説明

放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置

【課題】被検体をより高精度に位置合わせすること。
【解決手段】被検体の位置合わせ時透視画像61を撮影する位置合わせ時透視画像撮影部と、その被検体の計画時3次元データに基づいて、形状が患者の形状と等しい水の塊を映す体厚画像62を再構成する体厚画像作成部と、その位置合わせ時透視画像61とその体厚画像62とに基づいて強調画像を作成する強調画像作成部とを備えている。その強調画像の各ピクセルP1は、位置合わせ時画像61の各ピクセルP1に対応する輝度g1と、体厚画像62の各ピクセルP1に対応する輝度g2とを比較した差異を示している。このような強調画像は、その被検体の骨が強調されて映し出される。このため、このような放射線治療装置制御装置は、その骨が所定の位置に配置されるように、その被検体をより高精度に位置合わせすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関し、特に、人体内部の腫瘍患部を放射線治療するときに利用される放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍患部に治療用放射線を曝射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療を実行する放射線治療装置は、カウチに横臥する患者のX線画像を撮像するイメージャシステムと、その患者に治療用放射線を曝射する治療用放射線照射装置とを備えている。その放射線治療装置は、事前に撮影された患者のCT画像とそのイメージャシステムにより直前に撮影されたその患者のX線画像とに基づいてその患者の患部が所定の位置に配置されるようにそのカウチが位置調整された後に、その治療用放射線照射装置によりその患部に治療用放射線を曝射する。その放射線治療では、その患者の患部をより高精度に所定の位置に配置することが望まれている。
【0003】
特開2003−125291号公報には、画像に応じた処理を施すことによりモニタ上で違和感なく画像を読影できる画像処理装置が開示されている。その画像処理装置は、入力した画像データを、画像可視化用の画像データに変換処理する画像処理装置において、入力された画像データが、前記画像可視化装置により可視化されるべき人体の一部の画像に対応する画像データである場合には、前記画像データを解析して、そのダイナミックレンジと周波数特性の少なくとも一つの画像データの特性を得るデータ特性取得手段と、画像を可視化する画像可視化装置の特性を記憶する装置特性記憶手段と、前記データ特性取得手段により得られた画像データの特性と、前記装置特性記憶手段により記憶された画像可視化装置の特性とに応じて、前記画像データの変換処理を変更する処理手段とを有することを特徴とする。このような画像処理装置は、画像可視化装置の特性に対応させるべく、例えば血管などを読影したい場合には、高周波成分を強調するように画像処理を施し、一方、骨を読影したい場合には、低周波成分を強調するように画像処理を施す(或いは何も画像処理を施さない)ことによって、画像データの特性(画像の内容など)に応じて読影されるべき画像をより的確な状態で可視化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−125291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、被検体の位置をより高精度に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、被検体の位置をより高速に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、位置合わせ時透視画像撮影部(43)と計画時3次元データ収集部(42)と体厚画像作成部(44)(91)と強調画像作成部(45)とを備えている。位置合わせ時透視画像撮影部(43)は、被検体(35)を透過した撮影用放射線(31)(32)に基づいて撮影された位置合わせ時透視画像を収集する。計画時3次元データ収集部(42)は、複数のボクセルに対応する複数の物理量を示している計画時3次元データを収集する。体厚画像作成部(44)(91)は、その複数のボクセルに対応する複数の仮想透過係数に基づいて体厚画像を再構成する。その複数の仮想透過係数のうちの各ボクセルに対応する仮想透過係数は、その複数の物理量のうちのその各ボクセルに対応する物理量の関数である。強調画像作成部(45)は、その位置合わせ時透視画像とその体厚画像とに基づいて強調画像を作成する。その強調画像が備えている複数のピクセルの各ピクセルは、その位置合わせ時画像が備えている複数のピクセルのうちのその各ピクセルに対応するピクセルが示している輝度と、その体厚画像が備えている複数のピクセルのうちのその各ピクセルに対応するピクセルが示している輝度とを比較した差異を示している。
【0008】
このような強調画像は、被検体(35)のうちの透過係数が所定範囲の値である所定の部分が強調されて映し出される。このため、このような放射線治療装置制御装置(10)は、このような強調画像を用いて被検体(35)を位置合わせするときに、その所定の部分が所定の位置に配置されるように、被検体(35)をより高精度に位置合わせすることができる。
【0009】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、その位置合わせ時透視画像が撮影された位置合わせ時に被検体(35)が所定の位置からずれているずれ量をその強調画像に基づいて算出するずれ量算出部をさらに備えている。このようなずれ量は、被検体(35)のうちのその所定の部位が所定の位置からずれているずれ量を示している。このため、このような放射線治療装置制御装置(10)は、このようなずれ量を用いて被検体(35)を位置合わせするときに、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0010】
そのずれ量算出部は、複数のずれ量候補に対応する複数のDRR画像をその計画時3次元データに基づいて再構成するDRR画像作成部と、その複数のDRR画像に対応する複数のDRR画像類似度を算出するDRR画像類似度評価部とを備えている。その複数のDRR画像候補の各DRR画像は、その複数のずれ量候補のうちのその各DRR画像に対応するずれ量候補だけ被検体(35)が移動したときに撮影用放射線(31)(32)に基づいて撮影される画像に対応する。その複数のDRR画像類似度のうちのその各DRR画像に対応するDRR画像類似度は、その各DRR画像がその強調画像に類似する程度を示している。そのずれ量は、その複数のDRR画像のうちの最大類似DRR画像がその複数のDRR画像類似度の最大値に対応するときに、その複数のずれ量候補のうちのその最大類似DRR画像に対応するずれ量候補を示している。このような放射線治療装置制御装置(10)は、互いに異なる複数のイメージャ位置に配置されたイメージャによりそれぞれ撮影される複数のDRR画像のうちのより適切であるDRR画像をその強調画像と対比することができ、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0011】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)がその所定の位置に配置されるように、被検体(35)を支持するカウチ(33)をそのずれ量に基づいて移動させる駆動装置(34)を制御する位置合わせ部(47)をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
本発明による放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)がその所定の位置に配置された後に、被検体(35)の所定の部位に治療用放射線(24)が曝射されるように照射装置(6)を制御する照射部(48)をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
体厚画像作成部(91)は、互いに異なる複数のイメージャ位置に対応する複数の体厚画像候補をその複数のボクセルに基づいて再構成する体厚候補作成部(93)と、その複数の体厚画像候補に対応する複数の体厚画像類似度を算出する体厚画像類似度評価部(94)とを備えている。その複数の体厚画像候補の各体厚画像候補は、その複数のイメージャ位置のうちのその各体厚画像候補に対応するイメージャ位置に配置されたイメージャにより撮影される画像に対応する。その複数の体厚画像類似度のうちのその各体厚画像候補に対応する体厚画像類似度は、その各体厚画像候補がその位置合わせ時透視画像に類似する程度を示している。その体厚画像は、その複数の体厚画像候補のうちのその複数の体厚画像類似度の最大値に対応する最大類似体厚画像候補を示している。このような放射線治療装置制御装置(10)は、複数の体厚画像候補のうちのより適切である体厚画像がその強調画像の作成に用いられることにより、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0014】
その複数の体厚画像候補の解像度は、その位置合わせ時透視画像の解像度より低い。このとき、体厚画像作成部(44)(91)は、その最大類似体厚画像候補を補間することによりその体厚画像を作成する補間部(54)(96)をさらに備えている。このような放射線治療装置制御装置(10)は、その複数の体厚画像候補をより高速に再構成することができ、その体厚画像をより高速に作成することができる。その結果、放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)をより高速に位置合わせすることができる。
【0015】
その複数の物理量のうちのその各ボクセルに対応する物理量は、被検体(35)のうちのその各ボクセルに対応する部分の透過係数を示している。その各仮想透過係数は、その透過係数が閾値より大きいときに第1値を示している。その透過係数がその閾値より小さいときにその第1値より小さい第2値を示している。すなわち、計画時3次元データとしては、CT装置(20)により撮影されたデータが適用されることができる。
【0016】
本発明による放射線治療装置制御方法は、被検体(35)を透過した撮影用放射線(31)(32)に基づいて撮影された位置合わせ時透視画像を収集するステップと、複数のボクセルに対応する複数の物理量を示している計画時3次元データを収集するステップと、その複数のボクセルに対応する複数の仮想透過係数に基づいて体厚画像を再構成するステップと、その位置合わせ時透視画像とその体厚画像とに基づいて強調画像を作成するステップとを備えている。その複数の仮想透過係数のうちの各ボクセルに対応する仮想透過係数は、その複数の物理量のうちのその各ボクセルに対応する物理量の関数である。その強調画像が備えている複数のピクセルの各ピクセルは、その位置合わせ時画像が備えている複数のピクセルのうちのその各ピクセルに対応するピクセルが示している輝度とその体厚画像が備えている複数のピクセルのうちのその各ピクセルに対応するピクセルが示している輝度とを比較した差異を示している。
【0017】
このような強調画像は、被検体(35)のうちの透過係数が所定範囲の値である所定の部分が強調されて映し出される。このため、このような放射線治療装置制御方法を実行する放射線治療装置制御装置(10)は、このような強調画像を用いて被検体(35)を位置合わせするときに、その所定の部分が所定の位置に配置されるように、被検体(35)をより高精度に位置合わせすることができる。
【0018】
本発明による放射線治療装置制御方法は、その位置合わせ時透視画像が撮影された位置合わせ時に被検体(35)が所定の位置からずれているずれ量をその強調画像に基づいて算出するステップをさらに備えている。このようなずれ量は、被検体(35)のうちのその所定の部位が所定の位置からずれているずれ量を示している。このため、このような放射線治療装置制御方法を実行する放射線治療装置制御装置(10)は、このようなずれ量を用いて被検体(35)を位置合わせするときに、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0019】
本発明による放射線治療装置制御方法は、複数のずれ量候補に対応する複数のDRR画像をその計画時3次元データに基づいて再構成するステップと、その複数のDRR画像に対応する複数のDRR画像類似度を算出するステップとをさらに備えている。その複数のDRR画像候補の各DRR画像は、その複数のずれ量候補のうちのその各DRR画像に対応するずれ量候補だけ被検体(35)が移動したときに撮影用放射線(31)(32)に基づいて撮影される画像に対応する。その複数のDRR画像類似度のうちのその各DRR画像に対応するDRR画像類似度は、その各DRR画像がその強調画像に類似する程度を示している。そのずれ量は、その複数のDRR画像のうちの最大類似DRR画像がその複数のDRR画像類似度の最大値に対応するときに、その複数のずれ量候補のうちのその最大類似DRR画像に対応するずれ量候補を示している。このような放射線治療装置制御方法を実行する放射線治療装置制御装置(10)は、互いに異なる複数のイメージャ位置に配置されたイメージャによりそれぞれ撮影される複数のDRR画像のうちのより適切であるDRR画像をその強調画像と対比することができ、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0020】
本発明による放射線治療装置制御方法は、互いに異なる複数のイメージャ位置に対応する複数の体厚画像候補をその複数のボクセルに基づいて再構成するステップと、その複数の体厚画像候補に対応する複数の体厚画像類似度を算出するステップとをさらに備えている。その複数の体厚画像候補の各体厚画像候補は、その複数のイメージャ位置のうちのその各体厚画像候補に対応するイメージャ位置に配置されたイメージャにより撮影される画像に対応する。その複数の体厚画像類似度のうちのその各体厚画像候補に対応する体厚画像類似度は、その各体厚画像候補がその位置合わせ時透視画像に類似する程度を示している。その体厚画像は、その複数の体厚画像候補のうちのその複数の体厚画像類似度の最大値に対応する最大類似体厚画像候補を示している。このような放射線治療装置制御方法を実行する放射線治療装置制御装置(10)は、複数の体厚画像候補のうちのより適切である体厚画像がその強調画像の作成に用いられることにより、被検体(35)のうちのその所定の部分をより高精度に位置合わせすることができる。
【0021】
本発明による放射線治療装置制御方法は、その最大類似体厚画像候補を補間することによりその体厚画像を作成するステップをさらに備えている。その複数の体厚画像候補の解像度は、その位置合わせ時透視画像の解像度より低い。このような放射線治療装置制御方法を実行する放射線治療装置制御装置(10)は、その複数の体厚画像候補をより高速に再構成することができ、その体厚画像をより高速に作成することができる。その結果、放射線治療装置制御装置(10)は、被検体(35)をより高速に位置合わせすることができる。
【0022】
その複数の物理量のうちのその各ボクセルに対応する物理量は、被検体(35)のうちのその各ボクセルに対応する部分を放射線の透過係数を示している。その各仮想透過係数は、その透過係数が閾値より大きいときに第1値を示している。その透過係数がその閾値より小さいときにその第1値より小さい第2値を示している。すなわち、計画時3次元データとしては、CT装置(20)により撮影されたデータが適用されることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線治療装置制御方法は、被検体のうちの透過係数が所定の値である所定の部分が強調されて映し出される強調画像を作成することができ、このような強調画像を用いて被検体を位置合わせするときに、その所定の部分が所定の位置に配置されるように、被検体をより高精度に位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、放射線治療システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、放射線治療装置制御装置を示すブロック図である。
【図4】図4は、体厚画像作成部を示すブロック図である。
【図5】図5は、ずれ量算出部を示すブロック図である。
【図6】図6は、対数化透視画像と体厚画像とを示すグラフである。
【図7】図7は、骨強調画像を作成する動作を示すデータフロー図である。
【図8】図8は、ずれ量を算出する動作を示すデータフロー図である。
【図9】図9は、他の体厚画像作成部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明による放射線治療装置制御装置の実施の形態を記載する。その放射線治療装置制御装置10は、図1に示されているように、放射線治療システムに適用されている。その放射線治療システムは、放射線治療装置1と放射線治療装置制御装置10とCT(Computed Tomography)装置20とを備えている。放射線治療装置制御装置10は、双方向に情報を伝送することができるように、放射線治療装置1とCT装置20とに接続されている。
【0026】
放射線治療装置1は、図2に示されているように、Oリング2と走行ガントリ3と治療用放射線照射装置6とを備えている。Oリング2は、リング状に形成され、回転軸11を中心に回転可能に基礎に支持されている。回転軸11は、鉛直方向に平行である。走行ガントリ3は、リング状に形成されている。走行ガントリ3は、Oリング2のリングの内側に配置され、回転軸12を中心に回転可能にOリング2に支持されている。回転軸12は、鉛直方向に垂直であり、アイソセンタ14で回転軸11と交差している。回転軸12は、Oリング2に対して固定され、すなわち、Oリング2とともに回転軸11を中心に回転する。
【0027】
治療用放射線照射装置6は、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。治療用放射線照射装置6は、チルト軸16に回転可能に、かつ、パン軸17に回転可能に、走行ガントリ3に支持されている。チルト軸16は、パン軸17に直交している。チルト軸16とパン軸17との交点は、アイソセンタ14から1mだけ離れている。治療用放射線照射装置6は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、照射野が制御された治療用放射線24を出射する。治療用放射線24は、チルト軸16とパン軸17との交点を頂点とするコーンビームである。
【0028】
放射線治療装置1は、さらに、旋回駆動装置21とジンバル装置23とを備え、図示されていない走行駆動装置を備えている。旋回駆動装置21は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、回転軸11を中心にOリング2を回転させる。旋回駆動装置21は、さらに、基礎に対してOリング2が配置される旋回角度を測定し、その旋回角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、回転軸12を中心に走行ガントリ3を回転させる。その走行駆動装置は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が配置されるガントリ角度を測定し、そのガントリ角度を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0029】
ジンバル装置23は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、チルト軸16を中心に治療用放射線照射装置6を回転させ、パン軸17を中心に治療用放射線照射装置6を回転させる。ジンバル装置23は、さらに、チルト軸16を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するチルト角を測定し、そのチルト角を放射線治療装置制御装置10に出力する。ジンバル装置23は、さらに、パン軸17を中心に走行ガントリ3に対して治療用放射線照射装置6が回転するパン角を測定し、そのパン角を放射線治療装置制御装置10に出力する。
【0030】
治療用放射線24は、治療用放射線照射装置6が走行ガントリ3にこのように支持されることにより、治療用放射線照射装置6がアイソセンタ14に向くように走行ガントリ3に一旦固定されると、旋回駆動装置21によりOリング2が回転されても、または、その走行駆動装置により走行ガントリ3が回転されても、常に概ねアイソセンタ14に出射される。すなわち、放射線治療装置1は、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ14に向けて治療用放射線24の照射が可能になる。
【0031】
放射線治療装置1は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置1は、第1診断用X線源25と第2診断用X線源26と第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とを備えている。第1診断用X線源25は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第1診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源26は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14から第2診断用X線源26を結ぶ線分とアイソセンタ14から治療用放射線照射装置6を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ3のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源26は、さらに、アイソセンタ14から第1診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ14から第2診断用X線源26を結ぶ線分とのなす角が直角(90度)になるように、配置されている。第1センサアレイ27は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14を介して第1診断用X線源25に対向するように、配置されている。第2センサアレイ28は、走行ガントリ3に支持され、アイソセンタ14を介して第2診断用X線源26に対向するように、配置されている。
【0032】
第1診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第1診断用X線31をアイソセンタ14に向けて出射する。第1診断用X線31は、第1診断用X線源25が有する1点から出射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。第2診断用X線源26は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、所定のタイミングで第2診断用X線32をアイソセンタ14に向けて出射する。第2診断用X線32は、第2診断用X線源26が有する1点から出射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0033】
第1センサアレイ27は、受光部を備えている。第1センサアレイ27は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第1透視画像を生成する。第2センサアレイ28は、受光部を備えている。第2センサアレイ28は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第2透視画像を生成する。その透視画像は、複数のピクセルから形成されている。その複数のピクセルは、その透視画像上にマトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。その透視画像は、その複数のピクセルの各々に対応する輝度がその複数のピクセルの各々に着色されることにより、被写体を映し出している。第1センサアレイ27と第2センサアレイ28としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0034】
このようなイメージャシステムによれば、第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とにより得た画像信号に基づき、アイソセンタ14を中心とする透視画像を生成することができる。
【0035】
放射線治療装置1は、さらに、カウチ33とカウチ駆動装置34とを備えている。カウチ33は、x軸とy軸とz軸とを中心に回転移動可能に、かつ、そのx軸とy軸とz軸とに平行に平行移動可能に基礎に支持されている。そのx軸とy軸とz軸とは、互いに直交している。カウチ33は、その放射線治療システムにより治療される患者35が横臥することに利用される。カウチ33は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、患者35が動かないように、患者35をカウチ33に固定する。カウチ駆動装置34は、放射線治療装置制御装置10により制御されることにより、カウチ33を回転移動させ、カウチ33を平行移動させる。
【0036】
図3は、放射線治療装置制御装置10を示している。放射線治療装置制御装置10は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録する。その記憶装置は、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、特に、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その通信装置は、通信回線網を介して接続される他のコンピュータから配信される情報を放射線治療装置制御装置10にダウンロードする。その通信装置は、特に、他のコンピュータからコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にダウンロードし、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置10にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、そのCPUにより生成された画像を表示するディスプレイが例示される。
【0037】
そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置10に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、CT装置20と治療用放射線照射装置6と旋回駆動装置21と走行駆動装置とジンバル装置23と第1診断用X線源25と第2診断用X線源26と第1センサアレイ27と第2センサアレイ28とカウチ駆動装置34とを含んでいる。
【0038】
放射線治療装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムは、放射線治療装置制御装置10に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、治療計画収集部41と計画時3次元データ収集部42と位置合わせ時透視画像撮影部43と体厚画像作成部44と骨強調画像作成部45とずれ量算出部46と患者位置合わせ部47と照射部48とを含んでいる。
【0039】
計画時3次元データ収集部42は、CT装置20により撮影された計画時3次元データをCT装置20から収集する。その計画時3次元データは、患者35の3次元データを示し、複数のボクセルに複数のCT値を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者35が配置される空間に隙間なく充填される複数の領域に対応している。たとえば、その複数の領域は、それぞれ、直方体に形成されている。その複数のCT値のうちの任意のボクセルに対応する1つのCT値は、その複数の領域のうちのその任意のボクセルに対応する領域の透過係数(X線吸収係数)に対応している。すなわち、その領域を透過したX線の強度Iは、その透過係数λを用いて、次式:
=I−λx
により表現される。ここで、Iは、そのX線がその領域に入射する前の強度を示している。xは、その領域の厚さを示している。
【0040】
治療計画収集部41は、入力装置から治療計画を収集する。その治療計画は、その3次元データに基づいて作成され、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者35の患部に治療用放射線24を照射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ33の位置を示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング2の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング2に対する走行ガントリ3の位置を示している。その線量は、その照射角度から患者35に照射される治療用放射線24の線量を示している。
【0041】
位置合わせ時透視画像撮影部43は、カウチ33に横臥した患者35を映す位置合わせ時第1透視画像と位置合わせ時第2透視画像とが撮影されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、位置合わせ時透視画像撮影部43は、基礎に対してカウチ33が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、基礎に対してOリング2が所定の位置に配置されるように、旋回駆動装置21を制御する。位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定の位置に配置されるように、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。
【0042】
位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、第1診断用X線源25がカウチ33に対して所定の位置に配置されているときに、第1診断用X線31が曝射されるように、第1診断用X線源25を制御する。位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、第1診断用X線31が患者35に曝射されたときに、患者35を透過したX線に基づいて位置合わせ時第1透視画像が生成されるように、第1センサアレイ27を制御する。その位置合わせ時第1透視画像が示す複数の輝度のうちの任意のピクセルに対応する輝度は、第1センサアレイ27の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第1診断用X線源25とを結ぶ線分上に配置される物体の透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0043】
位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、第2診断用X線源26がカウチ33に対して所定の位置に配置されているときに、第2診断用X線32が曝射されるように、第2診断用X線源26を制御する。位置合わせ時透視画像撮影部43は、さらに、第2診断用X線32が患者35に曝射されたときに、患者35を透過したX線に基づいて位置合わせ時第2透視画像が生成されるように、第2センサアレイ28を制御する。その位置合わせ時第2透視画像が示す複数の輝度のうちの任意のピクセルに対応する輝度は、第2センサアレイ28の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第2診断用X線源26とを結ぶ線分上に配置される物体の透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0044】
体厚画像作成部44は、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データに基づいて第1体厚画像と第2体厚画像とを作成する。
【0045】
骨強調画像作成部45は、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第1透視画像と体厚画像作成部44により作成された第1体厚画像とに基づいて第1骨強調画像を作成する。その第1骨強調画像は、位置合わせ時第1透視画像に比較して、患者35の骨がより強調して映し出される2次元画像を示している。骨強調画像作成部45は、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第2透視画像と体厚画像作成部44により作成された第2体厚画像とに基づいて第2骨強調画像を作成する。その第2骨強調画像は、位置合わせ時第2透視画像に比較して、患者35の骨がより強調して映し出される2次元画像を示している。
【0046】
ずれ量算出部46は、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データと骨強調画像作成部45により作成された第1骨強調画像と第2骨強調画像とに基づいてずれ量を算出する。
【0047】
患者位置合わせ部47は、ずれ量算出部46により算出されたずれ量に基づいて補正量を算出する。その補正量は、x軸回転補正量とy軸回転補正量とz軸回転補正量とx軸並進補正量とy軸並進補正量とz軸並進補正量とから形成されている。そのx軸回転補正量は、x軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのy軸回転補正量は、y軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのz軸回転補正量は、z軸を中心にカウチ33を回転する回転角度を示している。そのx軸並進補正量は、x軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。そのy軸並進補正量は、y軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。そのz軸並進補正量は、z軸に平行にカウチ33を平行移動する距離を示している。
【0048】
患者位置合わせ部47は、その補正量に基づいてカウチ駆動装置34を制御する。すなわち、患者位置合わせ部47は、x軸を中心にそのx軸回転補正量だけカウチ33が回転し、x軸を中心にカウチ33が回転した後にy軸を中心にそのy軸回転補正量だけカウチ33が回転し、y軸を中心にカウチ33が回転した後にz軸を中心にそのz軸回転補正量だけカウチ33が回転するように、カウチ駆動装置34を制御する。患者位置合わせ部47は、さらに、z軸を中心にカウチ33が回転した後に、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動し、y軸に平行にそのy軸並進補正量だけカウチ33が平行移動するように、カウチ駆動装置34を制御する。
【0049】
照射部48は、治療計画収集部41により収集された治療計画に示される放射線治療が実行されるように、放射線治療装置1を制御する。すなわち、照射部48は、その治療計画が示す照射角度に治療用放射線照射装置6が患者35に対して配置されるように、カウチ駆動装置34を制御し、旋回駆動装置21を制御し、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。照射部48は、さらに、患者35を写す治療時第1透視画像が撮影されるように、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とを制御する。照射部48は、さらに、患者35を写す治療時第2透視画像が撮影されるように、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とを制御する。照射部48は、さらに、その治療時第1透視画像と治療時第2透視画像とに基づいて、患者35の患部の位置を算出し、その患部の形状を算出する。照射部48は、さらに、その算出された患部の位置に治療用放射線照射装置6が向くように、ジンバル装置23を制御する。照射部48は、さらに、その患部の形状に治療用放射線24の照射野が一致するように、治療用放射線照射装置6を制御し、その患部に治療用放射線24が照射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。照射部48は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線24が患者35の患部に照射されるまで、その治療時第1透視画像と治療時第2透視画像との撮影から治療用放射線24の照射までの動作を繰り返して実行する。
【0050】
図4は、体厚画像作成部44を示している。体厚画像作成部44は、対数化部51と体厚画像候補作成部52とずれ量候補算出部53と補間部54とを備えている。
【0051】
対数化部51は、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第1透視画像に基づいて第1対数化透視画像を作成する。その第1対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第1透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示し、第1センサアレイ27の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第1診断用X線源25とを結ぶ線分上に配置される物体の透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0052】
対数化部51は、さらに、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第2透視画像に基づいて第2対数化透視画像を作成する。その第2対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第2透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示し、第2センサアレイ28の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第2診断用X線源26とを結ぶ線分上に配置される物体の透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0053】
体厚画像候補作成部52は、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データに基づいて3次元体厚画像を作成する。その3次元体厚画像は、その計画時3次元データが示す複数のボクセルに複数の仮想CT値を対応付けている。その複数の仮想CT値のうちの任意のボクセルに対応する1つの仮想CT値は、その計画時3次元データが示す複数のCT値のうちのその任意のボクセルに対応するCT値の関数を示している。その関数は、そのCT値が閾値より大きいときに、水のCT値(0HU)を示し、そのCT値がその閾値より小さいときに、空気のCT値(−1000HU)を示している。その閾値は、水のCT値(0HU)を示している。すなわち、その3次元体厚画像は、その計画時3次元データが二値化処理されることにより作成される。なお、その関数は、二値化処理と異なる他の関数が採用されることもできる。その関数としては、三値化処理が例示される。
【0054】
体厚画像候補作成部52は、その3次元体厚画像に基づいて第1体厚画像候補を再構成する。その第1体厚画像候補は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その複数の仮想CT値のうちの所定のボクセルに対応する複数の仮想CT値を積分した値を示している。その所定のボクセルは、その3次元体厚画像が示す複数のボクセルのうちの所定の線分上に配置される複数のボクセルを示している。その所定の線分は、第1センサアレイ27と第1診断用X線源25とがその位置合わせ時第1透視画像が撮影されたときと同様に配置されたときに、第1センサアレイ27の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第1診断用X線源25とを結ぶ線分を示している。すなわち、その第1体厚画像候補は、実在しない仮想物体を映している。その仮想物体は、水から形成され、形状が患者35の形状と等しい。
【0055】
体厚画像候補作成部52は、その3次元体厚画像に基づいて第2体厚画像候補を再構成する。その第2体厚画像候補は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その複数の仮想CT値のうちの所定のボクセルに対応する複数の仮想CT値の和を示している。その所定のボクセルは、その3次元体厚画像が示す複数のボクセルのうちの所定の線分上に配置される複数のボクセルを示している。その所定の線分は、第2センサアレイ28と第2診断用X線源26とがその位置合わせ時第2透視画像が撮影されたときと同様に配置されたときに、第2センサアレイ28の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第2診断用X線源26とを結ぶ線分を示している。
【0056】
体厚画像候補作成部52は、さらに、その第1体厚画像候補を輝度調整し、その第2体厚画像候補を輝度調整する。体厚画像候補作成部52は、さらに、その第1体厚画像候補を平滑化し、その第2体厚画像候補を平滑化する。なお、体厚画像候補作成部52は、その第1体厚画像候補とその第2体厚画像候補との画質が十分に高精度であるときに、その輝度調整とその平滑化とを省略することもできる。
【0057】
ずれ量候補算出部53は、対数化部51により作成された第1対数化透視画像と体厚画像候補作成部52により算出された第1体厚画像候補に基づいて、第1ずれ量を算出する。その第1ずれ量は、その第1体厚画像候補がその第1ずれ量だけ移動したときに、その第1対数化透視画像に最も類似するように、算出される。
【0058】
ずれ量候補算出部53は、対数化部51により作成された第2対数化透視画像と体厚画像候補作成部52により算出された第2体厚画像候補に基づいて、第2ずれ量を算出する。その第2ずれ量は、その第2体厚画像候補がその第2ずれ量だけ移動したときに、その第2対数化透視画像に最も類似するように、算出される。
【0059】
補間部54は、体厚画像候補作成部52により算出された第1体厚画像候補をずれ量候補算出部53により算出された第1ずれ量だけ移動することにより、第1粗体厚画像を作成する。補間部54は、さらに、第1粗体厚画像を補間することにより、解像度がその第1対数化透視画像と概ね等しい第1体厚画像を作成する。
【0060】
補間部54は、体厚画像候補作成部52により算出された第2体厚画像候補をずれ量候補算出部53により算出された第2ずれ量だけ移動することにより、第2粗体厚画像を作成する。補間部54は、さらに、第2粗体厚画像を補間することにより、解像度がその第2対数化透視画像と概ね等しい第2体厚画像を作成する。
【0061】
このような補間によれば、その第1体厚画像と第2体厚画像とは、その第1対数化透視画像または第2対数化透視画像に比較してその第1体厚画像候補と第2体厚画像候補との解像度が劣化している場合でも、解像度がその第1対数化透視画像または第2対数化透視画像と概ね等しくなるように、作成することができる。このとき、体厚画像候補作成部52は、解像度がその第1対数化透視画像または第2対数化透視画像の解像度と概ね等しくなるようにその第1体厚画像候補と第2体厚画像候補とを作成することに比較して、その第1体厚画像候補と第2体厚画像候補とをより高速に作成することができ、好ましい。
【0062】
このとき、骨強調画像作成部45は、対数化部51により作成された第1対数化透視画像と補間部54により作成された第1体厚画像とに基づいて第1骨強調画像を作成する。骨強調画像作成部45は、さらに、対数化部51により作成された第2対数化透視画像と補間部54により作成された第2体厚画像とに基づいて第2骨強調画像を作成する。
【0063】
図5は、ずれ量算出部46を示している。ずれ量算出部46は、DRR(Digital Reconstruction Radiogram)画像作成部56とDRR画像類似度評価部57とずれ量候補算出部58とを備えている。
【0064】
DRR画像作成部56は、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データに基づいて、複数のずれ量候補に対応する複数の第1DRR画像を再構成する。その複数のずれ量候補の各々は、患者35をどのように移動させるかを示し、x軸回り回転ずれ量とy軸回り回転ずれ量とz軸回り回転ずれ量とx軸平行移動ずれ量とy軸平行移動ずれ量とz軸平行移動ずれ量とを示している。そのx軸周り回転ずれ量は、患者35をx軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのy軸周り回転ずれ量は、患者35をy軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのz軸周り回転ずれ量は、患者35をz軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのx軸平行移動ずれ量は、患者35をx軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのy軸平行移動ずれ量は、患者35をy軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのz軸平行移動ずれ量は、患者35をz軸に平行に平行移動させる距離を示している。その複数の第1DRR画像のうちの任意のずれ量候補に対応する第1DRR画像は、その任意のずれ量候補だけ患者35を移動させたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。
【0065】
DRR画像作成部56は、さらに、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データに基づいて、その複数のずれ量候補に対応する複数の第2DRR画像を再構成する。その複数の第2DRR画像のうちの任意のずれ量候補に対応する第2DRR画像は、その任意のずれ量候補だけ患者35を移動させたときに、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。
【0066】
DRR画像類似度評価部57は、骨強調画像作成部45により作成された第1骨強調画像に基づいて、DRR画像作成部56により再構成された複数の第1DRR画像に対応する複数の第1DRR画像類似度を算出する。その複数の第1DRR画像類似度のうちの任意の第1DRR画像に対応する第1DRR画像類似度は、その任意の第1DRR画像が第1骨強調画像に類似する程度を示している。
【0067】
DRR画像類似度評価部57は、さらに、骨強調画像作成部45により作成された第2骨強調画像に基づいて、DRR画像作成部56により再構成された複数の第2DRR画像に対応する複数の第2DRR画像類似度を算出する。その複数の第2DRR画像類似度のうちの任意の第2DRR画像に対応する第2DRR画像類似度は、その任意の第2DRR画像が第2骨強調画像に類似する程度を示している。
【0068】
ずれ量候補算出部58は、DRR画像作成部56により再構成された複数の第1DRR画像の一部とDRR画像類似度評価部57により算出された複数の第1DRR画像類似度の一部とに基づいて、複数のずれ量候補を算出する。その複数のずれ量候補は、DRR画像作成部56により複数の第1DRR画像と複数の第2DRR画像とを再構成するときに利用される。
【0069】
このとき、ずれ量算出部46により算出されるずれ量は、その複数のずれ量候補のうちの所定の第1DRR画像と所定の第2DRR画像とに対応するずれ量に一致している。その所定の第1DRR画像は、DRR画像作成部56により再構成された複数の第1DRR画像のうちの所定の第1DRR画像類似度に対応する第1DRR画像である。その所定の第1DRR画像類似度は、DRR画像類似度評価部57により算出された複数の第1DRR画像類似度の最大値であり、または、その複数の第1DRR画像類似度のうちのその最大値に概ね等しい第1DRR画像類似度である。その所定の第2DRR画像は、DRR画像作成部56により再構成された複数の第2DRR画像のうちの所定の第2DRR画像類似度に対応する第2DRR画像である。その所定の第2DRR画像類似度は、DRR画像類似度評価部57により算出された複数の第2DRR画像類似度の最大値であり、または、その複数の第2DRR画像類似度のうちのその最大値に概ね等しい第2DRR画像類似度である。
【0070】
図6は、対数化部51により作成された第1対数化透視画像を示している。その第1対数化透視画像61は、複数のピクセルを複数の輝度レベルに対応付けている。たとえば、第1対数化透視画像61は、その複数のピクセルのうちの任意のピクセルP1を、その複数の輝度レベルのうちの輝度レベルg1に対応付けている。
【0071】
図6は、さらに、体厚画像作成部44により作成される第1体厚画像を示している。その第1体厚画像62は、複数のピクセルを複数の輝度レベルに対応付けている。たとえば、第1体厚画像62は、その複数のピクセルのうちの任意のピクセルP1を、その複数の輝度レベルのうちの輝度レベルg2に対応付けている。
【0072】
このとき、骨強調画像作成部45は、第1対数化透視画像61と第1体厚画像62とに基づいて第1骨強調画像を作成する。その第1骨強調画像は、複数のピクセルを複数の輝度レベルに対応付けている。その第1骨強調画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルP1に対応する輝度レベルは、輝度レベルg1から輝度レベルg2を減算した差(g1−g2)を示している。
【0073】
対数化部51により作成された第2対数化透視画像は、第1対数化透視画像61と同様にして形成され、複数のピクセルを複数の輝度レベルに対応付けている。体厚画像作成部44により作成される第2体厚画像は、第1体厚画像62度同様に形成され、複数のピクセルを複数の輝度レベルに対応付けている。
【0074】
このとき、骨強調画像作成部45により作成される第2骨強調画像は、その第1骨強調画像と同様に作成される。すなわち、その第2骨強調画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その第2対数化透視画像が示す複数の輝度レベルのうちのその任意のピクセルに対応する輝度レベルから、その第2体厚画像が示す複数の輝度レベルのうちのその任意のピクセルに対応する輝度レベルを減算した差を示している。
【0075】
このように作成された第1骨強調画像と第2骨強調画像とは、患者35のうちの透過係数が水の透過係数に近い部分(たとえば、筋肉)に比較して、透過係数が水の透過係数と大きく異なる部分(たとえば、骨)が強調されて映し出される。このように作成された第1骨強調画像と第2骨強調画像とは、さらに、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第1透視画像または位置合わせ時第2透視画像に比較して、透過係数が水の透過係数と大きく異なる部分(たとえば、骨)の輪郭がより鮮明に映し出される。
【0076】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の形態は、放射線治療装置制御装置10により実行され、患者を位置合わせする動作と放射線治療する動作とを備えている。
【0077】
その患者を位置合わせする動作は、位置合わせ時透視画像を撮影する動作と、骨強調画像を作成する動作と、ずれ量を算出する動作と、カウチ駆動装置34を制御する動作とを備えている。
【0078】
その位置合わせ時透視画像を撮影する動作は、CT装置20により患者35の3次元データが撮影され、ユーザにより患者35の治療計画が作成された後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、患者35がカウチ33に固定された後に、まず、基礎に対してカウチ33が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置34を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、基礎に対してOリング2が所定の位置に配置されるように、旋回駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、Oリング2に対して走行ガントリ3が所定の位置に配置されるように、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。
【0079】
放射線治療装置制御装置10は、さらに、第1診断用X線源25がカウチ33に対して所定の位置に配置されているときに、第1診断用X線31が曝射されるように、第1診断用X線源25を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第1診断用X線31が患者35に曝射されたときに、患者35を透過したX線に基づいて位置合わせ時第1透視画像が生成されるように、第1センサアレイ27を制御する。
【0080】
放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2診断用X線源26がカウチ33に対して所定の位置に配置されているときに、第2診断用X線32が曝射されるように、第2診断用X線源26を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2診断用X線32が患者35に曝射されたときに、患者35を透過したX線に基づいて位置合わせ時第2透視画像が生成されるように、第2センサアレイ28を制御する。
【0081】
その骨強調画像を作成する動作では、放射線治療装置制御装置10は、まず、その位置合わせ時第1透視画像に基づいて第1対数化透視画像を作成する。その第1対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第1透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示している。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その位置合わせ時第2透視画像に基づいて第2対数化透視画像を作成する。その第2対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第2透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示している。
【0082】
放射線治療装置制御装置10は、その治療計画を作成することに利用された計画時3次元データに基づいて3次元体厚画像を作成する。その3次元体厚画像は、その計画時3次元データが示す複数のボクセルに複数の仮想CT値を対応付けている。その複数の仮想CT値のうちの任意のボクセルに対応する1つの仮想CT値は、その計画時3次元データが示す複数のCT値のうちのその任意のボクセルに対応するCT値の関数を示している。その関数は、そのCT値が閾値より大きいときに、水のCT値(0HU)を示し、そのCT値がその閾値より小さいときに、空気のCT値(−1000HU)を示している。その閾値は、水のCT値(0HU)を示している。
【0083】
放射線治療装置制御装置10は、その3次元体厚画像に基づいて第1体厚画像候補と第2体厚画像候補とを再構成する。その第1体厚画像候補は、第1センサアレイ27と第1診断用X線源25とがその位置合わせ時第1透視画像が撮影されたときと同様に配置されたときに、第1センサアレイ27と第1診断用X線源25とにより撮影される仮想物体の画像を示している。その第2体厚画像候補は、第2センサアレイ28と第2診断用X線源26とがその位置合わせ時第2透視画像が撮影されたときと同様に配置されたときに、第2センサアレイ28と第2診断用X線源26とにより撮影される仮想物体の画像を示している。その仮想物体の形状は、その計画時3次元データが撮影されたときの患者35の形状と等しく、その仮想物体は、水から形成されている。
【0084】
放射線治療装置制御装置10は、さらに、その第1体厚画像候補を輝度調整し、その第2体厚画像候補を輝度調整する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その第1体厚画像候補を平滑化し、その第2体厚画像候補を平滑化する。
【0085】
放射線治療装置制御装置10は、その第1対数化透視画像とその第1体厚画像候補に基づいて、第1ずれ量を算出する。その第1ずれ量は、その第1体厚画像候補がその第1ずれ量だけ移動したときに、その第1対数化透視画像に最も類似するように、算出される。放射線治療装置制御装置10は、その第1体厚画像候補をその第1ずれ量だけ移動することにより、第1粗体厚画像を作成する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第1粗体厚画像を補間することにより、解像度がその第1対数化透視画像と概ね等しい第1体厚画像を作成する。
【0086】
放射線治療装置制御装置10は、その第1対数化透視画像とその第1体厚画像とに基づいて第1骨強調画像を作成する。その第1骨強調画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その第1対数化透視画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルから、その第1体厚画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルを減算した差を示している。
【0087】
放射線治療装置制御装置10は、その第2対数化透視画像とその第2体厚画像候補に基づいて、第2ずれ量を算出する。その第2ずれ量は、その第2体厚画像候補がその第2ずれ量だけ移動したときに、その第2対数化透視画像に最も類似するように、算出される。放射線治療装置制御装置10は、その第2体厚画像候補をその第2ずれ量だけ移動することにより、第2粗体厚画像を作成する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、第2粗体厚画像を補間することにより、解像度がその第2対数化透視画像と概ね等しい第2体厚画像を作成する。
【0088】
放射線治療装置制御装置10は、その第2対数化透視画像とその第2体厚画像とに基づいて第2骨強調画像を作成する。その第2骨強調画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その第2対数化透視画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルから、その第2体厚画像が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルを減算した差を示している。
【0089】
このような第1骨強調画像と第2骨強調画像とは、患者35のうちの透過係数が水の透過係数に近い部分(たとえば、筋肉)に比較して、透過係数が水の透過係数と大きく異なる部分(たとえば、骨)が強調されて映し出される。このような第1骨強調画像と第2骨強調画像とは、位置合わせ時第1透視画像または位置合わせ時第2透視画像に比較して、患者35の骨の輪郭がより鮮明に表示される。
【0090】
図7は、そのずれ量を算出する動作を示している。放射線治療装置制御装置10は、その治療計画を作成することに利用された計画時3次元データ71に基づいて、初期値81に対応する第1DRR画像82を再構成する(プロセスP11)。第1DRR画像82は、初期値81だけ患者35を移動させたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。放射線治療装置制御装置10は、さらに、計画時3次元データ71に基づいて、初期値81に対応する第2DRR画像83を再構成する(プロセスP11)。第2DRR画像83は、初期値81だけ患者35を移動させたときに、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。初期値81は、その第1体厚画像を作成するときに算出された第1ずれ量に基づいて算出されることが好ましい。
【0091】
放射線治療装置制御装置10は、その第2骨強調画像85に基づいて、第2DRR画像83に対応する第2DRR画像類似度を算出する。その第2DRR画像類似度は、その第2DRR画像83が第2骨強調画像85に類似する程度を示している。放射線治療装置制御装置10は、その第1骨強調画像84に基づいて、第1DRR画像82に対応する第1DRR画像類似度を算出する。その第1DRR画像類似度は、その第1DRR画像82が第1骨強調画像84に類似する程度を示している。放射線治療装置制御装置10は、その第1DRR画像類似度と第2DRR画像類似度とに基づいて類似度86を算出する(プロセスP12)。類似度86は、その第1DRR画像82が第1骨強調画像84に類似し、かつ、その第2DRR画像83が第2骨強調画像85に類似する程度を示している。
【0092】
放射線治療装置制御装置10は、第1DRR画像82と第2DRR画像83と第1骨強調画像84と第2骨強調画像85と第1DRR画像類似度と第2DRR画像類似度とに基づいて、ずれ量候補87を算出する(プロセスP13)。ずれ量候補87は、ずれ量候補87に基づいて第1DRR画像82と第2DRR画像83とが算出されたときに、類似度86がより大きくなるように、算出される。
【0093】
放射線治療装置制御装置10は、計画時3次元データ71に基づいて、ずれ量候補87に対応する第1DRR画像82を再構成する(プロセスP11)。第1DRR画像82は、ずれ量候補87だけ患者35を移動させたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。放射線治療装置制御装置10は、さらに、計画時3次元データ71に基づいて、ずれ量候補87に対応する第2DRR画像83を再構成する(プロセスP11)。第2DRR画像83は、ずれ量候補87だけ患者35を移動させたときに、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。
【0094】
放射線治療装置制御装置10は、プロセスP11、P12、P13を繰り返し実行し、複数のずれ量候補87を算出する。放射線治療装置制御装置10は、その複数のずれ量候補87からずれ量を算出する。そのずれ量は、最大の類似度86が算出されたときに算出されたずれ量候補87を示している。
【0095】
このように算出されたずれ量は、第1骨強調画像84と第2骨強調画像85とに基づいて算出されていることにより、より高精度である。
【0096】
放射線治療装置制御装置10は、その算出されたずれ量だけカウチ33が移動するように、カウチ駆動装置34を制御する。
【0097】
このような動作によれば、患者35は、患者35の骨が所定の位置に配置されるように、より高精度に位置合わせされることができる。なお、ユーザは、その算出されたずれ量だけカウチ33が移動するように、カウチ駆動装置34を手動で制御することもできる。患者35は、カウチ駆動装置34がユーザにより手動で制御された場合でも、カウチ駆動装置34が放射線治療装置制御装置10により制御された場合と同様にして、患者35の骨が所定の位置に配置されるように、より高精度に位置合わせされることができる。
【0098】
放射線治療装置を制御する動作は、図7の動作が実行された後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、そのずれ量が算出された後に、患者35がそのずれ量だけ移動するように、カウチ駆動装置34を制御する。なお、ユーザは、そのずれ量を参照して、患者35がそのずれ量だけ移動するように、カウチ駆動装置34を手動で制御することもできる。
【0099】
その放射線治療する動作は、患者を位置合わせする動作が実行された後に実行される。放射線治療装置制御装置10は、その治療計画が示すOリング回転角にOリング2が配置されるように、旋回駆動装置21を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示すガントリ回転角に走行ガントリ3が配置されるように、放射線治療装置1の走行駆動装置を制御する。
【0100】
放射線治療装置制御装置10は、患者35に対して治療用放射線照射装置6が所定の位置に配置された後に、患者35の第1追尾用透視画像が撮影されるように第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とを制御し、患者35の第2追尾用透視画像が撮影されるように第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とを制御する。
【0101】
放射線治療装置制御装置10は、その第1追尾用透視画像と第2追尾用透視画像とに基づいて患者35の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置10は、その算出された位置に治療用放射線照射装置6が向くように、ジンバル装置23を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その患部の形状に治療用放射線24の照射野が一致するように、かつ、その患部に治療用放射線24が所定の線量だけ照射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線24が患者35の患部に照射されるまで、その追尾用透視画像の撮影から治療用放射線24の照射までの動作を周期的に繰り返して実行する。
【0102】
このような放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置制御装置10は、患者35の骨が所定の位置に配置されるように患者35がより高精度に位置合わせされていることにより、患者35の患部に治療用放射線24をより高精度に照射することができ、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0103】
なお、放射線治療する動作は、放射線治療する他の動作に置換されることもできる。たとえば、放射線治療装置制御装置10は、その算出された患部の位置と治療用放射線照射装置6により治療用放射線24が曝射されようとしている位置との差が所定範囲に含まれるときに、治療用放射線24が出射されるように、治療用放射線照射装置6を制御する。放射線治療装置制御装置10は、その算出された患部の位置と治療用放射線照射装置6により治療用放射線24が曝射されようとしている位置との差がその所定範囲に含まれないときに、治療用放射線24が曝射されないように、治療用放射線照射装置6を制御する。この場合も、放射線治療装置制御装置10は、既述の放射線治療の場合と同様にして、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0104】
なお、CT装置20は、患者35の3次元データを撮影する他のモダリティに置換されることもできる。そのモダリティとしては、MRI(MagneticResonanceImaging)装置が例示される。このとき、放射線治療装置制御装置10は、その3次元データに基づいて、形状が患者35の形状と等しい水の塊を映す体厚画像を再構成する。放射線治療装置制御装置10は、既述の実施の形態と同様にして、患者35の骨が強調されて映し出される第1骨強調画像と第2骨強調画像とを作成することができ、患者35をより高精度に位置合わせすることができ、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【0105】
本発明による放射線治療装置制御装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態における体厚画像作成部44が他の体厚画像作成部に置換されている。その体厚画像作成部91は、図8に示されているように、対数化部92と体厚画像候補作成部93と体厚画像類似度評価部94とイメージャ位置ずれ量候補算出部95と補間部96とを備えている。
【0106】
対数化部92は、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第1透視画像に基づいて第1対数化透視画像を作成する。その第1対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第1透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示し、第1センサアレイ27の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第1診断用X線源25とを結ぶ線分上に配置される物体にX線が透過する透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0107】
対数化部92は、さらに、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第2透視画像に基づいて第2対数化透視画像を作成する。その第2対数化透視画像は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第2透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示し、第2センサアレイ28の受光部のうちのその任意のピクセルに対応する領域と第2診断用X線源26とを結ぶ線分上に配置される物体にX線が透過する透過係数をその線分で積分した値に対応している。
【0108】
体厚画像候補作成部93は、計画時3次元データ収集部42により収集された計画時3次元データに基づいて3次元体厚画像を作成する。その3次元体厚画像は、その計画時3次元データが示す複数のボクセルに複数の仮想CT値を対応付けている。その複数の仮想CT値のうちの任意のボクセルに対応する1つの仮想CT値は、その計画時3次元データが示す複数のCT値のうちのその任意のボクセルに対応するCT値の関数を示している。その関数は、そのCT値が閾値より大きいときに、水のCT値(0HU)を示し、そのCT値がその閾値より小さいときに、空気のCT値(−1000HU)を示している。その閾値は、水のCT値(0HU)を示している。
【0109】
体厚画像候補作成部93は、その3次元体厚画像に基づいて複数の第1イメージャ位置に対応する複数の第1体厚画像候補を再構成する。その複数の第1イメージャ位置の各々は、第1診断用X線源25が配置される位置と第1センサアレイ27が配置される位置とを示している。その複数の第1体厚画像候補のうちの任意の第1イメージャ位置に対応する第1体厚画像候補は、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とがその任意のイメージャ位置に配置されたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。
【0110】
体厚画像候補作成部93は、その3次元体厚画像に基づいて複数の第2イメージャ位置に対応する複数の第2体厚画像候補を再構成する。その複数の第2イメージャ位置の各々は、第2診断用X線源26が配置される位置と第2センサアレイ28が配置される位置とを示している。その複数の第2体厚画像候補のうちの任意の第2イメージャ位置に対応する第2体厚画像候補は、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とその任意のイメージャ位置に配置されたときに、第2診断用X線源26と第2センサアレイ28とにより撮影される画像を示している。
【0111】
体厚画像候補作成部93は、さらに、その第1体厚画像候補を輝度調整し、その第2体厚画像候補を輝度調整する。体厚画像候補作成部93は、さらに、その第1体厚画像候補を平滑化し、その第2体厚画像候補を平滑化する。なお、体厚画像候補作成部93は、その第1体厚画像候補とその第2体厚画像候補との画質が十分に高精度であるときに、その輝度調整とその平滑化とを省略することもできる。
【0112】
体厚画像類似度評価部94は、対数化部92により作成された第1対数化透視画像に基づいて、体厚画像候補作成部93により算出された複数の第1体厚画像候補に対応する複数の第1体厚画像類似度を算出する。その複数の第1体厚画像類似度のうちの任意の第1体厚画像候補に対応する第1体厚画像類似度は、その任意の第1体厚画像候補がその第1対数化透視画像に類似する程度を示している。
【0113】
体厚画像類似度評価部94は、さらに、対数化部92により作成された第2対数化透視画像に基づいて、体厚画像候補作成部93により算出された複数の第2体厚画像候補に対応する複数の第2体厚画像類似度を算出する。その複数の第2体厚画像類似度のうちの任意の第2体厚画像候補に対応する第2体厚画像類似度は、その任意の第2体厚画像候補がその第2対数化透視画像に類似する程度を示している。
【0114】
イメージャ位置ずれ量候補算出部95は、体厚画像候補作成部93により算出された複数の第1体厚画像候補と体厚画像類似度評価部94により算出された複数の第1体厚画像類似度とに基づいて、複数の第1イメージャ位置を算出する。その複数の第1イメージャ位置の各々は、第1診断用X線源25が配置される位置と第1センサアレイ27が配置される位置とを示している。
【0115】
イメージャ位置ずれ量候補算出部95は、体厚画像候補作成部93により算出された複数の第2体厚画像候補と体厚画像類似度評価部94により算出された複数の第2体厚画像類似度とに基づいて、複数の第2イメージャ位置を算出する。その複数の第2イメージャ位置の各々は、第2診断用X線源26が配置される位置と第2センサアレイ28が配置される位置とを示している。
【0116】
補間部96は、体厚画像類似度評価部94により算出された複数の第1体厚画像類似度に基づいて、体厚画像候補作成部93により作成された複数の第1体厚画像候補から1つの第1体厚画像候補を選択する。その1つの第1体厚画像候補は、その複数の第1体厚画像類似度の最大値に対応している。補間部96は、さらに、その1つの第1体厚画像候補を補間することにより、第1体厚画像を作成する。その第1体厚画像は、体厚画像作成部44により作成される第1体厚画像に一致している。
【0117】
補間部96は、体厚画像類似度評価部94により算出された複数の第2体厚画像類似度に基づいて、体厚画像候補作成部93により作成された複数の第2体厚画像候補から1つの第2体厚画像候補を選択する。その1つの第2体厚画像候補は、その複数の第2体厚画像類似度の最大値に対応している。補間部96は、さらに、その1つの第2体厚画像候補を補間することにより、第2体厚画像を作成する。その第2体厚画像は、体厚画像作成部44により作成される第2体厚画像に一致している。
【0118】
このとき、骨強調画像作成部45は、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第1透視画像と補間部96により作成された第1体厚画像とに基づいて第1骨強調画像を作成する。骨強調画像作成部45は、さらに、位置合わせ時透視画像撮影部43により撮影された位置合わせ時第2透視画像と補間部96により作成された第2体厚画像とに基づいて第2骨強調画像を作成する。
【0119】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の他の形態は、既述の実施の形態における骨強調画像を作成する動作とずれ量を算出する動作とが他の動作に置換され、体厚画像作成部91が適用された放射線治療装置制御装置により実行される。すなわち、その放射線治療装置制御装置は、図9に示されているように、放射線治療装置1により撮影された位置合わせ時第1透視画像に基づいて第1対数化透視画像74を作成する。第1対数化透視画像74は、複数のピクセルに複数の輝度レベルを対応付けている。その複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、その位置合わせ時第1透視画像が示す複数の輝度のうちのその任意のピクセルに対応する輝度の対数を示している。
【0120】
その放射線治療装置制御装置は、治療計画を作成することに利用された計画時3次元データ71に基づいて3次元体厚画像を作成する。その3次元体厚画像は、計画時3次元データ71が示す複数のボクセルに複数の仮想CT値を対応付けている。その複数の仮想CT値のうちの任意のボクセルに対応する1つの仮想CT値は、その計画時3次元データ71が示す複数のCT値のうちのその任意のボクセルに対応するCT値の関数を示している。その関数は、そのCT値が閾値より大きいときに、水のCT値(0HU)を示し、そのCT値がその閾値より小さいときに、空気のCT値(−1000HU)を示している。その閾値は、水のCT値(0HU)を示している。
【0121】
その放射線治療装置制御装置は、その3次元体厚画像に基づいて初期値72に対応する第1体厚画像候補73を再構成する(プロセスP1)。初期値72は、その位置合わせ時第1透視画像が撮影されたときに、第1診断用X線源25が配置される位置と第1センサアレイ27が配置される位置とを示している。第1体厚画像候補73は、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とが初期値72が示す位置に配置されたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。その放射線治療装置制御装置は、さらに、その第1体厚画像候補73を輝度調整し、その第1体厚画像候補73を平滑化する。
【0122】
その放射線治療装置制御装置は、第1対数化透視画像74に基づいて、第1体厚画像候補73に対応する第1体厚画像類似度75を算出する(プロセスP2)。第1体厚画像類似度75は、第1体厚画像候補73が第1対数化透視画像74に類似する程度を示している。その放射線治療装置制御装置は、第1体厚画像候補73と第1対数化透視画像74と第1体厚画像類似度75とに基づいて第1イメージャ位置ずれ量76を算出する(プロセスP3)。第1イメージャ位置ずれ量76は、第1診断用X線源25が配置される位置と第1センサアレイ27が配置される位置とを示している。
【0123】
その放射線治療装置制御装置は、その3次元体厚画像に基づいて第1イメージャ位置ずれ量76に対応する第1体厚画像候補73を再構成する(プロセスP1)。第1体厚画像候補73は、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とが第1イメージャ位置ずれ量76が示す位置に配置されたときに、第1診断用X線源25と第1センサアレイ27とにより撮影される画像を示している。その放射線治療装置制御装置は、さらに、第1体厚画像候補73を輝度調整し、第1体厚画像候補73を平滑化する。
【0124】
その放射線治療装置制御装置は、プロセスP1、P2、P3を繰り返し実行し、複数の第1体厚画像候補73を算出する。その放射線治療装置制御装置は、その複数の第1体厚画像候補73から第1体厚画像を算出する。その第1体厚画像は、最大の第1体厚画像類似度75が算出されたときに算出された第1体厚画像候補73を示している。
【0125】
その放射線治療装置制御装置は、第1対数化透視画像74とその第1体厚画像とに基づいて第1骨強調画像77を作成する(プロセスP4)。第1骨強調画像77が示す複数の輝度レベルのうちの任意のピクセルに対応する輝度レベルは、第1対数化透視画像74が示す複数の輝度レベルのうちのその任意のピクセルに対応する輝度レベルから、その第1体厚画像が示す複数の輝度レベルのうちのその任意のピクセルに対応する輝度レベルを減算した差を示している。
【0126】
このように作成された第1骨強調画像77は、計画時3次元データが撮影された計画時の患者35の姿勢と位置合わせ時第1透視画像が撮影された位置合わせ時の患者35の姿勢とが大きく異なる場合でも、既述の実施の形態における第1骨強調画像に比較して、患者35の骨がより鮮明に映し出されている。
【0127】
その放射線治療装置制御装置は、第1骨強調画像77と同様にして、治療計画を作成することに利用された計画時3次元データ71と放射線治療装置1により撮影された位置合わせ時第2透視画像とに基づいて第2骨強調画像を作成する。その第2骨強調画像は、第1骨強調画像77と同様にして、計画時3次元データが撮影された計画時の患者35の姿勢と位置合わせ時第2透視画像が撮影された位置合わせ時の患者35の姿勢とが大きく異なる場合でも、既述の実施の形態における第2骨強調画像に比較して、患者35の骨がより鮮明に映し出されている。
【0128】
このため、その放射線治療装置制御装置は、このような第1骨強調画像77と第2骨強調画像とを用いることにより、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置10と比較して、患者35をより高精度に位置合わせすることができ、患者35をより高精度に放射線治療することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 :放射線治療装置
2 :Oリング
3 :走行ガントリ
6 :治療用放射線照射装置
10:放射線治療装置制御装置
11:回転軸
12:回転軸
14:アイソセンタ
16:チルト軸
17:パン軸
20:CT装置
21:旋回駆動装置
23:ジンバル装置
24:治療用放射線
25:第1診断用X線源
26:第2診断用X線源
27:第1センサアレイ
28:第2センサアレイ
31:第1診断用X線
32:第2診断用X線
33:カウチ
34:カウチ駆動装置
35:患者
41:治療計画収集部
42:計画時3次元データ収集部
43:位置合わせ時透視画像撮影部
44:体厚画像作成部
45:骨強調画像作成部
46:ずれ量算出部
47:患者位置合わせ部
48:照射部
51:対数化部
52:体厚画像候補作成部
53:ずれ量候補算出部
54:補間部
56:DRR画像作成部
57:DRR画像類似度評価部
58:ずれ量候補算出部
61:第1対数化透視画像
62:第1体厚画像
81:初期値
82:第1DRR画像
83:第2DRR画像
84:第1骨強調画像
85:第2骨強調画像
86:類似度
87:ずれ量候補
91:体厚画像作成部
92:対数化部
93:体厚画像候補作成部
94:体厚画像類似度評価部
95:イメージャ位置ずれ量候補算出部
96:補間部
71:計画時3次元データ
72:初期値
73:第1体厚画像候補
74:第1対数化透視画像
75:第1体厚画像類似度
76:第1イメージャ位置ずれ量
77:骨強調画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過した撮影用放射線に基づいて撮影された位置合わせ時透視画像を収集する位置合わせ時透視画像撮影部と、
複数のボクセルに対応する複数の物理量を示す計画時3次元データを収集する計画時3次元データ収集部と、
前記複数のボクセルに対応する複数の仮想透過係数に基づいて体厚画像を再構成する体厚画像作成部と、
前記位置合わせ時透視画像と前記体厚画像とに基づいて強調画像を作成する強調画像作成部とを具備し、
前記複数の仮想透過係数のうちの各ボクセルに対応する仮想透過係数は、前記複数の物理量のうちの前記各ボクセルに対応する物理量の関数であり、
前記強調画像が備える複数のピクセルの各ピクセルは、
前記位置合わせ時画像が備える複数のピクセルのうちの前記各ピクセルに対応するピクセルが示す輝度と、
前記体厚画像が備える複数のピクセルのうちの前記各ピクセルに対応するピクセルが示す輝度とを比較した差異を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記位置合わせ時透視画像が撮影された位置合わせ時に前記被検体が所定の位置からずれているずれ量を前記強調画像に基づいて算出するずれ量算出部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ずれ量算出部は、
複数のずれ量候補に対応する複数のDRR画像を前記計画時3次元データに基づいて再構成するDRR画像作成部と、
前記複数のDRR画像に対応する複数のDRR画像類似度を算出するDRR画像類似度評価部とを備え、
前記複数のDRR画像候補の各DRR画像は、前記複数のずれ量候補のうちの前記各DRR画像に対応するずれ量候補だけ前記被検体が移動したときに前記撮影用放射線に基づいて撮影される画像に対応し、
前記複数のDRR画像類似度のうちの前記各DRR画像に対応するDRR画像類似度は、前記各DRR画像が前記強調画像に類似する程度を示し、
前記ずれ量は、前記複数のDRR画像のうちの最大類似DRR画像が前記複数のDRR画像類似度の最大値に対応するときに、前記複数のずれ量候補のうちの前記最大類似DRR画像に対応するずれ量候補を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項4】
請求項2〜請求項3のいずれかにおいて、
前記被検体が前記所定の位置に配置されるように、前記被検体を支持するカウチを前記ずれ量に基づいて移動させる駆動装置を制御する位置合わせ部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかにおいて、
前記被検体が前記所定の位置に配置された後に、前記被検体の所定の部位に治療用放射線が曝射されるように照射装置を制御する照射部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
前記体厚画像作成部は、
互いに異なる複数のイメージャ位置に対応する複数の体厚画像候補を前記複数のボクセルに基づいて再構成する体厚候補作成部と、
前記複数の体厚画像候補に対応する複数の体厚画像類似度を算出する体厚画像類似度評価部とを備え、
前記複数の体厚画像候補の各体厚画像候補は、前記複数のイメージャ位置のうちの前記各体厚画像候補に対応するイメージャ位置に配置されたイメージャにより撮影される画像に対応し、
前記複数の体厚画像類似度のうちの前記各体厚画像候補に対応する体厚画像類似度は、前記各体厚画像候補が前記位置合わせ時透視画像に類似する程度を示し、
前記体厚画像は、前記複数の体厚画像候補のうちの前記複数の体厚画像類似度の最大値に対応する最大類似体厚画像候補を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数の体厚画像候補の解像度は、前記位置合わせ時透視画像の解像度より低く、
前記体厚画像作成部は、前記最大類似体厚画像候補を補間することにより前記体厚画像を作成する補間部をさらに備える
放射線治療装置制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
前記複数の物理量のうちの前記各ボクセルに対応する物理量は、前記被検体のうちの前記各ボクセルに対応する部分透過係数を示し、
前記各仮想透過係数は、
前記透過係数が閾値より大きいときに第1値を示し、
前記透過係数が前記閾値より小さいときに前記第1値より小さい第2値を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項9】
被検体を透過した撮影用放射線に基づいて撮影された位置合わせ時透視画像を収集するステップと、
複数のボクセルに対応する複数の物理量を示す計画時3次元データを収集するステップと、
前記複数のボクセルに対応する複数の仮想透過係数に基づいて体厚画像を再構成するステップと、
前記位置合わせ時透視画像と前記体厚画像とに基づいて強調画像を作成するステップとを具備し、
前記複数の仮想透過係数のうちの各ボクセルに対応する仮想透過係数は、前記複数の物理量のうちの前記各ボクセルに対応する物理量の関数であり、
前記強調画像が備える複数のピクセルの各ピクセルは、
前記位置合わせ時画像が備える複数のピクセルのうちの前記各ピクセルに対応するピクセルが示す輝度と、
前記体厚画像が備える複数のピクセルのうちの前記各ピクセルに対応するピクセルが示す輝度とを比較した差異を示す
放射線治療装置制御方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記位置合わせ時透視画像が撮影された位置合わせ時に前記被検体が所定の位置からずれているずれ量を前記強調画像に基づいて算出するステップ
をさらに具備する放射線治療装置制御方法。
【請求項11】
請求項10において、
複数のずれ量候補に対応する複数のDRR画像を前記計画時3次元データに基づいて再構成するステップと、
前記複数のDRR画像に対応する複数のDRR画像類似度を算出するステップとをさらに具備し、
前記複数のDRR画像候補の各DRR画像は、前記複数のずれ量候補のうちの前記各DRR画像に対応するずれ量候補だけ前記被検体が移動したときに前記撮影用放射線に基づいて撮影される画像に対応し、
前記複数のDRR画像類似度のうちの前記各DRR画像に対応するDRR画像類似度は、前記各DRR画像が前記強調画像に類似する程度を示し、
前記ずれ量は、前記複数のDRR画像のうちの最大類似DRR画像が前記複数のDRR画像類似度の最大値に対応するときに、前記複数のずれ量候補のうちの前記最大類似DRR画像に対応するずれ量候補を示す
放射線治療装置制御方法。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれかにおいて、
互いに異なる複数のイメージャ位置に対応する複数の体厚画像候補を前記複数のボクセルに基づいて再構成するステップと、
前記複数の体厚画像候補に対応する複数の体厚画像類似度を算出するステップとをさらに具備し、
前記複数の体厚画像候補の各体厚画像候補は、前記複数のイメージャ位置のうちの前記各体厚画像候補に対応するイメージャ位置に配置されたイメージャにより撮影される画像に対応し、
前記複数の体厚画像類似度のうちの前記各体厚画像候補に対応する体厚画像類似度は、前記各体厚画像候補が前記位置合わせ時透視画像に類似する程度を示し、
前記体厚画像は、前記複数の体厚画像候補のうちの前記複数の体厚画像類似度の最大値に対応する最大類似体厚画像候補を示す
放射線治療装置制御方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記最大類似体厚画像候補を補間することにより前記体厚画像を作成するステップをさらに具備し、
前記複数の体厚画像候補の解像度は、前記位置合わせ時透視画像の解像度より低い
放射線治療装置制御方法。
【請求項14】
請求項9〜請求項13のいずれかにおいて、
前記複数の物理量のうちの前記各ボクセルに対応する物理量は、前記被検体のうちの前記各ボクセルに対応する部分の透過係数を示し、
前記各仮想透過係数は、
前記透過係数が閾値より大きいときに第1値を示し、
前記透過係数が前記閾値より小さいときに前記第1値より小さい第2値を示す
放射線治療装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−20009(P2012−20009A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160955(P2010−160955)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】