説明

文字入力装置、文字装飾方法、及び文字装飾プログラム

【課題】選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことができる文字入力装置を提供する。
【解決手段】本文字入力装置は、文字を選択する文字選択部30と、入力手段による入力位置を連続的に検知する入力検知部50と、入力検知部50により連続的に検知した入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、文字選択部30により選択された文字に係る装飾処理を連続的に行う文字装飾部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力装置、文字装飾方法、及び文字装飾プログラムに関し、特に、入力キーやタッチパネル、タッチパッドなどの入力手段を備えた文字入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デスクトップパソコンから小型の携帯電話端末まで、入力手段を装置するあらゆる情報機器では、文字や図形の入力のしやすさがそれらの情報機器を選択する際の重要な条件となる。特に、携帯電話端末などの小型端末では入力手段を装置するスペースも限定されるため、所望の入力を簡単な操作で的確に行える入力手段や入力方法が求められる。そのため、これまでにも各種の入力手段や入力方法が提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された入力装置は、領域を複数に区分して文字等を割り当てたタッチパッドの最初に指等が接触した位置を判断し、当該位置に割り当てられた選択候補を表示し、更に、当該位置からの指の移動量で文字の選択候補を確定する。
【0004】
また、特許文献2に開示された携帯電話は、キー入力部のキー入力を判断し、その入力に応じて文字等に係る選択候補群を表示し、その後のタッチパッドの指の移動量で選択候補を確定する。
【0005】
更に、特許文献3に開示されたデータ編集方法では、選択した編集対象に係る画面上の領域をポインティングデバイス(ペン)でタッチすると、タッチした点を中心に複数の編集メニューアイコンが表示され、所望の処理に係るアイコンの方へペンを移動させることにより、編集する項目を順次絞り込み、最終的に一つの編集処理を決定して当該編集処理を実行する。
【0006】
上記の入力装置、携帯電話、及びデータ編集方法によれば、従来より簡単な方法で所望の文字等の入力を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−193465号公報
【特許文献2】特開2001−274888号公報
【特許文献3】特開平9−204426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の入力装置、携帯電話、及びデータ編集方法は、複数の候補の中から文字等を選択したり、編集処理に係る項目を選択したりする選択方法を提示しているのみである。
【0009】
また、上記の入力装置や携帯電話は、タッチパッド等のポインティングデバイスを用いて文字や項目を選択するという点で共通しているが、タッチパッド上で指等を動かして選択する操作はキーの押下による入力と比較して操作が難しい。これは、指の動きが少しでもぶれると、全く異なる文字や項目が選択されてしまうことに起因する。
【0010】
一方、近年は、電子メールの絵文字やアニメーション文字の普及に象徴されるように、表示する文字に装飾を施して視覚的な訴求性を向上させたいというニーズは益々高まっている。文字サイズの大小、斜体文字の傾斜角度の大小、文字の色や陰影の濃淡などの文字の装飾を変化させる処理によって変化する文字のサイズや角度が、意図した度合いと多少異なっても、表示される文字そのものの意味が変化するものではない。そのため、タッチパッド等のポインティングデバイスを用いて文字の装飾を変化させる処理を行うことが望ましい。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能な文字入力装置、文字装飾方法、及び文字装飾プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の文字入力装置は、文字を選択する文字選択部と、入力手段による入力位置を連続的に検知する入力検知部と、前記入力検知部により連続的に検出した入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記文字選択部により選択された文字に係る装飾処理を連続的に行う文字装飾部と、を備える。
【0013】
上記構成によれば、指等による連続的な操作入力により、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能である。
【0014】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字装飾部が、前記入力位置の移動方向に基づいて、前記装飾処理の種別を決定する。
【0015】
上記構成によれば、例えば指等による入力の移動方向が上下方向と左右方向とで、異なる装飾処理を施すことが可能である。
【0016】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字装飾部が、前記入力位置の移動量に基づいて、前記装飾処理の度合いを決定する。
【0017】
上記構成によれば、例えば、指等による入力位置が大きく移動した場合には多量の装飾し、指等による入力位置が小さく移動した場合には少量の装飾を行うようにすることができ、容易に所望の装飾を施すことができる。
【0018】
また、本発明の文字入力装置は、前記入力検知部が、前記入力手段による入力面積の大きさを検知し、前記文字装飾部が、前記入力面積の大きさが所定時間以上、所定面積未満の状態が継続した後、前記入力手段による入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記装飾処理を行う。
【0019】
上記構成によれば、例えば接触面積に応じてキー入力であるかドラッグ操作であるかを識別でき、ドラッグ操作である場合に装飾処理を施すことができ、キー入力と装飾処理を続けて行うことができる。
【0020】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字装飾部が、前記入力面積の大きさが所定時間以上、所定面積未満の状態が継続した後に、前記入力検知部により入力を検知しなくなった場合、前記装飾処理を終了する。
【0021】
上記構成によれば、文字に対して装飾処理を行った後にドラッグ操作等の入力を終了することで、装飾処理を容易に終了することができる。
【0022】
また、本発明の文字入力装置は、前記装飾処理が、前記文字選択部により選択された文字の傾斜を連続的に変更する処理、前記文字の陰影を連続的に変更する処理、前記文字の色を連続的に変更する処理、前記文字のサイズを連続的に変更する処理、の少なくとも1つである。
【0023】
上記構成によれば、多少の誤入力を行った場合であっても、装飾処理の度合いが多少異なるのみであり、装飾処理後の文字そのものの意味が変化するものではないので、文字入力を容易にかつ的確に行うことができる。
【0024】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字装飾部により連続的に装飾処理が行われた文字を表示する表示部を備える。
【0025】
上記構成によれば、文字に装飾処理が施された結果を目視で確認することができる。
【0026】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字選択部が、キー入力部により入力された文字から選択し、前記入力検知部が、タッチパッドへの入力位置を検知する。
【0027】
上記構成によれば、キー入力部とタッチパッドとを有する文字入力装置において、指等による連続的な操作入力により、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能である。
【0028】
また、本発明の文字入力装置は、前記文字選択部が、キー入力部を有するタッチパネルにより入力された文字から選択し、前記入力検知部が、前記タッチパネルへの入力位置を検知する。
【0029】
上記構成によれば、タッチパネルを有する文字入力装置において、指等による連続的な操作入力により、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能である。
【0030】
また、本発明の文字装飾方法は、文字を選択するステップと、入力手段による入力位置を連続的に検出するステップと、前記連続的に検出された入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記選択された文字に係る装飾処理を連続的に行うステップと、を有する。
【0031】
上記方法によれば、指等による連続的な操作入力により、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能である。
【0032】
また、本発明の文字装飾プログラムは、コンピュータに、文字を選択するステップと、入力手段による入力位置を連続的に検出するステップと、前記連続的に検出された入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記選択された文字に係る装飾処理を連続的に行うステップと、を実行させるためのプログラムである。
【0033】
上記プログラムによれば、指等による連続的な操作入力により、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、選択された文字に容易且つ的確に装飾を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態における文字入力装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における文字入力装置における操作部と表示部の一例を模式的に示した図
【図3】本発明の実施形態における文字入力装置の文字装飾処理の手順を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態のタッチパッド入力モードにおける指の動きと文字の装飾処理の関係を模式的に示した図
【図5】本発明の実施形態のタッチパッド入力モードで指を上方向に動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図
【図6】本発明の実施形態のタッチパッド入力モードで指を左方向に動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図
【図7】本発明の実施形態のタッチパッド入力モードで指を上方向に動かした後、さらに左方向へ動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態における文字入力装置、文字装飾方法、及び文字装飾プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
本実施形態の文字入力装置としては、例えば、携帯端末装置、携帯情報端末(PDA)、その他の文字入力装置が考えられる。
【0038】
図1は、本発明の実施形態における文字入力装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示す文字入力装置100は、主に、操作部10、制御部20、文字選択部30、文字テーブル31、文字装飾部40、入力検知部50、タイマー60、表示部70、で構成される。
【0039】
操作部10は、キー部11とパッド部12とを有して構成される。キー部11は、キーの押下により文字や記号などを一意に入力することができる操作部(テンキー)である。パッド部12は、押下した指等を移動することで、移動方向や移動量に係る入力を連続的に行うことができる操作部である。パッド部12の構成としては、静電式及び抵抗膜式があるが、本実施形態ではどちらを適用することもできる。なお、本実施形態では、後述するように、キー部11とパッド部12を一体化した操作部10を主に説明するが、一体化されていなくてもよい。また、指はキー部11及びパッド部12へ操作入力を行う入力手段の1つであり、指の代わりにスタイラスペン等を入力手段として用いることも考えられる。
【0040】
制御部20は、操作部10からの操作入力の検知や、後述する文字の装飾処理の実行など、文字入力装置100の動作全般を統括制御する。
【0041】
文字選択部30は、キー部11からのキー入力を受け、文字テーブル31を参照して対応するキーコードの文字を選択する。
【0042】
文字装飾部40は、指等によるパッド部12への入力に係る入力位置の移動方向や移動量に係る情報に基づいて、選択された文字に装飾処理を施す。具体的な装飾処理については後述する。
【0043】
入力検知部50は、パッド部12における指等の接触による入力位置を連続的に検知する。このとき、入力検知部50は、入力位置の座標を検知し、この座標の情報に基づいて移動方向や移動方向を検知することができる。また、入力検知部50による検知に基づいて、制御部20は様々な処理を行う。例えば、入力検知部50によって接触面積の大小を所定の周期で検知し、接触面積が一定時間以上所定面積未満である場合には、制御部20は、キー入力を行うキー入力モードからタッチパッドによる入力を行うタッチパッド入力モードへ入力モードを変換する。また、入力検知部50によって所定時間以上接触入力が検知されない場合には、制御部20は、装飾処理のための入力動作が完了したと判断して文字の装飾処理を終了する。
【0044】
なお、接触面積については、例えば、静電式のタッチパッドの場合には静電容量を感知することに基づいて判断され、抵抗膜式のタッチパッドの場合には圧力に応じた抵抗値に基づいて判断される。静電式では接触、抵抗膜式では押圧することで、入力が検知される。したがって、接触面積に基づいて入力モードを変換する代わりに、押圧された面積に基づいて入力モードを変換してもよい。また、接触面積や押圧された面積は入力面積の一例である。
【0045】
タイマー60は、入力検知部50が時間経過を把握するための計時を行う。
【0046】
表示部70は、キー部11から入力した文字や、パッド部12からの入力に基づく装飾処理後の文字などを表示するディスプレイである。
【0047】
次に、上記構成の文字入力装置100の文字に係る装飾処理について説明する。
ここでは、文字入力装置100として、キー部11とパッド部12を一体化した携帯電話端末を例に説明する。
【0048】
図2は、本実施形態における文字入力装置100の操作部と表示部を模式的に示した図である。操作部10は、キー部11とパッド部12が一体化されており、キー入力モードでは、数字キー等が印字されたタッチパッド部分を指等により押下すると、入力検知部50は、キー入力として検知する。一方、操作部10は、図2に示すように、例えば矩形全体がタッチパッドで構成されているので、タッチパッド入力モードでは、矩形内を指等でタッチして接触しながら移動させると、入力検知部50は、指等の移動方向および移動量に基づいた入力として検知する。したがって、タッチパッド入力モードでは、たとえ指等が数字キー等の上を通過した場合でも、当該キーを押下するキー入力として検知されることはない。
【0049】
図3は、本発明の実施形態における文字入力装置の文字に係る装飾処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、キー入力モードとなっている状態において、入力検知部50がキー部11へのキー押下を検知すると(ステップS101)、制御部20は、押下したキーに対応する文字を表示部70に表示させる(ステップS102)。その際、制御部20は、文字選択部30を介して、文字テーブル31を参照し、押下されたキーのキーコードに対応する文字を選択する。
【0051】
続いて、入力検知部50は、入力を行う際の操作部10と指等との接触面積の大きさを判定する(ステップS103)。接触面積が所定面積より大きい場合、制御部20は、引き続きキー部11からの文字入力があると判定し、入力検知部50を介してキー押下の有無を判定する(ステップS104)。キー押下を検知すると、制御部20は、上記のステップS102と同様に、押下したキーに対応する文字を表示部70に表示させる(ステップS105)。入力検知部50がキー押下を検知している限り、ステップS104からステップS105の手順が繰り返される。
【0052】
また、ステップS103において接触は検知されているが接触面積が所定面積より小さい状態が一定時間以上継続すると、制御部20は、それまでに入力された文字について装飾処理を行おうとしているものと判定し、選択された文字を装飾すべく、タッチパッド入力モードへ移行させる(ステップS106)。
【0053】
タッチパッド入力モードでは、まず、入力検知部50が、パッド部12からの連続的な位置の入力を検知し、指等の移動があるか否かを検知する(ステップS107)。指等の移動が検知された場合、制御部20は、移動方向を判定する(ステップS108)。なお、移動方向は、所定間隔で取得される指位置の変位で算出される。そして、制御部20による移動方向の判定結果に基づいて、文字装飾部40は、選択されている文字について、移動方向ごとに割り当てられた装飾処理を施す(ステップS109〜S111)。
【0054】
図4は、タッチパッド入力モードにおける指等の動きと文字の装飾処理との関係を模式的に示した図である。本実施形態では、指等の移動方向による装飾処理の種類を4方向に割り当てて実行するようにしている。図4の例は、はじめに仮名文字で「あか」とキー入力し、変換候補の「赤」、「赤坂」、「赤字」などが表示された状態を示している。図4に示す表示状態で、指等の接触面積が所定面積より小さい状態が所定時間以上経過した場合、制御部20は、タッチパッド入力モードへ移行させる。
【0055】
図4の例では、指等がはじめに押下した位置から上方向に移動した場合、入力した文字を斜体表示する際の傾斜角度の大小を段階的(連続的)に変化させる装飾処理を行う。また、指がはじめに押下した位置から左方向に移動した場合、入力した文字サイズの大小を段階的に変化させる装飾処理を行う。また、指がはじめに押下した位置から下方向に移動した場合、入力した文字の色を段階的に変化させる(グラデーションのように変化させる)装飾処理を行う。また、指がはじめに押下した位置から右方向に移動した場合、入力した文字に陰影を表示する際の陰影の濃淡を段階的に変化させる装飾処理を行う。このような装飾処理を行うように、装飾処理の種別が各移動方向に割り当てられている。
【0056】
図5は、タッチパッド入力モードで指を上方向に動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図である。パッド部12から上方向への移動を検知すると、文字装飾部40は、選択されている文字を斜体に変更する装飾処理を行う。文字装飾部40は、上方向への指等の移動量が大きいほど傾斜を大きくするように装飾の割合を設定しており、制御部20は、移動量に対応する傾斜の斜体文字を表示部70に表示させる。つまり、文字装飾部40は、入力位置の移動量に基づいて、装飾処理の度合いを決定する。したがって、表示部70に連続的に表示される文字の傾斜の変化を見ながら、操作者は、装飾処理の度合いを直感的且つ容易に決定することができる。
【0057】
図6は、タッチパッド入力モードで指を左方向に動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図である。パッド部12から左方向への移動を検知すると、文字装飾部40は、選択されている文字のサイズを変更する装飾処理を行う。文字装飾部40は、左方向への指等の移動量が大きいほど文字サイズを大きくするように装飾の割合を設定しており、制御部20は、移動量に対応するサイズの文字を表示部70に表示させる。したがって、表示部70に連続的に表示される文字の大きさの変化を見ながら、操作者は、装飾処理の度合いを直感的且つ容易に決定することができる。
【0058】
図7は、タッチパッド入力モードで指を上方向に動かした後、さらに左方向へ動かした場合の文字の装飾の様子を模式的に示した図である。パッド部12から上方向への移動を検知すると、文字装飾部40は、選択されている文字を斜体に変更する装飾処理を行う。その後、パッド部12から左方向への移動を検知すると、文字装飾部40は、選択されている文字のサイズを変更する装飾処理を行う。図7に示すように、文字を斜体にする装飾処理と文字のサイズを大きくする装飾処理とが連続して行われたので、指を移動させた後の文字は、大きな斜体文字となる。このように、指等を接触させた状態を継続することで、2種類以上の装飾処理を連続して行うことができる。また、表示部70に連続的に表示される文字の傾斜や大きさの変化を見ながら、操作者は、装飾処理の度合いを直感的且つ容易に決定することができる。
【0059】
図3のフローチャートに戻り、上記のように、指等の移動方向および移動量に応じて文字装飾部40が装飾処理を行うと、制御部20は、都度、表示部70による表示を更新させる(ステップS110)。これにより、連続的に入力位置が変化することに伴って、表示される文字についても連続的に状態が更新される。
【0060】
また、ステップS103において接触が検知されない状態が所定時間以上継続すると、制御部20は、文字入力が終了し、且つ、入力した文字について装飾処理を行わないものと判断し、文字を確定する(ステップS112)。これにより、文字の入力および装飾処理に係る一連の動作を終了する。
【0061】
また、ステップS107において、入力検知部50は、指等の移動が検知されない場合には所定期間移動の検知を繰り返す。そして、検知の繰り返しにおいて指等がタッチパッドから離れ、接触が検知されなくなった場合には、制御部20は、文字入力が終了し、且つ、選択された文字について以降装飾処理を行わないものと判断し、文字を確定する(ステップS112)。これにより、文字の入力および装飾処理に係る一連の動作を終了する。
【0062】
以上のように、本発明の実施形態における文字入力装置100によれば、キー操作で文字を入力して選択した後、タッチパッド上の指等の移動方向および移動量に基づいて、選択された文字に連続的な装飾処理を施すことができる。また、指等を動かして装飾処理を行う場合には、指の動きが少しぶれたとしても、全く異なる文字や項目が選択されてしまうということはなく、誤操作による影響も最小限に抑えることができる。これは、従来、キーの押下による入力と比較してタッチパッド上で指等を動かす操作が難しく、特に、小型の携帯電話端末などでは慎重な操作を要し、かえって入力に時間がかかることがあったことと比較すると、大きな利点である。
【0063】
また、指の移動量と移動方向とを変化させることにより、例えば、文字の大きさ→傾斜→文字の大きさというように、複数の装飾処理を連続して行うこともできる。また、結果表示を視認しながら装飾処理を施すことができるため、操作者が所望する装飾処理を的確且つ容易に行うことができる。また、文字入力装置100は、キー入力モードとタッチパッド入力モードとの切り替えをパッド部12への指等の接触面積の大小で判定することができるため、文字の入力及び選択から装飾処理までを少ない操作で実行することができる。
【0064】
なお、装飾処理としては、文字サイズの大小、斜体の傾斜角度、文字の色や陰影の濃淡、などが考えられるがこれに限定されるものではなく、表示形態が変化しても表示される文字自体の意味が変わらない処理を広く含む。
【0065】
また、本実施形態では、操作部10のキー部11とパッド部12とが一体化した文字入力装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、キー入力を行うキー部と、移動方向や移動量を連続入力できるパッド部とが別々に装置されている文字入力装置であってもよい。この場合、キー入力モードとタッチパッド入力モードとの切り替えを、所定の設定部を介して行うようにしてもよい。
【0066】
また、キー部11とパッド部12とを設ける代わりに、キー入力部を有するタッチパネルを設けてもよい。この場合、タッチパネルのキー入力部への入力に基づいて文字を選択し、タッチパネルへの接触入力の入力位置を検知することになる。
【0067】
また、本実施形態では、移動方向の違いに基づく装飾の種類を上下左右の4種類に割り当てた例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、装飾の種類を上下方向の2種類のみに割り当てたり、8方向に割り当てたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、選択された文字に対して容易且つ的確に装飾を施すことが可能な文字入力装置、文字装飾方法、及び文字装飾プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0069】
100 文字入力装置
10 操作部
11 キー部
12 パッド部
20 制御部
30 文字選択部
31 文字テーブル
40 文字装飾部
50 入力検知部
60 タイマー
70 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を選択する文字選択部と、
入力手段による入力位置を連続的に検知する入力検知部と、
前記入力検知部により連続的に検知した入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記文字選択部により選択された文字に係る装飾処理を連続的に行う文字装飾部と、
を備える文字入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文字入力装置であって、
前記文字装飾部は、前記入力位置の移動方向に基づいて、前記装飾処理の種別を変更する文字入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の文字入力装置であって、
前記文字装飾部は、前記入力位置の移動量に基づいて、前記装飾処理の度合いを決定する文字入力装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の文字入力装置であって、
前記入力検知部は、前記入力手段による入力面積の大きさを検知し、
前記文字装飾部は、前記入力面積の大きさが所定時間以上、所定面積未満の状態が継続した後、前記入力手段による入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記装飾処理を行う文字入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の文字入力装置であって、
前記文字装飾部は、前記入力面積の大きさが所定時間以上、所定面積未満の状態が継続した後に、前記入力検知部により入力を検知しなくなった場合、前記装飾処理を終了する文字入力装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の文字入力装置であって、
前記装飾処理は、前記文字選択部により選択された文字の傾斜を連続的に変更する処理、前記文字の陰影を連続的に変更する処理、前記文字の色を連続的に変更する処理、前記文字のサイズを連続的に変更する処理、の少なくとも1つである文字入力装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の文字入力装置であって、更に、
前記文字装飾部により連続的に装飾処理が行われた文字を表示する表示部を備える文字入力装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の文字入力装置であって、
前記文字選択部は、キー入力部により入力された文字から選択し、
前記入力検知部は、タッチパッドへの入力位置を検知する文字入力装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の文字入力装置であって、
前記文字選択部は、キー入力部を有するタッチパネルにより入力された文字から選択し、
前記入力検知部は、前記タッチパネルへの入力位置を検知する文字入力装置。
【請求項10】
文字を選択するステップと、
入力手段による入力位置を連続的に検出するステップと、
前記連続的に検出された入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記選択された文字に係る装飾処理を連続的に行うステップと、
を有する文字装飾方法。
【請求項11】
コンピュータに、
文字を選択するステップと、
入力手段による入力位置を連続的に検出するステップと、
前記連続的に検出された入力位置の移動方向及び移動量に基づいて、前記選択された文字に係る装飾処理を連続的に行うステップと、
を実行させるための文字装飾プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−257941(P2011−257941A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131238(P2010−131238)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】