説明

放射線画像撮影装置および方法

【課題】断層画像または立体視画像の表示のために複数回の撮影を行って取得された複数の放射線画像に基づいて、断層画像または立体視画像等の1つの画像を表示するに際し、表示される画像の画質の劣化を防止する。
【解決手段】特徴量算出部2dが、トモシンセシス撮影により取得された、断層画像を生成するための複数の放射線画像について、濃度ヒストグラム等の画質を表す特徴量を算出する。判定部2eが、複数の放射線画像についての特徴量を比較し、比較結果に基づいて、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が存在するか否かを判定する。異常放射線画像が存在する場合、再構成部2cは、複数の放射線画像から異常放射線画像を除外して再構成を行って断層画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の撮影方向から被検体を撮影して複数の放射線画像を取得する放射線画像撮影装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線画像等の医用画像を表示する装置として、左右両眼間の視差情報を含む2つの放射線画像に基づいて立体視画像(3次元画像、ステレオ画像)を表示する装置が提案されている。このような立体視画像は、被検体に異なる方向から放射線を照射し、その被検体を透過した放射線を放射線検出器によりそれぞれ検出して互いに視差のある複数の放射線画像を取得し、これらの放射線画像に基づいて立体視可能に表示される。このように立体視画像を表示することにより、奥行き感のある放射線画像を観察することができるため、診断をより行いやすくすることができる。
【0003】
また、放射線画像撮影装置において、患部をより詳しく観察するために、放射線源を移動させて異なる複数の方向から被検体に放射線を照射して撮影を行い、これにより取得した画像を加算して所望の断面を強調した画像を得ることができるトモシンセシス撮影が提案されている。トモシンセシス撮影では、撮影装置の特性や必要な断層画像に応じて、放射線源を放射線検出器と平行に移動させたり、円や楕円の弧を描くように移動させて、異なる照射角となる複数の照射位置において被検体を撮影することにより複数の放射線画像を取得し、単純逆投影法あるいはフィルタ逆投影法等の逆投影法等を用いてこれらの放射線画像を再構成して断層画像を生成する。
【0004】
ここで、人体の構造物について複数の放射線画像を取得する際に、複数の放射線画像の画質が同一となるように、各放射線画像に対して画像処理を施す手法が提案されている(特許文献1参照)。また、マンモグラフィにおいて、左右の乳房の放射線画像について比較のための指標値を取得し、指標値の差が所定範囲内にあるか否かを判定してその結果を通知する手法が提案されている(特許文献2参照)。また、配線パターンについての複数の放射線画像から断層画像を生成するに際し、複数の放射線画像についてのヒストグラム、空間周波数およびエッジ情報等を用いて複数の放射線画像を比較することにより、配線パターンの位置を検出する手法も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−092948号公報
【特許文献2】特開2010−155017号公報
【特許文献3】特開2008−026334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トモシンセシス撮影または立体視画像の生成のために複数回の撮影を行う場合、例えば撮影中に放射線源の調子が悪くなる等して、ある撮影時の放射線量が低くなる場合がある。このような場合、低い放射線量により取得された放射線画像は、他の放射線画像と比較して濃度が低くなるため、そのような放射線画像を用いて断層画像あるいは立体視画像を生成すると、生成された画像の画質が劣化する。
【0007】
上述した特許文献1に記載された手法は、放射線画像に対して画像処理を施す手法であるため、生成される画像の画質の劣化を防止することはできる。しかしながら、特許文献1に記載された手法を、複数の放射線画像に基づく断層画像または立体視画像の生成に適用した場合、処理効率が悪くなる。また、特許文献2に記載された手法は、放射線画像の指標値を用いて画像を比較しているに過ぎない。また、特許文献3に記載された手法は、配線パターンの位置を検出するために、ヒストグラム等の情報を用いて画像を比較しているに過ぎない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、断層画像または立体視画像の表示のために複数回の撮影を行って取得された複数の放射線画像に基づいて、断層画像または立体視画像等の1つの画像を表示するに際し、表示される画像の画質の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による放射線画像表示装置は、被検体に放射線を照射する放射線照射手段と、
該放射線照射手段によって照射されて前記被検体を透過した放射線を検出して前記被検体の放射線画像を取得する放射線検出手段と、
複数の撮影方向から前記被検体に前記放射線を照射し、該放射線の照射による撮影方向が異なる複数の放射線画像を取得するよう、前記放射線照射手段および前記放射線検出手段を制御する撮影制御手段と、
前記複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記複数の放射線画像の特徴量を比較し、該比較結果に基づいて、前記複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
なお、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記特徴量算出手段を、前記複数の放射線画像の濃度ヒストグラム、空間周波数、エッジ情報、SN比およびコントラストのいずれかに基づいて、前記特徴量を算出する手段としてもよい。
【0011】
より具体的には、濃度ヒストグラムについては、濃度ヒストグラムのピークの信号値、濃度ヒストグラムの分布範囲の大きさ、複数の放射線画像の濃度ヒストグラムの相関値、他の多くの放射線画像の濃度ヒストグラムとは異なるピークが存在するか否かを表す情報等を特徴量として用いることができる。なお、「多くの放射線画像」とは、複数の放射線画像の過半数を超える数の放射線画像を意味する。また、空間周波数については、特定の空間周波数成分のスペクトルあるいはスペクトルの積分値を特徴量として用いることができる。また、エッジ情報については、放射線画像からエッジを抽出し、抽出したエッジにおける画素値の大きさを用いることができる。SN比としては、金属等のマーカを被検体とともに撮影することにより取得した放射線画像における、マーカ像の部分の画素値を用いて算出することができる。コントラストとしては、マーカ像の部分の画素値と、放射線画像において放射線が直接放射線検出器に照射されたすぬけ部の画素値との差として算出することができる。
【0012】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記判定手段を、前記特徴量が他の放射線画像の特徴量よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を前記異常放射線画像と判定して、該異常放射線画像が前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定する手段としてもよい。
【0013】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記複数の放射線画像が断層画像の生成のために取得されたものである場合において、前記複数の放射線画像を再構成することにより、前記被検体の所望とする断層面における断層画像を生成する再構成手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0014】
この場合、前記再構成手段を、前記異常放射線画像が存在する場合、前記複数の放射線画像のうち前記異常放射線画像以外の他の放射線画像を再構成することにより前記断層画像を生成する手段としてもよい。
【0015】
また、この場合、前記再構成手段は、前記異常放射線画像が存在する場合、前記再構成を停止する手段としてもよい。
【0016】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記複数の放射線画像が、立体視画像の表示のために取得された2つの放射線画像である場合において、前記2つの放射線画像に基づく前記立体視画像を表示する表示手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0017】
この場合、前記表示手段を、前記異常放射線画像が存在する場合、前記立体視画像の表示を停止する手段としてもよい。
【0018】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記異常放射線画像が存在する場合に警告を行う警告手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0019】
本発明による放射線画像撮影方法は、被検体に放射線を照射する放射線照射手段と、
該放射線照射手段によって照射されて前記被検体を透過した放射線を検出して前記被検体の放射線画像を取得する放射線検出手段と、
複数の撮影方向から前記被検体に前記放射線を照射し、該放射線の照射による撮影方向が異なる複数の放射線画像を取得するよう、前記放射線照射手段および前記放射線検出手段を制御する撮影制御手段とを備えた放射線画像撮影装置における放射線画像撮影方法であって、
前記複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出し、
前記複数の放射線画像の特徴量を比較し、
該比較結果に基づいて、前記複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の放射線画像が取得され、複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量が算出され、複数の放射線画像の特徴量が比較され、比較結果に基づいて、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、複数の放射線画像に存在するか否かが判定される。このため、異常放射線画像が存在する場合には、複数の放射線画像を用いて断層画像を生成したり、立体視画像を表示したりする際に、異常放射線画像を使用しなかったり、断層画像または立体視画像の表示を停止したりすることができ、これにより、複数の放射線画像に基づいて表示される画像の画質の劣化を防止することができる。
【0021】
また、複数の放射線画像の濃度ヒストグラム、空間周波数、エッジ情報、SN比およびコントラストのいずれかに基づいて特徴量を算出することにより、簡易な演算により特徴量を算出することができる。
【0022】
また、特徴量が他の多くの放射線画像の特徴量よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を異常放射線画像と判定することにより、異常放射線画像が複数の放射線画像に存在するか否かを容易に判定することができる。
【0023】
また、異常放射線画像が存在する場合に警告を行うことにより、異常放射線画像が存在することを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態による放射線画像撮影装置の概略構成図
【図2】図1に示す放射線画像撮影装置のアーム部を図1の右方向から見た図
【図3】図1に示す放射線画像撮影装置のコンピュータ内部の概略構成を示すブロック図
【図4】複数の撮影方向を示す図
【図5】断層画像の再構成範囲を示す図
【図6】濃度ヒストグラムのピーク位置の信号値の変動を説明するための図
【図7】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図8】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図9】第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図10】マーカ像を含む放射線画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による放射線画像撮影装置の概略構成図である。放射線画像撮影装置1は、乳房のトモシンセシス撮影を行って断層画像を生成するとともに、乳房の放射線画像を立体視するためのステレオ画像を生成するために、異なる撮影方向から乳房Mを撮影して、複数の放射線画像を取得するものである。図1に示すように放射線画像撮影装置1は、撮影部10、撮影部10に接続されたコンピュータ2、コンピュータ2に接続されたモニタ3および入力部4を備えている。
【0026】
撮影部10は、基台11、基台11に対し上下方向(Z方向)に移動可能であり、かつ回転可能な回転軸12、および回転軸12により基台11と連結されたアーム部13を備えている。なお、図2には図1の右方向から見たアーム部13を示している。
【0027】
アーム部13はアルファベットのCの形をしており、その一端には撮影台14が、その他端には撮影台14と対向するように放射線照射部16が取り付けられている。アーム部13の回転および上下方向の移動は、基台11に組み込まれたアームコントローラ31により制御される。
【0028】
撮影台14の内部には、フラットパネルディテクタ等の放射線検出器15、および放射線検出器15からの電荷信号の読み出しを制御する検出器コントローラ33が備えられている。
【0029】
また、撮影台14の内部には、放射線検出器15から読み出された電荷信号を電圧信号に変換するチャージアンプ、チャージアンプから出力された電圧信号をサンプリングする相関2重サンプリング回路、電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換部等が設けられた回路基板等も設置されている。
【0030】
また、撮影台14はアーム部13に対し回転可能に構成されており、基台11に対してアーム部13が回転したときでも、撮影台14の向きは基台11に対し固定された向きとすることができる。
【0031】
放射線検出器15は、放射線画像の記録および読み出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する、いわゆる間接型の放射線検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフさせることによって放射線画像信号が読み出される、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0032】
放射線照射部16の内部には、放射線源17および放射線源コントローラ32が収納されている。放射線源コントローラ32は、放射線源17から放射線を照射するタイミングと、放射線源17における放射線発生条件(管電流、時間、管電圧等)とを制御するものである。
【0033】
また、アーム部13の中央部には、撮影台14の上方に配置されて乳房を押さえつけて圧迫する圧迫板18、その圧迫板18を支持する支持部20、および支持部20を上下方向(Z方向)に移動させる移動機構19が設けられている。圧迫板18の位置および圧迫圧は、圧迫板コントローラ34により制御される。
【0034】
コンピュータ2は、中央処理装置(CPU)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス等を備えており、これらのハードウェアによって、図3に示すような制御部2a、放射線画像記憶部2b、再構成部2c、特徴量算出部2d、判定部2e、警告部2fおよび表示制御部2gが構成されている。
【0035】
制御部2aは、各種のコントローラ31〜34に対して所定の制御信号を出力し、装置全体の制御を行うものである。
【0036】
放射線画像記憶部2bは、アーム部13を回転することにより、図4に示すように所定角度θ0間隔の複数の撮影方向からの撮影によって放射線検出器15が検出した複数の放射線画像を記憶するものである。なお、第1の実施形態は、これら複数の放射線画像から生成した乳房Mの奥行き方向(Z方向)における複数断面についての複数の断層画像を生成し、複数の断層画像からエッジを抽出して複数のエッジ断層画像を生成するものである。また、第1の実施形態による放射線画像撮影装置1においては、複数の放射線画像のうち、乳房を0度方向(すなわち放射線検出器15に対して垂直な方向)から撮影して取得した放射線画像およびこの放射線画像と撮影方向が異なる放射線画像を用いて、ステレオ画像を表示することも可能である。なお、アーム部13の回転方向は図2において右回り方向を正とする。
【0037】
再構成部2cは、放射線画像記憶部2bに記憶された複数の放射線画像を再構成することにより、乳房Mの奥行き方向における複数断面に対応する複数の断層画像を生成する。具体的には、再構成部2cは、単純逆投影法あるいはフィルタ逆投影法等の逆投影法等を用いてこれらの放射線画像を再構成して複数の断層画像を生成する。なお、再構成部2cは、図5に示すように乳房M内においてあらかじめ定められた再構成範囲R0内において、放射線検出器15の検出面に平行な複数断面のそれぞれについての複数の断層画像を生成する。
【0038】
なお、再構成部2cは、後述する判定部2eによる判定結果に応じて、再構成の方法を変更する。
【0039】
特徴量算出部2dは、放射線画像記憶部2bに記憶された複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出する。本実施形態においては、特徴量算出部2dは、複数の放射線画像の濃度ヒストグラム、空間周波数およびエッジ情報のいずれかに基づいて、画質を表す特徴量を算出する。
【0040】
濃度ヒストグラムは、複数の放射線画像のそれぞれにおいて、信号値を横軸に信号値の頻度を縦軸にプロットすることにより算出する。そして、濃度ヒストグラムのピークの位置の信号値、濃度ヒストグラムの分布範囲の大きさ、複数の放射線画像間における濃度ヒストグラムの相関値、および他の多くの放射線画像の濃度ヒストグラムとは異なるピークが存在するか否かを表す情報等のいずれかを特徴量として算出する。なお、複数の放射線画像感の濃度ヒストグラムの相関値は、複数の放射線画像同士で総当たりで相関値を算出するものとする。
【0041】
空間周波数については、放射線画像をフーリエ変換し、所定の空間周波数を持つスペクトルを特徴量として算出する。あるいはそのスペクトルを積分して積分値を特徴量として算出する。
【0042】
エッジ情報は、Sobelフィルタ、ラプラシアンフィルタ等のエッジ抽出フィルタを用いて、放射線画像からエッジ画素を抽出する。そして、エッジ画素の画素値を特徴量として算出する。
【0043】
判定部2eは、特徴量算出部2dが算出した特徴量を複数の放射線画像間において比較し、比較結果に基づいて、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、複数の放射線画像に存在するか否かを判定する。そして、異常放射線画像が存在するという判定結果の場合、判定部2eは判定結果を再構成部2cおよび警告部2fに出力する。異常放射線画像が存在しないという判定結果の場合、判定部2eは判定結果を再構成部2cにのみ出力する。
【0044】
なお、異常放射線画像は複数の放射線画像に通常わずかしか含まれないものであるが、非常に多く含まれる場合がある。このような場合に特徴量を比較すると、特徴量が異なる放射線画像の数が、他の放射線画像の数とそれほど変わらない場合が生じる。このような場合、判定部2eは、過半数に満たない放射線画像を異常放射線画像に決定するものとする。
【0045】
ここで、特徴量が濃度ヒストグラムのピークの位置の信号値および分布範囲の大きさである場合は、複数の放射線画像について総当たりで特徴量の差を算出し、ある放射線画像について、特徴量が他の放射線画像よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0046】
例えば、特徴量が濃度ヒストグラムのピークの位置の信号値である場合、ある放射線画像の撮影時に、放射線源17に異常が生じて、乳房Mに照射される放射線量が低減したとすると、濃度ヒストグラムのピークの位置の信号値は低くなる。図6は濃度ヒストグラムのピーク位置の信号値の変動を説明するための図である。なお、図6においては、異常がない撮影により取得された放射線画像の濃度ヒストグラムをH0、異常がある撮影により取得された放射線画像の濃度ヒストグラムをH1とする。図6に示すように、濃度ヒストグラムH0のピーク位置の信号値Q0を、濃度ヒストグラムH1のピーク位置の信号値Q1とを比較すると、信号値Q1はしきい値Th1を超えて信号値Q0より低くなっている。このような場合、複数の放射線画像のうち、多くの放射線画像の濃度ヒストグラムはH0となることから、ピーク位置の信号値がしきい値Th1を超えて低くなっている濃度ヒストグラムH1を得た放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0047】
なお、特徴量が濃度ヒストグラムの分布範囲の大きさの場合、例えば分布範囲の最大値または最小値を複数の放射線画像間において比較し、ある放射線画像について、最大値または最小値が複数の放射線画像のうちの多くの放射線画像よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0048】
一方、特徴量が濃度ヒストグラムの相関値である場合には、多く放射線画像同士の相関値と比較して、相関値が所定のしきい値以上小さくなっている放射線画像を異常放射線画像と判定する。また、特徴量が他の多くの放射線画像の濃度ヒストグラムとは異なるピークが存在するか否かを表す情報である場合には、他の放射線画像の濃度ヒストグラムとは異なるピークが存在する放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0049】
また、特徴量が空間周波数に基づく特徴量である場合、放射線画像取得時の放射線量が小さいと、ノイズが目立つことからノイズに対応する周波数成分のスペクトルまたはその積分値が大きくなる。このため、判定部2eは、ある放射線画像について、特徴量が他の多くの放射線画像よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0050】
また、特徴量がエッジ情報である場合、放射線画像取得時の放射線量が小さいと、エッジの濃度が小さくなることから、特徴量が他の多くの放射線画像よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を異常放射線画像と判定する。
【0051】
なお、再構成部2cにおいては、異常放射線画像が存在するという判定結果の場合、異常放射線画像は断層画像の再構成から除外され、異常放射線画像以外の放射線画像のみを用いて再構成が行われる。異常放射線画像が存在しないという判定結果の場合、すべての放射線画像を用いて再構成が行われる。
【0052】
警告部2fは、異常放射線画像が存在するという判定結果が判定部2eから入力された場合に、警告を行う。警告はモニタ3に異常放射線画像が存在する旨を表示したり、不図示のスピーカから音声により異常放射線画像が存在する旨を出力したり、あるいは特定のビープ音を出力したりするものであってもよく、モニタ3への表示および音声の出力を組み合わせたものであってもよい。
【0053】
表示制御部2gは、複数の放射線画像および断層画像をモニタ3に表示する。
【0054】
入力部4は、例えば、キーボードやマウス等のポインティングデバイスから構成されるものであり、操作者による撮影条件等の入力や撮影開始指示の入力等を受け付けるものである。
【0055】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図7は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、撮影台14の上に患者の乳房Mが設置され、圧迫板18により乳房Mが所定の圧力によって圧迫される(ステップST1)。次に、入力部4おいて、種々の撮影条件が入力された後、撮影開始の指示が入力される。
【0056】
入力部4において撮影開始の指示があると、複数の放射線画像の撮影が行われる(ステップST2)。具体的には、まず、制御部2aが、あらかじめ設定された撮影間隔を定める角度θ0を読み出し、その読み出した角度θ0の情報をアームコントローラ31に出力する。なお、第1の実施形態においては、このときの角度θ0の情報としてθ0=4度があらかじめ記憶されているものとするが、これに限らず、操作者によって入力部4において任意の輻輳角を設定可能である。
【0057】
そして、アームコントローラ31において、制御部2aから出力された角度θ0の情報が受け付けられ、アームコントローラ31は、まずアーム部13の位置が撮影台14に対して最も傾斜した初期位置となるように制御信号を出力する。
【0058】
そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が初期位置となった状態において、制御部2aは、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射および放射線画像信号の読み出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房Mを初期位置から撮影した放射線画像が放射線検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から放射線画像信号が読み出され、その放射線画像信号に対して所定の信号処理が施された後、コンピュータ2の放射線画像記憶部2bに記憶される。
【0059】
次に、アームコントローラ31は、アーム部13を初期位置から+θ0度回転するよう制御信号を出力する。すなわち、第1の実施形態においては、アーム部13を初期位置から最後の撮影を行う終了位置の方向に向けて4度回転するよう制御信号を出力する。そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が4度回転した状態において、続いて制御部2aは、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射および放射線画像信号の読み出しを行うよう制御信号を出力する。
【0060】
具体的には、制御部2aが、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射および放射線画像の読み出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房Mを初期位置から4度回転した位置から撮影した放射線画像が放射線検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出され、所定の信号処理が施された後、コンピュータ2の放射線画像記憶部2bに記憶される。
【0061】
そして上記の処理を、アーム部13が終了位置に回転するまで繰り返し行うことにより複数の放射線画像が放射線画像記憶部2bに記憶される。
【0062】
次いで、特徴量算出部2dが複数の放射線画像のそれぞれについての画質を表す特徴量を算出し(ステップST3)、判定部2eが、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、複数の放射線画像に存在するか否かを判定する(ステップST4)。ステップST4が肯定されると、判定部2eは、判定結果を再構成部2cおよび警告部2fに出力する(ステップST5)。警告部2fは、判定結果に基づいて、異常放射線画像が存在する旨の警告を行う(ステップST6)。一方、再構成部2cは、複数の放射線画像のうち異常放射線画像を除外して再構成を行い、断層画像を生成する(ステップST7)。
【0063】
一方、ステップST4が否定されると、判定部2eは判定結果を再構成部2cにのみ出力する(ステップST8)。再構成部2cは、すべての放射線画像を用いて再構成を行って、断層画像を生成する(ステップST9)。
【0064】
さらに、表示制御部2gが、生成された断層画像をモニタ3に表示し(ステップST10)、処理を終了する。
【0065】
このように、第1の実施形態においては、複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出し、複数の放射線画像についての特徴量を比較し、比較結果に基づいて、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、複数の放射線画像に存在するか否かを判定し、異常放射線画像が存在する場合には、複数の放射線画像のうち異常放射線画像を除外して断層画像を生成するようにしたものである。このため、画質が他と異なる放射線画像を再構成に使用することがなくなり、これにより、断層画像の画質の劣化を防止することができる。
【0066】
また、異常放射線画像が存在する場合に警告を行うことにより、異常放射線画像が存在することを知らせることができる。
【0067】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による放射線画像撮影装置は、第1の実施形態による放射線画像撮影装置と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、異常放射線画像が存在する場合に、再構成部2cが異常放射線画像を除外して再構成を行っているが、第2の実施形態においては、異常放射線画像が存在する場合に、再構成を停止するようにした点が第1の実施形態と異なる。
【0068】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図8は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートにおいて、ステップST21〜ステップST24、ステップST28〜ステップST30の処理は、図7のフローチャートにおけるステップST1〜ステップST4、ステップST8〜ステップST10の処理と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。ステップST24が肯定されると、判定部2eは判定結果を再構成部2cおよび警告部2fに出力する(ステップST25)。警告部2fは、判定結果に基づいて、異常放射線画像が存在する旨の警告を行う(ステップST26)。この際、警告には、断層画像が生成されない旨の情報が含められる。一方、再構成部2cは再構成を停止し(ステップST27)、処理を終了する。
【0069】
このように、第2の実施形態においては、複数の放射線画像において異常放射線画像が含まれる場合に、再構成を停止するようにしたため、画質が他と異なる放射線画像を再構成に使用することがなくなり、これにより、異常放射線画像を用いて断層画像が生成されてしまうことによる、断層画像の画質の劣化を防止することができる。
【0070】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態による放射線画像撮影装置は、ステレオ画像を3次元表示可能なモニタ3′を備えた点を除き、第1の実施形態による放射線画像撮影装置と同一の構成を有するため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第3の実施形態による放射線画像撮影装置においては、トモシンセシス撮影に代えて、ステレオ画像を表示するための2つの放射線画像の撮影を行い、再構成部2cを使用することなく、表示制御部2gが、2つの放射線画像に基づくステレオ画像をモニタ3′に表示するようにした点が、第1の実施形態と異なる。
【0071】
モニタ3′は、コンピュータ2から出力された2つの放射線画像を用いてステレオ画像を3次元表示可能なように構成されたものである。モニタ3′の3次元表示の方式としては、例えば、2つの画面を用いて2つの放射線画像をそれぞれ表示させて、これらをハーフミラーや偏光グラス等を用いることで一方の放射線画像は観察者の右目に入射させ、他方の放射線画像は観察者の左目に入射させることによってステレオ画像を表示する方式を採用することができる。また、2つの放射線画像を重ね合わせ、これを偏光グラスで観察することでステレオ画像を表示する方式を用いてもよい。さらに、モニタ3′を3D液晶により構成し、パララックスバリア方式およびレンチキュラー方式のように、2つの放射線画像を立体視可能な方式を用いてもよい。
【0072】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図9は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、撮影台14の上に患者の乳房Mが設置され、圧迫板18により乳房Mが所定の圧力によって圧迫される(ステップST41)。次に、入力部4おいて、種々の撮影条件が入力された後、撮影開始の指示が入力される。
【0073】
入力部4において撮影開始の指示があると、ステレオ画像を表示するための2つの放射線画像の撮影(ステレオ撮影)の撮影が行われる(ステップST42)。具体的には、まず、制御部2aが、あらかじめ設定されたステレオ画像の撮影のための輻輳角θ1を読み出し、その読み出した角度θ1の情報をアームコントローラ31に出力する。なお、第3の実施形態においては、このときの角度θ1の情報としてθ1=±4度があらかじめ記憶されているものとするが、これに限らず、操作者によって入力部4において任意の輻輳角を設定可能である。
【0074】
そして、アームコントローラ31において、制御部2aから出力された輻輳角θ1の情報が受け付けられ、アームコントローラ31は、まずアーム部13の位置が撮影台14に対して+θ1度回転するよう制御信号を出力する。すなわち、第3の実施形態においては、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して+4度回転するよう制御信号を出力する。
【0075】
そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が+4度回転する。続いて制御部2aは、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射および放射線画像信号の読み出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房Mを初期位置から撮影した放射線画像が放射線検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から放射線画像信号が読み出され、その放射線画像信号に対して所定の信号処理が施された後、コンピュータ2の放射線画像記憶部2bに記憶される。なお、この撮影により放射線画像記憶部8bに記憶される放射線画像信号は、右目用の放射線画像GRを表すものとなる。
【0076】
次に、アームコントローラ31は、アーム部13を初期位置に一旦戻した後、撮影台14に垂直な方向に対して−θ1度回転するよう制御信号を出力する。すなわち、第3の実施形態においては、アーム部13を撮影台14に垂直な方向に対して−4度回転するよう制御信号を出力する。
【0077】
そして、このアームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が−4度回転する。続いて制御部2aは、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と放射線画像の読み出しを行うよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が射出され、乳房Mを−4度方向から撮影した放射線画像が放射線検出器15によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線画像信号が読み出され、所定の信号処理が施された後、コンピュータ2の放射線画像記憶部2bに記憶される。なお、この撮影により放射線画像記憶部2bに記憶される放射線画像信号は、左目用の放射線画像GLを表すものとなる。
【0078】
次いで、特徴量算出部2dが2の放射線画像GR,GLのそれぞれについての特徴量を算出し(ステップST43)、判定部2eが、2の放射線画像GR,GLにおいて互いに画質が異なる異常放射線画像が存在するか否かを判定する(ステップST44)。なお、第3の実施形態における判定部2eの判定は、2つの放射線画像GR,GLの画質を表す特徴量を比較し、特徴量が所定のしきい値以上異なる場合に異常放射線画像が存在すると判定するものとする。
【0079】
ステップST44が肯定されると、判定部2eは、判定結果を表示制御部2gおよび警告部2fに出力する(ステップST45)。警告部2fは、判定結果に基づいて、異常放射線画像が存在する旨の警告を行う(ステップST46)。この際、警告には、ステレオ画像が表示されない旨の情報が含められる。一方、表示制御部2gは、ステレオ画像に代えて、2つの放射線画像GR,GLのいずれか一方または双方をモニタ3′に2次元表示し(ステップST47)、処理を終了する。
【0080】
一方、ステップST44が否定されると、判定部2eは、判定結果を表示制御部2gに出力する(ステップST48)。表示制御部2gは、2つの放射線画像GR,GLに基づくステレオ画像をモニタ3′に表示し(ステップST49)、処理を終了する。
【0081】
このように、第3の実施形態においては、複数の放射線画像において異常放射線画像が含まれる場合に、ステレオ画像の表示を停止するようにしたため、画質が他と異なる放射線画像をステレオ画像の表示に使用することがなくなり、これにより、異常放射線画像を用いてステレオ画像が表示されてしまうことによる、ステレオ画像の画質の劣化を防止することができる。
【0082】
なお、上記第1から第3の実施形態においては、放射線画像の画質を表す特徴量として、濃度ヒストグラム、空間周波数およびエッジ情報を用いているが、放射線画像のSN比または放射線画像のコントラストの情報を特徴量として用いてもよい。以下、SN比またはコントラストの情報の算出について説明する。図10はSN比またはコントラストの情報の算出を説明するための図である。なお、SN比またはコントラストの情報を特徴量として用いる場合、放射線を透過しない金属等のマーカを乳房Mとともに撮影する。なお、このマーカとしては、複数の放射線画像の再構成を行う際の位置合わせのために用いるマーカを用いてもよい。この場合、図10に示すように、各放射線画像には、乳房Mの像とともに、マーカ像K0が含まれる。なお、マーカ像K0は低濃度(すなわち高輝度)となっている。
【0083】
ここで、SN比は、マーカ像K0内の画素値の平均値および標準偏差を算出し、画素値の平均値と標準偏差との比として算出することができる。
【0084】
一方、放射線画像における放射線が直接照射された部分に対応するすぬけ部(図10における斜線部分)に所定サイズの参照領域A0を設定した場合、参照領域A0は高濃度(すなわち低輝度)となっている。したがって、コントラスト情報は、マーカ像K0内の画素値の平均値と参照領域A0内の画素値の平均値との差として算出することができる。
【0085】
ここで、ある放射線画像の取得時において、照射される放射線量が低くなると、その放射線画像のSN比は高くなり、コントラストは低くなる。このため、SN比およびコントラスト情報を用いることによっても、複数の放射線画像に異常放射線画像が存在するか否かを判定することができることとなる。すなわち、SN比が他の放射線画像と比較して高い放射線画像を異常放射線画像と判定し、コントラスト情報が他の放射線画像と比較して低い放射線画像を異常放射線画像と判定することができる。
【0086】
また、上記第1から第3の実施形態においては、濃度ヒストグラム、空間周波数およびエッジ情報のいずれかを放射線画像の画質を表す特徴量として算出しているが、濃度ヒストグラム、空間周波数およびエッジ情報、さらには上述した放射線画像のSN比および放射線画像のコントラストの情報を加えた、放射線画像の画質を表す複数の特徴量を算出し、算出した複数の特徴量のうちのいずれか1つの特徴量を用いて、複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、複数の放射線画像に存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2の実施形態においては、トモシンセシス撮影により取得した複数の放射線画像を再構成して断層画像を生成しているが、放射線源と放射線検出器とを被検体を中心として対向させて配置し、これらの組を被検体を中心として周回させて、様々な角度から放射線を照射して複数の放射線画像を撮像し、その各角度の放射線画像を用いて断層画像を再構成して任意断面を表示するCT撮影を行って断層画像を生成するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第1から第3の実施形態においては、本発明の放射線画像撮影装置を乳房の放射線画像を撮影する装置としているが、被検体としては乳房に限らず、例えば胸部や頭部等を撮影する放射線画像撮影装置を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 放射線画像撮影装置
2 コンピュータ
2a 制御部
2b 放射線画像記憶部
2c 再構成部
2d 特徴量算出部
2e 判定部
2f 警告部
2g 表示制御部
3,3′ モニタ
4 入力部
10 撮影部
13 アーム部
14 撮影台
15 放射線検出器
16 放射線照射部
17 放射線源
18 圧迫板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に放射線を照射する放射線照射手段と、
該放射線照射手段によって照射されて前記被検体を透過した放射線を検出して前記被検体の放射線画像を取得する放射線検出手段と、
複数の撮影方向から前記被検体に前記放射線を照射し、該放射線の照射による撮影方向が異なる複数の放射線画像を取得するよう、前記放射線照射手段および前記放射線検出手段を制御する撮影制御手段と、
前記複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記複数の放射線画像の特徴量を比較し、該比較結果に基づいて、前記複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記特徴量算出手段は、前記複数の放射線画像の濃度ヒストグラム、空間周波数、エッジ情報、SN比およびコントラストのいずれかに基づいて、前記特徴量を算出する手段であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記特徴量が他の放射線画像の特徴量よりも所定のしきい値以上異なる放射線画像を前記異常放射線画像と判定して、該異常放射線画像が前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定する手段であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記複数の放射線画像が断層画像の生成のために取得されたものである場合において、前記複数の放射線画像を再構成することにより、前記被検体の所望とする断層面における断層画像を生成する再構成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記再構成手段は、前記異常放射線画像が存在する場合、前記複数の放射線画像のうち前記異常放射線画像以外の他の放射線画像を再構成することにより前記断層画像を生成する手段であることを特徴とする請求項4記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記再構成手段は、前記異常放射線画像が存在する場合、前記再構成を停止する手段であることを特徴とする請求項4記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記複数の放射線画像が、立体視画像の表示のために取得された2つの放射線画像である場合において、前記2つの放射線画像に基づく前記立体視画像を表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記異常放射線画像が存在する場合、前記立体視画像の表示を停止する手段であることを特徴とする請求項7記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記異常放射線画像が存在する場合に警告を行う警告手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
被検体に放射線を照射する放射線照射手段と、
該放射線照射手段によって照射されて前記被検体を透過した放射線を検出して前記被検体の放射線画像を取得する放射線検出手段と、
複数の撮影方向から前記被検体に前記放射線を照射し、該放射線の照射による撮影方向が異なる複数の放射線画像を取得するよう、前記放射線照射手段および前記放射線検出手段を制御する撮影制御手段とを備えた放射線画像撮影装置における放射線画像撮影方法であって、
前記複数の放射線画像のそれぞれの画質を表す特徴量を算出し、
前記複数の放射線画像の特徴量を比較し、
該比較結果に基づいて、前記複数の放射線画像において画質が異なる異常放射線画像が、前記複数の放射線画像に存在するか否かを判定することを特徴とする放射線画像撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−370(P2013−370A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134732(P2011−134732)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】