説明

故障検出回路付圧電発振回路及び物理量センサー

【課題】精度よく故障の有無を検出できる故障検出回路付圧電発振回路及び物理量センサーを提供すること。
【解決手段】圧電振動子11と発振動作用の増幅部12とを含む発振部10と、発振部10と直流電源40との間に流れる電流を検出する電流検出部20と、電流検出部20が検出する電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する判定部30とを含む。増幅部12は、直列接続された3つ以上の反転増幅回路を含んでもよい。電流検出部20は、発振部10と直流電源40の電源電位とを接続する抵抗21を含み、判定部30は、抵抗21の両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障検出回路付圧電発振回路及び物理量センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
慣性力を検出して加速度を検知するための加速度検出器や、タイヤ空気圧力を検知するための圧力検出器には、力センサーが用いられる。このような力センサーには水晶振動子を力検出素子とした水晶発振回路からなるものが知られている。水晶発振回路からなる力センサーは、水晶振動子のQ値が高いことから他の半導体センサーと比較して検出精度が高いことが特徴である。
【0003】
例えば加速度検出器であれば、水晶発振回路からなる力センサーは、車などの限られたスペースに搭載されるカーナビゲーションシステムに使用する場合があり、小型なものが好まれる。したがって、水晶発振回路からなる力センサーを小型化するためには、水晶振動子の形状も小さくせざるを得ない。
【0004】
しかし、水晶振動子を小さく構成した場合には、水晶振動子のCI(Crystal Impedance)が大きくなることで発振動作が鈍くなる。この結果、水晶振動子を小さく構成した場合には、水晶発振回路の起動特性を維持することが難しい。
【0005】
そこで、水晶振動子を小さく構成しつつ起動特性を維持する為には、例えば特許文献1に記載の発振回路のように、発振用増幅回路の増幅率を予め大きく設定できる回路を適用することが好ましい。
【0006】
また、力センサーは、力検出素子に検出すべき力により応力が加えられて使用されるため、時には応力に耐え切れず破損してしまう可能性もある。したがって、例えば、力センサーがタイヤ空気圧力センサーなどの安全装置に使用されるものであれば、力センサーには正常動作不可能であることを知らせる為の故障検出回路を備えておくことが要求される。
【0007】
そのため、例えば、水晶発振回路から出力される信号の出力レベルや周波数等を監視することにより水晶振動子の故障の有無を検出する故障検出回路が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−163633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水晶振動子が故障した場合においても水晶振動子の容量成分が残るため、特に発振用増幅回路の増幅率を大きくした水晶発振回路では、発振用増幅回路と帰還抵抗、水晶振動子の容量成分、その他発振回路内の寄生抵抗や寄生容量等によりCR発振する場合がある。このような場合には、水晶発振回路から出力される信号の出力レベルや周波数等を監視していても、CR発振による出力信号を異常信号であるものと判断できない場合がある。その結果、水晶振動子の故障を検出できない場合がある。
【0010】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、精度よく故障の有無を検出できる故障検出回路付圧電発振回路及び物理量センサーを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る故障検出回路付圧電発振回路は、圧電振動子と発振動作用の増幅部とを含む発振部と、前記発振部と直流電源との間に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部が検出する電流に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定する判定部とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、発振部と直流電源との間に流れる電流に基づいて圧電振動子の故障の有無を判定できる。したがって、精度よく故障の有無を検出できる故障検出回路付圧電発振回路を実現できる。
【0013】
(2)この故障検出回路付圧電発振回路では、前記増幅部は、直列接続された3つ以上の反転増幅回路を含んでもよい。
【0014】
増幅部の増幅率を高めることは、圧電発振回路の起動特性を向上させるために有効である。しかし、増幅部の増幅率が高い場合には、圧電振動子が故障した場合にCR発振しやすい。したがって、増幅部が直列接続された3つ以上の反転増幅回路で構成されている場合には、圧電振動子が故障した場合にCR発振しやすい。このような場合に、発振部と直流電源との間に流れる電流に基づいて圧電振動子の故障の有無を判定する本発明は特に有効である。
【0015】
(3)この故障検出回路付圧電発振回路では、前記電流検出部は、前記発振部と前記直流電源の電源電位とを接続する抵抗を含み、前記判定部は、前記抵抗の両端電圧に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定してもよい。
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で圧電振動子の故障の有無を精度よく判定することができる。
【0017】
(4)この故障検出回路付圧電発振回路では、前記電流検出部は、前記発振部と前記直流電源の接地電位とを接続する抵抗を含み、前記判定部は、前記抵抗の両端電圧に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定してもよい。
【0018】
本発明によれば、簡易な構成で圧電振動子の故障の有無を精度よく判定することができる。また、電源電位に比べて接地電位は安定していることが多いため、より簡易な構成でより精度よく振動子の故障の有無を判定することができる。
【0019】
(5)本発明に係る物理量センサーは、これらのいずれかの故障検出回路付圧電発振回路を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、発振部と直流電源との間に流れる電流に基づいて圧電振動子の故障の有無を判定できる。したがって、精度よく故障の有無を検出できる物理量センサーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図。
【図2】第1実施形態の変形例に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図。
【図3】第2実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図。
【図4】第3実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図。
【図5】第4実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図。
【図6】本実施形態に係る物理量センサーの構成例を示す回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1.第1実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路
〔回路構成〕
図1は、第1実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図である。
【0024】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路1は、発振部10を含む。発振部10は、圧電振動子11と発振動作用の増幅部12とを含む。
【0025】
圧電振動子11としては、例えば、水晶振動子やセラミック振動子、ニオブ酸リチウム振動子、タンタル酸リチウム振動子などの単結晶材料を用いた振動子や、酸化亜鉛圧電薄膜振動子、酸化アルミニウム圧電薄膜振動子などの圧電性薄膜を用いた振動子を用いてもよい。本実施形態においては、圧電振動子11として水晶振動子を用いる例について説明する。
【0026】
発振部10は、圧電振動子11の励振に基づいて発振動作を行い、出力端子18から発振信号を出力する。圧電振動子11と増幅部12とは並列に接続されている。また、発振部10は、圧電振動子11及び増幅部12と並列に接続されて帰還抵抗となる直列接続された3つの抵抗13、14、15と、圧電振動子11の両端にそれぞれ接続されて共振回路を構成する容量素子16、17を含んでいる。
【0027】
増幅部12は、増幅部12の入力信号の位相と出力信号の位相とが互いに反転するように直列接続された3つ以上の反転増幅回路を含んでもよく、例えば増幅部12の入出力端子間に3つ以上の奇数個の反転増幅回路を直列接続した構成を有する。本実施形態においては、増幅部12は、直列接続された3つの反転増幅回路121、122、123を含んで構成されている。反転増幅回路121の入力端子と出力端子は、抵抗13を介して接続され、反転増幅回路122の入力端子と出力端子は、抵抗14を介して接続され、反転増幅回路123の入力端子と出力端子は、抵抗15を介して接続されている。
【0028】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路1は、電流検出部20を含む。電流検出部20は、発振部10と直流電源40との間として発振部10と直流電源40の正電位側の端子との間に流れる電流を検出する。本実施形態においては、電流検出部20は、発振部10と直流電源40の電源電位とを接続する抵抗21を含んで構成されている。
【0029】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路1は、判定部30を含む。判定部30は、電流検出部20が検出する電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。本実施形態においては、判定部30は、抵抗21の両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。図1に示す例では、判定部30は、比較器31、基準電圧生成回路32、差動増幅回路33を含んで構成されている。
【0030】
差動増幅回路33は、抵抗21の両端(A点とB点)の電位をそれぞれ入力し、抵抗21の両端電位の差(抵抗21の両端電圧)を増幅して出力する。本実施形態においては、差動増幅回路33は、増幅器331、電源電位(A点の電位)と増幅器331の非反転入力端子とを接続する抵抗332、接地電位と増幅器331の非反転入力端子とを接続する抵抗333、抵抗21により降下した電位(B点の電位)と増幅器331の反転入力端子とを接続する抵抗334、増幅器331の出力端子と反転入力端子とを接続する抵抗335を含んで構成されている。なお、差動増幅回路33の増幅率は1倍であってもよい。
【0031】
基準電圧生成回路32は、抵抗321と抵抗322とで電源電圧を分圧して基準電圧Vrefを生成する。
【0032】
比較器31は、差動増幅回路33の出力電圧と基準電圧Vrefとを比較し、比較結果を出力端子34から出力する。本実施形態においては、基準電圧Vrefよりも差動増幅回路33の出力電圧が大きい場合にハイレベル、基準電圧Vrefよりも差動増幅回路33の出力電圧が小さい場合にローレベルの信号を出力する。
【0033】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路1は、容量素子42、44を含んでもよい。容量素子42は、電源電位(A点の電位)と接地電位との間に接続されている。また、容量素子44は、抵抗21により降下した電位(B点の電位)と接地電位との間に接続されている。これらの容量素子により、発振部10に対する直流電源40のノイズ成分の影響を抑制したり、直流電源40に対する発振部10の発振動作による影響を抑制したりすることができる。
【0034】
〔故障検出原理〕
圧電振動子11が故障した場合においても圧電振動子11の例えば2つの励振電極間には容量成分が残るため、特に発振部10の増幅部12の増幅率を大きくした場合には、増幅部12と、帰還抵抗となる直列接続された抵抗13、14、15、圧電振動子11の容量成分、その他故障検出回路付圧電発振回路1内の寄生抵抗や寄生容量等によりCR発振する場合がある。この場合、出力端子18からは発振信号が出力されることになるため、出力端子18から出力される信号を監視しても、圧電振動子11の故障を検出できない場合がある。
【0035】
一般に、圧電振動子11による発振はQ値が相対的に高く、CR発振はQ値が相対的に低い。したがって、発振部10が圧電振動子11により発振している場合には、増幅器10は圧電振動子11の共振特性により決定された純度の高い特定周波数信号を増幅することになるので、発振部10の増幅部12で必要とされる電流は相対的に少ない。一方、発振部10がCR発振している場合には、増幅器10は上述の場合と比較して広帯域に亘る周波数信号を増幅することになるので、発振部10の増幅部12で必要とされる電流は相対的に多い。
【0036】
よって、発振部10が、圧電振動子11が故障してCR発振している場合には、発振部10が圧電振動子11により発振している場合に比べて、直流電源40から抵抗21を介して発振部10の増幅部12に流れる電流が大きくなる。したがって、抵抗21の両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。これにより、CR発振している場合についても故障として検出できるため、圧電振動子11の故障の有無を精度よく検出できる。
【0037】
本実施形態においては、基準電圧Vrefを適切に設定することにより、圧電振動子11が故障していない場合(圧電振動子11により発振している場合)にはローレベル、圧電振動子11が故障している場合(CR発振している場合)にはハイレベルの信号を出力端子34から出力することができる。
【0038】
〔変形例〕
図1に示す故障検出回路付圧電発振回路1では、判定部30は、差動増幅回路33を介して抵抗21の両端電圧を比較器31に入力して、振動子11の故障の有無を判定しているが、図2に示す故障検出回路付圧電発振回路1aのように、判定部30aは、抵抗21により降下した電位(B点の電位)を比較器31aに直接入力してもよい。直流電源40の電源電圧が既に分かっていて、十分に安定している場合には、抵抗21により降下した電位(B点の電位)のみで抵抗21の両端電圧が分かるからである。
【0039】
このように、差動増幅回路33を省略することにより、より簡易な構成で振動子11の故障の有無を判定することができる。
【0040】
2.第2実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路
図3は、第2実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図である。なお、図1及び図2に示す故障検出回路付圧電発振回路1及び1aと同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路2は、発振部10と直流電源40との間に流れる電流を検出する電流検出部20aとして、発振部10と直流電源40の接地電位とを接続する抵抗21aを含む。電流検出部20aは、発振部10と直流電源40との間として発振部10と直流電源40の負電位側の端子(例えば接地電位)との間に流れる電流を検出する。
【0042】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路2は、判定部30bを含む。判定部30bは、電流検出部20aが検出する電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。本実施形態においては、判定部30bは、抵抗21aの両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。図3に示す例では、判定部30bは、比較器31b、基準電圧生成回路32を含んで構成されている。
【0043】
判定部30bは、抵抗21aを流れる電流により発生する電位(C点の電位)を、比較器31aで基準電圧Vrefと比較することにより、圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。
【0044】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路2の故障検出原理については、第1実施形態において説明したとおりである。したがって、抵抗21aの両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。これにより、CR発振している場合についても故障として検出できるため、圧電振動子11の故障の有無を精度よく検出できる。
【0045】
本実施形態においては、基準電圧Vrefを適切に設定することにより、圧電振動子11が故障していない場合(圧電振動子11により発振している場合)にはローレベル、圧電振動子11が故障している場合(CR発振している場合)にはハイレベルの信号を出力端子34から出力することができる。
【0046】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路2によれば、電源電位に比べて接地電位は安定していることが多いため、図1に示す故障検出回路付圧電発振回路1よりも簡易な構成で、精度よく振動子11の故障の有無を判定することができる。
【0047】
3.第3実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路
図4は、第3実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図である。なお、図1乃至図3に示す故障検出回路付圧電発振回路1、1a及び2と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0048】
図1乃至図3に示す故障検出回路付圧電発振回路1、1a及び2は、発振部10がインバーター型の発振回路であるが、図4に示す故障検出回路付圧電発振回路3は、発振部10aがコルピッツ型の発振回路となっている。
【0049】
発振部10aは、圧電振動子11と増幅部12aとを含む。発振部10は、圧電振動子11の励振に基づいて発振動作を行い、出力端子18から発振信号を出力する。増幅部12aは、トランジスター124、抵抗125及び126を含んで構成されている。また、発振部10は、容量素子101及び102、抵抗103及び104を含んでいる。
【0050】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路3は、電流検出部20を含む。電流検出部20は、発振部10aと直流電源40との間に流れる電流を検出する。本実施形態においては、電流検出部20は、発振部10aと直流電源40の電源電位とを接続する抵抗21を含んで構成されている。
【0051】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路3は、判定部30を含む。判定部30は、電流検出部20が検出する電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。本実施形態においては、判定部30は、抵抗21の両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。
【0052】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路3の故障検出原理は、第1実施形態において説明したとおりである。したがって、抵抗21の両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。これにより、CR発振している場合についても故障として検出できるため、圧電振動子11の故障の有無を精度よく検出できる。
【0053】
本実施形態においては、基準電圧Vrefを適切に設定することにより、圧電振動子11が故障していない場合(圧電振動子11により発振している場合)にはローレベル、圧電振動子11が故障している場合(CR発振している場合)にはハイレベルの信号を出力端子34から出力することができる。
【0054】
なお、図2に示す故障検出回路付圧電発振回路1aと同様に、判定部30を判定部30aに置き換えた構成も可能である。
【0055】
4.第4実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路
図5は、第4実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路の構成例を示す回路図である。なお、図1乃至図4に示す故障検出回路付圧電発振回路1、1a、2及び3と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0056】
図5に示す故障検出回路付圧電発振回路4は、図4に示す故障検出回路付圧電発振回路3と同様に、発振部10aがコルピッツ型の発振回路となっている。
【0057】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路4は、発振部10aと直流電源40との間に流れる電流を検出する電流検出部20aとして、発振部10aと直流電源40の接地電位とを接続する抵抗21aを含む。
【0058】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路4は、判定部30bを含む。判定部30bは、電流検出部20aが検出する電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。本実施形態においては、判定部30bは、抵抗21aの両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定する。図5に示す例では、判定部30bは、比較器31b、基準電圧生成回路32を含んで構成されている。
【0059】
判定部30bは、抵抗21aを流れる電流により発生する電位(C点の電位)を、比較器31bで基準電圧Vrefと比較することにより、圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。
【0060】
本実施形態に係る故障検出回路付圧電発振回路4の故障検出原理については、第1実施形態において説明したとおりである。したがって、抵抗21aの両端電圧に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定することができる。これにより、CR発振している場合についても故障として検出できるため、圧電振動子11の故障の有無を精度よく検出できる。
【0061】
本実施形態においては、基準電圧Vrefを適切に設定することにより、圧電振動子11が故障していない場合(圧電振動子11により発振している場合)にはローレベル、圧電振動子11が故障している場合(CR発振している場合)にはハイレベルの信号を出力端子34から出力することができる。
【0062】
5.物理量センサー
図6は、本実施形態に係る物理量センサーの構成例を示す回路ブロック図である。
【0063】
物理量センサーとは、例えば、振動を利用して物理量を検出する力センサー、加速度センサー、角速度センサー、QCM(Quarts Crystal Microbalance)センサー等である。
【0064】
本実施形態に係る物理量センサー5は、図1を用いて説明した故障検出回路付圧電発振回路1と、故障検出回路付圧電発振回路1の出力端子18から出力される発振信号を入力し、発振信号の周波数をカウントし、発振信号の周波数に関連する情報を出力端子52から出力する周波数カウンター50を含んで構成されている。
【0065】
本実施形態に係る物理量センサー5においては、故障検出回路付圧電発振回路1の圧電振動子11をセンサー素子として用いている。すなわち、測定する物理量に応じて故障検出回路付圧電発振回路1の出力端子18から出力される発振信号の周波数が変化する。したがって、周波数カウンター50で発振信号の周波数をカウントすることにより、物理量の測定が可能となる。
【0066】
このように構成した物理量センサー5によれば、故障検出回路付圧電発振回路1の発振部10と直流電源40との間に流れる電流に基づいて圧電振動子11の故障の有無を判定できる。これにより、CR発振している場合についても故障として検出できるため、圧電振動子11の故障の有無を精度よく検出できる物理量センサーを実現できる。
【0067】
なお、物理量センサー5の故障検出回路付圧電発振回路1を、故障検出回路付圧電発振回路1a、2、3及び4のいずれかに置き換えることも可能であり、置き換えた物理量センサーにおいても同様の効果を奏する。
【0068】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0069】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0070】
1,1a,2,3,4 故障検出回路付圧電発振回路、5 物理量センサー、10,10a 発振部、11 圧電振動子、12,12a 増幅部、13〜15 抵抗、16,17 容量素子、18 出力端子、20,20a 電流検出部、21,21a 抵抗、30,30a,30b 判定部、31,31a,31b 比較器、32 基準電圧生成回路、33 差動増幅回路、34 出力端子、40 直流電源、42,44 容量素子、50 周波数カウンター、52 出力端子、101,102 容量素子、103,104 抵抗、121〜123 反転増幅回路、124 トランジスター、125,126 抵抗、321,322 抵抗、331 増幅器、332〜335 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と発振動作用の増幅部とを含む発振部と、
前記発振部と直流電源との間に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出する電流に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定する判定部とを含むことを特徴とする故障検出回路付圧電発振回路。
【請求項2】
請求項1に記載の故障検出回路付圧電発振回路において、
前記増幅部は、直列接続された3つ以上の反転増幅回路を含むことを特徴とする故障検出回路付圧電発振回路。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれかに記載の故障検出回路付圧電発振回路において、
前記電流検出部は、前記発振部と前記直流電源の電源電位とを接続する抵抗を含み、
前記判定部は、前記抵抗の両端電圧に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定することを特徴とする故障検出回路付圧電発振回路。
【請求項4】
請求項1及び2のいずれかに記載の故障検出回路付圧電発振回路において、
前記電流検出部は、前記発振部と前記直流電源の接地電位とを接続する抵抗を含み、
前記判定部は、前記抵抗の両端電圧に基づいて前記圧電振動子の故障の有無を判定することを特徴とする故障検出回路付圧電発振回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の故障検出回路付圧電発振回路を含むことを特徴とする物理量センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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