説明

整合装置及び封入封緘装置

【課題】用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕があるときに整合動作を省略して生産性を向上させる。
【解決手段】搬入した用紙の両側端を整合する整合部4を備えた整合装置1において、用紙を封入する封筒の封筒サイズ情報から得られる幅寸法から整合対象となる用紙の用紙サイズ情報から得られる幅寸法を差し引いた差分値と、予め設定された整合動作実行判別用閾値とを比較し、前記閾値を超えたときに整合動作を行わないように制御する制御部7を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送された用紙の整合を行う整合装置及び該整合装置において整合された内容物を封筒に封入封緘する封入封緘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成された後に搬入された用紙に対してステープル処理等の後処理を安定して行うため、前工程として用紙整合を行って後処理内容に合わせて用紙位置を補正する整合部を備えた用紙後処理装置が知られている(詳細は下記特許文献1を参照)。
【0003】
また、封筒用紙を折り込んで封筒を作成し、内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封書作製装置では、封筒に内容物を封入するにあたり封筒に内容物を正確に封入させるため、上記装置と同じく整合部により搬送方向における内容物の中心位置を封筒の中心位置に合わせる整合処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−348153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される用紙後処理装置では、用紙サイズによって行われる整合動作内容に違いで処理速度を高めているが、用紙枚数やサイズに関係なく搬入された用紙に対して全て整合動作を行っている。そのため、仮に整合動作の必要ない場合であっても常に整合動作が行われてしまうため生産性を落とす要因となり、また不必要な整合動作による騒音や消費電力の問題があった。
【0006】
また、封筒用紙に折り加工を施して封筒を作製する場合、封筒用紙の折り部分の接着に圧着糊を用いることが多く、封筒の圧着面積を確保すると既製の封筒に比べて内容物の収納容積が小さくなってしまうため、内容物の整合工程を行っている。しかしながら、この種の装置においても、封筒の幅サイズに対する内容物の幅サイズに余裕があるにも拘わらずその都度整合動作を行っているため、やはり生産性が落とす要因となり、また、不必要な整合動作による騒音や消費電力の問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、不必要な整合動作を抑制して生産性を向上させることのできる整合装置及び該装置を用いた封書作製装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の整合装置は、搬入した用紙の両側端を整合する整合部を備えた整合装置において、
前記用紙を封入する封筒の封筒サイズ情報から整合対象となる前記用紙の用紙サイズ情報を差し引いた差分値と、予め設定された整合動作実行判別用閾値とを比較し、前記閾値を超えたときに整合動作を行わないように制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の整合装置は、請求項1記載の整合装置において、前記制御部は、前記用紙の整合動作を行わないと判別したときに、さらに前記用紙の位置に封筒の位置合わせを行わないように前記封入封緘手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の整合装置は、請求項1又は2記載の整合装置において、前記用紙を整合する一対の整合板を有する整合部を備え、
前記制御部は、前記用紙の整合動作を行わないと判別したときに、前記封筒サイズ情報に基づき前記整合板を前記封筒の封入口と同寸法の用紙受入位置まで移動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の整合装置によれば、封筒に内容物となる用紙を封入封緘する封入封緘処理において、封筒の幅寸法から用紙の幅寸法を差し引いた差分値が整合動作実行判別用閾値を超えた整合動作を省略することができるため、封書作製処理に係る処理時間の短縮による生産性の向上が図れ、また整合動作時の省電力化や騒音を軽減することができる。
【0012】
本発明に係る請求項2記載の整合装置によれば、用紙の整合動作を行わないと判別したときに、さらに用紙の位置に封筒の位置合わせを行わないようにするため、整合動作省略時に加えてさらに処理時間の短縮による生産性の向上が図れる。
【0013】
本発明に係る請求項3記載の整合装置によれば、用紙の整合動作を行わないと判別したときに、整合板の位置を封筒の封入口と同寸法の用紙受入位置まで移動制御することで、用紙が封筒の封入口の幅寸法よりも外側にずれることなく確実に封入可能な位置で用紙を受け入れて後段の封入封緘部まで搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る整合装置が搭載される封書作製装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る整合装置のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同装置に搬送される用紙が複数枚のときの整合動作を示す概略側面図である。
【図4】同装置に搬送される用紙が1枚のときの整合動作を示す概略側面図である。
【図5】既製の封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値に関する一例を示す表である。
【図6】封筒用紙に折り加工を施し作製した封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値に関する一例を示す表である。
【図7】既製の封筒の幅寸法と枚葉紙の幅寸法との関係において整合動作実行判別用閾値を規定したときに整合動作を行うか否かをテーブル化した整合動作実行判別用テーブルを示す表である。
【図8】封筒用紙に折り加工を施し作製した封筒の幅寸法と枚葉紙の幅寸法との関係において整合動作実行判別用閾値を規定したときに整合動作を行うか否かをテーブル化した整合動作実行判別用テーブルを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0016】
[1.封入封緘装置]
まず、本発明に係る封書作製装置について説明する。
図1に示すように、封書作製装置100は、作製すべき封書毎に処理を行う。すなわち、封筒形状に折り加工される封筒用紙と、枚葉状の用紙である内容物に対し、共通の印刷装置10を用いて適切な順序で必要な印刷を施す。次に、印刷後の封筒用紙及び内容物を封入封緘装置20に送り込み、それぞれ別系統の搬送経路で搬送しながら、封筒用紙については、封筒の形態となるように封筒用紙を折るとともに、内容物にも必要に応じて折りを施す。そして、最終的に両者を後述する封入封緘手段25で合流させ、内容物を封筒に封入封緘して装置の上部に完成した封書として揃えて排出する。
なお、各部に図示される矢印は、用紙、封筒用紙及び折り工程により形成された封筒の搬送方向を示している。
【0017】
印刷装置10の構成としては、封筒及び内容物となる用紙を印刷して排出する装置であり、各部を収納する筐体の内部又は側面等に、複数種類の用紙(内容物となる枚葉状の用紙や封筒用紙)を収納可能な複数の給紙トレイ(P1〜P4)と、導入路11からの用紙を搬送するループ状の搬送路12、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドC、K、M、Yからなる印刷手段13と、用紙を封入封緘装置20に排出する第1の排出路14と、用紙をループ外に排出する第2の排出路15と、搬送路12を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送路12に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路16とを備えている。
【0018】
封入封緘装置20の構成としては、印刷装置10の第1の排出路14から送られた封筒用紙や内容物となる用紙を受け入れて封筒用紙に内容物を封入して封緘する装置であり、印刷装置10の第1の排出路14から斜め下方に延設される封筒用紙を第1の折り手段に搬送する案内路である第1の搬送経路21と、その前段から分岐して斜め下方に延設される内容物の用紙を第2の折り手段24に搬送する案内路である第2の搬送経路22と、第1の搬送経路21の終端に設けられ、封筒用紙を折って封筒の形態を作製する第1の折り手段23(主折りローラA’、用紙搬送ローラD’及び第1折りローラB’で構成)と、第2の搬送経路22の終端に設けられ、用紙を折り畳むための第2の折り手段24(主折りローラA、第1折りローラB、第2折りローラC及び用紙搬送ローラDで構成)と、第1の搬送経路21と第2の搬送経路22の合流点にあり封筒用紙に必要に応じてさらに折りを与える第3の折り手段であるとともに、折られた封筒用紙に内容物を整合させた後にさらに折りを加えることにより、内容物を封筒内に包み込ませる封入処理、さらにこの封筒を封緘する封緘処理を行う封入封緘手段25(主折りローラA”、用紙搬送ローラD”、第1及び第2折りローラB”,C”で構成)と、封筒用紙の再湿糊に水を付けて接着力を発揮させ、封筒用紙を接着して封筒にするための接着手段である加水手段26と、内容物封入後の封筒の感圧接着剤塗布箇所を上下から挟持して圧力を加えて感圧接着を行う圧着ローラ27と、筐体の上面に設けられ、圧着ローラ27から斜め上前方に向けて傾斜して延設された上昇経路を通じて封入封緘が完了して完成した封書を順次積み上げる排出台28と、封書を排出台28へ搬送する排出搬送部29とを備えている。
【0019】
また、印刷装置10には、封書作製装置100を構成する各部の駆動制御を行うのに必要な駆動制御情報等を記憶する印刷装置10及び封入封緘装置20共通の記憶部30と、封書作製装置100の駆動に必要な駆動情報や封書作成に関する各種制御情報を記憶する印刷装置10及び封入封緘装置20共通の制御部40とを備えている。
【0020】
そして、本発明に係る整合装置1は、図示のように第2の搬送経路22とその後段にある第2の折り手段24との間に配置され、印刷装置10で画像形成された用紙に折り加工を施す前に用紙の位置を整合基準に合わせて整合動作を行っている。
【0021】
[2.整合装置]
次に、本発明に係る整合装置の構成について、図2〜8を参照しながら説明する。
なお、本明細書中では、用紙整合に伴い適宜移動する整合部4の移動位置として、印刷ジョブ終了後から印刷ジョブ開始に至るまで待機する位置を「待機位置」、印刷ジョブ開始後に印刷装置10から現在実行している印刷ジョブで使用する用紙の用紙サイズ情報に基づき必要に応じて整合部4を適切な幅位置(用紙幅又は封筒幅)に対応した間隔で待機する位置を「用紙受入位置」とする。
【0022】
<装置構成>
図2に示すように、本例の整合装置1は、用紙搬送部2、載置部3、整合部4、先端規制部5、記憶部6、制御部7で概略構成されている。なお、記憶部6、制御部7は、上述した印刷装置10と封入封緘装置20共通の記憶部30、制御部40と同一構成であるが、ここでは整合装置の一構成要素として整合装置1に関する機能についてのみ説明する。
【0023】
用紙搬送部2は、駆動ローラ及び従動ローラからなり印刷装置10からの用紙を搬入する搬入ローラ対2aと、同じく駆動ローラ及び従動ローラからなり搬入した用紙を下流方向へ搬送する搬送ローラ対2bと、同じく駆動ローラ及び従動ローラからなり後工程である紙折り工程を行う第2の折り手段24へ所定タイミングで搬送するとともに用紙のスキュー補正を行う排出ローラ対2cとを備え、各ローラ対2a〜2cが用紙幅方向に沿って回動自在に軸支されている。
【0024】
また、搬送ローラ対2bの従動ローラは、図3に示すように用紙搬入時は退避位置に退避し、下流側に搬送する際に駆動ローラとで用紙を挟持搬送している。さらに、用紙搬送部2は、図4に示すように封筒に封入する内容物が用紙1枚の場合、制御部7からのスキュー補正実行信号に基づき一旦排出ローラ対2cの駆動を停止し、搬送ローラ対2bの搬送力によって用紙を排出ローラ対2cに突き当てて弛みを形成して用紙に対するスキュー補正を行う。
【0025】
載置部3は、搬入ローラ対2aで搬入した用紙を一旦貯留するため第2の搬送経路22上に沿って略平坦な面で形成されている。また、載置部3の載置面には、用紙整合時に整合部4の摺動方向を搬送方向と直交する用紙幅方向へ規制するガイド溝が形成されている。
【0026】
整合部4は、用紙幅方向に摺動して用紙の両側縁端と当接し、用紙を整合基準に合わせて整合する板状部材からなる一対の整合板4aで構成され、載置部3に搬送される用紙の幅方向の両外側に載置部3のガイド溝に沿って摺動可能に立設されている。整合部4は、制御部7からの整合動作実行信号に基づき整合板4aの相互間隔を拡幅又は縮幅するよう相対方向に往復移動する、所謂整合動作を行って用紙の幅方向を規制と整合基準での位置合わせを行っている。また、整合部4は、制御部7からの整合動作不実行信号に基づき整合動作を不実行として整合板4aを待機位置にて待機状態としている。
【0027】
さらに、整合部4は、整合動作不実行信号を入力したときに制御部7から用紙受入位置移動信号を入力すると、待機位置から所定の用紙受入位置へと移動し、整合動作せずに搬送される用紙を受け入れている。なお、用紙受入位置としては、例えば内容物を封入する封筒の封入口の幅寸法に合わせる等、後段の後処理内容に応じて適宜設定可能とすることで、後処理での動作不良を防止する効果を奏する。
【0028】
先端規制部5は、板状部材で構成され、搬送ローラ対2bと排出ローラ対2cとの間において載置面に対して垂直方向に進退可能に設けられている。先端規制部5は、制御部7からの規制実行信号に基づき用紙搬入時に載置部3の載置面側に突出して搬入される用紙先端を規制し、整合動作が終了後に載置部3の裏面側へと退避する。また、先端規制部5は、図4に示すように、制御部7からの規制不実行信号に基づき載置面側に突出せずに退避状態を維持する。
【0029】
記憶部6は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAMなどの半導体メモリで構成され、整合装置1を構成する各部の駆動制御プログラムを記憶している。また、記憶部6は、使用される封筒サイズ情報から用紙の用紙サイズ情報を差し引いた差分値と整合動作が必要か否かを判別するための整合動作実行判別用閾値との比較結果を関連付けた整合動作実行判別用テーブルを記憶している。
【0030】
ここで、整合動作実行判別用テーブルについて説明する。なお、各表に示した封筒及び用紙の種類は、封書作製装置100にて使用可能な一例であり、これに限定されるものではない。
【0031】
まず、封筒の種類として「洋0封筒」、「洋5封筒」、「角2封筒」、「角3封筒」、「C5封筒」、「#10封筒」、「#9封筒」、内容物となる用紙の種類として「A4用紙」、「B5用紙」、「リーガル/レター」を用いたときの封筒と用紙との幅寸法の関係について説明する。
図5は主な既製の封筒の幅寸法aから封入対象となる用紙の幅寸法bを差し引いた差分値についての表であり、図6は封筒用紙に折り加工を施し作製した封筒の幅寸法aから封入対象となる用紙の幅寸法bを差し引いた差分値についての表である。図5、6に示すように、既製の封筒を使用する場合に比べて封筒用紙から作製する封筒の方が、圧着糊の接着領域分だけ差分値が少なくなっていることがわかる。従って、使用する封筒が既製の封筒であるか封筒用紙から作製される封筒であるかによって整合動作の必要の有無状況が変わる。
【0032】
このような封筒の幅寸法aと用紙の幅寸法bとの関係に基づき、封筒の種類、用紙の種類、整合動作実行判別用閾値とを関連付けした状態で図7、8に示すような整合動作実行判別用テーブルとして記憶している。
【0033】
図7は既製の封筒の幅寸法と枚葉紙の幅寸法との関係において整合動作実行判別用閾値を8mm(片側4mm)、10mm(片側5mm)、11mm(片側5.5mm)、12mm(片側6mm)、14mm(片側7mm)、16mm(片側8mm)に規定したときに整合動作を行うか否かをテーブル化した整合動作実行判別用テーブルである。また、図8は封筒用紙に折り加工を施して作製した封筒の幅寸法と枚葉紙の幅寸法との関係において、既製の封筒と同様に整合動作実行判別用閾値を8mm(片側4mm)、10mm(片側5mm)、11mm(片側5.5mm)、12mm(片側6mm)、14mm(片側7mm)、16mm(片側8mm)に規定したときに整合動作を行うか否かをテーブル化した整合動作実行判別用テーブルである。
なお、本例の整合動作実行判別用テーブルでは、封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いた差分値が3mm以下の場合は、封入不可として判別している。
【0034】
制御部7は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成された各種制御処理や演算処理を行うマイクロコンピュータであり、整合装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。また、制御部7は、整合対象となる用紙の両側端が、整合装置1の後段で行われる後処理が実施可能な範囲内にあるか否かを判別し、その判別結果に基づき整合動作を実行するか否かの制御、用紙の位置に対して封筒を位置合わせするか否かの制御を行っている。言い換えると、本実施形態では、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差分値が予め設定された整合動作実行判別用閾値を超えたか否かに基づき、整合動作を実行するか否かの制御、用紙の位置に対して封筒を位置合わせするか否かの制御を行っている。また、制御部7は、内容物となる用紙の枚数に応じて、用紙に対するスキュー補正に関する制御や先端規制部5の制御等を行っている。
【0035】
ここで、制御部7において内容物となる用紙の枚数や封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差分値に基づく制御内容を実施例1〜4として具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1は、内容物が複数枚で封筒の幅寸法aと用紙の幅寸法bの差分が整合動作実行判別用閾値以下の場合(a−b≦閾値)である。制御部7は、印刷装置10からの封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とに基づき封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いて差分値を算出し、この差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
そして、照合した結果、封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いた差分値が整合動作実行判別用閾値以下で整合動作が必要であると判別すると、整合動作を実行させる整合動作実行信号を整合部4に出力している。また、制御部7は、用紙が複数枚であり用紙先端を揃える必要があるため、先端規制部5に規制実行信号を出力している。さらに、制御部7は、用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕がないため、封筒の位置合わせを行うための位置合わせ実行信号を封入封緘手段25に出力している。
【0036】
(実施例2)
実施例2は、内容物が1枚で封筒の幅寸法aと用紙の幅寸法bの差分が整合動作実行判別用閾値以下の場合(a−b≦閾値)である。制御部7は、印刷装置10からの封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とに基づき封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いて差分値を算出し、この差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
そして、照合した結果、封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いた差分値が整合動作実行判別用閾値以下で整合動作が必要であると判別すると、整合動作を実行させる整合動作実行信号を整合部4に出力している。また、制御部7は、用紙が1枚であり用紙先端を揃える必要がないため、先端規制部5に規制不実行信号を出力するとともに、スキュー補正を行うためのスキュー補正実行信号を用紙搬送部2に出力している。さらに、制御部7は、用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕がないため、封筒の位置合わせを行うための位置合わせ実行信号を封入封緘手段25に出力している。
なお、実施例2では、本来内容物である用紙が1枚であるため用紙幅方向の整合動作が不要であるが、用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕がないため、整合動作により整合基準に合わせる意味合いで整合動作を行っている。
【0037】
(実施例3)
実施例3は、内容物が複数枚で封筒の幅寸法aと用紙の幅寸法bの差分が整合動作実行判別用閾値を超える場合(a−b>閾値)である。制御部7は、印刷装置10からの封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とに基づき封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いて差分値を算出し、この差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
そして、照合した結果、封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いた差分値が整合動作実行判別用閾値を超えて整合動作が必要でないと判別すると、整合動作を不実行させる整合動作不実行信号を整合部4に出力している。また、制御部7は、用紙が複数枚であり用紙先端を揃える必要があるため、先端規制部5に規制実行信号を出力している。さらに、制御部7は、用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕があるため、封筒の位置合わせを行わないようにするための位置合わせ不実行信号を封入封緘手段25に出力している。
【0038】
(実施例4)
実施例4は、内容物が1枚で封筒の幅寸法aと用紙の幅寸法bの差分が整合動作実行判別用閾値を超える場合(a−b>閾値)である。制御部7は、印刷装置10からの封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とに基づき封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いて差分値を算出し、この差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
そして、照合した結果、封筒の幅寸法aから用紙の幅寸法bを差し引いた差分値が整合動作実行判別用閾値を超えて整合動作が必要でないと判別すると、整合動作を不実行させる整合動作不実行信号を整合部4に出力している。また、制御部7は、用紙が1枚であり用紙幅方向の整合が不要であるとともに用紙先端を揃える必要がないため、先端規制部5に規制不実行信号を出力するとともに、スキュー補正を行うためのスキュー補正実行信号を用紙搬送部2に出力している。さらに、制御部7は、用紙の幅寸法に対して封筒の幅寸法に余裕があるため、封筒の位置合わせを行わないようにするための位置合わせ不実行信号を封入封緘手段25に出力している。
【0039】
なお、制御部7は、実施例3、4のように整合部4に対して整合動作不実行信号を出力する場合、整合部4を用紙受入位置まで移動させるための用紙受入位置移動信号を整合部4に出力することもできる。これにより、用紙の幅寸法が封筒の幅寸法に対して極端に小さいときに搬入する用紙の載置位置のバラツキ加減をある程度規制して封入不良を防止することができる。
【0040】
<処理動作>
次に、本例の整合装置1における一連の処理動作について説明する。ここでは、ユーザPCから印刷ジョブを封書作製装置100に出力して封書を作製するシステム構成例で説明し、上述した実施例1〜4の処理動作についてそれぞれ説明する。なお、ここでは印刷ジョブの設定をPCから設定した処理例で説明するが、封書作製装置100に搭載された操作パネルからの入力設定等、印刷ジョブの設定方法については特に限定されない。
【0041】
(実施例1の処理動作)
上述した実施例1の処理動作としては、まずユーザが希望する封筒と用紙を選択して封書の作製数等の印刷ジョブ内容をPCから設定し、封書作製装置100に出力する。印刷ジョブが開始されると、設定された印刷ジョブに基づき封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とから封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値を算出し、算出した差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
【0042】
このとき、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値以下であると判別し、整合部4に整合動作を行うための整合動作実行信号を出力する。また、先端規制部5へ規制実行信号を出力して搬入される用紙の先端を規制するとともに、用紙の位置を基準に封筒の位置合わせを行うための位置合わせ実行信号を封入封緘手段25に出力する。そして、搬入された用紙を所定枚数整合した後、後段の第2の折り手段24へ搬送する。
【0043】
(実施例2の処理動作)
上述した実施例2の処理動作としては、まずユーザが希望する封筒と用紙を選択して封書の作製数等の印刷ジョブ内容をPCから設定し、封書作製装置100に出力する。印刷ジョブが開始されると、設定された印刷ジョブに基づき封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とから封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値を算出し、算出した差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
【0044】
このとき、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値以下であると判別し、整合部4に整合動作を行うための整合動作実行信号を出力する。また、先端規制部5へ規制不実行信号を出力して搬入される用紙の先端の規制を行わないようにするとともに、用紙搬送部2にスキュー補正実行信号を出力して搬送ローラ対2bと排出ローラ対2cとでスキュー補正を行う。さらに、用紙の位置を基準に封筒の位置合わせを行うための位置合わせ実行信号を封入封緘手段25に出力する。そして、搬入された用紙を後段の第2の折り手段24へ搬送する。
【0045】
(実施例3の処理動作)
上述した実施例3の処理動作としては、まずユーザが希望する封筒と用紙を選択して封書の作製数等の印刷ジョブ内容をPCから設定し、封書作製装置100に出力する。印刷ジョブが開始されると、設定された印刷ジョブに基づき封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とから封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値を算出し、算出した差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
【0046】
このとき、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値を超えると判別し、整合部4に整合動作を行わないようにするための整合動作不実行信号を出力する。また、先端規制部5へ規制実行信号を出力して搬入される用紙の先端を規制するとともに、用紙の位置を基準に封筒の位置合わせを行わないようにするための位置合わせ不実行信号を封入封緘手段25に出力する。そして、搬入された用紙を所定枚数整合した後、後段の第2の折り手段24へ搬送する。
【0047】
(実施例4の処理動作)
上述した実施例4の処理動作としては、まずユーザが希望する封筒と用紙を選択して封書の作製数等の印刷ジョブ内容をPCから設定し、封書作製装置100に出力する。印刷ジョブが開始されると、設定された印刷ジョブに基づき封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とから封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値を算出し、算出した差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。
【0048】
このとき、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値を超えると判別し、整合部4に整合動作を行わないようにするための整合動作不実行信号を出力する。また、先端規制部5へ規制不実行信号を出力して搬入される用紙の先端の規制を行わないようにするとともに、用紙搬送部2にスキュー補正実行信号を出力して搬送ローラ対2bと排出ローラ対2cとでスキュー補正を行う。さらに、用紙の位置を基準に封筒の位置合わせを行わないようにするための位置合わせ不実行信号を封入封緘手段25に出力する。そして、搬入された用紙を後段の第2の折り手段24へ搬送する。
【0049】
以上説明したように、上述した整合装置1は、設定された印刷ジョブに基づき封筒サイズ情報と用紙サイズ情報とから封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の差分値を算出し、算出した差分値と記憶部6に記憶される整合動作実行判別用テーブルのうち設定された整合動作実行判別用閾値と該当するテーブルとを照合する。そして、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値を超えると判別すると、整合部4に整合動作を行わないようにするための整合動作不実行信号を出力する。
【0050】
これにより、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法の情報から不要な整合動作を実行する必要がなくなり、生産性を向上させることができる。
【0051】
また、算出した差分値と記憶部6に記憶される設定された整合動作実行判別用閾値と該当する整合動作実行判別用テーブルとを照合した際に、封筒の幅寸法と用紙の幅寸法との差が算出した差分値は整合動作実行判別用閾値以下であると判別したときは、用紙の位置を基準に封筒の位置合わせを行わないようにするための位置合わせ不実行信号を封入封緘手段25に出力することで、位置合わせ時に駆動する搬送ローラ対の駆動手段(アクチュエータ)の駆動音が軽減されるとともに、装置駆動の省電力化を図ることができる。
【0052】
さらに、用紙の整合動作を行わないと判別したときに、整合板の位置を封筒の封入口と同寸法の用紙受入位置まで移動制御することで、用紙が封筒の封入口の幅寸法よりも外側にずれることなく確実に封入可能な位置で用紙を受け入れて後段の封入封緘部まで搬送することができる。
【0053】
また、封筒に封入する封筒の内容物が用紙1枚のときは、先端規制部5へ規制不実行信号を出力して搬入される用紙の先端を規制せず排出ローラ対2cによるスキュー補正のみでよいため、装置駆動の省電力化を図ることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【0054】
ところで、上述した実施形態では、本装置が搭載される封書作製装置100の構成として印刷装置10がインクジェット方式であり、封入封緘装置20が封筒用紙に成形工程(折り加工や圧着処理等)を施した封筒を用いて内容物の封入及び封緘を行う例で説明したが、これに限定されることはない。例えば印刷装置10の構成としては、内容物や封筒用紙に適切な印刷処理が行える各種画像形成装置(孔版印刷装置、複写機、レーザプリンタ等)若しくは印刷済みの内容物や封筒用紙を封入封緘装置20へ搬送する用紙搬送装置であればよく、また封入封緘装置20の構成としては、既成の封筒を用いて封筒に対する印刷処理及び内容物の封入封緘処理のみを行うような構成であってもよい。
【0055】
また、上記説明では、本例の整合装置1が封書作製装置100に搭載され、印刷装置10から搬入した用紙の整合後に行われる封入封緘処理であるが、これに限定されることはなく、後処理の内容としてステープル処理や穴あけ処理等を行う用紙後処理装置の前段に設けられる構成でもよい。このような構成の場合、後処理が実施可能な範囲に用紙の両側端(幅寸法)が入っていれば整合動作を不実行とすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…整合装置
2…用紙搬送部(2a…搬入ローラ対、2b…搬送ローラ対、2c…排出ローラ対)
3…載置部
4…整合部(4a…整合板)
5…先端規制部
6(30)…記憶部
7(40)…制御部
10…印刷装置
11…導入路
12…搬送路
13…印刷手段
14…第1の排出路
15…第2の排出路
16…スイッチバック路
20…封入封緘装置
21…第1の搬送経路
22…第2の搬送経路
23…第1の折り手段
24…第2の折り手段
25…封入封緘手段
26…加水手段
27…圧着ローラ
28…排出台
29…排出搬送部
30(6)…記憶部
40(7)…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入した用紙の両側端を整合する整合部を備えた整合装置において、
前記用紙を封入する封筒の封筒サイズ情報から整合対象となる前記用紙の用紙サイズ情報を差し引いた差分値と、予め設定された整合動作実行判別用閾値とを比較し、前記閾値を超えたときに整合動作を行わないように制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の整合装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記用紙の整合動作を行わないと判別したときに、さらに前記用紙の位置に封筒の位置合わせを行わないように前記封入封緘手段を制御することを特徴とする請求項1記載の整合装置。
【請求項3】
前記用紙を整合する一対の整合板を有する整合部を備え、
前記制御部は、前記用紙の整合動作を行わないと判別したときに、前記封筒サイズ情報に基づき前記整合板を前記封筒の封入口と同寸法の用紙受入位置まで移動制御することを特徴とする請求項1又は2記載の整合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−171660(P2012−171660A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36092(P2011−36092)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】