説明

文書処理方法および文書処理システム

【課題】見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握すること。
【解決手段】スキャナー11は、受領者が配置した紙媒体の文書をデジタルデータに変換し、撮影画像生成部17aは、デジタルデータから撮影画像を生成する。そして、分割部17bは、撮影画像を複数の領域に分割し、表示制御部17cは、撮影画像を表示部12に表示させるように制御する。そして、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光の表示部12における位置を特定し、特定部17dは、光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する。そして、拡大画像生成部17eは、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成し、表示制御部17cは、拡大画像を表示部12に表示するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、文書処理方法および文書処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加齢による視力低下などの要因により文書を見たり読んだりすることが困難な人を支援するための装置の開発が進められている。
【0003】
かかる装置としては、例えば、オートフォーカス機能により読書対象となる文書を高倍率で拡大する装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“拡大読書器”、[online]、[平成22年3月23日検索]、インターネット<http://www.kougakudo.jp/newpage-6.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、読者は、例えば、葉書などを読む場合、文書全体を見たり、文書の一部を読んだり、文書にある写真を見たりといったように、文書全体と文書のある部分とを交互に見たり読んだりすることが一般的である。しかし、上記した従来の技術は、読者が指定した特定の範囲を拡大するのみである。したがって、読者は、読書対象となる文書において、見たい範囲や読みたい範囲が拡大されるように上記した装置を操作する必要があった。
【0006】
すなわち、上記した従来の技術は、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することが困難であるといった課題があった。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することが可能となる文書処理方法および文書処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この方法は、利用者が配置した文書を撮影した画像を生成する撮影ステップと、前記撮影ステップにより生成された前記画像を複数の領域に分割する分割ステップと、前記撮影ステップにより生成された前記画像を所定の表示部に表示させるように制御する表示制御ステップと、前記表示制御ステップの制御により前記画像が前記所定の表示部に表示された状態で、当該所定の表示部に対して光送信装置から送信された光を検知する検知ステップと、前記検知ステップが検知した前記光の位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を前記分割ステップにより分割された前記複数の領域から特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成する拡大画像生成ステップと、前記拡大画像生成ステップにより生成された前記拡大画像を前記所定の表示部にてさらに表示するように制御する第二の表示制御ステップと、を含んだことを要件とする。
【0009】
また、このシステムは、文書に対して処理を行なう文書処理装置と、光を送信する光送信装置とを含む文書処理システムであって、前記文書処理装置は、利用者が配置した文書を撮影した画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段により生成された前記画像を複数の領域に分割する分割手段と、前記撮影手段により生成された前記画像を所定の表示部に表示させるように制御する表示制御手段と、前記表示制御手段の制御により前記画像が前記所定の表示部に表示された状態で、当該所定の表示部に対して前記光送信装置から送信された光を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記光の位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を前記分割手段により分割された前記複数の領域から特定する特定手段と、前記特定手段により特定された領域を拡大した拡大画像を生成する拡大画像生成手段と、前記拡大画像生成手段により生成された前記拡大画像を前記所定の表示部にてさらに表示するように制御する第二の表示制御手段と、を備えたことを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の方法およびシステムによれば、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る文書処理システムの構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係るリモコンの外観例を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1に係る文書処理装置の外観例を説明するための図である。
【図4】図4は、実施例1に係る文書処理装置の構成を説明するための図である。
【図5】図5は、分割部を説明するための図である。
【図6】図6は、表示制御部により表示される撮影画像の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、受領者から照射される可視光の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、特定部を説明するための図である。
【図9】図9は、表示制御部により表示される拡大画像の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、画像処理指示による拡大画像生成部および表示制御部の処理を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例1に係る文書処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、実施例2に係るリモコンの外観例を説明するための図である。
【図13】図13は、実施例2に係る文書処理装置の構成を説明するための図である。
【図14】図14は、音声出力制御部による判定処理を説明するための図である。
【図15】図15は、音声出力制御部による音声出力処理を説明するための図である。
【図16】図16は、音声出力制御部の音声出力処理にともなう表示制御部の表示処理を説明するための図である。
【図17】図17は、実施例2に係る文書処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る文書処理方法および文書処理システムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る文書処理方法を実行する文書処理システムを実施例として説明する。
【実施例1】
【0013】
まず、図1を用いて、実施例1に係る文書処理システムの構成について説明する。図1は、実施例1に係る文書処理システムの構成を説明するための図である。
【0014】
実施例1に係る文書処理システムは、図1に示すように、発送者が発送した紙媒体の文書(例えば、葉書など)に対して処理を行なう文書処理装置10と、可視光を送信するリモコン20とを含む。ここで、図1に示す文書処理装置10およびリモコン20は、紙媒体の文書を受領した受領者が操作する装置である。
【0015】
図2は、実施例1に係るリモコンの外観例を説明するための図である。図2に示すように、リモコン20は、照射口22から可視光を照射するための可視光スイッチ21を有する。リモコン20は、可視光スイッチ21が受領者により押下された場合、照射口22から可視光を照射させる。また、リモコン20は、文書処理装置10にて表示される画像に関する処理を指示するための各種ボタンを有する。具体的には、リモコン20は、拡大ボタン23(図中に示す「拡大」)、縮小ボタン24(図中に示す「縮小」)および消去ボタン25(図中に示す「消去」)を有する。なお、拡大ボタン23、縮小ボタン24および消去ボタン25については、後に詳述する。
【0016】
図3は、実施例1に係る文書処理装置の外観例を説明するための図である。図3に示すように、文書処理装置10は、スキャナー11と、表示部12と、信号受信部13と、スピーカ14と、入力部15とを有する。
【0017】
スキャナー11は、受領者が配置した紙媒体の文書を撮影した撮影画像を生成するために用いられ、文書を読込んで、読込んだ文書をデジタルデータに変換する。
【0018】
表示部12は、光センサが内蔵された光センサ内臓ディスプレイである。具体的には、表示部12は、ディスプレイ機能により、スキャナー11が変換したデジタルデータから生成された撮影画像を表示する。また、表示部12は、内蔵された光センサにより、リモコン20から照射された可視光を検知する。
【0019】
信号受信部13は、拡大ボタン23、縮小ボタン24および消去ボタン25から送信された各種画像処理指示を受信する。
【0020】
スピーカ14は、音声出力に用いられ、例えば、図3に示すように、文書処理装置10の前面において2箇所設置される。
【0021】
入力部15は、受領者が文書処理装置10の電源ON/OFFや、スキャナー11によるスキャン開始、文書処理装置10による処理終了などを行なうための各種ボタン群を有する。
【0022】
ここで、文書の受領者は、例えば、老齢であるために文書を見たり読んだりすることが困難であっても、かかる外観を有する文書処理装置10およびリモコン20を用いることで、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することが可能となる。以下、文書処理装置10が有する機能について図4などを用いて詳細に説明する。
【0023】
図4は、実施例1に係る文書処理装置の構成を説明するための図である。図4に示すように、実施例1に係る文書処理装置10は、上述したスキャナー11、表示部12、信号受信部13、スピーカ14および入力部15とともに、記憶部16と制御部17とを有する。
【0024】
記憶部16は、制御部17による各種処理結果を記憶し、図4に示すように、特に本実施例に関連するものとして、画像記憶部16aおよび分割結果記憶部16bを有する。
【0025】
画像記憶部16aは、後述する撮影画像生成部17aおよび後述する拡大画像生成部17eによる処理結果を記憶し、分割結果記憶部16bは、後述する分割部17bによる処理結果を記憶するが、これらについては、後に詳述する。
【0026】
制御部17は、スキャナー11、表示部12、信号受信部13から転送された各種情報に基づいて各種処理を実行し、特に本実施例に関連するものとして、撮影画像生成部17aと、分割部17bと、表示制御部17cと、特定部17dと、拡大画像生成部17eと、指示判定部17fとを有する。
【0027】
撮影画像生成部17aは、スキャナー11から転送されたデジタルデータから文書を撮影した画像(撮影画像)を生成し、生成した撮影画像を画像記憶部16aに格納する。
【0028】
分割部17bは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を画像記憶部16aから読み出し、読み出した撮影画像を複数の領域に分割する。ここで、葉書などの文書は、一般的に、写真や、本文、発送者の情報(住所、氏名、電話番号など)などのように、内容に応じて複数の領域に分けることができる。また、文書は、文書の背景色により占められる領域と、当該背景色と異なる色調により占められる領域とに分割することができる。すなわち、文書の背景色により囲まれる領域を特定することで、文書は、当該文書に記載されている内容に応じて、複数の領域に分割することができる。
【0029】
そこで、分割部17bは、撮影画像の背景色を特定し、特定した背景色により囲まれる領域を特定することで、撮影画像に描出されている内容に応じて当該撮影画像を複数の領域に分割する。図5は、分割部を説明するための図である。
【0030】
例えば、撮影画像の生成元である文書が、図5の(A)に示すように、「写真」の領域と、「本文1」の領域と、「本文2」の領域と、「発送者情報」の領域との4つの領域により構成されているとする。
【0031】
かかる場合、分割部17bは、撮影画像の背景色を特定し、特定した背景色により囲まれる領域を特定することで、図5の(B)に示すように、「写真」の領域に対応する「領域A」と、「本文1」の領域に対応する「領域B」と、「本文2」の領域に対応する「領域C」と、「発送者情報」の領域に対応する「領域D」とに撮影画像を分割する。
【0032】
そして、分割部17bは、図5の(B)に示すように、撮影画像における領域Aの位置情報を「位置情報A」として分割結果記憶部16bに格納する。同様に、分割部17bは、図5の(B)に示すように、撮影画像における領域Bの位置情報である「位置情報B」と、撮影画像における領域Cの位置情報である「位置情報C」と、撮影画像における領域Dの位置情報である「位置情報D」とをそれぞれ分割結果記憶部16bに格納する。
【0033】
なお、分割部17bによる分割処理の粒度は、受領者の設定により任意に変更可能である。例えば、入力部15が有する分割設定ボタンにより分割粒度が粗く設定された場合、分割部17bは、図5の(C)に示すように、「写真」の領域に対応する「領域A」と、「本文1」と「本文2」と「発送者情報」との領域に対応する「領域B」とに撮影画像を分割する。
【0034】
図4に戻って、表示制御部17cは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を画像記憶部16aから読み出し、読み出した撮影画像を表示部12に表示させるように制御する。図6は、表示制御部により表示される撮影画像の一例を説明するための図である。例えば、表示制御部17cは、図6に示すように、図5の(A)を用いて説明した文書から生成された撮影画像を、表示部12の中心に表示させる。
【0035】
かかる表示制御部17cの制御により撮影画像が表示された状態で、受領者は、撮影画像にて自身が拡大表示したい領域に向けてリモコン20から可視光を照射する。そして、表示部12の光センサは、リモコンから照射された可視光を検知し、検知した可視光の表示部12における位置を特定する。図7は、受領者から照射される可視光の一例を説明するための図である。
【0036】
例えば、図7に示すように、受領者は、表示部12に表示された撮影画像の中で本文1に向けてリモコン20から可視光を照射させる。そして、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光を検知し、検知した可視光の表示部12における位置を特定する。
【0037】
図4に戻って、特定部17dは、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する。具体的には、特定部17dは、光センサが特定した表示部12における可視光の位置と、撮影画像の表示部12における表示位置とから、可視光が照射された位置が撮影画像においてどの位置に対応するかを特定する。そして、特定部17dは、分割結果記憶部16bに格納された各領域の位置情報を参照して、可視光が照射された位置に対応する領域を特定する。図8は、特定部を説明するための図である。例えば、特定部17dは、図8に示すように、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置が「位置情報B」内に対応する位置にあると判定して、可視光の照射位置が分割部17bにより撮影画像から分割された「領域B」に対応すると特定する。
【0038】
図4に戻って、拡大画像生成部17eは、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成し、生成した拡大画像を画像記憶部16aに格納する。そして、表示制御部17cは、拡大画像生成部17eにより生成された拡大画像を画像記憶部16aから読み出し、読み出した拡大画像を表示部12に表示するように制御する。図9は、表示制御部により表示される拡大画像の一例を説明するための図である。
【0039】
例えば、拡大画像生成部17eは、特定部17dが特定した領域Bを拡大した拡大画像を生成し、表示制御部17cは、図9に示すように、領域Bの拡大画像を表示部12に表示させる。これにより、表示部12は、図9に示すように、文書の本文1を拡大表示する。
【0040】
ここで、表示制御部17cは、撮影画像が表示部12にて表示された状態で、当該撮影画像の前面に拡大画像を表示する。例えば、表示制御部17cは、図9に示すように、本文1の拡大画像が文書全体を撮影した撮影画像の前面に表示されるように制御する。
【0041】
かかる表示制御部17cの制御により撮影画像の前面に拡大画像が表示された状態で、受領者は、リモコン20が有する各種ボタンを操作することで、拡大画像に対する画像処理指示を送信することができる。
【0042】
例えば、受領者は、拡大画像をさらに拡大したい場合、拡大ボタン23を押下する。また、受領者は、拡大画像を縮小したい場合、縮小ボタン24を押下する。また、受領者は、拡大画像を消去して撮影画像を再度参照したい場合や、拡大画像を消去して撮影画像における他の領域を拡大参照したい場合、消去ボタン25を押下する。
【0043】
なお、受領者が拡大ボタン23を押下することで、リモコン20は、表示されている拡大画像を所定の倍率で拡大する指示を送信する。例えば、受領者は、表示される拡大画像が所望の大きさまで拡大されるまで、拡大ボタン23を連続して押下する。また、受領者が縮小ボタン24を押下することで、リモコン20は、表示されている拡大画像を所定の倍率で縮小する指示を送信する。例えば、受領者は、表示される拡大画像が所望の大きさまで縮小されるまで、縮小ボタン24を連続して押下する。
【0044】
かかる操作によりリモコン20から送信された画像処理指示の信号は、図3および4に示す信号受信部13により受信され、信号受信部13は、受信した画像処理指示の信号を、図4に示す指示判定部17fに転送する。
【0045】
指示判定部17fは、信号受信部13から転送された画像処理指示の信号に含まれる指示内容を判定し、判定結果を拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cに転送する。図10は、画像処理指示による拡大画像生成部および表示制御部の処理を説明するための図である。
【0046】
例えば、判定結果が拡大画像の拡大処理であった場合、指示判定部17fは、拡大率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された拡大率に基づいて拡大画像をさらに拡大した拡大画像を生成し、生成した拡大画像を新規に画像記憶部16aに格納する。そして、表示制御部17cは、画像記憶部16aに新規に格納された拡大画像を読み出して表示部12に表示させる。例えば、表示制御部17cは、図10の(A)に示すように、本文1がさらに拡大された拡大画像を表示部12に表示させる。
【0047】
また、判定結果が拡大画像の縮小処理であった場合、指示判定部17fは、縮小率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された縮小率に基づいて拡大画像を縮小した縮小画像を生成し、生成した縮小画像を新規に画像記憶部16aに格納する。そして、表示制御部17cは、画像記憶部16aに新規に格納された縮小画像を読み出して表示部12に表示させる。例えば、表示制御部17cは、図10の(B)に示すように、本文1が縮小された縮小画像を表示部12に表示させる。
【0048】
また、判定結果が拡大画像の消去処理であった場合、指示判定部17fは、拡大画像の非表示指示を表示制御部17cに転送し、表示制御部17cは、表示されている拡大画像を非表示とする。そして、受領者は、リモコン20を操作することで、例えば、撮影画像の写真などを拡大表示させる。
【0049】
上述した文書処理は、入力部15が有する処理終了ボタンが受領者により押下されることで終了する。なお、本実施例は、例えば、表示される拡大画像に対して受領者がリモコン20から可視光を照射した状態で可視光スイッチ21を押下しながら可視光の照射位置を移動した場合、表示制御部17cが拡大画像の表示位置を移動するように制御することも可能である。
【0050】
続いて、図11を用いて実施例1に係る文書処理装置10の処理の手順について説明する。図11は、実施例1に係る文書処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、図11では、受領者が紙媒体の文書をスキャナー11に配置した以降の処理について説明する。
【0051】
図11に示すように、本実施例1における文書処理装置10は、受領者から入力部15を介してスキャン開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。スキャン開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、文書処理装置10は、待機状態となる。一方、スキャン開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、スキャナー11は、文書の読み込み処理を行なって、当該文書をデジタルデータに変換し、撮影画像生成部17aは、スキャナー11から転送されたデジタルデータから撮影画像を生成する(ステップS102)。
【0052】
そして、分割部17bは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を複数の領域に分割する(ステップS103)。具体的には、分割部17bは、撮影画像の背景色を特定し、特定した背景色により囲まれる領域を特定することで、撮影画像に描出されている内容に応じて当該撮影画像を複数の領域に分割する。
【0053】
その後、表示制御部17cは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を表示部12に表示させるように制御し(ステップS104)、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光を検知したか否かを判定する(ステップS105)。
【0054】
ここで、可視光を検知した場合(ステップS105肯定)、表示部12の光センサは、検知した可視光の表示部12における位置を特定する。そして、特定部17dは、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する(ステップS106)。
【0055】
続いて、拡大画像生成部17eは、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成し(ステップS107)、表示制御部17cは、拡大画像生成部17eにより生成された拡大画像を表示部12に表示するように制御する(ステップS108)。具体的には、表示制御部17cは、撮影画像の前面に拡大画像を表示させる。
【0056】
ステップS108の処理の後、または、表示部12の光センサが可視光を検知しなかった場合(ステップS105否定)、信号受信部13は、リモコン20から画像処理指示を受信したか否かを判定する(ステップS109)。ここで、リモコン20から画像処理指示を受信した場合(ステップS109肯定)、信号受信部13は、受信した画像処理指示を指示判定部17fに転送し、指示判定部17fは、信号受信部13から転送された画像処理指示の内容を判定する(ステップS110)。すなわち、指示判定部17fは、画像処理指示の内容が、拡大画像の拡大処理であるか、拡大画像の縮小処理であるか、拡大画像の消去処理であるかを判定する。
【0057】
そして、指示判定部17fは、判定結果を拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cに転送し、拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cは、判定結果に沿った処理を実行する(ステップS111)。例えば、判定結果が拡大画像の拡大処理であった場合、指示判定部17fは、拡大率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された拡大率に基づいて拡大画像をさらに拡大した拡大画像を生成し、表示制御部17cは、拡大画像を表示部12に表示させる。また、判定結果が拡大画像の縮小処理であった場合、指示判定部17fは、縮小率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された縮小率に基づいて拡大画像を縮小した縮小画像を生成し、表示制御部17cは、縮小画像を表示部12に表示させる。また、判定結果が拡大画像の消去処理であった場合、指示判定部17fは、拡大画像の非表示指示を表示制御部17cに転送し、表示制御部17cは、表示されている拡大画像を非表示とする。
【0058】
ステップS111の処理の後、または、信号受信部13が画像処理指示を受信しなかった場合(ステップS109否定)、文書処理装置10は、処理終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS112)。
【0059】
ここで、処理終了要求を受け付けなかった場合(ステップS112否定)、ステップS105に戻って、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光を検知したか否かを判定する。
【0060】
一方、処理終了要求を受け付けた場合(ステップS112肯定)、文書処理装置10は、処理を終了する。
【0061】
上述してきたように、実施例1では、スキャナー11は、受領者が配置した紙媒体の文書の読み込み処理を行なって、当該文書をデジタルデータに変換し、撮影画像生成部17aは、スキャナー11から転送されたデジタルデータから撮影画像を生成する。そして、分割部17bは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を複数の領域に分割し、表示制御部17cは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を表示部12に表示させるように制御する。そして、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光の表示部12における位置を特定し、特定部17dは、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する。そして、拡大画像生成部17eは、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成し、表示制御部17cは、拡大画像生成部17eにより生成された拡大画像を表示部12に表示するように制御する。
【0062】
したがって、実施例1によれば、受領者は、リモコン20から可視光を照射するといった簡単な操作のみで、自身が見えにくい、または、読みにくい箇所を拡大した拡大画像を撮影画像とともに参照することができる。その結果、受領者は、撮影画像を参照しながら拡大画像を参照することができ、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することが可能となる。
【0063】
また、実施例1では、表示制御部17cは、撮影画像の前面に拡大画像を表示させるので、受領者は、所望の領域を拡大した拡大画像を確実に参照することができる。
【0064】
また、実施例1では、リモコン20は、表示部12にて表示される拡大画像に関する処理を指示するための画像処理指示を送信し、信号受信部13は、リモコン20から受信した画像処理指示を指示判定部17fに転送し、指示判定部17fは、信号受信部13から転送された画像処理指示の内容が、拡大画像の拡大処理であるか、拡大画像の縮小処理であるか、拡大画像の消去処理であるかを判定する。
【0065】
そして、指示判定部17fは、判定結果を拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cに転送し、拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cは、判定結果に沿った処理を実行する。すなわち、判定結果が拡大画像の拡大処理であった場合、指示判定部17fは、拡大率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された拡大率に基づいて拡大画像をさらに拡大した拡大画像を生成し、表示制御部17cは、拡大画像を表示部12に表示させる。また、判定結果が拡大画像の縮小処理であった場合、指示判定部17fは、縮小率を拡大画像生成部17eに転送し、拡大画像生成部17eは、転送された縮小率に基づいて拡大画像を縮小した縮小画像を生成し、表示制御部17cは、縮小画像を表示部12に表示させる。また、判定結果が拡大画像の消去処理であった場合、指示判定部17fは、拡大画像の非表示指示を表示制御部17cに転送し、表示制御部17cは、表示されている拡大画像を非表示とする。
【0066】
したがって、実施例1によれば、受領者は、リモコン20のボタンを操作するといった簡単な操作のみで、自身が見えにくい、または、読みにくい箇所を自身が認識しやすい拡大率に変更することができ、また、別の箇所を拡大したい場合に現時点で表示されている拡大画像を消去することができる。その結果、受領者は、見えにくい、または、読みにくい文書の内容をさらに容易に把握することが可能となる。
【実施例2】
【0067】
上述した実施例1では、受領者が指定した領域の拡大画像が表示される場合について説明した。実施例2では、さらに受領者が指定した領域に含まれる文字列が音声にて出力される場合について、図12〜図16を用いて説明する。なお、図12は、実施例2に係るリモコンの外観例を説明するための図であり、図13は、実施例2に係る文書処理装置の構成を説明するための図であり、図14は、音声出力制御部による判定処理を説明するための図である。また、図15は、音声出力制御部による音声出力処理を説明するための図であり、図16は、音声出力制御部の音声出力処理にともなう表示制御部の表示処理を説明するための図である。
【0068】
実施例2に係る文書処理システムは、図1を用いて説明した文書処理システムと同様に、文書処理装置10とリモコン20とを含む。しかし、実施例2に係るリモコン20は、図2を用いて説明した実施例1に係るリモコン20と比較して、図12に示すように、音量を調整するために用いられる音量増大ボタン26(図中の「大」)および音量減少ボタン27(図中の「小」)と、再生速度を調整するために用いられる再生速度増大ボタン28(図中の「早」)および再生速度減少ボタン29(図中の「遅」)をさらに有する点が異なる。
【0069】
また、実施例2に係る文書処理装置10は、図3を用いて説明した実施例1に係る文書処理装置10と同様の外観を有する。しかし、実施例2に係る文書処理装置10は、図4を用いて説明した実施例1に係る文書処理装置10と比較して、図13に示すように、制御部17が文字列認識部17g、音声合成部17hおよび音声出力制御部17iをさらに有し、記憶部16が音声記憶部16cをさらに有する点が異なる。
【0070】
以下、これらを中心に、実施例2に係る文書処理装置10およびリモコン20について説明する。
【0071】
文字列認識部17gは、画像記憶部16aから撮影画像生成部17aが生成した撮影画像を読み出して、読み出した撮影画像に含まれる文字列を認識する。例えば、文字列認識部17gは、図5の(A)を用いて説明した文書から生成された撮影画像に含まれる文字列を認識する。これにより、文字列認識部17gは、例えば、「本文1」に記載されている文字列である「お元気ですか?・・・・・・・・・・・・を送ります。」を認識する。また、文字列認識部17gは、認識した文字列の撮影画像における位置情報を取得する。なお、文字列認識部17gは、写真に含まれる文字列を認識することも可能である。
【0072】
図13に示す音声合成部17hは、文字列認識部17gにより認識された文字列の音声データを合成する。例えば、音声合成部17hは、「本文1」に記載されている「お元気ですか?・・・・・・・・・・・・を送ります。」の音声データを合成する。そして、音声合成部17hは、合成した音声データを、当該音声データを合成するために用いた文字列の撮影画像における位置情報に対応付けて音声記憶部16cに格納する。
【0073】
なお、分割部17bは、実施例1と同様に、撮影画像を複数の領域に分割する。例えば、分割部17bは、図5の(B)に示すように、「写真」の領域に対応する「領域A」と、「本文1」の領域に対応する「領域B」と、「本文2」の領域に対応する「領域C」と、「発送者情報」の領域に対応する「領域D」とに撮影画像を分割する。
【0074】
また、表示制御部17cは、実施例1と同様に、撮影画像を表示部12に表示させる。そして、特定部17dは、実施例1と同様に、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する。
【0075】
そして、拡大画像生成部17eは、実施例1と同様に、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成する。さらに、表示制御部17cは、実施例1と同様に、拡大画像生成部17eにより生成された拡大画像を表示部12に表示するように制御する。
【0076】
ここで、実施例2において、音声出力制御部17iは、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれるか否かを判定する。具体的には、音声出力制御部17iは、音声記憶部16cを参照して、特定部17dにより特定された領域内の位置情報に対応付けられている音声データがあるか否かを判定する。
【0077】
例えば、音声出力制御部17iは、図14に示すように、特定部17dにより特定された領域B内の位置情報に対応付けられている音声データ「お元気ですか?・・・・・・・・・・・・を送ります。」が音声記憶部16cに記憶されていることから、領域Bに文字列が含まれていると判定する。
【0078】
そして、音声出力制御部17iは、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれる場合、当該文字列から音声合成部17hにより合成された音声データを音声記憶部16cから読み出してスピーカ14から出力するように制御する。
【0079】
例えば、音声出力制御部17iは、図15に示すように、表示部12に本文1の拡大画像が表示されている状態で、スピーカ14から「音声データ:お元気ですか?・・・・・・・・・・・・を送ります。」を出力させる。
【0080】
なお、本実施例は、音声出力制御部17iの制御により音声データが出力されていることに同期して、表示制御部17cにより以下に説明するような表示処理が行なわれる場合であってもよい。例えば、表示制御部17cは、図16の(A)に示すように、音声出力用ソフトウェアの動作画面を表示させる。これにより、受領者は、自身が拡大表示させた領域に含まれる文字列の音声データが再生されていることを認識することができる。あるいは、表示制御部17cは、図16の(B)に示すように、現に再生されている音声データに該当する文字列の箇所を、拡大画像において表示させてもよい。例えば、図16の(B)に示す一例では、本文1の「お元気ですか」が現在再生されていることが示されている。これにより、受領者は、自身が拡大表示させた領域に含まれる文字列のうち、どの部分が再生されているのかを認識することができる。
【0081】
かかる音声出力制御部17iの制御により音声データが出力された場合、受領者は、リモコン20が有する音量増大ボタン26、音量減少ボタン27、再生速度増大ボタン28および再生速度減少ボタン29を操作することで、スピーカ14から出力される音声データに関する処理を指示するための音声処理指示を送信することができる。
【0082】
例えば、受領者は、スピーカ14から出力される音声データの音量を調整したい場合、音量増大ボタン26または音量減少ボタン27を押下する。また、受領者は、スピーカ14から出力される音声データの再生速度を調整したい場合、再生速度増大ボタン28または再生速度減少ボタン29を押下する。
【0083】
かかる操作によりリモコン20から送信された音声処理指示の信号は、信号受信部13により受信され、信号受信部13は、受信した音声処理指示の信号を指示判定部17fに転送する。そして、指示判定部17fは、信号受信部13から転送された音声処理指示の信号に含まれる指示内容を判定し、判定結果を音声出力制御部17iに転送する。そして、音声出力制御部17iは、指示判定部17fの判定結果に基づいて、音声データの音量や音声データの再生速度を制御する。
【0084】
例えば、判定結果が音量増大であった場合、音声出力制御部17iは、スピーカ14からの出力音量を増大させ、判定結果が音量減少であった場合、音声出力制御部17iは、スピーカ14からの出力音量を減少させる。また、判定結果が再生速度増大であった場合、音声出力制御部17iは、スピーカ14からの再生速度を増大させ、判定結果が再生速度減少であった場合、音声出力制御部17iは、スピーカ14からの再生速度を減少させる。
【0085】
なお、図16の(A)に示すような音声出力用ソフトウェアの動作画面が表示部12にて表示されている場合、表示部12の光センサ機能をタッチパネル機能として用いることで、受領者は、音声出力用ソフトウェアの動作画面における「再生」、「停止」「早送り」および「巻き戻し」ボタンを押下することで、所望の音声出力指示を行なうことも可能である。
【0086】
また、実施例1にて説明した画像処理指示による処理は、実施例2においても実行可能である。また、上述した文書処理は、実施例1と同様に、入力部15が有する処理終了ボタンが受領者により押下されることで終了する。
【0087】
続いて、図17を用いて実施例2に係る文書処理装置10の処理の手順について説明する。図17は、実施例2に係る文書処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、図17では、受領者が紙媒体の文書をスキャナー11に配置した以降の処理について説明する。
【0088】
図17に示すように、本実施例2における文書処理装置10は、受領者から入力部15を介してスキャン開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。スキャン開始要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、文書処理装置10は、待機状態となる。一方、スキャン開始要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、スキャナー11は、文書の読み込み処理を行なって、当該文書をデジタルデータに変換し、撮影画像生成部17aは、スキャナー11から転送されたデジタルデータから撮影画像を生成する(ステップS202)。
【0089】
そして、分割部17bは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を複数の領域に分割し(ステップS203)、文字列認識部17gは、撮影画像に含まれる文字列を認識し(ステップS204)、音声合成部17hは、文字列認識部17gにより認識された文字列の音声データを合成する(ステップS205)。なお、音声合成部17hは、合成した音声データを、当該音声データを合成するために用いた文字列の撮影画像における位置情報に対応付けて音声記憶部16cに格納する。
【0090】
その後、表示制御部17cは、撮影画像生成部17aにより生成された撮影画像を表示部12に表示させるように制御し(ステップS206)、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光を検知したか否かを判定する(ステップS207)。
【0091】
ここで、可視光を検知した場合(ステップS207肯定)、表示部12の光センサは、検知した可視光の表示部12における位置を特定する。そして、特定部17dは、表示部12の光センサが特定した可視光の表示部12における位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を分割部17bにより分割された複数の領域から特定する(ステップS208)。
【0092】
続いて、拡大画像生成部17eは、特定部17dにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成し(ステップS209)、表示制御部17cは、拡大画像生成部17eにより生成された拡大画像を表示部12に表示するように制御する(ステップS210)。
【0093】
そして、音声出力制御部17iは、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれるか否かを判定する(ステップS211)。具体的には、音声出力制御部17iは、音声記憶部16cを参照して、特定部17dにより特定された領域に含まれる位置情報に対応付けられている音声データがあるか否かを判定する。
【0094】
ここで、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれる場合(ステップS211肯定)、音声出力制御部17iは、当該領域に含まれている文字列から音声合成部17hにより合成された音声データをスピーカ14からから出力するように制御する(ステップS212)。
【0095】
ステップS211の処理の後、または、表示部12の光センサが可視光を検知しなかった場合(ステップS207否定)、または、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれていない場合(ステップS211否定)、信号受信部13は、リモコン20から画像処理指示または音声処理指示を受信したか否かを判定する(ステップS213)。ここで、リモコン20から画像処理指示または音声処理指示を受信した場合(ステップS213肯定)、信号受信部13は、受信した指示を指示判定部17fに転送し、指示判定部17fは、信号受信部13から転送された指示の内容を判定する(ステップS214)。すなわち、指示判定部17fは、指示の内容が、拡大画像の拡大処理であるか、拡大画像の縮小処理であるか、拡大画像の消去処理であるか、音声データの音量調整処理であるか、音声データの再生速度調整処理であるかを判定する。
【0096】
そして、指示判定部17fは、判定結果の内容に応じて、判定結果を拡大画像生成部17eおよび表示制御部17cか、音声出力制御部17iに転送し、判定結果を転送された拡大画像生成部17eおよび表示制御部17c、または、音声出力制御部17iは、判定結果に沿った処理を実行する(ステップS215)。
【0097】
ステップS215の処理の後、または、信号受信部13が画像処理指示を受信しなかった場合(ステップS213否定)、文書処理装置10は、処理終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS216)。
【0098】
ここで、処理終了要求を受け付けなかった場合(ステップS216否定)、ステップS207に戻って、表示部12の光センサは、リモコン20から照射された可視光を検知したか否かを判定する。
【0099】
一方、処理終了要求を受け付けた場合(ステップS216肯定)、文書処理装置10は、処理を終了する。
【0100】
上述してきたように、実施例2では、文字列認識部17gは、撮影画像に含まれる文字列を認識し、音声合成部17hは、文字列認識部17gにより認識された文字列の音声データを合成する。そして、音声出力制御部17iは、特定部17dにより特定された領域にて文字列が含まれる場合、当該文字列から音声合成部17hにより合成された音声データをスピーカ14から出力するように制御する。
【0101】
したがって、実施例2によれば、受領者は、自身が見えにくい、または、読みにくい箇所を拡大して参照できるとともに、当該箇所に含まれる文字を音声にて認識することができる。その結果、受領者は、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を音声により容易に把握することが可能となる。
【0102】
また、実施例2では、リモコン20は、スピーカ14から出力される音声の音量および再生速度を調整するための音声処理指示を送信し、信号受信部13は、リモコン20から受信した音声処理指示を指示判定部17fに転送し、指示判定部17fは、信号受信部13から転送された画像処理指示の内容を判定する。そして、指示判定部17fは、判定結果を音声出力制御部17iに転送し、音声出力制御部17iは、判定結果に沿った音量または再生速度の調整制御を行なう。
【0103】
したがって、実施例2によれば、受領者は、リモコン20のボタンを操作するといった簡単な操作のみで、スピーカ14から出力される音声の音量および再生速度を自身が認識しやすい音量または再生速度に変更することができる。その結果、受領者は、自信が見えにくい、または、読みにくい箇所を音声によりさらに容易に把握することが可能となる。
【0104】
なお、上記した実施例1および2では、拡大画像の表示に際してリモコン20から可視光が照射される場合について説明したが、本発明は、拡大画像の表示に際してリモコン20から赤外線などが照射される場合であってもよい。
【0105】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0106】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0107】
なお、本実施例で説明した文書処理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明に係る文書処理方法および文書処理システムは、紙媒体の文書を画像処理する場合に有用であり、特に、見えにくい、または、読みにくい文書の内容を容易に把握することに適する。
【符号の説明】
【0109】
10 文書処理装置
11 スキャナー
12 表示部(光センサ内蔵ディスプレイ)
13 信号受信部
14 スピーカ
15 入力部
16 記憶部
16a 画像記憶部
16b 分割結果記憶部
17 制御部
17a 撮影画像生成部
17b 分割部
17c 表示制御部
17d 特定部
17e 拡大画像生成部
17f 指示判定部
20 リモコン
21 可視光スイッチ
22 照射口
23 拡大ボタン
24 縮小ボタン
25 消去ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が配置した文書を撮影した画像を生成する撮影ステップと、
前記撮影ステップにより生成された前記画像を複数の領域に分割する分割ステップと、
前記撮影ステップにより生成された前記画像を所定の表示部に表示させるように制御する表示制御ステップと、
前記表示制御ステップの制御により前記画像が前記所定の表示部に表示された状態で、当該所定の表示部に対して光送信装置から送信された光を検知する検知ステップと、
前記検知ステップが検知した前記光の位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を前記分割ステップにより分割された前記複数の領域から特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された領域を拡大した拡大画像を生成する拡大画像生成ステップと、
前記拡大画像生成ステップにより生成された前記拡大画像を前記所定の表示部にてさらに表示するように制御する第二の表示制御ステップと、
を含んだことを特徴とする文書処理方法。
【請求項2】
前記第二の表示制御ステップは、前記画像が前記所定の表示部にて表示された状態で、当該画像の前面に前記拡大画像を表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の文書処理方法。
【請求項3】
前記撮影ステップにより生成された前記画像に含まれる文字列を認識する文字列認識ステップと、
前記文字列認識ステップにより認識された文字列の音声データを合成する音声合成ステップと、
前記特定ステップにより特定された領域にて文字列が含まれる場合、当該文字列から前記音声合成ステップにより合成された音声データを所定の音声出力部から出力するように制御する音声出力制御ステップと、
をさらに含んだことを特徴とする請求項1または2に記載の文書処理方法。
【請求項4】
前記光送信装置は、前記所定の表示部にて表示される画像に関する処理を指示するための画像処理指示をさらに送信し、
前記第二の表示制御ステップは、前記光送信装置から送信された前記画像処理指示に基づいて、前記拡大画像の拡大率を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の文書処理方法。
【請求項5】
前記光送信装置は、前記所定の音声出力部から出力される音声データに関する処理を指示するための音声処理指示をさらに送信し、
前記音声出力制御ステップは、前記光送信装置から送信された前記音声処理指示に基づいて、前記音声データの音量、または前記音声データの再生速度を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の文書処理方法。
【請求項6】
文書に対して処理を行なう文書処理装置と、光を送信する光送信装置とを含む文書処理システムであって、
前記文書処理装置は、
利用者が配置した文書を撮影した画像を生成する撮影手段と、
前記撮影手段により生成された前記画像を複数の領域に分割する分割手段と、
前記撮影手段により生成された前記画像を所定の表示部に表示させるように制御する表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により前記画像が前記所定の表示部に表示された状態で、当該所定の表示部に対して前記光送信装置から送信された光を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記光の位置を取得し、当該取得した位置に対応する領域を前記分割手段により分割された前記複数の領域から特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された領域を拡大した拡大画像を生成する拡大画像生成手段と、
前記拡大画像生成手段により生成された前記拡大画像を前記所定の表示部にてさらに表示するように制御する第二の表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする文書処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−204190(P2011−204190A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73470(P2010−73470)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】