放射線不透過性マーカ付きステント
ステントの一部分の留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを含むステントであって、マーカが少なくとも部分的にマーカの拡張部分とステントの留置部内の部分の内面との間の締まり嵌めによって該部分に結合され、変形マーカと内面との間の少なくとも幾つかの間隙にポリマ被覆材が充填され、かつマーカが撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を含む、ステント。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ステントのような植込み型医療装置に関する。特に、本発明は放射線不透過性マーカ付きポリマステントに関する。
【現状技術の概要】
【0002】
本発明は、体内管腔に植え込むようになっている、径方向に拡張可能なエンドプロテーゼに関する。「エンドプロテーゼ」は、体内に配置される人工装置に相当する。「管腔」とは、血管のような管状器官の空洞を指す。ステントは、そのようなエンドプロテーゼの一例である。ステントは略円筒状の装置であり、血管または他の解剖学的管腔、例えば尿路および胆管の一部分を開通状態に維持し、かつ時には拡張させるように機能する。ステントはしばしば、血管のアテローム硬化性狭窄症の治療に使用される。「狭窄症」とは、体内通路またはオリフィスの直径の狭窄または収縮を指す。そのような治療で、ステントは体管を補強し、かつ血管系における血管形成術後の再狭窄を防止する。「再狭窄」とは、(バルーン血管形成術、ステント術、または弁形成術などによる)治療が明らかに成功した後に、血管または心臓弁に狭窄症が再発生することを指す。
【0003】
ステントの構造は一般的に、相互接続構造要素またはストラットのパターンまたはネットワークを含む足場から構成される。足場は、ワイヤ、管、または円筒状に丸めたシート状の材料から形成することができる。加えて、薬物が添加されたステントは、金属またはポリマいずれかの足場の表面にポリマ担体を被覆することによって作製することができる。ポリマ足場は、活性剤または薬剤の担体として働くこともできる。
【0004】
ステントによる患部の治療の第1段階は、一般的に血管のX線画像を得ることによって、疑われる血管の病変のように、治療を必要とするかもしれない領域を突き止めることである。画像を得るために、ヨウ素のような放射線不透過性物質を含む造影剤が血管に注入される。「放射線不透過性」とは、X線を吸収する物質の能力を指す。X線画像は血管の管腔を示し、そこから医師は潜在的治療領域を識別することができる。その場合、治療はステントの送達および展開の両方を含む。「送達」とは、ステントを体内管腔に導入し、それを通して治療を必要とする血管内の領域にステントを搬送することを指す。「展開」とは、治療領域の管腔内でステントを拡張させることに相当する。ステントの送達および展開は、カテーテルの一端付近にステントを配置し、カテーテルの該端を経皮的に体内管腔内に挿入し、体内管腔内でカテーテルを所望の治療位置まで前進させ、治療位置でステントを拡張させ、かつ管腔からカテーテルを取り出すことによって達成される。バルーン拡張型ステントの場合、ステントはカテーテルに配置されたバルーンの周りに取り付けられる。ステントの取付けは一般的に、ステントをバルーン上に圧縮またはクリンプすることを含む。次いでステントは、バルーンを膨張させることによって拡張される。バルーンは次いで収縮され、カテーテルは抜去される。自己拡張ステントの場合、ステントは、後退可能なシースまたはソックを介して、カテーテルに固定することができる。ステントが所望の体内位置にあるときに、シースを引き抜いてステントを自己拡張させることができる。
【0005】
ステントは、多数の機械的要件を同時に満たすことができなければならない。第一に、ステントは構造負荷、すなわちステントが血管内腔の壁を支持するときにステントに掛かる径方向の圧縮力に、耐えることができなければならない。適切な径方向の強度、またはより正確にはフープ強度を持つことに加えて、ステントは、蛇行状の血管経路内を操縦されることを可能にし、かつ直線状でないかもしれずあるいは撓みを受けやすいかもしれない展開部位に順応することを可能にするように、長手方向に可撓性でなければならない。ステントを作成する材料は、ステントの構造の局所的部分のかなりの変形を要求する拡張をステントが受けることを可能にするものでなければならない。ひとたび拡張されると、ステントは、心臓の鼓動によって誘発される周期的負荷をはじめ、それにのしかかる様々な力にもかかわらず、その耐用期間中ずっとその大きさおよび形状を維持しなければならない。最後に、ステントは不利な血管反応を引き起こさないように、生体適合性でなければならない。
【0006】
上述の機械的要件を満たすことに加えて、ステントは放射線不透過性であること、つまりX線下で透過観察可能であることが望ましい。正確なステント配置はステントの送達の実時間可視化によって容易になる。心臓病専門医または介入放射線科医は、患者の脈管構造を通過する送達カテーテルを追跡し、ステントを病変部位に正確に配置することができる。これは一般的に蛍光透視法または同様のX線可視化手順によって達成される。ステントが透過観察可能であるためには、ステントが周囲の組織より高いX線吸収性でなければならない。ステントの放射線不透過性材料は、その直接可視化を可能にすることができる。
【0007】
多くの治療用途において、体内におけるステントの存在は、例えば血管の開存性および/または薬剤送達を維持するというその意図された機能が達成されるまで、限定された期間のみ必要である。したがって、生体分解性、生体吸収性、および/または生体侵食性材料から作製されたステントは、それらの臨床的必要性が終了した後、完全に腐食するように設計することができるので、この追加の臨床的要件を満たすように構成することができる。生体分解性ポリマから作製されたステントは、1つには所望の時間枠内に完全に腐食するように設計することができるので、特に有望である。
【0008】
しかし、生体分解性ポリマ(ならびに炭素、水素、酸素、および窒素から一般的に構成されるポリマ)の重大な欠点は、それらが放射線不透過性を持たず、放射線を透過することである。生体分解性ポリマは、生体組織と同様のX線吸収性を持つ傾向がある。
【0009】
この問題に対処する1つの方法は、ステントの構造要素に放射線不透過性マーカを付加することである。放射線不透過性マーカは、マーカが構造要素に固定されるように、構造要素内に配置することができる。しかし、ポリマステントに対するステントマーカの使用は多数の課題を伴う。1つの課題はマーカの挿入の難しさに関係する。
【0010】
別の課題は、ポリマストラットの幾つかの領域がクリンピングおよび拡張中に、著しい変形またはひずみを受ける傾向があるという事実に関係する。特に、そのような変化はポリマの塑性変形のためである。したがって、ステントの展開中に、拡張するステントに応力が加えられるときに、要素を含むステントの部分が破損または伸張することがある。その結果、マーカが取り除かれることがある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の実施形態は、ステントの一部分の留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。マーカは、少なくとも部分的にマーカの拡張部分と留置部内のステント部分の内面との間の締まり嵌めによって、ステントの一部分に結合することができる。一実施形態では、変形マーカと内面との間の少なくとも幾つかの間隙に、ポリマ被覆材を充填することができる。マーカは、撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を含むことができる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、ステントの一部分の留置部に放射線不透過性マーカを配置し、かつマーカを圧縮してマーカを留置部内に結合させることを含む、ステントを製造する方法に向けられる。一実施形態では、マーカの圧縮は、留置部内のマーカの一部分を拡張させて、拡張部分と留置部内のステントの内面との間の締まり嵌めを形成することができる。該方法はさらに、変形マーカと内面との間の空隙を埋めるように被覆材を塗布することを含むことができる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、少なくとも部分的にマーカと留置部に隣接するステントの変形部分との間の締まり嵌めによって、マーカがステントに結合されるように、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。
【0014】
本発明の追加の実施形態は、マーカを収容するために、留置部に隣接する部分の表面に凹所を含むように構成された、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。凹所は、マーカが留置部内に配置されるときに、該部分へのマーカの結合を容易化するように、該部分の変形を容易化することができる。
【0015】
本発明の追加の実施形態は、ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、ステントが他のより高いひずみ部分より低いひずみを持つ領域を有するように、ステントの一部分の留置部内に配置されたマーカを含むステントに向けられる。留置部は、低ひずみの選択された領域に選択的に配置することができる。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、ステントに適用され、より一般的には、自己拡張ステント、バルーン拡張ステント、ステントグラフト、血管グラフト、髄液シャント、ペースメーカのリード、卵円孔開存の閉塞装置、および合成心臓弁のような、しかしそれらに限らない植込み型医療装置に適用することができる。
【0017】
ステントは、それが植え込まれる体内管腔と適合性がある、事実上どの構造パターンでも持つことができる。一般的にステントは、周方向および長手方向に延びる相互接続構造要素つまりストラットのパターンまたはネットワークから構成される。一般に、ストラットは、血管の管腔壁と接触しかつ血管の開存性を維持するように設計された、パターン状に配列される。特定の設計目標を達成するために、無数のストラットパターンが当業界で公知である。ステントの少数のより重要な設計特性は、径方向強度またはフープ強度、拡張率またはカバレージエリア、および長手方向の可撓性である。本発明は事実上どのステント設計にも適用可能であり、したがって任意の特定のステント設計またはパターンに限定されない。ステントパターンの一実施形態は、ストラットから構成された円筒状リングを含むことができる。円筒状リングは、ストラットを接続することによって接続することができる。
【0018】
一部の実施形態では、本発明のステントは、管にストラットのパターンをレーザ切削することによって、管から形成することができる。ステントはまた、ポリマシートをレーザ切削すること、パターンを円筒状ステントの形状に丸めること、およびステントを形成するように長手方向の溶接を行なうことによっても形成することができる。ステントを形成する他の方法は周知であり、ポリマシートを化学的にエッチングし、それを丸め、次いで溶接してステントを形成することを含む。ポリマワイヤをコイル状に巻いてステントを形成することもできる。ステントは、熱可塑性物質の射出成形、または熱硬化性ポリマ材の反応射出成形によって形成することができる。配合ポリマのフィラメントを押出し加工または溶融紡糸することができる。次いでこれらのフィラメントを切断し、リング要素に形成し、溶接閉鎖し、波形を付けてクラウンを形成し、次いでクラウンを熱または溶媒によって一体に溶接してステントを形成する。最近はフープまたはリングを素管から切り出し、管要素を型打ちしてクラウンを形成し、クラウンを溶接またはレーザ融合によって接続してステントを形成する。
【0019】
図1は、ストラット8を連結することによって接続される円筒状リング12を形成するストラット4を持つ、円筒形状のステント10の三次元図を示す。ステント10のストラットの断面は矩形である。ストラットは管腔外面20、管腔内面22、および側壁面26を有する。ストラットの断面は図示したものに限定されず、したがって本発明の実施形態では他の断面形状が適用可能である。本発明の実施形態では、他のステントパターンが容易に適用可能であるので、パターンは図示したものに限定すべきではない。
【0020】
ステントは、生体安定性および/または生体分解性ポリマから作ることができる。上述の通り、生体分解性ポリマから作られたステントは、例えば血管の開存性および/または薬剤送達を維持するという、その意図された機能が達成されるまでの期間、体内に留まるように意図される。劣化、腐食、吸収、および/または分解吸収のプロセスが完了した後、生体分解性ステントはどの部分も全く残らず、あるいはステントの生体分解性部分は残らない。一部の実施形態では、非常に少量の痕跡または残留物が後に残るかもしれない。期間は約1ヶ月から数年の範囲とすることができる。しかし、期間は一般的に約1ヶ月から12ヶ月の範囲であり、あるいは一部の実施形態では、6ヶ月から12ヶ月の範囲である。ステントは、期間の少なくとも一部分の間、血管に機械的支持を提供することが重要である。多くの生体分解性ポリマは、上記時間枠にわたって血管における装置の存在を要求する治療に対し、それらポリマを適したものにする腐食速度を有する。
【0021】
一般に、ポリマは生体安定性、生体吸収性、生体分解性、または生体腐食性とすることができる。生体安定性とは、生体分解性でないポリマを指す。生体分解性、生体吸収性、および生体腐食性といった用語は、劣化、腐食、および吸収と同様に、相互に交換可能に使用され、血液のような体液にさらされたときに、完全に腐食または吸収することができ、かつ身体によって徐々に分解吸収され、吸収され、かつ/または排除することのできるポリマを指す。
【0022】
生体分解とは一般的に、血管環境におけるように体液にさらされることによりポリマに発生する、物理的および化学的性質の変化を指す。性質の変化は、分子量の低下、機械的性質の劣化、および腐食または吸収による質量の低下を含むことができる。機械的性質はポリマの強度および弾性率に相当するかもしれない。ポリマの機械的性質の劣化は、例えば血管における機械的支持を提供するステントの能力を低下させる。分子量の減少は、例えば、加水分解、酸化、酵素性分解、および/または代謝プロセスによって引き起こされる。
【0023】
ステントまたはより一般的に植込み型医療装置の実施形態を作製するために使用することのできるポリマの代表例は、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)(例えばPEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(例えばフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、およびヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマ、アクリルポリマおよびコポリマ、ハロゲン化ビニルポリマおよびコポリマ(例えばポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えばポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン(例えばポリ塩化ビリニデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(例えばポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えばポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレンコポリマ、ABS樹脂、ポリアミド(例えばナイロン66およびポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、およびカルボキシメチルセルロースを含むが、それらに限定されない。本書に開示する植込み型医療装置の実施形態の作製に使用するのに特によく適するポリマの追加の代表例は、エチレンビニルアルコールコポリマ(一般名EVOHまたは商品名EVALで一般的に知られる)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(例えばニュージャージー州ソロフェアのSolvay Solexis PVDFから入手可能なSOLEF21508)、ポリフッ化ビニリデン(別名はペンシルベニア州フィラデルフィアのATOFINA Chemicalsから入手可能なKYNARとして知られる)、エチレン酢酸ビニルコポリマ、ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−イソブチレン−スチレン−トリブロックコポリマ、およびポリエチレングリコールを含む。
【0024】
ステントまたはマーカと管腔の構造および/または管腔内の体液の流れとの干渉を最小化することが一般的に望ましい。血流の経路内の尖鋭な縁部、突起等は、血栓症の病巣として作用し得る乱流域および停滞域の形成を引き起こすおそれがある。身体部分のプロファイルが小さくかつ/または平滑であるほど、血液適合性が高くなる。加えて、マーカによって提示されるプロファイルが小さくかつ平滑であるほど、ガイドワイヤまたはガイディングカテーテルのような送達システムの他の部分に引っ掛かる可能性ははるかに低くなる。本書に記載するマーカ付きステントの実施形態は、管腔の構造および/または管腔内の体液の流れと干渉するほど、ステントの形状因子またはプロファイルに大きく影響しない。
【0025】
上述の通り、植込み中および植込み後にX線蛍光透視法によりポリマステントの画像を得る可能性を有することが望ましい。本発明の様々な実施形態は、ステントの留置部または穴内にマーカが配置されたステントを含む。一実施形態では、留置部はレーザ加工によって構造要素に形成することができる。留置部は、ステントの該当部分を部分的にまたは完全に貫通して延びることができる。例えば留置部の開口は管腔外面または管腔表面に作られ、ステント内に部分的に延び、または反対側の表面まで完全に貫通する。マーカは、ステントを撮像するために充分に放射線不透過性とすることができる。加えて、マーカ付きステントの実施形態は生体適合性である傾向があり、治療を妨げない。
【0026】
図2は、マーカを受容するための留置部44を持つステントパターン40の一実施形態を示す。図2で、ステントパターン40は平坦化された状態で示され、パターンを明瞭に見ることができるように管腔外面または管腔表面を示している。ステントパターン40の平坦化された部分が円筒形の状態である場合、それは径方向に拡張可能なステントを形成する。ステントパターン40は、筒状に整列した構造要素46および連結構造要素48を含む。留置部44は、6つの構造要素または「スパイダ」領域の交差領域に位置する。
【0027】
図3は、留置部62を持つステントパターン60の三次元図を示す。ステントパターン60は、筒状に整列した構造要素64および連結構造要素66を含む。留置部62は、4つの構造要素の交差領域である部分68に位置する。図3に示す通り、留置部62は円筒形状を有し、部分68の構造要素の径方向厚さを完全に貫通して延びる。
【0028】
図4Aは、図3の部分68の留置部62の上面図を示す。図4Bは、図4Aの線A−Aにおける部分68の留置部62の側面図である。留置部62は直径Dを有しており、径方向厚さTを有する部分68を完全に貫通する。部分68は線A−Aに沿って幅Wsを有する。Dは、Wsの60%、80%、100%、110%、120%、130%、または140%より大きくすることができる。
【0029】
ステントの特定の実施形態は、ステントの一部分の留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを含むことができる。マーカは、マーカの拡張部分と留置部内のステント部分の内面との間の締まり嵌めによって少なくとも部分的に、該部分に結合することができる。一部の実施形態では、変形した状態のマーカを留置部に配置し、留置部内でマーカを圧縮して結合させることができる。マーカを圧縮することにより、留置部内でマーカの一部分が拡張して締まり嵌めを形成することができる。圧縮後、変形マーカは、拡張部分に加えて、少なくとも1つの圧縮部分を持つことができる。
【0030】
特定の形状のマーカを留置部に挿入するには困難があるかもしれない。例えば、円筒状留置部に挿入するために円筒状要素の方向付けまたは位置合せを行なうことが必要かもしれない。円筒状マーカまたはスラグは、挿入中のスラグの回転のため、挿入するのが難しい可能性がある。
【0031】
図5は、円筒軸線72を有する円筒状マーカ70の一例を示す。また、円筒軸線78を有する円筒状留置部76を持つステントの一部分74も示されている。挿入中に、円筒状マーカ70は、その軸線72が留置部76の軸線78と整列しないので、回転することができない。
【0032】
しかし、マーカの球対称のため球状マーカを方向付ける必要が無い。マーカを留置部に嵌合させることのできるサイズを有する球状マーカを選択することができる。図6は、球状マーカ80および軸線86を持つ円筒状留置部84のあるステントの一部分82を示す。
【0033】
図7は、球状マーカ90が留置部62内に配置された図3のステントパターンを示す。一部の実施形態では、球状マーカを留置部内に完全に収容することができる。別の実施形態では、マーカはステントの表面から部分的に突出することができる。
【0034】
一部の実施形態では、留置部に配置されたマーカは、留置部の開口部で一部分を圧縮することができる。次いでマーカを留置部内で拡張させて、締まり嵌めを形成することができる。圧縮部分は圧縮端部に相当し、両端の間に拡張部分を持つことができる。締まり嵌めはマーカの拡張部分と留置部の内面との間に存在する。例えば球状マーカは両端を圧縮され、赤道付近が拡張する。一実施形態では、マーカは留置部内の締まり嵌めを可能にするサイズを有する。そのような締まり嵌めは、それに限定されないが金のような、比較的容易に変形するまたは可鍛性のある材料から構成されたマーカに、特に有用であるかもしれない。
【0035】
一実施形態では、マーカは留置部に配置され、次いで小型の平坦な工具または機械加工固定具により、所定の位置に押し込まれる。一実施形態では、マーカはシリンジを用いて留置部に配置される。マーカは、真空または粘性流体の表面張力によってシリンジの端に保持される。一部の実施形態では、マーカは留置部内に配置される前に加熱される。
【0036】
マーカを配置して圧縮した後、マーカと留置部の内面との間に間隙が存在することがある。そのような間隙により、マーカが緩んだり、マーカが留置部から抜け落ちるかもしれない。一部の実施形態では、変形マーカと内面との間の間隙の少なくとも一部分にポリマ被覆材を充填することができる。溶媒中に溶解したポリマから構成される被覆材は、間隙を埋めるように塗布することができる。被覆材は、噴霧または浸漬のように、当業界で公知の様々な方法で塗布することができる。
【0037】
図8Aは、図4Bの場合と同様に、球状マーカ100が留置部102内に配置された留置部102付きステントの一部分104の側面図を示す。図8Bはマーカ100と部分104との間の締まり嵌めを示す。マーカ100は端部106および108を圧縮され、赤道112付近の拡張を引き起こす。空隙109は、上述の通り、ポリマ被覆材で埋めることができる。
【0038】
白金のような、マーカに使用することが望ましい一部の材料は、圧縮変形させて締まり嵌めを形成することが難しいかもしれない。そのような材料を圧縮すると、留置部に隣接するステントの部分に損傷が生じるかもしれない。したがって、留置部に隣接するステントの変形を通して、マーカを非変形状態または実質的に非変形状態で留置部内に結合することが望ましいかもしれない。
【0039】
一部の実施形態では、ステントは、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むことができる。マーカは、少なくとも部分的にマーカと留置部に隣接するステントの変形部分との間の締まり嵌めによって、ステントに結合することができる。一実施形態では、マーカはステントに結合された後、変形されず、または実質的に変形されない。一実施形態では、留置部内のステントの変形部分は、マーカが留置部に配置されたときに変形するようになっている、変形可能な突起を含むことができる。突起は、留置部の円筒軸線に平行、垂直、または平行と垂直との間である突条を含むことができる。
【0040】
図9Aは、スパイダ領域122に留置部120があるステントパターンの一部分を示す。留置部120は突条124を有する。図9Bは、図9Aの留置部120内に配置された球状マーカ128を示す。マーカ128は、非変形マーカ128と変形突条124との間の締まり嵌めによって結合される。突条124の間に空隙130が示される。一部の実施形態では、留置部内のマーカの結合は、上述の通り、空隙をポリマ被覆材で少なくとも部分的に埋めることによって容易化することができる。
【0041】
他の実施形態では、留置部は、マーカの断面とは異なる断面を持つことができる。加えて、留置部の一部分を横切る長さは、マーカの断面より小さいかもしれない。マーカが留置部内に配置されたときに、ステントの一部分は、留置部の断面を変化させてマーカを受け入れるように、変形することができる。ステントの変形は、マーカと留置部内のステントの表面の一部分との間の締まり嵌めを形成することができる。球形または円筒形のように円形断面を持つマーカの場合、非円形断面を持つ留置部は、長円形、楕円形、長方形等のように多種多様な形状とすることができる。
【0042】
図10Aは、非円形断面を有する留置部144を持つステントの一部分140の上面図を示す。留置部144は、球状マーカの直径Dより小さい幅Woを有する。図10Bは、図10Aの留置部144内に直径Dsの球状マーカ146が配置された部分140を示す。部分140は、マーカ146と留置部144内の部分140の表面の一部分との間の締まり嵌めを形成するように、マーカ146を変形して収容する。空隙148は上述の通り、ポリマ被覆材で埋めることができる。
【0043】
上記の通り、留置部内にマーカを配置することにより、留置部に隣接するステントの部分に変形が生じることがある。その部分が変形したときのステントの損傷を低減または排除するために、その部分の可撓性を高めることが望ましいかもしれない。一部の実施形態では、留置部に隣接する部分の表面は、凹所を含むことができる。凹所は、その部分へのマーカの結合を容易化するように、マーカが留置部内に配置されたときのその部分の変形を容易化し、これによりその部分の可撓性を高めることができる。
【0044】
一実施形態では、凹所は留置部と連通する溝とすることができる。表面は、様々な幅および深さの2つ以上の溝を含むことができる。例えば溝は、留置部の直径の1%、3%、5%、10%、15%、20%、または20%未満の幅を持つことができる。加えて、溝は、留置部を有するストラットの径方向厚さの1%、3%、5%、10%、15%、または20%未満の深さを持つことができる。
【0045】
図11Aは、マーカ用の留置部154があるステントの部分150の上面図を示す。部分150は留置部と連通する溝158を有する。図11Bは、留置部154の内面164と対面する溝158の側面図を示す。溝158は深さDGおよび幅WGを有する。溝158は矩形断面を持つように示されているが、溝は丸みを帯びた断面を有することもできる。
【0046】
上記の通り、ポリマストラットの特定の領域は、クリンピングまたは拡張中に著しい変形またはひずみを受ける傾向がある。そのような領域は、図1の領域14、16、および18のように湾曲または屈曲した領域のみならず、図3の部分68のように構造要素が交差する領域をも含む。したがって、ステントの展開中に、そのような領域に位置する留置部の周囲の材料は、拡張するステントに応力が加えられたときに、亀裂が入り、あるいは伸縮することがあり、マーカが押し退けられることがある。図1の部分19のように直線状または比較的直線状の部分は、クリンピングおよび拡張中でも、比較的低い応力を経験する傾向がある。
【0047】
したがって、一部の実施形態では、留置部のある領域が、留置部の無い領域より高い質量または厚さを持つことが望ましく、あるいは必要であるかもしれない。高い質量または厚さはその領域を強化することができ、それにより少なくとも部分的に、留置部の存在に対し補償することができる。留置部の領域に構造要素の著しいゆがみを生じることなく、クリンピングおよび拡張の応力に適切に耐えることができるように、領域はステント材料の追加質量により強化することができる。
【0048】
さらに、高応力領域は、留置部に対する補償のために、低応力領域より大きい質量を必要とする傾向がある。ステントの質量の増加はステントの形状因子を増大させ、それは一般的に望ましくない。
【0049】
特定の実施形態では、ステントは、ステントの一部分の留置部内に配置されたマーカを含むことができる。ステントは、ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、他のより高いひずみ部分より低いひずみを持つ領域を有することができる。留置部は、低応力の選択された領域に選択的に配置することができる。構造要素の選択された領域は、選択された領域の耐荷重能力を維持しかつマーカがステントから外れるのを阻止するように、マーカの無い低応力の領域より高い質量または厚さを有するように変化させることができる。
【0050】
図12Aは、ステントの低応力領域である部分184に留置部182を持つステントパターン180を示す。図12Aに示す通り、部分184は、留置部の無い構造要素186より幅が広い。部分184はステントの構造上の完全性を維持するために、より幅広であり、あるいはより大きい質量を有する。図12Bは、留置部182内に配置された球状マーカ188を示す。図12A〜Bに示す通り、マーカを部分184のような低応力領域に配置する利点の1つは、複数のマーカを受け入れることができることである。したがって、ステントの可視性が向上する。
【0051】
図13は、図12A〜Bの部分184の上面図を示す。部分184の強化されない部分は幅WLを有し、補強部分の幅はWRを有する。WRはWLの120%、140%、160%、180%、200%、220%、または250%を超えることができる。
【0052】
特定の実施形態では、球状マーカを追加的に、または代替的に、任意の適切な生体適合性接着剤で留置部内に結合することができる。一実施形態では、接着剤は溶媒を含むことができる。溶媒は、留置部内の構造要素のポリマを溶解して、留置部内のマーカを構造要素に結合させることができる。ポリマを含むマーカの場合、溶媒はマーカの一部分をも溶解させるかもしれない。別の実施形態では、接着剤は、ポリマが混合された溶媒を含むことができる。溶媒または溶媒−ポリマ混合物を留置部内の構造要素またはマーカに塗布し、その後でマーカを留置部内に配置することができる。溶媒はその後、蒸発によって除去することができる。蒸発は、例えば構造要素を炉内で加熱することによって、または何らかの他の方法によって容易化することができる。
【0053】
溶媒の代表例は、クロロホルム、アセトン、クロロベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、二塩化エチレン、2−エチルヘキサノール、およびそれらの組合せを含むことができるが、それらに限定されない。代表的ポリマは、選択された溶媒によって溶解することのできる、本書に開示する生体安定性および生体分解性ポリマを含むことができる。
【0054】
他の実施形態では、接着剤は、例えばエポキシ、ポリエステル、およびフェノールのような熱硬化性物質、例えばポリアミド、ポリエステル、および酢酸エチルビニル(EVA)コポリマのような熱可塑性物質、ならびに例えば天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ、およびポリイソブチレンのようなエラストマを含むことができるが、それらに限定されない。他の接着剤は、タンパク質、セルロース、澱粉、ポリ(エチレングリコール)、フィブリン接着剤、ならびにそれらの誘導体および組合せを含むが、それらに限定されない。
【0055】
溶媒と別の物質の混合物を使用して、接着剤を形成することができる。一部の実施形態では、例えば水とスクロースの混合物のような水と糖の混合物を、接着剤として使用することができる。他の実施形態では、PEGまたはその誘導体の混合物を適切な溶媒と混合して、接着剤を形成することができる。PEGまたはその誘導体に適した溶媒は、水、エタノール、クロロホルム、アセトン等を含むが、それらに限定されない。
【0056】
他の実施形態では、マーカは、熱溶接によって構造要素に結合することができる。マーカを構造要素に配置する前に、金属マーカは、構造要素のポリマの少なくとも一部分を溶融することのできる温度に、加熱することができる。ポリマを含むマーカは、マーカを留置部に配置する前に、その溶融温度またはそれ以上の温度まで加熱することができる。
【0057】
さらに、マーカはステントの任意の所望の位置に結合することができる。一部の実施形態では、マーカの配置を特定の位置、またはステントの表面の一部分に制限することが有利であるかもしれない。例えば、管腔壁との干渉、または血流との干渉をそれぞれ低減または排除するために、構造要素の側壁面にマーカを結合することが望ましいかもしれない。医師がステントの全長を見ることができるように、ステントの縁だけを描くために、ステントの遠端および近端だけにマーカを配置することができる。
【0058】
加えて、ステントのような装置は一般的に、ステントの様々な位置に結合された2つ以上のマーカを含む。マーカは、植込み中および植込み後にステントの可視化を容易にするように、分散させることができる。例えばマーカは、ステントパターン全体に周方向および長手方向に分散させることができる。
【0059】
上記の通り、ステントは生体安定性および/または生体分解性ポリマを含むことができる。生体分解性ポリマは、純粋または実質的に純粋な生体分解性ポリマとすることができる。代替的に、生体分解性ポリマは少なくとも2種類の生体分解性ポリマの混合物とすることができる。ステントは、その機能が達成された後、完全に腐食するように構成することができる。
【0060】
特定の実施形態では、マーカは生体分解性とすることができる。マーカは、ステントと同一または実質的に同一速度で劣化することが望ましいかもしれない。例えばマーカは、ステントと同時に、またはほぼ同時に、完全にまたはほぼ完全に腐食するように構成することができる。他の実施形態では、マーカは、ステントより早く劣化することができる。この場合、マーカは、ステントの本体が完全に腐食する前に、完全にまたはほぼ完全に腐食することができる。
【0061】
さらに、放射線不透過性マーカは、生体分解性および/または生体安定性金属から構成することができる。生体分解性または生体侵食性金属は、体液にさらされたときに、比較的速く腐食または浸食する傾向がある。生体安定性金属とは、生体分解性または生体侵食性ではなく、あるいは体液にさらされたときに微量の腐食または浸食速度を有する金属を指す。一部の実施形態では、金属の腐食または浸食は、金属表面とその環境との間の化学反応が関係する。血管環境のような湿潤環境における腐食または浸食は結果的に、金属表面からの金属原子の除去を生じる。表面の金属原子は電子を失い、金属から離れて溶液中に塩を形成する荷電イオンになる。
【0062】
加えて、マーカに生体適合性の生体分解性金属を使用することが望ましい。生体適合性の生体分解性金属は、生体機能に悪影響を及ぼさない腐食生成物を形成する。
【0063】
一実施形態では、放射線不透過性マーカは、純粋または実質的に純粋な生体分解性金属から構成することができる。代替的に、マーカは、少なくとも2種類の金属の混合物または合金とすることができる。マーカ用の生体分解性金属の代表例は、マグネシウム、亜鉛、および鉄を含むことができるが、それらに限定されない。代表的混合物または合金は、マグネシウム/亜鉛、マグネシウム/鉄、亜鉛/鉄、およびマグネシウム/亜鉛/鉄を含むことができる。放射線不透過性をさらに高めるために、ヨウ素塩、ビスマス塩、またはバリウム塩のような放射線不透過性化合物を金属製生体分解性マーカに配合することができる。
【0064】
生体安定性金属の代表例は、白金および金を含むことができるが、それらに限定されない。
【0065】
一部の実施形態では、マーカの組成は、所望の腐食速度および/または放射線不透過度を得るように、変更または調整することができる。例えばマーカの腐食速度は、合金中の腐食速度の高い成分の割合を増加することによって、高めることができる。同様に、放射線不透過度は、合金中の鉄のような放射線不透過度の高い金属の割合を増加することによって、高めることができる。一実施形態では、生体分解性マーカは、約1週間から約3ヶ月の間、またはより厳密に、約1ヶ月から約2ヶ月の間、血液のような体液にさらされたときに、完全に腐食することができる。
【0066】
他の実施形態では、放射線不透過性マーカは、生体分解性ポリマと放射線不透過性材料との混合物とすることができる。放射線不透過性材料は、生体分解性および/または生体吸収性とすることができる。代表的な放射線不透過性材料は、生体分解性金属粒子、ならびに生体分解性金属酸化物、生体適合性金属塩、ガドリニウム塩、およびヨード造影剤のような生体分解性金属化合物の粒子を含むことができるが、それらに限定されない。
【0067】
一部の実施形態では、マーカの放射線不透過性は、マーカ中の放射線不透過性材料の配合を増大することによって、高めることができる。一実施形態では、放射線不透過性材料は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0068】
マーカ中の生体分解性ポリマは、純粋または実質的に純粋な生体分解性ポリマとすることができる。代替的に、生体分解性ポリマは、少なくとも2種類の生体分解性ポリマの混合物とすることができる。異なる生体分解性ポリマは異なる腐食速度を有するので、一実施形態では、生体分解性ポリマの配合を変更して、マーカの腐食速度を変えることができる。
【0069】
生体適合性金属塩とは、身体によって安全に吸収することのできる塩を指す。マーカに使用することのできる代表的生体適合性金属塩は、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸第一鉄、塩化第一鉄、フマル酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、乳酸第一鉄、コハク酸第一鉄、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、酒石酸ビスマスカリウム、ヨウ化ビスマスナトリウム、酒石酸ビスマスナトリウム、ビスマスナトリウムトリグリコラメート、次サリチル酸ビスマス、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、リン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、およびそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。マーカ中の金属塩の濃度は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0070】
加えて、代表的ヨード造影剤は、アセトリゼート、ジアトリゼート、イオジミド、イオグリケート、イオタラメート、イオキシタラメート、セレクタン、ウロセレクタン、ジオドン、メトリゾエート、メトリザミド、イオヘキソール、イオキサグレート、イオジキサノール、リピジアル、エチオドール、およびそれらの組合せを含むことができるが、それらに限定されない。マーカ中のヨード造影剤の濃度は、体積でマーカの5%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0071】
金属粒子の組成は、上述した生体分解性金属のみならず、酸化物のような金属化合物を少なくとも含むことができる。マーカ中の金属粒子の濃度は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。加えて、個々の金属粒子は純粋または実質的に純粋な金属または金属化合物とすることができる。代替的に、個々の金属粒子は、少なくとも2種類の金属または金属化合物の混合物とすることができる。個々の金属粒子はまた、少なくとも2種類の金属から構成される混合物または合金とすることもできる。
【0072】
特定の実施形態では、金属粒子は金属ナノ粒子とすることができる。「ナノ粒子」とは、約1nmから約100nmの範囲の寸法の粒子を指す。より大きい粒子に比べてナノ粒子の重要な利点は、ナノ粒子がポリママトリックスにより均一に分散し、その結果、放射線不透過性および腐食速度のような性質がより均一に得られることである。加えて、ナノ粒子は、生体機能に悪影響を及ぼすことなく、血液のような体液により簡単に吸収することができる。金属粒子の代表的な例は、鉄、マグネシウム、亜鉛、白金、金、およびそれらの金属の酸化物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0073】
一実施形態では、マーカの腐食速度および/または放射線不透過性を変えるために、混合物中の様々な種類の金属粒子の組成のみならず、個々の粒子の組成をも変更することができる。加えて、腐食速度および放射線不透過性の両方を変えるために、金属粒子に対するポリマの比率を変更することができる。
【0074】
マーカは、成形、機械加工、組立て、またはそれらの組合せを含むが、それらに限定されない方法によって作製することができる。金属またはポリマのマーカの全部または一部を金型で作製するか、あるいはレーザ加工のような方法によって機械加工することができる。
【0075】
本発明の特定の実施形態を示し、かつ説明したが、そのより広義の態様において本発明から逸脱することなく、変化および変更を施すことができることは、当業熟練者には明白であろう。したがって、付属の特許請求の範囲は、その範囲内に、本発明の真の精神および範囲内に該当するそのような変化および変更を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】円筒形状のステントの三次元図を示す。
【図2】マーカを受容するための留置部を持つステントパターンの一実施形態を示す。
【図3】マーカ留置部を持つステントパターンの図を示す。
【図4A】図3のステントのマーカ留置部を持つ部分の上面図を示す。
【図4B】図3のステントのマーカ留置部を持つ部分の側面図を示す。
【図5】円筒状マーカおよびマーカ留置部を持つステントの部分を示す。
【図6】球状マーカ、およびマーカ留置部を持つステント部分を示す。
【図7】ステントの留置部内に配置された球状マーカを示す。
【図8A】留置部内の非圧縮球状マーカの側面図を示す。
【図8B】留置部内の圧縮球状マーカの側面図を示す。
【図9A】突条を含む留置部を持つステントの部分を示す。
【図9B】図9Aの留置部内に配置された球状マーカを示す。
【図10A】非円形断面を有する留置部を持つステントの部分を示す。
【図10B】球状マーカが図10Aの留置部内に配置されたステントの部分を示す。
【図11A】マーカ留置部に隣接するリリーフカットを持つステントの部分の上面図を示す。
【図11B】マーカ留置部に隣接するリリーフカットを持つステントの部分の側面図を示す。
【図12A】ステントの低ひずみ領域にマーカ留置部を持つステントの部分を示す。
【図12B】図12Aの留置部にマーカが配置されたステントの部分を示す。
【図13】図12Bのステントの部分の上面図を示す。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ステントのような植込み型医療装置に関する。特に、本発明は放射線不透過性マーカ付きポリマステントに関する。
【現状技術の概要】
【0002】
本発明は、体内管腔に植え込むようになっている、径方向に拡張可能なエンドプロテーゼに関する。「エンドプロテーゼ」は、体内に配置される人工装置に相当する。「管腔」とは、血管のような管状器官の空洞を指す。ステントは、そのようなエンドプロテーゼの一例である。ステントは略円筒状の装置であり、血管または他の解剖学的管腔、例えば尿路および胆管の一部分を開通状態に維持し、かつ時には拡張させるように機能する。ステントはしばしば、血管のアテローム硬化性狭窄症の治療に使用される。「狭窄症」とは、体内通路またはオリフィスの直径の狭窄または収縮を指す。そのような治療で、ステントは体管を補強し、かつ血管系における血管形成術後の再狭窄を防止する。「再狭窄」とは、(バルーン血管形成術、ステント術、または弁形成術などによる)治療が明らかに成功した後に、血管または心臓弁に狭窄症が再発生することを指す。
【0003】
ステントの構造は一般的に、相互接続構造要素またはストラットのパターンまたはネットワークを含む足場から構成される。足場は、ワイヤ、管、または円筒状に丸めたシート状の材料から形成することができる。加えて、薬物が添加されたステントは、金属またはポリマいずれかの足場の表面にポリマ担体を被覆することによって作製することができる。ポリマ足場は、活性剤または薬剤の担体として働くこともできる。
【0004】
ステントによる患部の治療の第1段階は、一般的に血管のX線画像を得ることによって、疑われる血管の病変のように、治療を必要とするかもしれない領域を突き止めることである。画像を得るために、ヨウ素のような放射線不透過性物質を含む造影剤が血管に注入される。「放射線不透過性」とは、X線を吸収する物質の能力を指す。X線画像は血管の管腔を示し、そこから医師は潜在的治療領域を識別することができる。その場合、治療はステントの送達および展開の両方を含む。「送達」とは、ステントを体内管腔に導入し、それを通して治療を必要とする血管内の領域にステントを搬送することを指す。「展開」とは、治療領域の管腔内でステントを拡張させることに相当する。ステントの送達および展開は、カテーテルの一端付近にステントを配置し、カテーテルの該端を経皮的に体内管腔内に挿入し、体内管腔内でカテーテルを所望の治療位置まで前進させ、治療位置でステントを拡張させ、かつ管腔からカテーテルを取り出すことによって達成される。バルーン拡張型ステントの場合、ステントはカテーテルに配置されたバルーンの周りに取り付けられる。ステントの取付けは一般的に、ステントをバルーン上に圧縮またはクリンプすることを含む。次いでステントは、バルーンを膨張させることによって拡張される。バルーンは次いで収縮され、カテーテルは抜去される。自己拡張ステントの場合、ステントは、後退可能なシースまたはソックを介して、カテーテルに固定することができる。ステントが所望の体内位置にあるときに、シースを引き抜いてステントを自己拡張させることができる。
【0005】
ステントは、多数の機械的要件を同時に満たすことができなければならない。第一に、ステントは構造負荷、すなわちステントが血管内腔の壁を支持するときにステントに掛かる径方向の圧縮力に、耐えることができなければならない。適切な径方向の強度、またはより正確にはフープ強度を持つことに加えて、ステントは、蛇行状の血管経路内を操縦されることを可能にし、かつ直線状でないかもしれずあるいは撓みを受けやすいかもしれない展開部位に順応することを可能にするように、長手方向に可撓性でなければならない。ステントを作成する材料は、ステントの構造の局所的部分のかなりの変形を要求する拡張をステントが受けることを可能にするものでなければならない。ひとたび拡張されると、ステントは、心臓の鼓動によって誘発される周期的負荷をはじめ、それにのしかかる様々な力にもかかわらず、その耐用期間中ずっとその大きさおよび形状を維持しなければならない。最後に、ステントは不利な血管反応を引き起こさないように、生体適合性でなければならない。
【0006】
上述の機械的要件を満たすことに加えて、ステントは放射線不透過性であること、つまりX線下で透過観察可能であることが望ましい。正確なステント配置はステントの送達の実時間可視化によって容易になる。心臓病専門医または介入放射線科医は、患者の脈管構造を通過する送達カテーテルを追跡し、ステントを病変部位に正確に配置することができる。これは一般的に蛍光透視法または同様のX線可視化手順によって達成される。ステントが透過観察可能であるためには、ステントが周囲の組織より高いX線吸収性でなければならない。ステントの放射線不透過性材料は、その直接可視化を可能にすることができる。
【0007】
多くの治療用途において、体内におけるステントの存在は、例えば血管の開存性および/または薬剤送達を維持するというその意図された機能が達成されるまで、限定された期間のみ必要である。したがって、生体分解性、生体吸収性、および/または生体侵食性材料から作製されたステントは、それらの臨床的必要性が終了した後、完全に腐食するように設計することができるので、この追加の臨床的要件を満たすように構成することができる。生体分解性ポリマから作製されたステントは、1つには所望の時間枠内に完全に腐食するように設計することができるので、特に有望である。
【0008】
しかし、生体分解性ポリマ(ならびに炭素、水素、酸素、および窒素から一般的に構成されるポリマ)の重大な欠点は、それらが放射線不透過性を持たず、放射線を透過することである。生体分解性ポリマは、生体組織と同様のX線吸収性を持つ傾向がある。
【0009】
この問題に対処する1つの方法は、ステントの構造要素に放射線不透過性マーカを付加することである。放射線不透過性マーカは、マーカが構造要素に固定されるように、構造要素内に配置することができる。しかし、ポリマステントに対するステントマーカの使用は多数の課題を伴う。1つの課題はマーカの挿入の難しさに関係する。
【0010】
別の課題は、ポリマストラットの幾つかの領域がクリンピングおよび拡張中に、著しい変形またはひずみを受ける傾向があるという事実に関係する。特に、そのような変化はポリマの塑性変形のためである。したがって、ステントの展開中に、拡張するステントに応力が加えられるときに、要素を含むステントの部分が破損または伸張することがある。その結果、マーカが取り除かれることがある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の実施形態は、ステントの一部分の留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。マーカは、少なくとも部分的にマーカの拡張部分と留置部内のステント部分の内面との間の締まり嵌めによって、ステントの一部分に結合することができる。一実施形態では、変形マーカと内面との間の少なくとも幾つかの間隙に、ポリマ被覆材を充填することができる。マーカは、撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を含むことができる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、ステントの一部分の留置部に放射線不透過性マーカを配置し、かつマーカを圧縮してマーカを留置部内に結合させることを含む、ステントを製造する方法に向けられる。一実施形態では、マーカの圧縮は、留置部内のマーカの一部分を拡張させて、拡張部分と留置部内のステントの内面との間の締まり嵌めを形成することができる。該方法はさらに、変形マーカと内面との間の空隙を埋めるように被覆材を塗布することを含むことができる。
【0013】
本発明の他の実施形態は、少なくとも部分的にマーカと留置部に隣接するステントの変形部分との間の締まり嵌めによって、マーカがステントに結合されるように、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。
【0014】
本発明の追加の実施形態は、マーカを収容するために、留置部に隣接する部分の表面に凹所を含むように構成された、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むステントに向けられる。凹所は、マーカが留置部内に配置されるときに、該部分へのマーカの結合を容易化するように、該部分の変形を容易化することができる。
【0015】
本発明の追加の実施形態は、ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、ステントが他のより高いひずみ部分より低いひずみを持つ領域を有するように、ステントの一部分の留置部内に配置されたマーカを含むステントに向けられる。留置部は、低ひずみの選択された領域に選択的に配置することができる。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、ステントに適用され、より一般的には、自己拡張ステント、バルーン拡張ステント、ステントグラフト、血管グラフト、髄液シャント、ペースメーカのリード、卵円孔開存の閉塞装置、および合成心臓弁のような、しかしそれらに限らない植込み型医療装置に適用することができる。
【0017】
ステントは、それが植え込まれる体内管腔と適合性がある、事実上どの構造パターンでも持つことができる。一般的にステントは、周方向および長手方向に延びる相互接続構造要素つまりストラットのパターンまたはネットワークから構成される。一般に、ストラットは、血管の管腔壁と接触しかつ血管の開存性を維持するように設計された、パターン状に配列される。特定の設計目標を達成するために、無数のストラットパターンが当業界で公知である。ステントの少数のより重要な設計特性は、径方向強度またはフープ強度、拡張率またはカバレージエリア、および長手方向の可撓性である。本発明は事実上どのステント設計にも適用可能であり、したがって任意の特定のステント設計またはパターンに限定されない。ステントパターンの一実施形態は、ストラットから構成された円筒状リングを含むことができる。円筒状リングは、ストラットを接続することによって接続することができる。
【0018】
一部の実施形態では、本発明のステントは、管にストラットのパターンをレーザ切削することによって、管から形成することができる。ステントはまた、ポリマシートをレーザ切削すること、パターンを円筒状ステントの形状に丸めること、およびステントを形成するように長手方向の溶接を行なうことによっても形成することができる。ステントを形成する他の方法は周知であり、ポリマシートを化学的にエッチングし、それを丸め、次いで溶接してステントを形成することを含む。ポリマワイヤをコイル状に巻いてステントを形成することもできる。ステントは、熱可塑性物質の射出成形、または熱硬化性ポリマ材の反応射出成形によって形成することができる。配合ポリマのフィラメントを押出し加工または溶融紡糸することができる。次いでこれらのフィラメントを切断し、リング要素に形成し、溶接閉鎖し、波形を付けてクラウンを形成し、次いでクラウンを熱または溶媒によって一体に溶接してステントを形成する。最近はフープまたはリングを素管から切り出し、管要素を型打ちしてクラウンを形成し、クラウンを溶接またはレーザ融合によって接続してステントを形成する。
【0019】
図1は、ストラット8を連結することによって接続される円筒状リング12を形成するストラット4を持つ、円筒形状のステント10の三次元図を示す。ステント10のストラットの断面は矩形である。ストラットは管腔外面20、管腔内面22、および側壁面26を有する。ストラットの断面は図示したものに限定されず、したがって本発明の実施形態では他の断面形状が適用可能である。本発明の実施形態では、他のステントパターンが容易に適用可能であるので、パターンは図示したものに限定すべきではない。
【0020】
ステントは、生体安定性および/または生体分解性ポリマから作ることができる。上述の通り、生体分解性ポリマから作られたステントは、例えば血管の開存性および/または薬剤送達を維持するという、その意図された機能が達成されるまでの期間、体内に留まるように意図される。劣化、腐食、吸収、および/または分解吸収のプロセスが完了した後、生体分解性ステントはどの部分も全く残らず、あるいはステントの生体分解性部分は残らない。一部の実施形態では、非常に少量の痕跡または残留物が後に残るかもしれない。期間は約1ヶ月から数年の範囲とすることができる。しかし、期間は一般的に約1ヶ月から12ヶ月の範囲であり、あるいは一部の実施形態では、6ヶ月から12ヶ月の範囲である。ステントは、期間の少なくとも一部分の間、血管に機械的支持を提供することが重要である。多くの生体分解性ポリマは、上記時間枠にわたって血管における装置の存在を要求する治療に対し、それらポリマを適したものにする腐食速度を有する。
【0021】
一般に、ポリマは生体安定性、生体吸収性、生体分解性、または生体腐食性とすることができる。生体安定性とは、生体分解性でないポリマを指す。生体分解性、生体吸収性、および生体腐食性といった用語は、劣化、腐食、および吸収と同様に、相互に交換可能に使用され、血液のような体液にさらされたときに、完全に腐食または吸収することができ、かつ身体によって徐々に分解吸収され、吸収され、かつ/または排除することのできるポリマを指す。
【0022】
生体分解とは一般的に、血管環境におけるように体液にさらされることによりポリマに発生する、物理的および化学的性質の変化を指す。性質の変化は、分子量の低下、機械的性質の劣化、および腐食または吸収による質量の低下を含むことができる。機械的性質はポリマの強度および弾性率に相当するかもしれない。ポリマの機械的性質の劣化は、例えば血管における機械的支持を提供するステントの能力を低下させる。分子量の減少は、例えば、加水分解、酸化、酵素性分解、および/または代謝プロセスによって引き起こされる。
【0023】
ステントまたはより一般的に植込み型医療装置の実施形態を作製するために使用することのできるポリマの代表例は、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)(例えばPEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(例えばフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、およびヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマ、アクリルポリマおよびコポリマ、ハロゲン化ビニルポリマおよびコポリマ(例えばポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えばポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン(例えばポリ塩化ビリニデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(例えばポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えばポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレンコポリマ、ABS樹脂、ポリアミド(例えばナイロン66およびポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、およびカルボキシメチルセルロースを含むが、それらに限定されない。本書に開示する植込み型医療装置の実施形態の作製に使用するのに特によく適するポリマの追加の代表例は、エチレンビニルアルコールコポリマ(一般名EVOHまたは商品名EVALで一般的に知られる)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(例えばニュージャージー州ソロフェアのSolvay Solexis PVDFから入手可能なSOLEF21508)、ポリフッ化ビニリデン(別名はペンシルベニア州フィラデルフィアのATOFINA Chemicalsから入手可能なKYNARとして知られる)、エチレン酢酸ビニルコポリマ、ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−イソブチレン−スチレン−トリブロックコポリマ、およびポリエチレングリコールを含む。
【0024】
ステントまたはマーカと管腔の構造および/または管腔内の体液の流れとの干渉を最小化することが一般的に望ましい。血流の経路内の尖鋭な縁部、突起等は、血栓症の病巣として作用し得る乱流域および停滞域の形成を引き起こすおそれがある。身体部分のプロファイルが小さくかつ/または平滑であるほど、血液適合性が高くなる。加えて、マーカによって提示されるプロファイルが小さくかつ平滑であるほど、ガイドワイヤまたはガイディングカテーテルのような送達システムの他の部分に引っ掛かる可能性ははるかに低くなる。本書に記載するマーカ付きステントの実施形態は、管腔の構造および/または管腔内の体液の流れと干渉するほど、ステントの形状因子またはプロファイルに大きく影響しない。
【0025】
上述の通り、植込み中および植込み後にX線蛍光透視法によりポリマステントの画像を得る可能性を有することが望ましい。本発明の様々な実施形態は、ステントの留置部または穴内にマーカが配置されたステントを含む。一実施形態では、留置部はレーザ加工によって構造要素に形成することができる。留置部は、ステントの該当部分を部分的にまたは完全に貫通して延びることができる。例えば留置部の開口は管腔外面または管腔表面に作られ、ステント内に部分的に延び、または反対側の表面まで完全に貫通する。マーカは、ステントを撮像するために充分に放射線不透過性とすることができる。加えて、マーカ付きステントの実施形態は生体適合性である傾向があり、治療を妨げない。
【0026】
図2は、マーカを受容するための留置部44を持つステントパターン40の一実施形態を示す。図2で、ステントパターン40は平坦化された状態で示され、パターンを明瞭に見ることができるように管腔外面または管腔表面を示している。ステントパターン40の平坦化された部分が円筒形の状態である場合、それは径方向に拡張可能なステントを形成する。ステントパターン40は、筒状に整列した構造要素46および連結構造要素48を含む。留置部44は、6つの構造要素または「スパイダ」領域の交差領域に位置する。
【0027】
図3は、留置部62を持つステントパターン60の三次元図を示す。ステントパターン60は、筒状に整列した構造要素64および連結構造要素66を含む。留置部62は、4つの構造要素の交差領域である部分68に位置する。図3に示す通り、留置部62は円筒形状を有し、部分68の構造要素の径方向厚さを完全に貫通して延びる。
【0028】
図4Aは、図3の部分68の留置部62の上面図を示す。図4Bは、図4Aの線A−Aにおける部分68の留置部62の側面図である。留置部62は直径Dを有しており、径方向厚さTを有する部分68を完全に貫通する。部分68は線A−Aに沿って幅Wsを有する。Dは、Wsの60%、80%、100%、110%、120%、130%、または140%より大きくすることができる。
【0029】
ステントの特定の実施形態は、ステントの一部分の留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを含むことができる。マーカは、マーカの拡張部分と留置部内のステント部分の内面との間の締まり嵌めによって少なくとも部分的に、該部分に結合することができる。一部の実施形態では、変形した状態のマーカを留置部に配置し、留置部内でマーカを圧縮して結合させることができる。マーカを圧縮することにより、留置部内でマーカの一部分が拡張して締まり嵌めを形成することができる。圧縮後、変形マーカは、拡張部分に加えて、少なくとも1つの圧縮部分を持つことができる。
【0030】
特定の形状のマーカを留置部に挿入するには困難があるかもしれない。例えば、円筒状留置部に挿入するために円筒状要素の方向付けまたは位置合せを行なうことが必要かもしれない。円筒状マーカまたはスラグは、挿入中のスラグの回転のため、挿入するのが難しい可能性がある。
【0031】
図5は、円筒軸線72を有する円筒状マーカ70の一例を示す。また、円筒軸線78を有する円筒状留置部76を持つステントの一部分74も示されている。挿入中に、円筒状マーカ70は、その軸線72が留置部76の軸線78と整列しないので、回転することができない。
【0032】
しかし、マーカの球対称のため球状マーカを方向付ける必要が無い。マーカを留置部に嵌合させることのできるサイズを有する球状マーカを選択することができる。図6は、球状マーカ80および軸線86を持つ円筒状留置部84のあるステントの一部分82を示す。
【0033】
図7は、球状マーカ90が留置部62内に配置された図3のステントパターンを示す。一部の実施形態では、球状マーカを留置部内に完全に収容することができる。別の実施形態では、マーカはステントの表面から部分的に突出することができる。
【0034】
一部の実施形態では、留置部に配置されたマーカは、留置部の開口部で一部分を圧縮することができる。次いでマーカを留置部内で拡張させて、締まり嵌めを形成することができる。圧縮部分は圧縮端部に相当し、両端の間に拡張部分を持つことができる。締まり嵌めはマーカの拡張部分と留置部の内面との間に存在する。例えば球状マーカは両端を圧縮され、赤道付近が拡張する。一実施形態では、マーカは留置部内の締まり嵌めを可能にするサイズを有する。そのような締まり嵌めは、それに限定されないが金のような、比較的容易に変形するまたは可鍛性のある材料から構成されたマーカに、特に有用であるかもしれない。
【0035】
一実施形態では、マーカは留置部に配置され、次いで小型の平坦な工具または機械加工固定具により、所定の位置に押し込まれる。一実施形態では、マーカはシリンジを用いて留置部に配置される。マーカは、真空または粘性流体の表面張力によってシリンジの端に保持される。一部の実施形態では、マーカは留置部内に配置される前に加熱される。
【0036】
マーカを配置して圧縮した後、マーカと留置部の内面との間に間隙が存在することがある。そのような間隙により、マーカが緩んだり、マーカが留置部から抜け落ちるかもしれない。一部の実施形態では、変形マーカと内面との間の間隙の少なくとも一部分にポリマ被覆材を充填することができる。溶媒中に溶解したポリマから構成される被覆材は、間隙を埋めるように塗布することができる。被覆材は、噴霧または浸漬のように、当業界で公知の様々な方法で塗布することができる。
【0037】
図8Aは、図4Bの場合と同様に、球状マーカ100が留置部102内に配置された留置部102付きステントの一部分104の側面図を示す。図8Bはマーカ100と部分104との間の締まり嵌めを示す。マーカ100は端部106および108を圧縮され、赤道112付近の拡張を引き起こす。空隙109は、上述の通り、ポリマ被覆材で埋めることができる。
【0038】
白金のような、マーカに使用することが望ましい一部の材料は、圧縮変形させて締まり嵌めを形成することが難しいかもしれない。そのような材料を圧縮すると、留置部に隣接するステントの部分に損傷が生じるかもしれない。したがって、留置部に隣接するステントの変形を通して、マーカを非変形状態または実質的に非変形状態で留置部内に結合することが望ましいかもしれない。
【0039】
一部の実施形態では、ステントは、ステントの一部分の留置部に配置された放射線不透過性マーカを含むことができる。マーカは、少なくとも部分的にマーカと留置部に隣接するステントの変形部分との間の締まり嵌めによって、ステントに結合することができる。一実施形態では、マーカはステントに結合された後、変形されず、または実質的に変形されない。一実施形態では、留置部内のステントの変形部分は、マーカが留置部に配置されたときに変形するようになっている、変形可能な突起を含むことができる。突起は、留置部の円筒軸線に平行、垂直、または平行と垂直との間である突条を含むことができる。
【0040】
図9Aは、スパイダ領域122に留置部120があるステントパターンの一部分を示す。留置部120は突条124を有する。図9Bは、図9Aの留置部120内に配置された球状マーカ128を示す。マーカ128は、非変形マーカ128と変形突条124との間の締まり嵌めによって結合される。突条124の間に空隙130が示される。一部の実施形態では、留置部内のマーカの結合は、上述の通り、空隙をポリマ被覆材で少なくとも部分的に埋めることによって容易化することができる。
【0041】
他の実施形態では、留置部は、マーカの断面とは異なる断面を持つことができる。加えて、留置部の一部分を横切る長さは、マーカの断面より小さいかもしれない。マーカが留置部内に配置されたときに、ステントの一部分は、留置部の断面を変化させてマーカを受け入れるように、変形することができる。ステントの変形は、マーカと留置部内のステントの表面の一部分との間の締まり嵌めを形成することができる。球形または円筒形のように円形断面を持つマーカの場合、非円形断面を持つ留置部は、長円形、楕円形、長方形等のように多種多様な形状とすることができる。
【0042】
図10Aは、非円形断面を有する留置部144を持つステントの一部分140の上面図を示す。留置部144は、球状マーカの直径Dより小さい幅Woを有する。図10Bは、図10Aの留置部144内に直径Dsの球状マーカ146が配置された部分140を示す。部分140は、マーカ146と留置部144内の部分140の表面の一部分との間の締まり嵌めを形成するように、マーカ146を変形して収容する。空隙148は上述の通り、ポリマ被覆材で埋めることができる。
【0043】
上記の通り、留置部内にマーカを配置することにより、留置部に隣接するステントの部分に変形が生じることがある。その部分が変形したときのステントの損傷を低減または排除するために、その部分の可撓性を高めることが望ましいかもしれない。一部の実施形態では、留置部に隣接する部分の表面は、凹所を含むことができる。凹所は、その部分へのマーカの結合を容易化するように、マーカが留置部内に配置されたときのその部分の変形を容易化し、これによりその部分の可撓性を高めることができる。
【0044】
一実施形態では、凹所は留置部と連通する溝とすることができる。表面は、様々な幅および深さの2つ以上の溝を含むことができる。例えば溝は、留置部の直径の1%、3%、5%、10%、15%、20%、または20%未満の幅を持つことができる。加えて、溝は、留置部を有するストラットの径方向厚さの1%、3%、5%、10%、15%、または20%未満の深さを持つことができる。
【0045】
図11Aは、マーカ用の留置部154があるステントの部分150の上面図を示す。部分150は留置部と連通する溝158を有する。図11Bは、留置部154の内面164と対面する溝158の側面図を示す。溝158は深さDGおよび幅WGを有する。溝158は矩形断面を持つように示されているが、溝は丸みを帯びた断面を有することもできる。
【0046】
上記の通り、ポリマストラットの特定の領域は、クリンピングまたは拡張中に著しい変形またはひずみを受ける傾向がある。そのような領域は、図1の領域14、16、および18のように湾曲または屈曲した領域のみならず、図3の部分68のように構造要素が交差する領域をも含む。したがって、ステントの展開中に、そのような領域に位置する留置部の周囲の材料は、拡張するステントに応力が加えられたときに、亀裂が入り、あるいは伸縮することがあり、マーカが押し退けられることがある。図1の部分19のように直線状または比較的直線状の部分は、クリンピングおよび拡張中でも、比較的低い応力を経験する傾向がある。
【0047】
したがって、一部の実施形態では、留置部のある領域が、留置部の無い領域より高い質量または厚さを持つことが望ましく、あるいは必要であるかもしれない。高い質量または厚さはその領域を強化することができ、それにより少なくとも部分的に、留置部の存在に対し補償することができる。留置部の領域に構造要素の著しいゆがみを生じることなく、クリンピングおよび拡張の応力に適切に耐えることができるように、領域はステント材料の追加質量により強化することができる。
【0048】
さらに、高応力領域は、留置部に対する補償のために、低応力領域より大きい質量を必要とする傾向がある。ステントの質量の増加はステントの形状因子を増大させ、それは一般的に望ましくない。
【0049】
特定の実施形態では、ステントは、ステントの一部分の留置部内に配置されたマーカを含むことができる。ステントは、ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、他のより高いひずみ部分より低いひずみを持つ領域を有することができる。留置部は、低応力の選択された領域に選択的に配置することができる。構造要素の選択された領域は、選択された領域の耐荷重能力を維持しかつマーカがステントから外れるのを阻止するように、マーカの無い低応力の領域より高い質量または厚さを有するように変化させることができる。
【0050】
図12Aは、ステントの低応力領域である部分184に留置部182を持つステントパターン180を示す。図12Aに示す通り、部分184は、留置部の無い構造要素186より幅が広い。部分184はステントの構造上の完全性を維持するために、より幅広であり、あるいはより大きい質量を有する。図12Bは、留置部182内に配置された球状マーカ188を示す。図12A〜Bに示す通り、マーカを部分184のような低応力領域に配置する利点の1つは、複数のマーカを受け入れることができることである。したがって、ステントの可視性が向上する。
【0051】
図13は、図12A〜Bの部分184の上面図を示す。部分184の強化されない部分は幅WLを有し、補強部分の幅はWRを有する。WRはWLの120%、140%、160%、180%、200%、220%、または250%を超えることができる。
【0052】
特定の実施形態では、球状マーカを追加的に、または代替的に、任意の適切な生体適合性接着剤で留置部内に結合することができる。一実施形態では、接着剤は溶媒を含むことができる。溶媒は、留置部内の構造要素のポリマを溶解して、留置部内のマーカを構造要素に結合させることができる。ポリマを含むマーカの場合、溶媒はマーカの一部分をも溶解させるかもしれない。別の実施形態では、接着剤は、ポリマが混合された溶媒を含むことができる。溶媒または溶媒−ポリマ混合物を留置部内の構造要素またはマーカに塗布し、その後でマーカを留置部内に配置することができる。溶媒はその後、蒸発によって除去することができる。蒸発は、例えば構造要素を炉内で加熱することによって、または何らかの他の方法によって容易化することができる。
【0053】
溶媒の代表例は、クロロホルム、アセトン、クロロベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、二塩化エチレン、2−エチルヘキサノール、およびそれらの組合せを含むことができるが、それらに限定されない。代表的ポリマは、選択された溶媒によって溶解することのできる、本書に開示する生体安定性および生体分解性ポリマを含むことができる。
【0054】
他の実施形態では、接着剤は、例えばエポキシ、ポリエステル、およびフェノールのような熱硬化性物質、例えばポリアミド、ポリエステル、および酢酸エチルビニル(EVA)コポリマのような熱可塑性物質、ならびに例えば天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ、およびポリイソブチレンのようなエラストマを含むことができるが、それらに限定されない。他の接着剤は、タンパク質、セルロース、澱粉、ポリ(エチレングリコール)、フィブリン接着剤、ならびにそれらの誘導体および組合せを含むが、それらに限定されない。
【0055】
溶媒と別の物質の混合物を使用して、接着剤を形成することができる。一部の実施形態では、例えば水とスクロースの混合物のような水と糖の混合物を、接着剤として使用することができる。他の実施形態では、PEGまたはその誘導体の混合物を適切な溶媒と混合して、接着剤を形成することができる。PEGまたはその誘導体に適した溶媒は、水、エタノール、クロロホルム、アセトン等を含むが、それらに限定されない。
【0056】
他の実施形態では、マーカは、熱溶接によって構造要素に結合することができる。マーカを構造要素に配置する前に、金属マーカは、構造要素のポリマの少なくとも一部分を溶融することのできる温度に、加熱することができる。ポリマを含むマーカは、マーカを留置部に配置する前に、その溶融温度またはそれ以上の温度まで加熱することができる。
【0057】
さらに、マーカはステントの任意の所望の位置に結合することができる。一部の実施形態では、マーカの配置を特定の位置、またはステントの表面の一部分に制限することが有利であるかもしれない。例えば、管腔壁との干渉、または血流との干渉をそれぞれ低減または排除するために、構造要素の側壁面にマーカを結合することが望ましいかもしれない。医師がステントの全長を見ることができるように、ステントの縁だけを描くために、ステントの遠端および近端だけにマーカを配置することができる。
【0058】
加えて、ステントのような装置は一般的に、ステントの様々な位置に結合された2つ以上のマーカを含む。マーカは、植込み中および植込み後にステントの可視化を容易にするように、分散させることができる。例えばマーカは、ステントパターン全体に周方向および長手方向に分散させることができる。
【0059】
上記の通り、ステントは生体安定性および/または生体分解性ポリマを含むことができる。生体分解性ポリマは、純粋または実質的に純粋な生体分解性ポリマとすることができる。代替的に、生体分解性ポリマは少なくとも2種類の生体分解性ポリマの混合物とすることができる。ステントは、その機能が達成された後、完全に腐食するように構成することができる。
【0060】
特定の実施形態では、マーカは生体分解性とすることができる。マーカは、ステントと同一または実質的に同一速度で劣化することが望ましいかもしれない。例えばマーカは、ステントと同時に、またはほぼ同時に、完全にまたはほぼ完全に腐食するように構成することができる。他の実施形態では、マーカは、ステントより早く劣化することができる。この場合、マーカは、ステントの本体が完全に腐食する前に、完全にまたはほぼ完全に腐食することができる。
【0061】
さらに、放射線不透過性マーカは、生体分解性および/または生体安定性金属から構成することができる。生体分解性または生体侵食性金属は、体液にさらされたときに、比較的速く腐食または浸食する傾向がある。生体安定性金属とは、生体分解性または生体侵食性ではなく、あるいは体液にさらされたときに微量の腐食または浸食速度を有する金属を指す。一部の実施形態では、金属の腐食または浸食は、金属表面とその環境との間の化学反応が関係する。血管環境のような湿潤環境における腐食または浸食は結果的に、金属表面からの金属原子の除去を生じる。表面の金属原子は電子を失い、金属から離れて溶液中に塩を形成する荷電イオンになる。
【0062】
加えて、マーカに生体適合性の生体分解性金属を使用することが望ましい。生体適合性の生体分解性金属は、生体機能に悪影響を及ぼさない腐食生成物を形成する。
【0063】
一実施形態では、放射線不透過性マーカは、純粋または実質的に純粋な生体分解性金属から構成することができる。代替的に、マーカは、少なくとも2種類の金属の混合物または合金とすることができる。マーカ用の生体分解性金属の代表例は、マグネシウム、亜鉛、および鉄を含むことができるが、それらに限定されない。代表的混合物または合金は、マグネシウム/亜鉛、マグネシウム/鉄、亜鉛/鉄、およびマグネシウム/亜鉛/鉄を含むことができる。放射線不透過性をさらに高めるために、ヨウ素塩、ビスマス塩、またはバリウム塩のような放射線不透過性化合物を金属製生体分解性マーカに配合することができる。
【0064】
生体安定性金属の代表例は、白金および金を含むことができるが、それらに限定されない。
【0065】
一部の実施形態では、マーカの組成は、所望の腐食速度および/または放射線不透過度を得るように、変更または調整することができる。例えばマーカの腐食速度は、合金中の腐食速度の高い成分の割合を増加することによって、高めることができる。同様に、放射線不透過度は、合金中の鉄のような放射線不透過度の高い金属の割合を増加することによって、高めることができる。一実施形態では、生体分解性マーカは、約1週間から約3ヶ月の間、またはより厳密に、約1ヶ月から約2ヶ月の間、血液のような体液にさらされたときに、完全に腐食することができる。
【0066】
他の実施形態では、放射線不透過性マーカは、生体分解性ポリマと放射線不透過性材料との混合物とすることができる。放射線不透過性材料は、生体分解性および/または生体吸収性とすることができる。代表的な放射線不透過性材料は、生体分解性金属粒子、ならびに生体分解性金属酸化物、生体適合性金属塩、ガドリニウム塩、およびヨード造影剤のような生体分解性金属化合物の粒子を含むことができるが、それらに限定されない。
【0067】
一部の実施形態では、マーカの放射線不透過性は、マーカ中の放射線不透過性材料の配合を増大することによって、高めることができる。一実施形態では、放射線不透過性材料は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0068】
マーカ中の生体分解性ポリマは、純粋または実質的に純粋な生体分解性ポリマとすることができる。代替的に、生体分解性ポリマは、少なくとも2種類の生体分解性ポリマの混合物とすることができる。異なる生体分解性ポリマは異なる腐食速度を有するので、一実施形態では、生体分解性ポリマの配合を変更して、マーカの腐食速度を変えることができる。
【0069】
生体適合性金属塩とは、身体によって安全に吸収することのできる塩を指す。マーカに使用することのできる代表的生体適合性金属塩は、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、炭酸第一鉄、塩化第一鉄、フマル酸第一鉄、ヨウ化第一鉄、乳酸第一鉄、コハク酸第一鉄、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、酒石酸ビスマスカリウム、ヨウ化ビスマスナトリウム、酒石酸ビスマスナトリウム、ビスマスナトリウムトリグリコラメート、次サリチル酸ビスマス、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、リン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、およびそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。マーカ中の金属塩の濃度は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0070】
加えて、代表的ヨード造影剤は、アセトリゼート、ジアトリゼート、イオジミド、イオグリケート、イオタラメート、イオキシタラメート、セレクタン、ウロセレクタン、ジオドン、メトリゾエート、メトリザミド、イオヘキソール、イオキサグレート、イオジキサノール、リピジアル、エチオドール、およびそれらの組合せを含むことができるが、それらに限定されない。マーカ中のヨード造影剤の濃度は、体積でマーカの5%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。
【0071】
金属粒子の組成は、上述した生体分解性金属のみならず、酸化物のような金属化合物を少なくとも含むことができる。マーカ中の金属粒子の濃度は、体積でマーカの10%から80%の間、20%から70%の間、30%から60%の間、または40%から50%の間とすることができる。加えて、個々の金属粒子は純粋または実質的に純粋な金属または金属化合物とすることができる。代替的に、個々の金属粒子は、少なくとも2種類の金属または金属化合物の混合物とすることができる。個々の金属粒子はまた、少なくとも2種類の金属から構成される混合物または合金とすることもできる。
【0072】
特定の実施形態では、金属粒子は金属ナノ粒子とすることができる。「ナノ粒子」とは、約1nmから約100nmの範囲の寸法の粒子を指す。より大きい粒子に比べてナノ粒子の重要な利点は、ナノ粒子がポリママトリックスにより均一に分散し、その結果、放射線不透過性および腐食速度のような性質がより均一に得られることである。加えて、ナノ粒子は、生体機能に悪影響を及ぼすことなく、血液のような体液により簡単に吸収することができる。金属粒子の代表的な例は、鉄、マグネシウム、亜鉛、白金、金、およびそれらの金属の酸化物を含むことができるが、それらに限定されない。
【0073】
一実施形態では、マーカの腐食速度および/または放射線不透過性を変えるために、混合物中の様々な種類の金属粒子の組成のみならず、個々の粒子の組成をも変更することができる。加えて、腐食速度および放射線不透過性の両方を変えるために、金属粒子に対するポリマの比率を変更することができる。
【0074】
マーカは、成形、機械加工、組立て、またはそれらの組合せを含むが、それらに限定されない方法によって作製することができる。金属またはポリマのマーカの全部または一部を金型で作製するか、あるいはレーザ加工のような方法によって機械加工することができる。
【0075】
本発明の特定の実施形態を示し、かつ説明したが、そのより広義の態様において本発明から逸脱することなく、変化および変更を施すことができることは、当業熟練者には明白であろう。したがって、付属の特許請求の範囲は、その範囲内に、本発明の真の精神および範囲内に該当するそのような変化および変更を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】円筒形状のステントの三次元図を示す。
【図2】マーカを受容するための留置部を持つステントパターンの一実施形態を示す。
【図3】マーカ留置部を持つステントパターンの図を示す。
【図4A】図3のステントのマーカ留置部を持つ部分の上面図を示す。
【図4B】図3のステントのマーカ留置部を持つ部分の側面図を示す。
【図5】円筒状マーカおよびマーカ留置部を持つステントの部分を示す。
【図6】球状マーカ、およびマーカ留置部を持つステント部分を示す。
【図7】ステントの留置部内に配置された球状マーカを示す。
【図8A】留置部内の非圧縮球状マーカの側面図を示す。
【図8B】留置部内の圧縮球状マーカの側面図を示す。
【図9A】突条を含む留置部を持つステントの部分を示す。
【図9B】図9Aの留置部内に配置された球状マーカを示す。
【図10A】非円形断面を有する留置部を持つステントの部分を示す。
【図10B】球状マーカが図10Aの留置部内に配置されたステントの部分を示す。
【図11A】マーカ留置部に隣接するリリーフカットを持つステントの部分の上面図を示す。
【図11B】マーカ留置部に隣接するリリーフカットを持つステントの部分の側面図を示す。
【図12A】ステントの低ひずみ領域にマーカ留置部を持つステントの部分を示す。
【図12B】図12Aの留置部にマーカが配置されたステントの部分を示す。
【図13】図12Bのステントの部分の上面図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部分に設けられた留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
前記マーカが少なくとも部分的に、前記マーカの拡張部分と前記留置部内の前記部分の内面との間の締まり嵌めによって前記留置部内の部分に結合され、
前記変形マーカと前記内面との間の少なくとも幾つかの間隙にポリマ被覆材が充填され、
前記マーカが撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を備えるように構成されている、ステント。
【請求項2】
前記マーカが少なくとも1つの圧縮部分をさらに備え、前記拡張部分および前記圧縮部分が、前記留置部内に配置された非変形マーカまたは部分変形マーカを変形させることから生じる、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記留置部が円筒状である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記留置部が当該ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
ステントの所定の部分における前記留置部に放射線不透過性マーカを配置するステップと、
前記マーカを圧縮することにより、前記留置部内の前記マーカの一部分が拡張されて、前記拡張部分と前記留置部内の前記ステントの内面との間に締まり嵌めが形成されるように、前記マーカを圧縮して前記マーカを前記留置部内に結合させるステップと、
前記変形マーカと前記内面との間の少なくとも幾つかの間隙を埋めるように被覆材を塗布するステップと
を備える、ステントを作製する方法。
【請求項7】
所定の部分に設けられた留置部に配置された放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
前記マーカが少なくとも部分的に、前記マーカと前記留置部に隣接する当該ステントの変形部分との間の締まり嵌めによって当該ステントに結合され、かつ前記マーカが撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を備えるように構成された、ステント。
【請求項8】
前記マーカが、当該ステントに結合された後、変形されず、または実質的に変形されない、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
前記留置部が円筒形状である、請求項7に記載のステント。
【請求項10】
前記留置部が前記ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項7に記載のステント。
【請求項11】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項7に記載のステント。
【請求項12】
前記マーカが球状または円筒状である、請求項7に記載のステント。
【請求項13】
前記留置部内の当該ステントの前記変形部分が、前記マーカが前記留置部に配置されたときに変形して、前記マーカの当該ステントへの結合を容易化するようになっている、変形可能な突起を備える、請求項7に記載のステント。
【請求項14】
前記突起が、前記留置部の軸線に平行、垂直、または平行と垂直との間である突条を備える、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
前記留置部が前記マーカの断面とは異なる断面を備え、前記マーカが前記留置部内に配置されたときに、当該ステントの前記部分が変形して、前記マーカを収容するように前記留置部の断面を変化させる、請求項7に記載のステント。
【請求項16】
放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
所定の部分に設けられた留置部が前記マーカを収容配置するように構成されており、
前記留置部に隣接する前記部分の表面が凹所を備え、前記マーカが前記留置部内に配置されたときに、前記凹所が前記部分の変形を容易化して、前記マーカの前記部分への結合を容易化するように構成された、ステント。
【請求項17】
前記凹所が前記留置部と連通する溝を備える、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記留置部が当該ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項16に記載のステント。
【請求項20】
前記マーカが球状または円筒状である、請求項16に記載のステント。
【請求項21】
所定の部分に設けられた留置部に配置されたマーカを備えるステントであって、
当該ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、他の高応力部分より低い応力の領域を有し、前記留置部が低応力の選択された領域に選択的に配置されるように構成された、ステント。
【請求項22】
低応力の前記領域が当該ステントの直線状または実質的に直線状の構造要素を備える、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項21に記載のステント。
【請求項24】
前記選択された領域の耐荷重能力を維持し、かつ前記マーカが前記ステントから外れるのを阻止するように、前記構造要素の前記選択された領域が、マーカの無い低応力の領域より高い質量を有するように変更される、請求項21に記載のステント。
【請求項1】
所定の部分に設けられた留置部に配置された変形放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
前記マーカが少なくとも部分的に、前記マーカの拡張部分と前記留置部内の前記部分の内面との間の締まり嵌めによって前記留置部内の部分に結合され、
前記変形マーカと前記内面との間の少なくとも幾つかの間隙にポリマ被覆材が充填され、
前記マーカが撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を備えるように構成されている、ステント。
【請求項2】
前記マーカが少なくとも1つの圧縮部分をさらに備え、前記拡張部分および前記圧縮部分が、前記留置部内に配置された非変形マーカまたは部分変形マーカを変形させることから生じる、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記留置部が円筒状である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記留置部が当該ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
ステントの所定の部分における前記留置部に放射線不透過性マーカを配置するステップと、
前記マーカを圧縮することにより、前記留置部内の前記マーカの一部分が拡張されて、前記拡張部分と前記留置部内の前記ステントの内面との間に締まり嵌めが形成されるように、前記マーカを圧縮して前記マーカを前記留置部内に結合させるステップと、
前記変形マーカと前記内面との間の少なくとも幾つかの間隙を埋めるように被覆材を塗布するステップと
を備える、ステントを作製する方法。
【請求項7】
所定の部分に設けられた留置部に配置された放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
前記マーカが少なくとも部分的に、前記マーカと前記留置部に隣接する当該ステントの変形部分との間の締まり嵌めによって当該ステントに結合され、かつ前記マーカが撮像技術によって撮像するのに充分な放射線不透過性を備えるように構成された、ステント。
【請求項8】
前記マーカが、当該ステントに結合された後、変形されず、または実質的に変形されない、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
前記留置部が円筒形状である、請求項7に記載のステント。
【請求項10】
前記留置部が前記ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項7に記載のステント。
【請求項11】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項7に記載のステント。
【請求項12】
前記マーカが球状または円筒状である、請求項7に記載のステント。
【請求項13】
前記留置部内の当該ステントの前記変形部分が、前記マーカが前記留置部に配置されたときに変形して、前記マーカの当該ステントへの結合を容易化するようになっている、変形可能な突起を備える、請求項7に記載のステント。
【請求項14】
前記突起が、前記留置部の軸線に平行、垂直、または平行と垂直との間である突条を備える、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
前記留置部が前記マーカの断面とは異なる断面を備え、前記マーカが前記留置部内に配置されたときに、当該ステントの前記部分が変形して、前記マーカを収容するように前記留置部の断面を変化させる、請求項7に記載のステント。
【請求項16】
放射線不透過性マーカを備えるステントであって、
所定の部分に設けられた留置部が前記マーカを収容配置するように構成されており、
前記留置部に隣接する前記部分の表面が凹所を備え、前記マーカが前記留置部内に配置されたときに、前記凹所が前記部分の変形を容易化して、前記マーカの前記部分への結合を容易化するように構成された、ステント。
【請求項17】
前記凹所が前記留置部と連通する溝を備える、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記留置部が当該ステントの前記部分に部分的に延び、または、完全に貫通して延びている、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項16に記載のステント。
【請求項20】
前記マーカが球状または円筒状である、請求項16に記載のステント。
【請求項21】
所定の部分に設けられた留置部に配置されたマーカを備えるステントであって、
当該ステントが使用中に応力を加えられた状態に置かれたときに、他の高応力部分より低い応力の領域を有し、前記留置部が低応力の選択された領域に選択的に配置されるように構成された、ステント。
【請求項22】
低応力の前記領域が当該ステントの直線状または実質的に直線状の構造要素を備える、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
当該ステントが生体安定性および/または生体分解性ポリマを含む、請求項21に記載のステント。
【請求項24】
前記選択された領域の耐荷重能力を維持し、かつ前記マーカが前記ステントから外れるのを阻止するように、前記構造要素の前記選択された領域が、マーカの無い低応力の領域より高い質量を有するように変更される、請求項21に記載のステント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【公表番号】特表2009−522050(P2009−522050A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549504(P2008−549504)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049269
【国際公開番号】WO2007/081551
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049269
【国際公開番号】WO2007/081551
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
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