放射線画像撮影システム
【課題】コンソールの表示部上に、各撮影オーダ情報を放射線技師にとって選択し易い状態に表示させることが可能な放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50のコンソールCは、被写体の撮影部位P61の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して表示部Caに表示し、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室RaにおけるFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や各撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、コンソールCが撮影オーダ情報を表示部Caに表示させる際に、上記のタイプP7に対応する撮影部位P61を指定する撮影オーダ情報が上位に表示されるように、撮影オーダ情報の表示順を可変させる。
【解決手段】放射線画像撮影システム50のコンソールCは、被写体の撮影部位P61の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して表示部Caに表示し、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室RaにおけるFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や各撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、コンソールCが撮影オーダ情報を表示部Caに表示させる際に、上記のタイプP7に対応する撮影部位P61を指定する撮影オーダ情報が上位に表示されるように、撮影オーダ情報の表示順を可変させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、2次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成され、撮影室に据え付けられた、いわゆる専用機型の放射線画像撮影装置として形成されていた(例えば特許文献1参照)。しかし、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬型とされた放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
また、このような可搬型の放射線画像撮影装置では、バッテリを内蔵し、アンテナ等を備えた無線通信手段を介した電波のやりとりで信号やデータ等の送受信を行う放射線画像撮影装置が開発されている(例えば特許文献4等参照)。なお、以下、可搬型の放射線画像撮影装置を、FPDカセッテという。
【0005】
また、FPDカセッテや専用機型の放射線画像撮影装置を含む放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置等が種々開発されている。
【0006】
なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0007】
ところで、このような放射線画像撮影装置を含む放射線画像撮影システムで放射線画像を行う際、撮影は、被写体である患者の氏名や、撮影する患者の身体の部位(すなわち撮影部位)や撮影方向等の撮影条件の情報を含む撮影オーダ情報に基づいて行われる。
【0008】
そして、放射線画像撮影システムでは、放射線技師等がコンソールを操作して、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)から予め登録された撮影オーダ情報を入手し、入手した各撮影オーダ情報の中から、これから行う撮影に対応する1つの撮影オーダ情報を選択して撮影を行うように構成されることが多い。
【0009】
しかし、通常、撮影オーダ情報は、登録順に表示される。そして、比較的多数の撮影オーダ情報が登録されているような場合、例えば、コンソールの表示画面に、入手した多数の撮影オーダ情報を表示させて、放射線技師等が画面をスクロールさせたりしながらそれらの撮影オーダ情報の中から必要な撮影オーダ情報を選択するように構成すると、放射線技師等にとってコンソール上での操作が非常に煩雑なものになる。
【0010】
そこで、例えば特許文献5では、多数の撮影オーダ情報の中から特定の患者に関する撮影オーダ情報のみを抽出し、まとめて表示するように構成された放射線画像撮影システムの発明が開示されている。
【0011】
そして、さらに、当該患者に関する各撮影オーダ情報を表示する際、撮影オーダ情報で指定されている撮影部位等の撮影条件に応じて、撮影オーダ情報ごとに、撮影に用いられる専用機型の放射線画像撮影装置やFPDカセッテを装填するブッキー装置における「立位」や「臥位」等のタイプの表示や、各タイプに応じたアイコン等を対応付けて表示することが提案されている。
【0012】
このようにして各撮影オーダ情報を表示するように構成することで、放射線技師等は、患者ごとに各撮影オーダ情報が表示されるため、撮影オーダ情報を選択し易くなる。また、それとともに、撮影オーダ情報に対応付けられた放射線画像撮影装置やブッキー装置のタイプの表示やアイコンの表示を見ることで、選択した撮影オーダ情報に基づく撮影に、例えば立位撮影用の放射線画像撮影装置やブッキー装置が用いられるか、臥位撮影用の放射線画像撮影装置やブッキー装置が用いられるかを一目で判断することが可能となるといった利点がある。
【0013】
更に、撮影部位や撮影方向の組合せによっては、一見すると、複数のタイプ、例えば、立位タイプ及びカセッテタイプの両方で撮影可能と思える場合もあるが、他の撮影オーダや照射条件等を加味すると、熟練の技師の場合、使用すべきタイプが一義的に解釈できるが、比較的経験の浅い技師の場合には解釈できないので、使用すべきタイプをアイコンで表示しておくことにより、タイプ間違い撮影を未然に防止することができるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3639750号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開平7−140255号公報
【特許文献5】特許第4524062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、病院や医院等の施設では、放射線技師等が複数おり、例えばある放射線技師は「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行い、他の放射線技師は「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されているようなケースがある。
【0016】
このようなケースで、例えば上記の特許文献5に記載された方式を採用すると、例えば「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師にとっては、患者ごとの各撮影オーダ情報の中から、タイプの表示やアイコンを見て、改めて「立位」で撮影を行う各撮影オーダ情報をピックアップしなければならなくなる。
【0017】
或いは、当該放射線技師は、一旦、コンソールの画面上に、全ての撮影オーダ情報を登録順に表示する状態に戻したうえで、タイプの表示やアイコンを見て、改めて「立位」で撮影を行う各撮影オーダ情報を一つ一つピックアップすることになる。しかし、いずれにしても、当該放射線技師にとっては、やはりコンソール上での操作が煩雑なものになってしまう。
【0018】
また、可搬型のFPDカセッテは、単体で使用したり、立位や臥位のブッキー装置に装填して使用したりすることが可能である。また、一の撮影室内に立位、及び、臥位のブッキー装置が存在している時、撮影室内のFPDカセッテは単独の状態か、或いは、ブッキー装置に装填されているか、また、どのブッキー装置に装填されているか、に係らず、例えば立位及び臥位ブッキーを指定する撮影オーダがある。
【0019】
そのような場合、FPDカセッテが立位ブッキーに装填されているにもかかわらず、撮影室外にあるコンソールから臥位ブッキーを最初に指定してしまうと、この指定に伴い、対応する放射線源のX線管球の起動等も開始される。そのため、撮影室内で、一旦FPDカセッテを立位ブッキーから臥位ブッキーに入れ替える作業が必要になり、放射線技師にとっては、撮影に際し、ムダ作業が発生してしまうことになる。
【0020】
また、複数の技師で、一人の患者の複数の撮影予約(撮影オーダ情報)に対応する場合、自分の担当の撮影が終了した場合に、次の撮影に備え、当該患者をいずれかの撮影室へ誘導することになるが、FPDカセッテを使用するシステムにおいては、各撮影室で共通にFPDカセッテが使用(持ち回り使用)されることが多い。
【0021】
そのため、時々刻々と各撮影室内で実施可能な撮影が変化することになるが、当該患者の次の撮影へ向け、どの撮影室に案内すべきか、等に関する配慮が行われていなかったので、放射線科内全体の撮影効率の向上や患者サービスの観点からは、好ましいものではなかった。
【0022】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、コンソールの表示部上に、当該コンソールと対応付けられた各撮影室内の撮影可能な状況に応じて、各撮影オーダ情報を放射線技師にとって選択し易い状態に表示させることが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
FPDカセッテを装填可能なブッキー装置および/または専用機型の放射線画像撮影装置と、被写体を介して前記FPDカセッテまたは前記専用機型の放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線発生装置の放射線源とを備える複数の撮影室と、
前記撮影室ごとに、前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報を管理し、および/または、前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を管理する管理装置と、
表示部を備え、いずれかの前記撮影室に対応付けられるとともに、前記FPDカセッテおよび/または前記専用機型の放射線画像撮影装置から送信された画像データに基づいて放射線画像を生成する複数のコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して、前記表示部に表示し、
前記管理装置は、前記コンソールに対応付けられている前記撮影室における前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、前記コンソールが前記撮影オーダ情報を前記表示部に表示させる際に、前記タイプに対応する前記撮影部位を指定する前記撮影オーダ情報が上位に表示されるように、前記撮影オーダ情報の表示順を可変させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、放射線技師が、撮影室内の特定のタイプのブッキー装置にFPDカセッテを装填したり、或いは特定のタイプの専用機型の放射線画像撮影装置が設けられている撮影室を指定することで、コンソールの表示部上に、当該タイプの各撮影オーダ情報が上位に表示されるように表示順が可変された状態で、各撮影オーダ情報を表示させることが可能となる。
【0025】
そのため、放射線技師は、例えば登録順に表示された各撮影オーダ情報の中から当該タイプの撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択する必要がなくなる。そして、例えば当該タイプが上位に表示された各撮影オーダ情報を上から順に順次選択することが可能となり、表示部上で撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0026】
そのため、放射線技師にとって、コンソール上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システムが放射線技師にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図である。
【図2】図1の放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。
【図3】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図8】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの別の構成例の全体構成を示す図である。
【図9】撮影室も構成を示す図である。
【図10】放射線画像撮影装置のコネクタとブッキー装置のコネクタとが接続された状態を表す外観斜視図である。
【図11】カセッテ保持部の内部にコネクタが設けられたブッキー装置を説明する図である。
【図12】FPDカセッテがクレードルに挿入され、コネクタ同士が接続された状態を表す断面図である。
【図13】タグリーダを備える構成を示す図である。
【図14】撮影オーダ情報の例を示す図である。
【図15】撮影オーダ情報を表示する選択画面の例を示す図である。
【図16】図15の状態から撮影に用いられるブッキー装置等のタイプが変更された状態を表す図である。
【図17】選択された各撮影オーダ情報に対応する各アイコン等が表示された画面の例を示す図である。
【図18】フォーカスされた元のアイコンの位置にプレビュー画像が表示された状態を示す図である。
【図19】次のアイコンがフォーカスされ、元のアイコンの位置に放射線画像が表示された状態を示す図である。
【図20】撮影室内に存在するFPDカセッテおよび立位撮影用のブッキー装置に装填されたFPDカセッテを表すマップの例を示す図である。
【図21】図20の状態でさらにFPDカセッテが臥位撮影用のブッキー装置に装填された場合を表すマップの例を示す図である。
【図22】タイプが「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示された選択画面の例を示す図である。
【図23】患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室に関する情報を表示する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0029】
[放射線画像撮影装置について]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50における放射線画像撮影に用いられる放射線画像撮影装置1について説明する。
【0030】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、可搬型の放射線画像撮影装置1すなわちFPDカセッテ1について説明するが、前述したように、放射線画像撮影装置は、撮影室に据え付けられ、支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置であってもよい。
【0031】
そして、以下においても説明するが、例えば立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置は、後述する立位撮影用のブッキー装置51A(後述する図9参照)にFPDカセッテ1が装填された状態と同じ状態として扱うことが可能である。また、例えば臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置は、後述する臥位撮影用のブッキー装置51B(同図参照)にFPDカセッテ1が装填された状態と同じ状態として扱いことが可能である。
【0032】
また、以下では、放射線画像撮影装置(FPDカセッテ)として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0033】
図1は、本実施形態に係るFPDカセッテの外観斜視図であり、図2は、FPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。また、図3は、図1のX−X線に沿う断面図である。FPDカセッテ1は、図1〜図3に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0034】
図1や図2に示すように、FPDカセッテ1の筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
【0035】
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態やFPDカセッテ1の起動状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0036】
また、図2に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、FPDカセッテ1の識別情報であるカセッテIDを無線で後述するコンソールCや管理装置S等に送信したり、画像データD等をコンソールCに無線で転送するための無線通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、アンテナ装置41を設ける場合には、アンテナ装置41の筐体2上の配置場所や配置する個数は適宜決められる。
【0037】
筐体2の内部には、図3に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。なお、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、センサパネルSPと筐体2の側面との間にも緩衝材36が設けられている。
【0038】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0039】
基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0040】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状ともいう。)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0041】
放射線検出素子7としては、フォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0042】
また、TFT8は、図示しないゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となって放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、ゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となって放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
【0043】
図5に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。そして、図示しないバイアス電源から結線10およびバイアス線9を通じて各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0044】
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0045】
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、FPDカセッテ1のセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0046】
なお、図示を省略するが、専用機型の放射線画像撮影装置は、例えば、このようなセンサパネルSPが内蔵された筐体が、撮影室の床面等に固定された図示しない支持台に対して、例えば上下動可能な状態で取り付けられる等して設けられる。
【0047】
一方、FPDカセッテ1では、患者の身体等の被写体を介して放射線が照射された後、各放射線検出素子7から画像データDの読み出し処理が行われるようになっている。そして、本実施形態では、FPDカセッテ1は、各放射線検出素子7から読み出した各画像データDから所定の割合でデータを間引いてデータ量を減少させた間引きデータDtを作成するようになっている。
【0048】
そして、本実施形態では、FPDカセッテ1は、撮影が終了するごとに、無線通信手段であるアンテナ装置41を介して後述するコンソールCに間引きデータDtを送信するようになっている。そして、間引きデータDtを送信した後、続けて自動的に画像データDを送信するようになっている。なお、送信される間引きデータDtや画像データDには、当該FPDカセッテ1のカセッテIDが付帯されて送信されるようになっている。
【0049】
また、FPDカセッテ1は、各画像データDに重畳されている暗電荷に起因するオフセット分を取得するためのダーク読取処理を所定のタイミングで行うようになっており、ダーク読取処理で読み出したダーク読取値dに基づいて算出したオフセットデータOをコンソールCに自動的に送信するようになっている。
【0050】
[放射線画像撮影システムについて]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成等について説明する。図7や図8は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【0051】
本実施形態では、放射線画像撮影システム50は、複数の撮影室Raと複数のコンソールCと管理装置Sとを備えて構成される。
【0052】
なお、以下では、管理装置SとコンソールCとが別体として設けられている場合について説明するが、例えば複数のコンソールC中の1つのコンソールCが管理装置Sの機能を兼ねるように構成することも可能である。
【0053】
また、例えば図7に示すように、複数の撮影室Raと複数のコンソールCとがLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して接続されており、さらに、ネットワークNに管理装置Sを接続するように構成することが可能である。また、例えば図8に示すように、予め撮影室Raに1対1に対応付けられた複数のコンソールCがネットワークNを介して接続されており、そのネットワークNに、管理装置Sを接続するように構成することも可能である。
【0054】
さらに、図示を省略するが、ネットワークNには、他のコンピュータや、放射線画像をフィルム等の画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等の外部機器、或いは前述したHISやRIS等の必要な装置や設備が接続されている。
【0055】
各撮影室Raは、撮影する患者の身体の部位すなわち被写体の撮影部位に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋である。以下、放射線画像撮影システム50における各撮影室Ra内の構成等について説明する。なお、以下では、図7に示した場合について説明するが、図8に示したように構成する場合には、例えば後述する前室Rb内にコンソールCが設けられる。
【0056】
撮影室Ra内には、図9に示すように、FPDカセッテ1を装填可能なブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、カセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aにFPDカセッテ1を装填して用いることができるようになっている。
【0057】
本実施形態では、各撮影室Ra内には、ブッキー装置51として、立位撮影用(すなわち患者を起立された状態で行う撮影用)のタイプのブッキー装置51A(以下、立位撮影用のブッキー装置51Aという。)と、臥位撮影用(すなわち患者を天板上に横臥された状態で行う撮影用)のタイプのブッキー装置51B(以下、臥位撮影用のブッキー装置51Bという。)との2種類のタイプのブッキー装置51A、51Bが備えられている。
【0058】
なお、各撮影室Ra内に、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれか一方のみが設置されていてもよい。また、ブッキー装置51と専用機型の放射線画像撮影装置とが並存する状態であってもよい。
【0059】
さらには、撮影室Ra内に専用機型の放射線画像撮影装置のみが設けられていてもよいことは前述した通りである。なお、この場合も、撮影室Ra内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置と臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置の両方或いはいずれか一方を設置することが可能である。
【0060】
本実施形態では、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aに従来のCRカセッテを装填して用いることもできるように構成されており、撮影室RaにCRカセッテ用に設置されている既存のブッキー装置が用いられる。
【0061】
そのため、上記のFPDカセッテ1は、CRカセッテと同様の寸法になるように形成されている。すなわち、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0062】
そして、このJIS規格サイズのCRカセッテを装填することができるブッキー装置51への装填使用を可能とするため、FPDカセッテ1も、CRカセッテが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されている。
【0063】
なお、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用の既存のブッキー装置を用いない場合には、FPDカセッテ1を上記の寸法で形成する必要はなく、FPDカセッテ1を任意の大きさや形状に形成することが可能である。しかし、その際には、ブッキー装置51として、任意に設定された形状のFPDカセッテ1を装填することができるブッキー装置を新たに撮影室Ra内に設置することが必要となる。
【0064】
本実施形態では、例えば図10に示すように、ブッキー装置51から延びるケーブルの先端に設けられたコネクタ51bをFPDカセッテ1のコネクタ39(図1参照)に接続した状態で、FPDカセッテ1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填するように構成されている。
【0065】
また、例えば図11に示すように、ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部に、装填されたFPDカセッテ1のコネクタ39と接続されるコネクタ51bを設けておき、FPDカセッテ1を装填すると、FPDカセッテ1のコネクタ39とブッキー装置51のコネクタ51bとが自動的に接続されるように構成することも可能である。
【0066】
そして、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とを接続する際に、ブッキー装置51からFPDカセッテ1に電力を供給するように構成することが可能である。このように構成すれば、FPDカセッテ1に内蔵されたバッテリの消耗を防止することが可能となる。
【0067】
また、ケーブルを後述する中継器54に接続して、ブッキー装置51に装填されたFPDカセッテ1からコンソールCに画像データDを送信する際に、ケーブルを介して有線方式で送信するように構成することも可能である。
【0068】
そして、本実施形態では、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とを接続された段階で、ブッキー装置51がFPDカセッテ1の識別情報であるカセッテIDを読み取って、或いは、FPDカセッテ1がブッキー装置51の識別情報であるブッキーIDを読み取って、ケーブルを介して後述する管理装置Sに、カセッテIDとブッキーIDとを対応付けて送信するようになっている。
【0069】
対応付けられたカセッテIDとブッキーIDの情報を、ブッキー装置51からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0070】
図7〜図9に示すように、撮影室Raには、被写体である患者の身体(すなわち被写体の撮影部位)を介してFPDカセッテ1(或いは専用機型の放射線画像撮影装置)に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。
【0071】
本実施形態では、放射線源52A(図9参照)は、例えば撮影室Raの天井からつり下げられて配置されるようになっており、撮影時にはコンソールCからの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっている。
【0072】
そして、図9に示すように、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されたFPDカセッテ1に対して放射線を照射することができるようになっている。
【0073】
なお、撮影室Ra内に、専用機型の放射線画像撮影装置が設けられる場合や、専用機型の放射線画像撮影装置とブッキー装置51とが混在するように設けられる場合も、放射線源52の放射線の照射方向を変えることで、それらの装置に対して放射線を照射させるように構成することが可能である。
【0074】
また、本実施形態では、撮影室Raには、立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられている。ポータブルの放射線源52Bは、撮影室Ra内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
【0075】
そして、FPDカセッテ1を単独の状態(すなわちブッキー装置51に装填しない状態)で被写体である患者の身体の部分にあてがったり、臥位撮影用のブッキー装置51Bの天板や図示しないベッドと患者の身体との間に差し込んだりした状態で、ポータブルの放射線源52Bから適切な距離や方向で放射線を照射することができるようになっている。
【0076】
放射線源52は、図示しないX線管球を備えており、X線管球は、後述する放射線発生装置57から所定の管電圧や管電流等が供給されると、指定された照射時間だけ管電圧や管電流を供給する等して、管電流等に応じた線量の放射線を照射するようになっている。
【0077】
撮影室Raは放射線が撮影室外に漏洩しないように鉛などでシールドされているため、撮影室Ra内でFPDカセッテ1からアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信することが困難になる。
【0078】
そこで、図7〜図9に示すように、各撮影室Raには、FPDカセッテ1からコンソールCに画像データD等を送信する際にFPDカセッテ1から発信された画像データD等を受信するための無線アンテナ(アクセスポイント等ともいう。)53を備えた中継器54がそれぞれ設けられている。
【0079】
そして、中継器54は、ネットワークNを介して(図7参照)或いは直接(図8参照)コンソールCに接続されており、また、ネットワークN(図7、図8参照)を介して管理装置Sと接続されている。
【0080】
本実施形態では、図9に示すように、中継器54には、後述するクレードル55や前室Rbの放射線発生装置57等が接続されており、中継器54は、それらの各装置やブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置と、撮影室Ra外のコンソールCや管理装置Sとの間の通信を中継するようになっている。
【0081】
そして、中継器54は、無線アンテナ53やクレードル55、後述する放射線発生装置57等の撮影室Raや前室Rb内の各装置からコンソールCや管理装置S等に送信する信号やデータ等を中継する際、それらの信号やデータ等に、自らの識別情報(以下、中継器IDという。)を付帯させて送信するようになっている。
【0082】
本実施形態では、図12に示すように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1が挿入されて、FPDカセッテ1のコネクタ39とクレードル55のコネクタ55aとが接続されると、FPDカセッテ1からクレードル55や中継器54を介して管理装置SにカセッテIDが通知されるようになっている。
【0083】
なお、カセッテIDの情報を、クレードル55からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0084】
また、クレードル55は、通常、FPDカセッテ1等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。さらに、図12では、FPDカセッテ1を挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。
【0085】
さらに、クレードル55は撮影室Raと前室Rbの何れに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線源52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0086】
なお、撮影室Ra内に持ち込まれたFPDカセッテ1を検知してコンソールCや管理装置SにカセッテIDを通知する手段としては、上記のようにクレードル55を用いる代わりに、或いは、それと併用して、図13に示すように、例えば撮影室Raや前室Rbの扉付近にタグリーダ58を設けるように構成することも可能である。
【0087】
このように構成する場合、予め、FPDカセッテ1内に、いわゆるRFIDタグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグにFPDカセッテ1のカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、FPDカセッテ1がタグリーダ58の近傍を通過して撮影室Raや前室Rbに持ち込まれる際に、タグリーダ58でFPDカセッテ1のタグからカセッテID等の情報を読み取って管理装置Sに通知するように構成することが可能である。
【0088】
このように、タグリーダ58を用いるように構成する場合、FPDカセッテ1の撮影室Ra内への持ち込みと当該撮影室Raからの持ち出しの両方を検知することが可能となる。なお、読み取ったカセッテIDの情報を、タグリーダ58からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0089】
図9に示すように、前室(操作室等ともいう。)Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するために撮影者が操作する曝射スイッチ56等を備えた放射線発生装置57が設けられている。
【0090】
そして、放射線発生装置57は、コンソールCからの指示に基づいて、前述したように、使用されるFPDカセッテまたはCRカセッテに応じて、放射線源52に所定の管電圧や管電流等を供給したり、放射線源52を所定の位置に移動させたり、放射線源52の照射方向を変える等して、放射線源52を起動させるようになっている。
【0091】
次に、コンソールCや管理装置S(図7、図8参照)について説明する。
【0092】
まず、コンソールCにおける各処理の一般的な構成について説明する。本発明に特有のコンソールCの表示部Caに表示させる撮影オーダ情報の表示順を可変させる処理等については、各処理の一般的な構成について説明した後で説明する。
【0093】
コンソールCは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、コンソールCは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
【0094】
コンソールCには、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部Ca(図7、図8参照)が設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段等が接続されている。また、コンソールCには、ハードディスク等で構成された図示しない記憶手段が接続されており、或いは、内蔵されている。
【0095】
前述したように、図8に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられている。そのため、下記の図7に示した放射線画像撮影システム50の場合のようなコンソールCによる撮影室Raの指定等の処理は不要である。
【0096】
一方、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられていない。そこで、放射線技師は、あるコンソールCで、これから撮影を行う撮影室Raが指定できるように構成される。この指定により、コンソールCと撮影室Raとが対応付けられるとともに、他のコンソールCに対して当該コンソールCが当該撮影室Raを使用することが宣言されるようになっている。
【0097】
すなわち、例えば、コンソールC1で撮影室Ra1と撮影室Ra2が指定されると、その後は、コンソールC1による指定が解除されるまでは、他のコンソールC2で撮影室Ra1や撮影室Ra2を指定することができなくなる。
【0098】
そして、例えば、コンソールC2で撮影室Ra2内に存在するFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置を制御することができなくなり、或いは、撮影室Ra2内に存在するFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からコンソールC2に画像データD等を送信することができなくなる。
【0099】
なお、本実施形態では、各撮影室Raから管理装置Sへのデータや情報等の送信は、コンソールCによる指定に関わらず行うことができるように構成される。
【0100】
また、図8に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられているため、撮影室Raや前室Rb内の各装置からコンソールC等に信号やデータ等を送信する際、コンソールCは、信号等に付帯されている中継器IDを参照しなくても、当該信号等が当該コンソールCに対応付けられた撮影室Raから送信されてきたものであると認識することができる。
【0101】
一方、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられていないため、コンソールCは、送信されてきた信号等に付帯されている中継器IDを参照することで、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識することができる。
【0102】
すなわち、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCは、予め撮影室Raの識別情報と当該撮影室Ra内に設けられた中継器54の中継器IDとを対応付けたテーブルを備えており、信号やデータ等が送信されてくると、その信号等に付帯されている中継器IDを参照して、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識するように構成される。
【0103】
そのため、上記のようにコンソールCにより撮影室Raが指定されて、当該コンソールCと撮影室Raとが対応付けられると、当該撮影室Ra内のFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から送信された間引きデータDtや画像データD等が確実に当該コンソールCに送信されるようになる。
【0104】
なお、図7に示した放射線画像撮影システム50においても、図8に示した放射線画像撮影システム50においても、管理装置Sは、特定の撮影室Raと1対1に対応付けられていない。そこで、管理装置Sは、予め撮影室Raの識別情報と当該撮影室Ra内に設けられた中継器54の中継器IDとを対応付けたテーブルを備えており、各撮影室Raから中継器54を介して信号やデータ等が送信されてくると、その信号等に付帯されている中継器IDを参照して、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識するようになっている。
【0105】
次に、本実施形態におけるコンソールCでの画像処理等について説明する。
【0106】
コンソールCは、放射線技師等の操作により、前述したHISやRISからネットワークNを介して撮影オーダ情報等の必要な情報を入手するようになっている。撮影オーダ情報は、少なくとも被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定して設定されるようになっている。
【0107】
具体的には、撮影オーダ情報は、図14に例示するように、「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「診療科」P5等の患者情報や、「部位・条件」P6等の撮影条件等で構成されている。そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「登録番号」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0108】
コンソールCは、撮影オーダ情報を入手すると、図15に示すように、表示部Ca上に各撮影オーダ情報の一覧を選択画面H1として表示するようになっている。
【0109】
本実施形態では、選択画面H1には、各撮影オーダ情報のほか、撮影オーダ情報の詳細な説明を表示させるための「詳細」ボタンh11や、次のページにスクロールするための「次ページ」ボタンh12、選択画面H1の表示を終了させるための「終了」ボタンh13等が表示されるようになっている。
【0110】
また、本実施形態では、コンソールCは、各撮影オーダ情報を選択画面H1に表示する際、図15に示すように、撮影オーダ情報に指定されている撮影部位(図14や図15では「部位」と表記されている。)や診療科P6の情報に基づいて、各撮影オーダ情報に、撮影で用いられるブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置のタイプP7や、それらに対応するアイコンP8を付加して表示するようになっている。
【0111】
なお、例えば、後述する管理装置Sで、HISやRISからの各撮影オーダ情報を入手し、上記の各撮影オーダ情報へのタイプP7すなわち立位撮影用か臥位撮影用かの情報やそれらに対応するアイコンP8の付加を行うように構成し、コンソールCは、管理装置SからタイプP7やアイコンP8等が付加された各撮影オーダ情報を入手するように構成することも可能である。
【0112】
また、本実施形態では、放射線技師は、コンソールC(或いは管理装置S)が撮影オーダ情報に付加した、撮影で用いられるブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置のタイプP7以外のタイプで撮影を行いたい場合には、例えば当該撮影オーダ情報のタイプP7の欄をクリックして、タイプP7を変更することができるようになっている。
【0113】
具体的には、タイプP7の欄をクリックすると、選択画面H1上に図示しないウインドウが開き、「立位」、「臥位」、「単独」の各項目が表示されるようになっている。なお、「立位」とは立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置、「臥位」とは臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置、「単独」とはFPDカセッテ1をブッキー装置51に装填せずに単独の状態で撮影に用いる場合を指す。
【0114】
例えば、病院に入院している患者C(図15参照)がベッドから起き上がれない状態であるため、ベッドごと撮影室Raに運び、患者Cの足首とベッドとの間にFPDカセッテ1を挿入した状態で放射線画像撮影を行う場合、当該撮影には、FPDカセッテ1が単独の状態で用いられる。
【0115】
そこで、放射線技師は、選択画面H1上に表示された撮影オーダ情報において、図15に示すように、患者Cの足首の撮影が、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置を用いて行うように表示されている場合には、上記のように、登録番号「003」の撮影オーダ情報のタイプP7の欄をクリックして「単独」の項目を選択する。
【0116】
すると、図16に示すように、当該撮影オーダ情報のタイプP7の表示が「単独」に切り替わるとともに、それに対応するアイコンP8も、FPDカセッテ1が単独の状態で用いられることを表す表示に切り替わるようになっている。
【0117】
本実施形態では、放射線技師等は、図15や図16に示した選択画面H1上で、例えば撮影オーダ情報の登録番号P1等をクリックすることで、各撮影オーダ情報の中から必要な撮影オーダ情報を選択することができるようになっている。
【0118】
コンソールCは、撮影オーダ情報が選択されると、選択画面H1上で、選択された撮影オーダ情報の欄を、例えば特定の色で着色して表示するようになっている。また、コンソールCは、選択された撮影オーダ情報の例えば登録番号P1等の情報を管理装置Sに送信するようになっている。
【0119】
管理装置Sは、あるコンソールCから選択された撮影オーダ情報の情報が送信されてくると、その情報を記憶手段に保存するとともに、当該コンソールC以外の他のコンソールCにその情報を転送するようになっている。
【0120】
そして、他のコンソールCは、管理装置Sから上記の情報が転送されてくると、当該他のコンソールCの表示部Ca上に各撮影オーダ情報を表示させる際に、選択された撮影オーダ情報の欄を、例えば網掛け状に表示するとともに、当該他のコンソールCの選択画面H1上では、網掛け状等に表示された撮影オーダ情報を選択できなくするように構成される。
【0121】
すなわち、本実施形態では、あるコンソールCで撮影オーダ情報が選択されると、選択された撮影オーダ情報については、他のコンソールCでは選択することができないようになっている。このように構成することで、重複撮影が防止される。
【0122】
また、後述するように、撮影オーダ情報に基づく撮影で得られた画像データD等に基づいて放射線画像pが生成され、生成された放射線画像pが確定されると、管理装置Sにより、当該撮影オーダ情報が各コンソールCの表示部Caに表示された選択画面H1上から削除されるようになっているが、この点については、後で説明する。
【0123】
放射線技師が上記のようにして選択画面H1上で撮影オーダ情報を選択して「終了」ボタンh13をクリックすると、コンソールCは、表示部Ca上に、例えば図17に示すような画面H2を表示するようになっている。なお、図17では、患者Aで撮影オーダ情報をソートし、当該患者Aに関する4つの撮影オーダ情報が抽出された場合が例示されている。
【0124】
画面H2には、図17に示すように、各撮影オーダ情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンIの下部には、後述するように、アイコンIの位置に表示されるプレビュー画像p_preを撮影者が見て再撮影が不要と判断したり、アイコンIの位置に表示される放射線画像pが正常であると判断して放射線画像pを確定させる際にクリックする「OK」ボタンと、再撮影が必要であったり、放射線画像pに対する画像処理等をやり直す際にクリックする「NG」ボタンがそれぞれ表示されている。
【0125】
また、画面H2の右側に表示されている照射条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「−」ボタンをクリックすることで、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
【0126】
一方、本実施形態では、各アイコンI1〜I4は、何れか1つのアイコンI(図17の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスされて表示されるようになっており、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるようになっている。なお、放射線技師が、別の撮影オーダ情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダ情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して操作することにより、フォーカスを遷移させることができるようになっている。
【0127】
また、本実施形態では、コンソールCは、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるように、撮影室Ra内の放射線発生装置57を制御して、放射線源52に所定の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件で起動させたり、放射線源52を移動させたり、その照射方向を変えさせるようになっている。
【0128】
なお、画面H2の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定された撮影部位が、放射線技師が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。
【0129】
一方、フォーカスして表示されたアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影が行われると、前述したように、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からは、各放射線検出素子7の画像データDから作成された間引きデータDtが送信されてくる。
【0130】
そして、コンソールCは、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から間引きデータDtが送信されてくると、図18に示すように、送信されてきた間引きデータDtに基づくプレビュー画像を、フォーカスされていた元のアイコンI2の位置に表示するようになっている。
【0131】
なお、図示を省略するが、撮影者がプレビュー画像p_preを見易いように、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大して表示するように構成することも可能である。
【0132】
また、その後、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から画像データDが送信されてくると、コンソールCは、画像データDに付帯されている当該FPDカセッテ1のカセッテIDや専用機型の放射線画像撮影装置の識別情報、およびそれに付帯されている中継器54の中継器IDを参照する。
【0133】
そして、送信されてきた画像データDが、当該コンソールCで指定した撮影室Ra、或いは当該コンソールCに1対1に対応付けられている撮影室Raから送信されてきた画像データDであること等を確認して、撮影オーダ情報に画像データDを対応付けるようになっている。
【0134】
そして、コンソールCは、プレビュー画像p_preを所定時間表示する間に、プレビュー画像p_preを見た撮影者が「NG」ボタンをクリックしなければ、図19に示すように、フォーカスして表示するアイコンIを例えば次のアイコンI3に遷移させるとともに、元のアイコンI2に対応する撮影でFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から送信されてきた画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理を開始するようになっている。
【0135】
なお、プレビュー画像p_preを見た撮影者が上記の所定時間の間に「NG」ボタンをクリックした場合には、撮影オーダ情報に対する画像データDの対応付けを解除するとともに、間引きデータDtや画像データDを抹消する。また、画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理も行わない。
【0136】
コンソールCは、撮影に用いられたFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置に関するゲイン補正値等の補正データを管理装置Sから入手するようになっている。また、前述したように、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からは撮影ごとにオフセットデータOが送信されてくる。
【0137】
そのため、放射線画像pの生成処理では、コンソールCは、それらに基づいて、オフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行うようになっている。また、撮影の際に、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置にグリッドを取り付けて撮影が行われている場合があるため、グリッドによるモアレ除去のためのフィルタリング処理をさらに行うようになっている。
【0138】
グリッドを用いた撮影を行う場合、グリッドピッチとFPDカセッテ1等の画素サイズとの関係で、画像データDにモアレを生じる場合がある。このモアレ対策として、例えば特開2000−316126号公報に記載されているように、使用するグリッドを適正に選択すれば、モアレ発生を避けることができる。また、特開平8−88765号公報に記載されているように、一旦、身近のグリッドを使用して撮影を行い、画像データD中に含まれるモアレ成分を、次工程でフィルタリング処理して除去することも知られている。
【0139】
FPDカセッテ1の場合、本実施形態で説明するように複数の撮影室Raで使用されたり、後述する実施形態で説明するように回診先で使用されるので、使用するグリッド種を制限することは得策ではない。すなわち、CRカセッテを用いて撮影を行っていた際に使用されていたグリッドをそのまま使用することが好ましい。また、撮影の都度、各撮影に使用したグリッドピッチ情報を読取り画像に対応付けて保存とすることも可能であるが、専用機型のFPDカセッテの場合とは異なり、FPDカセッテ1の場合、グリッドピッチ情報を対応付けるには、大がかりな既存の撮影設備改造が必要になり、しかも、各撮影における放射線技師等の撮影者の操作も増えるため、現実的ではない。
【0140】
従って、使用するグリッドを限定せず、使用可能性のあるグリッドピッチに対応したモアレ除去フィルタを予め数種準備しておき、画像データDに対して、予め準備しておいた全てのフィルタを順次適用することで、モアレのない放射線画像pを得る方法が、FPDカセッテ1にとっては好ましい。
【0141】
コンソールCは、放射線画像pを生成すると、図19に示したように、生成した放射線画像pを元のアイコンI2の位置に表示する。そして、放射線画像pを見た放射線技師は、生成された放射線画像pが正常であると判断する場合には「OK」ボタンをクリックする。そして、「OK」ボタンがクリックされると、コンソールCは、放射線画像pを確定させて、放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付けるようになっている。
【0142】
そして、コンソールCは、放射線画像pを生成して確定した当該撮影オーダ情報に関する情報を管理装置Sに送信する。また、コンソールCは、確定された放射線画像pのデータ等を、PACS(Picture Archiving and Communication System)やQA(Quality Assurance)ステーション等にネットワークNを介して送信するようになっている。
【0143】
次に、管理装置S(図7、図8参照)について説明する。管理装置Sは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたサーバコンピュータ等で構成されている。
【0144】
ROMには所定のプログラムが格納されており、管理装置Sは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。また、管理装置Sには、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された図示しない記憶手段が接続されており、或いは、内蔵されている。
【0145】
管理装置Sの記憶手段には、放射線画像撮影システム50(図7、図8参照)内で使用し得る各FPDカセッテ1に関するゲイン補正値等の補正データの情報等が予め保存されている。そして、管理装置Sは、コンソールCから、あるFPDカセッテ1に関する補正データの送信要求があった場合に、当該FPDカセッテ1に関する補正データ等の必要な情報を当該コンソールCに送信するようになっていることは前述した通りである。
【0146】
また、本実施形態では、前述したように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1がクレードル55(図12参照)に挿入されたり、撮影室Raや前室Rbの扉付近に設けられたタグリーダ58(図13参照)によりFPDカセッテ1内に内蔵されたRFIDタグが読み取られる等して、FPDカセッテ1のカセッテID等が、中継器54を介して管理装置Sに通知されてくる。
【0147】
そこで、管理装置Sは、通知されてきたカセッテIDを、カセッテIDに付帯されている中継器IDに対応する撮影室Raの識別情報に対応付けて記憶手段に保存し、そのカセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識して管理するようになっている。
【0148】
なお、当該撮影室Raに対応付けられたコンソールCにおいても、クレードル55やタグリーダ58から通知されてきたカセッテIDに基づいて、当該カセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識するように構成することも可能である。
【0149】
また、先に、コンソールCで、当該カセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識したうえで、管理装置Sに、当該FPDカセッテ1のカセッテIDと撮影室Raの識別情報を通知するように構成することも可能である。また、このように構成することが可能であることは、下記のFPDカセッテ1のブッキー装置51への装填の際の通知についても同様である。
【0150】
一方、本実施形態では、前述したように、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とが接続されると(図10、図11参照)、管理装置Sに、撮影室Raの中継器54の中継器IDが付帯されたカセッテIDおよびブッキーIDが通知されてくる。
【0151】
そこで、管理装置Sは、通知されてきたカセッテIDを、カセッテIDに付帯されている中継器IDに対応する撮影室Ra内に設けられたブッキー装置51の識別情報であるブッキーIDに対応付けて記憶手段に保存する。
【0152】
そして、カセッテID「FPD−001」のFPDカセッテ1が、例えば撮影室Ra1(図7〜図9参照)の立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されたとすると、例えば図20に示すように、FPDカセッテ1のカセッテID「FPD−001」を立位撮影用のブッキー装置51Aの識別情報に対応付けて、カセッテID「FPD−001」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内に設けられた立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されていることを認識して管理するようになっている。
【0153】
なお、図20や後述する図21において、カセッテID「FPD−004」等を有するFPDカセッテ1は、撮影室Ra1内に存在することが管理装置Sに認識されたが、いずれの立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには装填されていない状態であることを示している。
【0154】
また、図20に示した状態で、放射線技師により、例えばカセッテID「FPD−003」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内の臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填された場合には、図21に示すように、管理装置Sは、FPDカセッテ1のカセッテID「FPD−003」を臥位撮影用のブッキー装置51Bの識別情報に対応付ける。このようにして、管理装置Sは、カセッテID「FPD−003」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内に設けられた臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されていることを認識して管理するようになっている。
【0155】
また、図20や図21では図示を省略したが、管理装置Sは、撮影室Ra内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置や臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在する場合、図20等のマップ中に、各撮影室Ra内に設けられている専用機型の放射線画像撮影装置のタイプ(すなわち「立位」、「臥位」或いはその両方)もあわせて管理するようになっている。
【0156】
そして、管理装置Sは、少なくとも以下で説明する撮影オーダ情報の表示順の可変処理等においては、撮影室Ra内で立位撮影用のブッキー装置51A(或いは臥位撮影用のブッキー装置51B)にFPDカセッテ1が装填されていることと、当該撮影室Ra内に立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置(或いは臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置)が存在することとを、同等に扱うようになっている。
【0157】
次に、本実施形態における、管理装置Sによる、コンソールCの表示部Caに表示させる撮影オーダ情報の表示順を可変させる処理等について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0158】
本実施形態では、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室Ra(図8に示したように予め1対1に対応付けられている場合を含む。)における、FPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や当該撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報(図15、図16のP7参照。すなわち「立位」、「臥位」或いは「単独」)に基づいて、当該コンソールCが、上記のように表示部Caの選択画面H1上に各撮影オーダ情報を表示させる際の表示順を可変させるようになっている。
【0159】
具体的には、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCで撮影に用いられる撮影室Ra(例えば撮影室Ra1)が指定された時点で、管理装置Sは、例えば図20に示したマップを参照し、指定された撮影室Ra1内でFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51が立位撮影用のブッキー装置51Aであると判断する。
【0160】
また、図7、図8に示したいずれの放射線画像撮影システム50においても、例えば撮影室Ra1内の立位撮影用のブッキー装置51AにFPDカセッテ1が装填された場合には、管理装置Sは、その時点で、図20に示したように撮影室Ra1内でFPDカセッテ1が装填されたブッキー装置51が立位撮影用のブッキー装置51Aであると判断する。
【0161】
また、撮影室Ra1内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在する場合にも、管理装置Sは、撮影室Ra1内に立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在すると判断する。
【0162】
そして、管理装置Sは、撮影室Ra1に対応付けられたコンソールCに対して、表示部Caの選択画面H1上に各撮影オーダ情報を表示させる際に、各撮影オーダ情報の表示順を、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置を用いて撮影を行う各撮影オーダ情報が選択画面H1上の上位に表示されるようにソートさせて可変させるようになっている。
【0163】
なお、管理装置Sが、各撮影オーダ情報を上記のようにソートし、その状態の各撮影オーダ情報を当該コンソールCに送信して表示させるように構成してもよい。
【0164】
このように構成すると、例えば、上記のようにFPDカセッテ1が立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されたり立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置のみが存在する撮影室Ra1に対応付けられたコンソールCでは、例えば図22に示すように、選択画面H1上に、当該コンソールCが入手した各撮影オーダ情報がソートされて、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示される状態で、各撮影オーダ情報が表示される。
【0165】
前述したように、例えば病院等の施設で、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師がいる場合、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、当該放射線技師は、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaをコンソールCで指定する。
【0166】
また、例えば図8に示した放射線画像撮影システム50の場合には、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaとコンソールCを用いて撮影を行う。なお、上記のいずれの場合でも、立位撮影用のブッキー装置51Aを用いる場合には、当該ブッキー装置51AにFPDカセッテ1を装填する。
【0167】
すると、上記のように、管理装置Sにより、例えば図22に示したように、選択画面H1上に表示される各撮影オーダ情報の表示順が、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように可変させられた状態で、当該コンソールCの選択画面H1上に各撮影オーダ情報が表示される。
【0168】
例えば、図15に示したように、選択画面H1上に各撮影オーダ情報を登録順に表示させると、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師は、表示された各撮影オーダ情報の中から、タイプP7が「立位」の撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択することが必要になる。
【0169】
しかし、上記の本実施形態のように、管理装置SによりコンソールCでの撮影オーダ情報の表示順を可変させて、例えばタイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位にくるように表示順を可変させることで、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が選択画面H1上で一箇所に集まり、しかも、当該放射線技師に見易い、選択画面H1の最上位に表示されるようになる。
【0170】
そのため、当該放射線技師は、例えば図22に示した選択画面H1上で上位に表示されているタイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報を選択し易くなり、例えば上から順に順次選択しながら撮影を行うことが可能となる。そのため、当該放射線技師にとって、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0171】
一方、上記のように、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報に基づく撮影を行ってくれるため、例えば、前述した「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師は、それ以外のタイプP7が「臥位」や「単独」の各撮影オーダ情報に基づく撮影を行えばよい。
【0172】
そこで、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師は、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室Raを別のコンソールCで指定する。
【0173】
また、例えば図8に示した放射線画像撮影システム50の場合には、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaとコンソールCを用いて撮影を行う。なお、上記のいずれの場合でも、臥位撮影用のブッキー装置51Bを用いる場合には、当該ブッキー装置51BにFPDカセッテ1を装填する。
【0174】
すると、前述したように、管理装置Sにより、選択画面H1上に表示される各撮影オーダ情報の表示順が、今度は、タイプP7が「臥位」の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように可変させられた状態で、当該コンソールCの選択画面H1上に各撮影オーダ情報が表示される。
【0175】
そのため、当該放射線技師は、各撮影オーダ情報の中からタイプP7が「臥位」の撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択しなくても、選択画面H1上で、タイプP7が「臥位」の各撮影オーダ情報が最上位に表示されるため、撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0176】
そのため、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師にとっても、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0177】
ところで、撮影オーダ情報に基づく撮影が終わり、当該撮影で得られた画像データD等に基づいて放射線画像pが生成されたにもかかわらず、選択画面H1上に当該撮影オーダ情報が残ったままであると、当該撮影オーダ情報に基づく撮影が、誤って再度行われてしまう事態が生じかねない。
【0178】
そこで、本実施形態では、管理装置Sは、あるコンソールCから、撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影により得られた画像データDに基づいて生成した放射線画像pが確定された旨の通知を受信すると、放射線画像撮影システム50内の各コンソールCに対して、表示部Caの選択画面H1に表示させる各撮影オーダ情報から、当該撮影オーダ情報を削除させるようになっている。
【0179】
このように構成すれば、既に撮影が行われ、放射線画像pが確定された撮影オーダ情報に基づく撮影が誤って再度行われることが的確に防止され、不要な再撮影が行われないようにすることが可能となる。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室RaにおけるFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、コンソールCが撮影オーダ情報を表示部Caの選択画面H1に表示させる際の表示順を可変させるように構成した。
【0181】
そのため、放射線技師は、撮影室Ra内の特定のタイプのブッキー装置51にFPDカセッテ1を装填したり、或いは特定のタイプの専用機型の放射線画像撮影装置が設けられている撮影室Raを指定することで、コンソールCの選択画面H1上に、当該タイプP7の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように表示順が可変された状態で、各撮影オーダ情報を表示させることが可能となる。
【0182】
そのため、放射線技師は、例えば登録順に表示された各撮影オーダ情報の中から当該タイプの撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択する必要がなくなる。そして、例えば当該タイプが上位に表示された各撮影オーダ情報を上から順に順次選択することが可能となり、選択画面H1上で撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0183】
そのため、放射線技師にとって、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0184】
なお、上記の実施形態では、各コンソールCは、放射線画像pを生成して確定すると、放射線画像pやその放射線画像pが対応付けられた撮影オーダ情報等を、PACSやQAステーション等に送信するように構成されている場合について説明した。
【0185】
しかし、放射線画像pをPACS等に送信する場合には、その前に放射線技師がそれらの放射線画像pに対して画像の微調整等を行いたい場合がある。そこで、放射線画像撮影システム50の各コンソールCを、一の患者に対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影で得られた画像データDに基づいて生成し確定された放射線画像pを、当該一の患者に関して指定されたコンソールCに送信するように構成することが可能である。
【0186】
このように構成すれば、例えば、複数の撮影室Raで撮影され、複数のコンソールC上で生成され確定された当該一の患者に関する各放射線画像pが、1つのコンソールCに集められる。そのため、そのコンソールC上で、当該一の患者に関する各放射線画像pに対してまとめて微調整等の処理を行うことが可能となる。
【0187】
また、上記のように、病院等の施設に、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師と、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師とがいるような場合、生成された各放射線画像pの微調整を行う権限が与えられた放射線技師は後者の放射線技師である場合が多い。
【0188】
そして、このような場合、一の患者に対する各撮影の流れは、上記のように、まず、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が「立位」の撮影を行った後で、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師が他の形態での撮影を行うような流れであることが多い。
【0189】
そこで、各放射線画像pが集められる1つのコンソールCとして、当該一の患者に対応する全ての撮影オーダ情報の中で、最後の撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行って放射線画像pを生成させたコンソールCを選択することが可能である。
【0190】
このように構成すれば、一の患者に対応する全ての撮影オーダ情報の中で、最後の撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行って放射線画像pを生成させたコンソールCを操作しているのは、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されており生成された各放射線画像pの微調整を行う権限が与えられた放射線技師である場合が多いため、そのような放射線技師が操作するコンソールCに一の患者に関する全ての放射線画像pが集まり、当該コンソールC上で効率的に各放射線画像pの微調整等の処理を行うことが可能となる。
【0191】
一方、例えば上記のように、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が「立位」の撮影を行った後、他の形態すなわち「臥位」や「単独」の形態で撮影を行う場合、例えば、放射線技師が患者に対して次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raを指示して、その撮影室Raの前で待つように指示するような場合がある。
【0192】
また、当該患者の撮影が「立位」の撮影のみである場合には、放射線技師は、患者に対して、医師の所に戻るように指示したり、帰宅してよい旨を伝えたりするような場合もある。
【0193】
このような場合に、上記の実施形態のように(図22参照)、コンソールCの表示部Ca上で、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が選択画面H1の上位に表示された状態のままであると、放射線技師は、その患者の他のタイプP7すなわち「臥位」や「単独」の撮影オーダ情報があるか否かを、画面をスクロールする等して探さなければならなくなり面倒である。
【0194】
そこで、例えば、放射線技師がコンソールCに患者の氏名や患者IDを入力すると、例えば図23に示すように、コンソールCの表示部Ca上に、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raに関する情報を表示するように構成することが可能である。
【0195】
図23に示す画面H3では、患者の患者IDP2や氏名P3等の下に、当該患者に関する各撮影オーダ情報のうち、撮影部位P61や撮影条件P2、タイプP7、アイコンP8が登録順に表示され、アイコンP8の右側に、さらに、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raの候補P9すなわち「Ra2」等が表示されるようになっている。
【0196】
このように表示させるために、コンソールCは、まず、入手した各撮影オーダ情報の中から、当該患者に対応する各撮影オーダ情報を抽出する。そして、管理装置Sから、撮影室RaごとのFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や各撮影室Raに備えられている専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を入手し、それらの情報に基づいて、撮影オーダ情報ごとにタイプP7に基づいて放射線画像撮影を行うことができる撮影室Raを割り出して、上記のように、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室P9を表示するように構成される。
【0197】
このように構成すれば、放射線技師は、画面をスクロールさせる等しなくても、コンソールCの画面H3を表示させれば容易に当該患者について他のタイプP7すなわち「臥位」や「単独」の撮影オーダ情報があるか否かを確認することが可能となる。
【0198】
また、他のタイプP7の撮影オーダ情報がある場合には、放射線技師は、その撮影室P9の表示を見れば、容易に当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室P9を指示することが可能となる。そのため、放射線画像撮影システム50が、放射線技師にとって非常に使い勝手がよいものとなるだけでなく、撮影の早期完了よる患者の早期解放も可能となり好ましい。
【0199】
なお、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0200】
1 FPDカセッテ
50 放射線画像撮影システム
51 ブッキー装置
52 放射線源
57 放射線発生装置
C、C1、C2 コンソール
Ca 表示部
D 画像データ
p 放射線画像
P7 タイプ
P61 撮影部位
Ra、Ra1〜Ra3 撮影室
S 管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、2次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成され、撮影室に据え付けられた、いわゆる専用機型の放射線画像撮影装置として形成されていた(例えば特許文献1参照)。しかし、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬型とされた放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
また、このような可搬型の放射線画像撮影装置では、バッテリを内蔵し、アンテナ等を備えた無線通信手段を介した電波のやりとりで信号やデータ等の送受信を行う放射線画像撮影装置が開発されている(例えば特許文献4等参照)。なお、以下、可搬型の放射線画像撮影装置を、FPDカセッテという。
【0005】
また、FPDカセッテや専用機型の放射線画像撮影装置を含む放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置等が種々開発されている。
【0006】
なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0007】
ところで、このような放射線画像撮影装置を含む放射線画像撮影システムで放射線画像を行う際、撮影は、被写体である患者の氏名や、撮影する患者の身体の部位(すなわち撮影部位)や撮影方向等の撮影条件の情報を含む撮影オーダ情報に基づいて行われる。
【0008】
そして、放射線画像撮影システムでは、放射線技師等がコンソールを操作して、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)から予め登録された撮影オーダ情報を入手し、入手した各撮影オーダ情報の中から、これから行う撮影に対応する1つの撮影オーダ情報を選択して撮影を行うように構成されることが多い。
【0009】
しかし、通常、撮影オーダ情報は、登録順に表示される。そして、比較的多数の撮影オーダ情報が登録されているような場合、例えば、コンソールの表示画面に、入手した多数の撮影オーダ情報を表示させて、放射線技師等が画面をスクロールさせたりしながらそれらの撮影オーダ情報の中から必要な撮影オーダ情報を選択するように構成すると、放射線技師等にとってコンソール上での操作が非常に煩雑なものになる。
【0010】
そこで、例えば特許文献5では、多数の撮影オーダ情報の中から特定の患者に関する撮影オーダ情報のみを抽出し、まとめて表示するように構成された放射線画像撮影システムの発明が開示されている。
【0011】
そして、さらに、当該患者に関する各撮影オーダ情報を表示する際、撮影オーダ情報で指定されている撮影部位等の撮影条件に応じて、撮影オーダ情報ごとに、撮影に用いられる専用機型の放射線画像撮影装置やFPDカセッテを装填するブッキー装置における「立位」や「臥位」等のタイプの表示や、各タイプに応じたアイコン等を対応付けて表示することが提案されている。
【0012】
このようにして各撮影オーダ情報を表示するように構成することで、放射線技師等は、患者ごとに各撮影オーダ情報が表示されるため、撮影オーダ情報を選択し易くなる。また、それとともに、撮影オーダ情報に対応付けられた放射線画像撮影装置やブッキー装置のタイプの表示やアイコンの表示を見ることで、選択した撮影オーダ情報に基づく撮影に、例えば立位撮影用の放射線画像撮影装置やブッキー装置が用いられるか、臥位撮影用の放射線画像撮影装置やブッキー装置が用いられるかを一目で判断することが可能となるといった利点がある。
【0013】
更に、撮影部位や撮影方向の組合せによっては、一見すると、複数のタイプ、例えば、立位タイプ及びカセッテタイプの両方で撮影可能と思える場合もあるが、他の撮影オーダや照射条件等を加味すると、熟練の技師の場合、使用すべきタイプが一義的に解釈できるが、比較的経験の浅い技師の場合には解釈できないので、使用すべきタイプをアイコンで表示しておくことにより、タイプ間違い撮影を未然に防止することができるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3639750号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開平7−140255号公報
【特許文献5】特許第4524062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、病院や医院等の施設では、放射線技師等が複数おり、例えばある放射線技師は「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行い、他の放射線技師は「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されているようなケースがある。
【0016】
このようなケースで、例えば上記の特許文献5に記載された方式を採用すると、例えば「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師にとっては、患者ごとの各撮影オーダ情報の中から、タイプの表示やアイコンを見て、改めて「立位」で撮影を行う各撮影オーダ情報をピックアップしなければならなくなる。
【0017】
或いは、当該放射線技師は、一旦、コンソールの画面上に、全ての撮影オーダ情報を登録順に表示する状態に戻したうえで、タイプの表示やアイコンを見て、改めて「立位」で撮影を行う各撮影オーダ情報を一つ一つピックアップすることになる。しかし、いずれにしても、当該放射線技師にとっては、やはりコンソール上での操作が煩雑なものになってしまう。
【0018】
また、可搬型のFPDカセッテは、単体で使用したり、立位や臥位のブッキー装置に装填して使用したりすることが可能である。また、一の撮影室内に立位、及び、臥位のブッキー装置が存在している時、撮影室内のFPDカセッテは単独の状態か、或いは、ブッキー装置に装填されているか、また、どのブッキー装置に装填されているか、に係らず、例えば立位及び臥位ブッキーを指定する撮影オーダがある。
【0019】
そのような場合、FPDカセッテが立位ブッキーに装填されているにもかかわらず、撮影室外にあるコンソールから臥位ブッキーを最初に指定してしまうと、この指定に伴い、対応する放射線源のX線管球の起動等も開始される。そのため、撮影室内で、一旦FPDカセッテを立位ブッキーから臥位ブッキーに入れ替える作業が必要になり、放射線技師にとっては、撮影に際し、ムダ作業が発生してしまうことになる。
【0020】
また、複数の技師で、一人の患者の複数の撮影予約(撮影オーダ情報)に対応する場合、自分の担当の撮影が終了した場合に、次の撮影に備え、当該患者をいずれかの撮影室へ誘導することになるが、FPDカセッテを使用するシステムにおいては、各撮影室で共通にFPDカセッテが使用(持ち回り使用)されることが多い。
【0021】
そのため、時々刻々と各撮影室内で実施可能な撮影が変化することになるが、当該患者の次の撮影へ向け、どの撮影室に案内すべきか、等に関する配慮が行われていなかったので、放射線科内全体の撮影効率の向上や患者サービスの観点からは、好ましいものではなかった。
【0022】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、コンソールの表示部上に、当該コンソールと対応付けられた各撮影室内の撮影可能な状況に応じて、各撮影オーダ情報を放射線技師にとって選択し易い状態に表示させることが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
FPDカセッテを装填可能なブッキー装置および/または専用機型の放射線画像撮影装置と、被写体を介して前記FPDカセッテまたは前記専用機型の放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線発生装置の放射線源とを備える複数の撮影室と、
前記撮影室ごとに、前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報を管理し、および/または、前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を管理する管理装置と、
表示部を備え、いずれかの前記撮影室に対応付けられるとともに、前記FPDカセッテおよび/または前記専用機型の放射線画像撮影装置から送信された画像データに基づいて放射線画像を生成する複数のコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して、前記表示部に表示し、
前記管理装置は、前記コンソールに対応付けられている前記撮影室における前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、前記コンソールが前記撮影オーダ情報を前記表示部に表示させる際に、前記タイプに対応する前記撮影部位を指定する前記撮影オーダ情報が上位に表示されるように、前記撮影オーダ情報の表示順を可変させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、放射線技師が、撮影室内の特定のタイプのブッキー装置にFPDカセッテを装填したり、或いは特定のタイプの専用機型の放射線画像撮影装置が設けられている撮影室を指定することで、コンソールの表示部上に、当該タイプの各撮影オーダ情報が上位に表示されるように表示順が可変された状態で、各撮影オーダ情報を表示させることが可能となる。
【0025】
そのため、放射線技師は、例えば登録順に表示された各撮影オーダ情報の中から当該タイプの撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択する必要がなくなる。そして、例えば当該タイプが上位に表示された各撮影オーダ情報を上から順に順次選択することが可能となり、表示部上で撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0026】
そのため、放射線技師にとって、コンソール上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システムが放射線技師にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図である。
【図2】図1の放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。
【図3】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図8】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの別の構成例の全体構成を示す図である。
【図9】撮影室も構成を示す図である。
【図10】放射線画像撮影装置のコネクタとブッキー装置のコネクタとが接続された状態を表す外観斜視図である。
【図11】カセッテ保持部の内部にコネクタが設けられたブッキー装置を説明する図である。
【図12】FPDカセッテがクレードルに挿入され、コネクタ同士が接続された状態を表す断面図である。
【図13】タグリーダを備える構成を示す図である。
【図14】撮影オーダ情報の例を示す図である。
【図15】撮影オーダ情報を表示する選択画面の例を示す図である。
【図16】図15の状態から撮影に用いられるブッキー装置等のタイプが変更された状態を表す図である。
【図17】選択された各撮影オーダ情報に対応する各アイコン等が表示された画面の例を示す図である。
【図18】フォーカスされた元のアイコンの位置にプレビュー画像が表示された状態を示す図である。
【図19】次のアイコンがフォーカスされ、元のアイコンの位置に放射線画像が表示された状態を示す図である。
【図20】撮影室内に存在するFPDカセッテおよび立位撮影用のブッキー装置に装填されたFPDカセッテを表すマップの例を示す図である。
【図21】図20の状態でさらにFPDカセッテが臥位撮影用のブッキー装置に装填された場合を表すマップの例を示す図である。
【図22】タイプが「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示された選択画面の例を示す図である。
【図23】患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室に関する情報を表示する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0029】
[放射線画像撮影装置について]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50における放射線画像撮影に用いられる放射線画像撮影装置1について説明する。
【0030】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、可搬型の放射線画像撮影装置1すなわちFPDカセッテ1について説明するが、前述したように、放射線画像撮影装置は、撮影室に据え付けられ、支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置であってもよい。
【0031】
そして、以下においても説明するが、例えば立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置は、後述する立位撮影用のブッキー装置51A(後述する図9参照)にFPDカセッテ1が装填された状態と同じ状態として扱うことが可能である。また、例えば臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置は、後述する臥位撮影用のブッキー装置51B(同図参照)にFPDカセッテ1が装填された状態と同じ状態として扱いことが可能である。
【0032】
また、以下では、放射線画像撮影装置(FPDカセッテ)として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0033】
図1は、本実施形態に係るFPDカセッテの外観斜視図であり、図2は、FPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。また、図3は、図1のX−X線に沿う断面図である。FPDカセッテ1は、図1〜図3に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0034】
図1や図2に示すように、FPDカセッテ1の筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
【0035】
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態やFPDカセッテ1の起動状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0036】
また、図2に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、FPDカセッテ1の識別情報であるカセッテIDを無線で後述するコンソールCや管理装置S等に送信したり、画像データD等をコンソールCに無線で転送するための無線通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、アンテナ装置41を設ける場合には、アンテナ装置41の筐体2上の配置場所や配置する個数は適宜決められる。
【0037】
筐体2の内部には、図3に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。なお、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、センサパネルSPと筐体2の側面との間にも緩衝材36が設けられている。
【0038】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0039】
基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0040】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状ともいう。)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0041】
放射線検出素子7としては、フォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0042】
また、TFT8は、図示しないゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となって放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、ゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となって放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
【0043】
図5に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。そして、図示しないバイアス電源から結線10およびバイアス線9を通じて各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0044】
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0045】
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、FPDカセッテ1のセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0046】
なお、図示を省略するが、専用機型の放射線画像撮影装置は、例えば、このようなセンサパネルSPが内蔵された筐体が、撮影室の床面等に固定された図示しない支持台に対して、例えば上下動可能な状態で取り付けられる等して設けられる。
【0047】
一方、FPDカセッテ1では、患者の身体等の被写体を介して放射線が照射された後、各放射線検出素子7から画像データDの読み出し処理が行われるようになっている。そして、本実施形態では、FPDカセッテ1は、各放射線検出素子7から読み出した各画像データDから所定の割合でデータを間引いてデータ量を減少させた間引きデータDtを作成するようになっている。
【0048】
そして、本実施形態では、FPDカセッテ1は、撮影が終了するごとに、無線通信手段であるアンテナ装置41を介して後述するコンソールCに間引きデータDtを送信するようになっている。そして、間引きデータDtを送信した後、続けて自動的に画像データDを送信するようになっている。なお、送信される間引きデータDtや画像データDには、当該FPDカセッテ1のカセッテIDが付帯されて送信されるようになっている。
【0049】
また、FPDカセッテ1は、各画像データDに重畳されている暗電荷に起因するオフセット分を取得するためのダーク読取処理を所定のタイミングで行うようになっており、ダーク読取処理で読み出したダーク読取値dに基づいて算出したオフセットデータOをコンソールCに自動的に送信するようになっている。
【0050】
[放射線画像撮影システムについて]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成等について説明する。図7や図8は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【0051】
本実施形態では、放射線画像撮影システム50は、複数の撮影室Raと複数のコンソールCと管理装置Sとを備えて構成される。
【0052】
なお、以下では、管理装置SとコンソールCとが別体として設けられている場合について説明するが、例えば複数のコンソールC中の1つのコンソールCが管理装置Sの機能を兼ねるように構成することも可能である。
【0053】
また、例えば図7に示すように、複数の撮影室Raと複数のコンソールCとがLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して接続されており、さらに、ネットワークNに管理装置Sを接続するように構成することが可能である。また、例えば図8に示すように、予め撮影室Raに1対1に対応付けられた複数のコンソールCがネットワークNを介して接続されており、そのネットワークNに、管理装置Sを接続するように構成することも可能である。
【0054】
さらに、図示を省略するが、ネットワークNには、他のコンピュータや、放射線画像をフィルム等の画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等の外部機器、或いは前述したHISやRIS等の必要な装置や設備が接続されている。
【0055】
各撮影室Raは、撮影する患者の身体の部位すなわち被写体の撮影部位に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋である。以下、放射線画像撮影システム50における各撮影室Ra内の構成等について説明する。なお、以下では、図7に示した場合について説明するが、図8に示したように構成する場合には、例えば後述する前室Rb内にコンソールCが設けられる。
【0056】
撮影室Ra内には、図9に示すように、FPDカセッテ1を装填可能なブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、カセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aにFPDカセッテ1を装填して用いることができるようになっている。
【0057】
本実施形態では、各撮影室Ra内には、ブッキー装置51として、立位撮影用(すなわち患者を起立された状態で行う撮影用)のタイプのブッキー装置51A(以下、立位撮影用のブッキー装置51Aという。)と、臥位撮影用(すなわち患者を天板上に横臥された状態で行う撮影用)のタイプのブッキー装置51B(以下、臥位撮影用のブッキー装置51Bという。)との2種類のタイプのブッキー装置51A、51Bが備えられている。
【0058】
なお、各撮影室Ra内に、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれか一方のみが設置されていてもよい。また、ブッキー装置51と専用機型の放射線画像撮影装置とが並存する状態であってもよい。
【0059】
さらには、撮影室Ra内に専用機型の放射線画像撮影装置のみが設けられていてもよいことは前述した通りである。なお、この場合も、撮影室Ra内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置と臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置の両方或いはいずれか一方を設置することが可能である。
【0060】
本実施形態では、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aに従来のCRカセッテを装填して用いることもできるように構成されており、撮影室RaにCRカセッテ用に設置されている既存のブッキー装置が用いられる。
【0061】
そのため、上記のFPDカセッテ1は、CRカセッテと同様の寸法になるように形成されている。すなわち、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0062】
そして、このJIS規格サイズのCRカセッテを装填することができるブッキー装置51への装填使用を可能とするため、FPDカセッテ1も、CRカセッテが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されている。
【0063】
なお、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用の既存のブッキー装置を用いない場合には、FPDカセッテ1を上記の寸法で形成する必要はなく、FPDカセッテ1を任意の大きさや形状に形成することが可能である。しかし、その際には、ブッキー装置51として、任意に設定された形状のFPDカセッテ1を装填することができるブッキー装置を新たに撮影室Ra内に設置することが必要となる。
【0064】
本実施形態では、例えば図10に示すように、ブッキー装置51から延びるケーブルの先端に設けられたコネクタ51bをFPDカセッテ1のコネクタ39(図1参照)に接続した状態で、FPDカセッテ1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填するように構成されている。
【0065】
また、例えば図11に示すように、ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部に、装填されたFPDカセッテ1のコネクタ39と接続されるコネクタ51bを設けておき、FPDカセッテ1を装填すると、FPDカセッテ1のコネクタ39とブッキー装置51のコネクタ51bとが自動的に接続されるように構成することも可能である。
【0066】
そして、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とを接続する際に、ブッキー装置51からFPDカセッテ1に電力を供給するように構成することが可能である。このように構成すれば、FPDカセッテ1に内蔵されたバッテリの消耗を防止することが可能となる。
【0067】
また、ケーブルを後述する中継器54に接続して、ブッキー装置51に装填されたFPDカセッテ1からコンソールCに画像データDを送信する際に、ケーブルを介して有線方式で送信するように構成することも可能である。
【0068】
そして、本実施形態では、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とを接続された段階で、ブッキー装置51がFPDカセッテ1の識別情報であるカセッテIDを読み取って、或いは、FPDカセッテ1がブッキー装置51の識別情報であるブッキーIDを読み取って、ケーブルを介して後述する管理装置Sに、カセッテIDとブッキーIDとを対応付けて送信するようになっている。
【0069】
対応付けられたカセッテIDとブッキーIDの情報を、ブッキー装置51からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0070】
図7〜図9に示すように、撮影室Raには、被写体である患者の身体(すなわち被写体の撮影部位)を介してFPDカセッテ1(或いは専用機型の放射線画像撮影装置)に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。
【0071】
本実施形態では、放射線源52A(図9参照)は、例えば撮影室Raの天井からつり下げられて配置されるようになっており、撮影時にはコンソールCからの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっている。
【0072】
そして、図9に示すように、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されたFPDカセッテ1に対して放射線を照射することができるようになっている。
【0073】
なお、撮影室Ra内に、専用機型の放射線画像撮影装置が設けられる場合や、専用機型の放射線画像撮影装置とブッキー装置51とが混在するように設けられる場合も、放射線源52の放射線の照射方向を変えることで、それらの装置に対して放射線を照射させるように構成することが可能である。
【0074】
また、本実施形態では、撮影室Raには、立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられている。ポータブルの放射線源52Bは、撮影室Ra内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
【0075】
そして、FPDカセッテ1を単独の状態(すなわちブッキー装置51に装填しない状態)で被写体である患者の身体の部分にあてがったり、臥位撮影用のブッキー装置51Bの天板や図示しないベッドと患者の身体との間に差し込んだりした状態で、ポータブルの放射線源52Bから適切な距離や方向で放射線を照射することができるようになっている。
【0076】
放射線源52は、図示しないX線管球を備えており、X線管球は、後述する放射線発生装置57から所定の管電圧や管電流等が供給されると、指定された照射時間だけ管電圧や管電流を供給する等して、管電流等に応じた線量の放射線を照射するようになっている。
【0077】
撮影室Raは放射線が撮影室外に漏洩しないように鉛などでシールドされているため、撮影室Ra内でFPDカセッテ1からアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信することが困難になる。
【0078】
そこで、図7〜図9に示すように、各撮影室Raには、FPDカセッテ1からコンソールCに画像データD等を送信する際にFPDカセッテ1から発信された画像データD等を受信するための無線アンテナ(アクセスポイント等ともいう。)53を備えた中継器54がそれぞれ設けられている。
【0079】
そして、中継器54は、ネットワークNを介して(図7参照)或いは直接(図8参照)コンソールCに接続されており、また、ネットワークN(図7、図8参照)を介して管理装置Sと接続されている。
【0080】
本実施形態では、図9に示すように、中継器54には、後述するクレードル55や前室Rbの放射線発生装置57等が接続されており、中継器54は、それらの各装置やブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置と、撮影室Ra外のコンソールCや管理装置Sとの間の通信を中継するようになっている。
【0081】
そして、中継器54は、無線アンテナ53やクレードル55、後述する放射線発生装置57等の撮影室Raや前室Rb内の各装置からコンソールCや管理装置S等に送信する信号やデータ等を中継する際、それらの信号やデータ等に、自らの識別情報(以下、中継器IDという。)を付帯させて送信するようになっている。
【0082】
本実施形態では、図12に示すように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1が挿入されて、FPDカセッテ1のコネクタ39とクレードル55のコネクタ55aとが接続されると、FPDカセッテ1からクレードル55や中継器54を介して管理装置SにカセッテIDが通知されるようになっている。
【0083】
なお、カセッテIDの情報を、クレードル55からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0084】
また、クレードル55は、通常、FPDカセッテ1等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。さらに、図12では、FPDカセッテ1を挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。
【0085】
さらに、クレードル55は撮影室Raと前室Rbの何れに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線源52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0086】
なお、撮影室Ra内に持ち込まれたFPDカセッテ1を検知してコンソールCや管理装置SにカセッテIDを通知する手段としては、上記のようにクレードル55を用いる代わりに、或いは、それと併用して、図13に示すように、例えば撮影室Raや前室Rbの扉付近にタグリーダ58を設けるように構成することも可能である。
【0087】
このように構成する場合、予め、FPDカセッテ1内に、いわゆるRFIDタグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグにFPDカセッテ1のカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、FPDカセッテ1がタグリーダ58の近傍を通過して撮影室Raや前室Rbに持ち込まれる際に、タグリーダ58でFPDカセッテ1のタグからカセッテID等の情報を読み取って管理装置Sに通知するように構成することが可能である。
【0088】
このように、タグリーダ58を用いるように構成する場合、FPDカセッテ1の撮影室Ra内への持ち込みと当該撮影室Raからの持ち出しの両方を検知することが可能となる。なお、読み取ったカセッテIDの情報を、タグリーダ58からコンソールCにも送信するように構成することも可能である。
【0089】
図9に示すように、前室(操作室等ともいう。)Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するために撮影者が操作する曝射スイッチ56等を備えた放射線発生装置57が設けられている。
【0090】
そして、放射線発生装置57は、コンソールCからの指示に基づいて、前述したように、使用されるFPDカセッテまたはCRカセッテに応じて、放射線源52に所定の管電圧や管電流等を供給したり、放射線源52を所定の位置に移動させたり、放射線源52の照射方向を変える等して、放射線源52を起動させるようになっている。
【0091】
次に、コンソールCや管理装置S(図7、図8参照)について説明する。
【0092】
まず、コンソールCにおける各処理の一般的な構成について説明する。本発明に特有のコンソールCの表示部Caに表示させる撮影オーダ情報の表示順を可変させる処理等については、各処理の一般的な構成について説明した後で説明する。
【0093】
コンソールCは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、コンソールCは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
【0094】
コンソールCには、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部Ca(図7、図8参照)が設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段等が接続されている。また、コンソールCには、ハードディスク等で構成された図示しない記憶手段が接続されており、或いは、内蔵されている。
【0095】
前述したように、図8に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられている。そのため、下記の図7に示した放射線画像撮影システム50の場合のようなコンソールCによる撮影室Raの指定等の処理は不要である。
【0096】
一方、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられていない。そこで、放射線技師は、あるコンソールCで、これから撮影を行う撮影室Raが指定できるように構成される。この指定により、コンソールCと撮影室Raとが対応付けられるとともに、他のコンソールCに対して当該コンソールCが当該撮影室Raを使用することが宣言されるようになっている。
【0097】
すなわち、例えば、コンソールC1で撮影室Ra1と撮影室Ra2が指定されると、その後は、コンソールC1による指定が解除されるまでは、他のコンソールC2で撮影室Ra1や撮影室Ra2を指定することができなくなる。
【0098】
そして、例えば、コンソールC2で撮影室Ra2内に存在するFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置を制御することができなくなり、或いは、撮影室Ra2内に存在するFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からコンソールC2に画像データD等を送信することができなくなる。
【0099】
なお、本実施形態では、各撮影室Raから管理装置Sへのデータや情報等の送信は、コンソールCによる指定に関わらず行うことができるように構成される。
【0100】
また、図8に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられているため、撮影室Raや前室Rb内の各装置からコンソールC等に信号やデータ等を送信する際、コンソールCは、信号等に付帯されている中継器IDを参照しなくても、当該信号等が当該コンソールCに対応付けられた撮影室Raから送信されてきたものであると認識することができる。
【0101】
一方、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCと撮影室Raとが予め1対1に対応付けられていないため、コンソールCは、送信されてきた信号等に付帯されている中継器IDを参照することで、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識することができる。
【0102】
すなわち、図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCは、予め撮影室Raの識別情報と当該撮影室Ra内に設けられた中継器54の中継器IDとを対応付けたテーブルを備えており、信号やデータ等が送信されてくると、その信号等に付帯されている中継器IDを参照して、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識するように構成される。
【0103】
そのため、上記のようにコンソールCにより撮影室Raが指定されて、当該コンソールCと撮影室Raとが対応付けられると、当該撮影室Ra内のFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から送信された間引きデータDtや画像データD等が確実に当該コンソールCに送信されるようになる。
【0104】
なお、図7に示した放射線画像撮影システム50においても、図8に示した放射線画像撮影システム50においても、管理装置Sは、特定の撮影室Raと1対1に対応付けられていない。そこで、管理装置Sは、予め撮影室Raの識別情報と当該撮影室Ra内に設けられた中継器54の中継器IDとを対応付けたテーブルを備えており、各撮影室Raから中継器54を介して信号やデータ等が送信されてくると、その信号等に付帯されている中継器IDを参照して、当該信号等がどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを認識するようになっている。
【0105】
次に、本実施形態におけるコンソールCでの画像処理等について説明する。
【0106】
コンソールCは、放射線技師等の操作により、前述したHISやRISからネットワークNを介して撮影オーダ情報等の必要な情報を入手するようになっている。撮影オーダ情報は、少なくとも被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定して設定されるようになっている。
【0107】
具体的には、撮影オーダ情報は、図14に例示するように、「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「診療科」P5等の患者情報や、「部位・条件」P6等の撮影条件等で構成されている。そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「登録番号」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0108】
コンソールCは、撮影オーダ情報を入手すると、図15に示すように、表示部Ca上に各撮影オーダ情報の一覧を選択画面H1として表示するようになっている。
【0109】
本実施形態では、選択画面H1には、各撮影オーダ情報のほか、撮影オーダ情報の詳細な説明を表示させるための「詳細」ボタンh11や、次のページにスクロールするための「次ページ」ボタンh12、選択画面H1の表示を終了させるための「終了」ボタンh13等が表示されるようになっている。
【0110】
また、本実施形態では、コンソールCは、各撮影オーダ情報を選択画面H1に表示する際、図15に示すように、撮影オーダ情報に指定されている撮影部位(図14や図15では「部位」と表記されている。)や診療科P6の情報に基づいて、各撮影オーダ情報に、撮影で用いられるブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置のタイプP7や、それらに対応するアイコンP8を付加して表示するようになっている。
【0111】
なお、例えば、後述する管理装置Sで、HISやRISからの各撮影オーダ情報を入手し、上記の各撮影オーダ情報へのタイプP7すなわち立位撮影用か臥位撮影用かの情報やそれらに対応するアイコンP8の付加を行うように構成し、コンソールCは、管理装置SからタイプP7やアイコンP8等が付加された各撮影オーダ情報を入手するように構成することも可能である。
【0112】
また、本実施形態では、放射線技師は、コンソールC(或いは管理装置S)が撮影オーダ情報に付加した、撮影で用いられるブッキー装置51や専用機型の放射線画像撮影装置のタイプP7以外のタイプで撮影を行いたい場合には、例えば当該撮影オーダ情報のタイプP7の欄をクリックして、タイプP7を変更することができるようになっている。
【0113】
具体的には、タイプP7の欄をクリックすると、選択画面H1上に図示しないウインドウが開き、「立位」、「臥位」、「単独」の各項目が表示されるようになっている。なお、「立位」とは立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置、「臥位」とは臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置、「単独」とはFPDカセッテ1をブッキー装置51に装填せずに単独の状態で撮影に用いる場合を指す。
【0114】
例えば、病院に入院している患者C(図15参照)がベッドから起き上がれない状態であるため、ベッドごと撮影室Raに運び、患者Cの足首とベッドとの間にFPDカセッテ1を挿入した状態で放射線画像撮影を行う場合、当該撮影には、FPDカセッテ1が単独の状態で用いられる。
【0115】
そこで、放射線技師は、選択画面H1上に表示された撮影オーダ情報において、図15に示すように、患者Cの足首の撮影が、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置を用いて行うように表示されている場合には、上記のように、登録番号「003」の撮影オーダ情報のタイプP7の欄をクリックして「単独」の項目を選択する。
【0116】
すると、図16に示すように、当該撮影オーダ情報のタイプP7の表示が「単独」に切り替わるとともに、それに対応するアイコンP8も、FPDカセッテ1が単独の状態で用いられることを表す表示に切り替わるようになっている。
【0117】
本実施形態では、放射線技師等は、図15や図16に示した選択画面H1上で、例えば撮影オーダ情報の登録番号P1等をクリックすることで、各撮影オーダ情報の中から必要な撮影オーダ情報を選択することができるようになっている。
【0118】
コンソールCは、撮影オーダ情報が選択されると、選択画面H1上で、選択された撮影オーダ情報の欄を、例えば特定の色で着色して表示するようになっている。また、コンソールCは、選択された撮影オーダ情報の例えば登録番号P1等の情報を管理装置Sに送信するようになっている。
【0119】
管理装置Sは、あるコンソールCから選択された撮影オーダ情報の情報が送信されてくると、その情報を記憶手段に保存するとともに、当該コンソールC以外の他のコンソールCにその情報を転送するようになっている。
【0120】
そして、他のコンソールCは、管理装置Sから上記の情報が転送されてくると、当該他のコンソールCの表示部Ca上に各撮影オーダ情報を表示させる際に、選択された撮影オーダ情報の欄を、例えば網掛け状に表示するとともに、当該他のコンソールCの選択画面H1上では、網掛け状等に表示された撮影オーダ情報を選択できなくするように構成される。
【0121】
すなわち、本実施形態では、あるコンソールCで撮影オーダ情報が選択されると、選択された撮影オーダ情報については、他のコンソールCでは選択することができないようになっている。このように構成することで、重複撮影が防止される。
【0122】
また、後述するように、撮影オーダ情報に基づく撮影で得られた画像データD等に基づいて放射線画像pが生成され、生成された放射線画像pが確定されると、管理装置Sにより、当該撮影オーダ情報が各コンソールCの表示部Caに表示された選択画面H1上から削除されるようになっているが、この点については、後で説明する。
【0123】
放射線技師が上記のようにして選択画面H1上で撮影オーダ情報を選択して「終了」ボタンh13をクリックすると、コンソールCは、表示部Ca上に、例えば図17に示すような画面H2を表示するようになっている。なお、図17では、患者Aで撮影オーダ情報をソートし、当該患者Aに関する4つの撮影オーダ情報が抽出された場合が例示されている。
【0124】
画面H2には、図17に示すように、各撮影オーダ情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンIの下部には、後述するように、アイコンIの位置に表示されるプレビュー画像p_preを撮影者が見て再撮影が不要と判断したり、アイコンIの位置に表示される放射線画像pが正常であると判断して放射線画像pを確定させる際にクリックする「OK」ボタンと、再撮影が必要であったり、放射線画像pに対する画像処理等をやり直す際にクリックする「NG」ボタンがそれぞれ表示されている。
【0125】
また、画面H2の右側に表示されている照射条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「−」ボタンをクリックすることで、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
【0126】
一方、本実施形態では、各アイコンI1〜I4は、何れか1つのアイコンI(図17の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスされて表示されるようになっており、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるようになっている。なお、放射線技師が、別の撮影オーダ情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダ情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して操作することにより、フォーカスを遷移させることができるようになっている。
【0127】
また、本実施形態では、コンソールCは、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるように、撮影室Ra内の放射線発生装置57を制御して、放射線源52に所定の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件で起動させたり、放射線源52を移動させたり、その照射方向を変えさせるようになっている。
【0128】
なお、画面H2の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定された撮影部位が、放射線技師が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。
【0129】
一方、フォーカスして表示されたアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影が行われると、前述したように、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からは、各放射線検出素子7の画像データDから作成された間引きデータDtが送信されてくる。
【0130】
そして、コンソールCは、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から間引きデータDtが送信されてくると、図18に示すように、送信されてきた間引きデータDtに基づくプレビュー画像を、フォーカスされていた元のアイコンI2の位置に表示するようになっている。
【0131】
なお、図示を省略するが、撮影者がプレビュー画像p_preを見易いように、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大して表示するように構成することも可能である。
【0132】
また、その後、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から画像データDが送信されてくると、コンソールCは、画像データDに付帯されている当該FPDカセッテ1のカセッテIDや専用機型の放射線画像撮影装置の識別情報、およびそれに付帯されている中継器54の中継器IDを参照する。
【0133】
そして、送信されてきた画像データDが、当該コンソールCで指定した撮影室Ra、或いは当該コンソールCに1対1に対応付けられている撮影室Raから送信されてきた画像データDであること等を確認して、撮影オーダ情報に画像データDを対応付けるようになっている。
【0134】
そして、コンソールCは、プレビュー画像p_preを所定時間表示する間に、プレビュー画像p_preを見た撮影者が「NG」ボタンをクリックしなければ、図19に示すように、フォーカスして表示するアイコンIを例えば次のアイコンI3に遷移させるとともに、元のアイコンI2に対応する撮影でFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置から送信されてきた画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理を開始するようになっている。
【0135】
なお、プレビュー画像p_preを見た撮影者が上記の所定時間の間に「NG」ボタンをクリックした場合には、撮影オーダ情報に対する画像データDの対応付けを解除するとともに、間引きデータDtや画像データDを抹消する。また、画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理も行わない。
【0136】
コンソールCは、撮影に用いられたFPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置に関するゲイン補正値等の補正データを管理装置Sから入手するようになっている。また、前述したように、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置からは撮影ごとにオフセットデータOが送信されてくる。
【0137】
そのため、放射線画像pの生成処理では、コンソールCは、それらに基づいて、オフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行うようになっている。また、撮影の際に、FPDカセッテ1や専用機型の放射線画像撮影装置にグリッドを取り付けて撮影が行われている場合があるため、グリッドによるモアレ除去のためのフィルタリング処理をさらに行うようになっている。
【0138】
グリッドを用いた撮影を行う場合、グリッドピッチとFPDカセッテ1等の画素サイズとの関係で、画像データDにモアレを生じる場合がある。このモアレ対策として、例えば特開2000−316126号公報に記載されているように、使用するグリッドを適正に選択すれば、モアレ発生を避けることができる。また、特開平8−88765号公報に記載されているように、一旦、身近のグリッドを使用して撮影を行い、画像データD中に含まれるモアレ成分を、次工程でフィルタリング処理して除去することも知られている。
【0139】
FPDカセッテ1の場合、本実施形態で説明するように複数の撮影室Raで使用されたり、後述する実施形態で説明するように回診先で使用されるので、使用するグリッド種を制限することは得策ではない。すなわち、CRカセッテを用いて撮影を行っていた際に使用されていたグリッドをそのまま使用することが好ましい。また、撮影の都度、各撮影に使用したグリッドピッチ情報を読取り画像に対応付けて保存とすることも可能であるが、専用機型のFPDカセッテの場合とは異なり、FPDカセッテ1の場合、グリッドピッチ情報を対応付けるには、大がかりな既存の撮影設備改造が必要になり、しかも、各撮影における放射線技師等の撮影者の操作も増えるため、現実的ではない。
【0140】
従って、使用するグリッドを限定せず、使用可能性のあるグリッドピッチに対応したモアレ除去フィルタを予め数種準備しておき、画像データDに対して、予め準備しておいた全てのフィルタを順次適用することで、モアレのない放射線画像pを得る方法が、FPDカセッテ1にとっては好ましい。
【0141】
コンソールCは、放射線画像pを生成すると、図19に示したように、生成した放射線画像pを元のアイコンI2の位置に表示する。そして、放射線画像pを見た放射線技師は、生成された放射線画像pが正常であると判断する場合には「OK」ボタンをクリックする。そして、「OK」ボタンがクリックされると、コンソールCは、放射線画像pを確定させて、放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付けるようになっている。
【0142】
そして、コンソールCは、放射線画像pを生成して確定した当該撮影オーダ情報に関する情報を管理装置Sに送信する。また、コンソールCは、確定された放射線画像pのデータ等を、PACS(Picture Archiving and Communication System)やQA(Quality Assurance)ステーション等にネットワークNを介して送信するようになっている。
【0143】
次に、管理装置S(図7、図8参照)について説明する。管理装置Sは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたサーバコンピュータ等で構成されている。
【0144】
ROMには所定のプログラムが格納されており、管理装置Sは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。また、管理装置Sには、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された図示しない記憶手段が接続されており、或いは、内蔵されている。
【0145】
管理装置Sの記憶手段には、放射線画像撮影システム50(図7、図8参照)内で使用し得る各FPDカセッテ1に関するゲイン補正値等の補正データの情報等が予め保存されている。そして、管理装置Sは、コンソールCから、あるFPDカセッテ1に関する補正データの送信要求があった場合に、当該FPDカセッテ1に関する補正データ等の必要な情報を当該コンソールCに送信するようになっていることは前述した通りである。
【0146】
また、本実施形態では、前述したように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1がクレードル55(図12参照)に挿入されたり、撮影室Raや前室Rbの扉付近に設けられたタグリーダ58(図13参照)によりFPDカセッテ1内に内蔵されたRFIDタグが読み取られる等して、FPDカセッテ1のカセッテID等が、中継器54を介して管理装置Sに通知されてくる。
【0147】
そこで、管理装置Sは、通知されてきたカセッテIDを、カセッテIDに付帯されている中継器IDに対応する撮影室Raの識別情報に対応付けて記憶手段に保存し、そのカセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識して管理するようになっている。
【0148】
なお、当該撮影室Raに対応付けられたコンソールCにおいても、クレードル55やタグリーダ58から通知されてきたカセッテIDに基づいて、当該カセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識するように構成することも可能である。
【0149】
また、先に、コンソールCで、当該カセッテIDを有するFPDカセッテ1が当該撮影室Ra内に存在することを認識したうえで、管理装置Sに、当該FPDカセッテ1のカセッテIDと撮影室Raの識別情報を通知するように構成することも可能である。また、このように構成することが可能であることは、下記のFPDカセッテ1のブッキー装置51への装填の際の通知についても同様である。
【0150】
一方、本実施形態では、前述したように、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1のコネクタ39とが接続されると(図10、図11参照)、管理装置Sに、撮影室Raの中継器54の中継器IDが付帯されたカセッテIDおよびブッキーIDが通知されてくる。
【0151】
そこで、管理装置Sは、通知されてきたカセッテIDを、カセッテIDに付帯されている中継器IDに対応する撮影室Ra内に設けられたブッキー装置51の識別情報であるブッキーIDに対応付けて記憶手段に保存する。
【0152】
そして、カセッテID「FPD−001」のFPDカセッテ1が、例えば撮影室Ra1(図7〜図9参照)の立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されたとすると、例えば図20に示すように、FPDカセッテ1のカセッテID「FPD−001」を立位撮影用のブッキー装置51Aの識別情報に対応付けて、カセッテID「FPD−001」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内に設けられた立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されていることを認識して管理するようになっている。
【0153】
なお、図20や後述する図21において、カセッテID「FPD−004」等を有するFPDカセッテ1は、撮影室Ra1内に存在することが管理装置Sに認識されたが、いずれの立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには装填されていない状態であることを示している。
【0154】
また、図20に示した状態で、放射線技師により、例えばカセッテID「FPD−003」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内の臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填された場合には、図21に示すように、管理装置Sは、FPDカセッテ1のカセッテID「FPD−003」を臥位撮影用のブッキー装置51Bの識別情報に対応付ける。このようにして、管理装置Sは、カセッテID「FPD−003」のFPDカセッテ1が撮影室Ra1内に設けられた臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されていることを認識して管理するようになっている。
【0155】
また、図20や図21では図示を省略したが、管理装置Sは、撮影室Ra内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置や臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在する場合、図20等のマップ中に、各撮影室Ra内に設けられている専用機型の放射線画像撮影装置のタイプ(すなわち「立位」、「臥位」或いはその両方)もあわせて管理するようになっている。
【0156】
そして、管理装置Sは、少なくとも以下で説明する撮影オーダ情報の表示順の可変処理等においては、撮影室Ra内で立位撮影用のブッキー装置51A(或いは臥位撮影用のブッキー装置51B)にFPDカセッテ1が装填されていることと、当該撮影室Ra内に立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置(或いは臥位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置)が存在することとを、同等に扱うようになっている。
【0157】
次に、本実施形態における、管理装置Sによる、コンソールCの表示部Caに表示させる撮影オーダ情報の表示順を可変させる処理等について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0158】
本実施形態では、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室Ra(図8に示したように予め1対1に対応付けられている場合を含む。)における、FPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や当該撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報(図15、図16のP7参照。すなわち「立位」、「臥位」或いは「単独」)に基づいて、当該コンソールCが、上記のように表示部Caの選択画面H1上に各撮影オーダ情報を表示させる際の表示順を可変させるようになっている。
【0159】
具体的には、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、コンソールCで撮影に用いられる撮影室Ra(例えば撮影室Ra1)が指定された時点で、管理装置Sは、例えば図20に示したマップを参照し、指定された撮影室Ra1内でFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51が立位撮影用のブッキー装置51Aであると判断する。
【0160】
また、図7、図8に示したいずれの放射線画像撮影システム50においても、例えば撮影室Ra1内の立位撮影用のブッキー装置51AにFPDカセッテ1が装填された場合には、管理装置Sは、その時点で、図20に示したように撮影室Ra1内でFPDカセッテ1が装填されたブッキー装置51が立位撮影用のブッキー装置51Aであると判断する。
【0161】
また、撮影室Ra1内に、立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在する場合にも、管理装置Sは、撮影室Ra1内に立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置が存在すると判断する。
【0162】
そして、管理装置Sは、撮影室Ra1に対応付けられたコンソールCに対して、表示部Caの選択画面H1上に各撮影オーダ情報を表示させる際に、各撮影オーダ情報の表示順を、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置を用いて撮影を行う各撮影オーダ情報が選択画面H1上の上位に表示されるようにソートさせて可変させるようになっている。
【0163】
なお、管理装置Sが、各撮影オーダ情報を上記のようにソートし、その状態の各撮影オーダ情報を当該コンソールCに送信して表示させるように構成してもよい。
【0164】
このように構成すると、例えば、上記のようにFPDカセッテ1が立位撮影用のブッキー装置51Aに装填されたり立位撮影用の専用機型の放射線画像撮影装置のみが存在する撮影室Ra1に対応付けられたコンソールCでは、例えば図22に示すように、選択画面H1上に、当該コンソールCが入手した各撮影オーダ情報がソートされて、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示される状態で、各撮影オーダ情報が表示される。
【0165】
前述したように、例えば病院等の施設で、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師がいる場合、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、当該放射線技師は、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaをコンソールCで指定する。
【0166】
また、例えば図8に示した放射線画像撮影システム50の場合には、立位撮影用のブッキー装置51Aや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaとコンソールCを用いて撮影を行う。なお、上記のいずれの場合でも、立位撮影用のブッキー装置51Aを用いる場合には、当該ブッキー装置51AにFPDカセッテ1を装填する。
【0167】
すると、上記のように、管理装置Sにより、例えば図22に示したように、選択画面H1上に表示される各撮影オーダ情報の表示順が、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように可変させられた状態で、当該コンソールCの選択画面H1上に各撮影オーダ情報が表示される。
【0168】
例えば、図15に示したように、選択画面H1上に各撮影オーダ情報を登録順に表示させると、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師は、表示された各撮影オーダ情報の中から、タイプP7が「立位」の撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択することが必要になる。
【0169】
しかし、上記の本実施形態のように、管理装置SによりコンソールCでの撮影オーダ情報の表示順を可変させて、例えばタイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が上位にくるように表示順を可変させることで、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が選択画面H1上で一箇所に集まり、しかも、当該放射線技師に見易い、選択画面H1の最上位に表示されるようになる。
【0170】
そのため、当該放射線技師は、例えば図22に示した選択画面H1上で上位に表示されているタイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報を選択し易くなり、例えば上から順に順次選択しながら撮影を行うことが可能となる。そのため、当該放射線技師にとって、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0171】
一方、上記のように、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報に基づく撮影を行ってくれるため、例えば、前述した「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師は、それ以外のタイプP7が「臥位」や「単独」の各撮影オーダ情報に基づく撮影を行えばよい。
【0172】
そこで、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師は、例えば図7に示した放射線画像撮影システム50では、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室Raを別のコンソールCで指定する。
【0173】
また、例えば図8に示した放射線画像撮影システム50の場合には、臥位撮影用のブッキー装置51Bや専用機型の放射線画像撮影装置が存在する撮影室RaとコンソールCを用いて撮影を行う。なお、上記のいずれの場合でも、臥位撮影用のブッキー装置51Bを用いる場合には、当該ブッキー装置51BにFPDカセッテ1を装填する。
【0174】
すると、前述したように、管理装置Sにより、選択画面H1上に表示される各撮影オーダ情報の表示順が、今度は、タイプP7が「臥位」の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように可変させられた状態で、当該コンソールCの選択画面H1上に各撮影オーダ情報が表示される。
【0175】
そのため、当該放射線技師は、各撮影オーダ情報の中からタイプP7が「臥位」の撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択しなくても、選択画面H1上で、タイプP7が「臥位」の各撮影オーダ情報が最上位に表示されるため、撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0176】
そのため、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師にとっても、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0177】
ところで、撮影オーダ情報に基づく撮影が終わり、当該撮影で得られた画像データD等に基づいて放射線画像pが生成されたにもかかわらず、選択画面H1上に当該撮影オーダ情報が残ったままであると、当該撮影オーダ情報に基づく撮影が、誤って再度行われてしまう事態が生じかねない。
【0178】
そこで、本実施形態では、管理装置Sは、あるコンソールCから、撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影により得られた画像データDに基づいて生成した放射線画像pが確定された旨の通知を受信すると、放射線画像撮影システム50内の各コンソールCに対して、表示部Caの選択画面H1に表示させる各撮影オーダ情報から、当該撮影オーダ情報を削除させるようになっている。
【0179】
このように構成すれば、既に撮影が行われ、放射線画像pが確定された撮影オーダ情報に基づく撮影が誤って再度行われることが的確に防止され、不要な再撮影が行われないようにすることが可能となる。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、管理装置Sは、コンソールCに対応付けられている撮影室RaにおけるFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や撮影室Raに備えられた専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、コンソールCが撮影オーダ情報を表示部Caの選択画面H1に表示させる際の表示順を可変させるように構成した。
【0181】
そのため、放射線技師は、撮影室Ra内の特定のタイプのブッキー装置51にFPDカセッテ1を装填したり、或いは特定のタイプの専用機型の放射線画像撮影装置が設けられている撮影室Raを指定することで、コンソールCの選択画面H1上に、当該タイプP7の各撮影オーダ情報が上位に表示されるように表示順が可変された状態で、各撮影オーダ情報を表示させることが可能となる。
【0182】
そのため、放射線技師は、例えば登録順に表示された各撮影オーダ情報の中から当該タイプの撮影オーダ情報をいちいちピックアップして選択する必要がなくなる。そして、例えば当該タイプが上位に表示された各撮影オーダ情報を上から順に順次選択することが可能となり、選択画面H1上で撮影オーダ情報を選択し易くなる。
【0183】
そのため、放射線技師にとって、コンソールC上での操作を非常に容易に行うことが可能となり、放射線画像撮影システム50が、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0184】
なお、上記の実施形態では、各コンソールCは、放射線画像pを生成して確定すると、放射線画像pやその放射線画像pが対応付けられた撮影オーダ情報等を、PACSやQAステーション等に送信するように構成されている場合について説明した。
【0185】
しかし、放射線画像pをPACS等に送信する場合には、その前に放射線技師がそれらの放射線画像pに対して画像の微調整等を行いたい場合がある。そこで、放射線画像撮影システム50の各コンソールCを、一の患者に対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影で得られた画像データDに基づいて生成し確定された放射線画像pを、当該一の患者に関して指定されたコンソールCに送信するように構成することが可能である。
【0186】
このように構成すれば、例えば、複数の撮影室Raで撮影され、複数のコンソールC上で生成され確定された当該一の患者に関する各放射線画像pが、1つのコンソールCに集められる。そのため、そのコンソールC上で、当該一の患者に関する各放射線画像pに対してまとめて微調整等の処理を行うことが可能となる。
【0187】
また、上記のように、病院等の施設に、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師と、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師とがいるような場合、生成された各放射線画像pの微調整を行う権限が与えられた放射線技師は後者の放射線技師である場合が多い。
【0188】
そして、このような場合、一の患者に対する各撮影の流れは、上記のように、まず、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が「立位」の撮影を行った後で、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されている放射線技師が他の形態での撮影を行うような流れであることが多い。
【0189】
そこで、各放射線画像pが集められる1つのコンソールCとして、当該一の患者に対応する全ての撮影オーダ情報の中で、最後の撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行って放射線画像pを生成させたコンソールCを選択することが可能である。
【0190】
このように構成すれば、一の患者に対応する全ての撮影オーダ情報の中で、最後の撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行って放射線画像pを生成させたコンソールCを操作しているのは、「立位」や「臥位」を含むあらゆる形態での撮影を行うことが許されており生成された各放射線画像pの微調整を行う権限が与えられた放射線技師である場合が多いため、そのような放射線技師が操作するコンソールCに一の患者に関する全ての放射線画像pが集まり、当該コンソールC上で効率的に各放射線画像pの微調整等の処理を行うことが可能となる。
【0191】
一方、例えば上記のように、「立位」の放射線画像撮影のみを専門に行う放射線技師が「立位」の撮影を行った後、他の形態すなわち「臥位」や「単独」の形態で撮影を行う場合、例えば、放射線技師が患者に対して次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raを指示して、その撮影室Raの前で待つように指示するような場合がある。
【0192】
また、当該患者の撮影が「立位」の撮影のみである場合には、放射線技師は、患者に対して、医師の所に戻るように指示したり、帰宅してよい旨を伝えたりするような場合もある。
【0193】
このような場合に、上記の実施形態のように(図22参照)、コンソールCの表示部Ca上で、タイプP7が「立位」の各撮影オーダ情報が選択画面H1の上位に表示された状態のままであると、放射線技師は、その患者の他のタイプP7すなわち「臥位」や「単独」の撮影オーダ情報があるか否かを、画面をスクロールする等して探さなければならなくなり面倒である。
【0194】
そこで、例えば、放射線技師がコンソールCに患者の氏名や患者IDを入力すると、例えば図23に示すように、コンソールCの表示部Ca上に、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raに関する情報を表示するように構成することが可能である。
【0195】
図23に示す画面H3では、患者の患者IDP2や氏名P3等の下に、当該患者に関する各撮影オーダ情報のうち、撮影部位P61や撮影条件P2、タイプP7、アイコンP8が登録順に表示され、アイコンP8の右側に、さらに、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室Raの候補P9すなわち「Ra2」等が表示されるようになっている。
【0196】
このように表示させるために、コンソールCは、まず、入手した各撮影オーダ情報の中から、当該患者に対応する各撮影オーダ情報を抽出する。そして、管理装置Sから、撮影室RaごとのFPDカセッテ1が装填されているブッキー装置51のタイプの情報や各撮影室Raに備えられている専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を入手し、それらの情報に基づいて、撮影オーダ情報ごとにタイプP7に基づいて放射線画像撮影を行うことができる撮影室Raを割り出して、上記のように、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室P9を表示するように構成される。
【0197】
このように構成すれば、放射線技師は、画面をスクロールさせる等しなくても、コンソールCの画面H3を表示させれば容易に当該患者について他のタイプP7すなわち「臥位」や「単独」の撮影オーダ情報があるか否かを確認することが可能となる。
【0198】
また、他のタイプP7の撮影オーダ情報がある場合には、放射線技師は、その撮影室P9の表示を見れば、容易に当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき撮影室P9を指示することが可能となる。そのため、放射線画像撮影システム50が、放射線技師にとって非常に使い勝手がよいものとなるだけでなく、撮影の早期完了よる患者の早期解放も可能となり好ましい。
【0199】
なお、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0200】
1 FPDカセッテ
50 放射線画像撮影システム
51 ブッキー装置
52 放射線源
57 放射線発生装置
C、C1、C2 コンソール
Ca 表示部
D 画像データ
p 放射線画像
P7 タイプ
P61 撮影部位
Ra、Ra1〜Ra3 撮影室
S 管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FPDカセッテを装填可能なブッキー装置および/または専用機型の放射線画像撮影装置と、被写体を介して前記FPDカセッテまたは前記専用機型の放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線発生装置の放射線源とを備える複数の撮影室と、
前記撮影室ごとに、前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報を管理し、および/または、前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を管理する管理装置と、
表示部を備え、いずれかの前記撮影室に対応付けられるとともに、前記FPDカセッテおよび/または前記専用機型の放射線画像撮影装置から送信された画像データに基づいて放射線画像を生成する複数のコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して、前記表示部に表示し、
前記管理装置は、前記コンソールに対応付けられている前記撮影室における前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、前記コンソールが前記撮影オーダ情報を前記表示部に表示させる際に、前記タイプに対応する前記撮影部位を指定する前記撮影オーダ情報が上位に表示されるように、前記撮影オーダ情報の表示順を可変させることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記コンソールから、前記撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影により得られた前記画像データに基づいて生成した前記放射線画像が確定された旨の通知を受信すると、複数の前記各コンソールに対して、前記表示部に表示させる前記撮影オーダ情報から当該撮影オーダ情報を削除させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記コンソールは、前記被写体である一の患者に対応する前記撮影オーダ情報を抽出し、前記管理装置が管理する前記撮影室ごとの前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき前記撮影室に関する情報を生成して、前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記コンソールは、一の患者に対応する前記撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影で得られた前記画像データに基づいて前記放射線画像を生成すると、当該一の患者に関して指定された前記コンソールに当該放射線画像を送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記一の患者に関して指定されたコンソールは、当該一の患者に対応する全ての前記撮影オーダ情報の中で最後の前記撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行った前記コンソールであることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項1】
FPDカセッテを装填可能なブッキー装置および/または専用機型の放射線画像撮影装置と、被写体を介して前記FPDカセッテまたは前記専用機型の放射線画像撮影装置に放射線を照射する放射線発生装置の放射線源とを備える複数の撮影室と、
前記撮影室ごとに、前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報を管理し、および/または、前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報を管理する管理装置と、
表示部を備え、いずれかの前記撮影室に対応付けられるとともに、前記FPDカセッテおよび/または前記専用機型の放射線画像撮影装置から送信された画像データに基づいて放射線画像を生成する複数のコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、被写体の撮影部位の情報を含む撮影条件を指定する撮影オーダ情報を入手して、前記表示部に表示し、
前記管理装置は、前記コンソールに対応付けられている前記撮影室における前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、前記コンソールが前記撮影オーダ情報を前記表示部に表示させる際に、前記タイプに対応する前記撮影部位を指定する前記撮影オーダ情報が上位に表示されるように、前記撮影オーダ情報の表示順を可変させることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記コンソールから、前記撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影により得られた前記画像データに基づいて生成した前記放射線画像が確定された旨の通知を受信すると、複数の前記各コンソールに対して、前記表示部に表示させる前記撮影オーダ情報から当該撮影オーダ情報を削除させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記コンソールは、前記被写体である一の患者に対応する前記撮影オーダ情報を抽出し、前記管理装置が管理する前記撮影室ごとの前記FPDカセッテが装填されている前記ブッキー装置のタイプの情報および/または前記各撮影室に備えられた前記専用機型の放射線画像撮影装置のタイプの情報に基づいて、当該患者が次に放射線画像撮影を行うべき前記撮影室に関する情報を生成して、前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記コンソールは、一の患者に対応する前記撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影で得られた前記画像データに基づいて前記放射線画像を生成すると、当該一の患者に関して指定された前記コンソールに当該放射線画像を送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記一の患者に関して指定されたコンソールは、当該一の患者に対応する全ての前記撮影オーダ情報の中で最後の前記撮影オーダに基づく放射線画像撮影を行った前記コンソールであることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−157666(P2012−157666A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21357(P2011−21357)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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