説明

放射線検出装置、放射線撮影装置及び移動型放射線画像撮影装置

【課題】電力供給源を有する放射線検出装置から他の機器に電力を融通することができ、災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって容易に行えるようにした放射線検出装置、放射線撮影装置及び移動型放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】筐体と、該筐体内に設置され、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線検出器と、電力供給源58と、該電力供給源58からの電力の少なくとも一部を、外部の機器に向けて送電する送電部60と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置、放射線撮影装置及び移動型放射線画像撮影装置に関し、例えば屋外で発電した電力を他の機器に融通することができ、災害現場等での医療行為を容易に行えるようにした放射線検出装置、放射線撮影装置及び移動型放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場では、病室からの移動が難しい重症患者の撮影や手術室での緊急撮影等の需要が増加しており、X線(レントゲン)撮影室以外の現場室(撮影現場室)で撮影した画像を医師が迅速且つ高画質で確認するニーズが高まってきている。
【0003】
このようなニーズに応えるために、移動型放射線画像撮影装置が提案されるに至っている。移動型放射線画像撮影装置の先行技術としては、例えば特許文献1に記載の移動回診車等が挙げられる。
【0004】
特許文献1記載の移動回診車は、電動又は手動にて移動可能とされた台車と、該台車に設置された放射線撮影装置本体とを有する。放射線撮影装置本体は、少なくともX線源と、被写体の放射線画像情報が記録される蓄積性蛍光体パネルを収納したカセッテと、カセッテの蓄積性蛍光体パネルから放射線画像情報を読み取る画像読取装置と、各種機器に電力を供給するバッテリとを有する。特に、この特許文献1には、蓄積性蛍光体パネルを収納したカセッテの代わりに放射線固体検出器を収納した電子カセッテを用いる例も記載されている。
【0005】
また、従来では、フラット・パネル検出器(電子カセッテ)の保管中に、電子カセッテの温度を調節して、ホット・スポットが生じないようにする例が提案されている(特許文献2)。この特許文献2には、電力供給源に関し具体的な記載はないが、電子カセッテのバッテリを充電する装備を施されていてよい、との記載がある。
【0006】
なお、近年、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた電界電子放出型の放射線源が開発されてきており(特許文献3及び非特許文献1参照)、該放射線源を含めた放射線画像撮影装置の小型化及び軽量化が期待されている。また、代表的な焦電結晶であるLiTaO結晶を用いた小型の高エネルギーX線源の開発も行われている(非特許文献2参照)。
【0007】
また、電力を無線で伝送する方式として、非特許文献3や非特許文献4が知られている。非特許文献3記載の方法は、無接点電力伝送シートに埋め込まれた一次コイルからの電磁誘導によって電力を伝達するものであり、非特許文献4記載の方法は、2つのLC共振器間の磁場の共鳴を利用した無線電力送信技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−201561号公報
【特許文献2】特開2006−102492号公報
【特許文献3】特開2007−103016号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】産総研:プレス・リリース、“カーボンナノ構造体を利用した可搬型X線源を開発”、[online]、平成21年3月19日、独立行政法人産業技術総合研究所、[ 平成21年7月8日検索]、インターネット< URL:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090319/pr20090319.html>
【非特許文献2】Advances in X−Ray Chemical Analysis,Japan,41(2010) p.195〜p.200「Applying Pyroelectric Crystal to Small High Energy X−Ray Source」
【非特許文献3】IEDMプレ“壁や床などへの埋め込みを想定した無接点電力伝送シートが登場、東京大学が開発”、[online]、2006年12月4日、[2007年12月21日検索]、インターネット<URL:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061204/124943/>
【非特許文献4】日経エレクトロニクス 2007.12.3 p.117〜128「電力を無線伝送する技術を開発 実験で60Wの電球を点灯」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1に示すような回診車等は、あくまでも病院内の病室にいる患者の放射線画像を撮影することが目的であり、被災地等の野外で使用する構成にはなっていない。また、予め充電しておいたバッテリを搭載して使用することから、回診車の移動距離と撮影回数はバッテリの消費電力(残量)に制約される。
【0011】
被災地等への医療器具の運搬は、ほとんどがトラックや救急車等の車両を用いるのが一般的であり、運搬先も、医療チームが集まるテント等である。医療器具を被害者のところまで運搬するのは、車両等では難しく、医師や看護師、放射線技師等が手で持って運搬しているのが現状である。従来の移動電源車を使用しても同様の問題がある。
【0012】
小型の放射線検出装置を使うことで、手で持っての運搬は楽になるが、別途バッテリを持ち運ばなくてはならず、面倒である。
【0013】
また、被害者の被害状況によっては、放射線撮影のほか、心電図や超音波診断等を行う必要が出てくるが、このような場合に迅速に対応できない。被害者自身を医療チームが集まるテント等に運搬あるいは連れて行って、心電図や超音波診断等を行うしかなかった。特許文献2には、バッテリを充電するための装備を設けるもよい、との記載があるが、その具体的な構成が記載されていないため、どのように構成すればよいかが不明である。しかも、特許文献2には、複数の電子カセッテを集積した例のみが記載されているため、複数種の異なった医療機器への電力供給をどのように行ったらよいかは全くわからない。
【0014】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、電力供給源を有する放射線検出装置から他の機器に電力を融通することができ、災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって容易に行えるようにした放射線検出装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、災害現場等において、電力供給源からの電力を、少なくとも放射線撮影に必要な機器(放射線源や放射線検出器等)に融通して供給することができ、災害現場等での医療行為を容易に行えるようにした放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【0016】
本発明の他の目的は、災害現場等の被災者のところまで、少なくとも放射線撮影に必要な機器(放射線源や放射線検出器等)を含む医療機器を一度に搬送することができ、しかも、災害現場等において医療機器への電力供給ができ、災害現場等での医療行為を容易に行えるようにした移動型放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[1] 第1の本発明に係る放射線検出装置は、筐体と、前記筐体内に設置され、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線検出器と、電力供給源と、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、外部の機器に向けて送電する送電部と、を有し、前記電力供給源は、前記筐体の表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする。
【0018】
[2] 第1の本発明において、前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記放射線検出器とに分配する電力分配器とを有するようにしてもよい。
【0019】
[3] 第1の本発明において、さらに、前記筐体内に設置され、少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記電力蓄積部とに分配する電力分配器と、を有するようにしてもよい。
【0020】
[4] 第1の本発明において、さらに、他の機器における送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線検出器に供給する受電部を有するようにしてもよい。
【0021】
[5] 第1の本発明において、さらに、前記筐体内に設置され、少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、他の機器における送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部を有するようにしてもよい。
【0022】
[6] この場合、前記太陽電池パネルは、前記筐体の表面のうち、前記被写体を透過した放射線が照射される照射面とは反対側の面に設置されていてもよい。
【0023】
[7] 第1の本発明において、さらに、前記筐体を収容するケースを有し、前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであってもよい。
【0024】
[8] 第1の本発明において、前記送電部は、前記外部の機器に対して非接触で送電し、前記放射線検出装置自体が非接触給電方式の電源として機能するようにしてもよい。
【0025】
[9] 第2の本発明に係る放射線撮影装置は、放射線撮影に使用される1以上の機器と、前記機器が出し入れ自在に収容されるケースと、電力供給源と、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記ケース外の機器に向けて送電する送電部と、を有し、前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする。
【0026】
[10] 第2の本発明において、前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記ケース内の前記機器とに分配する電力分配器を有するようにしてもよい。
【0027】
[11] 第2の本発明において、前記ケース内に出し入れされる前記機器は、筐体と、前記筐体内に設置された電力蓄積部と、を有し、前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記電力蓄積部とに分配する電力分配器を有するようにしてもよい。
【0028】
[12] 第2の本発明において、さらに、他の機器における送電部からの電力を受電して、前記ケース内の前記機器に供給する受電部を有するようにしてもよい。
【0029】
[13] この場合、前記ケース内に2以上の機器が出し入れ自在とされ、前記受電部からの電力を2以上の機器に分配する第2の電力分配器を有するようにしてもよい。
【0030】
[14] あるいは、前記ケース内に2以上の機器が出し入れ自在とされ、2以上の前記機器は、筐体と、前記筐体内に設置された電力蓄積部と、をそれぞれ有し、前記受電部からの電力を、2以上の前記機器における各前記電力蓄積部に分配する第2の電力分配器を有するようにしてもよい。
【0031】
[15] 第2の本発明において、前記送電部は、前記ケース外の機器に対して非接触で送電し、前記放射線撮影装置自体が非接触給電方式の電源として機能するようにしてよい。
【0032】
[16] 第3の本発明に係る移動型放射線画像撮影装置は、移動可能な台車と、前記台車に対して着脱自在とされ、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器を収容する1以上の検出器本体部と、1以上の電力供給源と、前記台車に設置され、前記電力供給源からの電力を分配する電力分配器と、前記台車に設置され、分配された電力を、対応する前記検出器本体部に向けて送電する複数の台車側送電部と、を有することを特徴とする。
【0033】
[17] 第3の本発明において、前記検出器本体部は、さらに、前記台車側送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線検出器に供給する受電部を有するようにしてもよい。
【0034】
[18] 第3の本発明において、前記検出器本体部は、さらに、少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、前記台車側送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部とを有するようにしてもよい。
【0035】
[19] 第3の本発明において、さらに、前記台車に対して着脱自在とされ、前記検出器本体部に向けて放射線を出力する放射線源を収容する1以上の線源本体部を有し、複数の台車側送電部は、分配された電力を、前記線源本体部及び前記検出器本体部の少なくとも1つに向けて送電するようにしてもよい。
【0036】
[20] この場合、前記線源本体部は、さらに、前記台車側送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線源に供給する受電部を有するようにしてもよい。
【0037】
[21] あるいは、前記線源本体部は、さらに、少なくとも前記放射線源に電力を供給する電力蓄積部と、前記台車側送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部とを有するようにしてもよい。
【0038】
[22] 第3の本発明において、前記電力供給源は、少なくとも1つの前記検出器本体部に設置され、前記電力供給源が設置された前記検出器本体部は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記電力分配器に送電する機器側送電部を有するようにしてもよい。
【0039】
[23] 第3の本発明において、2以上の電力供給源を有し、前記台車に、各前記電力供給源からの電力を集電する集電部が設置され、前記電力分配器は、前記集電部からの電力を分配するようにしてもよい。
【0040】
[24] この場合、2以上の前記電力供給源は、それぞれ前記検出器本体部に設置され、前記電力供給源が設置された前記検出器本体部は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記集電部に送電する機器側送電部を有するようにしてもよい。
【0041】
[25] [22]又は[24]において、前記電力供給源は、前記検出器本体部の表面に設置された太陽電池パネルであってもよい。
【0042】
[26] この場合、前記台車は、少なくとも前記検出器本体部が収容される棚を有し、前記太陽電池パネルでの発電は、前記放射線検出器の一部又は全部が前記棚から引き出され、前記太陽電池パネルを上方に向けた状態で行われるようにしてもよい。
【0043】
[27] さらに、前記台車は、少なくとも2以上の前記検出器本体部が収容される2以上の前記棚を有し、2以上の棚は、前記台車の少なくとも2つの側面に設けられていてもよい。
【0044】
[28] 第4の本発明に係る移動型放射線画像撮影装置は、移動可能な台車と、前記台車に対して着脱自在とされ、放射線撮影に使用される1以上の機器を有する放射線撮影装置と、1以上の電力供給源と、前記台車に設置され、前記電力供給源からの電力を分配する電力分配器と、前記台車に設置され、分配された電力を、対応する前記放射線撮影装置に向けて送電する複数の台車側送電部と、を有することを特徴とする。
【0045】
[29] 第4の本発明において、前記電力供給源は、少なくとも1つの前記放射線撮影装置に設置され、前記電力供給源が設置された前記放射線撮影装置は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記電力分配器に送電する装置側送電部を有するようにしてもよい。
【0046】
[30] 第4の本発明において、2以上の電力供給源を有し、前記台車に、各前記電力供給源からの電力を集電する集電部が設置され、前記電力分配器は、前記集電部からの電力を分配するようにしてもよい。
【0047】
[31] この場合、2以上の前記電力供給源は、それぞれ前記放射線撮影装置に設置され、前記電力供給源が設置された前記放射線撮影装置は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記集電部に送電する装置側送電部を有するようにしてもよい。
【0048】
[32] [29]又は[31]において、前記放射線画像撮影装置は、放射線撮影に使用される1以上の前記機器が出し入れ自在に収容されるケースを有し、前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであってもよい。
【0049】
[33] この場合、前記台車は、少なくとも前記ケースが収容される収容部を有し、前記太陽電池パネルでの発電は、前記ケースが前記太陽電池パネルを上方に向けた状態で収容されることで行われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明に係る放射線検出装置によれば、電力供給源を有する放射線検出装置から他の機器に電力を融通することができ、災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって容易に行うことができる。
【0051】
また、本発明に係る放射線撮影装置によれば、災害現場等において、電力供給源からの電力を、少なくとも放射線撮影に必要な機器(放射線源や放射線検出器等)に融通して供給することができ、災害現場等での医療行為を容易に行うことができる。
【0052】
また、本発明に係る移動型放射線画像撮影装置によれば、災害現場等の被災者のところまで、少なくとも放射線撮影に必要な機器(放射線源や放射線検出器等)を含む医療機器を一度に搬送することができ、しかも、災害現場等において医療機器への電力供給ができ、災害現場等での医療行為を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線撮影装置(第1放射線撮影装置)の一例を示す説明図である。
【図2】第1放射線撮影装置のカセッテ本体部及び放射線源本体部を示す斜視図である。
【図3】図2における第1放射線撮影装置を水平面に沿った断面をIII−IIIの方向に見た断面図である。
【図4】第1放射線撮影装置のカセッテ本体部から放射線源本体部を離した状態を示す平面図である。
【図5】第1放射線撮影装置の放射線源本体部の内部を示す断面図である。
【図6】第1放射線撮影装置による撮影を示す断面図である。
【図7】第1放射線撮影装置の撮影準備を示す斜視図である。
【図8】第1放射線撮影装置による撮影を示す斜視図である。
【図9】第1放射線撮影装置のカセッテ本体部の背面側を示す斜視図である。
【図10】第1放射線撮影装置のカセッテ本体部の電力供給系を示すブロック図である。
【図11】放射線検出器における画素の配列を模式的に示す説明図である。
【図12】カセッテ本体部の回路図である。
【図13】放射線撮影装置(第1放射線撮影装置〜第5放射線撮影装置)のブロック図である。
【図14】カセッテ本体部に設置されるプリンタの一例を一部省略して示す断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る放射線撮影装置(第2放射線撮影装置)のカセッテ本体部の電力供給系を示すブロック図である。
【図16】図16Aは第3の実施の形態に係る放射線撮影装置(第3放射線撮影装置)をその他の携帯情報端末及びコンソールと共に示す斜視図であり、図16Bは第3放射線撮影装置の底面側を示す斜視図である。
【図17】第3放射線撮影装置の電力供給系を示すブロック図である。
【図18】第4の実施の形態に係る放射線撮影装置(第4放射線撮影装置)の電力供給系を示すブロック図である。
【図19】第5の実施の形態に係る放射線撮影装置(第5放射線撮影装置)のカセッテ本体部及び放射線源本体部を示す斜視図である。
【図20】オペレータが第5放射線撮影装置を運搬している様子を示す説明図である。
【図21】図19における第5放射線撮影装置を水平面に沿った断面をXXI−XXIの方向に見た断面図である。
【図22】第5放射線撮影装置のカセッテ本体部から放射線源本体部を離した状態を示す平面図である。
【図23】第5放射線撮影装置の背面側を示す斜視図である。
【図24】第1の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(第1移動装置)を示す斜視図である。
【図25】第1移動装置の電力供給系を示すブロック図である。
【図26】第2の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(第2移動装置)の電力供給系を示すブロック図である。
【図27】第3の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(第3移動装置)を示す斜視図である。
【図28】図28A〜図28Cは放射線源本体部のアーム部に対する着脱機構の構成例を示す説明図である。
【図29】第3移動装置の電力供給系を示すブロック図である。
【図30】第4の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(第4移動装置)を示す斜視図である。
【図31】第4移動装置の台車に設置されるプリンタの一例を一部省略して示す断面図である。
【図32】図32Aは第5の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(第5移動装置)を示す斜視図であり、図32Bは第5移動装置を上面から見て示す平面図である。
【図33】第5移動装置の電力供給系を示すブロック図である。
【図34】変形例に係る放射線検出器の3画素分の構成を概略的に示す図である。
【図35】図34に示すTFT及び電荷蓄積部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本実施の形態に係る放射線検出装置、放射線撮影装置及び医療用移動装置の実施の形態例を図1〜図35を参照しながら説明する。
【0055】
先ず、第1の実施の形態に係る放射線撮影装置(以下、第1放射線撮影装置10Aと記す)は、例えば図1に示すように、アタッシュケースのような把手12を有するケース14と、該ケース14内に収容された外形が略矩形状のカセッテ本体部16(放射線検出装置)と、円柱状の放射線源本体部18と、携帯情報端末20とを有する。携帯情報端末20としては、例えばB5版程度の大きさで、タッチパネル機能を有する携帯情報端末を使用することができる。そして、これらカセッテ本体部16等をケース14に収容する場合は、ケース14の本体部14aにカセッテ本体部16と放射線源本体部18とを収容し、ケース14の蓋部14bに携帯情報端末20を収容する。
【0056】
カセッテ本体部16は、図2に示すように、外形が略矩形状で、且つ、放射線50(図6参照)を透過可能な材料からなる筐体22を有する。筐体22の一表面(照射面24)には、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線26が形成されている。筐体22の一方の長い第1側面28aには把手30が設けられている。さらに、筐体22の短い2つの側面(第2側面28b及び第3側面28c)のうち、第2側面28bには、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子32と、メモリカード34を装填するためのカードスロット36とが設けられている。
【0057】
また、図3に示すように、カセッテ本体部16内には、メジャー38も配置されている。このメジャー38は、例えば、目盛40が振られた帯部材42を図示しないバネ部材の作用によってロール状に巻き取るメジャーであり、該メジャー38の側部には、メジャー38からの帯部材42の引き出し量を検出するロータリーエンコーダ44が取り付けられている。メジャー38から引き出された帯部材42の先端部は、カセッテ本体部16の他方の長い第4側面28dにおけるメジャー38と対向する箇所に形成された孔46を挿通して放射線源本体部18に固定されている。
【0058】
従って、図3に示すように、カセッテ本体部16に対して放射線源本体部18を近づけた状態では、メジャー38内部のバネ部材の作用によって帯部材42の大部分が該メジャー38内でロール状に巻き取られる。一方、図4〜図8に示すように、カセッテ本体部16と放射線源本体部18とを離した状態では、バネ部材の作用に抗してカセッテ本体部16から放射線源本体部18が離間することにより、メジャー38から孔46を介して帯部材42を引き出すことができる。
【0059】
また、上記の説明において、メジャー38は、目盛40が振られた帯部材42を巻取可能であるが、帯部材42に代替して、目盛40が振られた紐部材(紐)であっても帯部材42と同じ機能を奏することができることは勿論である。
【0060】
さらに、カセッテ本体部16の内部には、図6に示すように、放射線源本体部18から被写体48(放射線画像の撮影対象となる被害者、被災者、受診者又は在宅者等)に放射線50を照射した際に、被写体48による放射線50の散乱線を除去するグリッド52、被写体48を透過した放射線50を検出する放射線検出器54、及び、放射線50のバック散乱線を吸収する鉛板56が、被写体48側の照射面24に対して順に配設される。なお、照射面24をグリッド52として構成してもよい。
【0061】
放射線検出器54としては、例えば、被写体48を透過した放射線50をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線検出器(表面読取方式及び裏面読取方式を含む)を使用することができる。表面読取方式であるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線50の照射方向に沿って、固体検出素子及びシンチレータが順に配置された構成を有する。裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線50の照射方向に沿って、シンチレータ及び固体検出素子が順に配置された構成を有する。また、放射線検出器54としては、上述の間接変換型の放射線検出器のほか、放射線50の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線検出器を採用することができる。
【0062】
さらに、カセッテ本体部16は、図2等に示すように、電力供給源58(図6、図9参照)と、該電力供給源58からの電力の少なくとも一部を、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって他の機器に送電する送電部60と、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって電力等の受け入れ(受電)が行われる受電部62とが設置されている。
【0063】
図6及び図9では、電力供給源58として太陽電池パネル64を用い、該太陽電池パネル64を、筐体22の表面のうち、被写体48を透過した放射線50が照射される照射面24とは反対側の背面66に設置し、さらに、図2等に示すように、送電部60及び受電部62を、筐体22の表面のうち、第2側面28bに設けた例を示している。
【0064】
太陽電池パネル64としては、市販されている小型太陽電池パネルや、フレキシブル太陽電池パネルを用いることができる。また、電力供給源58としては、上述の太陽電池パネル64のほか、バイオ電池、燃料電池等を好ましく使用することができる。
【0065】
カセッテ本体部16の内部には、図3等に示すように、カセッテ本体部16の電源としてのバッテリ68(電力蓄積部)と、電力供給源58からの電力を少なくとも送電部60とバッテリ68とに分配する電力分配器70と、バッテリ68から供給される電力により放射線検出器54(図6参照)を駆動制御するカセッテ制御部72と、バッテリ68の残量を検出する残量検出部74と、放射線検出器54によって検出した放射線50の情報を含む信号を外部との間で送受信する送受信機76とが収容されている。受電部62にて受電した電力はバッテリ68に供給されるようになっている。
【0066】
なお、バッテリ68を内蔵していない場合は、電力供給源58からの電力を、電力分配器70において、送電部60、放射線検出器54、カセッテ制御部72等に分配するようにしてもよい。同様に、受電部62にて受電した電力を、放射線検出器54、カセッテ制御部72等に供給するようにしてもよい。また、バッテリ68、電力分配器70、カセッテ制御部72及び送受信機76等には、放射線50が照射されることによる損傷を回避するため、バッテリ68、電力分配器70、カセッテ制御部72及び送受信機76等の照射面24側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0067】
送電部60は、図10に示すように、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって電力等の出力が行われるエネルギ出力部78と、電力分配器70からの電力をエネルギ出力部78の種類に応じたエネルギに変換してエネルギ出力部78に供給する出力エネルギ変換部80とを有する。
【0068】
受電部62は、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって電力等の入力が行われるエネルギ入力部82と、エネルギ入力部82からのエネルギを電力に変換する入力エネルギ変換部84とを有する。
【0069】
エネルギ出力部78、出力エネルギ変換部80、エネルギ入力部82、入力エネルギ変換部84は、供給するエネルギ(供給エネルギ)の種類によって構成が異なる。
【0070】
例えばケーブルや接続端子等の有線による接続によって電力を供給するのであれば、エネルギ出力部78及びエネルギ入力部82は、例えばケーブルや接続端子と接続されるコネクタである。出力エネルギ変換部80は、電力分配器70から供給される電圧を電力伝送に最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等である。入力エネルギ変換部84は、エネルギ入力部82を介して入力される電圧をバッテリ等に供給するのに最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等である。
【0071】
非特許文献3のように、無接点電力伝送シートに埋め込まれたコイル(一次コイル又は二次コイル)による電磁誘導であれば、エネルギ出力部78は一次コイル、エネルギ入力部82は二次コイルである。出力エネルギ変換部80は、電力分配器70から供給される電圧をエネルギ出力部78(この場合、一次コイルとして機能する)に流す電流に変換する電圧−電流変換器等であり、入力エネルギ変換部84は、エネルギ入力部82(この場合、二次コイルとして機能する)で発生した電圧をバッテリ等に供給するのに最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等である。
【0072】
非特許文献4のように、磁場の共鳴を利用する無線電力送信技術であれば、エネルギ出力部78は電力送信用の第1LC共振器であり、エネルギ入力部82は第1LC共振器に対応して設置された第2LC共振器である。出力エネルギ変換部80は、電力分配器70から供給される電圧を、エネルギ出力部78(この場合、第1LC共振器として機能する)から電磁エネルギとして出力させるためのコイル(第1LC共振器のコイルを二次コイルとした場合の一次コイル)等であり、入力エネルギ変換部84は、エネルギ入力部82(この場合、第2LC共振器として機能する)で発生した電磁エネルギを電磁誘導で電力エネルギに変換するコイル(第2LC共振器のコイルを一次コイルとした場合の二次コイル)等である。
【0073】
もちろん、供給エネルギとして、光エネルギや熱エネルギでも構わない。光エネルギであれば、エネルギ入力部82は、光エネルギの受光部であり、入力エネルギ変換部84は受光したエネルギを電力に変換する光電変換部等が相当する。熱エネルギであれば、エネルギ入力部82は、熱エネルギを受ける受熱部であり、入力エネルギ変換部84は、受けた熱を電力に変換する熱電変換素子(例えばゼーベック効果を利用した熱電変換素子)等が相当する。
【0074】
バッテリ68としては、二次電池(ニッケル水素、ニカド、リチウム等)、コンデンサ(電界コンデンサ、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタ等)を使用することができる。この場合、機器に対して着脱自在に構成してもよい。また、バッテリ68を、少なくとも1枚の撮影に必要な電力量を蓄積することができる小型の内蔵コンデンサで構成してもよい。
【0075】
なお、送受信機76は、外部との信号の送受信が可能であるため、携帯情報端末20との間での信号の送受信や、カセッテ本体部16から離間した放射線源本体部18の送受信機90(図5参照)との間での信号の送受信、さらに、図示しないコンソール(カセッテ本体部16及び放射線源本体部18を制御して、放射線撮影を実行する装置)との間での信号の送受信が可能である。
【0076】
一方、放射線源本体部18は、図2に示すように、円筒状の筐体86を有する。該筐体86の内部には、図5に示すように、放射線源88と、バッテリ68と、残量検出部74と、送受信機90と、放射線源88を制御する線源制御部92と、レーザポインタ94とが配置されている。筐体86の側面には、カセッテ本体部16と同様の受電部62が設けられ、該受電部62にて受電した電力がバッテリ68に供給されるようになっている。バッテリ68を内蔵していない場合は、受電部62にて受電した電力を、放射線源88、線源制御部92等に供給するようにしてもよい。また、筐体86の側面には、図2に示すように、放射線源88からの放射線50(図6参照)の出力を開始させるための曝射スイッチ96が設けられている。
【0077】
放射線源88は、上述した特許文献3に記載の電界電子放出型電子源と同様の電界電子放出型電子源を用いた放射線源である。
【0078】
すなわち、図5に示すように、放射線源88は、回転機構98により回転する回転シャフト100に円盤状の回転陽極102が取り付けられ、該回転陽極102の表面には、Mo等の金属元素を主成分とする環状のターゲット層104が形成されている。一方、回転陽極102に対向して陰極106が配置され、該陰極106には、ターゲット層104と対向するように電界電子放出型電子源108が配設されている。さらに、電界電子放出型電子源108に電圧(負電圧)を印加する第1電源部110と、回転陽極102と陰極106との間に電圧を印加する第2電源部112とを有する。
【0079】
線源制御部92は、オペレータによる曝射スイッチ96の操作に起因して、放射線50を出力させるように放射線源88を制御する。すなわち、放射線源88では、線源制御部92からの制御に従って、回転機構98が回転シャフト100を回転させることにより回転陽極102が回転し、第1電源部110がバッテリ68からの電力供給に基づいて電界電子放出型電子源108に電圧(負電圧)を印加し、且つ、第2電源部112がバッテリ68からの電力供給に基づいて回転陽極102と陰極106との間に電圧を印加すると(回転陽極102に正電圧を印加し、陰極106に負電圧を印加すると)、電界電子放出型電子源108から電子が放出され、放出された電子は、回転陽極102と陰極106との間に印加された電圧により加速されてターゲット層104に衝突する。ターゲット層104における電子の衝突面(焦点116)からは、該衝突した電子に応じた放射線50が外部に出力される。なお、放射線源88として、非特許文献2に示す電気石(トルマリン)、LiNbO、LiTaO、ZnO等の結晶を用いた小型の高エネルギーX線源を使用することも可能である。この場合、例えば軸長さ1cmのLiNbOを用いることで、約100kV電圧を発生させることもできる。
【0080】
ところで、被写体48に放射線50を照射して、放射線画像の撮影を行う場合には、放射線源88の焦点116と該焦点116直下の放射線検出器54の位置118(図6参照)との間の距離(撮影間距離)を線源受像画間距離(SID)に予め設定し、且つ、照射面24における放射線50の照射範囲の中心位置と、ガイド線26(図2参照)の中心位置120(十字状に交差する2本のガイド線26の交点)とを一致させる作業を含めた撮影準備作業を行う必要がある。
【0081】
この場合、オペレータは、図6及び図7に示すように、カセッテ本体部16から放射線源本体部18が離間した状態で、メジャー38からの帯部材42の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材42を引き出す。また、レーザポインタ94は、線源制御部92(図5参照)からの制御に従って照射面24にレーザ光122を投光することにより、放射線50を照射面24に照射したときの該放射線50の照射範囲の中心位置を十字状のマーク124として照射面24に表示する。
【0082】
また、位置118及び中心位置120と帯部材42が引き出される孔46が設けられた側面28dとの間の距離l2と、SIDに応じた引き出し量l1と、SIDとの間では、概ね、SID≒(l1−l21/2の関係が成り立つ。さらに、距離l2は一定である。
【0083】
従って、引き出し量l1だけメジャー38から帯部材42を引き出した後に、照射面24に表示されたマーク124の位置と、中心位置120とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整し、その後、図8に示すように、オペレータによる曝射スイッチ96の投入に起因して、放射線源88から照射面24上に配置された被写体48に放射線50を照射することで、被写体48に対する放射線画像の撮影を適切に行うことが可能となる。なお、図8では、被写体48の手を撮影する場合について図示している。
【0084】
放射線検出器54は、図11において模式的に示すように、多数の画素126が図示しない基板上に配列され、これらの画素126に対して制御信号を供給する多数のゲート線128と、多数の画素126から出力される電気信号を読み出す多数の信号線130とが配列されている。
【0085】
次に、一例として、間接変換型の放射線検出器54を採用した場合のカセッテ本体部16の回路構成に関し、図12を参照しながら詳細に説明する。
【0086】
放射線検出器54は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素126が形成された光電変換層132を、行列状のTFT(Thin Film Transistor)134のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、各画素126では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各行毎にTFT134を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0087】
各画素126に接続されるTFT134には、行方向と平行に延びるゲート線128と、列方向と平行に延びる信号線130とが接続される。各ゲート線128は、ライン走査駆動部136に接続され、各信号線130は、マルチプレクサ138に接続される。ゲート線128には、行方向に配列されたTFT134をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部136から供給される。この場合、ライン走査駆動部136は、ゲート線128を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ140とを備える。アドレスデコーダ140には、カセッテ制御部72からアドレス信号が供給される。
【0088】
また、信号線130には、列方向に配列されたTFT134を介して各画素126に保持されている電荷が流出する。この電荷による信号は、増幅器142によって増幅される。増幅器142には、サンプルホールド回路144を介してマルチプレクサ138が接続される。マルチプレクサ138は、信号線130を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ146とを備える。アドレスデコーダ146には、カセッテ制御部72からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ138には、A/D変換器148が接続され、A/D変換器148によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部72に供給される。
【0089】
なお、スイッチング素子として機能するTFT134は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFT134で言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0090】
図13は、第1放射線撮影装置10Aのブロック図である。なお、図13の説明では、図2〜図12において説明しなかった構成要素を中心に説明する。
【0091】
携帯情報端末20は、オペレータが操作する操作部150と、バッテリ68と、残量検出部74と、放射線画像情報等が表示される表示部152と、放射線源本体部18やカセッテ本体部16等と通信を行う送受信機154と、これらを制御する端末制御部156とを有する。
【0092】
カセッテ本体部16のカセッテ制御部72は、アドレス信号発生部158と、画像メモリ160と、SID判定部(撮影間距離判定部)162と、電力分配設定部164とを備える。
【0093】
アドレス信号発生部158は、図12に示すライン走査駆動部136のアドレスデコーダ140及びマルチプレクサ138のアドレスデコーダ146に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ160は、放射線検出器54によって検出された放射線画像を記憶する。
【0094】
SID判定部162は、図6にも示すように、ロータリーエンコーダ44から入力されるメジャー38からの帯部材42の引き出し量と、予め記憶された距離l2とに基づいて、現在の帯部材42の引き出し量で放射線源本体部18を照射面24の上方に仮に配置したときの焦点116と位置118との間の撮影間距離を算出する。
【0095】
SID判定部162は、算出した撮影間距離がSIDに一致すれば、帯部材42の引き出し量をSIDに応じた引き出し量l1として、該引き出し量l1及び前記撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機76及び携帯情報端末20の送受信機154を介して携帯情報端末20の表示部152に表示させる。引き出し量l1及び前記撮影間距離がSIDに一致したとき、帯部材42をそれ以上引き出せないようにロックする機構を設けてもよい。一方、SID判定部162は、算出した撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機76、154を介して表示部152に表示させる。
【0096】
なお、SID判定部162、ロータリーエンコーダ44及びメジャー38によって撮影間距離設定手段166が構成される。
【0097】
カセッテ制御部72は、送受信機76を介して、カセッテ本体部16のID情報と、画像メモリ160に記憶された放射線画像とを無線通信により携帯情報端末20に送信することも可能である。
【0098】
また、放射線源本体部18に、線源制御部92からのデータを印字するプリンタ167(バッテリ68からの電力供給により駆動)を設置してもよいし、カセッテ本体部16に、カセッテ制御部72からのデータを印字するプリンタ168(バッテリ68からの電力供給により駆動)を設置してもよい。通常、医療用途のプリンタとしては、例えば感熱タイプの透過原稿用のプリンタ(第1方式のプリンタ)や、反射原稿用のインクジェットプリンタ(第2方式のプリンタ)等があるが、プリンタ167及び168として、第2方式のプリンタを使用すれば、放射線源本体部18やカセッテ本体部16の小型化を図ることができる。なお、第1方式のプリンタ及び第2方式のプリンタはいずれも消費電力が大きく、特に、第1方式のプリンタでは、小型化のためにサーマルヘッドタイプのプリンタ(例えば特開平10−51635号公報参照)等を使用することが考えられるが、消費電力の増大が顕著となる。そこで、後述するように、電力供給源58からの電力を融通し合うように電力供給制御することで、プリンタ167及び168として、電力消費の大きいプリンタを使用することが可能となる。
【0099】
ここで、一例として、カセッテ本体部16に設置されるプリンタ168について、図14を参照しながら説明する。
【0100】
カセッテ本体部16に設置されるプリンタ168は、カセッテ本体部16の筐体22内のうち、例えば把手30が取り付けられた第1側面28a寄りの収容空間170に設置される。また、筐体22には、例えば照射面24のうち、上記第1側面28a寄りの位置に記録材料172の先端部を筐体22の外へ引き出すための開口174が設けられている。なお、収容空間170には、記録材料172が交換可能に取り付けられるようになっている。また、カセッテ本体部16は、例えば把手30の部分(把持部176)が取り外し可能な構造となっていてもよい。この場合、プリンタ168も把持部176と共に取り外しできるような構造でもよい。例えばプリンタ168を、カセッテ本体部16に対してフック178等によって着脱自在に装着することができる構成にする等である。図14は、プリンタ168に設けられたフック178がカセッテ本体部16に係合された例を示している。プリンタ168を取り外す場合は、例えばプリンタ168のうち、フック178に近い部分を破線の矢印180に示すように押圧して、カセッテ本体部16に対するフック178の係合を外せばよい。
【0101】
プリンタ168は、記録材料172の先端部を引き出す供給ローラ対182と、記録材料172に所望の画像(例えば放射線画像情報)をプリンティングするプリンティングヘッド184と、画像等がプリンティングされた記録材料172を開口174に向けて搬送する搬送ローラ対186と、記録材料172を所定長単位に切断するカッター188とを有する。プリンティングヘッド184は、例えばインクジェットプリンタ方式のヘッドや感熱式プリンタ方式のヘッドを使用することができる。このプリンタ168は、上述した第2方式のプリンタであることから、画質は第1方式のプリンタによる画質より劣るが、緊急の診断用途や、撮影状態の確認等に利用することができる。また、撮影条件、患者情報、GPSによる位置情報等の文字情報を印刷するようにしてもよい。なお、放射線源本体部18用のプリンタ167として、上述したカセッテ本体部16用のプリンタ168の構造を利用してもよい。
【0102】
次に、カセッテ制御部72に組み込まれている電力分配設定部164について説明する。
【0103】
この電力分配設定部164は、以下のような場合に動作する。すなわち、先ず、携帯情報端末20の表示部152には、該携帯情報端末20の残量検出部74からの情報に基づくバッテリ残量が表示され、さらに、放射線源本体部18の残量検出部74及びカセッテ本体部16の残量検出部74からの情報が携帯情報端末20に送信されることで、放射線源本体部18及びカセッテ本体部16のバッテリ残量も表示される。オペレータは、各バッテリ残量を確認しながら電力の分配比率を操作部150を通じて入力する。例えばカセッテ本体部16のバッテリ68が満充電状態であれば、送電部60への電力分配比率を100%にしたり、カセッテ本体部16のバッテリ68の残量がほとんど0に近い状態であれば、バッテリ68への電力分配比率を100%にしたり、他の機器への電力供給を優先的に行いたい場合であれば、送電部60への電力分配比率を80〜100%の範囲にしたり、バッテリ68への電力供給を優先的に行いたい場合であれば、バッテリ68への電力分配比率を80〜100%の範囲にしたり等である。入力された電力分配比率の情報はカセッテ本体部16に送信される。
【0104】
そして、電力分配設定部164は、携帯情報端末20からの電力分配比率の情報に基づいて、電力分配器70を制御して、携帯情報端末20にて入力された電力分配比率に従った電力分配比率に設定する。
【0105】
そして、図10に示すように、カセッテ本体部16に設置した送電部60からの電力は、他の機器(放射線源本体部18や他のカセッテ本体部16)の受電部62に向けて送電(給電)される。すなわち、カセッテ本体部16の送電部60のエネルギ出力部78と、他の機器の受電部62のエネルギ入力部82とがケーブルや接続端子等によってエネルギの入出力が可能となり、あるいは、エネルギ出力部78とエネルギ入力部82とが無線による給電(無線給電)が可能なエリアに入る等、非接触状態でエネルギの入出力が可能となることで、カセッテ本体部16に設置した送電部60からの電力が、他の機器の受電部62に向けて送電される。以下の説明では、送電部60のエネルギ出力部78と受電部62のエネルギ入力部82とがケーブルや接続端子等によってエネルギの入出力が可能となる状態を「有線接続」と記し、エネルギ出力部78とエネルギ入力部82とが無線給電が可能なエリアに入る等、非接触状態でエネルギの入出力が可能となる状態を「無線接続」と記す。
【0106】
なお、放射線撮影装置10は、病院内の病室や在宅患者の家のほか、被災地等の災害現場等に運搬(移動)される。災害現場等では埃、泥、汚水等が付着するおそれがあるため、放射線撮影装置10のカセッテ本体部16及び放射線源本体部18の少なくとも電気系統を囲う部分は密閉構造を採用する場合がある。従って、給電方式としては、有線接続等による接触給電よりは、無線接続等による非接触給電が望ましい。
【0107】
ここで、カセッテ本体部16及び放射線源本体部18を用いて撮影の準備を行う操作と、実際に撮影を行う操作について説明する。
【0108】
先ず、オペレータは、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20が収容された1以上のケース14(図1参照)を例えば災害現場の被害者(放射線撮影が必要な被害者)のところまで運搬する。災害現場に着いた段階で、オペレータは、ケース14からカセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20を取り出して、例えば放射線撮影の指示があるまで、カセッテ本体部16の裏面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行う。このとき、携帯情報端末20の表示部152を用いて、携帯情報端末20、カセッテ本体部16及び放射線源本体部18のバッテリ残量を確認し、これらのバッテリ残量に応じた電力分配比率を操作部150を用いて入力する。
【0109】
例えば放射線源本体部18や携帯情報端末20のバッテリ残量が少なく優先的に充電したい場合は、カセッテ本体部16の送電部60と放射線源本体部18の受電部62あるいは携帯情報端末20の受電部62とを有線接続あるいは無線接続し、送電部60への電力分配比率を80〜100%の範囲に設定する。もちろん、カセッテ本体部16のバッテリ残量が少なく優先的に充電したい場合は、バッテリ68への電力分配比率を80〜100%の範囲に設定する。2以上のカセッテ本体部16を運搬している場合は、当面使用しないカセッテ本体部16の裏面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行う。この場合は、すぐに使用するカセッテ本体部16のバッテリ残量を確認し、充電が必要であれば、当面使用しないカセッテ本体部16の送電部60とすぐに使用するカセッテ本体部16の受電部62とを有線接続あるいは無線接続し、送電部60への電力分配比率をバッテリ残量に応じて例えば80〜100%の範囲に設定する。
【0110】
その後、放射線撮影の指示があった段階で、放射線撮影の準備を行う。すなわち、先ず、携帯情報端末20の操作部150を操作することにより、撮影対象である被写体48に関わる被写体情報(例えば、SID)等の撮影条件を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も予め登録しておく。なお、搬送先の現場に出向く前に、撮影対象の被写体48が予め分かっている場合には、オペレータの所属する医療機関等で携帯情報端末20を操作し、被写体情報を登録してもよい。
【0111】
このようにして、オペレータが携帯情報端末20の操作部150を操作することにより、撮影対象である被写体48に関わる被写体情報等の撮影条件は、送受信機154から無線通信によりカセッテ本体部16の送受信機76に送信され、カセッテ制御部72に登録される。
【0112】
オペレータは、撮影間距離の設定作業と、照射面24に表示されるマーク124(図7参照)とガイド線26の中心位置120とを一致させる設定作業とを行った後に、照射面24と放射線源本体部18との間に被写体48を配置して、該被写体48の位置決めを行う。
【0113】
この場合、オペレータは、先ず、放射線源本体部18を動かしてメジャー38からの帯部材42の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材42を引き出す。
【0114】
なお、引き出し量l1となるまで帯部材42を引き出す方法としては、次の2つの方法がある。
【0115】
第1の方法は、引き出し量l1に到達したか否かをSID判定部162が自動的に判定し、該SIDに応じた引き出し量l1となるまでオペレータに帯部材42を引き出させる方法である。
【0116】
第1の方法において、ロータリーエンコーダ44は、帯部材42の引き出し量を検出し、SID判定部162は、検出された前記引き出し量に基づいて、現在の帯部材42の引き出し量で放射線源本体部18を照射面24の上方に仮に配置したときの焦点116と位置118(図6参照)との間の撮影間距離を算出する。
【0117】
SID判定部162は、撮影間距離がSIDに一致していれば、帯部材42の引き出し量(引き出し量l1)及び撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機76、154を介して表示部152に表示させ、一方で、撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機76、154を介して表示部152に表示させる。
【0118】
そのため、第1の方法によれば、オペレータは、表示部152の表示内容に従ってメジャー38から帯部材42を引き出せばよいので、撮影間距離の設定作業を簡単に行うことができる。
【0119】
第2の方法は、引き出し量l1が予め分かっている場合に、オペレータが目盛40を見ながら、引き出し量l1となるまで帯部材42をメジャー38から引き出す方法である。
【0120】
このようにしてSIDに応じた引き出し量l1となるまで帯部材42が引き出された後に、オペレータは、照射面24と対向するように放射線源本体部18を移動させる。
【0121】
このとき、図7に示すように、照射面24にレーザ光122を投光するようにレーザポインタ94を制御する。これにより、照射面24には、放射線50を照射面24に照射したときの該放射線50の照射範囲の中心位置が十字状のマーク124として表示される。これにより、オペレータは、マーク124の位置と、中心位置120とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整する。
【0122】
このようにして、マーク124の位置と中心位置120とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整した後に、オペレータは、被写体48の撮影部位の中心が中心位置120(マーク124の位置)と一致するように、被写体48を照射面24上に配置(位置決め)する。
【0123】
なお、放射線源本体部18は、上述の位置調整が行われた後は、例えば、図示しない保持部材により調整後の位置に固定される。
【0124】
また、災害現場等では、狭い場所で撮影する等、所望のSIDで撮影できないこともあるので、そのとき、所望と異なる新たに決定されたSID(新SID)に基づき、撮影条件を再算出し、画像データと紐付けした形で新SIDと共に保存してもよいし、新SID及び/又は再算出した撮影条件を、ネットワークを介してデータセンタ(医療機関等)に送信し、確認してもよい。
【0125】
被写体48の位置決め後において、オペレータは、曝射スイッチ96を操作して被写体48に対する撮影を開始させる。
【0126】
曝射スイッチ96の操作に起因して、線源制御部92は、無線通信により、カセッテ制御部72に対して撮影条件の送信を要求し、カセッテ制御部72は、受信した前記要求に基づいて、当該被写体48の撮影部位に係る撮影条件(制御信号)を、放射線源本体部18に送信する。線源制御部92は、前記撮影条件を受信すると、レーザポインタ94によるレーザ光122の投光を停止させると共に、当該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線50を被写体48に照射するように放射線源88を制御する。
【0127】
これにより、放射線源88内では、線源制御部92からの制御に従って、回転機構98が回転シャフト100及び回転陽極102を回転させ、一方で、第1電源部110がバッテリ68からの電力供給に基づいて電界電子放出型電子源108に負電圧を印加すると共に、第2電源部112がバッテリ68からの電力供給に基づいて回転陽極102と陰極106との間に電圧を印加するので、電界電子放出型電子源108から放出された電子は、回転陽極102と陰極106との間に印加された電圧により加速されてターゲット層104に衝突し、ターゲット層104の電子の衝突面(焦点116)からは、該衝突した電子に応じた放射線50が外部に出力される。
【0128】
撮影条件に基づく所定の照射時間だけ被写体48に放射線50が照射されると、該放射線50は、被写体48を透過してカセッテ本体部16内の放射線検出器54に至る。
【0129】
放射線検出器54が間接変換型の放射線検出器である場合に、該放射線検出器54を構成するシンチレータは、放射線50の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層132を構成する各画素126は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素126に保持された被写体48の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部72のアドレス信号発生部158からライン走査駆動部136及びマルチプレクサ138に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0130】
すなわち、ライン走査駆動部136のアドレスデコーダ140は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線128に接続されたTFT134のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ138のアドレスデコーダ146は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部136によって選択されたゲート線128に接続された各画素126に保持された電荷情報である放射線画像を信号線130を介して順次読み出す。
【0131】
選択されたゲート線128に接続された各画素126から読み出された放射線画像は、各増幅器142によって増幅された後、各サンプルホールド回路144によってサンプリングされ、マルチプレクサ138を介してA/D変換器148に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部72の画像メモリ160に一旦記憶される。
【0132】
同様にして、ライン走査駆動部136のアドレスデコーダ140は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線128に接続されている各画素126に保持された電荷情報である放射線画像を信号線130を介して読み出し、マルチプレクサ138及びA/D変換器148を介してカセッテ制御部72の画像メモリ160に記憶させる。
【0133】
画像メモリ160に記憶された放射線画像は、送受信機76を介して、無線通信により携帯情報端末20に送信され、携帯情報端末20は、受信した放射線画像を表示部152に表示させる。これにより、オペレータは、表示部152に表示された放射線画像を確認することにより、被写体48の撮影部位に対する撮影が適切に行われたか否かを把握することができる。
【0134】
例えば、撮影領域内に撮影部位の収まっていない放射線画像が表示された場合に、オペレータは、今回の撮影が適切に行われなかったものと判断して、被写体48に対する再撮影を実行する。
【0135】
なお、表示部152に表示される放射線画像は、今回の撮影が適切であったか否かを判断できる程度の画像であればよいので、画像メモリ160に記憶されている放射線画像でもよいし、ローデータの画像であってもよいし、あるいは、比較的低い解像度に加工された画像であってもよい。
【0136】
そして、放射線撮影を終えたカセッテ本体部16のバッテリ残量を確認し、次の放射線撮影の指示があるまで、カセッテ本体部16の裏面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行い、併せて、放射線源本体部18や携帯情報端末20へのバッテリ充電を行う。当面使用しないカセッテ本体部16の太陽電池パネル64にて発電を行った場合は、次の放射線撮影にて、該カセッテ本体部16を使用し、その間に、前回の放射線撮影で使用したカセッテ本体部16の太陽電池パネル64にて発電を行い、併せて、前回の放射線撮影にて使用した放射線源本体部18や携帯情報端末20へのバッテリ充電を行うことができる。
【0137】
もちろん、太陽電池パネル64にて発電を行っている間に、カセッテ本体部16の送電部60と、他の医療機器、例えば心電計、超音波診断装置、AED(自動体外式除細動器:Automated External Defibrillator)、血圧計(脈拍、体温を測定する機能があってもよい)、その他、被災地等に持っていくのに必要な医療機器とを有線接続あるいは無線接続することで、これら他の医療機器への電力供給やバッテリ充電を行うことができる。
【0138】
カセッテ本体部16は、非接触給電を行う電源としても機能することになる。例えば太陽電池パネル64にて発電を行っている間に、カセッテ本体部16の送電部60から無線接続(非接触給電)にて種々の医療機器に電力を送電することができるため、電源の確保が容易でない災害現場等において、電源の個数や、電源ラインの届く距離等を気にすることなく、また、作業行動を電源ラインに制約されることなく、放射線撮影装置を使用することができ、災害現場等での放射線撮影による診断を継続して行うことができる。しかも、種々の医療機器に対する非接触給電方式の電源としても機能するため、放射線撮影以外のその他の医療行為を継続して、しかも、スムーズに進行させることが可能となる。
【0139】
このように、第1放射線撮影装置10Aのカセッテ本体部16(放射線検出装置)においては、電力供給源58と、該電力供給源58からの電力の少なくとも一部を、外部の機器に向けて送電する送電部60とを有するようにしたので、電力供給源58にて発生した電力の一部をカセッテ本体部16にて使用するほか、残りの電力を他の機器に融通することができる。これにより、電力の確保が困難になり易い災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって行うことが可能となり、しかも、他の医療機器への電力の供給も融通して行うことができることから、放射線撮影を含めた種々の医療行為を容易に行うことができるようになる。
【0140】
ここで、「電力を融通する」とは、少なくとも以下の態様を示す。
【0141】
(1) バッテリの残量(電力)が撮影に必要な電力よりも不足している機器に対して、バッテリの残量が剰余している1以上の機器から電力を供給する。
【0142】
(2) 撮影に使用しない1以上の機器から、撮影に使用する当該機器に対して撮影に必要な電力を供給する。
【0143】
(3) 撮影に使用しない1以上の機器から、撮影に使用する当該機器に対して電力を供給して、当該機器のバッテリの残量(電力)、すなわち、当該機器が保持する電力を少なくとも撮影に必要な電力にする。
【0144】
次に、第2の実施の形態に係る放射線撮影装置(以下、第2放射線撮影装置10Bと記す)について、図15を参照しながら説明する。
【0145】
この第2放射線撮影装置10Bは、上述した第1放射線撮影装置10Aとほぼ同様の構成を有するが、図15に示すように、電力分配器70(図10参照)と電力分配設定部164が存在せず、電力供給源58からの電力が直接送電部60に供給されるようになっている点で異なる。すなわち、電力供給源58から送電部60への電力分配比率が常に100%とされている。従って、この第2放射線撮影装置10Bにおける電力供給源58は、もっぱら他の機器に電力を供給するための電力供給源として使用される。
【0146】
通常、放射線撮影装置の使用頻度によっては、放射線検出器54の欠陥画素数が多くなったり、バッテリ68の劣化度が大きくなる場合があり、このような放射線撮影装置は、途中で使用できなくなる場合がある。この場合でも、第2放射線撮影装置10Bでは、カセッテ本体部16が他の機器への電力供給源として、すなわち、接触給電あるいは非接触給電を行う電源として機能するため、放射線撮影装置として使用できなくても、その利用価値は高い。
【0147】
次に、第3の実施の形態に係る放射線撮影装置(以下、第3放射線撮影装置10Cと記す)について、図16A〜図17を参照しながら説明する。
【0148】
この第3放射線撮影装置10Cは、図16Aに示すように、ケース14に電力供給源58が設置されている点で異なる。図16Aの例では、ケース14の蓋部14bの表面に太陽電池パネル64を設置した例を示している。
【0149】
また、図16Bに示すように、ケース14の例えば底面220には、電力供給源58からの電力の少なくとも一部を、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって他の機器に送電する送電部60と、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)によって電力等の受け入れ(受電)が行われる受電部62とが設置されている。
【0150】
ケース14の内部には、図17に示すように、バッテリ68と、残量検出部74と、第1電力分配器70aと、第1電力分配設定部164aと、第2電力分配器70bと、第2電力分配設定部164bと、送受信機190と、これらを制御する制御部192とを有する。
【0151】
第1電力分配器70aは、電力供給源58からの電力を送電部60と、カセッテ本体部16のバッテリ68と、放射線源本体部18のバッテリ68と、携帯情報端末20のバッテリ68とに分配する。第1電力分配設定部164aは、オペレータ等からの指示に従って第1電力分配器70aでの電力分配率を設定する。第2電力分配器70bは、受電部62にて受電した電力をカセッテ本体部16のバッテリ68と、放射線源本体部18のバッテリ68と、携帯情報端末20のバッテリ68とに分配する。第2電力分配設定部164bは、オペレータ等からの指示に従って第2電力分配器70bでの電力分配率を設定する。送受信機190は、電力分配率等の情報を含む信号を外部との間で送受信する。電力分配器70からの電力は、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20の各受電部62を通じてそれぞれ対応するバッテリ68に供給されるようになっている。
【0152】
送電部60並びに各バッテリ68への電力の供給の指示は、例えば当該第3放射線撮影装置10Cの携帯情報端末20、他の携帯情報端末20a(図16A参照)、あるいはコンソール194(カセッテ本体部16及び放射線源本体部18を制御して、放射線撮影を実行する装置:図16A参照)を通じて行われる。
【0153】
例えば、他の携帯情報端末20aを用いて行う場合を想定すると、他の携帯情報端末20aの表示部152には、当該第3放射線撮影装置10Cにおけるケース14の残量検出部74からの情報に基づくバッテリ残量が表示され、さらに、携帯情報端末20の残量検出部74(図13参照)、放射線源本体部18の残量検出部74及びカセッテ本体部16の残量検出部74からの情報が他の携帯情報端末20aに送信されることで、携帯情報端末20、放射線源本体部18及びカセッテ本体部16のバッテリ残量も表示される。オペレータは、各バッテリ残量を確認しながら電力の分配比率を他の携帯情報端末20aの操作部150を通じて入力する。例えばケース14の送電部60、ケース14のバッテリ68、カセッテ本体部16(バッテリ68)、放射線源本体部18(バッテリ68)及び携帯情報端末20(バッテリ68)への電力分配比率を30%、10%、20%、20%及び20%にしたり、他の機器への電力供給を優先的に行いたい場合であれば、送電部60への電力分配比率を高めに設定したり、例えばカセッテ本体部16や放射線源本体部18への電力供給を優先的に行いたい場合であれば、これらの機器への電力分配比率を高めに設定する等である。入力された電力分配比率の情報はケース14の送受信機190及び制御部192を介して第1電力分配設定部164aに供給される。
【0154】
そして、第1電力分配設定部164aは、他の携帯情報端末20aからの電力分配比率の情報に基づいて、第1電力分配器70aを制御して、他の携帯情報端末20aにて入力された電力分配比率に従った電力分配比率に設定する。
【0155】
そして、図17に示すように、ケース14に設置した送電部60からの電力は、他の機器(放射線源本体部18や他のカセッテ本体部16)の受電部62あるいは他の第3放射線撮影装置10Cにおけるケース14の受電部62に向けて送電(給電)される。すなわち、ケース14の送電部60のエネルギ出力部78と、他の機器の受電部62のエネルギ入力部82とが有線接続され、あるいは、エネルギ出力部78とエネルギ入力部82とが無線接続されることで、ケース14に設置された送電部60からの電力が、他の機器の受電部62あるいは他のケース14の受電部62に向けて送電される。それと共に、当該第3放射線撮影装置10Cのケース14内において、設定された電力分配率に従って第1電力分配器70aによって分配された電力が当該ケース14、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20の各バッテリ68に供給される。もちろん、設定された電力分配率によっては、電力が供給されないバッテリもある。
【0156】
また、当該第3放射線撮影装置10Cの送電部60から他の第3放射線撮影装置10Cの受電部62に電力を送電する場合は、オペレータは、他の携帯情報端末20aから他の第3放射線撮影装置10Cにバッテリ残量の送信を要求する。この要求によって、他の第3放射線撮影装置10Cのケース14の残量検出部74、携帯情報端末20の残量検出部74、放射線源本体部18の残量検出部74及びカセッテ本体部16の残量検出部74からの情報が制御部192及び送受信機190を介して他の携帯情報端末20aに送信され、表示部152に表示される。オペレータは、各バッテリ残量を確認しながら電力の分配比率を他の携帯情報端末20aの操作部150を通じて入力する。例えば他の第3放射線撮影装置10Cのケース14のバッテリ68、カセッテ本体部16(バッテリ68)、放射線源本体部18(バッテリ68)及び携帯情報端末20(バッテリ68)への電力分配比率を10%、40%、30%及び20%に設定する等である。入力された電力分配比率の情報はケース14の送受信機190及び制御部192を介して第2電力分配設定部164bに供給される。
【0157】
そして、第2電力分配設定部164bは、他の携帯情報端末20aからの電力分配比率の情報に基づいて、第2電力分配器70bを制御して、他の携帯情報端末20aにて入力された電力分配比率に従った電力分配比率に設定する。
【0158】
そして、当該第3放射線撮影装置10Cの送電部60から他の第3放射線撮影装置10Cの受電部62に向けて電力が送電(給電)されると、他の第3放射線撮影装置10Cのケース14内において、設定された電力分配率に従って第2電力分配器70bによって分配された電力が当該ケース14、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20の各バッテリ68に供給される。もちろん、設定された電力分配率によっては、電力が供給されないバッテリもある。
【0159】
ここで、第3放射線撮影装置10Cを用いて撮影の準備を行う操作と、実際に撮影を行う操作について説明する。
【0160】
先ず、オペレータは、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20が収容された1以上のケース14(図1及び図16A参照)を例えば災害現場の被害者(放射線撮影が必要な被害者)のところまで運搬する。災害現場に着いた段階で、オペレータは、例えば放射線撮影の指示があるまで、ケース14の表面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行う。
【0161】
このとき、例えば他の携帯情報端末20aの表示部152を用いて、ケース14、携帯情報端末20、カセッテ本体部16及び放射線源本体部18の各バッテリ残量を確認し、これらのバッテリ残量に応じた電力分配比率を操作部150を用いて入力する。また、一緒に持参した例えば他のカセッテ本体部16や放射線源本体部18のバッテリ残量が少なく優先的に充電したい場合は、ケース14の送電部60と他のカセッテ本体部16の受電部62あるいは放射線源本体部18の受電部62とを有線接続あるいは無線接続し、送電部60への電力分配比率を80〜100%の範囲に設定する。もちろん、ケース14内のカセッテ本体部16のバッテリ残量が少なく優先的に充電したい場合は、ケース14内のカセッテ本体部16への電力分配比率を80〜100%の範囲に設定する。2以上の第3放射線撮影装置10Cを運搬している場合は、当面使用しない第3放射線撮影装置10Cのケース14の表面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行う。この場合は、すぐに使用する第3放射線撮影装置10Cにおけるカセッテ本体部16等のバッテリ残量を確認し、充電が必要であれば、当面使用しない第3放射線撮影装置10Cにおけるケース14の送電部60と、すぐに使用する第3放射線撮影装置10Cのケース14の受電部62とを有線接続あるいは無線接続し、送電部60への電力分配比率をバッテリ残量に応じて例えば80〜100%の範囲に設定する。また、電力供給を受ける第3放射線撮影装置10Cに収容された各バッテリ68の残量から各バッテリに供給すべき電力分配率を設定する。このようにして、発電を行っている第3放射線撮影装置10Cの送電部60から、設定された電力分配率に従った電力がカセッテ本体部16や放射線源本体部18、あるいは第3放射線撮影装置10Cの受電部62に送電されることになる。特に、第3放射線撮影装置10Cに供給された電力は、別途設定された電力分配率に従って各バッテリ68に電力が供給されることになる。
【0162】
その後、放射線撮影の指示があった段階で、放射線撮影の準備が行われ、続いて、被写体48への放射線撮影が行われる。
【0163】
そして、放射線撮影を終えたカセッテ本体部16等のバッテリ残量を確認し、次の放射線撮影の指示があるまで、ケース14の表面(太陽電池パネル64が設置されている面)を上方向あるいは斜め上方向に向けて太陽電池パネル64にて発電を行い、併せて、カセッテ本体部16、放射線源本体部18、携帯情報端末20等へのバッテリ充電を行う。当面使用しない第3放射線撮影装置10Cの太陽電池パネル64にて発電を行った場合は、次の放射線撮影にて、該第3放射線撮影装置10Cを使用し、その間に、前回の放射線撮影で使用した第3放射線撮影装置10Cの太陽電池パネル64にて発電を行い、併せて、前回の放射線撮影にて使用したカセッテ本体部16、放射線源本体部18、携帯情報端末20等へのバッテリ充電を行うことができる。
【0164】
もちろん、この場合も、太陽電池パネル64にて発電を行っている間に、カセッテ本体部16の送電部60と、他の医療機器、例えば心電計、超音波診断装置、AED、血圧計、その他、被災地等に持っていくのに必要な医療機器とを有線接続あるいは無線接続することで、これら他の医療機器への電力供給やバッテリ充電を行うことができる。
【0165】
このように、第3放射線撮影装置10Cおいては、放射線撮影に使用される1以上の機器と、機器が出し入れ自在に収容されるケースと、電力供給源58と、該電力供給源58からの電力の少なくとも一部を、ケース14外の機器に向けて送電する送電部60とを有するようにしたので、電力供給源58にて発生した電力の一部を第3放射線撮影装置10Cの1以上の機器にて使用するほか、残りの電力を他の機器に融通することができる。これにより、電力の確保が困難になり易い災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって行うことが可能となり、しかも、他の医療機器への電力の供給も融通して行うことができることから、放射線撮影を含めた種々の医療行為を容易に行うことができるようになる。
【0166】
また、非接触給電方式の電源としても機能するため、災害現場等での放射線撮影による診断や、その他の医療行為を継続して、しかも、スムーズに進行させることが可能となる。
【0167】
次に、第4の実施の形態に係る放射線撮影装置(以下、第4放射線撮影装置10Dを記す)について図18を参照しながら説明する。
【0168】
この第4放射線撮影装置10Dは、上述した第3放射線撮影装置10Cとほぼ同様の構成を有するが、図18に示すように、第1電力分配器70a(図17参照)と第1電力分配設定部164aが存在せず、電力供給源58からの電力が直接送電部60に供給されるようになっている点で異なる。すなわち、電力供給源58から送電部60への電力分配比率が常に100%とされている。従って、この第4放射線撮影装置10Dにおける電力供給源58は、もっぱら他の機器に電力を供給するための電力供給源として使用される。
【0169】
この第4放射線撮影装置10Dにおいても、上述した第2放射線撮影装置10Bと同様に、第4放射線撮影装置10Dの使用頻度によって、放射線検出器54の欠陥画素が多くなったり、バッテリ68の劣化が進んで使用できなくなっても、他の機器や他の放射線画像撮影装置(第1放射線撮影装置10A〜第4放射線撮影装置10D)に対して接触給電あるいは非接触給電を行う電源として機能するため、その利用価値は高い。
【0170】
次に、第5の実施の形態に係る放射線撮影装置(以下、第5放射線撮影装置10Eを記す)について図19〜図23を参照しながら説明する。
【0171】
この第5放射線撮影装置10Eは、カセッテ本体部16が筐体22の第4側面28dに放射線源本体部18を着脱自在に装着する機構を有する点で異なる。
【0172】
すなわち、カセッテ本体部16は、図19に示すように、カセッテ本体部16の第4側面28d(把手30が設けられた第1側面28aとは反対の側面)の両端から外方にそれぞれ突出形成され、放射線源本体部18を着脱自在に保持する保持部材196a、196bを有する。
【0173】
カセッテ本体部16の第2側面28bには、上述したUSB端子32と、メモリカード34を装填するためのカードスロット36と、後述するロック解除ボタン198とが設けられている。また、この第2側面28bには、カセッテ本体部16から取り外し可能な小型の携帯情報端末20が装着されている。
【0174】
図20は、オペレータ199が第5放射線撮影装置10Eを搬送している状態を示している。この場合、カセッテ本体部16と放射線源本体部18とは一体的に連結固定された状態にある。従って、オペレータ199は、把手30を把持した状態で第5放射線撮影装置10Eを例えば事故現場、災害現場、健康診断や在宅看護の現場に搬送することにより、搬送先の現場において、当該第5放射線撮影装置10Eを用いた、例えば事故現場の被害者や災害現場の被災者に対する放射線画像の撮影、健康診断を受診する者(受診者)に対する放射線画像の撮影、在宅看護が必要とされる在宅者に対する放射線画像の撮影を行うことが可能となる。
【0175】
ここで、カセッテ本体部16と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態とは、後述する連結機構200(図21参照)によって、第5放射線撮影装置10Eが搬送可能な程度にカセッテ本体部16と放射線源本体部18とが一体的に連結されている状態をいう。もちろん、放射線源本体部18はカセッテ本体部16から取り外しが可能であり、例えばメジャー38の引き出しを途中でロックする機構が組み込まれていれば、そのロックを解除して放射線源本体部18を取り外すことも可能である。また、放射線源本体部18をカセッテ本体部16に装着した状態で、他の放射線源本体部18を使って撮影することも可能であり、この場合、第5放射線撮影装置10Eを構成する機器は、放射線源本体部18が装着されたカセッテ本体部16と他の放射線源本体部18となる。
【0176】
そして、図21に示すように、カセッテ本体部16の第2側面28bに前述したUSB端子32、カードスロット36及びロック解除ボタン198が配置されている。また、第2側面28bにおけるカードスロット36とロック解除ボタン198との間の箇所は、内方に凹んだ凹部202とされ、この凹部202に携帯情報端末20が装着可能である。
【0177】
ロック解除ボタン198は、オペレータ199による押圧操作に起因して第4側面28dに沿って第3側面28c側に変位可能である。この場合、ロック解除ボタン198の第3側面28c側には、第4側面28dに沿ったスライド部204が突出形成され、このスライド部204と第4側面28dから内方に突出する突起206との間には、突起206から第2側面28bの方向に向かって弾発するバネ部材208が介挿されている。また、スライド部204が接触する第4側面28dの一部分には、カセッテ本体部16の内部と外部とを連通する孔210が形成され、該スライド部204の側部には、この孔210を貫通するフック部212が形成されている。
【0178】
一方、図21に示すように、放射線源本体部18が保持部材196a、196bによりカセッテ本体部16に保持されているときに、該放射線源本体部18における孔210と対向する箇所には、該孔210と略同じ大きさの孔214が形成されている。従って、バネ部材208の弾発力によってフック部212が第2側面28b側に変位することによりフック部212と孔214とが係合し、この結果、カセッテ本体部16に対して放射線源本体部18を一体的に連結固定することができる。
【0179】
また、放射線源本体部18における保持部材196a側の一方の端部には、導電性の接続端子(第1線源側接続端子216a)が装着され、保持部材196b側の他方の端部には、導電性の接続端子(第2線源側接続端子216b)が装着されている。この場合、第1線源側接続端子216aは、保持部材196aに向って凸状とされ、一方で、第2線源側接続端子216bは、保持部材196bに向って凹状とされている。これら第1線源側接続端子216aと第2線源側接続端子216bは、放射線源本体部18専用の受電部62として構成してもよい。
【0180】
これに対して、カセッテ本体部16の保持部材196aにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(第1カセッテ側接続端子)218aが装着され、保持部材196bにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(第2カセッテ側接続端子)218bが装着されている。この場合、第1カセッテ側接続端子218aは、第1線源側接続端子216aに対応した凹状とされ、一方で、第2カセッテ側接続端子218bは、第2線源側接続端子216bに対応した凸状とされている。これら第1カセッテ側接続端子218a及び第2カセッテ側接続端子218bは、放射線源本体部18専用の送電部60として構成してもよい。
【0181】
従って、図21に示すように、バネ部材208の弾発力によりフック部212と孔214とが係合してカセッテ本体部16と放射線源本体部18とが一体的に連結固定される状態では、凸状の第1線源側接続端子216aと凹状の第1カセッテ側接続端子218aとが係合すると共に、凹状の第2線源側接続端子216bと凸状の第2カセッテ側接続端子218bとが係合するので、カセッテ本体部16と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態を確実に維持することができる。すなわち、これらの接続端子216a、216b、218a、218bは、フック部212及び孔214によるカセッテ本体部16と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態の維持を補助するための部材としても機能する。
【0182】
一方、図22に示すように、オペレータ199がロック解除ボタン198を押し、バネ部材208の弾発力に抗して該ロック解除ボタン198を第3側面28cに移動させると、フック部212及びスライド部204が第3側面28c側に変位して、フック部212と孔214との係合状態が解除される。従って、フック部212と孔214との係合状態が解除された状態(オペレータ199がロック解除ボタン198を押している状態)で、オペレータ199がカセッテ本体部16から放射線源本体部18を取り外す(分離する)ことにより、カセッテ本体部16と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。
【0183】
なお、メジャー38から引き出された帯部材42の先端部は、第4側面28dにおけるメジャー38と対向する箇所に形成された孔46を挿通して放射線源本体部18の第2線源側接続端子216bの近傍に固定されている。
【0184】
従って、図21に示すように、カセッテ本体部16に対して放射線源本体部18が一体的に連結固定される状態では、メジャー38内部のバネ部材の作用によって帯部材42の大部分が該メジャー38内でロール状に巻き取られる。一方、図22に示すように、カセッテ本体部16と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除されていれば、前記バネ部材の作用に抗してカセッテ本体部16から放射線源本体部18が離間することにより、メジャー38から孔46を介して帯部材42を引き出すことができる。
【0185】
上述したロック解除ボタン198、スライド部204、バネ部材208、フック部212、接続端子216a、216b、218a、218b及びメジャー38によって、第5放射線撮影装置10Eの搬送時にはカセッテ本体部16と放射線源本体部18とを一体的に連結固定し、一方で、撮影時にはカセッテ本体部16と放射線源本体部18とを離間させる連結機構200が構成される。
【0186】
そして、この第5放射線撮影装置10Eにおいても、図23に示すように、電力供給源58として太陽電池パネル64を用い、該太陽電池パネル64を、カセッテ本体部16の筐体22の表面のうち、被写体48を透過した放射線50が照射される照射面24とは反対側の背面66に設置し、さらに、図19等に示すように、送電部60及び受電部62を、筐体22の表面のうち、第2側面28bに設けている。太陽電池パネル64としては、この例においても、市販されている小型太陽電池パネルや、フレキシブル太陽電池パネルを用いることができる。
【0187】
この第5放射線撮影装置10Eにおいても、上述した第1放射線撮影装置10Aと同様に、電力供給源58にて発生した電力の一部をカセッテ本体部16にて使用するほか、残りの電力を他の機器に融通することができる。これにより、電力の確保が困難になり易い災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって行うことが可能となり、しかも、他の医療機器への電力の供給も融通して行うことができることから、放射線撮影を含めた種々の医療行為を容易に行うことができるようになる。
【0188】
特に、この第5放射線撮影装置10Eにおいては、図20に示すように、カセッテ本体部16、放射線源本体部18及び携帯情報端末20をケース等に収容することなく、持ち運びができ、しかも、カセッテ本体部16を、太陽電池パネル64を露出させた状態で持ち運びができるため、第5放射線撮影装置10Eの運搬の際に太陽電池パネル64にて発電させることも可能である。
【0189】
この第5放射線撮影装置10Eにおいても、上述した第2放射線撮影装置10B(図15参照)と同様に、電力供給源58からの電力が直接送電部60に供給される構成を採用してもよい。
【0190】
次に、第1の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(以下、第1移動装置500Aと記す)について図24及び図25を参照しながら説明する。
【0191】
この第1移動装置500Aは、図24に示すように、移動可能な台車502と、該台車502に対して着脱自在とされ、複数の上述した第3放射線撮影装置10C(図16A、図16B参照)と、第3放射線撮影装置10Cに対する電力の送受電や放射線撮影等を制御するコンソール504とを有する。もちろん、第3放射線撮影装置10Cの代わりに第4放射線撮影装置10Dを用いてもよい。
【0192】
コンソール504は、外観上、いわゆるノートパソコンの形状を有し、キーボード等の操作部506とディスプレイ等の表示部508とを有し、公衆回線等を利用したネットワークを介して無線通信によりオペレータが所属するデータセンタ(医療機関等)との間で信号の送受信が可能である。なお、コンソール504の代わりに携帯電話機やPDA(個人情報端末)でもよいことは勿論である。
【0193】
台車502は、図24に示すように、複数の車輪510を有し、取っ手512を操作することで、人間の力で移動可能となっている。もちろん、電動で動かすようにしてもよい。また、台車502は、複数のケース14が収容可能な2つのケース収容部514、514を有する。2つのケース収容部514間には仕切壁516が設けられている。各ケース収容部514は、複数のケース14がそれぞれ横向きに2段積みにて載置できるようになっている。図24の例では、各ケース収容部514にそれぞれ4つのケース14を収容し、合計8つのケース14を収容した例を示す。なお、各ケース収容部514に、ケース14を載置し易いように、それぞれ仕切部518を設けてもよい。
【0194】
ケース14の収容の仕方は、先ず、ケース収容部514の上段には、太陽電池パネル64が上方を向くようにしてケース14を載置する。ケース収容部514の下段へのケース14の収容は、太陽電池パネル64が上方を向くようにしてもよいし、下方を向くようにしてもよい。
【0195】
仕切壁516のうち、ケース14の底面と対向する面には、ケース14に設置された送電部60(図16B参照)と接続される受電部62(図25参照)と、ケース14に設置された受電部62と接続される送電部60とが設けられている。例えば仕切壁516のうち、上段に収容されるケース14に対応する部分には、ケース14の送電部60と接続される受電部62が設けられ、下段に収容されるケース14に対応する部分には、ケース14の受電部62と接続される送電部60が設けられる。
【0196】
従って、ケース収容部514の上段においては、ケース14の送電部60から送電された電力が仕切壁516の受電部62にて受電されることになる。
【0197】
そして、台車502内には、図25に示すように、複数の受電部62にて受電された電力を集電する集電部520と、該集電部520からの電力を下段の複数の送電部60に分配する第3電力分配器70cと、オペレータ等からの指示に従って第3電力分配器70cでの電力分配率を設定する第3電力分配設定部164cとを有する。
【0198】
ケース収容部514の上段に載置された複数の第3放射線撮影装置10Cにおける各第1電力分配器70a(図17参照)の電力分配率、ケース収容部514の下段に載置された複数の第3放射線撮影装置10Cにおける各第2電力分配器70b(図17参照)の電力分配率、並びに台車502内の第3電力分配器70cの電力分配率は、例えばオペレータが、コンソール504の表示部508に各バッテリ68のバッテリ残量を表示し、これらバッテリ残量に基づいて、コンソール504の操作部506を使って任意に設定できるようになっている。
【0199】
つまり、ケース収容部514の上段に、複数の第3放射線撮影装置10Cを、それぞれ太陽電池パネル64を上方に向けて載置するようにしたので、複数の太陽電池パネル64を合計した大型の太陽電池パネルを搭載した形態となり、しかも、各太陽電池パネル64からの電力のうち、各送電部60から送電された電力を集電させるようにしていることから、分配できる電力を大きくすることが可能となる。従って、複数の第3放射線撮影装置10Cに対して平均的に電力を供給したり、電力の消耗が激しい第3放射線撮影装置10Cに対して集中的に電力を供給することも可能となり、電力の融通性を高めることができる。
【0200】
もちろん、複数の第3放射線撮影装置10Cにおける各カセッテ本体部16への電力供給、放射線源本体部18への電力供給、携帯情報端末20への電力供給等は、各第3放射線撮影装置10Cの第1電力分配設定部164a及び第2電力分配設定部164bを通じて細かく設定することができるため、無駄な電力供給を抑制することができる。
【0201】
次に、第2の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(以下、第2移動装置500Bと記す)について図26を参照しながら説明する。
【0202】
この第2移動装置500Bは、上述した第1移動装置500Aとほぼ同様の構成を有するが、図26に示すように、台車502内に、集電部520からの電力を蓄積するバッテリ68と、バッテリ68の残量を検出する残量検出部74と、バッテリ68からの電力を上段及び下段の複数の送電部60に分配する第4電力分配器70dと、オペレータ等からの指示に従って第4電力分配器70dでの電力分配率を設定する第4電力分配設定部164dとを有する。
【0203】
この第2移動装置500Bにおいては、ケース収容部514の上段に載置された複数の第3放射線撮影装置10Cに対しても電力を供給することができ、全ての第3放射線撮影装置10Cを均一に使用することが可能となり、一部の第3放射線撮影装置10Cのみの使用頻度が高くなることを回避することができる。しかも、台車502の複数の受電部62にて受電した電力を集電して、一旦、台車502のバッテリ68に蓄積するようにしたので、太陽電池パネル64の発電時のほか、任意の時間帯において第3放射線撮影装置10Cに電力を供給することができるため、例えば緊急時の放射線撮影等に迅速に対応させることができる。
【0204】
次に、第3の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(以下、第3移動装置500Cと記す)について図27〜図29を参照しながら説明する。
【0205】
この第3移動装置500Cは、図27に示すように、上述した第1移動装置500Aと同様に、台車502と、該台車502に収容された1以上の第5放射線撮影装置10E(図19参照)と、少なくとも第5放射線撮影装置10Eを制御するコンソール504と、第5放射線撮影装置10Eの放射線源本体部18が着脱されるアーム部522とを有する。
【0206】
放射線源本体部18のアーム部522に対する着脱機構524は、例えば図28Aに示すように、雌ねじ526及び雄ねじ528を用いた機構を使用してもよい。例えばアーム部522の先端部522aに雌ねじ526を形成し、放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部530の側面に雄ねじ528を形成する。そして、放射線源本体部18の雄ねじ528をアーム部522の雌ねじ526にねじ込むことで放射線源本体部18をアーム部522に装着することができ、反対方向にねじ回すことで放射線源本体部18をアーム部522から取り外すことができる。
【0207】
また、着脱機構524は、図28Bに示すように、係止片532を用いた機構を用いてもよい。例えば放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部530の側面に、複数の開口534を設け、各開口534に例えば断面三角形状の係止片532をばね等で常時外方に付勢することで、下方に向かって徐々に突出量が増加し、側面が三角形の斜面、下面が三角形の底面とされた突出部を形成する。一方、アーム部522の先端部522aの下面(先端面)に、放射線源本体部18の円筒部530が挿入される穴536を形成し、さらに、アーム部522の先端部522aの側面に係止片532(突出部)が入り込む開口538を形成する。そして、放射線源本体部18の円筒部530をアーム部522の先端面の穴536内に挿入することで、係止片532(突出部)がアーム部522の開口538に入り込んで、放射線源本体部18がアーム部522に装着されることになる。反対に係止片532をばね等の付勢に抗して内方に押すことで、アーム部522の開口538の内壁に対する係止片532の係合が外れ、放射線源本体部18をアーム部522から取り外すことができる。
【0208】
また、着脱機構524は、図28Cに示すように、放射線50の生成に影響がないことを前提として、マグネットを用いた機構を用いてもよい。例えば放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部530の上面に金属片540を貼着し、アーム部522の先端面522bにマグネットシート542を貼着する。そして、放射線源本体部18における円筒部530の上面の金属片540をアーム部522の先端面522bのマグネットシート542に接触させることで磁気吸着されて、放射線源本体部18がアーム部522に装着されることになる。反対に磁気吸着に抗して放射線源本体部18を離すことで、放射線源本体部18をアーム部522から簡単に取り外すことができる。
【0209】
台車502は、図27に示すように、複数の棚544を有し、これら棚544にそれぞれ第5放射線撮影装置10Eが収容されるようになっている。各第5放射線撮影装置10Eのサイズはそれぞれ同じでもよいし、違っていてもよい。
【0210】
特に、複数の棚544のうち、例えば最上段の棚544に対して第5放射線撮影装置10Eを収容させる場合、一部引き出した状態にし、且つ、太陽電池パネル64を上方に向けて露出させるようにする。これによって、最上段の棚544に一部収容された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64にて発電させることが可能となる。
【0211】
各棚544内には、図29に示すように、カセッテ本体部16の送電部60に対応した受電部62と、カセッテ本体部16の受電部62に対応した送電部60が設置されている。例えば最上段の棚544では、第5放射線撮影装置10Eの送電部60と棚544内の受電部62とが有線接続又は無線接続し、その他の棚544では、第5放射線撮影装置10Eの受電部62と棚544内の送電部60とが有線接続又は無線接続した状態となる。
【0212】
また、台車502内には、バッテリ68と、残量検出部74と、最上段の受電部62にて受電された電力を、バッテリ68と他の棚544の送電部60とに分配する第5電力分配器70eと、オペレータ等からの指示に従って第5電力分配器70eでの電力分配率を設定する第5電力分配設定部164eとを有する。
【0213】
従って、最上段の棚544に一部収容された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64からの電力の少なくとも一部が該第5放射線撮影装置10Eの送電部60から最上段の棚544の受電部62を介して第5電力分配器70eに供給され、さらに、該第5電力分配器70eにて分配された電力は、台車502内のバッテリ68のほか、それぞれ対応する送電部60を介して第5放射線撮影装置10Eに供給されることになる。
【0214】
複数の棚544に収容された複数の第5放射線撮影装置10Eにおける各電力分配器70(図10参照)の電力分配率、並びに台車502内の第5電力分配器70eの電力分配率は、例えばオペレータが、コンソール504の表示部508に各バッテリ68のバッテリ残量を表示し、これらバッテリ残量に基づいて、コンソール504の操作部506を使って任意に設定できるようになっている。
【0215】
そして、この第3移動装置500Cを使用する場合は、オペレータは、図27に示すように、台車502を、被写体48(例えば事故現場の被害者、災害現場の被災者、健康診断を受診する者、在宅看護が必要とされる在宅者)の近くまで移動させた後、台車502から第5放射線撮影装置10Eを取り出し、カセッテ本体部16から放射線源本体部18を分離する。その後、放射線源本体部18をアーム部522の先端部522aに装着し、臥位撮影であれば、例えばベッド546や敷布(毛布等)と被写体48との間にカセッテ本体部16を設置する。例えばこの段階で、オペレータが曝射スイッチ96(図19参照)を操作することで、第5放射線撮影装置10Eを用いた被写体48に対する放射線画像の撮影を行うことが可能となる。
【0216】
このように、第3移動装置500Cにおいては、例えば最上段の棚544に一部収容された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64を、当該第5放射線撮影装置10E並びにその他の第5放射線撮影装置10E及び台車502の各バッテリ68の電力供給源として使用することができる。すなわち、最上段の棚544に一部収容された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64にて発生した電力の一部を当該第5放射線撮影装置10Eにて使用するほか、残りの電力を、台車502のバッテリ68や他の第5放射線撮影装置10Eに融通することができる。これにより、電力の確保が困難になり易い災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって行うことが可能となり、しかも、他の医療機器への電力の供給も融通して行うことができることから、放射線撮影を含めた種々の医療行為を容易に行うことができるようになる。
【0217】
次に、第4の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(以下、第4移動装置500Dと記す)について図30及び図31を参照しながら説明する。
【0218】
この第4移動装置500Dは、上述した第3移動装置500Cとほぼ同様の構成を有するが、図30に示すように、第5放射線撮影装置10Eのカセッテ本体部16に上述したプリンタ168が設置され、台車502にプリンタ548が設置されている点で異なる。
【0219】
これらのプリンタ168、548としては、上述した第1方式のプリンタや第2方式のプリンタを使用することができる。この第4移動装置500Dにおいても、上述した第3移動装置500Cと同様に、最上段の棚544に一部収容された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64にて発生した電力の一部を当該第5放射線撮影装置10Eにて使用するほか、残りの電力を台車502のバッテリ68や他の第5放射線撮影装置10Eに融通することができることができるため、プリンタ168、548として電力消費の大きいプリンタを使用することが可能となる。
【0220】
カセッテ本体部16に設置されるプリンタ168については、第1放射線撮影装置10Aのカセッテ本体部16に設置されたプリンタ168(図14参照)と同様の構成を好ましく採用することができる。
【0221】
一方、台車502に設置されるプリンタ548は、湿式の現像処理を必要としない記録材料を用い、レーザ光からなる光ビームによる走査露光によって記録材料を露光して潜像を形成した後に、熱現像を行って可視像を得、その後常温まで冷却する装置を用いたプリンタにて構成することができる。
【0222】
このプリンタ548は、図30に示すように、台車502の側面に、記録材料172(図31参照)が収容されたカートリッジ550が装填される記録材料装填部552を有する。カートリッジ550には、ロール状に巻回されたロール状体の記録材料172が収容されている。
【0223】
そして、プリンタ548は、図31に示すように、基本的に、記録材料172の搬送方向順に、記録材料供給部554と、記録手段としての画像露光部556と、熱現像部558と、冷却部560と、各部間の要所に設けられ記録材料172を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御するプリンタ制御部562とを備えている。
【0224】
記録材料供給部554は、上述した記録材料装填部552(図30参照)と、供給ローラ対564と、カッター566とを備える。図30に示す記録材料装填部552にはカートリッジ550が着脱自在に装填されるようになっている。カートリッジ550は、収容される記録材料172のサイズ(例えば、B4、半切、六つ切等)に応じて、複数種のものが揃えられる。図30では、どのカートリッジ550が装填されているかが一目で確認できるように、カートリッジ550の側面に記録材料172のサイズを示す記号(B4サイズを示す「B4」、半切サイズを示す「H」、六つ切サイズを示す「M」等)が付されている。これらのサイズ別の情報は、記録材料装填部552にカートリッジ550が装填された際、オペレータによるマニュアル入力(コンソール504の操作部506を使用した入力等)により、或いはカートリッジ550の外面に付されたバーコード563が記録材料装填部552内の認識センサ(図示せず)によって検出されることで、プリンタ制御部562に入力される。
【0225】
カートリッジ550は、筺体が密閉性を有して形成され、内部が記録材料172の収容空間となり、この収容空間が出口550aに開口している。つまり、記録材料172は、繰り出し側の先端がこの出口550aから引き出されるようになっている。
【0226】
カートリッジ550の出口550aから引き出された先端部は、供給ローラ対564によって挟持され、この供給ローラ対564が回転することによってカートリッジ550から繰り出される。供給ローラ対564の搬送方向下流側にはカッター566が配設され、カッター566は、供給ローラ対564によって繰り出された記録材料172を所定長で切断する。この記録材料172の切断は、記録材料172の繰り出し長が供給ローラ対564の回転量から、或いは図示しないセンサによって検出され、この検出値に基づきプリンタ制御部562がカッター566を動作制御して行われる。
【0227】
画像露光部556は、記録材料供給部554から搬送されてきた記録材料172に対して光ビームLを主走査方向(記録材料172の搬送方向と略直交する方向)に走査露光し、また、記録材料172を副走査方向(記録材料172の搬送方向)に搬送することで、所望の画像(例えば放射線画像情報)を記録材料172に記録して潜像を形成する。
【0228】
熱現像部558は、熱処理を適用されるタイプの被熱処理記録材料を加熱するものであり、記録材料172の搬送方向に1以上のプレートヒータ568が配列されて構成されている。プレートヒータ568は、記録材料172を処理するのに必要な温度となる加熱体である。
【0229】
プレートヒータ568を含む熱現像部558は、記録材料172を、プレートヒータ568の上面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときの記録材料172の搬送手段として、供給ローラ570と、各プレートヒータ568から記録材料172への伝熱を兼ねる複数の押さえローラ572とを配設している。押さえローラ572としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等を利用することができる。なお、熱現像部558内における記録材料172の搬送路の終端には、記録材料172を搬送する図示しない排出ローラが配設されている。
【0230】
そして、熱現像部558から搬出された記録材料172は、冷却部560によって冷却ローラ対574により搬送されながら冷却される。冷却部560から排出された記録材料172は搬送路途中に設けられたガイドプレート576内に案内され、さらに、排出ローラ対578から排出トレイ580に排出される。オペレータは、排出トレイ580から排出された所定長の記録材料172に記録された画像(例えば放射線画像情報)を見ることで、撮影状態を確認することができる。また、このプリンタ548は、上述した第1方式のプリンタであることから、画質が良好であり、読影も可能である。
【0231】
次に、第5の実施の形態に係る移動型放射線画像撮影装置(以下、第5移動装置500Eと記す)について図32A〜図33を参照しながら説明する。
【0232】
この第5移動装置500Eは、図32A及び図32Bに示すように、移動可能な台車502と、該台車502に収容された複数の第5放射線撮影装置10Eと、図示しないコンソールとを有する。
【0233】
台車502は、4つの側面(第1側面502a〜第4側面502d)にそれぞれ1つずつ棚544が設けられ、各棚544は高さがそれぞれ異なっている。例えば第1側面502aの棚544が最上段に設けられ、第2側面502bの棚544が上から2段目に設けられ、第3側面502cの棚544が上から3段目に設けられ、第4側面502dの棚544が上から4段目(最下段)に設けられている。
【0234】
各棚544に対してそれぞれ第5放射線撮影装置10Eを収容させる場合、一部引き出した状態にし、且つ、太陽電池パネル64を上方に向けて露出させるようにする。さらに、台車502の上面502uにも、第5放射線撮影装置10Eを、太陽電池パネル64を上方に向けて載置する。これによって、5つの太陽電池パネル64においてそれぞれ発電させることが可能となる。
【0235】
各棚544内には、図33に示すように、第5放射線撮影装置10E(例えばカセッテ本体部16)の送電部60に対応した受電部62と、第5放射線撮影装置10E(例えばカセッテ本体部16)の受電部62に対応した送電部60が設置され、台車502の上面502uにも、受電部62と送電部60が設置されている。各棚544では、第5放射線撮影装置10Eの送電部60と棚544内の受電部62とが有線接続又は無線接続し、第5放射線撮影装置10Eの受電部62と棚544内の送電部60とが有線接続又は無線接続した状態となる。また、台車502の上面502uに載置された第5放射線撮影装置10Eにおいても、第5放射線撮影装置10Eの送電部60と台車502の受電部62とが有線接続又は無線接続し、第5放射線撮影装置10Eの受電部62と台車502の送電部60とが有線接続又は無線接続した状態となる。
【0236】
また、台車502内には、図33に示すように、バッテリ68と、残量検出部74と、5つの受電部62にて受電された電力を集電する集電部520と、該集電部520にて集電された電力を、台車502のバッテリ68と5つの送電部60とに分配する第6電力分配器70fと、オペレータ等からの指示に従って第6電力分配器70fでの電力分配率を設定する第6電力分配設定部164fとを有する。
【0237】
従って、5つの第5放射線撮影装置10Eの各太陽電池パネル64からの電力の少なくとも一部又は全部は、それぞれ対応する送電部60及び受電部62を介して台車502内に導かれて集電部520にて集電された後、第6電力分配器70fに供給されて分配される。第6電力分配器70fにて分配された電力は、台車502内のバッテリ68のほか、それぞれ対応する送電部60を介して第5放射線撮影装置10Eに供給されることになる。
【0238】
5つの第5放射線撮影装置10Eにおける各第6電力分配器70fの電力分配率、並びに台車502内の第6電力分配器70fの電力分配率は、例えばオペレータが、コンソール504の表示部508に各バッテリ68のバッテリ残量を表示し、これらバッテリ残量に基づいて、コンソール504の操作部506を使って任意に設定できるようになっている。
【0239】
このように、第5移動装置500Eにおいては、台車502の複数の棚544に収容された全ての第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64、並びに台車502の上面502uに載置された第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64を、これら第5放射線撮影装置10E並びに台車502のバッテリ68の電力供給源として使用することができる。すなわち、これらの第5放射線撮影装置10Eの太陽電池パネル64にて発生した電力の一部をそれぞれ対応する第5放射線撮影装置10Eにて使用するほか、残りの電力を、台車502のバッテリ68や他の第5放射線撮影装置10Eに融通することができる。これにより、電力の確保が困難になり易い災害現場等での放射線撮影を長期間にわたって行うことが可能となり、しかも、他の医療機器への電力の供給も融通して行うことができることから、放射線撮影を含めた種々の医療行為を容易に行うことができるようになる。
【0240】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【0241】
例えば、放射線検出器54は、図34及び図35に示す変形例に係る放射線検出器600であってもよい。なお、図34は、変形例に係る放射線検出器600の3つの画素部分の構成を概略的に示した断面模式図である。
【0242】
放射線検出器600は、図34に示すように、絶縁性の基板602上に、信号出力部604、センサ部606(光電変換部)、及びシンチレータ608が順次積層しており、信号出力部604及びセンサ部606により画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に複数配列されており、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが重なりを有するように構成されている。
【0243】
シンチレータ608は、センサ部606上に透明絶縁膜610を介して形成されており、上方(基板602が位置する側とは反対側)から入射してくる放射線50を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。シンチレータ608が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器600によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
【0244】
シンチレータ608に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線50としてX線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜700nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
【0245】
シンチレータ608は、例えば、蒸着基体に柱状結晶構造のCsI(Tl)を蒸着して形成してもよい。このように蒸着によってシンチレータ608を形成する場合、蒸着基体は、X線の透過率、コストの面からAlがよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ608としてGOSを用いる場合、蒸着基体を用いずにTFTアクティブマトリクス基板の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ608を形成してもよい。また、樹脂ベースにGOSを塗布しシンチレータ608を形成した後、該シンチレータ608をTFTアクティブマトリクス基板に貼り合わせてもよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリクス基板を温存することができる。
【0246】
センサ部606は、上部電極612、下部電極614、及び上部電極612と下部電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
【0247】
上部電極612は、シンチレータ608により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ608の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極612としてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
【0248】
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ608から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線50が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてアモルファスシリコンを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光を効率的に吸収することができる。
【0249】
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ608で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ608の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ608の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ608から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ608の放射線50に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0250】
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ608の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0251】
センサ部606は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね、もしくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
【0252】
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0253】
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0254】
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらにフラーレンもしくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0255】
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ608からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
【0256】
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。下部電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、下部電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。下部電極614は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。なお、下部電極614の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
【0257】
センサ部606では、上部電極612と下部電極614の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極612に移動させ、他方を下部電極614に移動させることができる。本変形例に係る放射線検出器600では、上部電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が上部電極612に移動し、正孔が下部電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
【0258】
各画素部を構成するセンサ部606は、少なくとも下部電極614、光電変換膜616、及び上部電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【0259】
電子ブロッキング膜618は、下部電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0260】
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0261】
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0262】
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と上部電極612との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0263】
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0264】
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0265】
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が上部電極612に移動し、電子が下部電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620の位置を逆にすればよい。又、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【0266】
図35に示すように、信号出力部604は、各画素部の下部電極614に対応して基板602の表面に設けられており、下部電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において下部電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を下部電極614によって完全に覆うように信号出力部604を形成すれば、放射線検出器600(画素部)の平面積を最小にすることができる。
【0267】
蓄積容量622は、基板602と下部電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極614と電気的に接続されている。これにより、下部電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
【0268】
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び活性層(チャネル層)632が積層され、さらに、活性層632上にソース電極634とドレイン電極636が所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等により形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【0269】
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
【0270】
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0271】
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線50を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部604におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0272】
また、活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物が混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離等により極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【0273】
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【0274】
また、有機光導電体から光電変換膜616を形成し、有機半導体材料からTFT624を形成することにより、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して光電変換膜616及びTFT624を低温成膜することが可能となると共に、放射線検出器600全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。これにより、放射線検出器600を収容するカセッテ本体部16の薄型化及び軽量化も可能となり、病院外の使用における利便性が向上する。しかも、光電変換部のベース材を、一般的なガラスとは異なる可撓性を有する材質で構成するので、装置の持ち運び時や使用時の耐損傷性等を向上させることもできる。
【0275】
また、基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0276】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
【0277】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板602を形成できる。
【0278】
本変形例では、基板602上に、信号出力部604、センサ部606、透明絶縁膜610を順に形成し、当該基板602上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ608を貼り付けることにより放射線検出器600を形成している。
【0279】
上述した変形例に係る放射線検出器600では、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共にTFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、光電変換膜616及び信号出力部604で放射線50が吸収されることはほとんどない。これにより、放射線50に対する感度の低下を抑えることができる。
【0280】
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線50の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線50に対する感度の低下を一層抑えることができる。
【0281】
また、例えば、放射線検出器600を筐体内の照射面24部分に貼り付け、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体の剛性を高くすることができるため、筐体の照射面24部分を薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体が可撓性を有するため、照射面24に衝撃が加わった場合でも放射線検出器600が破損しづらい。
【0282】
上述した放射線検出器600を下記のように構成してもよい。
【0283】
(1)光電変換膜616を有機光電変換材料で構成し、CMOSセンサを用いたTFT層638を構成してもよい。この場合、光電変換膜616のみが有機系材料からなるので、CMOSセンサを含むTFT層638は可撓性を有しなくてもよい。
【0284】
(2)光電変換膜616を有機光電変換材料で構成すると共に、有機材料からなるTFT624を備えたCMOS回路によって、可撓性を有するTFT層638を実現してもよい。この場合、CMOS回路で用いられるp型有機半導体の材料としてペンタセンを採用すると共に、n型有機半導体の材料としてフッ化銅フタロシアニン(F16CuPc)を採用すればよい。これにより、より小さな曲げ半径にすることが可能な可撓性を有するTFT層638を実現することができる。また、このようにTFT層638を構成することにより、ゲート絶縁膜を大幅に薄くすることができ、駆動電圧を低下させることも可能となる。さらに、ゲート絶縁膜、半導体、各電極を室温又は100℃以下で作製することができる。さらにまた、可撓性を有する基板602上にCMOS回路を直接作製することもできる。しかも、有機材料からなるTFT624は、スケーリング則に沿った製造プロセスにより微細化することが可能となる。なお、基板602は、薄厚のポリイミド基板上にポリイミド前駆体をスピンコート法で塗布して加熱すれば、ポリイミド前駆体がポリイミドに変化するので、凹凸のない平坦な基板を実現することができる。
【0285】
(3)ミクロンオーダの複数のデバイスブロックを基板602上の指定位置に配置する自己整合配置技術(Fluidic Self−Assembly法)を適用して、結晶Siからなる光電変換膜616及びTFT624を、樹脂基板からなる基板602上に配置してもよい。この場合、ミクロンオーダの微小デバイスブロックとしての光電変換膜616及びTFT624を他の基板に予め作製した後に該基板から切り離し、液体中で、前記光電変換膜616及びTFT624をターゲット基板としての基板602上に散布して統計的に配置する。基板602には、デバイスブロックに適合させるための加工が予め施されており、デバイスブロックを選択的に基板602に配置することができる。従って、最適な材料で作られた最適なデバイスブロック(光電変換膜616及びTFT624)を最適な基板(半導体基板、石英基板、及びガラス基板等)上に集積化させることができ、また、結晶でない基板(プラスチック等の可撓性基板)に最適なデバイスブロック(光電変換膜616及びTFT624)を集積化することも可能となる。
【0286】
上述した変形例に係る放射線検出器600は、シンチレータ608から発光された光を放射線源88が位置する側とは反対側に位置するセンサ部606(光電変換膜616)で電荷に変換して放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式(PSS(Penetration Side Sampling)方式)として構成されているが、この構成に限定されない。
【0287】
例えば、放射線検出器600は、いわゆる表面読取方式(ISS(Irradiation Side Sampling)方式)として構成してもよい。この場合、放射線50の照射方向に沿って、基板602、信号出力部604、センサ部606、シンチレータ608がこの順に積層され、シンチレータ608から発光された光を放射線源88が位置する側のセンサ部606で電荷に変換して放射線画像を読み取る。そして、通常、シンチレータ608は、放射線50の照射面側が背面側よりも強く発光するため、表面読取方式で構成した放射線検出器では、裏面読取方式で構成された放射線検出器と比較して、シンチレータ608で発光された光が光電変換膜616に到達するまでの距離を短縮させることができる。これにより、該光の拡散・減衰を抑えることができるので、放射線画像の分解能を高めることができる。
【符号の説明】
【0288】
10A〜10E…第1放射線撮影装置〜第5放射線撮影装置
14…ケース 16…カセッテ本体部
18…放射線源本体部 20…携帯情報端末
22…筐体 24…照射面
48…被写体 50…放射線
54…放射線検出器 58…電力供給源
60…送電部 62…受電部
64…太陽電池パネル 66…背面
68…バッテリ 70…電力分配器
70a〜70f…第1電力分配器〜第6電力分配器
72…カセッテ制御部 74…残量検出部
78…エネルギ出力部 80…出力エネルギ変換部
82…エネルギ入力部 84…入力エネルギ変換部
86…筐体 88…放射線源
92…線源制御部 164…電力分配設定部
164a〜164f…第1電力分配設定部〜第6電力分配設定部
500A〜500E…第1移動装置〜第5移動装置
502…台車
502a〜502d…第1側面〜第4側面
504…コンソール 514…ケース収容部
520…集電部 544…棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設置され、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線検出器と、
電力供給源と、
前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、外部の機器に向けて送電する送電部と、を有し、
前記電力供給源は、前記筐体の表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線検出装置において、
前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記放射線検出器とに分配する電力分配器を有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の放射線検出装置において、
さらに、前記筐体内に設置され、少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、
前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記電力蓄積部とに分配する電力分配器と、を有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の放射線検出装置において、
さらに、他の機器における送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線検出器に供給する受電部を有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項5】
請求項1記載の放射線検出装置において、
さらに、前記筐体内に設置され、少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、
他の機器における送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部を有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項6】
請求項1記載の放射線検出装置において、
前記太陽電池パネルは、前記筐体の表面のうち、前記被写体を透過した放射線が照射される照射面とは反対側の面に設置されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項7】
請求項1記載の放射線検出装置において、
さらに、前記筐体を収容するケースを有し、
前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項8】
請求項1記載の放射線検出装置において、
前記送電部は、前記外部の機器に対して非接触で送電し、
非接触給電方式の電源として機能することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項9】
放射線撮影に使用される1以上の機器と、
前記機器が出し入れ自在に収容されるケースと、
電力供給源と、
前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記ケース外の機器に向けて送電する送電部と、を有し、
前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項10】
請求項9記載の放射線撮影装置において、
前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記ケース内の前記機器とに分配する電力分配器を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項11】
請求項9記載の放射線撮影装置において、
前記ケース内に出し入れされる前記機器は、筐体と、前記筐体内に設置された電力蓄積部と、を有し、
前記電力供給源からの電力を、少なくとも前記送電部と前記電力蓄積部とに分配する電力分配器を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項12】
請求項9記載の放射線撮影装置において、
さらに、他の機器における送電部からの電力を受電して、前記ケース内の前記機器に供給する受電部を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項13】
請求項12記載の放射線撮影装置において、
前記ケース内に2以上の機器が出し入れ自在とされ、
前記受電部からの電力を2以上の機器に分配する第2の電力分配器を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項14】
請求項12記載の放射線撮影装置において、
前記ケース内に2以上の機器が出し入れ自在とされ、
2以上の前記機器は、筐体と、前記筐体内に設置された電力蓄積部と、をそれぞれ有し、
前記受電部からの電力を、2以上の前記機器における各前記電力蓄積部に分配する第2の電力分配器を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項15】
請求項9記載の放射線検出装置において、
前記送電部は、前記ケース外の機器に対して非接触で送電し、
非接触給電方式の電源として機能することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項16】
移動可能な台車と、
前記台車に対して着脱自在とされ、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線検出器を収容する1以上の検出器本体部と、
1以上の電力供給源と、
前記台車に設置され、前記電力供給源からの電力を分配する電力分配器と、
前記台車に設置され、分配された電力を、対応する前記検出器本体部に向けて送電する複数の台車側送電部と、を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項17】
請求項16記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記検出器本体部は、さらに、前記台車側送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線検出器に供給する受電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項18】
請求項16記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記検出器本体部は、さらに、
少なくとも前記放射線検出器に電力を供給する電力蓄積部と、
前記台車側送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部と、を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項19】
請求項16記載の移動型放射線画像撮影装置において、
さらに、前記台車に対して着脱自在とされ、前記検出器本体部に向けて放射線を出力する放射線源を収容する1以上の線源本体部を有し、
複数の台車側送電部は、分配された電力を、前記線源本体部及び前記検出器本体部の少なくとも1つに向けて送電することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項20】
請求項19記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記線源本体部は、さらに、前記台車側送電部からの電力を受電して、少なくとも前記放射線源に供給する受電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項21】
請求項19記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記線源本体部は、さらに、
少なくとも前記放射線源に電力を供給する電力蓄積部と、
前記台車側送電部からの電力を受電して、前記電力蓄積部に供給する受電部と、を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項22】
請求項16記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記電力供給源は、少なくとも1つの前記検出器本体部に設置され、
前記電力供給源が設置された前記検出器本体部は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記電力分配器に送電する機器側送電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項23】
請求項16記載の移動型放射線画像撮影装置において、
2以上の電力供給源を有し、
前記台車に、各前記電力供給源からの電力を集電する集電部が設置され、
前記電力分配器は、前記集電部からの電力を分配することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項24】
請求項23記載の移動型放射線画像撮影装置において、
2以上の前記電力供給源は、それぞれ前記検出器本体部に設置され、
前記電力供給源が設置された前記検出器本体部は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記集電部に送電する機器側送電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項25】
請求項22又は24記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記電力供給源は、前記検出器本体部の表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項26】
請求項25記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記台車は、少なくとも前記検出器本体部が収容される棚を有し、
前記太陽電池パネルでの発電は、前記放射線検出器の一部又は全部が前記棚から引き出され、前記太陽電池パネルを上方に向けた状態で行われることを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項27】
請求項26記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記台車は、少なくとも2以上の前記検出器本体部が収容される2以上の前記棚を有し、
2以上の棚は、前記台車の少なくとも2つの側面に設けられていることを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項28】
移動可能な台車と、
前記台車に対して着脱自在とされ、放射線撮影に使用される1以上の機器を有する放射線撮影装置と、
1以上の電力供給源と、
前記台車に設置され、前記電力供給源からの電力を分配する電力分配器と、
前記台車に設置され、分配された電力を、対応する前記放射線撮影装置に向けて送電する複数の台車側送電部と、を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項29】
請求項28記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記電力供給源は、少なくとも1つの前記放射線撮影装置に設置され、
前記電力供給源が設置された前記放射線撮影装置は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記電力分配器に送電する装置側送電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項30】
請求項28記載の移動型放射線画像撮影装置において、
2以上の電力供給源を有し、
前記台車に、各前記電力供給源からの電力を集電する集電部が設置され、
前記電力分配器は、前記集電部からの電力を分配することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項31】
請求項30記載の移動型放射線画像撮影装置において、
2以上の前記電力供給源は、それぞれ前記放射線撮影装置に設置され、
前記電力供給源が設置された前記放射線撮影装置は、前記電力供給源からの電力の少なくとも一部を、前記集電部に送電する装置側送電部を有することを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項32】
請求項29又は31記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記放射線画像撮影装置は、
放射線撮影に使用される1以上の前記機器が出し入れ自在に収容されるケースを有し、
前記電力供給源は、前記ケースの表面に設置された太陽電池パネルであることを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。
【請求項33】
請求項32記載の移動型放射線画像撮影装置において、
前記台車は、少なくとも前記ケースが収容される収容部を有し、
前記太陽電池パネルでの発電は、前記ケースが前記太陽電池パネルを上方に向けた状態で収容されることで行われることを特徴とする移動型放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−27654(P2013−27654A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167474(P2011−167474)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】