説明

放射線検出装置

【課題】テーパFOPとイメージインテンシファイアとを光学的に直接接続した状態で、イメージインテンシファイアの光電面を効率よく冷却することができる光検出装置を提供する。
【解決手段】光検出装置においては、ペルチェ素子33は、イメージインテンシファイア13の入射窓部材の入射面13a側に設けられた第1の熱伝導部材(継ぎ手32及び銅板24)に取り付けられて、入射窓部材に設けられた光電面を冷却する。また、テーパFOP3のテーパ部分の一部に断熱材41を設けることにより、テーパFOP全体に外気温に対する適切な温度勾配を確保して、テーパFOP表面での結露の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にバイオ分野などにおいて、測定対象物から発せられる放射線を検出する放射線検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出装置として、例えば特許文献1に記載されているように、ガラスファイバーテーパー要素(テーパFOP)の小面積端部を画像センサー(イメージインテンシファイア)と光学的に直接接続させることによって、ガラスファイバーテーパー要素にて検出した画像を縮小して伝搬し、その画像を画像センサーにて増強し測定するものが知られている。この光検出装置では、画像センサーの光電面として熱雑音の低いバイアルカリが使用されている。
【特許文献1】特開平11−241947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、更に検出感度の高い光検出装置が求められており、その要求に応えるために、イメージインテンシファイアの光電面として、量子効率の高いGaAsP等を使用する必要が生じている。しかし、量子効率の高い光電面は一般的に熱雑音が多く、冷却無しでは検出感度の向上が図れないという問題がある。ここで、一般的な方法として、イメージインテンシファイアの入射面に冷却素子を内部に備える真空容器を設けることにより、光電面を冷却することが考えられる。ところが、この構成では、テーパFOPの出射面とイメージインテンシファイアの入射面とを直接接続できないため、サンプルから放射された光を高感度でかつ高分解能で検出することができなかった。また、検出器全体を真空チャンバ内に配置して冷却する方法も考えられるが、非常に大掛かりなものとなり、可搬型の光検出装置として不適切であった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、テーパFOPの出射面とイメージインテンシファイアの入射面とを光学的に直接接続した状態で、イメージインテンシファイアを効率よく冷却することのできる光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、測定対象物からの放射線を検出する放射線検出装置において、測定対象物からの放射線を導波するテーパFOPと、入射面がテーパFOPの出射面と光学的に接続されたイメージインテンシファイアと、イメージインテンシファイアの入射面に取り付けられた第1の熱伝達部材と、第1の熱伝達部材に取り付けられてイメージインテンシファイアの光電面を冷却する冷却素子と、を備え、テーパFOPのテーパ部分の少なくとも一部には断熱材が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この放射線検出装置では、冷却素子が取り付けられた第1の熱伝達部材が、イメージインテンシファイアの入射面に取り付けられている。そのため、イメージインテンシファイアの光電面は、第1の熱伝達部材を介してイメージインテンシファイアの入射面側から冷却されることとなる。また、テーパFOPの出射面とイメージインテンシファイアの入射面とを直接接続する構成としたため、テーパFOPもその出射面側から冷却されることとなるが、テーパFOPのテーパ部分の少なくとも一部に断熱材を設ける構成としたため、テーパFOPに外気温度に対する適切な温度勾配が確保される。このような構成を採用することにより、冷却の影響による、テーパFOP表面での結露が防止される。これにより、イメージインテンシファイアを、結露の発生を抑制しつつ効率よく冷却することが可能となる。その結果、測定対象物から放射される放射線を高感度でかつ高分解能で検出できる。
【0007】
また、イメージインテンシファイアの出射面側には光透過性を有する真空部材が設けられていることが好ましい。この光検出装置によれば、イメージインテンシファイアの出射面はその側管を通じて冷却されるが、光透過性を有する真空部材を出射面に取り付けることによって、イメージインテンシファイアの出射面から出射される光を妨げることなく、イメージインテンシファイアの出射面側での結露の発生を防止することができる。
【0008】
また、真空部材に対して、外気の熱を伝達する第2の熱伝達部材を更に備えることが好ましい。この放射線検出装置によれば、第2の熱伝達部材を介して、外気の熱を真空部材に伝達することができるため、一層確実にイメージインテンシファイアの出射面側での結露を防止することができる。
【0009】
また、第1の熱伝達部材は、イメージインテンシファイアの入射面に沿うように設けられた本体部と、本体部に対して断面L字状に屈曲するように形成された屈曲した屈曲部とを有し、冷却素子は、屈曲部に取り付けられていることが好ましい。この光検出装置によれば、冷却素子がイメージインテンシファイアの入射面と略垂直な方向に配置されることとなるので、光検出装置の幅を抑えることができる。
【0010】
また、イメージインテンシファイアにおける光電面の電極には、第1の熱伝達部材が接続されていることが好ましい。この光検出装置によれば、イメージインテンシファイアの入射面側からの冷却のみならず、電極を介してイメージインテンシファイアの光電面が直接冷却されることとなる。これによって、一層効率よく光電面を冷却することができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、テーパFOPの出射面とイメージインテンシファイアの入射面とを光学的に直接接続した状態で、イメージインテンシファイアを効率よく冷却することができる。その結果、量子効率の高い光電面を有するイメージインテンシファイアを使用した場合であっても、結露の発生を抑制しつつ、高感度でかつ高分解能な放射線検出を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る放射線検出装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る放射線検出装置1の全体を示す正面図である。放射線検出装置1は、例えばマイクロプレートやシャーレなどの容器S内に配置された測定対象物からの放射線(発光、蛍光、燐光、γ線やβ線等)を検出することにより測定を行うものである。以下、測定対象物からの発光を検出する光検出装置として詳述する。
【0014】
光検出装置1は、図1に示すように、ハウジング2を有し、このハウジング2の内部には、測定対象物からの光を縮小して導波するテーパFOP(ファイバオプティクスプレート)3が容器Sと対向するように収容され、ハウジング2の上部には、導波された光を増幅するイメージインテンシファイアが収容されたヘッド4が取り付けられる。そして、このヘッド4の上部には、イメージインテンシファイアによって増幅された光を撮影するCCDカメラ6がリレーレンズ7を介して取り付けられている。
【0015】
ヘッド4のカバー4cからは冷却媒体、例えば冷却水を循環させるためのチューブ8が導出され、このチューブ8はポンプ9と接続されている。ポンプ9はチューブ8内の冷却水に圧力を与えることによって循環させ、これによって、ヘッド4内部の熱を外部に放出する。
【0016】
ポンプ9は、ペルチェ素子11の吸熱面と接続されており、またペルチェ素子11の放熱面は、ファン12によって強制的に空冷冷却されているヒートシンク13と接続されている。このような構成によって、ヘッド4内部を循環することによって暖められた液は、ポンプ9に戻ってきた際にペルチェ素子11により冷却されることとなる。
【0017】
ここで、ハウジング2とヘッド4の内部構成及びその冷却構造を、図2〜5を参照しながら説明する。
【0018】
図2及び図3に示すように、ヘッド4の内部では、イメージインインテンシファイア13の入射面13aとテーパFOP3の出射面3bとが直接接続されている。イメージインテンシファイア13の入射面13aにはさらに、冷却素子としてのペルチェ素子33が取り付けられた第1の熱伝達部材が設けられている。第1の熱伝達部材は、イメージインテンシファイアの入射面に沿うように設けられた本体部としての銅板24と、銅板24に対して断面L字状に屈曲するように設けられた屈曲部としての継ぎ手32とから構成される。ペルチェ素子33の吸熱面は第1の熱伝達部材と接続され、またその放熱面は、チューブ8を有するウォータージャケット(放熱手段)34と接続されている。
【0019】
イメージインテンシファイア13は、図4(a)に示すように、近接型のイメージインテンシファイアであり、真空容器を形成する筒状体14を有している。この筒状体14の一端には、イメージインテンシファイア13の入射面13aが形成された入射窓部材16が設けられ、筒状体14の他端には、イメージインテンシファイア13の出射面13bが形成された出射窓部材17が設けられている。これらの入射窓部材16及び出射窓部材17は、例えばFOPで形成されている。そして、これらの部材によって密封された内部空間は真空とされている。
【0020】
入射窓部材16における入射面13aと反対側の面上には、光を電子に変換する光電面18が設けられ、出射窓部材17における出射面13bの反対側の面上には、電子を光に変換する蛍光面19が設けられている。そして、その光電面18及び蛍光面19の間には、電子を増幅するマイクロチャンネルプレート21が、それぞれの面と対向するように配置されている。
【0021】
上述の構成によって、イメージインテンシファイア13の入射面13aから入射した光は、増幅されて出射面13bからCCDカメラ6(前述)へ出射されることとなる。なお、光電面18として、量子効率の高いGaAsPが使用されている。更に、このGaAsPは冷却されることにより、低い熱雑音で使用することができる。
【0022】
また、入射窓部材16における入射面13aと反対側の面であって、光電面18よりも一段下がった面に光電面18の電極22が設けられており、電極22と入射窓部材16との間にはインジウム23が充填されている。電極22は、例えばコバールで形成されている。
【0023】
図3、図4(a)及び図5に示すように、このイメージインテンシファイア13の入射面13a側には、銅板24が取り付けられている。
【0024】
この銅板24はイメージインテンシファイア13の入射面13aを覆う矩形形状をなしており、イメージインテンシファイア13の入射面13aに密着するように、接着剤で接着されている。これによって、光電面18は、入射窓部材16を介して入射面13a側から冷却されることとなる。なお、銅板24には、イメージインテンシファイア13とテーパFOP3との光学的な接続を妨げないように、貫通穴24aがその中央部に設けられている。貫通穴24aは、テーパFOP3の出射面3bの外形形状と一致するように、例えば円形形状とされるのが好ましい。また継ぎ手32は、貫通穴24aを挟んで対向する位置に少なくとも2つ設けられており、各々がペルチェ素子33を備える構成となっている。継ぎ手32は、光電面18の冷却効率および冷却ムラの観点から、光電面18を挟んで対向する位置に設けることが好ましいが、配置される箇所および個数に制限されるものではない。
【0025】
また、図4(b)に示すように、イメージインテンシファイア13の筒状体14には、入射面側の一部が入射窓部材16の外周に沿って削り取られた凹部が形成されており、光電面に電圧を印加するための電極22が露出されている。一方、銅板24にはこの凹部と係合する凸部が設けられている。このため、銅板24が入射面13aに密着されると、銅板24はこの電極22にも接続される。その結果、光電面18は、入射窓部材16を介した冷却のみならず、電極22を介しても冷却されることとなる。これによって、一層効率よく光電面18を冷却することができる。
【0026】
図3及び図5に示すようにイメージインテンシファイア13の側管13cには、その側管13cと同径の内周を有する筒状の断熱材26が設けられている。側管13cは入射窓部材16と接触しているため、側管13cも入射窓部材16を介して冷却されることとなるが、この断熱材26は側管13cと密着されるため、側管13cにおける結露の発生を防止している。
【0027】
イメージインテンシファイア13の出射窓部材17には、出射面13b表面での結露を防止するために、光透過性材料、例えば石英からなる円板状の真空セル27が、光学グリスによって出射面13bと密着するようにして設けられている。この真空セル27は内部が真空とされるため断熱性を有する。これによって出射面13bから出射される光を妨げることなく、出射面13b側での結露の発生を防止することができる。
【0028】
また、このようにイメージインテンシファイア13に断熱材26及び真空セル27が取り付けられた状態において、これらの部材とイメージインテンシファイア13とを固定するようにケース28が取り付けられている。ケース28には、筒状の保持部28a及び保持部28bが形成されており、この保持部28aによって断熱材26が取り囲まれるようにして保持され、保持部28bによって真空セル27が同様に保持される。そして、保持部28aの外周側の端部には複数のフランジが設けられており、このフランジと銅板24に設けられた穴とをネジ止めすることによって、銅板24とケース28とを固定する。
【0029】
真空セル27の後段には、リング状のアルミ板29が配置されている。そして、その後方から筒状のアルミ柱31で押さえつけることによって、アルミ板29と真空セル27とを密着させる。なお、保持部28bの内周面とアルミ柱31の外周面はそれぞれねじ切られており、保持部28bにアルミ柱31をねじ込むことによって、アルミ板29が押し付けられ固定される。後述するように、アルミ柱31は、外気温と同程度の温度を有するヘッド4と熱的に接続されるため、外気の熱がアルミ板29を介して真空セル27へ伝達される。これによって、真空セル27の表面における結露の発生を一層防止することができる。
【0030】
銅板24の長手方向の両端には、銅からなる継ぎ手32がそれぞれ取り付けられている。この継ぎ手32は、銅板24と接続される接続部32aと、接続部32aに対して断面L字状に屈曲した屈曲部32bとを有し、屈曲部32bが銅板24の両端から外側を向くようにしてネジ止め固定されている。
【0031】
屈曲部32bにおけるイメージインテンシファイア13と反対側の面には、銅板24と継ぎ手32とからなる第1の熱伝達部材を冷却するためのペルチェ素子33が、吸熱面側で接触するように設けられている。
【0032】
更に、そのペルチェ素子33の放熱面には、チューブ8によって循環される冷却水が通過するウォータージャケット34が配置される。ウォータージャケット34は、冷却水を導入するための導入口34a及び排出させるための排出口34bを有している。
【0033】
ウォータージャケット34を配置した後、導入口34aと排出口34bとの間に樹脂からなる長方形の固定部材36を配置し、屈曲部32bとねじ止め固定することによって、ペルチェ素子33とウォータージャケット34を挟み込むようにして保持する。以上のように、ペルチェ素子33及びウォータージャケット34が入射面13aに対して垂直な方向に配置されることとなるので、光検出装置1におけるヘッド4の幅を抑えることができる。
【0034】
以上のように接続、固定された銅板24、継ぎ手32、及びペルチェ素子33の結露を防止するため、これらの部品を取り囲むようにして断熱材37が貼り付けられている。
【0035】
上述したように冷却手段と結露防止手段が取り付けられたイメージインテンシファイア13は、ガイドケース38に取り付けられる。ガイドケース38には、内周側及び外周側へ広がるフランジ38aと、このフランジ38aから突き立てられた2本の押さえ部38a及び2本の押さえ部38cとが設けられている。
【0036】
そして、図2に示すように、その押さえ部38b及び押さえ部38cによって断熱材37が挟み込まれるようにして保持される。また、内周側のフランジ38aにはイメージインテンシファイア13へ向かうピンが4箇所に設けられており、そのピンにケース28と接触するようにスプリング39が配置されている。
【0037】
なお、図3及び図5に示すように、効率よくアルミ柱31に熱を伝えるために、アルミ柱31の外周と同径の内周を有する略筒状の伝熱金具30を、アルミ柱31にはめ込む。このとき、伝熱金具30の端部に設けられたフランジ30aは、ガイドケース38のフランジ38aと接触する。フランジ38aは、ヘッド4のリアパネル4aにネジ止め固定されている。そのため、アルミ柱31は、外気と接触するリアパネル4a及びヘッド4と熱的に接続されて、外気温の熱がアルミ柱31へ伝達されることとなる。これによって、真空セル27の表面における結露の発生が防止される。
【0038】
放熱手段を構成するチューブ8は、ウォータージャケット34の導入口34a及び排出口34bに継ぎ手40を取り付けることによって接続される。このとき、ウォータージャケット34は、イメージインテンシファイア13の入射面13aに対して垂直方向に配置されているので、チューブ8の取り回しが容易に行える。また、リアパネル4aに図示されないコネクタや電源等を取り付け、ヘッド4のフロントパネル4b及びカバー4c(図1参照)を取り付けることにより、イメージインテンシファイア13及びその冷却構造、断熱構造をヘッド4に収容する。
【0039】
また、テーパFOP3の入射面3aから出射面3bに向かって形成されたテーパ部分3cの一部には、このテーパ部分3cと同等の勾配となるような内周及び外周を有する筒状の断熱材41が設けられている。この断熱材41は、断熱材37に接するように配置されている。テーパFOP3は、イメージインテンシファイア13の入射窓部材16と直接接続されるため、出射面3b側から冷却されることなる。よって、断熱材41は、テーパ部分3cのうち、出射面3b側の少なくとも一部に配置されるのが好ましい。
【0040】
この断熱材41が設けられたテーパFOP3は、箱状のハウジング2に収容され、その状態でハウジング2の上面2aとヘッド4のフロントパネル4bとがネジ止め固定される。このとき、イメージインテンシファイア13がケース28を介してスプリング39によって押し付けられるため、イメージインテンシファイア13の入射面13aとテーパFOP3の出射面3bとは密着することとなる。これによって、光検出装置1は高感度でかつ高分解に測定対象物の光を検出することができる。
【0041】
また、その結果、テーパFOP3もイメージインテンシファイア13の入射窓部材16を介して出射面3b側から冷却されることとなるが、少なくとも出射面3b近傍のテーパ部分3cに断熱材41が設けられているため、冷却の影響によって、テーパFOP3のテーパ部分3c表面及び入射面3aでの結露の発生を防止できる。
【0042】
ところで、例えばテーパFOP3の側面全体にわたって断熱材41を設けた場合は、外部との熱のやり取りがテーパFOP3の入射面3aのみを介して行われることとなり、テーパFOP3全体が過度に冷却されてしまい、外部とテーパFOP3との間に良好な温度勾配を持たせることが出来なくなる。テーパFOP3内に外気温に対して良好な温度勾配が維持されない場合には、入射面3aやテーパ部分3cの表面に結露を生じる恐れがある。これに対し、本実施形態に係る光検出装置1においては、断熱材41がテーパ部分3cのうち、出射面3b側の少なくとも一部に設けられる構成としたため、テーパFOP3内で適切な温度勾配が確保される。その結果、入射面3a及びテーパ部分3c表面での結露の発生を防止することができる。
【0043】
以上の構成によって、イメージインテンシファイア13を効率よく冷却することができる。従って、量子効率の高い光電面18を有するイメージインテンシファイア13の使用が可能なり、これによって高感度光検出を実現することが可能となる。
【0044】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る光検出装置1は、以下の点で第1の実施形態に係る光検出装置1と主に相違している。
【0045】
すなわち、第2の実施形態に係る光検出装置1においては、図6に示すように、ペルチェ素子33及びウォータージャケット34が銅板24におけるイメージインテンシファイア13の反対側の面に取り付けられている。このような光検出装置によれば、ペルチェ素子33による冷却熱を伝える熱伝達部材の形状が単純になるので、冷却構造を簡単にすることができる。また、イメージインテンシファイア13の周囲に断熱材26を巻きやすくなる。
【0046】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る光検出装置1は、以下の点で第1の実施形態に係る光検出装置1と主に相違している。
【0047】
すなわち、第3の実施形態に係る光検出装置1においては、図7に示すように、ペルチェ素子33及びウォータージャケット34が銅板24におけるイメージインテンシファイア13側の面に取り付けられている。このような光検出装置1によれば、第2の実施形態と同様に、冷却構造を簡単にすることができる。
【0048】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、テーパFOP3のテーパ部分3cのうち、出射面3b側の一部に断熱材41を設けるようにしたが、テーパFOP3内部で使用環境に応じた温度勾配が得られるように、断熱材41で覆うテーパ部分3cの面積を適宜調節することが好ましい。
【0049】
また、第1の実施形態に係る光検出装置1では、2つの矩形状のペルチェ素子33を、入射窓部材16を挟んで対向する位置に設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数のペルチェ素子を入射窓部材16を囲むように設けてもよいし、また貫通穴24aを囲むリング状のペルチェ素子を用いてもよい。
【0050】
また、第1の実施形態に係る光検出装置1では、第1の熱伝導部材は、銅板(本体部)24に対して断面L字状に屈曲するように形成された継ぎ手(屈曲部)32とからなる構成としたがこれに限られるものではなく、本体部と屈曲部とを有する一の部材として一体に形成してもよい。
【0051】
更に、測定対象物が放射性同位元素を含む場合には、放射性同位元素から発せられた放射線を可視光に変換するためのシンチレータ50をテーパFOP3の入射面3aに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態に係る光検出装置の全体を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る光検出装置におけるハウジングとヘッドの内部構造を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る光検出装置におけるハウジングとヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図4】イメージインテンシファイアを示す図であって、(a)は全体の断面図、(b)は(a)におけるAに示す範囲を拡大した部分断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る光検出装置におけるハウジングとヘッドの内部構造を示す分解斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る光検出装置における冷却構造を示す概略図である。
【図7】第3の実施形態に係る光検出装置における冷却構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0053】
1…光検出装置、3…テーパFOP、3b…出射面、3c…テーパ部分、6…CCDカメラ、8…チューブ(冷却手段)、13…イメージインテンシファイア、13a…入射面、13b…出射面、18…光電面、22…電極、24…銅板(第1の熱伝達部材、本体部)、27…真空セル(真空部材)、29…アルミ板(第2の熱伝達部材)、31…アルミ柱(第2の熱伝達部材)、32…継ぎ手(第1の熱伝達部材)、32a…接続部(本体部)、32b…屈曲部、33…ペルチェ素子(冷却素子)、34…ウォータージャケット(放熱手段)、40…継ぎ手(放熱手段)、41…断熱材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物からの放射線を検出する放射線検出装置において、
前記測定対象物からの放射線を導波するテーパFOPと、
入射面が前記テーパFOPの出射面と光学的に接続されたイメージインテンシファイアと、
前記イメージインテンシファイアの入射面に取り付けられた第1の熱伝達部材と、
前記第1の熱伝達部材に取り付けられて前記イメージインテンシファイアの光電面を冷却する冷却素子と、を備え、
前記テーパFOPのテーパ部分の少なくとも一部には断熱材が設けられていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記イメージインテンシファイアの出射面には光透過性を有する真空部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記真空部材に対して、外部からの熱を伝達する第2の熱伝達部材を更に備えることを特徴とする請求項2記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記第1の熱伝達部材は、前記イメージインテンシファイアの前記入射面に沿うように設けられた本体部と、前記本体部に対して断面L字状に屈曲するように形成された屈曲部とを有し、
前記冷却素子は、前記屈曲部に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記イメージインテンシファイアにおける光電面の電極には、前記第1の熱伝達部材が接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−333653(P2007−333653A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167915(P2006−167915)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】