説明

整流子の製造方法ならびに整流子

絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材(1)と、その中に固定された複数の金属製導体セグメント(13)と、その導体セグメントを一対毎あるいは一群毎に互いに導電的に結合する複数の補償要素(17)を有する補償装置(18)からなる整流子において、補償要素(17)は支持部材(1)内に埋め込まれた導線断片(19)によって形成される。この種の整流子を製造するために、適宜に曲げられ補償要素を形成する導線断片(19)が、支持部材(1)が射出成形される前に、少なくとも末端部で該当する環状構造の導体セグメント(13)に接続される。そのために使用される射出成形工具(2)は鉢型形状の複数の支持要素(31)を有しており、この支持要素は射出成形工具の1つの部材上にその軸(5)周りで同心状に配置され、またその中に導線断片(19)が噛合する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材と、軸の周りに均等配置された複数の金属製導体セグメントと、複数の補償要素からなる補償装置を備え、導体セグメントが支持部材内に固定されるとともに、この支持部材内に埋設された補償要素を介して一対毎あるいは一群毎に互いに結合される、整流子の製造方法に関する。この発明はさらに、絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材と、軸の周りに均等配置された複数の金属製導体セグメントと、複数の補償要素からなる補償装置を備え、導体セグメントが支持部材内に固定されるとともに、この支持部材内に埋設された補償要素を介して一対毎あるいは一群毎に互いに結合される整流子に関する。
【0002】
整流子において等しい電位を有する必要がある各導体セグメントを、補償要素を介して互いに導電的に結合することが知られており、その際個別の補償要素の集合体が補償装置を形成するものとなる。この種の整流子の利点は、多極型のモータがブラシの数を削減して機能することであり、それが構造寸法の観点から好適なものとなる。さらに、等電位の各導体セグメントを結合することにより、磁流が均一化され、モータの回転も均一化されるとともに非対称な応力の作用による支承部の負荷が削減される。
【0003】
この種のモータの第1の構成形態において、補償要素は導線断片として形成され、これは整流子の製造後に導体セグメント(例えば回転子巻線の接続フック)に接続し、整流子の外側、特に整流子の周囲領域あるいは端面領域内に配設される(例えば、米国特許第6320293号B1明細書、米国特許第3484634号A明細書、欧州特許出願公開第1073182号A2明細書、独国特許第19950370号B4明細書、特開2001−103714号公報参照)。ここで特に、整流子の製造中および/またはその整流子を装備した稼働中に、露出した導線断片の絶縁が破壊されその結果電位の異なった導体セグメント間で短絡が形成される危険性があることが問題点となる。このことを防止するために、補償要素を形成している導線断片を電機子巻線の巻付け前にそのために設けられた電機子の溝部内に配設することが提案されている(例えば、独国特許出願公開第19917579号A1明細書および特開2003−169458号公報参照)。この種の補償装置を整流子の加工後に初めて電機子巻線の製造と組み合わせて準備する製造方式の問題点は、追加的に巻線装置への負担要求が生じその結果生産能力が低下することである。
【0004】
ここで、前記の2つの問題点は、整流子の製造に際して既にその中に補償装置を内蔵させ、それによって保護するとともに電機子の製造とは無関係のものとする、冒頭に述べた種類の整流子においては存在しない。勿論ここで、従来の技術において一般的なように(米国特許第6057626号A明細書および独国特許第3901905号C1明細書参照)、平板状の材料から打ち抜き加工されその後の可塑性材料による支持部材の射出成形に際して損傷されないような充分な強度を有する特殊な補償要素の採用が必要となる。この種の特殊な補償要素の製造および貯蔵は、同種の整流子の比較的高い製造コストにつながる。独国特許出願公開第10116182号A1明細書によれば、支持部材内に埋設される補償要素は金属製のブリッジ導体として形成され、それが内側で導体セグメントにハンダ付けあるいは溶接される。このブリッジ導体は、支持部材の射出成形時に許容限度を超えて変形しそれによって短絡が形成されることがないように、高い剛性をもって、すなわち比較的大きな断面性を有するように形成する必要がある。さらに、支持部材の射出成形に際して変形後の接触による短絡の危険性を防止するためにブリッジ導体は相互間ならびに導体セグメントから所定の最少離間距離を保持する必要がある。そのため、独国特許出願公開第10116182号A1明細書によって知られている構成方式は小さな寸法を有する小型の整流子には適さないものとなる。
【0005】
支持部材が予加工された複数の部材から組成され、そこで補償要素が支持部材と導体セグメントの間の環状空洞内に配設される整流子(特開昭60−162451号公報)においては製造コストが高くなり、従って広く普及するには競争力に欠けるものとなる。
【0006】
前述した従来の技術の観点から、本発明の目的は、冒頭に述べた種類の整流子の製造に際して、小型の寸法でも障害の生じ難いものとし、また比較的低コストな製造を可能にすることである。
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明によれば、絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材と、軸の周りに均等配置された複数の金属製導体セグメントと、複数の補償要素からなる補償装置を備え、導体セグメントが支持部材内に固定されるとともに、この支持部材内に埋設された補償要素を介して一対毎あるいは一群毎に互いに結合される、整流子の製造方法が:
導体セグメントを内包した環状構造を形成し;
必要な補償要素の数に相当する数の導線断片を形成し、それらの導線断片は導体とそれを被覆する絶縁材料からなり、その絶縁材料がいずれも両端において除去されているものとし;
前記導線断片を中央領域で湾曲させて円弧形を形成し;
導線断片の導体の末端を導体セグメント上に配置された接続要素上においてそれぞれ該当するに導体セグメントと導電的に結合し;
導線断片を具備した環状構造を分割型の射出成形工具内に装入し、ここで成形工具が閉じた際に射出成形工具の1つの部材上にその軸周りで同心状に配置された複数の鉢型形状の支持要素に前記導線断片が噛合するようにし;
補償要素を埋め込みながら成形型空洞部に可塑性の成形材料を充填し;
成形材料を硬化させ;
射出成形型を開いて整流子半加工材を取り出し;
整流子半加工材を仕上げ加工する、
ステップからなる。
【0008】
従って本発明に係る、絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材に埋設された補償装置を備えた整流子の製造方法において、特に補償装置を形成するために複数の導線断片を使用し、それらはいずれも末端部が露出しているとともに(それぞれ2つの導体セグメントを対毎に結合する場合)絶縁性外被によって被覆された導体を備え、その中央領域が円弧形状に曲げられた後末端側がそれぞれ2つの導体セグメントの、好適には半径方向内側の、所定の接続要素に接続される。導線断片を完全に被包している可塑性の成形材料からなる支持部材を射出成形する際のこの導線断片によって形成された補償要素の破壊は、支持部材の射出成形に際して導線断片が支持要素によって支持および固定され、この支持要素は射出成形工具の1つの工具部材上に配置されるとともに鉢形状に構成され、既に導線断片を具備した環状構造を射出成形工具内に装入し続いてこの射出成形工具を閉じる際に前記導線断片が前記鉢形状の支持要素内に噛合するようにする。この可塑性の成形材料による支持部材の射出成形時における補償要素の支持によって、それを極めて安価な汎用導線の断片から形成することが可能となり、当然それは特別な剛性を有する必要もない。導体を被包している絶縁材のため、導線断片が互いに接触しても障害は生じない。このことは実用上において、補償要素が在庫導線から適宜な断片を裁断することによって低コストに製造可能であることを意味しており、それによって従来の整流子に比べて大幅なコスト削減につながる。この点に関して、一般的な標準規格導線の形式の同じ原材料を多様な整流子の補償装置の製造に使用し得ることが極めて好適である。従って本発明を適用することによって、3つあるいはそれより多い導体セグメントを一群毎にそれぞれ1つの導線断片を介して互いに導電的に結合する整流子を同じ原材料を使用して製造することができる。この場合導線断片の絶縁性外被は、互いに結合される導体セグメントの数に応じて端部領域の間の中間領域が一か所あるいは複数個所で追加的に除去され、その部分で露出した導体が所定の接続要素上で1つあるいは複数の追加的な導体セグメントに結合される。
【0009】
以下の説明において本発明は、導体セグメントが対毎に補償要素を介して互いに導電的に結合される整流子(のみ)に関して記述されるが、本発明がその整流子の構成に限定されるものではない。
【0010】
本発明の好適な追加構成によれば、導線断片は端部側で導体セグメントと機械的に締め付け固定される。このため、導体セグメントはその半径方向内側面に内側に突出したそれぞれ2つの締め付けタングを備えており、それらがその間に挿入された該当する導線断片の端部を締め付けるために互いに接近する方向に湾曲している。この種の締め付けタングは特に導体セグメントを支持部材内に固定する留め付け部材の一部とすることができる。この種の導線断片と導体セグメントの機械的な締め付けは、唯一の結合を形成するものとするか、あるいは導線断片が導体セグメントとハンダ付けあるいは溶接される前の唯の機械的な固定とすることができ、前記のハンダ付けあるいは溶接は例えばレーザ溶接あるいは抵抗溶接によって行うことができる。この種の機械的な締め付けは本発明の枠内において決して不可欠なものではなく;むしろ導線断片と導体セグメントの結合は予め機械的な締め付けを行わずにハンダ付け、溶接、導電性の接着等によって行うことが可能である。
【0011】
本発明の好適な追加構成形態によれば、導線断片の導体が銅から形成される。ここで導線断片の絶縁性外被を形成するために複数の可能性が考えられる。例えば導線断片の絶縁性外被は塗料、テフロン(登録商標)、あるいはシリコンからなるものとすることができる。適宜な材料の選択は、整流子の製造中における絶縁材の(機械的および熱的)負荷を考慮して実施されるが、本発明の適用分野の多くの場合、(極めて安価な)塗料からなる絶縁性外被による構成で充分なものとなる。
【0012】
導線断片の準備加工、特に両端の絶縁性外被の除去の点に関して、本発明の追加構成形態によれば、所定の場所が露出した導体上で分離することによって導線断片を裁断する前に、貯蔵導線上で特にピーリングによって絶縁性外被を部分的に除去することを特徴とする。この方式によって複数の導線断片を同時に準備加工し両端の絶縁性外被を除去するための個々の導線断片を省略することができるため、この種の方法はコスト面からも極めて好適である。特に、導線断片の端部で導体を露出させるために絶縁性外被がチューブ状に導体から剥がれることがないよう、絶縁性外被が導体上に良好に付着すれば好適である。他方導体への粘着力が比較的低いために絶縁性外被がごく簡単にチューブ形状で完全に剥がれる場合、端部の絶縁性外被が除去される前に貯蔵導線から導線断片を裁断することができる。
【0013】
本発明は、多様な整流子構造方式および多様な整流子の製造方法と組み合わせて実現することができる。その点に関して、本発明は特に、補償要素用の接続要素が導体セグメントの半径方向内側に配置されることが好適であるドラム型整流子のみに適したものではなく;平型整流子においても有効に実現することができる。ここで通常、導体セグメントが実質的な最終形状でその中に配設されている環状構造を、後に取り外されるブリッジと共に導体セグメントを一体的に形成してそのブリッジを介して導体セグメントが互いに結合されている導体半加工材によって形成するか、あるいはその中に個々の導体セグメントを収容したケージによって形成するかは決定的なことではない。このことは単に、補償装置を備えていない同種の整流子の製造においても充分知られていた、整流子半加工材の加工作業の枠内で実行する加工ステップに関して意味を成すものである。また、ブラシ滑走部が直接導体セグメント上に配置されるか、あるいは導体セグメントと導電的に結合された炭素材セグメント上に配置されるかは重要でない。
【0014】
本発明をドラム型整流子に適用する場合、補償装置の導線断片の円弧形状の領域が、導体セグメントのターミナルラグも配置されている支持部材の端面領域内に配置されることが極めて好適である。これは特に、この場合支持部材の射出成形に際して導線断片を支持する支持要素として、典型的な整流子構造方式において極めて壁厚に形成される支持部材の領域内に配置することが好適であり、従って支持要素を支持部材内に残留させる影響が整流子の機械的特性の悪化につながることはない。この場合さらに、成形型内に射出された可塑性の成形材料によって導線断片が鉢型形状支持要素内に圧入されるように、射出成形型内の型空洞部内の成形材料の射出ゾーンを選択することができる。
【0015】
前述したターミナルラグに隣接した導線断片の円弧形状の領域の極めて好適な配置にかかわらず、導線断片の末端が導体セグメントと結合される接続点は導体セグメントの接続フックから離間して配置することが極めて好適である。これは、本発明に係る整流子の製造中における接続点の接近性の観点、ならびに電機子巻線を整流子のターミナルラグ上に溶接する際の導線断片と導体セグメントの結合における熱負荷が可能な限り小さくなるという観点の両方において有利である。この点に関して本発明に従って構成されるドラム型整流子について、導線断片がいずれも中央の円弧形状に曲げられた領域の外側に実質的に整流子軸と平行に延在する2つの外側領域を備え、ここでそれらの外側領域が導線断片の円弧形状領域と接続点との間の軸方向距離を架橋するものとなる。一方、円弧形状に曲げられた導線断片の中央領域と導体セグメントに対する補償要素の接続点の間の軸方向の偏位が存在しない場合、絶縁性外被が剥離され露出した導体の端部が円弧形状に曲げられた導線断片の中央領域に直に隣接して配置される。
【0016】
前述した整流子軸に平行に延在する導線断片の外側領域は、個々の導線断片の毎に長さに関して異なったものとなる。このことによって、導線断片の接続点の共通の平面上への配置にもかかわらず、軸方向において互いに偏位して延在している平面内へ、円弧形状の導線断片の中央領域を軸方向に上下して配置することが可能になる。円弧形状に曲げて形成された導線断片の中央領域は、この方式によって全て同じ湾曲半径を有し実質的に共通の円筒面上に載置することができる。このことは、整流子の不平衡の最小化、ならびにその寿命の観点から好適である。
【0017】
同様に不均衡の最小化の観点において、いずれも対向する2つの導体セグメントを対毎に互いに結合する導線断片を、各導体セグメントの下側を(これと接触せずに)通過して延在している導線断片の数が導体セグメントの数の1/4と同じかそれ未満となるように、軸の周りに配置することが極めて好適である。このため、例えば16個の導体セグメントを有する整流子において各導体セグメントの下側をそれぞれ3本あるいは4本の導線断片が接触せずに通過して延在し、18個の導体セグメントを有する整流子においては各導体セグメントの下側をそれぞれ4本の導線断片が通過して延在し、20個の導体セグメントを有する整流子において各導体セグメントの下側をそれぞれ4本あるいは5本の導線断片が通過して延在するよう、導線断片を配置することが好適である。
【0018】
次に、本発明について好適な実施例および添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0019】
図3および図4に示された、ドラム型整流子の支持部材1を射出成形するために使用される射出成形工具2は、上側工具2と下側工具3を備えている。軸5と同心に支持部材1を貫通していて電機子軸上に整流子を固定するために機能する孔部6を形成するために、下側工具4内にシリンダ形状のコア7が収容されている。この下側工具4は支持外被材8によって被包されており;上側工具9は圧力板も接合して、それと共に射出路Aに接している。上側工具3は、整流子の支持部材1の適宜な空間を形成するために錐形状の突起部10を備えている。
【0020】
射出成形工具は図中において閉じられた位置で示されており、その中にその延長の大部分がシリンダ形状の導体半加工材12の形式からなっている環状構造11が装入される。これが20個の導体セグメント13を含んでおり、ここで互いに隣接するそれぞれ2つの導体セグメント13がブリッジ14を介して相互に結合されており、そのブリッジは導体セグメントと共に一体的に形成されるとともにその後、すなわち支持部材が硬化して射出成形工具から整流子半加工材を取り出した後切断あるいは除去され、それによって導体セグメント13を互いに分離するとともに相互に絶縁する。この実施例において、ブリッジ14は導体セグメント13と等しい壁厚を有しており、導体半加工材12を個々の導体セグメント13に分離する際に切断部Sによって除去されるいずれかの材料によってブリッジ14が形成される。適宜な密封ゾーン15あるいは16を介して上側工具3と下側工具4が対応する導体半加工材12の気密面に対して気密に閉じられる。
【0021】
ここまでの範囲において、射出成形工具は一般に知られている従来の技術を踏襲しており、これは特に補償装置を備えていない一般的な整流子の製造にも使用されるものであり、ここでその詳細な説明は省略する。
【0022】
直径を挟んで互いに対向している各2つの導体セグメント13は、いずれも補償要素17を介して相互に導電的に結合されている。従ってこのドラム型整流子は10本の補償要素17を備えており、それらが組み合わされて補償装置18を構成している。10本の補償要素のそれぞれが導線断片19から形成されており、この導線断片自体は半円形状に曲げられた中央領域20と整流子の軸5に平行に延在している2つの外側領域21を有している。導線断片19は絶縁性外被22によって被覆された銅製の導体から形成され、ここで絶縁性外被22は両端部23の領域で除去されており、従ってその部分で導体24が露出している。
【0023】
導線断片19の端部23を導体セグメント13に機械的に留め付けるために、導体セグメント13の半径方向内側に設けられ(導体半加工材の状態で未だ曲げられていない)接続フック26から遠方に配置されたそれぞれ2つの留め付け部材25がいずれも2本の締め付けタング27を備えており、その間に導体24の裸の端部28が収容され締め付けられる。この場合留め付け部材25が接続要素29を形成するものとなり、その上で補償要素17が導体セグメント13と導電的に結合される。接触を改善するために、導体24の裸の端部28と留め付け部材25の間において追加的にハンダ付けを行う。支持部材1を形成する時点における接続フック26が伸びた状態に関して、下側工具4に対応する気密ゾーン16が適宜に段を付けて形成される。
【0024】
射出成形工具2の下側工具4はその内側端面30上に、軸5周りに均等に配置され前記端面から内側に向かって軸方向に突出している5本の支持要素31を備えている。これは実質的にU字型に形成され、従ってこれは鉢型部32を備えており、その中に、既に補償要素17を具備した導体半加工材12を下側工具4内に装入する際に半円形状に曲げられた導線断片19の中央領域20が嵌合する。上側工具3の突出部10内に接続している射出路Aを介して閉じられた射出成形工具2内に可塑性の成形材料を射出する際に、この成形材料によって導線断片19が支持要素31に強力に圧接され、従ってそこに強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従って形成され補償要素が取り付けられた導体半加工材のドラム型整流子への加工を示した立体図である。
【図2】図1の導体半加工材において補償要素として使用される導線断片を示した立体図である。
【図3】図1の導体半加工材上に支持部材を射出成形する際の射出成形工具を示した軸方向断面図である。
【図4】図3の射出成形工具の下側工具部材上に載置される図1の導体半加工材を示した立体図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材(1)と、軸(5)の周りに均等配置された複数の金属製導体セグメント(13)と、複数の補償要素(17)からなる補償装置(18)を備え、導体セグメントが支持部材内に固定されるとともに、この支持部材内に埋設された補償要素を介して一対毎あるいは一群毎に互いに導電的に結合されるものであり、
導体セグメント(13)を内包した環状構造(11)を形成し;
必要な補償要素(17)の数に相当する数の導線断片(19)を形成し、それらの導線断片は導体(24)とそれを被覆する絶縁材料(22)からなり、その絶縁材料がいずれも両端において除去されているものとし;
前記導線断片を中央領域(20)で湾曲させて円弧形を形成し;
導線断片の導体(24)の末端(23)を導体セグメント(13)上に配置された接続点(29)上においてそれぞれ該当するに導体セグメントと導電的に結合し;
導線断片(19)を具備した環状構造(11)を分割型の射出成形工具(2)内に装入し、ここで成形工具が閉じた際に射出成形工具の1つの部材上にその軸(5)周りで同心状に配置された複数の鉢型形状の支持要素(31)に前記導線断片(19)が噛合するようにし;
導線断片(19)を埋め込みながら成形型空洞部に可塑性の成形材料を充填し;
成形材料を硬化させ;
射出成形型を開いて整流子半加工材を取り出し;
整流子半加工材を仕上げ加工する、
ステップからなる整流子の製造方法。
【請求項2】
導線断片(19)は端部側で導体セグメント(13)と機械的に締め付け固定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
導線断片(19)は端部側で導体セグメント(13)にハンダ付けあるいは溶接されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
導線断片(19)の端部(23)の導体(24)を導体セグメントと結合する前に、この導線断片を円弧形状の中央領域(20)と実質的に互いに平行して延在するとともにこの円弧形状に湾曲した領域の面から実質的に垂直に突立する2つの外側領域(21)を有する構成に変形することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
異なった各導線断片(19)がそれぞれ異なった長さの外側領域(21)を有することを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
互いに対向する2つの導体セグメント(13)が導線断片(19)を介して一対毎に相互に結合され、各導体セグメント(13)の下側を通過して延在している導線断片の数が導体セグメントの数の1/4と同じかそれ未満となるように、前記導線断片(19)を軸(5)の周りに配置することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
貯蔵導線上で部分的に絶縁性外被(22)を除去し、その後露出した導体(24)部分で切断することによって導線断片(19)を裁断することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
導線断片(19)を貯蔵導線から裁断し、その後裁断された導線断片の端部で絶縁性外被(22)を除去することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
環状構造(11)は導体半加工材(12)によって形成され、それにおいて導体セグメント(13)がこれと一体的に形成されたブリッジ(14)を介して互いに結合されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
環状構造(11)は個々の導体セグメント(13)を収容したケージによって形成することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
導線断片(19)の導体(24)は銅から形成することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
導線断片(19)の絶縁性外被(22)は塗料、テフロン(登録商標)、あるいはシリコンから形成することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
絶縁性の成形材料から形成された一体型の支持部材(1)と、軸(5)の周りに均等配置された複数の金属製導体セグメント(13)と、複数の補償要素(17)からなる補償装置(18)を備え、導体セグメントが支持部材内に固定されるとともに、この支持部材内に埋設された補償要素を介して一対毎あるいは一群毎に互いに結合される整流子であり、
補償要素(17)は湾曲した中央領域(20)を有する導線断片(19)によって形成され、その導線断片がいずれも導体(24)とそれを被包する絶縁性外被(22)とからなり、ここでその絶縁性外被はいずれも両端で除去されていて各導体の露出した両端部(28)が2つの導体セグメント(13)と、この導体セグメント上の半径方向内側に配置された接続点(29)上で結合されることを特徴とする整流子。
【請求項14】
導線断片(19)はいずれも円弧形状に曲げられた中央領域(20)と整流子軸(5)に対して実質的に平行に延在する2つの外側領域(21)を有することを特徴とする請求項13記載の整流子。
【請求項15】
各導線断片(19)の中央領域(20)はそれぞれ異なった平面内に延在していて、個別の導線断片(19)の外側領域(21)の長さがそれぞれ異なったものとなることを特徴とする請求項14記載の整流子。
【請求項16】
互いに対向する導体セグメント(13)が導線断片(19)を介して一対毎に相互に結合され、各導体セグメント(13)の下側を通過して延在している導線断片の数が導体セグメントの数の1/4と同じかそれ未満となるように、前記導線断片(19)を軸(5)の周りに配置することを特徴とする請求項13ないし15のいずれかに記載の整流子。
【請求項17】
ドラム型整流子として構成され、導線断片(19)の円弧形状の中央領域(20)が、導体セグメント(13)のターミナルラグが配置されている側の支持部材(1)の端面に隣接して配置されることを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載の整流子。
【請求項18】
導線断片(19)の接続点は、ターミナルラグと反対側の支持部材(1)の端面に隣接して配置されることを特徴とする請求項17記載の整流子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522574(P2008−522574A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543712(P2007−543712)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011308
【国際公開番号】WO2006/058578
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(505039424)コレクトール グループ デー.オー.オー. (8)
【Fターム(参考)】