説明

故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)を光起電力装置等のインバータ式装置で制御する方法及び装置

【課題】電力網における、故障に起因する電圧回復遅延の制御を、光起電力装置を用いて容易にする方法及び装置の提供。
【解決手段】電力配送システムは、PV発電装置106と、電力インバータアセンブリ108とを含む。電力網支援システム100は、電力インバータアセンブリ108と動作可能に結合された処理装置161を含む。処理装置161は、少なくとも1つの信号122/128/134/154を電力インバータアセンブリ108に送信するようにプログラムされている。このような信号により、有効電流及び無効電流の少なくとも一方が、低電圧状態の間に電力網に注入される。このような低電圧状態は、少なくとも部分的には、故障に起因する電圧回復遅延に起因する。処理装置161はまた、有効電流及び無効電流を、電力網状態帰還信号113/115/117/146に応じて変調するようにプログラムされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、主に、電力網の支援に関し、特に、電力網における、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)の制御を、光起電力装置を用いて容易にする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの既知の電力網は、相互接続された複数の既知の送電及び配電(送配電)システムを含む。これらの既知の送配電システムの多くは、相互接続された複数の区域を含んでおり、各区域の範囲は、送配電システムの機能(例えば、変電所の場所)によって地理的に規定される。少なくとも幾つかの既知の送配電区域では、既知の誘導電動機の著しい集中が存在する。これらの既知の誘導電動機の多くは、定トルク機能及び低慣性特性を有する。このような定トルク、低慣性の誘導電動機の例として、住宅用及び商用の空調装置(A/C)の圧縮機用電動機がある。更に、これらの既知の住宅用A/C圧縮機用電動機の多くは、不足電圧(UV)保護がない状態で市販されている。このような既知の誘導電動機が住宅区域及び商業区域の地域送配電システムに顕著に浸透すると、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)事象に対する送配電システムの脆弱性が少なくともある程度は明らかになる。
【0003】
FIDVR事象は、送配電システムの少なくとも一部分で発生した電気的故障から始まるカスケード事象である。このような電気的故障が発生すると、典型的には、送配電システムの故障除去機能が自動的に起動され、この機能は、ほぼ3サイクル以内にその故障を速やかに隔離する。しかし、故障が除去された後も数秒間にわたって、その送配電システムのある区域の電圧が著しく低下したままになる可能性がある。このように電圧低下が長時間にわたるのは、典型的には、定トルク且つ低慣性の誘導電動機の負荷が高度に集中しているためであり、これらの誘導電動機は、電圧低下とほぼ同時に減速及び磁束崩壊を開始し、負荷が連結された状態でストールするほどに減速する可能性がある。これらの誘導電動機を「ストールしがちな」誘導電動機と称する場合があり、ストールした状態を「回転子ロック」状態と称する場合がある。これらの誘導電動機が減速するにつれて、これらが送配電システムから引き込む無効電力が増加する。更に、このようなストールした誘導電動機は、回転子ロック状態の間は、その電動機の定常状態の動作電流の約5〜6倍の電流を必要とする、しかし、低電圧状態で電流が増えても、電動機は、ストール解除されない。即ち、回転子は、回転子ロック状態から解除されない。
【0004】
送配電システムに対する回転子ロック電流の需要量が大きい場合、結果として、送配電システムの電圧は、故障が除去された後も、暫くの間(典型的には数秒間)、著しく低下したままとなり、これが第1のカスケード効果につながる。即ち、第1のカスケード効果は、相互接続された送配電システムの隣接部分を通って伝わるカスケード電圧崩壊であり、これは、電圧系統を通って更に遠くまで伝わる可能性がある。
【0005】
第2のカスケード効果としては、送配電システムの当該部分と結合された発電機に対する有効電力及び無効電力の需要に対する応答がある。電圧低下が十分長く続くと、関連付けられた発電機がトリップするか、或いは、過励磁制限装置が無効電力の発電量を制限及び/又は低減して、更なる電圧低下及びシステム全体で起こり得る電圧崩壊が起こりやすくなる。
【0006】
第3のカスケード効果としては、ストールした誘導電動機が引き込む電流が増大することにより、それらの誘導電動機が熱保護装置によってサービスから切り離されることが挙げられる。これらの熱保護装置は、通常、3秒間から20秒間の逆時間−電流特性設定がされている。このような短時間の間に大型の誘導電動機と小型の誘導電動機とがトリップすると、これらの複合効果として、上述の発電損失が発生するように、顕著な負荷損失も発生する可能性があるが、このことは、電圧回復オーバーシュートによって高電圧状態が誘発される潜在的効果を有する。関連する負荷低下は、影響がある区域の大きさに応じて、数キロワット(kW)から数百メガワット(MW)に及ぶ可能性がある。
【0007】
少なくとも幾つかの既知の送配電システムは、より迅速な故障除去を容易にする後付けの保護システムを組み込むように構成可能であるが、3サイクル以内という短い時間で始まるFIDVR事象は防ぐことができない。また、少なくとも幾つかの既知の送配電システムは、無効電力源設備(例えば、大規模キャパシタバンク)を組み込むように構成可能である。更に、少なくとも幾つかの既知の送配電システムは、故障を、影響下の送配電システムのより小さい部分に更に限定するように再区分することが可能である。しかし、これら2つの潜在的解決策は、設計、製作、及び設置の期間が余計に必要であり、概して、FIDVR事象を軽減するには不十分である可能性がある。また、これらは、広い物理的占有面積、かなりの設備投資、及び長期間の運用保守コストが必要である。更に、少なくとも幾つかの既知の送配電システムは、故障状態の検出時に、可能な限り迅速に、ストールしがちな負荷をトリップするために、後付けUV負荷制限方式を組み込むように構成可能であるが、このような負荷制限方式は、典型的には、送配電システムの幾つかの部分の少なくとも部分的な停電が必要である。別の潜在的な長期的解決策として、既存のストールしがちなA/CユニットをUV保護付きA/Cユニットにユニットごと交換することを推進することが挙げられる。この解決策は、実装に十年単位の時間がかかる可能性があり、また、住宅用A/Cユニットへの更なる出費に対する社会の大きな抵抗に遭う可能性があるため、実質的な施行にかかる期間が長くなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7417333号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、電動機ストール補正システムの組立方法を提供する。本方法は、インバータ式発電装置を電力インバータアセンブリと結合するステップを含む。本方法はまた、電力インバータアセンブリを少なくとも1つの誘導電動機と結合するステップを含む。本方法は更に、少なくとも1つの制御装置を電力インバータアセンブリと動作可能に結合するステップを含む。制御装置は、インバータ式発電装置から電力インバータアセンブリへ電流を伝送するようにプログラムされる。制御装置はまた、電力インバータアセンブリから誘導電動機に有効電流及び無効電流を伝送するようにプログラムされる。制御装置は更に、有効電流及び無効電流を、電力網周波数及び電力網電圧の少なくとも一方に応じて変調するようにプログラムされる。
【0010】
別の態様では、電力網支援システムを提供する。電力網支援システムは、電力網の一部分と結合されている。電力網支援システムは、電力配送システムを含み、電力配送システムは、少なくとも1つのインバータ式発電装置を含む。電力配送システムはまた、インバータ式発電装置と結合された電力インバータアセンブリを含む。電力網支援システムはまた、電力インバータアセンブリと動作可能に結合された少なくとも1つの処理装置を含む。処理装置は、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)に少なくとも部分的に起因する低電圧状態の間に電力網の当該部分に有効電流及び無効電流の少なくとも一方を注入するための少なくとも1つの信号を電力インバータアセンブリに伝送するようにプログラムされている。処理装置はまた、有効電流及び無効電流を、少なくとも1つの電力網状態帰還信号に応じて変調するようにプログラムされている。
【0011】
更に別の態様では、電力網における、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)の制御推進に用いる制御装置を提供する。制御装置は、電力網の周波数及び電力網の電圧のうちの少なくとも一方を記憶するように構成されたメモリ装置を含む。制御装置はまた、メモリ装置と結合された処理装置を含む。処理装置は、インバータ式発電装置から電力インバータアセンブリへ電流を伝送するようにプログラムされている。処理装置はまた、電力インバータアセンブリから電力網の一部分に有効電流及び無効電流を伝送するようにプログラムされている。制御装置は更に、処理装置及び電力インバータアセンブリと結合された通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、有効電流及び無効電流を電力網周波数及び電力網電圧のうちの少なくとも一方に応じて変調するための動作調節信号を電力インバータアセンブリに送信するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電力網支援システムの実施例の概略図である。
【図2】図1に示した電力網支援システムの使用時間に対する、誘導電動機の例示的な電圧、有効電流、無効電流、及び速度の、複数のグラフである。
【図3】電流注入角度に対する回復時間のグラフである。
【図4】図1に示した電力網支援システムの組立方法の実施例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、電力網支援システムを提供する。故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)を制御するインバータ式のシステムを、電力網支援システムのハードウェア及びソフトウェアに実装することにより、電力網における一時的電圧低下の大きさを減らし、その継続時間を短縮して、FIDVR事象の早期回避及びFIDVR事象からの早期回復をしやすくする。本明細書に記載の実施形態では、空調(A/C)用圧縮機駆動用誘導電動機のすぐ近くに物理的に配置された光起電力(PV)装置(屋上設置式住宅用ソーラーパネル等)を使用する。一実施形態では、電力網支援システムは、網周波数及び網電圧等の入力を用いて、ストールした誘導回転子に対して、回転子ロック状態、即ち、ストール状態(誘導電動機がストール状態に近づきつつある状態を含む)からの解除を促進するための十分なトルクを与えるために電力網に注入すべき有効電流及び無効電流の最適量を決定する。別の実施形態では、電力網支援システムは、PV装置と電気的に並列結合されたインバータ式二次電源を追加で含む。このような二次電源は、容量性蓄積装置、電池蓄積装置、及び/又は慣性蓄積装置の任意の組み合わせを含むことが可能であり、これによって、電力網への注入電流を増やすこと、及び/又は電力網支援システムが電力網に電力を注入している時間を延ばすことが可能である。追加実施形態では、電力網支援システムは、より高度な制御機能が実装されており、また、追加入力を含んでいる。追加入力は、電力網支援システムの電圧、電流、温度、外部コマンド、人工知能、(電力網支援システムの中を通って伝送される電流を増やす)インバータ装置及びPV装置の駆動機能、並びに誘導電動機の負荷状態等である。
【0014】
電力網支援システム及びこれに実装されるインバータ式(即ち、PV)FIDVR制御システムの一技術的効果は、電力網における一時的電圧低下の大きさを減らし、その継続時間を短縮して、FIDVR事象の早期回避及びFIDVR事象からの早期回復をしやすくことである。このような技術的効果は、網周波数及び網電圧等の入力を用いて、ストールした誘導回転子に対して、ロック状態、即ち、ストール状態から抜け出すための十分なトルクを与えるために電力網に注入すべき有効電流及び無効電流の最適量を決定することにより、達成される。電力網支援システムの別の技術的効果は、局所的な誘導電動機負荷の電圧支援を増やして、電力網からの、無効電流支援の需要を減らすことである。電力網支援システムの更なる技術的効果は、システム電圧崩壊及び発電機保護アクションに対するマージンを増やすことである。別の技術的効果は、電力網における一時的電圧低下が長引いたために、より大きな誘導電動機負荷がトリップしようとする可能性を減らして、電圧回復オーバーシュートが大きくなる可能性を減らすことである。
【0015】
図1は、電力網支援システムの実施例100の概略図である。本実施例では、電力網支援システム100は、電動機ストール補正システムである。或いは、電力網支援システム100は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の網状態に対して使用する。本実施例では、電力網支援システム100は、電力網102と電気的に結合されている。電力網102は、少なくとも1つの局所的な、相互接続された送電及び配電(送配電)システム(図示せず)を含んでいる。また、本実施例では、電力網支援システム100は、インバータ式(即ち、光起電力式(PV))電力供給システム104を含んでいる。PV電力供給システム104(PV配送システム104とも称する)は、PV電力発電装置106(PV発電装置106とも称する)及び電力インバータアセンブリ108(インバータアセンブリ108とも称する)を含んでいる。PV発電装置106及びインバータアセンブリ108は、相互に電気的に結合されており、インバータアセンブリ108は、電力網102と電気的に結合されている。或いは、電力網支援システム100は、蓄電池(電気自動車用蓄電池等)や容量性蓄積装置等の任意のインバータ式発電装置を含んでいる。
【0016】
本実施例では、PV発電装置106は、太陽放射による照射から、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする直流(DC)電力を発生させる、任意の光起電力装置である。例えば、PV発電装置106は、やはり住宅に設置される空調(A/C)用圧縮機駆動用誘導電動機(図示せず)のすぐ近くに物理的に配置された屋上設置式住宅用ソーラーパネルである。しかし、電力網支援システム100は、単一の誘導電動機の支援から、電力網102上の任意の規模及び任意の数の誘導電動機の支援へと、規模を拡大することが可能である。一般に、既存の住宅システムのソーラーパネル式A/Cシステムに容易に組み込まれる、電力網支援システム100の小規模の実施形態であれば、システム100の低コストでの量産及び設置、並びに住宅設備及び商用設備のユーザによる受け入れが容易になる。更に、電力網支援システム100の小規模の実施形態であれば、システム100を影響下の誘導電動機負荷に近接させることが容易であり、これによって、より迅速な応答が容易である。電力網102の所定部分を隔離すること、即ち、少なくとも部分的な、局所化された電圧支援が容易になるように、局所化された送配電システムの特定部分を隔離することにより、電力網支援システム100の有効性を更に推進することが可能である。従って、電力インバータアセンブリ108を少なくとも1つの誘導電動機と結合することの、本明細書における意味は、電力網支援システム100を、電力網102上の送配電システムのある局所化された部分と結合することである。
【0017】
本明細書で用いる「日射量」という用語は、所定時間に所定表面積で受ける太陽放射エネルギの尺度である。光起電力技術の場合、日射量は、一般には平均照度として表され、単位はキロワット時/年/キロワットピーク定格(kW−h/(kWp−y))、ワット/平方メートル(W/m2)、又はキロワット時/平方メートル/日(kW−h/(m2−day))である。PV発電装置106は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の電気的定格を有する。
【0018】
また、本実施例では、インバータアセンブリ108は、発火装置(図示せず)を用いてDC電力を交流(AC)電力に変換する任意の電力変換装置であり、発火装置は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やゲートターンオフ(GTO)サイリスタ等である(いずれも図示せず)。更に、本実施例では、インバータアセンブリ108は、4象限インバータである。このような4象限インバータは、典型的には正及び負の電圧及び電流で図示される4つの象限(図示せず)のすべてで動作するように構成されている。従って、インバータアセンブリ108は、インバータアセンブリ108を通る4象限電力の流れを促進する。或いは、インバータアセンブリ108は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の電気的定格を有する任意のインバータアセンブリであり、これは、正の有効電流と正及び/又は負の無効電流とを伝送するように構成された2象限インバータや、正の有効電流と正の無効電流とを伝送するように構成された単象限インバータ等である。更に、このような、本明細書に記載の有効電流及び無効電流の最適注入量は、様々なインバータアセンブリ制御方式及びトポロジによって生成され、このような方式は、電流制御源方式や電圧制御源方式等である。
【0019】
電力網支援システム100は、PV発電装置106と並列にインバータアセンブリと電気的に結合された、少なくとも1つの二次電源110(点線で図示)を含むことが可能である。二次発電源110は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の発電装置及び/又は電力蓄積装置等であり、これらは、容量性蓄積装置、電池蓄積装置、燃料電池蓄積装置、慣性蓄積装置等である。更に、代替として、このような二次発電源110は、電力網102の配電部分(図示せず)との結合に適した交流(AC)装置等であってもよい。このようなAC装置は、典型的には住宅及び小規模事業所向けであるガソリン式小型発電機、ディーゼル式小型発電機、風力式小型発電機等であってよい。これらのAC装置はまた、二次発電源110から入力される電力がインバータアセンブリ108と適合するように、二次発電源110と電力インバータアセンブリ108との間に結合される、ダイオード整流器のような変換装置(図示せず)を含む。更に、そのようなガソリン式発電機、ディーゼル式発電機、及び風力式発電機、並びに、そのような容量性蓄積装置、電池蓄積装置、燃料電池蓄積装置、及び慣性蓄積装置は、より大規模な住宅や事業所(大規模な工場等)に向けて拡大可能であってよい。
【0020】
二次電源110は、電力網102への電流注入量を増やすこと、及び/又は、電力網支援システム100が電力網102に電流を注入している時間を延ばすことを行うように構成されている。また、二次電源110は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の電気的定格を有する。更に、二次電源110により、且つ、これを複数個追加することにより、電力網支援システム100の拡張性が推進される。
【0021】
電力網支援システム100は、電力網102と結合された網電圧測定装置112を少なくとも1つ含んでいる。網電圧測定装置112は、網電圧信号113を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、電圧トランスデューサ等である。電力網支援システム100はまた、電力網102と結合された網周波数測定装置114を少なくとも1つ含んでいる。網周波数測定装置114は、網周波数信号115を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、周波数トランスデューサ等である。
【0022】
電力網支援システム100は、電力網102と結合された網電流測定装置116(点線で図示)を少なくとも1つ含んでよい。網電流測定装置116は、網電流信号117(点線で図示)を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、電流トランスデューサや電流変圧器等である。本実施例では、測定装置112、114、及び116は、それぞれが、局所化された網状態をよく表現する信号113、115、及び117を発生させることが容易であるように、電力網支援システム100及び電力網102の一部分、即ち、これらの接合部118のすぐそばに配置される。或いは、測定装置112、114、及び116は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の場所に配置される。
【0023】
電力網支援システム100はまた、PV発電装置106と結合されたPV電流測定装置120を少なくとも1つ含んでいる。PV電流測定装置120は、一方向電流124を表すPV電流信号122を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、電流トランスデューサや電流変圧器等である。電力網支援システム100は更に、二次電源110と結合された二次電源電流測定装置126を少なくとも1つ含んでよい。二次電源電流測定装置126は、一方向電流130(点線で図示)を表す二次電源電流信号128(点線で図示)を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、電流トランスデューサや電流変圧器等である。電力網支援システム100はまた、インバータアセンブリ108と結合されたインバータ電流測定装置132を少なくとも1つ含んでいる。インバータ電流測定装置132は、インバータアセンブリ電流136を表すインバータアセンブリ電流信号134を発生させて送信し、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする、任意の装置であり、電流トランスデューサや電流変圧器等である。
【0024】
電力網支援システム100は、網オペレータ(図示せず)と電力網支援システム100との間で二方向通信信号142(点線で図示)の伝送を行うことを容易にする電力網通信装置140(点線で図示)を含んでよい。このような通信信号142は、遠隔網状態や、オペレータが選択した開始及び停止のコマンド等を含む。電力網支援システム100はまた、少なくとも1つの誘導電動機負荷通信装置144(点線で図示)を含んでよく、誘導電動機負荷通信装置144は、電力網支援システム100と所定の誘導電動機負荷(例えば、大型誘導電動機や複数の空調(A/C)用小型誘導電動機からなるバンク等)との間で誘導電動機負荷状態信号146(点線で図示)を伝送することを容易にする。このような誘導電動機負荷状態信号146は、電動機のオフ/オンステータス、誘導電動機の回転子の慣性力、電動機巻線における端子電圧等を含む。電力網支援システム100は更に、少なくとも1つの外部制御装置148(点線で図示)を含んでよく、外部制御装置148は、任意の外部制御装置から電力網支援システム100に外部制御信号150(点線で図示)を送信することを容易にする。このような外部制御信号150は、システム有効化信号、システムアクチュエーション信号、システムアクチュエーションブロック信号等を含む。電力網支援システム100は更に、少なくとも1つのPV配送システムステータス装置152(点線で図示)を含んでよく、PV配送システムステータス装置152は、PV発電装置106及びインバータアセンブリ108からPV配送システムステータス信号154(点線で図示)を送信することを容易にする。このようなPV配送システムステータス信号154は、PV発電装置106内の個々のPVセル(図示せず)及びインバータアセンブリ108内の個々の発火装置(図示せず)の電圧及び温度を含む。
【0025】
本実施例では、電力網支援システム100は、網電圧信号113、網周波数信号115、PV電流信号122、及びインバータアセンブリ電流信号134を入力とすることにより、完全に、本明細書に記載のように動作することが可能になる。このような制御システムアーキテクチャは、網周波数及び網電圧を一次変数として使用する擬似オープンループシステムを定義することにより、監視されていない誘導電動機負荷を制御する。上述の追加の計測により、本明細書に記載の電力網支援システム100の動作を補完することが可能である。
【0026】
本実施例では、電力網支援システム100は、制御アルゴリズム及び制御ロジックを実行するように構成された、少なくとも1つの制御装置160又は他の処理装置を含んでいる。制御装置160は、少なくとも1つの処理装置161、処理装置161と結合されたメモリ装置162、及び処理装置161及びメモリ装置162と結合された通信インタフェース163を含んでいる。通信インタフェース163は、少なくとも1つの処理装置入力チャネルと、少なくとも1つの処理装置出力チャネルと(それぞれ、後で詳述)に結合されている。本明細書で用いる「処理装置」という用語は、システム及びマイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理回路、及び他の任意の、本明細書に記載の機能を実行できる回路等、任意のプログラム可能システムを含む。これらの例はあくまで例であって、処理装置という用語の定義及び/又は意味をいかなる形でも限定するものではない。更に、本明細書で用いる「処理装置」という用語は、当該技術分野においてコンピュータと称される集積回路に限定されず、広く、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理回路(PLC)、特定用途向け集積回路、及び他のプログラム可能回路を意味し、これらの用語は、本明細書では区別なく用いている。
【0027】
本明細書に記載の実施形態では、メモリ装置162は、コンピュータ可読媒体(ランダムアクセスメモリ(RAM)等)及びコンピュータ可読不揮発性媒体(フラッシュメモリ等)等であってよい。或いは、フロッピー(商標)ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、及び/又はデジタル多用途ディスク(DVD)等も使用可能である。本明細書に記載の実施形態では、追加入力チャネルとして、マウス及びキーボード等のオペレータインタフェースに関連付けられたコンピュータ周辺装置を含んでよい。或いは、スキャナ等のような、他のコンピュータ周辺装置も使用可能である。更なる出力チャネルとして、オペレータインタフェースモニタも使用可能である。RAM及び記憶装置は、情報、並びに、処理装置が実行する命令を記憶したり、転送したりする。また、RAM及び記憶装置を用いて、一時変数、静的(即ち、不変)情報及び命令、又は他の中間情報を記憶したり、処理装置による命令の実行中に処理装置に渡したりすることも可能である。実行される命令は、常駐セキュリティシステム制御コマンド等であってよい。命令シーケンスの実行は、ハードウェア回路及びソフトウェア命令のいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
【0028】
本明細書に記載の処理装置161は、複数の電気的コンポーネント及び電子的コンポーネントから、通信インタフェース163を介して送信されてきた情報を処理する。このような情報は、電圧信号、周波数信号、電流信号等であってよい。本実施例では、制御装置160は、PV配送システム104のそばに配置する。或いは、制御装置160は、本明細書に記載の電力網支援システム100を動作可能にする任意の場所に配置し、例えば、PV配送装置104からある程度離れた場所に位置する遠隔筐体(図示せず)内に配置する。更に、実施形態によっては、制御装置160は、パーソナルコンピュータ、リモートサーバ、PLC、分散制御システム(DCS)キャビネット、インターネット対応ハンドヘルド装置等に内蔵された処理装置等であってよい。
【0029】
本実施例では、制御装置160は、網電圧測定装置112及び網周波数測定装置114と動作可能に結合されている。制御装置160はまた、さらに別の装置とも動作可能に結合可能であり、具体的には、網電流測定装置116、PV電流測定装置120、二次電源電流測定装置126、インバータ電流測定装置132、電力網通信装置140、誘導電動機負荷状態通信装置144、外部制御装置148、PV配送システムステータス装置152等とも動作可能に結合可能である。
【0030】
また、本実施例では、処理装置161は、少なくとも2つの機能論理ブロックがプログラムされている。第1の機能論理ブロック164は、電力網102への有効電流及び無効電流の注入を容易にする電流注入角度を算出するように十分にプログラムされている。第2の機能論理ブロック165は、第1の機能論理ブロック164と動作可能に結合されており、有効電流及び無効電流の注入値を、少なくとも部分的に、論理ブロック164によって算出された電力注入角度の関数として算出するように十分にプログラムされている。第1及び第2の機能論理ブロック164及び165は、後で詳述されるように、変動する入力に対して動的に応答するようにプログラムされている。
【0031】
制御装置160の通信インタフェース163が受信する入力信号は、電圧測定装置112から送信された網電圧信号113、周波数測定装置114から送信された網周波数信号115、PV電流測定装置120から送信されたPV電流信号122、インバータ電流測定装置132から送信されたインバータアセンブリ電流信号134等である。信号113、115、122、及び134は、通信インタフェース163からメモリ装置162に送信され、これらの信号は、少なくとも一時的にメモリ装置162に記憶される。信号113、115、122、及び134は、メモリ装置162から、処理装置161の第1の機能論理ブロック164に送信される。第1の機能論理ブロック164は、電流需要合計信号166及び電力注入角度信号168を含む複数の信号を決定する。電流需要合計信号166は、カスケードFIDVR事象を起こし得る網電圧過渡事象からの少なくとも部分的な回復を容易にするために、電力網支援システム100が電力網102に注入しなければならない電流の合計値を表す。電力注入角度信号168は、電流需要合計の、有効電流需要及び無効電流需要への割り当てを表す。従って、第1及び第2の機能論理ブロック164及び165、並びに他の任意の、処理装置161内にあるプログラムは、電力網支援システム100における、光起電力(PV)によって、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)を制御するシステムの実装を表す。
【0032】
第2の機能論理ブロック165は、電流需要合計信号166及び電力注入角度信号168を受信して、有効電流注入信号170及び無効電流注入信号172を決定する。有効電流注入信号170及び無効電流注入信号172は、通信インタフェース163を介して、インバータアセンブリ108に送信される。インバータアセンブリ108は、無効電流注入量及び有効電流注入量(いずれも図示せず)を、有効電流注入信号170及び無効電流注入信号172に応じて変調して、接合部118から電力網102に注入する。典型的には、電力網の低電圧過渡事象の(3サイクルもの速い)速度及び所望の短い時間長、並びにFIDVR事象を回避したい意向のため、電流需要合計信号166は、インバータアセンブリ108及びPV発電装置106の所定の定格パラメータによって決まり、このパラメータは、それぞれが対応する発火装置及び太陽電池(いずれも図示せず)の電流定格及び温度定格等である。このような機器定格パラメータは、上述のものに限定されず、処理装置161にプログラムされる。従って、本実施例では、インバータアセンブリ108は、典型的には、PV発電装置106で発電されてPV発電装置106に一時的に蓄積されているDC電流を交流(AC)電流に変換するように命令され、このAC電流は、即ち、インバータアセンブリ108及びPV発電装置106の最大電流パラメータに近いか、その最大電流パラメータにおける電流値であるインバータアセンブリ電流136である。また、本実施例では、インバータアセンブリ電流136は、電力注入角度信号168に応じて割り当てられる有効電流及び無効電流を含む。更に、本実施例では、電力注入角度信号168は、インバータアセンブリ電流136の有効電流成分及び無効電流成分(図示せず)の割り当てを変調する時刻に応じて変調される。
【0033】
電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、PV配送システムステータス装置152からPV配送システムステータス信号154を受信するように十分にプログラムされており、PV配送システムステータス信号154は、PV発電装置106の個々のPVセル(図示せず)の電圧等を含む。更に、このような、電力網支援システム100の実施形態は、指定されたインバータアセンブリ電流136が網電圧回復を支援するのに十分であるように、個々のPVセルの定電圧定格に対して所定のマージンが維持されるように、インバータアセンブリ電流136を変調するように十分にプログラムされている。更に、電力網支援システム100の幾つかの実施形態は、PV電力配送システム104の動作の「オーバードライブモード」を可能にするように十分にプログラムされている。このようなオーバードライブモードは、指定された注入電流を、所定の時間にわたって、(限定ではなく)所定の電圧パラメータ及び温度パラメータに応じて決定された電流パラメータより多く発生させるような、PV発電装置106及び電力インバータアセンブリ108の駆動を容易にする。このようなオーバードライブモード機能は、インバータアセンブリ108や二次電源110等、電力網支援システム100の他のコンポーネントも含むように拡張可能である。
【0034】
また、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、日射によって発生した電力に加えて、個々のPVセル内にある潜在エネルギを用いて電圧を発生させるように、処理装置161において十分にプログラムされており、且つ、適切に選択されたPVセルアーキテクチャ及び材料を含んでいる。そのような日射後の発電によって、電力網支援システム100から電力を短期的に抽出することを容易にするために、標準的なPV発電方法、及び、より斬新な発電方法を用いて、本明細書に記載の電力網支援システムを動作可能にして推進する。これは、例えば、後で詳述するように、インバータアセンブリ108内の発火装置のスイッチング周波数を制御することである。
【0035】
更に、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、PV発電装置106と並列に、又はPV発電装置106の代わりに、二次電源110の動作を推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。このような実施形態では、二次電源電流130の制御は、PV発電装置106及びインバータアセンブリ108に関して上述したものと実質的同様であり、更に、網電圧回復動作をより積極的且つ/又は効果的に制御することを含む。
【0036】
更に、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、網オペレータと電力網支援システム100との間での二方向通信信号142の伝送を推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。このような通信信号142は、遠隔網状態や、現場オペレータが選択した開始及び停止のコマンド等を含む。例えば、遠隔網オペレータは、故障に起因する網電圧過渡事象が差し迫っていることの警告を受けることが可能であり、現地オペレータに指示して、電力網支援システム100を動作可能状態にさせることが可能である。この動作可能状態では、遠隔網オペレータは、通信信号142を介して、状態変化を監視することが可能である。
【0037】
また、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、電力網支援システム100と所定の誘導電動機負荷(例えば、大型誘導電動機や、空調(A/C)用小型誘導電動機等)との間での誘導電動機負荷状態信号146の伝送を推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。このような誘導電動機負荷状態信号146は、電動機のオフ/オンステータスや、電動機巻線における端子電圧等を含む。例えば、電力網支援システム100のそのような実施形態を、電力網102と電気的に結合する際に、接合部118を影響下の誘導電動機と地理的に近接させることが可能である。この近接性により、電力網支援システム100のそのような実施形態は、所定の誘導電動機負荷に対する電圧回復支援を監視及び提供することが容易になる。電力網支援システム100のこのような実施形態の少なくとも幾つかは、所定の誘導電動機負荷の場所に、その負荷の端子電圧以外の変数を監視するための十分な装置を含む。例えば、そのような装置は、電流の監視、電動機の回転子の慣性負荷力の監視、電動機のストールの可能性の低減を容易にする誘導電動機のスリップ監視等を行う。また、例えば、回転子のストール解除又は回転子のストール防止の少なくともいずれかを容易にするために、誘導電動機の回転子慣性に対する力を誘起させることが可能である。本明細書で用いる「ストール解除」という用語は、本明細書に記載の回転子ロック状態から回転子を解放することを意味する。また、本明細書で用いる「慣性力」という用語は、固定子と回転子との空隙に起因する力等の、回転子の慣性に作用する力を意味する。
【0038】
更に、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、任意の外部制御装置から電力網支援システム100への外部制御信号150の伝送を推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。このような外部制御信号150は、システム有効化信号、システムアクチュエーション信号、システムアクチュエーションブロック信号等を含む。例えば、複数の電力網支援システム100を、幾つかの電力網支援システム100を待機状態にすることが可能であり、幾つかの電力網支援システム100を稼働させることが可能であり、幾つかの電力網支援システム100を、技術的理由(例えば、保守作業)により、運用から切り離して、個々の各電力網支援システム100から隔離することが可能であるような地理的位置関係で配置することが可能である。
【0039】
更に、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、制御装置160への特定の入力信号(例えば、誘導電動機のスリップ状態等)を表すプロキシ信号(図示せず)の発生を推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。また、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、電力網支援システム100の特定のチューニングを推進する自己学習及び/又は人工知能の各機能を用いて、特定の網状態及び/又はシステム状態に対する特定の制御応答を容易にすることを推進するように、処理装置161において十分にプログラムされている。例えば、力網支援システム100及び対応する誘導電動機負荷における様々なコンポーネントのヒステリシス特性は、所定の変動入力に対する所定の応答ラグ(遅延)に起因する少なくとも短期間のメモリ機構を与える。このようなヒステリシス特性の結果として、(例えば、誘導電動機の端子電圧等の)独立変数が増加しているか減少しているかに応じて、(例えば、誘導電動機の回転子トルク等の)従属変数が、異なる値を示す。その結果は、独立変数(即ち、端子電圧)の現在の値だけでなく、独立変数の過去の値にも依存するため、独立変数に対する従属変数(即ち、回転子トルク)の履歴依存性を誘起する。
【0040】
また、電力網支援システム100の少なくとも幾つかの実施形態は、発火装置(例えば、インバータアセンブリ108内のIGBT)のスイッチング周波数を制御することを容易にするように、処理装置161において十分にプログラムされている。スイッチング周波数が低いと、60ヘルツ(Hz)以外の周波数の電気的高調波が増えがちになる可能性がある。しかし、インバータアセンブリ108のスイッチング周波数を低くすることは、基本周波数の電流値(即ち、60Hzの有効電流信号及び無効電流信号)を大きくすることにつながる。更に、スイッチング周波数が高いと、内部の熱発生率が増えがちであり、スイッチング周波数が低いと、少なくとも短期間の間は、発火装置内の熱発生を低減することにつながり、同時に、電力網支援システム100から注入される電流の総量が増える。
【0041】
図2は、(図1に示した)電力網支援システム100の使用時間に対する、誘導電動機(図示せず)の例示的な電圧、有効電流、無効電流、及び速度の、複数のグラフ200である。
【0042】
一般に、誘導電動機の回転子の誘導トルクは、回転子と固定子との間に延びる空隙で発生する電力に比例する。また、誘導トルクは、システム周波数に間接的に比例する。更に、発生する空隙電力は、固定子電流の二乗に比例し、電動機スリップに間接的に比例する。従って、一般に、スリップは大きく変動する可能性があり、システム周波数は殆ど変動しないと考えられるため、誘導電動機のストールを防止するためには、或いは、本明細書に記載のように誘導電動機のストールを解除するためには、電動機の固定子巻線に注入する電流の量を増やすことが、一般的に用いられる方法である。更に、独立した電流注入装置、例えば、電力網支援システム100を用いて、電動機のストールを解除するのに十分な電流を注入することが可能である。また、一般に、電流注入装置から注入される電流の値が大きいほど、電動機のストールを回避又は補正できる確率が高くなる。また、一般に、電動機の固定子に伝送される電流の総量は、電流注入装置から注入される電流と、電力網から供給される電流との和である。更に、電動機巻線インピーダンス等を含むシステム等価インピーダンスを構成するリアクタンスの決定値は、基本システム周波数(即ち、50Hz又は60Hz)に応じて決まる。
【0043】
従って、電動機の固定子に伝送される電流の総量は、電動機スリップ、電動機の固定子の端子電圧、注入装置(即ち、電力網支援システム100)から注入される電流、システム周波数の、50Hz又は60Hzからの変動、注入電流の、有効電流成分及び無効電流成分への割り当て(即ち、電流注入角度)等の変数によって決まる。制御が困難な変数は、電動機の固定子の端子電圧(主に電力網によって決まる)、電動機スリップ(少なくとも部分的には、網周波数及び電動機の固定子の慣性によって決まる)、網周波数、電力網から供給される有効電流及び無効電流等である。制御が容易な変数は、注入電圧136及び対応する電流注入角度である。
【0044】
本実施例では、電力網支援システム100は、全負荷の誘導電動機の固定子(図示せず)の定格消費電流の約33%である値の(図1に示した)インバータアセンブリ電流136を注入することに定格されている。全体として、グラフ200の各図では、実線は、注入された無効電流のみによる応答を示し、鎖線は、注入された有効電流のみによる応答を示し、破線は、注入された有効電流及び無効電流による応答を示している。
【0045】
グラフ200の第1のグラフ202は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対する電動機の端子電圧を表している。グラフ202のy軸204は、端子電圧を、パーセント(%)単位で、0.0%から150%まで10%刻みで表している。また、グラフ202のx軸206は、時間を、秒単位で、0秒から2秒まで0.2秒刻みで表している。グラフ202は更に、無効電流曲線208、有効電流曲線210、並びに有効及び無効電流曲線212を示している。本実施例では、有効電流及び無効電流の組み合わせを用いたこれらの例において、電流注入角度を45°一定とし、有効電流及び無効電流の各割り当てを全注入電流(即ち、インバータアセンブリ電流136)の71%ずつとしている。電流注入角度を一定としたのは、説明のためである。ただし、電力網支援システム100は、網電圧、網周波数、電動機スリップ等の測定された状態に応じて電流注入角度を変えるように構成されている。
【0046】
また、グラフ200の第2のグラフ214は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対する電動機の速度を表している。グラフ214のy軸216は、電動機の速度を、パーセント(%)単位で、85%から100%まで10%刻みで表している。グラフ214も、x軸206を有する。グラフ214は更に、無効電流曲線218、有効電流曲線220、並びに有効及び無効電流曲線222を示している。
【0047】
更に、グラフ200の第3のグラフ224は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対する電動機の無効消費電力を表している。グラフ224のy軸226は、無効消費電力を、パーセント(%)単位で、0%から200%まで20%刻みで表している。グラフ224も、x軸206を有する。グラフ224は更に、無効電流曲線228、有効電流曲線230、並びに有効及び無効電流曲線232を示している。
【0048】
また、グラフ200の第4のグラフ234は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対する電動機の有効消費電力を表している。グラフ234のy軸236は、有効消費電力を、パーセント(%)単位で、0%から200%まで20%刻みで表している。グラフ234も、x軸206を有する。グラフ234は更に、無効電流曲線238、有効電流曲線240、並びに有効及び無効電流曲線242を示している。
【0049】
また、グラフ200の第5のグラフ244は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対するPVインバータの無効電流注入量を表している。グラフ244のy軸246は、PVインバータの無効電流注入量を、パーセント(%)単位で、−20%から40%まで10%刻みで表している。グラフ244も、x軸206を有する。グラフ244は更に、無効電流曲線248、有効電流曲線250、並びに有効及び無効電流曲線252を示している。有効電流曲線250が約0.0のままであるのは、無効電流だけがインバータアセンブリ108から注入されているためである。
【0050】
また、グラフ200の第6のグラフ254は、網電圧過渡/電流注入事象中の時間に対するPVインバータの有効電流注入量を表している。グラフ254のy軸256は、PVインバータの有効電流注入量を、パーセント(%)単位で、−20%から40%まで10%刻みで表している。グラフ254も、x軸206を有する。グラフ254は更に、無効電流曲線258、有効電流曲線260、並びに有効及び無効電流曲線262を示している。無効電流曲線260が約0.0のままであるのは、有効電流だけがインバータアセンブリ108から注入されているためである。
【0051】
本実施例では、(図1に示した)電力網102は、約0.2秒において定格電圧の約100%から定格電圧の約5%への、故障に起因する一時的電圧低下が発生する。電動機は、過渡事象の最初から最後まで、全負荷状態のままである。網電圧は、約0.25秒から0.3秒において回復し始めるが、誘導電動機負荷のストールのために、網電圧回復は鈍化する。このような、対応する電動機のストールは、第2のグラフ214では、定格速度の、約87%までの減少として示されており、第3のグラフ224では、無効消費電流の、定格の約180%までの増加として示されており、第4のグラフ234では、有効消費電流の、定格の約40%までの減少として示されている。更に、グラフ244及び254に示すように、電力網支援システム100は、約0.25秒から0.3秒において、電流の注入を開始する。
【0052】
本実施例では、無効電流だけが電力網支援システム100から注入される場合、電動機の端子電圧の曲線208は、約0.8秒において完全に回復する。これは更に、曲線218、228、及び238でも示されている。曲線248は、無効電流注入量が電動機の定格の約33%まで増加することを示しており、これは、電力網支援システム100の定格の100%である。曲線248に示すように、電力網支援システム100による無効電流の注入は、約0.8秒において網が回復すると減少し、電力網支援システム100は、約0.9秒から約1.5秒にかけて無効電流を受け取る。
【0053】
また、本実施例では、有効電流だけが電力網支援システム100から注入される場合、電動機の端子電圧の曲線210は、約0.95秒において完全に回復する。これは更に、曲線220、230、及び240でも示されている。曲線260は、有効電流注入量が電動機の定格の約33%まで増加することを示しており、これは、電力網支援システム100の定格の100%である。曲線260に示すように、電力網支援システム100による有効電流の注入は、約0.8秒において網が回復すると減少し、電力網支援システム100は、約1.05秒から約1.5秒にかけて有効電流を受け取る。
【0054】
更に、本実施例では、有効電流及び無効電流が電力網支援システム100から約45°の電流注入角度で注入される場合、電動機の端子電圧の曲線212は、約0.6秒において完全に回復する。これは更に、曲線222、232、及び242でも示されている。曲線252及び262は、両方とも、有効電流注入量及び無効電流注入量が電動機の定格の約23.5%まで増加することを示しており、これは、電力網支援システム100の定格の約71%である。曲線252及び262に示すように、電力網支援システム100による有効電流及び無効電流の注入は、約0.6秒において網が回復すると減少し、電力網支援システム100は、約0.85秒から約1.3秒にかけて有効電流及び無効電流を受け取る。
【0055】
従って、有効電流及び無効電流の両方の注入によって、回復時間の短縮、電力網支援システム100から注入される電流の低減、電力網支援システム100内での定格パラメータに対するマージンの増加、並びに、電力網支援システム100内に伝送される回復後オーバーシュート及び電流の低減が同時に行われる。
【0056】
図3は、電流注入角度に対する回復時間のグラフ300である。グラフ300のy軸302は、回復時間を、秒単位で、0.0秒から1.0秒まで0.2秒刻みで表している。また、グラフ300のx軸304は、電流注入角度を、度(°)単位で、0°から100°まで20°刻みで表している。グラフ300は更に、33%電動機定格曲線306を示している。即ち、電力網支援システム100は、対応する誘導電動機負荷の約33%に定格されている。曲線306は、ほぼ放物線状であって、最小値を、電流注入角度が約35°、回復時間が約0.35秒の点308において有する。グラフ300はまた、20%電動機定格曲線310を示している。即ち、電力網支援システム100は、対応する誘導電動機負荷の約20%に定格されている。曲線310は、ほぼ放物線状であって、最小値を、電流注入角度が約47°、回復時間が約0.65秒の点312において有する。曲線300は更に、点308及び312を通って延びる軌跡曲線314を示している。従って、曲線300は、電力網支援システム100の電流注入量定格が増加するに従って、回復時間及び必要な電流注入角度の両方が著しく減少することを示している。
【0057】
図4は、電動機ストール補正システム、即ち、(図1に示した)電力網支援システム100の組立方法の実施例400のフロー図である。本実施例では、(図1に示した)インバータ式、即ち、光起電力式(PV)発電装置106を、(図1に示した)電力インバータアセンブリ108と結合する(402)。電力インバータアセンブリ108を、少なくとも1つの誘導電動機(図示せず)と結合する(404)。(図1に示した)少なくとも1つの制御装置106を、電力インバータアセンブリ108と動作可能に結合する(406)。PV発電装置106から電力インバータアセンブリ108に電流を伝送するように、制御装置160をプログラムする(408)。更に、電力インバータアセンブリ108から誘導電動機に有効電流及び無効電流を伝送するように、制御装置160をプログラムする(410)。更に、有効電流及び無効電流を、電力網周波数及び電力網電圧の少なくとも一方に応じて変調するように、制御装置160をプログラムする(412)。
【0058】
本明細書に記載の実施形態は、電力網支援システムを提供する。具体的には、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)を制御する光起電力(PV)式のシステムを、電力網支援システムのハードウェア及びソフトウェアに実装することにより、電力網における一時的電圧低下の大きさを減らし、その継続時間を短縮して、FIDVR事象の早期回避及びFIDVR事象からの早期回復をしやすくする。また、特に、本明細書に記載の実施形態では、空調(A/C)用圧縮機駆動用誘導電動機のすぐ近くに物理的に配置されたPV装置(装置屋上設置式住宅用ソーラーパネル等)を使用する。一実施形態では、電力網支援システムは、網周波数及び網電圧等の入力を用いて、ストールした誘導回転子に対して、回転子ロック状態、即ち、ストール状態からの解除を促進するための十分なトルクを与えるために電力網に注入すべき有効電流及び無効電流の最適量を決定する。或いは、別の実施形態では、電力網支援システムは、PV装置と電気的に並列結合された追加電源を含む。このような電源は、容量性蓄積装置、電池蓄積装置、及び/又は慣性蓄積装置の任意の組み合わせを含むことが可能であり、これによって、電力網への注入電流を増やすこと、及び/又は電力網支援システムが電力網に電力を注入している時間を延ばすことが可能である。更に、このような追加電源により、電力網支援システムの規模拡大が容易になる。更に、代替として、追加実施形態では、電力網支援システムは、より高度な制御機能が実装されており、また、追加入力を含んでいる。追加入力は、電力網支援システムの電圧、電流、温度、外部コマンド、人工知能、(電力網支援システムの中を通って伝送される電流を増やす)インバータ装置及びPV装置の駆動機能、並びに誘導電動機の負荷状態等である。従って、本明細書に記載の電力網支援システムは、住宅設備及び商用設備のユーザが早期かつ広く一般的に採用する正当な可能性がある、電力網全体にわたる課題に対する低コストソリューションを推進するものである。
【0059】
以上、電圧過渡の低減を容易にする、拡充された電力網支援システム及び電力網の支援システムの動作方法の実施例を詳説した。この電力網支援システム及び方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されることはなく、電力網支援システムのコンポーネント及び/又はその方法のステップを、本明細書に記載のその他のコンポーネント及び/又はステップと別個独立に使用してもよい。例えば、電力網支援システム及び/又は方法は、その他の電力系統及び方法との組み合わせにおいても使用可能であり、本明細書に記載の電力網支援システムでの実施のみに限定されることはない。むしろ、実施例をその他多くの電力網支援アプリケーションと組み合わせて実施及び使用できる。
【0060】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴について、図面によっては記載されていたり記載されていなかったりする場合もあるが、これはあくまでも便宜的なものである。本発明の原理に従って、どの図面のどの特徴も、その他の図面のどの特徴との組み合わせにおいても参照及び/又はクレームすることができる。
【0061】
本明細書では、最適な態様を含めた例を用いて本発明を開示しているが、これによって当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びにこれに付随する任意の方法の実施を含め、本発明を実施することができる。本発明の特許請求の範囲は請求項に記載されているが、当業者に想到可能なその他の例も包含し得る。こうしたその他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を含む場合、本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0062】
100 電力網支援システム
102 電力網
104 光起電力式(PV)電力配送システム
106 PV発電装置
108 電力インバータアセンブリ
110 二次発電源
112 網電力測定装置
113 網電圧信号
114 網周波数測定装置
115 網周波数信号
116 網電流測定装置
117 網電流信号
118 接合部
120 PV電流測定装置
122 PV電流信号
124 PV電流
126 二次電源電流測定装置
128 二次電源電流信号
130 二次電源電流
132 インバータ電流測定装置
134 インバータアセンブリ電流信号
136 インバータアセンブリ電流
140 電力網通信装置
142 二方向通信信号
144 誘導電動機負荷状態通信装置
146 誘導電動機負荷状態信号
148 外部制御装置
150 外部制御信号
152 PV配送システムステータス装置
154 PV配送システムステータス信号
160 制御装置
161 処理装置
162 メモリ
163 通信インタフェース
164 第1の機能論理ブロック
165 第2の機能論理ブロック
166 電流需要合計信号
168 電流注入角度信号
170 有効電流注入信号
172 無効電流注入信号
200 複数のグラフ
202 第1のグラフ
204 y軸
206 x軸
208 無効電流曲線
210 有効電流曲線
212 有効及び無効電流曲線
214 第2のグラフ
216 y軸
218 無効電流曲線
220 有効電流曲線
222 有効及び無効電流曲線
224 第3のグラフ
226 y軸
228 無効電流曲線
230 有効電流曲線
232 有効及び無効電流曲線
234 第4のグラフ
236 y軸
238 無効電流曲線
240 有効電流曲線
242 有効及び無効電流曲線
244 第5のグラフ
246 y軸
248 無効電流曲線
250 有効電流曲線
252 有効及び無効電流曲線
254 第6のグラフ
256 y軸
258 無効電流曲線
260 有効電流曲線
262 有効及び無効電流曲線
300 グラフ
302 y軸
304 x軸
306 33%曲線
308 点
310 20%曲線
312 点
314 軌跡曲線
400 方法
402 インバータ式発電装置を電力インバータアセンブリと結合する
404 電力インバータアセンブリを少なくとも1つの誘導電動機と結合する
406 少なくとも1つの制御装置を電力インバータアセンブリと動作可能に結合する
408 インバータ式発電装置から電力インバータアセンブリに電流を伝送するように、制御装置をプログラムする
410 電力インバータアセンブリから誘導電動機に有効電流及び無効電流を伝送するように、制御装置をプログラムする
412 有効電流及び無効電流を、電力網周波数及び電力網電圧の少なくとも一方に応じて変調するように、制御装置をプログラムする

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網(102)の一部分と結合された電力網支援システム(100)であって、
電力配送システム(104)であって、
少なくとも1つのインバータ式発電装置(106)と、
前記インバータ式発電装置と結合された電力インバータアセンブリ(108)と、を備える電力配送システム(104)と、
前記電力インバータアセンブリと動作可能に結合された、少なくとも1つの処理装置(161)であって、
故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)に少なくとも部分的に起因する低電圧状態の間に前記電力網の前記部分に有効電流及び無効電流の少なくとも一方を注入するための少なくとも1つの信号(122/128/134/154)を前記電力インバータアセンブリに伝送することと、
前記有効電流及び前記無効電流を、少なくとも1つの電力網状態帰還信号(113/115/117/146)に応じて変調すること、を行うようにプログラムされた処理装置(161)と、
を備える電力網支援システム(100)。
【請求項2】
前記処理装置(161)は、前記電力網(102)に注入される前記有効電流及び前記無効電流の振幅及び位相を変調するように更にプログラムされている、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項3】
前記処理装置(161)は、
前記電力網と結合されている、少なくとも1つの電圧測定装置(112)と、
前記電力網と結合されている、少なくとも1つの周波数測定装置(114)と、
前記電力網と結合されている、少なくとも1つの電流測定装置(116)と、
前記電力インバータアセンブリ(108)と結合されている、少なくとも1つの電流測定装置(132)と、
のうちの少なくとも1つと動作可能に結合されている、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項4】
電力網通信装置(140)と、
誘導電動機負荷通信装置(144)と、
電力配送システムステータス装置(152)と、
のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項5】
前記インバータ式発電装置(106)と並列に、前記インバータ(108)と結合された、少なくとも1つの追加発電装置(110)を更に備える、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項6】
前記処理装置(161)は、所定の電流パラメータより多い電流を、所定の期間にわたって伝送するように、前記電力インバータアセンブリ(108)を駆動するように更にプログラムされている、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項7】
前記電力配送システムは、住宅の屋上に配置される少なくとも1つのソーラーパネル(106)を含む光起電力式(PV)発電装置(106)を備える、請求項1に記載の電力網支援システム(100)。
【請求項8】
電力網(102)における、故障に起因する電圧回復遅延(FIDVR)の制御推進に用いる制御装置(160)であって、
メモリ装置(162)であって、
前記電力網の周波数(115)と、
前記電力網の電圧(113)と、のうちの少なくとも一方を記憶するように構成されたメモリ装置(162)と、
前記メモリ装置と結合された処理装置(161)であって、
インバータ式発電装置(106)から電力インバータアセンブリ(108)へ電流を伝送することと、
前記電力インバータアセンブリから前記電力網の一部分へ有効電流及び無効電流を伝送すること、を行うようにプログラムされた処理装置(161)と、
前記処理装置及び前記電力インバータアセンブリと結合された通信インタフェース(163)であって、前記有効電流及び前記無効電流を、
前記電力網周波数と、
前記電力網電圧と、のうちの少なくとも一方に応じて変調するための動作調節信号を前記電力インバータアセンブリに送信するように構成された通信インタフェース(163)と、
を備える制御装置(160)。
【請求項9】
前記処理装置(161)は、前記電力網(102)における電圧低下がFIDVRに起因するものかどうかを判定するように更にプログラムされている、請求項8に記載の制御装置(160)。
【請求項10】
前記処理装置(161)は、
少なくとも1つの誘導電動機がストールしたかストールしつつあるかどうかを判定することと、
誘導電動機のストールを誘起する電力網状態を感知すること、のうちの少なくとも一方を行うように更にプログラムされている、
請求項8に記載の制御装置(160)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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