説明

文字装飾システム及び文字装飾プログラム

【課題】ユーザの意図に沿った装飾種別を決定し装飾線を表示することができ、操作性に優れた文字装飾システム及び文字装飾プログラムを提供せんとする。
【解決手段】ポインティングデバイス3による操作情報を取得する操作情報取得手段4と、ポインティングデバイス3で引かれた線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段5と、表示部10に表示された操作画面の情報を取得する操作画面情報取得手段7と、操作画面の一部又は全部の領域の操作画面情報から文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段8と、文字領域情報及び位置情報に基づいて文字の装飾種別を判定する装飾判定手段6と、判定された装飾種別に従って文字の装飾線を操作画面に表示する装飾表示手段9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの操作画面に表示された文字に対し線で装飾する文字装飾システム及び文字装飾プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータの操作画面にマウスやペン等のポインティングデバイスを操作して、フリーハンドで線を引き、その操作にしたがって画面表示をしていた。
【0003】
また、電子書籍表示装置では、記録媒体に記録された書籍データを表示し、画面上をペンでクリックされるとクリックされた座標(開始位置)を検出し、このクリックされた座標が文字の「アセント範囲」に含まれるのか「デセント又はリーディング範囲」に含まれるのかを判定する。クリックされた位置が「アセント範囲」に含まれるときには文字をマーカ表示で装飾し、クリックされた位置が「デセント又はリーディング範囲」に含まれるときにはアンダーライン表示をする(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−5816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画面にマウスやペンで線を書くときには、きれいな線が書きにくく、例えば、文字に対してアンダーラインを引くように操作しても、線がうまく引けず、文字に線が重なり見えづらくなることがあった。
【0005】
このような状態では、電子書籍表示装置のように、クリックされた位置(開始位置)によりマーカ表示やアンダーライン表示などを判断することにより、開始位置を正確に指定する必要があり、開始位置がずれると所望する表示ができなくなり、操作性に劣る。
【0006】
本発明は、係る問題に鑑み、ユーザの意図に沿った装飾種別を決定し装飾線を表示することができ、操作性に優れた文字装飾システム及び文字装飾プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る文字装飾システムは、操作画面に表示される文字をポインティングデバイスで引かれた線により装飾する文字装飾システムであって、前記操作画面の一部又は全部の領域の文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段と、前記線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記文字領域情報及び前記位置情報に基づいて、前記文字の装飾種別を判定する装飾判定手段と、前記装飾種別に従って前記文字の装飾線を前記操作画面に表示する装飾表示手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る文字装飾プログラムは、操作画面に表示される文字をポインティングデバイスで引かれた線により装飾する文字装飾プログラムであって、コンピュータを、前記操作画面の一部又は全部の領域の文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段と、前記線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記文字領域情報及び前記位置情報に基づいて、前記文字の装飾種別を判定する装飾判定手段と、前記装飾種別に従って前記文字の装飾線を前記操作画面に表示する装飾表示手段として機能させることを特徴とする。
したがって、ポインティングデバイスで引かれた線の全体で装飾種別を判断することにより、ユーザ操作の意図に応じた装飾線を表示することができる。
【0008】
また、前記文字領域情報及び前記位置情報から前記文字装飾の対象文字を特定する装飾文字特定手段をさらに備え、前記装飾表示手段が前記対象文字に対する前記装飾線を表示してもよい。
【0009】
また、前記文字領域情報は、前記文字の文字記載領域の情報を含み、前記装飾判定手段は、前記文字領域情報及び前記位置情報から算出された前記文字記載領域に含まれる前記引かれた線の割合に基づき、前記装飾種別を判定してもよい。
【0010】
前記位置情報は、前記線の開始位置及び終了位置を含み、前記装飾判定手段は、前記位置情報から算出された前記開始位置及び前記終了位置の間の直線距離と、前記ポインティングデバイスで引かれた線の長さとに基づき、前記装飾種別を判定してもよい。
【0011】
前記文字領域情報及び前記位置情報から前記文字装飾の対象文字を特定する装飾文字特定手段をさらに備え、前記装飾判定手段は、前記文字領域情報から算出された前記対象文字の文字列の幅と、前記位置情報から算出された前記線の長さとに基づき、前記装飾種別を判定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上にしてなる本発明に係る、文字装飾システム及び文字装飾プログラムは、ポインティングデバイスで引かれた線の全体で装飾種別を判断するので、ユーザ操作の意図に応じた装飾線を表示することができ、また、1つの操作工程で装飾線を領域だけでなく、装飾種別も決定できるため、操作性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0015】
文字装飾システム1は、図3に示すように、ポインティングデバイス3による操作情報を取得する操作情報取得手段4と、操作情報からポインティングデバイス3で引かれた線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段5と、表示部10に表示された操作画面の情報を取得する操作画面情報取得手段7と、操作画面の一部又は全部の領域の操作画面情報から文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段8と、当該文字領域情報取得手段8により取得された文字領域情報及び位置情報取得手段5により取得された位置情報に基づいて文字の装飾種別を判定する装飾判定手段6と、当該装飾判定手段6により判定された装飾種別に従って文字の装飾線を操作画面に表示する装飾表示手段9を備える。文字装飾システム1は、文字装飾プログラム2を端末などのコンピュータCにインストールすることにより、各手段として機能する。コンピュータCは、ポインティングデバイス3、表示部10、及び図示しない処理部、記録部を備えている。なお、各手段は、ハードウエアで実現されてもよいし、ソフトウエアで実現されてもよい。コンピュータCは、たとえば1つまたは複数の端末で構成されていてもよいし、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバおよびクライアント端末で構成されていてもよい。
【0016】
上記処理部は、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUなどであり、記録部は、情報やプログラムなどを記録する装置であって、ハードディスクなどの外部記録装置及び情報を一時的に記録する半導体記録装置などを含む。ポインティングデバイス3は、操作画面上でカーソル12を移動させ位置を指定してコンピュータCを操作する入力機器であって、例えば、マウス、タッチスクリーン、ペンタブレット、トラックパッド、トラックボールである。表示部10は、操作画面を有し、文字やポインティングデバイス3で引かれた線13などを操作画面に表示するものである。
【0017】
操作情報取得手段4は、操作情報の操作内容からポインティングデバイス3で線が引かれたか否かを監視し、ポインティングデバイスで引かれた線(以下、「引かれた線」と称す。)を特定する位置情報を含む操作情報を取得し、取得した操作情報を位置情報取得手段5に送信するとともに検知した旨を操作画面情報取得手段7に送信する。例えば、ボタン解放などの線が引かれたことを示す最終処理が操作内容に含まれていることを検知すると、引かれた線に係る操作情報、つまりボタン押下などの線の引き初めを示す開始処理からボタン開放などの線の引き終わりを示す終了処理までの引かれた線を特定する操作情報を取得し、位置情報取得手段5に送信する。
【0018】
ここに操作情報とは、ポインティングデバイス3による操作で生成され、例えば、ポインティングデバイス3によるボタン押下、ボタン解放、移動などの位置指定操作で線を引いたことを示す操作内容、当該操作のカーソルの位置や座標などを示す座標情報、操作情報を生成した日時又は当該操作の開始から終了までのカウント時間等を示す日時情報を含む。さらに、操作情報は、例えば、操作が行われた端末を識別する端末識別情報、当該端末のログインユーザを識別するユーザ識別情報を含むことができる。
【0019】
位置情報取得手段5は、引かれた線に係る操作情報の座標情報から引かれた線13を特定する位置情報を取得するものであり、本例ではこの位置情報を装飾判定手段6に送信している。ここに引かれた線13は、軌跡線13a及び仮想線13bを含む。また軌跡線13aは、図1(a)に示すように、ポインティングデバイス3の位置指定操作の開始から終了までに移動したカーソル12の軌跡であり、仮想線13bは、図1(b)に示すように、ポインティングデバイスで指定された開始位置14a及び終了位置14bを結んだ線である。
【0020】
ここで、引かれた線13を特定する位置情報とは、引かれた線13に係る操作情報の座標情報から引かれた線13を表す式を求め、その式又は式から算出される位置座標などである。なお、引かれた線13を特定する位置情報は式又は式から算出される位置座標に限定されず、式を求めずに引かれた線13に係る座標情報であってもよい。
【0021】
つまり、引かれた線が軌跡線13aの場合、軌跡線13aを特定する位置情報は、例えばカーソル12が移動した座標情報の集合から近似式を求め、この近似式から軌跡線13aを表す位置座標を算出することにより取得される。ここで、座標情報は、軌跡線13aに係る全ての操作情報の座標情報であってもよいし、軌跡線13aに係る操作情報のうち所定間隔ごとに取得した操作情報の座標情報であってもよい。この所定間隔は、操作情報の座標情報を参照し、所定距離ごととすることもできるし、また、操作情報の日時情報を参照し、所定時間ごととすることもできる。また、引かれた線13が仮想線13bの場合、仮想線13bを特定する位置情報は、例えば開始位置及び終了位置を通る線の式を求め、この式から仮想線13bを表す位置座標を算出することにより取得される。
【0022】
より具体的には、ポインティングデバイス3のボタンを押下(例えば、マウスにおけるクリック)し、その後ボタン解放(例えば、マウスにおけるリリース)をして線を引いた場合、操作内容がボタン押下である操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を開始位置として取得する。また、操作内容がボタン解放ある操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を終了位置として取得する。ここで、軌跡線13aの場合には、ボタン押下からボタン解放までの操作位置を操作情報の座標情報から取得する。そして、取得した座標情報から式を算出し、式から引かれた線13の位置情報を得る。この引かれた線を表す位置座標は、開始位置、終了位置、及び開始位置と終了位置との間の任意または所定の位置である。
【0023】
なお、開始位置及び終了位置の特定はこれに限定されず、例えばこれらは操作情報の日時情報や座標情報などから特定することができる。日時情報で特定する場合、操作情報から座標情報に加えて日時情報を取得し、そして、その日時情報が最も早い日時の操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を開始位置の位置情報とする。一方、日時情報が最も遅い日時の操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を終了位置の位置情報とする。また、座標情報で特定する場合、操作情報の中から座標情報が最も左端にある(x座標が最も小さい)操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を開始位置の位置情報とする。一方、操作情報の中から座標情報が最も右端にある(x座標が最も大きい)操作情報を特定し、その操作情報の座標情報を終了位置の位置情報とする。
【0024】
操作画面情報取得手段7は、例えば上述の操作情報取得手段4から線が引かれたことを検知した旨を受けて、表示部10から操作画面情報を取得するものであり、本例では取得した操作画面情報を文字領域情報取得手段8に送信している。ここに操作画面情報とは、表示部10の操作画面に表示されている画像のデータ、日時情報などを含み、ユーザ識別情報、端末識別情報や位置情報などを含むことができる。
【0025】
文字領域情報取得手段8は、操作画面情報取得手段7から操作画面情報を受けて、操作画面の一部又は全部の領域の文字領域情報を取得するものであり、本例では取得した文字領域情報を装飾判定手段6に送信している。
【0026】
ここで、文字領域情報は、図2に示すように、操作画面に表示されている文字15を示す文字情報、一連の文字が並ぶ領域を示す文字記載領域16aの情報(以下、「文字記載領域情報」と称す。)を有する。文字情報は、操作画面情報をパターン認識などの方法で解析することにより特定され、操作画面に表示されている文字、当該文字の表示位置などを含む。この文字15は、ひらがな、漢字、アルファベットなど言葉を表記するものだけでなく、数字や記号なども含む。表示位置は、文字15の下端位置、上端位置、右端位置及び左端位置を含み、右端位置及び左端位置の差から文字幅16eが得られる。文字記載領域16aは、文字情報から特定される。例えば、文字情報の表示位置から隣り合う文字の間隔を算出し、文字間隔が所定値より小さい場合、隣り合う文字は一連に並ぶものと判断し、これらの文字の領域を文字記載領域と特定する。また、文字記載領域情報は、文字記載領域の下限を示す下限16c、上限を示す上限16d、右端を示す右縁16g、左端を示す左縁16fを含み、これらはそれぞれ、文字記載領域に含まれる文字の上端位置、下限位置、右端位置及び左端位置から得られる。
【0027】
装飾判定手段6は、位置情報取得手段5から引かれた線13を特定する位置情報と、文字領域情報取得手段8から文字領域情報とを受けて、これらに基づいて文字の装飾種別を判定するものであり、本例では装飾判定手段6が装飾種別判定手段6aを含み、この装飾種別判定手段6aで装飾種別が判定されている。具体的には、位置情報および文字領域情報から文字記載領域に含まれる引かれた線の割合(以下、線の割合と称する。)を求め、線の割合と装飾種別との関係を示した式や表などの所定の基準を用いて、線の割合から装飾種別を取得する。
【0028】
ここに装飾種別とは、引かれた線13を装飾線に変換するための規定であって、例えば、直線や波線などの線形状、実線や破線などの線種、線の中央や下線などの位置、色、線幅を含む。装飾線は、文字15を装飾するために文字15に付される線であって、引かれた線13及び装飾種別により決定される。例えば、文字記載領域16aに含まれる引かれた線13の割合に基づき装飾種別は決定される。
【0029】
より具体的には、装飾判定手段6は、文字領域情報の文字記載領域情報から文字記載領域16aの上限16d及び下限16cを特定する。次に、引かれた線13を特定する位置座標が文字記載領域16aの上限16d及び下限16cの間に位置するか否かを判定し、位置すればその位置は文字記載領域に含まれるとする。これを、引かれた線13を表す全て又は一部の位置座標に対して繰り返して判定する。それから、判定した全ての位置座標の数に対して、文字記載領域16aに含まれる位置座標の数の割合を算出し、文字記載領域16aに含まれる引かれた線の割合を求める。
【0030】
例えば、図4(a)に示すように、ポインティングデバイス3によって線13が引かれると、装飾判定手段6は、上限16d及び下限16cのy座標をそれぞれ特定し、ここではそれぞれ上限が「172」、下限が「138」と特定される。次に、図4(b)に示す引かれた線13を特定するx座標及びy座標からなる位置情報から各位置座標が上限と下限の間の文字記載領域「138〜172」の間に含まれるか否か判定する。本例では、全ての位置座標の数は「17」であり、文字記載領域に含まれる位置座標の数は「10」である。そして、全ての位置座標の数「17」に対する文字記載領域16aに含まれる位置座標の数「10」の割合として、「59%」が算出され、これが引かれた線の割合となる。
【0031】
また、他の例としては、引かれた線13が直線である場合、引かれた線13の開始位置及び終了位置が文字記載領域16aに位置しているか否かを判断する。開始位置及び終了位置の両方が文字記載領域16aに位置している場合、引かれた線13は文字記載領域16aに含まれるため、文字記載領域16aに含まれる引かれた線の割合は100%になる。開始位置及び終了位置の両方が文字記載領域16aに位置していない場合は文字記載領域16aに含まれる引かれた線の割合は0%になる。また、図5に示すように開始位置のy座標及び終了位置のy座標の間の距離Y1と、文字記載領域の下限16c及び終了位置のy座標の間の距離Y2とを求め、前者に対する後者の割合Y2/Y1が文字記載領域16aに含まれる引かれた線の割合としてもよい。
【0032】
こうして求めた線13の割合から、線の割合と装飾種別との関係基準によって装飾種別を装飾種別判定手段6aが決定する。例えば、文字記載領域16aに含まれる引かれた線13の割合に対する閾値から、線種や線幅などの装飾種別が決められる。例えば、図7に示すように、割合と装飾種別との関係が設定されている。この場合、図6(a)に示すように文字記載領域16aに含まれる引かれた線13aの割合が75%以上の場合、図7のようにマーカ表示として形状、線幅や色などの装飾種別が決められる。また、図6(b)に示すように文字記載領域16aに含まれる引かれた線13aの割合が75%未満35%以上であった場合、図7のように波線状下線表示として形状、線幅や色などの装飾種別が決められる。さらに、図6(c)に示すように文字記載領域16aに含まれる引かれた線13aの割合が35%未満であった場合、図7のように直線状下線表示として形状、線幅や色などの装飾種別が決められる。例えば図4の場合、文字記載領域16aに含まれる引かれた線13aの割合が「59%」であり、波線状下線表示として形状、線幅や色などの装飾種別が決められることとなる。
【0033】
また、装飾判定手段6は、引かれた線13を特定する位置情報から装飾線の装飾範囲を決定する。装飾範囲は、装飾線を表示する範囲であって、例えば、引かれた線13の開始位置のx座標と終了位置のx座標との間とすることもでき、また、引かれた線の開始位置のx座標及びy座標と、終了位置のx座標及びy座標との間とすることもでき、さらに、引かれた線を装飾範囲とすることもできる。装飾範囲が引かれた線13の開始位置のx座標と終了位置のx座標との間である場合、装飾範囲のy座標は所定または任意に決定される。たとえば、装飾範囲の全範囲において、開始位置のy座標、終了位置のy座標、または開始位置および終了位置の間のy座標とすることができる。また、装飾種別でマーカ表示や下線などと規定されている場合には、それに従い、マーカ表示であれば文字記載領域の上限および下限の間とし、下線表示であれば下限の位置とする。そして、装飾判定手段6は、決められた装飾種別及び装飾範囲を装飾表示手段9に送信する。
【0034】
装飾表示手段9は、装飾判定手段6から装飾範囲と装飾種別とを受け、これらに従って文字の装飾線を表示部10の操作画面に表示するものである。例えば、装飾範囲が、引かれた線13の開始位置のx座標と終了位置のx座標との間の場合、装飾種別で決められた装飾線を、装飾範囲の文字記載領域に表示する。また、装飾範囲が引かれた線13の場合、装飾種別で決められた装飾線を引かれた線13の位置に表示する。
【0035】
次に、図8に基づいて、文字装飾システム1の処理の流れについて説明する。
【0036】
まず、操作情報取得手段4が操作情報を取得し(S1)、操作情報の操作内容からポインティングデバイス3で線が引かれたか否かを監視する(S2)。ポインティングデバイス3で線が引かれたことを検知すると、引かれた線13に係る操作情報を位置情報取得手段5に送信し、また操作画面情報取得手段7に検知した旨を送信する。操作画面情報取得手段7は、操作情報取得手段4の引かれた線13の検知を受け、それに基づいて表示部10の操作画面に表示された画像イメージの操作画面情報を取得し(S3)、操作画面情報を文字領域情報取得手段8に送信する。
【0037】
次に、文字領域情報取得手段8が、操作画面情報取得手段7から操作画面の操作画面情報を取得し、操作画面情報から文字領域情報を取得する(S4)。つまり、図2に示すように、操作画面情報から文字15を特定して、その文字幅16eなどの文字情報を取得し、文字情報から文字記載領域16aを特定して、文字記載領域情報を取得する。そして、文字記載領域情報を装飾判定手段6に送信する。
【0038】
また、ポインティングデバイス3で線が引かれたことを検知すると、位置情報取得手段5が、引かれた線13に係る操作情報を取得し、その操作情報の座標情報から引かれた線を表す式を算出し、その式から位置座標を引かれた線13を特定する位置情報として取得する(S5)。また、図1(b)に示すように引かれた線が仮想線13bである場合、位置指定操作で指定された開始位置14a及び終了位置14bの座標情報から求められた式による位置14c,14c,…の位置座標の集合である。そして、取得すると、位置情報取得手段5は、引かれた線13を特定する位置情報を装飾判定手段6に送信する。
【0039】
次に、装飾判定手段6は、位置情報、文字記載領域情報に基づいて文字記載領域16aに含まれる引かれた線の割合を算出し(S6)、その割合から装飾種別を判定する(S7)。例えば、図7に示す割合と装飾種別との関係から形状、線幅や色などの装飾種別が決められる。また、装飾判定手段6は、引かれた線を特定する位置情報から装飾範囲を決定する(S8)。次に、装飾表示手段9は装飾範囲及び装飾種別を受けて、装飾線を装飾範囲に表示する(S9)。
【0040】
このように、線の割合が大きいと、文字記載領域に線が引かれている可能性が高いと判断され、装飾線は文字記載領域に表示されるように、装飾種別が判定される。一方、線の割合が小さいと、文字記載領域に線が引かれている可能性が低く、たとえば文字記載領域の下に引かれていると判断され、装飾線は文字記載領域の下、つまり下線として表示されるように、装飾種別が判定される。このため、引かれた線の全体と文字記載領域との関係でユーザの意図を判断し、装飾線を表示することができる。また、引かれた線の全体で判断されることにより、正確に線を引く必要がなく、操作性に優れる。さらに、線を引くという1つの操作で装飾範囲および装飾種別を決定することができ、操作性に優れる。なお、上記実施例では線の割合によりマーカ表示や下線表示などを判定したが、これに限定されず、線の割合に応じて装飾線の線形状、線種、線幅、位置、これらの組合せなどの装飾種別を判定できる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0042】
本実施形態の文字装飾システム1は、ポインティングデバイス3で引かれた線13の長さと当該引かれた線13の開始位置と終了位置の直線距離とに基づいて装飾種別を判定するものである。引かれた線13の長さとは、引かれた線13に沿った長さであって、引かれた線13を特定する位置情報から算出される。例えば、位置情報の各位置座標から隣接位置間の距離をそれぞれ算出し、それを積算することによって得られる。
【0043】
装飾判定手段6は、位置情報取得手段5から引かれた線13を特定する位置情報と、文字領域情報取得手段8から文字領域情報とを受けて、これらに基づいて文字の装飾種別を判定する。装飾判定手段6は装飾種別判定手段6aを含み、この装飾種別判定手段6aで装飾種別が判定される。具体的には、位置情報から引かれた線の長さLと、引かれた線の開始位置および終了位置の直線距離Sとを求め、これらを比較し、その比較結果と装飾種別との関係を示した式や表などの所定の基準を用いて、線の長さLと直線距離Sとの比較結果から装飾種別を取得する。
【0044】
より具体的には、例えば図9(a)に示すように、引かれた線13の長さと、当該引かれた線13の開始位置19aと終了位置19bとの直線距離Sとに基づき装飾種別は決定される。引かれた線13の長さは、位置情報取得手段5によって特定された引かれた線13の位置情報から引かれた線13を構成する点間の距離を求め、それらを加算して距離を算出する。また、装飾判定手段6は引かれた線13の開始位置19aと終了位置19bとの直線距離(以下、「直線距離」と称す。)Sを算出する。
【0045】
例えば、図10(a)に示すように、ポインティングデバイス3によって線13が引かれると、装飾判定手段6は、図10(b)に示すように、位置情報が得られた場合、引かれた線13を特定するx座標及びy座標からなる位置情報から隣接位置間の距離を算出し、算出した隣接位置間の距離を積算し、引かれた線13の長さLを算出する。さらに、引かれた線13の開始位置19aと終了位置19bの座標から直線距離Sを算出する。この場合、図10(c)に示すように、引かれた線13の長さLが「129.1」と算出され、直線距離Sが「80.0」と算出される。
【0046】
そして、装飾判定手段6は、引かれた線13の長さLと直線距離Sとを比較する。例えば、直線距離Sに対する引かれた線13の長さLの比率(L/S)、引かれた線13の長さLから直線距離Sを引いた差(L−S)により引かれた線13の長さと直線距離Sとを比較することができる。そして、この比較の結果に基づいて装飾種別を決定する。図10(b)の場合には、図10(c)に示すように、直線距離Sに対する引かれた線13の長さLの比率(L/S)は「1.6」、引かれた線の長さLから直線距離Sの差(L−S)は「49.1」がそれぞれ算出される。
【0047】
装飾判定手段6は、引かれた線13の長さと、直線距離Sの比率や距離の差等を算出し、当該比率や距離の差等に基づいて装飾種別を決定する。具体的には、直線距離Sに対する引かれた線13の長さの比率が求められると、比率と装飾種別との関係基準を示す当該比率に対する閾値から、線種や線幅などの装飾種別が決められる。例えば、直線距離Sより引かれた線13の長さLが1.2倍長い場合の比率(L/S)と、直線距離Sより引かれた線13の長さLが1.5倍長い場合とを比率(L/S)を閾値とし、比率が1.2未満であれば直線状の線種の装飾種別が決定され、比率が1.2以上1.5未満であれば波長の長い波線状の線種の装飾種別が決定され、比率が1.5以上であれば比率が1.2以上1.5未満のときの波長より短い波長の波線上の線種の装飾種別が決定される。
【0048】
また、装飾判定手段6は、第1実施形態で説明したように、引かれた線13を特定する位置情報から装飾線の装飾範囲を決定する。そして、装飾表示手段9は、装飾判定手段6から装飾範囲と装飾種別とを受け、操作画面25に装飾線20を表示する。例えば、図9(b)のように、引かれた線13の長さLが100.3、直線距離Sが85の場合、比率は1.18となり、引かれた線13の開始位置19aのx座標と終了位置19bのx座標との間の装飾範囲において文字記載領域の下限に直線状の装飾線20bを表示する。また、図9(c)のように、引かれた線13の長さLが117.3、直線距離Sが85の場合、比率は1.38となり、引かれた線13の開始位置19aのx座標と終了位置19bのx座標との間の装飾範囲において文字記載領域の下限に、波長の長い波線状の装飾線20cを表示する。さらに、図9(d)のように、引かれた線13の長さLが138.6、直線距離Sが85の場合、比率は1.63となり、引かれた線13の開始位置19aのx座標と終了位置19bのx座標との間の装飾範囲において文字記載領域の下限に、波長の短い波線状の装飾線20dを表示する。本例では、比率に対する閾値から所定の波線の波長を求めたが、波の計算式を用いて引かれた線の長さおよび直線距離から波線の波長を算出することもできる。
【0049】
本実施形態における文字装飾システム1の処理の流れにおいて、上記実施形態と同様の部分についての説明は省略する。図8のステップ6(S6)において、装飾判定手段6は、引かれた線13の長さLを算出すると共に、当該引かれた線13の開始位置19aと終了位置19bとから直線距離Sを算出し、引かれた線13の長さLと直線距離Sとを比較する。そして、ステップ7(S7)において、装飾種別判定手段6aは比較結果に基づき装飾種別を判定し、また、ステップ8(S8)において装飾判定手段6は文字記載領域情報及び位置情報から装飾範囲を決定する。そして、装飾表示手段9は、装飾範囲及び装飾種別を受けて、装飾線を装飾範囲に表示する(S9)。
【0050】
このように、引かれた線の長さLと直線距離Sとの比較の結果、長さLが直線距離Sに比べて小さいと、長さがLが直線距離に近い、つまり引かれた線が直線である可能性が高いと判断され、装飾線が直線に表示されるように、装飾種別が判定される。一方、長さLが直線距離Sに比べて長いと、引かれた線が波打っている可能性が高いと判断され、装飾線が波線に表示されるように、装飾種別が判定される。さらに、長さLが直線距離Sより非常に長いと、波線の波数が多い、または波の振幅が大きい可能性が高いと判断され、長さLと直線距離Sとの比較の結果に応じて波線の形状を変えた波線が表示されるように、装飾種別が判定される。このため、引かれた線の全体と直線との関係でユーザの意図を判断し、装飾線を表示することができる。また、引かれた線の全体で判断されることにより、正確に線を引く必要がなく、操作性に優れる。さらに、線を引くという1つの操作で装飾範囲および装飾種別を決定することができ、操作性に優れる。
【0051】
その他の構成、変形例については、基本的に上記第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0052】
なお、図9では、直線距離Sと引かれた線13の長さの比率に基づいて、直線状や波線状などの装飾線の線形状を判定したが、比率に基づいて装飾線の線種、線幅、色、位置これらの組み合わせなどの装飾種別を判定することもできる。また、上記実施例では、直線距離に対する引かれた線の長さの比率にも基づいて装飾種別を判定したが、これと同様に、引かれた線の長さと直線距離との差でも装飾種別を判定することができる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0054】
本実施形態は、引かれた線13が引かれた際の操作速度に基づいて装飾種別を判定するものであり、操作速度の算出手法としては種々の方法が考えられるが、本例では装飾判定手段6が、位置情報取得手段5から引かれた線を特定する位置情報および操作情報の日時情報を受けて、日時情報から操作時間を算出し、位置情報および操作時間から操作速度を算出する。
【0055】
位置情報取得手段5は、引かれた線に係る操作情報の座標情報から引かれた線13を特定する位置情報を取得しながら、操作内容や日時情報、座標情報などにより開始位置及び終了位置を特定する。また、開始位置および終了位置の日時情報を操作情報から取得する。取得した位置情報および日時情報を装飾判定手段6に送信する。
【0056】
装飾判定手段6は、位置情報取得手段5から引かれた線13を特定する位置情報および操作情報の日時情報と、文字領域情報取得手段8から文字領域情報とを受け、位置情報および日時情報から操作速度を算出し、この操作速度に基づいて文字の装飾種別を決定する。装飾判定手段6は装飾種別判定手段6aを含み、この装飾種別判定手段6aで装飾種別が決められる。この装飾種別は、操作速度と装飾種別との関係を示した式や表などの所定の基準を用いて、操作速度から決定される。
【0057】
例えば、上記した図10(a)に示すように、ポインティングデバイス3によって線13が引かれると、装飾判定手段6は、図10(b)に示すように、引かれた線13を特定するx座標及びy座標からなる位置情報から隣接位置間の距離を算出し、算出した隣接位置間の距離を積算し、引かれた線13の長さLが「129.1」と算出される。
【0058】
また、開始位置の日時情報と終了位置の日時情報との差、例えば、2008年6月20日AM10時53分35秒〜2008年6月20日AM10時53分40.5秒までの5.5秒間などから操作時間Tを算出する。なお、装飾判定手段6は、日時情報を位置情報と対応付けて位置情報取得手段5から取得し操作時間Tは、図10(b)に示すように各位置点の日時情報から隣接位置点間の時間差を算出し、これらを積算し、「5.50」と算出することもできる。
【0059】
そして、長さLおよび操作時間Tから図10(c)のように、操作速度(L/T)を「23.5」と算出する。
【0060】
例えば、操作速度と装飾種別との関係基準を示す操作速度に対する閾値で、マーカ表示の色の濃淡を装飾種別として設定する。具体的には、操作速度が閾値20以上では濃色とし、閾値20未満では淡色とする。この場合、図10の例のように操作速度が23.5のときには、図11(a)に示すように、淡色のマーカ表示26aが決定される。また、図11(b)に示すように、操作速度が17.9のときには、操作画面25bの装飾範囲に対応する位置への濃色のマーカ表示26bが決定される。なお、装飾種別を操作速度の閾値で決定したが、これに限定されず、たとえば操作速度に応じて色の濃淡を変化させることもできる。
【0061】
また、装飾判定手段6は、第1実施形態で説明したように、引かれた線13を特定する位置情報から装飾線の装飾範囲を決定する。装飾表示手段9は、装飾判定手段6から装飾範囲と装飾種別とを受け、操作画面25に装飾線26を表示する。例えば、図11の場合、装飾範囲に対応する位置を、装飾種別に従い淡色のマーカ表示26a及び濃色のマーカ表示26bで表示する。
【0062】
本実施形態における文字装飾システム1の処理の流れにおいて、上記実施形態と同様の部分についての説明は省略する。図8におけるステップ6(S6)において、装飾判定手段6は、操作情報取得手段4によって取得された操作情報の日時情報に基づきポインティングデバイス3を操作して線を引くときの開始位置から終了位置までの操作時間Tを演算すると共に、位置情報から引かれた線13の長さLを演算する。そして、引かれた線13の長さLと操作時間Tとから操作速度(L/T)を演算する(S6)。さらに、ステップ7において、装飾判定手段6が、操作速度(L/T)と文字記載領域情報に基づき装飾種別を判定する(S7)。また、装飾判定手段6は、引かれた線を特定する位置情報から装飾範囲を決定する(S8)。そして、装飾表示手段9は、装飾範囲及び装飾種別を受けて、装飾線を装飾範囲に表示する(S9)。
【0063】
このように、操作速度が小さいと、ポインティングデバイスのカーソルの動きが遅いので、たとえば、カーソルをペンと見立てた場合、ペンの接触時間が長く、インクの供給量が多くなる可能性が高いと判断され、装飾線の色が濃く表示されるように、装飾種別が判定される。一方、操作速度が小さいと、ポインティングデバイスのカーソルの動きが速いので、たとえば、カーソルをペンと見立てた場合、ペンの接触時間が短く、インクの供給量が少なくなる可能性が高いと判断され、装飾線の色が淡く表示されるように、装飾種別が判定される。このため、引かれた線の全体の長さおよび時間の関係でユーザの意図を判断し、装飾線を表示することができる。また、引かれた線の全体で判断されることにより、正確に線を引く必要がなく、操作性に優れる。さらに、線を引くという1つの操作で装飾範囲および装飾種別を決定することができ、操作性に優れる。
【0064】
その他の構成、変形例については、基本的に上記実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0065】
尚、上記実施例では速度により色の濃淡を判定したが、これに限定されず、速度に応じて装飾線の線形状、線種、線幅、位置、これらの組合せなどの装飾種別を判定できる。
【0066】
上記全ての実施例において、装飾範囲を引かれた線の位置情報から求め、引かれた線自体や、開始位置および終了位置の間などを装飾範囲として決定したが、これに限定されない。たとえば、文字領域情報および位置情報から装飾文字の対象文字を特定し、その対象文字を装飾範囲とすることもできる。
【0067】
対象文字とは、操作画面に表示された文字のうち、装飾線で装飾される文字である。例えば、引かれた線13と操作画面上の文字との位置関係で判断され、引かれた線13のx方向の範囲に含まれる文字を装飾の対象とすることもできるし、また、文字の幅の中に引かれた線が含まれる文字を装飾の対象とすることもできる。さらに、引かれた線13との関係は文字単位で判断することもできるし、文字の組み合わせである単語で判断することもできる。単語で判断する場合は、辞書などを参照して文字から単語を特定する単語特定部を有する。
【0068】
具体的には、図12に示すように、装飾種別判定手段6が装飾種別判定手段6aと装飾文字特定手段6bを含み、装飾種別判定手段6aによって装飾種別を判定するとともに、装飾文字特定手段6bによって文字装飾の対象文字を特定する。また、装飾文字特定手段6bは、位置情報取得手段5から引かれた線13を特定する位置情報と、文字領域情報取得手段8から文字領域情報とを受けて、装飾対象の文字を特定した対象文字情報を取得し、装飾表示手段9に送る。すわなち、引かれた線を特定する位置情報から開始位置のx座標および終了位置のx座標を取得し、これらの間を装飾対象領域とする。そして、この装飾対象領域と文字領域情報に含まれる各文字の表示位置の左端位置および右端位置のx座標とを比較して、装飾対象領域に相当する文字を対象文字とし、当該対象文字を装飾範囲として特定する。
【0069】
より具体的には、図14に示すように、引かれた線を特定する位置情報から取得した開始位置のx座標26.5および終了位置のx座標105.55の間を装飾対象領域として、この装飾対象領域と文字領域情報に含まれる「あ」「い」「う」「え」「お」「か」の表示位置の左端位置および右端位置のx座標とを比較する。この場合、「い」「う」「え」「お」の各文字の左端位置および右端位置は装飾対象領域に含まれているため、文字幅に占める引かれた線の比率は100%である。これに対して、「あ」の左端位置は18であり、右端位置35であるため、その比率は50%であり、「か」の左端位置は103であり、右端位置は120であるため、その比率は15%である。このとき、対象文字とするか否かの判断基準を40%としたときには、「あ」「い」「う」「え」「お」が対象文字として特定される。そして、対象文字の幅M、つまり対象文字の表示位置の左端位置x座標と右端位置のx座標との間を装飾範囲として、装飾表示手段9に送る。
【0070】
また、装飾表示手段9は、装飾判定手段6から装飾種別と対象文字情報とを受けて、対象文字の領域にわたって装飾線17を表示する。例えば、図14(a)の場合には、対象文字として特定された「あ」〜「お」の全域の文字記載領域16aを装飾種別として判定されたマーカ表示26aで表示する。図14(b)の場合には、対象文字として特定された「あ」〜「お」の全域の下限16cを装飾種別として判定された波線17aで表示する。図14(c)の場合には、対象文字として特定された「あ」〜「お」の全域の下限16cを装飾種別として判定された装飾線17cで表示する。
【0071】
次に、図8に基づいて文字装飾システム1の処理の流れについて説明する。なお、上記実施形態と同様の部分についての説明は省略する。ステップ(S8)において、装飾文字特定手段6bは、引かれた線を特定する位置情報および文字領域情報を受けて、これらから文字装飾の対象文字を装飾範囲として特定する。そして、装飾表示手段9は装飾範囲及び装飾種別を受けて、装飾線を装飾範囲に表示する(S9)。
【0072】
このように、対象文字を装飾範囲として特定すると、文字単位で装飾したい場合に、ユーザの意図に沿った装飾線を装飾すべき文字に付すことができ、また、ユーザは正確に装飾する文字を指定する必要がないので、操作性に優れる。
【0073】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
【0074】
本実施形態では、文字領域情報及び位置情報から文字装飾の対象文字を特定した上で、さらに対象文字の幅Mと引かれた線13の長さとに基づいて装飾種別を判定するものである。具体的には、文字装飾の対象文字の文字列の幅Mと引かれた線の長さLとを比較し、その比較結果と装飾種別との関係を示した式や表などの所定の基準を用いて、文字列の幅Mと線の長さLとの比較結果から装飾種別を取得する。
対象文字の文字列の幅Mとは、文字装飾される文字列の幅である。なお、対象文字が1つの場合、文字列には1つの文字も含む。また、対象文字が複数である場合、それらの文字のうち、左端に位置する文字の左端位置と、右端に位置する文字の右端位置との間の距離に相当する。
【0075】
具体的には、図12に示す実施形態と同様に、装飾判定手段6は装飾種別判定手段6aと装飾文字特定手段6bとを含み、装飾文字特定手段6bによって文字装飾の対象文字を特定する。
【0076】
装飾種別判定手段6aは、装飾文字特定手段6bによって特定された文字装飾の対象文字の文字列の幅Mと、引かれた線13の長さLとに基づき装飾種別が決定される。具体的には、装飾判定手段6は、第2実施形態と同様、位置情報取得手段5によって取得された引かれた線13の位置情報に基づき、引かれた線13の長さLを算出する。装飾文字特定手段6bによって特定された対象文字について文字領域情報を得て、この文字領域情報から対象文字の文字列の幅を算出する。たとえば、対象文字の文字領域情報から対象文字のそれぞれの文字幅を取得し、それを積算して対象文字の文字列の幅Mを算出する。たとえば、対象文字「あ」「い」「う」「え」「お」の各文字の幅が17である場合、この文字列の幅Mは17×5=85となる。また、対象文字の文字領域情報の表示位置から対象文字の文字列の右端位置および左端位置を特定し、これらの差から文字列の幅Mを算出する。たとえば、図16に示すように、対象文字の文字列「あいうえお」の「あ」の左端位置18と、「お」の右端位置103との差から文字列の幅Mが85と算出される。
【0077】
そして、装飾判定手段6は、引かれた線13の長さLと文字列の幅Mとを比較する。例えば、文字列の幅Mに対する引かれた線13の長さLの比率(L/M)、引かれた線13の長さLから文字列の幅Mを引いた差(L−M)により引かれた線13の長さLと文字列の幅Mとを比較することができる。そして、この比較の結果に基づいて装飾種別を決定する。
【0078】
例えば、文字列の幅Mより引かれた線13の長さLが短い場合の比率(L/M)と、文字列の幅Mより引かれた線13の長さLが1.2倍長い場合の比率(L/M)とを閾値とし、比率が1.0未満であれば直線状の線種の装飾種別が決定され、比率が1.0以上1.2未満であれば波長の長い波線状の線種の装飾種別が決定され、比率が1.2以上であれば比率が1.0以上1.2未満のときの波長より短い波長の波線上の線種の装飾種別が決定される。
【0079】
図15(a)に示すように、操作画面24にポインティングデバイス3で線13が引かれた線の長さLが111.6、文字列の幅Mが125の場合、比率は0.9となり、直線状の装飾種別が決定される。また、図15(b)のように、操作画面24にポインティングデバイス3で線13が引かれた線の長さLが143.6、文字列の幅Mが125の場合、比率は1.1となり、波長の長い波線状の装飾種別が決定される。さらに、図15(c)のように、操作画面24にポインティングデバイス3で線13が引かれた線の長さLが165.8、文字列の幅Mが125の場合、比率は1.3となり、波長の短い波線状の装飾種別が決定される。より具体的には、例えば、図16の場合、引かれた線13の長さLが129.1、文字列の幅Mが85となり、比率は1.5となり、波長の短い波線状の装飾種別が決定されることとなる。そして、装飾表示手段9は、装飾判定手段6から装飾範囲と装飾種別とを受け、操作画面25に装飾線20を表示する。
【0080】
次に、図13に基づいて、文字装飾システム1の処理の流れについて説明する。なお、上記実施形態と同様の部分についての説明は省略する。ステップ16(S16)において、装飾文字特定手段6bは、引かれた線を特定する位置情報および文字領域情報を受けて、これらから対象文字を特定し、装飾判定手段6はこの対象文字を装飾範囲として決定するとともに、対象文字の文字列の幅Mを算出する。また、引かれた線を特定する位置情報から引かれた線の長さLを算出し、文字列の幅Mと長さLを比較する(S17)。そして、ステップ18(S18)において、装飾種別判定手段6Aは比較結果から装飾種別を判定する。そして、装飾表示手段9は装飾判定手段6から装飾範囲及び装飾種別を受けて、装飾線を装飾範囲に表示する(S19)。
【0081】
このように、引かれた線の長さLと文字列の幅Mとの比較の結果、長さLが幅Mに比べて小さいと、長さLが装飾すべき文字の幅である直線距離に近い、つまり引かれた線が直線である可能性が高いと判断され、装飾線が直線に表示されるように、装飾種別が判定される。一方、長さLが文字列の幅Mに比べて長いと、引かれた線が波打っている可能性が高いと判断され、装飾線が波線に表示されるように、装飾種別が判定される。このため、引かれた線の全体と装飾対象の文字列の幅との関係でユーザの意図を判断し、装飾線を表示することができる。また、引かれた線の全体で判断されることにより、正確に線を引く必要がなく、操作性に優れる。さらに、線を引くという1つの操作で装飾範囲および装飾種別を決定することができ、操作性に優れる。
【0082】
その他の構成、変形例については、基本的に上記の実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0083】
上記実施例では、引かれた線の長さLと文字列の幅Mとの比較結果により装飾線の線形状を判定したが、これに限定されず、比較結果に応じて装飾線種、線幅、位置、色、これらの組合せなどの装飾種別を判定できる。
【0084】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
【0085】
本実施形態では、引かれた線13が、文字記載領域16aの下限16cを通過した回数に基づいて装飾種別を判定する。この場合、軌跡線13aに含まれる複数の位置のそれぞれが文字記載領域16a内にあるか否かを判断し、文字記載領域16aにある位置の次の位置が文字記載領域16aになければ、その2つの位置の間で下限16cを通過して文字記載領域16aの外に移っているため、1回下限16cを通過したことになり、その反対も同様である。この判断を続けて、下限16cを通過した回数を算出する。その回数は所定数以上であれば、波線とし、所定数未満であれば直線と判断する。例えば、上記図4の例では、下限16cを通過する回数は4回となる。
【0086】
なお、引かれた線13が、文字記載領域16aの下限16cを通過した回数だけでなく、文字記載領域16aにガイド線を設け、ガイド線の通過回数から装飾種別を判定することができる。ガイド線は、例えば文字記載領域16aの上限16dと下限16cの中央などに設けてもよく、また、その本数は単数でも複数でもよい。
【0087】
このように、たとえば引かれた線が下限を通過した回数が少ないと、引かれた線が波打っている可能性が低いと判断され、装飾線が直線で表示されるように、装飾種別が判定される。一方、引かれた線が下限を通過した回数が多いと、引かれた線が波打っている可能性が高いと判断され、装飾線が波線で表示されるように、装飾種別が判定される。このため、引かれた線の全体と装飾対象の文字列の幅との関係でユーザの意図を判断し、装飾線を表示することができる。また、引かれた線の全体で判断されることにより、正確に線を引く必要がなく、操作性に優れる。なお、ガイド線、たとえば下限の通過回数の閾値を引いた線の長さにより変更することができる。さらに、線を引くという1つの操作で装飾範囲および装飾種別を決定することができ、操作性に優れる。
【0088】
その他の構成、変形例については、基本的に上記の実施形態と同じであるので、その説明を省略する。なお、上記実施例では下限の通過回数に応じて直線や波線などの線形状を判定したが、これに限定されず、下限などの通過回数に応じて装飾線の色、線種、線幅、位置、これらの組合せなどの装飾種別を判定できる。
【0089】
上記実施形態では、文字の特定に操作画面情報のパターン認識など公知の方法を用いたが、これに限定されず、例えば、白でない部分を文字として特定することもできる。この場合、色の判断で文字を特定できるため、特定方法が容易である。また、上記実施形態では、隣り合う文字15の間隔から文字記載領域16aを特定したが、これに限定されない。例えば、図17に示すように引かれた線13から所定範囲の領域Wの色を検出し、その領域の中で色が黒である範囲A1は文字記載領域と判定し、黒でない範囲A2は文字記載領域でないと判定する。色が黒である範囲A1については、例えば、x軸方向(紙面の横方向)の左側から右側に領域Wの色が黒か否かを判断し、黒と判断された位置P1から次の黒と判断された位置P2までを黒である範囲A1とし、さらに先の位置P2から次の黒と判断された位置P3までを黒である範囲A1に加える。これを繰り返して、黒と判断された位置P4,…,Pn,…,Pzを検出し、黒と判断された最初の位置P1から最後の位置Pzの範囲A1を特定して文字記載領域とする。
【0090】
さらに、上記実施形態では、操作画面情報取得手段7から取得した操作画面情報に基づいて文字領域情報を文字領域情報取得手段8は取得したが、これに限定されず、例えばワープロソフトの設定条件などの付属情報から操作画面の文字領域情報を取得することもできる。また、上記実施形態では、操作情報取得手段4が操作画面情報取得手段7に線が引かれたことを検知した旨を送信し、操作画面情報取得手段7がこれを受け、表示部10の操作画面の全部に表示された画像イメージの操作画面情報を取得したが、これに限定されない。例えば、操作情報取得手段4でなく、位置情報取得手段5が引かれた線を特定する位置情報を操作画面情報取得手段7に送信し、操作画面情報取得手段7がこれを受けて、位置情報から引かれた線に対応する操作画面の位置を特定し、この位置を含む操作画面の一部に表示された画像イメージの操作画面情報を取得することもできる。なお、上記実施形態では、文字記載領域が横書きの場合であるが、文字記載領域が縦書きの場合も同様である。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。また、上述の全実施形態における装飾判定手段6による装飾種別の判定を組み合わせて装飾種別を決定することも勿論可能である。これにより、1つの操作工程や判断結果で複数の装飾種別を判断することができる。たとえば、線の割合、引かれた線が下限を通過した回数、および引かれた線の長さLと直線距離Sとの比較結果(L/S)を組み合わせて装飾種別を判定する場合、割合から位置などの装飾種別を判断し、通過回数から線形状などの装飾種別を判断する。そして、その線形状が波線と判断されると、比較結果(L/S)で波線の波数や振幅を判断する。これにより、一度引かれた線で複数の装飾種別を同時に決定することができる。また、割合と位置、通過数と線形状、比較結果(L/S)と波数などとユーザが直感的に認識し易い関係であるため、ユーザの意図に沿って装飾線を表示できると共に、操作性に優れる。
【0092】
また、上述の実施形態では、文字装飾システム1及び文字装飾プログラム2は、上記各手段、及びポインティングデバイス3、表示部10等を1台のコンピュータに備えていたが、複数台のコンピュータによって構成してもよい。例えば、単又は複数のクライアントコンピュータとサーバコンピュータとをネットワークを介して通信可能に構成し、サーバコンピュータが操作情報取得手段、位置情報取得手段、操作画面情報取得手段、文字領域情報取得手段、装飾判定手段などを備えており、操作情報取得手段により取得されるクライアントコンピュータのポインティングデバイスの操作情報と、操作画面情報取得手段により取得される表示部の操作画面情報とに基づき、位置情報取得手段がサーバコンピュータにて位置情報を取得すると共に、文字領域情報取得手段により文字領域情報を取得し、装飾判定手段によって装飾種別を判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ポインティングデバイスで引かれた線の説明図。
【図2】文字領域情報についての説明図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る文字装飾システムのブロック図。
【図4】ポインティングデバイスで引かれた線についての説明図。
【図5】文字記載領域に含まれる引かれた線の判定についての説明図。
【図6】画面の説明図。
【図7】装飾種別の判定基準についての説明図。
【図8】フロー図。
【図9】第2実施形態に係る画面の説明図。
【図10】ポインティングデバイスで引かれた線についての説明図。
【図11】画面の説明図。
【図12】第4実施形態に係る文字装飾システムのブロック図。
【図13】フロー図。
【図14】画面の説明図。
【図15】画面の説明図。
【図16】ポインティングデバイスで引かれた線についての説明図。
【図17】文字記載領域と文字記載領域でない領域の判定についての説明図。
【符号の説明】
【0094】
1 文字装飾システム
2 文字装飾プログラム
3 ポインティングデバイス
4 操作情報取得手段
5 位置情報取得手段
6 装飾判定手段
6a 装飾種別判定手段
6b 装飾文字特定手段
7 操作画面情報取得手段
8 文字領域情報取得手段
9 装飾表示手段
10 表示部
13 ポインティングデバイスで引かれた線
13a 操作軌跡
13b 仮想線
14 ポインティングデバイスで指示された点
15 文字
16a 文字記載領域
16c 下限
16d 上限
16e 文字幅
16f 左縁
16g 右縁
17 装飾線
19a 開始位置
19b 終了位置
20 装飾線
21 波長
22 装飾線
24 画面
25 画面
28 波長
29 装飾線
A1 領域の中で色が黒である範囲
A2 領域の中で色が黒でない範囲
C コンピュータ
M 対象文字の文字列の幅
P 黒と判断された位置
W 所定の領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面に表示される文字をポインティングデバイスで引かれた線により装飾する文字装飾システムであって、
前記操作画面の一部又は全部の領域の文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段と、
前記線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記文字領域情報及び前記位置情報に基づいて、前記文字の装飾種別を判定する装飾判定手段と、
前記装飾種別に従って前記文字の装飾線を前記操作画面に表示する装飾表示手段と、
を備えることを特徴とする文字装飾システム。
【請求項2】
前記文字領域情報及び前記位置情報から前記文字装飾の対象文字を特定する装飾文字特定手段をさらに備え、
前記装飾表示手段は、前記対象文字に対する前記装飾線を表示する請求項1記載の文字装飾システム。
【請求項3】
前記文字領域情報は、前記文字の文字記載領域の情報を含み、
前記装飾判定手段は、前記文字領域情報及び前記位置情報から算出された前記文字記載領域に含まれる前記引かれた線の割合に基づき、前記装飾種別を判定する請求項1または2記載の文字装飾システム。
【請求項4】
前記位置情報は、前記線の開始位置及び終了位置を含み、
前記装飾判定手段は、前記位置情報から算出された前記開始位置及び前記終了位置の間の直線距離と、前記ポインティングデバイスで引かれた線の長さとに基づき、前記装飾種別を判定する請求項1〜3のいずれかに記載の文字装飾システム。
【請求項5】
前記文字領域情報及び前記位置情報から前記文字装飾の対象文字を特定する装飾文字特定手段をさらに備え、
前記装飾判定手段は、前記文字領域情報から算出された前記対象文字の文字列の幅と、前記位置情報から算出された前記線の長さとに基づき、前記装飾種別を判定する請求項1〜3のいずれかに記載の文字装飾システム。
【請求項6】
操作画面に表示される文字をポインティングデバイスで引かれた線により装飾する文字装飾プログラムであって、
コンピュータを、
前記操作画面の一部又は全部の領域の文字領域情報を取得する文字領域情報取得手段と、
前記線を特定する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記文字領域情報及び前記位置情報に基づいて、前記文字の装飾種別を判定する装飾判定手段と、
前記装飾種別に従って前記文字の装飾線を前記操作画面に表示する装飾表示手段として機能させることを特徴とする文字装飾プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−39572(P2010−39572A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198823(P2008−198823)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】