説明

故障通報システム

【課題】
スタンドアローンの保守対象機器に故障が生じた場合に、顧客が容易に故障発生機器情報並びに故障情報を保守員に通報することができるようにすること。また、保守員サイドにおいても、誤った修復処理を行なわれないようにすること。
【解決手段】
保守対象の機器情報に対応する電子コード10と、電子コードを読取るリード部21と、リード部で読み取られた電子コードに対応する機器情報を表示する表示部22と、機器情報に対して保守要求情報の設定を行なう入力部23と、保守要求情報をメール送信する通報部とを備えた携帯端末20と、保守要求情報を受信し、保守要求情報に対応する担当保守員へ保守依頼情報をメール送信する保守管理部30とを備えて故障通報システム100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンドアローン機器の故障が生じた際に無線にて通報を行う故障通報システムに関し、詳しくは、予め登録された機器リスト等に基づいて容易に機器に生じた故障の通報を行なう故障通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保守対応機器に故障が生じた場合に故障通報を行なうシステムとしては、故障発生時、ソフトウェアの制御により、ネットを介してホストに故障情報を通報するものがある(特許文献1参照)。ホストはプログラムに設定した連絡先情報に基づいて、所望の連絡先に故障の情報を通報する。
【0003】
【特許文献1】特開平9−179791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スタンドアローンの保守対象機器に故障が生じた場合には、顧客が故障を検知するか、保守員が定期点検時に検知することにより対処するしかない。
このようなスタンドアローン機器の故障処置に関しては、客が故障を検知して処理する場合には次のような不都合が生じる場合がある。例えば、故障が生じている機種が判らないとか、エラーメッセージ表示がわからないといった場合には、保守員が連絡を受けてから連絡先へ到着するまでの間、故障対策や必要治具の準備等が十分にできず、故障修復に手間取ってしまうという問題がある。
また、保守員が故障を検知して処理する場合には、次のような不都合が生じる場合がある。例えば、エラーメッセージの見誤りによる誤った対処が行なわれる可能性も少なくはない。
【0005】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、スタンドアローンの保守対象機器に故障が生じた場合に、顧客が容易に故障発生機器情報並びに故障情報を保守員に通報することができるようにすることを課題とする。また、保守員サイドにおいても、誤った修復処理を行なわれないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、保守対象の機器情報に対応する電子コードと、電子コードを読取るリード部と、リード部で読み取られた電子コードに対応する機器情報を表示する表示部と、機器情報に対して保守要求情報の設定を行なう入力部と、保守要求情報をメール送信する通報部とを備えた携帯端末と、保守要求情報を受信し、保守要求情報に対応する担当保守員へ保守依頼情報をメール送信する保守管理部とを備えた故障通報システムを提供する。
機器ごとに設定した電子コードを端末で読み取るだけで機器情報が選定できる。また、選定された機器情報に応じた保守要求情報が設定できる。設定した保守要求情報は、端末から速やかに保守管理部へメール送信される。保守要求情報を受けた保守管理部では、担当保守員へ保守依頼情報をメールする。
【0007】
更に、電子コードは、保守対象の機器を使用する顧客に提供する。
顧客に電子コードを提供しているので、故障が生じた場合に顧客サイドから保守要求情報が容易に供与される。
【0008】
更に、保守要求情報は、保守要求できる機器項目及び故障の状況項目を備え、入力部で入力可能に当該項目ごとの入力箇所を備える。
選択的に機器項目や故障の状況項目を入力できるので、故障通報における状況報告の負荷が軽減する。
【0009】
更に、携帯端末は、電子コードに対応する機器情報を保有し、電子コードに対応する機器情報及び保守要求情報を提供する情報提供部を備える。
電子コードから、ネットを介することなく速やかに機器情報及び保守要求情報が携帯端末から得られる。
【0010】
更に、携帯端末は、電子コードを送信する送信部を備え、保守管理部は、電子コードに対応する機器情報を保有し、携帯端末が送信する電子コードを受信して電子コードに対応する機器情報及び保守要求情報を携帯機器へ送信する情報送受信部を備える。
保守管理部において、機器情報及び保守要求情報を管理するので保守状況等の一元管理が実現できる。また、携帯端末のデータ処理負荷が軽減する。
【0011】
更に、携帯端末は、携帯電話である。
保守専用の携帯端末を必要とせず、日常使用する携帯電話の機能を利用してシステムを構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、携帯端末に電子コードを読み込ませることにより、故障が生じた機器情報が認知され、その機器情報に応じた保守要求情報の入力ができる。保守要求情報は、保守管理部へメール送信され、保守管理部では保守要求情報の内容に応じた保守員に対して保守依頼情報をメール送信する。このように、予め定められた電子コードを基にして、故障機器情報及び故障内容を通報することができるので、正確な情報伝達を行なうことができる。すなわち、故障修復の処理効率を向上することができる。
【0013】
また、電子コードを顧客に提供すれば、顧客は故障発生時と略同時に故障が生じた機器情報及び保守要求情報を迷うことなく通報することができる。このことは、故障修復処理の迅速化に繋がる。
【0014】
また、保守要求情報は、機器項目及び故障の状況項目を備える。項目対応にすることで、保守要求情報の設定が容易になり、設定内容の誤りが無くなる。このことは、故障修復処理の迅速化に繋がる。
【0015】
また、携帯端末は、電子コードに対応する機器情報を保有するので、直ぐ様機器情報及び保守要求情報の設定が行なわれる。
【0016】
また、保守管理部の情報送受信部にて、電子コードに対応する機器情報を保有する場合には、機器情報の一元管理が可能になる。その結果、種々の故障分析が可能になり、故障予防対策に寄与できる。
【0017】
また、携帯端末を携帯電話とすることで、一般機器を用いてシステムを容易に構成することができる。
以上の如く、保守対象機器を使用している顧客において、保守対象機器が故障した場合の通報を迅速に且つ正確に行なうことができる。顧客が故障を発見した場合、顧客は機器ごとに設けた機器情報に対応する電子コードを携帯端末に読ませることにより通報すべき機器を確定することができる。更に、電子コードを携帯端末に読ませることにより保守要求情報が表示されるので、顧客は故障機器に表示されているエラーコード等に基づいて保守要求情報を選択等して機器の故障通報を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに本発明の第一の実施の形態による故障通報システムを図1乃至図3に基づいて説明する。
図1には、第一の実施の形態による故障通報システムの構成図の一例を示す。
故障通報システム100は、保守対象の機器情報に対応する電子コード10と、電子コード10を読取るリード部21と、リード部21で読み取られた電子コード10に対応する機器情報を表示する表示部24と、機器情報に対して保守要求情報の設定を行なう入力部23と、保守要求情報をメール送信する通報部25とを備えた携帯端末20と、保守要求情報を受信し、保守要求情報に対応する担当保守員へ保守依頼情報をメール送信する保守管理部30とを備えて構成する。
【0019】
電子コード10は、保守対象の機器ごとにバーコードやQRコードとして顧客に提供されている。電子コードは、それぞれ対応する機器に取り付けられていることが望ましい。保守対象機器に故障が生じた際、機器に取り付けられた電子コードを用いて直ぐに通報できるからである
携帯端末20は、一般の携帯電話を利用することができる。携帯電話に付属のカメラが入力部21として用いられ、携帯電話の画面が表示部24となり、携帯電話の入力キーが入力部23となる。また、携帯電話のメール機能がそのまま通報部25として作用する。
また、携帯端末20は、電子コード10に対応する機器情報を保有し、上記電子コード10に対応する機器情報及び保守要求情報を提供する情報提供部を備えている。
【0020】
図2には、表示部24に表示された機器情報と保守要求情報を示す。
図2の(A)には、保守機器Bの電子コード10を読み込んだ際の表示部24の表示内容の一例を示す。この電子コード10を読み込んだ携帯端末20の表示部24には、保守機器Bが選択状態になる画面が表示される。自動的に保守機器Bが選択されるので、機器情報の選択誤りは無くなる。また、表示部24を見て、故障が生じた機器の確認もできる。もし、異なる機器が選択状態になっている場合には、選択箇所を変更することで選択状態の修正をすることができる。
【0021】
図2の(B)には、(A)にて選択された保守機器Bの保守要求情報の表示内容の一例を示す。ここでは、保守機器Bにおいて発生可能な故障リストの一覧が示される。顧客は、故障が生じた機器において表示されるエラーコードを見て、該当する故障項目を容易に選択することができる。
【0022】
図3には、第一の実施の形態による故障通報システムの動作フロー図を示す。
顧客が故障を検知した場合、故障が生じた機器に取り付けられている電子コード10を携帯機器20のリード部21にて読み取らせる。読み取られた電子コード10に応じて情報提供部22から機器情報が提供されて、入力部23において保守要求情報の設定が、図2に示す様にして設定される。設定された保守要求情報は、通報部25を介して保守管理部30へメール送信される。
【0023】
保守管理部30では、得られた保守要求情報から保守対応する保守員を選択して、該当保守員へ連絡する。連絡は、顧客から送られたメールを転送することにより行なわれる。保守員の選択及び保守員への連絡は、保守要求情報及び保守員のデータベースに基づいたソフトウェア制御が好ましい。
【0024】
つぎに本発明の第二の実施の形態による故障通報システムを図4及び図5に基づいて説明する。
図4には、第一の実施の形態による故障通報システムの構成図の一例を示す。
故障通報システム200は、携帯端末20に情報提供部22を設けず、リード部21にて読み取った電子コード10を保守管理部30へメール送信する送受信部26を設け、保守管理部30に、情報提供部22に代替する情報送受信部31を設けた以外は、故障通報システム100と同様の構成である。
【0025】
図5に示すように、故障通報システム200においては、携帯端末20において機器情報及び保守要求情報を保有していない。機器情報及び保守要求情報は、保守管理部30の情報送受信部31で保有している。リード部21で読み取られた電子データ10は情報送受信部31へメール送信され、情報送受信部31にて電子データ10に対応する機器情報及び保守要求情報が抽出される。抽出された機器情報及び保守要求情報は、送受信部26にメール送信されて、携帯端末20において機器情報の表示及び保守要求情報の入力が可能になる。後は、故障通報システム100と同様にして、保守要求情報の通報及び保守員の選択・連絡が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る故障通報システムの構成図。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る故障通報システムの携帯端末の表示図。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る故障通報システムの動作フロー図。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係る故障通報システムの構成図。
【図5】本発明の第二の実施の形態に係る故障通報システムの動作フロー図。
【符号の説明】
【0027】
100 故障通報システム
200 故障通報システム
10 電子コード
20 携帯端末
21 リード部
22 情報提供部
23 入力部
24 表示部
25 通報部
26 送信部
30 保守管理部
31 情報送受信部
40 保守員


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守対象の機器情報に対応する電子コードと、
当該電子コードを読取るリード部と、当該リード部で読み取られた電子コードに対応する該当機器情報を表示する表示部と、当該機器情報に対して保守要求情報の設定を行なう入力部と、当該保守要求情報をメール送信する通報部とを備えた携帯端末と、
上記保守要求情報を受信し、上記保守要求情報に対応する担当保守員へ保守依頼情報をメール送信する保守管理部とを備えて構成する故障通報システム。
【請求項2】
上記電子コードは、上記保守対象の機器を使用する顧客に提供することを特徴とする請求項1記載の故障通報システム。
【請求項3】
上記保守要求情報は、保守要求できる機器項目及び故障の状況項目を備え、上記入力部で入力可能に当該項目ごとの入力箇所を備えることを特徴とする請求項1または2記載の故障通報システム。
【請求項4】
上記携帯端末は、上記電子コードに対応する上記機器情報を保有し、上記電子コードに対応する上記機器情報及び保守要求情報を提供する情報提供部を備えることを特徴とする請求項1,2または3記載の故障通報システム。
【請求項5】
上記携帯端末は、上記電子コードを送信する送信部を備え、
上記保守管理部は、上記電子コードに対応する上記機器情報を保有し、上記携帯端末が送信する上記電子コードを受信して上記電子コードに対応する上記機器情報及び保守要求情報を上記携帯機器へ送信する情報送受信部を備えることを特徴とする請求項1,2または3記載の故障通報システム。
【請求項6】
上記携帯端末は、携帯電話であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の故障通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−211117(P2009−211117A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50357(P2008−50357)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】