説明

放射線画像撮影システム

【課題】CRカセッテとFPDカセッテのいずれかを装填して撮影可能とされた環境下での撮影条件を適切に設定する。
【解決手段】放射線画像撮影システム1は、放射線発生装置4と、ブッキー装置3a、3bと、可搬型FPDカセッテ2aと、ブッキー装置3a、3bおよび可搬型カセッテ2aの各々に対応するアイコンを表示するコンソール7とを備え、コンソール7は、ブッキー装置3a、3bに装填されたカセッテが可搬型FPDカセッテ2aである場合に、ブッキー装置3a、3bに対応するアイコンを、可搬型FPDカセッテ2aが装填されていることを表す態様で表示させ、可搬型FPDカセッテ2aが装填されていることを表す態様で表示されているブッキー装置3a、3bに対応するアイコンが選択されると、撮影終了後、当該ブッキー装置3a、3bに装填されている当該可搬型FPDカセッテ2aから画像データがコンソール7に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病気診断等を目的として、X線画像に代表される、放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来スクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、近年は、放射線画像のデジタル化が実現されており、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートに蓄積させた後、この輝尽性蛍光体シートをレーザ光で走査し、これにより輝尽性蛍光体シートから発光される輝尽光を光電変換して画像データを得るCR(Computed Radiography)装置が広く普及している。
【0003】
放射線画像撮影では、スクリーンフィルムや輝尽性蛍光体シート等の記録媒体を内部に収納したカセッテ(例えば特許文献1〜3参照。以下、CRカセッテという。)が用いられる。なお、CRカセッテは、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテに適合するものとして導入された既存のブッキー装置等を継続して使用可能となるように、当該スクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに倣って、設計・製造されている。言い換えると、カセッテのサイズの互換性が維持され、施設の有効活用と画像データのデジタル化が達成されている。
【0004】
ところで、最近では、医療用の放射線画像を得る手段として、照射された放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器としてFPD(Flat Panel Detector)が知られており(例えば特許文献4参照)、さらに、このFPDをハウジングに収納した可搬型の撮影装置(可搬型のFPD。以下、FPDカセッテという。)が実用化されるようになってきた(例えば特許文献5参照)。
【0005】
このようなFPDカセッテは、例えば、照射された放射線を光に変換するシンチレータとこの光を電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換素子とが筐体(ハウジング)に収納されており、光電変換素子に蓄積された電気信号を読み出して画像データを得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−121783号公報
【特許文献2】特開2005−114944号公報
【特許文献3】特開2002−156717号公報
【特許文献4】特開平9−73144号公報
【特許文献5】特開2006−058124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、現在普及しているCRカセッテは従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに従ったサイズとなっており、それが装填されるブッキー装置等もJIS規格サイズに合わせて作られている。このため、FPDカセッテについても、このJIS規格サイズに従ったカセッテに収納した形で構成すれば、施設に設置されている既存の設備をFPDカセッテを用いた撮影に利用することができ、撮影手段としてFPDカセッテを導入する際の設備投資を最小限度に抑えることができる。
【0008】
しかし、CRカセッテよりもFPDカセッテの方がより低線量の放射線にも十分有効に感応し得るため、放射線発生装置の放射線源から被写体(患者の撮影対象部位)に照射する放射線の照射線量は、通常、CRカセッテの場合よりも低線量に設定されるという違いがある。そのため、上記のように同一のブッキー装置でCRカセッテやFPDカセッテを用いて撮影を行うことを可能とした場合、放射線技師や医師等が、そのブッキー装置に対応付けられた放射線発生装置を起動する際に、用いられるカセッテがCRカセッテかFPDカセッテかによって照射する放射線の照射線量など放射線発生装置の撮影条件を設定することが必要となる。
【0009】
しかし、放射線技師や医師等が撮影を行うたびにブッキー装置に装填したカセッテの種類に応じて放射線発生装置の撮影条件を設定することは煩雑である。また、ブッキー装置に装填したカセッテの種類とは異なる種類のカセッテに対する撮影条件を設定して撮影を行うと、適切な画像データが得られないために再度の撮影が必要となり、被写体である患者の被爆線量が増加してしまうという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、同一のブッキー装置でCRカセッテとFPDカセッテのいずれかを装填して撮影可能とされた環境下で、当該ブッキー装置に対応付けられた放射線発生装置の撮影条件を適切に設定することが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、放射線画像撮影システムにおいて、
放射線を照射する放射線発生装置と、
前記放射線発生装置と予め対応付けられたブッキー装置と、
前記ブッキー装置に装填した状態で、または単独で、被写体を連続撮影可能な可搬型FPDカセッテと、
使用可能な前記ブッキー装置および前記可搬型カセッテの各々に対応するアイコンを表示する表示部を有するコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、前記ブッキー装置に装填されたカセッテが前記可搬型FPDカセッテである場合に、前記ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示させ、
前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている前記ブッキー装置に対応するアイコンが選択されると、撮影終了後、当該ブッキー装置に装填されている当該可搬型FPDカセッテから画像データが前記コンソールに送信されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、
前記ブッキー装置に前記可搬型FPDカセッテが装填されたことが通知されると、当該ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されている場合の態様で表示させるとともに、
前記表示部上から、当該可搬型FPDカセッテに対応するアイコンを削除することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記ブッキー装置を備える撮影室と、
前記可搬型FPDカセッテが前記撮影室に持ち込まれる際に当該可搬型FPDカセッテの固有情報を読み取る検知手段と、
を備え、
前記コンソールは、前記検知手段が読み取った前記可搬型FPDカセッテの固有情報に基づいて、前記撮影室内に存在する前記可搬型FPDカセッテに対応するアイコンを前記表示部上に表示することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記ブッキー装置を複数備え、
前記コンソールは、
前記複数のブッキー装置の各々に対応する前記アイコンをそれぞれ前記表示部に表示し、
前記ブッキー装置ごとに、当該ブッキー装置に装填されたカセッテが前記可搬型FPDカセッテである場合に、当該ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示させるとともに、
前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている、前記ブッキー装置に対応する前記アイコンが選択されると、当該アイコンに対応する前記ブッキー装置に装填されている前記可搬型FPDカセッテに放射線を照射するように前記放射線発生装置を起動することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記複数のブッキー装置に対して前記放射線発生装置がそれぞれ設けられており、
前記コンソールは、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている前記ブッキー装置に対応する前記アイコンが選択されると、当該アイコンに対応する前記放射線発生装置を起動することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図2】FPDカセッテの外観構成を示す斜視図である。
【図3】撮影オーダ情報の一例を示す図である。
【図4】コンソールの表示部に表示される撮影オーダ情報が表示された選択画像の一例を示す図である。
【図5】コンソールの表示部に表示されるブッキー装置やFPDカセッテのアイコンが表示された選択画像の一例を示す図である。
【図6】コンソールの表示部に表示されるブッキー装置やFPDカセッテのアイコンが表示された選択画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0018】
本実施形態に係る放射線画像撮影システム1は、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、図1に示すように、例えば、放射線を照射して患者Mの一部である被写体(患者Mの撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師や医師等(以下、操作者という。)が被写体に照射する放射線の制御や、放射線を照射して取得した放射線画像の画像処理等を行う前室R2とに配置されるものである。
【0019】
本実施形態では、撮影室R1には、可搬型とされたFPDカセッテ2aやCRカセッテ2bを装填可能なブッキー装置3や、被写体に放射線を照射するX線管球等の放射線源を備える放射線発生装置4、FPDカセッテ2aとコンソール7とが無線通信する際にこれらの通信を中継する無線アクセスポイント(基地局)5、FPDカセッテ2aに内蔵された後述するタグを検出するタグリーダ6等が設けられている。
【0020】
また、前室R2には、放射線画像撮影システム1全体の制御を行うコンソール7が設けられている。本実施形態では、放射線画像撮影システム1は、少なくともこれらのブッキー装置3と、放射線発生装置4と、FPDカセッテ2aと、CRカセッテ2bと、コンソール7とを備えて構成されている。なお、以下、FPDカセッテ2aとCRカセッテ2bとを総称する場合、カセッテ2という。
【0021】
カセッテ2のうち、CRカセッテ2bとしては、図示を省略するが、例えば特許文献3に記載されたような輝尽性蛍光体シートをフロント板やバック板で挟持した形態のものが用いられる。本実施形態では、CRカセッテ2bは、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。
【0022】
すなわち、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内に形成され、8インチ×10インチ、10インチ×12インチ、11インチ×14インチ、14インチ×14インチ、14インチ×17インチ(半切サイズ)、17インチ×17インチのものが用意されている。
【0023】
また、CRカセッテ2bの裏面(放射線が入射する側の面とは反対側の面)の所定の位置には、光学的に読み取り可能なパターンが印刷されたバーコードラベルが印刷または貼付されている。バーコードラベルには、当該CRカセッテ2bの固有情報が記録されており、固有情報には、例えば当該CRカセッテ2bに割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやサイズ情報等が含まれている。
【0024】
なお、CRカセッテ2bを用いて放射線画像撮影を行った場合、図示しない読取装置により輝尽性蛍光体シート等からの信号の読み取りが必要となり、操作者は、後述するようにCRカセッテ2bをブッキー装置3に装填した状態で、または単独で、被写体の放射線画像を撮影した後、CRカセッテ2bを読取装置まで持参して読取処理を行う。
【0025】
カセッテ2のうち、FPDカセッテ2aは、図2に示すように、図示しないフォトダイオード等の光電変換素子やシンチレータ等が筐体21内に内蔵されたものを用いることができる。なお、図2では、筐体21がフロント部材21aとバック部材21bとで形成されている場合が示されているが、この他にも、筐体21を筒状のモノコック状に形成することも可能である。
【0026】
また、本実施形態では、FPDカセッテ2aの側面部分には、FPDカセッテ2aの電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ22が配置されている。また、FPDカセッテ2aの側面部分には、筐体21内に内蔵された図示しない充電池の交換のために開閉される蓋部材23が設けられており、蓋部材23の側面部には、FPDカセッテ2aが無線アクセスポイント5を介して外部と無線で情報の送受信を行うためのアンテナ装置24が埋め込まれている。また、この側面部分には、例えばLED等で構成され充電池の充電状況や各種の操作状況等を表示するインジケータ25が設けられている。
【0027】
さらに、電源スイッチ22等が設けられたFPDカセッテ2aの側面部分とは反対側の側面部分には、FPDカセッテ2aがブッキー装置3に装填された場合に、ブッキー装置3内の図示しない電極に接続され、FPDカセッテ2aがブッキー装置3を介して外部からの電力の供給を受け、外部との信号のやりとりを行うための図示しない端子が設けられている。
【0028】
また、FPDカセッテ2a内には、図示しないタグが内蔵されている。本実施形態では、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグといわれるものが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路やFPDカセッテ2aの固有情報を記憶する記憶部がコンパクトに内蔵されている。
【0029】
FPDカセッテ2aは、タグリーダ6から発信された電波をアンテナ装置24を介して受信すると、タグの記憶部に記憶された固有情報をアンテナ装置24を介してタグリーダ6に送信するように構成されている。なお、固有情報には、例えば当該FPDカセッテ2aに割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれている。なお、FPDカセッテ2aの厚さやサイズは、上記のCRカセッテ2bの場合と同様であり、JIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。
【0030】
本実施形態では、FPDカセッテ2aやCRカセッテ2bは、ブッキー装置3に装填して用いることも可能であるが、単独で用いることもできるようになっている。すなわち、カセッテ2(FPDカセッテ2aやCRカセッテ2b)を、ブッキー装置3に装填しない、いわば裸の状態で配置し、その上面(放射線が入射する側の面)上に被写体である患者Mの手等を載置し、ポータブルの放射線発生装置4c、すなわちブッキー装置3に対応付けられていない、いわばフリーな放射線発生装置から放射線を照射して画像データを得るようにして用いることができるようになっている。
【0031】
なお、FPDカセッテ2aは、上記のように、ブッキー装置3に装填されて撮影が行われる場合には、前述した端子を通じてブッキー装置3を介して外部からの電力の供給を受け、画像データの送信等の外部との信号のやりとりを行うが、単独で用いられる場合には、内蔵された充電池の電力により動作するようになっており、画像データの送信等の外部、特にコンソール7との信号のやりとりは、FPDカセッテ2aのアンテナ装置24を介し、撮影室R1内に設けられた無線アクセスポイント5を経由して無線通信で行われるようになっている。なお、例えばFPDカセッテ2aを前室R2に持参してコンソール7に接続して画像データのコンソール7への送信を行うように構成することも可能である。
【0032】
また、FPDカセッテ2aには、図示しない記憶手段が内蔵されており、複数回の放射線画像撮影で得た各画像データを一時的に記憶させることができるようになっている。そのため、FPDカセッテ2aを用いて、被写体に対して連続して放射線を照射し、そのたびごとに画像データを記録していくことで、連続撮影や動画撮影を行うことができるようになっている。
【0033】
撮影室R1は、放射線が外部に漏れないように鉛などでシールドされている。撮影室R1には、放射線画像撮影を行うためにカセッテ2を保持する装置として、ブッキー装置3が設けられている。本実施形態では、ブッキー装置3として、立位撮影用のブッキー装置3aと臥位撮影用のブッキー装置3bとがそれぞれ設けられている。
【0034】
ブッキー装置3には、それぞれCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の図示しないモニタや、キーボードやタッチパネル等の操作入力部、発声部、CPU(Central Processing Unit)等を備えた操作部31が設けられている。操作部31のモニタにはコンソール7から送信されてきた患者情報や撮影条件等の情報が表示されるようになっており、操作者がその表示を見て患者や撮影部位等を確認できるようになっている。
【0035】
また、ブッキー装置3には、カセッテ2を所定の位置に保持するためのカセッテ保持部32がそれぞれ設けられており、本実施形態では、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置3a、3bの各カセッテ保持部32には、それぞれJIS規格サイズに形成されたFPDカセッテ2aとCRカセッテ2bのいずれをも装填できるようになっている。
【0036】
図示を省略するが、ブッキー装置3のカセッテ保持部32には、カセッテ2が装填されたことを物理的に検出するマイクロスイッチ等の装填検出装置や、FPDカセッテ2aが正常に装填された場合にFPDカセッテ2aの端子と接続する電極、CRカセッテ2bが装填される際にCRカセッテ2bのバーコードを光学的に読み取るバーコードリーダ等が設けられている。
【0037】
そして、装填検出装置がカセッテ保持部32へのカセッテ2の装填を検出したにもかかわらず、バーコードリーダによりCRカセッテ2bのバーコードが読み取れず、電極を介したFPDカセッテ2aとの通信が成立しない場合には、操作部31の発声部から音声を発声して操作者に注意を喚起するようになっている。
【0038】
これは、ブッキー装置3のカセッテ保持部32に装填されたFPDカセッテ2aの電源がONになっていなかったり、FPDカセッテ2aの端子が設けられていない側の側面部分、すなわちアンテナ装置24が設けられた側の側面部分からFPDカセッテ2aをカセッテ保持部32に装填したり、或いはカセッテ2の表裏を逆にして装填したりした場合であり、いずれも装填をしなおす必要があるためである。
【0039】
ブッキー装置3は、装填検出装置や電極、バーコードリーダ等からの信号に基づいてFPDカセッテ2aかCRカセッテ2bのいずれかが正常に装填されたことを検知すると、コンソール7に対してカセッテ装填状態であることを通知するようになっており、本実施形態では、装填されたカセッテ2の種類(FPDまたはCR)も通知するようになっている。
【0040】
また、本実施形態では、ブッキー装置3は、カセッテ2が正常に装填されたことを検知した時点で初めて操作者による操作入力部を介した操作部31の操作を可能とするようになっている。すなわち、操作部31は、ブッキー装置3にカセッテ2が正常に装填されない限り、操作を受け付けないようになっている。
【0041】
なお、立位撮影用のブッキー装置3aや臥位撮影用のブッキー装置3bにおいて、例えばそれら自体の位置調整や装置本体に対するカセッテ保持部32の高さ調整等を適宜行うこと等が可能とされていることは、公知のブッキー装置と同様である。
【0042】
撮影室R1には、被写体に放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置4が少なくとも1つ設けられており、本実施形態では、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置3a、3bに、それぞれ放射線発生装置4a、4bがそれぞれ予め対応付けられて配設されている。なお、本実施形態では、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置3a、3bに対して、それらに対応付けられた兼用の放射線発生装置を1つ設けるように構成することも可能である。
【0043】
また、本実施形態では、立位撮影用のブッキー装置3aや臥位撮影用のブッキー装置3bには対応付けられていないポータブルの放射線発生装置4cも設けられており、ポータブルの放射線発生装置4cは、撮影室R1内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
【0044】
なお、ポータブルの放射線発生装置4cは、本実施形態では、コンソール7による制御によらず、FPDカセッテ2aに対して用いる場合にはFPDカセッテ2aからの無線信号により起動させ、CRカセッテ2bに対して用いる場合には操作者が手動で起動させるが、コンソール7の操作で起動させるように構成することも可能である。
【0045】
放射線発生装置4は、放射線源としてX線管球を備えており、X線管球は高圧電圧が印加されると電圧に応じた線量の放射線を照射するようになっている。また、立位撮影用のブッキー装置3aに対応付けられた放射線発生装置4aや、臥位撮影用のブッキー装置3bに対応付けられた放射線発生装置4bは、例えば撮影室R1の天井からつり下げられて配設されており、撮影時にはコンソール7からの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっているが、この点については、後で詳しく説明する。
【0046】
撮影室R1内の一角には、FPDカセッテ2aとコンソール7とが無線通信する際にこれらの通信を中継する無線アクセスポイント(基地局)5が設置されている。図1では、無線アクセスポイント5が撮影室R1の入口付近に設けられている場合が示されているが、これに限定されず、コンソール7の無線通信手段8と無線通信可能な適宜の位置に設置される。
【0047】
前室R2の入口の近傍には、RFIDの技術を用いてFPDカセッテ2aと情報をやりとりするタグリーダ6が設置されている。タグリーダ6は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、前室R2に入室し或いは退室するFPDカセッテ2a、すなわち撮影室R1や前室R2の所定範囲内に進入したFPDカセッテ2aを検出して、当該FPDカセッテ2aのRFIDタグに記憶された固有情報を読み取り、読み取った固有情報をコンソール7に送信するようになっている。コンソール7は、タグリーダ6から送信されてきた固有情報に基づいて撮影室R1や前室R2内にあるFPDカセッテ2aを管理するようになっている。
【0048】
前室R2には、コンソール7が設けられている。コンソール7は、図示しないCPUやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されており、ROMに格納される所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、前述したように放射線画像撮影システム1全体の制御を行うようになっている。また、コンソール7には、CRTやLCD等の表示部71が設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段が接続されている。
【0049】
また、コンソール7には、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置3a、3bやそれらに対応付けられた放射線発生装置4a、4b、ポータブルの放射線発生装置4c、タグリーダ6等がそれぞれケーブル等を介して接続されており、また、無線アクセスポイント5を経由してFPDカセッテ2aと無線通信を行うための無線通信手段8が接続されている。
【0050】
さらに、コンソール7には、ハードディスク等で構成された記憶手段9が接続されている。記憶手段9には、撮影室R1での放射線画像撮影の対象となる患者の情報と撮影条件を含む撮影オーダ情報が記憶されている。撮影オーダ情報は、放射線画像撮影に先立ってリスト形式で予め記憶手段9に入力されるようになっている。
【0051】
本実施形態では、撮影オーダ情報は、図3に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5及び撮影条件としての「撮影部位」P6、「撮影方向」P7を含んで構成されるようになっている。そして、撮影オーダを受け付けた順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0052】
なお、撮影オーダ情報に書き込む患者情報や撮影条件の内容は、上記のものに限定されず、例えば、患者の生年月日、診察回数、放射線の線量、太っているか痩せているか等の情報を含むように構成することも可能であり、適宜設定することができる。また、例えば、ネットワークを介してコンソール7をHIS(Hospital Information System)やRIS(Radiology Information System)に接続し、それらから撮影オーダ情報を入手するように構成することも可能である。
【0053】
また、コンソール7の記憶手段9には、撮影室R1における放射線画像撮影で使用可能なFPDカセッテ2aやCRカセッテ2bについて、カセッテIDと、シンチレータの種類情報やサイズ情報、解像度等の情報とが対応付けられたテーブルが予め記憶されている。
【0054】
図1では図示を省略するが、コンソール7には、この他にも、例えば、コンソール7から出力された画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等が適宜接続される。
【0055】
以下、コンソール7の表示部71に表示される画面等を示して、コンソール7による放射線発生装置4等に対する制御について説明するとともに、あわせて本実施形態に係る放射線画像撮影システム1の作用について説明する。
【0056】
まず、FPDカセッテ2aが外部から前室R2や撮影室R1に持ち込まれると、前室R2の入口近傍に設置されたタグリーダ6が、当該FPDカセッテ2aのRFIDタグに記憶された固有情報を読み取り、読み取った固有情報をコンソール7に送信する。また、撮影室R1や前室R2からFPDカセッテ2aが持ち出される場合にも、タグリーダ6は、読み取った当該FPDカセッテ2aの固有情報をコンソール7に送信する。
【0057】
そして、コンソール7は、RAM等のメモリに、持ち込まれたFPDカセッテ2aのカセッテID等を記憶させて登録し、持ち出されたFPDカセッテ2aの登録を削除することで、撮影室R1や前室R2内にどのFPDカセッテ2aが存在するかを把握する。
【0058】
また、カセッテ2(FPDカセッテ2aまたはCRカセッテ2b)がブッキー装置3に正常に装填され、当該ブッキー装置3からカセッテ装填状態であることが通知されると、コンソール7は、メモリに、通知してきたブッキー装置3のIDと装填されたカセッテ2のカセッテID等を対応付けて記憶して登録する。
【0059】
放射線画像撮影時には、コンソール7は、記憶手段9に記憶されている撮影オーダ情報を読み出して(或いはネットワークを介してHIS/RISから撮影オーダ情報を入手して)取得し、例えば図4に示すように、表示部71の選択画面H1上に表示する。
【0060】
本実施形態では、選択画面H1には、記憶手段9に記憶された撮影オーダ情報のリストを表示するための撮影オーダ情報表示欄h11が設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の左側には、今回撮影する予定である撮影オーダ情報を選択するための選択ボタンh12が各撮影オーダ情報に対応して設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13及び戻るボタンh14が設けられている。
【0061】
そして、今回撮影を行う撮影オーダ情報が、当該撮影オーダ情報に対応する選択ボタンh12がクリックされ、決定ボタンh13がクリックされて選択されると、表示部71の画面が切り換わり、コンソール7は、続いて、表示部71の選択画面H2上に、例えば図5や図6に例示するようなアイコンを表示する。
【0062】
図5や図6に示すように、選択画面H2の左側に、「立位」および「臥位」の表記を矩形状の枠線で囲む状態で、立位撮影用のブッキー装置3aと臥位撮影用のブッキー装置3bに対応するアイコン3A、3Bがそれぞれ表示されている。また、選択画面H2の右側には、撮影室R1や前室R2内に存在するFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aが、それぞれ矩形状の枠線内に1〜3の番号が付されて表示されている。
【0063】
本実施形態では、コンソール7は、メモリを参照して、ブッキー装置3のIDにカセッテ2のカセッテID等が対応付けられていなければ、当該ブッキー装置3に対応するアイコンの枠線を破線で表示して(図5の「立位」3A、「臥位」3Bおよび図6の「立位」3A参照)、そのブッキー装置3には少なくともFPDカセッテ2aは装填されていないことを表示するようになっている。
【0064】
また、コンソール7は、ブッキー装置3のIDにカセッテ2のカセッテID等が対応付けられている場合には、当該ブッキー装置3に対応するアイコンの枠線を実線で表示し、枠線内を所定の色で着色して表示し(図6の「臥位」3B参照)、そのブッキー装置3にFPDカセッテ2aは装填されていることを表示するようになっている。なお、図6では、「臥位」のアイコン3Bの近傍に、臥位撮影用のブッキー装置3bに装填されているFPDカセッテ2aの番号や解像度等が表示されている。
【0065】
このように、本実施形態では、コンソール7は、表示部71に表示するブッキー装置3に対応するアイコンを、ブッキー装置3からの通知に基づいて当該ブッキー装置3にFPDカセッテ2aが装填されているか否かによって異なる態様で表示するようになっている。
【0066】
また、コンソール7は、メモリを参照して、撮影室R1や前室R2内に存在するFPDカセッテ2aの各カセッテIDに対応付けられた解像度等の情報を読み出し、各カセッテIDに付した番号(図5や図6では1〜3)と解像度等の情報とを対応付けて、選択画面H2の右側に表示したFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aの枠線内にそれらを表示するようになっている。なお、FPDカセッテ2aのサイズ等をあわせて表示するように構成することも可能である。
【0067】
例えば、操作者が、臥位撮影用のブッキー装置3bに番号3のFPDカセッテ2aを装填して放射線画像撮影を行う場合、図5に示された選択画面H2が表示された状態で臥位撮影用のブッキー装置3bに番号3のFPDカセッテ2aを装填すると、選択画面H2が図5の選択画面H2から図6の選択画面H2に切り換わる。また、予め臥位撮影用のブッキー装置3bに番号3のFPDカセッテ2aが装填されていれば、図4に示した選択画面H1から選択画面H2に切り換わる際に、図6に示した選択画面H2は最初から表示される。
【0068】
この状態で、例えば図6の選択画面H2が表示された状態で、実線等で表示された臥位撮影用のブッキー装置3bに対応するアイコン3Bがクリックされて選択されると、コンソール7は、当該ブッキー装置3bにはFPDカセッテ2aが装填されていると判断して、臥位撮影用のブッキー装置3bに対応付けられた放射線発生装置4bに、FPDカセッテ2aに対応した低線量の放射線を照射させるべく、放射線発生装置4bの放射線源により所定の電圧を印加して、放射線発生装置4bの立ち上げを即座に開始する。また、同時に、臥位撮影用のブッキー装置3bの上方に放射線源が位置するように放射線発生装置4bを移動させる。
【0069】
一方、例えば図5の選択画面H2が表示された状態で、破線で表示された臥位撮影用のブッキー装置3bに対応するアイコン3Bがクリックされて選択されると、当該ブッキー装置3bには少なくともFPDカセッテ2aは装填されていないため、コンソール7は、臥位撮影用のブッキー装置3bに対応付けられた放射線発生装置4bに、CRカセッテ2bに対応したFPDカセッテ2aの場合よりも高い線量の放射線を照射させるべく、放射線発生装置4bの放射線源により所定の高圧電圧を印加して、放射線発生装置4bの立ち上げを即座に開始する。また、同時に、臥位撮影用のブッキー装置3bの上方に放射線源が位置するように放射線発生装置4bを移動させる。
【0070】
これは、図6の選択画面H2上で、破線で表示された立位撮影用のブッキー装置3aに対応するアイコン3Aがクリックされて選択された場合も同様である。
【0071】
本実施形態では、後者の場合、すなわち表示部71の選択画面H2に表示されたアイコンの中からFPDカセッテ2aが装填されていないブッキー装置3に対応するアイコンが選択された場合に、所定時間が経過しても表示部71に表示されたFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aが選択されない場合には、コンソール7は、そのまま当該ブッキー装置(上記の場合はブッキー装置3b)にCRカセッテ2bが装填されている場合に設定すべき線量の放射線を照射するように当該ブッキー装置に対応付けられた放射線発生装置(上記の場合は放射線発生装置4b)の放射線源に所定の高圧電圧を印加して、放射線発生装置を制御する。
【0072】
この場合、上記の所定時間は、例えば、放射線発生装置4bの立ち上げ開始から立ち上げが完了していわゆるready状態となるまでの時間に設定される。
【0073】
また、上記の場合(表示部71の選択画面H2に表示されたアイコンの中からFPDカセッテ2aが装填されていないブッキー装置3に対応するアイコンが選択された場合)に、上記の所定時間が経過する前に、表示部71に表示されたFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aのいずれか1つ以上が選択された場合には、コンソール7は、放射線源に印加する電圧を、CRカセッテ用の所定の高圧電圧からFPDカセッテ用のより低い所定の電圧に切り換えて、放射線発生装置の立ち上げを続行する。
【0074】
なお、前述したように、FPDカセッテ2aを用いた場合には被写体に放射線を連続して照射する連続撮影や動画撮影が可能であるが、CRカセッテ2bを用いた場合に放射線を連続して照射すると多重露光を生じてしまう。そのため、本実施形態では、コンソール7は、放射線発生装置の放射線源にFPDカセッテ2a用の電圧を印加して立ち上げている際には、図示を省略する設定画面上で連続撮影や動画撮影の設定を許容するが、CRカセッテ2b用の高圧電圧を印加している場合には、連続撮影や動画撮影の設定を許容しないようになっている。具体的には、その場合に連続撮影や動画撮影を設定しようとすると、例えば音声を発して警告するようになっている。
【0075】
また、コンソール7は、図5や図6の選択画面H2上で選択されたアイコンに対応するブッキー装置3にCRカセッテ2bが既に装填されている場合に、上記の所定時間が経過する前にFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aが選択された場合には、当該ブッキー装置3には既にCRカセッテ2bが装填されていることを警告する音声を発声するようになっている。
【0076】
さらに、選択画面H2上でFPDカセッテ2aが装填されていないブッキー装置3に対応するアイコンが選択され、上記の所定時間が経過する前にFPDカセッテ2aに対応するアイコン2Aが選択されたにもかかわらず、操作者がFPDカセッテ2aを当該ブッキー装置3に装填する前に当該ブッキー装置3に対応付けられた放射線発生装置4から放射線を照射するように指示が出されたり、当該ブッキー装置3に誤ってCRカセッテ2bが装填された場合等に警告を発するように構成することも可能であり、適宜行われる。
【0077】
また、図示を省略するが、ポータブルの放射線発生装置4c(図1参照)をコンソール7の操作によって起動させるように構成する場合には、例えば選択画面H2上にポータブルの放射線発生装置4cに対応するアイコンを表示することが好ましい。このように表示すれば、上記のFPDカセッテ2aが装填されていないブッキー装置3のアイコン操作の場合と同様に、当該ポータブルの放射線発生装置4に対応するアイコンを選択後、所定時間内にFPDカセッテ2aを選択するか否かによって、ポータブルの放射線発生装置4cの放射線源に印加する電圧をCRカセッテ用若しくはFPDカセッテ用の所定の電圧に調整することが可能となる。
【0078】
放射線を照射する放射線発生装置4が、用いられるカセッテ2の種類に応じて適切に立ち上げられてready状態となると、操作者は、通常の手順に従って放射線画像撮影を行う。すなわち、カセッテ2が装填されたブッキー装置3に対して、或いは単独のカセッテ2に対して、患者M(図1参照)を適切に位置させたりブッキー装置3や単独のカセッテ2の位置を調整して位置合わせを行い、コンソール7を操作して放射線発生装置4から放射線を照射する。
【0079】
そして、カセッテ2がCRカセッテ2bであれば、前述したようにCRカセッテ2bを読取装置まで持参して画像データを読み取り、画像データはコンソール7に送信されて記憶手段9に格納される。
【0080】
また、カセッテ2がFPDカセッテ2aであり、ブッキー装置3に装填されている場合には、撮影終了後、FPDカセッテ2aの記憶手段に一時的に記憶された単数または複数の画像データがブッキー装置3を介してコンソール7に送信されて、記憶手段9に格納される。
【0081】
また、カセッテ2がFPDカセッテ2aであり、ブッキー装置3に装填されずに単独で用いられた場合には、撮影終了後、FPDカセッテ2aの記憶手段に一時的に記憶された単数または複数の画像データがアンテナ装置24(図2参照)から発信され、無線アクセスポイント5を経由して無線通信でコンソール7に送信される。
【0082】
なお、カセッテ2がFPDカセッテ2aの場合には、画像データを記憶手段に一時的に記憶させずに、撮影終了直後に読み出しと同時にコンソール7に送信することが可能であることは言うまでもない。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム1によれば、コンソール7の表示部71の選択画面H2におけるアイコン操作により、FPDカセッテ2aが装填されているブッキー装置3が選択された場合には、当該ブッキー装置3に予め対応付けられた放射線発生装置4を、FPDカセッテ2aが装填されている場合に照射すべき照射線量の放射線を照射するように制御し、FPDカセッテ2aが装填されていないブッキー装置3が選択された場合には、当該ブッキー装置3に予め対応付けられた放射線発生装置4を、CRカセッテ2bが装填されている場合に照射すべき照射線量の放射線を照射するように制御して、放射線発生装置4から異なる照射線量の放射線を照射するように当該放射線発生装置4を制御するように構成した。
【0084】
そのため、例えばFPDカセッテ2aとCRカセッテ2bをJIS規格サイズに形成する等して、同一のブッキー装置3に対してFPDカセッテ2aとCRカセッテ2bのいずれをも装填可能とされた撮影環境下で、放射線技師や医師等がブッキー装置3に装填されているカセッテ2の種類に応じて放射線発生装置4の撮影条件を設定することなく、コンソール7の表示部71の選択画面H2のアイコン操作を行うだけで自動的に適切に設定することが可能となる。
【0085】
また、そのため、放射線画像撮影の作業が非常に簡便なものとなると同時に、操作者がブッキー装置3に装填したカセッテ2の種類とは異なる種類のカセッテ2に対する撮影条件を設定してしまうことが有効に防止され、再撮影を行って、患者の総被爆線量が増加することを効果的に防止することが可能となる。
【0086】
さらに、本実施形態のように、コンソール7の表示部71の選択画面H2におけるアイコン操作によりブッキー装置3が選択された段階で即座に当該ブッキー装置3に対応付けられた放射線発生装置4の立ち上げを開始することで、速やかに放射線画像撮影を開始することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態では、放射線発生装置4の放射線源に対して、CRカセッテ用に高圧電圧を印加する場合とFPDカセッテ用により低い電圧を印加する場合の2通りに制御する場合について説明したが、より細かく調整するように構成することも可能である。
【0088】
例えば、放射線発生装置4から患者Mに照射する放射線の照射線量は、撮影する患者Mの部位や患者Mが大人であるか子供であるか、或いは患者Mが太っているか痩せているか等で適宜調整されることが好ましい。そのため、コンソール7が放射線発生装置4から照射する放射線の照射線量を設定する際、撮影オーダ情報に含まれる上記のより細かな撮影条件を参照して、上記のようにCRカセッテ用であるかFPDカセッテ用であるかによって設定される基準となる電圧から、さらに照射線量を微調整するように構成することが好ましい。
【0089】
また、本実施形態では、コンソール7の記憶手段9に予め保存されている撮影オーダ情報を読み出し、または、HIS/RIS等からネットワークを介して予め作成された撮影オーダ情報を入手する場合を示したが、撮影オーダ情報は、必ずしも放射線画像撮影前に作成しておく必要はなく、放射線画像撮影後に、取得された画像データと対応付けるようにして撮影オーダ情報を作成するように構成することも可能である。
【0090】
その場合、例えば、図4に例示した選択画面H1の表示は省略され、操作者は、コンソール7を操作して図5や図6に示した選択画面H2を表示部71に表示させてアイコン操作を行うように構成される。
【0091】
さらに、本実施形態では、ブッキー装置3として立位撮影用のブッキー装置3aと臥位撮影用のブッキー装置3bが設けられている場合について説明したが、単数の、或いは3台以上のブッキー装置3が設けられている場合にも本発明は適用される。さらに、その他、本発明が本実施の形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1 放射線画像撮影システム
2 カセッテ
2a 可搬型FPDカセッテ(FPDカセッテ)
2b CRカセッテ
2A 可搬型FPDカセッテに対応するアイコン
3、3a、3b ブッキー装置
3A、3B ブッキー装置に対応するアイコン
4 放射線発生装置
4a、4b ブッキー装置に対応する放射線発生装置
6 タグリーダ(検知手段)
7 コンソール
71 表示部
9 記憶手段
71 表示部
M 患者
R1 撮影室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線発生装置と、
前記放射線発生装置と予め対応付けられたブッキー装置と、
前記ブッキー装置に装填した状態で、または単独で、被写体を連続撮影可能な可搬型FPDカセッテと、
使用可能な前記ブッキー装置および前記可搬型カセッテの各々に対応するアイコンを表示する表示部を有するコンソールと、
を備え、
前記コンソールは、前記ブッキー装置に装填されたカセッテが前記可搬型FPDカセッテである場合に、前記ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示させ、
前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている前記ブッキー装置に対応するアイコンが選択されると、撮影終了後、当該ブッキー装置に装填されている当該可搬型FPDカセッテから画像データが前記コンソールに送信されることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記コンソールは、
前記ブッキー装置に前記可搬型FPDカセッテが装填されたことが通知されると、当該ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されている場合の態様で表示させるとともに、
前記表示部上から、当該可搬型FPDカセッテに対応するアイコンを削除することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記ブッキー装置を備える撮影室と、
前記可搬型FPDカセッテが前記撮影室に持ち込まれる際に当該可搬型FPDカセッテの固有情報を読み取る検知手段と、
を備え、
前記コンソールは、前記検知手段が読み取った前記可搬型FPDカセッテの固有情報に基づいて、前記撮影室内に存在する前記可搬型FPDカセッテに対応するアイコンを前記表示部上に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記ブッキー装置を複数備え、
前記コンソールは、
前記複数のブッキー装置の各々に対応する前記アイコンをそれぞれ前記表示部に表示し、
前記ブッキー装置ごとに、当該ブッキー装置に装填されたカセッテが前記可搬型FPDカセッテである場合に、当該ブッキー装置に対応するアイコンを、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示させるとともに、
前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている、前記ブッキー装置に対応する前記アイコンが選択されると、当該アイコンに対応する前記ブッキー装置に装填されている前記可搬型FPDカセッテに放射線を照射するように前記放射線発生装置を起動することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記複数のブッキー装置に対して前記放射線発生装置がそれぞれ設けられており、
前記コンソールは、前記可搬型FPDカセッテが装填されていることを表す態様で表示されている前記ブッキー装置に対応する前記アイコンが選択されると、当該アイコンに対応する前記放射線発生装置を起動することを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66734(P2013−66734A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−260551(P2012−260551)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2008−131765(P2008−131765)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】