説明

放送番組収録再生装置及び放送番組収録再生プログラム

【課題】一連の放送番組を1つの記録媒体に収録する動作を中断した場合にも、再び一連の放送番組を再構成して当該記録媒体に収録することを可能とする放送番組収録再生装置及び放送番組収録再生プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の放送番組収録再生装置は、デジタル放送信号のTSから、所定のサイズのTSファイルを、連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成するTSファイル生成手段102と、所定数のTSファイルについて生成したTSファイルを順次記憶する記憶手段104と、所定数のTSファイルを順次、挿抜可能な記録媒体に収録するTSファイル収録手段106と、記録媒体が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、挿抜に起因して記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、再挿入された記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するTSファイル制御手段103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組の収録及び再生に関し、特に、デジタル放送の放送番組収録再生装置及び放送番組収録再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送事業者は、放送法第5条(放送番組の保存)の規定に基づいて、放送番組を放送と同時に録画、録音(以下、同録と称する。)して所定期間保存することが義務付けられている。例えば、3カ月分の放送番組を同録保存するには、約2,000時間分の記録が必要となり、磁気テープなどの記録媒体により保管される。
【0003】
一方で、テレビ放送は、従来のアナログ放送からデジタル放送に移行しつつある。これは放送技術、サービス、番組構成等を一変させるもので、アナログ放送では1放送事業者に1つの電波(放送番組)が割り当てられていたのに対して、デジタル放送では複数の放送事業者が1つの(あるいは、1つの放送事業者が複数の放送番組で)電波を共有するようになる。また、デジタル放送においては、番組内容に画像、音声、データがあり、これらが所定の符号化方式によりデジタル化され、1つのトランスポートストリーム(以下、TSと称する。)にまとめられている。
【0004】
図1は、デジタル放送を行うための装置の一例の系統図を示している。図1において、放送事業者Aは多重化装置(一次MUX)201において、画像、音声、データを多重化し、例えばMPEG2方式により圧縮、デジタル化して1つのTSにまとめる。これが符号291で示す放送事業者AのTSとなる。同様に、放送事業者Bも多重化装置(一次MUX)202により画像、音声、データを1つのTSにまとめ、符号292で示す放送事業者BのTSとなる。これら放送事業者AおよびBのそれぞれTS291,292に、EPG(電子番組情報)221が多重化装置(ISDB MUX)203によりさらに多重化されて1つのTS293にまとめられる。このTS293はスクランブル装置(SCR)204において暗号化された後(暗号化された信号を符号294で示す。)、送信機205から放送(符号294で示す。)される。
【0005】
この場合に使用される従来のデジタル放送用同録装置は、TSをそのまま記録するものが一般的である。図1において、同録装置a211、同録装置b212、同録装置c213がそれらである。また、それら同録装置は、DAT(Digital Audio Taperecorder)やLTO(LinearTape Open)等の磁気テープを用いた記録装置であり、それぞれTS291,TS292,TS294をそのまま記録している。
【0006】
また、磁気テープによる同録は、磁気テープの長さ方向に時間を基準にして記録される。このため、磁気テープに記録された放送番組を解析しようとする場合に、通常、別の装置を準備して同録動作を維持する工夫が必要となる。そこで、TSパケットを所定のサイズにまとめたTSファイル構造にて管理することにより、放送番組の解析の利便性を向上させた同録装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003‐061022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、例えば磁気テープによる同録を中断させないためには、少なくとも2台の同録装置を用意し、一方の同録装置が磁気テープエンド近くになったら、他方の同録装置を起動して同録を始める必要がある。このため、同録装置が複数台必要になったり、また、記録された磁気テープに他の磁気テープとオーバーラップする部分が生じてしまう。
【0008】
特許文献1に開示される技術では、TSファイル構造にて管理することにより、前述したオーバーラップを解消させて、放送番組の解析の利便性を向上させることができるが、1つの磁気テープの同録を中断して解析が所望されることがやむを得ず生じるような場合も考えられる。このような場合に、より利便性を向上させた同録装置を提供されることが望まれる。
【0009】
本発明の目的は、一連の放送番組を磁気テープなどの1つの記録媒体に収録する動作を中断した場合にも、再び一連の放送番組を再構成して当該記録媒体に収録することを可能とする放送番組収録再生装置及び放送番組収録再生プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のデジタル放送の放送番組収録再生装置は、入力されたデジタル放送信号のTSから生成した所定数のTSファイルを記憶する記憶手段を備え、伝送されてくるTSパケットから順次生成したTSファイルをこの記憶手段に記憶すると同時に、LTO等の磁気テープに収録し、該磁気テープへの収録の開始及び停止タイミング(磁気テープの挿入及び抜き出しに連動したものとできる。)の検出に基づいて、当該TSファイルのヘッダ情報を監視し、当該磁気テープの挿抜に関わらず、再挿入した磁気テープに収録する放送番組を一連のTSファイルへと再構成するようにした。
【0011】
即ち、本発明のデジタル放送の放送番組収録再生装置は、デジタル放送信号で送信される放送番組の情報を収録し、再生する放送番組収録再生装置であって、連続して入力されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(TS)から、所定のTSパケット数分を1組のデータファイルとする所定のサイズのTSファイルを、連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成するTSファイル生成手段と、所定数のTSファイルについて前記生成したTSファイルを順次記憶する記憶手段と、前記所定数のTSファイルを順次、挿抜可能な記録媒体に収録するTSファイル収録手段と、前記記録媒体が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、前記挿抜に起因して前記記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、前記欠落したTSファイルに対応するTSファイルを前記記憶手段から読み出して、再挿入された前記記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するTSファイル制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のデジタル放送の放送番組収録再生プログラムは、デジタル放送信号で送信される放送番組の情報を収録し、再生する放送番組収録再生装置として機能するコンピュータを、連続して入力されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(TS)から、所定のTSパケット数分を1組のデータファイルとする所定のサイズのTSファイルを、連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成するTSファイル生成手段、所定数のTSファイルについて前記生成したTSファイルを順次記憶する記憶手段、前記所定数のTSファイルを順次、挿抜可能な記録媒体に収録するTSファイル収録手段、及び前記記録媒体が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、前記挿抜に起因して前記記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、前記欠落したTSファイルに対応するTSファイルを前記記憶手段から読み出して、再挿入された前記記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するTSファイル制御手段として機能させるための放送番組収録再生用プログラムとして特徴付けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同録対象となるTSに対して解析及び転送に適したTSの複数パケット単位でファイル化を行うとともに、該磁気テープへの収録の開始及び停止タイミングを監視することにより、放送時間情報からの検索だけでなく、画像、音声、データ等に分割した放送内容からの検索を容易に可能としながら、1つの磁気テープの同録を中断して解析を行い、再び該磁気テープに放送番組を収録することができ、磁気テープの編集作業の効率化、保存管理の効率化などの利便性が極めて向上するようになる。
【0014】
また、TSの解析に必要な部分だけを当該磁気テープから編集したり、収録した磁気テープの解析したりするのに、1本の磁気テープを用いて任意の時刻で行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照し本発明による実施例の放送番組収録再生装置を詳細に説明する。図2は、本発明による実施例の放送番組収録再生装置の基本構成を示している。本実施例の放送番組収録再生装置は、TS処理装置308、TS収録手段(LTO(REC))321、及びTS再生手段(LTO(PLAY))331を備える。ただし、TS収録手段(LTO(REC))321、及びTS再生手段(LTO(PLAY))332は、随意、本実施例の放送番組収録再生装置の外部装置として構成することもできる。尚、本実施例の放送番組収録再生装置は、汎用のコンピュータ、好適にはワークステーションを用いて構成することができるが、専用化したハードウェア設計により実現することもできる。
【0016】
TS処理装置308は、TS入力用I/F301、LTO用I/F302、第1記憶手段(RAM)303、第2記憶手段(HD)304、CPU305、入出力I/F307及びTS出力用I/F309を備える。CPU305の制御により、PCIバス306を介してTS入力用I/F301、LTO用I/F302、第1記憶手段(RAM)303、第2記憶手段(HD)304、入出力I/F307及びTS出力用I/F309、又は後述する各手段を実現するために必要とされる制御回路(図示せず)の間でデータ通信を行うことができる。また、ここで、CPU305の動作に必要なソフトウェアは図示しないROM又は第2記憶手段(HD)304に格納しておくことができる。
【0017】
CPU305の制御により、TS入力用I/F301は、デジタル放送の放送TS信号(TS)391を入力し、入力されたTS391のストリームを、例えばPCIバス306を介してDRAM等で構成された第1記憶手段(RAM)303に格納する。尚、この第1記憶手段(RAM)303は、ワークメモリとして機能するRAMと後述するリングバッファメモリとして機能するRAMを含む。
【0018】
また、CPU305の制御により、第1記憶手段(RAM)303内のデータを読み取り、TSフレームの解析を行う。この解析は、一般的な既知の解析であり、例えばTSフレームのフォーマット、同期等に異常がないかのチェックを行い、異常があれば入出力I/F307によりにより外部システム(図示しない)に対してアラーム等の制御信号341を出力することができる。
【0019】
また、CPU305の制御により、TSフレームが正常であれば、幾つかのTSパケットを後述する所定のサイズにまとめたTSファイルを作成する。また、CPU305の制御により、時刻情報、番組情報、システム情報等のTS解析に必要な情報をまとめたファイルヘッダをこのTSファイルの生成と同時に付加して、ワークメモリとして機能するRAMに格納する。尚、これらの情報は、システム管理インターフェース341等から入力される情報を基に作成される。
【0020】
また、CPU305の制御により、適宜タイミングを見計らって、第1記憶手段(RAM)303内のTSファイルを、ハードディスクアレイ等で構成された第2記憶手段(HD)304に順次転送することができる。
【0021】
このTSファイルのファイルサイズは、以下のようにして予め定めることができる。前述したように、TSファイル単位で管理可能とするためのヘッダが付加される。単に、1つのTSパケットごとに1つのTSファイルとして設定してしまうと、記憶されるTSデータに対し管理ヘッダの割合が大きくなり、記憶効率が落ちる。そこで、複数のTSパケットを後述する所定のサイズでまとめて1つのTSファイルを作ることにより、記憶効率を改善することができる。尚、TSファイルのファイルサイズが大き過ぎると、ファイル転送に時間がかかってしまい、放送番組収録再生装置の共有資源(データ転送用バス、ワーク用RAM、プログラム実行時間等)を占有する時間が増え、他の処理が待たされたり、スキップしたりしてしまうことがあることに留意して、適宜TSファイルのファイルサイズを設定することができる。
【0022】
また、TS解析を行う場合も、ファイルサイズが大き過ぎるとファイルを取り込む時間がかかったり、解析用ワークRAMを余分に使ったりして効率が悪くなる。そこで、これらの点を考慮してTSファイルのファイルサイズを決定することができる。例えば、TSパケットが204バイトであり、データ転送レートを考慮して、約250Mバイト(地上デジタル放送の場合で約1分間に相当する。)のサイズが考えられ、本実施例ではこれを一つの目安とした。尚、より詳細な例は、後述する。
【0023】
図2において、第1記憶手段(RAM)303のリングバッファメモリとして機能するRAMは、2時間分のデータを記憶できる容量を有し、第2記憶手段(HD)304は、1日分のデータを記憶できる容量(地上デジタル放送の1日分を記憶する場合、約360Gバイト)を有するものとできる。尚、この第2記憶手段(HD)304については、外部記憶装置として構成してもよい。
【0024】
また、第2記憶手段(HD)304は、信頼性を確保するためRAID(Redundant Arreys of Independent Disks)構成とすることができる。例えば、第1記憶手段(RAM)303のリングバッファメモリとして機能するRAMから転送されたTSファイルを、順次第2記憶手段(HD)304に記憶するように構成することができる。更に、第2記憶手段(HD)304に記憶されているTSファイルは、CPU305の制御により、磁気テープを記録媒体とするTS収録装置(LTO(REC))321に転送するように構成させてもよい。
【0025】
また、CPU305の制御により、入出力I/F307を介して第2記憶手段(HD)307内のTSファイルの転送要求があった場合(例えば、TSファイルの解析などの要求)、該当するTSファイルからヘッダ情報を取り除き、TS再生信号395として再構成してTS出力用I/F309を介して出力することができる。
【0026】
ここで、後述で明らかになるが、第1記憶手段(RAM)303のリングバッファメモリとして機能するRAMの構成例では、TSファイルが時系列的に書き替えられていくように動作する。具体的には、記憶すべきTSファイルが第1記憶手段(RAM)303のメモリ容量を越えた場合は、一番古いファイルから順に上書きされていき、常に現時点から少なくとも2時間前までのTSファイルを記憶するように構成することができる。
【0027】
上述したTS収録装置(LTO(REC))321は、第1記憶手段(RAM)303のワークメモリとして機能するRAMから転送されたTSファイルを順次磁気テープ(図示しない)に記録する。ここで、TS収録装置(LTO(REC))321は、受け取ったTSファイルを内部のワークRAM(図示しない)に一旦蓄えてから磁気テープに書き込む。これは、磁気テープの書き込み速度が機械的な動作のため遅いからである。このように、TS収録装置(LTO(REC))321では内部のワークRAMを用いてデータのバッファリングと転送速度変換を行って磁気テープに記録する。
【0028】
TS収録装置(LTO(PLAY))332は、TS収録装置(LTO(REC))321にセットされた磁気テープに記録されたTSファイルから再構成される放送番組を再生するために用いられる。従って、TS収録装置(LTO(PLAY))332は、好適に、磁気テープに記録した放送番組を解析することができる。
【0029】
また、本実施例の放送番組収録再生装置において、磁気テープに記録した放送番組の情報はTSファイルからなるので、放送番組として再生可能とするために、CPU305の制御により、TS収録装置(LTO(REC))321にセットされた磁気テープのTSファイルをヘッダ情報に従ってLTO用I/F302を介して読み出し、所定の放送番組に対応するヘッダ情報のTSファイルを抽出して、再びLTO用I/F302を介してTS収録装置(LTO(PLAY))332に送出するように動作する。
【0030】
以上の一連の動作は、TS処理装置308で行われ、TSの取り込み、TSのフレーム管理、TSのファイリング、及びTSのファイル転送等のどの動作も他を妨げることなく行われる。これは、一旦TSファイルとなった段階では同録動作とファイル転送とは別個に扱うことができ、CPU305の制御により生成されたTS再生信号から記録中の番組解析も可能である。また、一連のTS処理装置308で行われる動作は、例えば第2記憶手段(HD)304又はROM(図示せず)に格納されるソフトウェアプログラムを用いてCPU305の制御により、実行することができる。TS処理装置308として機能する各構成手段を、図3に示す。
【0031】
TS処理装置308は、TS入力手段101、TSファイル生成手段102、TSファイル制御手段103、記憶手段104、TSファイル収録手段106及びTS再生手段107を備える。また、記憶手段104は、図2示す第1記憶手段(RAM)303のリングバッファメモリとして機能するRAMにより構成することができる。さらに、TS入力手段101、TSファイル生成手段102、TSファイル性制御手段103、TSファイル収録手段106及びTS再生手段107は、図2に示すCPU205の制御により実現することができる。
【0032】
また、TS入力手段101は、TSファイル番号付与手段102a及びヘッダ情報書込手段102bを有する。さらに、TSファイル制御手段103は、外部記録媒体検出手段103a、TSファイル番号監視手段103b、TSファイル番号比較手段103c及びTSファイル列再構成手段103dを有する。
【0033】
TS入力手段101は、連続して入力されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(TS)の放送TS信号を入力してTSファイル生成手段に出力する。
【0034】
TSファイル生成手段102は、所定のTSパケット数分を1組のデータファイルとする所定のサイズのTSファイルを、後述する連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成し、TSファイル制御手段103に出力する。例えば、TSパケットが204バイトであるときは、データ転送を考慮して、約250Mバイト(地上デジタル放送の場合で約1分間)のサイズのTSファイルとする。
【0035】
TSファイル制御手段103は、TSファイル生成手段102から取得した各々ヘッダ情報を有する所定数のTSファイルを記憶手段104に格納すると同時に、TSファイル収録手段106に送出する。また、TSファイル制御手段103は、TS収録装置(LTO(REC))321において記録媒体(磁気テープ等)が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、当該挿抜に起因して記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、当該欠落したTSファイルに対応するTSファイルを記憶手段104から読み出して、再挿入された記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するように機能する。
【0036】
記憶手段104は、TSファイル制御手段103からの所定数のTSファイルを順次更新するように記憶する。尚、記憶手段104は、前述した第1記憶手段(RAM)303 におけるリングバッファメモリとして機能するRAMに相当する。
【0037】
TSファイル収録手段106は、TSファイル制御手段103から送出されるTSファイルを順次、所定の記録媒体(例えば、挿抜可能なLTO用磁気テープ)に収録するように機能する。
【0038】
TS再生手段107は、TSファイル制御手段103から入力されたTSファイルについてファイルヘッダを取り除き、TS再生信号(即ち、放送TS信号と等価な信号)を生成し、外部に出力する。この外部出力されたTS再生信号は、解析に用いることや、再放送に用いることができる。また、TS再生手段107は、図示しない外部機器からTSファイル化するようにTS再生信号を取得して、TSファイル制御手段103に送出するように機能することができるように構成してもよい。
【0039】
TSファイル番号付与手段102aは、TS入力手段101を介して入力した放送TS信号から所定サイズのTSファイルを生成するとともに、各TSファイルに連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付与する。この連続番号は、TSファイル毎に識別可能であればよく、例えば1日分のTSファイル毎にインクリメント又はデクリメントするように設定することができる。また、タイムスタンプ時間情報は、TSファイル毎に付与される時間情報としての年,日,時,分を含む情報(例えば、「2007年11月15日20時18分」であれば「200711152018」としたコード情報で表される。)であり、TSファイル毎に識別可能とする。従って、この記憶手段104において、これら連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報によって識別可能なように、所定のTSファイル数(例えば、120個)で巡回するようにバッファリングすることができる。
【0040】
ヘッダ情報書込手段102bは、外部から取得される時刻情報、番組情報、システム情報等のTS解析に必要な情報の信号(図2に示す制御信号341)を取得して、各情報をTSファイル番号付与手段102aにより付与されたTSファイル番号のTSファイルに関連付けて、TSファイル毎のヘッダに書き込むように機能する。
【0041】
外部記録媒体検出手段103aは、TSファイル収録手段106の収録に用いられる所定の記録媒体(例えば、挿抜可能なLTO用磁気テープ)の操作者による挿抜を検出するように機能する。例えば、LTO用磁気テープが挿入されているときはフラグ値「1」を、LTO用磁気テープが抜き取られているときはフラグ値「0」を、TSファイル番号監視手段103b及びTSファイル列再構成手段103dに送出する。
【0042】
TSファイル番号監視手段103bは、記憶手段104に格納されているTSファイルのTSファイル番号を監視する機能を有し、特に、外部記録媒体検出手段103aから送出される所定の記録媒体の挿抜状態を示すフラグ値を関連付けて各TSファイル毎に監視するように機能する。更に、TSファイル番号監視手段103bは、TSファイル収録手段106により収録されるTSファイルのTSファイル番号を、所定の記録媒体の挿抜状態を示すフラグ値を関連付けて各TSファイル毎に監視するように機能する。
【0043】
TSファイル番号比較手段103cは、TSファイル番号監視手段103bにより監視されている、記憶手段104に格納されているTSファイルのTSファイル番号と、TSファイル収録手段106により収録されるTSファイルのTSファイル番号とを逐次比較し、未収録の旨を示すフラグ値を有する特定のTSファイルをTSファイル列再構成手段103dに送出するように機能する。すなわち、LTO用磁気テープが抜き取られている場合のフラグ値「0」のTSファイルは、記憶手段104には順次格納されるが、TSファイル収録手段106によって該LTO用磁気テープに収録されないことになる。このため、TSファイル番号比較手段103cにより、いずれのTSファイル番号を有するTSファイルが該LTO用磁気テープに収録されていないかを把握するように、未収録の旨を示すフラグ値の状態に応じたTSファイルを特定する。特定したTSファイルは、記憶手段104に別途格納するように構成しても良いし、記憶手段104に格納されている当該特定されたTSファイルのファイルヘッダに未収録の旨の情報を書き込むように構成してもよい。
【0044】
TSファイル列再構成手段103dは、外部記録媒体検出手段103aによって検出される未収録の旨を示すフラグ値から収録済の旨を示すフラグ値に切り替わる時点のTSファイルを記憶手段104から探索し、該切り替わる時点のTSファイルをTSファイル収録手段106に送出する前に、TSファイルのTSファイル番号比較手段103cから特定された未収録の旨を示すフラグ値を有するTSファイルを送出し、連続順でTSファイル収録手段106により連続順で収録可能とするタイミングに調整して補間し、一連のTSファイル列を再構成するように機能する。
【0045】
このように、収録途中で放送番組の解析を行うために、操作者の操作により当該磁気テープが外部に取り出された場合でも、所定数のTSファイル(例えば、後述するように120個のTSファイルとする場合、約2時間分のTSファイルとなる。)は、順次記憶手段104に記憶され続ける。当該磁気テープが外部に取り出された瞬間(収録されなくなった瞬間)のTSファイルの内容が、記憶手段104に記録されている間に、当該磁気テープを再度挿入すれば、再び当該磁気テープにTSファイルが収録されるだけでなく、あたかも当該磁気テープが外部に取り出されなかったかのように、一連のTSファイルに再構成した上で当該磁気テープに収録することができる。
【0046】
本実施例の放送番組収録再生装置による動作の理解を高めるために、TSファイル生成手段102、記憶手段104及びTSファイル収録手段106の動作の概略図を図4〜6に示している。図4は、TSファイルを収録する通常状態を示す図である。図5は、TSファイルの収録に用いる磁気テープが抜き取られた状態を示す図である。図6は、TSファイルを再収録する通常状態を示す図である。
【0047】
TSファイル生成手段102によって生成されたTSファイルは、記憶手段104及びTSファイル収録手段106に同時に送出され、それぞれ記憶及び収録される。例えば、図4において、TSファイル生成手段102によって生成されたTSファイルn+120(nは、自然数)は、記憶手段104及びTSファイル収録手段106に同時にそれぞれ記憶及び収録される。尚、記憶手段104には、TSファイルn+120以前の120個のTSファイルが格納されており、新たなTSファイルn+120が書き込まれると同時に、120個前のTSファイルnは、廃棄される。このように動作する記憶手段104は、リングバッファメモリとも称される。また、TSファイル収録手段106では、例えば1日分のTSファイルを収録するように、順次TSファイルが収録される。
【0048】
ここで、図5を参照して、磁気テープ内の放送番組の解析のために、TSファイル収録手段106によって収録対象の磁気テープがTSファイルn+121〜n+123の時点で操作者により抜き取られていた場合を考える。この場合、記憶手段104には、TSファイルn+123以前の120個のTSファイルが格納されており、新たなTSファイルn+123が書き込まれると同時に、120個前のTSファイルn+3は、廃棄される。また、TSファイルn+121の時点から磁気テープが再挿入されるまでのTSファイルは、少なくとも磁気テープには収録されない状態が続くことになる。
【0049】
次に、図6を参照して、操作者により本実施例の放送番組収録再生装置に再挿入され、TSファイル収録手段106によって収録対象の磁気テープがTSファイルn+124の時点で同録可能な状態にされた場合を考える。この場合、記憶手段104からTSファイルn+121〜n+123を抽出して、TSファイルn+124前の位置(即ち、TSファイルn+124と既収録のTSファイルn+120との間)に挿入し、一連のTSファイルを再構成して、TSファイル収録手段106による収録を継続する。
【0050】
これにより、あたかも当該磁気テープが外部に取り出されなかったかのように、一連のTSファイルに再構成した上で当該磁気テープに収録することができる。
【0051】
実際に設計を試みた構成に基づいて更に詳細に説明する。TSファイル収録手段106により収録する磁気テープ1本の記録できる容量は、400Gバイトとした。また、記憶手段104には、32Gバイトのキャッシュメモリを用いた。1つのTSパケットは、現在のISDB標準にて204バイトであり、1つのTSファイルのサイズを、32.5Mbpsで伝送されるTSパケットを1分(60秒)間分として設定して、243.75Mバイト(=32.5/8×60)とした。即ち、1つのTSファイルのサイズは、1,194,853パケット分となる。磁気テープは400Gバイトとしたので、1本の磁気テープあたり1,641ファイル分を収録することができる。これは、1時間で収録されるTSファイルは60個であり、1日(24時間)分を収録するのに必要とされるファイル数は、1,440個分(=60×24)であり、1本の磁気テープで1日分のTSファイル(即ち、1日分の放送番組)を収録することができることを意味している。これにより、1日1回の磁気テープの交換で済む。更に、1時間(60分)で収録されるTSファイルは60個であるから、1分間分のTSファイルの容量(=243.75MB)を1時間格納するには約15Gバイト(=60×243.75)となる。これは、記憶手段104には、32Gバイトのキャッシュメモリを用いれば、約2時間分のTSファイルを格納することができることを意味している。
【0052】
また、本実施例に基づいて実際に設計したLTO及び放送番組収録再生装置は、収録時の動作レート40〜80Mバイト/秒であり、1つのTSファイルを当該磁気テープに収録するのに要する時間は、5〜10秒となった。また、磁気テープを再挿入して、TSファイルのヘッダの検出し、一連のTSファイルを再構成するのに要する時間は、約30秒となった。従って、この30秒分の調整時間分のTSパケット数を考慮しても、32Gバイトのキャッシュメモリを用いれば、約2時間分のTSファイルを格納することができることを確認した。
【0053】
従って、同録中であればTS再生信号を用いて図示しない外部再生装置により放送番組の解析を行うことができ、或いは又、LTOなどの磁気テープから放送番組の解析を行うことができる。特に、磁気テープを用いた解析が2時間以内のものであれば、LTOなどの磁気テープから放送番組の解析を行った後で、当該磁気テープをLTOに再挿入した場合にも、あたかも磁気テープが挿抜されなかったかのように放送番組の情報を当該磁気テープに収録することができる。また、磁気テープを用いた解析が2時間を越える場合には、1日分の放送番組の情報を格納している第2記憶手段(HD)304から編集するような機能を設けてもよい。
【0054】
このように、本実施例の放送番組収録再生装置によれば、同録中に同時に放送番組を解析することができ、且つ、同録を一時中断しても、放送番組再収録における磁気テープの再構成を可能とする。
【0055】
このようにして、磁気テープを収録途中で取り出して、巻き戻し再生や、コマ送り再生等の機能を使ったTS解析を行った後でも、あたかもTS解析を行わなかったかのように、磁気テープの収録状態を維持することができ、極めて放送番組の管理性能が向上するようになる。
【0056】
前述したように、実施例の放送番組収録再生装置において、制御部及び記憶部を有するコンピュータを好適に用いることができる。また、放送番組収録再生装置として機能するコンピュータにおいて、図3に示す各手段を機能させるのに必要となるプログラムを前述した第2記憶手段304に格納することができる。即ち、放送番組収録再生装置として機能するコンピュータに、CPUによって所定のプログラムを実行させることにより、これら各構成要素の有する機能を実現させることができる。また、そのようなプログラムは、画像符号化装置又は画像復号装置としてのコンピュータで利用されるOS上のソフトウェアの一部で構成させることができる。
【0057】
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、前述の実施例において、LTOを内臓する装置として説明したが、外部に設けてもよく、収録に用いる記録媒体は、磁気テープに限定されるものではない。また、各メモリに用いたサイズや動作レートは、適宜用途に応じて変更するように設定することができる。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、放送番組の収録及び再生を扱う用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】デジタル放送を行うための装置の一例の系統図を示す図である。
【図2】本発明による実施例の放送番組収録再生装置の基本構成を示す図である。
【図3】本発明による実施例のTS処理装置308として機能する各構成手段を示す図である。
【図4】TSファイルを収録する通常状態を示す図である。
【図5】TSファイルの収録に用いる磁気テープが抜き取られた状態を示す図である。
【図6】TSファイルを再収録する通常状態を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
101 TS入力手段
102 TSファイル生成手段
102a TSファイル番号付与手段
102b ヘッダ情報書込手段
103a 外部記録媒体検出手段
103b TSファイル番号監視手段
103c TSファイル番号比較手段
103d TSファイル列再構成手段
104 記憶手段
105 TSファイル収録手段
107 TS再生手段
201 多重化装置(一次MUX)
202 多重化装置(一次MUX)
203 多重化装置(ISDB MUX)
204 スクランブル装置(SCR)
205 送信機
211 同録装置a
212 同録装置b
213 同録装置c
301 TS入力用I/F
302 LTO用I/F
303 第1記憶手段(RAM)
304 第2記憶手段(HD)
305 CPU
306 PCIバス
307 入出力I/F
308 TS処理装置
309 TS出力用I/F
321 TS収録装置(LTO(REC))
332 TS収録装置(LTO(PLAY))

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号で送信される放送番組の情報を収録し、再生する放送番組収録再生装置であって、
連続して入力されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(TS)から、所定のTSパケット数分を1組のデータファイルとする所定のサイズのTSファイルを、連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成するTSファイル生成手段と、
所定数のTSファイルについて前記生成したTSファイルを順次記憶する記憶手段と、
前記所定数のTSファイルを順次、挿抜可能な記録媒体に収録するTSファイル収録手段と、
前記記録媒体が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、前記挿抜に起因して前記記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、前記欠落したTSファイルに対応するTSファイルを前記記憶手段から読み出して、再挿入された前記記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するTSファイル制御手段とを備えることを特徴とする放送番組収録再生装置。
【請求項2】
デジタル放送信号で送信される放送番組の情報を収録し、再生する放送番組収録再生装置として機能するコンピュータを、
連続して入力されるデジタル放送信号のトランスポートストリーム(TS)から、所定のTSパケット数分を1組のデータファイルとする所定のサイズのTSファイルを、連続番号及び/又はタイムスタンプ時間情報を付して生成するTSファイル生成手段、
所定数のTSファイルについて前記生成したTSファイルを順次記憶する記憶手段、
前記所定数のTSファイルを順次、挿抜可能な記録媒体に収録するTSファイル収録手段、及び
前記記録媒体が挿抜された時点の対応するTSファイルを検出し、前記挿抜に起因して前記記録媒体から収録が欠落したTSファイルを特定し、前記欠落したTSファイルに対応するTSファイルを前記記憶手段から読み出して、再挿入された前記記録媒体の欠落したTSファイルを補間し、一連のTSファイルを再構成するTSファイル制御手段として機能させるための放送番組収録再生用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−123304(P2009−123304A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298541(P2007−298541)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(391016093)エル・エス・アイ ジャパン株式会社 (21)
【出願人】(591164613)株式会社エヌエイチケイアイテック (39)
【Fターム(参考)】