説明

放射能含有スクラップを選別除去する受け入れ方法

【課題】 スクラップの受け入れに際して、効率良く受け入れ作業をするために、パソコンを使用し、受け付け担当者がいなくても、トラック運転手のみで受け付け作業を行い、放射能を検知したら間違いなく受け入れを拒否できるようにする方法を提供する。
【解決手段】 トラック搬送のスクラップを製鋼原料として受け入れのため秤量する際に、秤量装置1にトラックごとスクラップの積み荷量を秤量し、設置した放射能測定装置2によりスクラップ中の放射能検認を行い、この検認により得られた放射能検認信号をトラック運転者自体自身でパソコン3に入力し、放射能を検知した場合、パソコンより自動的に受け付け担当者の作業場に送信してブザー4を鳴らし、パトライト5を点灯させ、同時にパソコンに受けいれ拒否画面を表示させることによりスクラップの受け入れを拒否し、放射能が検知されなかったスクラップのみを受け入れるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気炉による製鋼操業に際して、スクラップ受け入れ時の放射能検知の信頼性にすぐれた受け入れ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気炉による製鋼操業に際しては、原料となる多種類のスクラップを電気炉に投入して特殊鋼その他の鋼を製造している。ところで、原料となるスクラップの購入に際しての受け入れは、製品を作り出すための重要な役割を担っている。
【0003】
このスクラップの受け入れにおいて、稀に放射能を含有するスクラップがある。そこで、スクラップを秤量する前に放射能検知装置を設置し、スクラップ受け付け担当者がスクラップに放射能が含有されているかどうかについての検知を行っている。放射能検知装置で放射能を検知すると、秤量前にスクラップ受け付け担当者がトラックの運転手にスクラップの受け入れを拒否する。
【0004】
ところで、この受け入れのための放射能検知作業では、機械の誤動作と勘違いするようなヒューマンエラーが起こる可能性があり、受け付け担当者が誤って放射能含有スクラップを見逃す可能性がある。
【0005】
また、このスクラップの受け入れには、受け付け担当者が必ず1人必要であり、受け付け場所に張り付いて対処しなければならなかった。
【0006】
ところで、パソコンを使ったスクラップ受け入れ在庫管理方法は知られており、スクラップの秤量データ、納入業者、年月日、荷姿をパソコンに取込み、在庫情報として管理している(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、この在庫管理方法は、放射能検知の信号をパソコンに取込み、パソコンで受け入れを拒否する方法ではない。
【0008】
【特許文献1】特開2002−68478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、スクラップの受け入れに際して、効率良く受け入れ作業をするために、パソコンを使用し、受け付け担当者がいなくても、トラック運転手のみで受け付け作業を行い、放射能を検知したら間違いなく受け入れを拒否できるようにする方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の手段は、受け付けの秤量装置で秤量のためトラックが止まってトラックごと積み荷のスクラップを秤量し、次いで放射能検知装置で積み荷の放射能検知を済ませ、トラックから降りた運転者自身がデータ入力の受け付け作業を行なう。
【0011】
この受け付け作業は、トラックの運転者がパソコンで実施するもので、運転者に事前に渡されている納入明細書のバーコードをハンディスキャナでパソコンに取込むことにより上記で秤量されたデータおよび放射能検知有無がパソコンに自動的に入力されることとなる。もし、この入力により放射能を検知したとパソコンに判断された場合、パソコンから自動的に指令を発して受け付け担当者の作業場所に信号を送り、設置のブザーを直にその周辺に鳴らし、かつ、パトライトを点灯し、受け付け担当者に異常を知らせると同時にバーコードをスキャナで入力した時点でパソコン画面に受け付け拒否の画面が表示される。一方、放射能が検知されなかった場合、この放射能が検知されなかったスクラップのみを受け入れるものとする。
【0012】
このようにスクラップの秤量および放射能の検認の受け入れ作業をトラック運転者自身で行なうことにより、受け付け担当者は受け付けに張り付いて勤務する必要がなくなり、トラブルの発生時以外は別の作業場で受け付け担当者は仕事が可能となり、作業効率が向上する。
【0013】
異常で放射能を検知したら、受け付け担当者がパソコンの設置場所に来てパソコンの異常解除をしない限り、受け付けができない仕組みとされており、このことにより、トラック運転者自身で受け付け作業を行っても、放射能を含有するスクラップの受け入れは確実に拒否される。
【0014】
すなわち、課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、トラックで運ばれてきたスクラップを電気炉用の製鋼原料として受け入れのために秤量する際に、受け付けの秤量装置にトラックを載せてスクラップの積み荷量を秤量した後、設置の放射能測定装置によりスクラップ中の放射能検認を行い、この検認により得られた放射能検認信号をトラック運転者自身でパソコンに入力し、検認により放射能を検知した場合、パソコンより自動的に受け付け担当者のいる作業場に送信してブザーを鳴らし、かつ、パトライトを点灯させると同時にパソコンに受け入れ拒否画面を表示させることによりスクラップの受け入れを拒否し、放射能が検知されなかったスクラップのみを受け入れることを特徴とする放射能含有スクラップを選別除去する受け入れ方法である。
【0015】
請求項2の発明では、放射能検認信号のパソコンへの入力は、トラック運転者に事前に渡されている納入明細書のバーコードをハンディスキャナでパソコンに取込むことにより秤量データと放射能検知信号をパソコンに自動的に入力することを特徴とする請求項1の手段の放射能含有スクラップを選別除去する受け入れ方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、スクラップの受け入れに際し、パソコンを用い、受け付け担当者がいなくても、トラック運転手自身で秤量および放射能検認の受け付け作業を行うことができ、スクラップに放射能が検知された場合は、間違いなく受け入れを拒否し、トラブルの発生時のみ受け付け担当者が秤量現場に来て対応することにより、常時は受け付け担当者は別の場所で仕事ができることとなり、人的資源の向上が図れるなど、従来にない優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の最良の実施の形態について、図1を参照して以下に説明する。本発明に使用するトラック搬送のスクラップの受け入れ作業をするための機器は、スクラップの積み荷をトラックごと秤量する秤量装置1と、スクラップの放射能を検知する放射能検知装置2と、秤量データや放射能検出データを操作するパソコン3からなっている。
【0018】
先ず、トラックで搬送されてきたスクラップの積み荷は、秤量装置1でトラックごとスクラップの積み荷量は秤量され、得られた秤量データは納入明細書のバーコードをハンディスキャナで読み込むことによりパソコンに自動的に入力するために、秤量装置1のシーケンサ1aに取り込まれる。次いで、放射能検知装置2で積み荷のスクラップの放射能が測定され、得られた放射能検出信号は納入明細書のバーコードをハンディスキャナで読み込むことにより自動的に入力されて放射能検出装置2から秤量装置1のシーケンサ1aに取込まれる。さらに、これらのシーケンサ1aに読み込まれた秤量信号および放射能検出信号はパソコン3に送信されて入力される。
【0019】
ところで、放射能検出装置2でスクラップに放射能が検知された場合、秤量装置1のシーケンサ1aから信号が発せられて受け付け担当者のいる離れた作業場でブザー4が鳴らされ、さらにパトライト5が点灯され、受け付け担当者および周囲の人々に異常が知らされる。
【0020】
一方、パソコン3に送られた秤量信号および放射能検出信号のデータにより、スクラップから発せられる放射能を検知したか、あるいは、検知しなかったかについてパソコン3は判断する。放射能を検知しなかった場合は、そのまま秤量データはパソコン3に登録され、受け付けが終了されて積み荷のスクラップは荷降ろしされる。一方、放射能が検知された場合は、秤量データは破棄され、パソコンの受け付け画面に秤量拒否の画面が表示される。このように、一旦、受け付け拒否の画面がパソコン3に表示されると、秤量データが破棄されるので、受け付けができなくなり、荷降ろしすることができず、トラックはスクラップを積んだまま帰らされることとなる。
【0021】
もし、このように受け付け拒否の画面が表示された場合、受け付け担当者のいる遠方の作業場所で、受け付け担当者はブザーの鳴る音およびパトライトの点灯を感じ、直に秤量装置の設置された現地に向かい、この現地で放射能検知装置2をリセットし、さらにパソコン3にパスワードを入力して受け付け拒否の解除処理を行なわなければ、受け付け作業は続行することはできない。
【0022】
もっとも、上記の受け付け拒否は、放射能検知装置2の誤動作の可能性もあるので、受け付け担当者がいる前で、再び放射能検知装置2によりスクラップに放射能が有るか無いかを検認し、放射能を検知したら、正式に受け付けを拒否するものとし、なければ積み荷のスクラップを受け入れるものとする。
【0023】
通常はスクラップから放射能は放出されないので、このスクラップの受け入れ方法を導入することによってスクラップの受け入れがトラック運転手だけで行なえるようになり、受け付け業務の人員の削減と作業効率の向上が図られた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に関するデータの流れを示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 秤量装置
1a シーケンサ
2 放射能検知装置
3 パソコン
4 ブザー
5 パトライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックで運ばれてきたスクラップを電気炉用の製鋼原料として受け入れのために秤量する際に、設置の放射能測定装置によりスクラップ中の放射能検認を行い、受け付けの秤量装置にトラックを載せてスクラップの積み荷量を秤量するとき、スクラップの種類、納入業者をトラック運転者自身でパソコンに入力し、検認により放射能を検知した場合、パソコンより自動的に受け付け担当者のいる作業場に送信してブザーを鳴らし、かつ、パトライトを点灯させ異常を知らせると同時にパソコンに受け入れ拒否画面を表示させることによりスクラップの受け入れを拒否し、放射能が検知されなかったスクラップのみを受け入れることを特徴とする放射能含有スクラップを選別除去する受け入れ方法。
【請求項2】
放射能検認信号のパソコンへの入力は、トラック運転者に事前に渡されている納入明細書のバーコードをハンディスキャナでパソコンに取込むことにより秤量データと放射能検知有無をパソコンに自動的に入力することを特徴とする請求項1に記載の放射能含有スクラップを選別除去する受け入れ方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−162105(P2007−162105A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362712(P2005−362712)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【Fターム(参考)】