説明

整髪剤組成物

【課題】 毛髪に良好なしっとり感と束感とを付与でき、根元から毛先までの質感を均一にし得る整髪剤組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも、25℃で液状の炭化水素、ショ糖脂肪酸エステルおよび水が配合されており、25℃で液状の炭化水素の配合量が20〜60質量%であり、水の配合量が20〜40質量%であることを特徴とする整髪剤組成物により、上記課題を解決する。本発明の整髪剤組成物は、ショ糖脂肪酸エステルの配合量が、0.1〜20質量%であることが好ましく、また、25℃での粘度が、1000〜10000mPa・sであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に良好なしっとり感と束感とを付与でき、根元から毛先までの質感を均一にし得る整髪剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、毛髪固定用の高分子化合物とショ糖脂肪酸エステルとを組み合わせて、整髪力を高めた整髪剤組成物が知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−171739号公報
【特許文献2】特開2000−256149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、ヘアスタイルが多岐にわたっており、例えば、しっとり感(べたつきを感じない程度のしっとり感)があり、かつ、ある程度まとまり(束感)のあるスタイルが要求されることもある(なお、本明細書でいう「束感」とは、毛髪が、その長さ方向の中央付近から毛先にかけてまとまりを持った状態であることを意味している)。
【0005】
上記のようなヘアスタイルを形成するには、例えば、流動パラフィンなどの炭化水素(25℃で液状の炭化水素)を使用することが好ましいことが判明している。しかし、流動パラフィンを塗布した場合、毛髪がギラついたり、重くなりすぎるといった問題もある。
【0006】
そこで、こうした問題の発生を抑制しつつ、上記のようなヘアスタイルを良好に形成し得る整髪剤組成物の開発が求められる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、毛髪に良好なしっとり感と束感とを付与でき、根元から毛先までの質感を均一にし得る整髪剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成し得た本発明の整髪剤組成物は、少なくとも、25℃で液状の炭化水素、ショ糖脂肪酸エステルおよび水が配合されており、25℃で液状の炭化水素の配合量が20〜60質量%であり、水の配合量が20〜40質量%であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、毛髪に良好なしっとり感と束感とを付与でき、根元から毛先までの質感を均一にし得る整髪剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の整髪剤組成物で使用する25℃で液状の炭化水素としては、例えば、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィンなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪に良好な感触を付与し得る傾向があることから、流動パラフィンが好ましい。
【0011】
整髪剤組成物において、25℃で液状の炭化水素の配合量は、本発明の効果(毛髪に良好なしっとり感と束感を付与し、かつ根元から毛先までの質感を均一にし得る効果)を良好に確保する観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。なお、本発明の整髪剤組成物は乳化物であるが、整髪剤組成物における25℃で液状の炭化水素の配合量が多すぎると、水の配合量とのバランスが悪くなって、乳化安定性が損なわれてしまう。よって、整髪剤組成物において、25℃で液状の炭化水素の配合量は、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0012】
本発明の整髪剤組成物では、25℃で液状の炭化水素とともに、ショ糖脂肪酸エステルおよび水を用いており、これにより、25℃で液状の炭化水素の持つ毛髪へのしっとり感や束感の付与作用を損なうことなく、塗布後の毛髪がギラついたり重くなりすぎたりすることを抑制している。また、後述するように水の配合量を少なくし、かつ25℃で液状の炭化水素の配合量を多くして調製した整髪剤組成物では、毛髪の根元から毛先までの質感が不均一になる傾向にあるが、更にショ糖脂肪酸エステルを配合して整髪剤組成物を構成することで、質感の均一性を高めることができる。
【0013】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステルなどが挙げられる。
【0014】
ショ糖脂肪酸エステルは、上記例示のものを1種単独で用いてもよいが、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が異なる2種以上を併用することが好ましい。より具体的には、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が3〜7のショ糖脂肪酸エステル(A)と、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が1〜2のショ糖脂肪酸エステル(B)とを併用することが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度に応じてHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が変化する。よって、上記のように、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度の異なるものを併用することは、すなわち、HLB値の大きなものと小さなものとを併用することとなるが、これにより、整髪剤組成物の乳化安定性をより高めることができる。
【0015】
なお、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度(以下、単に「平均置換度」と省略する場合がある)が3〜7のショ糖脂肪酸エステル(A)としては、不飽和脂肪酸または炭素数が20以上の飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エルカ酸、ベヘン酸などを用いて得られたもの、具体的には、平均置換度が3〜7のショ糖オレイン酸エステル、平均置換度が3〜7のショ糖エルカ酸エステル、平均置換度が3〜7のショ糖ベヘン酸エステルなどが好ましい。また、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が1〜2のショ糖脂肪酸エステル(B)としては、炭素数が19以下の飽和脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などを用いて得られたもの、具体的には、平均置換度が1〜2のショ糖ラウリン酸エステル、平均置換度が1〜2のショ糖ミリスチン酸エステル、平均置換度が1〜2のショ糖パルミチン酸エステル、平均置換度が1〜2のショ糖ステアリン酸エステルなどが好ましい。
【0016】
整髪剤組成物において、ショ糖脂肪酸エステルの配合量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、整髪剤組成物におけるショ糖脂肪酸エステルの量が多すぎると、本発明により奏される上記各効果のバランスが崩れやすくなる傾向があることから、整髪剤組成物におけるショ糖脂肪酸エステルの配合量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
また、本発明の整髪剤組成物には水を使用する。整髪剤組成物における水の配合量は、多くしすぎると、例えば、25℃で液状の炭化水素の配合量が少なくなって、その使用による効果が小さくなることから、40質量%以下とする。ただし、整髪剤組成物中の水の量が少なすぎると、乳化安定性が損なわれてしまう傾向があることから、整髪剤組成物における水の配合量は20質量%以上とする。
【0018】
本発明の整髪剤組成物は、乳液状(水中油滴型乳化物)の形態を取ることが好ましく、例えば、25℃における粘度が、10000mPa・s以下であることが好ましく、7500mPa・s以下であることがより好ましい。ただし、整髪剤組成物の粘度が小さすぎると、乳化安定性が損なわれやすくなる虞があることから、整髪剤組成物の25℃における粘度は、1000mPa・s以上であることが好ましく、2000mPa・s以上であることがより好ましい。
【0019】
なお、本明細書でいう整髪剤組成物の粘度は、25℃の恒温槽中に1時間放置した後に、B型粘度計(東機産業株式会社製「VISCOMETER VT−20」)を用い、3号ローター、12rpmで1分後に測定した値である。
【0020】
なお、本発明の整髪剤組成物では、上記の通り、25℃で液状の炭化水素を20〜60質量%と比較的多量に含む一方で、水が20〜40質量%と比較的少量であるが、このような組成の場合、乳化安定性が低下する傾向がある。例えば粘度の高いクリーム状の整髪剤組成物であれば、上記のような組成とした場合でも、乳化状態が比較的維持されやすいが、上記のように粘度の低い乳液状の整髪剤組成物の場合には、乳化状態の維持が困難となる場合もある。よって、本発明の整髪剤組成物には、上記の各成分以外にも、乳化安定性を高め得る成分を配合することが好ましい。
【0021】
乳化安定性を高め得る成分としては、例えば、25℃で液状のエステル油が挙げられる。整髪剤組成物に25℃で液状のエステル油を更に配合することで、水と油成分(25℃で液状の炭化水素)との相溶性を高めることができる。
【0022】
25℃で液状のエステル油の具体例としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−ジエチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2−オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸2−オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2−エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどが挙げられる。
【0023】
整髪剤組成物における25℃で液状のエステル油の配合量は、例えば、0.5〜30質量%であることが好ましい。
【0024】
また、カチオン性界面活性剤も、本発明の整髪剤組成物の乳化安定性を高め得る成分として配合することができる。カチオン性界面活性剤の使用によって、乳化安定性に大きく影響する粘度の調整が容易になる。
【0025】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、脂肪酸アミドアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。脂肪酸アミドアミン塩としては、例えば、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどが挙げられる。モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。ジアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。ベンザルコニウム型4級アンモニウムとしては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0026】
また、下記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤も、本発明の整髪剤組成物に使用することができる。
【0027】
【化1】

【0028】
[上記一般式(1)中、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、炭素数が12〜22のアルキル基である。]
【0029】
上記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤としては、例えば、コグニスジャパン社から提供されている市販品が挙げられる。具体的には、「デヒコートL80(商品名)」(ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート:80質量%と、プロピレングリコールを含有)、「デヒコートAU56/G(商品名)」(ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート:90質量%と、イソプロパノールを含有)、「デヒコートC4046(商品名)」[ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート:25質量%と、セトステアリルアルコールと、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテルを含有]、「デヒコートF75(商品名)」(ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート:75質量%と、セトステアリルアルコールを含有)などが例示できる。
【0030】
上記例示の各カチオン性界面活性剤の中でも、整髪剤組成物の粘度を適度に上昇させつつ乳化安定性を高め得ることから、上記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤がより好ましく、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートが特に好ましい。
【0031】
整髪剤組成物におけるカチオン性界面活性剤の配合量は、例えば、0.1〜5質量%であることが好ましい。
【0032】
更に、ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤も、本発明の整髪剤組成物の乳化安定性の向上を期待できる成分として配合することができる。
【0033】
ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げられる。なお、上記の各ノニオン性界面活性剤におけるエチレンオキサイドの付加モル数は2〜50モルであることが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。更に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、およびプロピレングリコール脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、例えば、ウンデシレン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リノール酸などが挙げられる。
【0034】
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、本発明の整髪剤組成物に配合される成分との相性が良好であることから、ポリオキシエチレンヒマシ油やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0035】
整髪剤組成物におけるショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤の配合量は、例えば、0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0036】
また、本発明の整髪剤組成物には、多価アルコールを配合することが好ましく、これにより、塗布後の毛髪のしっとり感を更に高めることができる。
【0037】
多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0038】
整髪剤組成物における多価アルコールの配合量は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0039】
また、本発明の整髪剤組成物にシリコーンを配合することで、塗布後の毛髪のやわらかさや滑り感を高めることができる。
【0040】
シリコーンの具体例としては、例えば、ジメチコン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、環状シリコーンなどが挙げられる。なお、本発明の整髪剤組成物は、上記の通り、25℃で液状の炭化水素を比較的多量に配合するものであるため、シリコーンを配合する場合には、その乳化助剤として、ポリエーテル変性シリコーンも配合することが好ましい。
【0041】
本発明の整髪剤組成物には、上記の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の整髪剤などの毛髪化粧料を始めとする各種化粧料に配合されている成分を、適宜配合することもできる。このような成分としては、例えば、動植物油脂、ロウ類、脂肪酸、有機酸、無機酸、エーテル、糖類、高分子化合物、粉体、色材、植物エキス、海藻エキス、アミノ酸、ペプチド、紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤などが挙げられる。
【0042】
本発明の整髪剤組成物は、例えば、毛髪のセット前に、適量を手に取るなどして、毛髪に均一に塗布することにより使用することができる。なお、本発明の整髪剤組成物は、濡れた状態の毛髪にも、乾燥した状態の毛髪にも適用できるが、本発明の効果をより良好に確保できることから、濡れた状態の毛髪に適用することがより好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例などにおいて、「%」は「質量%」を意味している。また、整髪剤組成物の配合量としては、全体で100%となるように各成分の配合量を%で示し、後記の表1および表2中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0044】
実施例1〜5および比較例1〜3
実施例1〜5および比較例1〜3の整髪剤組成物を、表1および表2に示す組成で調製した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
なお、表1および表2に記載の「POE(20)硬化ヒマシ油」および「POE(15)セチルエーテル」における「POE」は「ポリオキシエチレン」の略であり、POEの後の括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数である。また、「エチルヘキサン酸アルキル(C14−18)」の括弧内の数値は、アルキル部分の炭素数である。
【0048】
実施例および比較例で用いた原材料は、以下の通りである。
【0049】
(1)ショ糖オレイン酸エステル:三菱化学フーズ社製「サーフホープC−1701(商品名)」、平均置換度3〜7。
(2)ショ糖エルカ酸エステル:三菱化学フーズ社製「サーフホープC−2102(商品名)」、平均置換度6。
(3)ショ糖ステアリン酸エステル:三菱化学フーズ社製「サーフホープC1816(商品名)」、平均置換度1〜2。
(4)カチオン性界面活性剤:コグニスジャパン社製「デヒコートL−80(商品名)」、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート:80%と、プロピレングリコールを含有。
(5)防腐剤:ケミクレア社製「ZONEN−MT10(商品名)」、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを9.5%含有。
【0050】
実施例1〜5および比較例1〜3の整髪剤組成物について、下記の方法によって塗布後の毛髪のしっとり感(べたつきを感じない程度のしっとり感)、束感および根元から毛先までの質感の均一性(以下、「均一感」という)を評価した。
【0051】
まず、評価用ウィッグを複数用意し、20mmのロッドと、ミルボン社製「プレジュームCMCウェーブC/T−Nタイプ(商品名)」とを使用して、それぞれのウィッグの毛髪にウェーブパーマをかけた。そして、それぞれのウィッグの毛髪が濡れた状態で、左半分の毛髪に基準品として流動パラフィンを塗布し、右半分の毛髪には、実施例1〜5および比較例1〜3の各整髪剤組成物を塗布した。なお、各整髪剤組成物および流動パラフィンの毛髪への塗布は、これらを、それぞれ0.5g取り、手でのばして毛髪に塗布する方法で行った。各整髪剤組成物を塗布したウィッグは、ドライヤーで乾燥して仕上げた。
【0052】
乾燥後のウィッグの右半分の毛髪におけるしっとり感、束感および均一感について、基準品である流動パラフィンを塗布した左半分の毛髪におけるそれらを基準として、10名の評価者のそれぞれが、下記評価基準に従って点数付けした。
【0053】
<しっとり感の評価基準>
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、しっとり感が優れている・・・2点。
流動パラフィンを塗布した毛髪と、しっとり感が同等である・・・1点。
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、しっとり感が劣っている・・・0点。
【0054】
<束感の評価基準>
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、束感が優れている・・・2点。
流動パラフィンを塗布した毛髪と、束感が同等である・・・1点。
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、束感が劣っている・・・0点。
【0055】
<均一感の評価基準>
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、均一感が優れている・・・2点。
流動パラフィンを塗布した毛髪と、均一感が同等である・・・1点。
流動パラフィンを塗布した毛髪よりも、均一感が劣っている・・・0点。
【0056】
また、毛髪のしっとり感および束感、並びに均一感に関して上記の各評価者が付けた点数を合計し、下記基準に従って、各整髪剤組成物におけるこれらの特性の評価とした。これらの結果を表3に示す。
◎ : 合計点数が13点以上。
○ : 合計点数が8〜12点。
× : 合計点数が7点以下。
【0057】
また、上記の方法により測定した実施例1〜5および比較例1〜3の整髪剤組成物の粘度を表3に併記する。
【0058】
【表3】

【0059】
実施例1〜5の整髪剤組成物は、処理後の毛髪のしっとり感、束感および均一感が良好である。なお、実施例3の整髪剤組成物では処理後の毛髪の均一感が、実施例5の整髪剤組成物では、処理後の毛髪の束感および均一感が、それぞれ基準品である流動パラフィンと同等の評価であるが、これらの整髪剤組成物の場合でも、こうした特性が損なわれることなく、処理後の毛髪のしっとり感(実施例3では、更に処理後の毛髪の束感も)を高めることができており、これら3つの特性がバランスよく確保されている。
【0060】
また、実施例1〜5の整髪剤組成物を塗布した毛髪では、基準品である流動パラフィンを塗布した毛髪に特有のギラつきや、重い感じが抑制されていた。
【0061】
これに対し、流動パラフィンに代えて、25℃で液状のエステル油を使用した比較例1の整髪剤組成物は、処理後の毛髪のしっとり感および均一感が劣っている。また、流動パラフィンの配合量が少ない比較例2の整髪剤組成物は、処理後の毛髪のしっとり感、束感、および均一感のいずれもが劣っている。更に、ショ糖脂肪酸エステルを配合しなかった比較例3の整髪剤組成物は、処理後の毛髪の均一感が劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、25℃で液状の炭化水素、ショ糖脂肪酸エステルおよび水が配合されており、25℃で液状の炭化水素の配合量が20〜60質量%であり、水の配合量が20〜40質量%であることを特徴とする整髪剤組成物。
【請求項2】
ショ糖脂肪酸エステルの配合量が、0.1〜20質量%である請求項1に記載の整髪剤組成物。
【請求項3】
ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が4〜7のショ糖脂肪酸エステル(A)と、ショ糖1分子あたりの脂肪酸の平均置換度が1〜3のショ糖脂肪酸エステル(B)とが配合されたものである請求項1または2に記載の整髪剤組成物。
【請求項4】
ショ糖脂肪酸エステル(A)は、不飽和脂肪酸または炭素数が20以上の飽和脂肪酸を用いて得られたものである請求項3に記載の整髪剤組成物。
【請求項5】
ショ糖脂肪酸エステル(B)は、炭素数が19以下の飽和脂肪酸を用いて得られたものである請求項3に記載の整髪剤組成物。
【請求項6】
25℃での粘度が、1000〜10000mPa・sである請求項1〜5のいずれかに記載の整髪剤組成物。

【公開番号】特開2011−148749(P2011−148749A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12798(P2010−12798)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】