説明

放射線画像処理方法および放射線画像処理装置

【課題】散乱割合画像作成のための被曝を必要としない方法を提供すること。
【解決手段】まずX線を被写体等価物質に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cnと、スリットを経ないX線の出力Cbをそれぞれ検出する。次に、前記出力Cnと前記出力Cbの比から前記被写体等価物質による散乱割合を求める。次に、被写体をX線により照射し、該被写体を透過するX線を検出することにより得られるX線データに基づいて、前記被写体の画像を生成する。次に、前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記被写体の画像から散乱割合画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この実施形態は、X線を被写体に照射することにより得られる透過X線に基づいて生成される放射線画像を処理する放射線画像処理方法および放射線画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影装置を用いた被写体の撮影においては、撮影精度の向上が求められる。しかしながら、被写体はX線をそのまま透過するものだけではなく、散乱成分を生ずる場合もあり、画像の精度向上がより求められてきた。そのため、X線撮影では、散乱X線を除去した画像生成が求められている。
【0003】
散乱X線はグリッドを用いて物理的に除去することも可能であるが、散乱X線の除去は不完全である。また、TDCS(Transmission Dependent Convolution Subtraction)を適用することにより散乱線成分を補正する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−502395号公報
【特許文献2】特開平6−14911号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hidehiro Iida, Effects of Scatter and Attenuation Correction Quantitative Assessment of Regional Cerebral Blood Flow with SPECT. J Nucl Med 1998;39:181-189
【非特許文献2】Steven R. Meikle. A Transmission-Dependent Method for Scatter Correction in SPECT. J Nucl Med 1994;35:360-367
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、TDCSによる散乱線補正の場合、通常の画像収集に加え、減弱係数マップ作成のための、トランスミッションCT等による画像収集が必要である。それは、被曝の増加を意味しているため、トランスミッションCT等による画像収集がなくても、減弱係数マップが得られる方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の1つにかかる放射線画像処理方法では、まずX線を被写体等価物質に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cnと、スリットを経ないX線の出力Cbをそれぞれ検出する。次に、出力Cnと出力Cbの比から前記被写体等価物質による散乱割合を求める。たとえば、出力Cnと出力Cbの比からビルドアップファクタを求め、求めたビルドアップファクタから、散乱割合を求める。次に、被写体をX線により照射し、該被写体を透過するX線を検出することにより得られるX線データに基づいて、前記被写体の画像を生成する。次に、前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記被写体の画像から散乱割合画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スリットを用いた場合の被写体等価物質の測定図を示す。
【図2】被写体下のスリットを用いない場合の被写体等価物質の測定図を示す。
【図3】本実施形態の放射線画像処理装置のブロック図である。
【図4】被写体領域と直接線領域に区分された2値化画像を説明する説明図である。
【図5】散乱割合テーブルの作成処理を示すフローチャートである。
【図6】散乱割合画像の作成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の放射線画像処理方法及び放射線画像処理装置では、散乱割合テーブルを求め、散乱割合テーブルから散乱割合画像を生成する。散乱割合画像はTDCSに用いられることで散乱補正が実現され、散乱補正がされた放射線画像を取得することができる。ここでまず、散乱割合テーブルを求める処理について説明する。
【0010】
図1はスリットを用いた場合の被写体等価物質の測定図を示し、図2は被写体下のスリットを用いない場合の被写体等価物質の測定図を示す。以下のようにして、X線を被写体等価物質に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cnと、スリットを経ないX線の出力Cbをそれぞれ検出する。
【0011】
なお、この出力はX線量であり、被写体の厚さをt、被写体の吸収係数をμとすると、X線量I=X・exp(−μt)、が得られる。吸収係数は、物質および線質ごとに異なる。また、被写体等価物質12を用いた測定について説明するが、この実施形態において被写体を乳房であると仮定して説明する。なお、これに限定するものではない。被写体等価物質12については、散乱放射線に関連して乳房の構造に関するモデルが仮定されて、その仮定モデルに基づいてつくられたモデル物質を例に挙げて説明する。
【0012】
モダリティについては、このようにマンモグラフィによって得られた画像を例に挙げて説明するが、この他、X線透視検査に用いられる、RF(Radio Fluoroscopy、X線透視撮影)装置を用いてもよい。この場合、X線により蛍光体が照射され、このとき得られた蛍光を検出することにより画像を生成する。「被写体を透過するX線を検出することにより得られるX線データに基づいて」とは、このようにX線および蛍光を検出して、画像を生成する場合であってもよい。また、モダリティの例としては、X線アンギオグラフィ(血管造影撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断装置なども挙げられる。
【0013】
まず、図1に示すようにX線管10からスリット11を通してX線を照射する。X線は被写体等価物質12に照射される。被写体等価物質12は内部でX線の散乱を生じるが、さらにスリット13が設けられているので、散乱されたX線はスリット13を通過できず、散乱していないX線のみがスリット13を通過する。スリット13を通過したX線は検出器20によって検出される。検出器20によって検出される出力はCnである。スリット13の幅は、検出器20を構成する個々の検出素子の1つ分の幅とする。検出素子1つ分でなく、2つ以上分としても良いが、スリット13の幅は小さければ小さいほど、散乱X線をより多く除去するので、散乱割合の精度を向上させることができる。
【0014】
次に、図2に示すようにスリット13を設けずに図1と同様のX線照射及び検出を実行する。つまり、X線管10からスリット11を通してX線を照射する。X線は被写体等価物質12に照射される。被写体等価物質12は内部でX線の散乱を生じるが、図1の場合と異なり、スリットが設けられていないので、散乱X線と非散乱X線の両方が被写体等価物質12を通過して検出器20によって検出される。検出器20によって検出されるX線は、散乱X線を含む分、図1の場合に比べてその量が多いということになる。検出器20によって検出される出力はCbである。
【0015】
次に、図1および図2の配置から被写体等価物質12を除去した配置で、図1および図2と同様の撮影を実行する。被写体等価物質12の代わりに圧迫板を配置する。それにより、図1の配置から出力Cmを、図2の配置から出力Caを得る。すなわち、X線を圧迫板に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cmと、スリットを経ないX線の出力Caをそれぞれ検出する。
【0016】
図3は、本実施形態の放射線画像処理装置のブロック図である。放射線画像処理装置は、図1で示したように、まず出力Cn、Cb、Cm、Caを得る。そして、出力Cn、Cb、Cm、Caを用いて散乱割合テーブルを作成する。
【0017】
X線管10は、高電圧を発生させる高電圧発生部から電圧が印加されることによりX線を発生するX線管球を有し、これによりX線を撮影領域15(およびその先の検出器20)に向かって照射する。撮影領域15は、図1、2に示したスリット11、被写体等価物質12(または圧迫板)、スリット13が配置される領域である。
【0018】
検出器20は、チャンネル方向に複数行、スライス方向(列方向)に1列のX線検出素子を有する1次元アレイ型のX線検出器である。又は、検出器20は、マトリクス状、すなわち、チャンネル方向に複数行、スライス方向に複数列のX線検出素子を有する2次元アレイ型の検出器20(マルチスライス型検出器ともいう。)である。検出器20は、X線管10から照射され、撮影領域15を透過したX線を検出する。
【0019】
なお、本法はグリッド有りでの撮影にも用いることが可能である。その場合は、CnおよびCbの測定時において、検出器前にグリッドを挿入することで対応可能である。
【0020】
演算部30は、出力Cnと出力Cbの比から被写体等価物質による散乱割合を求める。出力Cnと出力Cbはそれぞれ、dを被写体厚としてdの関数となるので、Cn(d)およびCb(d)と表記する。ここで、Bb(d)=Cb(d)/Cn(d)より被写体のビルドアップファクタBb(d)を算出し、Kb(d)=1−1/Bb(d)より散乱割合Kb(d)を算出する。
【0021】
次に、図1に示した被写体等価物質12を圧迫板に変え、同様に圧迫板の散乱割合Kaを算出する。演算部30は、出力Cmと出力Caの比から圧迫板による散乱割合を求める。なお、この場合は被写体厚dの関数とはならないので、dを用いずに表記する。
【0022】
ここで、Ba=Ca/Cmより被写体のビルドアップファクタBaを算出し、Ka=1−1/Baより散乱割合Kaを算出する。なお、Kaは上記の方法で求めてもよいし、1を代入してもよい。また、散乱割合算出には、上記のように実測を用いてもよいし、モンテカルロシミュレーション等で求めてもよい。以上のように、Kb(d)、Kaを求めることで、散乱割合テーブルが得られる。
【0023】
記憶部40は、演算部30によって求められた散乱割合テーブルを記憶する。記憶部40は不揮発性メモリにより構成され、書き込まれた散乱割合テーブルを電源切断後も保持する。それにより後の被写体撮影で散乱割合画像を生成するために、保持された散乱割合テーブルを用いることができる。
【0024】
次に、散乱割合画像の生成処理を説明する。まずX線管10は、グリッドを外したブッキーを用いて、通常通り被写体を照射し、撮影する。そして画像生成部50は、X線管10から照射されて被写体を透過するX線を検出することにより得られる、X線データに基づいて被写体画像を生成する。たとえば、検出器20により検出されたX線量の値をアナログディジタル変換することにより、ディジタル画像(すなわち2値化画像)として被写体画像を生成する。
【0025】
画像処理部60は、被写体画像が被写体領域のみからなる場合は、散乱割合テーブルに含まれるKb(d)を被写体画像に代入することで、散乱割合画像K(x,y)を作成する。散乱割合テーブルは、演算部30で求めたものをそのまま用いても良いし、予め求められ記憶部40に記憶されているものを用いても良い。画像処理部60は、被写体画像から、被写体等価物質12による散乱割合が示す成分を除去することにより散乱割合画像を生成する。
【0026】
また、被写体画像が直接線領域を含む場合は次の通りである。画像処理部60は、2値化画像である被写体画像を被写体領域(乳房領域)と直接線領域(非乳房領域)に区分する区分部65を備える。区分部65は、図4に示すように被写体領域70と直接線領域80の境界であるスキンライン75を被写体領域検出処理(スキンライン検出)により検出して、その境界で区分する。それにより、被写体領域70および直接線領域80を分けて画像処理することができる。
【0027】
スキンラインを決定するために、区分部65は、Prewittフィルタを用いた微分ヒストグラム法によるしきい値処理により、被写体領域70と直接線領域80をスキンライン75により分割する。スキンライン75のエッジには細かな凹凸があり、これらが乳腺集中度の計測に影響する可能性がある。そこで,エッジを平滑化するために、モルフォロジカル演算のオープニング処理を行う。この平滑化されたエッジを4近傍輪郭追跡することにより、スキンライン75を決定することができる。
【0028】
この場合、画像処理部60は、散乱割合テーブルに含まれるKb(d)およびKaを、それぞれ被写体画像の被写体領域および直接線領域に代入することで、散乱割合画像K(x,y)を作成してもよい。散乱割合テーブルは、演算部30で求めたものをそのまま用いても良いし、予め求められ記憶部40に記憶されているものを用いても良い。画像処理部60は、被写体領域70については被写体等価物質12による散乱割合が示す成分を除去し、直接線領域80については圧迫板による散乱割合が示す成分を除去することで、各領域の散乱割合画像を生成して、組み合わせる。
【0029】
また、画像処理部60は、組み合わせに際して、両者の境界領域でスムージング処理する。2値化画像をスムージングすることで、境界付近の散乱割合がKb(d)からKaになめらかに変化していくようにしても良い。なお、スムージング処理しなくても良い。また、被写体の密度に応じたKb(d)を求めても良い。
【0030】
そして、上述の画像生成部50は、先に説明した2値化画像の生成に用いたX線データと画像処理部60で生成される散乱割合画像に基づいて、散乱補正画像を生成する。このとき、X線データと散乱割合画像にX線領域には、核医学で用いられてきたTDCSアルゴリズムを用い、それにより散乱線補正した散乱補正画像を得る。
【0031】
図5は、散乱割合テーブルの作成処理を示すフローチャートである。まず、図1および図2の配置で測定およびパラメータの算出を行う。X線管10、スリット11、検出器20は既に配置された状態とする。まず、撮影領域15に被写体等価物質12を配置する(ステップS105)。またこのときにスリット13も配置する。この配置の結果、図1に示したように配置される。
【0032】
次に、Cn(d)を測定する(ステップS110)。Cn(d)は、被写体等価物質12およびスリット13を通過したX線量である。すなわち図1に示したように、X線管10からX線を照射し、被写体等価物質12およびスリット13を通過し、検出器20によって検出されたX線量が出力Cn(d)となる。
【0033】
次に、Cb(d)を測定する(ステップS115)。Cb(d)は、スリット13を介さずに被写体等価物質12を通過したX線量である。すなわち図2に示したように、X線管10からX線を照射し、被写体等価物質12を通過し、検出器20によって検出されたX線量が出力Cb(d)となる。
【0034】
次に、ビルドアップファクタBd(d)を算出する(ステップS120)。被写体のビルドアップファクタBb(d)は、Bb(d)=Cb(d)/Cn(d)より求められる。そして、散乱割合Kb(d)を算出する(ステップS125)。散乱割合Kb(d)は、Kb(d)=1−1/Bb(d)より求められる。
【0035】
次に、被写体等価物質12を圧迫板に置き換える(ステップS130)。またこのときにスリット13も配置する。この配置の結果、被写体等価物質12が圧迫板となった以外は、図1に示したように配置される。
【0036】
次に、Cmを測定する(ステップS135)。Cmは、圧迫板およびスリット13を通過したX線量である。X線管10からX線を照射し、圧迫板およびスリット13を通過し、検出器20によって検出されたX線量が出力Cmとなる。
【0037】
次に、Caを測定する(ステップS140)。Caは、スリット13を介さずに圧迫板を通過したX線量である。すなわち被写体等価物質12が圧迫板となった以外は図2に示したように、X線管10からX線を照射し、圧迫板を通過し、検出器20によって検出されたX線量が出力Caとなる。
【0038】
次に、ビルドアップファクタBaを算出する(ステップS145)。被写体のビルドアップファクタBaは、Ba=Ca/Cmより求められる。そして、散乱割合Kaを算出する(ステップS150)。散乱割合Kaは、Ka=1−1/Baより求められる。
【0039】
以上の各過程を経て、散乱割合Kb(d)およびKaが求まるので、これを散乱割合テーブルとして記憶部40に記憶し(ステップS155)、散乱割合テーブル作成に関する一連の処理を終了する。
【0040】
図6は、散乱割合画像の作成処理を示すフローチャートである。図5を用いて説明した通り、散乱割合テーブルが求められ記憶部40に記憶されているので、これを用いて散乱割合画像を作成する。この散乱割合画像は、TDCSを用いた散乱線補正処理に用いられる。
【0041】
まず、被写体を撮影する(ステップS205)。すなわち、グリッドを外したブッキーを用いて、通常通り被写体を撮影する。被写体の撮影は、図2に示したように、X線管10からスリット11を介してX線を照射する。図2では被写体等価物質12を配置しているが、これに代えて実際の被写体をX線の照射対象として撮影する。その結果、検出器20にX線が検出され、X線データが生成される。
【0042】
本実施形態ではグリッドを外した場合を想定しているが、グリッドを用いた状態で撮影しても良い。その場合は、図5による散乱割合テーブル作成の際に、グリッドを用いた状態を想定した散乱割合テーブルを作成しておく必要がある。散乱割合テーブルも、ステップS205の被写体の撮影もグリッドを用いる場合は、物理的に散乱線を除去された状態で撮影および散乱線補正をすることができるので、散乱線補正の精度を更に高めることができる。
【0043】
次に、検出器20で検出された出力に基づいて、被検体についての2値化画像を生成する(ステップS210)。次に、区分部65は被写体領域の検出処理をする(ステップS215)。この被写体領域の検出処理により、図4に示すように2値化画像を被写体領域70と直接線領域80に分けることができる。両者はスキンライン75によって区分される。
【0044】
次に、散乱割合画像K(x,y)を生成する(ステップS220)。2値化画像を被写体領域70と直接線領域80に分けている場合、画像処理部60は、求めたKb(d)およびKaを、それぞれ被写体画像の被写体領域70および直接線領域80に代入することで、散乱割合画像K(x,y)を作成する。なお、2値化画像(2値画像)とは、0と1からなる白と黒を示す画像であり、各ピクセルの輝度値が所定値以上の場合は白、所定値未満の場合は黒とする2値化処理によって得られる。
【0045】
次に、両者の境界領域でスムージング処理する(ステップS225)。なお、このスムージング処理はしなくても良い。そして、画像生成部50は、散乱割合画像K(x,y)とX線データから、散乱補正画像を生成する(ステップS230)。つまり、散乱割合画像K(x,y)をTDCSに用い、それにより散乱線除去された画像を生成する。
【0046】
従来のように、散乱線補正処理をX線領域で行う場合、グリッドを用いなければならず、グリッドを用いることにより散乱線を除去していた。用いられるグリッドが、平行グリッドの場合、一方向にしか散乱線除去されなかった。一方、核医学領域における散乱補正処理(TDCS)を、X線画像に用いる場合、散乱割合画像を作成する必要がある。散乱割合画像作成のためには、トランスミッションCTの撮影が必要なので、被曝が増える。
【0047】
これに対し、本実施形態によると、被写体等価物質を用いて散乱割合テーブルを作成するので、被写体の被ばくを必要としない散乱割合テーブルを用いて、散乱割合画像を作成することができる。すなわち本実施形態によると、グリッドを用いる必要なく散乱補正を可能とし、かつ、散乱割合画像作成のための被曝を必要としない方法を提供することが可能となる。また、被写体の被ばくを必要としない散乱割合テーブルを用いることから、後処理において、散乱線含有率を自在にコントロール可能となる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載されたその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 X線管
12 被写体等価物質
20 検出器
30 演算部
40 記憶部
50 画像生成部
60 画像処理部
65 区分部
70 被写体領域
80 直接線領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を被写体等価物質に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cnと、スリットを経ないX線の出力Cbをそれぞれ検出するステップと、
前記出力Cnと前記出力Cbの比から前記被写体等価物質による散乱割合を求めるステップと、
被写体をX線により照射し、該被写体を透過するX線を検出することにより得られるX線データに基づいて、前記被写体の画像を生成するステップと、
前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記被写体の画像から散乱割合画像を生成するステップと、
を含むことを特徴とする放射線画像処理方法。
【請求項2】
前記散乱割合画像を生成するステップは、前記被写体の画像から、前記被写体等価物質による散乱割合が示す成分を除去することにより前記散乱割合画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理方法。
【請求項3】
X線を圧迫板に照射して透過させ、スリットを経たX線の出力Cmと、スリットを経ないX線の出力Caをそれぞれ検出するステップと、
前記出力Cmと前記出力Caの比から前記圧迫板による散乱割合を求めるステップと、
前記被写体の画像を、被写体領域と非被写体領域に区分するステップをさらに含み、
前記散乱割合画像を生成するステップは、前記被写体領域については前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記非被写体領域については前記圧迫板による散乱割合に基づき、それぞれの領域の散乱割合画像を生成して、組み合わせることにより前記散乱割合画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理方法。
【請求項4】
前記散乱割合画像を生成するステップは、組み合わせに際して、両者の境界領域でスムージング処理することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像処理方法。
【請求項5】
前記区分するステップは、前記被写体領域と前記非被写体領域の境界をスキンライン検出により検出して、その境界で区分することを特徴とする請求項3又は4に記載の放射線画像処理方法。
【請求項6】
前記X線データと前記散乱割合画像に基づいて、散乱補正画像を生成するステップを更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の放射線画像処理方法。
【請求項7】
X線を照射するX線管と、
前記X線管から照射されて前記被写体等価物質を透過し、スリットを経たX線の出力Cnと、スリットを経ないX線の出力Cbをそれぞれ検出する検出手段と、
前記出力Cnと前記出力Cbの比から前記被写体等価物質による散乱割合を求める演算手段と、
前記X線管から照射されて被写体を透過するX線を検出することにより得られる、X線データに基づいて被写体画像を生成する画像生成手段と、
前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記被写体の画像から散乱割合画像を生成する画像処理手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像処理装置。
【請求項8】
前記X線管は圧迫板にX線を照射し、
前記検出手段は、前記X線管から照射されて前記圧迫板を透過し、スリットを経たX線の出力Cmと、スリットを経ないX線の出力Caをそれぞれ検出し、
前記演算手段は、前記出力Cmと前記出力Caの比から前記圧迫板による散乱割合を求め、
前記画像処理手段は、前記被写体画像を被写体領域と非被写体領域に区分する区分手段を備え、前記被写体領域については前記被写体等価物質による散乱割合に基づき、前記非被写体領域については前記圧迫板による散乱割合に基づき、それぞれの領域の散乱割合画像を生成して、組み合わせることにより前記散乱割合画像を生成することを特徴とする請求項7に記載の放射線画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−228404(P2012−228404A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99030(P2011−99030)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】