説明

故障回復パス計算方法および故障回復パス計算システム

【課題】1+1の冗長構成を、ネットワークの残資源を考慮して動的に設定する。
【解決手段】ノード10−n(nは自然数)とノード10−n同士のリンクとを有する通信ネットワーク100において、集中管理サーバ30は、送信元ノードであるノード10−1から宛先ノードであるノード10−10に至る現用パスPPと、送信元ノード10−1から、現用パスとは異なるノード10−nを介して宛先ノード10−nに至る予備パスとからなる1+1冗長構成をとる通信経路に対して、現用パスを構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、予備パスを新たな現用パスとして使用すると共に新たな予備パスを算出する。予備パスを構成するリンクのいずれかに故障が発生した際にも、新たな予備パスを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光(波長)パスやMPLS(Multi-Protocol Label Switching)を用いた伝送網に於ける故障回復パス計算方法および故障回復パス計算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク事業者は、予期しない故障の発生に対して迅速に代替の転送経路を提供し、転送品質の維持を行うことが求められる。特に重要なデータ送信を扱う基幹通信網インフラでは、高い耐障害性が要求される。
非特許文献1では、1つの始終点に対し、リンクもしくはノードを共有しない現用パスと予備パスを提供する1+1のパス設計法が提案されている。
【0003】
現用パスと予備パスはリンクもしくはノードを共有しないパスとして設計されるため、一方のパスの構成要素に故障が発生しても、他方のパスによる転送が可能となる。具体的には、1+1の冗長構成では、現用パスと予備パスが同時に設定されており、データを両系に流し受信端で受信データを切り替えている。現用パスに故障を検出した場合には受信端で速やかに受信データを切り替えることで、データ損失を小さくすることが可能である。
【0004】
しかし、現用パスが故障や工事により不通となると、一時的に予備パスのみの片肺運転となり、通信路の信頼性が低下する。このため、ネットワーク事業者は、故障が発生すると速やかに故障の復旧を行う必要がある。
【0005】
図11は、従来技術に於ける故障発生の例を示す図である。図11(a)は、ネットワーク事業者の作業のガントチャートである。このガントチャートは、横方向が時間軸であり、右横方向に時間の経過を示している。図11(b)は、ネットワーク事業者が運用する通信ネットワークの概略の構成図である。
【0006】
図11(b)に示すように、通信ネットワーク100は、ノード10−1〜10−10と、これらのノード10−n(n=1〜10)相互を接続するリンクとで構成されている。通信路の送信元は、ノード10−1である。通信路の宛先は、ノード10−10である。現用パスは、ノード10−1から、ノード10−2,10−9,10−6を経由して、ノード10−10に至る経路である。ノード10−9とノード10−6とを接続するリンクの放射状のマークは、このリンクに故障が発生したことを示している。
【0007】
図11(a)に示すように、X月2日の0時00分に、ノード10−9とノード10−6とを接続するリンクに故障が発生している。この現用パスの通信は途絶し、通信ネットワーク100を管理するネットワーク事業者は、復旧作業が必要となる。復旧作業が完了したのはX月2日の12時00分であり、この時点まで通信は途絶する。このように、故障が夜間に発生したとしてもネットワーク事業者は故障場所へ速やかに駆け付けて保守と修理とを行う必要があり、運用コストが増加する。
【0008】
これに対し、新たな予備パスを自動的に設定すると、故障後においても一定のネットワーク稼働率を担保できるため、故障のメンテナンスに十分な時間を割り当てることが可能となり、ネットワーク事業者が行う保守稼動のコスト、すなわち運用コストを削減可能となる。
非特許文献1には、新たな予備パスを設定するため、1つの送信元と宛先の組合せに対して1+1+1の3ルートを事前に設計する技術が開示されている。
【0009】
Disjointな(設備共有を行わない)3ルートを事前に設計するためにはネットワークは3辺連結グラフである必要がある。しかし、実際のネットワークモデルは3辺連結グラフでない場合が多く、3ルートを事前に設計する方法は実網への適用性が低いという課題がある。
【0010】
非特許文献2には、1+1の冗長構成をとる通信経路に於いて、動的にパスを算出する技術が開示されており、実際のネットワークモデルは3辺連結グラフでない場合が多い旨が記載されている。
更に、故障箇所に応じて動的にパスを設定することで、Disjoint制約を緩和して実網への適用性を高める方法が知られている。
【0011】
図10(a)〜(c)は、従来技術に於ける動的パス設定の概要を示す図である。
図10(a)に示す通信ネットワーク100aは、ノード10a−1〜10a−8を有している。ノード10a−1は、送信元ノードである。ノード10a−8は、宛先ノードである。ノード10a−1〜10a−8は、それぞれリンクによって通信可能に接続されている。現用パスPP−0は、送信元ノードである10a−1から、ノード10a−2,10a−5を介して、宛先ノードであるノード10a−8へと至る経路である。予備パスPR−0は、送信元ノードであるノード10a−1から、ノード10a−3,10a−6,10a−7を介して、宛先ノードであるノード10a−8へと至る経路である。
【0012】
図10(b)は、前述した図10(a)に示す現用パスPP−0の一部であったノード10a−2とノード10a−5とを接続するリンクが、故障リンクFT−1となった場合である。このとき、前述した図10(a)に示す予備パスPR−0を新たな現用パスPP−0とする。更に、故障リンクFT−1と予備パスを構成するリンクとを使用しないパスを、新たな予備パスPR−1とする。予備パスPR−1は、送信元ノードである10a−1から、ノード10a−4,10a−6,10a−5を介して、宛先ノードであるノード10a−8へと至る経路である。
【0013】
図10(c)は、前述した図10(a)に示す予備パスPR−0の一部であったノード10a−3とノード10a−6とを接続するリンクが、故障リンクFT−2となった場合である。このとき、故障リンクFT−2と現用パスPP−0を構成するリンクを使用しない経路を新たな予備パスPR−2として提供する。予備パスPR−2は、送信元ノードである10a−1から、ノード10a−3,10a−4,10a−6,10a−7を介して、宛先ノードであるノード10a−8へと至る経路である。
【0014】
これにより、1+1+1冗長構成の場合と比べ、動的パスが使用できるリンク数やノード数が増加し、Disjoint制約が緩和され、完全に3辺連結ではないネットワークにおいても救済可能な(動的パスを設定可能な)故障パターン数を増加させることが可能となる。
【0015】
しかしながら、上記の方式は始終点間の到達性のみを考慮しており運用中のネットワークの残資源を考慮していない。すなわち、利用可能な設備資源(具体的にはリンク帯域)が無限であるという前提のもとで、パスの遅延時間などを考慮したパスの計算法および必要帯域の計算法を提供している。一方で、既に1+1冗長構成で設計されたネットワークへ動的なパス設定法を適用する場合は、すでに設定されたパスが資源を使用しているため、残資源が定義される。すなわち、既に設計済で運用中のネットワークに動的なパス設定法を適用する場合、動的パスは到達性を満たすだけではなく、残資源の制約も満たす必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】E. Mannie、 D. Papadimitriou、"Recovery (Protection and Restoration) Terminology for Generalized Multi-Protocol Label Switching (GMPLS) "、Mar. 2006.、IETF RFC4427 6.1、
【非特許文献2】S. Kamamura. et al.、“Sticky 1+1 Path Protection Method by Dynamic Disjoint Path Discovery”、2011 Feb.、Proceedings of IEEE ONDM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
パス網においては、1+1の冗長構成をとることで、信頼性を向上させることができる。一方で、片方のパスが故障や工事により不通となると、一時的な片肺運転の状態が発生し、通信路の信頼性が低下する。このためネットワーク事業者は、故障が発生すると速やかに故障の復旧を行う必要があり、よって運用コストが増加するという課題があった。
【0018】
これに対して、事前に1+1+1の3ルートを設計する方法があるが、実網への適用性が低いという課題がある。1+1の冗長構成を動的に設定する方法は、従来は、到達性のみが考慮されており、残資源の制約を満たすことは考慮されていなかった。
そこで、本発明は、1+1の冗長構成を、ネットワークの残資源を考慮して動的に設定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ノードと前記ノード同士のリンクとを有する通信ネットワークの集中管理サーバの処理部が実行する故障回復パス計算方法であって、前記集中管理サーバは更に、前記通信ネットワークのトポロジと、送信元ノードから宛先ノードに至る現用通信経路、および、前記送信元ノードから、前記現用通信経路とは異なるノードを介して前記宛先ノードに至る予備通信経路からなる冗長構成をとる通信経路と、を記憶する記憶部を有しており、前記処理部は、前記現用通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、前記予備通信経路を新たな現用通信経路とするように前記ノードに指示し、前記故障が発生したリンク、および、前記新たな現用通信経路を構成するリンクを含まない第1のトポロジを作成し、前記第1のトポロジから、要求帯域よりも残資源帯域が少ないリンクを除去した第2のトポロジを作成し、前記第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に応じた重みを与えた第3のトポロジを作成し、前記第3のトポロジの最適経路を算出し、算出した最適経路を新たな予備通信経路として前記記憶部に記憶させることを特徴とする故障回復パス計算方法とした。
【0020】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算方法によれば、1+1の冗長構成のうち現用通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、ネットワークの残資源を考慮して動的に、この1+1冗長構成に復旧することが可能となる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、ノードと前記ノード同士のリンクとを有する通信ネットワークの集中管理サーバの処理部が実行する故障回復パス計算方法であって、前記集中管理サーバは更に、前記通信ネットワークのトポロジと、送信元ノードから宛先ノードに至る現用通信経路、および、前記送信元ノードから、前記現用通信経路とは異なるノードを介して前記宛先ノードに至る予備通信経路からなる冗長構成をとる通信経路と、を記憶する記憶部を有しており、前記処理部は、前記予備通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、前記故障が発生したリンク、および、前記現用通信経路を構成するリンクを含まない第1のトポロジを作成し、前記第1のトポロジから、要求帯域よりも残資源帯域が少ないリンクを除去した第2のトポロジを作成し、前記第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に応じた重みを与えた第3のトポロジを作成し、前記第3のトポロジの最適経路を算出し、算出した最適経路を新たな予備通信経路として前記記憶部に記憶させることを特徴とする故障回復パス計算方法とした。
【0022】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算方法によれば、1+1の冗長構成のうち予備通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、ネットワークの残資源を考慮して動的に、この1+1冗長構成に復旧することが可能となる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、前記処理部は、前記第3のトポロジの最適経路を、ダイクストラ法、ベルマン−フォード法、ワーシャル−フロイド法のいずれか1つによって算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の故障回復パス計算方法とした。
【0024】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算方法によれば、上記いずれか1つの方法によって、最適経路を計算することが可能となる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、前記処理部は、前記第2のトポロジの最適経路と、前記第2のトポロジの最適経路が要求する資源量である第2の要求資源量と、前記第3のトポロジの最適経路が要求する資源量である第3の要求資源量とを算出し、前記第2の要求資源量に対する前記第3の要求資源量の比率が所定閾値以上のとき、前記第2のトポロジの最適経路を、前記新たな予備通信経路とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の故障回復パス計算方法とした。
【0026】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算方法によれば、第2のトポロジの最適経路が要求する要求資源量が、第3のトポロジの最適経路が要求する第3の要求資源量よりも、明らかに少ない場合は、第2のトポロジの最適経路を採用し、通信ネットワークの収容効率を向上させることが可能となる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明は、前記処理部は、前記第2のトポロジの最適経路と前記第3のトポロジの最適経路とは、ダイクストラ法、ベルマン−フォード法、ワーシャル−フロイド法のいずれか1つによって算出することを特徴とする請求項4に記載の故障回復パス計算方法とした。
【0028】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算方法によれば、上記いずれか1つの方法によって、最適経路を計算することが可能となる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の故障回復パス計算方法によって、冗長構成をとる通信経路を算出する集中管理サーバと、前記集中管理サーバが管理する通信ネットワークと、を備えたことを特徴とする故障回復パス計算システムとした。
【0030】
このようにすることで、本発明に係る故障回復パス計算システムによれば、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の故障回復パス計算方法を、集中管理サーバに実行させることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、1+1の冗長構成を、ネットワークの残資源を考慮して動的に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態に於けるネットワーク構造の例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に於ける集中管理サーバと各ノードの構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に於ける集中管理サーバと各ノードの情報要素を示す図である。
【図4】第1の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示す図である。
【図5】第1の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態と従来技術に於けるメンテナンス時間と故障発生率CDFとの関係を示す図である。
【図7】第1の実施形態に於ける故障発生の例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示す図である。
【図9】第2の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示すフローチャートである。
【図10】従来技術に於ける動的パス設定の概要を示す図である。
【図11】従来技術に於ける故障発生の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以降、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
(第1の実施形態の構成)
図1は、第1の実施形態に於けるネットワーク構造の例を示す図である。
通信ネットワーク100は、複数のノード10−1〜10−10と、この複数のノード10−n間を通信可能に接続するリンクと、網状態情報収集システム20と、集中管理サーバ30とを有している。リンクはノード10−n間を接続することで、各ノード10−n間の通信経路を提供している。通常、ノード10−n間にはトラヒックが発生しており、トラヒックはノード10−n間に設定される伝送パスを用いて転送される。伝送パスは光レイヤの波長パスや、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)によるパケットレイヤのパスがある。
【0035】
網状態情報収集システム20は、通信ネットワーク100の複数のノード10−1〜10−10と接続されていると共に、集中管理サーバ30に接続されている。集中管理サーバ30は、通信ネットワーク100の複数のノード10−1〜10−10と接続されている。
【0036】
網状態情報収集システム20は、通信ネットワーク100の網状態情報を収集して集中管理サーバ30に通知する。集中管理サーバ30は、パスの計算を行い、ノード10−1〜10−10にパス情報を転送する。集中管理サーバ30にはPCE(Path Computation Element)などが用いられる。
【0037】
ノード10−1は、送信元ノードである。ノード10−10は、宛先ノードである。ノード10−1から、ノード10−2,10−9,10−6を介してノード10−10に至る経路は、現用パスPPである。通信データは、ノード10−1から、現用パスPPのリンクを介して、ノード10−10に送信される。
【0038】
本実施形態に於いて、通信網の状態(具体的にはリンクの残資源)を考慮する必要があるため、動的なパスは故障パターンに応じてオンラインで計算される。オンラインの計算はサーバ上が必要とするデータベースを小さく設計できるが、オフラインの計算(事前の計算)と比べてリアルタイムな計算が必要であるため、サーバに計算負荷をかけないことが必要とされる。
【0039】
図2(a),(b)は、第1の実施形態に於ける集中管理サーバと各ノードの構成を示す図である。図2(a)は、第1の実施形態に於ける集中管理サーバ30を示している。図2(b)は、第1の実施形態に於けるノード10−nに配置する機能とデータベースとを示している。なお、以下では、データベースをDBと記載している場合がある。
【0040】
集中管理サーバ30は、現用・予備パス計算部31と、動的パス計算部32と、ノード通信部33と、リンク容量DB34と、網トポロジDB35と、パス情報DB36と、残資源DB37とを有している。
【0041】
現用・予備パス計算部31は、通常時の現用パスや予備パスを計算する。現用・予備パス計算部31は、さまざまなポリシーで計算するが、例えば、リンクやノードを共有しない現用パスと予備パスとを計算する場合には、従来技術で記載した方法が用いられる。
動的パス計算部32は、動的に新たな予備パスを計算する。計算処理の詳細は、後述する図5で説明する。
ノード通信部33は、ノード10−1〜10−10との通信を行い、集中管理サーバ30で計算した結果をノード10−1〜10−10のいずれかに転送する。
リンク容量DB34と、網トポロジDB35と、パス情報DB36と、残資源DB37とは、後述する図3(a)で説明する。
【0042】
図2(b)は、第1の実施形態に於けるノードを示している。
ノード10−n(n=1〜10)は、それぞれデータ転送部11と、プロトコル・シグナリング処理部12と、サーバ通信部13と、経路情報DB14と、網トポロジDB15と、パス情報DB16を有している。
データ転送部11は、リンクを介して、ノード10−n相互間に於けるデータの転送処理を行う。
【0043】
プロトコル・シグナリング処理部12は、経路計算のための情報収集やパス開通とパス開放のためのシグナリングを行う。網使用状況情報収集にはOSPF−TE(Open Shortest Path First-Traffic Engineering)、パス制御にはRSVP−TE(Resource Reservation Protocol - Traffic Engineering)などが用いられる。また、故障情報の通知なども行われる。本実施形態では、OSPF−TEによって、各リンクの残資源情報を取得する。
【0044】
サーバ通信部13は、集中管理サーバ30との通信を行う。サーバ通信部13は、集中管理サーバ30から送信されるパス情報を受信し、パス情報DB16に格納する。
経路情報DB14と、網トポロジDB15と、パス情報DB16とは、後述する図3(b)で説明する。
【0045】
図3(a),(b)は、第1の実施形態に於ける集中管理サーバと各ノードの情報要素を示す図である。
図3(a)は、第1の実施形態に於ける集中管理サーバの情報要素を示している。
リンク容量DB34には、各リンクの容量が格納されている。この各リンクの容量の情報は、網状態情報収集システム20や、オペレータの投入によって取得される。
【0046】
網トポロジDB35には、ノード10−nとリンクの接続関係が格納されている。このノード10−nとリンクの接続関係の情報は、網状態情報収集システム20によって取得される。
パス情報DB36には、各リンクが故障したときの新たな予備パス情報が格納されている。この予備パス情報は、動的パス計算部32によって出力される。
残資源DB37には、リンクの残資源情報が格納されている。このリンクの残資源情報は、網状態情報収集システム20によって取得される。
【0047】
図3(b)は、第1の実施形態に於ける各ノードの情報要素を示している。
経路情報DB14には、データ宛先と出力インタフェースとの対応関係が格納されている。このデータ宛先と出力インタフェースとの対応関係の情報は、パス情報やルーチングプロトコルの情報を元に作成される。
【0048】
網トポロジDB15には、ノード10−nとリンクとの接続関係が格納されている。このノード10−nとリンクとの接続関係の情報は、OSPF(Open Shortest Path First)などのIGP(Interior Gateway Protocol)ルーチングプロトコルを用いて取得される。
【0049】
パス情報DB16には、故障発生時の予備パス情報が格納されている。この予備パス情報は、集中管理サーバ30より送信され、各ノード10−nが必要に応じて、このパス情報DB16に格納する。具体的には、自ノード10−nを発着点としないフローのパス情報は保持しない。これにより、各ノード10−nが記憶すべきパス情報を最小限に抑えることが可能である。
【0050】
(第1の実施形態の動作)
図4(a)〜(c)は、第1の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示す図である。
図4(a)〜(c)に示す通信ネットワーク100bは、ノード10b−1〜10b−7を有している。
ノード10b−1は、ノード10b−2,10b−3,10b−4と通信可能に接続されている。
ノード10b−2は、ノード10b−1,10b−4,10b−5と通信可能に接続されている。但し、ノード10b−2とノード10b−5との間は、高負荷リンクLK−0である。
ノード10b−3は、ノード10b−1,10b−4,10b−6と通信可能に接続されている。
ノード10b−4は、ノード10b−2,10b−3,10b−5,10b−6と通信可能に接続されている。
【0051】
ノード10b−5は、ノード10b−2,10b−4,10b−7と通信可能に接続されている。但し、ノード10b−5とノード10b−2との間は、高負荷リンクLK−0である。
ノード10b−6は、ノード10b−3,10b−4,10b−7と通信可能に接続されている。
ノード10b−7は、ノード10b−4,10b−5,10b−6と通信可能に接続されている。
【0052】
図4(a)では、ノード10b−4を通るリンクFT−1の故障により、中央のパスPF−0が故障し、ノード10b−3,10b−6を経由する下側の予備パスが新たな現用パスPP−1として使用される例を示している。このとき、従来技術の故障回復パス計算法では、残資源を考慮しないため、故障リンクFT−1と新たな現用パスPP−1を構成するリンクとを除いたトポロジT1に対して、最小コスト経路を計算する。このとき、最小コスト経路上に高負荷リンクLK−0が存在し、パスの要求帯域を満たせない。このとき、新たな最小コスト経路である新たな予備パスPR−1は、高負荷リンクLK−0によってブロックされる。すなわち、この故障パターンに対しては、新たな予備パスPR−1は設定できない。
【0053】
図4(b)では、トポロジT1から高負荷リンクLK−0を除いたトポロジT2を作成し、このトポロジT2に対して最短経路計算を行った結果である。要求帯域を満たさない高負荷リンクLK−0を除外して最短経路を計算することにより、この高負荷リンクLK−0によってパスがブロックされる現象を回避可能である。
【0054】
図4(c)では、要求帯域を満たすリンクにおいても重み付けを行う本アルゴリズムの動作例を示した。
ノード10b−4とノード10b−5との間のリンクの残資源量(未使用帯域)は、5Gbpsである。ノード10b−5とノード10b−7との間のリンクの残資源量(未使用帯域)は、5Gbpsである。ノード10b−4とノード10b−7との間のリンクの残資源量(未使用帯域)は、0.5Gbpsである。
【0055】
リンクの残資源に応じてリンクの重みを変えることで、最小コスト経路計算時の経路を制御している。例えば、図4(b)ではノード10b−4とノード10b−7との間のリンクを経由する経路を選択するが、当該リンクの残資源は0.5Gbpsと少ない。このような残資源が少ないリンクを優先的に使用すると、他のフローを計算するときに使用できる資源が限られてしまう。
【0056】
本実施形態では、残資源が多いリンクから優先的に使用し、フロー全体の資源利用効率を高めている。具体的には、ノード10b−4とノード10b−5との間のリンクと、ノード10b−5とノード10b−7との間のリンクは、それぞれ5Gbpsと多いため、これらのリンクを使用している。
【0057】
図4(a)〜(c)では故障リンクFT−1を経由していた1つのフローに着目した例を示した。しかし、一つの故障箇所には、複数のフローが含まれる場合が多いため、残資源を考慮した故障回復パス計算法は、フロー全体の収容効率を高めるためには重要である。
図5は、第1の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示すフローチャートである。
集中管理サーバ30が故障リンクXを発見したとき、図5の処理が開始する。
処理が開始すると、ステップS10〜S17に於いて、動的パス計算部32は、故障リンクXを経由する全フローに対して処理を繰り返す。
【0058】
ステップS11に於いて、動的パス計算部32は、当該フローが予備パスを経由するか、現用パスを経由するかを判断する。当該フローが予備パスを経由するならば、ステップS13の処理を行う。当該フローが現用パスを経由するならば、ステップS12の処理を行う。現用パスとは、現用通信経路のことをいう。予備パスとは、予備通信経路のことをいう。
【0059】
ステップS12に於いて、動的パス計算部32は、故障リンクXおよび予備パスを構成するリンクのどちらも含まないトポロジT1を作成し、ステップS14の処理を行う。
【0060】
ステップS13に於いて、動的パス計算部32は、故障リンクXおよび現用パスを構成するリンクのどちらも含まないトポロジT1を作成し、ステップS14の処理を行う。
【0061】
ステップS14に於いて、動的パス計算部32は、フローfが要求する帯域B(f)よりも残資源が少ないリンクをトポロジT1から除去したトポロジT2を作成する。ここで残資源とは、リンクの残帯域のことをいう。
【0062】
ステップS15に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT2上に存在するリンクに対し各リンクの残資源に反比例した重みを与え、この重みを与えた新たなトポロジT3を作成する。
具体的には、リンクl∈Lのリンク重みをw(l)、リンクlの残資源をA(l)と表現したとき、以下の式1によってリンクlの重みを決定する。
w(l)= int{max_{i∈L}A(i)/ A(l)}・・・(式1)
max_{i∈L}A(i)は、全リンクの中で残資源が最大のリンクの資源量を意味する。int(x)は、xを整数値へ変換することを意味する。
【0063】
ステップS16に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT3に対して、ダイクストラ(Dijkstra)法による最小コスト経路を計算し、動的パスを出力する。
【0064】
ステップS17に於いて、動的パス計算部32は、故障リンクXを経由する全フローに対して処理を繰り返していないならば、ステップS10の処理に戻る。故障リンクXを経由する全フローに対して処理を繰り返したならば、図5の処理を終了する。
【0065】
図5の処理により現用パスを構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、予備パスを新たな現用パスとして使用すると共に、新たな予備パスを算出する。前記予備パスを構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、新たな予備パスを算出する。
【0066】
図6は、第1の実施形態と従来技術に於けるメンテナンス時間と故障発生率CDFとの関係を示す図である。
図6の横軸はメンテナンス時間であり、縦軸は故障発生率のCDF(累積分布関数:Cummulative Distribution Function)である。
【0067】
例えば、メンテナンス時間として72時間を確保したいモデルを考える。これは、ネットワークに週末に故障が発生しても、運用者は、土日を休み、月曜日に出社したのちにネットワークを故障から復旧させるというモデルである。
【0068】
従来技術の動的パス設定法では、残資源が足りず動的パスを設定できないケースが多いため、早い段階でグラフが上昇する。一方で、第1の実施形態では動的パスを設定できるケースが多いためグラフの上昇が緩やかとなる。その結果として、従来技術の動的パス設定法では、メンテナンスに72時間割り当て可能な故障パターンは60%となる。40%の故障パターンに於いて、運用者は、ネットワークの故障を72時間以下で復旧する必要がある。
【0069】
第1の実施形態の動的パス計算法では、90%の故障パターンに対してはメンテナンスに72時間を割り当て可能となる。第1の実施形態の動的パス計算法によれば、ネットワークを72時間の間、90%の割合でメンテナンスフリーとすることが可能である。完全にメンテナンスフリーとできない場合であっても、メンテナンスフリーとなるケースを確率的に増加させることが可能である。
【0070】
図7(a),(b)は、第1の実施形態に於ける故障発生の例を示す図である。図7(a)は、ネットワーク事業者の作業のガントチャートである。このガントチャートは、横方向が時間軸を示し、右横方向に時間の経過を示している。図7(b)は、ネットワーク事業者が運用する通信ネットワークの概略の構成図である。
【0071】
図7(b)に示すように、通信ネットワーク100は、ノード10−1〜10−10と、これらのノード10−n(n=1〜10)相互を接続するリンクとで構成されている。通信路の送信元はノード10−1である。通信路の宛先は、ノード10−10である。現用パスPPは、ノード10−1から、ノード10−2,10−9,10−6を経由して、ノード10−10に至る経路である。ノード10−9とノード10−6とを接続するリンクの放射状のマークは、このリンクに故障が発生したことを示している。
【0072】
図7(a)に示すように、X月2日の0時0分に、通信ノード10−9と通信ノード10−6とを接続するリンクに故障が発生している。しかし、第1の実施形態の通信ネットワーク100は、X月2日の9時00分に1+1の冗長構成に自動で復旧する。通信ネットワーク100を管理するネットワーク事業者は、即座に復旧作業を完了する必要はない。この事例では、X月2日の21時0分に復旧作業を完了させている。
【0073】
本実施形態のように、新たな予備パスを自動的に設定すると、故障後においても一定のネットワーク稼働率を担保できるため、故障のメンテナンスに十分な時間を割り当てることが可能となり、ネットワーク事業者が行う保守稼動のコスト、すなわち運用コストを削減可能となる。
【0074】
本実施形態の故障回復パス計算法は、ネットワーク運用後の故障箇所に応じて新たな予備パスを動的に設定することで、ネットワークが自律的に1+1の冗長構成に復旧し、故障発生後においても高いネットワーク稼働率を保持する。このため、故障復旧のために十分なメンテナンス時間を確保することが可能となり、夜間メンテナンスを不要とするといった運用コスト削減を実現する。
【0075】
本実施形態の故障回復パス計算法は更に、ネットワークの残資源を考慮して使用可能な資源を効率的に使用する方法であるため、既に運用中のネットワークへ適用可能であり、かつ、利用可能資源が制限された状況において1+1の冗長構成に復旧できる割合を増加させることが可能である。
なお、1+1の冗長構成に復旧できる割合が増加することは、十分なメンテナンス時間を割り当て可能な故障パターンの割合が増加することと等価である。
【0076】
本実施形態の故障回復パス計算法は、運用後の故障箇所に応じて新たな予備パスを計算する。単一リンク故障に対しては、常に二重化された通信路を提供することが可能となる。予備パスを計算する際には残資源を考慮したパスを計算する。具体的には、パスを計算する際に必要な帯域要件を満たさないリンクを除外するとともに、帯域要件を満たすリンクであってもその残資源に応じて重み付けを行うことで、残資源の多いリンクから優先的に使用する。これにより、与えられた網資源上に収容可能な動的パスの数を最大化する。したがって、既存資源のみで1+1の冗長構成に復旧できる割合を増加させることが可能となる。
【0077】
(第1の実施形態の効果)
以上説明した第1の実施形態では、次の(A)〜(C)のような効果がある。
(A) ネットワーク運用後の故障箇所に応じて、新たな予備パスを動的に設定することで、ネットワークが自律的に1+1の冗長構成に自動で復旧し、故障発生後においても高いネットワーク稼働率を保持する。このため、故障復旧のために十分なメンテナンス時間を確保することが可能となり、夜間メンテナンスを不要とするといった運用コスト削減を実現する。
【0078】
(B) ネットワークの残資源を考慮して使用可能な資源を効率的に使用する方法であるため、既に運用中のネットワークへ適用可能であり、かつ、利用可能資源が制限された状況において1+1の冗長構成に復旧できる割合を増加させることが可能である。
【0079】
(C) 1+1の冗長構成に復旧できる割合が増加することにより、十分なメンテナンス時間を割り当て可能な故障パターンの割合が増加する。
【0080】
(第2の実施形態の構成)
第2の実施形態の通信ネットワーク100の構成は、図1に示す第1の実施形態の通信ネットワーク100の構成と同様である。
【0081】
(第2の実施形態の動作)
図8(a),(b)は、第2の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示す図である。図8(a)は、トポロジT2に対する最小コスト経路を示している。図8(b)は、トポロジT3に対する最小コスト経路を示している。
【0082】
第1の実施形態の故障回復パス計算法では、残資源の多いリンクから優先して使用する経路が計算される。一方で、残資源を考慮することでホップ数の長い経路となりトータルで要求する資源が増加する場合が存在する。
【0083】
図8(a)に示すトポロジT2に対する最小コスト経路は、ノード10c−1からノード10c−3を経由してノード10c−7に至る経路である。トポロジT2に対する最小コスト経路の要求資源量は、100Mbpsである。
【0084】
図8(b)に示すトポロジT3に対する最小コスト経路は、ノード10c−1からノード10c−2〜10c−6を経由してノード10c−7に至る経路である。トポロジT3に対する最小コスト経路の要求資源量は、300Mbpsである。
【0085】
図8(a)に示すトポロジT2に対する最小コスト経路の要求資源量100Mbpsが、図8(b)に示すトポロジT3に対する最小コスト経路の要求資源量300Mbpsよりも、明らかに少ない場合は、トポロジT2に対する最小コスト経路を採用する。これにより、通信ネットワーク100の収容効率を向上させることが可能である。
【0086】
図9は、第2の実施形態に於ける故障回復パス計算法を示すフローチャートである。図5に示す第1の実施形態の故障回復パス計算法を示すフローチャートと同一の要素には同一の符号を付与している。
処理が開始したのち、ステップS10〜S15の処理は、図5に示す第1の実施形態の故障回復パス計算法のステップS10〜S15の処理と同様である。
【0087】
ステップS20に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT2に対する最小コスト経路と、要求資源量RT2とを計算する。トポロジT2とは、第2のトポロジである。要求資源量RT2は、第2の要求資源量である。
【0088】
ステップS21に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT3に対する最小コスト経路と、要求資源量RT3とを計算する。トポロジT3とは、第3のトポロジである。要求資源量RT3は、第3の要求資源量である。
【0089】
ステップS22に於いて、動的パス計算部32は、RT2が(α×RT3)よりも小さいか否かを判断する。ここで、αは所定値の係数である。RT2が(α×RT3)よりも小さいならば(Yes)、ステップS23の処理を行う。RT2が(α×RT3)以上ならば(No)、ステップS24の処理を行う。
ステップS23に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT2に対する最小コスト経路を動的パスとして採用し、ステップS17の処理を行う。
ステップS24に於いて、動的パス計算部32は、トポロジT3に対する最小コスト経路を動的パスとして採用し、ステップS17の処理を行う。
すなわち、第2の要求資源量に対する第3の要求資源量の比率が所定閾値以上のとき、第2のトポロジの最適経路を、新たな予備通信経路としている。
ステップS17以降の処理は、図5に示す第1の実施形態の故障回復パス計算法のステップS17以降の処理と同様である。
【0090】
(第2の実施形態の効果)
以上説明した第2の実施形態では、次の(D)のような効果がある。
(D) トポロジT2に対する最小コスト経路の要求資源量が、トポロジT3に対する最小コスト経路の要求資源量よりも、明らかに少ない場合は、トポロジT2に対する最小コスト経路を採用する。これにより、通信ネットワーク100の収容効率を向上させることが可能である。
【0091】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0092】
(a) 第1、第2の実施形態の故障回復パス算出法では、ダイクストラ法によって最適経路を計算している。しかし、これに限られず、ベルマン−フォード法、または、ワーシャル−フロイド法を用いても良い。
【0093】
(b) 第1、第2の実施形態の故障回復パス算出法では、網状態情報収集システム20によって通信ネットワーク100の状態を取得し、集中管理サーバ30は、取得した情報に基いて各ノード10−1〜10−10を管理している。しかし、これに限られず、集中管理サーバ30が自ら通信ネットワーク100の状態を取得しても良い。
(c) 第1、第2の実施形態の故障回復パス算出法では、第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に反比例した重みを与えた第3のトポロジを作成し、この第3のトポロジの最適経路を算出している。しかし、これに限られず、第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に応じた重みを与えた第3のトポロジを作成し、この第3のトポロジの最適経路を算出しても良い。例えば、1.0から当該各リンクの残資源帯域の割合を除算した重みを、第2のトポロジの各リンクに付与して第3のトポロジを作成し、この第3のトポロジの最適経路を算出しても良い。同様に、残資源帯域の増加に対して単調減少するいずれの関数を用いても良い。
【符号の説明】
【0094】
10−1〜10−10 ノード
10a−1〜10a−8 ノード
10b−1〜10b−7 ノード
10c−1〜10c−7 ノード
LK−0 高負荷リンク
X,FT−1,FT−2 故障リンク
PP−1,PP 現用パス(現用通信経路)
PF−0,PF−1 故障パス
PR−1〜PR−3 新たな予備パス(新たな予備通信経路)
11 データ転送部
12 プロトコル・シグナリング処理部
13 サーバ通信部
14 経路情報DB
15 網トポロジDB
16 パス情報DB
20 網状態情報収集システム
30 集中管理サーバ
31 現用・予備パス計算部
32 動的パス計算部
33 ノード通信部
34 リンク容量DB
35 網トポロジDB
36 パス情報DB
37 残資源DB
T1 トポロジ(第1のトポロジ)
T2 トポロジ(第2のトポロジ)
T3 トポロジ(第3のトポロジ)
RT2,RT3 要求資源量
100,100a,100b,100c 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードと前記ノード同士のリンクとを有する通信ネットワークの集中管理サーバの処理部が実行する故障回復パス計算方法であって、
前記集中管理サーバは更に、
前記通信ネットワークのトポロジと、
送信元ノードから宛先ノードに至る現用通信経路、および、前記送信元ノードから、前記現用通信経路とは異なるノードを介して前記宛先ノードに至る予備通信経路からなる冗長構成をとる通信経路と、を記憶する記憶部を有しており、
前記処理部は、
前記現用通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、前記予備通信経路を新たな現用通信経路とするように前記ノードに指示し、
前記故障が発生したリンク、および、前記新たな現用通信経路を構成するリンクを含まない第1のトポロジを作成し、
前記第1のトポロジから、要求帯域よりも残資源帯域が少ないリンクを除去した第2のトポロジを作成し、
前記第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に応じた重みを与えた第3のトポロジを作成し、
前記第3のトポロジの最適経路を算出し、
算出した最適経路を新たな予備通信経路として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする故障回復パス計算方法。
【請求項2】
ノードと前記ノード同士のリンクとを有する通信ネットワークの集中管理サーバの処理部が実行する故障回復パス計算方法であって、
前記集中管理サーバは更に、
前記通信ネットワークのトポロジと、
送信元ノードから宛先ノードに至る現用通信経路、および、前記送信元ノードから、前記現用通信経路とは異なるノードを介して前記宛先ノードに至る予備通信経路からなる冗長構成をとる通信経路と、を記憶する記憶部を有しており、
前記処理部は、
前記予備通信経路を構成するリンクのいずれかに故障が発生した際に、前記故障が発生したリンク、および、前記現用通信経路を構成するリンクを含まない第1のトポロジを作成し、
前記第1のトポロジから、要求帯域よりも残資源帯域が少ないリンクを除去した第2のトポロジを作成し、
前記第2のトポロジの各リンクに、当該各リンクの残資源帯域に応じた重みを与えた第3のトポロジを作成し、
前記第3のトポロジの最適経路を算出し、
算出した最適経路を新たな予備通信経路として前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする故障回復パス計算方法。
【請求項3】
前記処理部は、
前記第3のトポロジの最適経路を、ダイクストラ法、ベルマン−フォード法、ワーシャル−フロイド法のいずれか1つによって算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の故障回復パス計算方法。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第2のトポロジの最適経路と、前記第2のトポロジの最適経路が要求する資源量である第2の要求資源量と、前記第3のトポロジの最適経路が要求する資源量である第3の要求資源量とを算出し、
前記第2の要求資源量に対する前記第3の要求資源量の比率が所定閾値以上のとき、前記第2のトポロジの最適経路を、前記新たな予備通信経路とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の故障回復パス計算方法。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第2のトポロジの最適経路と前記第3のトポロジの最適経路とは、ダイクストラ法、ベルマン−フォード法、ワーシャル−フロイド法のいずれか1つによって算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の故障回復パス計算方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の故障回復パス計算方法によって、冗長構成をとる通信経路を算出する集中管理サーバと、前記集中管理サーバが管理する通信ネットワークと、
を備えたことを特徴とする故障回復パス計算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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