時間がかかる。その結果、放射性医薬品生成装置100の内部の検出器109によって測定される放射能のレベルは、被験者に注入された放射能のレベルを指示しないと考えられる。
【0050】
放射性医薬品生成装置の内部の放射能レベルは、被験者の位置での放射能レベルよりも高いと予想されるので、放射性医薬品生成装置の内部で測定された放射能レベルを使用して半減期を表す場合には、生物学的寄与の見かけの大きさはその実際の値よりも低くなると考えられる。酸素15の半減期は2分でしかないので、酸素15などのラジオアイソトープにとってこのことは重大といえる。
【0051】
再び図9を参照すると、本発明の第2の態様では、放射性医薬品生成装置100が、PET設備のスキャナ903の近くに構成された第2の放射能検出器901を含み、この検出器は別のGM管でも又は他の適当な装置でもよい。これは、できるだけ被験者115に近い位置での放射能の測定を容易にし、それによって被験者の生物学的特性の定量的測定を向上させる。一構成では、長さ1200mmの送達管116に対して、第2の放射能検出器901を、被験者に注入する点から100〜150mmのところに構成することができる。
【0052】
放射性医薬品を腕に注入する場合には、検出器901を、患者の腕の送達管116のすぐ近くに構成することができる。図10に示した装置などの適当な保持装置1001を使用して検出器901を所定の位置に固定することができ、図から分かるとおり、送達管116は保持装置1001の開口1000の中を通り、したがって検出器901にさらされる。保持装置1001は、穴1005を介して装置1001をスキャナ903に固定するためのプレート1003を含む。
【0053】
第2の検出器901のデータ出力は、データリンク、及び検出器901からデータを受信し検出器901にデータを要求するように構成された他のオペレーティングモジュール(図示せず)を介して、PLC301に結合することができる。或いは、GM管109に対応するオペレーティングモジュールを、GM管109と検出器901の両方と通信するように構成することもできる。いずれにしても、オペレーショナルソフトウェア311によって生成されるリターン列S2が先に述べたように生み出され、本発明のこの第2の態様ではリターン列S2が、GM管109からのデータと検出器901からのデータの両方を含む。このことは、図7に記載されていない幾つかかの処理ステップをコンフィギュレーションソフトウェア321が実行しなければならないことを意味する。これらのステップは図11に示されており、本発明の両態様に共通するステップは、図7に導入された参照符号を使用して参照されている。したがって最初に、本発明の第1の態様と同様に、ステップ701で、コンフィギュレーションソフトウェア321がエラーチェックを実行し、このエラーチェックが成功裏に終了した場合にはリターン列S2を構成部分に分解し703、これらの構成部分を、指定された一組の変換規則に従ってブール値又は整数/非整数値に変換する705。ステップ1101a、1101bで、背景及び較正調整を考慮するために検出器109、901に対応する放射能データ項目が補正される(検出器のタイプが異なる場合、ステップ401で指定される背景及び較正値は異なる可能性が高いことに留意されたい)。検出器901は、被験者115の近くの放射能値を測定しているため、これらの補正された値はグラフ領域521に表示され(ステップ1102)、更なる処理のためにPET設備の処理部分(図示せず)に出力される。
【0054】
(PET設備によって測定された)測定された崩壊に対する生物学的寄与の定量化の向上を容易にするだけでなく、これらの追加のデータを、ラジオアイソトープのふるまいを監視し、検出器109、901の動作を確認するために使用することもできる。これに応じて一構成では、GM管109によって測定された放射能値を調整して2つの検出器間の距離を考慮に入れ、第2の検出器901における予想放射能レベルを推定する(ステップ1103)。この予想値は、第2の検出器901によって測定された実際の値と比較され(ステップ1105)、この予想値と第2の検出器901によって測定された実際の値との差が、指定されたしきい値を上回っている場合には警告が生成される(ステップ1109)。この段階では、どちらの検出器109、901が不正確なのかは分からないため、この警告は、PET設備の処理部分及び(例えばGUIを介して)放射性医薬品生成装置100のオペレータに渡される。
【0055】
本発明の第1の態様では蓄積120秒/注入20秒/フラッシング120秒を含む特定のプロトコル(放射性医薬品生成装置イベント)を記述したが、他のプロトコルも可能である。これらはポップアップメニュー507から選択可能であり、これには以下のものが含まれる(全てを網羅したリストではない)。
【0056】
1.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング120秒
2.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング50秒
3.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング20秒
4.活性テスト:放射能レベルをチェックするためにV2を常に廃棄に向かって開くほかは1と同じ
5.滅菌モード:V1とV2の4つの全ての組合せを順番に切り替えて、全ての経路を清浄にする
6.ロングフラッシュ:V2を常に付勢し、その間にV1をその2つの状態間で切り替える
7.試料採取:V2を30秒間付勢し、1分間非付勢し、V1とV2の両方を30秒間付勢する
8.V1及びV2を50秒間付勢して、被験者までの管路を新しい食塩水で満たす
9.保守中に必要に応じて炉のヒータをON又はOFFにする
10.保守中に必要に応じて弁V1及びV2をON又はOFFにする
11.終了モード:弁V1、V2をOFFにする
以上の実施形態ではPLC301とPCの間の接続をシリアルリンクとしたが、或いはこの接続を無線接続、例えばBluetooth又はWLANとすることもできる。
【0057】
ステップ401は、GUIにデータを手動で入力することを含むが、その代わりにログファイルなどに識別データを記憶しておき、GUIが呼び出されたときに識別データをそこから読み出すこともできる。
【0058】
本発明の上記第1の態様に関する実施形態では、オペレーティングソフトウェア311が弁V1、V2、GM管109及び炉101からデータを要求するが、オペレーティングソフトウェア311はさらにポンプ107に関するデータ項目を要求してもよい。具体的にはポンプ107が、ポンプの中でポンピングされる食塩水の圧力及び質量流量を測定するための手段を備えている場合には、オペレーティングソフトウェア311は、この流量及びポンプ圧力のデータを(例えばバス314上の別のモジュールを介して)受信し、これらのデータをリターン列S2に含めてもよい。これらのポンプデータを含むリターン列S2の処理は、流量の変化を経時的に監視することを含むと考えられ、この変化がある条件を満たす場合、コンフィギュレーションソフトウェア321は、放射性医薬品生成装置「停止」イベントを生成するオプションを含む警告メッセージを生成するだろう。さらにポンプ圧力も経時的に監視され、指定のポンプ圧上昇と指定の流量低下が同時に起こった場合には、同様に警告メッセージ(及び放射性医薬品生成装置を停止させる可能性)がオペレータに送られるだろう。ポンプ圧力の上昇を伴う質量流量の低下は、管の閉塞(無害)又は食塩水が注入されたときの被験者115によるなんらかの反応(潜在的に有害)を意味する可能性があるため、このことは特に有用である。本発明のこの特徴はしたがって、オペレータが、a)被験者115に影響を及ぼす可能性がある問題が存在することを知り、b)放射性医薬品生成装置100を停止し、c)問題の原因を正確に特定し、d)問題の原因を現時点で可能なよりもはるかに早く調べる、ことを可能にする。
【0059】
この開示は例示だけを目的にしたものであること、及び本発明は本発明の変更、変形及び改良にまで拡張されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態と相互使用が可能な放射性医薬品生成装置の概略図である。
【図2a】第1の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2b】第2の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2c】第3の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2d】第4の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図3】図1の放射性医薬品生成装置のための本発明の第1の態様の一実施形態に基づくコントローラを示す概略図である。
【図4】本発明の第1の態様の一実施形態に基づく図3のコントローラによって実行されるステップを示す流れ図である。
【図5】図3のコントローラの一部を構成するGUIの概略図である。
【図6】図3のコントローラによって実行される他のステップを示す流れ図である。
【図7】図3のコントローラによって実行される他のステップを示す流れ図である。
【図8】図3のコントローラの一部を構成するGUIの概略図である。
【図9】本発明の第2の態様に係る核医学診断設備の概略図である。
【図10】本発明の第2の態様に係る第2の検出器の保持装置を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の態様に基づいてデータを処理するように変更された図3のコントローラによって実行されるステップを示す流れ図である。
【図12】放射能化学モジュールを含む本発明の第1の態様に係る放射性医薬品生成装置の透視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は放射性医薬品生成システムに関し、特に限定されないが詳細には放射性医薬品生成システムの制御面に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学は、体内での放射性同位元素(ラジオアイソトープ)の使用を含む。ラジオアイソトープは特定の器官、骨又は組織に引き寄せられ、このラジオアイソトープによって生み出される放出を使用して特定のタイプの疾病についての情報を得る。核医学で一般的に使用されるラジオアイソトープの例には炭素11、酸素15、フッ素18、臭素75などが含まれる。
【0003】
陽電子断層撮影法(PET)は、既知の生物学的特性を有する分子に結合したラジオアイソトープの崩壊を画像化することによって器官の生理機能の画像を得る核医学診断技法の一例である。適当なラジオアイソトープを、検査中の器官にラジオアイソトープを送達することを可能にする担体(トレーサとも呼ばれる)に合成する。このような担体は一般に放射性医薬品と呼ばれる。
【0004】
一般的に使用されている1つのラジオアイソトープは、天然窒素の重陽子衝撃による14N(d,n)15O核反応によって生み出される酸素15(15O)であり、このプロセスは、サイクロトロンと一般に呼ばれている装置によって実行される。本発明は、ラジオアイソトープが生成される方法に関するものではなく、サイクロトロンについてこれ以上説明することはしない。
【0005】
酸素15ラジオアイソトープに関連した1つの放射性医薬品が15Oで標識された水である。15O標識水は一般に、酸素15と水素を化学量論的比率で混合し、この混合物を150℃の炉の中のパラジウム触媒に通すことによって、放射性医薬品生成装置の中で酸素15からオンラインで作り出される。その結果生じた放射性水蒸気は半透膜(酢酸セルロース)を横切って拡散し、15O標識水を含む溶液を生成するために医用注入ポンプを用いてシステムの中で連続的にポンピングされる無菌食塩水(0.9%NaCl)の中に入る。
【0006】
15O標識水の生成に適した1つの放射性医薬品生成装置が、H Touchon−Danguy他によって著され、the Journal of Label.Cmpds.Radiopharm.、37巻、662〜664ページ、1995年に発表された「Technical performance and operating procedure of a bedside[15O]water infuser」というタイトルの論文に記載されている。
【0007】
この放射性医薬品生成装置は幾つかかの構成要素を含み、そのうちの幾つかかは他の構成要素から独立しており、他の幾つかかは他の構成要素と相互に関係づけられている。このことは、放射性医薬品生成装置の動作に問題があるときに、放射性医薬品生成装置のどこに問題があるのかを把握することが極めて難しいことを意味する。一般に、技術者は全ての構成要素を各々検査しなければならず、このことは甚だしい時間の浪費であり、PET設備全体の運用に重大な影響を及ぼす。そのうえ放射能漏れの危険がある場合にはPET設備全体が停止される。問題解決に関連したダウン時間には出費が伴い、不都合でもあるので、設備全体を停止させる必要があるかどうかを識別できることはますます重要になる。
【0008】
流体生成プロセスの進捗に注目する行為は米国特許第4625118号から知られており、この特許では、光電障壁を使用して注射器からの流体の流出を検出する。この米国特許第4625118号のシステムでは、流体の存在が検出されると、流体送達経路を調整するためにある種の弁の構成が変更される。流体送達経路の変更をトリガーする(この場合は注射器の中の流体がフラッシングステーションを満たすことを可能にする)手段を提供しているが、これは、生成装置の動作状態に関する詳細な情報を一切提供せず、したがってその中の構成装置の問題の分離を直ちには容易にしない。
【0009】
したがって、放射性医薬品生成装置に関連した障害の識別を向上させる手段を提供することが望ましいであろう。
【0010】
第2の問題は、放射性医薬品生成装置の内部でしか放射能が測定されないことに起因する。ロジスティクス上の制約(レイアウト、遮蔽、安全要件など)のために、放射性医薬品生成装置と検査中の被験者との間の距離がかなり大きいことがある。したがって放射性医薬品が被験者に送達されるまでに、実際の放射能レベルが、放射性医薬品生成装置内で測定されたレベルから大きく異なってしまう可能性がある。半減期が2分である酸素15に基づく放射性医薬品にとって、この距離したがって放射能の崩壊はかなり大きい。
【特許文献1】米国特許第4625118号
【非特許文献1】H Touchon−Danguy他、「Technical performance and operating procedure of a bedside[15O]water infuser」、the Journal of Label.Cmpds.Radiopharm.、37巻、662〜664ページ、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって被験者に送達される放射能のレベルを定量化する手段を提供することは望ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システムが提供される。
【0013】
この流体処理システムは放射性医薬品生成装置とすることができ、一実施形態ではこれが水生成装置であり、1以上のプロセスが例えば放射性医薬品生成イベントを構成する。
【0014】
放射性医薬品生成イベント中にシステム要素の予想動作状態が監視されるので、生成装置のリアルタイム監視が可能である。このことは、障害発見及び問題解決が現行のシステムよりも容易であることを意味する。
【0015】
便利には、このシステム要素又は各システム要素が、コントローラによって発行された1以上の制御信号を受信するように構成され、1以上のプロセス(すなわち放射性医薬品生成イベント)が制御信号に基づいて実行される。さらにこのコントローラは、少なくとも1つのシステム要素に制御信号を発行するときに、監視ソフトウェアコンポーネントにデータを出力するように構成されている。一構成では、このコントローラが少なくとも1つのソフトウェアコンポーネントを含む。
【0016】
好ましくは、このコントローラが、放射性医薬品生成システムの状態を示す出力信号を受信するように構成され、それに基づいて放射性医薬品生成システムの状態を追跡する。このコントローラは、放射性医薬品生成システムの状態の変化に応答して、監視ソフトウェアコンポーネントにデータを出力するように構成されている。
【0017】
有利には監視ソフトウェアコンポーネントが、例えば表示手段又は警告手段の形態の出力ソフトウェアコンポーネントを含む。この出力コンポーネントは、リアルタイム状態情報を放射性医薬品生成システムのオペレータに伝達する手段を提供する。
【0018】
一構成では、放射性医薬品生成システム要素が、加熱装置と、被験者(例えば患者)への出力を含む放射性医薬品送達システムと、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプと、放射性医薬品送達経路の経路上に構成された少なくとも1つの放射能検出器とを含む。これらのシステム要素はそれぞれ、加熱装置の温度と、弁の付勢状態と、ポンプの流量及び印加圧力と、放射能検出器によって測定された放射能と、プロセスが始まってから経過した時間、のうちの少なくとも幾つかかを示す信号を出力するように動作可能である。このような構成では監視ソフトウェアコンポーネントが、どのプロセスがその時点で実行されているのかを、弁の付勢状態を識別するデータに基づいて識別するように構成されており、表示手段が、識別されたプロセスに対応する自然言語記述子を表示するように構成されている。或いは監視ソフトウェアコンポーネントは、どのプロセスがその時点で実行されていのるかを、放射能検出器によって測定された放射能データに基づいて識別するように構成されている。これは放射能検出器が放射性医薬品の送達経路の特定の部分に位置するためである。
【0019】
以下の記述では、放射性医薬品生成装置を放射能化学モジュールとも呼ぶ。 本発明の他の態様によれば、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、複数の動作位置をとることができる少なくとも1つのアクチュエータ要素を有し、このアクチュエータ要素のその時点の動作位置を決定し、決定された動作位置を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムの状態を識別するために、1以上のプロセスの実行中に出力信号から抽出データを処理するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システムが提供される。
【0020】
本発明のこの態様では、実際の装置の動作位置又は状態が決定され、それによって障害の正確な特定及び部品交換の事前計画手段が可能になる。アクチュエータ要素の例にはフロー弁、ポンピング機構などが含まれる。
【0021】
本発明の他の態様によれば、放射性医薬品に関して使用される放射能検出システムであって、
ラジオアイソトープを受け取り、これから放射性医薬品を生成するように構成された流体処理モジュールと、
生成した放射性医薬品を被験者に送達するように構成され、流体処理モジュールと被験者の間で使用可能な送達経路を含む放射性医薬品送達システムと、
送達経路内の放射能を測定し、それを示す信号を出力するように構成された放射能検出器と
を含む放射能検出システムが提供される。
【0022】
この流体処理モジュールは放射性医薬品生成装置とすることができ、一実施形態ではこれが水生成装置であり、鉛遮蔽物の中に閉じ込められている。好ましい一構成では、放射能検出器が被験者のできるだけ近くに位置し、それによって初期放射能レベルをできるだけ正確に定量化する。具体的には、便利には放射能検出器が、送達経路に沿って、送達経路の長さの被験者から5%〜50%の距離、より好ましくは送達経路の長さの被験者から7%〜12%の距離に構成される。一構成では、放射能検出器が被験者から100〜150mmのところに構成され、送達経路の全長が約1.2メートルであり、第2の構成では、放射能検出器が被験者から300〜350mmのところに構成され、送達経路の全長が約3.5メートルである。
【0023】
この測定されたデータは次いで、被験者の走査画像の後処理で使用され、それによって被験者の生物活性の定量的測定の正確さを増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態の動作環境の概要
図1は、この実施形態では従来の水生成装置100である放射性医薬品生成装置の概略図であり、この図には、放射性水蒸気(H215O)を作り出すための触媒炉(炉)101と、食塩水源103と、放射性水蒸気を食塩水と一緒にするための透析装置(半透膜)105と、この食塩水を透析装置105中にポンピングし、さらに被験者115に向けてポンピングするためのポンプ107と、この食塩水放射性医薬品中の放射能を測定するためのガイガー−ミュラー(Geiger Muller:GM)管109が示されている。さらに図12を参照すると、放射性医薬品生成装置100は鉛遮蔽体1201の中に閉じ込められており、この鉛遮蔽体を出る前に放射性の水を崩壊させる(図1に廃棄111として概略的に示された)廃棄物崩壊コイル1203を含む。
【0025】
放射性医薬品生成装置100はさらに、放射性医薬品生成装置100内の流体の運動を制御する2つの作動弁V1及びV2を含む。図2a〜dを参照すると、弁V1、V2は、放射性医薬品生成装置100が複数のモードで動作できるように構成されている(この図では弁内の経路が開いた四分円によって指示されている)。図2aに示された第1のモード(蓄積:モード1)では、V1が付勢され、V2が非付勢されている。したがって方向D1では、食塩水が透析装置105の領域113の中に保持され、それによって放射性医薬品が生み出され、方向D2では、食塩水が廃棄111へと出ていく。図2bに示された第2のモード(注入:モード2)ではV1が非付勢、V2が付勢され、このことは、領域113に存在する放射性医薬品が、GM管109を通る送達経路116を通して被験者115に送達されることを意味する。図2cに示された第3のモード(フラッシング:モード3)ではV1とV2の両方が付勢され、(食塩源107からの)純粋な食塩水が、放射性医薬品生成装置、送達管116及び被験者自体115の中に存在する放射性医薬品を流し去る。図2dに示された第4のモード(廃棄:モード4)では、V1とV2の両方が非付勢され、その結果、残った物質が廃棄出口111を通して外に出ていく。
【0026】
好ましくはこれらの弁が、弁が付勢されているか否かを感知するセンサ(図示せず)を含む。
本発明の実施形態の概要
従来技術では、図1に示した放射性医薬品生成装置100の制御が、弁V1、V2を手動で開閉する手動制御であり、又は特注の制御ユニットによる自動制御である。放射性医薬品生成装置を自動制御する利点は、前述の諸モードの(連続したモード間の間隔が異なる)さまざまな組合せを予めプログラムしておくことができ、それらのタイミングを正確に制御できることである。その結果、弁を遠隔制御でき、このことは、流体が放射性物質を含むときに健康及び安全の観点から重要である。
【0027】
しかし知られている自動制御構成では、放射性医薬品の生成及び被験者への注入の進捗に関する情報がオペレータにほとんど又は全くフィードバックされない。その結果、放射性医薬品生成装置100の動作に問題があるときに、その問題の原因を識別することが極めて難しい。一般に、技術者は全ての構成要素をそれぞれ検査しなければならず、このことは甚だしい時間の浪費であり、診断設備全体の運用に重大な影響を及ぼす。そのうえ患者に対する危険がある場合には診断設備全体が停止される。問題解決に関連したダウン時間には出費が伴い、不都合でもあるので、その問題が患者に影響を及ぼすか否かを識別できること、したがって設備全体を停止させる必要があるかどうかを識別できることはますます重要になる。
【0028】
したがって本発明の実施形態は、問題の原因が識別される速度及び正確さを向上させることに関する。一実施形態ではコントローラが、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素にデータを送り、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素にデータを要求し、そのデータを例えばディスプレイによって出力するソフトウェアコンポーネントを含む。これらの構成要素のふるまいを明確に定義することができるため、これらの構成要素から受信データを特定動作基準と比較し、及び/又は熟練オペレータによる検査のため単純に表示することができる。
【0029】
次に、図3を参照して、この放射性医薬品生成装置が水生成装置である本発明の一実施形態を詳細に説明する。放射性医薬品生成装置100のコントローラは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)301と、従来のPCコンピュータ320から受信信号に応答してPLC301上でローカルにランする複数のオペレーショナルソフトウェアコンポーネント311とを含む。PC320から受信する信号は、コンフィギュレーションソフトウェアコンポーネント321の制御下で生成される。オペレーショナルソフトウェアコンポーネント311は、放射性医薬品生成装置に関するデータを制御し取得するためのソフトウェアを含み、コンフィギュレーションソフトウェア321は、オペレータが選択及び/又は特定したデータを受信し、このようなデータをオペレーショナルソフトウェア311に送り、オペレーショナルソフトウェア311によって取り出されたデータを処理するように構成されたソフトウェアコンポーネントを含む。一構成では、コンフィギュレーションソフトウェア321が、Labview(登録商標)プログラム言語を使用して書かれるが、適当な任意のコンピュータプログラム言語又はコンピュータプログラム言語の組合せを使用することができることを当業者は理解するであろう。オペレーショナルソフトウェア311は、PLC301に関連した特許プログラム言語を使用して書かれる。
【0030】
図3に示すように、コンピュータ320は、処理ユニット(CPU)323、メモリ324、ハードディスクドライブ325、及びコンピュータ320とPLC301の相互接続を容易にするI/O装置326を含む。オペレーティングシステムプログラム327は、ハードディスクドライブ325上に記憶され、コンピュータ320の低レベルオペレーションを周知の方法で制御する。コンピュータ320はさらに、オペレータから入力を受信し、その入力を、周知の技法に従ってI/O装置326を介してO/Sプログラム327に渡すディスプレイ及びキーボード(図示せず)を含む。
【0031】
図3に示すように、PLC301は、さまざまなオペレーティングモジュールをプラグ接続することができるバス314と、それらのオペレーティングモジュールに関連したデータの処理を調整するバスコントローラ315と、コンピュータ320などの外部装置から入力を受信し、オペレーティングモジュールのオペレーションに従って信号を出力するように構成されたI/O装置313とを含む。一構成では、I/O装置313の入力部分が、コンピュータ320から(シリアルリンクL1を介して)入力信号を受信するように構成されたRS232インタフェースを含み、I/O装置313の出力部分が複数の出力端子を有し、これらの複数の出力端子がそれぞれ、バス314にプラグ接続され対応する放射性医薬品生成装置100の構成要素に接続された異なる1つのモジュールに関連づけられている。バスコントローラ315は、RS232インタフェースからデータを受信し、受信データをオペレーショナルソフトウェア311に従って処理し、バス314上の適当なモジュールにデータを配布するように構成される。適当なPLC301の一例はBeckhoff(商標)PLC(モデルBC8100)である。他のタイプ(特にSiemens(商標)によって製造されたPLC又は特注のPLC)を使用できることを当業者は理解しよう。図3にはバス314にプラグ接続したオペレーティングモジュールが示されていないが、これには、触媒炉101の温度を制御するためのモジュール、弁V1、V2を制御するためのモジュール、ポンプ107を制御・監視しポンプ107からデータを受信するためのモジュール、及びGM管109からデータを受信するためのモジュールが含まれる。弁V1、V2がそれらの付勢状態を示すセンサを含むとき、バス314はさらに、弁V1、V2から状態データを受信するためのモジュールを含む。
【0032】
弁V1及びV2の付勢及び非付勢に関連した機能は従来からの機能である。しかし、オペレーショナルソフトウェア311の他の態様は新しいものであり、オペレータが選択及び/又は特定したデータを処理するコンフィギュレーションソフトウェア321の態様も同様である。具体的にはコンフィギュレーションソフトウェア321はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、これを使用して、モード変更とモード変更(すなわち弁の付勢と非付勢、図2a〜2d)の間の時間間隔、放射性医薬品生成装置イベントの詳細、放射性医薬品生成装置100から取得するデータの詳細、認証基準などのオペレーティングパラメータを指定することができる。GUIを介して入力された後、これらのデータは、放射性医薬品イベントを実行するために対応する制御信号を放射性医薬品生成装置100に送るように構成されたオペレーショナルソフトウェア311に送られる(後に詳述する)。
【0033】
オペレーショナルソフトウェア311はさらに、このような制御信号を送信したことを確認信号によってコンフィギュレーションソフトウェア321に知らせ、及び/又はその放射性医薬品イベントの実行中の放射性医薬品生成装置の構成要素のデータの要求を開始するように構成される。オペレーショナルソフトウェア311が放射性医薬品生成装置の構成要素にデータを要求したとき、それに応答して受け取られたデータは、オペレーショナルソフトウェア321から受け取られる確認信号と一緒に又はこれとは別に、後処理のためコンフィギュレーションソフトウェア311に転送される。このような後処理は、放射性医薬品生成装置のリアルタイム性能の監視及び放射性医薬品生成装置イベントの妥当性の確認を容易にする。これについては以下で詳細に説明する。
【0034】
しかし最初に、放射性医薬品生成装置イベントを構成する際に含まれる本発明の一実施形態に基づく諸ステップを図4及び5を参照して説明する。図4はこれらのステップを示す流れ図であり、図5は、コンフィギュレーションソフトウェアコンポーネント321の一部を構成するグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す概略図である。図4を参照すると、ステップ401で、オペレータは、被験者115に関するデータと放射性医薬品生成装置イベントに関するデータの両方を入力する。この情報には、被験者115の名前、その放射性医薬品生成装置イベントを担当する臨床医の名前、及び認証データが含まれる。好ましくはこの情報は、図5に示すGUIのテキスト入力ボックス501、502、503、504、505を介して入力される。さらに、オペレータは、タブ511によってアクセス可能な別個のスクリーン上にある、放射性医薬品生成装置の構成要素に関する較正値を調べる。これらの較正値には背景放射能レベルが含まれ、これらの較正値は一般に、許可されたユーザしかアクセスできないデータベースDBから読み込まれる。その較正値がその時点の状態を表していない場合、オペレータは、許可されたユーザに、データベース内の較正値の変更を要求することができる。
【0035】
オペレータは次いで、複数のオペレーティングプロトコルのうちの1つを、例えばGUIの特定の領域506の上にカーソルを置いたときに表示されるドロップダウンメニューから選択する403。各プロトコルは一般に、前述の弁モード(モード1〜モード4)の構成及びそれに関係した一時データを表し、放射性医薬品生成装置イベントのタイプに対応する。このGUIは、放射性医薬品生成装置イベントの開始を要求するためにオペレータが押す「operate」ボタン507を含む。コンフィギュレーションソフトウェア321は、GUIの特定のボックスにデータが入力されたことを確認するように構成された確認ソフトウェアコンポーネント(図示せず)を含み、この確認ソフトウェアコンポーネントによりスタートボタン507は、ある条件が満たされるまで(例えばあるボックス501...505にデータが入力されるまで)使用禁止になる。
【0036】
「operate」ボタン507の付勢に応答して、コンフィギュレーションソフトウェア321は、入力された認証データの妥当性を、例えば入力された認証データを予想される入力と比較することによって確認する405。この予想される入力は例えば妥当性確認データベースDBに記憶しておくことができる。認証データの確認が成功裏に終了する仮定すると、コンフィギュレーションソフトウェア321は、ステップ401で入力されたデータをローカルに記憶し407、次いで、PLC301に入力するための制御列S1を構築する409。この実施形態ではデータがコンピュータ320のシリアルポートを通して送信されるので、制御列S1はコンマで区切られた16進列の形態をとる。制御列S1は、ステップ403で選択されたプロトコルを識別するデータを含み、さらに、放射性医薬品生成装置イベントが開始されてからの時間、オペレーショナルソフトウェア311によって設定された弁状態、一方又は両方の弁V1、V2の実際の状態(弁に関連づけられたセンサによって検出可能である)、オペレーショナルソフトウェア311によって適用されたプロトコル、炉101の温度、及びGM管109によって測定された放射能、のうちの少なくとも1つに関連したデータの要求を含む。この要求データは、GUIを介して、或いはデータベースDBに記憶され又はコンフィギュレーションソフトウェア321の中にハードコードされたデータによって、指定することができる。ステップ411で、コンフィギュレーションソフトウェア321はI/O装置326を介して制御列S1を非同期で出力する。次いでコンフィギュレーションソフトウェア321は、例えばPLC301からデータを受信するまで事実上休止される。
【0037】
次に、放射性医薬品生成装置イベントを処理する際に含まれる諸ステップを示す流れ図である図6を参照して、オペレーショナルソフトウェア311の諸態様を説明する。ステップ411で送られた制御列S1は、オペレーショナルソフトウェア311に受信され、その中の情報を抽出するために処理される(ステップ601)。この抽出ステップ601は、制御列S1を構成部分に分解すること、及び必要に応じてこれらをブールデータ又は数値データに変換することを含む。例示の目的上、ステップ403で選択されたプロトコルがシーケンス:蓄積(モード1)120秒、注入(モード2)20秒、フラッシング(モード3)120に対応し、要求部分が、このシーケンス中に監視することができる全てのデータの要求を含むとする。制御列S1を分解すると、オペレーショナルソフトウェア311は最初に初期設定プロセスを実行する603。このプロセスは、炉101の温度をチェックすること(炉温が十分でないと放射性医薬品生成装置イベントが処理できないため)、弁V1、V2を非付勢すること、及び弁センサに対応するオペレーティングモジュールに、各弁が付勢/非付勢された期間をその内部クロックによって記録するように要求することを含む。
【0038】
炉の温度がある指定された動作限界内にあると仮定すると、ステップ605でオペレーショナルソフトウェア311は、モード1に関連したプロセスを開始する。このプロセスは、タイマーt1をセットすること、弁V1、V2に関連したオペレーティングモジュールに信号を送ること、V1を付勢させること、及びこの弁が付勢された時刻を記録することを含む。120秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、V1を非付勢させV2を付勢させる(モード2をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、モードを変更する(ステップ609、610、611、605)。20秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、V1を付勢させる(モード3をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、再びモードを変更し(ステップ609、610、611、605)、さらに120秒が経過した後、オペレーショナルソフトウェア311は、両方の弁を非付勢させる(モード4をセットする)信号を同じオペレーティングモジュールに送り、再びモードを変更する(ステップ609、610、611、613(このサイクルではステップ611の条件が満たされているため))。
【0039】
これらの時間間隔の間に、オペレーショナルソフトウェア311は、(PLC301のバス314にプラグ接続された)さまざまなオペレーティングモジュールに、それらのオペレーションに関するデータ項目を要求する信号を送る。各データ項目は、ステップ601で制御列S1から抽出された部分に対応し、すなわちタイマーt1の値(放射性医薬品生成装置イベントの開始からの経過時間)、弁センサから取り出された弁の実際の状態(付勢又は非付勢)、炉101の温度、及びGM管109によって記録されたカウント数に対応する。これらの信号に応答して受け取られたデータ項目は、ある条件下で、コンフィギュレーションソフトウェア321に送られる。一構成では、オペレーショナルソフトウェア321が、要求されたデータ項目の値を監視し(ステップ607)、要求された状態データ項目の値が変化するたびに、そのデータ項目又は各データ項目を含むコンマで区切られた16進リターン列S2を生み出し、このリターン列S2をRS232 I/Oポート313に送り、コンフィギュレーションソフトウェア321に受信されるようにする(ステップ608)。さらにオペレーショナルソフトウェア311は、放射性医薬品生成装置の構成要素、例えば一方の弁に制御信号を送信するたびにリターン列S2を生成し、そのため、少なくとも、オペレーショナルソフトウェア311がモード変更をしようとするたびにリターン列S2が送られる。
【0040】
PLC301から最後にデータが送られてからあるデータ項目の値が変更されていない場合、そのデータ項目に対応するリターン列S2の部分はその前の値をとる。したがって、GM管109の中を通過する食塩水が放射性でない第1のモード(図2a)の間、GM管109が放射能レベルの変化を記録する可能性は低い。したがってこの期間中に(例えば炉101の温度の変化によって、又は弁の実際の状態が変化した場合に)1以上のリターン列S2がコンフィギュレーションソフトウェア321に送られる場合、連続して送信されたリターン列S2のGM管109に関する値は互いに全く同じか、又は少なくとも非常に似ている可能性が高い。しかし、領域113の放射性医薬品が被験者へ輸送される第2のモード(図2b)中は、測定される放射能のレベル(したがってそれに対応するリターン列S2の部分)が変動することが予想される。リターン列S2は放射性医薬品生成装置イベント中に送信されるため、この実施形態は、放射性医薬品生成装置のリアルタイム監視を可能にする。
【0041】
或いは又はこれに加えて、コンフィギュレーションソフトウェア321は、(図3に示した要求列S3によって)明示のデータ要求をオペレーショナルソフトウェア311に送ることができ、それによってオペレーショナルソフトウェア311は、現在使用可能なデータ項目を使用してリターン列S2を生み出し、又はさまざまなオペレーティングモジュールにデータ項目の要求を送り、それに応答して送り返されたデータを使用してリターン列S2を生み出す。
【0042】
或いはオペレーショナルソフトウェア311はリターン列S2を定期的に生み出し、コンフィギュレーションソフトウェア321に送ることができる。この構成ではコンフィギュレーションソフトウェア321が、このようなリターン列S2に対して対応する周期でポーリングするように構成される。コンフィギュレーションソフトウェア321は、予想される時刻にリターン列S2を識別できない場合に警告を生成するように構成され、警告は例えばGUIを介して出力することができる。
【0043】
次に、それぞれリターン列S2を後処理する際に含まれる諸ステップを示す流れ図、コンフィギュレーションソフトウェア321によって表示される出力を示す概略図である図7及び8を参照して、リターン列S2の後処理を説明する。リターン列S2がコンピュータ320のI/Oポート326で受け取られると、コンフィギュレーションソフトウェア321は最初にエラーチェックを実行し701、このエラーチェックが成功裏に終了した場合にはこのリターン列S2を構成部分に分解し703、これらの構成部分を、指定された一組の変換規則に従ってブール値又は整数/非整数値に変換する705。エラーチェックは例えば、リターン列S2の長さを指定された長さに対してチェックすることを含む。先に述べたとおり、各構成部分は1つのデータ項目、すなわち弁V1、V2の状態、炉101の温度及び/又はGM管109で測定された放射能などに対応し、これはその後、放射性医薬品生成装置のさまざまな構成要素の動作状態を評価するためコンフィギュレーションソフトウェア321によって処理される。一構成では、この一組の規則が、リターン列S2の中の各データ項目、すなわち弁(実際の状態及び適用されたプロトコル)、GM管測定値、炉温などに対応する1以上の規則を含む。明快にするために以下の節では個々のデータ項目の後処理を説明する。
【0044】
最初に弁V1、V2に関するデータの後処理を考える。ステップ706は、リターン列S2が、弁センサによって感知された実際の弁データとオペレーショナルソフトウェア311によって送られた制御信号の確認のうちの一方か又は両方を含むかどうかを識別することを含む。実際のデータと確認データの両方が使用可能である場合、各データタイプに対応する動作モード及びその「自然言語」記述が、記憶されたモードと記述の間のマッピング(蓄積:モード1、注入:モード2、フラッシング:モード3、廃棄:モード4)(図示せず)から識別される(ステップ707)。弁センサデータから識別されたモードと制御信号データの確認から識別されたモードとの間に対応関係が存在する場合には、ステップ707で識別された自然言語記述を、コンフィギュレーションソフトウェア311のGUI上(ボックス531)に表示する709ことができ、これはオペレータによって検査される。したがって弁V1、V2の実際の状態又はリアルタイム状態を監視することによって、オペレータは、放射性医薬品生成装置イベントの進捗を追跡することができる。これらのモードが一致しない場合、警告が生成される。
【0045】
使用可能な場合にはさらに、弁センサが弁状態の変化を確認した実際の時刻を表示することができ(図示せず)、及び/又は、この時刻を使用して、PLC301での待ち時間及び/又は弁の動作を定量化することができる(オペレータは、ステップ403で選択されたプロトコルの中に指定された予想持続時間を、実際の持続時間と比較する(ステップ611、613)ことができ、実際の持続時間がある条件を満たさない(例えば故障した弁を示す)場合、警告を生成することができる)。リターン列S2が、オペレーショナルソフトウェア311によって送られた制御信号の確認だけを含む場合、一時データの後処理はなく、動作モードの自然言語記述は、確認データだけから識別された記述に一致する。
【0046】
次に、やはり図7を参照して触媒炉101に関するデータの後処理を考える。リターン列S2から温度データを抽出した後、コンフィギュレーションソフトウェア321は規則を適用して、この温度が指定された動作範囲内にあるかどうかを識別し721、GUI上(ボックス801)にこの温度を表示し723、この温度が指定された動作範囲から外れている場合には、コンフィギュレーションソフトウェア321は、警告を作成し表示する(ステップ725、727)。ステップ723はさらに、この温度データ項目の値を記憶することを含むことができ、このことは履歴温度値を追跡する手段を提供する。
【0047】
次にGM管109からのデータの後処理を考える。ステップ731は、測定誤差及び背景放射能レベルを補償するため、測定された放射能データ項目値に補正を加えることを含む。したがってこのステップは、ステップ401で選択された較正値及び背景値を取得すること、及び補正後の放射能レベルを識別するために、これらの値を、ステップ705で抽出された放射能値に適用することを含む。この補正後レベルは次いで、図5に示したグラフ領域521に、経過時間t1(経過時間自体は図5に示されたボックス533に表示される)の関数としてリアルタイムで表示され733、したがって連続して受け取られるリターン列S2は、放射性医薬品生成装置に関連した放射能の変化をリアルタイムで追跡し(放射能値はグラフ領域521上にプロットされる)、被験者115に注入される放射能の大きさを監視する手段を提供する。
【0048】
したがって以上に説明した実施形態は、オペレータが、放射性医薬品生成装置100の構成要素の動作と、放射性医薬品生成装置イベントの進捗の両方を監視することを可能にする。これは問題の迅速な識別を可能にし、問題の迅速な識別は、この問題の被験者に対する影響の評価、この問題の原因となっている構成要素の分離、及びこのような構成要素コだけの分離を容易にする。これによって、潜在的に危険なイベントが実際の危険になる可能性が低下し、問題の原因の調査に費やされる時間が短縮し、したがってPET設備のダウン時間が短縮する。
【0049】
導入部で述べたとおり、現行の放射性医薬品生成装置の他の問題は、放射性医薬品生成装置のところでしか放射能レベルが測定されないことである。周知のとおり、ラジオアイソトープの崩壊はその半減期によって決まり、それは指数関数的に崩壊する。被験者の体内でのラジオアイソトープの崩壊(これはPET設備によって測定されるものであり、本発明の関心事項ではない)は、その半減期からの寄与、及び被験者の分子と結合したラジオアイソトープに起因する生物学的効果からの寄与を含む。生物学的効果を確認するためには、ラジオアイソトープの半減期に起因する崩壊を測定値から除かなければならず、したがって最初に定量化が必要となる。図9を参照すると、放射性医薬品生成装置100と被験者115はある合理的な距離だけ離され、そのため、放射性医薬品が放射性医薬品生成装置100から被験者115に移動するのにある一定の時間がかかる。その結果、放射性医薬品生成装置100の内部の検出器109によって測定される放射能のレベルは、被験者に注入された放射能のレベルを指示しないと考えられる。
【0050】
放射性医薬品生成装置の内部の放射能レベルは、被験者の位置での放射能レベルよりも高いと予想されるので、放射性医薬品生成装置の内部で測定された放射能レベルを使用して半減期を表す場合には、生物学的寄与の見かけの大きさはその実際の値よりも低くなると考えられる。酸素15の半減期は2分でしかないので、酸素15などのラジオアイソトープにとってこのことは重大といえる。
【0051】
再び図9を参照すると、本発明の第2の態様では、放射性医薬品生成装置100が、PET設備のスキャナ903の近くに構成された第2の放射能検出器901を含み、この検出器は別のGM管でも又は他の適当な装置でもよい。これは、できるだけ被験者115に近い位置での放射能の測定を容易にし、それによって被験者の生物学的特性の定量的測定を向上させる。一構成では、長さ1200mmの送達管116に対して、第2の放射能検出器901を、被験者に注入する点から100〜150mmのところに構成することができる。
【0052】
放射性医薬品を腕に注入する場合には、検出器901を、患者の腕の送達管116のすぐ近くに構成することができる。図10に示した装置などの適当な保持装置1001を使用して検出器901を所定の位置に固定することができ、図から分かるとおり、送達管116は保持装置1001の開口1000の中を通り、したがって検出器901にさらされる。保持装置1001は、穴1005を介して装置1001をスキャナ903に固定するためのプレート1003を含む。
【0053】
第2の検出器901のデータ出力は、データリンク、及び検出器901からデータを受信し検出器901にデータを要求するように構成された他のオペレーティングモジュール(図示せず)を介して、PLC301に結合することができる。或いは、GM管109に対応するオペレーティングモジュールを、GM管109と検出器901の両方と通信するように構成することもできる。いずれにしても、オペレーショナルソフトウェア311によって生成されるリターン列S2が先に述べたように生み出され、本発明のこの第2の態様ではリターン列S2が、GM管109からのデータと検出器901からのデータの両方を含む。このことは、図7に記載されていない幾つかかの処理ステップをコンフィギュレーションソフトウェア321が実行しなければならないことを意味する。これらのステップは図11に示されており、本発明の両態様に共通するステップは、図7に導入された参照符号を使用して参照されている。したがって最初に、本発明の第1の態様と同様に、ステップ701で、コンフィギュレーションソフトウェア321がエラーチェックを実行し、このエラーチェックが成功裏に終了した場合にはリターン列S2を構成部分に分解し703、これらの構成部分を、指定された一組の変換規則に従ってブール値又は整数/非整数値に変換する705。ステップ1101a、1101bで、背景及び較正調整を考慮するために検出器109、901に対応する放射能データ項目が補正される(検出器のタイプが異なる場合、ステップ401で指定される背景及び較正値は異なる可能性が高いことに留意されたい)。検出器901は、被験者115の近くの放射能値を測定しているため、これらの補正された値はグラフ領域521に表示され(ステップ1102)、更なる処理のためにPET設備の処理部分(図示せず)に出力される。
【0054】
(PET設備によって測定された)測定された崩壊に対する生物学的寄与の定量化の向上を容易にするだけでなく、これらの追加のデータを、ラジオアイソトープのふるまいを監視し、検出器109、901の動作を確認するために使用することもできる。これに応じて一構成では、GM管109によって測定された放射能値を調整して2つの検出器間の距離を考慮に入れ、第2の検出器901における予想放射能レベルを推定する(ステップ1103)。この予想値は、第2の検出器901によって測定された実際の値と比較され(ステップ1105)、この予想値と第2の検出器901によって測定された実際の値との差が、指定されたしきい値を上回っている場合には警告が生成される(ステップ1109)。この段階では、どちらの検出器109、901が不正確なのかは分からないため、この警告は、PET設備の処理部分及び(例えばGUIを介して)放射性医薬品生成装置100のオペレータに渡される。
【0055】
本発明の第1の態様では蓄積120秒/注入20秒/フラッシング120秒を含む特定のプロトコル(放射性医薬品生成装置イベント)を記述したが、他のプロトコルも可能である。これらはポップアップメニュー507から選択可能であり、これには以下のものが含まれる(全てを網羅したリストではない)。
【0056】
1.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング120秒
2.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング50秒
3.蓄積120秒/注入20秒/フラッシング20秒
4.活性テスト:放射能レベルをチェックするためにV2を常に廃棄に向かって開くほかは1と同じ
5.滅菌モード:V1とV2の4つの全ての組合せを順番に切り替えて、全ての経路を清浄にする
6.ロングフラッシュ:V2を常に付勢し、その間にV1をその2つの状態間で切り替える
7.試料採取:V2を30秒間付勢し、1分間非付勢し、V1とV2の両方を30秒間付勢する
8.V1及びV2を50秒間付勢して、被験者までの管路を新しい食塩水で満たす
9.保守中に必要に応じて炉のヒータをON又はOFFにする
10.保守中に必要に応じて弁V1及びV2をON又はOFFにする
11.終了モード:弁V1、V2をOFFにする
以上の実施形態ではPLC301とPCの間の接続をシリアルリンクとしたが、或いはこの接続を無線接続、例えばBluetooth又はWLANとすることもできる。
【0057】
ステップ401は、GUIにデータを手動で入力することを含むが、その代わりにログファイルなどに識別データを記憶しておき、GUIが呼び出されたときに識別データをそこから読み出すこともできる。
【0058】
本発明の上記第1の態様に関する実施形態では、オペレーティングソフトウェア311が弁V1、V2、GM管109及び炉101からデータを要求するが、オペレーティングソフトウェア311はさらにポンプ107に関するデータ項目を要求してもよい。具体的にはポンプ107が、ポンプの中でポンピングされる食塩水の圧力及び質量流量を測定するための手段を備えている場合には、オペレーティングソフトウェア311は、この流量及びポンプ圧力のデータを(例えばバス314上の別のモジュールを介して)受信し、これらのデータをリターン列S2に含めてもよい。これらのポンプデータを含むリターン列S2の処理は、流量の変化を経時的に監視することを含むと考えられ、この変化がある条件を満たす場合、コンフィギュレーションソフトウェア321は、放射性医薬品生成装置「停止」イベントを生成するオプションを含む警告メッセージを生成するだろう。さらにポンプ圧力も経時的に監視され、指定のポンプ圧上昇と指定の流量低下が同時に起こった場合には、同様に警告メッセージ(及び放射性医薬品生成装置を停止させる可能性)がオペレータに送られるだろう。ポンプ圧力の上昇を伴う質量流量の低下は、管の閉塞(無害)又は食塩水が注入されたときの被験者115によるなんらかの反応(潜在的に有害)を意味する可能性があるため、このことは特に有用である。本発明のこの特徴はしたがって、オペレータが、a)被験者115に影響を及ぼす可能性がある問題が存在することを知り、b)放射性医薬品生成装置100を停止し、c)問題の原因を正確に特定し、d)問題の原因を現時点で可能なよりもはるかに早く調べる、ことを可能にする。
【0059】
この開示は例示だけを目的にしたものであること、及び本発明は本発明の変更、変形及び改良にまで拡張されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態と相互使用が可能な放射性医薬品生成装置の概略図である。
【図2a】第1の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2b】第2の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2c】第3の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図2d】第4の構成に構成された図1の弁を示す概略図である。
【図3】図1の放射性医薬品生成装置のための本発明の第1の態様の一実施形態に基づくコントローラを示す概略図である。
【図4】本発明の第1の態様の一実施形態に基づく図3のコントローラによって実行されるステップを示す流れ図である。
【図5】図3のコントローラの一部を構成するGUIの概略図である。
【図6】図3のコントローラによって実行される他のステップを示す流れ図である。
【図7】図3のコントローラによって実行される他のステップを示す流れ図である。
【図8】図3のコントローラの一部を構成するGUIの概略図である。
【図9】本発明の第2の態様に係る核医学診断設備の概略図である。
【図10】本発明の第2の態様に係る第2の検出器の保持装置を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の態様に基づいてデータを処理するように変更された図3のコントローラによって実行されるステップを示す流れ図である。
【図12】放射能化学モジュールを含む本発明の第1の態様に係る放射性医薬品生成装置の透視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性医薬品生成システムであって、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記又は各システム要素が1以上の制御信号を受信するように構成されており、当該システムが、制御信号を生成するように構成されたコントローラを含み、1以上のプロセスが制御信号に基づいて実行される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、放射性医薬品生成システムの状態を示す出力信号を受信するように構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、受信出力信号に基づいて放射性医薬品生成システムの状態を追跡し、放射性医薬品生成システムの状態の変化に応答して、流体処理システムの状態を示すデータを監視ソフトウェアコンポーネントに送信するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
流体処理システムの状態を示す信号が、少なくとも1つのシステム要素への制御信号の送信に対応する、請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
監視ソフトウェアコンポーネントが、特定条件を満たす抽出データに応答して終了制御信号をトリガーするように構成されており、終了制御信号が、システム要素に受信されたときに、その時点で実行中のプロセスを終了させる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
監視ソフトウェアコンポーネントが、予想動作状態にないと識別された各システム要素に終了制御信号をトリガーするように構成されており、終了制御信号が、システム要素に受信されたときに、その時点で実行中のプロセスを終了させる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
1つのシステム要素が予想動作状態にないことを監視ソフトウェアコンポーネントが識別したことに応答して警告を生成するように構成された警告手段を含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
監視ソフトウェアコンポーネントが、流体処理システムの状態を識別するために、出力信号から抽出データを処理するように構成されている、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
識別された状態を示すデータを出力するように構成された出力ソフトウェアコンポーネントを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
出力ソフトウェアコンポーネントが、識別された状態を示すデータを表示するように構成された表示手段を含む、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
表示手段が、識別された状態に対応する自然言語記述子を表示するように構成されている、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
流体処理システムが、加熱装置と、被験者への出力を含む放射性医薬品送達システムと、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプと、放射性医薬品送達経路の経路上に構成された少なくとも1つの放射能検出器とを含む、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
流体処理システムが、加熱装置の温度と、弁の付勢状態と、ポンプの流量及び印加圧力と、放射能検出器によって測定された放射能と、プロセスが始まってから経過した時間、のうちの少なくとも幾つかかを示す信号を出力するように動作可能である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
監視ソフトウェアコンポーネントが、どのプロセスがその時点で実行されているのかを、弁の付勢状態を識別するデータに基づいて識別するように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
監視ソフトウェアが、ポンプ圧力に関して抽出データ及び流量に関して抽出データを、特定動作限界と比較し、圧力及び/又は流量の一方又は両方が動作限界から外れている場合に警告を生成するように構成されている、請求項13乃至請求項15のいずれか1項記載のシステム。
【請求項17】
放射性医薬品が15Oで標識された水を含む、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
流体処理システムの制御に使用される複数の制御信号を生成するステップと、
生成された制御信号を、流体処理システムの中の複数のシステム要素に送信するステップと、
生成された制御信号の少なくとも幾つかかを示すデータを監視システムに伝達するステップと、
伝達されたデータを処理して、システム要素の予想動作状態を識別するステップと、
システム要素の動作状態を示すデータを受信するステップと、
受信データを、予想動作状態に基づく1以上の所定の条件と比較し、受信データが、1以上のシステム要素が予想される状態にないことを指示していることに応答して、そのことを示すデータを監視システムに送信するステップ
のうちの少なくとも幾つかかのステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
流体処理システムを制御するための制御信号を構築する際に使用されるコントローラに、特定動作条件を送信するステップと、
流体処理システムの状態を示すデータを受信するステップと、
受信データを特定条件に基づいて評価するステップと、
評価されたデータを示すユーザが認識可能な出力を生成するステップ
のうちの少なくとも幾つかかのステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、複数の動作位置をとることができる少なくとも1つのアクチュエータ要素を有し、アクチュエータ要素のその時点の動作位置を決定し、決定された動作位置を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムの状態を識別するために、1以上のプロセスの実行中に出力信号から抽出データを処理するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システム。
【請求項21】
アクチュエータ要素が弁要素を含む、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを複数の制御信号に基づいて実行するように構成され、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムを制御するように構成されたコントローラであって、少なくとも幾つかかの制御信号を生成するように構成された少なくとも1つの制御ソフトウェアコンポーネントを有するコントローラと、
放射性医薬品生成システムの状態に関するデータを受信するように構成された監視ソフトウェアコンポーネントと
を含み、
コントローラが、1以上のプロセスの実行中に放射性医薬品生成システムの状態を追跡し、放射性医薬品生成システムの状態を示すデータを監視ソフトウェアコンポーネントに出力するように構成されており、監視ソフトウェアコンポーネントが、予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力データを1以上の動作条件と比較するように構成されている
放射性医薬品生成システム。
【請求項23】
放射性医薬品に関して使用される放射能検出システムであって、
ラジオアイソトープを受け取り、これから放射性医薬品を生成するように構成された流体処理モジュールと、
生成した放射性医薬品を被験者に送達するように構成され、流体処理モジュールと被験者の間で使用可能な送達経路を含む放射性医薬品送達システムと、
送達経路内の放射能を測定し、それを示す信号を出力するように構成された放射能検出器と
を含む放射能検出システム。
【請求項24】
放射能検出器が、送達経路に沿って、送達経路の長さの被験者から5%〜50%の距離、より好ましくは送達経路の長さの被験者から7%〜12%の距離に構成されている、請求項23記載の放射能検出システム。
【請求項25】
放射能検出システムが、出力信号を処理するように構成された処理システムを含む、請求項23又は請求項24記載の放射能検出システム。
【請求項26】
流体処理モジュールがその中に、流体処理モジュール内の放射能を測定しそれを示す信号を出力するように構成されたモジュール放射能検出器を含み、処理システムが出力信号を処理するように構成されている、請求項23乃至25のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【請求項27】
処理システムが、放射能検出器から受信信号とモジュール放射能検出器から受信信号とを比較するように構成されている、請求項26記載の放射能検出システム。
【請求項28】
出力信号が複数の信号成分を含み、モジュール放射能検出器から受信少なくとも1つの該信号成分について、処理システムが、放射能検出器から受信信号の対応する成分を識別するように構成されている、請求項27記載の放射能検出システム。
【請求項29】
モジュール放射能検出器から受信少なくとも1つの該信号成分について、処理システムが、その検出と放射能検出器から受信信号の対応する成分の検出との間の時間遅延を識別するように構成されている、請求項27又は請求項28記載の放射能検出システム。
【請求項30】
処理システムが、放射能検出器とモジュール放射能検出器の間の距離を示すデータを受信するように構成されている、請求項26乃至請求項29のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【請求項31】
放射能検出器から受信信号の任意の信号成分について、処理システムが、モジュール放射能検出器から受信信号の対応する成分に関するこの成分の発生の予想される遅延を距離データに基づいて推定し、信号成分に対応する識別された時間遅延を推定された遅延と比較するように構成されている、請求項27乃至請求項29のいずれか1項に従属するときの請求項30記載の放射能検出システム。
【請求項32】
モジュール放射能検出器から受信信号の任意の信号成分について、処理システムが、ラジオアイソトープの半減期及び距離データに基づいて、予想される放射能値を推定し、信号成分を推定された放射能値と比較するように構成されている、請求項30が請求項27乃至請求項29のいずれか1項に従属するときの請求項30又は請求項31記載の放射能検出システム。
【請求項33】
流体処理モジュールが、加熱装置と、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプとを含む、請求項23乃至請求項32のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【請求項1】
放射性医薬品生成システムであって、
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力信号からデータを抽出し、抽出データを1以上の動作条件と比較するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記又は各システム要素が1以上の制御信号を受信するように構成されており、当該システムが、制御信号を生成するように構成されたコントローラを含み、1以上のプロセスが制御信号に基づいて実行される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、放射性医薬品生成システムの状態を示す出力信号を受信するように構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、受信出力信号に基づいて放射性医薬品生成システムの状態を追跡し、放射性医薬品生成システムの状態の変化に応答して、流体処理システムの状態を示すデータを監視ソフトウェアコンポーネントに送信するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
流体処理システムの状態を示す信号が、少なくとも1つのシステム要素への制御信号の送信に対応する、請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
監視ソフトウェアコンポーネントが、特定条件を満たす抽出データに応答して終了制御信号をトリガーするように構成されており、終了制御信号が、システム要素に受信されたときに、その時点で実行中のプロセスを終了させる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
監視ソフトウェアコンポーネントが、予想動作状態にないと識別された各システム要素に終了制御信号をトリガーするように構成されており、終了制御信号が、システム要素に受信されたときに、その時点で実行中のプロセスを終了させる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
1つのシステム要素が予想動作状態にないことを監視ソフトウェアコンポーネントが識別したことに応答して警告を生成するように構成された警告手段を含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
監視ソフトウェアコンポーネントが、流体処理システムの状態を識別するために、出力信号から抽出データを処理するように構成されている、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
識別された状態を示すデータを出力するように構成された出力ソフトウェアコンポーネントを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
出力ソフトウェアコンポーネントが、識別された状態を示すデータを表示するように構成された表示手段を含む、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
表示手段が、識別された状態に対応する自然言語記述子を表示するように構成されている、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
流体処理システムが、加熱装置と、被験者への出力を含む放射性医薬品送達システムと、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプと、放射性医薬品送達経路の経路上に構成された少なくとも1つの放射能検出器とを含む、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
流体処理システムが、加熱装置の温度と、弁の付勢状態と、ポンプの流量及び印加圧力と、放射能検出器によって測定された放射能と、プロセスが始まってから経過した時間、のうちの少なくとも幾つかかを示す信号を出力するように動作可能である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
監視ソフトウェアコンポーネントが、どのプロセスがその時点で実行されているのかを、弁の付勢状態を識別するデータに基づいて識別するように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
監視ソフトウェアが、ポンプ圧力に関して抽出データ及び流量に関して抽出データを、特定動作限界と比較し、圧力及び/又は流量の一方又は両方が動作限界から外れている場合に警告を生成するように構成されている、請求項13乃至請求項15のいずれか1項記載のシステム。
【請求項17】
放射性医薬品が15Oで標識された水を含む、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
流体処理システムの制御に使用される複数の制御信号を生成するステップと、
生成された制御信号を、流体処理システムの中の複数のシステム要素に送信するステップと、
生成された制御信号の少なくとも幾つかかを示すデータを監視システムに伝達するステップと、
伝達されたデータを処理して、システム要素の予想動作状態を識別するステップと、
システム要素の動作状態を示すデータを受信するステップと、
受信データを、予想動作状態に基づく1以上の所定の条件と比較し、受信データが、1以上のシステム要素が予想される状態にないことを指示していることに応答して、そのことを示すデータを監視システムに送信するステップ
のうちの少なくとも幾つかかのステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
流体処理システムを制御するための制御信号を構築する際に使用されるコントローラに、特定動作条件を送信するステップと、
流体処理システムの状態を示すデータを受信するステップと、
受信データを特定条件に基づいて評価するステップと、
評価されたデータを示すユーザが認識可能な出力を生成するステップ
のうちの少なくとも幾つかかのステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを実行するように構成された流体処理システムで、複数の動作位置をとることができる少なくとも1つのアクチュエータ要素を有し、アクチュエータ要素のその時点の動作位置を決定し、決定された動作位置を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムの状態を識別するために、1以上のプロセスの実行中に出力信号から抽出データを処理するように構成された少なくとも1つの監視ソフトウェアコンポーネントと
を含む放射性医薬品生成システム。
【請求項21】
アクチュエータ要素が弁要素を含む、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
放射性医薬品に関する1以上のプロセスを複数の制御信号に基づいて実行するように構成され、各々予想動作状態を有する複数のシステム要素を有し、流体処理システムの状態を示す信号を出力するように構成された流体処理システムと、
流体処理システムを制御するように構成されたコントローラであって、少なくとも幾つかかの制御信号を生成するように構成された少なくとも1つの制御ソフトウェアコンポーネントを有するコントローラと、
放射性医薬品生成システムの状態に関するデータを受信するように構成された監視ソフトウェアコンポーネントと
を含み、
コントローラが、1以上のプロセスの実行中に放射性医薬品生成システムの状態を追跡し、放射性医薬品生成システムの状態を示すデータを監視ソフトウェアコンポーネントに出力するように構成されており、監視ソフトウェアコンポーネントが、予想動作状態にないシステム要素を識別するために、出力データを1以上の動作条件と比較するように構成されている
放射性医薬品生成システム。
【請求項23】
放射性医薬品に関して使用される放射能検出システムであって、
ラジオアイソトープを受け取り、これから放射性医薬品を生成するように構成された流体処理モジュールと、
生成した放射性医薬品を被験者に送達するように構成され、流体処理モジュールと被験者の間で使用可能な送達経路を含む放射性医薬品送達システムと、
送達経路内の放射能を測定し、それを示す信号を出力するように構成された放射能検出器と
を含む放射能検出システム。
【請求項24】
放射能検出器が、送達経路に沿って、送達経路の長さの被験者から5%〜50%の距離、より好ましくは送達経路の長さの被験者から7%〜12%の距離に構成されている、請求項23記載の放射能検出システム。
【請求項25】
放射能検出システムが、出力信号を処理するように構成された処理システムを含む、請求項23又は請求項24記載の放射能検出システム。
【請求項26】
流体処理モジュールがその中に、流体処理モジュール内の放射能を測定しそれを示す信号を出力するように構成されたモジュール放射能検出器を含み、処理システムが出力信号を処理するように構成されている、請求項23乃至25のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【請求項27】
処理システムが、放射能検出器から受信信号とモジュール放射能検出器から受信信号とを比較するように構成されている、請求項26記載の放射能検出システム。
【請求項28】
出力信号が複数の信号成分を含み、モジュール放射能検出器から受信少なくとも1つの該信号成分について、処理システムが、放射能検出器から受信信号の対応する成分を識別するように構成されている、請求項27記載の放射能検出システム。
【請求項29】
モジュール放射能検出器から受信少なくとも1つの該信号成分について、処理システムが、その検出と放射能検出器から受信信号の対応する成分の検出との間の時間遅延を識別するように構成されている、請求項27又は請求項28記載の放射能検出システム。
【請求項30】
処理システムが、放射能検出器とモジュール放射能検出器の間の距離を示すデータを受信するように構成されている、請求項26乃至請求項29のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【請求項31】
放射能検出器から受信信号の任意の信号成分について、処理システムが、モジュール放射能検出器から受信信号の対応する成分に関するこの成分の発生の予想される遅延を距離データに基づいて推定し、信号成分に対応する識別された時間遅延を推定された遅延と比較するように構成されている、請求項27乃至請求項29のいずれか1項に従属するときの請求項30記載の放射能検出システム。
【請求項32】
モジュール放射能検出器から受信信号の任意の信号成分について、処理システムが、ラジオアイソトープの半減期及び距離データに基づいて、予想される放射能値を推定し、信号成分を推定された放射能値と比較するように構成されている、請求項30が請求項27乃至請求項29のいずれか1項に従属するときの請求項30又は請求項31記載の放射能検出システム。
【請求項33】
流体処理モジュールが、加熱装置と、送達システムの経路を制御するように構成された複数の弁と、透析装置と、送達システムを巡って放射性医薬品をポンピングするためのポンプとを含む、請求項23乃至請求項32のいずれか1項記載の放射能検出システム。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−524808(P2006−524808A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505946(P2006−505946)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001033
【国際公開番号】WO2004/080523
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Bluetooth
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001033
【国際公開番号】WO2004/080523
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Bluetooth
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】
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