説明

放熱ユニットとそれを用いた電子機器装置

【課題】本発明は、放熱ユニットとそれを用いた電子機器装置に関するもので、子機器の放熱性が低下するのを抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明の放熱ユニット3は、放熱器6と、この放熱器6の下方に設けられた吸熱器7と、この吸熱器7と前記放熱器6を結合した冷媒循環路(液管8とガス管9)と、前記吸熱器7内に設けられた冷媒と、これらを覆った本体ケース10とを備え、前記本体ケース10の放熱器6下方の面を、電子機器2上面11への載置面12とするとともに、この放熱器6の放熱経路14に対応する前記本体ケース10部分には、複数の通気口15を設け、前記吸熱器7に対応する本体ケース10部分には、電子機器2発熱部(制御基板5)への結合口を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然対流により、電子機器の発熱部からの放熱を行わせる放熱ユニットとそれを用いた電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器の一例である通信機の基地局は、広い通信エリアを確保するために大電力を消費するタイプのものが多かった。
【0003】
しかしながら、いかに電力を高めても、自然地形やビル配置などの影響のより、通信困難地域が発生してしまうので、近年は、小型化された省電力タイプのものを、自然地形やビル配置などに合わせて、より決め細やかに、数多く配置することで、通信困難地域の解消を図るようにしている。
【0004】
また、このように基地局(電子機器)が、小型化された省電力タイプとなったことで、設置性が高まり、例えば電力供給用の鉄塔にも、この基地局(電子機器)を設置できるようになってきた。
【0005】
このような基地局(電子機器)は、小型化され、省電力タイプになったとしても、大きな発熱をともなうので、その放熱対策は非常に重要なものとなるが、前述のごとく屋外に設置されるのであれば、外気を利用した自然対流による、放熱も適用しやすいものとなる。
【0006】
つまり、基地局(電子機器)の本体ケース内に、吸熱器と、放熱器と、冷媒循環路とにより構成される放熱ユニット(例えば、下記特許文献1)を配置し、前記吸熱器を、基地局(電子機器)の発熱部に熱的に結合し、外気が前記放熱器にあたるようにすることで、自然対流による放熱を行わせようとしているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−249314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来例における課題は、電子機器の放熱性が低下する場合が発生するということである。
【0009】
すなわち、基地局(電子機器)を構成する本体ケース内に、上述した放熱ユニット(吸熱器と、放熱器と、冷媒循環路)を配置した場合、通信機器への雨水がかからないようにするためには、基地局(電子機器)を構成する本体ケースに設ける通気口は小さなものにしなければならず、よってこの本体ケース内に十分な外気が導入されず、その結果として電子機器の放熱性が低下する場合が発生するのであった。
【0010】
そこで本発明は、電子機器の放熱性が低下するのを抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そしてこの目的を達成するために本発明の放熱ユニットは、放熱器と、この放熱器の下方に設けられた吸熱器と、この吸熱器と前記放熱器を結合した冷媒循環路と、前記吸熱器内に設けられた冷媒と、これらの放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆った本体ケースとを備え、前記本体ケースの放熱器下方の面を、電子機器上面への載置面とするとともに、この放熱器の放熱経路に対応する前記本体ケース部分には、複数の通気口を設け、前記吸熱器に対応する本体ケース部分には、電子機器発熱部への結合口を設けた構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明の放熱ユニットは、放熱器と、この放熱器の下方に設けられた吸熱器と、この吸熱器と前記放熱器を結合した冷媒循環路と、前記吸熱器内に設けられた冷媒と、これらの放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆った本体ケースとを備え、前記本体ケースの放熱器下方の面を、電子機器上面への載置面とするとともに、この放熱器の放熱経路に対応する前記本体ケース部分には、複数の通気口を設け、前記吸熱器に対応する本体ケース部分には、電子機器発熱部への結合口を設けた構成としたものであるので、電子機器の放熱性が低くなるのを抑制することができる。
【0013】
すなわち、本発明の放熱ユニットは、その本体ケースで放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆う構成、つまり、電子機器とは別体構成としたので、この放熱ユニットを構成する本体ケースに設ける通気口は、電子機器への雨水の影響を考慮することなく、十分に大きなものとすることが出来る。
【0014】
したがって、放熱ユニットを構成する本体ケース内には十分な外気が導入されやすくなり、その結果として放熱ユニットを構成する放熱器の放熱が進み、電子機器自体の放熱性も高まるのである。
【0015】
また、本発明の放熱ユニットは、その載置面を、電子機器上面に載せることで、電子機器との一体化が図れ、しかも、電子機器と一体化された状態では、電子機器が上方に延びた状態となるだけであるので、コンパクトで、鉄塔などの高所取付け作業も簡単に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1を示す斜視図
【図2】同透視斜視図
【図3】同透視側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態を、添付図面とともに詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1において、1は電子機器装置で、通信機器の基地局となる電子機器2と、この電子機器2の上方に一体化した放熱ユニット3とにより構成されている。
【0019】
電子機器2は良く知られているように、その機器ケース4内に通信機器(図示せず)を有し、その制御は制御基板5上の半導体(図示せず)によって行われる。
【0020】
また、図2、3に示すように、放熱ユニット3は、放熱器6と、この放熱器6の下方に設けられた吸熱器7と、この吸熱器7と前記放熱器6を結合した冷媒循環路(液管8とガス管9により構成)と、前記吸熱器7内に設けられた冷媒(液体から気体、気体から液体への相変化可能な良く知られたもので、図示せず)と、これらの放熱器6、吸熱器7、冷媒循環路(液管8とガス管9)を覆った本体ケース10とを備えている。
【0021】
また、放熱ユニット3の本体ケース10の放熱器6下方の面は、電子機器2上面11への載置面12となっている。
【0022】
前記放熱器6は冷媒循環路(液管8とガス管9)の外周に、複数の冷却フィン13を所定間隔で結合したものであり、隣接する冷却フィン13間には放熱経路14が構成され、この放熱経路14に対応する前記本体ケース10部分、具体的には上面と背面には通気口15を設けている。
【0023】
また、本体ケース10の背面側には、電子機器2の機器ケース4に沿って、前記放熱ユニット3の載置面12よりも下方に伸びる延長収納部16を設け、この延長収納部16には、前記吸熱器7と、冷媒循環路(液管8とガス管9)の少なくとも一部とを収納させている。
【0024】
そして、この延長収納部16における、前記吸熱器7に対応する本体ケース10部分には、電子機器発熱部となる制御基板5への結合口(図示せず)を設けている。
【0025】
そして、この状態において、放熱ユニット3の吸熱器7は、制御基板5に対して熱伝導状態に一体化される。
【0026】
以上の構成によれば、電子機器2の制御基板5での発熱は、放熱ユニット3を構成する吸熱器7で冷媒が気化することで吸熱される。
【0027】
そして、気化した冷媒は、ガス管9を介して放熱器6へと上昇し、この放熱器6で通気口15から導入される外気によって冷却され、再び液化し、液管8を介して吸熱器7へと循環する。
【0028】
以上の構成で特徴的なのは、本実施形態の放熱ユニット3が、その本体ケース10で放熱器6、吸熱器7、冷媒循環路(液管8とガス管9)を覆う構成、つまり、電子機器2とは別体構成としたので、この放熱ユニット3を構成する本体ケース10に設ける通気口15は、電子機器2への雨水の影響を考慮することなく、図1、図2のごとく、十分に大きなものとすることが出来るということである。
【0029】
したがって、放熱ユニット3を構成する本体ケース10内には十分な外気が導入されやすくなり、その結果として放熱ユニット3を構成する放熱器6の放熱が進み、電子機器2自体の放熱性も高まることとなる。
【0030】
また、本実施形態の放熱ユニット3は、その載置面12を、電子機器2の上面11に載せることで、電子機器2との一体化が図れ、しかも、電子機器2と一体化された状態では、電子機器2が上方に延びた状態となるだけであるので、コンパクトで、鉄塔などの高所取付け作業も簡単に行えるものとなる。
【0031】
なお、放熱ユニット3の載置面12を、電子機器2の上面11に載せることで一体化した後に、両者を結合する金具などを設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明の放熱ユニットは、その本体ケースで放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆う構成、つまり、電子機器とは別体構成としたので、この放熱ユニットを構成する本体ケースに設ける通気口は、電子機器への雨水の影響を考慮することなく、十分に大きなものとすることが出来る。
【0033】
したがって、放熱ユニットを構成する本体ケース内には十分な外気が導入されやすくなり、その結果として放熱ユニットを構成する放熱器の放熱が進み、電子機器自体の放熱性も高まるのである。
【0034】
また、本発明の放熱ユニットは、その載置面を、電子機器上面に載せることで、電子機器との一体化が図れ、しかも、電子機器と一体化された状態では、電子機器が上方に延びた状態となるだけであるので、コンパクトで、鉄塔などの高所取付け作業も簡単に行えるものとなる。
【0035】
したがって、例えば通信機機器の基地局などへの活用が期待される。
【符号の説明】
【0036】
1 電子機器装置
2 電子機器
3 放熱ユニット
4 機器ケース
5 制御基板
6 放熱器
7 吸熱器
8 液管
9 ガス管
10 本体ケース
11 上面
12 載置面
13 冷却フィン
14 放熱経路
15 通気口
16 延長収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱器と、この放熱器の下方に設けられた吸熱器と、この吸熱器と前記放熱器を結合した冷媒循環路と、前記吸熱器内に設けられた冷媒と、これらの放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆った本体ケースとを備え、前記本体ケースの放熱器下方の面を、電子機器上面への載置面とするとともに、この放熱器の放熱経路に対応する前記本体ケース部分には、複数の通気口を設け、前記吸熱器に対応する本体ケース部分には、電子機器発熱部への結合口を設けた放熱ユニット。
【請求項2】
本体ケースの載置面よりも下方に伸びる延長収納部を設け、この延長収納部には、吸熱器と、冷媒循環路の少なくとも一部とを収納させた請求項1に記載の放熱ユニット。
【請求項3】
電子機器と、この電子機器の上面に載置させた放熱ユニットとを備え、前記放熱ユニットは、放熱器と、この放熱器の下方に設けられた吸熱器と、この吸熱器と前記放熱器を結合した冷媒循環路と、前記吸熱器内に設けられた冷媒と、これらの放熱器、吸熱器、冷媒循環路を覆った本体ケースとを備え、前記本体ケースの放熱器下方の面を、電子機器上面への載置面とするとともに、この放熱器の放熱経路に対応する前記本体ケース部分には、複数の通気口を設け、前記吸熱器に対応する本体ケース部分には、電子機器発熱部への結合口を設けた電子機器装置。
【請求項4】
放熱ユニットの本体ケースには、その載置面よりも下方に伸びる延長収納部を設け、この延長収納部には、吸熱器と、冷媒循環路の少なくとも一部とを収納させた請求項3に記載の電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−38305(P2013−38305A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174739(P2011−174739)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】