説明

文字入力装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】アプリケーションプログラムによる処理の進行に応じた入力候補文字列をユーザに提示できる文字入力装置を提供する。
【解決手段】アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段を備え、当該アプリケーションプログラムに関連する語句を含む辞書を記憶し、当該辞書に含まれる複数の語句の中から、アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択し、選択される語句とユーザが入力する入力文字とに基づいて、複数の入力候補文字列を表示する文字入力装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの入力文字に応じて入力候補文字列を表示する文字入力装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
キーボードやゲームコントローラ等の操作デバイスに対するユーザからの文字入力操作を受け付けて、入力された文字列を表示する文字入力処理を実行する文字入力装置がある。このような文字入力装置は、ユーザの文字入力を容易にするために、予測入力文字列や変換候補文字列などの入力候補文字列を表示する場合がある。具体的には、例えばユーザが入力した文字から始まる単語やフレーズ等を予め記憶された辞書から抽出し、予測入力文字列として表示する技術がある。ユーザは表示された予測入力文字列の中から自分が入力しようとしている語句を選択することにより、当該語句を構成する全ての文字を入力する操作を行わなくても、語句の入力を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば上記文字入力装置が家庭用ゲーム機などの場合、ゲーム等のアプリケーションプログラムを実行中に、ユーザが当該ゲームに関係する文章を入力するために文字入力処理を実行することがある。さらに、このアプリケーションプログラムは、処理の進行に応じた語句を出力するものである場合がある。具体例として、このアプリケーションプログラムがゲームプログラムである場合、ゲーム処理の進行に応じて、新たにゲーム中に登場したアイテムや登場人物などを表す語句を出力し、ユーザに提示する処理が実行される。上述した文字入力処理が実行される場合には、このようなアプリケーションプログラムによる処理の進行の度合いに応じて、ユーザが入力する語句も異なる場合がある。しかしながら、上記従来例の技術においては、このような処理の進行に応じた文字入力処理を実現することができない。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、アプリケーションプログラムによる処理の進行に応じた入力候補文字列をユーザに提示できる文字入力装置、その制御方法、プログラム、及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る文字入力装置は、処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択手段と、前記語句選択手段により選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る文字入力装置の制御方法は、処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、を含む文字入力装置の制御方法であって、前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択ステップと、前記語句選択ステップにより選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、を含む文字入力装置を制御するためのプログラムであって、前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択手段、及び前記語句選択手段により選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るエンタテインメントシステム(文字入力装置)のハードウェア構成を示す図である。同図に示すように、エンタテインメントシステム10は、MPU(Micro Processing Unit)11と、メインメモリ20と、画像処理部24と、モニタ26と、入出力処理部28と、音声処理部30と、スピーカ32と、光ディスク読み取り部34と、ハードディスク38と、インタフェース(I/F)40,44と、操作デバイス42と、カメラユニット46と、ネットワークインタフェース48と、を含んで構成されるコンピュータシステムである。
【0010】
図2は、MPU11の構成を示す図である。同図に示すように、MPU11は、メインプロセッサ12と、サブプロセッサ14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14hと、バス16と、メモリコントローラ18と、インタフェース(I/F)22と、を含んで構成される。
【0011】
メインプロセッサ12は、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されるオペレーティングシステムや、例えばDVD(Digital Versatile Disk)−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータ、通信ネットワークを介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて、各種情報処理を行ったり、サブプロセッサ14a乃至14hに対する制御を行ったりする。
【0012】
サブプロセッサ14a乃至14hは、メインプロセッサ12からの指示に従い、例えばDVD−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータや、通信ネットワークを介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて、各種の情報処理を行う。
【0013】
バス16は、アドレス及びデータをエンタテインメントシステム10の各部でやり取りするためのものである。メインプロセッサ12、サブプロセッサ14a乃至14h、メモリコントローラ18、及びインタフェース22は、バス16を介して相互にデータ授受可能に接続される。
【0014】
メモリコントローラ18は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、メインメモリ20へのアクセスを行う。メインメモリ20には、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたプログラム及びデータや、通信ネットワークを介して供給されたプログラム及びデータが必要に応じて書き込まれる。メインメモリ20はメインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hの作業用としても用いられる。
【0015】
インタフェース22には画像処理部24及び入出力処理部28が接続される。メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、画像処理部24又は入出力処理部28と、の間のデータ授受はインタフェース22を介して行われる。
【0016】
画像処理部24は、GPU(Graphics Processing Unit)とフレームバッファとを含んで構成される。GPUは、メインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hから送信されるデータに基づいてフレームバッファに各種画面を描画する。フレームバッファに形成された画面は、所定のタイミングでビデオ信号に変換されてモニタ26に出力される。なお、モニタ26には例えば家庭用テレビ受像機が用いられる。
【0017】
入出力処理部28には、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース40及び44、並びにネットワークインタフェース48が接続される。入出力処理部28は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース(I/F)40及び44、ネットワークインタフェース48と、の間のデータ授受を制御する。
【0018】
音声処理部30は、SPU(Sound Processing Unit)とサウンドバッファとを含んで構成される。サウンドバッファには、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたゲーム音楽、ゲーム効果音やメッセージなどの各種音声データが記憶される。SPUは、これらの各種音声データを再生してスピーカ32から出力させる。なお、スピーカ32には例えば家庭用テレビ受像機の内蔵スピーカが用いられる。
【0019】
光ディスク読み取り部34は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、光ディスク36に記憶されたプログラムやデータを読み取る。なお、エンタテインメントシステム10は、光ディスク36以外の他のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み取り可能に構成されてもよい。
【0020】
光ディスク36は例えばDVD−ROM等の一般的な光ディスク(コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体)である。また、ハードディスク38は一般的なハードディスク装置である。光ディスク36やハードディスク38には各種プログラムやデータがコンピュータ読み取り可能に記憶される。
【0021】
インタフェース(I/F)40,44は、操作デバイス42やカメラユニット46等の各種周辺機器を接続するためのインタフェースである。このようなインタフェースとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。また、例えばBluetooth(登録商標)規格などによる無線通信インタフェースが用いられてもよい。
【0022】
操作デバイス42は汎用操作入力手段であり、ユーザが各種操作(例えばゲーム操作)を入力するために用いられる。入出力処理部28は、所定時間(例えば1/60秒)ごとに操作デバイス42の各部の状態をスキャンし、その結果を表す操作信号をメインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hに供給する。メインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hは、ユーザによって行われた操作の内容をその操作信号に基づいて判断する。なお、エンタテインメントシステム10は複数の操作デバイス42を接続可能に構成されており、各操作デバイス42から入力される操作信号に基づいて、メインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hが各種処理を実行するようになっている。
【0023】
カメラユニット46は、例えば公知のデジタルカメラを含んで構成され、白黒、グレイスケール又はカラーの撮影画像を所定時間(例えば1/60秒)ごとに入力する。本実施の形態におけるカメラユニット46は、撮影画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データとして入力するようになっている。また、カメラユニット46は、例えばレンズをユーザに向けた状態でモニタ26の上に設置され、ケーブルを介してインタフェース44に接続される。ネットワークインタフェース48は入出力処理部28と通信ネットワークとに接続されており、エンタテインメントシステム10による通信ネットワークを介した他の情報装置との間のデータ通信を中継するようになっている。
【0024】
ここで、本実施形態においてエンタテインメントシステム10のメインメモリ20やハードディスク38等に記憶される各種のデータについて説明する。
【0025】
エンタテインメントシステム10は、アプリケーションプログラムを記憶している。このアプリケーションプログラムは、例えばゲーム等の処理を実行するためのプログラムである。エンタテインメントシステム10は、アプリケーションプログラムを複数記憶してもよい。
【0026】
また、エンタテインメントシステム10は、複数の語句を含む辞書を複数種類記憶している。具体例として、エンタテインメントシステム10は、通常辞書として、一般辞書D1及びユーザ学習辞書D2の二つの辞書を含んだ辞書セットを記憶する。この辞書セットは、エンタテインメントシステム10によって入力可能な複数の言語(英語、日本語、フランス語等)のそれぞれに対応して、複数あってもよい。一般辞書D1は、対応する言語の一般的な単語や句などを含んで構成され、どの装置においても共通した内容のものとなる。また、ユーザ学習辞書D2は、個々の装置ごとに個別に生成される辞書であって、ユーザの過去の文字入力操作や、ユーザが明示的に語句を登録する操作等に応じて、語句が追加登録される。これらの辞書は、後述する文字入力処理を実行する際に、ユーザに入力候補文字列を提示するために使用される。これらの通常辞書は、アプリケーションプログラムに依存しない辞書である。
【0027】
さらにエンタテインメントシステム10は、少なくとも一つのアプリケーション辞書D3を記憶している。アプリケーション辞書D3は、一般辞書D1などと同様に複数の語句を含んでおり、前述したいずれか1つのアプリケーションプログラムに関連づけられている。複数のアプリケーションプログラムがエンタテインメントシステム10に記憶されている場合には、これらのアプリケーションプログラムのそれぞれに関連づけられた複数のアプリケーション辞書D3が記憶されてもよい。このアプリケーション辞書D3は、例えばアプリケーションプログラムとともに光ディスク36等に格納されて提供されてもよい。ここでは具体例として、アプリケーション辞書D3は、ゲーム処理を実行するアプリケーションプログラムに関連づけられているものとする。
【0028】
この場合において、アプリケーション辞書D3に関連づけられたアプリケーションプログラムは、ゲーム処理の進行に応じた語句を出力するプログラムであるものとする。すなわち、このアプリケーションプログラムは、ゲームの進行に伴って、ゲームに登場するアイテムや登場人物など、アプリケーションプログラムの処理内容に関連する語句(以下では、アプリケーション語句という)をモニタ26に表示するなどの機能を実現する。アプリケーション辞書D3は、このアプリケーション語句を含む辞書であることとする。
【0029】
また、本実施形態において、エンタテインメントシステム10は、表示制限の対象となる複数の表示制限文字列を含む表示制限文字列リストL1を記憶してもよい。表示制限文字列は、例えば差別的内容や侮蔑的内容、卑猥な内容などを含む語句、又はこれらの内容を含むおそれがあるとされる語句など、ユーザに提示することが望ましくないと考えられる語句である。この表示制限文字列リストL1のデータは、例えば光ディスク36等に格納されて提供されてもよいし、通信ネットワークを介して所定のサーバコンピュータから配信されてもよい。
【0030】
また、エンタテインメントシステム10は、表示制限文字列リストL1を複数記憶することとしてもよい。例えば表示制限文字列リストL1は、エンタテインメントシステム10によって入力可能な複数の言語のそれぞれに対応して複数あってもよい。
【0031】
以下、以上説明したハードウェア構成を有するエンタテインメントシステム10が、ユーザによる文字入力を受け付ける文字入力装置として動作する場合に実現する機能について、説明する。エンタテインメントシステム10は、機能的に、図3に示すように、アプリケーション実行部49と、使用辞書選択部50と、表示制限文字列リスト選択部52と、表示候補語句選択部53と、入力候補文字列リスト生成部54と、入力候補文字列削除部56と、入力候補文字列表示部58と、を含んで構成される。このうち、アプリケーション実行部49を除く各部によって、エンタテインメントシステム10は文字入力処理を実現する。これらの機能は、例えばMPU11がメインメモリ20等に格納されたプログラムを実行することによって実現できる。このプログラムは、光ディスク36等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0032】
アプリケーション実行部49は、エンタテインメントシステム10に記憶されたアプリケーションプログラムを実行する。さらに、本実施形態において、アプリケーション実行部49は、実行する処理の内容に応じて、又はユーザの操作デバイス42に対する指示操作に応じて、エンタテインメントシステム10内において実行されているオペレーティングシステムに対して、文字入力処理の実行開始を要求する。
【0033】
使用辞書選択部50は、文字入力処理の開始時等において、文字入力処理において使用する1又は複数の使用辞書を、通常辞書及びアプリケーション辞書D3の中から選択する。具体例として、本実施形態においては、ユーザの操作デバイス42に対する指示操作等によって選択される入力言語に応じて、当該入力言語に対応した一般辞書D1及びユーザ学習辞書D2を使用辞書として選択する。なお、使用辞書選択部50は、ユーザの指定する設定情報等に応じて、ユーザ学習辞書D2を使用辞書に含めるか否かを選択することとしてもよい。
【0034】
さらに、使用辞書選択部50は、文字入力処理がアプリケーション実行部49の要求により起動されたか否かに応じて、アプリケーション辞書D3を使用辞書として選択するか否か決定する。例えばアプリケーション実行部49がアプリケーションプログラムの実行中に文字入力処理の起動を要求した場合、当該要求に応じて、使用辞書選択部50は使用辞書としてアプリケーション辞書D3を選択する。また、文字入力処理がアプリケーション実行部49からの起動要求によらずに、直接オペレーティングシステムから起動された場合には、通常辞書のみを使用辞書として選択することとしてもよい。
【0035】
また、エンタテインメントシステム10が複数のアプリケーションプログラム及びこれらのそれぞれに関連づけられたアプリケーション辞書D3を記憶している場合、使用辞書選択部50は、アプリケーション実行部49が文字入力処理の実行開始を要求した時点において実行しているアプリケーションプログラムに関連づけられたアプリケーション辞書D3を、使用辞書として選択してもよい。こうすれば、現在実行中のアプリケーションプログラムに関連する語句を含んだ辞書を、使用辞書として選択できる。なお、使用辞書選択部50は、アプリケーション実行部49が文字入力処理の実行開始を要求した時点において実行しているアプリケーションプログラムに応じて、複数の通常辞書の中から使用辞書に含める辞書を選択してもよい。
【0036】
ここで、使用辞書選択部50が具体的に使用辞書を選択する処理の例について、説明する。例えばアプリケーション実行部49は、文字入力処理の起動を要求する場合に、使用辞書を指定する指定情報を出力することとする。使用辞書選択部50は、この指定情報を取得し、当該指定情報によって指定されるアプリケーション辞書D3と、予め定められた通常辞書とを、使用辞書として選択する。
【0037】
あるいは使用辞書選択部50は、アプリケーション実行部49が文字入力処理の起動を要求した場合、起動を要求したアプリケーションプログラムを特定するアプリケーション特定情報を取得してもよい。この場合、エンタテインメントシステム10は、アプリケーション特定情報と、当該アプリケーション特定情報によって特定されるアプリケーションプログラムに対応するアプリケーション辞書D3と、を関連づけるテーブルを保持している。使用辞書選択部50は、このテーブルを参照することで、取得したアプリケーション特定情報に関連づけられたアプリケーション辞書D3を、通常辞書とともに使用辞書として選択する。
【0038】
また、使用辞書選択部50は、使用辞書として複数の辞書を選択する場合、各使用辞書の優先順位を決定してもよい。この優先順位の情報は、使用辞書に含まれる語句に基づいて、入力候補文字列リスト生成部54が入力候補文字列のリストを生成する際に用いられる。この場合において、使用辞書選択部50は、文字入力処理がアプリケーション実行部49の要求により起動されたか否かに応じて、使用辞書の優先順位を決定してもよい。
【0039】
例えば使用辞書選択部50は、アプリケーション実行部49の要求により文字入力処理が起動された場合には、アプリケーション辞書D3の優先順位を通常辞書の優先順位より高くする。また、アプリケーション実行部49の要求により文字入力処理が起動されたか否かに応じて、使用辞書として選択される複数の通常辞書(例えば、一般辞書D1とユーザ辞書D2)の間の優先順位を変化させてもよい。具体例として、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行部49の要求により文字入力処理が起動された場合、使用辞書選択部50は、アプリケーション辞書D3、一般辞書D1、ユーザ辞書D2を使用辞書として選択し、さらにこの順序を各辞書の優先順位として決定する。一方、アプリケーション実行部49の要求によらずに文字入力処理が起動された場合、使用辞書選択部50は、ユーザ辞書D2、一般辞書D1を使用辞書として選択し、この順序を優先順位として決定する。
【0040】
また、使用辞書選択部50は、使用辞書として選択する辞書、又は各使用辞書の優先順位を、各辞書の使用頻度に基づいて選択してもよい。ここで各辞書の使用頻度は、各辞書が使用辞書として選択された頻度であってもよいし、各辞書に含まれる語句が入力候補文字列としてユーザに提示された際に、ユーザに選択された頻度であってもよい。
【0041】
表示制限文字列リスト選択部52は、エンタテインメントシステム10が表示制限文字列リストL1を複数記憶している場合に、この複数の表示制限文字列リストL1の中から、所定の条件に基づいて文字入力処理に使用する表示制限文字列リストL1を選択する。例えば表示制限文字列リスト選択部52は、使用辞書選択部50と同様に、選択される入力言語に応じて、当該入力言語に対応する表示制限文字列リストL1を選択する。
【0042】
また、表示制限文字列リスト選択部52は、文字入力処理の実行開始を要求したアプリケーションプログラムに応じて、表示制限文字列リストL1を選択してもよい。この場合、エンタテインメントシステム10は、それぞれアプリケーションプログラムに関連づけられた複数の表示制限文字列リストL1を記憶しているものとする。このアプリケーションプログラムに関連づけられた表示制限文字列リストL1は、例えばアプリケーションプログラムとともに光ディスク36等に格納されて提供されてもよい。具体例として、放送用のテロップを生成するためのアプリケーションプログラムを実行中に文字入力を行う場合、表示制限文字列リスト選択部52は当該アプリケーションプログラムに関連づけられた、放送禁止用語が格納された表示制限文字列リストL1を選択する。これにより、ユーザが当該アプリケーションプログラム実行中に、誤って放送禁止用語を入力候補文字列として選択してしまうことを防ぐことができる。このように、文字入力処理を呼び出したアプリケーションプログラムに応じて表示制限文字列リストL1を選択することによって、エンタテインメントシステム10はユーザの利用状況等に応じて表示を制限する文字列を変更することができる。
【0043】
表示候補語句選択部53は、エンタテインメントシステム10が記憶している辞書に含まれる複数の語句の中から、アプリケーション実行部49が実行する処理の進行度に応じた語句を、表示候補となる語句(以下、表示候補語句という)として選択する。ここでは表示候補語句選択部53は、アプリケーション辞書D3が使用辞書として選択される場合に、このアプリケーション辞書D3に含まれる語句の中から表示候補語句を選択するものとする。また、通常辞書が使用辞書として選択されている場合、通常辞書に含まれる語句は、常に表示候補語句に含まれるものとする。
【0044】
以下、表示候補語句選択部53がアプリケーション辞書D3に含まれるアプリケーション語句の中から、表示候補語句を選択する処理の具体例について、説明する。
【0045】
まず第1の例として、アプリケーション辞書D3に含まれるアプリケーション語句のそれぞれに対して、フラグ情報が関連づけられている場合の例について説明する。図4は、このようなアプリケーション辞書D3に含まれる情報の一例を示す説明図である。同図におけるフラグ情報は、関連づけられたアプリケーション語句が表示候補となりうるか否かを示す情報である。図4の例においては、フラグ情報の値として「0」が関連づけられた語句は表示候補となりうる語句であり、フラグ情報の値「1」が関連づけられた語句は表示候補とならない語句であることを示している。
【0046】
この第1の例において、アプリケーション実行部49は、実行する処理の進行に応じて、アプリケーション辞書D3に含まれる語句に関連づけられたフラグ情報を更新する。例えば前述したように、アプリケーション実行部49が、ゲーム処理の進行に応じて、アイテムや登場人物の名前などを表すアプリケーション語句を出力するものとする。この場合、アプリケーション実行部49は、ゲーム処理の進行に伴ってアプリケーション語句が出力され、ユーザに提示された後に、当該アプリケーション語句に関連づけられたフラグ情報を、表示候補となりうることを示す値(ここでは「0」)に更新する。表示候補語句選択部53は、以上説明した処理によって更新されたフラグ情報に基づいて、値「0」に関連づけられたアプリケーション語句を表示候補語句として選択する。こうすれば、アプリケーション実行部49があるアプリケーション語句をユーザに提示する前に文字入力処理が実行される場合に、当該アプリケーション語句が表示候補文字列として表示されてしまうことを防ぐことができる。
【0047】
また、アプリケーション実行部49は、処理の進行に伴って、所定の条件を満たすアプリケーション語句に関連づけられたフラグ情報を、表示候補とならないことを示す値(ここでは「1」)に戻すこととしてもよい。例えばアプリケーション実行部49は、ゲーム処理の進行に応じてアプリケーション語句を最後に出力した後、所定期間以上経過した場合に、当該アプリケーション語句に関連づけられたフラグ情報を値「0」に更新する。こうすれば、アプリケーション実行部49による処理の過程においてしばらくの間表示されない状態が続いたアプリケーション語句は、表示候補文字列として表示されないようにすることができる。
【0048】
次に、第2の例として、アプリケーション実行部49が実行する処理の進行度を示す情報(進行度情報)を出力し、表示候補語句選択部53がこの進行度情報に基づいて表示候補語句を選択する場合の例について説明する。
【0049】
この第2の例において、アプリケーション実行部49は、文字入力処理の起動を要求するタイミングなどにおいて、当該時点において現在実行している処理の進行度を表す進行度情報を出力する。この進行度情報は、アプリケーション実行部49によって実行されるアプリケーションプログラム全体の処理の中で、アプリケーション実行部49がある時点において実行している処理がどの程度の段階にあるかを示す指標である。例えばアプリケーション実行部49が、ゲーム処理の進行に伴って主人公が成長していくロールプレイングゲームなどのゲームアプリケーションを実行している場合、進行度情報は、当該主人公の成長の度合いを表す値(レベル)であってもよい。また、アプリケーション実行部49が、複数のステージ(シーン)からなるゲームのアプリケーションを実行する場合、進行度情報は、ユーザがこれまでにプレイしたステージ又はこれからプレイすることになるステージを特定する情報であってもよい。
【0050】
また、この第2の例においては、アプリケーション辞書D3に含まれる各アプリケーション語句には、当該語句を表示候補に含める進行度情報の条件を特定する情報(進行度条件情報)が関連づけられている。表示候補語句選択部53は、アプリケーション実行部49が出力する進行度情報を取得する。そして、取得した進行度情報と、各アプリケーション語句に関連づけられた進行度条件情報と、に応じて、表示候補語句を選択する。
【0051】
具体例として、各アプリケーション語句に対して、当該語句を表示候補とする最低の進行度を示す値(最低進行度情報)が、進行度条件情報として関連づけられているものとする。図5は、このようなアプリケーション辞書D3に含まれる情報の一例を示す説明図である。図5の例においては、各アプリケーション語句に関連づけられた進行度条件情報は、各語句を表示候補とする最低のレベルを表す値である。
【0052】
この場合、表示候補語句選択部53は、各アプリケーション語句に関連づけられた進行度条件情報と、アプリケーション実行部49が出力した進行度情報とを比較し、進行度情報の値が進行度条件情報の値以上となるアプリケーション語句を、表示候補語句として選択する。こうすれば、アプリケーション実行部49が実行する処理の進行に合わせて、表示候補語句が徐々に増えていくようにすることができる。例えば図5の例においては、アプリケーション実行部49の処理の進行に伴って主人公のレベルが4以上になると、「Short sword」が表示候補語句として選択されるようになり、レベル6以上になると「Chain mail」も表示候補語句として選択されるようになる。
【0053】
あるいは、各アプリケーション語句に対して、当該語句を表示候補とする最低の進行度及び最高の進行度を示す値が、進行度条件情報として関連づけられてもよい。この場合、表示候補語句選択部53は、アプリケーション実行部49が出力した進行度情報の値が、最低の進行度を示す値と最高の進行度を示す値の間に含まれるアプリケーション語句を、表示候補語句として選択する。こうすれば、アプリケーション実行部49が実行する処理の進行の度合いがある一定の範囲に含まれている場合に、特定の語句を表示候補語句とする制御が実現できる。
【0054】
なお、以上の説明においては、表示候補語句選択部53は、文字入力処理を実行する時点におけるアプリケーション実行部49の処理の進行度に応じた語句を、表示候補語句として選択することとしている。しかし、これに限らず表示候補語句選択部53は、他の所定の時点におけるアプリケーション実行部49の処理の進行度に応じた語句を、表示候補語句として選択してもよい。例えばゲームなどのアプリケーションプログラムを実行する場合、アプリケーション実行部49は、ゲームの途中で当該時点の状態を記録(セーブ)し、記録した状態に戻ってゲームを途中からやり直す(ロード)処理を実行するなどの場合がある。このような場合に、表示候補語句選択部53は、アプリケーション実行部49のこれまでの処理の進行の過程に応じて、例えば過去最もゲームの進行が進んでいた時点の進行度を示す進行度情報を取得し、当該取得した進行度情報に応じて表示候補語句を選択する。こうすれば、アプリケーション実行部49の処理が一旦進行してからまた戻った場合などにおいて、表示候補語句選択部53は、過去に進行した処理に応じた表示候補語句を選択することができる。
【0055】
入力候補文字列リスト生成部54は、ユーザによる操作デバイス42に対する文字入力操作があった場合に、使用辞書選択部50によって選択される使用辞書と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を含む入力候補文字列リストL2を生成する。この場合において、入力候補文字列リスト生成部54は、使用辞書にアプリケーション辞書D3が含まれる場合には、アプリケーション辞書D3に含まれる複数の語句のうち、表示候補語句選択部53によって選択される表示候補語句に基づいて、入力候補文字列リストを生成することとする。
【0056】
具体例として、入力候補文字列リスト生成部54は、ユーザが入力する入力文字から始まる語句を、使用辞書の中から選択、抽出することによって、ユーザが入力しようとしていると予測される入力候補文字列(予測入力文字列)を含んだ入力候補文字列リストL2を生成する。一例として、ユーザが入力文字として「c」を入力した場合、入力候補文字列リスト生成部54は、表示候補語句選択部53によって選択される表示候補語句の中から「c」で始まる語句を検索し、検索された語句の中から入力候補文字列を選択する。そして、選択された入力候補文字列を、所定の順序に従って並べた入力候補文字列リストL2を生成する。
【0057】
ここで、使用辞書選択部50が使用辞書の優先順位を決定している場合、入力候補文字列リスト生成部54は、この優先順位に基づいて表示候補文字列リストL2を生成する。例えば使用辞書選択部50は、優先順位の高い辞書から抽出された語句が、優先順位の低い辞書から抽出された語句よりも順序が先になるように、入力候補文字列リストL2内の入力候補文字列の順序を決定する。こうすれば、優先順位の高い辞書に格納されている語句を、よりユーザにとって選択しやすい位置に表示することができる。この場合において、使用辞書選択部50は、決定された順序に従って所定数の入力候補文字列を含むように入力候補文字列リストL2を生成してもよい。
【0058】
また、入力候補文字列リスト生成部54が入力候補文字列として選択する語句は、各語句の品詞や使用頻度(各語句が入力候補文字列としてユーザに提示された際に、ユーザに選択された頻度)等の各語句に関連づけられた情報に基づいて、所定の条件により決定されることとしてもよい。また、入力候補文字列リスト生成部54は、入力候補文字列として選択される各表示候補語句の使用頻度の情報に応じて、入力候補文字列のリスト内における順序を決定してもよい。
【0059】
入力候補文字列削除部56は、入力候補文字列リスト生成部54によって生成された入力候補文字列リストL2に含まれる入力候補文字列のうち、表示制限文字列リストL1に含まれる表示制限文字列と比較して所定の条件を満たすと判定した入力候補文字列を、入力候補文字列リストL2から削除する。この場合において、入力候補文字列削除部56は、表示制限文字列リスト選択部52によって選択された表示制限文字列リストL1を用いて、入力候補文字列リストL2に含まれる入力候補文字列と表示制限文字列リストL1に含まれる表示制限文字列とを比較する。なお、以下では、入力候補文字列削除部56による削除処理実行後の入力候補文字列リストを、削除後入力候補文字列リストL3という。
【0060】
具体的に、例えば入力候補文字列削除部56は、入力候補文字列リストL2に含まれる入力候補文字列のうち、表示制限文字列リストL1に含まれる表示制限文字列のいずれかと一致する単語があるか否かを判定し、一致する場合には当該入力候補文字列を入力候補文字列リストL2から削除する。また、入力候補文字列が複数の単語からなる熟語や句などの場合、当該入力候補文字列を構成するいずれかの単語が表示制限文字列のいずれかと一致すれば、当該入力候補文字列を入力候補文字列リストL2から削除することとしてもよい。逆に、入力候補文字列は1つの単語で、表示制限文字列は複数の単語からなる熟語
などの場合、入力候補文字列と既に入力済みの入力文字列とを連結した文字列が表示制限文字列と一致すれば、当該入力候補文字列を入力候補文字列リストL2から削除することとしてもよい。これにより、表示制限文字列リストL1に含まれる表示制限文字列を入力候補文字列として表示させないように制御することができる。
【0061】
なお、入力候補文字列削除部56は、原則として入力候補文字列リストL2に含まれる全ての入力候補文字列を、表示制限文字列リストL1に含まれる表示制限文字列と比較する比較対象とする。しかし、比較対象とする表示制限文字列としては、表示制限文字列リストL1に含まれる全ての文字列を使用しなくともよい。例えば「c」で始まる単語を使用辞書から抽出することによって入力候補文字列リストL2が生成されている場合、入力候補文字列削除部56は、同様にまず使用する表示制限文字列リストL1の中から「c」で始まる単語を抽出し、抽出された単語だけを入力候補文字列と比較する比較対象として使用することとしてもよい。
【0062】
また、入力候補文字列リスト生成部54が所定数の入力候補文字列を含む入力候補文字列リストL2を生成した場合において、入力候補文字列削除部56が入力候補文字列リストL2から一部の入力候補文字列を削除した場合、入力候補文字列リスト生成部54は、削除された数に応じた数の入力候補文字列を、新たに使用辞書の中から抽出し、入力候補文字列リストL2に追加することにより、削除後入力候補文字列リストL3を生成してもよい。
【0063】
図6は、入力候補文字列削除部56が使用する入力候補文字列リストL2の一例を示す図である。ここでは例として、「cat」及び「dog」がユーザに提示すべきでない表示制限文字列であると仮定している。また、図7(a)は、入力候補文字列削除部56の実行する処理の対象となる入力候補文字列リストL2の具体例を示している。図7(a)は、ユーザが入力文字として「c」を入力した場合に入力候補文字列リスト生成部54が生成する入力候補文字列リストL2の一例である。この場合、入力候補文字列削除部56は、まず図6に示す表示制限文字列リストL1における1番目の表示制限文字列「cat」を、図7(a)に示す入力候補文字列リストL2に含まれている6個の入力候補文字列のそれぞれと比較する。その結果として、入力候補文字列リストL2における3番目の入力候補文字列「cat」が表示制限文字列と一致するので、当該入力候補文字列を入力候補文字列リストL2から削除する。ここで、入力候補文字列「catch」は「cat」を含んでいるが、単語全体として一致しているわけではないため、削除対象とはしない。さらに入力候補文字列削除部56は、表示制限文字列リストL1における2番目の表示制限文字列「dog」を、入力候補文字列リストL2に残っている5個の入力候補文字列のそれぞれと比較する。この例においては、「dog」に一致する入力候補文字列は入力候補文字列リストL2には含まれていないので、いずれの入力候補文字列も削除せずに処理を終了する。その結果、入力候補文字列削除部56が削除処理を実行して生成する削除後入力候補文字列リストL3は、図7(b)に示すものとなる。
【0064】
入力候補文字列表示部58は、入力候補文字列削除部56によって所定の条件を満たすと判定された入力候補文字列が削除された後の削除後入力候補文字列リストL3に含まれる入力候補文字列を、ユーザによる選択候補となる入力候補文字列としてモニタ26に表示する。これに応じて、ユーザは操作デバイス42を操作して表示された入力候補文字列のいずれかを選択することによって、選択した語句を入力することができる。
【0065】
図8は、エンタテインメントシステム10が文字入力処理を実行する際にモニタ26に表示する文字入力インタフェース画像の一例を示す図である。図8の例において、文字入力インタフェース画像の最上部には、ユーザにより入力された入力文字列を表示するための入力文字列表示領域A1が設けられている。また、その下方には、物理的なキーを表象する複数のキー画像が所定の位置関係で配置されたキー画像表示領域A2と、入力候補文字列表示領域A3と、が設けられている。さらにその下方には、画面上に表示されたカーソル画像Icによって選択されたキー画像によって入力可能な文字を表示する入力候補文字表示領域A4が設けられている。
【0066】
この図8の例において、入力候補文字列削除部56が生成する削除後入力候補文字列リストL3に含まれる入力候補文字列は、入力候補文字列表示領域A3に表示される。ユーザは、カーソル画像Icを操作デバイス42に対する指示操作によって移動させることによって、これらの入力候補文字列の中から任意に文字列を選択することができる。選択された文字列は、入力文字列として入力文字列表示領域A1に表示される。
【0067】
なお、以上の説明においては、エンタテインメントシステム10は表示制限文字列リストL1を記憶しており、この表示制限文字列リストL1に基づいて入力候補文字列リストL2から所定の条件を満たす入力候補文字列を削除することとしたが、この処理は必須ではなく、表示制限文字列リスト選択部52及び入力候補文字列削除部56はなくともよい。この場合、入力候補文字列表示部58は、入力候補文字列生成部54が生成した入力候補文字列リストL2に含まれる入力候補文字列をモニタ26に表示する。
【0068】
次に、本実施形態に係るエンタテインメントシステム10のMPU11が実行する文字入力処理の流れの一例について、図9のフロー図に基づいて説明する。
【0069】
まず、MPU11は、文字入力処理の開始時に、所定の前処理を実行する。具体的には、文字入力処理がアプリケーション実行部49の要求により起動されたか否かなどに応じて、使用辞書及び使用する表示制限文字列リストL1を選択する(S1)。この場合において、MPU11は、使用辞書に含まれる各辞書の優先順位も併せて決定してもよい。そして、図8に例示するような文字入力インタフェース画像をモニタ26に表示する(S2)。
【0070】
前処理が終了すると、MPU11はユーザからの指示操作を受け付ける状態となる。この状態において、ユーザは操作デバイス42に対する操作によって文字入力インタフェース画像上のキー画像や入力候補文字列を選択するなどの操作を行う。MPU11は、ユーザによる指示操作を受け付ける(S3)と、当該指示操作の内容に応じて各種の処理を実行する。
【0071】
S3においてユーザが文字入力処理の終了を指示する指示操作を行った場合、MPU11はこれまでに入力された入力文字列をアプリケーションプログラムに対して出力し(S4)、処理を終了する。また、文字入力インタフェース画像内の入力候補文字列表示領域A3に既に入力候補文字列が表示されている状態において、ユーザが表示された入力候補文字列のいずれかを選択する指示操作を実行した場合には、当該選択された入力候補文字列を入力文字列として確定する処理を行う(S5)。すなわち、入力候補文字列を所定の入力文字列バッファに格納するとともに、当該入力候補文字列を入力文字列表示領域A1に表示する。
【0072】
一方、S3においてユーザが文字を入力する指示操作を実行した場合、MPU11は入力された文字に応じて、入力候補文字列表示処理を実行する(S6)。入力候補文字列表示処理の詳細については、後述する。
【0073】
また、S3において例えば未確定の入力文字を確定する指示操作や、文字を削除する指示操作、空白を挿入する指示操作等、その他の指示操作がなされた場合、MPU11はこれらの指示操作に応じた所定の処理を実行する(S7)。これらの処理が繰り返されることによって、ユーザは入力候補文字列表示領域A3に表示される入力候補文字列を利用しながら、文字列を入力していくことができる。
【0074】
次に、前述したS6の入力候補文字列表示処理の流れの具体例について、図10のフロー図に基づいて説明する。
【0075】
まずMPU11は、入力候補文字列表示処理の開始時点においてまだ未確定の入力文字があり、これに応じて既に入力候補文字列が入力候補文字列表示領域A3に表示された状態にあるか否かを判定する(S11)。
【0076】
S11の判定処理において、未確定の入力文字が存在しない状態で新たな文字が入力されたと判定された場合、MPU11はまずS1で選択された使用辞書に含まれる語句の中から、表示候補語句を選択する(S12)。なお、ここではアプリケーション辞書D3は、図4に例示するようにアプリケーション語句に対してフラグ情報を関連づけて記憶しているものとする。この場合において、MPU11は、フラグ情報として値「0」が関連づけられたアプリケーション語句を、表示候補語句として選択する。続いてMPU11は、S12で選択された表示候補語句と、S3でユーザが入力した入力文字と、に基づいて、入力候補文字列リストL2を生成する(S13)。なお、MPU11は、直接、S3でユーザが入力した入力文字で始まり、かつフラグ情報として値「0」が関連づけられたアプリケーション語句を、表示候補語句として選択し、当該選択した表示候補語句に応じて入力候補文字列リストL2を生成してもよい。
【0077】
次に、MPU11は、S1で選択された表示制限文字列リストL1を用いて、S13で生成された入力候補文字列リストL2から条件に合致する入力候補文字列を削除する(S14)。さらに、S14による削除処理がなされた後の削除後入力候補文字列リストL3に含まれる入力候補文字列を入力候補文字列表示領域A3に表示する(S15)。
【0078】
一方、S11の判定処理において、未確定の入力文字が存在する状態で新たな文字が入力されたと判定された場合、既にS15の処理によって入力候補文字列表示領域A3に入力候補文字列が表示されていることとなる。この場合、MPU11は、既に表示済みの削除後入力候補文字列リストL3に対して、新たに入力された文字に応じて入力候補文字列を絞り込む処理を行い(S16)、絞り込みがなされた後の削除後入力候補文字列リストL3に応じて入力候補文字列表示領域A3の表示を更新する(S17)。例えば未確定の入力文字「c」が入力文字列表示領域A1に表示された状態において、新たに「a」が入力文字として入力された場合、MPU11は、削除後入力候補文字列リストL3に含まれる「c」から始まる入力候補文字列の中から、「ca」以外で始まる入力候補文字列を削除する処理を行う。この場合に処理対象となる削除後入力候補文字列リストL3からは、既に表示制限文字列と比較して所定の条件を満たす入力候補文字列は削除されているので、改めて入力候補文字列と表示制限文字列との比較を行う必要はない。
【0079】
なお、以上説明した図9及び図10のフロー図に示される処理は例示であって、MPU11はこれとは異なる処理を実行してもよい。例えばMPU11は、S11,S16及びS17の処理を実行せずに、新たな文字の追加入力があった場合には常にS12からS15までの処理を実行して、削除後入力候補文字列リストL3を生成して表示することとしてもよい。
【0080】
以上説明した本実施の形態によれば、エンタテインメントシステム10はアプリケーションプログラムの処理によって文字入力処理が要求されたか否かに応じて、文字入力処理に使用する辞書を選択することにより、文字入力処理が実行される場面に応じて、特殊な語句などを入力候補文字列としてユーザに提示することができる。
【0081】
また、エンタテインメントシステム10は、アプリケーションプログラムを実行する処理の進行度に応じた語句をアプリケーション辞書D3の中から選択し、選択した語句に基づいて入力候補文字列を表示することにより、アプリケーションプログラムによる処理の進行に応じた語句をユーザに提示できる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、以上の説明においては主としてアルファベットを入力する場合の例について説明したが、本発明はこれに限らず、任意の言語に適用可能である。また、以上の説明においては、入力候補文字列は、ユーザの入力文字に応じてユーザが入力しようとしていると予測される予測入力文字列であることとしたが、入力候補文字列は予測入力文字列に限られない。例えば日本語を入力する場合、文字入力装置はユーザがかな文字を入力した際に、このかな文字を変換して得られる漢字等を含んだ変換候補文字列を表示する。そこで、エンタテインメントシステム10は、このような変換候補文字列を入力候補文字列としてもよい。
【0083】
また、以上の説明においては、アプリケーション実行部49が実行する処理の進行度に応じた表示候補語句を表示候補語句選択部53がアプリケーション語句の中から選択することとしたが、これに代えて、アプリケーション実行部49が、実行する処理の進行に応じて、アプリケーション辞書D3にアプリケーション語句を新たに追加していくこととしてもよい。こうすれば、エンタテインメントシステム10は、文字入力処理の実行時には、通常辞書の場合と同様にしてアプリケーション辞書D3に基づいて入力候補文字列リストを生成することにより、アプリケーション実行部49による処理の進行に応じた語句をユーザに提示できる。
【0084】
また、エンタテインメントシステム10は、個々のアプリケーションプログラムに関連づけられたアプリケーション辞書だけでなく、特定の種類のアプリケーションプログラムに関連づけられたアプリケーション辞書を記憶してもよい。この場合、使用辞書選択部50は、アプリケーション実行部49が文字入力処理の実行開始を要求した時点において実行しているアプリケーションプログラムの種類に応じて、アプリケーション辞書を使用辞書として選択する。例えばエンタテインメントシステム10は、一般的にゲームアプリケーションにおいて使用される語句をアプリケーション語句として含んだゲーム用辞書を記憶する。そして、アプリケーション実行部49が実行しているアプリケーションプログラムが、何らかのゲームアプリケーションである場合に、このゲーム用辞書を使用辞書として選択する。こうすれば、アプリケーションプログラムの種類に応じた語句を、入力候補文字列としてユーザに提示することができる。
【0085】
また、以上の説明においては、入力候補文字列削除部56は、入力候補文字列リスト生成部54が生成した入力候補文字列リストL2に含まれる全ての入力候補文字列を表示制限文字列と比較する比較対象としたが、これに限らず入力候補文字列リストL2に含まれる一部の入力候補文字列のみを比較対象とすることとしてもよい。例えば入力候補文字列削除部56は、入力候補文字列リスト生成部54が所定の辞書から選択した入力候補文字列のみを比較対象としてもよいし、逆に所定の辞書から選択した入力候補文字列については比較対象から除外してもよい。具体例として、入力候補文字列削除部56は、一般辞書D1から選択された入力候補文字列については表示制限文字列と比較する対象とし、ユーザ学習辞書D2から選択された入力候補文字列については表示制限文字列と比較する対象から除外する。これにより、例えばユーザ学習辞書D2に含まれる語句については、表示制限の対象とせずに入力候補文字列としてユーザに提示することができる。また、アプリケーション辞書D3から選択された入力候補文字列を、表示制限文字列と比較する対象から除外することとしてもよい。
【0086】
また、入力候補文字列削除部56は、所定の辞書から選択された入力候補文字列のうち、所定の条件を満たす語句のみを表示制限文字列と比較する比較対象としてもよい。例えば入力候補文字列削除部56は、ユーザ学習辞書D2から選択された各入力候補文字列について、ユーザ学習辞書D2に当該入力候補文字列がどのように登録されたかによって、当該入力候補文字列を表示制限文字列と比較する対象とするか否かを決定する。例えば本実施形態に係るエンタテインメントシステム10において、MPU11は、文字入力処理プログラムを実行する際に、ユーザの文字入力操作に応じてユーザ学習辞書D2に語句を登録する処理(学習処理)を実行してもよい。また、MPU11は、ユーザが明示的に語句を指定して辞書登録する指示操作に応じて、ユーザ学習辞書D2に語句を登録してもよい。この場合、例えば入力候補文字列削除部56は、ユーザ学習辞書D2から選択された入力候補文字列のうち、ユーザの明示の登録指示によってユーザ学習辞書D2に登録された語句については表示制限文字列と比較する比較対象から除外し、学習処理によって登録された語句については表示制限文字列と比較する比較対象とする。こうすれば、ユーザ学習辞書D2に登録された語句も原則として表示制限の対象としつつ、ユーザが明示的に登録した語句に限っては表示制限文字列リストL1に含まれる語句であっても入力候補文字列としてユーザに提示する制御を実現できる。
【0087】
なお、アプリケーション辞書D3に含まれる語句は、このような学習処理によってユーザ学習辞書D2に登録される対象から除外されることとしてもよい。あるいは、アプリケーション辞書D3に含まれる語句を学習処理の対象とするか否かを、ユーザの指定に基づいて選択することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンタテインメントシステムのハードウェア構成図である。
【図2】MPUの詳細構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るエンタテインメントシステムの機能例を示す機能ブロック図である。
【図4】アプリケーション辞書に格納される情報の一例を示す説明図である。
【図5】アプリケーション辞書に格納される情報の別の例を示す説明図である。
【図6】表示制限文字列リストの一例を示す説明図である。
【図7】入力候補文字列リストの一例を示す説明図である。
【図8】モニタに表示される文字入力インタフェース画像の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るエンタテインメントシステムが実行する文字入力処理の一例を示すフロー図である。
【図10】入力候補文字列表示処理の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0089】
10 エンタテインメントシステム、11 MPU、12 メインプロセッサ、14a〜14h サブプロセッサ、16 バス、18 メモリコントローラ、20 メインメモリ、22,40,44 インタフェース、24 画像処理部、26 モニタ、28 入出力処理部、30 音声処理部、32 スピーカ、34 光ディスク読み取り部、36 光ディスク、38 ハードディスク、42 操作デバイス、46 カメラユニット、48 ネットワークインタフェース、49 アプリケーション実行部、50 使用辞書選択部、52 表示制限文字列リスト生成部、53 表示候補語句選択部、54 入力候補文字列リスト生成部、56 入力候補文字列削除部、58 入力候補文字列表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、
前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択手段と、
前記語句選択手段により選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示手段と、
を含むことを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文字入力装置において、
前記辞書記憶手段は、前記アプリケーション実行手段が出力する語句のそれぞれに対して、当該語句が表示候補となりうるか否かを示すフラグ情報を関連づけて記憶し、
前記アプリケーション実行手段は、実行する処理の進行に応じて前記フラグ情報を更新し、
前記語句選択手段は、前記各語句に関連づけられた前記フラグ情報に基づいて、前記表示候補となる語句を選択する
ことを特徴とする文字入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の文字入力装置において、
前記アプリケーション実行手段は、実行する処理の進行度を示す進行度情報を出力し、
前記辞書記憶手段は、前記アプリケーション実行手段が出力する語句のそれぞれに対して、当該語句を表示候補に含める前記進行度情報の条件を特定する進行度条件情報を関連づけて記憶し、
前記語句選択手段は、前記進行度情報と、前記各語句に関連づけられた前記進行度条件情報と、に基づいて、前記表示候補となる語句を選択する
ことを特徴とする文字入力装置。
【請求項4】
処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、
を含む文字入力装置の制御方法であって、
前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択ステップと、
前記語句選択ステップにより選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示ステップと、
を含むことを特徴とする文字入力装置の制御方法。
【請求項5】
処理の進行に応じた語句を出力するアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
前記アプリケーション実行手段が出力する語句を含む辞書を記憶する辞書記憶手段と、
を含む文字入力装置を制御するためのプログラムであって、
前記辞書に含まれる複数の語句の中から、前記アプリケーション実行手段が実行する処理の進行度に応じた語句を表示候補となる語句として選択する語句選択手段、及び
前記語句選択手段により選択される語句と、ユーザが入力する入力文字と、に基づいて、複数の入力候補文字列を表示する入力候補文字列表示手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−186234(P2008−186234A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19084(P2007−19084)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】