説明

放射線検出装置及び放射線検出方法

【課題】 構成が不明な被撮像物であってもその構成材料を判定可能な放射線検出装置及び放射線検出方法を提供する。
【解決手段】 放射線検出装置1は、少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に検出感度を有し、放射線のフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する放射線検出部11と、生成された信号をエネルギー弁別して計数して、上記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域E1〜E5毎の計数値を取得する信号処理手段13と、取得された計数値を基に被撮像物3の吸収値を算出すると共に、少なくとも3つのエネルギー領域に対する、変動パターンと複数の基準材料M1〜M5毎の吸収係数の基準変動パターンP1〜P5とを基に、被撮像物3に含まれる少なくとも1つの構成材料を判定する判定手段31Bとを備え、判定手段は、変動パターンを複数の基準変動パターンの何れかに判定することによって被撮像物の構成材料を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置及び放射線検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この分野の技術として、半導体放射線検出素子を用い、放射線のエネルギー弁別を行う特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、造影剤としてヨウ素を用いて血管像を撮像する場合が記載されており、ヨウ素のK吸収端を境界にするように2つのエネルギー領域を設け、それらの差分をとることでヨウ素を含む領域のみをより明確にすることができることが記載されている。これは、K吸収端で大きく吸収量が変化するヨウ素を含む領域と、吸収量の変化の少ない周囲の組織とではK吸収端前後で吸収量の差が非常に大きいことを利用したものである。
【特許文献1】特開2004−8460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の技術は、ヨウ素を用いた血管造影のように、予め計測すべき対象物の吸収特性が既知であることを前提としている。そのため、例えば手荷物検査のように構成が不明な対象物を被撮像物として撮像し、その被撮像物に含まれる構成材料を知りたい場合に、構成材料を判定することができない、という問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、構成が不明な被撮像物であってもその構成材料を判定可能な放射線検出装置及び放射線検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る放射線検出装置は、少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に検出感度を有しており、入射する放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する放射線検出部と、放射線検出部で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する信号処理手段と、信号処理手段で取得された計数値を基に、放射線検出部への入射前に放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、少なくとも3つのエネルギー領域に対する、吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、被撮像物に含まれる少なくとも一つの構成材料を判定する判定手段と、を備え、判定手段は、変動パターンを複数の基準変動パターンの何れかに判定することによって被撮像物の構成材料を判定することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る放射線検出方法は、少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有する放射線検出装置によって放射線を検出し、放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する検出工程と、検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する計数工程と、計数工程で取得される計数値を基に、放射線検出装置への入射前に放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、少なくとも3つのエネルギー領域に対する、吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、被撮像物の少なくとも一つの構成材料を判定する材料判定工程と、を備え、材料判定工程では、変動パターンを、複数の基準変動パターンの何れかに判定することによって、被撮像物の構成材料を判定することを特徴とする。
【0007】
上記放射線検出装置及び放射線検出方法では、少なくとも1〜150keVのエネルギーを有する放射線を検出可能であり、放射線を検出すると、放射線に含まれるフォトンをエネルギー弁別して計数し、上記少なくとも3つのエネルギー領域の計数値を取得する。そして、取得した計数値に基づいたそれらのエネルギー領域に対する吸収値の変動パターンを、複数の基準変動パターンのうちの何れかに判定することによって、被撮像物の構成材料を判定する。これにより、被撮像物の構成材料を、複数の基準変動パターンを示す基準材料の何れかに判定することが可能である。この場合、特定の元素の吸収端のエネルギーを利用せずに少なくとも3つのエネルギー領域に対する基準変動パターンを利用しているため、被撮像物の構成が不明であっても、被撮像物の構成材料を判定できる。また、放射線検出装置が少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有することから、構成材料の判定において、周期律表に記載の元素のより多くの元素を対象として調べることが可能である。
【0008】
また、本発明は、少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に検出感度を有しており、入射する放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する放射線検出部と、放射線検出部で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する信号処理手段と、信号処理手段で取得された計数値を基に、放射線検出部への入射前に放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、少なくとも3つのエネルギー領域に対する、吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、被撮像物に含まれる少なくとも一つの構成材料を判定する判定手段と、を備え、判定手段は、被撮像物が複数の基準材料を含むと仮定して、変動パターンと複数の基準変動パターンとを基に各基準材料の含有量を算出することによって、被撮像物の構成材料を判定する、放射線検出装置にも係る。
【0009】
同様に、本発明は、少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有する放射線検出装置によって放射線を検出し、放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する検出工程と、検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する計数工程と、計数工程で取得される計数値を基に、放射線検出装置への入射前に放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、少なくとも3つのエネルギー領域に対する、吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、被撮像物の少なくとも一つの構成材料を判定する材料判定工程と、を備え、材料判定工程では、被撮像物が複数の基準材料を含むと仮定して、変動パターンと複数の基準変動パターンとを基に被撮像物内の各基準材料の含有量をそれぞれ算出することによって、被撮像物の構成材料を判定する、放射線検出方法にも係る。
【0010】
この場合も、少なくとも1〜150keVのエネルギーを有する放射線を検出可能であり、放射線を検出すると、放射線に含まれるフォトンをエネルギー弁別して計数し、上記少なくとも3つのエネルギー領域の計数値を取得する。そして、被撮像物が複数の基準材料を含むと仮定して、変動パターンと複数の基準変動パターンとを基に被撮像物内の各基準材料の含有量をそれぞれ算出することによって、被撮像物の構成材料を判定する。
【0011】
被撮像物が複数の基準材料を含んでいると仮定すると、変動パターンを構成する各エネルギー領域の吸収値は、各基準変動パターンを構成するエネルギー領域毎の吸収係数及び各基準材料の含有量の影響を受けていることになる。よって、変動パターンと基準変動パターンとを基に、被撮像物に含まれる基準材料の含有量を算出することが可能である。そのため、被撮像物において放射線が通過した領域に含まれている基準材料を判定することができ、結果として、被撮像物における構成材料を判定することができる。また、放射線検出装置が少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有することから、構成材料の判定において、周期律表に記載の元素のより多くの元素を対象として調べることができる。
【0012】
上記検出工程は、放射線源と前記放射線検出装置との間に被撮像物を配置していない状態で放射線源から出力された放射線を検出し、その検出された放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する第1検出工程と、放射線源と放射線検出装置との間に被撮像物を配置している状態で放射線源から出力され被撮像物を通過した放射線を検出し、その検出された放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する第2検出工程と、を有し、上記計数工程は、第1検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、上記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する第1計数工程と、第2検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、上記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する第2計数工程と、を有し、材料判定工程では、第1計数工程で取得された計数値と、第2計数工程で取得された計数値とに基づいて吸収値を算出することが好ましい。
【0013】
第1検出工程及び第1計数工程により、放射線源から出力され被撮像物を通過していない放射線に基づいた計数値を取得できる。そして、第2検出工程及び第2計数工程により、放射線源から出力され被撮像物を通過した放射線に基づいた計数値を取得できる。そのため、材料判定工程では、放射線源から出力された放射線に対する被撮像物の吸収値をより正確に算出することが可能であり、結果として、被撮像物の構成材料をより正確に判定できることになる。
【0014】
また、本発明に係る放射線検出装置においては、判定手段での判定結果を基に、被撮像物の構成材料毎の放射線画像を構成して表示する表示部を更に備えることが好適である。同様に、本発明に係る放射線検出方法においては、材料判定工程での判定結果を基に、被撮像物の構成材料毎の放射線画像を構成し表示する表示工程を更に備えることが好適である。これにより、被撮像物に含まれる構成材料の異なる領域を視覚的に確認することが可能である。
【0015】
上記基準変動パターンは、少なくとも3つのエネルギー領域のうちの一つのエネルギー領域の吸収係数で他のエネルギー領域の吸収係数が規格化されていることが好ましい。このように規格化することで、各基準変動パターンの特性がより明らかになるため、被撮像物の構成材料を判定し易い。
【0016】
また、本発明に係る放射線検出装置では、少なくとも3つのエネルギー領域のうちの少なくとも一つのエネルギー領域を変更せしめるエネルギー領域変更手段を備えることも好適である。同様に、本発明に係る放射線検出方法では、上記少なくとも3つのエネルギー領域のうちの少なくとも一つのエネルギー領域を変更せしめるエネルギー領域変更工程を備えることも好適である。これにより、上記少なくとも一つのエネルギー領域を変更できるため、検出すべき放射線が有するエネルギーに応じて適切なエネルギー領域を設定可能である。
【0017】
更に、本発明に係る放射線検出装置では、基準変動パターンを変更せしめる基準パターン変更手段を備えることも好ましい。同様に、本発明に係る放射線検出方法では、基準変動パターンを変更せしめる基準変動パターン変更工程を備えることも好ましい。これにより、基準変動パターンを種々変更でき、それらを基に被撮像物の構成材料を判定できる。よって、被撮像物の構成材料をより正確に判定できることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放射線検出装置及び放射線検出方法によれば、構成が不明の被撮像物であってもその構成材料を判定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面とともに本発明に係る放射線検出装置及び放射線検出方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
図1に示す放射線検出装置1は、放射線源2から出力され被撮像物3を透過した放射線Rを検出して、その検出データを基に被撮像物3を非破壊検査するためのものである。放射線検出装置1は、例えば空港での手荷物検査や、食品中の混入物検査等に好適に適用される。放射線源2は、白色X線源、多色X線源、又は複数の放射線同位元素を組み合わせたもの等が例示されるが、以下の説明では特に断らない限り白色X線源とする。また、本実施形態では、放射線源2から出力される放射線Rに対して被撮像物3を所定方向に走査しながら被撮像物3を検査する場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る放射線検出装置の一実施形態を示すブロック図である。図1では、放射線源2及び被撮像物3も示している。
【0022】
図1に示すように、放射線検出装置1は、エネルギー弁別型の放射線検出器10と、放射線検出器10に制御可能に接続された制御装置30とを含んで構成される。
【0023】
放射線検出器10は、放射線検出部としてのラインセンサ11を有しており、ラインセンサ11は、複数の放射線検出素子12がライン状に配列されて構成されている。各放射線検出素子12は、少なくとも1keV〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有しており、テルル化カドミウム(CdTe)を利用したものが例示される。放射線検出素子12は、入射した放射線に含まれるフォトンのエネルギー値に応じた波高値を有する電荷パルス信号を生成する。
【0024】
放射線検出器10は、各放射線検出素子12が生成した電荷パルス信号をエネルギー弁別して計数処理するための信号処理手段13と、信号処理手段13で電荷パルス信号をエネルギー弁別するための基準電圧を設定する閾値設定部14とを更に有する。
【0025】
信号処理手段13は、放射線検出素子12毎に設けられた増幅器13A、電圧比較器13B及び計数器13Cと、計数処理部13Dと、を有する。図1中の破線は、破線で囲んだ領域内の増幅器13A、電圧比較器13B及び計数器13Cが放射線検出素子12毎に設けられていることを示すための便宜的なものである。図1では、計数処理部13Dは、ラインセンサ11に対して1つ配設するとしているが、増幅器13A等と同様に、放射線検出素子12毎に設けることも可能である。
【0026】
増幅器13Aは、放射線検出素子12からの電荷パルス信号を増幅すると共に、その波形を整形して電圧比較器13Bに出力する。
【0027】
電圧比較器13Bは、増幅器13Aからの電荷パルス信号の波高値と、閾値設定部14から入力される5つの基準電圧とをそれぞれ比較し、電荷パルス信号の波高値が各基準電圧より大きい場合に、パルス信号を計数器13Cに出力する。すなわち、上述した5つの基準電圧と、増幅器13Aからの電荷パルス信号との比較結果を5系統のパルス信号として計数器13Cに出力する。上記5つの基準電圧は、フォトンをエネルギー弁別するためのエネルギー閾値E1〜E5に対応するものである。
【0028】
本実施形態では、エネルギー閾値E1,E2,E3,E4,E5を、それぞれ20keV,30keV,40keV,65keV,100keVとする。これにより、エネルギー範囲1〜150keVは、20keVより大きく30keV以下であるエネルギー領域W1と、30keVより大きく40keV以下であるエネルギー領域W2と、40keVより大きく65keV以下であるエネルギー領域W3と、65keVより大きく100keV以下であるエネルギー領域W4と、100keVより大きく150keV以下であるエネルギー領域W5とに分けられる。
【0029】
計数器13Cは、電圧比較器13Bからの5系統のパルス信号をそれぞれ計数し、計数処理部13Dに出力する。計数処理部13Dは、上記5系統のパルス信号の計数値を基に、エネルギー閾値E1〜E5のうち隣接するエネルギー閾値でそれぞれ弁別される計数値の差分を取ることによって、エネルギー領域W1〜W5内の計数値を算出する。
【0030】
上記放射線検出器10の構成では、複数の放射線検出素子12毎に生成された電荷パルス信号がそれぞれエネルギー弁別されて、放射線検出素子12毎にエネルギー領域W1〜W5別の計数値が取得される。そして、被撮像物3を検査する場合には、被撮像物3を走査しているため、走査位置毎に各放射線検出素子12に対応したエネルギー領域W1〜W5別の計数値が取得されることになる。
【0031】
放射線検出器10は、エネルギー領域W1〜W5別の計数値を検出データとして制御装置30に出力する。
【0032】
制御装置30は、例えばパーソナルコンピュータであり、放射線検出器10からの検出データを基に被撮像物3の構成材料を判定する判定手段31と、上記検出データを基に被撮像物3の放射線画像を構成し表示する画像表示部32と、検出データ等の種々のデータや所定のプログラム等を格納する記憶部33と、操作者からのデータの入力及び各種指示の入力を受け付ける入力部34と、制御装置30の各構成要素や放射線検出器10を制御する制御部35とを含んで構成される。
【0033】
判定手段31は、演算部31Aと判定部31Bとを含む。演算部31Aは、検出データを基に画素毎のエネルギー領域W1〜W5別の吸収値を算出する。より具体的には、それぞれ同一のエネルギー(またはエネルギー領域)において、吸収前の放射線R、すなわち、被撮像物3を透過していない放射線Rを検出した場合の計数値をAとし、被撮像物3を透過した後の放射線Rを検出した場合の計数値をIとし、吸収値をTとしたとき、吸収値Tを以下の式(1)によって算出する。
【数1】

【0034】
判定部31Bは、演算部31Aで算出された吸収値のエネルギー領域W1〜W5に対する変動パターンを、記憶部33に格納されているエネルギー領域W1〜W5に対する基準変動パターンP1〜P5の何れかに判定する。判定部31Bは、被撮像物3の放射線画像を構成する画素毎の検出データ、すなわち、走査位置毎の各放射線検出素子12からの電荷パルス信号に対応する計数値を基に算出される吸収値の変動パターンを基に上記判定を実施する。
【0035】
ここで、図2を利用して上記基準変動パターンP1〜P5について説明する。図2は、基準変動パターンP1,P2,P3,P4,P5の模式図である。図2の横軸はエネルギー領域を示しており、縦軸は吸収係数を示している。各基準変動パターンP1〜P5は、図2に示すように、一番低いエネルギー領域W1の吸収係数で規格化しておくことが好ましい。この場合、各エネルギー領域での変化の仕方が明確になり、パターンの比較が容易になるからである。
【0036】
基準変動パターンP1〜P5は、周期律表の元素を放射線の吸収特性に応じて5つの基準材料M1〜M5に分類した場合に、各基準材料M1〜M5の放射線の吸収係数(又は減弱係数)の変化パターンを示すものである。各基準変動パターンP1〜P5は、次のような特徴を有する。
【0037】
基準変動パターンP1は、吸収にエネルギー依存性がないパターンである。このようなパターンを示す物質は、周期律表において1Hから10Neまでが対応する。また、基準変動パターンP2は、低エネルギー領域で主に吸収が変化するパターンである。このようなパターンを示す物質は、周期律表において11Naから18Arまでが対応する。基準変動パターンP3は、エネルギー領域全体で吸収が変化するパターンである。このようなパターンを示す物質は、周期律表において19Kから50Snまでが対応する。基準変動パターンP4は、中エネルギー領域に吸収端のあるパターンである。このようなパターンを示す物質は、周期律表において55Csから71Luまでに対応する。基準変動パターンP5は、高エネルギー領域に吸収端のあるパターンである。このようなパターンを示す物質は、周期律表において72Hfから86Rnに対応する。
【0038】
なお、周期律表において86Rnよりも大きい原子番号の元素群においても適用が可能であり、さらに、エネルギー領域を更に細分化することで、基準変動パターンを各元素毎に設定し、各元素毎での判定も可能となる。しかしながら、本実施形態では、説明を簡便にする便宜上、上記した5つのパターンにて分類することとする。また、実際に、周期律表の元素を放射線の吸収特性に応じて分類した5つのパターンであれば、一般的な材料を用いた被撮像物3に対して、おおよその構成材料情報を得ることができる。
【0039】
基準変動パターンP1〜P5が基準材料M1〜M5における吸収係数のエネルギー領域W1〜W5に対する変化パターンに対応しているため、変動パターンを基準変動パターンP1〜P5の何れかに判定することで、判定部31Bは、被撮像物3の構成材料を基準材料M1〜M5の何れかに判定できることになる。
【0040】
ところで、上記5種類の基準変動パターンP1〜P5はエネルギー領域W1〜W5の設定の仕方に依存している。本実施形態では、上記5種類の基準変動パターンP1〜P5を採用できるようにエネルギー領域W1〜W5を設定している。
【0041】
例えば、基準変動パターンP4及び基準変動パターンP5を他のパターンから分別するために、エネルギー閾値E3は、基準変動パターンP4を示す物質の原子番号エリアのもっとも小さい原子番号元素の吸収端エネルギーに設定している。具体的には、エネルギー閾値E3を、55Csの吸収端40keVとしている。
【0042】
エネルギー閾値E4は、基準変動パターンP4を示す物質の原子番号エリアの最も大きい原子番号元素と、基準変動パターンP5を示す物質の原子番号エリアのうち最も小さい原子番号元素の吸収端の間に設定されている。具体的には、エネルギー閾値E4をLuの吸収端63.3keVと、Hfの吸収端65.4keVの間の65keVとしている。
【0043】
そして、エネルギー閾値E5は、基準変動パターンP5を示す物質の原子番号エリアの最も大きい原子番号元素の吸収端とX線の最大エネルギー(150keV)の間に設定されている。すなわち、Rn吸収端98.4keVと、150keVの間の100keVとしている。
【0044】
再度、図1を利用して放射線検出器10の構成について説明する。画像表示部32は、各基準変動パターンP1〜P5に判定された変動パターンを示す画素を、基準変動パターンP1〜P5毎に差別化して表示することで、被撮像物3に含まれる基準材料M1〜M5からなる部分毎の放射線画像を構成し表示する。
【0045】
記憶部33は、判定部31Bで使用する複数の基準変動パターンP1〜P5、放射線検出器10から入力される検出データ、演算部31Aで算出された画素毎のエネルギー領域W1〜W5別の吸収値、判定部31Bでの判定結果及び閾値設定部14で設定すべきエネルギー閾値及び所定のプログラム等を格納する。
【0046】
入力部34は、操作者からの種々のデータの入力や、放射線検出装置1の制御用の指示などの入力を受け付ける。入力部34は、例えば、基準変動パターンP1〜P5を構成する各エネルギー領域W1〜W5の吸収係数や、閾値設定部14で設定すべきエネルギー閾値E1〜E5等の操作者からの入力を受け付ける。入力部34をとおして入力されたデータは記憶部33に格納される。また、入力部34を介して基準変動パターンP1〜P5を新たに入力することで、基準変動パターンP1〜P5を変更することも可能であるため、入力部34は、基準変動パターン変更手段としても機能させることもできる。
【0047】
また、制御部35は、入力部34から入力される操作者の指示等に応じて制御装置30の各構成要素及び放射線検出器10を制御する。この制御は、記憶部33に予め入力されているプログラムを実行することで実施される。また、制御部35は、入力部34からエネルギー閾値E1〜E5が入力された場合、その入力されたエネルギー閾値E1〜E5に対応する基準電圧を閾値設定部14を介して電圧比較器13Bに入力せしめる。これにより、エネルギー領域W1〜W5が変更されることになるので、制御部35及び閾値設定部14は、エネルギー領域変更手段として機能していることになる。制御部35による種々の制御は、記憶部33に予め入力されている所定のプログラムを実行することで実施される。
【0048】
以上の説明では、放射線検出器10と制御装置30とは分離されており、そられが制御可能に接続されているとしたが、放射線検出器10と制御装置30とは一体的なものであってもよい。例えば、制御装置30の各構成要素が放射線検出器10に含まれているとすることもできる。この場合には、閾値設定部14の機能を制御部35に含ませることも可能である。また、演算部31Aで実施する吸収値の計算は、計数処理部13Dで実施してもよい。この場合、計数処理部13Dは、判定手段31の一部としても機能することになる。
【0049】
次に、被撮像物3を検査するための放射線検出装置1による放射線Rの検出方法について説明する。以下では、説明の便宜上、放射線源2から出力され被撮像物3を通過していない放射線Rを放射線R1とも称す。この場合、放射線源2からは放射線R1が出力されていることになる。そして、被撮像物3を通過した場合において被撮像物3通過後の放射線R(R1)を放射線R2とも称す。
【0050】
図3は、本実施形態で放射線Rを利用して検査する被撮像物の一例の平面図である。図3に示すように、本実施形態における被撮像物3は、基準材料M1,M2,M3,M4,M5から構成される被撮像物3,3,3,3,3が重ならずに配置されているものとする。また、記憶部33には、基準変動パターンP1〜P5が予め格納されており、電圧比較器13Bには、制御部35及び閾値設定部14を介して5つのエネルギー閾値E1〜E5に対応する5つの基準電圧が入力されているものとする。
【0051】
図4は、本実施形態における放射線の検出方法の一例のフローチャートである。被撮像物3を検査するために放射線検出装置1を利用して放射線Rを検出する場合、先ず、放射線源2と放射線検出器10との間に配置しない状態で、放射線源2から放射線R1を出力し、その放射線R1を放射線検出器10で検出する。ラインセンサ11の各放射線検出素子12に放射線R1が入射すると、放射線検出素子12は、放射線R1が入射する度に、その放射線R1のエネルギーに応じた波高値を有する電荷パルス信号を生成し、増幅器13Aに出力する(第1検出工程S11)。
【0052】
増幅器13Aは、放射線検出素子12からの電荷パルス信号を増幅及び波形整形した後、電荷パルス信号を電圧比較器13Bに入力する。電圧比較器13Bは、放射線検出素子12からの電荷パルス信号の波高値と、閾値設定部14から入力されている5つの基準電圧とをそれぞれ比較し、各基準電圧に基づいてエネルギー弁別して5系統のパルス信号を計数器13Cに出力する。
【0053】
計数器13Cは、5系統のパルス信号をそれぞれ計数して、計数処理部13Dに出力する。計数処理部13Dは、計数器13Cから入力された計数値を基に、エネルギー領域W1〜W5別の計数値をそれぞれ算出し、検出データとして制御装置30に出力する(第1計数工程S12)。制御装置30は、計数処理部13Dからの検出データを記憶部33に格納する。
【0054】
次に、図1に示したように、放射線源2と放射線検出器10との間に被撮像物3を配置した後、放射線源2から放射線R1を出力し、被撮像物3を透過した後の放射線R1である放射線R2を放射線検出器10により検出する。この際、被撮像物3を走査しながら、被撮像物3を通過した放射線R2を放射線検出器10で検出する。ラインセンサ11の各放射線検出素子12に放射線R2が入射すると、放射線検出素子12は、放射線R2が入射する度に、その放射線R2のエネルギーに応じた波高値を有する電荷パルス信号を生成し、増幅器13Aに出力する(第2検出工程S13)。
【0055】
増幅器13Aは、放射線検出素子12からの電荷パルス信号を増幅及び波形整形した後、電荷パルス信号を電圧比較器13Bに入力する。電圧比較器13Bは、放射線検出素子12からの電荷パルス信号の波高値と、閾値設定部14から入力されている5つの基準電圧とをそれぞれ比較し、各基準電圧に基づいてエネルギー弁別して5系統のパルス信号を計数器13Cに出力する。
【0056】
計数器13Cは、5系統のパルス信号をそれぞれ計数して、計数処理部13Dに出力する。計数処理部13Dは、計数器13Cから入力された計数値を基に、エネルギー領域W1〜W5別の計数値をそれぞれ算出し、検出データとして制御装置30に出力する(第2計数工程S14)。
【0057】
制御装置30は、計数処理部13Dからの検出データを記憶部33に格納する。被撮像物3が放射線R1により走査されているため、記憶部33には、走査位置毎の各放射線検出素子12に対応するエネルギー領域別の計数値が検出データとして格納される。すなわち、記憶部33には、被撮像部3の放射線画像を構成する画素毎の検出データが格納される。
【0058】
制御部35は、被撮像物3の放射線R1による走査が終了し、記憶部33に全検出データが格納されると、判定手段31に、被撮像物3の画素毎の構成材料を判定せしめる。構成材料の判定方法について説明する。
【0059】
演算部31Aは、第1計数工程11及び第2計数工程12においてそれぞれ取得された各画素に対応する検出データを基に被撮像物3の吸収値を算出する。具体的には、第1計数工程S12で取得した計数値を式(1)におけるAとし、第2計数工程S14で取得した計数値を式(1)におけるIとして吸収値Tを算出する。次いで、判定部31Bが、吸収値のエネルギー領域W1〜W5に対する吸収値の変動パターンを、記憶部33に予め格納されている5つの基準変動パターンP1〜P5と比較する。そして、判定部31Bは、各変動パターンが、基準変動パターンP1〜P5の何れに対応するかを画素毎に判定する(材料判定工程S15)。
【0060】
画像表示部32は、判定部31Bの判定結果に基づいて、同じ基準変動パターンに判定された画素領域毎に放射線画像をそれぞれ構成し表示する(表示工程S16)。これにより、図5(a)〜図5(e)に示すように、被撮像物3に含まれる被撮像物3〜3毎の放射線画像を得ることができる。図5では、説明のために、被撮像物3〜3のうち視覚可能に表示すべきもの以外の部分は破線で示している。ここでは、被撮像物3〜3を別々に表示するものとして説明しているが、被撮像物3において被撮像物3〜3に対応する領域を色分けや模様分け等の視覚的区別が可能な表示をすることで差別化して表示するようにしてもよい。また、被撮像物3〜3毎の放射線画像は、例えば、エネルギー領域W1〜W5別の計数値に基づいて構成することによって、エネルギー領域W1〜W5別の各被撮像物3〜3の放射線画像を形成するようにしてもよい。
【0061】
放射線検出装置1では、従来のように単なる高エネルギー/低エネルギーでの吸収の増減により被撮像物の構成材料の判定を実施するのではなく、5つのエネルギー領域W1〜W5に対する吸収値の変動パターンにより被撮像物3の構成材料を判定している。その結果、例えば、K吸収端の有無やそのエネルギーが不明であっても被撮像物3の構成材料の特徴を取得することが可能である。更に、放射線Rを検出するエネルギー範囲が1keV〜150keVであるため、K吸収端情報を含むとともに、その前後の吸収情報と合わせて構成材料の同定が可能となる。
【0062】
そして、本実施形態では、基準変動パターンP1〜P5は、周期律表内の複数の元素を5つの基準材料M1〜M5に分類し、その基準材料M1〜M5に対する吸収計数の変動パターンとしている。そのため、放射線検出装置1における被撮像物3の構成材料を、前述したように基準材料M1〜M5の何れかに確実に判定できる。
【0063】
これまでの説明では、基準変動パターンP1〜P5は予め入力され記憶部33に格納されているとしたが、例えば、画像表示部32に表示される放射線画像に応じて基準変動パターンP1〜P5を変更する基準変動パターン変更工程を更に有することも好ましい。これにより構成材料の判定に適した基準変動パターンを採用することが可能であり、結果として、より正確に構成材料を判定可能である。基準変動パターンP1〜P5の変更は、前述したように、入力部34をとおして新しい基準変動パターンを入力することで可能である。
【0064】
また、本実施形態では、エネルギー領域W1〜W5を予め設定されているものとしたが、エネルギー領域W1〜W5の少なくとも一つを制御部35及び閾値設定部14を介して変更するエネルギー領域変更工程を更に有することも好適である。この場合、放射線Rを適切な複数のエネルギー領域を利用して検出することが可能である。例えば、放射線源2を変えたとしても使用する放射線源2から出力される放射線Rに応じた複数のエネルギー領域を利用して放射線Rを検出することができる。エネルギー領域変更工程は、例えば、第1検出工程S11前に実施することができる。
【0065】
更に、本実施形態では、吸収値を算出する際に使用する被撮像物3の透過前の放射線量としての計数値を、被撮像物3に放射線R1を照射する工程の前に測定するとしたが、この場合に限定されない。例えば、放射線源2から出力される放射線R1の理論的な放射線量に対応する計数値を採用し、それを使用することも可能である。また、被撮像物3を通過していない放射線R1を検出し計数する工程(第1検出工程S11及び第2計数工程S12)は、少なくとも1回実施しておけばよい。また、第1検出工程S11及び第1計数工程S12と、第2検出工程S13及び第2計数工程S14との順番は、逆であってもよい。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、図6に示すように、5つの被撮像物4〜4の少なくとも一部が重なって構成される被撮像物4の構成材料の判定に有効な放射線検出装置及び放射線検出方法について説明する。なお、被撮像物4は、一例として、板状の被撮像物4の表面上に被撮像物4、被撮像物4及び被撮像物4が順に重なっていると共に、被撮像物4の裏面上に被撮像物4が重なっているものとする。また、被撮像物4〜4は、それぞれ基準材料M1〜M5から構成されているものとする。
【0067】
図7は、第2の実施形態の放射線検出装置の構成を示すブロック図である。
【0068】
放射線検出装置5が有する放射線検出器10の構成は第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。制御装置40は、被撮像物4の構成材料を判定する判定手段41と、判定手段41の判定結果を基に被撮像物4の放射線画像を構成し表示する画像表示部42とを備える点で図1に示した制御装置30と主に相違するが、その他の構成は制御装置30と同様である。上記相違点を中心にして説明する。
【0069】
判定手段41は、第1の実施形態の演算部31Aが有する演算機能と共に、判定部31Bが有する判定機能を兼ね備えており、判定手段41は、被撮像物4に基準材料M1〜M5が含まれていると仮定し、被撮像物3の吸収値のエネルギー領域W1〜W5に対する変動パターンと、基準変動パターンとを利用して基準材料M1〜M5からなる部分の厚さを算出することによって、被撮像物4の構成材料を判定する。なお、「厚さ」とは、放射線Rの進行方向における長さである。判定手段41で構成材料を判定する方法について具体的に説明する。
【0070】
図8は、被撮像物の一点を透過した放射線を検出して取得される吸収値の変動パターン一例の模式図であり、図6に示した点pの位置を透過した放射線Rの検出結果に基づく吸収値の変動パターンを模式的に示している。図8中の横軸はエネルギー領域を示しており、縦軸は吸収値を示している。
【0071】
被撮像物4に基準材料M1〜M5からなる部分が含まれると仮定し、それらの厚さをX〜Xとすると、図8に示した変動パターンは、基準変動パターンP1〜P5に対して厚さX〜Xを重みとして乗算したものを重ね合わせたものとして表される。よって、変動パターンと基準変動パターンP1〜P5とを利用することで厚さX〜Xを算出できる。より具体的に説明する。
【0072】
一つのエネルギー領域W(mは、1〜5の何れかの数)に対して、透過前の放射線量をA、透過後の放射線量をI、基準材料M1〜M5におけるエネルギー領域Wに対する吸収係数(減弱係数)をμm1、μm2、μm3、μm4、μm5とし、被撮像物4に含まれる各基準材料M1〜M5の厚さを、前述したようにX、X、X、X、Xとする。
【0073】
この場合、A、I、μm1〜μm5、X〜Xを用いて成立する吸収の式の両辺の対数をとって整理すると、次式が成り立つ。
【数2】


そして、各mに対して式(2)が算出されることから5つの式が成立することになるので、それらをまとめると、次式のように表される。
【数3】


ここで、T=ln(A/I)であり、判定手段41で算出される吸収値である。
【0074】
最小のエネルギー領域Wの吸収係数で他のエネルギー領域W2〜W5の吸収係数を規格化しておけば、次式のようになる。
【数4】

【0075】
判定手段41では、式(4)をX〜Xに対して解くことで、放射線Rの通過位置における各基準材料M1〜M5からなる部分の厚さX〜Xを算出する。厚さX〜Xが0又は計測誤差を考慮した微小値以外の値を有する場合には、その厚さX〜Xを有する基準材料M1〜M5が被撮像物4に含まれることになるため、上記のように厚さX〜Xを算出することで、被撮像物4の放射線通過位置での構成材料が判定されることになる。そして、判定手段41が、被撮像物4における放射線Rの通過位置毎に(言い換えれば、画素毎に)基準材料M1〜M5からなる部分の厚さX〜Xを算出することで、基準材料M1〜M5別の厚さデータを得ることできる。なお、前述したように、式(3)及び式(4)に記載のTが吸収値に対応するため、判定手段41は、式(3)又は式(4)を利用することで、吸収値を算出していることになり、この場合、式(3)又は式(4)における右辺が吸収値の変動パターンに対応することになる。
【0076】
画像表示部42は、判定手段41で算出された厚さデータを基準材料M1〜M5別に画素にマッピングして被撮像物4の放射線画像を構成して表示することで、被撮像物4の構成材料別の放射線画像を表示する。例えば、基準材料M1からなる部分、すなわち、被撮像物4の放射線画像を構成し表示する場合には、各画素に対応するXの値をマッピングし、Xの値の大きさに応じて色分けや濃度分け等の視覚的区別が可能な表示をすればよい。
【0077】
上記放射線検出装置5の構成において、放射線検出器10と制御装置40とは一体的なものであってもよいことは、第1の実施形態の場合と同様である。例えば、制御装置40の各構成要素が放射線検出器10に含まれていてもよい。
【0078】
また、前述したように、判定手段41では、式(3)又は式(4)を解くための演算を実行して基準材料M1〜M5の厚さを算出することによって被撮像物4に含まれる構成材料を判定していることになる。そのため、判定手段41は、第1の実施形態の演算部31Aが有する演算機能と、判定部31Bが有する判定機能とを兼ねているとして説明したが、これに限定されない。例えば、判定手段41は、第1の実施形態の場合と同様に、演算機能を有する演算部31A及び判定機能を有する判定部31Bをそれぞれ有していてもよい。
【0079】
この場合、判定手段41が有する演算部31Aは、式(3)又は式(4)を実施し、その演算結果としての基準材料M1〜M5の厚さX1〜X5を判定手段41が有する判定部31Bに入力する。そして、判定手段41が有する判定部31Bは、例えば、厚さX1〜X5を所定の値(例えば、計測誤差を考慮した微小値又は0)と比較し、当該所定の値より大きい厚さを有する基準材料M1〜M5が被撮像物4に含まれるとしてもよい。
【0080】
また、判定手段41が有する演算部31Aの機能の一部又は全部を計数処理部13Dで実施することもできる。このように計数処理部13Dが、判定手段41が有する演算部31Aの機能の一部又は全部を有する場合、計数処理部13Dは判定手段41の一部としても機能することになる。なお、計数処理部13Dが担う判定手段41が有する演算部31Aの機能の一部としては、吸収値の計算が例示される。計数処理部13Dで吸収値を計算した場合には、その計算結果を式(3)又は式(4)のTに代入すればよい。
【0081】
次に、被撮像物4を検査するために放射線検出装置5を利用した放射線検出方法について説明する。ここでは、図6に示した被撮像物4を撮像するものとする。また、基準変動パターンP1〜P5は、第1の実施形態と同様のものを使用すると共に、予め記憶部33に格納されているとする。基準変動パターンP1〜P5及びエネルギー領域W1〜W5が予め設定されていることも第1の実施形態と同様とする。また、以下では、説明の便宜上、放射線源2から出力され被撮像物4を通過していない放射線Rを放射線R1とも称す。この場合、放射線源2からは放射線R1が出力されていることになる。そして、被撮像物4を通過した場合において被撮像物4通過後の放射線R(R1)を放射線R2とも称す。
【0082】
図9は、本実施形態における放射線検出方法の一例のフローチャートである。本実施形態の放射線検出方法において、図9に示す第1検出工程S21から第2計数工程S24までの工程は、第1の実施形態の第1検出工程S11から第2計数工程S14までの工程と同様である。
【0083】
先ず、第1の実施形態の場合と同様に、放射線源2と放射線検出器10との間に被撮像物4を配置しない状態で、放射線源2から放射線R1を出力し、放射線検出器10で放射線R1を検出する。各放射線検出素子12は、入射した放射線R1のエネルギーに応じた波高値を有する電荷パルス信号を生成し、増幅器13Aに出力する(第1検出工程S21)。増幅器13Aは、入力された電荷パルス信号を増幅及び波形整形し、電圧比較器13Bに出力する。電圧比較器13Bは、入力された電荷パルス信号の波高値を、5つの基準電圧を基にエネルギー弁別して5系統のパルス信号として計数器13Cに出力する。計数器13Cは、5系統のパルス信号をそれぞれ計数して、計数処理部13Dに出力する。計数処理部13Dは、計数器13Cから入力された計数値を基に、エネルギー領域W1〜W5別の計数値をそれぞれ算出し、検出データとして制御装置30に出力する(第1計数工程S22)。制御装置30は、計数処理部13Dからの検出データを記憶部33に格納する。
【0084】
次いで、放射線源2と放射線検出器10との間に被撮像物4を配置した後、放射線源2から放射線R1を出力し、被撮像物4を透過した放射線R2を放射線検出器10によって検出する。この際、被撮像物4を走査しながら、被撮像物4を通過した放射線R2を放射線検出器10で検出する。各放射線検出素子12は、入射した放射線R2のエネルギーに応じた波高値を有する電荷パルス信号を生成し、増幅器13Aに出力する(第2検出工程S23)。増幅器13Aは、入力された電荷パルス信号を増幅及び波形整形した後、電圧比較器13Bに出力する。電圧比較器13Bは、入力された電荷パルス信号を、5つの基準電圧に基づいてエネルギー弁別して5系統のパルス信号を計数器13Cに出力する。計数器13Cは、5系統のパルス信号をそれぞれ計数して、計数処理部13Dに出力する。計数処理部13Dは、計数器13Cから入力された計数値を基に、エネルギー領域W1〜W5別の計数値をそれぞれ算出し、検出データとして制御装置30に出力する(第2計数工程S24)。
【0085】
制御装置40の記憶部33は、放射線検出器10から入力された検出データを格納する。制御部35は、被撮像物4の走査が終了し、検出すべき全検出データが記憶部33に格納されると、判定手段41に被撮像物4の構成材料を判定せしめる。
【0086】
判定手段41は、エネルギー領域Wの計数値を式(4)におけるIとし、被撮像物4を配置せずに放射線R1を直接検出した場合のエネルギー領域Wの計数値を式(4)におけるAとして基準材料M1〜M5の厚さX〜Xを算出する。判定手段41は、算出結果に基づいて、被撮像物4に含まれる構成材料を判定する(材料判定工程S25)。判定手段41は、上記判定を画素毎に実施し、その判定結果を記憶部33に出力する。
【0087】
画像表示部42は、記憶部33に格納された判定手段41での判定結果としての基準材料M1〜M5別の厚さデータを、基準材料M1〜M5別に各画素にマッピングすることによって、図10に示すように、被撮像物4に含まれる構成材料別の放射線画像を構成し表示する(表示工程S26)。
【0088】
図10は、被撮像物の構成材料別の放射線画像を示す図である。図10(a)〜図10(e)は、それぞれ基準材料M1〜M5からなる部分の放射線画像であり、被撮像物4〜4の放射線画像に対応する。図10(b)〜図10(e)では、被撮像物4〜4の被撮像物4に対する位置を明確にするために、被撮像物4の形状を破線で示している。
【0089】
放射線検出装置5においても、従来のように単なる高エネルギー/低エネルギーでの吸収の増減により材料の判定を実施するのではなく、5つのエネルギー領域W1〜W5に対するカウント数の変動パターンにより判定している。その結果、例えば、K吸収端の有無やそのエネルギーが不明であっても被撮像物の材料の特徴を取得することが可能である。更に、放射線Rを検出するエネルギー範囲が1keV〜150keVであるため、K吸収端情報を含むとともに、その前後の吸収情報と合わせて、より確実に材料の同定が可能となる。
【0090】
そして、本実施形態では、被撮像物4に基準材料M1〜M5が含まれていると仮定し、基準材料M1〜M5の厚さを算出することで、被撮像物4の構成材料を判定している。その結果、図6に示したように、被撮像物4〜4の少なくとも2つが重なっているような被撮像物4に対しても、被撮像物4〜4の構成材料を特定でき、結果として、被撮像物4に含まれる複数の構成物質を同定できることになる。
【0091】
また、上記のように厚さを算出しているため、特定の放射線通過領域における構成材料の被撮像物4における含有比率を算出することも可能である。更に、厚さデータに基づいて構成材料別の放射線画像を画像表示部で構成し表示しているため、異なる構成材料からなる部分の形状などの判別が容易である。本実施形態でも、基準変動パターン変更工程及びエネルギー領域変更工程を有してもよいことは、第1の実施形態と同様である。
【0092】
本実施形態では、被撮像物4に基準材料M1〜M5が含まれていると仮定し、基準材料M1〜M5の厚さを算出することで、被撮像物4の構成材料を判定している。この場合、基準材料M1〜M5の各厚さが、被撮像物4内の各基準材料M1〜M5の含有量に対応する。しかしながら、被撮像物4が基準材料M1〜M5の混合物(例えば合金)の場合であっても、その混合物中での基準材料M1〜M5の含有量を取得することもできる。この場合、上記した計算式においてX〜Xが含有量となるが、この含有量も、やはり測定部位における基準材料M1〜M5の厚さとして算出される。つまり、材料MAを何%、材料MBを何%含む、ということではなく、材料MAを何ミリ、材料MBを何ミリ積んだ状態であるとして算出されることになる。これは、例えば、基準材料M1〜M5の各々からなる部分がそれぞれ厚さ方向に分散している場合も同様である。
【0093】
また、本実施形態では、被撮像物4の透過前のエネルギー領域Wの放射線量Aを、被撮像物4に放射線R1を照射する工程の前に測定するとしたが、例えば、放射線源2から出力される放射線R1の理論的な数値を採用し、予め入力していてもよい。また、判定手段41は、式(4)を使用して厚さX〜Xを算出するとしたが、式(3)を使用することも可能である。
【0094】
更に、本実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様に、上記被撮像物4を通過していない放射線R1を検出する工程(第1検出工程S21及び第1計数工程S22)は、少なくとも1回実施しておけばよい。また、第1検出工程S21及び第1計数工程S22と、第2検出工程S23及び第2計数工程S24との順番は、逆であってもよい。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は第1及び第2の実施形態に限定されない。例えば、基準変動パターンP1〜P5を示す基準材料M1〜M5の各々は、合金等のように複数の元素からなるものとしてもよい。そして、このように複数の元素を含む基準材料の基準変動パターンを利用することで、例えば、第1の実施形態の放射線検出装置を利用した放射線検出方法においても、放射線の進行方向に異なる材料からなる部分が嵩っている被撮像物の構成材料を判定することも可能である。
【0096】
また、基準変動パターンP1〜P5は、入力部から基準変動パターンP1〜P5を構成する各エネルギー領域W1〜W5の吸収係数を入力することで予め放射線検出装置1,5に設定されているとしたが、次のようにして設定してもよい。すなわち、計測対象としての被撮像物3,4に放射線Rを照射する前に、予め所定の基準材料に放射線Rを照射して、各エネルギー領域W1〜W5の計数値を取得し、それらの変動パターンを基準変動パターンとして設定してもよい。更に、これまでの説明では、5つの基準変動パターンP1〜P5を利用したが、基準変動パターンの数は、エネルギー範囲1〜150keVを分けるエネルギー領域の数に少なくとも対応していればよく、エネルギー領域の数より多くてもよい。また、第1及び第2の実施形態を組み合わせることもできる。例えば、第1の実施形態の放射線検出装置1で被撮像物の検査を実施し構成材料を判定した後、構成材料の重なりなどにより第1の実施形態での判定が困難と思われる領域に対して、第2の実施形態を実施することで判定を行っても良い。
【0097】
また、エネルギー範囲1〜150keVを5つのエネルギー領域W1〜W5に分けて各エネルギー領域W1〜W5毎の計数値を取得するようにしているが、通常のエネルギーサブストラクションを考慮すれば、エネルギー範囲1〜150keVは、少なくとも3つのエネルギー領域に分けられていればよい。
【0098】
更に、放射線検出部11は、ラインセンサとしたが、複数の放射線検出素子12が2次元的に配列された構成としても良いし、例えば、1つの放射線検出素子12からなるとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る放射線検出装置の一実施形態のブロック図である。
【図2】基準変動パターンの模式図である。
【図3】被撮像物の一例の平面図である。
【図4】図1に示した放射線検出装置を利用した放射線検出方法の一例のフローチャートである。
【図5】構成材料別の被撮像物の放射線画像の模式図である。
【図6】被撮像物の他の例の平面図である。
【図7】本発明に係る放射線検出装置の他の実施形態のブロック図である。
【図8】変動パターンの模式図である。
【図9】図7に示した放射線検出装置を利用した放射線検出方法の一例のフローチャートである。
【図10】図6に示した被撮像物に対する構成材料別の被撮像物の放射線画像の模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1,5…放射線検出装置,3,4…被撮像物,3,3,3,3,3…被撮像物(基準材料からなる部分)、4,4,4,4,4…被撮像物(基準材料からなる部分)、10…放射線検出器、11…ラインセンサ(放射線検出部)、13…信号処理手段、30,40…制御装置、31,41…判定手段、32,42…画像表示部、R,R1,R2…放射線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に検出感度を有しており、入射する放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する放射線検出部と、
前記放射線検出部で生成された前記信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する信号処理手段と、
前記信号処理手段で取得された計数値を基に、前記放射線検出部への入射前に前記放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、前記少なくとも3つのエネルギー領域に対する、前記吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、前記被撮像物に含まれる少なくとも一つの構成材料を判定する判定手段と、
を備え
前記判定手段は、前記変動パターンを前記複数の基準変動パターンの何れかに判定することによって前記被撮像物の前記構成材料を判定することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に検出感度を有しており、入射する放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する放射線検出部と、
前記放射線検出部で生成された前記信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する信号処理手段と、
前記信号処理手段で取得された計数値を基に、前記放射線検出部への入射前に前記放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、前記少なくとも3つのエネルギー領域に対する、前記吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、前記被撮像物に含まれる少なくとも一つの構成材料を判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記被撮像物に前記複数の基準材料が含まれると仮定して、前記変動パターンと前記複数の基準変動パターンとを基に各前記基準材料の含有量を算出することによって、前記被撮像物の前記構成材料を判定することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
前記判定手段での判定結果を基に、前記被撮像物の前記構成材料毎の放射線画像を構成して表示する表示部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記基準変動パターンは、前記少なくとも3つのエネルギー領域のうちの一つのエネルギー領域の吸収係数で他のエネルギー領域の吸収係数が規格化されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記少なくとも3つのエネルギー領域のうちの少なくとも一つのエネルギー領域を変更せしめるエネルギー領域変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項6】
前記基準変動パターンを変更せしめる基準変動パターン変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有する放射線検出装置によって放射線を検出し、前記放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する検出工程と、
前記検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する計数工程と、
前記計数工程で取得される前記計数値を基に、前記放射線検出装置への入射前に放射線が通過する被撮像物の吸収値を算出すると共に、前記少なくとも3つのエネルギー領域に対する、前記吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、前記被撮像物の少なくとも一つの構成材料を判定する材料判定工程と、
を備え、
前記材料判定工程では、前記変動パターンを、前記複数の基準変動パターンの何れかに判定することによって、前記被撮像物の前記構成材料を判定することを特徴とする放射線検出方法。
【請求項8】
少なくとも1〜150keVのエネルギー範囲に対して検出感度を有する放射線検出装置によって放射線を検出し、前記放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する検出工程と、
前記検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する計数工程と、
前記計数工程で取得される前記計数値を基に、前記放射線検出装置への入射前の放射線が通過した被撮像物の吸収値を算出すると共に、前記少なくとも3つのエネルギー領域に対する、前記吸収値の変動パターンと複数の基準材料における吸収係数の基準変動パターンとを基に、前記被撮像物の少なくとも一つの構成材料を判定する材料判定工程と、
を備え、
前記材料判定工程では、前記被撮像物が前記複数の基準材料を含むと仮定して、前記変動パターンと前記複数の基準変動パターンとを基に前記被撮像物内の各前記基準材料の含有量をそれぞれ算出することによって、前記被撮像物の前記構成材料を判定することを特徴とする放射線検出方法。
【請求項9】
前記検出工程は、
放射線源と前記放射線検出装置との間に前記被撮像物を配置していない状態で前記放射線源から出力された放射線を検出し、その検出された放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する第1検出工程と、
放射線源と前記放射線検出装置との間に前記被撮像物を配置している状態で前記放射線源から出力され前記被撮像物を通過した放射線を検出し、その検出された放射線に含まれるフォトンのエネルギーに応じた信号を生成する第2検出工程と、
を有し、
前記計数工程は、
前記第1検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する第1計数工程と、
前記第2検出工程で生成された信号をエネルギー弁別して計数して、前記エネルギー範囲のうちの少なくとも3つのエネルギー領域毎の計数値を取得する第2計数工程と、
を有し、
前記材料判定工程では、前記第1計数工程で取得された計数値と、前記第2計数工程で取得された計数値とに基づいて前記吸収値を算出することを特徴とする請求項7又は8に記載の放射線検出方法。
【請求項10】
前記材料判定工程での判定結果を基に前記被撮像物の前記構成材料毎の放射線画像を構成し表示する表示工程を更に備えることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の放射線検出方法。
【請求項11】
前記基準変動パターンは、前記少なくとも3つのエネルギー領域の一つのエネルギー領域の吸収係数で他のエネルギー領域の吸収係数が規格化されていることを特徴とする請求項7〜10の何れか一項に記載の放射線検出方法。
【請求項12】
前記少なくとも3つのエネルギー領域のうちの少なくとも一つのエネルギー領域を変更せしめるエネルギー領域変更工程を備えることを特徴とする請求項7〜11の何れか一項に記載の放射線検出方法。
【請求項13】
前記基準変動パターンを変更せしめる基準変動パターン変更工程を備えることを特徴とする請求項7〜12の何れか一項に記載の放射線検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−14624(P2009−14624A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178909(P2007−178909)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】