説明

放送受信装置

【課題】装置の電源をOFFした場合であっても使用者が希望する場合にはその放送番組を継続して受聴することができる放送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明の放送受信装置は、放送を受信するアンテナ4と、受信した放送を出力する出力手段6,8,11と、この出力手段にて出力中の放送を記録するインスタントリプレイ用メモリー20と、このメモリー20にて記録した放送を再生する再生手段11,22,30とを有し、放送受信装置の電源がOFF(IGスイッチがOFF等)されたときに放送受信装置の作動を停止させる作動停止手段22と、放送受信装置の電源がOFFされる前に所定の操作(プレイ&ポーズボタン42の操作)がなされた場合に放送の記録を継続させるインスタントリプレイ用メモリー20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置に係り、特に、出力中の放送を記録する放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、北米で、有料の衛星デジタルラジオ放送が開始され、広域をカバーできること、多数のキャンネルが利用できること、高音質である等の理由から、利用者が増大している。この衛星放送ラジオ放送に関しては、例えば、特許文献1に開示されているように、種々の提案がなされている。
この特許文献1には、衛星デジタル放送が複数のプロバイダから提供される場合に、選択されたプロバイダに応じて増幅度を設定することにより、プロバイダ毎に仕様の異なる放送電波を適切に受信できるようにした放送受信装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−184646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、衛星デジタルラジオ放送の放送受信装置には、受信した放送を出力しているとき、その放送中の番組を所定時間自動的に録音するインスタントリプレイ機能を備え、使用者は、その録音した番組を再生して受聴することができるようになっているものも知られている。
【0005】
しかしながら、このような放送受信装置におけるインスタントリプレイ機能は、装置の電源をOFFした場合には、番組の録音はその時点で停止(ストップ)し、記憶されていた番組は全て消去されるようになっている。そのため、使用者が、装置の電源を一時的にOFFしたいが、番組の録音は継続したい場合(番組を続けて受聴したい場合)等には、その番組を継続して録音できないという問題があった。
さらに、このような衛星デジタルラジオ放送の放送受信装置は、家庭内等に設置されるが、それ以外に車両にも搭載される。装置が車両に搭載される場合には、上述した装置の電源を一時的にOFFしたい状況、例えば、車両を停止させ、短時間ドライバが車両から離れるような場合であり、このような状況は頻繁に発生する。よって、放送受信装置を車両に搭載した場合には、上述した問題点の改善の要求が特に大きいものとなっている。
【0006】
そこで、本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、装置の電源をOFFした場合であっても使用者が希望する場合にはその放送番組を継続して受聴することができる放送受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、放送を受信する受信手段と、受信した放送を出力する出力手段と、この出力手段にて出力中の放送を記録する記録手段と、この記録手段にて記録した放送を再生する再生手段とを有する放送受信装置であって、放送受信装置の電源がOFFされたときに放送受信装置の作動を停止させる作動停止手段と、放送受信装置の電源がOFFされる前に所定の操作がなされた場合には受信手段による放送の受信及び記録手段による放送の記録を継続させる記録継続手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、放送受信装置の電源がOFFされる前に所定の操作がなされた場合には、記録継続手段が、受信手段による放送の受信及び記録手段による放送の記録を継続させるので、放送の記録の停止又は継続を使用者の操作により切り分けることができ、必要なときに放送番組の記録の継続を実行することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、記録継続手段は、受信手段による放送の受信及び記録手段による放送の記録を所定時間継続して実行する。
このように構成された本発明においては、電源OFF後の必要な所定時間に限って記録の継続を実行させることができる。その結果、記録手段の記録容量を有効に使用することができ、さらに、バッテリー上がり等を防止することも可能となる。
【0009】
本発明は、好ましくは、更に、受信した放送を記録するがその出力は一時停止させる一時出力停止手段を有し、所定の操作は、この一時出力停止手段の操作である。
このように構成された本発明においては、一時停止機能(ボーズ機能)に関連付けて、上述した所定の操作を設定したので、使用者による操作の認知性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、記録手段及び/又は記憶継続手段は、記録時間と共に記録時刻を記憶し、記録の再生時に、これらの記録時間及び記録時刻の両方を表示する。
このように構成された本発明においては、記録の再生時に、記録時間及び記録時刻が表示されるので、使用者の再生時の操作性が向上する。
【0011】
本発明において、好ましくは、放送受信装置が車両に搭載され、電源のOFFの操作がIG操作手段のOFFの操作である。
このように構成された本発明においては、使用者であるドライバが、一時的に所用で車両から離れる場合の電源OFF時において、放送番組の記録を継続して記録することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放送受信装置によれば、装置の電源をOFFした場合であっても使用者が希望する場合にはその放送番組を継続して記録するようになっているので、使用者はその記録した番組を続けて受聴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による放送受信装置を説明する。本発明は、家庭内等に設置される衛星デジタルラジオ放送用の放送受信装置に適用される他、車両に搭載される車載用放送受信装置にも適用可能であり、以下、車載用放送受信装置の例を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の放送受信装置が搭載された車両を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態の放送受信装置を示すブロック図であり、図3は、本発明の実施形態の放送受信装置の操作パネルを示す正面図であり、図4は、本発明の実施形態の放送受信装置による制御内容を示すフローチャートである。
【0015】
先ず、図1及び図2に示すように、符号1は車両を示し、この車両1には、本実施形態による放送受信装置2が搭載されている。
この放送受信装置2は、衛星(図示せず)から直接、又は、衛星から電波が途切れた場合に使用する地上放送基地(図示せず)から衛星デジタルラジオ放送用の電波を受信する受信手段であるアンテナ4を備えている。
【0016】
また、放送受信装置2は、衛星デジタルラジオ放送用の衛星放送用チューナ6、この衛星デジタルラジオ放送と共に、AM放送、FM放送の受信やCD等の再生を行うオーディオ機器8、ディスプレイ装置10、及び、スピーカ11を備えている。
図1には、これらのアンテナ4、衛星放送用チューナ6、及び、オーディオ機器8が車両1に搭載されている状態が示されている。
【0017】
この放送受信装置2は、2つの基本機能であるインスタントリプレイ機能とシークアラート機能を備えている。先ず、インスタントレプレイ機能は、受信した放送を出力しているとき、その放送中の番組を所定時間(例えば、40分)自動的に録音し、具体的には、後述するインスタントリプレイ用メモリー20に記録し、その後、使用者が再度受聴したい場合には、この記憶された番組を巻き戻しボタンやトランクダウンボタンにより巻き戻し再生手段であるスピーカ11等により再生出来るようにした機能である。なお、記録した番組の再生中も、放送中の番組の録音が継続してなされ、録音内容が更新されるようになっている。
【0018】
シークアラート機能は、使用者が、お気に入りの、曲名、コンポーザ(作曲者)名、ミュージシャン名、スポーツチーム名等の登録データを予め複数登録しておき、その登録された登録データに関連する番組をその放送されるタイミングで使用者に告知する機能である。この告知番組は、後述するシークアラート用メモリー20aに記憶することができるようになっている。
【0019】
図2に示すように、放送受信装置2の衛星放送用チューナ6には、アンテナ4が受信した電波をデジタル処理するためのチューナ/デコーダ12、DSP(デジタル信号プロセッサ)14、I/F(インターフェイス)16、及び、CPU18が設けられている。この衛星放送用チューナ6には、さらに、出力中の番組の放送を記憶する放送番組記憶手段であるインスタントリプレイ用メモリー20が設けられており、このインスタントレプレイ用メモリー20が、シークアラート機能により告知された番組を記録する告知番組記憶手段であるシークアラート用メモリー20aを兼用するようになっている。
【0020】
次に、図2に示すように、放送受信装置2のオーディオ機器8には、予め登録された複数のシークアラート(登録データ)の設定信号をチューナ6に送信し且つチューナ6から告知のためのシークアラート信号を受信する等のためのCPU22、複数の登録データを予め登録するための操作パネル24、衛星デジタル放送の電波による音声入力を受信して処理するためのI/F26、DSP28、及び、アンプ30が設けられている。なお、CPU22は、タイマー22aを備えている。また、オーディオ機器8には、電源回路31が設けられている。
【0021】
また、図2に示すように、電源回路31は、電源スイッチ27が接続されている。この電源スイッチ27は、ACC(アクセサリ)がOFF(IGキーがOFF)の場合にOFFとなるようになっている。
さらに、オーディオ機器8には、GPSチューナ29が設けられており、GPSアンテナ33から、地図情報、位置情報、交通情報、時刻情報等の情報を入手できるようになっている。
【0022】
次に、図3により、操作パネル24の各スイッチを説明する。使用者は、先ず、PWR(電源ONボタン)32を押して電源をONし、次に、SAT(衛星デジタルラジオ放送用ボタン)34を押して、ディスプレイ装置10の表示を衛星デジタルラジオ受信モードに切替える。使用者が、上述したシークアラート機能を利用するため、登録データを登録する場合には、デジタルラジオ放送中にディスプレイ装置10に表示される登録データをMEMO(シークアラート登録用ボタン)36を短押しして選択し、次に、MEMO(シークアラート登録用ボタン)36を長押しすることにより、上述した、お気に入りの、曲名、コンポーザ(作曲者)名、ミュージシャン名、スポーツチーム名等を予め複数登録する。
【0023】
また、インスタントリプレイ用の、巻戻しボタン38、早や送りボタン40、プレイ&ポーズボタン42が設けられている。番組放送中に、プレイ&ポーズボタン42を押せば(一度目)、その放送はインスタントレプレイ用メモリー20に記憶(録音)されるが、その放送番組は出力されない(受聴できない)状態となる。プレイ&ポーズボタン42をさらに押せば(二度目)、その前にプレイ&ポーズボタン42を押した時以降に録音された放送番組が再生されるようになっている。
【0024】
次に、図4により、本実施形態の放送受信装置2による制御内容を説明する。図4において、Sは各ステップを示している。
本実施形態においては、詳細は後述するように、使用者(ドライバ等)が、買い物等のため、ごく短時間だけ、車両を停止させ(IGキーをOFFし)、車両から離れるような場合であっても、そのときに受聴していた番組を継続して所定時間記録(録音)するようにしたので、ドライバが、その後に、その番組の続きを受聴できるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0025】
先ず、S1において、使用者は、放送受信装置2により、特定の番組を受聴中である。このときは、放送中の番組は、上述したインスタントリプレイ機能により、インスタントレプレイ用メモリー20に自動的に録音されている。
次に、S2において、使用者が、インスタントリプレイ用のプレイ&ポーズボタン42(図3参照)を押す操作を行う。
【0026】
次に、S3に進み、そのポーズ中にACC(アクセサリ)がOFFされた(IGキーがOFFされた)か否かを判定する。S3で、NOの場合には、S4に進み、通常のインスタントリプレイモードでその放送を受信すると共にその放送中の番組を記録(録音)する。
【0027】
一方、S3において、YESの場合には、使用者(ドライバ)が、車両を停車し(IGキーOFF操作)、車外に一時的に出るような状況であるので、この場合には、従来のように、その番組の録音を停止するのではなく、S5に進み、インスタントリプレイモードからスタンバイモードに移行し、その放送番組を引き続き継続して受信すると共に記録(録音)する。
【0028】
次に、S6に進み、ポーズ中にACC(アクセサリ)がOFF(IGキーがOFF)された後に、所定時間(例えば40分)経過したか否かを判定する。この所定時間は、インスタントリプレイ用メモリー20の記憶容量に対応した値であり、インスタントリプレイ用メモリー20の記憶容量が40分の場合には、この所定時間も40分となる。このように所定時間を設定したのは、その番組の続きをインスタントリプレイ用メモリー20の記憶容量を最大限利用して記憶するためである。
なお、この所定時間は、バッテリー上がりの時間と対応させて設定するようにしても良い。
【0029】
S6において、YESの場合には、S7に進み、スタインバイモードからシステムOFFに切替える、即ち、放送受信装置2をOFFとする。
【0030】
一方、S6において、NOの場合には、次のS8〜S10に進む。即ち、S8において、使用者により、ACCがON操作(IGキーがON操作)され、S9において、使用者により、プレイ&ポーズボタン42が押され、S10において、インスタントレプレイ用メモリー20にIGキーがOFF等された以降に継続して記録された録音内容(その番組の続き)が出力され、使用者により受聴されるようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態においては、上述した通常のインスタントレプレイモード中、及び、スタンバイモード中の両方において、インスタントリプレイ用メモリー20は、番組内容と共に、その番組の記録時間及び記録時刻(GPSアンテナ及びGPSチュウナー経由で入手)も併せて記録するようになっている。
そのため、S10において、使用者が録音内容を受聴するときには、図3に示すように、ディスプレイ部44に、記録時間(図3において「−40’:00」と表示され、40分前に記録したことを示している)、及び、記録時刻(図3において「PM1:20」と表示され、午後1時20分に記録したことを示している)が表示されるようになっている。
【0032】
以上、本発明の実施形態として、衛星デジタルラジオ放送の例を説明したが、本発明はこれに限られず、その他のラジオ放送やテレビ放送等にも適用可能である。
【0033】
次に、上述した本実施形態の放送受信装置による作用効果を説明する。
先ず、本実施形態においては、放送受信装置の電源がOFFされる、即ち、ACCがOFF操作(IGキーがOFF操作)される前に、使用者により、プレイ&ポーズボタンスイッチが押された場合には、継続して、その放送を受信すると共にインスタントリプレイ用メモリー20に記録するようにしたので、放送の記録の停止又は継続を使用者の操作により切り分けることができ、必要なときに放送番組の記録の継続を実行することができる。
【0034】
また、本実施形態においては、電源OFF後の必要な所定時間(例えば、40分間)に限って記録の継続を実行させることができので、インスタントリプレイ用メモリー20の記録容量を有効に使用することができ、さらに、バッテリー上がり等を防止することも可能となる。
【0035】
また、本実施形態においては、IGキーのOFF操作があった場合に、継続して録音する必要がある場合には、プレイ&ポーズボタンの一時停止機能(ボーズ機能)に関連付けて、使用者に操作させるようにしているので、使用者による操作の認知性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態において、インスタントリプレイ用メモリー20が記録時間と共に記録時刻を記憶し、記録の再生時に、これらの記録時間及び記録時刻の両方を表示するようにしているので、使用者の再生時の操作性が向上する。
【0037】
さらに、本実施形態においては、使用者であるドライバが、一時的に所用で車両から離れる場合の電源OFF時(IGキーOFF操作時)において、放送番組の記録を継続して記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の放送受信装置が搭載された車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の放送受信装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の放送受信装置の操作パネルを示す正面図である。
【図4】本発明の実施形態の放送受信装置による制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 車両
2 放送受信装置
4 アンテナ
6 衛星放送用チューナ
8 オーディオ機器
10 ディスプレイ装置
12 チューナ/デコーダ
18,22 CPU
20 インスタントリプレイ用メモリー
24 操作パネル
27 電源スイッチ
29 GPSチューナ
30 アンプ
31 電源回路
32 PWR
33 GPSアンテナ
34 SAT
36 MEMO
38 巻戻しボタン
40 早や送りボタン
42 プレイ&ポーズボタン
44 ディスプレイ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を受信する受信手段と、受信した放送を出力する出力手段と、この出力手段にて出力中の放送を記録する記録手段と、この記録手段にて記録した放送を再生する再生手段とを有する放送受信装置であって、
上記放送受信装置の電源がOFFされたときに放送受信装置の作動を停止させる作動停止手段と、
上記放送受信装置の電源がOFFされる前に所定の操作がなされた場合には上記受信手段による放送の受信及び上記記録手段による放送の記録を継続させる記録継続手段と、
を有することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
上記記録継続手段は、上記受信手段による放送の受信及び上記記録手段による放送の記録を所定時間継続して実行する請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】
更に、上記受信した放送を記録するがその出力は一時停止させる一時出力停止手段を有し、上記所定の操作は、この一時出力停止手段の操作である請求項1又は2記載の放送受信装置。
【請求項4】
上記記録手段及び/又は上記記憶継続手段は、記録時間と共に記録時刻を記憶し、記録の再生時に、これらの記録時間及び記録時刻の両方を表示する請求項1乃至3の何れか1項記載の放送受信装置。
【請求項5】
上記放送受信装置が車両に搭載され、上記電源のOFFの操作がIG操作手段のOFFの操作である請求項1乃至4の何れか1項に記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−172664(P2008−172664A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5548(P2007−5548)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】