説明

放射線画像生成方法及びその装置

【課題】所望のエネルギー帯域の放射線データを提供して、さらに高い品質及びさらに正確な診断を保証する放射線画像を生成する放射線画像生成方法及びその装置を提供する。
【解決手段】放射線画像生成方法は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応して、対象体の内部を示す複数の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る段階と、前記マルチエネルギー放射線データに基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階と、前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像を生成する方法及びその装置に関し、特に、マルチエネルギー放射線データを用いて対象体の内部を示す放射線画像を生成する放射線画像生成方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、例えば、X線を用いる医療画像システムは、X線を人体などの対象体に照射して、対象体を通過したX線から放射線画像を取得する。
照射対象物質の種類、密度または照射されるX線のエネルギー帯域によって、かかるX線が物質に吸収される程度が異なる。例えば、骨のX線吸収係数は軟組織に比べて非常に高い。したがって、軟組織と骨との明暗対比が高くて、放射線画像で軟組織と骨とは鮮明に区分される。
【0003】
しかし、軟組織に含まれた相異なる組織は、単一エネルギー帯域のX線に対する吸収係数が近似し、放射線画像でも近似した強度を持つ。これにより、放射線画像で軟組織に含まれた複数の組織間の区分が困難になるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の放射線画像生成方法における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、所望のエネルギー帯域の放射線データを提供して、さらに高い品質及びさらに正確な診断を保証する放射線画像を生成する放射線画像生成方法及びその装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数のエネルギー帯域の放射線の放射線データを用いて、実際に使用しないエネルギー帯域の放射線の放射線データ及び所望のエネルギー帯域の放射線データを生成する放射線画像生成方法及びその装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数の放射線データから放射線画像のさらに高い品質及び診断の正確性を保証する放射線データを生成する放射線画像生成方法及びその装置を提供することにある。
また、前記放射線画像生成方法をコンピュータで行わせるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明による放射線画像生成方法は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応して、対象体の内部を示す複数の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る段階と、前記マルチエネルギー放射線データに基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階と、前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する段階とを有することを特徴とする。
【0006】
前記異なるエネルギー帯域は、前記複数の放射線のエネルギー帯域の結合により決定された全体エネルギー帯域によって決定されることが好ましい。
前記異なるエネルギー帯域は、前記全体エネルギー帯域の外側にあるエネルギー帯域に存在することが好ましい。
前記異なるエネルギー帯域の上限は、前記全体エネルギー帯域の下限より小さいことが好ましい。
前記異なるエネルギー帯域は、前記複数の放射線のエネルギー帯域の内のいずれか一つにより決定されることが好ましい。
前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに基づいて減衰特性を決定する段階と、前記決定された減衰特性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階とを含むことが好ましい。
前記決定された減衰特性に基づいて異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記決定された減衰特性の線形性に基づいて前記異なるエネルギー帯域を有する放射線に対応する放射線データを生成することが好ましい。
前記減衰特性は、光電効果による減衰特性又はコンプトン散乱による減衰特性の少なくともいずれか一つであることが好ましい。
【0007】
前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記複数の放射線データそれぞれに基づいて、前記放射線データそれぞれのピクセルの強度を決定する段階と、複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定する段階と、前記決定された異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階とを含むことが好ましい。
前記放射線データそれぞれのピクセルの強度を定める段階は、前記放射線データの内の第1放射線データの第1強度を決定し、前記放射線データの内の第2放射線データの第2強度を決定する段階と含み、前記複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定する段階は、前記決定された第1強度と前記決定された第2強度との間の線形性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定することが好ましい。
放射線データの前記強度は、光電効果による強度又はコンプトン散乱による強度の少なくともいずれか一つであることが好ましい。
前記相異なるエネルギー帯域の複数の放射線は、前記対象体を通過した放射線からエネルギー帯域別に検出されることが好ましい。
前記相異なるエネルギー帯域の複数の放射線は、相異なるピークエネルギー値を持つことが好ましい。
前記対象体の放射線画像を生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つ及び前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成することが好ましい。
前記対象体の放射線画像を生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つを用いて、前記対象体の第1放射線画像を生成する段階と、前記生成された放射線データを用いて、前記対象体の第2放射線画像を生成する段階と、前記第1放射線画像及び前記第2放射線画像に基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する段階とを含むことが好ましい。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明による放射線画像生成方法は、コンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体で提供される。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による放射線画像生成装置は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る入力部と、前記マルチエネルギー放射線に基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成し、該生成された放射線データに基づいて、対象体の放射線画像を生成する画像プロセッサと、前記生成された放射線画像を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0010】
前記画像プロセッサは、前記マルチエネルギー放射線データに基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する放射線データ生成部と、前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する放射線画像生成部とを含むことが好ましい。
前記放射線データ生成部は、前記マルチエネルギー放射線データから前記複数の放射線データそれぞれを抽出する分離部と、前記抽出された複数の放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、減衰特性を決定する特性決定部と、前記決定された減衰特性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する生成部とを含むことが好ましい。
前記放射線画像生成部は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つ及び前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る放射線画像生成方法及びその装置によれば、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応する複数の放射線データから、複数の放射線のエネルギー帯域と異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成することで、物理的な特性によって患者に実際に使用し難いエネルギー帯域の放射線データを確保できるという効果がある。
また、相異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線データから低エネルギー帯域の放射線データを生成し、生成された低エネルギー帯域の放射線データに基づいて放射線画像を生成することで、対照度のさらに向上した放射線画像を診断に活用させるという効果がある。
また、相異なるエネルギー帯域の放射線データの減衰特性を定め、定められた減衰特性に基づいて、低エネルギー帯域の放射線データを生成することで、さらに正確かつ効率的に低エネルギー帯域の放射線データを生成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による医療画像システムの構成図である。
【図2】図1に示す本発明の一実施形態による放射線画像生成装置の構成ブロック図である。
【図3】相異なるエネルギー帯域の放射線それぞれのエネルギースペクトルの一例を示すグラフである。
【図4】図1の放射線発生器により発生した放射線のエネルギースペクトルの一例を示すグラフである。
【図5】図1の放射線発生器により発生した放射線のエネルギースペクトルの他の例を示すグラフである。
【図6】対象体の内部の組織それぞれの減衰係数の差を示すグラフである。
【図7】対象体が身体の乳房である場合、対象体の内部の組織それぞれの減衰係数の差を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態による図2の放射線データ生成部により放射線データが生成される工程を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態による減衰特性を示すグラフである。
【図10】図9のエネルギー帯域での図9の減衰特性の変化特性を示すグラフである。
【図11】本発明の他の実施形態による図2の放射線データ生成部の構成ブロック図である。
【図12】図11の特性決定部及び生成部によって、異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データが生成される工程を説明するためのフローチャートである。
【図13】相異なるエネルギー領域の複数の放射線データの光電効果による強度間に線形性が維持される状態を示すグラフである。
【図14】本発明の一実施形態による放射線画像生成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る放射線画像生成方法及びその装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による医療画像システムの構成図である。
図1を参照すると、図1による医療画像システムは、マルチエネルギー放射線データ生成装置10、放射線画像生成装置20、及び画像表示装置30を含む。
【0015】
マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、対象体40の内部を通過した相異なるエネルギー帯域の放射線に対応する放射線データを生成する。
この時、放射線データそれぞれは、対象体40の内部を示す放射線画像の基礎データを意味する。また、対象体40は身体を意味するが、これに限定されるものではない。すなわち、かかる対象体40は、身体以外にも生命体、物体など放射線画像の対象になる多様な客体でありうる。
【0016】
一般的に放射線は、不安定な放射性核種がさらに安定な核種に変換される時に放出される粒子や電磁波の形態を持っているエネルギーの集合体を意味する。
かかる放射線の代表的な一例には、超音波、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中性子線だけでなく、放送通信に用いられる電磁波、赤外線、可視光線も含まれる。
しかしながら、電離現象を引き起こして人体を害する恐れがあるX線が一般的に放射線と代表される。
以下では、発明の容易な説明のために、かかる放射線をX線と仮定して説明するが、X線以外の多様な放射線でも本発明が具現できるということは、当業者により明らかである。また、かかる放射線は、電子を速く物体に衝突させる時に発生する透過力の強い輻射線の形態で発生する。例えば、放射線は、高電圧によって加熱された陰極(cathode)のフィラメントから発生した電子が陽極の表面で衝突すると同時に、陽極の表面から発生する。
【0017】
図1を参照すると、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、放射線発生器11及び検出器12と接続される。
この時、放射線発生器11と検出器12それぞれは、マルチエネルギー放射線データ生成装置10の一部(unit)としてマルチエネルギー放射線データ生成装置10に属してもよく、マルチエネルギー放射線データ生成装置10と区別される単一装置として動作してもよい。
【0018】
放射線発生器11は、マルチエネルギー放射線データ生成装置10から入力された制御信号に対応して放射線を発生させる。
本発明の一実施形態によれば、放射線発生器11から発生した放射線は、広いエネルギー帯域の放射線を意味する。
例えば、放射線発生器11から発生した放射線は、タングステンなどの広いエネルギー帯域(例えば、10Kev〜60Kevのエネルギー帯域)を持つ放射線を意味する。
【0019】
検出器12は、放射線発生器11から発生して対象体40を通過した放射線を検出する。
一般的に、検出器12は、検出された放射線の強度に対応する電気的信号を生成し、生成された電気的信号をマルチエネルギー放射線データ生成装置10に伝達する。
これにより、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、伝えられた電気的信号に基づいて、放射線発生器11から発生して対象体40を通過した放射線に対応する放射線データを生成する。
【0020】
一般的に、検出器12は、放射線を電気的信号に変換する複数の素子で構成される。
これらの素子の代表的な一例には、放射線などの光線を電気的信号に変換する受光素子が含まれるが、これに限定されるものではない。また、これらの複数の素子それぞれは、対象体40を通過した放射線を電気的信号に変換し、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、これらの電気的信号を用いて放射線データを生成する。
【0021】
マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、対象体40を通過した相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応する、複数の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを生成する。
例えば、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、対象体40を通過した放射線のうち、10Kev〜20Kevのエネルギー帯域の放射線と、20Kev〜30Kevの放射線それぞれに対応する放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを生成する。この時、Kevは、エネルギーの単位であり、キロ電子ボルト(kilo electron volt)を意味する。
【0022】
また、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、生成したマルチエネルギー放射線データを放射線画像生成装置20に伝達する。こ
れらのマルチエネルギー放射線データは、単一放射線データであって単一放射線画像の基礎データを意味してもよく、複数の放射線データの組み合わせであって複数の放射線画像の基礎データを意味してもよい。
【0023】
放射線画像生成装置20は、マルチエネルギー放射線データ生成装置10から入力されたマルチエネルギー放射線データに基づいて、対象体40を通過した放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域を持つ放射線の放射線データを生成し、生成された放射線データを用いて放射線画像を生成する。
放射線画像生成装置20の動作については、以下で具体的に説明する。
【0024】
図2は、図1に示す本発明の一実施形態による放射線画像生成装置20の構成ブロック図である。
図2を参照すれば、放射線画像生成装置20は、入力部21、画像プロセッサ22、保存部23、出力部24、及びユーザーインターフェース25で構成される。
ただし、図2に示した放射線画像生成装置20は、本発明の一つの具現例に過ぎず、図2に示した構成要素に基づいて色々な変形が可能であるということを、当業者ならば理解できるであろう。
【0025】
例えば、放射線画像生成装置20は、放射線画像生成装置20で生成された放射線画像を外部装置に送信し、外部装置から受信されるデータを受信する通信装置をさらに備えてもよい。
この時、外部装置には、遠隔地に位置している他の医療画像システム、汎用コンピュータシステム、FAXなどが含まれる。
また、これらの通信装置は、有無線ネットワークを通じて外部装置とデータを送受信できる。この時、ネットワークは、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線LAN、WAN(Wide Area Network)、PAN(Personal Area Network)などを含むが、これらに限定されず、情報を送受信できる他の種類のネットワークでもよい。
【0026】
入力部21は、マルチエネルギー放射線データを受け取る。
この時、マルチエネルギー放射線データは、複数の放射線それぞれに対応する複数の放射線データを含む。
この時、複数の放射線は、互いに相異なるエネルギー帯域の放射線を意味する。
【0027】
図3は、相異なるエネルギー帯域の放射線それぞれのエネルギースペクトルの一例を示すグラフである。
図3を参照して例示すると、相異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線には、エネルギー帯域31を持つ放射線、エネルギー帯域32を持つ放射線及びエネルギー帯域33を持つ放射線が含まれる。
一般的に、エネルギー帯域は、放射線のエネルギーの上限及び下限によって定められたエネルギーの範囲を意味し、エネルギースペクトルは、エネルギーの変化と放射線の強度の変化との関係をグラフで表現したものを意味する。この時、強度の基本単位は、放射線の光量子の数であり、エネルギーの基本単位はKev(kilo electron volt)でありうる。
【0028】
一般的に、マルチエネルギー放射線データは、上述したように、マルチエネルギー放射線データ生成装置10により生成される。
ただし、本発明の他の実施形態として、マルチエネルギー放射線データは、放射線画像生成装置20により生成されてもよい。
かかる他の実施形態によれば、放射線発生器11及び検出器12は、放射線画像生成装置20によって制御される。ただし、以下では、説明の便宜のためにマルチエネルギー放射線データがマルチエネルギー放射線データ生成装置10により生成される実施形態のみを説明する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、放射線発生器11を用いて単一エネルギー帯域の放射線を発生させる。
この時、放射線発生器11から発生した放射線は、ソース放射線であり、上述した相異なるエネルギー帯域の放射線と区別される。
【0030】
図4は、図1の放射線発生器11により発生した放射線のエネルギースペクトルの一例を示すグラフである。
図4を参照すると、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、放射線発生器11を用いて単一エネルギー帯域41を持つソース放射線を生成する。
この時、単一エネルギー帯域41は、10Kev〜53Kevにより定義される広いエネルギー帯域を示す。また、上述したように、強度の基本単位は、放射線の光量子の数であり、エネルギーの基本単位はKevである。
【0031】
本発明の他の実施形態によれば、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、放射線発生器11を用いて相異なるエネルギー帯域のソース放射線を発生させる。
図5は、図1の放射線発生器11により発生した放射線のエネルギースペクトルの他の例を示すグラフである。
図5を参照すると、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、放射線発生器11から発生した単一エネルギー帯域のソース放射線51を、放射線発生器11の内部または外部に存在するフィルタを用いて相異なるエネルギー帯域のソース放射線52、53、54に区分して生成する。
【0032】
言い換えれば、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、上述した実施形態のように、放射線発生器11を通じて単一エネルギー帯域のソース放射線を発生させることと対照的に、放射線発生器11を通じて相異なるエネルギー帯域に区分されたソース放射線を発生させてもよい。
この時、相異なるエネルギー帯域のソース放射線は、相異なるピークエネルギー値を持つ放射線を意味する。
【0033】
マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、検出器12を用いて対象体40を通過した相異なるエネルギー帯域の複数の放射線を検出し、検出された複数の放射線に対応する放射線データを生成する。
この時、検出器12は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれを区分して検出し、検出された放射線それぞれに対応する電気的信号を生成し、生成された電気的信号をマルチエネルギー放射線データ生成装置10に伝達する。
【0034】
図3を参照すると、検出器12は、相異なるフィルタを用いてエネルギー帯域31の放射線、エネルギー帯域32の放射線、及びエネルギー帯域33の放射線それぞれを検出し、検出された放射線それぞれに対応する電気的信号を生成して、マルチエネルギー放射線データ生成装置10に伝達する。
一般的に、対象体40を通過した放射線は、放射線発生器11から発生した基本放射線のうち、対象体40を通過した通過放射線のみを意味する。言い換えれば、対象体40を通過した放射線は、基本放射線のうち対象体40によって吸収された吸収放射線、対象体40を通過した後で散乱された散乱放射線、及び熱エネルギーに放出された放射線などが除外された放射線を意味する。
【0035】
マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、複数の放射線に対応する放射線データを生成する。
これらの放射線データそれぞれは、放射線画像の基礎データを意味する。
例えば、複数の素子(検出器)がx軸とy軸で定義される2次元形態で配列される場合、マルチエネルギー放射線データ生成装置10は、それぞれの素子から生成された電気的信号を用いて、x軸とy軸で定義される2次元放射線データを生成する。
【0036】
一般的に、相異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線それぞれは、相異なる特性を持つ。
例えば、高エネルギー帯域の放射線は、低エネルギー帯域の放射線に比べて透過力が高い。ただし、放射線のエネルギー帯域、透過力、又は放射線の強度だけでは、放射線による放射線画像の品質を決定できるものではない。たとえそうであっても、相異なるエネルギー帯域を持つ放射線は相異なる放射線画像の特性を生じるため、相異なるエネルギー帯域を持つ放射線から生成された放射線画像すべてを用いるのは、放射線画像の品質を向上させる。
【0037】
出力部24は、画像プロセッサ22により生成された放射線画像の画像データを画像表示装置30に出力する。
出力部24は、画像プロセッサ22と画像表示装置30とを接続するための一種のインターフェースであり、上述した入力部21もまた、マルチエネルギー放射線データ生成装置10と画像プロセッサ22とを接続するための一種のインターフェースである。
【0038】
画像表示装置30は、出力部24から受信した放射線画像の画像データを用いて放射線画像を表示する。
画像表示装置30の一例には、放射線画像をスクリーン又は紙上に表示する装置が含まれる。ただし、これに限定されるものではない。
【0039】
保存部23には、画像プロセッサ22によって実行される画像処理工程で発生する多様なデータが保存される。
例えば、保存部23には、入力されたマルチエネルギー放射線データが保存され、複数の放射線データそれぞれが保存され、放射線画像が保存される。
それ以外に、本発明の多様な実施形態によれば、保存部23には、以下で説明される演算工程に必要な、または演算工程で発生したデータが保存されてもよい。
これらの保存部23の一例として、ハードディスクドライブ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、及びメモリカードなどが含まれる。
【0040】
ユーザーインターフェース25は、医療専門家などのようなユーザーから命令や情報を受け取るためのインターフェースである。ユーザーインターフェースは、一般的にキーボード、マウスなどの入力装置でもよいが、画像表示装置30に表示されるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI、Graphical User interface)であってもよい。
【0041】
画像プロセッサ22は、マルチエネルギー放射線データ生成装置10から入力されたマルチエネルギー放射線データを用いて放射線画像を生成する。
この時、画像プロセッサ22は、マルチエネルギー放射線データに含まれた複数の放射線データの内の少なくとも一つを用いて放射線画像を生成する。
一般的に、それぞれの放射線データは、対象体40の内部の組織間の放射線の透過力又は吸収力の差によって検出器12に入力される放射線の強度の差を含む。
【0042】
例えば、放射線発生器11から発生した放射線のうち、対象体40の内部の組織401を通過する成分と、組織401以外の部分を通過する成分とは、対象体40を通過した後でその強度を異ならせ、これらの強度の差が放射線データに現れる。
画像プロセッサ22は、これらの差に基づいて対象体40の放射線画像を生成する。
【0043】
一般的に、検出器12は、複数の単位センサーのアレイで構成されることで、こられの対象体40の内部の組織間の透過力又は吸収力の差によって検出器12に入力される放射線の強度の差を効果的に検出する。
これらの単位センサーのアレイが、1次元アレイ、2次元アレイ、又は3次元アレイなどの多様な形態で構成されることは、当業者には容易である。
【0044】
一般的に、対象体40の内部の組織間の放射線の透過力又は吸収力の差は、対象体40の内部の組織間の放射線を減衰させる程度の差から発生する。
この時、それぞれの組織が放射線を減衰させる程度は、減衰係数として数値化される。
これらの減衰係数は吸収係数と表現されてもよい。
一般的に、減衰係数は、放射線のエネルギー増加につれて減少する特性を表す。これは、高エネルギー帯域の放射線は、低エネルギー帯域の放射線に比べて対象体40をさらによく通過するということを意味する。放射線のエネルギー帯域の変化によって放射線の減衰係数が減少する特性をグラフで表現すれば、図6の通りである。
【0045】
図6は、対象体40の内部の組織それぞれの減衰係数の差を示すグラフである。
この時、図6の符号61は、対象体40の内部の組織のうち、骨(bone)のエネルギー変化による一般的な減衰係数の変化を表し、符号62は、対象体40の内部の組織のうち、所定軟組織のエネルギー変化による一般的な減衰係数の変化を表し、符号63は、所定エネルギーでの骨の減衰係数と軟組織の減衰係数との差を表す。
【0046】
一般的に、対象体40の内部の組織間の減衰係数の差が大きければ、画像の対照度が向上する。ただし、上述したように、放射線のエネルギー帯域、透過力又は放射線の強度のみで放射線による放射線画像の品質が決定されるものではなく、図6から分かるように、骨と軟組織との間の減衰係数は、広いエネルギー帯域(例えば、10Kev〜40Kev)内の各エネルギーで、放射線画像が要求する対照度を満たすのに十分な差を持つため、一定エネルギー帯域(例えば、30Kev〜40Kev)の放射線を用いても、放射線画像で骨と軟組織との対照度は十分に高い。
【0047】
しかし、対象体40の内部の組織の減衰係数の特性が互いに類似している場合、放射線のエネルギー帯域は画像の品質に影響を及ぼす。
この時、減衰係数の特性は、上述したように、エネルギーの変動による減衰係数の変動特性を意味する。
例えば、微細石灰化組織と腺組織(glandular tissue)、脂肪組織、腫塊(mass)、又は繊維組織などの軟組織で構成された患者の乳房の放射線画像を取得しようとする場合、所定エネルギー帯域(例えば、20Kev以上のエネルギー帯域を持つ)より大きいエネルギー帯域の放射線を用いる場合、放射線画像内で軟組織が互いに区分され難い。
【0048】
図7は、対象体40が身体の乳房である場合、対象体40の内部の組織それぞれの減衰係数の差を示すグラフである。
この時、図7の符号71は、対象体40の内部の第1軟組織のエネルギー変化による減衰係数の変化を表し、図7の符号72は、対象体40の内部の第2軟組織のエネルギー変化による減衰係数の変化を表し、符号351は、エネルギー帯域35の所定エネルギーで第1軟組織の減衰係数と第2軟組織の減衰係数との差を表し、符号311は、エネルギー帯域31の所定エネルギーで第1軟組織の減衰係数と第2軟組織の減衰係数との差を表し、符号321は、エネルギー帯域32の所定エネルギーで第1軟組織の減衰係数と第2軟組織の減衰係数との差を表す。
【0049】
図7に示したように、対象体40の内部の第1軟組織と第2軟組織との対照度を向上させるためには、第1軟組織の減衰係数と第2軟組織の減衰係数との差が大きいエネルギー帯域35を持つ放射線を使用する必要がある。
ただし、低いエネルギー帯域(例えば、図7のエネルギー帯域35)の放射線を用いるのは、物理的な特性又は放射線被爆量の制限により限界を持つ。
例えば、低いエネルギー帯域の放射線(例えば、図7のエネルギー帯域35)は、高いエネルギー帯域の放射線(例えば、図7のエネルギー帯域32)と比較して透過力が低いため、高強度の放射線を発生させるために放射線被爆量を基準値以上に増大させねばならないが、これは現実的に不可能である。
【0050】
実際に発生させていないエネルギー帯域の放射線の放射線データを、実際に発生させた相異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データから予測するのは、放射線画像の対照度を向上させるのに長所となる。
図7を参照すると、対象体40を通過したエネルギー帯域31の放射線の放射線データ、及びエネルギー帯域32の放射線の放射線データを用いて、実際に検出器12により検出されていないエネルギー帯域35の放射線の放射線データを予測するのは、対象体40の内部の軟組織間の対照度を飛躍的に向上させる効果をもたらす。
【0051】
以下で説明する実施形態は、画像プロセッサ22により生成された相異なるエネルギー帯域の放射線に対応する複数の放射線データに基づいて、複数の放射線のエネルギー帯域と異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成し、生成された放射線データに基づいて放射線画像を生成する方式を提示する。
【0052】
図2を参照すると、画像プロセッサ22は、放射線データ生成部221及び放射線画像生成部222を含む。画像プロセッサ22は、前記のような構成要素の機能を行う専用チップとして製作されてもよく、汎用CPU及び保存部23に保存された専用プログラムで具現されてもよい。
【0053】
放射線データ生成部221は、マルチエネルギー放射線データに基づいて、複数の放射線のエネルギー帯域と異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する。
この時、本発明の一実施形態による放射線データ生成部221は、複数の放射線のエネルギー帯域のうち少なくとも一つのエネルギー帯域に基づいて、他のエネルギー帯域を決定する。図3を参照すると、放射線データ生成部221は、エネルギー帯域31、エネルギー帯域32、及びエネルギー帯域33のうち少なくとも一つに基づいて、他のエネルギー帯域を決定する。この時、他のエネルギー帯域の上限または下限は、複数のエネルギー帯域31、32、33のうちいずれか一つの内部領域に存在してもよく、外部領域に存在してもよい。
【0054】
本発明の他の実施形態による放射線データ生成部221は、複数のエネルギー帯域の結合により決定された全体エネルギー帯域に基づいて、他のエネルギー帯域を決定する。
図3を参照すると、放射線データ生成部221は、複数のエネルギー帯域31、32、33の結合により決定された全体エネルギー帯域34に基づいて、他のエネルギー帯域を決定する。この時、他のエネルギー帯域の上限または下限は、全体エネルギー帯域34の内部領域に存在してもよく、外部領域に存在してもよい。
この時、内部領域とは、全体エネルギー帯域34の内側にあるエネルギー帯域を意味し、外部領域とは、全体エネルギー帯域34の外側にあるエネルギー帯域を意味する。
【0055】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、放射線データ生成部221は、他のエネルギー帯域の上限を全体エネルギー帯域の下限より小さく決定することができる。
言い換えれば、放射線データ生成部221は、全体エネルギー帯域と比較して低いエネルギー帯域のうち一部を、他のエネルギー帯域に決定してもよい。
図3を参照すると、放射線データ生成部221は、全体エネルギー帯域34の下限より小さな位置に、他のエネルギー帯域35の上限を位置させる。
【0056】
図8は、本発明の一実施形態による図2の放射線データ生成部221により放射線データが生成される工程を説明するためのフローチャートである。
図8の放射線データが生成される工程は、ステップS81〜S92で行われる。
【0057】
ステップS81で、放射線データ生成部221は、放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、減衰特性を決定する。
この時、減衰特性は、放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに対応する放射線の減衰特性を意味する。かかる減衰特性は、放射線の減衰係数がエネルギーの変化によって変化する特性を意味する。例えば、放射線の減衰特性は、0KevのエネルギーからEmaxのエネルギーまで放射線の減衰係数が変化する特性を意味し得る。また、上述したように、これらの減衰係数は吸収係数で表現されてもよい。一般的に、減衰係数は、放射線のエネルギーの増加につれて減少する特性を表す。
【0058】
図9は、本発明の一実施形態による減衰特性を示すグラフである。
図9の相異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線の内のいずれか一つの放射線の減衰特性を示すものであり、図9に示した減衰特性が、相異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線の減衰特性すべてを表すものではない。
図9を参照すると、放射線の減衰特性95は、エネルギー帯域によってサブ減衰特性91〜94の和から決定される。
【0059】
一般的に、サブ減衰特性91は、光電効果によるサブ減衰特性で表される。この時、光電効果は、金属などの物質に所定の振動数以上の光線を照射した時、物質の表面から電子が飛び出す現象を意味し、光電効果によるサブ減衰特性は、光電効果によって放射線の減衰係数が変化する特性を意味する。
【0060】
また、サブ減衰特性92は、コンプトン散乱によるサブ減衰特性で表される。この時、コンプトン散乱は、放射線などの光子が振動数の低い光子となって、最初の入射方向と異なる方向に散乱される現象を意味し、コンプトン散乱によるサブ減衰特性は、コンプトン散乱によって放射線の減衰係数が変化する特性を意味する。
【0061】
また、サブ減衰特性93は、レーリー散乱(Rayleigh Scattering)によるサブ減衰特性で表される。この時、レーリー散乱は、束縛された電子が原子に比べて長い波長の光を仮想的に吸収して浮き立った状態になってから、再び元の状態に戻る時に生じる長い波長の光の散乱を意味し、レーリー散乱によるサブ減衰特性は、レーリー散乱によって放射線の減衰係数が変化する特性を意味する。
【0062】
また、サブ減衰特性94は、電子対生成によるサブ減衰特性で表される。この時、電子対生成は、エネルギーが約1.02Mev(Mega electron volt)以上の光子が物質中の原子核近くを通過する時、強い電界の影響を受けて陰電子と陽電子との電子対に変わる現象を意味し、電子対生成によるサブ減衰特性は、電子対生成によって放射線の減衰係数が変化する特性を意味する。
【0063】
図9を参照して上述したように、放射線の減衰特性95は、エネルギー帯域によってサブ減衰特性91〜94の和から定められる。
ただし、一般的に、放射線の減衰特性の変化を決定するに当って、光電効果によるサブ減衰特性91及びコンプトン散乱によるサブ減衰特性92が、他のサブ減衰特性に比べてさらに大きい影響を与えるため、放射線の減衰特性の変化は、光電効果によるサブ減衰特性91と、コンプトン散乱によるサブ減衰特性92との和のみで定義されてもよい。
【0064】
図9を参照すると、サブ減衰特性91〜94の和から定められる放射線の減衰特性95は、サブ減衰特性91とサブ減衰特性92との和からの近似である。
かかる図9の放射線の減衰特性95を数式的に表現すれば、以下の数式1の通りである。
この時、μTotalは、図9の放射線の減衰特性95を意味し、μCSは、図9のコンプトン散乱によるサブ減衰特性92を意味し、μPEは、図9の光電効果によるサブ減衰特性91を意味し、μRSは、レーリー散乱によるサブ減衰特性93を意味し、μPPは、電子対生性によるサブ減衰特性94を意味する。
【0065】
【数1】

【0066】
ステップS81で、放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の内の少なくとも一つの放射線データに基づいて減衰特性を決定する。
前述したように、放射線の減衰特性は、光電効果による減衰特性とコンプトン散乱による減衰特性との和で近似化する。
一般的に、図9に示したように、一定エネルギー帯域内で、光電効果による減衰特性は線形性を維持する。この時、光電効果による減衰特性が線形性を維持するのは、光電効果による減衰特性を対数領域で分析する時、エネルギーの変化によって線形性を維持するということを意味しうる。
図9を参照すると、光電効果による減衰特性91が、所定のエネルギー帯域96内でエネルギーの変化によって線形性を維持することを意味しうる。
【0067】
また、一般的に、図9に示したように、所定のエネルギー帯域内で、コンプトン散乱による減衰特性は、エネルギーの変化によって所定範囲内の減衰係数内で一定に維持される。
図9を参照すると、コンプトン散乱による減衰特性92が、所定のエネルギー帯域96内でエネルギーの変化によって一定の減衰係数の値を基準として類似して維持されるということを意味しうる。
【0068】
放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、減衰特性を予測する。
この時、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれは、同じソース放射線から区分して検出されたものである。したがって、複数の放射線それぞれの減衰特性は、同一または類似した特性を持つ。これを用いれば、放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、減衰特性を予測できる。
言い換えれば、放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、複数の放射線の減衰係数が変化する特性を決定し、かかる減衰係数が変化する特性を決定する。
【0069】
ステップS82で、放射線データ生成部221は、決定された減衰特性に基づいて、複数の放射線のエネルギー帯域と異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する。
具体的には、放射線データ生成部221は、決定された減衰特性(例えば、複数の放射線の減衰係数が変化する特性)から他のエネルギー帯域の減衰係数を決定し、決定された減衰係数に基づいて他のエネルギー帯域の放射線データを生成する。
この時、放射線データ生成部221は、決定された減衰特性の線形性に基づいて、他のエネルギー帯域の放射線データを生成する。また、かかる線形性は、対数領域における線形性を意味しうる。
【0070】
図10は、図9のエネルギー帯域96で、図9の減衰特性95の変化特性を示すグラフである。
かかる図10に示したグラフのエネルギーの単位が対数単位で変化する場合、図10の減衰特性95は、直線形態の線形グラフに変わる。
図10を参照すると、放射線データ生成部221は、エネルギー帯域31の放射線、エネルギー帯域32の放射線及びエネルギー帯域33の放射線の内の少なくとも一つの放射線の放射線データを用いて減衰特性を決定し、決定された減衰特性に基づいて他のエネルギー帯域35の減衰係数を決定し、決定された減衰係数に基づいて他のエネルギー帯域の放射線データを生成する。
【0071】
例えば、放射線データ生成部221は、エネルギー帯域31の放射線の放射線データ及びエネルギー帯域32の放射線の放射線データそれぞれを用いて、エネルギー帯域31の放射線の減衰係数951及びエネルギー帯域32の放射線の減衰係数952を決定し、決定された減衰係数951、952に基づいて減衰特性を決定し、決定された減衰特性に基づいて他のエネルギー帯域35の減衰係数955を決定し、決定された減衰係数955に基づいて他のエネルギー帯域の放射線データを生成する。
【0072】
この時、決定された減衰係数951、952に基づいて減衰特性を決定するためには、上述した減衰特性の線形性が用いられる。この時、放射線データを用いて減衰係数を決定するのは、放射線データに含まれた放射線の強度を用いて減衰係数を決定することを意味し、減衰係数から放射線データを生成するのは、減衰係数から放射線データに含まれる放射線の強度を生成することを意味する。
【0073】
一般的に、放射線の強度と放射線の減衰係数との間には、以下の数式2のような関係式が成立する。
この時、kは、放射線が通過する物質の種類を意味(例えば、身体内部の軟組織の種類を意味)し、tは、放射線が通過する物質の厚さを意味し、μは、放射線が通過する物質の種類による放射線の減衰特性を意味し、Iは、検出器12により検出された放射線の強度を意味する。
【0074】
本発明の一実施形態による放射線データ生成部221は、下記の数式2に基づいて、エネルギー帯域31の放射線の強度及びエネルギー帯域32の放射線の放射線強度それぞれを用いて、エネルギー帯域31の放射線の減衰係数951及びエネルギー帯域32の放射線の減衰係数952を決定し、決定された減衰係数951、952に基づいて減衰特性を決定し、決定された減衰特性に基づいて異なるエネルギー帯域35の減衰係数955を決定し、決定された減衰係数955に基づいて異なるエネルギー帯域の放射線の強度を決定する。
この時、決定された減衰係数951、952に基づいて減衰特性を決定するためには、前述した減衰特性の線形性が用いられる。
【0075】
【数2】

【0076】
放射線データ生成部221は、ステップS81及びステップS82の作業を行う過程で、保存部23に含まれた参照情報を用いる。
この時、参照情報は、事前インデックス情報又は一般化した事前情報を意味する。
具体的には、保存部23には、複数の生データを基づいて、減衰係数、減衰特性、及び放射線の強度間の一般的な関係が予め保存されており、放射線データ生成部221は、保存部23に保存されたデータに基づいて、ステップS81及びステップS82の作業を実行するか、またはステップS81及びステップS82の作業の結果の補正又は検証を実行する。
【0077】
例えば、放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の放射線の内の少なくとも一つの放射線の放射線データを保存部23に入力することで、保存部23から減衰特性を読み出し、読み出された減衰特性と異なるエネルギー帯域を入力することで、保存部23から異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを読み出す。
また、他の例として、放射線データ生成部221は、相異なるエネルギー帯域の放射線の内の少なくとも一つの放射線の放射線データを入力することで、保存部23から異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを読み出してもよい。
【0078】
図11は、本発明の他の実施形態による図2の放射線データ生成部221の構成ブロック図である。
図11を参照すると、放射線データ生成部221は、分離部2211、特性決定部2212、及び生成部2213で構成される。
【0079】
分離部2211は、相異なるエネルギー帯域の放射線に対応する複数の放射線データそれぞれからピクセルの強度を抽出する。
この時、ピクセルは、複数の放射線データそれぞれに含まれた複数のピクセルの内のいずれか一つを意味し、以下では、説明の便宜のために、いずれか一つのピクセルのみについて説明するが、結論的にあらゆるピクセルに対して同じ動作を繰り返すということは、当業者によって明らかである。
【0080】
一般的に、強度には、光電効果による強度と、コンプトン散乱による強度のうち少なくとも一つが含まれる。
この時、光電効果による強度は、上述した光電効果による減衰係数に対応する概念であり、コンプトン散乱による強度は、上述したコンプトン散乱による減衰係数に対応する概念である。
上述したように、放射線の減衰係数と放射線の強度との関係は、数式2のように表現される。
また、上述したように、光電効果による減衰係数とコンプトン散乱による減衰係数と放射線の減衰係数との関係は、数式1のように表現される。
【0081】
これらの数式1及び数式2に基づいて、光電効果による減衰係数とコンプトン散乱による減衰係数と放射線の強度との関係は、以下に示す数式3のように表現される。
また、数式3は、光電効果による強度とコンプトン散乱による強度と放射線の強度との関係をさらに表現している。
この時、tは、物質の厚さを意味し、Iは、放射線の強度を意味し、IPEは、光電効果による強度を意味し、ICSは、コンプトン散乱による強度を意味し、αは、一定定数を意味し、βは、αと区分される他の定数を意味し、μPEは、光電効果による減衰係数を意味し、μCSは、コンプトン散乱による減衰係数を意味する。
【0082】
数式3を参照すると、放射線の強度は、光電効果による強度に一定定数を適用し、コンプトン散乱による強度に他の定数を適用し、一定定数が適用された光電効果による強度と、他の定数が適用されたコンプトン散乱による強度との和から決定される。
【0083】
【数3】

【0084】
図12は、図11の特性決定部2212及び生成部2213によって、異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データが生成される工程を説明するためのフローチャートである。
図12を参照すると、異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データが生成される工程は、ステップS121〜ステップS123で行われる。
この時、ステップS121〜ステップS122は、特性決定部2212によって行われ、ステップS123は、生成部2213によって行われる。
【0085】
ステップS121で、特性決定部2212は、相異なるエネルギー帯域の放射線それぞれに対応する放射線データそれぞれに基づいて、放射線データそれぞれのピクセルの強度を決定する。
上述したように、放射線データそれぞれには、放射線データそれぞれに含まれる複数のピクセルの強度が含まれる。したがって、特性決定部2212が、相異なるエネルギー帯域の放射線データそれぞれからピクセルの強度を抽出できる。
【0086】
また、ピクセルの強度は検出器12により検出されるということは、上述した通りである。図3を参照すると、特性決定部2212は、複数の放射線データの内のエネルギー帯域31の第1放射線データから第1強度を抽出し、エネルギー帯域32の第2放射線データから第2強度を抽出し、エネルギー帯域33の第3放射線データから第3強度を抽出する。
【0087】
ステップS122で特性決定部2212は、複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて、異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定する。
上述したように、ピクセルの強度は、光電効果による強度及びコンプトン散乱による強度によって定義される。
また、光電効果による強度は、光電効果による減衰特性と同一又は類似した変化特性を持ち、コンプトン散乱による強度は、コンプトン散乱による減衰特性と同一又は類似した変換特性を持つ。
【0088】
したがって、光電効果による強度は線形性を維持する。この時、光電効果による強度が線形性を維持するのは、光電効果による強度を対数領域で分析する時、エネルギーの変化に従って線形性を維持するということを意味する。
また、コンプトン散乱による強度は、エネルギーの変化に従って所定範囲内の減衰係数内で一定に維持される。この時、コンプトン散乱による強度が一定に維持されるというのは、コンプトン散乱による強度が、一定エネルギー帯域内でエネルギーの変化に従って一定の強度の値を基準として近似して維持されるということを意味する。
【0089】
特性決定部2212は、複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて、複数の放射線データそれぞれの光電効果による強度及びコンプトン散乱による強度を決定し、決定された光電効果による強度及びコンプトン散乱による強度に基づいて、異なるエネルギー帯域の放射線データの強度を決定する。
この時、特性決定部2212は、上述したように、複数の放射線データの光電効果による強度間に線形性が維持されるということと、複数の放射線データのコンプトン散乱による強度が同一又は近似して維持されるということを用いて、複数の放射線データそれぞれの光電効果による強度及びコンプトン散乱による強度を決定し、決定された光電効果による強度及びコンプトン散乱による強度に基づいて、異なるエネルギー帯域の放射線データの強度を定める。
【0090】
図13は、相異なるエネルギー領域の複数の放射線データの光電効果による強度間に線形性を維持される状態を示すグラフである。
図13を参照すると、本発明の一実施形態による特性決定部2212は、複数の放射線データ(例えば、エネルギー帯域31の放射線データ、エネルギー帯域32の放射線データ及びエネルギー帯域33の放射線データ)のコンプトン散乱による強度が、所定のエネルギー帯域範囲内で同一又は近似した値を持つという性質に基づいて、複数の放射線のコンプトン散乱による強度を所定の定数に決定する。
【0091】
また、特性決定部2212は、複数の放射線データ(例えば、エネルギー帯域31の放射線データ、エネルギー帯域32の放射線データ及びエネルギー帯域33の放射線データ)それぞれのコンプトン散乱による強度、複数の放射線データそれぞれの強度、及び複数の放射線データそれぞれの光電効果による可変強度間の関係を、以下の数式4のように定義する。
この時、ICSは、複数の放射線データ(例えば、エネルギー帯域31の放射線データ、エネルギー帯域32の放射線データ及びエネルギー帯域33の放射線データ)の内のいずれか一つのコンプトン散乱による強度を意味し、Iは、複数の放射線の内のいずれか一つの強度を意味し、Wは、所定の係数を意味し、I’PEは、複数の放射線データの内のいずれか一つの光電効果による可変強度を意味する。
【0092】
【数4】

【0093】
図13を参考にすると、特性決定部2212は、エネルギー帯域31の第1放射線データのコンプトン散乱による強度、エネルギー帯域32の第2放射線データのコンプトン散乱による強度、及びエネルギー帯域33の第3放射線データのコンプトン散乱による強度の値を、所定の定数に決定する。
この所定の定数は、コンプトン散乱による強度が所定のエネルギー帯域範囲内で同一又は近似した値を持つという性質に基づいて、特性決定部2212により決定されるということは上述した通りである。
【0094】
また、本発明の一実施形態による特性決定部2212は、保存部23に保存された参照情報を用いて定数を決定する。
例えば、特性決定部2212は、保存部23にエネルギー帯域31の第1放射線データ、エネルギー帯域32の第2放射線データ及びエネルギー帯域33の第3放射線データの内の少なくとも一つを入力し、保存部23から定数を読み出す。
【0095】
図13を参照すると、特性決定部2212は、数式4により決定された定数に基づく、エネルギー帯域31の第1放射線データの光電効果による可変強度、エネルギー帯域32の第2放射線データの光電効果による可変強度及びエネルギー帯域33の第3放射線データの光電効果による可変強度と、検出器12により検出されたエネルギー帯域31の第1放射線データのコンプトン散乱による強度、エネルギー帯域32の第2放射線データのコンプトン散乱による強度及びエネルギー帯域33の第3放射線データのコンプトン散乱による強度との間で互いに線形性を満たすwを定める。
【0096】
また、特性決定部2212は、数式4により決定された定数、検出器12により検出されたエネルギー帯域31の第1放射線データのコンプトン散乱による強度、エネルギー帯域32の第2放射線データのコンプトン散乱による強度、エネルギー帯域33の第3放射線データのコンプトン散乱による強度、及び決定されたwに基づいて、エネルギー帯域31の第1放射線データの光電効果による強度131、エネルギー帯域32の第2放射線データの光電効果による強度132、及びエネルギー帯域33の第3放射線データの光電効果による強度133を決定する。
また、本発明の他の実施形態によれば、特性決定部2212は、保存部23に保存された参照情報を用いて、w及び第1放射線データの光電効果による強度131、第2放射線データの光電効果による強度132、第3放射線データの光電効果による強度133を決定してもよい。
【0097】
図13を参照すると、特性決定部2212は、エネルギー帯域31の第1放射線データのコンプトン散乱による強度と、エネルギー帯域32の第2放射線データのコンプトン散乱による強度と、エネルギー帯域33の第3放射線データのコンプトン散乱による強度と、wと、第1放射線データの光電効果による強度131と、第2放射線データの光電効果による強度132と、第3放射線データの光電効果による強度133との内の少なくとも一つに基づいて、異なるエネルギー帯域35の放射線データの光電効果による強度135を決定し、異なるエネルギー帯域35の放射線データの光電効果による強度135と、異なるエネルギー帯域35の放射線データのコンプトン散乱による強度に基づいて、異なるエネルギー帯域35の放射線の強度を決定する。
【0098】
この時、異なるエネルギー帯域35は、予め規定されるか、又はユーザーインターフェース25により入力され、特性決定部2212は、異なるエネルギー帯域35に属する少なくとも一つのエネルギー値を基準として上述の演算を実行する。
また、本発明の他の実施形態によれば、特性決定部2212は、保存部23に保存された参照情報を用いて、異なるエネルギー帯域35の放射線データの光電効果による強度135及び異なるエネルギー帯域35の放射線データのコンプトン散乱による強度を決定してもよい。
【0099】
ステップS123で生成部2213は、決定された強度に基づいて、異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する。
この時、上述したように決定された強度は、複数のピクセルの内のいずれか一つの強度であり、生成部2213は、複数のピクセルの強度を用いて異なるエネルギー帯域の放射線データを生成する。
図13を参照すると、生成部2213は決定された強度135に基づいて、異なるエネルギー帯域35の放射線に対応する放射線データを生成できる。
【0100】
放射線画像生成部222は、生成された放射線データに基づいて対象体40の放射線画像を生成する。
これにより、放射線画像生成部222は、検出器12により実際に検出されていないエネルギー領域の放射線に対応する放射線画像を生成できる。
【0101】
図3を参照すると、画像生成部222は、エネルギー帯域35の放射線の放射線データが入力されていなくても、エネルギー帯域35と異なるエネルギー帯域を持つ複数の放射線の放射線データに基づいて、エネルギー帯域31の放射線に対応する放射線画像、エネルギー帯域32の放射線に対応する放射線画像、エネルギー帯域33の放射線に対応する放射線画像、または全体エネルギー帯域34の放射線に対応する放射線画像と異なる特性のエネルギー帯域35の放射線に対応する放射線画像を生成できる。この時、上述したように、エネルギー帯域35の放射線に対応する放射線画像は、上述した他の放射線画像と比較して高いコントラストや、より優秀な品質を保証できる。
【0102】
本発明の他の実施形態によれば、放射線画像生成部222は、複数の放射線データの内の少なくとも一つ、及び生成された放射線データに基づいて、対象体40の放射線画像を生成する。
例えば、放射線画像生成部222は、複数の放射線データの内の少なくとも一つを用いて対象体40第1放射線画像を生成し、生成された放射線データを用いて対象体40の第2放射線画像を生成し、第1放射線画像及び第2放射線画像に基づいて対象体40の放射線画像を生成できる。
【0103】
この時、放射線画像生成部222は、第1放射線画像の第1ピクセルそれぞれのピクセル情報及び第2放射線画像の第2ピクセルそれぞれのピクセル情報に基づいて、放射線画像のピクセルそれぞれのピクセル情報を決定する。
例えば、放射線画像生成部222は、第1ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報から第2ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報を差し引いて、ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報を決定するか、第1ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報と第2ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報との平均により、ピクセルの内のいずれか一つのピクセル情報に決定する。
【0104】
図14は、本発明の一実施形態による放射線画像生成方法を説明するためのフローチャートである。
図14に示す一実施形態による放射線画像生成方法は、図2に示した放射線画像生成装置20で時系列的順次に処理されるステップで構成される。
したがって、以下で省略された内容であるとしても、図2に示した放射線画像生成装置20について上述された内容は、図14に示す実施形態による放射線画像生成方法にも適用される。
【0105】
ステップS141で、入力部21は、相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応して、対象体の内部を示す複数の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る。
ステップS142で、放射線データ生成部221は、マルチエネルギー放射線データに基づいて、複数の放射線のエネルギー帯域と異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する。
ステップS143で、放射線画像生成部222は、生成された放射線データに基づいて対象体の放射線画像を生成する。
【0106】
図14を通じ説明された実施形態による放射線画像生成方法は、コンピュータで実行できるプログラムとして作成でき、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を用いて上記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現される。
コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック記録媒体(例えば、ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD−ROM、DVDなど)などの記録媒体を含む。
【0107】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、放射線画像を生成する方法及びその装置に関連する医療画像システム等の技術分野に好適に使用される。
【符号の説明】
【0109】
10 マルチエネルギー放射線データ生成装置
11 放射線発生器
12 検出器
20 放射線画像生成装置
21 入力部
22 画像プロセッサ
23 保存部
24 出力部
25 ユーザーインターフェース
30 画像表示装置
40 対象体
221 放射線データ生成部
222 放射線画像生成部
401 組織
2211 分離部
2212 特性決定部
2213 生成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相異なるエネルギー帯域の複数の放射線それぞれに対応して、対象体の内部を示す複数の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る段階と、
前記マルチエネルギー放射線データに基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階と、
前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する段階とを有することを特徴とする放射線画像生成方法。
【請求項2】
前記異なるエネルギー帯域は、前記複数の放射線のエネルギー帯域の結合により決定された全体エネルギー帯域によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項3】
前記異なるエネルギー帯域は、前記全体エネルギー帯域の外側にあるエネルギー帯域に存在することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像生成方法。
【請求項4】
前記異なるエネルギー帯域の上限は、前記全体エネルギー帯域の下限より小さいことを特徴とする請求項2に記載の放射線画像生成方法。
【請求項5】
前記異なるエネルギー帯域は、前記複数の放射線のエネルギー帯域の内のいずれか一つにより決定されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項6】
前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに基づいて減衰特性を決定する段階と、
前記決定された減衰特性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項7】
前記決定された減衰特性に基づいて異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記決定された減衰特性の線形性に基づいて前記異なるエネルギー帯域を有する放射線に対応する放射線データを生成することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像生成方法。
【請求項8】
前記減衰特性は、光電効果による減衰特性又はコンプトン散乱による減衰特性の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像生成方法。
【請求項9】
前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階は、前記複数の放射線データそれぞれに基づいて、前記放射線データそれぞれのピクセルの強度を決定する段階と、
複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定する段階と、
前記決定された異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項10】
前記放射線データそれぞれのピクセルの強度を定める段階は、前記放射線データの内の第1放射線データの第1強度を決定し、前記放射線データの内の第2放射線データの第2強度を決定する段階と含み、
前記複数の放射線データそれぞれの強度に基づいて前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定する段階は、前記決定された第1強度と前記決定された第2強度との間の線形性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データの強度を決定することを特徴とする請求項9に記載の放射線画像生成方法。
【請求項11】
放射線データの前記強度は、光電効果による強度又はコンプトン散乱による強度の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項9に記載の放射線画像生成方法。
【請求項12】
前記相異なるエネルギー帯域の複数の放射線は、前記対象体を通過した放射線からエネルギー帯域別に検出されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項13】
前記相異なるエネルギー帯域の複数の放射線は、相異なるピークエネルギー値を持つことを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項14】
前記対象体の放射線画像を生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つ及び前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項15】
前記対象体の放射線画像を生成する段階は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つを用いて、前記対象体の第1放射線画像を生成する段階と、
前記生成された放射線データを用いて、前記対象体の第2放射線画像を生成する段階と、
前記第1放射線画像及び前記第2放射線画像に基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する段階とを含むことを特徴とする請求項14に記載の放射線画像生成方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
相異なるエネルギー帯域の複数の放射線の放射線データからなるマルチエネルギー放射線データを受け取る入力部と、
前記マルチエネルギー放射線に基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成し、該生成された放射線データに基づいて、対象体の放射線画像を生成する画像プロセッサと、
前記生成された放射線画像を出力する出力部とを備えることを特徴とする放射線画像生成装置。
【請求項18】
前記画像プロセッサは、前記マルチエネルギー放射線データに基づいて、前記複数の放射線のエネルギー帯域とは異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する放射線データ生成部と、
前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成する放射線画像生成部とを含むことを特徴とする請求項17に記載の放射線画像生成装置。
【請求項19】
前記放射線データ生成部は、前記マルチエネルギー放射線データから前記複数の放射線データそれぞれを抽出する分離部と、
前記抽出された複数の放射線データの内の少なくとも一つの放射線データに基づいて、減衰特性を決定する特性決定部と、
前記決定された減衰特性に基づいて、前記異なるエネルギー帯域の放射線の放射線データを生成する生成部とを含むことを特徴とする請求項18に記載の放射線画像生成装置。
【請求項20】
前記放射線画像生成部は、前記複数の放射線データの内の少なくとも一つ及び前記生成された放射線データに基づいて、前記対象体の放射線画像を生成することを特徴とする請求項18に記載の放射線画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−52243(P2013−52243A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191938(P2012−191938)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】