説明

放電灯点灯装置および、これを用いた前照灯,車両

【課題】高温時および低電源電圧時において熱ストレスを低減すると共に、放電灯の点灯維持性能を確保することができる放電灯点灯装置および、これを用いた前照灯,車両を提供する。
【解決手段】放電灯Laに電力を供給するDC/DCコンバータ部2,インバータ部3と、DC/DCコンバータ部,インバータ部3を制御する制御部5と、周囲温度Taを検出する温度検出部7と、電源電圧Vinを検出する電源電圧検出部6とを備え、制御部5は、放電灯Laが始動した後の期間TA,TBにおいて、放電灯Laに供給する電力を最大電力から安定電力に向かって低減させ、期間TCにおいて、放電灯Laに安定電力を供給し、周囲温度Taの増加度合いおよび、電源電圧Vinの低減度合いに応じて安定電力を低減させ、安定電力に下限値を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置および、これを用いた前照灯,車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタルハライドランプなどの高輝度放電灯は、その輝度の高さから車載用途にも用いられている。車載用途では、特に視認性の早期確保を実現するため、始動時に光束を急速に立ち上げる必要があり、放電灯の点灯直後に定格電力より過大な電力を放電灯に供給することで光束の立ち上がりを早めている放電灯点灯装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
図11に、放電灯点灯装置1の回路構成図を示す。放電灯点灯装置1は、DC/DCコンバータ部2とインバータ部3とイグナイタ部4と制御部5とを主構成としており、直流電源E1を入力電源として放電灯Laに電力を供給することで放電灯Laを点灯させる。DC/DCコンバータ部2は、直流電源E1から印加される電源電圧Vinを昇降圧し、放電灯Laを点灯するのに必要な直流電圧V1を生成する。インバータ部3は、直流電圧V1を低周波の矩形波からなる交流電圧V2に変換する。イグナイタ部4は、放電灯Laを始動させる数10kVの高電圧を発生させる。制御部5は、DC/DCコンバータ部2の出力電圧(直流電圧V1)および出力電流(電流I1)を検出し、この検出結果から算出された出力電力が目標値となるようにDC/DCコンバータ部2を制御する。
【0004】
以下に、放電灯点灯装置1の具体的な構成について説明する。
【0005】
DC/DCコンバータ部2は、コンデンサC1,C2と、スイッチング素子Q1と、トランスTr1と、ダイオードD1と、スイッチング素子Q1とでフライバック型のDC/DCコンバータ回路を構成している。
【0006】
直流電源E1の出力端間にスイッチS1を介してコンデンサC1が接続されており、スイッチS1がオンすると、コンデンサC1の両端間に直流電源E1から出力される直流の電源電圧Vinが印加される。コンデンサC1の両端間には、トランスTr1の一次巻線n11とnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子Q1とが直列接続されている。また、トランスTr1の二次巻線n12の両端間にダイオードD1とコンデンサC2とが直列接続されている。そして、スイッチング制御部21がスイッチング素子Q1をオンすると、トランスTr1の一次巻線n11に電流が流れ、トランスTr1にエネルギーが蓄積される。そして、スイッチング素子Q1をオフすると、トランスTr1に蓄積されたエネルギーによって、二次巻線n12→コンデンサC2→ダイオードD1の経路で電流が流れコンデンサC2が充電される。そして、スイッチング素子Q1がオン・オフを繰り返すことで、コンデンサC2の両端間に直流電圧V1が生成される。
【0007】
インバータ部3は、4つのnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子Q2〜Q5でフルブリッジインバータ回路を構成している。DC/DCコンバータ部2の出力端間にスイッチング素子Q2,Q4からなる直列回路と、スイッチング素子Q3,Q5からなる直列回路が並列接続されており、スイッチング素子Q4,Q5が高圧側に接続され、スイッチング素子Q2,Q3が低圧側に接続されている。そして、インバータ部3は、スイッチング素子Q2,Q4の接続点と、スイッチング素子Q3,Q5の接続点とが出力端を構成している。
【0008】
イグナイタ部4は、コンデンサCsと、トランスTr2と、スパークギャップSG1とで構成されている。コンデンサCsは、インバータ部3の出力端間に接続されている。このコンデンサCsと並列に、トランスTr2の一次巻線n21とスパークギャップSG1とからなる直列回路および、トランスTr2の二次巻線n22と放電灯Laとからなる直列回路が接続されている。
【0009】
制御部5は、電力目標記憶部51と、安定電力制限部52と、電流目標演算部53と、誤差アンプ54とで構成されている。電力目標記憶部51は、放電灯Laに供給する出力電力目標値を記憶しており、この出力電力目標値を安定電力制限部52が取得する。そして安定電力制限部52は、取得した出力電力目標値を補正して電流目標演算部53に出力する。電流目標演算部53は、DC/DCコンバータ部2が出力する直流電圧V1を検出しており、補正後の出力電力目標値と直流電圧V1とから目標電流を算出し、誤差アンプ54に出力する。また、誤差アンプ54には、DC/DCコンバータ部2が出力する電流I1の検出結果が入力されており、目標電流と電流I1との差が生じなくなるように出力制御信号をDC/DCコンバータ部2に出力する。なお、抵抗R1を電流検出部として構成しており、電流I1の検出結果を誤差アンプ54に出力している。
【0010】
次に、放電灯点灯装置1の動作について説明する。
【0011】
スイッチS1がオンすると、直流電源E1からDC/DCコンバータ部2に電源電圧Vinが印加される。そして、DC/DCコンバータ部2は、スイッチング素子Q1をオン・オフすることで直流電圧V1を生成する。なお、DC/DCコンバータ部2は、制御部5から出力される出力制御信号に基づいてスイッチング素子Q1のオン時間や駆動周波数を変動することで、直流電圧V1を変動させる。
【0012】
インバータ部3は、放電灯Laの始動前は、スイッチング素子Q2,Q5をオン状態に維持し、スイッチング素子Q3,Q4をオフ状態に維持する。放電灯Laの始動前は、放電灯Laが開放状態であるため、コンデンサC2の両端間に生成される直流電圧V1が上昇すると、コンデンサCsの両端電圧も上昇する。そして、直流電圧V1が上昇して所定電圧以上になると、スパークギャップSG1がブレークダウンし、トランスTr2の一次巻線n21に瞬時に電圧が印加される。それによって、トランスTr2の二次巻線n22には、一次巻線n21に印加される電圧の巻数比倍の高電圧(数10kV程度)が印加される。この高電圧により放電灯Laがブレークダウンする。その瞬間にDC/DCコンバータ部2からスイッチング素子Q2,Q5を介して電流が流れ、放電灯Laがアーク放電に移行して放電灯Laが始動する。
【0013】
放電灯Laの始動後は、スイッチング素子Q2〜Q5を所定時間間隔で交番させることで交流電圧V2を生成し、放電灯Laに供給する。また、制御部5は、DC/DCコンバータ部2の出力電力が出力電力目標値と一致するように、DC/DCコンバータ部2のフィードバック制御を行う。それによって、放電灯Laの安定点灯を実現している。
【0014】
また、放電灯点灯装置1は、放電灯Laの光束の立ち上がり性能を確保しつつ、光束のオーバーシュートやアンダーシュートを防ぐため、放電灯Laの温度上昇に応じて出力電力目標値を変動させている。電力目標記憶部51は、図12に示す目標電力カーブK1を記憶している。この目標電力カーブK1は、放電灯Laの始動後の時間に対する出力電力目標値を示している。目標電力カーブK1は、放電灯Laが始動した時間をt0とした場合、時間t0から時間t1までの期間TAの間は、放電灯Laの定格電力Ws0(35W)の倍以上の電力(最大電力)を出力電力目標値としている。以降、期間TAにおける出力電力目標値を最大電力目標値と称し、ここでは最大電力目標値に放電灯Laの許容最大電力値Wp0(70〜90W程度)が設定されている。放電灯Laの始動直後は、放電灯Laに大きな電力を供給することによって、放電灯Laの光束を急速に立ち上がらせる。なお、この期間TAは4秒間程度が望ましい。
【0015】
そして、時間t1から時間t2までの期間TBの間は、放電灯Laの光束がオーバーシュートやアンダーシュートを起さないように、出力電力目標値を最大電力目標値Wp0から滑らかに低減して安定電力目標値に漸近させる。ここでは、安定電力目標値に放電灯Laの定格電力Ws0が設定されている。なお、この期間TBは約40〜50秒程度が望ましい。そして、時間t2以降の期間TCは、出力電力目標値を安定電力目標値Ws0に維持することで、放電灯Laを安定点灯させる。以降、期間TCにおいて放電灯Laに供給する電力を安定電力と称す。
【0016】
なお、上述した制御は、放電灯Laが冷えた状態から始動(以降、初始動と称す)させる場合のみ行う。放電灯Laを短期間消灯した直後における放電灯Laの温度が高い状態で、初始動(コールドスタート)時の制御を行うと、期間TA,TBにおいて放電灯Laが過剰発光する。そこで、点灯していた放電灯Laを短期間消灯した直後の始動(以降、再始動と称す)を行う場合は、以下の制御を行う。
【0017】
図13に示すように、放電灯Laの消灯時間に応じて、目標電力カーブK1における期間TA,TB中の時間ta,tbから出力電力目標値の変動をスタートする。それによって、再始動後に放電灯Laに供給される電力が抑えられ、再始動時の過剰発光を抑制している。
【0018】
すなわち、図13に示すように、再点灯前の消灯期間が比較的長い場合、目標電力カーブK1の時間taにおける出力電力目標値Waから開始し、再点灯前の消灯期間が比較的短い場合、目標電力カーブK1の時間tb(>ta)における出力電力目標値Wb(<Wa)から開始する。それによって、再点灯前の消灯期間が短い、つまり、放電灯Laの温度が高いほど、放電灯Laの始動直後において放電灯Laに供給される電力(最大電力)が抑制される。
【0019】
なお、再始動時は、例えばコンデンサの充放電回路で構成されるタイマ回路を用いて、再始動時のコンデンサの両端電圧(充電電荷量)に応じて放電灯Laに供給する電力を決定する。
【0020】
また、放電灯点灯装置1を車載用途等の高温環境下で使用し、放電灯点灯装置1の周囲温度が高い場合や電源電圧Vinが低下した場合は、回路損失および構成部品の熱ストレス増加による回路破壊を起すおそれがある。これを防止するために、電源電圧Vinおよび周囲温度Taを検出し、この検出結果に基づいて最大電力目標値を低減させる制御を行う(例えば、特許文献3,4参照)。
【0021】
図11に示す放電灯点灯装置1は、電源電圧検出部6と温度検出部7とを備えている。電源電圧検出部6は、直流電源E1からDC/DCコンバータ部2に印加される電源電圧Vinを検出し、安定電力制限部52に出力している。また、温度検出部7は、放電灯点灯装置1の周囲温度Taを検出し、安定電力制限部52に出力している。なお、温度検出部7は、放電灯点灯装置1の温度を検出するように構成してもよい。
【0022】
そして、安定電力制限部52は、電源電圧検出部6と温度検出部7との検出結果とに基づいて最大電力目標値を許容最大電力値Wp0から低減させる。
【0023】
例えば、図14に示すように、周囲温度TaがTa0(常温)の場合における目標電力カーブをK1とし、周囲温度TaがTa0からTa1に上昇した場合における目標電力カーブをK1aとする。安定電力制限部52は、周囲温度TaがTa0からTa1に上昇した場合、最大電力目標値をWp0よりも低いWpcに補正し、時間tcまでWpcを維持する。そして、時間tc以降は、目標電力カーブK1に沿って出力電力目標値を変動させる。また、周囲温度TaがTa2(>Ta1)に上昇した場合における目標電力カーブをK1bとする。この場合、安定電力制限部52は、最大電力目標値をWp0よりも低いWpd(<Wpc)に補正し、時間tdまでWpdを維持する。そして、時間td以降は、目標電力カーブK1に沿って出力電力目標値を変動させる。
【0024】
また、上記では最大電力目標値のみ低減するように制御しているが、電源電圧検出部6および温度検出部7の各検出結果に基づいて、全ての期間(TA〜TC)にわたって出力電力目標値を低減するように構成してもよい。それによって、放電灯点灯装置1の構成部品の熱ストレスを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特許第2946384号
【特許文献2】特開2000−235899号公報
【特許文献3】特開2002−216989号公報
【特許文献4】特開2001−43991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
放電灯点灯装置1に求められる重要な機能の一つとして、放電灯Laの点灯維持性能がある。しかし、上述したように、周囲温度Taの増加度合いおよび電源電圧Vinの低減度合いに応じて、出力電力目標値を低減した場合、放電灯Laに供給される電力が、放電灯Laの点灯維持に必要な電力を下回るおそれがある。それによって、放電灯Laの立ち消えやちらつきが発生してしまう。
【0027】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温時および低電源電圧時において熱ストレスを低減すると共に、放電灯の点灯維持性能を確保することができる放電灯点灯装置および、これを用いた前照灯,車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の放電灯点灯装置は、直流電源を入力として放電灯に電力を供給する放電灯点灯装置において、放電灯に電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、周囲温度または自装置の温度を検出する温度検出部と、前記直流電源の電圧を検出する電源電圧検出部とを備え、前記制御回路は、前記放電灯が始動した後の第1の期間において、前記放電灯に供給する電力を第1の電力から当該第1の電力より低い第2の電力に向かって、前記放電灯の温度の上昇に応じて低減させ、前記第1の期間に連続する第2の期間において、前記放電灯に前記第2の電力を供給し、前記温度検出部の検出値の増加度合いおよび、前記電源電圧検出部の検出値の低減度合いに応じて前記第2の電力を低減させ、前記第2の電力に下限値を設けることを特徴とする。
【0029】
この放電灯点灯装置において、前記第2の電力の低減量を上限値にすることで前記第2の電力は前記下限値となり、前記制御回路は、前記第2の電力の低減量を、前記温度検出部の検出値を変数とする関数で求められる第1の低減量と、前記電源電圧検出部の検出値を変数とする関数で求められる第2の低減量との和で決定しており、前記第1の低減量の最大値と前記第2の低減量の最大値との和は、前記第2の電力の低減量の上限値よりも大きいことが好ましい。
【0030】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第1の温度以上である場合、前記下限値を低減させることが好ましい。
【0031】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第1の温度以上である時間が、第1の時間以上である場合、前記下限値を低減させることが好ましい。
【0032】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第2の温度以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止することが好ましい。
【0033】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第2の温度以上である時間が、第2の時間以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止することが好ましい。
【0034】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第2の温度以上となり、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止した後、前記温度検出部の検出値が、前記第2の温度より低い第3の温度以下に達した場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を再開することが好ましい。
【0035】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が、前記第3の温度以下である時間が、第3の時間以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を再開することが好ましい。
【0036】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第1の温度以上である場合、前記下限値を低減させ、
前記第3の温度は、前記第1の温度以上であることが好ましい。
【0037】
この放電灯点灯装置において、前記下限値は、少なくとも寿命期間内の前記放電灯が点灯維持可能な電力値以上であることが好ましい。
【0038】
本発明の前照灯は、直流電源を入力として放電灯に電力を供給する放電灯点灯装置において、放電灯に電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、周囲温度または自装置の温度を検出する温度検出部と、前記直流電源の電圧を検出する電源電圧検出部とを備え、前記制御回路は、前記放電灯が始動した後の第1の期間において、前記放電灯に供給する電力を第1の電力から当該第1の電力より低い第2の電力に向かって、前記放電灯の温度の上昇に応じて低減させ、前記第1の期間に連続する第2の期間において、前記放電灯に前記第2の電力を供給し、前記温度検出部の検出値の増加度合いおよび、前記電源電圧検出部の検出値の低減度合いに応じて前記第2の電力を低減させ、前記第2の電力に下限値を設ける放電灯点灯装置と、前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備えることを特徴とする。
【0039】
本願発明の車両は、直流電源を入力として放電灯に電力を供給する放電灯点灯装置において、放電灯に電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、周囲温度または自装置の温度を検出する温度検出部と、前記直流電源の電圧を検出する電源電圧検出部とを備え、前記制御回路は、前記放電灯が始動した後の第1の期間において、前記放電灯に供給する電力を第1の電力から当該第1の電力より低い第2の電力に向かって、前記放電灯の温度の上昇に応じて低減させ、前記第1の期間に連続する第2の期間において、前記放電灯に前記第2の電力を供給し、前記温度検出部の検出値の増加度合いおよび、前記電源電圧検出部の検出値の低減度合いに応じて前記第2の電力を低減させ、前記第2の電力に下限値を設ける放電灯点灯装置と、前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備える前照灯と、前記前照灯が取り付けられる車体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明では、高温時および低電源電圧時において熱ストレスを低減すると共に、放電灯の点灯維持性能を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図2】第1の低減量を示すグラフである。
【図3】第2の低減量を示すグラフである。
【図4】時間に対する出力電力目標値の変動を示すグラフである。
【図5】(a)時間に対する電源電圧を示すグラフである。(b)時間に対する放電灯点圧を示すグラフである。(c)時間に対する放電灯電流を示すグラフである。
【図6】下限値の変動を示すグラフである。
【図7】下限値の変動を示すグラフである。
【図8】下限値の変動を示すグラフである。
【図9】下限値の変動を示すグラフである。
【図10】前照灯および車両の概略構成図である。
【図11】従来の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図12】時間に対する出力電力目標値の変動を示すグラフである。
【図13】時間に対する出力電力目標値の変動を示すグラフである。
【図14】時間に対する出力電力目標値の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(実施形態1)
本実施形態の放電灯点灯装置1の回路構成図を図1に示す。なお、図11に示した従来の放電灯点灯1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0044】
本実施形態の放電灯点灯装置1の制御部5は、電力目標記憶部51と安定電力制限部52と電流目標演算部53と誤差アンプ54と安定電力下限制限部55とで構成されている。安定電力下限制限部55は、電力制限部52と電流目標演算部53との間に介挿されており、期間TCにおける出力電力目標値(安定電力目標値)の低減量に上限を設定することで、安定電力目標値に下限値を設けている。なお、DC/DCコンバータ部2とインバータ部3とイグナイタ部4とが本願発明の駆動回路に相当し、制御部5が本願発明の制御回路に相当する。また、期間TAおよび期間TBが本願発明の第1の期間に相当し、放電灯Laを始動点灯させた直後の電力(最大電力)が本願発明の第1の電力に相当する。また、期間TCが本願発明の第2の期間に相当し、安定電力が本願発明の第2の電力に相当する。
【0045】
本実施形態では、安定電力目標値に対して下限値を設定することで安定電力に下限値を設定することを特徴としており、これについて以下説明する。
【0046】
安定電力制限部52は、図2に示すように、温度検出部7の検出値(周囲温度Ta)を変数とする関数を用いて周囲温度Taによる安定電力目標値の低減量(以降、第1の低減量Wtと称す)を決定する。周囲温度Taが温度Tth1以下である場合、第1低減量Wtは0となる。また、周囲温度Taが温度Tth1を上回るにつれて第1の低減量Wtが増加し、温度Tth2に達すると第1の低減量WtはWt1(=6W)となる。また、周囲温度Taが温度Tth2を上回ると第1の低減量WtはWt1で一定となる。
【0047】
また、電力制限部52は、図3に示すように、電源電圧検出部6の検出値(電源電圧Vin)を変数とする関数を用いて電源電圧Vinによる安定電力目標値の低減量(以降、第2の低減量Wvと称す)を決定する。電源電圧Vinが電圧Vth1以上である場合、第2の低減量Wvは0となる。また、電源電圧Vinが電圧Vth1を下回るにつれて第2の低減量Wvが増加し、電圧Vth2に達すると第2の低減量WvはWv1(=6W)となる。また、電源電圧Vinが電圧Vth2を下回ると第2の低減量WvはWv1で一定となる。
【0048】
そして、電力目標記憶部51から取得した安定電力目標値が放電灯Laの定格電力であるWs0である場合、安定電力制限部52は、下記式(1)に示すように、Ws0から第1,第2の低減量を差し引くことで補正した安定電力目標値Wla1を生成する。
【0049】
Wla1=Ws0−Wt−Wv (1)
そして、安定電力制限部52は、安定電力目標値Wla1を安定電力下限制限部55に出力する。
【0050】
安定電力下限制限部55は、この安定電力目標値Wla1と、予め設定された安定電力目標値の下限値Wla2とを比較する。この下限値Wla2は、放電灯Laの寿命末期においても点灯維持可能な電力値以上に設定されている。そして、安定電力下限制限部55は、安定電力目標値Wla1が下限値Wla2よりも大きい場合、安定電力目標値Wla1を電流目標演算部53に出力する。以降は、従来と同様に、DC/DCコンバータ2の出力電力(安定電力)が安定電力目標値Wla1と一致するようにフィードバック制御を行う。
【0051】
しかし、例えば安定電力目標値Ws0が35W、下限値Wla2が26Wであるとする。そして、周囲温度TaがTth2かつ、電源電圧V1がVth2である場合、安定電力目標値Wla1は23W(=Ws0−Wt1−Wv1=35−6−6)となり、安定電力目標値Wla1が下限値Wla2よりも小さくなる。
【0052】
この場合、安定電力下限制限部55は、下限値Wla2を電流目標演算部53に出力する。以降は、従来と同様に、DC/DCコンバータ2の出力電力(安定電力)が下限値Wla2と一致するようにフィードバック制御を行う。
【0053】
このように、本実施形態では、安定電力目標値に下限値を設けることで、電源電圧V1の低減時および、周囲温度Taの上昇時において、安定電力が大幅に低減するのを抑制する。下限値Wla2は、放電灯Laの点灯維持可能な電力値以上に設定されているので、放電灯Laの安定時の点灯維持性能を確保することができる。
【0054】
なお、放電灯Laの点灯維持可能な電力値は、放電灯Laを構成する封止材料や電極形状あるいは、経年劣化度合いなどのバラツキで変化するため、一意に限定することは難しいが、一般的に20〜26Wに設定される。なお、放電灯Laの種類は、無水銀高輝度放電灯や有水銀放電灯であっても、上記効果を得ることができる。また、放電灯Laは、気密容器の1cc当たり2mg未満(1mg未満だと、なお望ましい)の水銀を含んでいてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、図4に示すように全ての期間TA〜TCにおいて、電源電圧検出部6の検出値(電源電圧Vin)の低減度合いおよび、温度検出部7の検出値(周囲温度Ta)の増加度合いに応じて、出力電力目標値を低減させている。なお、図4において、K1は電力目標記憶部51に記憶されている目標電力カーブであり、K2は安定電力制限部52による補正後の目標電力カーブである。周囲温度Taの上昇,電源電圧Vinの低下によって、安定電力制限部52は目標電力カーブK1から出力電力目標値を低減した目標電力カーブK2を生成する。そして、目標電力カーブK2に沿った電力が放電灯Laに供給されるようにフィードバック制御を行う。なお、目標電力カーブK2における最大電力目標値はWp1(<Wp0)に設定され、安定電力目標値はWs1(<Ws0)に設定されている。
【0056】
上記制御によって、放電灯点灯装置1の取付け環境や装置自身の自己発熱の影響により放電灯点灯装置1の温度が上昇した場合に、放電灯点灯装置1が熱暴走状態に至り装置自身が破壊されてしまうことを防止することができる。また、放電灯点灯装置1の温度が高いほど装置自身の熱損失が大きくなるため、放電灯点灯装置1の周囲温度Taが上昇するのに加えて、電力損失による放電灯点灯装置1の自己発熱も増加する。しかし、周囲温度Taの増加度合いに応じて放電灯Laに供給する電力を低減させるので、自己発熱の要因となる電力損失を低減することができ、装置温度の増加を抑制することができる。その結果、周囲温度Taが高い場合や電源電圧Vinが低い場合であっても、熱ストレスを低減し、放電灯点灯装置1が熱暴走しない温度で装置温度が安定する。
【0057】
また、放電灯点灯装置1の重要な機能として、電源電圧V1の変動に対して常に安定した定電力供給を行う必要性がある。しかし、バッテリー電圧(電源電圧Vin)が異常に低下した場合、放電灯Laに定電力を供給しようとすると、電源電流Iinが増加して発熱等による電力損失が増大してしまう。特に、高温の環境下で電源電圧Vinの低下状態が続くと、回路素子の発熱によって、劣化や破壊を引き起こすおそれがある。
【0058】
しかし、本実施形態では、電源電圧Vinの減少度合いに応じて放電灯Laに供給する電力を低減させるので、期間TCにおいて定格電力Ws0より低い電力を放電灯Laに供給する。それによって、電源電圧Vinの低下時において、電源電流Iinの増大に伴う発熱量の増加を抑制し、電力損失の低減を図ることができる。
【0059】
また、上述した放電灯点灯装置1を定格電力35Wの放電灯La(高輝度放電灯)を用いて車載用の前照灯を構成する場合、周囲温度Taは85〜105℃まで上昇する。そこで、放電灯Laの安定点灯および構成部品の熱ストレス等を考慮して、安定電力目標値は26W〜35Wの範囲に設定される。なお、本実施形態では、安定電力目標値の下限値Wla2を26Wに設定しているが、これに限定するものではない。
【0060】
また、車載用の前照灯に用いられる放電灯La(高輝度放電灯)を点灯する際、始動直後に速やかに放電灯を安定させるために、図5(a)〜(c)に示すように、電極温度を短期間で上昇させる電極過熱期間TEを設ける。図5(b)に示すように直流電源E1が投入されると放電灯Laに供給される電圧(放電灯電圧)が上昇し、時間t0においてスパークギャップSG1がブレークダウンすることで放電灯Laが始動する(無負荷期間TD)。そして、図5(b)(c)に示すように、電極加熱期間TEは、所定の電力(放電灯電圧,放電灯電流)を放電灯Laに供給することで、放電灯Laの電極を加熱する。この電極加熱期間TEの長さは、放電灯Laの状態に応じて可変するが数十ms〜数百msに設定される。また、この電極加熱期間TEに電力を変動させると放電灯Laの立ち消えが発生しやすいため、図4における期間TAは200ms以上確保するのが望ましい。そして、光束立ち上げ期間TFにおいて、放電灯Laに供給する交流電圧を上昇することで光束を立ち上げ、安定点灯期間TG(期間TC)において、放電灯Laに所定の交流電力を供給する。
【0061】
また、放電灯Laが始動した後、最大電力Wpの投入を維持することで、速やかに光束を立ち上げつつ放電をより安定させることで、期間TBにおいて電力を低下させる際のちらつきを防止することが可能である。一方で、最大電力Wpの維持時間(期間TA)を長くするほど、構成部品の熱ストレスが増加する傾向にあるため、期間TAは5秒以下にするのが望ましい。
【0062】
(実施形態2)
本実施形態の放電灯点灯装置1は、周囲温度Taが温度Tth2(第1の温度)以上である場合、下限値Wla2を低減させることを特徴とする。
【0063】
図6の破線に示すように、実施形態1の放電灯点灯装置1では、周囲温度Taが変動しても下限値Wla2は26Wで一定であった。しかし、本実施形態の放電灯点灯装置1では、図6の実線に示すように、周囲温度Taが温度Tth2を上回ると、安定電力下限制限部55は下限値Wla2を低減させる。
【0064】
周囲温度Taが温度Tth2を上回ると、構成部品の発熱量が高くなり、比較的回路損失が高くなる。そこで、本実施形態では、下限値Wla2を低減させることで、回路部品の熱ストレスを抑制し、熱破壊を防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、周囲温度Taが温度Tth2を上回るにつれて、下限値Wla2を徐々に低減させている。それによって、放電灯Laの点灯を極力維持することができる。なお、下限値Wla2の低減によって放電灯Laに供給される安定電力が放電灯Laを点灯維持するのに必要な電力を下回り、放電灯Laが自然消灯して回路動作を停止するように構成してもよい。
【0066】
なお、本実施形態では、回路損失が高くなる電源電圧Vinが低い場合に限るものではない。
【0067】
また、周囲温度Taが温度Tth2以上である時間が、所定の時間ts1(第1の時間)以上である場合に、下限値Wla2を低減するように構成してもよい。例えば、時間ts1を10秒に設定し、周囲温度Taが温度Tth2を上回る時間が10秒以上である場合に、下限値Wla2を低減させる。それによって、周囲温度Taが温度Tth2を上回っても、放電灯Laの点灯を極力維持することが可能となる。なお、本実施形態では時間ts1=10秒と設定しているが、10秒に限定するものではない。
【0068】
なお、上記制御は、電源電圧Vinに関わらず行われ、例えば電力損失が大きくなる電源電圧Vinが低い場合に限定するものではない。
【0069】
(実施形態3)
本実施形態の放電灯点灯装置1は、周囲温度Taが温度Tth2よりも高い温度Tth3(第2の温度)以上である場合、放電灯Laへの電力供給を停止することを特徴とする。
【0070】
図7の破線に示すように、実施形態2の放電灯点灯装置1では、周囲温度Taが温度Tth2を上回るにつれて下限値Wla2を低減させることで、放電灯Laの点灯を極力維持していた。しかし、周囲温度Taが異常温度である温度Tth3を上回る場合でも、放電灯Laが自然消灯しなければ回路動作を継続していた。なお、異常温度とは、放電灯点灯装置1の動作温度の範囲外や部品の定格温度を大きく上回る温度を示しており、本実施形態では温度Tth3=160℃と設定している。
【0071】
本実施形態では、図7の実線に示すように、周囲温度Taが温度Tth3を上回ると、制御部5は、DC/DCコンバータ部2およびインバータ部3の回路動作を停止する。それによって、回路部品の熱ストレスによる熱破壊を防止することが可能となる。なお、本実施形態では、異常温度である温度Tth3=160℃と設定しているが、これに限定するものではなく、一般的に140〜160℃に設定される。
【0072】
また、周囲温度Taが温度Tth3以上である時間が、所定の時間ts2(第2の時間)以上である場合に、回路動作を停止し、放電灯Laへの電力供給を停止するように構成してもよい。例えば、時間ts2を10秒に設定し、周囲温度Taが温度Tth3を上回る時間が10秒以上である場合に、回路動作を停止して放電灯Laへの電力供給を停止する。それによって、周囲温度Taが温度Tth3を上回っても、放電灯Laの点灯を極力維持することが可能となる。なお、本実施形態では時間ts2=10秒と設定しているが、10秒に限定するものではない。
【0073】
なお、上記制御は、電源電圧Vinに関わらず行われ、例えば電力損失が大きくなる電源電圧Vinが低い場合に限定するものではない。
【0074】
(実施形態4)
本実施形態の放電灯点灯装置1は、周囲温度Taが異常温度である温度Tth3以上となり、放電灯Laへの電力供給を停止した後、周囲温度Taが温度Tth3より低い温度Tth4(第3の温度)以下に達した場合、放電灯Laへの電力供給を再開することを特徴とする。
【0075】
実施形態3の放電灯点灯装置1では、周囲温度Taが温度Tth3を上回り放電灯Laへの電力供給が停止した後、周囲温度Taが温度Tth3以下となっても放電灯Laへの電力供給が停止したままであり、放電灯Laが点灯しない。
【0076】
しかし、本実施形態の放電灯点灯装置1は、周囲温度Taが温度Tth3以上となって放電灯Laへの電力供給が停止した後、周囲温度Taが温度Tth3より低い温度Tth4以下に達した場合に、放電灯Laへの電力供給を再開し、放電灯Laを点灯させる。それによって、周囲温度Taが異常温度である温度Tth3以下である場合に、放電灯Laの点灯を極力維持することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、図8に示すように、温度Tth4が温度Tth3よりも低くなるように設定している。もしTth4=Tth3となるように設定した場合、放電灯Laが点灯と消灯とを繰り返すことにより、回路の自己温度上昇が増減を繰り返し、回路動作としては、回路停止と動作復帰とを繰り返すことになる。この放電灯点灯装置1を車両の前照灯に用いた場合、放電灯Laのチラツキやパッシングとして認識されるおそれがあり、これを防止するために、温度Tth4が温度Tth3よりも小さくなるように設定している。また、温度Tth4は一意に決まった温度であり、一般的に110〜130℃で設定されるが、これに限定するものではない。
【0078】
また、本実施形態では図8に示すように、温度Tth4は温度Tth2よりも低くなるように設定されているが、図9に示すように、温度Tth4は温度Tth2よりも高くなるように設定してもよい。それによって、下限値Wla2をより低くすることにより、回路部品の熱ストレスの熱破壊を防止することが可能となる。
【0079】
また、周囲温度Taが温度Tth4以下である時間が、所定の時間ts3(第3の時間)以上である場合に、放電灯Laへの電力供給を再開するように構成してもよい。例えば、時間ts3を10秒に設定し、周囲温度Taが温度Tth4以下である時間が10秒以上である場合に、放電灯Laへの電力供給を再開する。それによって、周囲温度Taが確実に温度Tth4を下回った場合に放電灯Laの電力供給を再開するので、回路部品の熱ストレスを抑制し、熱破壊を防止することが可能となる。なお、本実施形態では時間ts3=10秒に設定しているが、10秒に限定するものではない。
【0080】
なお、上記制御は、電源電圧Vinに関わらず行われ、例えば電力損失が大きくなる電源電圧Vinが低い場合に限定するものではない。
【0081】
(実施形態5)
本実施形態の車両の概略外観図を図10に示す。
【0082】
近年、自動車内の居住空間の極力確保や、燃費の改善のための軽量化により、エンジンルームは小スペース化の傾向にある。したがって、エンジンルーム内の温度がより高温になるのに加えて、放電灯点灯装置1は発熱量の大きいエンジンのより近傍に設定されることとなり、小型でより高温環境下でも放電灯Laを安定点灯可能な放電灯点灯装置1が求められている。
【0083】
図10は、実施形態1〜4のうちいずれかの放電灯点灯装置1と、この放電灯点灯装置1によって点灯される放電灯Laとで構成される前照灯11および、この前照灯11を備える車両12の概略外観図である。Lowビームスイッチ電源13から左右両側に設けられた放電灯点灯装置1に電源が供給されると、放電灯点灯装置1から放電灯Laに電力が供給され、放電灯Laが点灯する。
【0084】
前照灯11および車両12は、実施形態1〜4のうちいずれかの放電灯点灯装置1を用いている。それによって、電源電圧V1の低減時や周囲温度Taの高温時においても、熱ストレスを低減すると共に、放電灯Laの点灯維持性能を確保することができるので、安全性が向上する。
【符号の説明】
【0085】
1 放電灯点灯装置
2 DC/DCコンバータ部
3 インバータ部
4 イグナイタ部
5 制御部
6 電源電圧検出部
7 温度検出部
51 電力目標記憶部
52 安定電力制限部
53 電流目標演算部
54 誤差アンプ
55 安定電力下限制限部
E1 直流電源
La 放電灯




【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を入力として放電灯に電力を供給する放電灯点灯装置において、
放電灯に電力を供給する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御回路と、
周囲温度または自装置の温度を検出する温度検出部と、
前記直流電源の電圧を検出する電源電圧検出部とを備え、
前記制御回路は、
前記放電灯が始動した後の第1の期間において、前記放電灯に供給する電力を第1の電力から当該第1の電力より低い第2の電力に向かって、前記放電灯の温度の上昇に応じて低減させ、
前記第1の期間に連続する第2の期間において、前記放電灯に前記第2の電力を供給し、前記温度検出部の検出値の増加度合いおよび、前記電源電圧検出部の検出値の低減度合いに応じて前記第2の電力を低減させ、前記第2の電力に下限値を設けることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記第2の電力の低減量を上限値にすることで前記第2の電力は前記下限値となり、
前記制御回路は、前記第2の電力の低減量を、前記温度検出部の検出値を変数とする関数で求められる第1の低減量と、前記電源電圧検出部の検出値を変数とする関数で求められる第2の低減量との和で決定しており、前記第1の低減量の最大値と前記第2の低減量の最大値との和は、前記第2の電力の低減量の上限値よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第1の温度以上である場合、前記下限値を低減させることを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第1の温度以上である時間が、第1の時間以上である場合、前記下限値を低減させることを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第2の温度以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止することを特徴とする特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第2の温度以上である時間が、第2の時間以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止することを特徴とする請求項5記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が前記第2の温度以上となり、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を停止した後、
前記温度検出部の検出値が、前記第2の温度より低い第3の温度以下に達した場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を再開することを特徴とする請求項5または6記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が、前記第3の温度以下である時間が、第3の時間以上である場合、前記駆動回路から前記放電灯への電力供給を再開することを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記温度検出部の検出値が第1の温度以上である場合、前記下限値を低減させ、
前記第3の温度は、前記第1の温度以上であることを特徴とする請求項7または8記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
前記下限値は、少なくとも寿命期間内の前記放電灯が点灯維持可能な電力値以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、
前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備えることを特徴とする前照灯。
【請求項12】
請求項11記載の前照灯と、
前記前照灯が取り付けられる車体とを備えることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−37900(P2013−37900A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173129(P2011−173129)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】