説明

放電灯点灯装置および、これを用いた照明装置

【課題】放電灯の寿命末期の検出精度を向上させることができる放電灯点灯装置および、これを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】直流電源2と、入力電圧Vinを交流電圧に変換して出力するインバータ回路3と、放電灯Laに直列接続されたコンデンサC1を有する共振回路4と、インバータ回路3の動作を制御する制御回路5と、放電灯Laの寿命末期を検出する寿命末期検出回路54とを備え、寿命末期検出回路54は、コンデンサ電流I0が供給され、バイアス電流I1が流れる直流電流バイアス部54cおよび、検出電流I2に比例した検出電圧VEを生成する検出素子54dからなる検出部54aと、検出電圧VEと第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2とを比較することで寿命末期を検出する比較部54bとを有し、制御回路54は、比較部54bが寿命末期を検出した場合、インバータ回路3の出力を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置および、これを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、スイッチング素子の発振動作により放電灯に高周波電力を供給し、放電灯を効率よく点灯させるインバータ回路を備えたものが主流となっている。例えば、この種の放電灯点灯装置として、商用の交流電源の出力電圧を平滑および昇圧して得られる直流電圧を交流電圧に変換するハーフブリッジ形のインバータ回路と、このインバータ回路の出力段に接続され、インダクタおよびコンデンサを有する共振回路を備えている。そして、この共振回路の共振作用によって共振回路の出力段に接続された放電灯に高電圧を印加して放電灯を始動させると共に、点灯後の出力を所定の電力となるように制御して放電灯を点灯させている。
【0003】
また、放電灯の寿命末期において、一方のフィラメントに塗布されたエミッタが消耗して放電灯の口金部分が異常発熱することがある。これを防止するために、一方のフィラメントのエミッタが消耗して半波放電が発生した場合に、放電灯の両端間に生じる電圧の直流成分を検出する。そして、この検出電圧が所定の閾値を越えた場合にインバータ回路の動作を停止または出力を抑制する保護回路がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された保護回路は、放電灯に発生する電圧をフィルタ回路で直流成分を検出し、この検出電圧の大小によって放電灯が寿命末期であるか否かを判定する。この検出電圧の閾値となる判定電圧は、3〜52Vが良いとされている。
【0004】
次に、図8に示す回路構成図を用いて、放電灯の寿命末期検出機能を備えた放電灯点灯装置1Aについて説明する。
【0005】
この放電灯点灯装置1Aは、直流電源2とインバータ回路3と共振回路4と制御回路5とで構成されている。
【0006】
直流電源2は、直流の入力電圧Vinを生成し、インバータ回路3に出力する。
【0007】
インバータ回路3は、nチャネルMOSFETからなるスイッチング素子Q1,Q2を直列接続したハーフブリッジインバータで構成されており、直流電源2の出力端間に接続されている。スイッチング素子Q1は高圧側に接続され、スイッチング素子Q2は低圧側に接続されている。スイッチング素子Q1は、ゲートが抵抗R11を介して制御回路5の駆動回路51に接続され、スイッチング素子Q2は、ゲートが抵抗R12を介して駆動回路51に接続されている。そして、駆動回路51からスイッチング素子Q1,Q2に駆動信号が出力され、スイッチング素子Q1,Q2が交互にスイッチングすることによって、直流電源2が生成する入力電圧Vinを、例えば50〜100kHz程度の矩形波電圧(交流電圧)に変換して共振回路4に出力する。
【0008】
共振回路4は、直流カット用のコンデンサC1と、共振用のコンデンサC2と、インダクタL1とで構成されており、インバータ回路3の出力に接続されている。インダクタL1とコンデンサC2とコンデンサC1とは直列接続されており、インダクタL1の一端がスイッチングQ1,Q2の接続点に接続され、コンデンサC1の一端がスイッチングQ2のソースに接続されている。また、インダクタL1と共振コンデンサC2との間に放電灯Laのフィラメントf1が介挿され、コンデンサC2とコンデンサC1との間に放電灯Laのフィラメントf2が介挿されている。すなわち、コンデンサC2と並列に放電灯Laが接続され、放電灯La1と直列にコンデンサC1が接続されている。上記構成によって、フィラメントf1,f2を介してコンデンサC2に電流が流れることでフィラメントf1,f2が予熱されると共に、共振コンデンサC2の両端電圧が放電灯Laに印加される。
【0009】
制御回路5は、駆動回路51と周波数制御回路52とタイマー回路53とを備えており、図示しない制御電源から制御電圧を供給されることで駆動している。駆動回路51は、スイッチング素子Q1,Q2の各々に駆動信号を出力することで、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング制御を行っている。タイマー回路53は、駆動回路51が駆動信号を出力してからの経過時間を計測している。周波数制御回路52は、タイマー回路53が計測した経過時間に基づいて、駆動回路51が出力する駆動信号の周波数を制御することで、スイッチングQ1,Q2のスイッチング周波数を制御している。
【0010】
そして、制御回路5は、インバータ回路3の動作を開始してからの経過時間に応じてスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数を制御することで、放電灯Laのフィラメントf1,f2に十分な予熱を行う。その後、インダクタL1とコンデンサC2との共振作用によって放電灯Laが放電を開始するために必要な高電圧を印加し、放電灯Laが点灯した後、放電灯Laが所望の明るさとなるように、放電灯Laに流れる電流を制御している。
【0011】
スイッチング素子Q1,Q2の各々のオン時間が同じとなるようにスイッチングデューティを50%に設定し、コンデンサC1の容量をコンデンサC2の容量に比べて十分に大きくなるように設定する。それによって、コンデンサC1には直流電源2が生成する入力電圧Vinの1/2が印加される。また、上記で説明したように、放電灯Laの寿命末期において、放電灯Laが半波放電を始めると、放電灯Laの両端に発生する電圧の直流成分(以降、ランプ電圧Vlaと称す)がコンデンサC1に重畳される。したがって、コンデンサC1の両端電圧(以降、コンデンサ電圧Vc1と称す)は、このランプ電圧Vlaが重畳されて増減する。このコンデンサ電圧Vc1は、数1で求められる。
【0012】
【数1】

【0013】
すなわち、このコンデンサ電圧Vc1を検出することで、放電灯Laの寿命末期を検出することができる。制御回路5は、寿命末期検出回路540を備えており、コンデンサ電圧Vc1に基づいて放電灯Laの寿命末期を検出している。
【0014】
寿命末期検出回路540は、抵抗R3,R4と、コンパレータ541,542と、第1,第2の基準電圧生成部E1,E2と、OR論理素子543と、AND論理素子544とで構成されている。抵抗R3,R4は直列接続されており、コンデンサC1と並列に接続されている。抵抗R3は高圧側、抵抗R4は低圧側に接続されており、コンデンサ電圧Vc1を抵抗R3,R4で分圧した電圧(以降、検出電圧VEと称す)が、コンパレータ541の反転入力端子および、コンパレータ542の非反転入力端子に印加される。すなわち、コンデンサ電圧Vc1に比例した電流が抵抗R4に流れて、抵抗R4の両端に検出電圧VEが生成される。
【0015】
コンパレータ541の非反転入力端子には、第1の基準電圧生成部E1が接続されており、第1の基準電圧Vth1が印加される。また、コンパレータ542の反転入力端子には、第2の基準電圧生成部E2が接続されており、第2の基準電圧Vth2が印加される。そして、コンパレータ541,542の各出力端子は、OR論理素子543の各入力端子に接続されている。
【0016】
また、AND論理素子544は、一方の入力端子がOR論理素子543の出力端子に接続され、他方の入力端子がタイマー回路53の第1の出力端子531に接続される。
【0017】
停止回路55は、AND論理素子544の出力レベルを監視しており、AND論理素子544の出力レベルがハイになると、周波数制御回路52に停止信号を出力する。周波数制御回路52は停止信号を受信すると、駆動回路51がスイッチング素子Q1,Q2に出力する駆動信号をローレベルに固定することで、インバータ回路3の動作を停止する。
【0018】
上記のように構成された寿命末期検出回路540は、検出電圧VEを、第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2と比較する。2つの基準電圧を設定しているのは、放電灯Laの2つのフィラメントf1,f2のうち、どちらが磨耗するかによって半波放電の極性が反転するためである。フィラメントf1が磨耗するとランプ電圧Vlaは、図中の矢印に対して負方向に発生し、フィラメントf2が磨耗するとランプ電圧Vlaは、図中の矢印に対して正方向に発生する。すなわち、フィラメントf1が磨耗した場合はコンデンサ電圧Vc1が通常より高くなり、フィラメントf2が磨耗した場合はコンデンサ電圧Vc1が通常より低くなる。
【0019】
したがって、数2で求められる検出電圧VEが所定の範囲外となると、インバータ回路3の動作を停止できるように、抵抗R3,R4の抵抗値および、第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2を設定する必要がある。
【0020】
【数2】

【0021】
フィラメントf2が磨耗し、検出電圧VEが第1の基準電圧Vth1を下回ると、コンパレータ541の出力レベルがローからハイに反転する。また、フィラメントf1が磨耗し、検出電圧VEが第2の基準電圧Vth2を上回ると、コンパレータ542の出力レベルがローからハイに反転する。すなわち、2つのコンパレータ541,542のうち、どちらかの出力レベルがハイになると、OR論理素子543の出力レベルがハイとなる。そして、タイマー回路53の第1の出力端子531の出力レベルがハイの場合、AND論理素子544の出力レベルがハイとなる。それによって、停止回路55から周波数制御回路52に停止信号が出力され、インバータ回路3の動作が停止する。
【0022】
なお、点灯初期は放電灯Laの放電が安定していないため、半波放電が発生しやすく、寿命末期検出回路540が誤検出をするおそれがある。これを回避するために、タイマー回路53はインバータ回路3の動作開始から所定時間の間は、第1の出力端子531の出力レベルをローに固定して、AND論理素子544をマスクする。それによって、放電灯Laの点灯初期において、寿命検出回路54Aの検出動作が停止し、誤検出を防止することができる。
【0023】
なお、寿命末期検出の感度は、照明装置の形態や放電灯Laの種類によって異なるが、ランプ電圧Vlaが±20V前後となった場合に、インバータ回路3の動作を停止するように設計されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平8−45687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかし、通常よく使用される一般照明用の放電灯点灯装置などでは、インバータ回路3に供給される入力電圧Vinを400V程度の高電圧で設計するのが一般的である。この場合、通常時におけるコンデンサ電圧Vc1が200Vとなる。そして、放電灯Laの寿命末期を検出するためには、コンデンサ電圧Vc1の±20Vの電圧変動を検出する必要がある。すなわち、コンデンサ電圧Vc1の±10%の電圧変動を検出できるように寿命末期検出回路540の検出精度を向上させる必要がある。
【0026】
例えば、抵抗R3の抵抗値を1360kΩ、抵抗R4の抵抗値を24kΩに設定した場合、通常時における検出電圧VE=3.55Vとなる。そして、コンデンサ電圧Vc1の±20Vの電圧変動を検出するためには、第1の基準電圧Vth=3.21V、第2の基準電圧Vth2=3.90Vに設定すればよい。
【0027】
しかし、この場合、第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の差は約0.7Vであるため、抵抗R3,R4の抵抗公差や第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2のばらつきがあるため、放電灯Laの寿命末期の検出精度を向上させるのが困難であった。
【0028】
抵抗R3,R4の分圧比を大きくすれば第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の差を大きくすることができるが、検出電圧VEの絶対値も大きくなる。そのため、コンパレータ541,542の動作電圧も検出電圧VEより大きくなるように設定する必要があり、消費電力が増大するという課題がある。
【0029】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電灯の寿命末期の検出精度を向上させることができる放電灯点灯装置および、これを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の放電灯点灯装置は、直流電圧を出力する直流電源と、前記直流電源が出力する前記直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力に接続され、放電灯に直列接続されたコンデンサを有する共振回路と、前記インバータ回路の動作を制御する制御回路と、前記コンデンサの両端に発生するコンデンサ電圧を検出し、当該コンデンサ電圧に基づいて前記放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出回路とを備え、前記寿命末期検出回路は、前記コンデンサ電圧に応じた第1の電流が供給され、前記第1の電流を分流した第2の電流が流れる直流電流バイアス手段および、前記第1の電流から前記第2の電流を引いた第3の電流が流れ、当該第3の電流に応じた検出電圧を生成する検出素子からなる検出部と、前記検出素子が生成する前記検出電圧と所定の基準電圧とを比較することで前記放電灯の寿命末期を検出する比較部とを有し、前記制御回路は、前記比較部が前記放電灯の寿命末期を検出した場合、前記インバータ回路の出力を低減させることを特徴とする。
【0031】
この放電灯点灯装置において、前記比較部は、第1の基準電圧を生成する第1の基準電圧生成部と、当該第1の基準電圧よりも高い第2の基準電圧を生成する第2の基準電圧生成部とを有し、前記検出素子が生成する前記検出電圧が、前記第1の基準電圧よりも低い場合または、前記第2の基準電圧よりも高い場合、前記放電灯が寿命末期であることを検出し、前記制御回路は、前記インバータ回路の動作を開始した後に、前記寿命末期検出回路が前記放電灯が寿命末期であることを検出した場合、前記インバータ回路の出力を低減させることが好ましい。
【0032】
この放電灯点灯装置において、前記直流電源の出力に接続され、前記放電灯のフィラメントを介して前記コンデンサに直流電流を供給する直流電流供給部と、前記直流電流バイアス手段に流れる前記第2の電流を制御する電流制御部と、前記コンデンサ電圧に基づいて前記放電灯の装着有無を検出する負荷装着検出回路とを備え、前記制御回路が前記インバータ回路の動作を開始する前において、前記電流制御部は前記第2の電流を低減させ、前記負荷装着検出回路は前記検出素子が生成する前記検出電圧と第3の基準電圧とを比較し、前記検出電圧が前記第3の基準電圧以上である場合、前記放電灯が装着されていることを検出し、前記制御回路は、前記装着検出回路が前記放電灯が装着されていることを検出した場合、前記インバータ回路の動作を開始し、前記電流制御部は前記第2の電流を増加させることが好ましい。
【0033】
この放電灯点灯装置において、前記第3の基準電圧は、前記第1の基準電圧生成部が生成する前記第1の基準電圧であることが好ましい。
【0034】
この放電灯点灯装置において、前記制御回路と、前記寿命末期検出回路と、前記電流制御部と、前記装着検出回路とを1つの集積回路で構成することが好ましい。
【0035】
この放電灯点灯装置において、前記寿命末期検出回路は、前記インバータ回路が動作を開始してから所定時間経過後に、前記放電灯の寿命末期の検出を開始することが好ましい。
【0036】
本発明の照明装置は、直流電圧を出力する直流電源と、前記直流電源が出力する前記直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力に接続され、放電灯に直列接続されたコンデンサを有する共振回路と、前記インバータ回路の動作を制御する制御回路と、前記コンデンサの両端に発生するコンデンサ電圧を検出し、当該コンデンサ電圧に基づいて前記放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出回路とを備え、前記寿命末期検出回路は、前記コンデンサ電圧に応じた第1の電流が供給され、前記第1の電流を分流した第2の電流が流れる直流電流バイアス手段および、前記第1の電流から前記第2の電流を引いた第3の電流が流れ、当該第3の電流に応じた検出電圧を生成する検出素子からなる検出部と、前記検出素子が生成する前記検出電圧と所定の基準電圧とを比較することで前記放電灯の寿命末期を検出する比較部とを有し、前記制御回路は、前記比較部が前記放電灯の寿命末期を検出した場合、前記インバータ回路の出力を低減させる放電灯点灯装置と、前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯と、前記放電灯点灯装置を収納し、前記放電灯が装着される装置本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明では、放電灯の寿命末期の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態1の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図2】実施形態2の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図3】同上のタイミングチャートを示す図である。
【図4】同上のタイミングチャートを示す図である。
【図5】実施形態3の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図6】同上のタイミングチャートを示す図である。
【図7】実施形態4の照明装置の外観図である。
【図8】従来の放電灯点灯装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
(実施形態1)
本願発明の実施形態1の放電灯点灯装置1の回路構成図を図1に示す。なお、図8に示した従来の放電灯点灯装置1Aと同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0041】
本実施形態の寿命末期検出回路54は、検出部54aと比較部54bとで構成されている。検出部54aは、直流電流源545からなる直流電流バイアス部54c(直流電流バイアス手段)と、抵抗R4からなる検出素子54dと、抵抗R3とで構成されており、直流電流源545は抵抗R4に対して並列に接続されている。比較部54bは、コンパレータ541,542とOR論理素子543とAND論理素子544と第1,第2の基準電圧生成部E1,E2とで構成されている。
【0042】
電源が投入され直流電源2が入力電圧Vinを生成し、インバータ回路3の動作が開始して放電灯Laの点灯が開始されると、コンデンサC1にコンデンサ電圧Vc1が生成される(数1参照)。そして、生成されたコンデンサ電圧Vc1に比例したコンデンサ電流I0(第1の電流)が、コンデンサC1から検出部54aに供給される。
【0043】
直流電流源545は、抵抗R3を介して流れるコンデンサ電流I0を分流し、抵抗R3,R4の接続点からグランド方向(図中の矢印方向)に向かって所定のバイアス電流I1(第2の電流)を流す。したがって、抵抗R4にはコンデンサ電流I0からバイアス電流I1を引いた検出電流I2(第3の電流)が流れ、この検出電流I2に比例した検出電圧VEが抵抗R4の両端に発生する。
【0044】
このように、本実施形態では、直流電流源545を用いることによって、検出電圧VEを一定の電圧分だけ差し引くことができ、検出電圧VEを低くすることができる。この場合の検出電圧VEは、数3で求められる。
【0045】
【数3】

【0046】
数2,数3を比較すると、ランプ電圧Vlaの変化に対する検出電圧VEの変動は、傾きが−R4/(R3+R4)と同じであるが、検出電圧VEをR3×R4/(R3+R4)×I1で決まる電圧降下分だけ低く設定することができる。それによって、制御回路5に供給される制御電圧(コンパレータ541,542の動作電圧)を抑制することができる。
【0047】
また、入力電圧Vinが410Vである場合、直流電流源545のバイアス電流I1を100μA、抵抗R3の抵抗値を1360kΩ、抵抗R4の抵抗値を62kΩに設定する。すると、コンデンサ電圧Vc1の±20Vの変動に対する第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2はそれぞれ2.14V,3.88Vとなる。すなわち、第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の差が1.74Vとなり、従来(約0.7V)の2.5倍に設定することができる。したがって、寿命末期検出回路54による放電灯Laの寿命末期の検出精度を向上させることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、直流電源2を入力電源に用いているが、これに限定するものではない。例えば、商用電源を全波整流して平滑した略一定の直流電圧を供給することができる電源であってもよい。または、昇圧チョッパー回路等によって、完全平滑したDC/DCコンバータの構成であっても同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、寿命末期検出回路54が放電灯Laが寿命末期状態であることを検出した場合、インバータ回路3の動作を停止しているが、インバータ回路3の出力を抑制するように構成してもよい。
【0050】
(実施形態2)
本願発明の実施形態2の放電灯点灯装置1の回路構成図を図2に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0051】
本実施形態の共振回路4は、チョークコイルL2とコンデンサC1,C2,C5とで構成されている。インバータ回路3の出力端間に、直流カット用のコンデンサC5と、チョークコイルL2の一次巻線n1と、共振用のコンデンサC2とが直列接続されている。そして、インバータ回路3から出力される矩形波電圧は、コンデンサC5で直流成分がカットされ、チョークコイルL2とコンデンサC2の共振作用によって正負対称の正弦波状の電圧がコンデンサC2の両端間に発生する。
【0052】
また、コンデンサC2の並列に、放電灯Laと直流カット用のコンデンサC1とからなる直列回路が接続されている。そして、コンデンサC2の両端電圧が放電灯Laに印加されることで放電灯Laが点灯する。また、コンデンサC1の両端間には、実施形態1と同様に、放電灯Laの寿命末期時において半波放電状態になったときに発生するランプ電圧Vlaがコンデンサ電圧Vc1に重畳される。
【0053】
また、チョークコイルL2には第1,第2の二次巻線n2a,n2bが設けられている。第1の二次巻線n2aの両端間には、コンデンサC3とフィラメントf1とからなる直列回路が接続され、第2の二次巻線n2bの両端間には、コンデンサC4とフィラメントf2とからなる直列回路が接続されている。そして、放電灯Laの始動時には、第1,第2の二次巻線n2a,n2bから、フィラメントf1,f2に予熱電流を供給することで、フィラメントf1,f2の予熱を行う。
【0054】
なお、本実施形態では、直流カット用のコンデンサとしてコンデンサC1,C5とを別個に構成しているが、実施形態1のように、コンデンサC1のみで構成してもよい。また、共振用のコンデンサC2の接続位置も、実施形態1と同様に放電灯Laのフィラメントf1,f2を介して接続されていてもよい。なお、共振回路4の構成は、上記に限定するものではなく、他の構成であってもよい。
【0055】
本実施形態の放電灯点灯装置1は、放電灯Laの装着有無を検出する負荷装着検出回路56を制御回路5に備えている。また、直流電源2とコンデンサC1との間に、直流電流供給部6が介挿されている。直流電流供給部6は、抵抗R1,R2,チョークコイルL2,フィラメントf1,f2で構成されており、直流電源2から抵抗R1,チョークコイルL2の一次巻線,フィラメントf1,抵抗R2,フィラメントf2の順に直列接続されている。したがって、直流電源2が入力電圧Vinを生成すると、直流電流供給部6を介してコンデンサC1に直流電圧が供給されることで、コンデンサC1が充電される。
【0056】
そして、直流電源2が入力電圧Vinを生成してからインバータ回路3の動作が開始するまで間において、負荷装着検出回路56はコンデンサ電圧Vc1に基づいて、放電灯Laの装着有無を検出する。放電灯Laが接続されている場合、フィラメントf1,f2の抵抗値は小さいので、直流電源2が生成する入力電圧Vinを、抵抗R1,R2と抵抗R3,R4とで分圧した電圧がコンデンサC1に印加される。しかし、放電灯Laが未装着の場合、フィラメントf1,f2がないので、直流電流供給部6の経路が遮断され、コンデンサC1に直流電圧が印加されない。したがって、負荷装着検出回路56は、放電灯Laの装着・未装着時のコンデンサ電圧Vc1の差に基づいて、入力電圧Vinが生成されてからインバータ回路3の動作が開始する間に放電灯Laが装着されているか否かを判断することができる。
【0057】
本実施形態の負荷装着検出回路56は、コンパレータ561と、AND論理素子562と、基準電圧生成部E3と、反転論理素子563,564とで構成されている。
【0058】
コンパレータ561の非反転入力端子には、基準電圧生成部E3が接続され、第3の基準電圧Vth3が印加され、反転入力端子には、抵抗R3,R4の接続点が接続され、コンデンサ電圧Vc1を分圧した検出電圧VEが印加される。このときの検出電圧VEは数4で求められる。
【0059】
【数4】

【0060】
AND論理素子562は、一方の入力端子がコンパレータ561の出力端子に接続され、他方の入力端子が、反転論理素子563を介してタイマー回路53の第2の出力端子532に接続されている。また、AND論理素子562の出力端子は、停止回路55およし、反転論理素子564を介して電流制御部57に接続されている。なお、本実施形態の停止回路55は、寿命末期検出回路54のAND論理素子544の出力レベルおよび、負荷装着検出回路56のAND論理素子562の出力レベルを監視している。そして、停止回路55は、AND論理素子544,562のうちいずれか一方でも出力レベルがハイになると、停止信号を周波数制御回路52に出力してインバータ回路3の動作が停止する。
【0061】
また、本実施形態の制御回路5は、直流電流源545の動作を制御する電流制御部57を備えている。電流制御部57は、AND論理素子571とスイッチ572とで構成されている。AND論理素子571は、一方の入力端子が反転論理素子564を介してAND論理素子562の出力端子に接続され、他方の入力端子がタイマー回路53の第3の出力端子533に接続され、出力端子がスイッチ572の制御端子に接続されている。スイッチ572は、一端が直流電流源545に接続され、他端がグランドに接続されている。そして、スイッチ572は、AND論理素子571の出力レベルがハイになるとオンして直流電流源545とグランドとを短絡させ、AND論理素子571の出力レベルがローになるとオフして直流電流源545とグランドとを遮断する。すなわち、スイッチ572がオン・オフすることで、直流電流源545の動作をオン・オフすることができる。
【0062】
本実施形態のタイマー回路53は、寿命末期検出回路54,負荷装着検出回路56,電流制御部57の各々に接続されており、放電灯Laの寿命末期検出機能,放電灯Laの装着有無検出機能,直流電流源545の動作を強制的にオフすることができる。タイマー回路53は、寿命末期検出回路54のAND論理素子544に接続された第1の出力端子531の出力レベルをローに固定してマスクすることで、寿命末期検出機能をオフすることができる。また、タイマー回路53は、負荷装着検出回路56のAND論理素子562に反転論理素子563を介して接続された第2の出力端子532の出力レベルをハイ(AND論理素子562の入力レベルはロー)に固定してマスクすることで、放電灯Laの装着有無の検出機能をオフすることができる。また、タイマー回路53は、電流制御部57のAND論理素子571に接続された第3の出力端子533の出力レベルをローに固定してマスクすることで、直流電流源545をオフすることができる。
【0063】
そして、負荷装着検出回路56のコンパレータ561は、検出電圧VEと第3の基準電圧Vth3とを比較する。検出電圧VEが第3の基準電圧Vth3を下回る場合、コンパレータ561の出力レベルはハイとなり、検出電圧VEが第3の基準電圧Vth3を上回る場合、コンパレータ561の出力レベルはローとなる。放電灯Laが装着されている場合、直流電源2からコンデンサC1に直流電圧が印加されて検出電圧VEが発生するが、放電灯Laが未装着の場合、直流電源2とコンデンサC1とが遮断されるので、検出電圧VEが発生しない。すなわち、コンパレータ561の出力レベルは、放電灯Laが装着されている場合にローとなり、放電灯Laが未装着の場合にハイとなる。
【0064】
また、放電灯Laの装着有無の検出時において、直流電流源545が動作している場合、少なくともバイアス電流I1以上の電流が直流電流供給部6に流れるように設定しなければ放電灯Laの装着有無を正確に検出することができなくなる。また、直流電流供給部6に流れる電流を大きくすると、抵抗R1,R2,R3による消費電力が大きくなってしまう。
【0065】
そこで、本実施形態では、入力電圧Vinが生成されてからインバータ回路3の動作が開始するまでの間(放電灯Laの装着有無検出時)は、タイマー回路53が直流電流源545の動作をオフする。それによって、放電灯Laの装着有無を正確に検出することができる。そして、放電灯Laが装着されていることが検出され、インバータ回路3の動作が開始した後、タイマー回路53が直流電流源545の動作をオンして、放電灯Laの寿命末期の検出を行う。
【0066】
次に、図3(a)〜(j)に示すタイミングチャートを用いて、本実施形態の放電灯点灯装置1の動作について説明する。図3(a)は、検出電圧VEを示している。図3(b)は、AND論理素子571の出力レベルS1を示している。図3(c)は、AND論理素子562における、タイマー回路53の第2の出力端子532に接続された入力端子の入力レベルS2を示している。図3(d)は、コンパレータ561の出力レベルS3を示している。図3(e)は、AND論理素子562の出力レベルS4を示している。図3(f)は、AND論理素子544における、タイマー回路53の第1の出力端子531に接続された入力端子の入力レベルS5を示している。図3(g)は、コンパレータ541の出力レベルS6を示している。図3(h)は、コンパレータ542の出力レベルS7を示している。図3(i)は、AND論理素子544の出力レベルS8を示している。
図3(j)は、駆動回路51が出力する駆動信号S9を示している。
【0067】
まず、時間t0において、電源が投入され直流電源2が入力電圧Vinを生成すると、直流電源2から直流電流供給部6を介してコンデンサC1が充電され、検出電圧VEが発生する。このときの検出電圧VEは、上記で説明したように数4で求められる。
【0068】
そして、時間t1において、検出電圧VEが第3の基準電圧Vth3を上回り、負荷装着検出回路56は放電灯Laが装着されていることを検出する。そして、コンパレータ561の出力レベルS3がハイからローとなり、AND論理素子562の出力レベルS4もハイからローとなる。それによって、停止回路55が周波数制御回路52の動作停止を解除して、インバータ回路3の動作が開始する。このとき、周波数制御回路52とタイマー回路53とは、放電灯Laのフィラメントf1,f2が放電を開始するための最適な予熱状態となるように、インバータ回路3の発振周波数と予熱期間T1を設定する。
【0069】
タイマー回路53は、インバータ回路3の動作開始からの時間を計測し、所定時間後(時間t2)に、第2の出力端子532の出力レベルを反転し、AND論理素子562の入力レベルS2をハイからローにする。それによって、負荷装着検出回路56の放電灯Laの装着有無の検出機能が停止する。
【0070】
そして、時間t3において、タイマー回路53は、第3の出力端子533の出力レベルを反転し、AND論理素子571の出力レベルS1をローからハイにして、スイッチ572をオンする。なお、スイッチ572をオンしたり、放電灯Laが点灯すると検出電圧VEが大きく変動して、第3の基準電圧Vth3を下回る可能性があるため、これよりも前に負荷装着検出回路56の動作を停止しておく必要がある。それによって、負荷装着検出回路56の誤検出を防止することができる。
【0071】
予熱期間T1が経過した時間t4において、周波数制御回路52は、インバータ回路3の発振周波数を変動させて、放電灯Laを始動させる。周波数制御回路52は、インバータ回路3の発振周波数を、共振回路4のチョークコイルL2のインダクタンスと共振用のコンデンサC2の容量とで決定される固有振動周波数に近づけることで、放電灯Laに高電圧を印加して放電を開始させる。なお、放電が安定した後の検出電圧VEが第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の間となるように、予め抵抗R3,R4の抵抗値および直流電流減545の電流I1を設定しておく。
【0072】
また、タイマー回路53は放電灯Laが始動してからの時間を計測しており、始動期間T2が経過した時間t5において、放電灯Laが所定の明るさとなるように、周波数制御回路52はインバータ回路3の発振周波数を変動させる。また、タイマー回路53は、第1の出力端子531の出力レベル(AND論理素子544の入力レベルS5)を反転させることで、寿命末期検出回路54の寿命末期検出機能を開始させる。
【0073】
そして、所定の点灯時間T3が経過した時間t6において、放電灯Laが寿命末期状態となる。図3(a)には、放電灯Laのフィラメントf1が消耗して、負方向のランプ電圧Vlaが発生した場合の検出電圧VEを示している。このときの検出電圧VEは、数5で求められる。
【0074】
【数5】

【0075】
フィラメントf1が消耗して負方向にランプ電圧Vlaが発生し、検出電圧VEが第2の基準電圧Vth2を上回ると、コンパレータ542の出力レベルS7がローからハイとなる。それによって、AND論理素子の出力レベルがローからハイとなるので、停止回路55が周波数制御回路52に停止信号を出力し、インバータ回路3の動作が停止する。
【0076】
また、図4(a)〜(j)には、放電灯Laのフィラメントf2が消耗した場合のタイミングチャートを示す。なお、図4(a)〜(j)の各対象は、図3(a)〜(j)の各々と同一である。また、時間t0〜t5までの動作は、図3(a)〜(j)と同一であるので、説明は省略する。
【0077】
時間t6において、放電灯Laのフィラメントf2が消耗して寿命末期状態となる。放電灯Laのフィラメントf2が消耗しているため、正方向のランプ電圧Vlaが発生し、検出電圧VEが第1の基準電圧Vth1を下回るとコンパレータ541の出力レベルS6がローからハイとなる。それによって、AND論理素子544の出力レベルがローからハイとなるので、停止回路55が周波数制御回路52に停止信号を出力し、インバータ回路3の動作が停止する。
【0078】
本実施形態では、入力電圧Vinを410V、抵抗R1を2040kΩ、抵抗R2を1880kΩ、抵抗R3を1680kΩ、抵抗R4を150kΩ、直流電流源545のバイアス電流I1を87μAに設定している。また、コンデンサ電圧Vc1の±20Vの変動を検出できるように第1の基準電圧Vth1を2.57V、第2の基準電圧Vth2を4.12Vに設定している。したがって、第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の差を約1.5Vと従来よりも大きくすることができ、放電灯Laの寿命末期の検出精度を向上させることができる。また、本実施形態も実施形態1と同様に、寿命末期検出時の検出電圧VEが抑制されるので、消費電力を低減させることができる。
【0079】
また、負荷装着検出回路56の放電灯La装着有無検出時において放電灯Laが装着されている場合、検出電圧VE(数4参照)は10.43Vとなり、これよりも低い値に第3の基準電圧Vth3を設定することで、放電灯Laの装着有無を検出することができる。そして、放電灯Laが未装着の場合にはインバータ回路3が動作しないように構成されている。そのため、放電灯Laが装着されていない状態では、放電灯Laのソケットに高電圧が印加されない。したがって、安全性の確保や放電灯点灯装置1の破損を防止することができ、放電灯Laの交換時などにおいて、ユーザーが安全に作業を行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態では電流制御部57を用いて放電灯Laの装着有無検出時には直流電流源545をオフしているが、これに限定するものではない。例えば、直流電流源545のバイアス電流I1を2段階に設定し、放電灯Laの装着有無検出時にはバイアス電流I1を低く設定することでも同様の効果を得ることができる。
【0081】
(実施形態3)
本実施形態の放電灯点灯装置1の回路構成図を図5に示す。本実施形態では、実施形態2で説明した負荷装着検出回路56の放電灯Laの装着有無検出機能を、寿命末期検出回路54が兼用している。なお、実施形態2と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
本実施形態の寿命末期検出回路54は、実施形態2の構成に加えて、AND論理素子562と反転論理素子563,564を備えている。したがって、本実施形態の比較部54bは、コンパレータ541,542とOR論理素子543とAND論理素子544,563と反転論理素子563,564と第1,第2の基準電圧生成部E1,E2とで構成されている。AND論理素子562は、コンパレータ542とOR論理素子543との間に介挿されている。AND論理素子562は、一方の入力端子がコンパレータ542の出力端子に接続され、他方の入力端子が反転論理素子563を介してタイマー回路53の第2の出力端子532に接続され、出力端子がOR論理素子543の入力端子に接続されている。
【0083】
また、コンパレータ541の出力端子は、OR論理素子543および、反転論理素子564を介して電流制御部57のAND論理素子571の一方の入力端子に接続されている。また、AND論理素子571の他方の入力端子は、タイマー回路53の第3の出力端子533に接続されている。
【0084】
図6(a)〜(h)に示すタイミングチャートを用いて、本実施形態の放電灯点灯装置1の動作について説明する。図6(a)は、検出電圧VEを示している。図6(b)は、AND論理素子571の出力レベルS1を示している。図6(c)は、AND論理素子544における、タイマー回路53の第1の出力端子531に接続された入力端子の入力レベルS5を示している。図6(d)は、AND論理素子562における、タイマー回路53の第2の出力端子532に接続された入力端子の入力レベルS2を示している。図6(e)は、コンパレータ541の出力レベルS6を示している。図6(f)は、コンパレータ542の出力レベルS7を示している。図6(g)は、AND論理素子544の出力レベルS8を示している。図6(h)は、駆動回路51が出力する駆動信号S9を示している。
【0085】
まず、時間t10において、電源が投入され直流電源2が入力電圧Vinを生成すると、直流電源2から直流電流供給部6を介してコンデンサC1が充電され、検出電圧VEが発生する。このときの検出電圧VEは、実施形態2で説明したように数4で求められる。
【0086】
そして、時間t11において、検出電圧VEが第1の基準電圧Vth1を上回り、放電灯Laが装着されていることを検出する。そして、コンパレータ541の出力レベルS6がハイからローとなり、AND論理素子544の出力レベルS8もハイからローとなる。それによって、停止回路55が周波数制御回路52の動作停止を解除して、インバータ回路3の動作が開始する。このとき、周波数制御回路52とタイマー回路53とは、放電灯Laのフィラメントf1,f2が放電を開始するために最適な予熱状態となるように、インバータ回路3の発振周波数と予熱期間T1を設定する。
【0087】
タイマー回路53は、インバータ回路3の動作開始からの時間を計測し、所定時間後(時間t12)に、第1の出力端子531の出力レベルを反転し、AND論理素子544の入力レベルS5をローにする。それによって、放電灯Laの装着有無の検出動作が停止する。
【0088】
そして、時間t13において、タイマー回路53は、第3の出力端子533の出力レベルを反転し、AND論理素子571の出力レベルS1をローからハイにして、スイッチ572をオンする。なお、スイッチ572をオンしたり、放電灯Laが点灯すると検出電圧VEが大きく変動して、第1の基準電圧Vth1を下回る可能性があるため、これよりも前に放電灯Laの装着有無の検出動作を停止しておく必要がある。
【0089】
予熱期間T1が経過した時間t14において、周波数制御回路52は、インバータ回路3の発振周波数を変動させて、放電灯Laを始動させる。周波数制御回路52は、インバータ回路3の発振周波数を、共振回路4のチョークコイルL2のインダクタンスと共振用のコンデンサC2の容量とで決定される固有振動周波数に近づけることで、放電灯Laに高電圧を印加して放電を開始させる。なお、放電が安定した後の検出電圧VEが第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2の間となるように、予め抵抗R3,R4の抵抗値および直流電流減545の電流I1を設定しておく。
【0090】
そして、タイマー回路53は放電灯Laが始動してからの時間を計測しており、始動期間T2が経過した時間t15において、放電灯Laが所定の明るさとなるように、周波数制御回路52はインバータ回路3の発振周波数を変動させる。また、タイマー回路53は、第1の出力端子531の出力レベル(AND論理素子544の入力レベルS5)および、第2の出力端子532の出力レベル(AND論理素子562の入力レベルS2)を反転させることで、寿命末期検出回路54の寿命末期検出機能を開始させる。
【0091】
そして、所定の点灯時間T3が経過した時間t16において、放電灯Laが寿命末期状態となる。図6(a)には、放電灯Laのフィラメントf1が消耗して、負方向のランプ電圧Vlaが発生した場合の検出電圧VEを示している。このときの検出電圧VEは、実施形態2と同様の数5で求められる。
【0092】
フィラメントf1が消耗して負方向にランプ電圧Vlaが発生し、検出電圧VEが第2の基準電圧Vth2を上回るとコンパレータ542の出力レベルS7がローからハイとなる。それによって、AND論理素子544の出力レベルがローからハイとなるので、停止回路55が周波数制御回路52に停止信号を出力し、インバータ回路3の動作が停止する。
【0093】
このように、本実施形態では、実施形態2の構成からコンパレータ561を削除しても、実施形態2と同様に放電灯Laの装着有無を検出が可能となる。本実施形態のAND論理素子562は、実施形態2と同様に、負方向のランプ電圧Vlaが発生した場合における放電灯Laの寿命末期検出にのみ使用するため、点灯期間T3が開始する時間t15以降にAND論理素子562のマスクを解除している。一方、AND論理素子544は、放電灯Laの装着有無の検出にも使用するため、電源投入(時間t10)から所定時間経過した時間t12まで間もマスクを解除している。
【0094】
すなわち、上記のように構成することによって、放電灯Laの寿命検出機能および、放電灯Laの装着有無の検出機能を簡易な構成で実現することができる。したがって、実施形態2と同様に、消費電力を低減させ、放電灯Laの寿命末期の検出精度を向上させることができる。さらに、放電灯Laの装着有無を検出することができるので、安全性を確保することができる。
【0095】
また、駆動回路51,周波数制御回路52,タイマー回路53,寿命末期検出回路54,停止回路55を備えた制御回路5を、1つの集積回路で構成することで、放電灯点灯装置1を小型化することができる。
【0096】
なお、直流電源2は、商用電源を全波整流した整流電圧を410Vの入力電圧Vinに昇圧する昇圧チョッパー回路で構成されていてもよい。この場合、インバータ回路3が停止した状態で放電灯Laの装着有無を検出する際には、昇圧チョッパー回路も停止しておく方が全波整流した整流電圧を昇圧することなく、そのまま出力することができる。そのため、インバータ回路3に印加される電圧を低く抑えることができ、より安全に使用することができる。
【0097】
また、日本では商用の電源電圧には、主として100V,200V,242Vの3種類の電源がある。これらの全ての電源に対応するには、入力電圧Vinが141Vから342Vまで大きく変動することになり、放電灯Laの装着有無の検出時における検出電圧VEも大幅に変動することになる。しかし、本実施形態では、放電灯Laの寿命末期検出に用いる第1,第2の基準電圧Vth1,Vth2のうち、低いほうの第1の基準電圧Vth1を用いて放電灯Laの装着有無の検出に用いている。そのため、より低い電源電圧に対しても確実に放電灯Laの装着有無を検出することができる。
【0098】
例えば、本実施形態に構成において、抵抗R1を2040kΩ、抵抗R2を1880kΩ、抵抗R3を1680kΩ、抵抗R4を150kΩ、直流電流源545のバイアス電流I1を87μAに設定したとする。この場合、放電灯Laの装着有無検出時の検出電圧VEは第1の基準電圧Vth1と同じ2.57Vとなるが、この電圧は昇圧チョッパー回路が停止した状態で商用電源が70Vまで低下したときの検出電圧VEと略同じ電圧である。そのため、通常の100Vの商用電源であれば、電源電圧が多少変動した場合においても、放電灯Laが未装着と誤って判定することなく、確実に放電灯Laの装着有無を検出することができる。
【0099】
(実施形態4)
本実施形態の照明装置10の外観図を図7に示す。
【0100】
本実施形態の照明装置10は、実施形態1乃至3のいずれか1つの放電灯点灯装置1と、放電灯Laと、装置本体11とで構成されている。
【0101】
装置本体11は、略矩形箱状に形成され、内部に放電灯点灯装置1を収納している。また、装置本体11の長手方向両側に、一対のソケット12が設けられており、このソケット12に直管型の放電灯Laが装着されている。そして、放電灯点灯装置1からソケット12を介して放電灯Laに電力が供給されて、放電灯Laが点灯する。
【0102】
本実施形態の照明装置10は、実施形態1乃至3のいずれか1つの放電灯点灯装置1を備えているため、消費電力を抑制し、かつ放電灯Laの寿命末期を精度よく検出することができる。
【0103】
また、本実施形態の照明装置10は、放電灯Laを取り外して交換可能に構成されている。そこで、実施形態2または3の放電灯点灯装置1を用いることによって、放電灯Laが装着されていない状態では、インバータ回路3が停止しているので、安全に放電灯Laを交換することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 放電灯点灯装置
2 直流電源
3 インバータ回路
4 共振回路
5 制御回路
54 寿命末期検出回路
54a 検出部
54b 比較部
54c 直流電流バイアス部(直流電流バイアス手段)
54d 検出素子
55 停止回路
545 直流電流源
C1,C2 コンデンサ
La 放電灯
R3,R4 抵抗
E1,E2 第1,第2の基準電圧生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を出力する直流電源と、
前記直流電源が出力する前記直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力に接続され、放電灯に直列接続されたコンデンサを有する共振回路と、
前記インバータ回路の動作を制御する制御回路と、
前記コンデンサの両端に発生するコンデンサ電圧を検出し、当該コンデンサ電圧に基づいて前記放電灯の寿命末期を検出する寿命末期検出回路とを備え、
前記寿命末期検出回路は、前記コンデンサ電圧に応じた第1の電流が供給され、前記第1の電流を分流した第2の電流が流れる直流電流バイアス手段および、前記第1の電流から前記第2の電流を引いた第3の電流が流れ、当該第3の電流に応じた検出電圧を生成する検出素子からなる検出部と、前記検出素子が生成する前記検出電圧と所定の基準電圧とを比較することで前記放電灯の寿命末期を検出する比較部とを有し、
前記制御回路は、前記比較部が前記放電灯の寿命末期を検出した場合、前記インバータ回路の出力を低減させることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記比較部は、第1の基準電圧を生成する第1の基準電圧生成部と、当該第1の基準電圧よりも高い第2の基準電圧を生成する第2の基準電圧生成部とを有し、前記検出素子が生成する前記検出電圧が、前記第1の基準電圧よりも低い場合または、前記第2の基準電圧よりも高い場合、前記放電灯が寿命末期であることを検出し、
前記制御回路は、前記インバータ回路の動作を開始した後に、前記寿命末期検出回路が前記放電灯が寿命末期であることを検出した場合、前記インバータ回路の出力を低減させること特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記直流電源の出力に接続され、前記放電灯のフィラメントを介して前記コンデンサに直流電流を供給する直流電流供給部と、
前記直流電流バイアス手段に流れる前記第2の電流を制御する電流制御部と、
前記コンデンサ電圧に基づいて前記放電灯の装着有無を検出する負荷装着検出回路とを備え、
前記制御回路が前記インバータ回路の動作を開始する前において、前記電流制御部は前記第2の電流を低減させ、前記負荷装着検出回路は前記検出素子が生成する前記検出電圧と第3の基準電圧とを比較し、前記検出電圧が前記第3の基準電圧以上である場合、前記放電灯が装着されていることを検出し、
前記制御回路は、前記装着検出回路が前記放電灯が装着されていることを検出した場合、前記インバータ回路の動作を開始し、前記電流制御部は前記第2の電流を増加させることを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記第3の基準電圧は、前記第1の基準電圧生成部が生成する前記第1の基準電圧であることを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御回路と、前記寿命末期検出回路と、前記電流制御部と、前記装着検出回路とを1つの集積回路で構成することを特徴とする請求項3または4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記寿命末期検出回路は、前記インバータ回路が動作を開始してから所定時間経過後に、前記放電灯の寿命末期の検出を開始することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、
前記放電灯点灯装置によって点灯される放電灯と、
前記放電灯点灯装置を収納し、前記放電灯が装着される装置本体とを備えることを特徴とする照明装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−199167(P2012−199167A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63602(P2011−63602)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】