説明

放送型アプリケーションの起動システム

【課題】デジタル放送で放送されたアプリケーションを任意のタイミングで起動、終了させるシステムを提供すること。
【解決手段】デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行するための受信システムであって、デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、復号が終了した特定のアプリケーションの動作制御情報に基づいて特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、動作制御情報は、特定のアプリケーションの動作を開始させる時刻又は特定のアプリケーションの動作を終了させる時刻を含む。さらに、動作制御情報は、特定のアプリケーションを指定の時刻に起動する情報、指定の時刻に毎日起動する情報、指定の曜日に起動する情報、指定の時刻及び指定の曜日の有効期限の情報、指定の時刻までに強制終了する情報のいずれかを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送で放送されたアプリケーションを任意のタイミングで起動、終了させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送で放送されたアプリケーション(以下、放送型アプリケーション)の動作を制御する規格として、制御情報を記述したAIT(Application Information Table)をアプリケーションとともに放送することが知られている(非特許文献1)。この技術によれば、AIT内でアプリケーションごとに格納されている所定のコードを用いることにより、放送局側から受信機に対してアプリケーションのライフサイクルに関する処理を知らせ、アプリケーションのライフサイクルを動的に制御することが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】(社)電波産業会、“ARIB−Jアプリケーションの動的制御”、“デジタル放送におけるアプリケーション実行環境標準規格(ARIB STD−B23 1.1版)”、第二部、第10章、10.15.3.、平成16年2月5日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係るAITによる制御情報は、現在放送しているアプリケーションに対するものであり、アプリケーションを受信したときにすぐ起動する、又は終了するといったもののみで、当該アプリケーションの将来の動作まで制御するものではない。また、アプリケーションは、放送が終了すると受信機内のメモリから削除されるため、アプリケーションを起動できるのは、当該アプリケーションが放送されている間に限られる。
【0005】
すなわち、従来技術に係るAITの情報を用いるアプリケーション制御は、現在放送しているアプリケーションの動作に限られる。そのため、例えば、特定の時刻にアプリケーションを実行する、将来放送する予定である番組やデータを使ってサービスする、毎日決まった時刻に特定のデータ処理をする等の、任意のタイミングにおける柔軟な実行制御ができなかった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、将来の特定のタイミングに、放送局が受信機に対してアプリケーション及びAITを再度一緒に放送することにより、必要なタイミングでアプリケーションを起動するという方法が考え得る。しかし、個々のユーザの使用状況に応じてアプリケーションを実行したいタイミングが異なれば、放送側では常にアプリケーションを放送し続ける必要があり、通信手段の帯域制限がアプリケーションの提供を制限するという問題があった。一方、受信機側がアプリケーションを受信するためには、アプリケーション実行のタイミングに現在視聴中のチャンネルからアプリケーションを放送するチャンネルに切り替えなければならない。この操作により視聴者の利便性が損なわれる上、チャンネル切り替えのための視聴予約を入れておく機構が受信機に必要となる。
【0007】
従来技術に係る別の解決方法としては、アプリケーションの放送終了後も、将来のサービスのためにアプリケーションをずっと起動したままにしておく方法も考え得る。しかしながら、この方法は受信機の限られたリソースを占有して他の動作に影響を与えうる。すなわち、放送型アプリケーションは必要な時間だけ動作させることが望ましい。
【0008】
本発明は、アプリケーションの放送の終了後の任意のタイミングで、当該アプリケーションを起動させ終了させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によると、デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行するための受信システムであって、デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、復号が終了した特定のアプリケーションの動作制御情報に基づいて、特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、動作制御情報は、特定のアプリケーションを起動する時刻又は特定のアプリケーションを終了させる時刻を含む、デジタル放送受信システムが提供される。
【0010】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、アプリケーション動作制御手段を用いて、特定のアプリケーションを起動する時刻又は特定のアプリケーションを終了させる時刻において、特定のアプリケーションを起動又は終了させる。
【0011】
ここで、特定のアプリケーションを終了させることは、本発明に係るデジタル放送受信システムが当該アプリケーションの動作を制御して終了させることを指す。例えば、当該アプリケーションを終了させるために、本発明に係るデジタル放送受信システムは当該アプリケーションに対して終了命令を発行してもよく、適宜設計しうる。
【0012】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムにおいて、動作制御情報は、特定のアプリケーションを指定の時刻に起動する情報、特定のアプリケーションを指定の時刻に毎日起動する情報、特定のアプリケーションを指定の曜日に起動する情報、特定のアプリケーションに対する指定の時刻及び指定の曜日の有効期限の情報、特定のアプリケーションを指定の時刻までに強制終了する情報、のいずれかを含む。
【0013】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、特定のアプリケーションを蓄積するアプリケーション蓄積手段をさらに備え、特定のアプリケーションはデジタル放送の一つのセグメント化された時間の範囲に放送され、動作制御情報が、特定のアプリケーションをセグメント化された時間の範囲の終了時刻の後に起動する情報を含む場合に、特定のアプリケーションをアプリケーション蓄積手段を用いて蓄積し、特定のアプリケーションを起動する時刻に特定のアプリケーションを起動する。
【0014】
上述のセグメント化された時間の範囲は、1時間ごと又は30分ごと等の所定の期間でもよく、デジタル放送の一つの番組の開始時刻から終了時刻までの時間でもよく、デジタル放送の一つの番組内の部分的な時間の範囲でもよく、複数の連続する番組が放送される時間の一部又は全体でもよい。例えば、デジタル放送の一つの番組内に所定の期間を設定し、当該期間をセグメント化された時間として、特定のアプリケーションの起動又は終了と関連づけてもよい。また例えば、デジタル放送の複数の番組にまたがってセグメント化された時間を定義し、特定のアプリケーションの起動又は終了と関連づけてもよい。
【0015】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、特定のアプリケーションの動作が終了することに応答して当該特定のアプリケーションを終了させる。
【0016】
特定のアプリケーションの動作が終了することは、単に当該アプリケーションの終了を指す。これに対して、本発明に係るデジタル放送受信システムが当該アプリケーションを終了させることは、当該アプリケーションに対する終了命令の発行、当該アプリケーションが用いていた記憶領域の開放、又は任意のアプリケーションへの当該記憶領域の割り当て等を適宜含みうる。すなわち、本発明に係るデジタル放送受信システムは、動作制御情報に含まれる特定のアプリケーションの動作を終了させる時刻の情報とは独立して、これらのような当該アプリケーションを終了させる動作を実施しうる。
【0017】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムにおいて、特定のアプリケーションの動作を終了させる時刻において特定のアプリケーションが動作を終了しない場合に、当該アプリケーションを強制終了する。
【0018】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、特定のアプリケーションを起動する時刻に、放送されている動作制御情報を受信し、受信した動作制御情報に特定のアプリケーションの起動を許可する情報が含まれる場合に、特定のアプリケーションを起動する。
【0019】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、特定のアプリケーションが終了することに応答して、特定のアプリケーションを終了させる。
【0020】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、特定のアプリケーションが動作している期間に、特定のアプリケーションを起動する情報が動作制御情報に含まれない場合は、特定のアプリケーションを強制終了する。
【0021】
特定のアプリケーションを強制終了することは、当技術分野に公知のアプリケーションの強制終了のための技法を任意に用いてもよい。
【0022】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、デジタル放送を蓄積するデジタル放送蓄積手段をさらに備え、特定のアプリケーションを起動する時刻が、デジタル放送の一つのセグメント化された時間の範囲の終了時刻よりも後である場合に、デジタル放送蓄積手段を用いてデジタル放送を蓄積し、特定のアプリケーションを起動する時刻において、蓄積したデジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号する。
【0023】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システムは、蓄積したデジタル放送の再生の終了、又は動作制御情報に含まれる蓄積したデジタル放送の再生を指定の時刻に終了させる情報に従って、特定のアプリケーションを終了させる。
【0024】
また、本発明の第2の態様によると、上述の第1の態様のいずれかに記載のデジタル放送受信システムを備えたデジタル放送受信機が提供される。
【0025】
また、本発明の第3の態様によると、デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行するためのプログラムであって、デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、復号が終了した特定のアプリケーションの動作制御情報に基づいて、特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、動作制御情報は、特定のアプリケーションを起動する時刻又は特定のアプリケーションを終了させる時刻を含むことにより、デジタル放送受信システムとしてコンピュータを機能させること、を特徴とするプログラムが提供される。
【0026】
さらに、本発明に係るプログラムは、デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、復号が終了した特定のアプリケーションの動作制御情報に基づいて、特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、動作制御情報は、特定のアプリケーションを起動する時刻又は特定のアプリケーションを終了させる時刻を含み、特定のアプリケーションを指定の時刻に起動する情報、特定のアプリケーションを指定の時刻に毎日起動する情報、特定のアプリケーションを指定の曜日に起動する情報、特定のアプリケーションに対する指定の時刻及び指定の曜日の有効期限の情報、特定のアプリケーションを指定の時刻までに強制終了する情報、のいずれかを少なくとも一つ含むことにより、デジタル放送受信システムとしてコンピュータを機能させること、を特徴とする。
【0027】
かかる構成により、本発明に係るデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、又はデジタル放送受信コンピュータ・プログラムにおいては、特定のアプリケーションの動作を開始させる時刻又は特定のアプリケーションの動作を終了させる時刻を含む動作制御情報を用いることにより、アプリケーションを放送している時間帯だけでなく、放送が終了した後の任意のタイミングでアプリケーションを実行することができる。従って、通常は番組と同じ時間帯のみに放送される、番組と連動したアプリケーションを、実行のタイミングを番組終了後とすることが可能となるため、番組放送中かどうかに依存せずにサービスを提供することを可能とする。
【0028】
また、本発明に係るデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、又はデジタル放送受信コンピュータ・プログラムにおいては、アプリケーション(あるいはアプリケーションを含んだTS)は自動的に受信機側に蓄積されているため、番組終了後にユーザがチャンネルを変更し他のチャンネルを視聴していたとしても、チャンネルを切り替えることなくアプリケーションを実行することができる。
【0029】
従来技術に係るデジタル放送受信機等では、予約機能や蓄積機能といった受信機にもともと備わっている機能を制御するには、実際にユーザが受信機を操作する方法しかなく、放送側から制御することができなかった。上記のアプリケーション起動例に関しても、本発明の予約機能がなければ、ユーザが手動でアプリケーションを蓄積し、さらに手動でアプリケーションを実行する必要がある。しかし、本発明により、放送側が決めたタイミングでユーザが意識することなくアプリケーションを起動できる。そのため、放送したアプリケーションを介して、受信機の様々な機能を放送側から制御することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明に係るデジタル放送受信システム、デジタル放送受信装置、又はデジタル放送受信コンピュータ・プログラムにおいては、受信機の処理負荷を時間的に分散することも可能である。受信機のリソースは限られているため、高度な処理をしたいとき、例えば起動予約用のアプリケーションが指定された時刻ではなく受信機の空いている時間帯を選択して起動予約を入れれば、他の動作に影響を与えずに実行することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、所定の時刻にアプリケーションを起動及び終了するための動作制御情報を含むAITを用意し、適宜アプリケーション蓄積手段又はデジタル放送蓄積手段を用いて、アプリケーションの放送の終了後の任意のタイミングで、当該アプリケーションを起動させ終了させることが可能になるという効果がある。また、本発明に係る動作制御情報を含むAITを用いることにより、特定の時刻にアプリケーションを実行する、将来放送する予定である番組やデータを使ってサービスする、毎日決まった時刻に特定のデータ処理をする等の、任意のタイミングにおける柔軟なアプリケーションの実行制御が可能になる。さらに、本発明においては、デジタル放送を視聴するユーザは、アプリケーションの受信、起動、又は終了のための操作手順等を特に意識することなく、アプリケーションを含む放送を視聴することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100の動作を表す概念図である。
【図2】本発明に係るデジタル放送受信システム100におけるアプリケーション制御を表すフロー図である。
【図3】本発明に係るデジタル放送受信システム100がメタデータを受信し、放送番組終了後にメタデータを処理するタイムチャートの例である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る、デジタル放送受信システム105の動作を表す概念図である。
【図5】本発明に係るデジタル放送受信システム105におけるアプリケーション制御を表すフロー図である。
【図6】本発明に係るデジタル放送受信システム105が処理用アプリケーションを含むTSを蓄積し、蓄積したTSを放送番組終了後に再生してメタデータを処理するタイムチャートの例である。
【図7】本発明に係るデジタル放送受信システム105が、TS再生の停止予約を入れずにAITの更新によりアプリケーションを制御するタイムチャートの例である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100におけるアプリケーション制御を表すフロー図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100がメタデータを受信し、放送番組終了後にメタデータを処理するタイムチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明に係る実施の形態を説明する。なお、これらはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれらに限られるものではない。
【0034】
[拡張コマンドを含むAITによる実行制御]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100の動作を表す概念図である。図1に示すデジタル放送受信システム100は、放送受信部110、復号部120、AIT取得部130、アプリケーション制御部140、予約管理部150、アプリケーション取得部160、アプリケーション蓄積部170、アプリケーション実行部180、時刻取得部190、記憶部195を備える。
【0035】
放送受信部110はデジタル放送を受信し、復号部120は受信したデジタル放送からTS(Transport Stream、トランスポート・ストリーム)を復号する。特に本発明に係るデジタル放送受信システムにおいては、復号部120は、TSからAIT及びアプリケーションを抽出する。
【0036】
AIT取得部130は、TS内に含まれるAITを取得し、アプリケーションの起動、終了の予約情報を読み込む。
【0037】
アプリケーション制御部140は、AIT取得部で取得した予約情報が、アプリケーションを自動的に起動することの情報を含む場合は、当該アプリケーションを即時起動する。この自動的に起動することの情報は、例えば、AITに含まれる予約情報内において「_AUTOSTART」等の所定の文字列を用いて表されうる。また、起動予約及び/又は終了予約が記述されている場合は、予約管理部150に予約を登録し、アプリケーション蓄積部170でアプリケーションを蓄積するよう制御する。指定された時刻になったらアプリケーションの起動と終了を制御する。予約したアプリケーションの処理が全て終了したら予約リストから該当の予約を削除し、アプリケーション蓄積部170から該当のアプリケーションを削除するよう制御する。
【0038】
予約管理部150は、アプリケーションの起動予約及び/又は終了予約を保持する。例えば、予約管理部150は記憶部195を用いて、所定のデータ構造を有するリストとして起動予約及び終了予約を保持してもよい。記憶部195としては、電気的記憶手段又は磁気的記憶手段等の公知の記憶媒体を用いることが可能である。
【0039】
アプリケーション取得部160は、TS内に含まれる放送型アプリケーションを取得する。アプリケーション蓄積部170は、アプリケーション制御部140の制御により、適宜記憶手段を用いて、起動予約及び/又は終了予約が指定されているアプリケーションを蓄積し削除する。アプリケーション実行部180は、アプリケーション制御部140の制御により、アプリケーションを実行し終了する。
【0040】
時刻取得部190は、アプリケーション制御部が指定時刻にアプリケーションを制御できるように、アプリケーション制御部に対して現在時刻を知らせる。
【0041】
本発明の実施形態に係るデジタル放送受信システム100は、これらの構成要素を協動させることにより、起動予約及び/又は終了予約が指定されているアプリケーションをアプリケーション蓄積部170に蓄積する一方、放送から取得されるAITに含まれる予約情報をアプリケーション制御部140が用いて、所定の時刻においてアプリケーション実行部180にアプリケーションを実行及び/又は終了させることができる。
【0042】
[拡張コマンド]
表1に、本発明に係るデジタル放送受信システム100のための、拡張コマンドを示す。これらの拡張コマンドは、従来技術に係るAITの仕様を拡張することにより、AITに含めて用いることが可能である。本願明細書においては、本発明に係る拡張コマンドを含むAITを単にAITとして記載する。
【表1】

【0043】
一実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム100は、適宜記憶手段等を用いて放送されたアプリケーションを蓄積し、上述の拡張コマンドを含むAITに従って、指定されたアプリケーションの開始時間及び/又は終了時間に、対応するアプリケーションを開始及び/又は終了する。
【0044】
別の実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム100は、AIT以外の他のテーブル等を用い、所定の形式で上述の拡張コマンドを記述しうる。当該所定の形式は、本発明に係るデジタル放送受信システムにスクリプト言語処理機能等を備え、上述の拡張コマンドのそれぞれを記述したスクリプト等でもよい。
【0045】
[アプリケーション制御]
図2に、本発明に係るデジタル放送受信システム100におけるアプリケーション制御を表すフロー図を示す。図2には、本発明に係るデジタル放送受信システム100がアプリケーションを蓄積し、上述の拡張コマンドを含むAITに従って、指定されたアプリケーションの開始時間及び/又は終了時間に、対応するアプリケーションを開始及び/又は終了することを表す。
【0046】
具体的には、図2に例示するアプリケーション制御は、以下のステップを含む。
【0047】
ステップS10では、デジタル放送受信システム100は放送を受信する。典型的には、放送をTS(トランスポート・ストリーム)として受信する。
【0048】
ステップS12では、受信したTSを復号し、AITを取得する。
【0049】
ステップS14では、取得したAITに起動予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS16に進み、偽であればステップS34に進む。
【0050】
ステップS16では、受信したTSから復号したアプリケーションを蓄積する。
【0051】
ステップS18では、受信したTSから復号したアプリケーションを予約管理部150に登録する。
【0052】
ステップS20では、復号したAITに含まれる予約時刻に、受信したTSから復号したアプリケーションを起動する。
【0053】
ステップS22では、取得したAITに終了予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS24に進み、偽であればステップS26に進む。
【0054】
ステップS24では、復号したAITに含まれる終了時刻に、受信したTSから復号したアプリケーションを強制終了する。
【0055】
ステップS26では、受信したTSから復号したアプリケーションを、動作終了後に終了する。
【0056】
ステップS28では、取得したAITに、次の起動予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS20に進み、偽であればステップS30に進む。
【0057】
ステップS30では、受信したTSから復号したアプリケーションを破棄する。
ステップS32では、受信したTSから復号したアプリケーションを予約管理部150から削除する。
【0058】
ステップS34では、受信したTSから復号したアプリケーションを、放送終了後に破棄する。
【0059】
このようにすることで、本発明に係るデジタル放送受信システム100のアプリケーション制御においては、起動予約及び/又は終了予約が指定されているアプリケーションを、所定の時刻に起動し終了することが可能になる。さらに、放送終了後の場合又は終了予約のある場合にアプリケーションを強制終了し、終了したアプリケーションを破棄することにより、リソースが限られたセットトップボックス等の実行環境においても、次に起動されるアプリケーションのためのリソースを自動的に確保することが可能になる。
【0060】
[アプリケーション起動の例]
図3に、本発明に係るデジタル放送受信システム100がメタデータを受信し、放送番組終了後にメタデータを処理するタイムチャートの例を示す。図中に示す「用語AIT(改)」は、本発明に係る受信システムが用いうる、拡張コマンドを含むAITを指す。
【0061】
本発明に係るデジタル放送受信システム100において、起動予約が必要となるアプリケーションの一例としては、発明者らがすでに考案したシステムを挙げられる(例えば、特開2007−305054、又は特開2008−236373)。これらのコンテンツ受信システム又はメタデータ生成装置においては、放送データを参照するためのメタデータを用いうる。これらにおいては、ニュース番組を構成する各トピックのメタデータを受信機側で生成する。
【0062】
一般的には、個々のトピックのメタデータの生成には受信機のリソースを使うため、放送側で算出した上で放送することにより、受信機の計算コストを軽減することが可能である。ただし、ニュース番組のような生放送の場合、番組終了間際にしかメタデータを作成できないため、受信機は番組中にメタデータ処理を完了できない可能性もある。
【0063】
そこで、本発明に係るデジタル放送受信システム100においては、図3に示すような方法により、番組終了間際にメタデータ受信用アプリでメタデータを受信し、番組終了後の指定した時刻にメタデータ処理用アプリでメタデータを処理する。
【0064】
図3の横軸は時刻の進行を表す。例示的な実施形態において、ニュース番組放送210の終了時刻の直前にメタデータ放送220が放送される。受信用アプリケーション230、処理用アプリケーション放送280及び処理用アプリケーションのAIT放送290は、ニュース番組放送210の期間中に継続して放送される。メタデータ受信250は、メタデータ放送220が放送される期間に発生する。
【0065】
受信用アプリケーションのAIT260は、メタデータの放送前後で更新されうる。具体的には、メタデータ放送220が放送される前の期間においては、受信用アプリケーションのAIT260はアプリケーションを自動起動する情報を含まない。メタデータ放送220が放送される期間においては、受信用アプリケーションのAIT放送270はアプリケーションを起動するための情報を含みうる。
【0066】
図3に例示するタイムチャートの時刻において、19時30分にはニュース番組放送210が終了すると受信用アプリケーション230の放送も終了するため、受信用アプリケーション230は実行を終了する。
【0067】
一実施形態において、処理用アプリケーションのAIT放送290に含まれる、メタデータを処理するためのアプリケーションのAITは、アプリケーションを自動起動せず、番組終了5分後等の所定の時間経過後に起動することの情報、及び起動の15分後までに処理が終了していなければアプリケーションを強制終了することの情報288を含む。本発明の実施形態に係るデジタル放送受信システム100は、ニュース番組放送210の放送中にはアプリケーションを蓄積するのみで、時刻が19時35分に至ると自動的にアプリケーション起動283を実施する。当該アプリケーションは、メタデータの解析・蓄積等の処理を行った後に、自動的にアプリケーション実行終了287において終了するが、起動の15分後である19時50分の時点で処理が終了していなければ強制終了することが可能である。
【0068】
[蓄積したTSを用いる実行制御]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る、デジタル放送受信システム105の動作を表す概念図である。図1と共通する箇所は説明を省略する。図4に示すデジタル放送受信システム105は、AIT取得部135、アプリケーション制御部145、TS取得部310、TS蓄積部320、TS再生部330を備える。典型的には、デジタル放送受信システム105は、TSの全体を蓄積し、その後にTSを再生する予約を実施し、再生されたTSから取得したアプリケーションを実行することが可能である。
【0069】
一実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム105のAIT取得部は、TS内に含まれるAITを取得し、TSの再生開始及び/又は停止の予約情報を読み込む。アプリケーション制御部145は、AIT取得部135で取得した予約情報が「AUTOSTART」の場合に、放送を受信している場合はアプリケーションを実行し、再生開始及び/又は停止の予約が記述されている場合は予約管理部155に予約を登録し、TS蓄積部320を用いてTSを蓄積する。予約管理部155は記憶部195を用いて当該登録された予約を記憶してもよい。さらに、記憶部195に記憶される予約のための情報は、任意のデータベース形式を用いて予約リストとして蓄積されてもよい。予約リストは、最初にAITを取得した時点で記憶されてもよく、TSが再生される時点で記憶されてもよい。
【0070】
アプリケーション制御部145は、指定された時刻にTSの再生開始及び/又は停止を制御する。例えば、AITが「AUTOSTARTPLAYING」を含む場合は、蓄積したTSを再生するときにアプリケーションを自動起動する。ただし、AITが「NOPICTUREPLAYING」を含む場合は、再生時に映像及び音声をユーザに対して出力せず、バックグラウンドでアプリケーションを実行する。予約したTSの再生が全て終了した後には、記憶部195に記憶される予約のための情報である予約リストから該当の予約を削除し、TS蓄積部320を制御して該当のTSを削除させる。
【0071】
予約管理部155は、TSの再生開始及び/又は停止の予約を、記憶部195を用いて予約リストとして保持する。記憶部195としては、電気的記憶手段又は磁気的記憶手段等の公知の記憶媒体を用いることが可能である。
【0072】
表2に、本発明に係るデジタル放送受信システム105のための、拡張コマンドを示す。これらの拡張コマンドは、前述のデジタル放送受信システム100のための拡張コマンドと同様に、従来技術に係るAITの仕様を拡張することにより、AITに含めて用いることが可能である。
【表2】

【0073】
一実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム105は、適宜記憶手段等を用いて放送されたTSを蓄積し、上述の拡張コマンドを含むAITに従って、指定されたアプリケーションの開始時間及び/又は終了時間に、対応するアプリケーションを開始及び/又は終了する。
【0074】
別の実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム105は、AIT以外の他のテーブル等を用い、所定の形式で上述の拡張コマンドを記述しうる。当該所定の形式は、本発明に係るデジタル放送受信システムにスクリプト言語処理機能等を備え、上述の拡張コマンドのそれぞれを記述したスクリプト等でもよい。
【0075】
図5に、本発明に係るデジタル放送受信システム105におけるアプリケーション制御を表すフロー図を示す。図5には、本発明に係るデジタル放送受信システム105がTSを蓄積し、表2に示した拡張コマンドを含むAITに従って、指定されたアプリケーションの開始時間及び/又は終了時間に、対応するアプリケーションを開始及び/又は終了することを表す。
【0076】
具体的には、図5に例示するアプリケーション制御は、以下のステップを含む。
【0077】
ステップS40では、デジタル放送受信システム105は放送を受信する。典型的には、放送をTSとして受信する。
【0078】
ステップS42では、受信したTSを復号し、AITを取得する。
【0079】
ステップS44では、取得したAITに起動予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS46に進み、偽であればステップS64に進む。
【0080】
ステップS46では、受信したTSを蓄積する。
【0081】
ステップS48では、起動要約を予約管理部155に登録する。
【0082】
ステップS50では、取得したAITに含まれる予約時刻に、蓄積したTSの再生を開始する。再生されたTSからAIT及びアプリケーションが復号される。
【0083】
ステップS52では、AITに終了予約があるかどうかを判定する。当該AITは受信したTS又は再生されたTSから復号されたAITでありうる。判定の結果が真であればステップS54に進み、偽であればステップS56に進む。
【0084】
ステップS54では、AITに含まれる予約時刻に、アプリケーションを強制終了する。
【0085】
ステップS56では、再生終了時にアプリケーションを自動終了する。
ステップS58では、AITに、次の起動予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS60に進み、偽であればステップS50に進む。
【0086】
ステップS60では、TSを破棄する。
【0087】
ステップS62では、TSを予約管理部155から削除する。
【0088】
ステップS64では、放送終了後にアプリケーションを破棄する。
【0089】
このようにすることで、本発明に係るデジタル放送受信システム105においては、起動予約が指定されているTSを所定の時刻に再生し、TSに含まれるAIT及びアプリケーションを復号することが可能になる。さらに、放送終了後の場合又は終了予約のある場合にアプリケーションを強制終了し、TSを破棄することにより、リソースが限られたセットトップボックス等の実行環境においても、次に蓄積されるTSのためのリソースを自動的に確保することが可能になる。
【0090】
[TS再生によるアプリケーション起動]
図6に、本発明に係るデジタル放送受信システム105が処理用アプリケーションを含むTSを蓄積し、蓄積したTSを放送番組終了後に再生してメタデータを処理するタイムチャートの例を示す。図3と共通する箇所は説明を省略する。
【0091】
図3を用いて示したアプリケーション起動の例との差異として、処理用アプリケーション放送280及び処理用アプリケーションのAIT放送290の終了時刻は19時15分であり、ニュース番組放送210の終了時刻である19時30分よりも前である。
処理用アプリケーションのAIT放送290に含まれるAITは、ニュース番組放送210の放送中にはアプリケーションを起動せず、TS再生時のみバックグラウンドで(すなわち映像及び音声を出力せずに)アプリケーションを起動する指定する情報、番組終了5分後等の所定の時間経過後に起動することの情報、及び起動の15分後までに処理が終了していなければアプリケーションを強制終了することの情報288を含む。
【0092】
図6に例示するタイムチャートの時刻において、本発明の実施形態に係るデジタル放送受信システム105は、ニュース番組放送210の放送中にはTSを蓄積するのみで、時刻が19時35分に至ると、蓄積したTSの再生を自動的に実施する(283)。再生されたTSから復号される処理用アプリケーションによりメタデータの解析・蓄積等の処理(285)を行った後に、自動的にアプリケーション実行終了(287)において終了するが、起動の15分後である19時50分の時点で処理が終了していなければ強制終了(288)することが可能である。
【0093】
[AITの更新によるアプリケーション制御]
図7に、本発明に係るデジタル放送受信システム105が、TS再生の停止予約を入れずにAITの更新によりアプリケーションを制御するタイムチャートの例を示す。図6と共通する箇所は説明を省略する。
【0094】
図6に示した前述の例と同様に、本発明に係るデジタル放送受信システム105は、ニュース番組放送210の終了後である19時35分に、TS再生開始350を実施する。これにより、TSに含まれる処理用アプリケーションがバックグラウンドで(すなわち映像及び音声を出力せずに)起動される。メタデータ処理285が終了すればアプリケーションの実行も終了するが、この例ではTSの時間の長さはニュース番組放送210と同じ30分間であるため、TSの再生はTS再生終了380まで継続し、20時05分に至りうる。しかしながら、ニュース番組放送210の開始15分後、すなわち19時15分においてAITが更新される。すなわち、処理用アプリケーションのAIT放送295に含まれるAITが、19時50分以降に用いられる。この更新されたAITにおいて、録画再生時もアプリケーションを起動しないよう指示しておくことにより、19時50分の時点でアプリケーションが実行中であればTSの再生終了とともに強制終了する。
【0095】
[放送されているAITを参照する実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る受信システムを説明する。前述の、本発明に係る第1の実施形態であるデジタル放送受信システム100、又は本発明に係る第2の実施形態であるデジタル放送受信システム105は、さらに、放送されているAITを参照してアプリケーションの動作を制御することが可能である。
【0096】
一実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム100は、放送から取得されるAITに含まれる予約情報に従って、アプリケーション蓄積部170に蓄積したアプリケーションを実行及び/又は終了させることに加えて、当該アプリケーションが予約起動している期間においても、当該期間に放送されているAITを参照することが可能である。
【0097】
別の実施形態において、本発明に係るデジタル放送受信システム105は、TS蓄積部320を用いてTSを蓄積し、当該TS蓄積部320に蓄積されたTSの一部でありうるアプリケーションを実行することに加えて、当該アプリケーションの実行中に放送されているAITを参照することが可能である。
【0098】
すなわち、本発明に係る受信システム(デジタル放送受信システム100又はデジタル放送受信システム105)は、次のようにも動作しうる。
第一に、当該受信システムは、アプリケーションを実行してもよいかどうかを任意の時点において判定してもよい。すなわち、当該受信システムは、放送されているAITを受信し、受信したAITにアプリケーションの起動を許可する情報が含まれる場合に、当該アプリケーションを起動することができる。
第二に、当該受信システムは、表1に示した拡張コマンドに含まれるRESERVETILL等により指定された有効期限の範囲内であっても、アプリケーションの予約を取り消してもよい。
第三に、当該受信システムは、所定の有効期限が設定されていないアプリケーションに対して、所定の期間内にAITを受信しないことに基づいて当該アプリケーションの有効期限が無効化したことを判定してもよい。換言すれば、当該受信システムに対してアプリケーションを放送する放送局等(図示せず)は、当該アプリケーションの有効期限を放送時に設定しなくてもよい。
第四に、当該受信システムは、アプリケーションの起動時に、新たに以後の起動予約を受け付けてもよい。
【0099】
このような本発明に係る受信システムに対してアプリケーションを含む放送を放送する放送システム等は、当該アプリケーションの放送時にAITを放送することに加えて、当該アプリケーションが起動している期間にもAITを放送してもよい。AITを放送する帯域又は放送チャネルは、当該アプリケーションを放送している帯域又は放送チャネルのみでもよく、全ての帯域又は放送チャネルでもよい。放送システム等が全ての帯域又は放送チャネルを用いてAITを放送することにより、本発明に係る受信システムは、当該アプリケーションの予約起動の情報が含まれないTSを受信している時点であっても、放送しているAITに従って当該アプリケーションを起動することができる。
【0100】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100におけるアプリケーション制御を表すフロー図である。図2に示したフロー図と共通する箇所は説明を省略する。第3の実施形態に係るアプリケーション制御は、次のような動作を含む。
【0101】
ステップS19では、予約時刻にAITがあるかどうかを判定する。すなわち、予約時刻において、動作制御の対象であるアプリケーションと関連づけられたAITが放送されているか否かが判定される。判定の結果が真であればステップS36に進む。判定の結果が偽であればステップS28に進み、図2に示した前述の実施形態と同様にステップS28を実施する。
【0102】
ステップS36では、動作制御の対象であるアプリケーションと関連付けられているAITが参照される。従って、デジタル放送受信システム100は、参照されたAITに従って、動作制御の対象であるアプリケーションに対する動作制御を実施することが可能になる。例えば、当該AITが、動作制御の対象であるアプリケーションを自動起動する情報が含む場合には、デジタル放送受信システム100は当該アプリケーションを自動起動してもよい。当該アプリケーションに関する記述が当該AITに含まれないか、又は含まれていても当該アプリケーションの自動起動を無効とする他の情報(ユーザによる設定等)が存在する場合には、起動予約を取り消してもよい。
【0103】
ステップS21では、放送されているAITに次回以降の起動予約があるかどうかを判定する。判定の結果が真であればステップS35に進み、ステップS35において当該次回以降の起動予約を予約管理部155に登録する。判定の結果が偽であればステップS22に進み、図2に示した前述の実施形態と同様にステップS22を実施する。
【0104】
前述の図2に示したフロー図においては、ステップS28の判定結果が真であればステップS20に進むことを示した。本発明の第3の実施形態においては、当該ステップS28の判定結果が真であればステップS19に進み、ステップS19を実施しうる。すなわち、本発明の第3の実施形態においては、放送されているAITに従って、アプリケーションに対する動作制御を実施することができる。
【0105】
図9に、本発明の第3の実施形態に係る、デジタル放送受信システム100がメタデータを受信し、放送番組終了後にメタデータを処理するタイムチャートの例を示す。図3に示したタイムチャートと共通する箇所は説明を省略する。図3に示したタイムチャートとの差は、動作制御の対象であるアプリケーションと関連付けられているAITが処理用アプリケーションの放送時及び実行時の両方で受信されること、並びにデジタル放送受信システム100が放送終了後の時点(19時35分)において参照したAITに従って所定の動作制御を実施することである。当該AITは、処理用アプリケーションの放送時及び実行時の両方で受信されればよく、他の期間における当該AITの受信は問わない。すなわち、処理用アプリのAIT放送290は、図9の例においては、処理用アプリケーションの放送時である19時から19時30分の期間に処理用アプリのAIT放送290−1として、及び実行時である19時35分から19時50分の期間に処理用アプリのAIT放送290−2として受信されればよい。なお、放送局等は処理用アプリのAIT放送290を他の期間にも適宜放送してもよい。
【0106】
図9に示すタイムチャートの例においては、デジタル放送受信システム100は、起動予約時刻である19時35分に、動作制御の対象であるアプリケーションと関連付けられているAITを参照する。すなわち、図9のAIT参照284は、動作制御の対象であるアプリケーションと関連づけられたAITが放送されている場合に、当該AITを参照することを表す。AIT参照284により、デジタル放送受信システム100が、参照されたAITに従って、動作制御の対象であるアプリケーションに対する動作制御を実施することが可能になる。
【0107】
例えば、当該AITが、動作制御の対象であるアプリケーションを自動起動する情報が含む場合には、デジタル放送受信システム100は当該アプリケーションを自動起動しうる。当該AITが自動起動する期間中であって終了予約時刻以前の期間において、当該アプリケーションの処理が完了する場合には、デジタル放送受信システム100は当該アプリケーションを自動的に終了しうる。しかしながら、デジタル放送受信システム100は、当該アプリケーションの実行中であって、かつ終了予約時刻以前に自動起動が無効化されるか又は当該AITの放送が存在しなくなった場合には、当該アプリケーションを強制終了しうる。
【0108】
本発明に係るデジタル放送受信システム100又は105においては、アプリケーションを放送している時間帯だけでなく、放送が終了した後の任意のタイミングでアプリケーションを実行することができる。番組と連動したアプリケーションであれば、通常は番組と同じ時間帯にしか放送されないが、実行のタイミングを番組終了後とすることが可能となるため、番組放送中かどうかに依存せずにサービスを提供できる。
【0109】
また、本発明に係るデジタル放送受信システム100又は105においては、アプリケーション(あるいはアプリケーションを含んだTS)は自動的に受信機側に蓄積されているため、番組終了後にユーザがチャンネルを変更し他のチャンネルを視聴していたとしても、チャンネルを切り替えることなくアプリケーションを実行することができる。
【0110】
従来技術に係るデジタル放送受信機等では、予約機能や蓄積機能といった受信機にもともと備わっている機能を制御するには、実際にユーザが受信機を操作する方法しかなく、放送側から制御することができなかった。上記のアプリケーション起動例に関しても、本発明の予約機能がなければ、ユーザが手動でアプリケーションを蓄積し、さらに手動でアプリケーションを実行する必要がある。しかし、本発明により、放送側が決めたタイミングでユーザが意識することなくアプリケーションを起動できる。そのため、放送したアプリケーションを介して、受信機の様々な機能を放送側から制御することが可能となる。
【0111】
さらに、受信機の処理負荷を時間的に分散することも可能である。受信機のリソースは限られているため、高度な処理をしたいとき、例えば起動予約用のアプリケーションが指定された時刻ではなく受信機の空いている時間帯を選択して起動予約を入れれば、他の動作に影響を与えずに実行することができる。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本発明のコメント可視化装置は、放送番組の視聴率のみならず、例えば、時間的な推移を考慮する必要のある様々なアンケート、支持率調査等、様々な用途に応用可能である。
【符号の説明】
【0113】
100、105 デジタル放送受信システム
110 放送受信部
120 復号部
130、135 AIT取得部135
140、145 アプリケーション制御部
150、155 予約管理部
160 アプリケーション取得部
170 アプリケーション蓄積部
180 アプリケーション実行部
190 時刻取得部
210 ニュース番組放送
220 メタデータ放送
230 受信用アプリケーション放送
240 アプリケーション起動
250 メタデータ受信250
260 受信用アプリケーションのAIT放送
270 AIT放送
280 処理用アプリケーション放送
283 アプリケーション起動
285 メタデータ処理
287、297、360 アプリケーション実行終了
290、295 処理用アプリケーションのAIT放送
293、350 TS再生開始
298、370 アプリケーション強制終了
310 TS取得部
320 TS蓄積部
330 TS再生部
380 TS再生終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行するための受信システムであって、
前記デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、
前記復号が終了した前記特定のアプリケーションの前記動作制御情報に基づいて、前記特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、
前記動作制御情報は、前記特定のアプリケーションを起動する時刻又は前記特定のアプリケーションを終了させる時刻を含む、デジタル放送受信システム。
【請求項2】
さらに、前記アプリケーション動作制御手段を用いて、前記特定のアプリケーションを起動する時刻又は前記特定のアプリケーションを終了させる時刻において、前記特定のアプリケーションを起動又は終了させる、請求項1に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項3】
前記動作制御情報は、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻に起動する情報、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻に毎日起動する情報、
前記特定のアプリケーションを指定の曜日に起動する情報、
前記特定のアプリケーションに対する前記指定の時刻及び前記指定の曜日の有効期限の情報、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻までに強制終了する情報、
のいずれかを少なくとも一つ含む、請求項1に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項4】
前記特定のアプリケーションを蓄積するアプリケーション蓄積手段をさらに備え、
前記特定のアプリケーションは前記デジタル放送の一つのセグメント化された時間の範囲に放送され、
前記動作制御情報が、前記特定のアプリケーションを前記セグメント化された時間の範囲の終了時刻の後に起動する情報を含む場合に、前記特定のアプリケーションを前記アプリケーション蓄積手段を用いて蓄積し、前記特定のアプリケーションを起動する時刻に前記特定のアプリケーションを起動する、請求項1に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項5】
さらに、前記特定のアプリケーションの動作が終了することに応答して前記特定のアプリケーションを終了させる、請求項4に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項6】
さらに、前記特定のアプリケーションを終了させる時刻において前記特定のアプリケーションが終了しない場合に、前記特定のアプリケーションを強制終了する、請求項4に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項7】
前記特定のアプリケーションを起動する時刻に、放送されている前記動作制御情報を受信し、前記受信した前記動作制御情報に前記特定のアプリケーションの起動を許可する情報が含まれる場合に、前記特定のアプリケーションを起動する、請求項4に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項8】
前記特定のアプリケーションが終了することに応答して、前記特定のアプリケーションを終了させる、請求項4に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項9】
前記特定のアプリケーションが動作している期間に、前記特定のアプリケーションを起動する情報が前記動作制御情報に含まれない場合は、前記特定のアプリケーションを強制終了する、請求項4に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項10】
前記デジタル放送を蓄積するデジタル放送蓄積手段をさらに備え、
前記特定のアプリケーションを起動する時刻が、前記デジタル放送の一つのセグメント化された時間の範囲の終了時刻よりも後である場合に、前記デジタル放送蓄積手段を用いて前記デジタル放送を蓄積し、
前記特定のアプリケーションを起動する時刻において、前記蓄積した前記デジタル放送から前記特定のアプリケーション及び前記動作制御情報を復号する、請求項1に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項11】
前記蓄積した前記デジタル放送の再生の終了、又は前記動作制御情報に含まれる前記蓄積した前記デジタル放送の再生を指定の時刻に終了させる情報に従って、前記特定のアプリケーションを終了させる、請求項10に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項12】
請求項1ないし11に記載のデジタル放送受信システムを備えた
デジタル放送受信機。
【請求項13】
デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行するためのプログラムであって、
前記デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、
前記復号が終了した前記特定のアプリケーションの前記動作制御情報に基づいて、前記特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、
前記動作制御情報は、前記特定のアプリケーションを起動する時刻又は前記特定のアプリケーションを終了させる時刻を含むことにより、デジタル放送受信システムとしてコンピュータを機能させること、を特徴とするプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、デジタル放送で放送されたアプリケーションを実行させるためのプログラムであって、
前記デジタル放送から特定のアプリケーション及び動作制御情報を復号するデジタル放送復号手段と、
前記復号が終了した前記特定のアプリケーションの前記動作制御情報に基づいて、前記特定のアプリケーションの動作を制御するアプリケーション動作制御手段と、を備え、
前記動作制御情報は、前記特定のアプリケーションを起動する時刻又は前記特定のアプリケーションを終了させる時刻を含み、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻に起動する情報、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻に毎日起動する情報、
前記特定のアプリケーションを指定の曜日に起動する情報、
前記特定のアプリケーションに対する前記指定の時刻及び前記指定の曜日の有効期限の情報、
前記特定のアプリケーションを指定の時刻までに強制終了する情報、のいずれかを少なくとも一つ含むことにより、デジタル放送受信システムとしてコンピュータを機能させること、を特徴とする請求項13に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−166335(P2010−166335A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6975(P2009−6975)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】