説明

教材用太陽光熱複合発電装置

【課題】本発明の課題は、紫外線域から遠赤外線域にわたる広帯域の太陽光には光電変換効率のよい帯域別と熱電変換効率のよい帯域別があることを理解させ、両者を併用することで効率のよい太陽光発電システムが可能となることを学習させる教材を提供することにある。
【解決手段】本発明の教材用太陽光熱複合発電装置は、可視光以下の短波長域の光と赤外線以上の長波長域の光を分離する波長分離用のフィルターを設置し、該波長分離用のフィルターに太陽光を集光する手段と、前記透過又は反射した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射又は透過した赤外線以上の長波長域の光を温度差発電装置に照射させる手段と、発電を確認する手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広波長域を含む太陽光がエネルギー源としてどのように有効利用可能であるかを学ぶための教材であって、太陽光を波長域に分離して光電変換と熱電変換を用いて効率のよい発電をする教材用太陽光熱複合発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量のエネルギーを必要とする現代社会では、化石燃料とりわけ石油の大量消費が続き、その結果として二酸化炭素の排出量が増えたことによる地球温暖化という重大な環境破壊が問題となっている。その状況下で、二酸化炭素の排出のない原子力や風力、太陽光をエネルギー源として利用することに注目が集められ、実用化がなされている。原子力は安全性の面で不安がついて回り、今多くの期待がよせられているのは風力、太陽光である。しかし、いまだ、エネルギー源としての比率は化石燃料への依存度が高く、風力や太陽光の実用化・普及は不十分な状況である。これらの利用度を高めるためには効率のよい電力変換の技術の開発と利用促進を図る意識改革、啓蒙が必要である。
【0003】
特許文献1には太陽電池素子を備えて成る太陽光発電システムに係り、詳しくは太陽光をより効率的に利用すべく熱電変換手段を有する太陽光発電システムに関する発明が開示されている。この発明は、太陽光エネルギーのうち光電変換に利用されない波長帯域部分をも最大限発電に利用しつつ、太陽電池素子の昇温を抑制して、トータルの変換効率を最大化することができる太陽光発電システムを提供することを目的としたものである。この課題を達成するため、この発明の太陽光発電システムは、少なくとも太陽電池素子、蓄熱手段及び熱電変換手段を有し、日射時における熱流の方向に沿うように、前記太陽電池素子の背面に、前記蓄熱手段を介して前記熱電変換手段が配置されていることを特徴としている。すなわち、この発明の太陽光発電システムによれば、太陽電池素子によって変換されなかったエネルギを太陽電池素子から離れた蓄熱手段に一旦熱エネルギの形で蓄積し、上記熱エネルギを徐々に熱電変換していくことによって、日射状態にある短時間に熱電変換しようとする場合に比べて太陽電池素子の昇温を抑制できるため、太陽電池素子の実効的な変換効率の低下を抑制できる。また、この発明の太陽光発電システムにおいては、上記蓄熱手段は潜熱を利用して蓄熱する蓄熱手段であることが好ましく、また、上記蓄熱手段は金属容器内に熱媒体を収容した蓄熱材であることが好ましい。このように蓄熱材として潜熱を利用した蓄熱材を使用することで、見かけの比熱を大きくすることができ、装置の軽量化、小型化が実現でき、追尾装置・保持装置の強度・消費エネルギを小さくできるので、発電コストをより小さくすることができる。
【0004】
上記のような構成を採用したことにより、この発明に係る太陽光発電システムによれば、光電変換手段である太陽電池素子の背面に、蓄熱手段を介して熱電変換手段を配しているので、太陽電池素子によって変換されなかったエネルギーを太陽電池素子から蓄熱手段に一旦熱エネルギーの形で蓄積し、熱エネルギーを徐々に熱電変換していくことによって、日射状態にある短時間に熱電変換しようとする場合に比べてピーク温度を小さくできるため、太陽電池素子の実効的な変換効率の低下を抑制できる。また、太陽電池素子と蓄熱手段とを熱輸送手段で連結し、該熱輸送手段の熱輸送能力に関して、熱輸送方向により熱輸送能力に差を設けることによって、一旦蓄積された熱エネルギーが、非日射時に逆流し太陽電池素子を通じて無駄に放熱されるのを防止することができ、トータルでの太陽光から電気エネルギーへの変換効率を向上させることができる。
すなわち、太陽光エネルギーのうち光電変換されない部分を波長にかかわらず最大限利用しつつ、太陽電池素子の昇温を抑制して、トータルの変換効率を最大化することができる太陽光発電システムを提供することができるものと記載されている。
【0005】
また、本発明者らは先に「太陽光熱発電システム」を提示し、特許第3969792号(特許文献2)として特許を取得している。この発明は、太陽熱の強い場合、弱い場合に応じて太陽電池1、熱電発電素子2、ならびに熱交換器3により、太陽熱の利用効率を大輻に向上することが出来る太陽光熱発電システムを提供することを目的としたもので、この発明に係る太陽光熱発電システムは、図6に示されるように放物面状に形成された太陽電池101と、太陽電池101の表面に配設され所定値よりも波長の短い光を通過させる波長選択反射透過膜108と、前記太陽電池101に対向して配設された熱電発電素子102と、熱電発電素子102を冷却する熱交換器103Bとからなることを特徴としたものである。このように構成されているので、1)太陽熱の強い場合、弱い場合に応じて、太陽電池101と、熱電発電素子102と、熱交換器103により、太陽熱の利用効率を大幅に向上することが出来る。2)上記により、冬季にも発電できるのみならず、太陽熱利用の季節変動を緩和することが出来る。そのため、利用に便利となる。という特有の効果を奏するものである。
【0006】
太陽電池及び燃料電池発電が次世代電力源として注目され、研究開発が進められている状況の中で、太陽電池及び燃料電池発電による発電システムの教材を用いて、大学、高等学校、さらに中学校等で教育することは有意義であるが、現状においては、そうした教材が、ほとんど存在しておらず、太陽電池及び燃料電池発電システムを身近に理解することが困難な状況であることに鑑み、特許文献3には「太陽電池・燃料電池発電システムの教材」が提示されている。この発明は、太陽電池又は燃料電池のいずれか、又は両方を電源とする発電システム回路において、各箇所における電気信号の強さや波形を計測することにより、太陽電池及び燃料電池発電システムを理解することができる教材を提供することにあり、その課題を解決するために、人力で持ち運びが可能で、かつ電気配線等が外部から目視できる透明板を用いた卓上ミニハウスを作製し、当該ハウスの屋根、側壁又は内部に電源(太陽電池モジュールや燃料電池)、配線、電力負荷(照明器具、モータなど)を設けることにより、太陽電池及び燃料電池発電システムの理解が容易になり教育効果が期待できるというものである。この教材は建物の模型を用い、太陽電池を異なる場所に設置したときの発電効率や、電力負荷をかけた場合の消費などを学習させるもので、紫外線域から遠赤外線域にわたる広帯域の太陽光を有効利用すること、更には帯域別に光電変換と熱電変換を併用し効率のよい太陽光発電システムを体験学習させるものではない。
【特許文献1】特開2003−70273号公報 「太陽光発電システム」 平成15年3月7日公開
【特許文献2】特許第3969792号公報 「太陽光熱発電システム」 平成19年6月15日登録 平成19年9月5日発行日
【特許文献3】特開2004−280033号公報 「太陽電池・燃料電池発電システムの教材」 平成16年10月7日公開
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、紫外線域から遠赤外線域にわたる広帯域の太陽光には光電変換効率のよい帯域別と熱電変換効率のよい帯域別があることを理解させ、両者を併用することで効率のよい太陽光発電システムが可能となることを学習させる教材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の教材用太陽光熱複合発電装置は、可視光以下の短波長域の光と赤外線以上の長波長域の光を分離する波長分離用のフィルターを設置し、該波長分離用のフィルターに太陽光を集光する手段と、前記透過又は反射した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射又は透過した赤外線以上の長波長域の光を温度差発電装置に照射させる手段と、発電を確認する手段とからなる。
また、本発明の教材用太陽光熱複合発電装置は、上記構成に加え、前記透過した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射した赤外線以上の長波長域の光を熱電変換素子に照射させる手段には集光手段を取外し可能な形態で配設する構成を採用した。
【0009】
本発明の教材用太陽光熱複合発電装置における温度差発電装置は、熱電変換素子を挟んで高温側には受光板が、低温側には放熱器が配置され一体形態とされたものを採用した。
また、本発明の教材用太陽光熱複合発電装置における温度差発電装置は、前記波長分離用のフィルターと、該フィルターに太陽光を集光する手段と、前記太陽電池と共に通常は筐体内に取り付けられると共に、取外し可能な構造であって、前記受光板に載置される温水又は冷水用の容器が付属品として備えられるものとした。
本発明の教材用太陽光熱複合発電装置における発電を確認する手段は、回転翼付きモータまたはランプを採用するものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の教材用太陽光熱複合発電装置において、波長分離用のフィルターを用いることにより太陽光の短波長域光を透過又は反射させ長波長域光を反射又は透過させて分離させることが出来ることを理解させ、可視光と紫外線が含まれる短波長域の光が太陽電池によって起電力が得られること、赤外域の光を熱源として温度差発電装置によって起電力が得られることを理解させることができる。
また、本発明の教材用太陽光熱複合発電装置は、前記透過した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射した赤外線以上の長波長域の光を熱電変換素子に照射させる手段に集光手段を取外し可能な形態で配設する構成を採用したことにより、光を集束させると、より効率的に起電力が得られることを学習できる。
【0011】
本発明の教材用太陽光熱複合発電装置における温度差発電装置は、熱電変換素子を挟んで一方の面側には受光板が、他方の面側には放熱器が配置され一体形態とされたものを採用し、受光板に赤外域の光を照射することにより高温部とし、他方側の放熱器により室温に保たせることで、挟持された熱電変換素子に熱流を生じさせ、起電力を生じさせることを学習できる。
また、本発明の教材用太陽光熱複合発電装置は、その温度差発電装置を、筐体から取外し、受光板に温水又は冷水を入れた容器を載置することにより、温水の温度が異なれば、即ち熱流の大きさが異なれば生じる起電力が異なることを、また、冷水を載せた場合には室温となる放熱器側との間で熱流の方向が逆となることにより、起電力の極性が反転することを学習できる。
また、本発明の教材用太陽光熱複合発電装置における発電を確認する手段は、回転翼付きモータまたはランプを採用するものとしたことにより、回転スピードまたは明るさから目に見えて起電力の大きさを確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
太陽から放射されたエネルギーは、図1に示すように光エネルギーから熱エネルギーの領域までブロードな電磁波のスペクトルを有している。この放射された太陽エネルギーを光領域と熱領域を波長選択フィルターで分離し、光領域を太陽電池(光発電)で、熱領域を熱電発電させるように使い分けることで、広い帯域にわたる放射された太陽エネルギーを有効に利用出来ることが学べる教材を提供することに想到した。
太陽電池は光電変換という原理を用いた半導体を用いるものであり、熱電発電はゼーベック効果を利用した半導体を用いるものであり、いずれも光電及び熱電直接変換の半導体である。これらを用いて、1放射された太陽エネルギーが短波長領域の光成分と長波長領域の熱の成分から構成されていること2放射された太陽エネルギーは波長分離フィルターを用いることにより光成分と熱成分に分けることが出来ること3光成分を電気エネルギーに、また熱成分を電気エネルギーに直接変換できる手段があること。以上の事柄について本教材を通して理解させることが出来るものである。
【0013】
本教材は、特許文献2に示される特許第3969792号「太陽光熱複合発電システム」の発明がベースとなっており、自然エネルギー利用技術として放射された太陽エネルギーに注目させ、普段太陽光として光という認識でしか意識していない放射された太陽エネルギーについて熱源としての有効成分を意識させることで、ブロードな電磁波のスペクトルを有効利用する理解を深めること。また集光すればエネルギー密度が高められ、エネルギー変換効率が向上するなど、光電及び熱電それぞれの発電が光及び熱エネルギーの量に依存することを実験により理解させ、昨今問題となっている地球温暖化問題解決に、太陽エネルギー利用技術が有望であることを学ばせるものである。
【0014】
光電変換に有効な波長域は可視光と紫外線の領域であり、熱電変換に有効な波長域は赤外線以上の長波長域である。光成分と熱成分に分離し利用する方法は図2に示すような波長分離フィルターを用いて行う。この波長分離フィルターがローパスタイプの波長選択反射透過膜であれば可視光と紫外線の光成分は波長分離フィルターを透過し、赤外線以上の熱成分は反射させられる。またこの波長選択反射透過膜がハイパスタイプであれば可視光と紫外線の光成分は波長分離フィルターで反射され、赤外線以上の熱成分は透過する。
【0015】
図3に本発明の太陽光熱複合発電教材の原理図を示す。太陽光を太陽捕捉ミラーで捉え波長選択膜に照射させる。この波長選択反射透過膜がローパスタイプであるとすると可視光と紫外線の光成分が透過され、赤外線以上の熱成分は反射させられる。したがって、透過した光成分を太陽電池に照射させ、反射した赤外線以上の熱成分を熱電変換素子に照射させるようにすることで、光電及び熱電それぞれの発電がなされることを実験して確認することができる。また、集光レンズを太陽電池や熱電変換素子の前に配置することにより、それぞれの電磁波の密度を高めることにより、発電量は光及び熱エネルギーの量に依存することを実験により理解させる。
【0016】
図4は本発明にかかる教材用太陽光熱複合発電装置の発電部の基本構成を示す図である。発電部筐体3が架台10に取り付けられている。発電部筐体3の天面には太陽光を集光するためのフレネルレンズ2がフレネルレンズ抑え枠1によって取付配置される。筐体3の内部には約45°傾斜で波長分離用のフィルター4が取り付けられる。発電部筐体3の底面には温度差発電装置が取り付けられ、この温度差発電装置は熱電変換素子8を挟んで上面側には受光板7が、裏面側には放熱器9が配置され一体形態が採られている。また、前記波長分離用のフィルター4の面と対向する発電部筐体3の側面には太陽電池5が太陽電池固定具6によって取り付けられている。
【実施例】
【0017】
図5は本発明にかかる教材用太陽光熱複合発電装置の実施例(キット)を示したものである。Aは発電部筐体3、Bは発電部架台10、Cは波長分離フィルター4、Dは温度差発電装置7,8,9であり、Eは発電を確認する手段としての回転翼付きモーター部11である。このモーター部11には2つのモーターと回転翼が設置されており、一方が太陽電池の発電確認用、他方が温度差発電装置の発電確認用である。この他の組立て部品として図示していないが、太陽電池5と太陽電池固定具6、そして温水・冷水容器がある。このキットの組み立て方は次のとおりである。
1.箱に梱包されている上記組立て部品の他、ニッパを用意する。
2.温度差発電装置7,8,9を発電部・筐体3の天面(レンズ2)に対向する面に取り付け、該温度差発電装置の受光板7を筐体3の四角い孔に、放熱器9に立つピンを筐体3の小さい丸孔に合わせ、温度差発電装置を筐体3に向けて押し付ける。
3.太陽電池5を発電部・筐体3の奥板に太陽電池固定具6を用いて取り付ける。
4.発電部・筐体3の側面の丸孔に発電部・架台10の側板の丸孔を合わせ、筐体側面と架台側板の間にワッシャを入れ、丸穴の位置を合わせる。続いて架台10の側板の側から丸孔に花ネジを入れ、架台に筐体を固定する。
5.全ての被覆電線の両端部について、ニッパで被覆を1cm程度剥いで線を露出させる。
6.発電部の太陽電池5の端子と、モーター部11の太陽電池用端子との間を、前記被覆電線で接続する。発電部の+端子はモータ部の+端子に、同様に−端子は−端子に接続する。
この実施例の端子構造では、端子のレバーを指で押し、レバーの脇の孔を開き、開いた孔に電線の被覆を剥いだ部分を差し込む。そして、レバーから指を離せば端子と電線の接続が完了である。
7.発電部の熱電変換素子用端子と、モーター部の熱電変換素子用端子とを、太陽電池用の端子の接続と同様に被覆電線で接続する。
8.最後に波長分離フィルター4を発電部・筐体3の側面に設けられている取付溝に差し込んで取り付ける。
【0018】
この教材用太陽光熱複合発電装置を用いて、太陽光で発電する実験を実施する場合を説明する。
1.晴天で太陽が45°以上の高度となる時、直射日光に発電部を曝すようにする。
2.20cm×10cm程度のトレース紙を用意し、温度差発電装置の受光板7に重ねるように載置する。
3.発電部のレンズの側を太陽に向けてるように調整する。向きの確認は以下の様に行う。
1)花ネジを緩め、架台10に対して発電部筐体3を傾斜操作し、前記トレース紙上に四角く光が照射される様に調整する。
2)四角い照射光が受光板の位置に重なったら、花ネジを締め発電部の向きを固定する。
3)トレース紙を外し、発電部筐体3の外に取り出し、発電部から50cm以上離れた場所に置く。
4.発電部を太陽に向けると同時に太陽電池の発電確認用の回転翼11aが動き始めます。 これにより、太陽電池において発電がなされていることを確認することができる。
5.続いて、同様に温度差発電装置の発電確認用回転翼11bの動作を確認し、温度差発電装置において発電がなされていることを確認する。
なお、発電部を太陽に向けトレース紙を外してから、5分程度待つと回る様になるはずであるが、5分待っても動作しない場合には、初期抵抗で動きにくい場合もあるので、回転翼を指で少し押して回してみるとよい。
【0019】
熱流と温度差発電装置の動作を熱湯・冷水を用いて学習させる場合について説明する。
1.発電部筐体3から温度差発電装置を取り外す。(電線は接続したままにしておく。)
2.温度差発電装置の受光板7に載せられる容器を用意する。この容器は、中に液体を入れる事が出来、熱を伝える物であれば例えばポリ袋・ビニル袋・金属容器等適宜のものを用いることができる。
3.水平な面の上に、受光板7が上になる様にして温度差発電装置を置いて行う。
4.熱湯、又は、冷水を2.で用意した容器に入れ、受光板7の上に載置する。このとき、容器は放熱板9に接触しない様に注意する。特に袋を使用している場合には要注意。
5.熱電変換素子用回転翼11bの回転動作を確認させる。まず、温水を用いる場合は受光板7側が高温となり、放熱板9側は室温であるから、受光板7側から放熱板9側へ熱流が生じていることはすぐに理解できる。この場合の発電状態を熱電変換素子用回転翼11bの回転動作で確認させる。時間と共に回転量が落ちてくることから温水の温度、すなわち熱流の量によって発電量がどのように変わるかも学習させる。
6.次に、冷水を用いる場合は受光板7側が低温となり、放熱板9側は室温であるから、この場合は放熱板9側から受光板7側へ熱流が生じていることは誰にでもすぐに理解できる。この場合の発電状態を熱電変換素子用回転翼11bの回転動作で確認させる。熱流が逆方向となった場合には起電力の極性が反転する事実を確認させる。すなわち熱流の方向によって発電時の極性がどのように変わるかも学習させる。
なお、受光板に容器を置いて数十秒程で回転翼が回り始めるはずであるが、1分待っても回らない場合には、熱湯の温度を上げたり、冷水の温度を下げたりして実験を行うようにするとよい。
この他、使い捨て高熱源や冷熱源には懐炉や保冷材をもちいて実験することもできる。使い捨て懐炉や保冷材を使用して発電の実験を行う場合、熱湯や冷水を袋に入れて発電する実験と基本的に同じ要領で実験を行う事が出来る。熱電変換素子用モータが動作しない時には、より温度の高い懐炉や、より温度の低い保冷材に変えて実験を再度試みるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】縦軸に波長毎の照度を横軸に波長をとった太陽光スペクトルを示すグラフである。
【図2】光成分である短波長領域と熱成分である長波長領域を波長分離フィルターで分離することを説明する図である。
【図3】本発明の太陽光熱複合発電教材の原理図である。
【図4】本発明に係る教材用太陽光熱複合発電装置の発電部の基本構成を示す図である。
【図5】本発明の太陽光熱複合発電教材の1実施例を示す図である。
【図6】本発明の太陽光熱複合発電教材の基礎となる特許発明「太陽光熱発電システム」を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
1 フレネルレンズ抑え枠 2 フレネルレンズ
3 発電部筐体 4 波長分離用のフィルター
5 太陽電池 6 太陽電池固定具
7 受光板 8 熱電変換素子
9 放熱器 10 架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光以下の短波長域の光と赤外線以上の長波長域の光を分離する波長分離用のフィルターを設置し、該波長分離用のフィルターに太陽光を集光する手段と、前記透過又は反射した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射又は透過した赤外線以上の長波長域の光を温度差発電装置に照射させる手段と、発電を確認する手段とからなる教材用太陽光熱複合発電装置。
【請求項2】
前記透過した可視光以下の短波長域の光を太陽電池に照射させる手段と、前記反射した赤外線以上の長波長域の光を熱電変換素子に照射させる手段には集光手段を取外し可能な形態で配設した請求項1に記載の教材用太陽光熱複合発電装置。
【請求項3】
前記温度差発電装置は熱電変換素子を挟んで高温側には受光板が、低温側には放熱器が配置され一体形態とされた請求項1又は2に記載の教材用太陽光熱複合発電装置。
【請求項4】
前記温度差発電装置は、前記波長分離用のフィルターと、該フィルターに太陽光を集光する手段と、前記太陽電池と共に通常は筐体内に取り付けられると共に、取外し可能な構造であって、前記受光板に載置される温水又は冷水用の容器が備えられた請求項3に記載の教材用太陽光熱複合発電装置。
【請求項5】
発電を確認する手段は回転翼付きモータまたはランプである請求項1乃至4のいずれかに記載の教材用太陽光熱複合発電装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−72549(P2010−72549A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242619(P2008−242619)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】