説明

放射線硬化性組成物

少なくとも1.60の式(I)の屈折率を有利には有し、(A)少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、(B)少なくとも1種の単官能アルコール又はアミン、(C)Bとは異なる少なくとも1種のさらなる単官能アルコール又はアミン、(D)少なくとも1種のジオール又はジアミン、及び(E)任意選択で、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応により得られる少なくとも1種の硬化性化合物(I)を含み、化合物(I)が炭素−炭素二重結合及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性官能基を含む組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい硬化性組成物、特に、高屈折率を有する、新しい放射線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの光学的用途では、コーティング又はフィルムは高屈折率を示すことが望ましい。例えば、高屈折率コーティングは、液晶ディスプレイ(LCD)のようなフラットパネルディスプレイに、明るさ向上フィルム(brightness enhancing film)として利用される。LCDに用いられる偏光フィルムもまた、高屈折率のハードコーティングを必要とする。このようなコーティングが、基板に対する保護の向上を、例えば、耐性(例えば、スクラッチに対する)の向上をもたらすこともまた望ましい。
【0003】
高屈折率を有する放射線硬化性組成物が、数年来、知られている。通常、これらの組成物は、様々な放射線硬化性モノマー及び/又はオリゴマーを含み、それらのあるものはチオール系である。Radtech 2007の間にI.Khudyakovらによって行われた発表は、チオフェノール又はポリスルフィドのようなチオールと、ジイソシアネート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応により得られる高屈折率チオウレタンを記載した。ポリスルフィドチオウレタンアクリレートは、Quanら、Journal of Applied Polymer Science、Vol.91、2358〜2363(2004)にも記載されている。チオール及びポリスルフィドは、一般に、悪臭を有し、そのため、それらの使用の間に、さらに、これらのチオール及びポリスルフィドから得られる生成物の引き続いての使用の間にも、問題を生じ得る。さらに、チオウレタンはまた、一般に、安定性が悪い。さらに、S−含有分子では、明るさ向上フィルムの印刷及び硬化過程における円滑な離型が問題であり得る。
【0004】
ハロゲン化は、高屈折率材料のための、よく知られた別の手法である。不都合は、他の分子との、しばしば劣る相溶性/溶解性である。さらに最近、増大する環境への関心のために、ハロゲンフリー材料に対する、全世界的に急速に高まる要求が存在する。
【0005】
多くの無機材料が、極めて高い屈折率をもたらすことが知られている。しかし、それらは、真空化学気相成長のような方法を必要とするので、コーティングするのは、複雑で、費用が掛かる。無機−有機のハイブリッド複合材料が、無機及び有機材料の両方の優れた特性を併せ持つ新しい種類の材料を得るために提案されている。しかし、ナノ粒子の表面改質は、結果的に異常なレオロジー挙動を生じることが多く、高コストは、技術的及び商業的に克服すべき課題として残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは今般、前記の(放射線)硬化性組成物の欠点を示さない、高屈折率フィルム及びコーティングを提供することを可能にする、新しい部類の(放射線)硬化性組成物を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それゆえに、本発明は、少なくとも1.60の屈折率
【化1】


を有利には有し、
(A)少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、
(B)少なくとも1種の単官能アルコール又は単官能アミン、
(C)Bとは異なる少なくとも1種のさらなる単官能アルコール又は単官能アミン、
(D)少なくとも1種のジオール又はジアミン、及び
(E)任意選択で、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
の反応により得られる、少なくとも1種の硬化性化合物(I)を含み、
化合物(I)が、炭素−炭素二重結合及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性官能基を含む、組成物に関する。好ましくは、この組成物は、放射線硬化性組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上で、B、C及び/又はDの少なくとも1つが、硬化性官能基を有する、又は、有さなければ、化合物Eが存在しなければならない。
【0009】
材料の屈折率
【化2】


は一般に、自由空間における電磁放射線の速度と、その材料中の放射線の速度との比であると定義され、放射線は、約589.3nmの波長のナトリウム黄色光であり、測定は20℃で行われる。
【0010】
本明細書で用いられる場合、「放射線硬化性」は、例えば、化学線作用のある放射線及び/又は紫外(UV)光(任意選択で、光開始剤のような別の成分の存在下に)、並びに/或いは、イオン化放射線(例えば、電子線)で照射された時に、重合し得る材料を意味する。化学線作用のある放射線は、光化学作用を生じさせることが可能であるが、普通の材料媒体にイオンを生じさせるには不十分なエネルギーの電磁放射線であり、通常、185ナノメートルを超える波長を有する電磁放射線である。UV光は、180から400ナノメートル(1.8から4.0×10〜7メートル)の波長を有する放射エネルギーである。イオン化放射線は、粒子又は電磁エネルギー(例えば、ガンマ線又はX線)であり、普通の材料にイオンを生じさせることが可能であり、通常、約10電子ボルト又は16×10−19ジュールを超えるエネルギーである。電子線(e線)は、高電圧加速源によって金属フィラメントから通常放たれる電子線である。放射線重合を実現する好ましい方法は、UV光及び/又はe線を含む。重合機構は、放射線によって誘発され得る適切などのような方式(例えば、フリーラジカル、カチオンなど)であってもよい。硬化は、好ましくは、本発明の組成物を、電磁放射線に、例えばUV放射線又は電子線に、好ましくはUV光に、通常、約20℃(室温)から約120℃の温度で、約0.2秒から数分(例えば4分)間、曝すことによって行われる。
【0011】
炭素−炭素二重結合を含む硬化性官能基には、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアミド、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルアミン、N−ビニルアミン、ビニルエーテル、マレエート、フマレート、マレアミド、フマルアミド、マレイミド、シトラコンイミド及びノルボルネン基が含まれる。
【0012】
ビニルエーテルが特に重要である。ビニルエーテルは、ホモポリマーを生成することが可能であり、例えば、マレエート、フマレート及びアクリルのようなモノマーと共重合する。
【0013】
好ましいのは、ビニル及び/又は(メタ)アクリル基である。最も好ましいのは、(メタ)アクリル基である。本発明において、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリル化合物又は誘導体の両方、さらにはこれらの混合物を包含すると理解されるべきである。好ましいのは、−O−CO−CH=CH及び/又は−O−CO−CCH=CHであり、最も好ましいのは、−O−CO−CH=CHである。
【0014】
好ましくは(メタ)アクリロイル基である硬化性官能基は、様々な仕方で導入され得る。
【0015】
可能性として、また好ましくは、化合物Dは、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つ又はそれを超える(メタ)アクリル基を含む。
【0016】
同じ又は別の実施形態において、化合物B及び/又はCの少なくとも1つは、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を、可能性として2つ以上の(メタ)アクリル基を含む。
【0017】
同じ又は別の実施形態において、化合物B及び/又はCの少なくとも1つは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレートである。好ましくは、化合物B及び/又はCは、少なくとも1つの芳香族環を有利には含み、複数の芳香族環(例えば、2つ又はそれを超える芳香族環)をより好ましくは含む、芳香族ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートである。特に好ましいのは、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートである。
【0018】
同じ又は別の実施形態において、化合物(I)は、化合物AからE(化合物Eは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートである)の反応により得られる。好ましい化合物Eは、ヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレート、より好ましいのは、ヒドロキシル基含有モノアクリレートである。通常、任意選択の化合物Eは、化合物B及びC及びDとは異なる。
【0019】
化合物Eは様々な仕方で添加され得る。それは、例えば、化合物B及び/又はCに混合され得る、或いは、最終ステップにおいて、未反応イソシアネート基をキャッピングするために添加され得る。
【0020】
化合物Eは、有利には、ヒドロキシル基含有脂肪族(メタ)アクリレートである。好ましいヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートEは、1から20個、好ましくは1から6個の炭素原子をアルキル基に有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのように、少なくとも1つのヒドロキシ官能基を遊離のまま残している、線状及び分岐状ポリオールによる(メタ)アクリルエステルである。この種類の好ましい分子は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。アクリレートが好ましい。最も好ましいのは、ヒドロキシプロピルアクリレート、特に、2−ヒドロキシプロピルアクリレートである。
【0021】
こうして提供されるのは、少なくとも1.60の屈折率
【化3】


を有利には有し、
(A)少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、
(B)少なくとも1種の単官能アルコール又は単官能アミン、
(C)Bとは異なる少なくとも1種のさらなる単官能アルコール又は単官能アミン、及び
(D)少なくとも1種のジオール又はジアミン
の反応により得られるが、但し、
化合物B、C、及び/又はDの少なくとも1つは、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含むという条件付きである、及び/又は
化合物(I)は、化合物AからDと、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートであるさらなる化合物Eとから得られるという条件付きである、
少なくとも1種の化合物(I)を含む硬化性組成物である。通常、任意選択の化合物Eは、化合物B及びC及びDとは異なる。
【0022】
特に、少なくとも1.60の屈折率
【化4】


を有利には有し、
(A)少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、
(B)少なくとも1種の単官能アルコール又は単官能アミン、
(C)Bとは異なる少なくとも1種のさらなる単官能アルコール又は単官能アミン、及び
(D)少なくとも1種のジオール又はジアミン、並びに
(E)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
の反応により得られ、
任意選択で、化合物B、C、及び/又はDの少なくとも1つは、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、
少なくとも1種の硬化性化合物(I)を含む硬化性組成物が提供される。通常、任意選択の化合物Eは、化合物B及びC及びDとは異なる。
【0023】
有利には、化合物(I)は、ウレタン(メタ)アクリレート、より好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、最も好ましくはウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0024】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、単官能又は多官能ウレタン(メタ)アクリレートであり得る。好ましくは、(メタ)アクリレート官能基の数は、少なくとも2個である。しかし、好ましくは、(メタ)アクリレート官能基の数は、8個を超えず、より好ましくは、6個を超えない。
【0025】
好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートは、2、3又は4官能ウレタン(メタ)アクリレート、より好ましくは、3又は4個の(メタ)アクリレート基を有する3又は4官能(メタ)アクリレートである。
【0026】
有利には、本発明の化合物(I)は、1,000と20,000の間の数平均分子量(Mn)を有する。好ましいのは、少なくとも1,000、より好ましくは少なくとも1,200のMnを有するものである。好ましいオリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、THF中、3xPLgel 5μm Mixed−D LS 300×7.5mmカラム、MW範囲 162から377400g/mol、ポリスチレン標準で較正、40℃、Merck−Hitachiの装置を用いる)によって求めて、大きくても10,000、好ましくは大きくても5,000、より好ましくは大きくても3,000のMnを有する。
【0027】
本発明において、通常、ポリイソシアネート(A)は、ウレタン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン及び/又はイミノ−オキサジアジンジオン基を含む芳香族ポリイソシアネート、或いはその誘導体である。
【0028】
好ましいのは、式R−(NCO)n+m(式中、n+mは、少なくとも2で、好ましくは6以下であり、Rは、1つ又は複数の−N−CO−O−及び/又は
【化5】


を含み得るアリーレン及びアラルキレン鎖から選択される)のポリイソシアネートである。
【0029】
本明細書で用いられる場合、用語「アリーレン」は、1つ又は複数の環を含む芳香族炭化水素から、2個の水素原子を除去することによって導かれ、5から30個の炭素原子を含む2価の基を含むとして定義される。
【0030】
本明細書で用いられる場合、用語「アラルキレン」は、アルキレン及びアリーレン部分の結合体を含む2価の基を表す。6から30個の炭素原子を含むアラルキレン基が、好ましい。本発明において、n+mは、好ましくは2から4、より好ましくは2から3、最も好ましくは2である。より好ましくは、ポリイソシアネート(A)は、ジ−又はトリ−イソシアネート、最も好ましくはジ−イソシアネート、又はその2若しくは3量体である。
【0031】
芳香族ポリイソシアネート(A)は、少なくとも1つの芳香族環を含み、可能性として、2つ以上の芳香族環を含む。好ましい芳香族環は、フェニル環である。
【0032】
好ましくは、ポリイソシアネート(A)は、非対称のポリイソシアネートである。
【0033】
好ましいポリイソシアネート(A)は、少なくとも1.50、より好ましくは少なくとも1.53、最も好ましくは少なくとも1.59の屈折率
【化6】


を有するものである。
【0034】
適切なポリイソシアネートの例は、ジフェニルメタンジイソシアネート(例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)、トルエンジイソシアネート(TDI、例えば、2,4−トルエン−ジイソシアネート及び2,6−トルエン−ジイソシアネート)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI(登録商標)(META))、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、これらの2、3量体又はオリゴマー、並びにポリオールとのこれらの付加物である。
【0035】
例えばTMXDI及び例えばTDIの付加物の例には、次のものが含まれる:トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物(F)、及びTMXDIの付加物(G)。
【化7】

【0036】
特に好ましいのは、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、より特別にはジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、及びこれらのオリゴマー、例えば、下に記載されるMDIオリゴマー(H)であり、式中、nは、0から4、より好ましくは0を超え(>0)、4までである。
【0037】
このようなオリゴマー(pMDI)の例は、市販のポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートのMondur(登録商標)MR Lである。高いパーセンテージの2,4’−異性体を含むジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物は、Mondur(登録商標)MLの名称で市販されている。
【0038】
以下は、反応して本発明の硬化性化合物(I)を生成することが可能である(好ましい)化合物B、C及びDのいくつかの例である。
【0039】
本発明において、化合物B及びCは、単官能アルコール及び/又は(単官能)アミンである。好ましいのは、単官能アルコールである。これらのアルコールは、第1級、第2級又は第3級アルコールであり得るが、好ましくは、第1級又は第2級アルコールである。
【0040】
好ましくは、化合物B及び/又はCは、少なくとも1つの芳香族環を有利には含み、可能性として2つ以上の芳香族環を含む、芳香族化合物である。
【0041】
好ましくは、化合物Bは、少なくとも1.48、より好ましくは少なくとも1.52、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化8】


を有する。
【0042】
好ましくは、化合物Cは、少なくとも1.48、より好ましくは少なくとも1.52、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化9】


を有する。
【0043】
適切な単官能アルコールの例は、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、3−フェニル 1−プロパノール、2−フェニルフェノキシエタノール(又は、o−フェニルフェノールのβ−ヒドロキシエチルエーテル)、2−ナフトール、4−フェニルフェノール、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、及び1−([1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシ)−2−プロパノールである。好ましいのは、2−フェニルフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、4−フェニルフェノール、及び3−フェニル 1−プロパノールである。特に好ましいのは、2−フェニルフェノキシエタノール、ベンジルアルコール、及びo−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートである。2種の化合物B及びCは、化合物Bは化合物Cとは異なるという条件付きで、前記の同一のリストから選択され得る。
【0044】
特に、単官能アルコールの次の混合物が用いられ得る:4−フェニルフェノール及び3−フェニル 1−プロパノール;2−フェノキシエタノール及びベンジルアルコール;2−フェノキシエタノール及びo−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート。特に好ましいのは、2−フェノキシエタノール及びベンジルアルコールの混合物である。これらのアルコール又はアルコール混合物に、ヒドロキシプロピルアクリレートのようなヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが添加され得る。
【0045】
本発明において、化合物Dは、ジオール又はジアミンである(2官能アルコール又は2官能アミンとも呼ばれている)。好ましいのはジオールである。ジオールは第1級、第2級又は第3級ジオールであり得るが、好ましくは、第1級又は第2級ジオールである。
【0046】
好ましくは、化合物Dは、少なくとも1つの芳香族環を有利には含み、可能性として2つ以上の芳香族環を含む、芳香族化合物である。好ましい芳香族環はフェニル環である。
【0047】
好ましくは、化合物Dは、少なくとも1.50、より好ましくは少なくとも1.53、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化10】


を有する。
【0048】
最も好ましくは、化合物Dは、少なくとも1.50、より好ましくは少なくとも1.53、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化11】


を有する芳香族化合物である。
【0049】
適切なジオールの例は、レソルシノール(1,3−ベンゼンジオール)、2[4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フェノキシ]エタノール、及びビスフェノール−Aエポキシジアクリレート、例えば、Ebecryl(登録商標)3700の名称で市販されているものである。特に適切であるのは、Ebecryl(登録商標)3700及びレソルシノールである。最も好ましいのは、Ebecryl(登録商標)3700である。
【0050】
有利には、それぞれの化合物Dが2分子のポリイソシアネートAと反応して、ポリイソシアネート−ジオール−ポリイソシアネート骨格を生じる。化合物Dと化合物Aの間の当量比に応じて、k個の繰返し単位を有する延長された骨格:ポリイソシアネート−(ジオール−ポリイソシアネート)−が生成され得る。本明細書において、kは、1から9のいずれかの値を有し得る。kは、好ましくは1から6、より好ましくは1から4、有利には2から4である。好ましくは、k=1、2又は3である。最も好ましくは、k=2又は3である。
【0051】
有利には、化合物(I)は、非対称分子である。有利には、化合物(I)は、ハロゲン及び硫黄を実質的に含まない。「実質的に含まない」によって、前記化合物におけるハロゲン及び/又は硫黄の含有量が、2.0重量%未満、好ましくは1.0重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満であることを意味する。最も好ましくは、前記化合物におけるハロゲン及び硫黄の含有量が、2.0重量%未満、好ましくは1.0重量未満、より好ましくは0.2重量%未満である。
【0052】
有利には、液体化合物が得られる。
【0053】
通常、Eq./Eq.、又は、Eq./Eq.の比は、それぞれ、0.05〜0.60の範囲、好ましくは0.10〜0.50の範囲、より好ましくは0.15〜0.400の範囲、最も好ましくは0.20〜0.35の範囲にある。
【0054】
Eq./Eq.の比、及びEq./Eq.の比は、互いに等しい必要はないが、時には、それらは互いに等しい。好ましくは、それらは、互いに等しくない。より好ましくは、より高いRI(屈折率)を有する単官能化合物の比率が、(より低いRIを有するものに比べて)より大きい。
【0055】
Eq./Eq.の比とEq./Eq.の比の合計は、有利には、0.10〜0.80の範囲、好ましくは0.20〜0.70の範囲、より好ましくは0.30〜0.60の範囲、最も好ましくは0.30〜0.50の範囲にある。
【0056】
Eq./Eq.の比は、0.100〜0.900の範囲、好ましくは0.20〜0.80の範囲、より好ましくは0.25〜0.70の範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲にある。
【0057】
本明細書において、Eq.は化合物Aの当量数を表し、Eq.及びEq.は、それぞれ、化合物B及びCの当量数を表し、Eq.は、化合物Dの当量数を表す。
【0058】
本発明では、当量によって、ポリイソシアネートAによって供給されるイソシアネート基の1当量当たりの、化合物B、C及びDによって、それぞれ供給されるイソシアネート反応性基−OH(又は、−NH)の当量数を示そうとするものである。
【0059】
有利には、Eq./Eq.の比は、10から1の範囲、より好ましくは8から1の範囲、最も好ましくは3から2の範囲にあり、化合物Bは、化合物Cのそれより高い屈折率
【化12】


を有する。
【0060】
存在する場合、化合物Eの量は、化合物AからEの全量に対して、10重量%から60重量%の範囲にある。好ましくは、この量は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%である。好ましくは、この量は、多くても50%、より好ましくは多くても35%である。
【0061】
本発明において、有利には、化合物B、C及びDの少なくとも1つは、少なくとも1つの硬化性官能基を有し、そうでなければ、化合物Eが存在しなければならない。
【0062】
通常、化合物B及びCは、それぞれ、化合物AからEの全量に対して、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の量で添加される。
【0063】
通常、化合物Dは、それぞれ、化合物AからEの全量に対して、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは少なくとも5重量%の量で添加される。
【0064】
好ましくは、化合物Aは、少なくとも1.50の屈折率
【化13】


を、化合物B及びCは、少なくとも1.48の屈折率
【化14】


を、化合物D(これは、好ましくは、芳香族化合物である)は、少なくとも1.50の屈折率
【化15】


を有する。これらの化合物のそれぞれに対して、好ましい屈折率は上に記載されている。
【0065】
好ましい実施形態において、化合物B及びCは、それぞれ、少なくとも1.48の屈折率
【化16】


を有し、化合物Aは、少なくとも1.53の屈折率
【化17】


を有する。好ましくは、化合物B及び/又はCの少なくとも1つは、少なくとも1.52、好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化18】


を有する。化合物Dは、通常、少なくとも1.50の屈折率
【化19】


を有する。
【0066】
有利には、本発明の化合物(I)は、1.55より大きく、通常、1.59より大きく、特に1.60より大きく、好ましくは1.61より大きく、最も好ましくは1.62より大きい屈折率
【化20】


を有する、芳香族性の高い分子である。有利には、この化合物(I)は、ポリイソシアネート−(ジオール−ポリイソシアネート)q−骨格を有し、単官能化合物(B及びC)(可能性として、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート)が、ポリイソシアネートの残っている−NCO基と反応する。「残っている」によって、2官能化合物Dと反応しなかったものを意味する。本明細書において、qは、1から9のいずれかの値を有し得る。好ましくは、qは、1から6、より好ましくは1から4であり、有利には、2から4である。好ましくは、q=1、2又は3である。最も好ましくは、q=2又は3である。
【0067】
好ましくは、本発明の組成物は、コーティング組成物、より詳細には、放射線硬化性コーティング組成物である。
【0068】
本発明は、本明細書において上で記載された(任意の)組成物の調製方法、及びこのような方法によって得ることができる生成物(又は、組成物)にも関する。本発明による組成物は、それに適するどのような方法によって調製されてもよい。
【0069】
本発明による方法において、反応は、好ましくは、少なくとも2つのステップで実施され、第1ステップにおいて、ポリイソシアネートAを単官能化合物B及びCと反応させ、第2ステップにおいて、こうして得られる反応生成物を2官能化合物Dとさらに反応させる。
【0070】
代わりに、第1ステップにおいて、ポリイソシアネートAを2官能化合物Dと反応させ、第2ステップにおいて、得られる反応生成物を単官能化合物B及びCとさらに反応させる。
【0071】
単官能化合物(B及びC)は、1つずつ添加されてもよいが、好ましくは、プレミックスの状態で、同時に添加される。前記プレミックスにおいて、単官能化合物は、均質な状態を得るために、よく混ざるように混合される。前記プレミックスは、反応性希釈剤及び/又は(アクリレート官能基を導入するための)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートのような、さらなる化合物を含み得る。
【0072】
反応は、通常、例えばアミン触媒及び有機金属複合体触媒のような、触媒の存在下に実施される。ジブチル錫ジラウレート触媒が特に適切である。反応は、好ましくは、20から120℃、より好ましくは50から100℃の温度で実施される。
【0073】
反応は、好ましくは、重合抑制剤若しくは安定剤、又はこれらの任意の組合せの存在下に実施される。キノン、特にヒドロキノン、及びジ−tertブチル p−クレゾールのような1次酸化防止剤(フリーラジカル抑制剤)が特に好ましい。
【0074】
反応は、溶媒又は希釈剤、好ましくは反応性溶媒又は希釈剤の存在下に実施され得る。反応性溶媒又は希釈剤によって、下に記載されるように硬化可能であるが、化合物AからEのいずれとも反応しない化合物を示そうとするものである。好ましい実施形態によれば、少なくとも反応性希釈剤が、その合成の間に、終わりに、及び/又は後で、組成物に添加される。
【0075】
好ましい化合物(I)は、単官能化合物(B及びC)としての2−フェノキシエタノール及びベンジルアルコールから、2官能化合物Dとしてのビスフェノール−Aエポキシジアクリレート(Ebecryl(登録商標)3700)から、化合物Aとしてのジフェニルメタンジイソシアネート又はそのポリメリック体(Mondur(登録商標)ML又はMondur(登録商標)MR L)から、並びに、任意選択で、任意選択の成分Eとしてのヒドロキシプロピルアクリレートから、調製される。
【0076】
本発明による組成物は、通常、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも25重量%の化合物(I)を含む。化合物(I)の量は、通常、組成物の95重量%を、好ましくは80重量%を、超えない。
【0077】
本発明による組成物は、好ましくは、1種又は複数の化合物(I)以外に、少なくとも硬化性反応性希釈剤を含む。この希釈剤は、好ましくは、重合性エチレン性不飽和化合物、より好ましくは、単官能−又は多官能(メタ)アクリレート化合物である。重合性エチレン性不飽和化合物によって、式(I)の化合物と、通常、光重合条件下に、特に照射により、共重合できるモノマー及びオリゴマーを示すものとする。好ましい共重合性エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1.45、より好ましくは少なくとも1.50、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化21】


を有する、単官能及び多官能(メタ)アクリレートである。
【0078】
好ましい共重合性エチレン性不飽和化合物は、25℃で、大きくても200cP.sの粘度を有するものである。
【0079】
適切なモノマー及びオリゴマーの例には、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、フェノキシフェノールエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブロモベンジル(メタ)アクリレート、ジブロモベンジル(メタ)アクリレート、トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、ベンタブロモベンジル(メタ)アクリレート、カルデュラ(cardura)(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、並びにこれらの(メタ)アクリル化、オキシエチル化及び/又はオキシプロピル化誘導体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0080】
好ましい(メタ)アクリル化化合物は、芳香族及びシクロヘキシルから選択される少なくとも1つの基を含むものである。好ましくはまた、反応性希釈剤は、ハロゲン及び硫黄基を含まない。
【0081】
少なくとも1つの芳香族基を含む好ましい(メタ)アクリレート化化合物は、フェニル(メタ)アクリレート、特に、2−フェノキシエチルアクリレート、並びに(メタ)アクリレート化ビスフェノール−A及びビスフェノール−F誘導体、特に、それらのオキシエチル化及び/又はオキシプロピル化誘導体である。特に好ましいのは、ビスフェノール−Aオキシエチル化ジアクリレート、例えば、EBECRYL(登録商標)150の名称で市販されているもの、及びEBECRYL(登録商標)114の名称で市販されている2−フェノキシエチルアクリレートである。
【0082】
組成物中に存在する反応性希釈剤の量は、通常、0から80重量%、好ましくは0から50重量%、より好ましくは0から30重量%である。
【0083】
本発明による方法において用いられる組成物はまた、通常、少なくとも1種の抑制剤を含む。抑制剤には、限定ではなく、ヒドロキノン、トルヒドロキノン、モノメチルエーテルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、フェノチアジンが含まれる。用いられる抑制剤の量は、好ましくは、0から0.5重量%である。
【0084】
本発明の組成物はまた、硬化性化合物と、任意選択で、組成物中に存在する他の硬化性化合物との重合を開始することができる、少なくとも1種の光化学開始剤及び/又は化学開始剤を含み得る。光化学開始剤(光開始剤とも呼ばれる)は、光、通常はUV光の吸収によってラジカルを生成できる化合物である。光開始剤は、好ましくは、フリーラジカル光開始剤である。
【0085】
UV光の下で硬化される場合、少なくとも1種の光開始剤を含む硬化性組成物が好ましい。組成物中の光開始剤又は化学開始剤の量は、好ましくは、0.01と5wt%の間に含まれる。
【0086】
代わりに、組成物は、開始剤なしに、特に電子線放射によって硬化され得る。
【0087】
本発明による硬化性組成物はまた、他の添加剤、例えば、分散剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、流動改良剤、スリップ剤、延焼防止剤(fire retardant agent)、UV防護剤を含み得る。添加剤の全量は、好ましくは、10重量%を超えない。
【0088】
好ましくは、本発明による組成物は、水、及び揮発性有機溶媒(VOC)であると見なされる有機溶媒を、実質的に含まない。したがって、組成物は、通常、100%硬化性組成物と見なされ、これは、引き続いての硬化の間に、水又は有機溶媒を蒸発させることを必要としない。本発明による組成物は、さらに、有利には、ハロゲン及び硫黄を含まない。有利には、本発明の組成物は室温で液体である。
【0089】
本発明による(放射線)硬化性組成物は、通常、高屈折率を示す。通常、本発明による(放射線)硬化性組成物は、少なくとも1.50、好ましくは少なくとも1.53、より好ましくは少なくとも1.55の屈折率
【化22】


を示す。
【0090】
通常、本発明による(放射線)硬化性組成物は、ASTM法D−2196−05に従って、25℃で、大きくても100,000cP.s、好ましくは大きくても10,000cP.s、より好ましくは大きくても1,000cP.s、最も好ましくは大きくても約200cP.sの粘度を有する。
【0091】
本発明による放射線硬化組成物は、高屈折率、さらには良好な機械的性質を示すフィルム及びコーティングを得ることを可能にする。本発明による組成物は、大きな引張り強さ、伸び、モデュラス及び靱性を示すフィルム及びコーティングを得ることを可能にする。本発明による組成物は、高い耐スクラッチ性を示すフィルム及びコーティングを得ることを可能にする。
【0092】
本発明による組成物は、良好な透明性を有するクリアフィルム及びコーティングを得ることを可能にする。
【0093】
したがって、本発明による放射線硬化性組成物は、LCDのようなフラットパネルディスプレイに、また明るさ向上フィルムとして用いられるフィルム及びコーティングを調製するのに適している。
【0094】
それゆえに、本発明は、さらに、特にフラットパネルディスプレイ及び明るさ向上フィルムに用いられる、フィルム及びコーティングを作製するための、本発明による組成物が用いられる方法、さらには、本発明による組成物により得られるコーティング及びフィルムに関する。本発明による組成物は、複製される微細構造を有し得るモールドに投入されるか、或いは、基板の表面に付けられ、次いで、硬化したコーティング又はフィルムを生成させるために、放射線若しくは熱に曝すことによって重合される。放射は、通常、UV光又は電子線によって行われる。
【0095】
本発明による組成物を用いて調製されるコーティング及びフィルムは、通常、高屈折率を示す。通常、前記コーティング及びフィルムは、少なくとも1.50、好ましくは少なくとも1.55、より好ましくは少なくとも1.60の屈折率
【化23】


を示す。硬化したコーティング又はフィルムの屈折率は、632.8nmのルビー赤色レーザー(Metrocon Prism Coupler、Model # 2010)を用い、20℃で求められる。
【0096】
次の例は、本発明を、それに対する限定であることなく、より良く理解するために提示される。
【0097】
実施例で用いられる化学品の頭字語
MDI MRL:Mondur(登録商標)MR Light(ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、pMDI);MDI ML:Mondur(登録商標)ML(ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートの混合物);BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン;DBTDL:ジブチル錫ジラウレート;HQ:ヒドロキノン;BZ−OH:ベンジルアルコール;POEOH:2−フェノキシエタノール;EB3700:Ebecryl(登録商標)3700(ビスフェノール−A−エポキシジアクリレート);PPEA:o−フェニルフェノキシエチルアクリレート
【実施例】
【0098】
(例1)
最初に、2つのプレミックスを準備した。プレミックスI:290.73gのEB3700及び645.95gのPPEAを均質な状態に混合する。プレミックスII:43.26gのBZ−OH及び55.27gのPOEOHを均質な状態に混合する。
【0099】
252.50gのMDI ML、0.90gのDBTDL、0.60gのBHT、及び0.12gのHQを反応器に入れ、室温で撹拌した。それに、プレミックスIを、約0.5時間かけて添加し、その間、温度を約93℃に保った。その後、反応混合物を、必要であれば加熱し、この温度に約1時間保つ。
【0100】
次に、反応混合物に、プレミックスIIを、約0.5時間かけてゆっくりと加え、その間温度を93℃と98℃の間に保った。その後、反応混合物を、約1時間、約93℃に保った。反応混合物を、NCO含量が、0.2%未満(<0.2%)になるまで(毎時間のサンプリング)、この温度に保った。次いで、反応混合物に、0.17gのHQ及び0.28gのBHTを加えた。このバッチ(約93℃に保った)を、さらに30分間混合し、次に、まとめて注いだ。
【0101】
1.5902(1.6044ニート(neat))の
【化24】


及び60℃で8,000cP.sの粘度を有し、ハロゲン及び硫黄を含まない液体のテトラ−アクリレートウレタンを得た。Mw/Mnは6,250/3,510であった。本明細書では、
【化25】


ニートは、化合物(I)それ自体の屈折率を表すのに対して、1.5902の値は、最終組成物(50%のモノマー希釈)の屈折率を表す。
【0102】
(例2)
最初に、2つのプレミックスを準備した。プレミックスI:97.33gのBZ−OH及び124.35gのPOEOHを均質な状態に混合する。プレミックスII:242.28gのEB3700及び558.28gのPPEAを均質な状態に混合する。
【0103】
372.12gのMDI MRL、0.74gのDBTDL、及び0.50gのBHTを反応器に入れ、室温で撹拌した。それに、プレミックスIを、約1時間かけて添加し、その間、温度を約93℃に保った。その後、反応混合物を、この温度に約1時間保つ。
【0104】
次に、0.10gのHQを加え、その後、プレミックスIIを、約0.5時間かけてゆっくりと加え、その間温度を93℃と98℃の間に保つ。その後、反応混合物を、約1時間、約93℃に保った。
【0105】
反応混合物を、NCO含量が、0.2%未満(<0.2%)になるまで(毎時間のサンプリング)、この温度に保った。次いで、反応混合物に、0.28gのHQ及び0.25gのBHTを加えた。このバッチ(約93℃に保った)を、さらに30分間混合し、次に、まとめて注いだ。
【0106】
1.5952(1.6080ニート)の
【化26】


及び60℃で83,800cP.sの粘度を有し、ハロゲン及び硫黄を含まない液体のトリ−アクリレートウレタンを得た。Mw/Mnは28,000/5,480であった。本明細書では、
【化27】


ニートは、化合物(I)それ自体の屈折率を表すのに対して、1.5952の値は、最終組成物(40%のモノマー希釈)の屈折率を表す。
【0107】
(例3)
プレミックスIの準備:54.07gのBZ−OH、69.09gのPOEOH、及び207.59gのPPEAを均質な状態に混合する。
【0108】
252.50gのMDI ML、0.85gのDBTDL、0.56gのBHT、及び0.11gのHQを反応器に入れ、室温で撹拌した。それに、プレミックスIを、約0.5時間かけて添加し、その間、温度を約93℃に保った。その後、反応混合物を、必要であれば加熱し、この温度に約1時間保つ。
【0109】
次に、242.28gのEB3700を、約0.5時間かけてゆっくりと加え、その間、温度を93℃と98℃の間に保った。その後、反応混合物を、約1時間、約93℃に保った。反応混合物を、NCO含量が、0.2%未満(<0.2%)になるまで(毎時間のサンプリング)、この温度に保った。次いで、反応混合物に、0.17gのHQ及び0.28gのBHTを加えた。このバッチ(約93℃に保った)を、さらに30分間混合し、次に、まとめて注いだ。
【0110】
1.5986(1.6082ニート)の
【化28】


及び60℃で117,000cP.sの粘度を有し、ハロゲン及び硫黄を含まない液体のジ−アクリレートウレタン(又は2官能ウレタンアクリレートオリゴマー)を得た。Mw/Mnは4,070/2,740であった。本明細書では、
【化29】


ニートは、化合物(I)それ自体の屈折率を表すのに対して、1.5986の値は、最終組成物(30%のモノマー希釈)の屈折率を表す。
【0111】
(例4)
最初に、2つのプレミックスを準備した。プレミックスI:242.28gのEB3700及び621.94gのPPEAを均質な状態に混合する。プレミックスII:57.07gのBZ−OH及び69.09gのPOEOHを均質な状態に混合する。
【0112】
252.50gのMDI ML、0.85gのDBTDL、0.56gのBHT、及び0.11gのHQを反応器に入れ、室温で撹拌した。それに、プレミックスIを、約0.5時間かけて添加し、その間、温度を約93℃に保った。その後、反応混合物を、必要であれば加熱し、この温度に約1時間保つ。
【0113】
次に、反応混合物に、プレミックスIIを、約0.5時間かけてゆっくりと加え、その間、温度を93℃と98℃の間に保った。その後、反応混合物を、約1時間、約93℃に保った。その後、反応混合物を、約1時間、約93℃に保った。反応混合物を、NCO含量が、0.2%未満(<0.2%)になるまで(毎時間のサンプリング)、この温度に保った。次いで、反応混合物に、0.28gのHQ及び0.25gのBHTを加えた。このバッチ(約93℃に保った)を、さらに30分間混合し、次に、まとめて注いだ。
【0114】
1.5905(1.6050ニート)の
【化30】


及び60℃で4,260cP.sの粘度を有し、ハロゲン及び硫黄を含まない液体のテトラ−アクリレートウレタンを得た。本明細書では、
【化31】


ニートは、化合物(I)それ自体の屈折率を表すのに対して、1.5905の値は、最終組成物(モノマーで希釈)の屈折率を表す。
【0115】
(例5)
例4の化合物を、取り扱い易さを向上させるために、60℃で4時間、熱箱(hot−box)(水蒸気加熱による)に入れた。次に、この化合物を、広口瓶(jar)に投入し、表1に挙げた追加の成分を加えた。様々な配合物は、均質になるまで十分に混合した。混合後、配合物を60℃のオーブン中に1時間入れて、混合の間に取り込まれた空気を逃がした。混合の前に、全重量に対して4パーセントのAdditol BCPK(Additol CPKとAdditol BPの液体ラジカル光開始剤ブレンド、50/50)をそれぞれの配合物に添加した。
【表1】

【0116】
液体の屈折率は、Lecia mark II Plus Abbe屈折計を用いて求め、Lecia mark IIのユーザーモデルの手順要綱に従って操作した。
【0117】
25℃の粘度は、CP16−1コーンを用い、Anton Paar Physica MCR 101で測定した。
【0118】
鉛筆硬度は、ASTM D3363規格に従って求めた。鉛筆の芯は、次の硬度スケールに適合する、較正された鉛筆の芯であった。
軟らかい:6B−5B−4B−3B−2B−1B−HB−F−H−2H−3H−4H−5H−6H:硬い
【0119】
それぞれの配合物を、水銀添加電球を装備した600watt/inの2つのランプの下で出力100%で硬化させた。それぞれのコーティングを、International Light Technologies ILT 390Cベルト放射計(Belt Radiometer)を用いて求めて、838mJ/cmのエネルギー密度に曝した。
【0120】
観察結果
例4の化合物のUV硬化反応性は、通常の高屈折率樹脂のUV硬化反応性に比べて、比較的高い。タックフリー表面を実現するために、例4に基づく配合物は、わずか838mJ/cmを必要としただけであったのに対して、通常の高屈折率樹脂は、タックフリーの表面を実現するために、最低でも2〜3倍のエネルギー密度を必要とした。
【0121】
表面硬度もまた、通常の高屈折率樹脂に比べて、かなり向上した。通常の高屈折率樹脂の鉛筆硬度は、HBとHの間の範囲であったのに対して、本発明の化合物では、硬度は、3Hと5Hの間の範囲であった。より高い硬度を実現するために、2官能以上のオリゴマー(2つ以上のアクリレート官能基)が配合物に添加された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、
(B)少なくとも1種の単官能アルコール又はアミン、
(C)Bとは異なる少なくとも1種のさらなる単官能アルコール又はアミン、
(D)少なくとも1.50の屈折率
【化1】


を好ましくは有する、少なくとも1種のジオール又はジアミン、及び
(E)任意選択で、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
の反応により得られ、炭素−炭素二重結合及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性官能基を含む少なくとも1種の硬化性化合物(I)を含む、組成物。
【請求項2】
化合物(I)がウレタン(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ウレタン(メタ)アクリレートが、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
化合物B、C及び/又はDの少なくとも1つが、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、及び/又は(メタ)アクリロイル基が化合物Eによって供給される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物B及びCが芳香族単官能アルコールであり、化合物Dが芳香族ジオールである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
化合物Dが、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
化合物(I)が非対称分子である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物(I)におけるハロゲン及び/又は硫黄の含有量が、2.0重量%未満である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
Eq./Eq.、及びEq./Eq.の比が、それぞれ、0.05と0.60の間であり、Eq.が化合物Aの当量数を表し、Eq.又はEq.が、それぞれ、化合物B又はCの当量数を表す、請求項1から8までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
Eq./Eq.の比が、0.1と0.9の間であり、Eq.Aが化合物Aの当量数を表し、Eq.が化合物Dの当量数を表す、請求項1から9までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
Eq./Eq.、及びEq./Eq.の比の合計が、0.10と0.80の間である、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
化合物Aが、少なくとも1.53の屈折率
【化2】


を有し、化合物Dが、少なくとも1.50の屈折率
【化3】


を有し、化合物B及びCの少なくとも1つが、1.55の屈折率
【化4】


を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の硬化性化合物(I)が、少なくとも1.60の屈折率
【化5】


を有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
第1ステップにおいて、化合物B及びCを化合物Aと反応させ、第2ステップにおいて、こうして得られる反応生成物を化合物Dとさらに反応させる、或いは、第1ステップにおいて、化合物Dを化合物Aと反応させ、第2ステップにおいて、こうして得られる反応生成物を化合物B及びCとさらに反応させる、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物が用いられる、フィルム及びコーティングを作製する方法。
【請求項16】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物から得られるコーティング及びフィルム。

【公表番号】特表2012−527503(P2012−527503A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511236(P2012−511236)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056494
【国際公開番号】WO2010/145891
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】