説明

放射線測定装置及び放射線測定訓練システム

【課題】実際の線源を利用することなく放射線測定の訓練を行えるようにする。
【解決手段】擬似線源12,14は放射線に代わる電波を生成する。放射線測定装置10は訓練モードにおいて、擬似線源12,14からの電波を受信し、その受信強度に基づいて擬似測定値を演算する。その擬似測定値が実測値に代えて表示器36に表示される。線源を利用することなく放射線測定の訓練を行える。電波には、線種、エネルギー等の情報が含まれていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線測定装置及び放射線測定訓練システムに関し、特に、放射線測定装置の操作の訓練のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線測定装置として、空間線量率を測定するサーベイメータ、個人被ばく管理のための個人線量計、等が知られている。そのような放射線測定装置は、原子力発電所、核燃料取扱施設、放射性同位元素を取り扱う病院等、において日常的に使用されている。一方、近時、消防署や警察署その他の自治体組織においても放射線測定装置が常備されつつある。例えば、原子力発電所で火災が発生した場合、出動した職員の安全性を確保する上で放射線測定が必要となるからである。しかし、そのような者は、一般に、放射線測定装置の操作を熟知していない。あるいは、知識が十分であっても日常的に操作を行っていないために実際の現場での使用に際して戸惑いが生じることもある。そこで、定期的に放射線測定装置の操作訓練を行っておくことが要請される。なお、放射線取扱施設で作業する者であっても訓練が義務付けられる場合もあるし、また新人教育の一貫として放射線測定装置の操作訓練がなされる場合もある。
【0003】
以下の特許文献1には、放射線監視装置の自動試験装置が開示されている。同装置においては、テスト信号発生器からの擬似信号が放射線監視装置に入力されており、それにより実際の警報動作がテストされている。しかし、同装置では、空間を介して放射される放射線を模擬することは行われておらず、そもそも、同装置の構成はその操作を訓練するためのものではなく動作確認のためのものである。
【0004】
以下の特許文献2には管理区域内の放射線分布を模擬する訓練設備が開示されている。具体的には、作業空間を模擬した建屋内に1又は複数の電波発信機が設置されており、作業者が、電波発生機からの電波を受信する受信機を携帯しつつ、管理区域内の放射線機器等を模擬した訓練用機器等の作業にあたる場合において、受信機において受信した電波の強さ及び受信時間が放射線強度及び被ばく時間に換算される。それらに基づいて累積被ばく線量が表示されると共に、それが危険域に達した場合に警報が発生するように制御されている。この訓練設備において、作業者に携帯される装置は放射線測定機能を有しない受信機に過ぎず、放射線測定装置それ自体ではないので、被ばく管理の訓練を行えるとしても、放射線測定装置それ自体の訓練を行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−260262号公報
【特許文献2】特開昭59−29284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放射線測定装置の操作訓練に当たっては、従来、密封線源が利用されている。しかし、線源の保管管理は煩雑であり、とりわけ放射線についての知識や経験が乏しい者にとっては、非常に煩雑である。密封線源を常置しておかずに、訓練の度に業者から一時的に貸し出してもらい、それを利用することも考えられるが、必要な時に速やかに訓練できなくなる。また、密封線源を利用した訓練が実際に必要であるとしても、それに先立ってあるいは補充的に予備的訓練を行える仕組みがあった方がよい。
【0007】
上記特許文献2に記載された構成では放射線測定装置それ自体に訓練機能が搭載されているわけではないので、放射線測定装置の操作を訓練できないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、実際の線源を利用せずに放射線測定装置の操作を訓練できるようにすることにある。
【0009】
本発明の他の目的は、実際の放射線測定に近い状況を擬似的に作り出して訓練の成果が高まるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放射線測定装置は、放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、訓練モードにおいて使用される擬似線源からの放射線でない擬似波を受信する受信部と、前記受信部から出力された受信信号に基づいて擬似測定値を演算する擬似測定値演算部と、実測モードにおいて前記放射線測定値を表示し、前記訓練モードにおいて前記擬似測定値を表示する表示部と、を含む。
【0011】
上記構成によれば、訓練モードにおいて、疑似線源からの空中伝搬に係る疑似波(非放射線)が受信部にて受信され、その受信信号に基づいて疑似測定値が演算され、それが表示される。つまり、放射線測定と同じような状況下において、実際の線源を利用することなく、放射線に近い空間伝搬波を実際に測定し、そのような過程を通じて放射線測定の訓練を行える。その訓練には、例えば、可搬型の装置本体又は放射線検出部の移動操作、汚染源の特定のためのサーチ、動作条件の調整、表示内容の読み取り、といったものが含まれてもよい。疑似波は電波であるのが望ましいが、それ以外に磁場、音波、等が考えられる。放射線測定の場合と同様に距離に応じて信号レベルが変動すれば、実際の放射線測定の場合と同様の感覚を得られる。誤認防止のため、訓練モードであることが明示されるように構成するのが望ましい。
【0012】
望ましくは、前記擬似測定値演算部は、前記擬似波の受信強度に基づいて前記擬似測定値を演算し、前記擬似線源から当該放射線測定装置までの距離に応じて前記擬似測定値の大きさが変動する。受信強度が距離の二乗に反比例するならば典型的な放射線測定の場合と同様の測定状況を作出できる。
【0013】
望ましくは、前記表示部においては、前記実測定値の表示更新周期と同じ周期で前記擬似測定値が更新される。表示態様や表示内容をできるだけ実際の放射線測定の場合と同じようなものとするのが望ましい。
【0014】
望ましくは、前記受信部は、所定の受信周期で前記擬似波を受信して前記擬似波の強度データを出力し、前記擬似測定値演算部は、前記所定の受信周期で出力される複数の強度データを平均化処理することによって前記擬似測定値を演算する。放射線測定の場合には一般に時定数に基づく平均化処理が適用されるので、それに相応した演算処理が実行されるのが望ましい。すなわち、望ましくは、前記擬似測定値演算部は、前記実測定値演算部が有する応答特性に相応する演算条件を有する。望ましくは、前記擬似波は電波であり、前記受信部は前記電波を受信するアンテナを有する。電波であれば容易に発生でき、その取扱いも容易である。また、電波であれば、符号化あるいは変調によって、情報を伝送することも容易である。更に多重伝送も可能である。公知の通信方式をそのまま流用すればシステムを容易に構築できる。一般に、複数の線源を利用した訓練を行うのは難しいが、疑似線源を用いれば、複数の放射線の同時測定を容易に模擬できる。
【0015】
望ましくは、前記擬似波には前記擬似線源の識別情報、前記擬似線源の線種情報、及び、前記擬似線源についてのエネルギー情報の内の少なくとも1つが含まれ、前記受信部は、前記擬似波から情報を抽出し、前記擬似測定値演算部は、前記擬似波から抽出された情報に基づいて前記擬似測定値の演算を実行する。情報伝送を行えば、放射線の種類やエネルギーを異ならせた測定状況を模擬できる。
【0016】
本発明に係る疑似線源は、擬似波を受信してその強度に基づいて擬似測定値を表示する訓練機能を搭載した放射線測定装置と共に用いられる擬似線源であって、当該擬似線源の識別情報、線種情報、及び、エネルギー情報の内の少なくとも1つが含まれる属性情報を生成する情報生成手段と、前記属性情報が含まれる擬似波を空中に放出する送信部と、を含む。
【0017】
望ましくは、前記擬似線源は、前記訓練機能を搭載した放射線測定装置からの制御信号を受信する受信部と、前記受信部にて受信された制御信号に基づいて当該擬似線源の動作を制御する制御部と、を含む。この構成によれば、装置本体側から疑似線源の動作を無線方式にて制御できる。あるいは、相互認証等を行わせることもできる。望ましくは、前記擬似波の送信パワーにバラツキを生じさせる手段を含む。この構成によれば、放射線の確率的変動を模擬できる。
【0018】
本発明に係るシステムは、疑似線源と訓練機能を搭載した放射線測定装置とで構成された訓練システムであって、前記擬似線源は放射線以外の擬似波を発生する手段を有し、前記訓練機能を搭載した放射線測定装置は、前記擬似波を受信する受信部と、前記受信部から出力された受信信号に基づいて擬似測定値を演算する擬似測定値演算部と、前記擬似測定値を表示する表示部と、を含む。
【0019】
本発明は、複数の放射線測定装置を含むシステムにおいて、前記各放射線測定装置は、放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、訓練モードにおいて自己が擬似線源に指定された場合に、疑似波が送信されるように制御する手段と、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に、前記疑似波が受信されるように制御し、その受信信号に基づいて擬似測定値を演算する手段と、実測モードにおいて前記実測定値を表示し、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に前記擬似測定値を表示する表示部と、を含むことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、2つの放射線測定装置がある場合に、第1放射線測定装置を仮想的に疑似線源とし、第2放射線測定装置を訓練対象としてその訓練を行える。つまり、放射線測定装置に、訓練機能と線源機能とを予め組み込んでおくものである。専用疑似線源を用意しておく必要がないので簡便に訓練を行える。第2放射線測定装置を利用して訓練を行った上で、今度は役割を逆転させて、第1放射線測定装置を利用して訓練を行うことも可能である。第1放射線測定装置と第2放射線測定装置が同一仕様の関係にある場合のみならず別仕様の関係にある場合にも訓練を行うことが可能である。
【0021】
望ましくは、前記複数の放射線測定装置との間でデータ通信を行うための管理装置を含み、前記各放射線測定装置は、前記管理装置との間でデータ通信を行うための通信部を有し、前記各放射線測定装置において前記疑似波の送信及び前記疑似波の受信が前記通信部を利用して行われる。この構成によればデータ通信のために用意されている通信機能を利用して疑似線源動作又は訓練動作を行わせることができるので構成の複雑化を回避できるし、疑似波の送受信に当たって高度なデータ伝送機能を利用することも容易となる。通信部は一般に送受信部及びアンテナを含む。通常操作に当たって邪魔にならず且つできるだけ等方的指向特性が実現されるようにアンテナを設置するのが望ましい。
【0022】
望ましくは、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて訓練対象に指定された第2放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って認証用データ通信が実行される。認証用データ通信は、互いの通信部を使って相互にデータリンクを確立するものである。多数の放射線測定装置が共存している場合に訓練モードにおいて稼働させる協働ペアを特定でき、混信や誤動作を回避できる。
【0023】
望ましくは、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて第1の訓練対象に指定された第2放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って第1の認証用データ通信が実行され、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された前記第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて第2の訓練対象に指定された第3放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って第2の認証用データ通信が実行される。この構成によれば、1(1台の疑似線源)対多(複数台の訓練対象)の関係をもって訓練を遂行させることができる。もちろん、多(複数の疑似線源)対1(1台の訓練対象)の関係をもって訓練が遂行されるようにしてもよい。上記構成によれば、疑似線源と複数の訓練装置との間で個別的にデータリンクを確立することができ、それぞれの訓練装置に対して異なる疑似波を送信することも可能となる。
【0024】
本発明に係る放射線測定装置は、放射線を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、訓練モードにおいて自己が擬似線源に指定された場合に、疑似波が送信されるように制御する手段と、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に、他の放射線測定装置から送信された前記疑似波が受信されるように制御し、その受信信号に基づいて擬似測定値を演算する手段と、実測モードにおいて前記実測定値を表示し、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に前記擬似測定値を表示する表示部と、を含むことを特徴とする。このような放射線測定装置を複数台相互に連携させて訓練システムが構築される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、実際の線源を利用せずに放射線測定装置の操作を訓練できる。あるいは、実際の放射線測定に近い状況を擬似的に作り出して訓練の成果を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる訓練機能を搭載した放射線測定システムを示すブロック図である。
【図2】擬似線源を示す外観図である。
【図3】送信信号の内容を示す図である。
【図4】ランダム処理の一例を示す図である。
【図5】表示更新レートに対応した受信信号処理を説明するための図である。
【図6】訓練モードにおける基本的な動作例を示すフローチャートである。
【図7】訓練モードから実測モードへの自動的な切り替え処理を含むフローチャートを示す図である。
【図8】信号処理回路におけるモード切り替え用トリガ信号の生成を説明するための図である。
【図9】複数の放射線測定装置を連携させて操作訓練を行う場合のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1には、本発明に係る放射線測定システムの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係るシステムは、放射線測定装置10と、複数の擬似線源12,14とを有している。擬似線源12,14は、放射線測定装置10の操作を訓練する際に使用されるものである。
【0029】
放射線測定装置10について説明する。この放射線測定装置10は、例えば個人線量計、サーベイメータ等である。放射線測定装置10は可搬型の装置として構成され、それは電源としてのバッテリ46を有している。図1に示す構成において、放射線測定装置10は、γ線及び中性子を検出する機能を有している。もちろん、単一の放射線(α線、β線、γ線、中性子)を検出するものであってもよい。
【0030】
図1に示されるセンサ16は、γ線を検出するための半導体検出器である。センサ18は中性子を検出するための半導体検出器である。センサ18の有感面には、中性子を荷電粒子(α粒子)として検出するための核変換層18Aが設けられている。センサ16,18の後段には信号処理回路20,22が設けられている。信号処理回路20,22はプリアンプ、波高弁別器等の公知の回路を有している。信号処理回路20,22から出力される信号はカウンタ24,26に入力される。
【0031】
マイクロコンピューター(マイコン)31は、本実施形態において、上記のカウンタ24,26、演算部32、メモリ33等を有している。カウンタ24はγ線を計数するための計数器である。カウンタ26は中性子を計数するための計数器である。演算部32はカウンタ24,26の計数値に基づいてγ線の線量(線量率)及び中性子の線量(線量率)を演算する機能を有する。線量当量が演算されてもよい。それらはいずれも実測定値である。それらの実測定値は、表示器36に表示される。表示器36は、液晶表示器、アナログメーター、あるいは複合表示器等である。
【0032】
演算部32は、本実施形態において、訓練モードでは、擬似放射線の検出結果に基づいて、擬似測定値(擬似線量)を演算する機能を有する。その擬似測定値は表示器36に表示される。つまり、表示器36には通常の実測定モード(実測モード)において、放射線測定結果である実測値が表示され、訓練モードにおいては実測値に代えて、擬似測定値が表示されることになる。
【0033】
操作パネル34はマイコン31に接続されており、操作パネル34を利用して動作モードの選択、測定条件の切替等を行える。操作パネル34は各種のつまみやスイッチを含むものである。LED38及びブザー40は、放射線測定結果が異常値であるような場合に、アラームを発生する手段である。訓練モードの実行中において、突発的に線量が上昇して自動的にモード切替が実行され、すなわち訓練モードが強制終了して自動的に実測モードが実行された場合に、LED38を点灯させ、かつ、ブザー40を動作させるようにしてもよい。すなわち、モードの自動変更時にユーザーにモード変更を報知するのが望ましい。
【0034】
メモリ33は不揮発メモリとして構成されており、メモリ33上に実測値を時系列順で保存しておくことができる。また、必要に応じて擬似測定値を時系列順で保存するようにしてもよい。特に、本実施形態においては、訓練モードにおいて、放射線測定を継続的に実行させる場合に、得られた実測値がメモリ33上に格納され、訓練モード終了後において、訓練中において計測された放射線の線量等を読み出すことが可能である。
【0035】
受信器42はアンテナ44を備えており、以下に詳述する擬似線源12,14からの電波がアンテナ44において受信され、それにより生じた受信信号が受信器42において処理される。本実施形態においては、受信器42は特に受信信号の電界強度を計測する機能と受信信号に含まれている情報を抽出する機能とを具備している。抽出された情報及び電界強度の情報は演算部32へ送られる。すなわち、訓練モードにおいては、擬似線源12,14が利用され、それを実際の放射線の線源と同様のものとみなし、放射線に代えて電波を受信することにより、放射線測定装置10の操作の訓練や表示内容の読み取り訓練を行うことが可能である。
【0036】
擬似線源12,14は互いに同一の構成を有しており、以下においては擬似線源12を代表してその構成を説明する。擬似線源12は、持ち運び容易な形態を有する可搬型の小型部品であり、後に図2を用いて説明するようにコイン型形態を有しており、それが例えば床面上やテーブル上に設置される。
【0037】
擬似線源12は電源としてのバッテリ58を有しており、すなわち任意の箇所に擬似線源12を設置することが可能である。信号処理器50は送信時において信号発生器として機能し、一定の情報を含む送信信号が送信器54へ与えられる。送信器54は上述した受信器42と同様に通信部として機能し、入力される送信信号を電波信号に変換し、その信号をアンテナ56に出力する。すると、アンテナ56から擬似放射線としての電波100Aが放出され、電波100Aは上述したアンテナ44により受波されることになる。入力器52は信号処理器50の動作条件を設定するための入力デバイスである。例えば、擬似線源12の機能を入力器52を用いて切り替えることが可能である。受信器42に更に送信器の機能を持たせ、一方、送信器54に更に受信器の機能を持たせることにより、放射線測定装置10側から擬似線源12の動作条件をリモートコントロールすることも可能である。また、放射線測定装置10と擬似線源12との間で相互認証を行わせたり、相互において情報交換を行わせたりすることも可能である。それ以外には、放射線測定装置10側から制御信号を送って放射線の種類の指定したり強度を指定したりすることが考えられ、そのような制御により混信防止等のための周波数切換がなされてもよい。
【0038】
擬似線源12は例えば床面上に設置され、その一方、放射線測定装置10は訓練を行う者によって保持される。擬似線源12から放射される電波が放射線測定装置10において良好に受信されるように、つまり、あたかも放射線の検出強度がより高まるように、放射線測定装置10の位置や姿勢を変化させ、また操作パネル34を利用して装置の動作条件を調整することにより、実際の放射線測定と同様の操作感覚をもって、放射線測定の訓練を行うことが可能となる。
【0039】
本実施形態においては、放射線測定装置10がγ線測定機能及び中性子測定機能の2つの放射線測定機能を有している。それに対応して、γ線擬似線源12と中性子擬似線源14とが設けられ、2つの擬似線源からそれぞれ独立して電波100A、100Bが放射される。それらの電波100A、100Bはアンテナ44にて受波され、受信器42において、それぞれの電波ごとに受信信号が処理されることになる。後に説明するように、各電波には一定の情報が含まれており、その埋め込まれた情報の内容を認識することにより、それぞれの擬似線源の役割等を容易に認識することができ、またそれぞれの電波の電界強度を独立して評価することが可能である。図1に示される構成では、演算部32が2つの電波の電界強度に基づいてγ線と中性子の両方についての擬似線量を演算しており、それぞれの擬似線量が表示器36に表示される。一般に、複数の線源を用いた訓練、あるいは中性子測定の訓練は難しいが、本実施形態においては実際の線源を利用しないため、そのような訓練を容易に行えるという利点がある。
【0040】
図2には、図1に示した擬似線源12,14の外観の一例が示されている。図示される構成では各擬似線源12,14がコイン形を有しており、その上面に設けられたアンテナ56から電波が等方的に放射される。電波の電界強度は一般に距離の二乗に反比例するので、放射線測定と同様の強度関数を作出することが可能である。もちろん、単一の擬似線源だけを利用して放射線測定装置の訓練を行うこともできる。
【0041】
図3には擬似線源12から放射される電波100Aに含まれる情報が概念図として示されている。電波100Aすなわち送信信号には、擬似線源の識別子であるID情報60と、管理データ62とが含まれる。管理データ62は、例えば線種の種別、放射線エネルギー等の情報である。すなわち、属性データとして線種やエネルギーの指定を行うことにより、電気的な信号処理の段階でそれらの情報に基づいて模擬的な検出信号を生成することが可能となる。それらの情報に付加される強度データ64は図1に示した受信器42において付加されるものである。すなわち強度データが放射線の強さに相当し、その強度データに基づいて演算を行うことにより、擬似測定値を算出することが可能である。ちなみに、本実施形態においては2つの擬似線源12,14を利用して2種類の擬似放射線を生成したが、単一の擬似線源から2種類の擬似放射線を生成するようにしてもよい。図3に示した管理データの内容を適宜変更することにより、訓練の目的に応じて各種の情報埋め込みを行える。但し、もっとも単純な例として変調やコード化等による情報埋め込みがなされていない単純な電波の強度を利用する方法があげられ、それも本発明の一実施態様となりうる。
【0042】
図4には、時間軸上に表された送信波(電波)の強度が表されている。本実施形態においては擬似線源側において送信電力のランダム処理が適用されており、すなわち定常的な送信パワーが設定されているのではなくて、それが擬似的なランダム処理をされたものとして構成されている。実際の放射線測定においては計数値が激しく変動する傾向が認められるので、それを模擬することによって、放射線測定装置の訓練の際にも実際の表示内容と同様の表示内容を実現しようとするものである。このようなランダム処理は擬似線源側において行うことができる他、受信器において実現することも可能であり、更に図1に示したマイコンにおいて行うことも可能である。
【0043】
図5には、訓練モードにおける信号処理の内容が示されている。(A)には線量あるいは線量率を表示する場合における表示更新レートが示されている。これは実測モードにおけるレートを示すものであり、訓練モードにおいてもそれと同様のレートが設定されている。ここで一周期tは例えば0.5秒であり、あるいは1秒である。すなわち、表示内容は一定間隔で順次更新される。表示内容を非常に高速で更新させるとユーザーの視認性が低下してしまうためである。一方、(B)には電波に対するサンプリングレートが示されている。ここでサンプリング期間であるΔtは例えば20msである。本実施形態においては、表示更新レートの一周期あたり多数回のサンプリングが行われており、それらの多数回のサンプリングで得られた多数の受信信号強度(電界強度)値を平均化し、その平均化された値が指示値(擬似線量値)として表示される。実際の放射線測定にあたっては時定数に基づく移動平均処理が適用されるのが一般的であるため、本実施形態においては同じような応答特性が得られるように表示内容が操作される。すなわち、実測定で設定されている時定数と同様の時定数(応答特性)が実現されるように指示値が演算され、また表示される。
【0044】
なお、図1においては実際に放射線測定を行う放射線測定装置が示されていたが、図1において符号30で示されるユニットを除外することにより、訓練専用装置を構成することも可能である。
【0045】
図6には、図1に示した放射線測定装置の基本的な動作内容がフローチャートとして示されている。S101ではユーザーにより動作モードが選択される。実測モードが選択された場合、S102において放射線の測定とその測定結果(実測値)の表示とが実行される。S103において実測定モードの終了と判断されるまで、S102の工程が繰り返し実行される。
【0046】
一方、S101において訓練モードが選択された場合、S104において擬似放射線が生成される。具体的には、擬似線源が所定の場所に設置され、その電源がONされる。その操作はユーザーにより行われる。S105では、擬似放射線が放射線測定装置において観測され、その測定結果としての擬似測定値が表示される。そして、S106において訓練モードの終了が判断されるまで、S105の工程が繰り返し実行される。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、実際の放射線線源を利用しないで擬似的な放射線線源すなわち放射線に代替する電波を発生する擬似線源を用いて、放射線測定装置の操作や読み取りの訓練を行うことができるという利点がある。したがって、訓練用に密封線源を常置しておく必要がないので放射線管理面での煩雑さが解消される。また、訓練が必要な時に速やかに訓練を実行させることができるという利点がある。本実施形態においては、距離の二乗に反比例する電波の強度を利用するので、実際の放射線測定状況と同様の測定環境を実現できるという利点がある。もちろん、アンテナに指向性を持たせることにより、各種の測定状況を模擬的に作出してもよい。
【0048】
ところで、訓練モードの実行中において線量率に異常が生じた場合、すなわち線量が急に上昇した場合に、訓練モードを速やかに終了させて実測モードへ移行させるのが望ましい。そのような要請に応える動作内容が図7にフローチャートとして示されている。図7に示す動作内容は図1に示した演算部32の機能により実現可能なものである。
【0049】
S201では、動作モードが判断され、実測モードであれば上記同様にS202において放射線測定が開始され、実測定値が表示されることになる。そして、S203において実測モードの終了が判断されるまで、S202の工程が繰り返し実行される。
【0050】
一方、S201において、訓練モードが選択されると、S204において放射線測定が開始される。すなわち、ユーザーに対しては訓練モードとして振る舞い、装置内部においては実際に放射線測定を並列的に実行させるものである。S205では、タイマAの動作が開始され、S206ではタイマBの動作が開始される。
【0051】
S207では擬似線源において電波が生成され、すなわち擬似放射線が生成される。S208では、電波の受信による擬似測定値が表示される。すなわち、この段階から実際の訓練が開始される。
【0052】
S209では、放射線レベルが上昇したか否かが判断される。この場合においては、一定時間以上放射線レベルが高まった場合に異常が発生したと判断してもよいし、1回の放射線レベルの上昇をもって異常発生を判断するようにしてもよい。放射線レベルの上昇が生じていないと判断された場合、S201において、タイマAの値に基づいて一定時間の操作がなかったのか否かが判断される。訓練モードで、装置を放置してしまったような場合に自動的に訓練モードを終了させる必要があるため、このS201が設けられている。一定時間内に何らかの操作があった場合、S211においてタイマAがリセットされ、再びタイマAのカウントが開始される。
【0053】
S212では、タイマBの値に基づいて一定時間内において電波の受信が不成立であったか否か、すなわち一定時間にわたって電波受信の不成立状態が継続したか否かが判断される。これも訓練モードの終了忘れに対処するための判断ステップである。一定時間内に有効な電波の受信があればS213においてタイマBの値がリセットされ、タイマBにおいて再びカウントが開始される。S214においては訓練モードを終了させるか否かが判断される。訓練モードを維持する場合、S208以降の各工程が繰り返し実行される。
【0054】
ところで、S209において線量が上昇したと判断された場合、S215において、その時点における実測定値が表示される。すなわち異常内容がユーザーに報知される。それと同時に、訓練モードから実測モードへのモードの自動切り替えが実行され、またその旨が表示される。その際においては、LEDやブザーを動作させるようにしてもよい。すなわち、モード変更の事態をユーザーに何らかの形で確実に告知するのが望ましい。また、通常の動作状況においても、訓練モードであるのか実測定モードであるのかを、解り易くユーザーに表示するのが望ましい。
【0055】
S215が実行されると、次にS202が実行され、すなわち訓練モードから実測定モードへ実際に処理ルーチンが切り替えられる。
【0056】
したがって、実際に放射線測定を行わなければならないような状況下において、誤って訓練モードを選択してしまったような場合でも、S209において、もし線量に上昇があれば自動的に訓練モードが終了することになり、装置の信頼性及び測定の安全性を高めることが可能となる。ちなみに、S210において一定時間内において何らの操作もなかったと判断された場合、及び、S212において一定時間内において電波の受信が不成立であったと判断された場合には、訓練モードが強制的に終了することになる。その場合においては、必要に応じて自動的に実測定モードへの移行を行わせるようにしてもよい。なお、実測定にあたって誤って訓練モードを選択してしまったが、線量の上昇が生じないような場合に、S212において擬似線源不存在が判断されるため、訓練モードは自動的に終了することになる。これによりユーザーはその事態を認識して、実測定モードを実行させることが可能となる。あるいは、S212において一定時間受信が不成立であったと判断された場合、自動的に実測モードが実行されるようにしてもよい。いずれにしても、多面的な観点からエラー処理を適用することにより、信頼性の高い訓練動作及び実測動作を実現できるという利点がある。
【0057】
図1に示した実施形態においては、演算部32がカウンタ24,26の計数値に基づいて線量上昇を判断していたが、図8に示されるように、訓練モードにおいてはカウンタ24,26の動作を停止させ、信号処理回路20,22における波高弁別回路等から線量上昇の事態を表すトリガ信号110A,110Bを出力するようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態においては、γ線の線量及び中性子の線量のうち、いずれか一方について線量の上昇が認められた場合にモードの自動的な変更を行わせるようにしたが、特定の放射線についてだけ当該動作を行わせることも可能である。ただし、本実施形態の動作内容によれば、それぞれの放射線についての線量異常を独立して評価し、一方に異常が認められれば装置全体の動作を実測定に切り替えるので、より信頼性の高い計測を行えるという利点がある。
【0059】
上記実施形態においては、擬似波として電波が利用されたが、それに代えて磁場、超音波等を用いることも可能である。そのような波も距離に反比例して検出レベルが変動するようになるので、放射線線源に対する放射線測定を模擬することが可能である。
【0060】
図9には、本発明に係るシステムの構成例が示されている。このシステムは、訓練用の機能を搭載した複数の放射線測定装置200,202と、管理装置として機能するホストコンピュータ204と、により構成されている。
【0061】
各放射線測定装置200,202は、放射線測定機能及び訓練機能を備えており、図1に示した放射線測定装置10(サーベイメータ、個人線量計、等)に相当するものである。但し、自己が訓練対象(訓練操作対象)となる機能の他、自己が疑似線源となる機能も備えている。図1においては、放射線測定装置200がここでは訓練対象となっており、放射線測定装置202が疑似線源としての役割を担っている。もちろん、両者の役割を逆転させることが可能である。各放射線測定装置200,202は互いに同一仕様をもった同機種関係にあってもよいし、互いに別仕様をもった異機種関係にあってもよい。
【0062】
放射線測定装置200は、制御部206、通信部208、信号発生器210等を有している。放射線測定装置202は、同じく、制御部212、通信部214、信号発生器216等を有している。制御部206,212は、図1に示したマイコン31により構成され、それは各種の演算機能及び制御機能を備えている。特に、制御部206,212は、訓練モードにおいて自己装置が疑似線源を担当する場合には電波として疑似信号が送信されるように制御を実行し、訓練モードにおいて自己装置が訓練対象となる場合には他の装置から送信されてきた疑似信号を受信してそれに基づいて疑似測定値を演算し、それが表示等されるように制御を行っている。もちろん、制御部206,212は、実測定モードにおいて、放射線測定値(実測値)の演算、表示等の制御を実行する。信号発生器210,216は、自己装置が疑似線源を担当する場合において、つまり、疑似線源としての動作が指定された場合において、電波としての疑似波を送信するための送信信号を生成する。但し、疑似波として単なる正弦波を利用するような場合には信号発生器210,216を格別設ける必要はない。
【0063】
通信部208,214は、放射線測定装置200,202と管理装置としてのホストコンピュータ204との間でデータ通信を行うためのモジュールである。そのデータ通信には、放射線測定装置200,202からホストコンピュータ204への測定データの伝送が含まれ(符号220,222参照)、また、ホストコンピュータ204から放射線測定装置200,202への制御信号の伝送が含まれる。ホストコンピュータ204は、通信部218を備えており、また制御部等を備えているが、それについては図示省略されている。なお、放射線測定装置200,202に設けられている放射線センサや表示器等についても図示省略されている。
【0064】
放射線測定装置200,202に対して、ユーザーによる訓練モードの指定がなされ、あるいは、ホストコンピュータから訓練モードを指定する信号が送られると、放射線測定装置200,202の内で、一方の装置が疑似線源として振る舞うようになり、他方の装置が訓練対象として動作する。その役割分担はユーザーにより指定してもよいし、ホストコンピュータ側において決定するようにしてもよい。訓練対象の装置から疑似線源となる装置へその旨の命令を送るようにしてもよいし、その逆であってもよい。
【0065】
図9に示す例では、放射線測定装置202が疑似線源として指定されており、当該装置から放射線を模擬する疑似波224が空中に送信される。その疑似波224が、訓練対象となった放射線測定装置200において受信され、その受信信号の強度が検出されて、その強度が放射線の線量あるいは線量当量といった測定値に換算される。その測定値は放射線測定装置200の表示器に表示される。その際、レンジの変更、時定数の変更、表示単位の変更といった操作を自由に行える。その操作の内容は、表示内容に即座に反映されるので、実際の測定と同じような操作感覚を得ることができる。また、放射線測定装置202が静置された状況において、放射線測定装置200を移動させれば、両者の位置関係に応じて測定結果が変動することになるので、そのような移動操作の訓練も行える。
【0066】
必要に応じて、放射線測定装置(疑似線源)202から放射線測定装置(訓練対象)200へ、強度情報、エネルギー情報、線種情報が伝送されるようにしてもよい。また逆に放射線測定装置200(訓練対象)から放射線測定装置(疑似線源)202へ制御信号を送って、疑似信号の強弱等を変更するようにしてもよい。疑似信号をホストコンピュータ204において受信し、必要なメンテナンスを行うことも可能である。
【0067】
図9に示した例では、疑似線源1台に対して訓練装置1台の1対1の関係にあったが、1対多の関係、又は、多対1の関係が構築されてもよい。例えば、各種施設においては通常、複数の放射線測定装置が常備されているので、その内の1台を疑似線源として動作させ、他の複数の放射線測定装置を使って複数の作業者をして測定の訓練を行わせることも可能である。訓練時における装置の設定や操作に当たっては設定方法や操作手順を案内する音声ガイダンス等を提供し、同時に操作内容を装置側で認識、確認するようにしてもよい。そのような構成によれば操作経験がほとんどないような者であっても誤りなく円滑に訓練を進めることができるので、訓練効果を高められる。
【0068】
疑似線源としての放射線測定装置と訓練対象としての放射線測定装置の関係を確立するため、両者間における通信の初期段階で相互認証処理を実行させるのが望ましい。すなわち、認証用データ通信を行うものであり、それには一般に自己の識別子等の送信処理とそのような情報の登録処理が含まれる。相互認証あるいはデータリンクが確立されたならば、仮に第3の放射線測定装置から電波を受けても、相手方となる疑似線源からの電波だけを正確に識別することが可能となる。すなわち、混信や誤認を防止できる。相互認証段階においては、訓練モードにおいて協働する2台の装置(協働ペア)を近付けるようにしてもよい。
【0069】
1台の疑似線源を利用して複数台の訓練対象を動作させる場合には、疑似線源と各訓練対象との間で個別的に認証を行わせるようにしてもよい。例えば、疑似線源と第1訓練装置との間で第1の認証用データ通信を行わせてそれらの第1ペア間において通信が確立した後、疑似線源と第2訓練装置との間の第2の認証用データ通信を行わせてそれらの第2ペア間においても通信を確立させるようにしてもよい。かかる構成によれば各訓練対象ごとに疑似波の内容つまり線種、エネルギー等を変えることが可能となる。もっとも、疑似線源から単に電波を流し続け、不特定多数の訓練対象においてその電波を受けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 放射線測定装置、12,14 擬似線源、16,18 センサ、20,22 信号処理回路、24,26 カウンタ、32 演算部、36 表示器、42 受信器、44 アンテナ、50 信号処理器、54 送信器、56 アンテナ、100A,100B 電波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、
訓練モードにおいて使用される擬似線源からの放射線でない擬似波を受信する受信部と、
前記受信部から出力された受信信号に基づいて擬似測定値を演算する擬似測定値演算部と、
実測モードにおいて前記放射線測定値を表示し、前記訓練モードにおいて前記擬似測定値を表示する表示部と、
を含むことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記擬似測定値演算部は、前記擬似波の受信強度に基づいて前記擬似測定値を演算し、
前記擬似線源から当該放射線測定装置までの距離に応じて前記擬似測定値の大きさが変動する、ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
前記表示部においては、前記実測定値の表示更新周期と同じ周期で前記擬似測定値が更新される、ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、
前記受信部は、所定の受信周期で前記擬似波を受信して前記擬似波の強度データを出力し、
前記擬似測定値演算部は、前記所定の受信周期で出力される複数の強度データを平均化処理することによって前記擬似測定値を演算する、
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置において、
前記擬似測定値演算部は、前記実測定値演算部が有する応答特性に相応する演算条件を有する、ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置において、
前記擬似波は電波であり、
前記受信部は前記電波を受信するアンテナを有する、
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置において、
前記擬似波には前記擬似線源の識別情報、前記擬似線源の線種情報、及び、前記擬似線源についてのエネルギー情報の内の少なくとも1つが含まれ、
前記受信部は、前記擬似波から情報を抽出し、
前記擬似測定値演算部は、前記擬似波から抽出された情報に基づいて前記擬似測定値の演算を実行する、ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項8】
擬似波を受信してその強度に基づいて擬似測定値を表示する訓練機能を搭載した放射線測定装置と共に用いられる可搬型の擬似線源であって、
当該擬似線源の識別情報、線種情報、及び、エネルギー情報の内の少なくとも1つが含まれる属性情報を生成する情報生成手段と、
前記属性情報が含まれる擬似波を空中に放出する送信部と、
を含むことを特徴とする擬似線源。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記擬似線源は、前記訓練機能を搭載した放射線測定装置からの制御信号を受信する受信部と、
前記受信部にて受信された制御信号に基づいて当該擬似線源の動作を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする擬似線源。
【請求項10】
請求項8又は9記載の装置において、
前記擬似波の送信パワーにバラツキを生じさせる手段を含むことを特徴とする擬似線源。
【請求項11】
疑似線源と訓練機能を搭載した放射線測定装置とで構成された訓練システムであって、
前記擬似線源は放射線以外の擬似波を発生する手段を有し、
前記放射線測定装置は、
前記擬似波を受信する受信部と、
前記受信部から出力された受信信号に基づいて擬似測定値を演算する擬似測定値演算部と、
前記擬似測定値を表示する表示部と、
を含むことを特徴とする放射線測定訓練システム。
【請求項12】
複数の放射線測定装置を含むシステムにおいて、
前記各放射線測定装置は、
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、
訓練モードにおいて自己が擬似線源に指定された場合に、疑似波が送信されるように制御する手段と、
前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に、前記疑似波が受信されるように制御し、その受信信号に基づいて擬似測定値を演算する手段と、
実測モードにおいて前記実測定値を表示し、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に前記擬似測定値を表示する表示部と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムにおいて、
前記複数の放射線測定装置との間でデータ通信を行うための管理装置を含み、
前記各放射線測定装置は、前記管理装置との間でデータ通信を行うための通信部を有し、
前記各放射線測定装置において前記疑似波の送信及び前記疑似波の受信が前記通信部を利用して行われる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12又は13記載のシステムにおいて、
前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて訓練対象に指定された第2放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って認証用データ通信が実行される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12又は13記載のシステムにおいて、
前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて第1の訓練対象に指定された第2放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って第1の認証用データ通信が実行され、
前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて疑似線源に指定された前記第1放射線測定装置と、前記複数の放射線測定装置の内で前記訓練モードにおいて第2の訓練対象に指定された第3放射線測定装置と、の間で前記疑似波の送受信に先立って第2の認証用データ通信が実行される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から出力された検出信号に基づいて実測定値を演算する実測定値演算部と、
訓練モードにおいて自己が擬似線源に指定された場合に、疑似波が送信されるように制御する手段と、
前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に、他の放射線測定装置から送信された前記疑似波が受信されるように制御し、その受信信号に基づいて擬似測定値を演算する手段と、
実測モードにおいて前記実測定値を表示し、前記訓練モードにおいて自己が訓練対象に指定された場合に前記擬似測定値を表示する表示部と、
を含むことを特徴とする放射線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−71979(P2010−71979A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176760(P2009−176760)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】